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渋谷凛「アイドルの可能性」 水本ゆかり「新しい自分を見つけましょう」


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ある日の事務所
凛「おはようございます」ガチャリ
麗奈「つかさ! 勝負っ!」ドーン
つかさ「賭けは?」
麗奈「ゆかりがこの前持ってきた高級クッキーの残り」
つかさ「乗った」ニヤリ
凛「またやってる」
ゆかり「おはようございます、凛さん」
凛「おはよ、ゆかり」
凛「今日は髪型、いつもと違うんだ」
ゆかり「あ、わかりますか?」
凛「いつものストレートと今日のツーサイドアップじゃ全然違うから、さすがにわかるよ」
ゆかり「ふふ、確かにそうですね」
ゆかり「これは、さっき麗奈さんに結ってもらったんです」
凛「麗奈に? そういえば、あの子も時々同じ髪型にしてるよね」
ゆかり「ええ。手が暇だからいじらせなさい、と言われたので、いじってもらいました」
凛「ふうん」
4: 以下、
つかさ「で? 勝負の方法は」
麗奈「ババ抜き!」
つかさ「………」
麗奈「なによ」
つかさ「二人でババ抜きって絶対つまんねえぞ」
麗奈「はっはーん? そんなこと言って、実はババ抜き苦手なんでしょ! 逃げようったってそうはいかないわよ!」
つかさ「……そこまで言うなら、やってやるけど。どうせすぐ終わるし」
つかさ「………」スッ
麗奈「………」スッ
つかさ「………」スッ
麗奈「………」スッ
つかさ「………」スッ
つかさ「あ。全部そろったからアタシの勝ちだな」
麗奈「………」
麗奈「ねえ、これつまんなくない?」
つかさ「だから最初からそう言ってるだろ。二人でババ抜きしてもカード揃うかジョーカー引くかの二択しかないんだから」
麗奈「しょうがない、つまんなかったから仕切り直しね」
麗奈「あそこにいる二人を呼んで四人でやれば問題なし! おーい、アンタたちっ!」
つかさ「さらっと今の負けをなかったことにしようとしてね?」
麗奈「ぎくっ!」
つかさ「ま、アタシも消化不良だから別にいいけど。ここからが本当のババ抜きってことで」
5: 以下、
ババ抜き中
麗奈「………」
麗奈「これだっ!」シュッ
麗奈「っ!」ビク
つかさ「お前今ババ引いただろ」
麗奈「な、なななんのことよよ?」
凛「ふふ。麗奈はすぐ顔に出るよね」
麗奈「う、うるさいっ。ほら、さっさと引きなさい!」
凛「はいはい」スッ
凛「………ぁ」←ババ引いた
つかさ「凛も大概、思ってることが顔に出るな」
麗奈「人のこと言えないじゃないのよ!」
凛「そ、そうかな」
つかさ「雰囲気クールの割には、表情で語るタイプだと思うわ」
ゆかり「次は私の番ですね」
凛「はい、どうぞ」
6: 以下、
ゆかり「んー……これにしましょう」ニコニコ
凛(あ、ババ引かれた)
ゆかり「つかささん、どうぞ」ニコニコ
つかさ「逆にゆかりは、こういう時に感情隠すの上手いんだよな……ニコニコ笑いを顔に貼りつけてるし」
つかさ(凛の表情のおかげで、ゆかりがジョーカー引いたの丸わかりだけど)
つかさ「さて、どれを引くか……」ジーー
ゆかり「うふふ」ニコニコ
凛「ゆかりって、意外と演技派だよね」
麗奈「将来はスパイとして使いたいわね」
凛「なんで麗奈の部下になること前提なの」
麗奈「アタシは悪の女王になるんだから当然よ!」
麗奈「世界征服の足がかりとして、まずはこのプロダクションの支配からね!」
凛「そう。まあ、まずは真奈美さんを倒すところから頑張ったら?」
麗奈「んぐぐ……最初にして最大の難関だわ」
凛「前途多難だね」フフ
7: 以下、
麗奈「結局また負けたー!」
つかさ「敗北を知りたい」モグモグ
凛「一位はゆかりだけどね」
ゆかり「私は賭けに参加していなかったので、クッキーはつかささんのものですね」
つかさ「順位が二位でも、目当てのものが手に入れば勝ちに変わりねえから」
凛「相変わらず合理的な考え方……」
つかさ「ま、悔しいには悔しいからそのうちリベンジはさせてもらうんで、よろしく」
凛「と思ったら結構気にしてた」
麗奈「つかさは負けず嫌いよねー」
つかさ「お前に言われたくはない」
8: 以下、
ガチャリ
P「おはよう、みんな」
P「晶葉と真奈美さんは午後からだから、朝から来る予定の子は全員揃っているな」
P「じゃあ、君達には先に話しておこう」
麗奈「話すって、なにを?」
P「うちのプロダクション恒例の演劇公演なんだが、次回の日程が決まった」
凛「演劇?」
ゆかり「このプロダクションのアイドルの皆さんが集まって、劇をするんです。公演という形で、ファンの皆さんに楽しんでいただくイベントが、定期的に行われています」
つかさ「この前のロボ公演は、麗奈と晶葉と真奈美さんが参加してたな。全員サブだったけど」
麗奈「まったく。なんでこのレイナサマが、悪の親玉じゃなくて手下のザコ役だったのよ……まあ楽しかったからいいけど」
P「その演劇の次回の参加者に、俺の担当からは二人が選ばれた」
P「まず、以前にも参加したことのあるゆかり。そしてもうひとりは凛」
凛「え、私?」
P「二人ともメイン級の役どころだ。目立つぞ」
ゆかり「一緒にがんばりましょう、凛さん」
凛「う、うん。わかった」
9: 以下、
凛「それで、どんな役なの?」
P「ええと、もらった資料によると、凛は……」
P「拳ひとつで世界最強を目指す超熱血ファイターの役だな」
凛「………」
凛「その役、私に向いてなくない?」
麗奈「向いてないわね」
つかさ「向いてないな」
ゆかり「向いていますね」
凛・麗奈・つかさ「え?」
ゆかり「?」
P「ちなみにゆかりは、政略結婚させられそうになっている富豪の娘役だ」
10: 以下、
つかさ「ま。この演劇は、役者の普段の顔と演技中の顔のギャップも楽しみのひとつだからな」
P「たまにこうやって、一見ミスキャスティングと思われそうな割り振りがされるんだ」
P「普段の自分と違うキャラを演じるのも、実力の見せどころというやつだな」
麗奈「前にゆかりが演劇やった時はすごかったわね」
麗奈「呪われた黒い魔女の役だったんだけど……迫真の演技すぎて、練習に付き合ってあげたアタシが引くくらいだったわ」
麗奈「ホントに呪われるかと思ったし」
凛「そんなにすごかったんだ」
ゆかり「自分でも、なかなかうまく演じられたと思っています」
つかさ「その公演、アタシがここに入る前にあったヤツなんだよな。生で観たかったわ、マジで」
P「そういうわけで、凛とゆかりは今後、演技の練習を行うことになるから頑張ってほしい」
ゆかり「はい」
凛「……わかった。なんとか、やってみる」
11: 以下、
その日のお昼休み
凛「台本もらったけど……これをただ読むだけじゃダメなんだよね」
ゆかり「そうですね。場面場面に応じて、しっかりと感情をこめた演技をしなければいけません」
凛「そういうの、正直苦手だな。小学生の時に、クラスのみんなで劇をやったんだけど……あの時も、ほとんどセリフのない通行人の役をやらせてもらった気がする」
ゆかり「私は……そうですね。お芝居に興味はあったのですが、自信が持てなくて。自分からこの役をやりたいと、言いだすことができませんでした」
凛「そうなんだ」
ゆかり「アイドルになってから、挑戦することの楽しさに気づいて、そういったことにも積極的になれるようになったんです」
ゆかり「今ならきっと、一番に手を挙げて、主役をしたいですと言えると思います」
凛「演技するの、好きなの?」
ゆかり「ええ。お芝居を通して、今まで知らなかった新しい自分と出会える気がするので」
凛「新しい自分、か……」
12: 以下、
ゆかり「はい。『私、こういうキャラクターにもなれるんだ』と思うと、自分自身の可能性が広がっていくように感じられます」
ゆかり「それは、アイドルとしてやっていくうえでも大事なことだと思うんです」
ゆかり「今回の役も、普段言わないようなセリフを言ったりするのが楽しみですね」
凛「たとえば、どんなの?」
ゆかり「なめてんじゃないわよウスラトンカチ! とか」
凛「富豪の娘にしては口悪くない?」
ゆかり「なかなかお転婆な性格のキャラクターのようですよ。今のセリフもきちんと台本にあります」ウフフ
凛(それにしても、今のセリフは感情こもってた……ゆかり、本当に演技うまいんだ)
凛「私も、好きになれるといいんだけど……」
晶葉「話は聞かせてもらった!」バーン
凛「晶葉」
ゆかり「おはようございます」
晶葉「うん、おはよう」
晶葉「さて。来て早々だが、午前中に完成させた新作の発明品の出番だな!」
13: 以下、
凛「今度はなにを作ったの? 攻撃力は?」
晶葉「おいおい。それではまるで、私がいつも戦闘用のマシーンを作っているかのように聞こえるじゃないか」
凛「いつも作って真奈美さんに壊されてなかったっけ」
晶葉「食事制限くんシリーズは戦闘『も』できるものであって、決してそれが主な活用法ではないんだぞ」
晶葉「そして、今回の発明は完全に非戦闘用だ。じゃじゃーん!」
ゆかり「わあ、かわいいお人形さんですね。なんていうお名前なんですか?」
晶葉「ムード盛り上げ楽隊?」テテテッテッテテー
凛「ほぼどこかで聞いたことがある名前だ」
晶葉「この人形達に設置されたスピーカーから出る音楽を聞いたものは、その音楽の影響を精神に強く受ける」
晶葉「元気の出る曲を聞けば元気になるし、悲しい曲を聞けば悲しくなるんだ」
凛「それって普通じゃないの?」
晶葉「言っておくが、本当に影響が大きいんだぞ」
晶葉「試しに……日野茜の『熱血乙女A』を再生すると」ポチッ
14: 以下、
楽隊「へいへーい! へいへーい!」
凛「……わ、なんだか無性に身体を動かしたくなってきた」ウズウズ
凛「ちょっと外のグラウンドを軽く10周くらいしてきたい気分」
晶葉「どうだ、今にも走り出したい気分だろう。私もそうなっているからな!」
ゆかり「へいへーい! へいへーい!!」ウキウキ
晶葉「ちなみに、音楽への感受性が高い人間、心が純粋な人間ほど強く影響を受けるのだっ!」
凛「なるほど! だからゆかりはもう踊りだしているんだね!」
晶葉「その通り!!」
凛「というか! さっきから声でかくない!!?」
晶葉「それもこの曲の影響だ!!」
15: 以下、
カチッ
晶葉「はあ、はあ……疲れた」
晶葉「このように、曲を止めると元に戻る」ゼーゼー
凛「いきなりあんなハイテンションになったら、疲れるのも当たり前だよ……はあ」
ゆかり「でも、すごい効果ですね。本当に、曲に乗せられるといった感覚で……」
晶葉「これを使えば、きっと演技の練習が捗るぞ」
晶葉「凛でも簡単に熱血キャラになれるからな」
凛「確かに。本番では使えないけど、最終的にどういう演技をすればいいかのイメージはつかめるかも」
凛「ありがとう、晶葉」
晶葉「このくらいどうということはないさ。私もちょうど効果を試しておきたかったところだからな。いわば君はモニターだ」
晶葉「ちなみにサイレントモードもある。こっちはこのインカムを耳に入れている者にだけ音楽が聞こえる仕様だ」
ゆかり「周りの人達を巻きこまないようにできるんですね」
凛「本当、さらっとすごいモノ作るよね。晶葉は」
晶葉「へへん、まあ私は天才だからな!」
16: 以下、
晶葉「それに、この発明は私自身の演技の練習用に特別気合いを入れて……っと、これは言わないでいいか」
凛「?」
晶葉「なんでもない」
ゆかり「晶葉さんは努力家ということですよ」
晶葉「ゆかり、言わなくていい」
晶葉「とにかく、それを使って弱点克服に励むといい」
凛「うん。頑張ってみる」
麗奈「でもその前に、もうちょっとこれで遊んでみたいわよね?」ニュッ
凛「わっ、麗奈?」
晶葉「いつの間に!」
麗奈「へえ、いろんな曲が再生できるじゃない。じゃあまずは、これ!」
楽隊「ミミミン、ミミミン、ウーサミン!」
ゆかり「ミミミン、ミミミン、ウーサミン!」
凛「か、身体が勝手にウサミンコールの体勢に……!」
晶葉「まずい、曲自体に中毒性がある場合はさらに効果が増すんだ……ウーサミン!」
17: 以下、
麗奈「アーッハッハ! これ面白いわね!」
麗奈「スペシャルバズーカで自分がびっくりしないようにと持ってきた耳栓が役に立ったわ!
麗奈「さーて、次はどの曲にしてやろうかしら。星輝子の『毒茸伝説』? それとも市原仁奈の『みんなのきもち』もいいかもしれないわね」
麗奈「なにを流しても、耳栓をつけている限りアタシは平気――」
つかさ「耳栓がどうかした?」スポン
麗奈「え」
麗奈「あーっ! なんで抜くのよ!? そんなことしたら」
麗奈「アタシまでミミミン踊ることにミミミンなっちゃウーサミン!」
つかさ「なに言ってんだこいつ?」
18: 以下、
つかさ「つーか、なんで全員で安部菜々の曲流して踊ってるんだ。今来たばかりのアタシにわかるようフォローしてほしいんだけど」
凛「な、ナイスつかさウサミン!」
晶葉「そのままそこの人形の背中についているスイッチをミミミンしてくれ!」
つかさ「ミミミンするってなんだよ……スイッチ押せばいいわけ?」
晶葉「ウーサミン!」コクンコクン
つかさ「このスイッチか……」
つかさ「………」
凛「つ、つかさ?」
つかさ「状況的に、スイッチを切らなかったらお前らの踊りが永遠にやまないと予想できるんだけど……」
つかさ「ちょっとウケるな、それ」ニヤニヤ
麗奈「な、なんですってぇ!?」
凛(わ、忘れてた……いたずらと言えば麗奈のイメージだけど、つかさも十分人をいじるのが好きなタイプだ!)
晶葉(しかも、なまじ賢いぶんえげつない戦法を取る可能性がある!)
晶葉(小悪魔から魔王に道具が渡ったようなものだぞ!)
ゆかり「うーさみん、うーさみん! ふふふっ」
麗奈「ひとりだけ完全に楽しんでるヤツがいるんだけど!」
19: 以下、
つかさ「まあゆかりはイジれないとして、次はどんなチョイスをしてやろうか……」ククク
真奈美「事情はよくわからないが、イタズラはほどほどにしておくようにな」ポカリ
つかさ「あいてっ」
つかさ「真奈美さん、いつの間に」
真奈美「ほんの少し前から様子をうかがっていた」
真奈美「このスイッチを押せばいいんだな?」ポチ
楽隊「ウーサミ………」ピタッ
晶葉「ようやく解放された……」
凛「つかさを止めてくれる人がいて助かった……」
つかさ「真奈美さんは敵に回すと厄介だからなぁ」
ゆかり「いつもと趣向の違う曲を踊るのも、新鮮な感覚があってよかったです」
麗奈「アンタすごいわね……」
20: 以下、
凛「そういえば、どうしてつかさと真奈美さんにはムード盛り上げ楽隊の音楽が効かなかったの?」
麗奈「言われてみれば……アタシみたいに耳栓してたわけでもないのに」
真奈美「確かに、あの曲が流れている間は身体が勝手に踊りだしそうではあったが……」
つかさ「別に抵抗できないほどではなかったな」
晶葉「ふむ……どうやら、大人に対しては効果が薄いようだな」
晶葉「人生の中で様々なことを知った結果、心が純粋ではなくなって、楽隊の影響を受けにくいようだ」
凛「大人って大変なんだね……つかさなんて、まだ高校生なのに」
ゆかり「大変のようですね」
つかさ「なんで急に憐れみの視線が飛んでくるわけ。つかアタシはまだ華のJKだっての」
真奈美「はははっ。確かに、子どもの頃に持っていた尺度と同じようには、物事を見られなくなっているのかもしれないな」
麗奈「大人ってめんどくさそうね」
真奈美「君もいつかはそうなるんだぞ?」
麗奈「アタシはならないわ! 女王様になってメンドクサイルールは全部変えちゃうから!」
真奈美「なるほど。それはまた、面白い宣言だ」ハハハ
21: 以下、
一週間後
凛「く……今に見てろ。私は絶対に世界一強くなって……」
凛「………」
凛「はあ。なんか違う気がする……」
凛(晶葉の発明のおかげで、ちょっとはマシになってきたけど……まだ、うまく感情を込められていないような……)
凛(とにかく、納得のいく演技はできていない)
凛「このキャラは、パンチだけで世界の格闘家たちが集まる武道会を制しようとする熱血少女」
凛「しかもストーリーを追っていくと、結構バカなこともわかる……そこを意識して演技しないと」
ゆかり『演技のコツですか? やはり、そのキャラクターのことをしっかり読み込んで理解することでしょうか』
晶葉『私が以前演じたのは科学者役だったからな。あまり自分そのものを変えずに演技するだけでOKをもらえた』
麗奈『とにかく目立つように演技すればいいのよ!』
凛「みんなのアドバイスも、ちゃんと活かさないと……」
凛「……はあ。難しい」
22: 以下、
つかさ「グロッキー?」
凛「あ、つかさ……」
つかさ「ほら、ジュース買ってきてやったから。甘い物飲んで頭休めろ」
凛「ありがと」
つかさ「150円」
凛「……お金取るの?」
つかさ「さすがにジョークだって」
つかさ「演劇、うまくいってないみたいだな」
凛「はっきり言うんだ……」
つかさ「ごまかしてもしょうがないだろ。アタシと凛の関係で」
凛「……うん。そうかも」
凛「ゆかり達にも、いろいろ教えてもらってるんだけど……なかなかしっくりこないんだ」
つかさ「………」
23: 以下、
つかさ「お前……もしかして、全員のアドバイスを律儀に全部こなそうとしてる?」
凛「え……あ、うん。せっかく私のために言ってくれることなんだし」
つかさ「まずそこがミスなんじゃねえの?」
つかさ「ひとりひとり考えなんてバラバラなんだから、それ全部取りこもうとしたら迷走するのも当然っしょ」
凛「そのくらいはわかってるつもりだけど……それぞれのアドバイス、一度はこなしてみないと、私に合うか合わないかもわからないし」
凛「だから、とりあえず全部試してみて」
つかさ「試してみて?」
凛「余計わからなくなった」
つかさ「負の連鎖だな……」
24: 以下、
凛「本当、どうしたらいいんだろう」
凛「これが学校の勉強なら、教科書や問題集に答えが載ってるのに」
つかさ「そうだな。アイドルに限らず、仕事ってのは最初から答えが用意されてるもんじゃないから」
つかさ「アタシもお前もまだJKだけど、同時にアイドル……プロで、社会人だ。自分で聞いて、自分で判断しなきゃならねえ」
つかさ「リサーチとセルフチェックは欠かせないし、それでもってうまい具合にPDCA回していかなきゃな」
凛「………」
つかさ「もちろん、今のアタシの言葉をどう受け取るかもお前次第ってわけ」
凛「なんていうか……すごく難しくて、ちょっと怖い」
つかさ「けど、怖がって前に進まないヤツには誰もついてこない」
凛「つかさ……」
25: 以下、
つかさ「ま、つれぇーって思った時には気分転換だな」
凛「気分転換か……つかさはなにをして気分を入れ替えるの?」
つかさ「野菜をぬかに漬ける」
凛「ごめん。ちょっと私には真似できそうにない」
つかさ「あとはカレーを食う」
凛「そっちならいけそうかな」
凛「ねえ。オススメのカレー屋さん、どこか近くにある?」
つかさ「ちょうど今日行こうと思っていた店があるけど、なんなら一緒に来る?」
凛「うん」
凛「……値段、高すぎるとかはないよね」
つかさ「ウマイもん食う時に財布の中身を気にする人間はだっせーぞ」
凛「どこかの社長さんみたいに、お金に余裕があるわけじゃないから」
つかさ「心配しなくても、今日行くトコは良心的な値段だ。コスパ良好」
凛「ほっ」
つかさ「その反応、この前麗奈誘った時と完璧シンクロしてるわ」フフッ
凛「そっか……ふふ」
26: 以下、
翌日
真奈美「なるほど。つかさがそんなことを」
真奈美「彼女は自分にも他人にも厳しいからな……そう言うのもうなずける」
凛「真奈美さんは、違う考えなの?」
真奈美「いや、だいたいの部分は同じ考えだよ。確かに我々はプロで、だからこそ自分自身で判断しなければならない状況も存在する」
真奈美「ただ、それはあくまで一面にすぎない。私は別として、凛達がまだ子どもであることも事実だ」
真奈美「そして、子どもは誰かに頼りたい時に頼っていい。もちろん、いつもというわけにはいかないが」
真奈美「幸い、君には頼るべき相手がちゃんといることだしな」
凛「頼るべき、相手?」
真奈美「そうだ」
真奈美「君のアイドルとしての素質を見抜き、この世界へ引き入れた男。アイドルとしての渋谷凛をいつも近くでみている男」
P「凛。ちょっと公演のことで話があるんだが……」
真奈美「ほら、ちょうどいいタイミングで現れた」
P「?」
27: 以下、
凛「――という感じで」
P「なるほど、それで悩んでいるんだな」
P「こっちも、演技について何か問題がないか聞こうと思っていたところなんだ。ちょうどよかった」
凛「ごめん。ちょっとドツボに嵌っちゃってる」
P「謝ることはないよ。こうして舞台で演技する機会は初めてなんだから、壁にぶつかるのも当然だ」
P「それを助けるのも、俺の役割のひとつだし」
凛「ありがとう、プロデューサー」
P「………」ウーム
P「そうだなあ……俺なりに考えて、今の凛に一番大事にしてほしいことがあるんだけど」
凛「それって?」
28: 以下、
P「劇の中のキャラクターになりきるだけじゃなくて、『自分らしさ』をしっかり残してほしい」
凛「自分らしさ……?」
P「今回のイベントは、確かに演劇形式だ。だけど、演じるのはプロの役者じゃなくて、あくまでアイドルの君達」
P「だからお客さんは、普通の演劇以上に『役者そのもの』に注目していると俺は思う」
P「もちろん劇そのものも楽しみにしているだろうけど、その人達はアイドルの渋谷凛も楽しみにしているんだ」
P「いろいろ、演技について気になってしまうのはわかる。だけど、まずはシンプルにそこを意識してほしい」
P「一度自分の核みたいなものを決めておけば、演技が迷走するってこともなくなると思う」
P「あくまで俺の一意見だけど、どうかな」
凛「………」
凛「自分らしさ……確かに、それは大事なのかも」
凛「でも、私らしさっていったい……」
凛「……って、なんでも答えを求めてちゃダメか」
29: 以下、
凛「ありがとう。ここから先は、自分で考えてみる」
P「そうか。頑張ってな」
凛「うん」
凛「……あ、でも。考える上での、参考資料はほしいかな」
凛「プロデューサー。プロデューサーから見て、私ってどんな人間?」
P「どんな人間、か。いろいろ答え方はあると思うけど……」
P「真っ直ぐな子、かな」
30: 以下、
後日
晶葉『そうだな……凛は、話しやすい人間だと思う。私の発明品にも興味を持ってくれるからな』
ゆかり『かっこいい、ではないでしょうか』
真奈美『一見クールだが、内にある物は意外と燃え上がりやすい。そういう印象がある』
つかさ『不器用』
麗奈『最近ツッコミサボってない?』
凛(みんなの答えは、本当にバラバラだった。自分がちゃんと同じ質問をしたのかと疑ってしまうくらいに)
凛(でもきっと、これらは全部私の特徴の一部なんだと思う)
凛「864円になります」
凛「136円のお返しになります。ありがとうございました」
凛(私らしさ……それっていったいなんなんだろう)
31: 以下、
凛「お次でお待ちのお客様。どうぞ」
凛(前にゆかりが言っていた『新しい自分に会える』という話……私にもわかる)
凛(私も、もう新しい自分には出会っている)
凛(それまでの、ただ漠然と生きていた自分。普通に学校に通って、普通にお店の手伝いをして)
凛(そんな自分以外の自分を見つけたのは)
凛「あ……」
ゆかり「こんにちは。お花、買いに来ちゃいました」ニコッ
凛「……ここで、ゆかりと出会ったのがきっかけだったっけ」
ゆかり「はい?」
凛「なんでもない」フフッ
32: 以下、
凛「1235円になります」
ゆかり「ええと。では、2000円でお願いします」
凛「2000円お預かりしましたので、765円のお返しになります」
ゆかり「手際がいいんですね。なんだか様になっている感じです」
凛「まあ、慣れてるから」
凛「………」
ゆかり「凛さん?」
凛「将来は、この店を継ぐのも悪くないかな、なんて思ってたんだ。花は好きだから」
凛「でも最近は、花のことよりも学校のことよりも、アイドルのことばかり考えてる」
凛「新しい自分。アイドルとしての自分に、夢中なんだと思う」
ゆかり「……私も同じです。凛さんよりも、ずっと前から」
凛「先輩だもんね」
ゆかり「はい。先輩ですから」ウフフ
33: 以下、
凛「ステージに立つ私は、まるで私じゃないみたいで……正直、まだ全部をつかみきれていない気がするんだ」
凛「自分のことなのに、自分が知らないことがある。不思議だけど、多分そう」
凛「だから私は、それを知りたい。アイドルとしての自分が、どんな形をしているのか。それを見つけたい」
凛「『私らしさ』も、その時初めてわかる気がするから」
ゆかり「私らしさ……この前言っていたことですね」
凛「うん。私らしさを探している真っ最中なのが、今の私なんだと思う」
凛「だから……まだ、立ち止まってはいられないかな」
凛「いつまでも悩んだままじゃいられない。開き直って、今できることを全力で思いっきりやる」
ゆかり「……ふふっ。凛さんには、やっぱりかっこいい顔が一番似合いますね」
ゆかり「公演、がんばりましょう」
凛「一緒に、だね」
ゆかり「はいっ」
34: 以下、
そして、公演当日
富豪の娘・ユカリ「フン! 私に拾われなければそこらでのたれ死んでいた落ちこぼれが『武道会』で優勝するですって?」
ユカリ「バカバカしい、呆れてモノも言えないわ!」
武道家・リン「なんと言われようが私は優勝する! 死んだ親父に誓ったんだ、この拳で世界を獲るって!」
リン「だから、こんなところで立ち止まっちゃいられないんだよっ!」
ユカリ「無理ね、無理無理! 運命なんてそう簡単に変えられるモノじゃないのよ!」
リン「はんっ。そんな運命こっちから願い下げだっつーの!」
ユカリ「………」
ユカリ「いいわ。そこまで言うなら、今度の武道会はあなたに賭けてあげる」
リン「は?」
ユカリ「権威ある武道会には、権威あるバックがついていないと参加すらできないのよ。だから、私があなたの後見人になってあげると言っているの」
リン「ほ、本当か!?」
ユカリ「ええ。そのかわり、出るからには必ず優勝しなさい」
ユカリ「大口叩いた以上、私の顔に泥を塗ることは許されないわ!」ドーン!
リン「おうっ! もちろんだぜ! よっしゃー、燃えてきた!」バーン!
ユカリ「……せいぜい見せなさいよ。運命が変えられるってこと」
35: 以下、
リン「とは言ったものの……修行しても全然成果がでねえ」
リン「くそっ! もう本番まで時間がないっていうのに!」
謎の通行人「シブヤ」
リン「ん?」
謎の通行人「ヒダリデウテヤ」
リン「いや、いきなりなんだよお前」
謎の通行人「ヒダリデウテヤ」
リン「ああ? ったく、しゃーねーな」
リン「左で渾身のストレート!」
バゴオオオン!!
リン「!? 今までと威力が違う!」
ユカリ「そうか! あなた実は左利きだったのよ!」
リン「な、なんだってー!」
つかさ「………」←観賞中
つかさ「毎度のことだけど、話の展開無茶苦茶だな」
麗奈「今の今まで利き腕間違えてるってどんだけアホなのよ」
晶葉「まあ、そこを楽しむのも恒例だからな」
真奈美「その通り。それに……」
36: 以下、

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