光彦「ひぃぃ!!なんなんですかもぅ!!」コナン「待て〜!!光彦ぉ!!」back

光彦「ひぃぃ!!なんなんですかもぅ!!」コナン「待て〜!!光彦ぉ!!」


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1:
光彦「はぁはぁ、なんでこんな目に・・・」
コナン「待て?!!」
歩美「光彦くんおとなしく捕まりなさい!!」
元太「うなじゅうううううううう!!」
光彦「ぼ、僕なにか悪いことしたんですか!?」
光彦「お、大通りが見えてきました!人ごみに紛れれば探せなくなるはずです!」
がやがや
光彦「ふぅ、これで一息つけますね」
 光彦は安堵の表情で空を見た。日テレの巨大モニターの週刊天気予報によればずっと曇りらしい。
 瞬間、モニターが切り替わった。周囲がざわめく中、光彦は画面の中に見覚えのある輪郭を見た。
阿笠「ワシじゃよ」
光彦「阿笠博士!?」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1409240404
4:
阿笠「えー、みなさん、こんちには、阿笠博士(ひろし)というものじゃ。こんな演説早く済ませてオナりたいのでのぅ。単刀直入にいうぞい」
阿笠「近くにソバカスの少年がいるはずじゃ」
阿笠「そいつを消せば100億円を渡すぞい!」
モブA「まじかよ!」
モブB「さがせさがせ!」
モブC「100億円、ワシのものじゃ、ワシのな」
モブD「感激・・・!」
光彦「ええっ!」
モブたち「いたぞおおおお!!」
光彦「ま、まずいです!」ガンダッシュ
光彦「そうだ!これを使いましょう!」
 回想・・・!
阿笠「光彦君。これをあげるぞい」
光彦「なんです?これ?」
阿笠「ダッシュ力強化シューズじゃ。時80キロはでるぞい」
光彦「はあ・・・でも何に使うんですか?」
阿笠「まぁまぁいいじゃあないか。もらえるもんはもらっとくべきじゃ」
光彦「あ・・ありがとうございます」
とことこ
阿笠「それの使い道、いずれ知ることになるじゃろう・・・。」
光彦「そういうことでしたか・・・。」カチッ
バリバリ→バシュン!
光彦「おおっ!これはいです!どんどん人が離れていきます!」
光彦「とりあえず、人けのない所に隠れましょう!!」ギュイーン!!
7:
光彦「い、一体なんで・・・。」
光彦「ハッ!」コテリン!
光彦「まさか博士は、僕を特訓させるためにこんなことを・・・・」
光彦「僕はいつもやられてばかりですからね・・・。博士も同情してくれたんでしょう」
テクテク→ピタッ
蘭「こんにちは光彦君」
光彦「蘭さん!」
蘭「どうしたの?こんなところで?」
光彦「じ、じつは・・・」
園子「でやぁっ!」バサッ!
光彦「うわぁ!」
園子「引っかかったわね、ソバカス!」
蘭「ごめんね光彦君。みんなで遊園地にいくお金が欲しくって・・・」
園子「ま、頭が弱いアンタが悪かったのよ」
光彦「くっ・・・」カチッ
ギュイーーン!!バシュ!
園子「なッ!網が引っ張られるッ!?」
光彦「ぐぬぬ・・・!」
ブチ!
園子「しまった!」
光彦「危ないことろでした」ギュイーン!
蘭「逃げるなこのクソバカスがぁ!!」
8:
光彦「どうやらそんな甘いものではないようですね・・・。」
 やっとの思いで逃げ込んだ廃墟に光彦はいた。瓦礫や小枝や散乱している。
 
 独特のカビ臭いにおいが鼻孔をくすぐる。クシャミが出そうだったが必死にこらえた。
コナン「おい!光彦は見つかったか!?」
服部「せやかて工藤!」
和葉「おらんかったで!」
蘭「私たちも逃がしちゃったの」
園子「あいつ捕まえた途端すごいさで逃げてったのよ!」
コナン「ホントか!」
コナン(博士のヤツ、さては光彦に何か変なものを渡しやがったな)
コナン(まぁ、いい運動になるからいいんだけどな)
服部「それより工藤、あんソバカスとっちめたらホンマに分け前くれるんやろな?」
コナン「ああ、もちろんだ」
蘭「工藤?なんのこと?」
コナン「な、なんでもないよ蘭姉ちゃん!」
9:
光彦「まぁ、ここにいればしばらく安心ですね。ん?」
 カビのにおいに混じって花火のようなにおいがした。
 こつ、こつ、と足音が聞こえる。
ジン「ここか、あのソバカスがいるのは」
ウォッカ「ええ、間違いないですぜ兄貴」
光彦「ま、まずいです!あんな人たちにばれたら僕は消されてしまいます!」
光彦「そぉ?っと逃げなくては」パキッ
光彦「しまった!小枝が!」
ジン「誰だ!」
光彦「くっ・・・シュゥゥゥゥズ!!」キュイーン!!
ジン「うぉっまぶしっ!」
バシュン!!
ウォッカ「どうしたんです兄貴!?」
ジン「・・・みつけたぜ・・・あのガキ・・・。」
ジン「ウォッカ!車を出せ!追うぞ!」
ウォッカ「へい兄貴!!」
10:
光彦「なんで僕ばかりこんな目に・・・・」
 
 光彦が隠れた場所は古びた教会だった。もうそこには信者などいないのに苔の生えた聖母がほほ笑んでいる。 
 光彦は自分の人生を顧みた。自己防衛本能で消してきた記憶があらわになる。
 それは今思い出しても吐き気のするようなものばかりだった。
 足の先から全身を蛇が這うような感覚に襲われる。毛穴が広がり、睾丸が縮む。
 まるで蟻のように殺されてきた人生だった。
 彼は自覚していた。おおよその人間よりは修羅場をくぐってきたのだ、と。
 そんな彼が今その『おおよその人間』に命を狙われているいう事実を光彦を受け入れられなかった。
光彦「僕は僕が嫌いです・・・。僕がいなければ僕はこんな気持ちにならないはずです・・・」
光彦「僕は・・・僕は・・・」
 光彦にはその事実を誰かになすりつけることができなかった。それほどまでに光彦の精神は疲弊していた。
 心の中で同じ言葉を反芻する。終わりのない自問自答を繰り返す。
 そして、ひとつの結論がでた
光彦「僕なんて、生まれてこなければよかったんです・・・。」
 
 博士の発明品のおかげで追跡から逃げ切れていた光彦だったが、体力はすでに限界だった。
 もういっそここで死んでしまいたい。そう思っていた。
 幻覚がみえる。五人の子供たちが仲良く遊んでいる。
 男の子が3人で女の子は2人。
 みんなそれぞれ特徴がある。メガネ、カチューシャ、クール、10円ハゲ、ソバカス・・・。
 ソバカス・・・?
 
 そうだ、これも一つの世界、僕の中の可能性、今の僕が僕そのものではない、いろんな僕自身がありえるんだ
 そうだ、発明品に殺されない光彦もありえるんだ!
ギィィィバタン!!
11:
ジン「そう思えば、ジジイの発明も決して悪いもんじゃないぜ」
光彦「博士の発明は悪くないかもしれない。でもすぐに死ぬ自分は嫌いです」
目暮「"発明"を、悪く嫌だと捉えているのは、君の心だ」
高木「"発明"を殺人マシンに置き換えている、君の心さ」
蘭「発明を見る角度、置き換える場所。これらが少し違うだけで、君の寿命は大きく変わるわ」
園子「"発明"は光彦の数だけ存在する」
小五郎「だが、君の"生命"はひとつだ。圧倒的な好奇心で作られ、博士が殺す為に変更した情報。
・・・歪められた"真実"だ」
服部「ま、人一人がもてる悲壮感なんて、ちっぽけなモンや」
和葉「だけど、君はその自分の大きな悲壮感でしか、物事を測れないわ」
世良「後ろ向きに構えた真実でしか、物事を見ようとしない」
歩美「博士が発明品を作ったら」
灰原「円谷君は死ぬ」
世良「と、教えられたら、そう思い込んでしまう」
元太「うな重!!」
阿笠「受け取り方ひとつで、まるで別物になってしまう脆弱なものじゃ。人の中の"真実"とはのぅ」
小五郎「人間の真実なんてその程度のものだ。だからこそ、より深い真実を知りたくなるんだよ」
ウォッカ「ただ、お前は人に好かれる事に慣れていないだけだ」
ジン「だからそうやって、人の顔色ばかりを伺う必要なんてないんだぜ」
光彦「でも、皆僕が嫌いじゃないんですかね・・・?」
コナン「おめぇバーロー?おめぇがひとりで、そう思い込んでるだけじゃねーか!」
光彦「でも、僕は僕が嫌いなんです」
灰原「自分が嫌いな人は、他人を好きに、信頼するように、なれないわ」
光彦「僕はソバカスで、ピカチュウで、ズルくて、弱虫で・・・」
ジン「"自分"が分かれば、優しくできるだろ・・・?」
光彦「・・・・・・・・・・。」 
 僕は、僕が嫌いだ。
 でも、好きになれるかもしれない。
 僕はここにいてもいいのかもしれない。
 そうだ、僕は僕でしかない。
 僕は僕だ。僕でいたい。
 僕はここにいたい。
 僕はここにいてもいいんだ!!
 
コナン「"真実"はいつもひとつ!!」
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