春香「スマイル」back

春香「スマイル」


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真「うーん、疲れたなー!」
春香「まさか、急に仕事が入るなんてね〜」
伊織「全く、今日は奇跡的に765プロみんな休みだったから、事務所でちょっとしたパーティをするはずだったのに……私たちだけ出遅れちゃうじゃない!」
春香「まぁまぁ、午前はほとんど準備だろうし、むしろサボれてよかったと思えば」
真「おっ、春香、その考え方いいね!やっぱりポジティブに行かなきゃ!」
伊織「あんたら、それでいいの……?」
春香「……よっし、じゃあ急ぐぞー!」
真「そうだね!事務所までダッシュだ!」
伊織「ごまかすな!あとこっから走って事務所まで行けるのは真ぐらいよ!」
3: 以下、
春香「さすがにダッシュはないかなぁ……あっ、ここのドアを通ると、早く外に出られるんだよ!」
伊織「ちょっと、あんたが言うと信用できないんだけど?」
春香「まあまあ、騙されたと思って!」ガチャッ
真「あっ、春香前見て、誰が反対側に……」
4: 以下、
???「ん?」
春香「う、うわっ!」ガシッ
伊織「ちょ、私掴まないでよ!」ギュッ
真「うわ、ちょ、僕を巻き込まないで……うわぁ!」
???「な、なんだ!?」
ドンガラガッシャ-ン!
5: 以下、
春香「いてて……」
伊織「……もう、危ないじゃない!転ぶなら一人で転びなさいよ!」
真「伊織だって僕を掴んだじゃないか……」
???「……なんなのだ一体!」
春香「あ、ごめんなさ……って、黒井社長!?」
黒井「……なにかと思えば、また貴様ら765プロか!何故株主専用の控え室に入ってきおった!」
真「……控え室?通り道じゃなくて?」
黒井「通り道なわけがないだろう!この部屋の入り口は一つしかない!」
伊織「……ほら、やっぱり間違えてたじゃない……」
春香「あるぇ〜?……てへぺろ」
6: 以下、
黒井「全く、毎回毎回貴様らは私の邪魔ばかり……まあ今日は特に急いでいるわけではないからな!セレブな私は優雅に去るとするよ!では、アデュー!」ガチャ 
黒井「ん?」ガチャガチャ
黒井「あ、開かない……」
春香「えっ?」
伊織「嘘でしょ?」
真「ちょっと僕にやらせて……ふんっ!」
真「……ダメだ、本当に開かないや」
春香「真の力でもダメなんて……」
7: 以下、
伊織「あれ、あんた、リボン片方どこやったの?」
春香「えっ?……あれ、ない!」
真「……あっ、ほら、ちょうどドアと壁の間に挟まってるよ!あれのせいで開かないんだ!」
黒井「ならば引き抜けばいいだろう」ビリッ
真「……あっ」
伊織「ちぎれちゃった……」
真「これじゃもうリボン取れないし、外にも出られないよ……」
黒井「……すまん」
8: 以下、
春香「わ、私のリボンが……!」
伊織「あんたはそこか!大事なのはリボンなんかより出られなくなったことでしょうが!」
春香「なんかって!私と言ったらリボン、リボンと言ったら私でしょ!私からリボンを取ったら何が残るの!」
真「……それ、自分でいっちゃうの?」
伊織「……だ、大丈夫よ、リボンをとっても春香にはまだいろいろあるじゃない!おっちょこちょいとか、芸人気質とか!」
春香「それ、どっちもアイドルとしてはマイナスだよ……」
9: 以下、
黒井「……ええい、なんだこの茶番
は!」
伊織「というか元はと言えば、あんたがリボンをちぎるのが悪いんじゃない!」
黒井「ぐっ……それを言うなら、リボンをしていたものが一番悪いではないか!」
春香「リボンに罪はないですよ!それなら、この部屋に転がり込んだ原因を作った人が悪いです!……あっ、それも私だ」
真「なんだ、春香のせいじゃないか」
伊織「リボンをしてるのも春香だし、間違いないわね」
黒井「ふん、弱小事務所の、とはいえ、リーダーがこれではな」
春香「……」ズ-ン
 
10: 以下、
春香「……」シクシク
 
黒井「全く、人騒がせな奴らだ」ピポパポ 
黒井「ここの管理人に連絡をした。あと30分もすればここから出られるだろう」
真「あ、ありがとうございます……」
黒井「ふん、弱小事務所からの礼など要らん!」
伊織「えっ、あと30分もここにいなきゃいけないわけ!?いやよ、パーティには遅れちゃうし!」
黒井「ガタガタ言うな!私だって貴様らと30分も同じ部屋に入るなんて虫酸が走る!」
伊織「それを言うなら私だってあんたみたいな腹黒いおっさんとなんてお断りよ!」
黒井「言ってくれるな……!」
伊織「そっちこそ!」
真「まあまあ落ち着いて!ほら、春香も止めてよ!」
春香「……はぁ」
真「……もー!僕はこういうの慣れてないのにー!」
11: 以下、
伊織「はぁ、はぁ……」
黒井「ふぅ、さすがにこの年で言い合いをするのは応えるな……」
伊織「はぁ、ふん、いい気味ね……」
真「伊織は煽らない!黒井社長も、大人気ないですよ!」
黒井「……まあ、セレブな私としても貴様ら貧乏アイドルといつまでもくだらん争いをするのは本意ではないからな」
真「水瀬グループって、黒井カンパニーよりも遥かに大きいですよね……」
黒井「……私は貴様らの事務所のことを言っているのだ!」
伊織「そうよ真!私だって、水瀬の令嬢だって認識されるのは嫌なの!」
真「ええ……どうしてそこで結束するの……」
12: 以下、
伊織「へぇ、ここ、冷蔵庫とかあるのね。あ、オレンジジュース」
黒井「ふん、ここはVIP用の控え室だからな。不自由があるわけなかろう」
真「僕たちが勝手に飲んでいいのかな……」
黒井「……構わん、私が飲ませたことにしておいてやる」
真「へぇ、優しいところあるんですね」
黒井「貴様らが騒ぐのが煩わしいからだ!」
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春香「……黒井社長、聞きたいことがあるんです」
真「おっ、春香復活したんだ」
黒井「……なんだ」
春香「……どうして、765プロに嫌がらせをしてきてたんですか?……最近は無くなりましたけど」
黒井「……貴様らが気に食わないから
だ」
春香「……違いますよね?多分、もっと個人的な理由があるはずです」
黒井「貴様らに言う義理はない」
春香「もしかして、高木社長がなにか関係あるんですか?」
黒井「貴様らに言う義理はないと言っているだろう!」
14: 以下、
春香「……そうですか。ならもう一つ。なんで、最近嫌がらせをしなくなったんですか?」
黒井「……無駄だと気付いたからだ」
春香「無駄?」
黒井「貴様ら765プロは、妨害工作をしても効果があるのはその時限りで、その後は全く平常通り……むしろ、妨害前よりもさらに強靭になっている。それも、一度のみならず何度も。よって、これ以上妨害するのは逆効果だと判断した」
春香「……当たり前じゃないですか」
黒井「何?」
15: 以下、
春香「私たち765プロは、961プロからの嫌がらせがある度、みんなで力を合わせてそれを乗り越えてきたんです。その過程で絆を深めてきた。そして、みんなの絆が深まれば、もっと765プロは強くなる。当たり前です」
黒井「ふん……絆など、くだらん。王者になるために必要なのは、力、それだけだ」
春香「……そうでもないって、気づいてるんじゃないですか?確かに、961プロの力はすごいです。新人アイドルでもすぐにメディアに出れるようになるし、一度表に出ればものすごいバックアップがある」
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春香「でも……例えばフェアリー。765プロに来てからは、961プロにいた時よりも遥かに有名なユニットになっています」
黒井「……それは、765プロだからだろう。気に食わんが、確かに貴様らの事務所は強い。力もないというのに」
春香「……そしてジュピター。961プロを止め、一時メディアから完全に姿を消したはずなのに、短い期間で当時と同じレベルにまで戻ってきた。そして絶対、彼らは今よりもさらに強くなる」
春香「ジュピターは765プロではありません。でも、事実として彼らは961プロの時よりも強く結束し、そして文字通り復活しました」
春香「これらはみんな、絆に力があることの証明です。違いますか?」
黒井「……」
真(ねぇ、僕ら一瞬で蚊帳の外なんだけど)
伊織(うるさいわね、黙って聞いてなさい)
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春香「……そうだ、私に一つ考えがあります。今日、確か特に急いでないって言ってましたよね?」
黒井「……ああ」
春香「見て欲しい……というより、来て欲しいところがあるんです」
真「えっ?」
伊織「春香、あんたまさか……」
黒井「……どこにだ?」
春香「……765プロ事務所に」
黒井「……なぜ
ガチャガチャッ!
春香「」ビクッ
18: 以下、
「大丈夫ですか?今から引っかかってるものを取り除くので、離れていてくださいね」
黒井「ああ、わかった」
春香「!来てくれるんですね!」
黒井「な、違う!今は貴様に言ったのではなくて……」
春香「ねえ真、伊織!今のきいたよね!」
真「うん、聞いたよ!ほら、伊織も!」
伊織「ああもう、しょうがないわね……聞いたわよ、この耳でちゃんと!」
春香「ほら、二人もこう言ってますし……今更無理だとは言わせませんよ?」
19: 以下、
黒井「……ちっ、無駄に頭を働かせて……わかった、行けばいいんだろう、行けば!」
春香「ふふっ、決定ですね!」
伊織「……ほんと、春香ってこういうところ強いわよね」
真「へへっ、それでこそ僕らのリーダーだよ!」
20: 以下、
黒井「ふん、相変わらず小さい事務所だな。しかも、今時エレベーターもないなんて」
春香「外見はどうでもいいんです!ほら、早く階段上ってください!」
21: 以下、
春香「ほら、ここですよ、ここ!」
黒井「……」
伊織「ほら、何突っ立ってるのよ、早く入りなさい!ただでさえ私たち遅れてるんだから!」ドンッ
黒井「うおっ!」
真「伊織、ちょっと強引なんじゃ……」
伊織「あんたには言われたくないわ!」
黒井「……これは」
22: 以下、
千早「……っ、ふぅ、こんなものかしら?」
響「そうそう、いい感じだぞ!」
冬馬「だいぶ良くなってきたな!これならもう一人でも作れるだろ!」
千早「ふふっ、ありがとう、我那覇さん、天ヶ瀬さん」
23: 以下、
雪歩「やよいちゃん、これ、机にお願いできる?」
やよい「うっうー!任せてください!」
24: 以下、
亜美「翔太、パース!」
翔太「よっと、ナイスパス!ほら、真美!」
真美「キャッチ!ふっふっふー、翔太もなかなかやりますなー」
律子「こら、あんたら真面目にやりなさい!もう、悪ガキが二人から三人に……」
25: 以下、
北斗「ワインは、注ぎ方だけでもだいぶ風味が変わるんですよ」
あずさ「あら、そうだったの?北斗くん、そういうことも詳しいのね〜」
小鳥「普段ワインなんて上品なもの飲まない私には関係ないですね……」
北斗「あっはっは、ワインだって安いものは安いですから。案外いろいろ買ってみるとはまるかもしれませんよ」
26: 以下、
美希「それにしても、春香たち遅いの!」
貴音「そうですね……おや、噂をすれば、春香たちですよ……はて、なぜ黒井社長が?」
27: 以下、
春香「あはは、まだ準備終わってなかったんだ」
黒井「なぜ、ジュピターまでいるのだ」
春香「最近、仲良くなったんです!」
伊織「前まではあまりいい印象を持ってなかったけど、案外気のいい奴らだったわ」
真「お互いに勘違いしてただけだったからね!」
黒井「そうか……」
春香「どうです、黒井社長?みんな仲良いのは当たり前ですけど……輝いてると、思いませんか?ステージにいる時くらいに」
黒井「……」
28: 以下、
高木「おや、黒井じゃないか!どうして765プロに?」
黒井「……高木」
高木「はっは、久しぶりだねぇ。どうかね、良かったら君も、このパーティに参加していかないかい?」
黒井「……高木、一つ聞きたい。なぜ、765プロはここまで強いのだ?」
高木「ふむ……特に、私は特別なことをしているつもりはないがね」
高木「だが、私はこの言葉を理念に765プロは動いている、そう思っているよ」
高木「仲良きことは、美しきかな」
29: 以下、
黒井「……また、絆というやつか。……本当に、私のやり方は間違っていたのか」
高木「……君の掲げる、効率重視なやり方も間違いではないと思うが……やりすぎてはいけないと、私はそう思うね。アイドルに無理をさせすぎては、個々の魅力を閉ざしてしまうことになるだろうから」
翔太「あれ、黒ちゃんじゃん!どうしたの?あっ、黒ちゃんって呼んじゃった……」
北斗「黒井社長……お久しぶりです」
冬馬「おっさん……何しに765プロに?」
黒井「……お前らにも聞きたい。私の事務所と今いる事務所、どっちが良いと思う?」
30: 以下、
翔太「うーん……やっぱり、315プロかなぁ」
北斗「961プロも良かったけど、さすがにちょっと息苦しかったですね」
黒井「そうか……」
冬馬「……おっさん、勘違いすんなよ?確かに居心地は315プロのほうが良いが……少なくとも、俺たちに基礎をたたき込み、一時アイドルの頂点近くまで押し上げたのは、他でもない961プロだ。俺はそこには感謝してるし、あんたのやり方が間違ってる、とも思ってねぇからな。……ただ、妨害工作とか、そういうのはナシだと思う。やっぱり、正々堂々勝負しなきゃ、良い結果なんてついてこねぇと思うんだ」
31: 以下、
黒井「……なるほどな。これからは、少しやり方を変える必要がありそうだ……そもそも、アイドルに王者の素質を期待するほうが間違いだった。王者は私一人で十分だ。下々の者になど、勝手にやりたいことをやらせおけばいいのだ」
翔太「ははっ、そういうとこ、折れないな〜黒ちゃんは」
北斗「ま、それでこそ俺たちの尊敬していた黒井社長ですよ」
32: 以下、
冬馬「へっ、まあとりあえず飯はここで食ってけよ!俺がプロデュースした激ウマカレー、ご馳走してやるぜ!」
翔太「主に作ったのは千早さんだから、期待できないけどねー」
千早「ちょっと、今日はうまくいったって言ってるでしょ!」
貴音「なんでもいいです、私、もうお腹が減ってしまって……!」
響「あーっ、こら、まだ食べちゃだめだぞたかねー!」
33: 以下、
黒井「ふっ、そうだな……」ニコッ
真「あ、黒井社長が笑った……」
雪歩「……ひっ」
美希「正直、ちょっと怖いの……」
黒井「……」
高木「ま、まぁまぁ。ほら、ワインでも飲んで落ち着きたまえよ!」
あずさ「そ〜ですよ〜、ほら、飲みましょう飲みましょう〜」
律子「ちょっ、あずささんもう酔ってるんですか!?」
34: 以下、

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