まほ「おはよう、みほ」みほ「お姉ちゃん、何でここに!?」back

まほ「おはよう、みほ」みほ「お姉ちゃん、何でここに!?」


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2:
――――大洗女子学園:正門前にて
まほ「『何で?』……というのは?」キョトン
みほ「だってここ、大洗女子学園!それにそれ……ウチの制服……」アセアセッ
まほ「?……もしかして、連絡が行き届いてないのか?」
みほ「連絡……?」
まほ「ほら、この間の試合で大洗女子学園に短期転校――と言う措置をとっただろう?」
みほ「そういえば……でも、あれはあの試合の間だけじゃ――?」
3:
まほ「――と思っていたんだが、どうやら文科省の方で異議申し立てがあったようでな。『短期転校という形ならば、一定期間該当校に通学しなければいけない』――とのことだ」
みほ「そんな無茶苦茶な……」
まほ「『せめてもの報い』……というやつだろう。それに、先に無理を通して道理を引っ込ませたのはこちら側だからな……反論できまい」
みほ「それはそうだけど……でもそれじゃお姉ちゃんに迷惑が……」オドオド
まほ「……みほの大好きな学校を守る事が出来たんだ、これくらいの嫌がらせは甘んじて受け入れないとな。」フッ
みほ「お姉ちゃん……」
4:
まほ「……という訳で、短い間だがみほの部屋に厄介になる。よろしく頼むぞ」
みほ「ふえっ!そうなのっ!?」
まほ「その辺の手続きも全て、そちらの生徒会長に許可をもらっているのだが……本当に何も聞かされていないようだな……」
みほ「う、うん……」
みほ(何だろう、会長の『ごめんね西住ちゃ?ん、うっかりしてたよ?』って顔が浮かぶなぁ……)
5:
まほ「みほの迷惑になるようなら、どこかホテルでも取って……」
みほ「ううん、違うの!全然大丈夫!!ただ、びっくりしちゃっただけで……」
まほ「……そうか。ありがとう、みほ」ニコッ
みほ「うん。こちらこそ宜しく、お姉ちゃん」
まほ「ああ……この間熊本に帰ってきた時は、ゆっくり話せなかったからな。またみほの話を聞きたい」
みほ「うん!私もお姉ちゃんの――」
キーンコーンカーンコーン
まほ「……と、予鈴か。じゃあ私はここで、みほも遅刻しないようにな」
みほ「あ、うん。またね……」
6:
――――同日昼休み:戦車倉庫にて
みほ「――――という訳で、今お姉ちゃんが来ているの」
沙織「それは……」
優花里「何とも……」
華「びっくりしましたね……」
みほ「あはは……まぁね」
7:
沙織「――っていうか生徒会もひどくない?『隠し事はもう無い』って言ってたのに……」ブツブツ
みほ「一応その後話を聞きに行ってみたんだけど『隠してたわけじゃなくて忘れてただけだよ?』って会長が……」
沙織「む?、あの会長の事だから、『その方が面白そうだから?』って思ってたんじゃないの?うん、絶対そうだよ!」
華「まあまあ……」
麻子「……で、お姉さんはどこのクラスになったんだ?」
沙織「あ、麻子やっと起きた?」
みほ「それは聞きそびれちゃった……でも大洗女子には機甲科は無いから、普通科になるのかな……?」
沙織「……って事は、もしかしたら会長さん達と同じクラスかもしれないんだ……うわぁ、想像できない……」
みほ「あはは……」
8:
華「まほさんはいつまでいらっしゃる予定なんですか?」
みほ「金曜日まで。週明けには熊本に戻る予定なんだって」
沙織「じゃあほんとに数日間だけなんだ……嫌がらせにも程があるじゃん!」
麻子「文科省の面目を丸つぶれにされたわけだからな……高校生相手に大人げないとは思うが……」
沙織「む?納得いかない!!」プンプン
みほ「……でも、いい機会かなって思うの」
四人「「「?」」」
9:
みほ「私とお姉ちゃんってどうしても戦車を通じてしか繋がっていないっていうか……もっと普通の姉妹みたいに仲良く出来ないかなって思って……」
華「普通の姉妹ですか……」
沙織「普通……普通ねぇ……う?ん、うちには妹いるけれど、どんな会話してるかなんて意識したこと無いなぁ……」
麻子「……わだかまりも解けた今、もう少し踏み込んだ仲になりたい――と?」
みほ「わだかまりって言っても、私が勝手に『お姉ちゃん=西住流』って壁を作ってただけだけどね……お姉ちゃん自体は、昔から全然変わらない……変わらずに私を見ていてくれたのに……」
優花里「西住殿……」
10:
みほ「……だから、この機会に私の全部をお姉ちゃんに知ってもらいたいの!戦車を通した私、戦車を通さない私……今の私全てを知ってもらって、お姉ちゃんとの距離を縮められればって思って……」
沙織「そっか……うんわかった。私達も応援するね!」
華「私達で何か力になれることが有ったら、遠慮無く言ってくださいね?」
麻子「力になるぞ……」
優花里「西住殿、頑張って下さい!」
みほ「皆……ありがとう!」
11:
――――数日後の放課後:大洗女子学園にて
みほ「ど、ど、ど、どうしよう!?結局お姉ちゃんと全然お話出来てないよぉ?」アセアセッ
沙織「ええ?っ!?この数日間一緒に寝泊まりしてたのにぃっ!?……まさか、一言も会話がなかったの?」
みほ「そ、そういうわけじゃないんだけど……」
沙織「けど……?」
みほ「…………口を開けば二人して戦車の話ばかりになっちゃって……この間の試合の反省会とか」
沙織「なんでそうなるのっ!?この戦車バカ姉妹!!」
みほ「ごめんなさい?」シュン
12:
優花里「西住殿……」ザッ
沙織「優花里……?」
みほ「優花里さん?」
ガシッ
優花里「わかるであります!!」
沙織「わかるなっ!」ビシッ
華「まあまあ……私も母と二人でいると、ついついお華の話ばかりになってしまいますし……」
沙織「はぁ……なんでこう皆話題が偏っちゃうのかなぁ……私達華の女子高生なんだから、もっとこう――恋の話とか、女子力の話とかさあ……」
麻子「お前も人の事言えないだろう……」
13:
沙織「……でも何でこんなギリギリになるまで相談してくれなかったの?」
みほ「それは……皆に迷惑かかるかなって思って……」
麻子「それで何の進展もなかったら元も子もないだろう……」
沙織「はぁ……この子、戦車以外は割と抜けてるってこと忘れてたわ……」ガクッ
華「私達も、もっと積極的に声掛けしてあげてた方が良かったかもしれませんね……」
優花里「西住殿も毎朝『大丈夫』としか言ってなかったですからね……学年が違うせいか、姉上殿と会う機会も無かったですし、我々も中々気づけませんでしたね……」
みほ「ごめんなさい……」シュン
14:
沙織「とにかく!もう明後日にはまほさん帰っちゃうんでしょ?何とかしないと!」グッ
みほ「う、うん……」
優花里「……でしたら、明日二人でどこか遊びに出かけるというのは?所変われば話題も変わり、お二人の距離も縮まるかと!」
沙織「ゆかりんナイスアイディア!!丁度土日は大洗港に寄港するものね♪」
麻子「でもどこに……?」
華「そうですねぇ……まほさんは何かお好きな物はあるのですか?それに因んだ場所なんてどうでしょう?」
沙織「みぽりんで言うところのボコみたいな?」
みほ「お姉ちゃんの好きなもの……確かパンターF型とか……」
沙織「もう戦車はいいからぁ……」ガクッ
みほ「そっか、ゴメン……あとは……」ゴニョゴニョ
15:
沙織「……へぇ?そうなんだ?」
みほ「うん。熊本の実家に大きいのが有って、小さい頃はよく二人で見たりしてたんだ?」
麻子「でも今は9月だぞ……?」
華「あら、でしたら……」
優花里「五十鈴殿、何か心当たりが?」
華「ええ、少し遠くなるのですが……」
16:
――――翌日土曜日:大洗港にて
沙織「じゃあ二人共、行ってらっしゃい?」
まほ「ああ、行ってくる」
みほ「みんな!お見送りありがとう?」
華「駅まで戻ってきたら、連絡下さいね」
麻子「戦車で迎えに行ってやる……」
優花里「二人共、どうかご無事で?」ブンブン
みほ「アハハ……大げさだよぅ……」ヒラヒラ
17:
沙織「……」
華「……」
優花里「……」
麻子「…………行ったか」
華「そうですね……」
沙織「いや?昨日泣きつかれた時はどうしたものかと思ったけどね……まあ何にせよ、計画がまとまって良かったわ……」
華「電車とバスの時刻表調べるの大変でしたね……」
麻子「後は成功を祈るのみ……」
優花里「西住殿、ファイトであります!」
18:
――――1時間後:水戸市某所にて
みほ「う?ん、晴れて良かった?♪」
まほ「そうだな」
みほ「えっと……地図だと確かこっちの方なんだけど……」
まほ「そうか……みほ、『見せたいもの』というのは一体何なんだ?」
みほ「ん……もうちょっとだから――ね?」
まほ「さっきからそればかりじゃないか……」
みほ「ホントにもうちょっとだから……あ、アレかな?ほらお姉ちゃん!アレ見て!」
まほ「あの樹か……?」
みほ「うん♪」
19:
まほ「これは――――桜の樹か?しかも、こんな時期に花が咲いているとは……」
みほ「綺麗でしょ?……って、私もここに来るのは初めてなんだけど……」
まほ「ああ、綺麗だ……」
みほ「――『二季咲桜』っていって、春だけじゃなく秋にももう一度花が咲く品種なんだって」
まほ「そんな桜があるのか……」
みほ「――っていっても、本当は11月くらいにならないとここまで咲くことは無いんだって。……狂い咲きって程じゃないけど、今年は早く開花してるって華さん――友だちが教えてくれて……」
20:
まほ「それで、私に見せたかったと……?」
みほ「うん。どう……かな?」
まほ「……ああ、まさかこの季節に桜を見ることが出来るとは思わなかった。驚いたよ」
みほ「うん……お姉ちゃん、好きだったよね?桜……」
まほ「ああ。みほも……だろう?」
みほ「覚えててくれたんだ……?」////
まほ「ああ……」
みほ「……」
まほ「……」
21:
みほ「…………ねえ、お姉ちゃん」
まほ「うん……?」
みほ「今まで聞いたことなかったけど、どうしてお姉ちゃんは桜が好きなの?」
まほ「どうして――か、そうだな……」テクテク
みほ「お姉ちゃん……?」
まほ「……こちらの樹はソメイヨシノか」スッ
みほ「あ、うん。看板がさがってるね……」
まほ「確か実家の庭に有る樹も、ソメイヨシノだったな」
みほ「うん、同じだね。流石にこっちはまだ咲いてないけど……」
まほ「同じ――か」
みほ「お姉ちゃん?」
22:
まほ「……なぁみほ、『ソメイヨシノは全てクローン』という話を聞いたことがあるか?」
みほ「あ、うん。接ぎ木で増やしたものだから、皆同じDNAを持っているって……」
まほ「そうだ。だから実家にあるソメイヨシノも、ここにあるソメイヨシノも同じ遺伝子を持っている……ということになる」
みほ「うん……」
まほ「――では聞くが、実家の樹もこの樹も、どちらも『全く同じに成長して、全く同じに花を咲かす』と思うか?」
みほ「ううん、思わない。……形も全然違うし」フルフル
まほ「同じ遺伝子なのに?」
23:
みほ「――だって、いくら遺伝子が同じでも、育った環境が違えば咲き方も変わるのは当たり前じゃない?」
まほ「そう、当たり前のことなんだ……」スッ
みほ「お、お姉ちゃん!?」
みほ(あ、頭撫でられてる??)////
まほ「当たり前の事なんだが、みほもお母様も中々気付いてくれないんだ……もしかしたら、実家の樹よりこちらの樹の方が立派な花を付けるかもしれない――というのにな……」ナデナデ
みほ「?よくわからないよ、お姉ちゃん……」////
まほ「わからなければいいさ……いつか気付いてくれればな」スッ
みほ「???……とにかく、それがお姉ちゃんが桜が好きな理由なの?」
まほ「ああ。私にとって桜は、無限の可能性を感じさせてくれる花だからな……」
みほ「そう……なんだ……」
24:
まほ「そういうみほはどうして……?」
みほ「私?私は……」
みほ「……私にとってのお姉ちゃんって、ずっと手の届かない存在だったの」
まほ「みほ……?」
みほ「学校でも戦車道でも、小さい頃から私の先を歩いていて……私は全然ダメダメだったから、ホントに私はこの人の妹でいていいんだろうかって考える時もあった――その気持ちは、歳を重ねるごとにどんどん大きくなっていったの……」
まほ「……」
みほ「……でも実家の桜を見る時は、お姉ちゃんがすぐ隣りにいてくれた……すぐ隣で、お姉ちゃんと同じものを見つめることが出来た……だから――」
まほ「みほ……」
25:
まほ『どうした、みほ?そんな所で……』
みほ『あ、お姉ちゃん!ホラあそこ!もう咲き始めてるよ!!』
まほ『桜か……ああ、本当だ……』
みほ『……また今年も満開になるのかな?』
まほ『……そしたら、今年も皆でお花見をしようか?』
みほ『うん♪』
26:
みほ『お姉ちゃん!その制服……』
まほ『ああ、黒森峰の制服が届いたから試着してみたんだ』
みほ『……かっこいい』
まほ『……みほも来年はこれを着るんだろう』
みほ『う、うん。そうだけど……』
菊代『フフフ……折角だから、桜の樹の前で記念撮影でもしましょうか?』
みほ『菊代さんっ!?』
まほ『ああ、お願いできますか?』
みほ『お姉ちゃんも!?』
菊代『さ、お二人とも並んで並んで』
みほ『??っ』////
まほ『みほ』ギュッ
みほ『お、お姉ちゃん!?』
まほ『……待っているぞ、一緒に戦車に乗れる日を……』
みほ『――!うんっ♪』
27:
みほ「だから、私は桜が好き……桜を見ていると、すぐ隣にお姉ちゃんがいてくれるような気がするから」////
まほ「…………そうか」////
みほ「えへへ……」
まほ「フフフ……」
みほ(……なんだか、無理して仲良くなろうって思わなくても良かったのかなぁ?)
まほ「そういえばみほ、この間の試合のことだが……」
みほ「う、うん……」
28:
まほ「やはりみほが立てる作戦はどうにも危険な物が多い。最後の空砲の時もそうだ。――そうしないと勝てなかった……というのはわかるが、まずはそうならないためにだな……」
みほ「ええっ!?でも危険って言うなら、お姉ちゃんもだよ!バイキングを撃った時なんか、お姉ちゃんが怪我するんじゃないかって、ヒヤヒヤしてたんだから……」
まほ「…………私は良いんだ」
みほ「良くないよぉ?!!」
まほ「しかしだな……」
みほ(……結局こうやっていつもの様に戦車道談義になっちゃったけど、それでも今はお姉ちゃんとの絆が実感できる。だから、無理に他の話題なんて探さなくてもいいんだ!)
みほ(口を開けば戦車道……なんて姉妹、他にはいないかもしれないけれど……)
みほ(『これが私達の姉妹道』……なんてね♪)
29:
――――翌日:大洗女子学園艦にて
まほ「じゃあ私はここで。皆、送ってくれてありがとう」
優花里「いえいえ……」
麻子「おばあの時の借りがあったからな……あの時は助かった」
沙織「もう麻子!お礼言うならもっとシャキッとしないと……」
麻子「沙織、最近おばあに似てきたな……」
沙織「なんですって?っ!?」
華「まぁまぁ……まほさん、どうか道中お気をつけて……」
まほ「ああ……みほも、お母様へのお土産を選ぶの手伝ってくれてありがとう」
みほ「うん♪」
30:
沙織「……ちなみに何を選んだの?」ヒソヒソ
華「アライッペのぬいぐるみだそうですよ?みほさん『ボコの可愛さはわかってくれなかったけどアライッペならば』って思ったそうで……」ヒソヒソ
沙織「……私みぽりんのお母さんって話でしか聞いたこと無いけど、大丈夫かなぁ……」ヒソヒソ
まほ「たった数日間であったが世話になった。みほも、久しぶりにゆっくり話せて楽しかったよ……」
みほ「そんな!私の方こそ、ありがとうお姉ちゃん……」
まほ「みほもまたしばらくは大変かと思うが、頑張れよ?」
みほ「うん!――――って、『しばらくは』……?」キョトン
31:
まほ「……何だか何も知らされてなさすぎて心配になってくるんだが……ちょっとまて」ガソゴソ
みほ「うん……」
まほ「……有った。これを見てみろ」ピラ
みほ「うん……!これってまさか――!?」
まほ「『短期入学』という措置をとったのは、私だけじゃないだろう?――それが、短期転校者の滞在スケジュールだ」
沙織「どれどれ……うわ、来月末まで予定がぎっしり詰まってる!?」
華「聖グロリアーナにサンダースにアンツィオに――あの試合の協力校が勢揃いですね……」
麻子「しかも、滞在予定地が皆、西住さんの部屋になってるぞ?」
みほ「?えぇ……」
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