にこ「絵里、話があるの」2back

にこ「絵里、話があるの」2


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絵里「どうしたの改まって呼び出しなんて?」
にこ「単刀直入に言うわ。別れて欲しいの」
絵里「理由、聞いてもいいかしら」
にこ「にこの進路は知ってるでしょ」
絵里「芸能事務所にスカウトされてプロデビューするのよね」
にこ「そう、スクールアイドルじゃなくてプロのアイドルを目指すの」
にこ「スクールアイドルならまだしプロだもの」
にこ「けじめはきちんとつけなきゃいけないと思って」
絵里「そう、ね」
にこ「予想してた?」
3:
絵里「正直、いつか言われるんじゃないかと思ってたわ」
絵里「でも心のどこかで、『これからもずっと一緒にいたい』って言ってもらえるのを期待してた」
にこ「言うと、思ってたの?」
絵里「口にされるまでは分からないって希望に縋ってただけよ」
絵里「あと、事前に相談して欲しかったわね。私も事前に心構えがしたかったから」
にこ「……」
絵里「迷ったとしてもにこなら自分の夢を選ぶって知っていたわ」
絵里「私はそんなにこが好きなんだもの。だから、別れましょ」
にこ「ええ」
4:
絵里「この1年、いや半年かしら。とっても楽しかったわ。ありがとう、にこ」
にこ「こっちこそ」
絵里「ずっと、にこのこと、応援してる、わ。だから、っく……さよならっ」ダッ
にこ「……っ」
タッタッタッ
にこ「こっぴどいセリフで振ればよかったのかもね」
にこ「2度と顔を合わせたくないようなアイドルらしかぬ言葉で」フフッ
フラフラ
ペタン
にこ「そんなことっ!できないわよっ!!」
にこ「好きなの、大好きなのよ。今だって!絵里っ」
にこ「それなのに、ごめん、ごめんなさいっ。私、自分の夢のために、あんたを傷つけて、捨てたっ」
5:
---
海未「絵里、お久しぶりです」
絵里「元気にしてるのは亜里沙から聞いてるけど、本当に久しぶりね海未」
海未「ええ、…立ち話もなんですから、先にお店へ入りませんか?」
絵里「そうしましょうか」
カランカラン
イラッシャイマセ?
ニメイサマデスカ? アイテルセキヘドウゾ
絵里「やっぱりここのチョコレートケーキは最高ね。海未はいいの?」
海未「ケーキとカフェラテの組み合わせを見ているだけでお腹いっぱいですよ」
海未「コーヒーがあれば充分です」
6:
絵里「ところで、2人きりで相談したいことがあるって言ってたけど」
海未「も、もう少し雑談を楽しみません?」
絵里「海未分かりやす過ぎ、切り出しにくいって顔に書いてあるわよ」
絵里「そこが海未の可愛いところでもあるけど」
海未「か、かわっ…こほん、まあばれるとは思っていました。最近どうですか?」
絵里「亜里沙の差し金ね」
海未「」ビクゥ
絵里「心配かけまいとしていたのだけれど、余計心配させちゃったかしら」
海未「先日、亜里沙から話を受けたのです『お姉ちゃん、時々視線が遠くなってて心配』と」
7:
絵里「そうかしら」ボ?
海未「まさに今その状態のことを差しているんだと思います」
絵里「そうね、情けないことにまだ引きずってるのよ。にこに振られたこと」
海未「……」
絵里「もう大学が始まって3ヶ月、去年ほどじゃないけど忙しくて充実した毎日」
絵里「でもね、どうしても色褪せて見えちゃうの」
海未「はい」
絵里「喧嘩別れしたんなら周りを巻き込んで泣いて騒いで発散して、次の恋見つけに行こうって気にもなるけど」
絵里「私達はそうじゃなかった。にこは自分の夢を追いかけたくて、私はそんなにこを応援したくて」
絵里「そして私は、私がにこの足枷にしかならないって分かってた」
絵里「だから別れようって言われた時それを受け入れた。受け入れたはずなんだけど、ね」
海未「絵里」ハンカチ
絵里「ありがと」グスッ
8:
---
絵里「今までずっと待っていてくれたのよね」
海未「亜里沙からの相談を受けたこともありましたが、誰にも話していなかったのでしょう?」
海未「そろそろ解決できないにしても、自分の想いを吐露していい時期かと思いまして」
絵里「あの頃から海未には頼りっぱなしね」
海未「お互い様ですよ。私も絵里に相談にのってもらえたから今があるようなものです」
絵里「……負い目を感じてるの?」
海未「違う、と言い切れません。私だけ彼女とお付き合いが続いている訳ですから」
海未「なんと言いますか、私は絵里に頼って欲しいんです。まだ私たちの『恋愛同盟』は有効ですよ」
9:
絵里「それはとてもありがたいんだけど、自分の彼女を放っておいちゃダメよ」チラッ
???「全くよ。あの頃2人がくっ付いたんじゃないかってどれだけこっちがヤキモキしたと思ってんの?」
海未「……えっ?」
絵里「ハロー、真姫」
真姫「久し振りね、エリー」
真姫「で、なんとなく事情は察してるけどどういうことかキリキリ吐きなさい。海未ちゃん」
海未「」ガクガク
---
カクカクシカジカ
海未「それにしてもいつからいたんです、真姫?」
真姫「待ち合わせのところからこっそり伺ってたわ」
海未「そ、そうですか」
10:
絵里「私は涙が止まって顔あげたら向こうの席から覗き込んでた真姫と目が合ってね」
絵里「あんなに身を乗り出してたらバレバレよ」
真姫「う、うるさいわねっ。こそこそしてた海未ちゃんが悪いのよ」
真姫「最初から話を聞いていれば私だって」
海未「しかしそれでは真姫の負担に」
真姫「生徒会副会長、アイドル部の練習に作詞、家に帰れば受験勉強と日舞の鍛錬、これだけワーカーホリックしてる人に言われたくないんだけど」
海未「……」
絵里「ここは真姫に理があるんじゃない?」
絵里「付け加えるなら、私というお邪魔虫はいるけど海未と一緒に居たいっていういじらしい想いを汲み取ってあげてもいいと思うわよ」
真姫「エ、エリーっ」
11:
海未「……そうですね。真姫、申し訳ありませんでした」
真姫「わ、分かればいいのよ。分かれば」カミノケクルクル
絵里「本当に2人を見てると飽きないわね」
真姫「こうなったそもそもの議題がエリーに関することなんだけど」
絵里「……そうだったわね」
真姫「今しゃべってるのを見ると平気そうだけど。気が紛れてる間はいいけどふとしたときにという感じかしら」
絵里「……ええ」
海未「力になりたいといっても正直こうやって話を聴くくらいしかできないかもしれませんが」
絵里「そう言ってもらえるだけでも嬉しいわ、ありがとう」
真姫「ねえエリー、まだにこちゃんのこと好き?」
12:
絵里「ええ好きよ、大好き。嫌いあって別れた訳じゃないもの」
真姫「それからアイドルとしてのにこちゃんを応援したいって思ってるのよね?」
海未「真姫?」
真姫「1つの選択肢として聞いてくれる?」
絵里「?」
真姫「別にファンとしてにこちゃんを応援するだけが、にこちゃんに対する応援だとは限らないと思うのよ」
真姫「例えばプロデュースする側でにこちゃんを支える、とかね」
絵里「……」
海未「真姫、それは」
真姫「そのままお近づきになってやり直すって話じゃないわよ?そもそもにこちゃんがのるはずない」
13:
真姫「プライベートでの接触は一切しない。マネージャーとかになれば送迎もあるかもしれないけど仕事以上のことには触れない」
真姫「目の前にニンジンがぶら下がっているのを分かってて絶対に手を出さないのが条件」
真姫「でもそうすればファンよりももっと近いところで『アイドル矢澤にこ』を応援することができる」
絵里「……」
真姫「自分でも無茶なこと言ってると思うわ」
真姫「まず大学卒業するまであと4年、にこちゃんには会えないからその間ににこちゃんへの想いが薄れててもおかしくない」
真姫「薄れてるなら薄れてるでいいと思うけどね。男女問わずにこちゃん以外にも心動かされる素敵な相手と巡り会う機会はあるはず」
海未「真姫」
真姫「勘違いしてない海未ちゃん?私はにこちゃんとエリーの仲を取り持つつもりはないわ」
真姫「20歳にもなってない子供な私だけど、海未ちゃんと仲良くなれて、付き合えていて本当に幸せなの。エリーはその一助になってくれたんでしょう?」
真姫「ならエリーにも幸せになってもらいたい、そのための方法を考えてるの。生意気だとは思うけど」
15:
海未「いえ、真姫の考えは分かります。ただ、にこが大成しない可能性は一切考えていないんだなと思いまして」
真姫「い、いいでしょ別に!というか少なくとも私達3人に、エリーにこれだけ迷惑かけといて日の目を見ないにこちゃんなんて許さないんだから!!」
海未「そうですね、私もそう思いますし絵里も同じようですよ」フフッ
真姫「え?」
絵里「真姫っ」キラキラ
真姫「ヴェエエエ!?」
絵里「このところずっとモヤモヤしてたの。にこは自分の夢を追いかけて歩いてて、置いていかれてしまったって。もう手の届かない存在になってしまったんだって」
絵里「でもそういう方法があるじゃない!置いていかれるのが嫌なら私が追いかけていけばいい」
絵里「なに悩んでたのかしら私は」
真姫「……その結果拒絶されるかもしれないわよ」
16:
海未「確かに、今の案はにこが絵里を遠ざけたことを考慮していません」
絵里「分かってる。私の我儘だがらこの気持ちがにこに届かないのは仕方ない。でもにこの力になりたいって本気で思ってる」
真姫「……愛が重いわね、にこちゃんもとんでもない女の子を引っ掛けたものだわ」ヤレヤレ
絵里「自覚はあるんだけど、ね」
海未「しかしそれが絵里の"やりたいこと"。目標が定まったら一直線、良くも悪くも穂乃果に影響されてますね」クスクス
絵里「ありがとう海未、真姫。今日は話せてよかったわ」
真姫「ちょっ、ちょっと絵里?」
絵里「また連絡するわ、よかったらお茶に付き合ってね」
アリガトウゴザイマシタ?
17:
真姫「……元気になって良かったと思うべきなのかしら。ものすごい暴れ馬を送り出してしまった気分なんだけど」
海未「ふふっ、亜里沙にはいい報告ができそうで私は助かりましたよ?」
真姫「あぁ、そう……」
海未「ところで真姫、コーヒーおかわりしていきませんか?」
真姫「?」
海未「じっとしていられなくなったのも本当だと思いますが、せっかく気を使ってもらったのです。デートしていきませんか?」ニコニコ
真姫「……海未ちゃんがキザになったのはエリーの影響かしらね」
18:
???
絵里「さ、にこ仕事よ」
にこ「ええ、そうね」
絵里「にこ?」
にこ「1分だけ待って」ギュッ
絵里「もうどうしたの」
にこ「家を出たらアイドルとマネージャーになっちゃうから今のうちに絵里分補充」
絵里「なるほどね、じゃあ私もにこ分補充しておこうかしら」
にこ「……よしっ準備万端。今日もファンのみんなを笑顔にしに行くわよ!」
絵里「頑張って、宇宙No.1アイドルさん♪」
19:
---
"人気アイドル矢澤にこ、熱愛発覚!?仲睦まじいカップル姿を激写!!"
花陽『にこちゃん!一体どういうこと!?』
にこ「落ち着きなさいよ、この後事務所から正式発表あるから」
花陽『だってこんなの炎上確定だよ!やっと軌道に乗ってきたって聞いたのにこんなの……』
にこ「大丈夫よ。あの写真に写ってるの絵里だから」
花陽『ええっ?』
にこ「遠目にスーツだとぱっと見男装の麗人って感じよね、実は私のマネージャーやってもらっててさ」
花陽『初耳です!』
にこ「話してなかったわね。ここのところ2人ともμ'sの集まりには参加できてなかったし」
にこ「きちんと説明して、その上で同性って分かれば沈静化するでしょ」
花陽『な、なんというかびっくりです』
にこ「ありがと心配してくれて。次集まる時は行くわ、忙しいって言い訳してたらいつまで経っても行けないし」
花陽『うん、頑張ってにこちゃん応援してる。絵里ちゃんにもよろしくね』
ピッ
20:
にこ(実際にはすっぱ抜かれた内容合ってるのよね。いちゃついてる場面を撮られた訳じゃないけど)
絵里「にこ、大丈夫?」
にこ「ええ」
絵里「あのね、やっぱり私……」
にこ「それ以上言わないで!」
にこ「これはにこが選んだ道なの、絵里と一緒に歩いて行くって決めたの。だから離れていかないで、今離れられたら……アイドル矢澤にこは倒れちゃうから」
絵里「分かった」
・・・
にこ「好きよ、大好k……」
にこ「夢、か」
にこ「いじらしいわねえ、いつまで経っても」
にこ(これはにこが選んだ道なのに)
にこ「さ、今日も気合入れて行きましょう」パン
21:
都内某事務所
絵里「この度矢澤にこさんの担当になりました絢瀬絵里です」
にこ「……」
にこ「はぁあああああっ!?」
絵里「現在の先輩マネージャーさんの補佐から始めて、半年から1年を目処に専属担当になる予定です」
絵里「以後よろしくお願い致します」ペコリ
にこ(今朝絵里の夢を見たと思ったら本人が新人マネージャーとして目の前に現われた)
にこ(真姫ちゃんじゃないけど意味分かんない)
事務所所長「はっはっは。良いリアクションじゃないかにこちゃん」
所長「昔の仲間と一切連絡をとってないと聞いてね、サプライズにさせてもらった」
所長「ストイックになるのもいいが、家族以外にも弱音を吐ける相手の1人や2人作っておくべきだと思うよ」
22:
にこ「い、いやそれでも」
所長「そうそう絵里君、にこちゃんに対しては敬語でなく以前と同じように接してあげたまえ」
絵里「えっ?」
所長「新たな仕事仲間として力を発揮して欲しいのはもちろんだが、気の置けないかつての仲間としてもにこちゃんを支えてやって欲しいのだ」
絵里「……ええっと」チラッ
にこ「良いわよ別に。今更あんたに敬語で呼ばれるなんてむず痒いったらありゃしないんだから」
絵里「それじゃあ改めてよろしくね、にこ」
にこ「よろしく」プイッ
所長「はっはっは。次の打ち合わせまでしばらくある、私は退場するからしばらく歓談していたまえ」
23:
絵里「面接の時にも思ったけど豪快な人ね、所長」
にこ「器が大きいって言いなさい。ソロのにこをスカウトしてくれて今もこの事務所を引っ張ってるにこの恩人なんだから」
絵里「ええ。面接受けてから改めてここに絶対入りたいって合否出るまで祈ってたから」
にこ「……」
絵里「……久しぶりね、にこ。」
にこ「久しぶり」
絵里「ある程度情報追ってたから知ってるけど、元気そうでよかったわ」
にこ「そっちもね」
にこ「で、どういうつもりよ」
24:
絵里「大学に通いながらずっと考えてた、これから先私はどうしたいのかって」
絵里「ずーっと考えたけど結局答えは1つきりだったわ」
絵里「にこの側に居たいって」
にこ「それで追いかけてきたっていうの?」
絵里「復縁を望んでここまで来た訳じゃないわ」
絵里「ファンよりももっと近いところでにこのことを応援したい、支えたい」
絵里「そんなものいらないって言われるかもしれないけど、それでも私は」
にこ「言わないわよ。1人でできることはたかが知れてるって高校時代に思い知ってる」
にこ「にこがこの世界で立っているにはたくさんの人の支えがあってこそなのよ」
にこ「そこに加わってくれる人がいるなら拒むことなんてしない」
25:
にこ「けどね、あんた本気なの?」ジ-
絵里「本気」ジ-
にこ「にこと絵里の関係はアイドルとそのマネージャー、μ’sの仲間で友達、それでいいのよね?」
絵里「いいわ」
にこ「……分かった。野暮な確認だったわね」スッ
絵里「にこ?」
にこ「握手よ、握手。改めてよろしく、絵里」
絵里「ええ、よろしくお願いします」ギュッ
26:
---
絵里「おはよう、にこ」
にこ「おはよ」
絵里「移動しながらで悪いけど、今日の予定確認するわよ」
絵里「これから午前中いっぱいまでテレビ番組の収録、お昼挟んで雑誌の取材とラジオ出演。デビュー10周年ライブの告知しっかりやってきてね」
にこ「りょーかいよ」
絵里「で、疲れてると思うけど全部終わったらそのライブに向けてダンスレッスン」
絵里「送り迎えと現場の方にもちょくちょく顔出したりするけど、私は基本的に営業回ってるから何かあったら連絡すること。さて、ちょうど着いたわよ」
にこ「ありがと……にっこにっこにー!矢澤にこ、今日も元気にいってきま?す☆」
絵里「はい、いってらっしゃい」ニコッ
28:
にこ(絵里が担当になった時にはどうなることかと思ったけど)
にこ(あれからもう6年、にこがデビューして10年目か)
にこ(何もかもが順調とは言えなかったけど、よくここまでこれたもんだわ……ってまだゴールじゃないけど)
にこ(あいつとの関係は本当にそのまま。向こうからアプローチしてくることもなく、意識し過ぎじゃないって時はだいたい社長がいい感じに空気を壊してくれる)
にこ(というか社長の思惑通りといえばいいけど、2人きりだと本当に素のにこになっちゃうのよね)
にこ(肩肘張らずってのもいいけど、気を抜き過ぎるのも考えものだわ)
にこ「おはようございまーす、矢澤にこです。今日はよろしくお願いしまーす」
にこ(絵里は絵里でほんっとうに毎日楽しそうに仕事してる)
にこ(たまのうっかりミスは相変わらずだけど、にこのスケジュール管理も営業もそつなくこなすし)
にこ(ライブに向けてのダンス、ボイストレーニングではトレーナーさんと額突き合わせて打ち合わせしてるし)
にこ(PV撮影で海外行けば英語ペラペラで通訳要らずだし)
にこ(あーもう!!それ相応の努力してるのは分かってるけどチート過ぎるっての)
にこ(それでいて苦労の影は一切見せないんだから、あんたはうちの事務所内のアイドルかっ!)
にこ(考えてたらなんかムカついてきた。そんな相手に応援されて奮起しない奴がいるか!いやいない!!反語!!!)
にこ(今日の収録も次のライブもぜぇーったいぐうの音も出ないくらいの完成度でみんなを笑顔にしてやるんだから!!)
29:
都内某バー
所長「にこちゃん、デビュー10周年おめでとう」
にこ「ありがとうございます。……どうしたんですか急に」
にこ「ファンのみんなからはライブの時に、事務所でも先日お祝いしてもらったばかりじゃないですか」
所長「絵里君のことなんだがね」
にこ「……」
所長「彼女が来てくれてから一層事務所の雰囲気が良くなった。本当に毎日楽しそうに仕事をしている」
所長「ただ時折、本当に時折、寂しそうな雰囲気を纏うことが気になってね。本人に聞いてもはぐらかされてしまうし、実際何もないのではないかと思わされてしまう」
所長「にこちゃんなら何か見当がつくのではないかと考えてね」
にこ「……高校の時、私と、私と絵里は……付き合っていました」
所長「ほう……」
30:
にこ「卒業前に別れ話を切り出して、そのまま別れました。プロとしてデビューするのに特定の相手がいるなんて許されないし、私自身が許せなかったので」
にこ「それから4年、彼女に連絡をとったことはありません。他のμ'sメンバーともです」
にこ「怖かったんです、絵里と会うのが。絵里の話を聞くのが」
にこ「嫌い合って別れたのではありません。間違いなく私は絵里が好きでしたし、絵里も私のことを好いていてくれたんだと思います」
にこ「けれど私の都合で、私のわがままで、私は彼女を切り捨てました。その場で了承はされましたが、後から絵里の気持ちを聞きたくなかったので」
所長「そして大学卒業後、絵里君はうちの事務所の門を叩いたわけだね」
にこ「真意を問いただしましたが即答で『にこの夢を応援させて欲しい』と言い切りました。実際今とても助かっています。……驚かないんですね」
所長「この業界にいれば似たような場面に出くわすことがあるからね」
31:
所長「聞きたいことは聞けた。後はゆっくり飲んで行ってくれたまえ……藪蛇だったかもしれないが」
にこ「いえ」
所長「今のまま夢を追いかけ続けて『アイドル矢澤にこ』を演じるも良し、絵里君を選んで2人で幸せになるために方向転換するも良し。どちらも険しい道だがそれが人生というものだ」
所長「マスター、彼女にXYZを1つ。それから今夜のお代はいつものように事務所まで請求してもらえるかな」
マスター「かしこまりました」
所長「それではおやすみにこちゃん、いい夢を」
にこ「は、はい。ありがとうございます、おやすみなさい」
にこ「……」
32:
にこの部屋
テレビ『人気絶頂のアイドル矢澤にこ電撃引退宣言から一夜明けた今日。業界各所より惜しみの声、労いの声等々メディアを問わず発信されています』
テレビ『スクールアイドル時代からのライバルであり、プライベートでも交流のあるA-RISEの3人からは次のようなメッセージが……』
絵里「こんばんは、にこ」
にこ「こんばんは。ま、とりあえず上がりなさいよ」
絵里「ええ」
にこ「……遂にやっちゃったわねー。テレビもネットもにこの話題で持ちきり」
絵里「そうね」
にこ「まあ?この宇宙No.1アイドルにこにーが引退するっていうんだからとーぜんよねぇ?」
絵里「そうね」
にこ「……ていっ」チョップ
絵里「っ!?ちょっと何するの」
33:
にこ「笑ってなさいよばか絵里。せっかくあんただけの矢澤にこになってあげたんだから」
にこ「そっちが新しい恋人作ってよろしくやってれば諦めもついたのに」
にこ「にこのことしか見てなかったなんて言われるとは思わなかったわよ」ハァ
絵里「……」
にこ「もう散々話し合ったでしょ。今更本当にいいの?なんて聞かないでよね」
にこ「絵里は笑ってなさい。にこの大好きな顔で」
絵里「……ええ、ありがとうにこ。好きよ、今までもこれからもずっと大好き」ギュッ
にこ「散々待たせちゃって悪かったわね」ギュッ
にこ「これからはにこが絵里を笑顔にし続けてみせる。でもにこが笑えなくなっちゃったら絵里、あんたが私を笑顔にしてね」
絵里「もちろんよ、だって」
にこ絵里「「私達は2人で幸せになるんだから」」ニコッ
34:
にこと絵里の部屋
にこ「いらっしゃい。海未、真姫」
絵里「久しぶり」
海未「お邪魔します」
真姫「本当に久しぶりね」
にこ「話は上がってからでいいでしょ。ちょっと絵里が引っ越ししたてだから散らかってるかもしれないけど」
海未「ここは元々にこが1人で暮らしていた部屋だったんですよね?」
にこ「そうよ。うちの所長から大きめの部屋にしておいた方がいいって言われてね」
絵里「交通の便がよかったのはあるけど、持て余してたって言うからそのままここで同棲しようって話したの」
真姫「所長さん、2人のこと見透かしてたんじゃないの?」
にこ「正直それはありそうなのよねぇ。白状したときは多少驚いてたみたいだけど、全部分かってた上で絵里が来てからのあれこれは仕組んでた気もするわ」
35:
にこ「……それより2人共ありがとう、卒業した後絵里のフォローしてくれてたんですってね」
海未「そんなにかしこまらなくても……私達がしたかっただけですから」
絵里「そうよにこ、会う度会う度2人とも目の前でイチャイチャイチャイチャしてたんだから」
海未「それはその……申し訳ありませんでした」
にこ「そう言わないの、にこ達がまた一緒に居られるようになったのは間違いなくあんた達のおかげなんだから」
にこ「ちゃんとお礼言わないとね。本当にありがとう」
真姫「ふん、にこちゃんにあったら文句の1つでも言ってやろうかと思ったけど、幸せそうだからやめといてあげるわ」
絵里「……」ウロウロ
真姫「エリー?」
絵里「にこー、アレがないんだけど」
36:
にこ「ったく、爪くらい2人が来る前に手入れしときなさいよ。爪切りとヤスリはあっちの小物入れ、2番目の引き出し」
絵里「ありがとー」
海未「……」
絵里「にこー、アレどこ?」
にこ「この前の旅行のお土産はあっちの部屋。帰りに渡せばいいでしょ?」
絵里「忘れたら嫌じゃない。2人も忙しいんだしまた来てもらうのも、私達が行くのも随分先になっちゃうわよ?」
にこ「それもそうね、持ってきてくれる?」
絵里「ん、りょーかい」
真姫「……」
絵里「にこー、さっきから探してるんだけど」
にこ「眼鏡なら頭の上よ」
絵里「えっ?やだ私ったら///」
にこ「まったく……まあそういう抜けてるとこもかわいいんだけど」
海未真姫「……」
37:
海未「にこ」
にこ「どうかした?」
真姫「絵里って、事務所では敏腕マネージャーで通ってるのよね?」
にこ「そうだけど……ふふっいいじゃない家の中で気が抜けちゃうのは」
海未「絵里の『アレ』でなんでもにこが分かるのは……」
にこ「仕事仲間としてだけど伊達に何年も一緒に居ないわよ」フフン
海未(多少なら分かりますが)
真姫(あの2人以上に一緒に居るはずの私達であのレベルに達してないのは)
海未真姫((なんか悔しい))
絵里「ん?2人共どうしたの?」
海未「いえっ」
真姫「なんでもないわよっ」
海未真姫「「2人共お幸せにっ!!(泣)」」
38:
(ここから追加分です)
にこ「飲み物全員回ったわね」
絵里「じゃ、かんぱーい」
海未「ふーっ。こうやって少人数で宅飲みというのもいいですね」
真姫「にこちゃんノンアルコールの飲み物もある?呼び出しがあるかもしれないから私はこの一杯だけにさせてもらうわ」
にこ「烏龍茶出すわ。……真姫ちゃんもいよいよお医者さんなのねぇ」
真姫「まだ研修医よ。といっても患者さんにとってはほぼ同じだと思うけど」
海未「このおつまみおいしいです!にこの手作りですよね。後でレシピ教えてもらえませんか?」
にこ「いいわよ。どうしても時間がない時は妥協したけど、できるだけキッチンに立ってたからほかのも味は保証するわ」
39:
絵里「ふふっ、おいしいでしょ。にこの手料理を毎日食べられるんだから私本当に幸せ?」
にこ「あんたはそれまでが悲惨過ぎたのよ。コンビニ弁当やらインスタント食品やら部屋に溜め込んでからに……」
真姫「それでまだそのプロポーション維持できてたの?ちょっとおかしくない?」
にこ「それが本当なのよ。引っ越しの手伝いに部屋まで行ったら荷物纏めてないどころかゴミだらけでね……」
海未「私生活がダメダメの典型的なキャリアウーマンって感じですねえ」
絵里「ちょ、ちょっと3人でよってたかって攻撃してこないでよ!」
にこ「まあその分のリソースを仕事に回してたって考えるとにこからはあんまり責められないし、散々自分をないがしろにしてた分を補ってあげなきゃなって思ってるけど」
絵里「にこー。大好きー!!」
海未真姫「「はいはいごちそうさまです」」
40:
にこ「真姫ちゃんは研修医やってるってさっき言ってたけど、海未はどうしてるの?」
海未「大学卒業後しばらく会社勤めをしていましたが、今は実家の道場で師範代をさせていただいています」
にこ「剣道に日舞、だっけ?」
絵里「そういえば海未の日舞やってるところ見たことないわね。真姫は見たの?」
真姫「一回だけね」
海未「たしか、母上に舞を見てもらっているのを見学したことがありましたっけ」
真姫「μ’sのステージとは違った静かな迫力があって格好良かったわ」
真姫「あと、お母様が怖かったわ」
にこ「そ、そうなんだ」
41:
海未「普段は親子として接してくれますが、やはりあの場では師匠と弟子になりますから」
海未「真姫が見ていると浮かれていたのを見抜かれたんでしょう」
真姫「……浮かれてたの?あまり変わった様子はなかったけど」
海未「恥ずかしい気持ちもありますが、舞っているところを見てみたいと言われて嬉しかったんですよ」フフッ
にこ「親の話が出たから聞くんだけど、ご両親には2人のこと話したの?」
海未「話していますよ。まだ理解が得られたと言える段階ではありませんが」
真姫「相手がいないのであればお見合いをって言われるくらいの年になってるしね」
絵里「……どんな反応なの?」
真姫「うちはママが始めから難色示してなかったけど、パパはまだ複雑そうね」
42:
真姫「μ’s9人が揃った頃に一度私が辞める辞めないって話になったでしょ」
真姫「あの一件があって海未ちゃんに対して悪い感情を持っていなかった、というかパパは気に入っていたみたいなんだけど」
海未「同性同士の交際を認めてくださいと言われればまた別でしょう」
海未「何度かお伺いして話をさせてもらっていますが、門前払いを食うことはないのでもう少し、だと思っています」
にこ「海未の方は?」
海未「父上は反対、母上は中立、と言ったところでしょうか」
海未「20歳を過ぎた頃、見合い話を何も知らないうちに組まれたことがあって両親と喧嘩し、家出をした時期があるんです」
絵里「う、海未が家出!?」
にこ「絵里も知らなかったの?ってまだ話の途中よね、続けて」
43:
海未「はい……その間は真姫のところでお世話になっていて、互いに頭を冷やした後仲直りというか和解しました」
海未「その際に母上には真姫の名前は出しませんでしたが伝えたんです。現在お付き合いしている”女性”がいる、と」
海未「『園田家の人間としては反対です。しかし、海未さんの母親としての意見は貴女が幸せになれる選択をして欲しいですね』」
海未「『今すぐどうこうという話ではありません。かといって時間は無限にはありませんから、相手の方とよく話し合ってその上で答えを聞かせてください』と言われましたね」
真姫「それから2人で考えたわ。考えて考えて……でも私たちの想いは変わらなかった」
絵里「そうだったのね」
海未「父上の説得もありますが、それ以上に親族から反対を受けそうですけどね」
海未「"勘当しろ"なんて父上へ言う方がいてもおかしくないと思います」
44:
海未「そう言われたなら私は縁を切る覚悟をしていたんですが」
真姫「私が言ってやったのよ『お家のこと好きなんでしょう?私と天秤にかけないでよ。二兎を追うものなんてことわざはそれこそ兎のエサにしてしまいなさい。両方へ手を伸ばして両方とも掴むくらいの我が儘通してみせなさいよ!』ってね」
にこ「ひゅーひゅー。真姫ちゃん格好いいー」
海未「そうですね。こんな素敵な女性の隣にパートナーとしていられることを嬉しく思いますよ」ニコッ
真姫「ア、アッタリマエデッショー」
海未「そんなわけで妥協せず私たちのことを認めていただけるよう行動している最中ですね」
にこ「話を聞くとにこたちは恵まれてるって改めて思うわね、そんなに引きずらないで認めてもらえて」
絵里「ほんとにね。……2人とも頑張って。応援してるわ」
海未「もちろんです。次会う時には良い報告をしてみせますよ」
45:
にこ「なんかしんみりしちゃったわね……もう一回乾杯し直しましょ。ほら真姫ちゃんも」
真姫「ヴェエエエ!?だから私はノンアルでぇ」
絵里「いいじゃないの、来客用の布団もあるから泊まってもらっても平気よ」
にこ「あ、でも愛の営みはご遠慮して欲しいわね」
海未「しませんよ!ベットの上の可愛い真姫は私だけのものです!!」
真姫「ちょ、ちょっと海未ちゃん!?もう酔ってるの!?」
絵里「ほうほうそれはそれは」ニヤニヤ
にこ「ほらほら腹括りなさい。いくわよ、せーのっ」
4人「かんぱーい」
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