八幡「俺はモテてはいなかった…」back

八幡「俺はモテてはいなかった…」


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八幡「そんなことはわかってたんだよ…」
八幡「別に気にすることでもないだろ…」
小町「でもお兄ちゃん…心なしか寂しそうだよ?」
八幡「……」
小町「3年になるまでは、結衣さん達ともうまくいきそうだったのに」
八幡「まあな…俺だって考えてた…少しは」
小町「それがさ…今は…」
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2: 以下、
小町「みなさん、離ればなれになったみたい…」
八幡「…」
小町「奉仕部もないも同然だし…」
八幡「お前、奉仕部に入部しようとか言ってなかったか?」
小町「あはは」
八幡「やめとけよ…もう…意味ない…全然」
小町「お兄ちゃん…」
八幡「意味ないんだよ…」
3: 以下、
小町「ねえ、お兄ちゃん」
八幡「なんだ?」
小町「なにがお兄ちゃんにとって、一番ショックだったの?」
八幡「一番…?」
小町「うん」
八幡「それは……」
小町「やっぱりさ、結衣さんのことかな?」
八幡「……」
小町「やっぱりそうなんだ?意外…でもないかな」
八幡「……」
4: 以下、
八幡(俺たちは3年になって…由比ヶ浜とも違うクラスになった)
八幡(雪ノ下とは当然クラスは違うし、俺は戸塚と同じクラスだった)
八幡「4月に入って、奉仕部活動も落ち着いて、受験勉強の図書室代わりに使ってたんだよ」
小町「うん、小町も何回か見に行ったけどさ、楽しそうだった」
八幡「あのころはな…」
小町「でもさ、もうあの頃から…」
八幡「まあな…」
八幡(3年になって転校生が由比ヶ浜のクラスに来たらしい)
5: 以下、
八幡(三浦や葉山も同じクラスだったのもあり、その転校生は葉山たちのグループに打ち解けた)
八幡(その転校生は比較的二枚目で性格良好の長身、葉山みたいな奴だった)
八幡(けっこう学校の評判もいいよな)
八幡「で、由比ヶ浜もスキンシップ図るから…」
小町「仲良くなっていったんだ…」
八幡「ま、多分な」
八幡「二人で歩いてるところとかも何回も見てるしな」
小町「うわ?…」
八幡「なんだよ…別に落ち込んだりしてないぞ…」
小町「またまた」
6: 以下、
八幡(それから夏になるころには、二人は付き合いだした…)
小町「…今年のバレンタインあたりまでは、結衣さんお兄ちゃんのこと好きだったはずなんだけどな」
八幡「今ににして思えば…そうかもな」
小町「お兄ちゃんがもたもたしてるから…」
八幡「しょうがないだろ…それに、気の合う美男美女相手に割り込むとか無理だしね?」
小町「また自虐だし…」
八幡「それと…雪ノ下がな」
小町「あ、そうだね…」
八幡「葉山と付き合いだしたしな…」
7: 以下、
小町「そっちも意外…でもないのかな??」
八幡「なんだかんだで惹かれあってたしな…」
小町「恨みとか持ってるって聞いてたけど…」
八幡「表裏一体ってことだろ…好きも嫌いも紙一重…なんちゃって」
小町「うわ…全然似合わないね…その台詞」
八幡「うるせっ」
八幡(そう…この夏に雪ノ下も葉山と打ち解けて付き合うまでに至った)
八幡(二人の関係がどう解決したのか…解決してないのかもわからないけど)
八幡(とにかく付き合い出したわけだ)
小町「やっぱり落ち込むよね…」
小町「去年とか今年の初めまで、色々協力して奉仕部支えあってきたのに…」
11: 以下、
八幡「…」
小町「お兄ちゃん一人、置いてけぼりみたいにさ…」
八幡(忙しいという理由で3人揃うことが極端に減った…)
八幡(忙しいというのは…もちろん彼氏との約束を優先してるということかね)
小町「奉仕部なくなっちゃうのかな…」
八幡「元々俺たち3年だぞ?受験だし、引退の時期でもあるし」
小町「そうだけどさ…」
八幡「それに…こう言うのもあれだけど…」
小町「なに?」
八幡「あいつらが、青春を謳歌してるのは…正直うれしい」
小町「お兄ちゃん…」
14: 以下、
八幡「元々異質だったんだよ、俺がどうこうっていうよりは…」
小町「へ?」
八幡「奉仕部みたいなよくわからん部活にあんなハイスペックの二人が、貴重な時間費やして…」
小町「ハイスペックって…パソコンじゃないんだから…」
八幡「俺みたいな奴といること自体変だったんだよ…」
小町「う?ん、小町はそうは思わないけど…」
八幡「経験って意味では奉仕部の経験は貴重だし、色々とデカいけどな」
小町「へえ、お兄ちゃんらしからぬ発言…ポイント高いよ?」
八幡「…」
15: 以下、
八幡「1年も費やしたんだ…これから受験で忙しくなるし…たまの休みのデートとかしたくなるだろ」
小町「デートだけかな??」
八幡「やめろよ…」
小町「冗談だよ…そっか、でもお兄ちゃんも変わったんじゃない?」
八幡「はあ?」
小町「器が大きくなったみたいに見えるよ?」
八幡「一応色々あったしね、一年間…少しはね…」
小町「でもさ…寂しいよね、少し…」
八幡「あたりまえだろ…」
小町「うん…」
16: 以下、
奉仕部 部室
八幡「……」カリカリ
雪乃「…」カリカリ
結衣「…えっと、ここは…」ペラペラ
八幡「暑いな…今日も」
雪乃「ええ、もう7月だもの」
八幡「そうだな…」
雪乃「よかったらお茶のおかわりはどう?」
八幡「いや、いらね」
雪乃「そう?」
八幡(今日も特に代わり映えのない会話が続いてるな…)
17: 以下、
八幡(こういう会話に安心する自分もいるんだよな…)
八幡(でも…)
ピロロロロロロロ
結衣「はいっ」
結衣「あ、S君?う、うん…今部活だけど…」
結衣「え?時間は大丈夫だし、別にすぐ行けないこともないけど…」
結衣「うん、うん」
雪乃「彼氏からね」
八幡「だろうな…」
八幡(こういうのは…少し寂しさを覚えるな…)
18: 以下、
結衣「うん、ちょっとみんなと相談してみるね…」ピッ
雪乃「どうしたの?」
八幡「由比ヶ浜?」

結衣「うん…転校生のS君がさ…親睦会やらないかって…」
八幡「親睦会…?」
結衣「なんか、叔父さんのお店、予約で押さえてあるから…」
結衣「奉仕部のみんなもどうか?って」
八幡「……」
結衣「お酒とかは出さないように配慮するって言ってたけど」
雪乃「…比企谷くんは?」
八幡「俺…?」
19: 以下、
雪乃「私は葉山君のこともあるし、顔を出すけれど…あなたはどうするの?」
八幡「…奉仕部のみんなって言われてたんだろ?」
結衣「うん…」
八幡「なら、俺も出ておいた方が由比ヶ浜の面子もたつだろ」
結衣「ヒッキー…ごめんね、ありがとう」
八幡「いいっての、このくらい」
雪乃「あなたにしては殊勝な心がけね」
結衣「あとさ…今日先に帰っても大丈夫かな?」
八幡「待たせてるのか?」
結衣「うん…まあ」
八幡「早く行ってやれよ」
雪乃「そうね、その方がいいわ」
結衣「ごめん!ありがとう!」タタタタ
20: 以下、
雪乃「本当に殊勝な心がけね」
八幡「なんなのその言葉?はやってんの?」
雪乃「それにしても親睦会…葉山くんも三浦さん達も来るでしょうね」
八幡「まあ、来るだろ」
雪乃「いいのかしら、あなたは?」
八幡「戸塚を呼ぶかな…」
雪乃「いいわね、一色さんも呼んであげたら?」
八幡「一色来るのか?」
雪乃「わからないけれど、葉山くんがいれば来るでしょう?」
八幡「そうか?」
21: 以下、
八幡(あいつも最近はここへ来ることもなくなったな)
八幡「そういえば、葉山とはうまくいってるのか?」
雪乃「そうね、これからだけれど…今日も帰る約束をしているし…」
八幡「じゃあ行けよ、俺が戸締りしておくから」
雪乃「いいのかしら?」
八幡「俺が一番暇だしね」
雪乃「それではお願いするわね」ガタ
八幡「……静かになったな…」
八幡「寂しさ…か」
24: 以下、
帰り道
スタスタスタスタ
八幡「勉強の方は、今のところうまくいってるが…」
八幡「あの二人のああいう所見ると…なんかな」
八幡「去年とかが懐かしく思えるよな…」
スタスタ
八幡「一色は葉山のことどうするのかはわからないけど…」
八幡「今は生徒会でかなり忙しいらしいしな…」
八幡(奉仕部に来なくなったのもそれが原因か)
八幡「あと、戸塚も彼女ができたらしいし…」
八幡「まあ、戸塚ならわかるけど…」
27: 以下、
八幡「…ん?」
八幡「バイト募集か…コンビニ店…」
八幡「卒業までにどのくらい貯まるかね…」
八幡「…」
戸部「あっれ??ヒキタニくんじゃん??」
八幡「ん?」
海老名「やっはろ?!」
八幡「え?なに、その由比ヶ浜的挨拶…」
三浦「ヒキオ、ノリ悪すぎだっての」
28: 以下、
八幡「お前ら…」
戸部「どしたん??マジ元気なさそうじゃん」
海老名「う?ん、これは…」
三浦「…」
三浦「戸部、姫菜。先行ってな」
海老名「え?」
三浦「あーし、ちょっとこいつと話あっから?」
八幡「三浦……?」
29: 以下、
スタバ
三浦「まっさか、ヒキオと二人でこういう所入ることになるなんて思わなかった」
八幡「俺のセリフだっての…」
三浦「あ?なんか言った?」
八幡「いえ、なにも…」
三浦「ま、とりあえずなんか飲み物でも?」
八幡「話ってなんだよ…」
三浦「あわてんなっての…コーヒーでいいや、あんたは?」
八幡「同じで」
三浦「じゃあ、アイスコーヒー二つ」
31: 以下、
八幡「で、話ってのは…」
三浦「ん?大体わかるでしょ?」
八幡「いや…わからないんだが…」
三浦「あんたってさ、親睦会出るの?」
八幡「由比ヶ浜が言ってたやつか」
三浦「そう、隼人が主催してさ、Sの転入祝おうって話になって…Sっていうのはうちのクラスの転校生で」
八幡「知ってる…由比ヶ浜の彼氏だろ?」
三浦「あ、なんだ知ってるんだ…ははぁ」
八幡「なんだよ…?」
32: 以下、
三浦「あんたも意中の女子、とられて悔しいって感じ?」
八幡「はあ?」
三浦「なんだかんだで、あんた結衣と過ごした時間長かったでしょ?」
八幡「まあ…」
三浦「だったら、寂しいとか悔しいとかあんじゃない?」
八幡「別に…」
三浦「つーか、あんたなんかと結衣が釣り合うとか思ってたりしてたん?」
八幡「思ってねぇよ…釣り合うわけないだろ」
三浦「…」
八幡「俺は…由比ヶ浜が青春謳歌してるのは嬉しいと思うぞ」
八幡「それが健全な女子高生だろ?」
33: 以下、
八幡「いつまでも、あんな奉仕部で活動してても由比ヶ浜の為にならんだろ…」
三浦「自虐もそこまで行くと笑えないし…」
八幡「自虐じゃねぇよ」
三浦「ま、どっちでもいいけど…」
三浦「そういう考えのうちは、あんたもまだまだだし…」
八幡「そういう三浦こそどうなんだよ?」
三浦「は?なにが?」
八幡「そのSとかいう奴の親睦会…葉山が来るなら行きにくいだろ」
三浦「…」
34: 以下、
三浦「隼人は…」
八幡「雪ノ下と付き合ってるだろ…」
三浦「…」
八幡「親睦会には二人も参加するんだろ」
三浦「そう聞いてるけど…」
八幡「だったら…」
三浦「しょうがないじゃん…隼人が選んだことだし」
三浦「あーしは告白することもなく負けたんだし…」
三浦「二人お似合いだし」
八幡「いいのかよ、それで…?」
三浦「いいもなにも…今は見守るしかないって言ってんの、うだうだ考えても仕方ないし」
八幡「考えても仕方ない…か」
35: 以下、
三浦「あんたってさ…」
八幡「…え?」
三浦「去年とか見てて、結構頼りになる奴だとは思うようになったけど…」
三浦「こういうのはからっきしダメだね」
八幡「こういうのって…」
三浦「ま、恋愛したことないとそんなもんか」
八幡「……」
三浦「あんたさ、今一番前に進んでないんじゃない?」
八幡「…それは」
三浦「知ってる?戸部と海老名付き合ったよ」
八幡「…マジか」
38: 以下、
三浦「海老名姫菜…あいつも変な奴だよね」
三浦「あんたみたいな奴、結構気に入ってたりしてたし」
八幡「どういうことだよ…」
三浦「修学旅行終わったあたりから、偶にヒキオの話題出してたし」
八幡「海老名さんがね…」
三浦「戸部は、今回猛アタックしてたし…それが実って姫菜ゲットできたし」
八幡「あいつもすごいな…」
三浦「やつ時はやる奴だしね…でないとあーしが友達認定しないし」
八幡「ですよね…」
41: 以下、
三浦「ヒキオもさ…いつまでも腐ってないで、一歩前に踏み出してみたら?」
八幡「…」
三浦「じゃなきゃ、親睦会来てもさ辛いだけだと思うよ…」
三浦「色々辛いもの見るかもしれないし」
八幡「…」
八幡「中学の頃、恋愛封印して…」
三浦「封印ってあんた…」
八幡「高校2年になって、どんな因果か雪ノ下や由比ヶ浜と知り合って…」
八幡「恋愛って希望ももしかしてなくはないんじゃないかって思えてきて…」
八幡「でも、そうしてる間に…また離れて…」
三浦「…」
42: 以下、
八幡「で、今三浦に一歩踏み出せって言われてるとか…」
八幡「なんだそれ…」
三浦「あーしに聞くなっての」
八幡「それもそうだな…」
三浦「あんたには恩もあるし、これが言いたかっただけ」
八幡「そうかよ…」
三浦「ま、あーしが言いたいのはそんだけ」
八幡「…」
44: 以下、
次の日
八幡「昨日はあーしさんに説教されるし…なんかついてない」
戸塚「なんだか大変だったんだね」
八幡「まあね、戸塚…もう俺にはお前しかいない」
戸塚「八幡…」
八幡「といっても、戸塚も彼女できたんだったな」
戸塚「うん…」
八幡(照れてる戸塚超かわいい、お持ち帰り?)
戸塚「後輩なんだけどさ」
八幡「そうか、うまくいくといいな」
戸塚「うん、八幡も彼女作ればいいのに」
八幡「無理だろ…」
戸塚「そうかな?」
45: 以下、
川崎「あの…ちょっと…」
八幡「ん?」
戸塚「へ?」
川崎「あんたに…用があんだけど…いい?」
八幡「俺かよ…」
戸塚「行ってきなよ、八幡」
八幡「……」
46: 以下、
校舎の隅
八幡「話って…?」
川崎「あ、うん」
八幡(このシチュエーションは…普通なら告白か?)
八幡(まあ、川崎だし…色々あったしでありえんけど…)
川崎「親睦会…」
八幡「親睦会?あの葉山たちの?」
川崎「そうなんだけど、出ないかって言われてさ」
八幡「川崎にもかよ…俺にもきたけど」
川崎「あ、そっか…みんな出るみたいだしそうだとは思ってだけど」
47: 以下、
川崎「それだけわかればいいよ、悪いね時間使わせて」
八幡「え?それだけか?」
川崎「そうだよ、それじゃあ」
八幡「…」
八幡(いや、別になにも期待してなかったけどね…?本当ですよ?)
八幡「でも…なんだかな…」
49: 以下、
昼休み
八幡「…戸塚と食べたかったけど…」
八幡「彼女のところに行ったらしいな…この際、材木座でもいいかも…」
八幡「まあ、あいつも見当たらないんだが…」
八幡「…暑いはずなのに…今日は寒く感じるな…」
結衣「あ、ヒッキー」
八幡「ん?由比ヶ浜?」
結衣「あれ?一人で食べてるの?彩ちゃんは?」
八幡(隣にいるのは……由比ヶ浜の彼氏の…S君か…)
八幡「用事あるってさ」
結衣「あ、そうなんだ」
51: 以下、
S君「…」
八幡(なんか見られてるけど…余裕の表情だな)
八幡(俺なんて眼中にないのかもな)
結衣「あのさ、親睦会の日程だけど、今度の日曜日の10時からだからさ」
八幡「わかった、開けとけばいいんだな」
結衣「うん、お願いね」
結衣「えっと、それじゃあまたねっ」
八幡「おう…」
S君「…彼が…」
結衣「…うん、そうだよ…」
八幡「…辛い思い…か」
53: 以下、
八幡「もう休み時間終わるな…帰るか」
スタスタ
八幡「ん…あれは…」
葉山「雪乃ちゃん、今日はありがとう。また今度お礼に行くよ」
雪乃「ああいうのでよければ、またいつでも作るけど」
葉山「ああ、ありがとう」
八幡(親しげに会話してるな…まあ、恋人同士だし当たり前か)
八幡「…」
八幡「ダメだな、回り道するか…」
スタスタ
54: 以下、
放課後
三浦『前に進まないと、親睦会で辛い思いを…』
八幡「……」
八幡「三浦の言葉が頭から離れない…」
八幡「くそ…」
スタスタ
八幡「あれ?小町…?」
小町「やっほ、お兄ちゃん」
八幡「どうしたんだよ、奉仕部の部室で」
小町「それがさ、今日は奉仕部ないんだってさ」
八幡「…二人とも用事か…?」
55: 以下、
小町「うん、そう言ってたよ」
小町「結衣さんが電話でお兄ちゃんに伝えようとしてたんだけど、小町が直接言いますって」
八幡「そういうことか…はあ…」
小町「お兄ちゃん、疲れてる?」
八幡「いや、別に…そんなことないぞ?」
小町「しょうがないな、今日は一緒に帰ってあげるよっ!」
八幡「小町…」
小町「でもさ?小町、今日告白されたんだよね?」
八幡「なに…?」
57: 以下、
小町「あ、大丈夫だよ??ちゃんと断ったから!」
八幡「なんだ、そうか…」
小町「安心した?」
八幡「もちろんだ」
小町「やっぱり?そうだよね?お兄ちゃん、小町にベタ惚れだもんね?」
八幡「もう結婚するか、小町」
小町「お兄ちゃん、それはいくらなんでも気持ち悪いって??」
八幡「…」
小町「どしたの?」
八幡「バイト…か」
小町「これって…駅前のコンビニの求人じゃん」
58: 以下、
八幡「……」
小町「え、お兄ちゃんバイトするの?」
八幡「学生の間でどれだけ貯められるか、やってみるのいいと思わない?」
小町「いや…よくわかんないけど…」
八幡「堅実なのは俺の性に合ってそうだし…そうだな」
小町「あれ?お兄ちゃんがいつになくやる気だ…うそ…」
60: 以下、
日曜日
小町「お兄ちゃん、ファイトだよっ!」
八幡「おう…」
小町「気圧されたら負けだからね?」
八幡「別に魔王の屋敷に行くわけじゃないぞ?」
小町「同じだよっ!じゃあ、行ってらっしゃい!」
八幡「行ってきます…」
61: 以下、
戸塚「八幡、こっちだよ」
八幡「戸塚、早いな」
一色「先輩、おはようございま?すっ!」
八幡「あれ、なんで一色が?」
一色「え?戸塚先輩、伝えてなかったんですか?」
63: 以下、
八幡「んん?」
戸塚「いや、照れくさくってさ…一応後輩とは伝えたんだけど…」
一色「いや、それわかりませんて…」
八幡「おい…まさか」
一色「はいっ、わたし達付き合うことになったんですよ?!」
八幡「…そ、そうか…おめでとう…?」
一色「はい、ありがとうございますっ」
戸塚「あ、あははははは」
八幡(なんか急過ぎてついて行けないけどな…)
67: 以下、
ちょっと洒落た感じのお店
八幡「こんなところを貸切りか…」
戸塚「入るの緊張するね…」
一色「なんか、結衣先輩の彼氏さんの親戚のお店みたいですよ?」
一色「だから、貸切りできたとか…」
八幡「とにかく入るか、10時からだろ」
戸塚「そうだね、入ろうか」
カラン
68: 以下、
結衣「あ、ヒッキーに彩ちゃんにいろはちゃん!やっはろー!」
雪乃「おはよう」
八幡「おう…」(なんか二人とも洒落た格好してるな…大人っぽい)
葉山「やあ、比企谷」
八幡「おう…」(こいつは相変わらず洒落てる…)
三浦「あ、やっと来たし」
戸部「おお?なんか新鮮な面子じゃん?」
海老名「やっほ?」
八幡(戸部以外のいつもの取り巻きもいるけど…なんか印象薄すぎて…)
八幡(葉山メンバーは全員いるみたいだな)
69: 以下、
結衣「あ、S君、全員揃ったよ?!」
S君「…そっか…じゃあ…」
結衣「じゃあ、このグラス持っていけばいいのかな、うん」
S君「気を付けて…」
結衣「うん、平気平気、大丈夫だってば」
八幡「……」
川崎「比企谷」
八幡「ん、川崎…」
川崎「やっぱり来たんだ」
八幡「まあ、そりゃ奉仕部の一員だしな、体裁とかあるだろ?」
71: 以下、
川崎「あんたそんなこと気にするんだね」
八幡「一応な、一応」
川崎「ふ?ん」
八幡「なんなんすか…」
川崎「なんでもないよ」
葉山「えっと、グラスは全員に行きわたったかな?」
一同「うぇ??いっ!」
葉山「じゃあ、もう7月にはなってますが、S君の転入を祝いまして…乾杯っ」
一同「かんぱ???いっ」
73: 以下、
ガヤガヤ
戸塚「なんだか、パーティとは言ってるけど…ただ飲んでじゃべるのが主体だね」
八幡「そうだな、酒も出てないから、その辺りも配慮してるんだろ」
一色「はいはい、先輩、戸塚先輩も!これですこれ!」
八幡「串カツかよ…」
一色「はい、食べさせてあげます、あ?ん」
八幡「いやいやいや…」
戸塚「僕の前でそういうことするのやめてね」
一色「あはは、冗談ですよ?」
76: 以下、
戸塚「もう…二人は仲がいいから、ちょっと怖いんだ」
一色「あれ??焼きもちですか??」
戸塚「ち、違うよ…そうじゃなくて…」
八幡「はは、なんか懐かしいやり取りに感じるな…」
チラ
八幡「…」
雪乃「ずいぶん凄いお店ね、規模はあんまりだけれど」
葉山「そうだね、置いてあるお酒なんかもずいぶん高そうだ」
葉山「今の俺なんかじゃ、とても雪乃ちゃんにごちそうしてあげられそうにないな」
雪乃「あら、じゃあ出世して、いずれはごちそうしてくれるの?」
葉山「努力してみるさ」
雪乃「期待しているわ」
77: 以下、
八幡(そば目でああいう会話聞いてると…なんか微妙になるな…)
八幡(また三浦の言葉が反復してきそうだ)
結衣「え?ここって有名な人とかもけっこう来るんだ?」
S君「まあ…たとえば……」
結衣「へ??、芸人さんとかもいるんだね」
結衣「S君ってここ継ぐの?将来」
S君「いや、継がないけど」
結衣「そっか、大学は行くんでしょ?」
八幡「あっちも楽しそうに話してるな…」
三浦「だから言ったでしょ」
八幡「三浦…」
三浦「微妙な気持になるって」
八幡「わかってて来たからな」
78: 以下、
三浦「なに?奉仕部の体裁とかそんなん?」
八幡「それだけじゃなくてな…」
八幡「ここに来れば…俺も状況整理できるかと思ったんだよ…」
八幡「それで前に進めるかもって」
三浦「ふ?ん、そっか」
八幡「お前は?微妙な気持ちになんの?」
三浦「そりゃあね、隼人のあんな姿見たらさ」
葉山「はははは」
雪乃「くすくす」
79: 以下、
三浦「でも、もう慣れたことにしてる」
八幡「…」
三浦「あ、あとあんたさ」
八幡「ん?」
三浦「この前、駅のコンビニで面接してなかった?」
八幡「なんで知ってんの…」
三浦「偶然見たんだけどさ」
八幡「見たのかよ……」
三浦「どうなの?受かったん?」
八幡「来週からな」
三浦「へえ、よかったじゃん」
八幡「おう」
80: 以下、
三浦「どういう心境の変化よ?」
八幡「金貯めとこうかなって思っただけだっての」
三浦「いいことじゃん」
八幡「あーしさんの言葉がきっかけですかね」
三浦「じゃあ、あーし命の恩人ってわけだ」
八幡「いや…飛躍しすぎ…」
三浦「じゃあ、バイト代金で飯でも奢ってもらおうかな?」
八幡「なんだよ、それ…」
三浦「ほら、連絡先見せな。3秒以内に出ろよ」
八幡「ひでぇ…」
81: 以下、
川崎「あ……」
三浦「絶対でろよ、あんた」
八幡「いやいや、おかしいよね?」
川崎「……」
戸塚「いいの?行かなくて?」
一色「そうですよ?」
川崎「いいよ…あたしは…別に…」
戸塚「どこがモテないのかな…八幡…」
82: 以下、
チッチッチッ
戸塚「ちょっと眠くなってきたかな…」
一色「じゃあ、そこの椅子で寝ましょう」
戸塚「うん、そうしよっか…」
八幡「……」
結衣「ヒッキー」
雪乃「比企谷くん」
八幡「おう」
結衣「あのさ、ちょっと話さない?」
八幡「わかった」
83: 以下、
結衣「えっと、今日の親睦会改めてありがとう」
八幡「別にいいけどな」
結衣「うん、でもお礼は言っておきたくて」
八幡「S君のため…か」
結衣「え?なにか言った?」
八幡「なんでも…しかし親睦会って言っても…名ばかりだったな」
雪乃「ま、そんなものよ、こういうのは」
八幡「そうかもな」
結衣「あはは」
84: 以下、
雪乃「でも、こうやって3人で落ち着いて話すのは久しぶりに感じるわね」
結衣「う、うん…そうだよね…」
八幡「そうだな…いつ以来かな…」
結衣「…あたしがS君と付き合い始めてからかな…」
雪乃「それとも私が葉山君と付き合い始めてからかしら…」
八幡「…」
結衣「…」
雪乃「…」
86: 以下、
結衣「あのさ…」
八幡「なんだ?」
結衣「あたしはさ…こうして3人で完結してるのも心地よかったんだ…」
八幡「…そっか」
結衣「ヒッキーのこととか、ゆきのんのこととか色々あったけど…」
結衣「悩んでさ…ホント色々悩んで…」
雪乃「由比ヶ浜さん…」
結衣「優美子達のグループでも代わり映えがなくて…そういうときにさ」
八幡「転校生が来た…か」
結衣「うん」
87: 以下、
雪乃「彼は、あなたたちのグループに入ったのよね」
結衣「うん、そうなんだ」
八幡「お前にとっては、閉塞されてた空間の光だったって感じか?」
結衣「う?ん、どうなんだろ?そんないい物でもないような」
八幡「…」
結衣「でもさ…悩んでるあたしにとっては…希望だったかも…新しい…」
結衣「隼人くんと比べても、気弱だし頼りない一面とかもあったけど…優しかったし…」
八幡「…」
雪乃「惹かれていったのね」
結衣「うん…」
88: 以下、
八幡「よかったな」
結衣「え?ヒッキー?」
八幡「見聞が広まったな」
結衣「うん…」
八幡「3人で完結なんて閉塞空間じゃなくて、広い世界に進めてよかっただろ?」
結衣「ヒッキー…」
八幡「いままでの悩みがささいなものだったってわかってよかったんじゃないか?」
雪乃「そうね」
結衣「ゆきのんも…」
89: 以下、
雪乃「私は葉山君という世界をしばらく歩いてみるわ」
雪乃「それも楽しそうだもの」
結衣「ゆきのん」
八幡「そうか…」
結衣「ヒッキーは?」
八幡「俺か…?俺は…バイト始める」
雪乃「アルバイトを?」
八幡「俺の世界は…しばらく貯金かな…」
結衣「なにそれ…あははは」
雪乃「比企谷くんらしい…と言えるのかしら…?」
八幡「俺なんて相手もいないしな」
90: 以下、
結衣「え???ほんとに?」
雪乃「さっきも、少しそういうのを感じたのだけれど」
八幡「なんだよ…どういうことだ???」
結衣「ま、いっか、ヒッキーだもん。そのペースが合ってるかも」
雪乃「そうね、あなたはその方がいいわね」
八幡「自己完結すんなよ…」
93: 以下、

戸部「は?すっかり遅くなったし?!」
海老名「さすがにもう帰らないと、またね??」
葉山「ああ、じゃあね」
八幡「…」
葉山「積もる話はできたかい?」
八幡「ああ、まあな」
葉山「ならいいんだが…」
戸塚「僕らも帰ろうか」
一色「は?い、それじゃあ先輩、さよなら?」
八幡「おう…元気なやつ…」
94: 以下、
川崎「……」
八幡「ん?」
川崎「比企谷さ…」
八幡「なんだ?どうした?」
川崎「大丈夫だった?色々とさ…」
八幡「気づいてたのかよ…」
川崎「そりゃあね…やっぱりさ」
八幡「大丈夫だよ…」
川崎「そう、ならいいんだけど…」
八幡「その…ありがと…な」
川崎「え……ああ、うんいいけど…」
95: 以下、
川崎「じゃあ、また学校で…」
八幡「おう…」
スタスタ
八幡「川崎も帰ったか…」
三浦「あそこの2グループは大人の時間…なんてね」
八幡「へ?」
結衣「えっと…」
S君「…」
八幡「…」
96: 以下、
雪乃「それじゃあ、さよなら」
葉山「俺たちも帰るよ」
八幡「おう、またな」
結衣「うん、またね?!」
三浦「隼人は、雪ノ下さんのマンションにでも行くんじゃない?」
八幡「おいおい…」
三浦「いやいや、これからがお楽しみでしょこういうのは」
八幡「…」チラ
98: 以下、
結衣「あ…えっと…優美子もヒッキーもまたね、学校で!」
三浦「ん、またね」
八幡「おう、またな」
結衣「あたし、後片付け手伝って帰るね」
カラン
八幡「……」
三浦「後片付けね…うまいこと言ったし」
八幡「おいおいおい…」
三浦「誰もいないバーカウンターで結衣が喘ぐとか男だったら大興奮って感じ?」
八幡「やめろよ…ったく」
99: 以下、
三浦「あんたまだ、結衣に未練とかあんの?」
八幡「ないっての…」
三浦「へえ、そうは見えないけど…」
八幡「とにかく俺は、バイトと受験勉強両立に神経注ぐんだよ…これから」
三浦「あ?そういえばそうだっけ?前に進むんだっけ?」
八幡「ああ」
三浦「ま、がんばんなよ。そういうがんばりは見てくれる人もいるだろうし」
八幡「どうだかな」
三浦「案外ちかくにいたりして」
八幡「ん?」
103: 以下、

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