歩鳥と巨人の世界【それ町×進撃】【後半】back

歩鳥と巨人の世界【それ町×進撃】【後半】


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カチャカチャ
ジャン「はあ…えらいことになっちまったな」
コニー「ライナー達、また攻めてくるのかな…」
サシャ「私まだ頭が整理つかないですよ…」
エレン「…ここにジッと隠れてるなんて嫌だぞ…俺も戦いたい」
ミカサ「駄目」
アルミン「エレンが狙われてるんだからジッとしてなきゃ…」
エレン「俺を探すために他の人達が殺されたらどうすんだ」
静「…まあ…私らが戦闘に駆り出される事は無いだろうけど…」
歩鳥「………」モグモグカリカリ
ジャン「…ホトリ、飯食いながら何を紙に書いてるんだ?」
歩鳥「作戦計画書だよ、ジャンくん」
ジャン「作戦計画書?」
紺「お前、まさか…戦う気か?やめとけって」
歩鳥「戦うなんてしないよ。タッツンと真田を救って戦いも止めさせる…死者を出さずに」
ジャン「…そんなことが出来るのか?」
歩鳥「やるよ。意地でも戦いの邪魔してやる」カリカリ
紺(…歩鳥、戦争とか大嫌いそうだもんな…)
265:以下、
エレン「あのなぁ…ホトリ、これは命をかけた真剣な戦いなんだ…冗談じゃすまねぇんだぞ?」
歩鳥「ちょっ、何か私が悪ふざけしようとしてるみたいな言い方だね!私だって真剣に殺し合いが嫌なの!!」
ミカサ「誰だって嫌だと思う…けど、それでも戦わなければならない時だってある。こっちをころそうとしている相手に説得するなんて、簡単に出来る事ではない」
エレン「綺麗事だけじゃどうにもならない事だってあるんだ…」
歩鳥「…そりゃ…私だって分かってるけども…」
静「歩鳥の気持ちも痛いほど分かるけど…エレンくんやミカサちゃんの言う通り、世の中甘いことばっかりじゃないからね?…」
歩鳥「…」
歩鳥「私がバカな事言ってる自覚あるよ。でもやっぱり私には…それも都合のいい逃げ道に見えるよ!要はどうにもならないから『仕方ない』で済ませてるんでしょ!?」
静「うん、そうだよ」
歩鳥「わお、即答…」
静「仕方ない状況で、死にたくないし守りたいものもあるから…何とか自分の心に言い訳して戦うんだよ」
歩鳥「…うん…」
歩鳥「でも私は、戦う前にまず戦いを止める努力をするよ」
エレン「…そうか、まあお前の考え方も否定する気はないよ」
紺「…私はお前のやることに協力してやるよ」
ユミル「…そろそろ…いいか?お前ら」
歩鳥「!」
266:以下、
エレン「そうだ、何か大事な話があるらしいな…」
ヒストリア「…どうしたの?ユミル」
ユミル「…お前らも知っての通り、私は巨人の力を持っている」
ユミル「で…この世界の事についても大体は知ってる」
アルミン「!」
ミカサ「なんと」
紺「何か色々隠し事してそうだな?、とは思ってたんだ」
ユミル「…で、私が知ってることを…話そうと思う」
歩鳥「お!ついに来たね!」ワクワク
ユミル「…んなワクワクするような内容じゃねぇよ」
歩鳥「いや、ごめん…やっぱりそういう話になると名探偵の血が疼くというか…」エヘヘ
紺「いつから名探偵になったんだお前は」
ジャン「さっきまで真剣な顔つきだったのにいつものアホ面に戻ったぞ…」
アルミン「それがホトリの良いところだよね」
歩鳥「バカにされてんのか誉められてんのか…」
アルミン「割と真面目に誉めてるよ」
エレン「ホトリは名探偵つーか泥棒だよな。レイスの屋敷に勝手に侵入して変な薬盗むし…」
歩鳥「ち、違いますわよ!?名探偵として怪しい物を回収しただけでございますわよ!?」
紺「あからさまに怪しい反応すんなや」ペシッ
ユミル「…ん?薬?何の事だ?」
エレン「なんか『ヨロイ』だか『サイキョウノキョジン』だか書かれた薬だっけ?」
歩鳥「そうそう!これね!」ガサッ
ユミル「……お前…こんなもんレイス屋敷から持ち出してたのか……」
歩鳥「私の推理ならこれは巨人の力を与える薬だと…」
ユミル「その通りだ」
紺「おー!」
歩鳥「…あっぶねぇ?…試しに飲もうかとも思ってたけど飲まなくて良かった」
エレン「変な物は口に入れるなと親に教わらなかったか?」
267:以下、
静「どういう風に使うもんなの?それ」
ユミル「人間を無知性巨人にする薬………要は人間を人工生命体に変えちまう薬だ。シズカがレイス屋敷から勝手持ち出した本に人工生命体の事が書いてあったろ?それと『ある物』を更に研究し作られた薬だ」
ユミル「…で、既に巨人の力を持つ人間に投与させても、薬に含まれた巨人の特性を得る事が出来るんだ」
静「へえ?、なるほど」
紺(歩鳥と二人揃って泥棒探偵か…)
静「じゃあ…外にいる無知性巨人はこの注射でなった奴?」
ユミル「いや、外にいる無知性はまた別だ」
静「え????あ、外にいる無知性はさっきいた『ある物』ってのに関係あるの?」
ユミル「うん」
アルミン「…そもそも、外にいる無知性巨人とライナー達、知性を持つ巨人は仲間なの?」
ユミル「仲間じゃない。まあ…これから順を追って話すよ」
歩鳥「メモもばっちり用意したし、いつでも聞く準備は出来てるよ!」
ユミル「…じゃあ、始めるぞ…」
268:以下、
ユミル「…そうだ、シズカ…もうお前らの事も今のうちに話しておけよ…これからどうなるかわからないんだ」
静「そうだね?…」
アルミン「え?」
―――――――――
ジーク「この世界はずっと同じような歴史を繰り返し続けて来た………人類が繁栄し、ついには世界をも破壊し人類同士で殺し合い…最後は『巨人』が出現し…滅び、また生まれる…何度も同じように廻り続けている」
真田「…え?ど、どういうこと…?」
ジーク「人類を管理するシステムがこの世界には存在するんだ………まあ俺も実物は見たことないが、壁の中のどっかの地下にあるだか何だか聞いたことあるけどね」
ジーク「そいつは人類がダメだと判断したら人間を巨人にするウイルスのようなものを撒き散らしちゃうんだ。そして、そのシステムの脳はどっかの地下にあるが…『体』となるのが座標だ」
ジーク「座標とは全ての巨人を操り、人類の脳にも影響を与える力」
ジーク「外にいる無知性巨人は…そのシステムにより巨人に変えられた人間達さ」
真田「………」
ジーク「頭がごっちゃになってきたって顔だね。その人間を巨人に変えちまう『ある物』とフェアリーからヒントに研究されたのが俺、戦争用のフェアリー…タイタン、巨人の力を持つ者」
ジーク「そこから更に応用で作られたのが人間に巨人の力を与える薬。ライナー達がそれだ」
ジーク「人工生命体なんてろくでもねぇもん作って…更にはフェアリー等の人工生命体や人類の中にも様々な派閥が生まれそれらが殺しあった…そして、そのシステムが発動し人間達は巨人に変えられ巨人により人類は滅んで行った…そして、生き残った派閥は二つに分かれた。それが俺達と壁内人類だよ」
真田「…」
269:以下、
ジーク「…で…その壁内人類は世界を破滅に至らしめた罪人として壁に閉じ込められ…105年の猶予を与えられる」
真田「…猶予?」
―――――
ユミル「…つまり、その105年の間だけ最後の平和を満喫させてやるって事だ。まあ、その平和を維持させるために憲兵が汚い仕事するって矛盾が起きてるみたいだがな。その105年が過ぎたら…巨人化のウイルスが撒き散らされ全ての壁内人類は巨人になる」
アルミン「え!?」
エレン「はあ!?」
ジャン「なんじゃそら…」
紺「なあ…確か、105年って今年だよな??」
サシャ「そ…そうです…」
コニー「もうすぐじゃねぇか!」
歩鳥「急にそげなこと言われても…」
静「…じゃあ…レイス家とは?」
エレン「そうだ…レイスって何なんだ?」
ヒストリア「…」
ユミル「ちょっと説明が難しいが……例えば「人類の始まりから終わり」までを1つの『人類の歴史』として…その人類の歴史一回につき1つの血筋が人類を管理するシステムにより選ばれる」
ヒストリア「選ばれる?」
ユミル「無知性巨人は一定の期間が経ちゃ自然と消滅する…だが、何人かは元の人間に戻される。そしてそこからまた新しい人類の歴史が始まる」
ユミル「そして、その際に…その中から座標を持つ人間が選ばれる」
ユミル「そして長い歴史の中で子孫に受け継がれていき……」
ユミル「その受け継がれてきた力の持ち主が…今のこの世界のレイス家だ」
アルミン「つまり、そのシステムは…人類を管理する為の血筋を1人選び…その力を継ぐ人間を通して人類を監視し、ダメだと判断すれば滅ぼし、少しだけ残してまた長い歴史をかけ人類を繁栄させる…それを何度も繰り返して来たと?」
ユミル「その通り」
歩鳥「なんか頭ごちゃごちゃしてきた…」
ユミル「で…人工生命体フェアリー…知性を持つ巨人は、今この私達が生きている人類の歴史の中で生まれた存在だ」
270:以下、
―――ある日…三体の「巨人化の力を有する人工生命体」が誕生した。
三体は、それぞれ「ジーク」「グリシャ」「ユミル」と名付けられた。
………気付けば、俺達は毎日巨人の力と戦闘の訓練ばかりやらされていた。
そして、敵国との戦いに駆り出され、たくさんの人間を葬り多くの戦闘機や戦車を破壊した。
毎日毎日毎日毎日毎日…戦いばかりの日々だった。俺達にはそれ以外は何もなかった。
そもそも、その為に生まれたのだから…
ジーク「そして、俺はある日…戦場で1人の女に出会ったんだ」
271:以下、
ジーク「俺がその日任されていた任務は…自国の不穏分子共の抹殺だったんだ」
真田「…」
辰野「…」
ジーク「ま、俺はそんときは戦いしか知らなかったし、他人の事を考えるなんてしたことがなかった。だから相手が力の無い一般人だろうと殺したさ、躊躇なくな」
真田「…」
ジーク「そして、目標を全て葬り終えた時…女は現れた」
ジーク「その女は、不穏分子とされていたターゲットの娘だったらしく…父親の姿を見つけ、激しく泣いていた」
ジーク「俺は…何で泣いているのかわからないから近づいて観察した」
――――――
女「う…うう……ぐす、な、なんで…なんで…!」
女「なんでこんな酷い事が出来るの!?」
ジーク「…?任務だからやった…それだけだ………任務はちゃんと終わらせた。酷い事なんかない」
女「人の命を何だと思っているの!?」
ジーク「…死んだら何か問題があるのか?」
女「当たり前でしょ!彼等だって死にたくなかった!みんな…生きてたのよ!しかも…ただ国にとって不都合だからって理由だけで殺されて…何て理不尽なの…!!」
ジーク「…」
女「あなたには生きてるって事が何なのかわからないの!?」
ジーク「…考えたこともない」
ジーク「俺は…ただ、戦いの為だけに作られた」
女「…!?」
ジーク「お前は目標ではない。さっさと去れ」
女「………」
その女は何かを考え込んでいる様子だったね…
女「…あなた、もしかして…最近生まれたっていう戦争用の人工生命体?」
ジーク「…ああ」
女「…」
女「駄目、あなた…私といなさい」
ジーク「は?」
女「…私はあなたを許せないわ…でも、あなたみたいな可哀想な人を生み出した者も許せない」
女「そんな、人をころす道具になっちゃいけない…戻ったら駄目。また犠牲が出るし、あなた自身にとっても害でしかない」
ジーク「…?」
俺の力なら簡単に女の制止する手を振りほどき逃げることも簡単だった。
しかし…今までに出会った事の無い雰囲気の人間に、俺は興味を持ったんだ
272:以下、
ジーク「…何を作っているんだ?」
女「お墓」
ジーク「…なんだそれは」
女「ここに死んだ人が眠ってるの…そしてその人はこの世に確かに生きていたという証でもある」
ジーク「そんなものを作って何の意味があるんだ」
女「…はあ…」
女「いいから、あなたも手伝いなさい。あなたがやったんだから責任持ってやりなさい」
ジーク「…」
俺には何がなんだか訳がわからなかったね。だが…何故か逆らえなかった
女「…あなたには私が『人間らしさ』を教えてあげるわ」
ジーク「…人間らしさ?人間はころし合って憎みあい妬み合ってるイメージしかない」
女「…まあ…悲しいけど、確かにそれも人間だからやる事だよね」
女「でも、私が言ってるのはさ…そういうのじゃないの。人間にだって綺麗な部分もあるんだよ」
――――――
ジーク「それから俺はその女と暮らし始めた……最初は単なる変わった物への興味だったよ」
真田「…」
ジーク「だが…一緒に生活する内に…俺は今までになかった様々な感情を持てるようになったんだ」
ジーク「心地よかった…研究室や戦場ではなかった感じだったよ」
ジーク「その女はべちこ焼きが好物でな…俺もよく食っていたよ。美味かったなぁ……俺はその時、人間を好きになりかけていたんだ」
ジーク「そして、俺は…たぶん、途中からその女を愛していた」
真田「…でも…その、研究者達が…黙って無いんじゃ…」
ジーク「その通りだよ、サナダくん」
ジーク「突然、悲劇は起きた…俺は、結局…血に塗れた運命からは逃れられなかったんだ」
273:以下、
…俺と女はある日、研究員や軍人どもに見つかった…そして、俺は、『女は無関係』『俺が脅して一緒に居させた』と嘘を吐いた…女を守りたかったからだ
ジーク「そして、俺は女が手を出されないよう黙ってついていったよ………」
ジーク「だが、2日後…」
―――――
研究員「ジーク…本当にあの女は何でもなかったのか?敵国のスパイとかでもないのか?」
ジーク「だから何もないと言っているだろう」
研究員「そうか…じゃあ本当に何もなかったのか?拷問しても最期まで吐かなかったからな」
ジーク「…!!!」
ジーク「貴様……今、なんと言った………」ガシャ!
研究員「ひ!?」
ジーク「拷問だと!?『最期まで』だと!?」
――――――
ジーク「その後、俺は研究員や軍人を殺しながら女を探した…そして、見つけたんだ……が…」
ジーク「……もう…死んでいた」
ジーク「しかも…その遺体は……酷い有り様だったよ」
辰野「…っ!!」
真田「………何を…されてたのか、想像もしたくないな………」
ジーク「俺は…悪魔と呼ばれても殺されても仕方ない存在だ…だが、何故…彼女が殺されなければならなかった…」」
ジーク「俺はその日から再び感情を捨てた…そして、人間共への憎しみで頭がいっぱいになったよ」
ジーク「それから俺は他の人工生命体を集めていった…人間を滅ぼす為にな」
274:以下、
―――――――
ヒストリア「…ユミルが…巨人化の力を持つ人工生命体!?」
ユミル「いや、名前はユミルだが私の事ではない。まあ、その辺りも詳しく話す」
ある日、生まれた三体の人工生命体…タイタン
その中の1人、『ユミル』
『ユミル』は生まれつきから戦いを好まない性格であった。
研究員「全く…駄目だな、あれは…役に立たん…」
ユミル「…ぐすっ…」
グリシャ「大丈夫だ、ユミル…泣くなよ」ポンッ
ユミル「…うん」
グリシャ「なあ…俺さ、考えてる事があるんだけど…」
ユミル「なに?」
グリシャ「この研究室から逃げ出さないか?」
ユミル「…え?」
277:以下、
『グリシャ』
彼は三体の「タイタン」の中でも最も正義感の強い男であり普段は温厚な性格だった。しかし、獣の様な狂暴性をみせる事もあったという。それは兵器として生まれた故の本能だろう
そして、彼の正義感の強い面にはある科学者が関係していた。その科学者は後に、『レイス初代王』と呼ばれる者である。
科学者時代のレイスは、元々別の分野の学者であった…
彼は先祖から『座標』を受け継いでおり、その繰り返される歴史を止めるため、人類をよくしようと様々な研究を続けていた。
そして、レイスは戦争用の人工生命体である『グリシャ』に接触。
表向きには「研究の為」としていたが、その真意は「兵器として作られた人工生命体に人間らしい優しさを与える」事であった。
そして、それは成功し…強い正義感を持つグリシャは戦争を嫌い、ユミルを連れ研究室を脱走した。
そして、その後二人はレイスの元へ行くことになる…
しかし、一見まともな科学者に見えるレイスは…ある狂気的な面も持ち合わせていたのだ。
278:以下、
レイス「…グリシャ、ユミル…これが『ホワイトリドル』と呼ばれるものだ」
グリシャ「…白い球体に顔と四本足…」
ユミル「なんですか?それは」
レイス「これが、この前君たちに教えた『人類管理システム』…人類が駄目な生き物だと判断すれば『巨人化』のウイルスを撒き散らす」
レイス「ずっと奴等に脅され奪われていたが…君たちの脱走を手伝うついでに奪い返した」
グリシャ「そんなものがこの世にあったなんて…っ」
レイス「そして、こいつは他にも様々な機能がついているみたいなんだ…タイムマシン機能や通信機能…しかし、私にも未知の技術が使ってあるから迂闊には手を出せない」
ユミル「…なんか、怖い…」
レイス「ふふ、君たちは人工生命体だから大丈夫だよ」
レイス「人工生命体は、人間のように醜い欲望が無い…素晴らしい、完璧な生命体だよ…」
ユミル「…?」
グリシャ(この人…何を言ってるんだ?)
レイス「そして私は…ホワイトリドルを元にこんなものを作り上げた」
レイス「ブラックリドル……人間や霊体の心と通信を行ったり、その記憶を読み取る事ができるものだ」
280:以下、
レイス「…一番最初に生まれた、人間と同等な知能を持つフェアリーの話を知っているか?」
ユミル「話くらいなら…」
グリシャ「確か、一度その情報は全て抹消されたはずだけど、また見つかって…研究され、体も丈夫な出来になり…そして、俺達が生まれた」
レイス「そうだ…私は、その可哀想なフェアリーの少女と…話をしてみたいと思っていたのだ」
レイス「そしてこれを作り上げ…つい先日、成功した」
ユミル「…え?」
レイス「フェアリー研究施設にはその少女の髪の毛が残されていた…そして、それをブラックリドルの一部として組み込んで、研究を繰り返し…つい先日、ついに…彼女との交信に成功した」
グリシャ「ど…どういう事…?」
レイス「はっきりとした声は聞こえなかったが…微かにこう聞こえた」
『タスケテ』『カイホウシテ』
レイス「恐らくこれは…自分の苦しみから解放させて欲しい…と、私に訴えかけているのだ。愚かな人間達から助けて欲しいと」
ユミル「………」
ユミル(本当に…そうなのかな…?)
281:以下、
その夜、ユミルはこっそりと『ブラックリドル』の元へ行く。
そして…ユミルはブラックリドルに話し掛けた
ユミル「ねえ…聞こえる…?あなたは誰?」
………
???「あなた…私…と…同じ、匂い…が…する」
ユミル「!!」
その時、ユミルの脳内に少女の声で返答が返って来た。少し聞き取りづらかったが…
???「あなた…には…声が届き…やすい、みたい」
ユミル「…同じ人工生命体だからかな?」
???「私は…解放、されたい……」
ユミル「え?なに?何から解放されたいの?」
???「…私は…このリドルに…接触され…再びこの世に…生きて返れると…思った……そして…次こそは……普通の人間として……生まれたいと…」
ユミル「え?どういう事?」
???「でも…願いは叶わなかった……私は……………」
ユミル「…え?」
ユミル「…!!?」
その時、ユミルは衝撃の事実を聞かされる…それは、ジークもレイスもグリシャも知らない…
ユミルだけが知った真実である。
ユミル「……それは…本当なの!?」
???「…ごめんなさい……でも…私は……」
ユミル「……あなたの名前は何て言うの?」
………キリエ………
――――――
歩鳥「その…ユミルだけが知った真実って何なの!?」
ユミル「…今までの『人類の歴史』は始まりと終わりを繰り返していたが、それはそれぞれ違う世界だ…だが、私達のいるこの『人類の歴史』から狂ったんだ」
ユミル「私達のいる今のこの『人類の歴史』になってからは…時間そのものが何度もループしているんだよ。つまり、本当に同じ歴史が何度も繰り返しされているんだ」
282:以下、
紺「え、どゆこと?」
ユミル「図で説明しよう」
人類の歴史?始まり←―――――――――→終わり

人類の歴史?始まり←―――――――――→終わり

人類の歴史?始まり←―――――――――→終わり


ユミル「…と、いう感じだったのが……私達がいる歴史を仮に?として」
人類の歴史?始まり←―――――――――→終わり

人類の歴史?始まり←―――――――――→終わり

人類の歴史?始まり←―――――――――→終わり


ユミル「…という感じになっちまったんだ」
紺「あー…何となく理解できた」
歩鳥「そ…それはなぜ!?」
エレン「…」
ユミル「…科学者レイスは…異様にフェアリー等の人工生命体に入れ込んでいた…そして、そのフェアリーの少女の意思をリドルに取り入れる事で神として崇め…その少女こそが人間を裁くにふさわしいと判断したんだ」
ヒストリア「なにそれ…」
ジャン「勝手な話だな、おい」
ユミル「そうだ…その勝手な考えと行動のせいで……時間のループが生まれた」
283:以下、
―――――――
キリエ「私は…ブラックリドルを通じて喋る事が出来るけど……魂は既に、ホワイトリドルに取り込まれている…あの科学者がやったの…」
ユミル「え!?」
キリエ「そして…」
キリエ「私は、フェアリーの軍団と人間の軍団の殺しあいを見た…そして最後は巨人が出現し…巨人になった人間は悪夢を見続け…最後は全ての人間が滅ぶ………」
キリエ「そんな結末は嫌だった…何より…私は……普通の人間として生まれたかった……そして、私はホワイトリドルに捕らわれ何も出来ない。だから………リドルの力を使い、時間を巻き戻していた…何度も、何度も…」
キリエ「…でも…結果は変わらなかった…」
ユミル「…!!」
ユミル「待ってて、私が…レイスさんを説得してみる!」
………そして後日説得しようとしたが……
レイス「でたらめを言うんじゃない!彼女は死んでもなお苦しみ続けているんだ!リドルで彼女の思い通りにさせれば、彼女の心は解放されるはずなんだ!!」
…何を言っても通じなかった。そして、ユミルは…
ホワイトリドルを盗むことは失敗したが…ブラックリドルを持ち出し、グリシャと共にレイスの研究室から逃げ出した。
284:以下、
その後………
それぞれの『タイタン』達の動き
『ジーク』
人類を滅ぼすため、人工生命体を集めた彼は様々な国へ攻撃し、多数の犠牲者を出し…世界を恐怖に陥れる
『グリシャ』
強い正義感を持つ彼は、一部の人間や人工生命体と協力し「ジーク一派」や人類の中の「フェアリー撲滅派」と戦う。多くの人間から差別を受けながらも信頼してくれる人間とともに戦い続ける。ある日を境に行方不明になるが詳細は不明である。
『ユミル』
差別を受ける人工生命体や、人間とフェアリーのハーフ等を集め、1つの村を作り上げる。そこに住む者は「ユミルの民」と呼ばれる事になる。
そして、非暴力による反戦、人類とフェアリーを和解させるため行動するが一部の人間達から迫害を受ける。
285:以下、
世界中で憎しみや争いが加していき…
…更に、『人間に巨人の力を与える薬』が生まれ…世界はますます滅亡の一途を辿る………
…そして…ホワイトリドルの機能が発動し、人間達が巨人に変えられ…その巨人に多くの人類が殺されて行った…
レイス「………」
レイス「…私は…愚かだった…」
そして、レイスは人間の中でも特に罪の重い者を巨人にし壁を作り…その中で人類に最後の平穏を与える。
しかし…
その壁の中で人間が暮らすには数が多すぎた…そして、一部の人間達は壁から追い出されたのである。
ジーク「…ふん…こんな状況になっても、まだ、醜い事を繰り返すか……」
ジーク「…君達…壁から追い出された人間だろ?」
ジーク「俺と一緒に…戦わないかい?」
286:以下、
ジーク「…俺は…色々調べてる内に知ったんだ…この世界の仕組み。人類は昔から殺しあい…滅び、始まりと終わりを繰りし続けてきた。急に現れた無知性巨人もその仕組みによるものだ」
ジーク「…悪夢のようだろう?殺しあい、憎みあい、妬みあい…最後は世界をも破壊し滅び巨人になり…全てが終わる…そして、また始まる」
ジーク「そして、その元凶は壁の中にあるみたいだ」
ジーク「立て、今日から君達は…戦士だ」
ジーク「繰り返される…呪われた人類の歴史を、俺達の手で止めるんだ」
―――――――
辰野「…」
ジーク「…」
真田「…」
真田「あの…まだ、人間を…恨んでるんですか?」
ジーク「いや…もう、恨みもないね…時間経ちすぎたし…」
ジーク「今は…ぶっちゃけ、疲れたという気持ちが強いかなぁ…」
辰野「疲れた…」
ジーク「うん。自分も…人間を裁けるような存在ではないしねぇ…」
ジーク「…でも…また同じ歴史を繰り返すのは、嫌だなぁ………」
ジーク「だから、ここらで座標を奪い、この世から消して…座標が移ってしまう可能性のある壁内人類も滅ぼす。そうすりゃ…呪われた歴史も止まる…はずだ」
ジーク「人間も俺達人工生命体も…この世にいちゃいけない存在なんだ」
真田「………」
287:以下、
―――――――
ユミル「…そして…私の事だが……」
生き残ったユミルの民はこの壁の中にいた…
しかし、その民族は60年以上前に迫害を受け始めた。
人工生命体…フェアリーの存在は壁内の平穏を脅かすとされた為である。
そして………ユミルの民は「世界に戦争を起こした張本人」と嘘の情報を流され、壁内人類から恨みを買う。
ユミル「…私は…幼い頃からそのユミルの民と仲良くしてた。だから何で皆…あんなに恨みをぶつけるのかわからなかった」
…そして、ある日…ついにユミルの民は壁外追放を食らう…
憲兵に抗議した私も反逆者として一緒に放り出された…
ユミルも戦ったが…巨人のあまりの数に疲弊し…力もなくなり…他のユミルの民もどんどん死んでいき……死にそうになれば延命に無知性巨人になる薬を打つものもいた…
そして
残ったのは私とユミルだけになった
288:以下、
私は巨人に襲われ…死ぬ寸前だった……そして……
ユミル「…ごめんなさい……巻き込んでしまって……」
ユミル「…これが今、私にできる償い…」
「…え?」
ユミル「貴女に巨人の薬を打つ…そして私を食べて、知性を持つ巨人に……」
「な、なんのこと?」
ユミル「私は…もう…力を使いすぎて…長くない、から…あなたに、私の命あげる……」
「え!?」
ユミル「生き延びて………」
――――――
ユミル「…そして、私は…知性巨人になったが、力をちゃんと制御できず…暴走し、無知性になっちまった。その後、60年ほど経ち…人間に戻れた」
ユミル「私はユミルの記憶を受け継いだ……だから、ユミルと名乗っている」
289:以下、
エレン「…」
アルミン「…」
ミカサ「…」
静「…」
紺「…」
ヒストリア「…」
ユミル「…以上だ」
歩鳥「ねえ…」
ユミル「なんだ?」
歩鳥「じゃあ…私達がここに連れてこられたのは…どういう事?」
ユミル「…」
ユミル「お前達なら歴史を変えられる…そう思ったのかも知れん」
ユミル「たまにいるらしいからな…歴史を変えてしまう程の…常人とは違うような奴が…」
歩鳥「…」
ヒストリア「…なんか…どうして、そんなことなっちゃったんだろうね…」
静「ふう…っ」
エレン「……父さんは…途中から行方不明…一体、何が…」
ユミル「…それは、お前の中のグリシャの記憶が蘇れば…わかるだろうな」
エレン「…ユミル」
ユミル「ん?」
エレン「巨人の力の使い方を…教えてくれ」
290:以下、
紺「はあ…ちょっと頭クラクラする…」
コニー「俺もだ…」
静「あんなごちゃごちゃした話聞かされちゃね?……」
ジャン「でも…俺達はそれで、どうすりゃいいんだよ」
アルミン「……」
歩鳥「………」
歩鳥(リドルに魂を捕らわれた女の子…助けてあげたい…きっと、その子に私達が呼ばれたんだもの…)
歩鳥(…何で私達が選ばれたんだろう……歴史を変えられる人間……)
歩鳥(静ねーちゃん?勘鋭いし…いや、でも…それだけならアルミンもすごく頭いいし勘鋭いし…)
歩鳥(…うーん…)
291:以下、
歴史を変えてしまう程の常人とは違う奴
歩鳥(…歴史を変えてしまう程の……常人とは、違う………)
常人とは違う
歩鳥(常人には理解できない?不可解な人?)
歩鳥(変わった言動をとる人………)
歩鳥「…!!」ピクッ
その時、歩鳥は…
1つの恐ろしい結論に至ってしまった。
歩鳥(ま、ま、まさ…か…)ガタガタ
常人とは違う=他人と違う言動を放つ人
=…
変わった人
=…
変な人
=…
アホ
292:以下、
常人とは違う人=他人と違う言動を放つ人=変わった人=変な人=アホ=…
嵐山歩鳥
変わった言動をとる人=アホ=歩鳥
歩鳥「…」
歩鳥「………」
歩鳥「い…いや……まさか、ねぇ?ははは……」ダラダラ
295:以下、
歩鳥「うーん…う?ん…」
ジャン「何を唸ってんだ。腹でも減ったのか?」
歩鳥「ちゃうよ。ライナー達との戦いを止めて和解する方法を模索してるんだけど…なかなかいいアイディアが浮かばなくて」
アルミン「まあ、和解なんて簡単な事じゃないからね」
歩鳥「そうなのだぜ」
歩鳥「…こうなったら…エルヴィン・スミスとかいうオッサンを拉致して…私が調査兵団団長に成り代わるか」
エレン「何バカな事を言ってんだお前は!?」
ジャン「そんなことしてタダで済むと思うなよ」
紺「お前は本っ当にアホ鳥だな」
歩鳥「ジョークだよ!?そげに一斉に怒らいでも!」
紺「ツッコミだよ。ありがたく思え」
ミカサ「まあ…ホトリが言うと本気かジョークかわからないし」
歩鳥「私ゃ、どんだけ変な奴だと思われてんだ!?」
紺「ははは」
歩鳥「助けてよ、ヒーちゃん!みんなが私をいじめるよ!」
ヒストリア「あはは…まあ…歩鳥なら仕方ないよね」ポンポン
歩鳥「この子まで言うようになった!!誰の影響だ!?ユミルか!?」
ユミル「お前の影響もあると思うぞホトリ」
296:以下、
―――
ジュウウウ…
サシャ「どうですか?」
ミカサ「うーん…いまいち…」モグ
静「ん?なんかいい匂いがするな???。ミカサちゃん、何作ってんの???」
ミカサ「あ…えっと、べちこ焼き」
静「…!」ピクッ
静「べちこ焼きだって!?」
――――――
巨大樹の森
ジーク「…で、もう少し詳しい話をするが……外をうろついてる無知性巨人の本当の役割を知ってるかい」
真田「え?人を…食べることじゃ?」
ジーク「それが違うんだな…人を食べ減らすだけじゃない」
ジーク「人を食い…そして食われた人は大地に吸収され…それが自然を育み植物等を再生させる」
ジーク「人間により破壊された自然を再生させるのが…巨人の真の役割なのさ」
297:以下、
――――――
ミカサ「…お母さんから聞いた話では……昔、種族間の憎み合いや殺し合い…そして、戦争が起きていた。でも、そんな中でも1つだけ…全ての種族に愛されたものがあった」
ミカサ「それが…べちこ焼き」
静「………」
静(この話とユミルの話を総合して考えれば…べちこ焼きは人間と人工生命体両方に愛されたお菓子)
静(何故、そんなお菓子が存在ごと消えてしまったのか…)
静(恐らく…相手への憎しみの強い人間が、戦争の邪魔になるとして『べちこ焼き』を世界から無くした……しかし、製造方法は生き残った東洋人に受け継がれてきた…という事か?)
静「…歩鳥にも教えとこう。あの子のヒントになるかも知れない」
298:以下、
―――――――
ジーク「…俺達の済む壁外の小さな村…ライナー達の故郷。そこにいる人間は皆、壁の中から追い出されたものたちだ…」
ジーク「壁の外で巨人に追われ、家族や友人や恋人を目の前で喰われたりしながら必死に逃げ延びて来た奴等だ………だから、彼等の多くは壁内人類を憎んでいる」
辰野「…」
真田「…」
ジーク「そして、俺達戦士の目的は…壁の中にいる人類を巨人に食わせ、人類に破壊された自然を再生させ…座標を奪い巨人の歴史の連鎖を止めることだ」
ライナー「…」
ベルトルト「…」
アニ「…」
ジーク「だが…時間が経ちすぎてしまったのか…人類への憎しみも薄れてきて……あの優しかった女を度々思い出すんだ」
ジーク「そして、自分のしている事は本当に正しいのかと自問自答するようになった………だが。ここまでやっといて後戻りなど、無責任だし許されないだろう」
ジーク「だから俺は…最後までやるよ。そして…タッツンとサナダくんに見届けて欲しいんだ」
299:以下、
――――――
ザッザッ
ケニー「よお、ホトリ」
歩鳥「あ、ケニーのおっちゃん」
ケニー「お前…もし巨人が攻めてきた時、何かやらかす気らしいな」
歩鳥「やらかすって、何か私がアホなことするみたいな言い方だな?」
ケニー「面白そうだったら俺も参加させてくれよ」ギシッ
歩鳥「面白そうって私は真面目なんだからね」
歩鳥「あ、てかさー。色々あって聞き忘れてたんだけど…」
歩鳥「地下のゴタゴタで何となく察したけど、おっちゃん、エレンの持ってる力奪おうとしたんでしょ?なんで?」
ケニー「この世界をひっくり返す為……だが、それは無理な願いだった。ユミルから聞いた話から察するに、力を使うにゃ最初に座標として選ばれた人間と同じ血を持ってなきゃ駄目みたいだな…」
歩鳥「まあ…でも、力を使えたら使えたで、先祖の記憶に支配されるときがあるらしいし…良かったんじゃないかな」
ケニー「そうだな…結果的にはな」
ケニー「…ウーリはきっと…その先祖の亡霊とも戦いながら生きてたんだろうな」
歩鳥「ウーリ?」
ケニー「レイス家の人間であり、俺の友人だった男だ…」
歩鳥「へー…あ、だからレイス家にも信頼されてたんだね!?」
ケニー「まあ、それもあるだろうな」
ケニー「…たぶん俺は、一番は…力を手に入れることで…ウーリと同じ景色を見たかったんだろうな」
歩鳥「…」
ケニー「…ま、どうせ俺みてぇな人間はすぐに死ぬ運命さ…もうすぐあの世で会えるかもな、ウーリと」
歩鳥「ちょっと、不吉な事言わないの」
ケニー「…実際俺は死んでも仕方ないクズだぜ?」
ケニー「ヒストリアの母親を殺したのも…俺だ」
歩鳥「…え!?」
300:以下、
ケニー「まあ…ヒストリアは俺の顔覚えてないみたいだが…教えりゃ思い出すだろうがな」
歩鳥「ちょっ…サラッととんでもない事を!!どういうこった!?」バンッ
ケニー「…俺だって正直、ガキの前で親殺すなんざ気分悪い事だよ…」
歩鳥「じゃあ…なんで…」
ケニー「命令だったからだ」
歩鳥「命令だったからって…」
ケニー「それだけじゃねえ…俺は昔から何人も殺してきたよ」
歩鳥「…それは…何となく察してたけども…」
歩鳥「でも…どんな理由があっても、命を奪うのは罪だし悪いことだと思う。ヒストリアに謝るべきだよ」
ケニー「簡単に言うけどよ…そりゃつまりヒストリアにまた、母親が殺された光景を思い出させることでもあるんだぞ」
歩鳥「あ…そっか…」
ケニー「…俺は……あの時……」
歩鳥「え?」
…あの時…ヒストリアの母親が吐こうとした言葉…
アレを最後までヒストリアに聞かせたくなかった………
歩鳥「ん?なに?」
ケニー「…いや、やめとこう…言い訳じみて聞こえるからな」
歩鳥「?」
ケニー「…ホトリ…お前はアホだが、真っ当で優しい人間だな」
歩鳥「アホは余計だよ」
301:以下、
―――――
歩鳥「せーんぱーい!!」ガチャッ
紺「わ、なんだよ!もうすぐ寝ようと思ったのに元気な奴だな…」
歩鳥「紺ばんは(こんばんは)!!」シュバッ←めいど
紺「…」
歩鳥「…」
紺「さっさと部屋から出てけ」
歩鳥「わーん!追い出さないで、ごみんなさい!!」
紺「…で、何の用?」
歩鳥「実はですね、紺先輩に2つ頼みがありまして」
歩鳥「携帯電話の充電器持ってませんか!?」
紺「あー?ここは電気なんか通ってないだろ?」
歩鳥「いや、あの…あれです。コンビニとかにある電池式の。それなら使えるでしょ?」
紺「あー、それなら確かあるよ。この世界来てから使って無いから電池も残ってるし」ガサゴソ
紺「でも、携帯電話なんか何に使うんだよ?電波無いから意味ないだろ」
歩鳥「電波が無くても使える機能はあるじゃないですか」ムフフ
紺「で…もうひとつの頼みは何?」
歩鳥「先輩に歌を歌って欲しいんです!!」
302:以下、
紺「は??なんで?別にいいけども…」
歩鳥「私はね…歌には特別なパワーがあると思っているんです」
歩鳥「歌を聞けば人間はその歌に気をとられ、その瞬間は『戦い』を忘れるのです!!」
紺(………本当にそうなのだろうか………)
紺「まあ、歩鳥の持論はわかったけど…あれか、そのお前が考えてる戦いを止めさせる作戦とやらに使うのか」
歩鳥「そうですよ。さあ、先輩!ついに私の助手としての力を発揮するときが来ました!存分に歌ってくださいな!」
紺「まあ…歌うのは好きだから別に構わんけど。なぜ私が勝手に助手にされてるのかは納得出来ないが」
歩鳥「着実に計画は進んでいるぞ…ふふふ」カキカキ
紺「…」
紺「…歩鳥」
歩鳥「はい?」
紺「…あんま無理しすぎんなよ……頼むから…」
歩鳥「…」
紺「…お前に何かあったら……」
歩鳥「…」
歩鳥「大丈夫ですよ、先輩。前に言ったじゃないですか」
歩鳥「私はサザンクロスでも石灰袋でも降りませんって」
紺「!」
紺「お前…まだ覚えてたのかよ、それ…」
歩鳥「忘れるわけないじゃないですか?」
303:以下、
歩鳥「必ず元の世界に戻りましょうね!」
紺「…うん」
歩鳥「さーて、寝る前に外で頭をリフレッシュしよう」ンーッ
紺「…じゃ、おやすみ」
歩鳥「はい、おやすみなさい。また明日」ガチャッ
紺「…」
紺「…皆で…戻れるよね…」
305:以下、
歩鳥「…ん?っ、夜風が気持ちいいな??」
歩鳥「……はあ……っ」ボサッ
歩鳥「…真田…タッツン…どうしてるかな……」
ザッザッザッ…
ジャン「ホトリじゃねぇか、なにしてんだ?」
歩鳥「ジャン、いや…ちょっと寝る前に頭のリフレッシュをね」
ジャン「…ま、お前でも色々不安になるわな」
歩鳥「私でもって何だよその言い方…ジャンこそなにしてんの?」
ジャン「エレンとアルミンとミカサが、エレンの巨人化の訓練するって言ってたからちょっと手伝いにな…アルミンに誘われてよ」
歩鳥「あはは、単にミカサと一緒にいたかっただけでしょ?」ケラケラ
ジャン「な、何でミカサが出てくるんだテメエ!?」
歩鳥「え?好きなんでしょ?丸分かりだよ」
ジャン「ちっ…お前は変なとこだけ勘鋭いよな」
歩鳥「いや、これはモロに皆にバレバレだと思うけど」
ジャン「うるせえな…」
ジャン「それより、サナダとタッツンは…どこまで連れてかれたんだろうな」
歩鳥「うん……そういやあんた、真田と仲良かったよね」
ジャン「ああ。お前もあいつらとずっと仲良かったんだろ?」
歩鳥「うん。真田もタッツンも友達だよ」
ジャン「…お前…真田のこと友達としか見てねぇのか?」
歩鳥「はあ?真田は幼なじみで友達だよ」
ジャン「…もしもの話だが……サナダの奴がお前のこと好きなら、どう思う?」
歩鳥「!?」ブッ
歩鳥「な…っ、急に何言ってんのかね、この人は!?」
306:以下、
ジャン「…もしもの話だよ…どう思うんだ?」
歩鳥「いやいや、もしもも何も真田はタッツンの事が好きなんだよ?よく私とタッツンが居るとこに来るじゃん?そんでさ、タッツンは真田が好きなんだよ。つまり二人は両想いなわけ」
歩鳥「だから私ゃ、二人の邪魔をしないように…真田とタッツンが一緒に居るときは気を遣って離れて…」
ジャン「…お前は勘が鋭い奴だ」
歩鳥「えへへ、そんな誉めないでよ」
ジャン「だから本当は…気づいてんじゃねぇのか?」
歩鳥「は?」
ジャン「本当に両想いだと思ってるならそこまで気を遣う事も無いだろ。本当はタッツンが片想いで…サナダの本心に気づいてるからそこまで気を遣ってるんじゃねぇのか?」
歩鳥「………」
歩鳥「はあ…何で急にそんな話しようと思ったわけ?」
ジャン「…なんだろうな…なんつーか…」
ジャン「お前もサナダもタッツンも……もしあの巨人達がまた攻めてくりゃ…いや、確実に来るだろう。そうすりゃ、もう二度と同じような生活が出来なくなるかも知れない…最悪、二度と会えなくなる可能性だってあるんだぞ。こう言っちゃ悪いがな」
歩鳥「…」
ジャン「もしそうなったらよ……何にも伝えられずそんなことなったら…気分わるいじゃねぇか」
歩鳥「…あんたは友達想いだね」
307:以下、
――――――
歩鳥「さーてと…もう寝よ…」フアア
エレン「…お、ホトリ」
アルミン「まだ起きてたの?」
ミカサ「普段はすぐ寝てるのに」
歩鳥「あ、仲良し三人組。ちょっと色々考える事あってね?。巨人化の訓練は調子どう?」
アルミン「何とか巨人になりながら意識を保つ事は出来るようになってるみたいだよ」
エレン「ああ。この調子で巨人化を完璧にして…あいつらを」
ミカサ「…」
歩鳥「それなら、人類側の戦力も安心ってわけだね。で、やっぱ調査兵団に協力するの?」
エレン「いや、俺達はホトリに付くつもりだ」
歩鳥「え!マジで!?」
アルミン「僕の提案だよ…たぶん壁外側はエレンが調査兵団に協力してる可能性が高い事を考慮して攻めてくる」
アルミン「だからあえてホトリ側に付いて…向こうの裏をかくつもりだ」
歩鳥「なるほど、さすがアルミンだね!」
308:以下、
歩鳥「…でもさ、私に付くって言っても…私は戦いを止める気なんだよ?」
エレン「ああ、わかってるよ。本当に止めれるならそれでいいんじゃないか?」
歩鳥「へ?」
エレン「俺は確かにあの巨人達が憎いしぶっ潰したいけど…もし戦わずに終わればそのぶん、しぬ兵士も少なくなるんだ。俺だって人がしぬのは嫌だよ」
歩鳥「そっか、…そうだよね」
アルミン「それにホトリ1人じゃ心配だしね。問答無用で襲われたときの為にもエレンが居れば安心でしょ?」
歩鳥「なるほど、ボディーガードって訳だね」
ミカサ「私も」
歩鳥「そだね、エレンとミカサがボディーガードに居れば怖くないな!」
エレン「ははは」
ミカサ「ふふ」
歩鳥「…エレン…あの…」
エレン「ん?」
歩鳥「ライナーやベルトルトやアニ……もし、私が止められなくて戦うことになったら…やっぱり……」
エレン「…」
アルミン「…やっぱりホトリも辛いよね」
歩鳥「うん……や、ごめん。エレンが故郷を奪われたことは知ってるから…私は偉そうなこと言える立場じゃない。でも、その…」
ミカサ「…」
エレン「…ははっ…」
歩鳥「な、なんすか?その笑い」
エレン「これは俺とあいつらの問題だ。お前がそんな難しく考えるこたぁねぇよ」ポン
歩鳥「でも…」
エレン「それに、『もし戦いを止めれなかったら』なんてネガティブな発言お前らしくねぇよ。ホトリは馬鹿みたいにポジティブでいりゃいいんだ」
歩鳥「そっか…ありがと」
309:以下、
エレン「俺は基本、平和ボケしたような発言は嫌いなんだが…ホトリの発言なら何か許せるよ」
ミカサ「なんか色々と幼いからだと思う」
アルミン「はは、そうかもね」
歩鳥「ちょ…、子供扱いとは失礼な奴等め!」
エレン「俺は誉めたつもりだったんだけどな」
アルミン「でも…ホトリがいると何か雰囲気が明るくなるよね」
歩鳥「ん?そう?」
ミカサ「うん…話すの苦手な私も、ホトリ相手なら話しやすい」
エレン「だから、まあ…お前はあんまり重苦しく悩まず、やりたいことやってりゃいいんだ」
エレン「お前が明るくやってると…俺達もみんな気が楽なんだ」
ミカサ「うん」
アルミン「そうだね」
歩鳥「…ふふ、そう言われちゃ、全力で頑張らなきゃあかんね」
歩鳥「元気出たよ三人とも、ありがとう!!一緒に頑張るぞ!!」
エレン「おう!」
アルミン「皆で生きて…全部終わらせよう」
ミカサ「うん」
歩鳥「三人とも大好きだ!終わったら私の助手にしてやろう!!」
エレン・ミカサ・アルミン「いや、それは遠慮願う」
歩鳥「おいっ!!」ビシイッ
ハハハハハ…
310:以下、
―――――――
「…姉さん…なんで、あんな人間達をこの世界に呼んだんだ…」
「…もう…終わりにしたかったから…」
「なんでだ!俺は…俺はまだ諦めたくない、姉さんを幸せにしてあげたいんだ…!」
「もう、いいから…もう終わりにしよう」
「…俺は認めないからな、姉さん…」
「…」
「嵐山歩鳥……俺達のところまで来てみろ。俺を止めたけりゃな…」
「…アリオ…」
311:以下、
――――――
パチパチパチ…
真田「…」
辰野「…」
ライナー「…」
ベルトルト「…」
アニ「…」
真田「なあ…ライナー…ベルトルト」
ライナー「なんだ?」
真田「本当に…やるのかよ?壁の中には、ずっと一緒にいた仲間がいるんだぞ…」
辰野「やっぱり……そんなのを見るなんて…嫌だよ、私達は…」
アニ「…」
ベルトルト「でも…君たちに僕らを止めることは出来ないよ。それに、君たちと同じ世界の人間は助ける…この世界の人間ではないからね」
真田「そういう問題じゃないんだよ!」
辰野「そうよ。あなた達にも同情するし…しばらく一緒にいたから、三人も我慢してやる気なのはわかるよ」
辰野「でも…それでも……」
ライナー「………」
ライナー「本当に…すまん…」
真田「…すまんじゃないよ……」
アニ「でも、もう…このまま放っておけばいずれ、壁の中の人間は巨人になる…そして、壁の中にいる大型巨人も目覚め、壁が崩壊するんだ。巨人になりそこねた人間達も巨人に喰われる。どちらにしろ地獄絵図が待ってるんだよ」
辰野「…じゃあ…どうすることも出来ないっての?」
ベルトルト「…だから、一緒に居た友達として、僕らの手で…」
真田「…世界はどうしようも無い状況になってる。お前らが切羽つまるのも仕方ないと思う…でも」
真田「何て言えばいいのか…よく分かんないけど。みんな、何か…大事なものを見失ってんじゃないのか?」
312:以下、
ライナー「……俺だって…あいつらとの平和な毎日をずっと送れるなら……そうしたいさ」
ライナー「だが、もう…駄目なんだ。時間がない…地獄しか待ってない。もうどうしようも無いんだ」
ライナー「…」グイッ
真田「ライナー…」
真田「…泣くなよ…」
ベルトルト「……僕だって嫌だ………」
ベルトルト「…僕は、最低だ……少しホッとしてるんだ………自分の本音を吐ける相手が…サナダやタツノがいて…」グスッ
アニ「…ごめんなさい…本当に、ごめんなさい…」ボロボロ
真田「…」
辰野「…」
真田「タッツン……俺達は、どうしたらいいんだろうな…」
辰野「…この三人も、壁の中にいる皆も見捨てたくない…」
真田「…はあ…」
313:以下、
四足巨人「…ご飯を持って来ました」ザッザッ
辰野「!」
真田「あ、四足の喋る巨人…」
ライナー「!お前ら、泣くな…涙ふけ」
ベルトルト「うん…」
アニ「…」グイッ
四足巨人「…三人とも…泣いていましたね。大丈夫ですか?」
ライナー「あ、いや…っ」
四足巨人「いいんです。今は作戦中ではありませんから」
辰野「…そういえば、あなたもライナー達と同じように…元々壁の中の人だったの?」
四足巨人「いえ、私は壁ができる前から居ます…人工生命体フェアリーの一種です。戦闘向きではなく偵察用に作られた人工生命体です」
真田「え!?そうだったの!?」
四足巨人「ですから…もう100年以上、ジーク戦士長に遣えています」
314:以下、
真田「そうだったのか…だから喋れるのか」
ライナー「いや、それは関係あるのか知らんが」
四足巨人「…これからどうなるのかわかりません…とりあえず、同じ仲間として暮らしていたあなた達五人で…話ながらご飯でも食べてください。私は離れたところにいますからお気になさらないで喋って下さい」
辰野「あんたって意外と紳士よね」
四足巨人「ええ…モテないですけどね。タッツンさんにも最初怖がられましたし」
辰野「ちょっ、変な冗談言わないでよ。つーか、タッツンさんってなんじゃい」
アニ「ふふ…」
辰野「あ、笑った」
アニ「あ、ごめ…」
辰野「いや、謝らなくていいから」
四足巨人「では…私は失礼します」
真田「…まあ…ちょっと落ち着いて。飯でも食うか」
ライナー「そうだな…」
ベルトルト「うん」
315:以下、
――――――――
―――――翌朝
「サナダ…起きて、サナダ…」
真田「う…あ、あらし…やま…?」
「サナダ…」
真田「嵐山あああ!!」ガバッ
ベルトルト「うわあ!?」ビクッ
ライナー「おい、そいつはベルトルトだ」
真田「…はっ!?」
真田「すまん…寝ぼけてたみたいだ…」
ベルトルト「いや…別いいけど…ビックリした」
ライナー「タッツンはどうだ?」
辰野「お…きる、から…もうすぐ、おきる、から……」
アニ「…なかなか起きない」
真田「そういや、低血圧とか聞いたことあるな…タッツン」
辰野「…はあ……おはよ…」フラッ
アニ「おはよ」
ライナー「おう」
辰野「…今のこの世界とこの状況…夢じゃなかったか…夢なら覚めて欲しかった…」
ベルトルト「…うん、気持ち分かるよ」
ライナー「…でな…実は二人に報告がある」
真田「え?」
ライナー「ついに明日…壁に攻撃を開始するそうだ」
真田「え!?」
辰野「…やっぱり、止めないんだ……どうしても止められないの…?」
ライナー「…ああ…もう、無理だ」
316:以下、
――――――
そして…翌日
四足巨人「…申し訳ありませんが…私はあなた達二人の側にいるよう命じられました」
辰野「…真田くん…どうしよう…」
真田「…」
真田「このまま、ここにじっとしてるなんて……」
ザッ…ザッ ザッ
ジーク「さて…準備はいいかい?君たち」
ライナー「はい」
ベルトルト「いつでも行けます」
ジーク「アニちゃんも大丈夫?」
アニ「大丈夫です」
ジーク「…さあ…これで最後にしよう…」
317:以下、
―――
ウォール・ローゼ 壁上
ミケ「…エルヴィン」ピクッ
エルヴィン「どうした?」
ミケ「…巨人のにおいが多数接近してくる」
ハンジ「なんだって!?」
エルヴィン「…前にマリアが破られた時も、同じ感じだったと聞く…と、いうことは…」
リヴァイ「…ついに来るな」
エルヴィン「ああ。各員、急いで情報を伝達!迎え撃つ準備に入れ!!」
バシュウウウ…
318:以下、
―――――――
トラウテ「隊長!巨人がもうすぐ来る可能性が高いとの事です!」ザッ
ケニー「ご苦労さん……だとよ、もうすぐ来るみたいだぜ?」
歩鳥「ん…」ザッ
静「ついに来るか…大丈夫か?歩鳥」
歩鳥「大丈夫だよ、準備は万全。先輩も大丈夫ですか?」
紺「ああ。無茶すんなよ、歩鳥」
歩鳥「…で、私と来るメンバーは…」
ヒストリア「…私も行くよ、ホトリ」
ユミル「お前らだけじゃ心配だしな」
サシャ「私達だって行きますよ!」
コニー「あいつらとは同期だったんだ…もう一度話がしたい」
ジャン「俺も…同期として知らんぷりは出来ねぇな」
マルコ「僕もだ」
エレン「…ミカサ…アルミン…行けるな?」
ミカサ「ええ」
アルミン「大丈夫…心の準備も出来た」
歩鳥「はは、結局みんなで行くことになったね」
ケニー「いいじゃねぇか」
静「仲間は多い方が心強い」
319:以下、
静「さ…戦いが本格的に始まっちまう前に行こう」
紺「戦いを止めるのが目的だもんな」
歩鳥「うん!…あ、そうだアルミン」
アルミン「ん、なに?」
歩鳥「これ、アルミンに渡しておくよ」コトッ
アルミン「これは…」
歩鳥「『ヨロイ』と『サイキョウノキョジン』の薬」
アルミン「な、なんで僕に…」
歩鳥「私が持ってるよりアルミンの方が安心できるからね……判断力も優れた勘もある。信頼してるから一番いい判断をしてくれそうな君に託すんだ」
歩鳥「いざって時は……任せたよ」
アルミン「…わかった。任せてくれ」ギュッ
320:以下、
―――――――
ミケ「…来た…前方より、毛で覆われた巨人が接近!」
ハンジ「報告で聞いたタイプの巨人か」
リヴァイ「超大型や鎧も来るだろうな…」
ピクシス「いよいよじゃな…」
ハンネス(エレン、ミカサ、アルミン…あいつらのいる壁内を…めちゃくちゃにされてたまるか)
エルヴィン「行くぞ!!心臓を捧げよ!!!」
ついに攻めてきたジーク、ライナー、ベルトルト、アニの戦士達…
迎え撃つは、調査兵団と、駐屯兵団・憲兵団精鋭達の連合軍
人類の命運を左右する戦いが今…幕を開ける。
そして
この大きな戦いに…
嵐山歩鳥が乱入する
歩鳥「いくぞ、我ら嵐山探偵兵団!!!」
紺「なに勝手な名前つけてんだお前は!?」
322:以下、
ウォール・ローゼ トロスト区門
ゴオオオオオオ………
獣の巨人「…」
ハンジ「獣の巨人…ずっと離れた位置からこっちを見て動かないよ」
リヴァイ「なにしてんだありゃ…やる気ねぇのか?」
ミケ「他の無知性巨人も定の位置から動く気配は無いな」
リヴァイ「どうする?こっちもつったって待って気きか?」
エルヴィン「もう少し待て」
エルヴィン(こちらの様子をうかがっているのか?鎧の巨人や超大型巨人の姿も見えない)
エルヴィン「…巨人の人間体が隠れながら接近している可能性もある。警戒を続けろ」
「はっ!!」
獣の巨人「…」
ジーク(…見た感じエレンの姿は見えないな…どこかに隠れているのか?)
ジーク(まあいい…確認は済んだ。そろそろ動くか)
323:以下、
エルヴィン「まず、我々が何よりも阻止しなければならないのは壁扉の破壊だ…超大型巨人を接近させてはならない」
ミケ「!木の陰から人影が現れた!!」
ハンジ「!!」
ライナー「…」ダダッ
ガリッ
カアアアッ!!!
鎧の巨人「…」ズシイイイッ
エルヴィン「鎧の巨人!!」
リヴァイ「人間が巨人になるってのはマジだったみたいだな…迎え撃つか?」
エルヴィン「ああ…このまま奴に壁を登り飛び越えられでもしたらいけない…一匹たりとも侵入させるな!」
ハンジ「了解!!」
リヴァイ「行くぞ、お前ら」バッ
リヴァイ班「はい!!」
鎧の巨人「…」ズシンッズシンッズシンッ
ライナー(…俺の巨人の鎧の隙間にはベルトルトが隠れている。どうせ奴等の刃や砲弾は俺には通じない。攻撃を防ぎながら接近し扉の前でベルトルトが巨人化すれば…誰にも止められんだろう)
ヒュンッ…
ライナー「!」
カランッ…
エルヴィン「む?待て、総員動くな!何かが落ちてきた!!」
324:以下、
リヴァイ「なんだ…?」
エルヴィン「奴等の罠かも知れん…いったん下がれ!」
ハンジ「でも…巨人側も止まったみたいだよ」
エルヴィン「なに?」
ライナー(今…目の前に何か落ちてきた?なんだ?人類側の新兵器か?いったん止まって様子を…)
ジーク(ん??なんか落ちてきたなあ……)
?♪??♪??♪
エルヴィン「!?落ちてきたものから何か音楽のようなものがが聞こえるぞ!?」
325:以下、
七色の黄昏降りてきて
風はなんだか涼しげ
土曜日の夜はにぎやか
ハンジ「あの目の前に落ちてきたものから…歌が聞こえる!?」
リヴァイ「あれも…巨人の力だってのか?」
???「その通り…」ザッ
???「これこそが…『平和』という名の巨人の力…」
エルヴィン「人の声?」バッ
ハンジ「誰だ!?」
???「私は…この戦いを止めるため現れた…平和の探偵……」
リヴァイ「はあ?」
歩鳥「嵐山歩鳥!!!」
ライナー(鎧の巨人)「なんでお前がいるんだあ!?」
静「あいつ…なんか訳のわからない事抜かしてやがんな??。何をしでかす気やら」
アルミン「え?シズカさんもホトリの計画の詳細知らないんですか?」
静「うん?知らないよ??」
アルミン「え…シズカさんも何らか協力してると勝手に思ってた…」
ジャン「つまりホトリ一人で全て考えた作戦って訳か…なんか不安になってきた
マルコ「僕もだ…」
サシャ「え?もしかしてみんなホトリの作戦の内容知らなかったんですか?私も知らなかったですけど」
コニー「作戦内容知らないのについてきた奴等もついてきた奴等だな。俺も知らないけど」
紺「みんな歩鳥が移っちまったかな…」
エレン「つーか今、鎧の巨人の中からライナーの声聞こえたぞ」
326:以下、
街角はいつでも人生きれ
それでも陽気なこの町
サシャ「…てか、この歌の声、コンセンパイじゃないですか?」
紺「うん…そうだよ……私が歌った歌を歩鳥が携帯に録音した奴だ」
コニー「ケータイ?ロクオン?」
紺「つーか、あいつ…私に歌わせて…その歌を何に使うかと思いきや、自分の登場曲かよ!!」
ジーク(ありゃ、タッチャンの仲間じゃないか…危ないなあ、あんなとこまで来て…何しに来たんだ?)
ライナー(まあ、いい…気にせず突撃だ!!)
リヴァイ「来るか!?」ジャキッ
歩鳥「ストーップ!!刈り上げくんと鎧の巨人及びライナーストーップ!!!」ダダダッ
鎧の巨人「!?」ビクッ
リヴァイ「あっぶね!?近づくなアホタレ!!」ビクッ
歩鳥「いいかい?戦う前にまずは…話し合いでも出来ないのかね?人間は知能と言葉が発達した生き物…力で争うだけなら馬鹿でも獣でも出来る」
歩鳥「人間として生まれたなら、まずは言葉を使うべきだよ!!」
エルヴィン「で、君は何だ?危ないから早く下がりなさい」
歩鳥「く…っ、いいこと言ったつもりなのに華麗にスルー…」
静「歩鳥???!私は感動??したよ???!マ?ジで???!」
歩鳥「わざとらしいフォローはいらないよ!!」
リヴァイ「拗ねんな。さっさと用件を言え」
327:以下、
いつでもおめかししてるよ
ハンジ「…あの音が出てる変なものを投げ入れたのも君か?」
歩鳥「そうです。私の携帯です。ぶん投げたのに壊れてないのは突っ込まないでください」
ペトラ「ケータイ?」
オルオ「なんだそりゃ」
リヴァイ「それより…何しに来たんだ?遊びに来ただけなら叩いて家まで帰すが」
歩鳥「ですから…戦いを止めに来たんです」
ザッザッ…
ピクシス「ほう…戦いを止めにとな?何故じゃ?」
歩鳥「人が死ぬのが嫌だからです。それ以上の理由もそれ以下の理由もありません」
リヴァイ「だが…向こうが攻めてくるんだ。だから仕方ないだろう」
歩鳥「いや、だからこそ向こうにも戦いを止めさせるんですよ。迎え撃つんじゃなくて」
リヴァイ「よくそんなおめでたい事が言えるな」
歩鳥「おめでたくて結構です。私は…みんなの平和を願っているんです。自分の願いを求め…その為に行動することが悪いことですか?」
リヴァイ「……ま、そうだな、そりゃお前の自由だ。こっちも言い方が悪かった」
歩鳥「…聞いてください…」スー
ハンジ「ん?」
暗い気持ちさえ
すぐに晴れて
みんなウキウキ
歩鳥「ダウンタウンへ、くりだそーう!!♪ダウンタウンへくりだっそーう!!♪」
ペトラ「何か歌い出した!?」ビクッ
ハンジ「変わった子がいたもんだ…」
リヴァイ「おい、危ないからさっさと下がれ。戦いを止めたい気持ちも分かるが…そんなことは難し…」
歩鳥「いや、今止まってるじゃん」
リヴァイ「え?」
鎧の巨人「…」
エルヴィン「…」
リヴァイ(本当だ…!!!)
328:以下、
エルヴィン(…あの少女が現れてから戦局が止まった……あの謎の音の出る物体…あの子は何者だ?)
エルヴィン「きみ…少し話がある。こっちへ来たまえ」
ハンジ「君、エルヴィン団長がお呼びだよ」
歩鳥「え!団長!?」
歩鳥(むふふ…計画通りだね。団長に興味を持ってもらい…そしてかっこよく団長の隣に行き、かっこよく団長と交渉!!)
歩鳥「はいはい、今いきまーす!」バシュッ
リヴァイ「お前、立体機動装置まで持って来てたのか」
ギュイイイッ
歩鳥(このままかっこよく団長の隣に着地だよ!)
ギュイイ…
歩鳥「…ん?」
ハンジ「あれ?」
アルミン「…あ」
静「待て歩鳥!その方向は危ない!!」
エルヴィン「ん?」
歩鳥(やば…飛びかたミスった!!)
アルミン「マズイ!あの方向……団長にぶつかる!!」
エレン「なにい!?」
リヴァイ「ば…っ!!!」
歩鳥「団長!!避けてえええ!!!」ギュイイイッ
エルヴィン「え?」
ゴチイイイイインッ
329:以下、
歩鳥「い…たたた…っ」ズキズキ
歩鳥「…ん?」
エルヴィン「」チーン
歩鳥「!!!!!!」
ミケ「あ…あ…っ」
ハンジ「うわあ…っ」
ペトラ「だ…団…長…」
エルヴィン「」チーン
歩鳥「はわわわわわ…」ブルブル
リヴァイ「…大丈夫だ、頭突きで気絶しているだけだ」
ハンジ「いや、まずいよ。司令塔が動けなくなっちゃったじゃないか…」
ミケ「なんてこった…」
リヴァイ「はあ…」
歩鳥「う…うう…」
歩鳥「申し訳ありません………」
オルオ「申し訳ありませんで済むかかあああ!?」
ペトラ「もう終わりだああ!!」
人類の明日はどっちだ!?
332:以下、
静「…まさか…歩鳥が……噂のエルヴィン団長に『頭脳』で勝ってしまうとは…」
アルミン「いきなり何言ってんですか、シズカさん。上手いこと言ってるつもりですか」
ヒストリア「しかも頭脳じゃなく頭突きだし」
ジャン「まさか…あれが歩鳥の作戦じゃねぇよな?」
エレン「あれが作戦なら一発殴ってやるよ」
ミカサ「いや…あの子の反応からしてドジが発動しただけだと思う」
紺「こんな状況で普段通り雑談してるお前らも大概だよ」
静「仕方ない…私ちょっと行ってくる。皆はまだ隠れてていいよ?」
ユミル「頼むぞ」
オルオ「…どう責任をとる気だ」
歩鳥「申し訳ありません…」
ペトラ「申し訳ありませんじゃないでしょ!?」
歩鳥「うう…責任を持って…」
歩鳥「私が代わりに団長を…」グスッ
ハンジ「いや、それだけはやめてくれ、本当に。マジで」
333:以下、
リヴァイ「まあ、ピクシスの爺さんに指揮を任せるのが無難だろう」
ハンジ「そうだね」
ピクシス「うむ、ワシの出番か」
ミケ「誰か来たぞ」
リヴァイ「今度はなんだ?」
静「すみませ?ん!この子が大変な事をやらかしてしまい…」タッタッタ
歩鳥「静ねーちゃん、ごめんなさい…」グスッ
静「わ?かったから、気を取り直して、はい」
オルオ「知り合いかよ!」
ペトラ「来る前に止めて欲しいものだわ…」
ジーク(なに突っ立ってんだよライナー…さっさと行け)
獣の巨人「ガアアアアア!!!」バアンッ
リヴァイ「!!」
鎧の巨人「!!」ビクッ
ライナー(しまった…任務を続け無ければ)
鎧の巨人「…」ズシンッズシンッズシンッ
ハンジ「また来たぞ!」
リヴァイ「俺がやる」ザッ
静「あの???…さっきからずっと思ってたんですけど」
静「超大型巨人になるベルトルトくん…鎧の巨人のヨロイの隙間に居るんじゃないですか???」
鎧の巨人「!?」ビクッ
リヴァイ「なんだと?」
静「例えば…誰からも狙われないような…あそこの部分とか」
ピクシス「なるほど、あり得るのう」
ハンジ「よし、全員で鎧の巨人のヨロイの隙間を狙え、超大型巨人に変身する人間がいるかも知れない」
ベルトルト(見破られた…)ダラダラダラ
334:以下、
歩鳥「駄目だ!まだ戦いは許さないよ!」バッ
リヴァイ「うお!?」
静「よし、復活したな歩鳥」
オルオ「いや、止めてくださいよ頼むから」
静「…そこの座ってるリーダーのお猿???!!」
獣の巨人「!」
静「鎧の巨人の動きがまた止まっちゃったって事は…あんたの作戦は私が見破っちゃったって事でいいんだよね?!?」
獣の巨人「…」
静「そっちも作戦見破られたらまた態勢立て直しなんかも面倒でしょ??!?だから一旦休戦して…話し合いなんて無理かな???!?」
ジーク(ふん…作戦なら見破られても大丈夫なように立ててあるよ)
静(まあ、作戦なんか見破られてもいいように何重にも練ってるだろうが…)
静「よし、後はあんたの出番だ歩鳥」ポンッ
歩鳥「へ!?」
獣の巨人「…」
歩鳥「そうだよー!中のおじさん出ておいでよ?!」ニコニコ
ジーク(…)
335:以下、
ジーク(なに考えてんかね、あの子は…罠か?)
歩鳥「ラブ&ピース!メイド&ピース!」
リヴァイ「お前は交渉をしようとしてるのか喧嘩売ってるのかどっちだ」
ジーク(…いや…ありゃ罠や裏なんか無いアホ面だ)
ジーク(…あんな平和バカな人間も…いるんだな…)
ジーク(…)
ジーク(裏の無い無邪気な表情…あの女みたいだ)
ジーク(…)
獣の巨人「…」ズシッ
静「!動いた!?」
歩鳥「お!?」
ハンジ「怒ったんじゃないよね?」
獣の巨人「いいよ…君の話だけでも聞かせて貰おうかな」
ハンジ「喋った!?」
ミケ「それもビックリだが、話し合いに答えたのもビックリだ!!」
リヴァイ「…ほう…」
歩鳥「よっしゃ!」
静(やはりこの子は…人をひきつける何かがあるな…)
336:以下、
ライナー(何だって…!?)
獣の巨人「悪いな、ライナー…ちょっと待っててね」
鎧の巨人「…」
ハンジ「…本当に信じていいのか?」
獣の巨人「…話を聞くとは言ったが攻撃を止めるとは言ってないよ。どうなるかは…その子次第だ」
歩鳥「!!」
オルオ「おいおい、マジかよ…」
ペトラ「君…責任重大よ…」
歩鳥「あはは…いざその場になるとプレッシャーがヤバいね…」ダラダラ
静「始めに戦いを止めさせるといい始めたのはお前だ、歩鳥」
獣の巨人「あと…条件がある。そこの女の子1人だけがこっちまで来てもらおうか…心配しなくても襲わないから」
獣の巨人「あと、ライナーは鎧の巨人のまま…俺も巨人体は出したままで居させてもらう。話してる隙を狙われたりされたら敵わないんでね」
ピクシス「わかった。いいじゃろう」
リヴァイ「…ここまで話は進んじまった。やるしかねぇ、いいな?」
歩鳥「りょ、了解であります!」
静(…エルヴィン団長を気絶させたのは単なるドジだろうが…結果的にそのお陰でここまで出来たのかも知れんな…)
337:以下、
ザッザッザッ…
巨人「…」
歩鳥「うひゃあ…周り巨人ばっかり…動かないけど」
獣の巨人「…」バシュウウウ…
ジーク「心配しなくても巨人達は俺が命令するまで動かないよ」ザッ
歩鳥「あ、猿のうなじから出てきた」
ジーク「…巨人体は出したままで居させてもらうよ」
歩鳥「心配しなくても私は罠とか仕掛けてないよ」
ジーク「君はそうでも他は分からんからね…」
338:以下、
ライナー(まさか…戦士長が話し合いに応えるなんて…)
ベルトルト(どうなるんだ…?)
エレン「マジかよ…あいつ話し合いまで持っていっちまったぞ」
ヒストリア「ホトリやるね…」
紺「こっからが心配だけどな」
ジーク「…で…君は何故そこまでして戦いを止めさせたいんだい?」
歩鳥「誰にも死んでほしく無いからです!」
ジーク(汚れも偽りもない真っ直ぐな眼だ…本当にそう思っているんだな)
ジーク「でもね…君のいた世界だって…どこかで戦争や犯罪が起きて…理不尽に人が死に不幸になっている人だってたくさんいるでしょ?」
歩鳥「そんなことはわかってます……人間1人にできることなんて限られてるし…人間1人を救うことだって凄く難しい事で…今、私がやってる事も…ぶっちゃけ上手くいけたら奇跡だと思ってます」
ジーク「…」
歩鳥「でも…なんていうか…その…」
歩鳥「全ての人が幸せになるなんてのは無理なのはわかってます…だから、せめて…自分の周りや…手の届く範囲だけでも幸せになって欲しいというか…」
歩鳥「…話、脱線しちゃってますかね?へへへ…」
ジーク「いや…君がどんな人間なのかわかったよ」
339:以下、
歩鳥「てか…私こそ聞きたい事あるんすけど…真田とタッツンは無事なんですか?」
ジーク「ああ、大丈夫だよ。ちゃんと飯もあるし」
歩鳥「そっか…良かったあ?…っ」ホーッ
ジーク「…くくく…」
歩鳥「な、なんすかその笑みは」
ジーク「いや…」
ジーク「君は…本当に素直に感情を表すんだな」
歩鳥「はあ…それはどういう意味の発言なのか」
ジーク「誉めてるよ」
歩鳥「ありがとーございます」
ジーク「ま…君が本気なのはわかったが…こちらとしても…もう引き下がれないところまで来てるんだ…」
歩鳥「むう…私だってせっかくここまで来たんだから引き下がれないっすよ」
ジーク「ふふ」
歩鳥「まあ…ちょっとお茶でも飲みながら話しましょう」ガサゴソ
ジーク「お茶なんて持って来てたのかい…」
340:以下、
―――――――
真田「…なあ…あんた、頼みがあるんだ…俺達を、ジークやライナー達の居る場所まで連れていってくれ」
四足巨人「しかし…戦場ですよ。危険です」
辰野「やっぱり…自分達だけ安全な場所にいるのは…」
真田「もう一度、ジークに交渉してみる…攻撃を止めてくれないか」
四足巨人「…」
辰野「…ダメかな…?お願いだから…!」
四足巨人「わかりました。いいでしょう…ただし、何かあっても私は責任取れませんよ」
辰野「ありがとう!」
真田「あんた結構いいやつだな!」
四足巨人「…まあ、勝手に脱走されるよりはマシですから」
341:以下、
ズシッズシッズシッ…
四足巨人「見えてきました」
真田「本当だ…ライナーの巨人やジークの巨人がいる…」
辰野「あれ?なんかみんな止まってない?」
真田「確かに…何で?」
四足巨人「む、獣の巨人の足元にジーク戦士長とタッツンさんの友人が…」
辰野「え?」
歩鳥「お茶の味はいかがですかな?」
ジーク「…うん、お茶だね」ゴクッ
真田・辰野(え、これどんな状況!!?)
342:以下、
その頃…壁の上
駐屯兵「ん?四足歩行の巨人が来たぞ」
駐屯兵「本当だ…人が二人乗ってる」
憲兵「巨人達の仲間か?」
憲兵「…警戒しとおけ」
―――
歩鳥「そういえば、オッサンは何でこの無知性巨人達に命令出したり出来るの?」ゴクッ
ジーク「それが俺の生まれ持つもう1つの能力…自意識を持たない人工生命体を操る事が出来るんだよ。限度はあるけどね」
歩鳥「ほへー」
ジーク「………この世界にも人間にも未来はない…全てを一からやり直す…その必要があると、俺は思うんだ」
歩鳥「…私はやっぱり…そんなの納得いかないよ」
ジーク「…そうかい…」
ダッダッタ…
ジーク「!」
辰野「ちょっと歩鳥!そんなとこで何してんの!?」
真田「なんでジークと話してんだ!?」
歩鳥「あ!タッツン!!真田!!」
ジーク「…おいおい…連れてきちゃったの?」
四足巨人「すみません…」
343:以下、
リヴァイ「おい、何か二人ほど四足歩行巨人と共に来たようだが」
静「あ、あの二人は歩鳥のお友達です」
ハンジ「へえ…」
エルヴィン「…う…」
ペトラ「あ、団長!」
エルヴィン「なんだ?何が起きている?」
リヴァイ「ああ。お前が寝てた理由から説明してやろう…」
ヒュンッ ヒュンッ
リヴァイ「…ん?」
ミケ「今、壁上から兵士が三人ほど降りていったぞ」
リヴァイ「爺さん…」
ピクシス「いや、ワシは何も命令しておらんぞ!?」
静(…ん?まさか…)
静「まずい!早くさっきの兵士達止めてください!」
344:以下、
歩鳥「…でさー…まあ、和平交渉みたいな感じかな?」
辰野「あんた…勝手で無茶苦茶な事やってたのね」
真田「どんな状況でも相変わらずだな」
歩鳥「せっかくの再会なのに普段のノリの台詞かよ!!」
辰野「そりゃあんたも普段の歩鳥だからよ」
ジーク「…ま、今は歩鳥と話してるんだ…二人は下がっ…」
四足巨人「ジーク戦士長!」
ジーク「!」
パアンッ!パアンッ!
ジーク「な!?」
辰野「きゃっ!?」
真田「うえ!?」
歩鳥「だ、誰だ発砲したのは!?」
駐屯兵「動くな…全てわかったぞ」ガチャ
憲兵「そこのホトリとかいう女…巨人の仲間だな?そして自作自演していたのだろ?」
歩鳥「はあ!?」
ジーク「おいおい…どういうこった?」
駐屯兵「そこの二人が四足歩行巨人と共に来て…そこのホトリと親しげに喋って…巨人の仲間なんだろう」
辰野「いや、え!?」
真田「ちょっと待って…」
静「待ってください!その子達は巨人の仲間じゃない!」
駐屯兵「いや、巨人の仲間だ。巨人と交渉しようだのあり得ないからな!」
歩鳥「はあ!!?」
リヴァイ「てめえら!なに勝手な事してんだ!」
345:以下、
ピクシス「お前達!独断行動をするな!」
憲兵「人類の為の判断です!」
ジーク「…はあ???……嫌だねえ……」ボソッ
歩鳥「!!」
歩鳥「あ、待って、あの…まだ終わってないから…もっと話そうよ!」
ジーク「…」
歩鳥「ほら、これ…べちこ焼きってお菓子もあるんだ!美味しいんだよ!その…まだ決裂はしないで、これでも食べながら…」
駐屯兵「巨人と和平など無理に決まっています!奴等は滅ぼすしか無いんです!!」
憲兵「奴等はスパイの可能性だってあるんです!発砲許可を!!」
ピクシス「ならん!早く銃を下げろ!」
エルヴィン「憶測で敵だと断定するな!」
辰野「や…やだ、なにこれ…どうなるの……やだ…」ブルブル
真田「く…そっ、こいつら…偏った思考しか出来ないのかよ」
ピクシス「早く銃を下げんか!!」
駐屯兵「…司令も団長も信用ならない。俺が許可する、人類の未来の為に撃て!!」
ピクシス「なっ!?」
リヴァイ「馬鹿野郎!!!」
辰野「いやあああ!!」
真田「タッツン!伏せろ!!」ガバッ
歩鳥「あ…!!」ダダッ
パアンッ!パアンッ!
ドサッ
346:以下、
辰野「…え……?」パチッ
真田「……あ………」ブルブル
リヴァイ「…ちっ…!!」
ピクシス「馬鹿どもが…っ」
辰野「…え…嘘…」
静「歩鳥いいいいい!!!」
歩鳥「…」
辰野「歩鳥!!!」ダダッ
真田「歩鳥が俺を…庇って…撃たれた……」ガクッ
辰野「ちょっと!なに黙ってんの!?目え覚ましなさいよ!?」
歩鳥「…」
静「意識が無いのは撃たれて倒れた時に頭を打ったんだ。撃たれたのは足…応急処置すればまだ助かるはず……」
辰野「でも…血が……」
静「…くそ…!」
真田「てめえら!何で撃った!!何で撃ったあ!!」ガシッ
駐屯兵「うっ!?」
ゲシイッ!!!
駐屯兵「ぐほあっ!?」ズザザザ
真田「!!」
ザッ ザッ…
アニ「…」ザッ
347:以下、
リヴァイ「てめえらは黙って寝てろ」ガンッ
憲兵「ぐふっ!」
駐屯兵「ぐへっ!」
ピクシス「なんてことを…すまん…」
エルヴィン「…」
紺「おい!歩鳥いいい!!!」ダダッ
ヒストリア「な、なんで…!」
エレン「見てられねえ!行くぞ!」
ジーク「……残念ながら…和平交渉は途中で決裂だな」ザッ
辰野「!!」
静「待って!まだ歩鳥が目覚めるまで…」
ジーク「…もういいよ。気分悪くなった」
獣の巨人「アアアアアア!!!」ズシンッ
ライナー(…ホトリ… まさか、お前が撃たれるなんて…)
ライナー(…戦士長はやる気だ。俺も戦いを再開せねば)
鎧の巨人「…」ズシンッ
エルヴィン「…動き出したか…」
リヴァイ「もうどうしようもねえ…やるぞ」
獣の巨人「アニちゃんは…そこのホトリちゃんとお友達を見張っておいて」
アニ「了解」
348:以下、
静「くそ…歩鳥は…本気で、戦いを止めようとしていたのに…」
歩鳥「…」
アニ「…」
辰野「…ごめん…ごめん、歩鳥…」
辰野「私が…ここに来なければ…変な疑いを持たれず…撃たれずに済んだのに…」
真田「俺だ…最初にここに来たいと言ったのは俺だ。俺が悪いんだ…」
静「二人とも、自分を責めるんじゃない!二人とも悪くなんかない!!」
四足巨人「…」
アニ「…」
辰野「うう…」グスッ
真田「…アニ…」
アニ「…なに?」
真田「本当に戦いを続ける気かよ?」
アニ「もうどうにもならないから…仕方ないじゃない」
辰野「仕方ない?歩鳥の本気で戦いを止めようとしてた気持ちを無視して…仕方ないって理由で戦いを続けるの?」
静「君が…歩鳥を撃った兵士を蹴ったのは…歩鳥が撃たれたことに怒ったからだろう?」
アニ「…」
真田「…アニ…それでも戦い続ける気なら…」
真田「…俺と勝負しろ」
アニ「…は?」
真田「俺と勝負して…俺が勝ったら…」
真田「俺達に協力しろ!そして…一緒に戦いを止める手助けをしてくれ、歩鳥の為に!!」
アニ「………」
アニ「いいよ」
349:以下、
ゴゴゴゴゴゴ…
鎧の巨人「…」
超大型巨人「…」
紺「くそ…歩鳥のとこに早く行きたいのに!!」
ミカサ「…彼等と…戦うしかないの!?」
エレン「…みたいだな…くそ…」
アルミン「…」
ヒストリア「でも…歩鳥は…戦いを止めようとしていたのに…」
ジャン「…」
エレン「ああ…だから、皆しぬな…ライナーとベルトルトも生け捕りだ」グッ
アルミン「エレン…」
エレン「今は戦うしかない!」ガリッ
エレン巨人「オオオオオ!!!!!」
350:以下、
アニ「…あんたじゃ…私には勝てないよ」ザッ
真田「やってみなきゃわからないだろ」ザッ
辰野「真田くん…アニ…」
静「…」
歩鳥「…」
352:以下、
―――
――――――
歩鳥(6歳)「ねーちゃん家に泊まる!!」
静「ダメだよ?、もうお家帰らなきゃ??」
歩鳥(6歳)「やだやだやだ泊まる泊まる!ねーちゃん家に泊まる!!」
静「あ?もう、わかったわかった??、歩鳥のお父さんとお母さんに許可もらってからだよ」
歩鳥(6歳)「ねーちゃん!この白くて変な顔ついた四つん這いの変なのなに!?」
静「それね?、リドルっつーんだよ??。それ売りに来た人から『関わりたくないから誰かにでも売り付けて』って言われたけど?…そんな怪しいもん無理矢理他人に売り付けるのもね?」
白リドル「…」
歩鳥「えー、変だけど可愛いじゃん!」
静「か、可愛い…のか?」
歩鳥「この子ちょーだい!」
静「一応売り物だからタダはダメだよ??」
歩鳥「じゃあ、今日1日だけ一緒にいさせて!!」
静「えらく気に入ったね?。ま、1日だけならいいよ。じいちゃんには内緒な」
歩鳥「やったー!」
白リドル「…」
353:以下、
歩鳥(6歳)「うえええん!!」
静「なになにどうした」
歩鳥「リドルと外に出てたら無くしちゃった???!!」
静「無くしちゃった!?その前に外にまで持ち出してたの突っ込みたいが…!それより探しに行こう!!」
静「うわ、外雨強っ…でも商品無くしちゃじいちゃんに怒られるし歩鳥泣いてるし…」
ザアアアアアア………
バシャッバシャッバシャッ
静「あ?!あれじゃないの!?」
歩鳥(6歳)「あれだー!」バシャッバシャッ
白リドル「…」
静「見つかって良かったな?」ポンポン
歩鳥(6歳)「うえええん!雨のなか置き去りしてごめんねええ!!」
白リドル「…」
静「そんな置物相手に泣かんでも…」
………
354:以下、
歩鳥(中学生)「ねーちゃん!小説書いたの見てみて!」
静「はいは?い…見せてみそ」
白リドル「…」
歩鳥(中学生)「あ、リドルおはよー」
静「なに置物相手に挨拶してんだよ???」
歩鳥(中学生)「え?んー、何か見られてる感じがしたというか…」
静「ちょっと気味悪いこと言うなよな?」
歩鳥(中学生)「リドルって昔からずっといるよね?」
静「誰も買わないからね??」
白リドル「…」
…歩鳥…
355:以下、
――――――――
ウォール・ローゼ壁門前
ビュンッ ビュンッ
ガキイインッ
リヴァイ「ちっ…!刃が通らねえ!!」
鎧の巨人「…」ズシンッズシンッ
ボオオオオオ…
超大型巨人「…」ゴオオオ
ハンジ「ダメだ、熱で近づけない…これじゃ斬撃を加えられない…!」
ペトラ「兵長!どうすれば…」
リヴァイ「手当たり次第攻撃しろ、弱点を探せ!」
リヴァイ「ただし、死なない程度な、誰一人死ぬな!損害は許さん!」
オルオ「はっ!」
ミケ「!後方から新たな巨人が来たぞ!」
リヴァイ「なに!?」
エレン巨人「オオオオオ!!」ズシンッズシンッズシンッ!
エルヴィン「あれも敵か!?」
アルミン「突然ですみません!説明してる暇はありませんが、あの巨人は味方です!!」
ハンジ「いきなり言われてもね…」
エルヴィン「いや、信じるしかあるまい…我等の兵力だけであの巨人二体を相手にするのは正直厳しい」
リヴァイ「…了解した」
ライナー(あれが恐らくエレンの巨人…自分から来るとは)
356:以下、
アルミン「とりあえずまずは皆でエレンを援護しながらライナーを止める!みんなしぬなよ!!」
ミカサ「わかった」
紺「歩鳥…大丈夫だよな…くそっ!」
サシャ「私の視力なら何とか見えますが…怪我はしてますが命までは関わらないと思います」
コニー「良かった…」
紺「でも…こんなことなるなんて…歩鳥…」
ユミル「今はライナーを止める事に集中しろ」
ヒストリア「うん…」
エレン巨人「…」ズシンッズシンッ
ライナー(…突撃か…エレンらしい戦法だ。だが、ただの巨人のパワーでは俺の巨人の鎧に傷をつけることは無理…)
アルミン「やれえ!エレン!!」
エレン巨人「オオオオオ!!」ブンッ
ガシャアアアアアンッ
鎧の巨人「!!?」ズザザザッ
ライナー(な…俺の巨人の鎧が、破られた…)
エレン巨人「…」パキッパキッ
ライナー(硬質化!?)
アルミン(予想通りだ…)
アルミン(エレンがさっき巨人になる際に、『ヨロイ』の薬を投与した)
アルミン(『ヨロイ』は名前の通り鎧の巨人と似通った性質を持つ…これならライナーと戦える)
357:以下、
ミケ「あの巨人のパンチで鎧の巨人に傷がついたぞ!」
リヴァイ「そいつは助かった…俺達もあの巨人を援護…」
ズシンッ!ズシンッ!ズシンッ!
リヴァイ「!!」
巨人「…」ズシンッズシンッズシンッ
エルヴィン「無知性巨人数体が動き出した!!迎え撃て!!」
リヴァイ「ち…、俺達はあの巨人どもを狩るぞ!」
ジーク(…全ての無知性を動かすのは奴等全体が弱ってからだ…)
ジーク(あのエレンの巨人が硬質化を得ていたのは想定外だった…無知性も少しは動かさなければライナーも一人では辛いだろう)
鎧の巨人「…」
ライナー(甘く見ていた…いかん、全力で掛からなければ)
エレン(…ライナー、ベルトルト…俺はお前らが憎い…だが、お前らを殺したら………ホトリが悲しむだろうな……)
エレン(だから、死なねえ程度にその巨人から引きずり出してやる!!)
358:以下、
ザザザッ!!
真田「ぐっ!!」
アニ「…サナダ…もう止めなって…」ハアハア
アニ「あんたじゃ私と格闘しても勝てない…そんな事わかってるだろ?」
辰野「真田くん…それ以上は…!」
真田「…うるせえ…俺は…諦めないから…」ザッ
アニ「………私は…戦士長に、あんた達が取り返されたり勝手な動きをしないよう見張りを命じられてる…頼むから……大人しくしてて…」
真田「…やだ。歩鳥は戦いを止めることを願っていた…だから、俺達が歩鳥に代わって…」
アニ「もう…無理だよ」
静「…確かに無理かも知れないけど…君の場合は、諦めて自分の本心から逃げてるだけに見えるよ」
アニ「!」
真田「アニ!俺はお前がどけるか協力するまで何度でも立ち上がるぞ!!」ダダッ
アニ「う…っ」
辰野「…」
歩鳥「…」
359:以下、
エレン巨人「オオオオオ!!」ガンッ
鎧の巨人「…!!」ブンッ
ガシャアアアッ!!
ミカサ「はっ!!」ビュンッ
鎧の巨人「!!」
ライナー(ち…っ、ミカサもいちいち鎧の壊れた部分を狙ってきて厄介だな…)
ライナー(…)
ライナー(くそ…同期に情が移っちまってる……ちゃんと攻撃できない)
ジャン「…そういや、ケニーのオッサンはどこだ?姿を見ないぞ?」
アルミン「僕も見てないからわからないけど…」
紺「それより!さっさとそこどけライナー!」
360:以下、
ガアアアアアンッ!!
エレン巨人「…!!!」ズザザザッ
エレン(くそ…!!ライナーのタックルは強烈だ!!)
アルミン「強い…!」
エレン(だが…まだだ、まだ負けねえ!)
エレン(ホトリがあそこまでやったのに、結局戦うハメになっちまったが…せめて、死人を出さずに終わらせてやる!誰も死なせない…負けてたまるか!!)
エレン巨人「オオオオオ!!!」ブンッ
ドガアアアアッ
鎧の巨人「!!!」
ライナー(くそ…ダメだ、エレンの気迫に押されている!!)
ミカサ「押してる!!」
ジャン「エレン!ライナーを引きずり出しちまえ!!」
エレン(勝ってやる…ライナーに!!)
ガシャアアアアアンッ!!!
鎧の巨人「…」ボロッ
ライナー(…くそ……もう、無理だ…)
361:以下、
ヒストリア「もう…ライナーは動けないみたい…」
ユミル「…私が手助けする必要はなかったな」
コニー「ライナー…」
サシャ「あの…まさか、命奪ったりは…」
ミカサ「心配しなくてもやらない。ホトリも悲しむ」
アルミン「…もう鎧の巨人は戦意喪失したみたいだ…うなじを剥がしてライナーを拘束しよう」
ズウウウウウンッ!!!
紺「うわっ!?」
ジャン「デケエ足音…!まさか!」
アルミン「来た…っ」
ズウウウウウンッ!!!
超大型巨人「…」
紺「そうか…まだベルトルトも居る…」
エレン巨人「…」ザッ
362:以下、
リヴァイ「はあっ!!」ズバッ
ハンジ「くそ…こんだけ倒してもまだ獣の巨人の周りにはたくさん動いてないやつがいる。こっちの被害状況は!?」
エルヴィン「負傷者は出ているが…まだ死人は0だ」
リヴァイ「わかった……このまま誰も死ぬなよ…」
獣の巨人「…」ズシンッ
ジーク(さて…ライナーも動けなくなっちまった…少し予定より早いが俺も動き始める頃だな)
ガコッ ボキッ
ジーク(俺の拡散投石で…一気に殲滅してやろう)
獣の巨人「…」メキメキッ
ジーク(行けっ!!)
「バキュウウウウウンッ!!!」
ジーク(!!!)
バンッ!!バンッ!!
獣の巨人「なに!?指を…誰だ!?」
ジャリッ
ケニー「よう、毛むくじゃら…お前が動くのを待ってたんだ。シズカに、いざというときの為と頼まれていた」ジャキッ
363:以下、
エルヴィン「…!獣の巨人…さっき投石をしようとしていた…!」
ハンジ「え!?」
エルヴィン「何者かに阻止されたようだが…リヴァイ…獣の巨人の相手を頼めるか?また目を離した隙に何をされるのかわからん。ならばあえてこちらから向かい、奴の作戦を狂わせる」
リヴァイ「…わかった。任せておけ」ビュンッ
リヴァイ「…!」
ケニー「よう…久しぶりだな、リヴァイ」
リヴァイ「ケニー!?何故あんたが!?」
ケニー「ま、色々あってな…」
リヴァイ「…さっき獣の巨人を止めたのもあんたか?」
ケニー「そうだよ。どうだ、俺達で協力して奴の相手をしねぇか?」」
リヴァイ「…あんたには言いたいことが山ほどあるが…今はそれどころじゃない。いいだろう、あんたが居るなら心強い」
獣の巨人「…」
364:以下、
真田「うあああ!!」ダダダッ
ガシイッ
アニ「く…う…っ」ギリッ
バシンッ!!
真田「かはあ!!」ドサッ
アニ「本当…もう、やめなよ…あんたも限界でしょ?」
真田「はあ…はあ……うるせえよ……俺は…まだ、立てる」フラッ
アニ「…っ」
辰野「アニ…お願い…、私達に協力して…!」
静「君も本当は…争いなんて嫌なんだろ!?」
アニ「……嫌だよ…」
真田「!」
アニ「でも…どうする事も出来ないじゃないか!!」
真田「どうする事も出来ないって言って何もしなけりゃ…何も出来ないままなのは当然だろ!!」
真田「諦めんなよ!例え無謀でも…自分の気持ちに正直になるのが大事なんじゃないのか!?」
辰野「アニ!一緒に戦いを止めよう!!」
アニ「………」
365:以下、
ボオオオオオッ!!!
ジャン「うあっ!!?」
紺「くそ!熱で近づけないよ!」
ミカサ「くそ…どうしよう…」
エレン巨人「…」ズシンッズシンッズシンッ!!
ガシイッ!
超大型巨人「…」
ベルトルト(ライナーがやられてしまった…僕がやらないと…!)
超大型巨人「…」グンッ!
ドガアアアアアッ!!!
エレン巨人「!!」ギュンッ
ミカサ「エレン!!」
ズザザザッ!!!
エレン巨人「…」ブシュウウウ…
エレン(くそ…思い切り蹴られちまった……ベルトルトめ!!)
ジャン「エレンの巨人じゃやっぱり歯が立たねえか…!」
コニー「ちくしょう、ベルトルトめ!」
サシャ「ど、どうするんですか、アルミン!?」
ユミル「…私の巨人でも無理だぞ…」
ヒストリア「そんな…」
超大型巨人「…」ズウウウウウンッ
紺「ヤバい、もう壁まで来ちまう!どうすんだよ、アルミン!!」
アルミン「…」
ミカサ「く…」ジャキッ
アルミン「待って、ミカサ」
ミカサ「!」
アルミン「…これに…賭けてみよう……」
アルミン「『サイキョウノキョジン』」
366:以下、
ベルトルト(…君たちじゃ僕の巨人は倒せない…おとなしく下がって…)
ベルトルト(…ん?何をしてるんだ?)
アルミン「エレン…賭けになるけど、これを…使ってくれるか」
エレン巨人「…」コクッ
エレン(このまま普通にやっても勝てない…賭けを信じよう)
ミカサ「エレン…」
ゴオオオオオ………
ベルトルト「…な…っ!!?」
ズウウウウウンッ!!
ズウウウウウンッ!!!
エレン巨人(80m級)「グオオオオオオ!!!!!!」
367:以下、
ベルトルト(エレンの巨人が巨大化した…!?一体なにが!?)
ドゴオオオオオオ!!!
超大型巨人「!!?」ドシャアアッ
エレン巨人(80m級)「…」シュウウウ
ズウウウウウンッ
ベルトルト(くそ…硬質化の能力も合わさって強烈だ…だが…!)
ベルトルト(僕だって…負けられないんだ!!)
超大型巨人「…」グオンッ
ドガアアアアアッ!!!
エレン巨人「!!」
エレン(ぐっ…返して来やがった!!)
ヒストリア「エレンが…更に巨大化した…」
ミカサ「凄い…」
紺「やったじゃねぇか、アルミン!成功したぞ、賭けが!」
アルミン「うん……でも…」
アルミン(1つだけ気掛かりな事が…)
エレン巨人(80m級)「オオオオオ!!!」ゴオオオオオ!!
ズウウウウウンッ!!!
ジャン「ベルトルトがひざまづいた!!」
超大型巨人「…」シュウウウ
ベルトルト(ダメだ…完全にパワー負けしている…!!)
エレン(…なんだ……?)
エレン(意識が少し朦朧としてきた…)
368:以下、
エレン(いや…それより今は、ベルトルトの巨人を倒さねえと!)
ドガアアアアアアンッ!!!
超大型巨人「!!」ドシャアアアッ
ミカサ「…完全にベルトルトが負けている…」
ベルトルト(くそ…ダメだ、もう力が…持たない…巨人から出た方が懸命だ!)
ベリッ!
ベルトルト「はあ、はあ…!」ブチブチッ
ジャン「ベルトルトが出てきた!」
アルミン「よし!拘束…」
ドサアアッ!!!
アルミン「!!」
ミカサ「え…エレン!!?」
エレン巨人(80m級)「…」ブシュウウウ
シュウウウ…
エレン「…う…」シュウウウ
紺「エレンの巨人が消えちゃったぞ!?」
ユミル「そうか…硬質化に、更なる巨大化…強力だが、その分パワーを消費し過ぎたんだ…もうエレンはしばらく巨人化は出来ない!」
アルミン「…!!」
エレン「くそ、すまん…っ」ハアハア
ミカサ「エレン!大丈夫!?」
エレン「力が出ねえ…」
アルミン「すまないエレン!今は休んでて!」
ベルトルト「…力を…使いすぎたみたいだね」ザッ
アルミン「!」
紺「ベルトルト…!」
369:以下、
ズザザザッ!!!
リヴァイ「はあ…はあ…っ!」
ケニー「くそ…リヴァイと組んでも…厳しいのかよ」フラッ
獣の巨人「…」ズシンッ!!
獣の巨人「…俺は、戦う為に生まれた人工生命体だ…」
ジーク「人間が勝てると思うなよ」
獣の巨人「オオオオオ!!!!!」バアアアンッ
リヴァイ「…!!」
┣¨┣¨┣¨┣¨ド!!
巨人「…」┣¨┣¨┣¨┣¨ド!!!
リヴァイ「残りの無知性巨人どもが一斉に来やがった!!」
ケニー「ちいっ!くそったれめが!!」
ジーク(ベルトルトもやられた…だが、エレンも力を使えなくなった…人類側も疲弊してきた頃だろう。後は無知性の群れで殲滅する…)
エルヴィン「総員!無知性の大群が来るぞ!!やるしかない!!」
ハンジ「さすがにあの数は不味いかも…」ゼエゼエ
リヴァイ(くそ…誰も死なないでくれよ…!!)ギリッ
370:以下、
ジャン「どうすんだ、巨人の大群が向かって来やがったぞ!」
アルミン「う…!」
ハンネス「お前ら!なにしてんだよ!!」ザッ
ミカサ「!」
エレン「ハンネスさん…」
ハンネス「事情は後で聞く!今はお前らは壁の上にでも避難しろ!!」
ユミル「それが懸命だな…アルミン」
アルミン「…わかった…」
紺「歩鳥や辰野、真田、静さんは…!?」
ジャン「今は仕方ねえ!俺達が巨人に食われちまう!逃げろ!!」
紺「くうっ!!」
リヴァイ(さすがにあの数はダメだ…さっさとこの獣を始末し、他の無知性を片付けねえと…!)
ケニー「…参ったな…勝てんのか?これ…」
リヴァイ「やるしか無いだろ」ジャキッ
獣の巨人「オオオオオ!!!」
巨人「…」┣¨┣¨┣¨┣¨ド!!!
ペトラ「はあ…はあ、数が多すぎる…!!」
オルオ「くそ…やってらんねえよちくしょう…!!」
ハンジ「諦めるな!全力で迎え撃て!!」
エルヴィン(不味い…数の差が違いすぎる!このままでは…!!)
ジーク「終わりだ…」
?♪??♪??♪
ジーク「!!」
獣の巨人「…」バアアアンッ!!!
リヴァイ「!!」
巨人「…」ピタッ
ケニー「あ!?」
エルヴィン「巨人が…止まった?」
371:以下、
シャボン玉のように消えてゆく
今宵限りの恋もまた楽し
夜はこれから
リヴァイ「歌声!?」
ハンジ「なんだ!?」
エルヴィン「歌がどこからか聞こえる…そしてそれと同時に獣の巨人が無知性の大群を止めた…!」
サシャ「あれ…この声…!」
コニー「まさか…」
紺「…!!」
暗い気持ちさえ
すぐに晴れて
みんなウキウキ
ミカサ「…フタバの声…?」
紺「私の歌を録音したのを…再生させてる音だ!!」
ヒストリア「そして、その歌と同時に聞こえる…」
ジャン「音痴な歌声…!」
アルミン「この歌声は…」
エレン「………やっと……起きたか……」
ライナー「!」
ベルトルト「!」
歩鳥「ダウンタウンへ繰り出そう!!♪ダウンタウンへ繰り出っそーう!!♪」ダンッダンッ
紺「歩鳥いっ!!!」
歩鳥「あたたた…っ!!」ガクッ
静「怪我してるのに動くからだ…」
辰野「あんたねえ!ちょっとは自分の怪我の心配もしなさいよ!!」
歩鳥「ごみんなさい…」
真田「ははは、どこまで行っても歩鳥だな…」
372:以下、
ジャン「…そして、歩鳥達がいるのは…」
女型の巨人「…」
アルミン「女型の巨人…アニの手の平の上だ!」
紺「アニ…歩鳥達に協力してくれてるの?」
エルヴィン「…」
獣の巨人「…」
エレン(…また戦いが止まった…)
辰野「ほら、私達が支えてあげてるから」
真田「でも、無茶はするなよ」
歩鳥「うん…ありがとう」
歩鳥「…すう…」
歩鳥「全員!!戦いをやめんかあああ!!!」
373:以下、
エレン「…」
アルミン「…」
ミカサ「…」
ヒストリア「…」
紺「…」
歩鳥「この世界に…後が無いらしいのも聞いたし…あんた達壁の外に住んでる人間が…昔、壁の中から追い出された人達ってのもアニから聞いた…」
歩鳥「でも」
歩鳥「だからといって…人の命を勝手に奪っていい権利があるのか!!?壁の内にいる人も外にいる人も…もっと話してお互いの事を知るべきなんじゃないのか!?」
歩鳥「みんな…みんな、ただ…幸せになりたいだけのはずなんだ!!どこにいる人だって…!」
エルヴィン「…」
ハンジ「…」
リヴァイ「…」
ライナー「…」
ベルトルト「…」
アニ(…)
獣の巨人「…でも…君は…人間に勝手な疑いを持たれ撃たれた」
歩鳥「それも人間だからだよ!確かに痛かったし怖かったし怒りも感じた…でも、その私を撃った人達だって…きっと、怖かっただけなんだ…自分達の幸せが壊れるのが!守りたいものがあるから必死だっただけなんだ!」
ジーク「そう感じるのは君に余裕があるからだ…もし撃たれたのが自分でなく他の人なら…そんなことは言えないだろう…」
歩鳥「…それは…否定しないよ…でも」
歩鳥「間違いに対し…憎しみや怒りで返すのは、間違いを更に繰り返すだけだよ」
374:以下、
ジーク「…」
辰野「…」
真田「…」
静「…」
歩鳥「…私…アホだから…上手く言えないし…子供っぽい事しか…言えないと思う……でも」
歩鳥「それでも私はこの戦いを止めさせたい…」
ジーク「…」
歩鳥「…もっと…人間を信じようよ…」
歩鳥「世界には…色んな性格や考え方をした人がいるし…どんな人にだって…色んな可能性があるんだよ」
歩鳥「あんたのやってることは………人間の可能性を否定してる事だと思う」
歩鳥「もっと人間を信じようよ!!」
ジーク「…」
375:以下、
歩鳥「…エルヴィン団長…ジーク戦士長…ちょっと代表者としてお互い来てください」
ジーク「…」
リヴァイ「どうする?エルヴィン」
エルヴィン「いいだろう…行こう」
ジーク「…なんだい?」ザッ
エレン「何をする気だ?」
紺「…」
ライナー「…」
ザッザッザッ…
歩鳥「…あの…これ…」ガサゴソ
スッ
ジーク「!!」
エルヴィン「これは何だ?」
ミカサ「あれは…私が作った…!」
歩鳥「べちこ焼きってお菓子です…食べてください」
376:以下、
エルヴィン「…変わった色の菓子だな…」
歩鳥「でも美味いっすよ」エヘヘ
ジーク「…」
ジーク(懐かしいな…あの女が死んでから…ずっと食わなかった…)
歩鳥「ささ、お二人とも召し上がれ。食べながら話し合いませんか?」ニコニコ
エルヴィン「…」パリッ
ジーク「…」パリッ
エルヴィン「…うむ…」
エルヴィン「美味いな…」
歩鳥「でしょでしょ??」
エルヴィン「…何だ、この不思議な感じは………懐かしい気持ちと、優しい気持ちの混じったような菓子だ…」
ジーク「…」
歩鳥「どうですか?戦士長さんは?」
ジーク「…」ボロッ
歩鳥「!!!」
静「!」
辰野「え!?」
真田「…!?」
アニ(嘘…)
ライナー(戦士長が泣いてる!?)
ベルトルト(初めて見た…)
歩鳥「あ、あ、あの…大丈夫ですか?どうかなさいました?」オロオロ
ジーク「ふふふ………そうか……やっとわかった…」グイッ
ジーク「俺はこの菓子が好きだった…だが、あの女が死んだ時から食うのを拒否するようになった…」
ジーク「…それは…このべちこ焼きの不思議な味で…自分の中にある怒りや憎しみが消えるのが……怖かったんだな…」
歩鳥「…」
377:以下、
ジーク「…ふう…っ」
エルヴィン「…」
歩鳥「…私は…こんな状況だからこそ、壁の中にいる人も外にいる人も…協力するべきだと思うんです…」
歩鳥「そりゃ…いきなり仲直りなんて上手くいかないのはわかってます…でも、だからと言って諦めて何もしなければ何も変わらないままなんです」
歩鳥「少しずつでも…お互い、理解して…少しずつでも協力し合う事だって出来るはずなんです」
歩鳥「私達は機械じゃない!いくらでも変われる可能性があるんです!!未来を信じましょう!!」
ジーク「………」
ジーク「エルヴィン団長…だったか?」
エルヴィン「!」
ジーク「この戦い………」
ジーク「やめにしよう」
378:以下、
静「…!!」
アニ(!!)
真田「え…マジで…!」
辰野「やったあ!!」
四足巨人「…」
四足巨人(私は気づいていました…戦士長は長い間ずっと…つかれている様子でした)
四足巨人(もしかしたら本当は…自分の戦いを終わらせるきっかけが……欲しかったのかも知れない)
ライナー「…終わった…?」
ベルトルト「終わる…のか?」
コニー「やったあ!!」
サシャ「やりましたね皆さん!!」
ジャン「まさか…本気で止めちまうとは…」
マルコ「ははは…」
ヒストリア「良かった…これで…もう…」
ユミル「…あいつは…アホだが、本当…不思議な奴だよな」
エレン「…」
ミカサ「エレン…」
アルミン「…終わったよ…」
エレン「…」
ミカサ「…」
アルミン「…やっぱり…複雑な気持ち?」
エレン「…故郷を奪われたんだ…ホトリの言う通り簡単に仲直りなんて出来ないよ」
ミカサ「…うん」
エレン「でも…戦いなんて起きない方が…これ以上しぬ人が出なくて済むもんな」
アルミン「エレン…」
エレン(簡単に怒りは消えない…でも…)
エレン(いつかは…分かり合える時も……来るのかな)
379:以下、
歩鳥「はあ…っ」ガクッ
辰野「歩鳥!大丈夫!?」
歩鳥「えへへ…一気にドッと疲れが…」
真田「本当…やったな、嵐山!」
静「大した奴だよ…」ポンッ
紺「歩鳥!」ダダッ
歩鳥「あ…先輩!」
紺「やったじゃねえかよ、おい!一時はどうなるかと思ったんだぞ!!」グイッ
紺「本当に…良かった」
歩鳥「へへ…だって私は、名探偵ですよ?」
静「いや、探偵は関係ないけどな」
辰野「だいたい、いつから名探偵になったの」
紺「お前もうちょい考えて発言しろよ」
アニ「全く…どこまでも歩鳥だね」
歩鳥「ちょっ…一斉にツッコミかよ!?アニまで混じってるし!?」
紺「あははは」
真田「いや…本当によくやったよ、嵐山……すげえよ」
380:以下、
歩鳥「おーい、みんな?!」ザッザッザッ
ヒストリア「ホトリ!すごいよ、本当に終わらせちゃうなんて!」
ミカサ「とても驚いた」
歩鳥「いやいや…皆も居てくれたからだよ」
ジャン「…とりあえず、もう今日は休めよ」
ヒストリア「疲れてるだろうし怪我もしてるし」
歩鳥「うん」
エレン「よう、おかえり」
アルミン「やっぱホトリはただ者じゃなかったね」
歩鳥「えへへ…でも、実際まだ問題は山積みだと思う…」
エレン「うん…簡単な事じゃない」
アルミン「これからが大変だろうね」
歩鳥「でも、これからも諦めないで頑張ろう!」
エレン「そうだな…ありがとよ」
ズキンッ
エレン「!!」
アルミン「!」
エレン「…う…?」
ミカサ「え!?」バッ
歩鳥「ちょっ…どうしたの!?」
エレン「な、何かが…来る!?」
ズキンッ
381:以下、
歩鳥「え!?」
アルミン「なにが…っ」
エレン「…」ガクッ
ミカサ「エレン!?」
コニー「おい、どうしたんだ!?」
アルミン「エレンが急に…」
エレン「…エレンの体から…失礼するよ…」
ミカサ「!?」
歩鳥「…!エレンじゃない!?誰だ、誰かエレンの意識を乗っ取っているのか!?」
エレン「察しがいいね…お前が…歩鳥か…」
歩鳥「!!」
アルミン「な、なにが…!?」
歩鳥「あんたは誰だ!?まさか、あんたが私達をこの世界に呼んだ奴か!?」
エレン「君たちを…呼んだのは…姉ちゃんだよ…」
歩鳥「姉ちゃん!?」
ユミル「…まさか…!」
歩鳥「お前は誰だ!?」
エレン「俺は………アリオ」
382:以下、
エレン「…歩鳥……俺は……この廻り続ける世界を…止めさせるつもりは…ない」
歩鳥「!?」
ユミル「…」
エレン「姉ちゃんと俺が…普通の人間として…暮らす世界が来るまで………」
歩鳥「なにを言ってんだ!?」
エレン「…歩鳥……エレンの家の…地下室までこい……そこにリドルが…ある…」
歩鳥「…!?」
エレン「…外をうろついている巨人なら…俺がリドルの力を使い…止めておいてやる………来い……歩鳥……」
ドサッ!
アルミン「エレン!!」
エレン「う……俺は…?」
歩鳥「大丈夫かエレン!?さっきまで意識を乗っ取られていたんだ!」
エレン「はあ!?」
紺「歩鳥…どうした?」ザッザッ
歩鳥「…ごめん、みんな…まだ最後に1つ残ってるみたいだ…」
歩鳥「会いに行かなきゃいけない」
385:以下、
ジーク「…キリエとアリオか…知ってるよ、話はね。グリシャから聞いた」
エレン「…!父さんから!?」
ジーク「へー…きみ、グリシャの子供か……。まあ、あいつとは敵対していたが、兄弟みたいなもんでもあった」
アルミン「…」
紺「行くのか?歩鳥」
歩鳥「うん、私がお呼ばれされてるみたいだからね」
静「…エレンの家の地下室にある…リドルとか言ってたな」
真田「…何でエレンの家の地下室に?」
エレン「…父さんの記憶も思い出せないからわからない…だが、地下室へ行けばわかるかも知れない」
歩鳥「とりあえず地下室へ行くしかないみたいだね」
ミカサ「ええ」
辰野「はあ…まだ終わらないのね…」
歩鳥「たぶんこれで最後だ…私達を連れてきたのは…アリオの姉ちゃんらしいから…」
辰野「でも、何で歩鳥を?」
静「…」
387:以下、
ライナー「…」
ベルトルト「…」
真田「あ、ライナーとベルトルト」
エレン「…」
辰野(重い空気ね…まあ仕方ない…)
歩鳥「あ、ライナー!ベルトルト!何か顔見るのだいぶ久しぶりだね!!おいでよ!!」
ライナー「!?」
ベルトルト「!?」
紺「お前…ちょっとは空気読めよ…」
歩鳥「へ?だってもう敵対してないし私が話したいだけだし…」
ライナー「しかし…」チラッ
エレン「いいよ別に。ホトリがお前らと話したいってんだから俺は関係ないだろ」
ベルトルト「うん…ごめん…」
エレン「お前らとちゃんと話すのはまた後でいいよ…今はホトリと話しとけ」
388:以下、
ジャン「…ライナー…ベルトルト」
コニー「…」
サシャ「…」
ベルトルト「みんな…」
ライナー「…すまない…」
サシャ「…も、もう…敵になんてならないでくださいね…っ」グズッ
コニー「やっぱりお前らは…俺の友達なんだよ…!」
ライナー「サシャ…コニー…」
アルミン「…」
アニ「…」
辰野「アニも、そんなとこ隠れてないで皆のとこに行きなよ」
アニ「タッツン」
辰野「そうやって人から遠ざかるから誤解されたりするんだよ。皆のところに行きたいんでしょ?」
アニ「…うん…」
真田「…こっちは、何だかんだで大丈夫そうだな」
静「あの子達は、いい子達だからね…理解し合えるよ、きっと」
静「それに、私達はこの世界の住人じゃない…これ以上の関わりは持てないよ」
真田「そうっすね」
静「後の私達の問題は…」
歩鳥「…どんな理由で呼ばれたか知らないけど…ちょっと休憩したらすぐ行こう。何が起こるかわからない」
紺「…キリエとかいうの…知り合いとかでは無いんだよな?」
歩鳥「たぶんねー」
静「いや…もしかしたら」
紺「!」
静「ずっと歩鳥を見てきていたのかも知れないよ…キリエちゃんって子は」
歩鳥「へえ?」
389:以下、
エルヴィン「…では…これで、あなた方も壁内への攻撃は二度としないと?」
ジーク「うん…今まで騒がせて悪かった。しかし、壁の外にいる人間は壁内に恨みを持つ人間も多い。和平も簡単には進まんだろう」
ピクシス「こちらも、特にウォール・マリアに住んでいた者は…あなた方にいい感情を抱かないでしょうな。先は困難ですが…少しずつでもいい方向へ行けるようお互い努力しましょう」
ジーク「ああ」
エルヴィン「後は…この世界を管理するシステムというものへの対策が問題だ…」
ジーク「…それなら…俺に案がある」
390:以下、
そして、歩鳥達と104期は調査兵団と共にエレンの家の地下室へ向かう事になった…
エルヴィン「本当に巨人はいないようだな」
リヴァイ「わざわざ俺達の為に巨人を止めておいてくれるなんざ律儀な野郎だ」
ザッザッザッ…
ハンジ「…つまり、その『ホワイトリドル』ってのがこの世界を管理するシステムで…人類がダメだと判断したら人類を巨人に変え自然の再生を行い…最後は数人の人間だけを残し他を滅ぼさせ、また世界を一からやり直しさせると…。しかもホワイトリドルには時間を操作する等の様々な未知の機能が備わっているのか」
静「そんなとこっすね?…で、今の私達がいる時間軸ではもっとややこしい事になってるって」
ユミル「レイスの先祖がキリエっつーフェアリーの少女をホワイトリドルの一部に組み込んじまってからだ…そしてどうやら、さっきの出来事から察するに、その時キリエだけでなくアリオの霊体も乗り移っちまったらしい」
静「そして…時間を操作し何度も同じ時間を繰り返していると…」
ハンジ「つまり…それ、ホワイトリドルを半分その姉弟に乗っ取られてるようなもんだよね」
静「そうですね?…。まあ、好き勝手やってんのは恐らく弟の方だと思われますが」
歩鳥「…」
歩鳥(きっとその二人も過去に何か酷い事があったんだ…)
歩鳥(助けてあげたい)ギュッ
紺「…」
391:以下、
真田「ところで…俺気になってる事があるんだけど」
真田「亀井堂にある…四足で顔がついた…白い色の球体の置物。あれの名前…リドルじゃありませんでした?」
静「うん…ホワイトリドルという名前からして…それだろうね」
辰野「あ、あの変な置物!?」
歩鳥「じゃあ、私達がここに来たのはやっぱりリドルの力だったのか」
紺「でも、何で私達なんだよ」
静「さっきも言ったけど…たぶんお前だよ歩鳥」
歩鳥「なんで私なのかね…」
静「ま、何を話しても予想の域からは出ない。本人に聞くのが手っ取り早い」
392:以下、
――――――
―――
エレン「…ついた…俺達の故郷…」
ミカサ「シガンシナ区…」
アルミン「…変わり果ててるね…」
ベルトルト「…ごめん…」
ライナー「なんと言えばいいのか…」
エレン「いいっつってんだろ。そういう話はまた後だ」
アニ「…うん」
歩鳥「………」
辰野「これは…酷い有り様ね」
紺「怖いな…」
歩鳥「………」ズズッ
真田「って、おい!?歩鳥泣いてないか!?」
歩鳥「だってさ…こんな光景見たら…悲しくなるじゃん…」ズズッ
歩鳥「きっと皆…普通に暮らしてたのに…」
ミカサ「ホトリ…」
エレン「だからってホトリが泣くことは無いだろ…」
アルミン「そうだよ、落ち着いてほら」
歩鳥「うん…」
ライナー「………」
歩鳥「あ!その…ライナー達を悪く言った訳じゃないよ!あの…」オロオロ
ライナー「え!?いや、わかってるぞ、うん」
ベルトルト「ははは、気にしなくていいよ」
アニ「あんたが感情豊かなだけなのは知ってるから」
393:以下、
エレン「…こっちだ…俺達の住んでた家…」
ミカサ「…」
歩鳥「…あのさ…私、1つ恐ろしい事…想像しちゃったんだけど……」
アルミン「え、なに?」ビクッ
歩鳥「地下室の鍵…忘れてきてないよね!?」
エレン「はあ?ホトリじゃあるまいし忘れる訳ないよ」
辰野「あんただったら忘れてたろうけどね」
歩鳥「ちょっ!人は結構真剣に聞いたのにいつものノリの返答かよ!」
真田「まあ、確かに忘れてたら恐ろしいな…長い距離また往復だ」
394:以下、
アルミン「あった…これが地下室か…」
ミカサ「この中に…」
エレン「…」
エレン(父さんは何でリドルなんてものを地下室に持っていたんだ?ここから先へ行けば…わかるのか?)
ハンジ「エレンくん、開けてくれたまえ」
エレン「はい」ガチャ
歩鳥「いよいよだね」
エレン「ああ」
ガコンッ…
395:以下、
カッ カッ カッ…
アルミン「あ…部屋が見えたよ」
歩鳥「果たしてこの先には…何が待ち受けているのか…!?」
紺「リドルだろ」
歩鳥「いや、うん。まあ…そうなんだけどさ。あれだよ、雰囲気付けだよ」
静「ちょっと拗ねた顔してないの?」
紺「わかったわかった、ツッコミ入れてごめんな」
辰野「最後まで同じ調子ねあんたは」
真田「まあ、それの方が安心だよ」
396:以下、
エレン「…広い部屋に出た」
アルミン「あ…何か置いてある」
ミカサ「白と黒の置物…」
白リドル「…」
黒リドル「…」
歩鳥「リドルだ!」
真田「白と黒の二種類がある…」
静「うちの店にあったのが…この白い奴だね?…」
リヴァイ「黒い方は何なんだ?」
静「なんだっけ?確かユミルから前に聞いた話なら…黒いリドルはレイスの先祖が白リドルを元に作った『記憶や意志を読み取る力』を持ってる奴だっけ」
ユミル「そうだ…キリエの意志とはそれを通し会話していた」
歩鳥「…」
歩鳥「記憶を読み取る力って…事は…」
歩鳥「この黒いリドルに触ったら…エレンの中にあるお父さんの記憶も蘇るんじゃないの?」
エレン「!」
アルミン「あ、本当だ!」
静「久しぶりに冴えてるな」ポンポン
歩鳥「いやいや、それほどでも」
397:以下、
エレン「その通りだな…試してみるよ、ホトリ」
ミカサ「さすが名探偵」
歩鳥「うん!」
静「で…アリオくんは?」
紺「そういや…来いって行ったのに…」
歩鳥「…このホワイトリドルに話しかけてみよう」
白リドル「…」
歩鳥「おい、アリオ!来てやったぞ!返事しなさい!」
白リドル「…」
ズキンッ
歩鳥「…うっ!?」ガクッ
辰野「!」
紺「歩鳥!?」
真田「大丈夫か!?」
静「どうした!」
歩鳥「…大丈夫…呼ばれた…だけ…」
紺「え!?」
歩鳥「…行ってくるね…」ヘヘ
真田「おい、嵐山!?」ガシッ
紺「どうしたんだよ!?」グイッ
辰野「ちょっと歩鳥!?」ガシッ
静「あ…」
カアアッ!!!
ドサッドサッドサッドサッ
歩鳥「…」
真田「…」
辰野「…」
紺「…」
静「おい、四人とも!どうした!?」
ジャン「…!なんだ!?どうした!?」
サシャ「な、何があったんですか!?」
エレン「おい、お前らどうした!」
ユミル「…たぶん…白リドルの中にいるアリオにホトリが呼ばれたんだ。意識を中に連れていかれたんだろう…サナダ、フタバ、タッツンの三人もホトリに触れていたせいで巻き込まれたんだ」
静「!」
ヒストリア「大丈夫なの…!?」
ユミル「それは…あいつら次第だろ」
398:以下、
――――――
辰野「…う…」
真田「ここは…どこだ?」
紺「また変なとこに来ちまった…」
歩鳥「…この建物…何か書いてある…」
辰野「え?」
歩鳥「…外天楼…?」
「…ここは俺がリドルの力を使い作った仮想空間…君たちの意識は今リドルの中にある」
真田「!!」
紺「誰だ!?」
歩鳥「…まさか…あんたが…」
ザッ…ザッ…
アリオ「やっと会えたね…歩鳥」
キリエ「…」
401:以下、
―――――
黒リドル「…」
エレン「…こいつに触れれば…父さんの記憶が、蘇るかも知れない…」
ミカサ「…」
アルミン「…」
ヒストリア「…私もいい?」
アルミン「ヒストリア」
ヒストリア「レイスの…先祖の事がもっと詳しくわかるかも知れないから」
エレン「そうか…よし、行くぞ」
ヒストリア「うん」
ジャン「…」
サシャ「…」
コニー「…」
エレン(父さん…俺はここまで来た……父さんの知っている全てを見せてくれ)
ペタッ…
ビリッ!!!
402:以下、
エレン「…う…」パチッ
ヒストリア「な、なに?何が起きたの?」
グリシャ「…久しぶりだな。エレン」
エレン「!父さん!?」
フリーダ「…ヒストリア…覚えてる?」
ヒストリア「あ…全部思い出した…フリーダお姉さん!」
ウーリ「ここは黒リドルにより作られた君の中に眠る記憶と精神の世界だよ…エレン。ヒストリアも来てしまったみたいだがね」
「俺もいるぜ」
ウーリ「!」
ヒストリア「え!?」
ケニー「…まさかと思って…俺もこっそりエレンに触れてたんだ。まさか予想通りお前に会えるとはな…ウーリ」
ウーリ「ケニー……相変わらず面白い男だな」フフ
グリシャ「ここにはエレンの中にある…今まで座標を引き継いできた様々な人間の記憶もある。だからレイス家の人間の精神体もいるんだ」
ヒストリア「そうなんだ…」
エレン「…理屈はわかった。でも今知りたいのは…父さんが何故、リドルを持って地下室にしまっていたのか…」
ヒストリア「あと、レイスの先祖の事をもっと詳しく知りたい」
403:以下、
世界中で人間同士、人間とフェアリー、フェアリー同士と様々な争いが起きていた混沌とした時代…
世界の平穏の為に戦っていたグリシャだったが…ジークとの激しい戦いの末行方不明となっていた。
グリシャ「…う…」
ジーク「よう、目が覚めたかい。兄貴」
グリシャ「ジーク…」
ジーク「……なあ……」
ジーク「もう人間なんか見捨てちまえよ。奴等は敵だけでなく自然もお構いなしに焼き払ってんだ。超大型巨人になる薬を大量の人間に使ってな」
グリシャ「…お前の仲間にも超大型巨人の力を持つ奴はいるだろう」
ジーク「…俺達はなるべく自然まで巻き込まないように気は使ってるよ。敵の超大型巨人に対抗するために使ってるまでだ」
グリシャ「…ジーク…憎しみをぶつけるだけでは何も解決しない」
ジーク「人間は世界を身勝手に壊す…だから俺が制裁を加える。それだけだ」
グリシャ「それで本当に平和になれると思っているのか!?」
ジーク「ああ。人間がいなくなりゃ平穏は訪れるさ」
ジーク「そういや…ユミルはどうしてんだ?ユミルの民とかいう様々な種族の混じった奴等を束ねて反戦活動してたらしいが…」
グリシャ「…協力してくれる者もいるが…やはり差別や迫害が大きいらしい」
ジーク「当然だ。人間は他人を理解するより差別する方が大事なんだよ」
グリシャ「…お前って奴は…愚かな…」
ジーク「なんとでも言えよ」
404:以下、
グリシャ「…もうすぐ……ホワイトリドルが発動するらしい」
ジーク「ああ。知ってる。前にお前からそいつの存在を聞かされてるよ」
グリシャ「なら、なぜ愚かな戦いを続ける」
ジーク「兄貴よ…人間は昔から人間同士で殺し合いしてた…ずっとどこかでな。何度殺し合っても学ばない…愚かな生き物なんだ」
ジーク「そして、その人間を潰すために俺達は人間を攻撃してる…そんな状況でも思想や宗教等の違いで人間同士は殺し合いを続けている」
ジーク「例え俺がいなくたって…ホワイトリドルが発動する運命だったさ」
グリシャ「…人間が一斉に巨人になれば…俺達のような自意識を持つ人工生命体も、恐らく人間として認識され喰われるぞ?」
ジーク「だからなんだ」
グリシャ「…俺は…ホワイトリドルの機能を停止させる手段を考えているんだ。未知の素材が使われていて…今の人類の力では、ある程度の分解は出来ても、機能停止させるまで破壊することはできない。そもそも破壊すれば何が起きるかもわからない…」
グリシャ「だが、このままリドルを発動もさせたくない」
ジーク「…だから…人間が一切いなくなりゃ…それも機能しなくなるだろ」
グリシャ「確かに…人類を管理するためのプログラムだからそうかも知れない。だが、俺は…人類を救うために停止させたいんだ」
ジーク「は…っ、そこまでしたいかね」
405:以下、
その後…グリシャがユミルの村から離れている隙に「ユミルの民」は一斉攻撃を受け村を焼き払われてしまい…ユミルの民により管理されていたブラックリドルが奪われてしまう。
そして、それと同時にホワイトリドルが発動
世界中の人間は巨人になって行き…巨人にならなかった人間は巨人達により喰われていった。
グリシャ「…俺は、無くなったブラックリドルを探す。世界を救う何かの鍵になるかも知れない」
グリシャ「…お前はユミルの民を連れて巨人から逃げるんだな」
ユミル「…死なないでね…」
その後…グリシャは行方不明となった。
そして…
406:以下、
グリシャ「…人工生命体にも色々あってな…私達『タイタン』は年を取るのが非常に遅いタイプだった」
エレン「…」
それから数十年後…
壁の世界にグリシャは訪れる。
ブラックリドルと共に。
407:以下、
グリシャ「…そして…俺はブラックリドルを通じてキリエから様々な話を聞いたよ」
グリシャ「ホワイトリドルは全てではないが、機能の一部を乗っ取られているみたいだった」
グリシャ「アリオという男にな」
ヒストリア「ホトリを呼んだ人…」
グリシャ「そして…キリエはこう言っていた」
キリエ『もう終わりにしたい…アリオを止めてあげたい。このホワイトリドルによって繰り返される歴史も止めたい…でも、どうしたらアリオを…ホワイトリドル止められるのか…』
キリエ『…私は…昔……出会った。歩鳥という子に……リドルを通じて。あの子は優しくて、人間味の溢れている子だった。周りも…あの子がいるだけで明るくなっていた』
キリエ『アリオやリドルを止めるためには…力じゃいけないと思うの。歩鳥みたいな優しい子こそが必要だと思う』
キリエ『…賭けてみようと思う…』
キリエ『時間を越えて…あの子を呼んでみよう…』
グリシャ「…俺は…ホワイトリドルの機能を停止させるにはどうすればいいか考えた」
グリシャ「…キリエはホワイトリドルを通じ座標を持つものと交信することも出来た。だから…俺はキリエとリドルを通じて…フリーダ・レイスと対話したんだ」
ヒストリア「え!?」
フリーダ「…もう終わりにしたいから…レイスに座標を受け継がせる必要はないって」
フリーダ「だから私はあの日…わざと負けて食われた」
ヒストリア「…」
408:以下、
エレン「それで…何で、俺に力を渡したんだ?」
グリシャ「ああ…巻き込んでしまって悪い」
グリシャ「…俺はキリエとアリオの事から1つの結論を出したんだ……もしかしたら」
グリシャ「人工生命体や人工生命体とのハーフの人間なら…ホワイトリドルの機能に干渉しやすいのでは無いかと」
エレン「!?」
グリシャ「だから俺はエレンに喰われる事で…座標を持つお前の中の一部になり…そこからホワイトリドルに近付こうとした」
グリシャ「そして…お前に継がせたのは…もしも人工生命体やそれとのハーフがリドルと干渉しやすいのならば…先代血筋が同じでなくとも座標の力を使えるのでは無いかと思ったからだ」
グリシャ「そして、前に礼拝堂の地下で…その一端を見せたよな。俺の予想は当たっていたようだ」
エレン「…だから…俺に力を…」
グリシャ「しかし、1つ問題がある…アリオの存在だ。彼はホワイトリドルに眠る一部の機能を支配している」
グリシャ「彼を何とかしなければ…ホワイトリドルを完全に止めることは出来ない」
409:以下、
ケニー「ところでよ…この壁を作ったレイスの先祖は結局なんなんだ?」
ヒストリア「うん…」
ウーリ「…この壁が出来てからの初代レイス…彼は元々科学者だった」
ヒストリア「それは…ユミルから聞いた」
ウーリ「彼は実は…人工生命体と人間のハーフなんだ」
ヒストリア「え!?」
ウーリ「だから…人工生命体の血が濃い彼の意思は強く残り…後の我々レイスの子孫の意思に干渉してきていたのだ」
ケニー「そうだったのかい…」
ウーリ「キリエとアリオをホワイトリドル取り込み…神として崇めフェアリーを過剰なまでに神聖化する宗教のようなものも作っていたらしい」
ウーリ「彼は人間を救いたいと思いつつも争いを続ける人間に絶望もしていた…2つの感情を抱いていたのだ。しかし、次第に絶望の感情の方が大きくなっていた」
ウーリ「恐らく彼は…完全なフェアリーになりたかったのだろうな」
410:以下、
―――――――
―――
キリエ「…」
アリオ「…」
歩鳥「…最初に1つ…いいかな…」
歩鳥「キリエちゃん。なんで…私を呼んだの?」
キリエ「…歩鳥なら…救ってくれると思ったから。あなたは優しくて…周りを明るくする不思議な力を持っているから」
歩鳥「…ちょっと照れるな…」ポリポリ
辰野「照れとる場合かっ」
キリエ「それに…ずっと見てきたから」
歩鳥「…ああ…リドルの中から?」
キリエ「うん…」
アリオ「…姉ちゃんは優しいから…そんな甘いこと言うけど…」
歩鳥「!」
アリオ「俺は違う。ずっと平穏に暮らしてきた人間に…何が救えるってんだ」
歩鳥「…アリオくんは…何で私を呼んだのさ」
アリオ「話してみたかったからだ。姉ちゃんがやけに気に入ってる歩鳥とかいう奴に」
キリエ「…」
411:以下、
アリオ「歩鳥……君は自分が生まれてきた意味がわかるか?」
歩鳥「はあ?」
アリオ「君は…家族に必要とされ生まれてきたのか?」
歩鳥「……私はそうだと思いたいけど」
紺「何が言いたいんだよ」
アリオ「俺は姉ちゃんが生まれてきた理由を知ってるか?俺は…何のために生まれてきたか…知ってるか?」
キリエ「…アリオ…もういいから…」
ザザザッ!
真田「うわ!?」
歩鳥「わわ、なんか勝手に頭の中に映像が浮かんでくる!」
紺「こ、これは…!?」
辰野「や、やだ…やめて!」ガクッ
アリオ「…ごめん…無理やり見せる気はなかったんだ…だが…感情が抑えられなく…勝手に映し出してしまったようだ…」
キリエ「…」
真田(…ある学者が自分の娘の細胞を使い、娘と同じ姿をしたフェアリー…それがキリエ。そして…)
真田(その学者が精神的に参った時、キリエを無理やり……)
真田(そして生まれてきたのが…)
紺「うう…っ!」
辰野「み、見たくなかった…っ」ウプッ
歩鳥「…アリオ…」
アリオ「なあ…歩鳥…答えてくれ」
歩鳥「!」
アリオ「俺は…俺達は、何のために生まれてきたんだ!?」
412:以下、
歩鳥「………っ」ギュッ
アリオ「…」
キリエ「…」
アリオ「…答えられないか?歩鳥…」
キリエ「いきなりそんなこと言われて…簡単に答えられる訳が無いじゃないの…」
アリオ「…」
歩鳥「…アリオ、でも…あんたはリドルに囚われてから、必死に自分達の運命を変えるため、リドルの力の一部を支配してきたんでしょ?」
アリオ「…」
歩鳥「つまり、アリオは…普通に生まれて普通に生きたかったんでしょ!?生まれてきた意味じゃなく…自分がどう生きたいかが大事なんじゃ…ないかな。意味は、生きながら作るものじゃないのかな」
アリオ「…そんな言葉で納得いくと思うのか?俺は信じていたものを…ずっと過ごした人生を否定されたに等しい…」
アリオ「姉ちゃんは…ずっと子供の姿のままで、フェアリー用の電池がないとすぐにボロボロになる脆い体だった……そして、姉ちゃんはずっと……どんな気持ちで生きていたのか」
キリエ「…」
歩鳥「…ごめん…」
413:以下、
アリオ「…このホワイトリドルに取り込まれてから…様々な人類の歴史も見た」
歩鳥「…」
アリオ「酷い有り様だった……最後は結局、人間が世界や他の生き物…同じ人間を滅ぼして行き……そして、最後は人間全て巨人にされ、終わる」
キリエ「…」
アリオ「歩鳥…お前は言ったな?ジークに…人間を信じようと」
アリオ「だが、人間は何も学ばず自然や命を破壊し続け…何度も滅びを繰り返し、そして…俺達のようなものまで生み出してしまった」
アリオ「人工生命体?ふざけるなよ…自分を何様だと思ってやがる。人間がそんな領域に踏み込んでいいとでも思っているのか?」
アリオ「そして、最後は人工生命体に反逆され世界中で争いが起きた…自分達の尻拭いも出来ない、バカな連中だ」
真田「…」
紺「…」
辰野「…」
歩鳥「…」
アリオ「そして俺と姉ちゃんはそんな世界は嫌だし…自分達も…人間として生まれたかった。だから何度も時間をやり直しさせた…でも、結果は変わらなかった」
アリオ「俺はもう…人間を信じられなくなってきた…」
アリオ「歩鳥…お前だって、いつまでも自分がそんな人のいい性格でいられると思っているか?自分には負の感情は一切ないと思っているか?」
歩鳥「…」
アリオ「…お前の優しさは本当のものなのか?偽りのものじゃないのか?」
キリエ「アリオ!」
414:以下、
キリエ「そうやって…口では言うけど、アリオだって…結局今も…普通の人間として生まれたかったと、思っているでしょ?」
アリオ「…」
歩鳥「…」
真田「嵐山…」
歩鳥「…ごめん…考えが、まとまらない」
アリオ「…」
歩鳥「でも…私は、二人とも…こんなものにいつまでも囚われてるんじゃなく…楽になって欲しい……」
歩鳥「…だからキリエは私を呼んだんでしょ?」
キリエ「…うん…」
アリオ「俺は…まだ、そんなつもりはない」
辰野「あ、あなたねぇ…っ」
歩鳥「いいよ、タッツン。…私は…二人を救いたい」
紺「お前…」
アリオ「…」
アリオ「歩鳥…お前を1つ試そう」
歩鳥「え?」
アリオ「君のその気持ちが本物なのか」
415:以下、
アリオ「…歩鳥1人で来てもいいし皆で来てもいい…この建物を入り屋上まで来るんだ」
紺「…?」
辰野「それだけ?」
アリオ「…そして、その道中には様々な人類の醜い歴史が映し出されている」
歩鳥「!」
アリオ「目を背けたくなるようなものばかりだ…その中を通り抜け…屋上まで来い。俺はそこで待っている」
アリオ「まあ、無理なら無理でいいよ…別に。途中でも呼べば助けてあげるから」
歩鳥「…」
アリオ「ただし、俺を最後まで説得できないようなら…歩鳥はこのホワイトリドルにずっと居てもらう」
歩鳥「!?」
真田「はあ!?」
キリエ「アリオ…!何もそんな!」
アリオ「…じゃ、屋上で待ってるよ」
フッ
416:以下、
真田「ど、どうすんだよ…」
紺「歩鳥、行くのか?」
歩鳥「…うん、行くよ」
辰野「怖いんだけど…何が映し出されるのよ」
歩鳥「無理なら目をつむってていいよ。私だって本当は見たくないし」
歩鳥「無理になったら私が引っ張ってあげるからさ」
417:以下、
ガコン…
歩鳥「みんな…心の準備はいい?」
紺「う、うん…」ギュッ
歩鳥「先輩、いきなり私にしがみついてんじゃないっすか…」
辰野「せ、先輩は本当に…怖がりなんだから…ねえ」ガクガク
歩鳥「タッツンもじゃん」タハハ
真田「…俺は、耐えてみせるぞ…。最後まで、行ってみせる…」
ザッザッザッ…
ダダダダダダッ!!
辰野「ひっ!?」ビクッ
歩鳥「さっそく来たか!」
ぎゃあああああ!!
あああっ!!!
辰野「うわあ!怖い!」
紺「いきなりひでえ映像流しやがる…!」
真田「うう…っ」
歩鳥「きついねえ…こりゃ」
歩鳥(でも…最後まで行かなきゃ)
418:以下、
ドオオオオオンッ!!ボオオオンッ!!!
ゴオオオオオ…ッ
真田「ぐうっ」
辰野「きゃああ!」ビクッ
紺「う…こ、怖く…ねえ…」ボロボロ
歩鳥「…ふう…っ」ダラダラ
助けて……助…け…
辰野「うぷ…っ」ガク
歩鳥「タッツン!?」
辰野「ごめん…もう…無理…」グスッ
歩鳥「…わかった。私の手につかまって。目えつむってていいから」
辰野「本当ごめん…」
歩鳥「いいんだよ。無理に見ることない」ギュッ
真田「…嵐山は、強いな…」フラッ
真田(俺もちょっとヤバい…)
419:以下、
ああああああ!!
うあああ…っ
神様…っ!!
パアンッ パアンッ !!!
紺「はあ…はあ…ううう…っ!」ボロボロ
紺「もう、見たくない…」フラッ
歩鳥「…先輩も無理しなくていいよ。怖いなら目えつむって」
紺「ごめん……」パチッ
歩鳥「真田は?」
真田「俺は…大丈夫、だ…っ!」ゼエゼエ
歩鳥「…無理してない…?」
真田「嵐山だって無理してんだろ…」
歩鳥「…ははは」
歩鳥「じゃあ真田…タッツン任せたよ。私は先輩引っ張って行くから」
真田「うん」
歩鳥(…こんなとき…静ねーちゃんが居れば頼りになっただろうに…)
歩鳥(でも、今は居ないから仕方ない…私達だけで何とかしなきゃ!)
420:以下、
――――――
屋上
アリオ「…」
キリエ「…何も…あんなの見せなくても良いじゃない…」
アリオ「俺は無理に見ろとは言ってない。説得したければここまで来いって言った…それに呼べば助けてやるとも」
キリエ「…でも、歩鳥をこのホワイトリドルにずっと居させるって…」
アリオ「姉ちゃんの為に言ったんだ」
キリエ「…ねえ…アリオ」
アリオ「なに?」
キリエ「あなた…本当は……」
アリオ「…」
ガチャ…
アリオ「!!」
キリエ「!」
アリオ「…まさか…本当に…」
ザッ…
歩鳥「へへ…来てやったよ…アリオ」フラッ
421:以下、
真田「タッツン!もう目え開けても大丈夫だぞ!」
辰野「うう…音だけでもキツかった…ごめん、真田くん」
真田「いや、いいって。俺ももうヤバいから…」ガクガク
紺「…お…屋上ついたか?」ブルブル
歩鳥「着きましたよ、安心してください」
アリオ「…まさか無事に最後まで来るなんて…」
歩鳥「全然無事じゃないわ!何度か戻しかけたわ!!」
422:以下、
歩鳥「…で、私ゃちゃんと来たよ。何か言いたいことはある?」
アリオ「………」
アリオ「…なんで…そこまで…」
歩鳥「…あのさぁ、アリオ…私、なんとなく気付いたんだけどさ…」
アリオ「…?」
歩鳥「あんた…こうやって心配してあんな場所からも来てくれる人間を…待ち望んでたんじゃないの?」ザッ
アリオ「な…っ?」
歩鳥「人間不信なようなこと口では言うけど…本当はそんなことは無いんだよね」ザッ
歩鳥「ねえ、アリオ…あんた。最初下で会った時より体小さくなってるよ」
アリオ「!?」
歩鳥「…子供の頃が楽しかったから…またあんな楽しい毎日に戻りたかった」
キリエ「…」
歩鳥「…自分の存在を認めてくれる人間にいてほしかった。お姉さんと普通の人間として生活していたかった」
歩鳥「…ただ、それだけだよね?難しい話なんか並べず正直に言いなよ」
アリオ「………」
423:以下、
辰野「…」
真田「…」
紺「…」
キリエ「アリオ…もう、いいでしょ?」
アリオ「く…う…っ」
アリオ「俺は…」
ギュッ
アリオ「!」
歩鳥「辛かっただろうね…でも、私には…何もできない……ごめんね…」グズッ
アリオ「な…泣いてんのか!?なんで…」
真田「…」
アリオ「俺は…今までさんざん好き勝手やって…あんた達には…あんな映像を見せて…」
歩鳥「本当にね…一発叩いてやりたい気持ちもあるけど」グズッ
辰野「おいっ」
キリエ「…」
歩鳥「…でもさ…世の中には完璧な人間なんていないよ…あんたも含めてさ」ポンッ
アリオ「!」
歩鳥「人間なんて弱い生き物だよ………だから、悪いことだってやるし」
歩鳥「でもね、変わる事だって…頑張ればきっと出来るから」
アリオ「…」
歩鳥「えーと…まあ、何と言えばいいのか…いい言葉が思い浮かばんけど…」
歩鳥「あんたも人間だよ、アリオ。誰がなんと言おうと私が認めてやる」
アリオ「…うう…っ」
キリエ「…」ギュッ
424:以下、
アリオ(俺は……誰かに…人間として認めて欲しかったのか……)
歩鳥「もういつまでもホワイトリドルなんてのに居ないで…楽になりなよ。こんなとこ居たって苦しいでしょ」
アリオ「……」ズズッ
歩鳥「大丈夫、私はずっと覚えていてあげるからね。だから安心しなよ?」
アリオ「…でも…もし、君たちが元にいた世界に戻れば…その記憶は全て消えるんだ」
歩鳥「あ、そうなの!?じゃあ…」
歩鳥「そんときゃ生まれ変わって私んとこ来な!『忘れんなアホー!』って!」
キリエ「ふふっ…」
紺「簡単に言うよお前は…」
辰野「生まれ変わってって…」
アリオ「…お前は…アホだな…」グイッ
歩鳥「んえ!?ショック!」
アリオ「でも…」
アリオ(何故だろうな…心が楽になってきた)
425:以下、
アリオ「俺は…バカだった…自分勝手にやって…姉ちゃんにも迷惑かけて」
キリエ「…」
アリオ「ごめん…」
歩鳥「気にすんなって。だいたい最初は無理矢理ホワイトリドルに取り込まれたんでしょ?」
アリオ「そうだけど…」
歩鳥「過去の事あーだこーだ言ったって…何も変わらないよ」
アリオ「…」
キリエ「私も歩鳥達を勝手に連れてきて…ごめんなさい」
歩鳥「いいっていいって。楽しい事だってあったしね!!」
歩鳥「…もう…気はすんだ?」
426:以下、
――――――――
―――――
――
訓練兵団食堂
歩鳥「はい、という訳で!明日リドルの力を使って私達は元の世界に帰り…ホワイトリドル機能停止作戦が決行されるわけですが!!」
歩鳥「今夜は私達と104期の皆のお別れ会をしようと思う!今まで皆ありがとー!明日のお別れまで…存分に楽しもうではあるまいか!!」
エレン「あいつ泣き笑いながら喋ってるよ」
ミカサ「ふふ…」
アルミン「寂しくなるね…」
歩鳥「それでは皆…」
歩鳥「めいどっ!!」ビシッ
辰野「乾杯じゃないのかよ」ビシッ
紺「おめーはアホか」ビシッ
ヒストリア「ちゃんとしようよ最後くらい」ビシッ
歩鳥「ひいいいん、三人から同時にツッこまれた!!しかもヒスちゃんまで!!」
静「はいはい、かんぱ?い」
427:以下、
真田「まあ、いつかは別れる時が来るのはわかってたけど…寂しいなやっぱ」
ジャン「ああ…」
ライナー「お前とは訓練兵団で色々な話をしたよな…エ口本とか」
真田「ブッ!!?」
ライナー「ベルトルトもエ口本の話してるとき興味無さそうなこと言いながらソワソワしてたもんな」ハハハ
ベルトルト「な、な、何を言ってるんだライナー!!エ口本なんて!!」
ジャン「デカイ声でエ口本とかいうなよ。聞こえるぞ」
アニ「…」ジロッ
ベルトルト「うわあああ!アニに見られてる!!」ワアアア
ライナー「す…すまん…」
真田「大丈夫だって。俺なんか現物を見られたからよ」ポンッ
歩鳥「ベルトルトでかい声で恥ずかしい言葉叫んだよ。全くエ口ユキのツレはやっぱエ口エ口だね」
辰野「年頃の男子はあんなもんよ」
428:以下、
歩鳥「ところで…結局壁って何で出来てたの?」
静「前に予想した通り巨人だよ…グリシャさんとレイスの記憶が蘇ったエレンくんから聞いた」
静「彼等は戦争で大量に量産された大型巨人らしい…そしてその技術を封印させるため、その力を使い巨人達を壁にし存在を無いものにしたんだ」
歩鳥「その巨人達は、これからどうなるのかな…」
静「ホワイトリドルが機能停止したらリドルにより生まれた無知性巨人も壁も消えるらしい……その時、その壁にされた大型巨人達も機能停止させてやるらしいよ。100年以上も壁にされていたんだ…ほぼ無知性の状態で人間にも戻せないらしいし」
歩鳥「…そっか…」
静「そんで、前に私の首しめてきたのはやっぱり初代レイスの亡霊だったみたいだよ。私の勘が当たったから…」
静「キリエちゃんが私達を呼んだのは……謎に気づく事で歴史の流れを変えてくれるかも知れないと思ったのもあるかもね」
歩鳥「うん」
静「ま、今はそういう話より、皆と楽しみなよ。今日明日で最後だよ」
429:以下、
サシャ「コンセンパイ…お別れなんて寂しいです…」
コニー「せっかくコンセンパイと友達になったのに…」
紺「悲しむなよ…二人ともありがとうな。てか、センパイの部分は名前じゃねーけどな」
サシャ「タッツンともこれで最後なんですね…」
コニー「タッツンはツンツンしてたけどいい奴だったよ…」
ニ「ありがとうね、タッツン。忘れないよ」
辰野「うん、元気でね」
辰野「…てか、今更言うのもあれだけど、私は最後までタッツンなのね…まあ、もういいけども」
静「タッチャン…最初は気味悪がってあまり関わろうとしてなかったのに、ここでの友達も増えたよね。私も嬉しいよ」
辰野「タッチャンじゃなくてタッツン…じゃなくて辰野です。てかわざと言ってませんか?」
430:以下、
歩鳥「サシャ…コニー…楽しかったね、色々な思い出…」
サシャ「はい…」グズッ
コニー「座学で教官の似顔絵を書いたり…立体機動で木の枝に凄い動き発明して教官に怒られたり…」
サシャ「夜中にお腹空いてホトリと食糧庫に忍び込んで失敗したり…」
歩鳥「タッツンの無くなった立体機動装置を探してたら実は単に私が間違えてタッツンの使ってただけだったり………寝てるジャンに落書きしたりしたね」
コニー「ああ…そんなこともあったな」ハハ
ジャン「ちょっと待て!寝てる間に落書きってなんだコラ!?」ガタッ
歩鳥「ちゃ、ちゃんと消したよ…さすがに残すなんて酷い事はしないって」
ジャン「そういう問題じゃないだろ!?」
歩鳥「申し訳ありませんでした…」
ヒストリア「三人とも子供みたいな思い出ばっかりだね…」ハハハ
431:以下、
歩鳥「ヒストリアも自然体になって来たし…私も安心して帰れるよ」
ヒストリア「うん、ありがとう」
辰野「最近のあんた良い感じだよ」
ヒストリア「ホトリやユミルのおかげだよ」
静「このまま性格が歩鳥に似てきちゃうかもな?」アハハ
ヒストリア「ん…と、それはちょっと…」
歩鳥「返答に困った顔すんなよ!?」
紺「ははは」
歩鳥「そんで紺くんはユミルとは気が合わないままだったね」
紺「な、別にいいだろ」
ユミル「私も別にホトリみたいに友達いっぱい欲しい訳じゃねえよ」
コニー「よし、二人で腕相撲でもしろよ」
紺「え??」
ユミル「何でだよいきなり」
歩鳥「激戦の末、目覚める友情か」
ヒストリア「いいね、見てみたい」
ユミル「ヒストリアまで言うか…っ」
歩鳥「先輩とユミル、どっちも意外と力強いからどうなるかわからないね」
辰野「先輩は下手な男子の数倍強いからね」
歩鳥「やっぱ双葉は男だった…」
紺「おい、歩鳥、辰野。お前らも後で相手してやるから覚悟しとけ」
歩鳥「ひえっ!?」
辰野「私まで!?」
432:以下、
歩鳥「そういえばさ、ホワイトリドル止めるのってエレンの力を利用するんでしょ?」モグモグ
エレン「そうだよ」
ミカサ「ホトリ、パンをモグモグしながら喋らない」
歩鳥「それってさ…何か、大丈夫なの?危険とかはない?」
エレン「ああ…父さんが考えた方法で…座標を通して俺の精神をホワイトリドル内部の機能の中枢まで送り内から破壊する作戦らしいけど」
エレン「もしかしたら…破壊できても俺の精神も二度と戻って来れなくなるかも知れないらしい」
ミカサ「…」ギュッ
歩鳥「え!?何それ!?」
アルミン「…言っちゃったね、エレン…ホトリなら騒ぐだろうから黙っておこうって言ってたのに」
エレン「やっぱり、嘘ついたり黙ってるなんか出来ないよ」
歩鳥「…」
エレン「そんな顔すんなよ。心配するな、必ず成功させて帰るさ」
エレン「だから…お前は俺を信じて明るく居ろよ。そっちの方が俺も落ち着く」
歩鳥「…うん、わかった。頑張れよ!」
エレン「おう」
433:以下、
ジャン「…最後まで騒がしい奴だったな。ホトリは」
真田「うん」
真田「でも…あいつが居ると空気が明るくなるんだ」
ジャン「…そうだな。ま、頑張れよ」ポンッ
真田「はは、お前もな」
アニ「…私達はいったん故郷に帰るつもりなんだ」
ライナー「ああ。まずは故郷の人間達を説得しなけりゃならんからな」
辰野「そっか…大変だろうけど、頑張ってね」
ベルトルト「うん」
真田「いつか皆、分かり合えたらいいな」
ライナー「ああ…いつかな…」
アニ「…」
辰野「ま、辛気臭い話は今はよそうよ」
アニ「うん」
434:以下、
歩鳥「…さてさて、お食事も終わったところで…私に1つ面白い提案があります」
エレン「おう、なんだ?」
アルミン「面白い提案?」
静「な?に?」
歩鳥「ジャーン!これを見てみそ!」
黒リドル「…」
辰野「それ!リドルじゃないの!」
歩鳥「そそ、ブラックリドルは単に意思の通信機能や記憶解読機能があるだけだから別に危険がないというわけで破壊はしません…という訳です」
歩鳥「まあ、正確には捨てられようとしてたのを私が鼻水と涙たらしながら欲したら『まあ危険物ではないし』とくれたのであります」
静「鼻水涙流してまで欲しかったかよ???」
真田「何に使うんだよ?」
ジャン「玩具ではねえぞ?」
歩鳥「ふふふ…アルミンくん。この黒リドルの持つ機能は何かな?」
アルミン「えっと…だから、記憶の読み取り…」
歩鳥「それだ!」ビシッ
アルミン「え!?」ビクッ
歩鳥「ユミルの話だとこいつは記憶の『保存』も可能らしい」
ユミル「ああ」
静「ははあ??…にゃるほど。あんたの考えは読めた!」
アルミン「もしかして…」
ジャン「そいつに俺達の記憶を保存して…時代を越えた先にいるホトリ達の元まで届けようって訳か」
歩鳥「その通り!皆の記憶をこいつに保存してどっかに隠す………そして歴史を越えいつか、私達の生きている時代にもこいつが残っていれば…私の住む町にこいつが流れて来て、また記憶として皆と再会出来るかも知れないじゃないか!」
紺「へー…面白そう」
辰野「あんたにしちゃいいこと考えるじゃん」
歩鳥「えへへへ、もっと誉めて」
静「うん…私達のいる世界がこの世界の未来だと仮定すれば…可能かも知れんな」
アルミン「本当に上手く行くかは運もあるけど…」
歩鳥「いいじゃんいいじゃん!やってみよう!」
435:以下、
歩鳥「ついでに、よく一緒にいた私達メンバーの名前をリドルの裏に掘ろう」クルッ
マルコ「掘れるの?」
歩鳥「ブレードでは無理だった」
ヒストリア「もう試したんだね…」
マルコ「どうするの?」
歩鳥「ふふふ…私の天才頭脳は何でも閃くのだよ」
ジャン「勿体ぶらんでいいからさっさと言え」
真田「まあまあ」
歩鳥「エレンくん!硬質化の力でちょうどいいサイズの刃物を作ってくれたまえ!」
エレン「そんな事に巨人の力使わせる気かよ!?まあ別にいいけどさ!」
アルミン「でも、確かに硬質化の力で作った刃物なら掘れるかも…」
ミカサ「私とエレンの名前は是非くっつけて欲しい」
歩鳥「もちのろんだよ!」
辰野「じゃあ私は…」
紺「落ち着け」
バシュウウウウウ…
エレン「ほら、作ってやったぞ…これでいいか?」
歩鳥「お、ちょうどいいね!サンキュー!」ガリッ
ライナー(本当に硬質化で作るとは…平和的な巨人の使い方だ)
436:以下、
辰野「うーん、でも歩鳥が掘るのは心配だわ」
静「な?んか失敗して取り返しのつかないことになりそうだもんな??」
真田「そういう事言うな………と、言いたいとこだが否定できない……」
歩鳥「うん、自分でも思った」
紺「思ったんかい」ベシッ
歩鳥「じゃあ、ここは手先の器用なアルミンに任せよう」
アルミン「え、ぼく!?」
ミカサ「うん、アルミンなら安心」
ジャン「アルミンなら心配いらないな」
エレン「頼んだぜ」
アルミン「うん…結構責任重大だなぁ…」
歩鳥「大丈夫大丈夫」ポンッ
アルミン「わ、ちょっと今は触らないで!」
歩鳥「す、す、すみませんでした…っ!」ガクブル
辰野「あんた本当に抜けてるわね…」ハア
437:以下、
ガリッ ガリッ ガリッ
ガリッ ガリッ………
アルミン「ふう…あとはユミルの名前を掘って……完成だ」
ユミル「…私のとこは、ユミルの民と書いておいてくれ」
アルミン「え?」
コニー「何で?」
ユミル「ユミルの民の理想は…争いを無くし和解させることだった。ホトリはそれを一歩進めさせてくれた。その礼みたいなもんだ」
歩鳥「ははあ、なるほどね」
438:以下、
アルミン「…出来た」フウ
歩鳥「おー、すごい!」
エレン「上手く掘れてるじゃねぇか」
ヒストリア「さすがアルミンだね!」
ジャン「うん…まあ、悪くねえな」
真田「こいつとまた会えるかも知れないと思うとワクワクするな…」
辰野「見せてみ?…」チラッ
辰野「って、なんじゃこりゃあああああ!?」
歩鳥「うわ!?突然なに1人ツッコミしてんだよ、タッツン!?」
ライナー「何か不満でもあるのか?」
静「変なとこは別に無いと思うけど?」
辰野「見て!ちゃんと見て!」
『リドルの裏に掘られた文字』』
エレン・イェーガー
ミカサ・アッカーマン
アルミン・アルレルト
ジャン・キルシュタイン
マルコ・ボット
コニー・スプリンガー
サシャ・ブラウス
ヒストリア・レイス
ホトリ・アラシヤマ
タッツン
ヒロユキ・サナダ
シズカ・カメイドウ
フタバ・コン
ユミルノタミ
辰野「なんで!私だけ!タッツンなんだ!」
439:以下、
アルミン「あ…ごめん!いつもの癖でつい…」
ミカサ「ごめんなさい…もうタッツンが定着してしまっていて…」
マルコ「でも…タッツンっていいアダ名だと思うよ…?」
辰野「…うん…まあ、いいよ。タッツンで……私も騒ぎすぎたよ。せっかく掘ってくれたのにケチつけるのも悪いもんね。それに考えようによれば、タッツンってアダ名こそが皆との思い出と言えるかも知れない…」
辰野「大事なのは、掘られてる名前じゃなくて…思い出だもんね!」
アニ「…うん、その通りだね」
コニー「良いこと言うじゃねえか」
歩鳥「そうそう、タツノでもトシコでも…タッツンはタッツンなんだから、思い出を大事にしようね、タッツン」
辰野「あんたね、余計なこと言わなくていいから」
440:以下、
―――――――
翌日
白リドル「…」
歩鳥「ついに帰るときが来たね…」
紺「うん」
静「色々あったね」
エレン「お前ら、あっちに行っても元気でな!」
ミカサ「…ホトリは不思議な子だった…」
アルミン「うん。あんな人は初めて見たよ…」
歩鳥「アルミン!黒リドル任せたからね!」
アルミン「うん、皆の所に届けれるように大事にしておくよ」
歩鳥「ミカサ!エレンと仲良くね!」
ミカサ「照れる」
歩鳥「エレン!ホワイトリドル止めて…ちゃんと無事戻れよ!」
エレン「言われなくてもわかってるよ!!」
ライナー「…ついに行っちまうんだな…」
ベルトルト「…色々巻き込んでしまってすまなかった」
真田「いいんだよ。俺も…お前らに会えて良かった」
辰野「途中でくじけたりしちゃダメだよ。頑張ってね」
アニ「うん…完全に和解させてみせる」
ライナー「それが俺達の罪滅ぼしだ…まあ、都合のいい考えかも知れんが」
エレン「そうだな、お前らに都合のいい考えかも知れん」
ベルトルト「エレン…」
エレン「でも、本気で罪滅ぼししたいと思ってんのなら、俺は黙って見とく。余計な事は言わねえよ…」
ベルトルト「…うん…ごめんね…」
エレン「こんなときに辛気臭いのはやめようぜ」
ライナー「ああ…」
歩鳥「…私はエレン達もライナー達も好きだからね!」
エレン「ははっ」
ライナー「ありがとうな」
441:以下、
ジャン「…あばよ。なんだかんだで楽しかった」
マルコ「ずっと忘れないよ」
サシャ「ううう…!寂しくなりますよぉ…!」
コニー「これは涙じゃねぇ…汗だ」グスッ
歩鳥「あはは、皆いつまでも忘れないでね」
紺「…楽しかったよ」
真田「じゃあな、コニー、サシャ、マルコ…ジャン」
真田「お互い、頑張ろうな。友よ」
ジャン「おう、お前も諦めんなよ」
歩鳥「あの二人なに話してんの?」
静「恋の話だよ」
紺「結局お前は本当に気づいてないのか?歩鳥」
ヒストリア「…みんな…楽しかったよ。バイバイ」
歩鳥「うん、ヒストリアも今の調子で元気でいるんだよ」
ヒストリア「本当に…ありがとう」グスッ
歩鳥「笑って笑って。笑顔でお別れしようよ」
紺「それがいいな」
ヒストリア「うん…」
ユミル「…お前らが来なかったら…また歴史の繰り返しになっていたかも知れない。ありがとうな」
歩鳥「うん。じゃあね、ユミル」
紺「…また腕相撲したかったな」
ユミル「…はっ、そうだな」
辰野「本当に少し友情が芽生えてる」
ヒストリア「お?…」
真田「そういえば…どっちが勝ったんだ?」
歩鳥「ん??」
442:以下、
ケニー「…俺も知らない世界にはちょっと興味あるが…」
歩鳥「あ、おっちゃんもいたんだ。来る?」
ケニー「いや、やめとくよ。見送るだけでいいさ」
歩鳥「憲兵団のとこでは助けてくれてありがとうね!」
ケニー「おう。じゃあな」
ケニー(俺は結局生きてる………)
ケニー(ま、もう少しの間待ってろよ…クシェル…ウーリ)
443:以下、
ジーク「…そろそろいいかい?君たち」
歩鳥「猿のおっちゃん」
真田「ジークさん…来てたんですか」
ジーク「ああ…タッツンも、思えば長い事俺達といたな。元気でな」
辰野「あはは。お元気で」
エレン「じゃあ…そろそろホトリ達を帰そう」
歩鳥「うん…」
歩鳥「キリエ、アリオ…もういいよ。私達を元の世界に送ってくれても」
白リドル「…」
アリオ(わかった…じゃあ始めよう)
キリエ(ありがとう…歩鳥……ずっと忘れない)
歩鳥(…うん…二人も…もし生まれ変われたら……私の所まで来てね)
白リドル「…」カアアアアッ
真田「来た…っ」
静「いよいよだね…これで私達は帰れる」
紺「長かったね…」
辰野「うん」
歩鳥「みんな!バイバイ!!」
カアアアアッ!!!!!!
444:以下、
シュウウウウウ………
エレン「………ホトリ達の姿がなくなった…」
ミカサ「帰れたのね…」
アルミン「うん…帰ったら、この世界での記憶も無くなっちゃうらしいけど…」
ジャン「…そのために、黒リドルをあいつらのいる時代に届くまで大事にしとくんだろ」
アルミン「うん」
ヒストリア「…うう…」
サシャ「うわあああん…」
コニー「寂しくなるぜ…っ」
ライナー「…」
ライナー「これから…頑張らねばな…」
445:以下、
アルミン「…ふう…さて…最後に」
ミカサ「…ホワイトリドルの機能を止める…」
エレン「ああ」
アルミン「…危険も伴うらしいけど…」
ミカサ「…っ」
エレン「やってやるさ」
ジーク「待ちな」
エレン「!」
ジーク「エレン…お前がそんな危ない事をする必要はないよ」
エレン「ジーク…!?」
アリオ(エレン…ホワイトリドルは俺達で止める)
キリエ(あなたは…未来を生きて)
エレン「…!?キリエと…アリオ?」
ジーク「…こいつは俺が始末する。若者は…まだまだ長い未来があるだろ」
ライナー「戦士長…なにを…」
ジーク「…次の戦士長は四足くんに託してある。彼と一緒に壁内人との和解を進めなさい」
ベルトルト「…!」
ジーク「アリオ…キリエ…昨日話し合った通りにやれるか?」ザッ
446:以下、
ジーク「あと…これには…エレン、君にも少し協力してもらうよ。でも君はサポートくらいだから危険はない、安心してね」
エレン「…わかった」
ジーク「…グリシャ…文句は無いだろ?」
グリシャ(…)
ジーク「無いようだな。始めよう」
ジーク「アリオ、キリエ、タイムスリップ機能…作動開始」
白リドル「…」
ジーク「エレン…君は座標を通し、ホワイトリドルの内部を少しだけいじってもらう。深いとこまでは行かないから危険はない」
エレン「わかった…」
エレン「…」グッ
アルミン「なにをする気だ?」
ジーク「タイムスリップ…移動場所指定…」
ジーク「生物のいない星だ」
447:以下、
ジーク「…エレン…もういいよ。力を抜いて」
エレン「…!終わったのか?」
ジーク「うん…行ってくるよ。この白リドルと共に」
ジーク「本来リドル自身を転移や地球外への転移は不可能だが…リドルに干渉しやすい人工生命体やがいたことでホワイトリドルのプログラムを書き換えることが出来た」
ジーク「誰も居ない惑星へ、俺が…ホワイトリドルと共に転移する」
アルミン「!?」
ジーク「じゃあね」
カアアアアッ!!!
448:以下、
生物のいない惑星
キリエ(…ジーク…)
アリオ(本当にこれで良かったのか?二度と戻れないぞ…)
ジーク「問題ないさ…元から死ぬつもりだった」
白リドル「…」
ジーク「こいつで仕上げだ…戦士の故郷に一本だけ持っていた…禁断の巨人能力の注射だ」
ジーク「こいつは…惑星一つ吹き飛ばす威力を持っている。自分も巻き込むがな」
ジーク「惑星が無くなりゃ生物も生まれなくなる。生物がいなけりゃこいつも役目が無くなり機能停止する」
ジーク「…あばよ」プスッ
カアアアアッ!!!
チュドオオオオオオンッ!!!!!
生物のいないある惑星が破壊され…
ホワイトリドルは宇宙を漂った…
人間のいない空間…
ホワイトリドルは人類を管理する為に作られたシステム
生命反応のない場所で、ホワイトリドルは自分の役目が終わったと自己判断し…
機能を完全に停止させた。
もう二度と…動く事はない。
そして、機能が停止したことにより壁と無知性巨人…座標は世界から無くなり
アリオとキリエの魂は解放され天に昇った…
449:以下、
―――――――
―――――
ああ…そうだ、思い出した…
歩鳥「これは…あの時の記憶だ……黒リドルはちゃんと……私達のとこまで、来たんだ…」
歩鳥「…ん?まだ続きがある?この映像は…」
………ホトリ……聞こえてるかい?僕…アルミンだよ
歩鳥「アルミン!?すっかり老けちゃってまあ…」
あれから何十年も経ち…色々大変な事はあった…でも、何とかライナー達の故郷と分かりあえるとこまで来れた
歩鳥「!!」
そして…悪用されたら危険な巨人化の技術も…僕らの世代で完全にこの世から抹消させるつもりだ…
…この僕の記憶が君のところまで本当に届いているのかわからないけど…
もし見ているのなら、安心してくれ…僕らは何とか平穏を築いているから
歩鳥「…うん…ちゃんと届いてるよ…」
でも、この先なにがあるかわからない…人が増えればまた世界で戦争が起きるかも知れない…でも、それでも…
人間の可能性を信じよう…どれだけ道を間違えたって、また正すことだって出来るはずなんだから
歩鳥「うん…」
じゃあね、ホトリ…
いつまでも笑顔でいてね
僕らも笑顔でいるから
歩鳥「…はは…最後に皆の笑顔の映像を残すなんて…涙でてきたじゃん」ポロッ
450:以下、
――――――――
―――――
―――
丸子商店街
丸子病院
歩鳥「…んがっ!?」パチッ
黒リドル「…」
歩鳥「…ここは…病院?」
紺「う…寝て、た…?」パチッ
静「…ん?…?」パチッ
辰野「う…あれ?」パチッ
真田「あれ、何か…見てたんだけど…」パチッ
嵐山母「歩鳥!!」
嵐山父「良かった!目が覚めたんだな!!」
歩鳥「うわ!お父さん、お母さん!」
ウキ「良かった…目が覚めてくれた…」
歩鳥「ああ、そうだ…このリドルを見てたら寝ちゃったんだっけ…うーん、何か見てたんだけど思い出せないなぁ」
歩鳥「でも…これだけは何となくわかるよ。このリドルは…すごく大事なものだって…そんな気がするんだ」
ウキ「…おい、歩鳥や。どうしたんだい」
歩鳥「え?」
ウキ「涙が出てるよ」
歩鳥「あ、本当だ…でも…」
歩鳥「何だか…暖かい気持ちの涙だよ」
451:以下、
一週間後…
亀井堂
静「よう、歩?鳥?」
歩鳥「ねーちゃん、この小説読んでよ。私が書いたんだ」
静「はいはい、見せてもらうよ?」
黒リドル「…」
歩鳥「相変わらずここにいるんだね、リドルは」
静「うん、この前から余計捨てたくない気分になっちゃってね」
歩鳥「…私にとっても宝物だよ」
静「うん」
歩鳥「さーてと、頼まれた買い物しなきゃ。読み終わったら教えてね!」
静「はいよ。行ってらっしゃ???い」
452:以下、
紺「…あ、歩鳥」
歩鳥「先輩!こんにちは!」
紺「これからシーサイド行くとこだったんだけど…」
歩鳥「私、ばあちゃんに頼まれて買い物の途中だったんですよ!」
紺「ふーん。付き合うよ…心配だし」
歩鳥「心配って…子供じゃないんだから…」
紺「はは」
歩鳥「…先輩もうすぐ受験でしたっけ?」
紺「うん…」
歩鳥「頑張ってくださいね、応援してますから」
紺「ありがとな」
453:以下、
――――――――
ラーメン屋 大名行列
歩鳥「やっぱり美味いねえ、ここのラーメン」ズゾゾ
辰野「あんたいつもチャーシュー麺ね」
歩鳥「タッツンこそいつも天津麺じゃん」ズゾゾ
真田「どっちも美味いじゃん」ズルッ
辰野「はあ…もうすぐ進路決めなきゃダメだよね?…」
真田「うん、一年生の頃は時間あるし大丈夫だろと余裕こいてたら…意外と時間経つの早いし決まらない…」
辰野「ほんと、あっという間だよね」
歩鳥「私は…図書館の司書とかいいかな?…とか、思ってんだよね」ズズッ
真田「へえ?…司書ね」
辰野「おお、まともな進路じゃないの。確かにあんた本好きだもんね」
歩鳥「そんで、司書探偵とか…」
辰野「いや、探偵はいらないけどね」
歩鳥「おいっ!?」ベシッ
真田「ははは…」
454:以下、
歩鳥「はあ?…美味かった。ごちそうさま?!」
真田・辰野「ごちそうさま?」
歩鳥「さて、次はどこへ行こうか!」
辰野「昼からシーサイドでバイトだろ」ベシッ
歩鳥「そうでした!」
真田「じゃ…俺もシーサイド行くかな」
辰野「うん、来て来て!」
歩鳥「貴重なお客様だ、大歓迎だぞ真田くん」
真田「遠回しに客いないって言ってるようなもんだな」
辰野「メイド長が聞いてたらキレてるわね」
???「キャッ!」
歩鳥「!悲鳴!?大丈夫ですか?お姉さん!」
???「…さっき…通りがかりの男にバッグを盗まれました…」
真田「どうした?嵐山」
歩鳥「この二十代の綺麗なお姉さんがバッグを盗まれたらしい!さっそく追いかけてくる!」
真田「なんだって!?俺も行く!」
辰野「あ、私も!」
???「皆さん…ありがとうございます」
455:以下、
泥棒「…」ダダダダッ
歩鳥「くそ…っ、あいつ早い!!」
紺「なにしてんだ?歩鳥」
歩鳥「あ、先輩!あいつお姉さんのバッグを盗んだんです!追いかけてください!」
紺「ん?…仕方ねえな…追いかけてやるよ」ジャリッ
紺「ふっ!!」ドウッ
ダダダダダダ!!
歩鳥「うわ!先輩はやっ!?」
紺「捕まえた!!」ガシッ
泥棒「ぐえっ!」ドサッ
歩鳥「ははは、どうだ見たか!」
紺「捕まえたのは私だぞ、歩鳥」
456:以下、
歩鳥「お姉さん…これ、バッグです」
???「あ、ありがとうございます!!ありがとうございます!!」
紺「いえ…」
歩鳥「ふふ、照れてますな先輩」
「姉ちゃん!なにしてんだよ!」
???「あ、さっきバッグを盗まれて…この人達が取り返してくれたの」
「そうなんだ…どうもありがとう」
歩鳥「いえいえ、当然のことをしたまでで」
紺「弟さんですか?」
???「はい」
辰野「歩鳥!そろそろ行かなきゃバイト遅れるよ!」
歩鳥「あ、本当だ!それでは!」
???「…本当にありがとう」
「…姉ちゃん、盗まれた時に怪我しなかった?姉ちゃん二十歳になってもおとなしい性格だから」
???「そんな心配しなくても大丈夫よ…私だって大人よ」
???「あなたこそ、高校生にもなって子供っぽいじゃない……アリオ」
アリオ「失礼だぞ…キリエ姉ちゃん」
キリエ「ふふ」
アリオ「そういえばさ、丸子商店街に変わったメイド喫茶があるんだって行ってみようよ!」
キリエ「はいはい。行ってみよっか」
457:以下、
歩鳥「…」
何気ない日常…平穏な日々
それはちょっとした拍子で崩れ去る事もある。
でも、私達は日々…明日も平穏な世界であるよう祈りながら暮らしている
楽しい事 悲しい事 嬉しい事ムカつく事 憎たらしい事 残酷な事 不幸な事 幸せな事
この様々な人間が生きている世界では…様々な事が起きている。
それでも私達は…未来を信じて生きていかなければならない。
良い事も悪い事も全て引っくるめて…この私達の世界は存在している。
明日も…またこんな何気ない日常が続きますように。
そう信じながら…
それでもこの世界は…
458:以下、
――――――
喫茶シーサイド
カラン コロン
歩鳥「めいどっ!!!」
…それでも町は廻っている
459:以下、

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