チノ「素直になるって」back

チノ「素直になるって」


続き・詳細・画像をみる

1:
「お姉ちゃんに任せなさーい」
最近、いえもう随分と前からです。
「お姉ちゃんにまっかせなさーい」
ココアさんのその言葉を聞くと、胸がチクリと痛むのです。
「お姉ちゃんにまっかせっなさーい」
「ココアさんは仕事してください」
ココアさんにはいつも頭を悩まされます。
2:
「お、おいチノ!?」
慌てたようなリゼさんの声に、ココアさんから視線を戻します。
「わっ、わっ」
沸騰したお湯が溢れそうになっていました。
「大丈夫か? どうしたんだチノ、呆っとして」
「チチチ、チノちゃん!? 大丈夫!?」
血相を変えて駆け寄ってくるココアさんに、頬が緩みます。
「すみません、少し考え事を……」
4:
「何か悩み事!? お姉ちゃんが相談にのるよ?」
悩み事の張本人がよく言います。
「い、いいですから! ココアさんは仕事して下さい」
「ひ、酷いよチノちゃん……!」
そう言ってココアさんは後ろ髪を引かれながら仕事、もといラテアートの研究に戻ります。
「本当に大丈夫か? 私も相談にのるぞ?」
「いえ、本当に大丈夫です」
7:
職場の仲間であるリゼさんに相談できるようなことでもないですし、何より気恥ずかしさが勝ってしまいます。
「そうか? でも、少し休んだ方がいいかもな」
「そう、ですね……休憩させて……いえ、少し出てきます」
「店番をお願いします。あと、ココアさんもちゃんと見ておいて下さい」
「ああ、任せてくれ」
8:
リゼさんに任せておけば安心です。
「では、行ってきます」
「何か酷いことを言われた気がするよ!?」
「いつものことです」
家を出たものの何を誰に相談すればいいのか、見当も付きません。
ぼんやりと歩いている内に、見知った店に脚が向いていました。
「甘兎庵……」
9:
そうです。こんな時は千夜さんが一番頼りになります。
「お仕事中、でないといいんですが」
そう思いながら、甘兎庵の暖簾をくぐります。
「あら、チノちゃん。ラビットハウスはお休みかしら?」
「あの、今日は相談したいことがあって、来たんです」
「私に相談?」
11:
運の良いことに今日は客足もそこそこで、千夜さんも接客をしながら話を聞いてくれることになりました。
「悩みごとがあるときは甘いモノを食べるといいわよ」
注文を催促されます。私は少し悩んであんみつを頼みました。
12:
「お待たせしました、花の都三つ子の宝石です」
「あ、ありがとうございます。何度聞いても個性的なメニュー名ですね」
「ありがとう、チノちゃん」
別に褒めたわけではなかったのですが。
「それで、私に相談ってなにかしら? そういうことなら、ココアちゃんに倣って、お姉ちゃんに任せなさい」
13:
不思議と、千夜さんの”お姉ちゃん”には胸が痛みません。
「あの……ココアさんの事で……」
「ココアちゃん?」
「もしかして、新しい漫才のネタに悩んでるのかしら!?」
「そうじゃなくて……その、私のことです」
「チノちゃんの?」
「最近、胸が痛いんです。ココアさんのせいで」
14:
「ど、どういうことかしら? 私ちょっとドキドキしてきちゃったわ!」
千夜さんの様子が変わり、疑問符が浮かびますが話を続けます。
「ココアさんが、”お姉ちゃんに任せなさい”って言う度に、胸の奥がチクチクするんです」
「……真面目な話みたいね」
「どうしてか千夜さんは知ってませんか?」
15:
「チノちゃん」
真面目な顔で千夜さんが言います。
「はい」
「最近って、それがいつからかわかるかしら?」
「いつから、ですか?」
「ええ、具体的に何かあった?」
16:
千夜さんに言われ、ココアさんと出会ってからの一年足らずを思い返します。初めて合った時のことから、今日のことまで。
あの時も、あの時も、いつもココアさんはあの言葉を言います。
『お姉ちゃんに任せなさい』
17:
頼りにならないお姉ちゃんに私はいつも困った顔で、『ココアさん』と返すのです。 お姉ちゃん。そうです。あの時お寝坊していたココアさんを、『お姉ちゃん』そう呼んだ時から。私の胸が痛みだしたのです。
18:
赤裸々に語ると、千夜さんは神妙な面持ちで申し訳無さそうに言いました。
「ごめんなさいチノちゃん」
「え?」
「ここまで聞いてしまって悪いんだけど、私ではチノちゃんの悩みを解決できそうにないわ」
「どうして、ですか?」
「私もね……今のチノちゃんと同じで、素直になれないから」
21:
「素直に……ですか?」
素直な性格で無いことはわかっていましたが、面と向かって言われると堪えるものがあります。
「私は……」
「代わりと言っては何だけどこういう相談に持って来いの相手を紹介するわね」
「い、いったい誰なんですか!?」
「シャロちゃんよ!」
何となく分かってました。
23:
「さあ、急いで急いで」
千夜さんが急かしますが、テーブルの上にはまだ頼んだ和菓子が鎮座したままです。
「ま、まだ食べてません」
名前は奇抜ですが、味は格別です。シャロさんがバイト帰ってくるまで時間があることですし、千夜さんに急かされながらも味わって食べました。
「お粗末さま、シャロちゃんによろしくね」
背中を押す千夜さんが店の戸を締めながら何か言いました。
25:
「ほら、また素直になれなかった」
26:
ピシャリと閉まる甘兎庵の戸に阻まれ、千夜さんが何を言ったのか聞き返す事が出来ません。もう一度、戸を開こうと手を掛けると、背後から声がします。
「チノちゃん? 甘兎庵に何か用事?」
学校帰りでそのままバイトに向かったのか、制服姿のシャロさんです。
「シャロさん……」
「どうしたのチノちゃん。コーヒー豆を噛んだみたいな顔して」
27:
「そんな顔してましたか」
どんな顔か自分ではよくわかりません。
「千夜に用事なら、一緒に入る?」
「いえ、千夜さんになら用事は済ませました」
「そうなの?」
「次はシャロさんに用事です」
「私?」
千夜さんに相談したこと、シャロさんを紹介されたことを話します。
「えぇ? 私に?」
「はい、千夜さんはシャロさんなら持って来いだと」
「どういうことよ……?」
困惑した顔でシャロさんは甘兎庵を一瞥し、私の手を引きました。
「千夜はしょうがないわね。家、上がってチノちゃん」
28:
「それで、千夜はなんて言ってたの?」
「千夜さんは、私は素直になれないって言ってました」
千夜さんと同じように、ですが。千夜さん自身のことは伏せておきます。私も自分の事で精一杯です。
「素直って……それで普通私に振る?」
とても適材適所とは言えないと、シャロさんは憤慨します。
「私だって……リゼ先輩に全然素直になれないのに……」
「リゼさんがどうかしたんですか?」
私がリゼさんの名前を復唱するとシャロさんが挙動不審になります。
「なななんでもないわよお?」
「はぁ……あっ」
29:
シャロさんの様子で気付きます。
「シャロさんはリゼさんに素直になりたいんですね」
「なぁ!?」
たじろぐシャロさんに畳み掛けるように質問を投げかけます。
「シャロさんもリゼさんの事で胸を痛めてるんですか?」
「い、痛めてるというか……」
「どうなんですか!」
柄にもなく大きな声が出ました。これもココアさんのせいです。
声に反応するようにどこかで音がなりました。
30:
「ワイルドギース!?」
シャロさんの飼いウサギです。
「あわわわわわ……」
「まだ慣れないんですね……」
「す、少しは慣れたけど急に現れると……!」
腰を抜かしたシャロさんも意に介さないと言った様子でワイルドギースはシャロさんに寄ってきます。随分と懐いているようです。
「どうしてそんなになってまで飼ってるんですか?」
「かか、飼ってるわけじゃないわよ! 同居してるだけ!」
どちらでもいいです。
31:
「じゃあそれでいいですから、どうして同居してるんですか?」
「そ、それは……」
それは――
「リゼ先輩が、この子に名前を付けてくれたから」
幸せそうに語ります。
「でも……苦手なものは苦手なのー!」
にじり寄るワイルドギースから逃れるように、シャロさんは後ろに這いずります。
「……それがシャロさんの素直、なんですか?」
「え?」
32:
ココアさんの”お姉ちゃん”が脳裏を過ぎります。
「それがシャロさんの素直なんですね」
「……どゆこと?」
「一つ聞いていいですか?」
ワイルドギースを抱き上げ、シャロさんに平常心を取り戻させました。
「なにチノちゃん?」
「シャロさんは、リゼさんの事をどう思っているんですか?」
「な、なぁ!? どど、どうって……?」
「聞かせてください……!」
その答えがきっと、私の知りたい事だから――
34:
「はっ……はっ……」
シャロさんの家を飛び出して走ります。早くラビットハウスに帰りたい、帰ってココアさんにあいたい。
「はっ……! はっ……!」
シャロさんのワイルドギースと、ココアさんの”お姉ちゃん”
受け入れようとするシャロさんと違って、私は拒絶しようとします。
でも同じなんです。
まったく逆にように見えて根っこが同じだから、私とシャロさんの相手への気持ちは同じ。
千夜さんの言ったとおりです。
35:
好き
ココアさんが好きなんです
シャロさんがリゼさんを好きなように
私も、ココアさんが好きで
だからお姉ちゃんになって欲しくなくて
でも素直になれなくて
胸が苦しくて
36:
――逢いたい。
37:
「ココアさん!」
ラビットハウスの扉を開くと、一番にココアさんの姿を探します。
「ああ、チノお帰り」
「リゼさん、ココアさんは……?」
ココアさんは表にはいないようです。
「今ちょっと奥に行ってもらってるんだ。すぐ戻ってくると思うけど」
「ま、待てませんよ!」
「うおあっ!?」
リゼさんには目もくれず、ココアさんのいる奥へと駆けていきます。
38:
「ココアさん!」
「チノちゃん!?」
血相を変えた私にココアさんは驚いているようです。
「どうしたの? やっぱり、お姉ちゃんに相談が必要だったかな?」
「やめて下さい!」
「えええ!? 私ラビットハウスをクビになるの!?」
「違います」
「そのお姉ちゃんはやめて欲しいんです」
「どど、どうして? 私お姉ちゃん失格!?」
ココアさんが頭を抱えます。
39:
「違うんです……わたし……私は……」
「チノちゃん?」
次の言葉が出てきません。震えているのが自分でもわかります。シャロさんがリゼさんに素直になれないのもよくわかります。きっと今の私と同じなんです。
「嫌なんです……あっ……」
震える私を、ココアさんが抱きしめました。
「大丈夫だよ。落ち着いて」
あたたかい……
「や、やめてください!」
ココアさんを突き放してしまいました。
40:
「そうやって、妹扱いしないでください!」
「チノ……ちゃん……?」
「なって欲しくないんです……」
「お姉ちゃんと妹じゃ、嫌なんです……!」
「え?」
「だって……私は……ココアさんが……好き……」
頬に熱いものが伝ってこぼれ落ちていきます。
「好きなんです……ココアさん……」
「チノちゃん……」
もう戻れません立ち止まれません。不安で胸が苦しくて、ココアさんの顔をまともに見ることが出来ません。
「チノちゃんは私の妹だよ」
42:
「ッ!」
きゅう、と胸が締め付けられます。私は、今……。
もう濡れていた瞳から感情が溢れ出します。止めどなく、止めどなく。
「でもね……」
それを包み込むように、ココアさんが私を抱擁しました。
それでも涙は止まりません。
「私はチノちゃんのこと……大好きだよ」
「気休めは……やめてください……っ」
ココアさんの制服が私の涙で濡れていきます。
43:
「大好き! チノちゃん!」
ココアさんは残酷です。ココアさんからは大好きの言葉が何度も口を付いて出るのです。ココアさんの好きの言葉が、私の心に突き刺さり貫いていくんです。
「ココアさん……」
顔を上げ、ココアさんの顔を覗き込みます。
ココアさんの顔は、今まで見たことのない紅潮した色でした。
「それでも私は、ココアさんの事が好きです」
ココアさんのそれとは違う意味だったとしても。
44:
「私は……チノちゃんのこと、妹だと思ってる」
「はい……」
「でもね……変だよね……」
「ココアさん……?」
「なんでこんなに、こんなにドキドキしてるんだろう……」
ココアさんが私の頭を抱きしめました。心臓の音が煩いくらいに響いています。
「こんなのおかしいって、誤魔化さなくちゃっていっぱいいっぱい大好きって言って……チノちゃんも泣きやまなくて……」
「あ……」
「それでも、チノちゃんのことは妹だと思ってるの……」
46:
腰に腕を回し、今にも泣き出してしまいそうなココアさんを抱きしめ返します。
「チノちゃん……妹を好きになるって……いいのかな?」
「それは……わかりません……」
「うん……私も、全然わからないよ……」
「でも、わかってることがあります……」
「なに?」
「私たち……お互いに、好き……だったんですね」
「……うん」
気が付けば涙は止まっていて、冷たくなっていた心は、ぽかぽかとあたたかくて。
「ココアさん」
4

続き・詳細・画像をみる


女サイヤ人とかいう最高に萌える存在wwwww

韓国のかわいすぎるマッチョ少女、顔とボディーのギャップ萌え

ゴキブリ「よく考えたら俺ってそんなに酷い害虫じゃないよね?」

『僕のヒーローアカデミア』とかいうNARUTOの後継漫画!!!!!!!!!

携帯番号が「090-3xxx-xxxx」の奴wwwwwwww

きゃりーぱみゅぱみゅ「突然心臓が痛くなることがあるんだけどデスノートに名前書き込まれてのかも」

読むのを中断した本を粋なインテリアに変える透明な本

【悲報】鉄腕DASH、台本があった

ガンダムのボールって実質特攻兵器じゃね?

【画像】筋肉のついた外国人の女の子、エロすぎwwww

きゃりーぱみゅぱみゅ「突然心臓が痛くなることがあるんだけどデスノートに名前書き込まれてのかも」

貴音「事務所が燃えるなど……」

back 過去ログ 削除依頼&連絡先