希「ぽんこつおばけが住みついた」back

希「ぽんこつおばけが住みついた」


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部屋の鍵を開けて、ドアを開けた。
「あ、おかえりなさい」
同居しているえりちがうちの姿を見て迎え入れてくれた。
・・・あのな、えりち、うちちょっと怒ってるんよ?
「ただいまー・・・あ、えりちぃ〜、昨日うちが楽しみにしていたチョコ食べたでしょ?」
「う゛、そ、それは本当にごめん・・・今度ちゃんと埋め合わせするから」
「むぅ・・・だったらええけど・・・じゃあ今度焼肉おごってね?」
「え、えぇ・・・?」
ちょっとだけ怒ってる理由は、ことりちゃんがお土産で持ってきてくれたチョコをこっそりと食べられていた事だった。
全く・・・わざわざ「のんたんの(はぁと)」って書いてあるチョコを食べることないやんか・・・まぁ、えりちは抜けてるとこあるし、見落としたんやろなぁ・・・。
それにチョコはえりちの大好物やし・・・・・・ん?
2:
そういえばうちはなんで出かけてたんだっけ・・・何か大事なものを失ったような・・・
気付いたらうちの視線はえりち・・・いや・・・
「?どうしたの?」
これはわたしは幻覚を見ているんでしょうか?
「な、なぁ・・・えりち・・・」
「・・・えりち、死んだはずじゃ・・・」
3:
−−−−−−−−−
−−−−−−
−−−
「・・・・・・え、うそ・・・だよね・・・・・・?」
私の問いかけに、目の前にいる海未ちゃんは首を横に振るだけ。
穂乃果ちゃんは目に涙をいっぱい浮かべてしゃくりあげ、ことりちゃんは憔悴したような表情でただうつむくばかり。
亜里沙ちゃんは凛ちゃんと花陽ちゃんと一緒に大泣きし、真姫ちゃんは責任を感じているような表情を、にこっちはただ静かにうなだれていた。
その事実に
等しく、みんな、涙を流していた。
−−−−−−えりちが、事故で亡くなった。
4:
えりちは私がお手伝いをしている神田明神に遊びに来て、少しだけ談笑した後に、男坂から帰ろうとしていた、その時だった。
「じゃあ、またね、のぞ、み・・・?」
急にフラリと体のバランスを失ったかのようにえりちは倒れ、そのまま男坂の階段を転がり落ちた。
−−−−−−その時、打ち所が悪かったのか、そのまま帰らぬ人になってしまった。
緊急搬送先の病院で、事実を突きつけられ、霊安室で眠るえりちの姿を見た後のことは一切覚えていない。
5:
気づいたら、私は音ノ木坂の前にいた。
ただぼんやりと、校門から校舎を眺めていた。
永遠とも言える時間の中、ただ静かに学校を見つめていた。
「希・・・」
「希ちゃん・・・」
知らないうちに海未ちゃんと凛ちゃんも一緒に来ていたみたい。
全然気づいていなかったぐらい、私は参っていたようだった。
「海未ちゃん、凛ちゃん・・・大丈夫、うちは大丈夫だよ」
精一杯の強がり。
本当は、限界なのに、それを悟られたくなくて、私は嘘をついた。
6:
でも・・・
「大丈夫じゃないよ・・・希ちゃんが一番辛いの、凛、知ってるよ」
「辛くないはずがありません。貴女が絵里をどれだけ想っていたかを考えたら・・・その苦しみは筆舌に尽くしがたいでしょう」
二人には通じなかった。
・・・やっぱり、μ’sの一員には敵わないや。
不意に、凛ちゃんが私に抱きついてきた。
弱々しく、でも絶対に離そうとしないぐらい、優しく抱きしめてきた。
海未ちゃんも同じように私に抱きついてくる。
何もかもを包み込み、受け止めるように、優しく抱きしめてきた。
7:
・・・・・・だめだよ・・・あかんよ・・・そんなことされたら・・・
お姉ちゃんとして、涙は見せたくなかったのに・・・
私・・・うちの頬を一筋の涙が伝っていく・・・
「希ちゃん、押さえ・・・込ん、じゃ・・・・・・ダメ・・・だよ・・・泣きたい時には・・・ない、て・・・いいんだよ・・・」
「・・・絵里は、貴女が自分の感情を押し殺して、抱え込んで生きていく事を望んでるはずがありません。貴女も、辛いなら、弱いところをみせて・・・いいんですよ・・・」
もう今すぐにでも泣きそうな声の凛ちゃん、それに釣られるように涙声の海未ちゃん・・・二人の言葉に、押し殺していた気持ちが、溢れ出して止まらない。
寂しい、悲しい、寂しい、悲しい、どうして、どうしてえりちじゃないとダメだったの?ねぇ、ずっと一緒にいるって約束したよね?なんで?いなくならないでよ、いなくなっちゃやだよ、置いていかないでよ・・・
8:
「う・・・あ・・・あぁぁ・・・」
ぼろぼろと、涙が溢れて止まらない
失ったものが、大きすぎた
「う、うわああああああああああああああああああああああああん」
うちは、二人に抱きしめられながら、声が枯れるまで泣きはらした。
9:
−−−−−−気持ちが落ち着いて、少しだけ話をして、海未ちゃんと凛ちゃんに別れを告げたうちは、帰路についていた。
そういえば、音ノ木を卒業してから数年経って、うちはえりちと同居していたんだっけ・・・ドアを開けたら、また同居する前と同じ、一人で暮らすには広すぎる家が待っているのか・・・
そう思うと胸の中は重くなるばかり・・・
そりゃ大きいから肩も凝ったりするけど・・・って違うか。
少しだけ冗談を言えるぐらいには元気になれたかな・・・
そして、うちは玄関のドアを開けた。
−−−
−−−−−−
−−−−−−−−−
10:
希「・・・というのが事の顛末なんやけど」
絵里「嘘?そんなことになってたの?」
キョトンとした表情でえりちはうちの話を聞いていた。
よく見るとえりちの体はうっすらと透けていて、後ろの壁が少し見えていた。
・・・うちは疲れているんだろう。間違いなく。
何しろあんなに大切な人を失ったんだ。
正常でいられるわけがない・・・そう自分に言い聞かせていた。
試しにえりちに手を伸ばして触れてみようとする。
すかっ、すかっ・・・
うちはえりちに触れる事が出来ない上にえりちもうちに触れる事ができない。
むしろえりちは物すら持てないようだった。
絵里「んんー・・・どうやら私はおばけか何かになったようね・・・さっきから私の物に触ろうとしても触れないのよ」
11:
希「いや、だからえりちは死んじゃったんだって。うちの目の前で、男坂から転がり落ちて、打ち所悪くて・・・」
絵里「ちょっとまって?」
えりちが何かを思い出そうとしている・・・
死の間際のこと、何かを思い出そうとしている。
絵里「・・・希が言うには私は転がり落ちて、打ち所悪くて即死したって事なのよね?でもね、転がり落ちる瞬間の記憶なんてないのよ」
ん?どういう事やろ?
絵里「男坂の前でいきなり意識が途切れたのよ。そして気が付いたらここにいたの。スピリチュアルガールである、愛しののんたんと私の愛の巣に・・・」
希「ふざけてると成仏させるよ?」
うちはお手伝い先の神田明神から失敬していた祝詞を取り出して適当な呪文をぼそぼそと呟いた。
その姿にさすがのえりちも震え上がっていた・・・いや、本音言うと震え上がりたいのはこっちなんやけど・・・えりちがいつも通りすぎて震える気も起きないんやけどな・・・。
12:
絵里「ま、ま、まってまってまって!!ご、ごめん!それだけはまって!!・・・と、とにかく、私は転がり落ちた瞬間なんて知らないのよ。本当に、気が付いたらここにいたの!それもすっごく不便なこんな姿で!」
そう言ってえりちはすっと立ち上が・・・ったわけじゃない。
浮いてる。うっすらと透けたえりちの体が浮いてる。
足が、足首より先がフェードアウトしたかのように見えなくなってる・・・。
・・・どうやらうちは、昔みたいに、また、見えるようになってしまったみたいや。
13:
絵里「ねぇ、希、のりしろが欲しいんだけど」
いきなりこいつは何を言っているんや・・・
うちが訝しげな目で目の前のおばけをじとーっと見ていると、慌てた様子を見せてきた。
絵里「ちょ、ちょっと聞いて!?今のこの体、ふわふわしすぎて落ち着かなくて、とりあえず何かしら体の代わりになる物が欲しいのよ!・・・ねぇ、何かない?」
・・・大慌て、大真面目にえりちが説明してきた・・・キョトンとしながらうちは何を言ってるのかをだんだん理解できてきた
希「・・・えりち、もしかして依り代のこと言ってるん・・・?」
絵里「そう!それよそれ!!」
えりちは死んでもぽんこつのままやった。
14:
希「ちなみにえりち、依り代は神霊とかそういう神様の御霊が宿るようなものにつかうものやから、えりちのような抜けてるおばけが取り憑くためのものに津買うような言葉じゃないと思うんよ」
絵里「え、そうなの?スピリチュアルね」
希「しれっとうちのセリフとらんといてくれんかな?」
15:
そんなこんないろいろあって、丁度良さそうな物はないかなと部屋の中を物色。
その間もえりちはふわふわしながら様子を見ていた。
絵里「ねぇ、希、この体ならμ’sのメンバーの着替えを誰にも気づかれずに見れるんじゃないかしら!?あとはお風呂の様子とか!?みんなの秘密の瞬間を見れたり!?・・・あ、でも何人か家がわからないわね・・・今度教えてくれない?」
時々変なことを言いだしたりして、正直うんざりはしていたのは内緒なんやけど。誰がこんなデバガメおばけにみんなの住所教えるか、ばか。
希「あ・・・これ・・・」
そして、うちは見つけた・・・
μ’sの人気が最高潮の時、海外ライブを成功させて大盛り上がりした時にゲームセンターにあったぬいぐるみ・・・ちょっと欲しくなって、お小遣いもそんなにない中、この500円で取れなかったら諦めようと思って、ダメもとでやってみたら一回で取れたこのぬいぐるみ・・・
えりちと同居するとは思わなかった時に手に入れて、毎日のように抱きしめていたっけ・・・そ、そんなこと本人の前じゃ絶対言えへんけどォ!!
16:
「え、これを?いいの?」
「ええんよ、九十九神が憑いたもんだと思っとくから」
「え?つく・・・も?」
「気にしないで気にしないで。」
「さぁ、放り込むで!」
「え、すごく気にな・・・ちょ・・・うわあああああああああ!?!?!?!?」
ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ絢瀬絵里「ミトメラレナイワァッ!!!」
希「おぉ、喋った」
こうしてうちの家にぽんこつなおばけが取り憑いた、喋るぬいぐるみが住みついた。
19:
希「さて、えりちの(仮の)体も見つかったし」
HJNNあやせえり「ミトメラレナイワァ・・・」
希「・・・流石に今日は食欲でないや・・・疲れたし、お風呂入って寝ることにしようかな・・・」
HJNNあやせえり「!!」
えりちの魂を無理やりねじ込んだハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ絢瀬絵里・・・あー、めんどくさいからHJNNえりちでええか。それが小刻みに動き始めた。
・・・・・・動けるんかい・・・・・・。
でも関節がちゃんとしてるようなものじゃないから基本は寝そべったまま、全身をわずかに動かす程度のことしかできないみたいやね。
そして今度はあっちへごろごろ、こっちへごろごろ・・・腕をパタパタしたりして何かをアピールしてくる。
訂正、割と動けた。
20:
・・・てか・・・もしかして・・・
希「一緒にお風呂入りたいん?」
HJNNあやせえり「!!」
今度は腕をぱたぱたとし始めた。
なんやこれ・・・・・・
めちゃくちゃかわいい・・・鼻血でそうや・・・。
ことりちゃんに見せたら卒倒しそうやな・・・。
でもうちはお風呂に一緒に入らなかった。
いや、入れさせなかった。
デバガメおばけになっていたのもあるけど、単純にぬいぐるみの状態だから乾くのに時間かかるやん?
・・・うちに、いや、うちらを思いっきり心配させたことに対するお仕置きの一つにしておこ♪
21:
チカアアァァァァァ!!!
・・・ん?変な鳴き声が聞こえたやん?
HJNNあやせえり「チカァ・・・・・・」
さすがにぬいぐるみに魂を入れただけの物体やから表情がかわらないんやけど、声色からしてしょんぼりしているのがよーくわかる。
でもこれはさっきも言った通り、ちょっとしたお仕置きやで?
・・・さて、ちょっと気がかりになってることがあるんよ。
それはえりちが意識を失ったのは男坂を下ろうとしたその瞬間。
つまり、階段に足をかける前に転落したことになる・・・
えりちに癲癇(てんかん)とかの持病があるとか聞いたことあらへんし、何度も顔を合わせてるうちから見ても、体調がすぐれない様子もなかった。
ということは何かしらの理由で急に意識が飛んで、そのまま倒れて・・・?
もしくは、何かしらの理由で転落する直前には死んじゃってた・・・?
22:
・・・考えても考えても気がかりだけが増えていって、答えなんて一切出てこない。
ただでさえ今日は混乱することが多すぎる・・・
考えるのも無意味かもしれへん。
今日のところはもう寝て、明日、ちょっとえりち連れて神田明神に行ってみるしかないかもしれへんな・・・
ベッドに潜り込むと1日の疲れが一気にきて、眠気がどっと押し寄せてきた・・・抗うことができない睡魔にあっという間に飲み込まれたうちは深い眠りに・・・
ペチペチ、ペチペチ
・・・なんやろ・・・顔を何かが叩いてくる・・・
23:
HJNNあやせえり「・・・チカァ・・・」
あ、えりちか・・・なんやろか・・・?
HJNNあやせえり「・・・・・・マックラ、ヤダ・・・オバケコワイ」
希「既にえりちがおばけやんかこらあぁぁぁぁ!!!!!」ブオン
HJNNえり「ハラチョッ!!」ベチーン
うちは思いっきり壁にえりちを投げつけていた。
・・・多分、なんやかんや言いながら、今のうちの顔・・・絶対楽しそうなんやろなぁ・・・♪
24:
えりち(魂の方)は詳しく状況をうちに説明してくれた。
どこで倒れたのか、倒れた瞬間の体調は良好だったこと、何か重いものを持っていたわけでなく、単に買い物用のお金を少し入れた財布と、家の鍵を入れた程度の小さなポーチを持っていたぐらい・・・些細なことから詳細なことまで、事細かに説明してくれた。
正直に全部話してくれたけれども、特に何も得られなかった。
・・・うちとえりちは何も進展がないままひとまず一旦帰ることにした。
もう時間的にお昼時・・・一旦休んでからもう一回手がかり探しをすることにした。
絵里「・・・希、ごめんなさい・・・勝手に死んでしまった上に、死んだ後もこうやって希に迷惑をかけてばっかりで・・・」
えりちはしょんぼりとした表情でうちに謝ってきた。
どうやらえりちなりにこの状況に対して責任を感じてる様子やった。
希「・・・ええんよ、えりち。うんっと迷惑かけても・・・うちな、ちょっとの時間でも、えりちと二度と会えなくなるんじゃないかって思って、すごく寂しかったんよ」
希「だからかなぁ・・・おばけになっちゃってるけど、えりちは確かにそこにいる。触ることはできなくても、姿は見えるし、声も聞こえている・・・もう寂しいって思えないんよ」
絵里「・・・希・・・」
希「だからそんなに責任感じないでいてよ。いつものかっこよくて、でも抜けててかわいい・・・かしこいかわいいエリーチカでいてよ」
25:
うちの言葉にえりちは少し驚いた後、そっぽを向いて震えていた。
多分、生身だったら涙をこらえているんやろなぁって思いながら帰り道を歩いていたら
「希!エリー!!」
ふいにうちらを呼ぶ声が聞こえた。
声のした方をみると、何やら大き目の紙袋を手にした赤い髪の女の子と、メガネをかけた女の子、そしてさらっと伸びた黒髪の女の子がいた・・・
そう、真姫ちゃんと、花陽ちゃんと、海未ちゃんがいた。
珍しい組み合わせやと思っていたら真剣そうな表情で真姫ちゃんがうちに詰め寄るように近付いてきた。
・・・・・・ってあれ?
真姫「ちょうどいいところにいたわ。希、エリーがそこにいるんでしょ?」
花陽「希ちゃん達にどうしても確認したいことがあるんです!」
26:
絵里「・・・あれ?私が見えてるの?」
海未「はっきりと見えてるわけではありませんが、絵里がそこにいるのではないのかというのは分かります。ついでに私達だけは声も聞こえていますので、そこに絵里がいるのはわかっています」
真姫「私も同じよ。うすらぼんやりとエリーの姿を認識できるわ」
花陽「ちなみに私は姿もはっきりと見えてます。メガネを外すとうっすらとしか見えませんが、メガネをかけるとはっきりとみることができます!」
うちは昨日に続いて色々とよくわからん状況に陥っていた。
親友が死んだと思ったらおばけが出てきて、最終的にうちと同じようにスピリチュアルな状況になっている人が他に3人もいたとか、もう超常現象のオンパレード過ぎて、さすがのうちでもよくわからなくなってしまっていた。
27:
真姫「・・・ねぇ、希、ここで立ち話もなんだから、希の家に行ってもいいかしら?色々と説明しないといけないこと、そして、エリーは実はまだ・・・」
真姫「エリーはまだ本当に死んではない、まだ仮死状態に陥っているだけなのよ」
うちは耳を疑った。
どういうことや!?
29:
>>23と>>24の間が抜けていた!!
翌日、うちらは朝早めに起きてから朝食をとり、神田明神へ足を運んだ。
場所はもちろんえりちが倒れた男坂のところ。
うちはHJNNえりちを抱きかかえながらえりちが意識を失ったという場所に近づいてみた。でも何かがあるわけでも、何かが起きるわけでもなし・・・
ふと不意に抱きかかえているえりちをみてみると、妙に腕をパタパタし始めた。
なんや、どないしたんや?
そう思っていたらいきなり口の辺りからもやが出てきて中からえりちの頭がでてきた・・・あ、デフォルメされていない、見慣れたえりちやで?
絵里「ふはぁっ!意外と窮屈なのね、このぬいぐるみの中って・・・そう、そうよ、ここ!ちょうど1段降りようってところで急に意識が飛んだのよ」
HJNNえりちの口の中から出てくるえりちは非常にシュールな光景で、うちはどう突っ込むべきかすごく悩んだ。
31:
真姫ちゃんの言葉を信じるならまだえりちは仮死状態になっているだけで、完全に死にきってるわけではないそう。
でもそれ・・・ほんまに信じてええんやろか・・・?
とりあえずうちは真姫ちゃんと花陽ちゃん、海未ちゃんを家に入れた。
そして真姫ちゃんは部屋に着くなり、紙袋の中身を引っ張り出そうとしていた。
真姫「まず、これを見て欲しいのよ。花陽、海未、あなたたちも用意して」
そう言うと花陽ちゃんも海未ちゃんも紙袋の中身を引っ張り出した。
そして、出てきたのは−−−−−−−−−−
32:
ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ矢澤にこ「」ニッコニッコニー
ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ星空凛「」ニャンニャンニャーン>ω</
ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ高坂穂乃果「」ファイトダヨ!
希「いやなんでみんなそれ持ってきてるん!?あとフルネーム長いからもう略称でええやんか!!」
希「そしてびっくりしたのがみんなちゃんと相方さんの持ってきてるってとこやね!?」
海未「あ、私の場合はことりも持ってきています」スッ
ハイパージャンボ寝そべりぬいぐるみ南ことり「」チュンチュン
希「出さんでええわぁ!!」
33:
希「で・・・図らずともたくさんのHJNNがうちに集まったわけなんやけど・・・単に相方のぬいぐるみ自慢したいだけやったらはっ倒した上でワシワシフルパワーやで?」
真姫「そんなわけないでしょ?これを持ってきたのには大きな理由があるんだから・・・・・・そろそろいいわよ−−−−−−カミサマ」
うちはまたもや耳を疑った。
現実主義者やと思っていた真姫ちゃんから”カミサマ”なんて言葉が出るなんて思わなかった。
でもその疑いも次の瞬間には吹き飛んでしまった。
??「まったく・・・窮屈な依り代に放り込んだ上に、紙袋の中でしばらく待機なんて・・・屈辱すぎるわよ」
??「しょうがないですにゃ。今の私たちの姿は人間たちからしたら滑稽な上にパニックを起こしかねないわけですから」
???「うぅぅ・・・ごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・」
???「よしよし・・・あとで美味しいおやつあげるからね?」
目の前のぬいぐるみたちが一斉にしゃべりだした・・・な、なんなんやこれは・・・
34:
花陽「・・・これが、希ちゃんに言わなければいけないことだったんです」
海未「つくも神の一種かと思ったのですが、どうもそうではないみたいなのです」
真姫「この子たちがエリーがまだ仮死状態になっている理由なのよ・・・私もにわかに信じられないけど、信じる以外ないのよ」
真姫「紹介するわね。にこちゃんのぬいぐるみに取り憑いているのが所謂神様」
HJNNにこ「所謂神様って呼ばれてる存在よ。よろしく」
希「・・・・・・」
花陽「凛ちゃんのぬいぐるみに取り憑いているのが天使様」
HJNNりん「天使と呼ばれてるにゃー!・・・まじえんじぇーって言ったほうがいいにゃ?」
絵里「は・・・ハラショー・・・」
35:
海未「そしてことりのぬいぐるみに取り憑いているのが天使その2、穂乃果のぬいぐるみに取り憑いているのが死神だそうです」
HJNNことり「初めまして、天使と呼ばれてます♪ちゅんちゅん♪」
HJNNほのか「うぅぅ・・・死神と呼ばれています・・・ファイトだヨォ・・・」ドヨーン
真姫「そういうわけでみんなのぬいぐるみに何かしらが取り憑いてしまった状態で−−−−−−」
希「んなアホな話あるかー!!!!!!」
3人「「「!!?」」」ビクッ
4個「「「「!?!?」」」」ビククッ
絵里「!?」ビクッ
36:
希「なんやなんや!!うちが真剣に話を聞こうと思ったらうちも思わず目をそらしたくなるレベルの電波な状態やんか!!もうカオスがWonderful Rushして止まらないやんか!!」
希「アホらしくなってくるやんか!!でもって3人ともなんでころっと信じてしまうんや!!みんなちょろすぎやで!!花陽ちゃんはピュアすぎ!!!海未ちゃんはぬいぐるみとはいえど穂乃果ちゃんとことりちゃんに甘々すぎ!!!真姫ちゃんはちょろすぎや!!!」
希「あとそこの自称神様4匹!!なんでうちら以上にびっくりしてるんよ!!びっくりしたいのはうちのほうやで!!置いてけぼり感半端なかった上にスピリチュアルキャラも霞むレベルのスピリチュアルで闇を吹き飛ばす勢いやったわ!!」
希「そしてえりちぃ!!なんでえりちが一番びっくりしとるんや!!!」
絵里「だ・・・だっていきなり大声出すから・・・」
希「やかましいわ!!!」
ツッコミどころしかない今の状況、さすがにうちも我慢の限界やった。
近所迷惑?関係ないわー!
今はもう盛大に全てにツッコミを入れて文句を言いまくるしかなかった。
37:
海未「と・・・とりあえず話を戻しましょう・・・先ほどから言っていますが、絵里が死んだ理由が、私たちのぬいぐるみに取り憑いた神様たちなのです」
希「・・・いや、どうしてそういう話になるんや・・・全くつかめへんのよ」
慌てた様子の海未ちゃんに投げやり気味にうちが抱いている疑問を投げつけた。
どうしても話が繋がらなくて見えなくて困惑していたら・・・
HJNNにこ「それについては私から説明するわ」
にこっちのぬいぐるみ・・・神様が説明を始めた。
38:
HJNNにこ「私たちは死んだ魂が地縛霊だとか悪霊とかになって人間に害を出さないようにするために管理する立場にいるのよ。
あんたは神道に明るそうだから言っておくけど、八百万(やおよろず)の神と言われるぐらい、神様はたくさんいて、私はどちらかといえば中間管理職みたいな役職の神様ね」
HJNNにこ「で、私がちょうど東京都千代田区神田周辺・・・神田明神から秋葉原近辺の担当をしている神様なの。
で、そこの天使たちは魂を天界に引き上げる役割、死神は魂と肉体を分離させて、この世から引き剥がす役割。死神って聞くと聞こえは悪いけど、れっきとした神様で、悪いことしてるわけじゃないのよ?」
HJNNにこ「話が逸れたわね・・・とにかく本来だったら死んだ人間や生物の魂をちゃんと現世から分離させて成仏させてやるのが私たちの仕事・・・なんだけど・・・」
HJNNほのか「う゛」
HJNNにこ「そこの死神が分離させる魂を間違えてしまって・・・
おまけに本来死ぬ予定じゃなかった人間だったからか現世にすんごい勢いで逃げてしまって、一旦引き上げてから肉体に戻すのにも失敗して今に至るのよ」
HJNNりん「ずーっと絢瀬絵里ちゃんだっけ?絵里ちゃんの魂を探すの本当に大変だったんだにゃー。昨晩なんとか見つけて神様に報告したんだにゃ」
HJNNほのか「そしたら私が別のあやせえりさんの魂を引き剥がさないといけなかったのに、間違ってそっちの絵里ちゃんの魂を引きはがしちゃって・・・」
HJNNほのか「うわぁ?ん!!!ごめんなさぁーい!!!」ビエーン
39:
・・・話がやっとわかってきた。
これで合点がいった。
どうやらえりちが男坂を降りる瞬間に意識が飛んだのは”間違って魂を引き剥がされてしまったから”。
そして打ち所が悪くて即死したように思われたのは”すでに転落した時には魂がなくなっていたから”。
今いくつかの点が繋がって一つの線になった。
真姫「・・・私もね、エリーの死が信じられなかった。霊安室でエリーを見た時、外傷らしい外傷は一切なかった。あったとしても打撲した程度のものだったわ。とても致命傷らしい致命傷はなかった」
真姫「だから色々と調べて、他にも前例がないか調べていた時に神様がやってきたの」
花陽「神様は・・・天使さんは絵里ちゃんの状況を説明してくれて、どこにも見つからないから手を貸して欲しいと言われたんです。当然、私はすぐに協力することにしました・・・だって、絵里ちゃんが生き返る可能性があるってわかって、嬉しかったから」
海未「・・・絵里たちが卒業し、μ’sがバラバラになってから数年経って、みんなが集まれる時間も少なくなって、最近では9人全員が揃うことすらなくなってきていました。絵里が亡くなって、やっと揃いましたが、やっぱり誰か一人が欠けてはダメだったんです」
真姫「あの時言ったでしょ?μ’sは9人で一つ・・・絵里、あなたがいないのはありえないのよ」
絵里「・・・みんな・・・」
40:
絵里「・・・ありがとう・・・とても嬉しい・・・3人とも、ありがとう」
希「ってストーップ!!なんかええ話でまとめようとしてるけどしれっとなにか重大なこと見落としてるんと違う!?」
絵里「・・・え?重要なこと?重要なことだらけでむしろ十分すぎる気が」
希「うん、ぽんこつおばけは黙ってようか?花陽ちゃん・・・今なんて言ったかわかってる?」
花陽「えぇ!?わ、私!?」
希「せや。花陽ちゃんはすごく重要なことを言ったんや・・・!そう・・・」
希「えりちは生き返る可能性があるってことなんよ!!」
希以外の全員「「「「!!」」」」
HJNNにこ「てかそもそも完全に死んでないってなんども言ってるじゃないのよ・・・」
41:
HJNNことり「ここからは私が説明しますね?♪」
聞き覚えあるポワポワボイス・・・さっきから気になっていたけど、どうやら神様たちは乗り移ったもののキャラクターを完全に再現してるようやった。
一人称は違う様子だけど、声色、口調、口癖はそのぬいぐるみの人たちを完全に真似ていた。
神様って随分芸達者なんやなぁ・・・。
HJNNことり「えぇっとですねぇ?そこの絵里ちゃんは死神さんが無理やり魂を引き剥がしたせいで、肉体が仮死状態になっていて、魂のない抜け殻状態になっているんです」
HJNNことり「なので、肉体が朽ち果ててなかったり、損壊してなかったりして、魂を再び入れた後に動くことができれば事実上生き返ることができるのです!」
希「なるほど・・・つまりまだ火葬も土葬もなにもしていない、死んでそのままの新鮮なえりちの状態ならまだ息を吹き返せる希望があるってことやな」
絵里「希、人を魚か何かみたいに例えるのやめてくれないかしら?」
42:
HJNNにこ「・・・とりあえず私たちができることはこれぐらいね。あとはあなたたちでなんとかしなさい。私たちも忙しいのよ」
絵里「え?神様パワーで私を生き返らせてくれるんじゃないの?」
HJNNりん「一人の人間を贔屓するわけにはいかないしね。でも今回に関してはこっちのミスだから手を貸すことにしたんだにゃ」
HJNNことり「それに私たちができるのが魂の案内と選別ぐらいなんです。それ以上のことはお釈迦様レベルじゃないと無理かもしれません」
希「そうなんや・・・神様も色々と大変なやなぁ・・・」
HJNNほのか「あ・・・あの・・・」
穂乃果ちゃんのぬいぐるみ・・・死神さんが気まずそうな声を出してきた。
HJNNほのか「えぇっと・・・今回は私の手違いで、ご迷惑をおかけして、本当に・・・すみませんでした」
声色からして反省している様子が見える・・・
それもそうやろなぁ・・・自分の裁量一つで人の命を自由にできるわけやから・・・その結果失敗してしまってこんなことになってしまった・・・
でも、うちは不思議とそんなに怒っていなかった。
43:
うちの手は、自然とぬいぐるみの穂乃果ちゃんの頭に伸びて、撫でていた。
希「ええんよ。変な話やけど、今回の件があったから、うちはえりちがどんだけ大事に思っていたか、よくわかったんよ。」
希「それに、普段では味わえないような面白いことがいっぱい起きたから、うちはこれでも楽しかったんやで?」
その言葉に嘘偽りは一切なかった。
だって楽しかったのは本当だったから。
えりちが居なくなった事実に絶望したからか、また一緒に居られるとわかってから、1分1秒が楽しくてしょうがなかった。
いつもとちょっと違った、とても楽しい時間を過ごせた。
・・・時を巻き戻してと願ったりしたけど、それは本当に楽しく、愛おしかった。
HJNNほのか「・・・希ちゃん・・・」
希「せやから神様も天使さんも、あまり死神さんを責めないであげてや?この子はちゃんと反省してるし、うちも許した。えりちもそんなに怒ってる様子じゃなさそうやし?」
絵里「そうね・・・ぬいぐるみの姿なら愛しののぞみんにずっと抱きかかえてもらえるしね。それにこの体ならいろんなところに自由に行き来できて楽しかったし、浮いてる間もちょっと新鮮で面白かったもの」
希「うーん、所々残念なところ出さなければ綺麗にしまったんやけどなぁ・・・」
44:
HJNNにこ「・・・じゃあ私たちはそろそろ帰るわね。さっきも言ったけど、後のことは自分たちでなんとかすることね。それじゃ、行くわよみんな」
HJNNりん「はーい!それじゃあ私たちはここで失礼するにゃー!ばいばーい!」
HJNNことり「お騒がせしました?ゴーキゲンヨー」
HJNNほのか「私も大変ご迷惑おかけしました!でも、私はめげません!!いつかちゃんと一人前になって、神様を見返してやります!それでは!」
ぬいぐるみたちの口からモヤみたいなものが出て行く。そしてそれはみんな天井まで登って行って、消えていった。そして・・・
ぬいぐるみ’s「「「「・・・」」」」スンッ
ぬいぐるみたちは沈黙した。
なんだかあれだけ騒がしかったのが嘘のような静けさになった。
でも、うちら二人・・・いや、今ここにいる全員の目には自信と希望に満ち溢れていた。
そして、やることはもう決まっていた。
47:
その日の晩・・・えりちの葬儀が行われた。
ありがたいことに葬儀は親近者のみで行われるもので、参列したのはえりちのご家族
−−−そういえばご両親はまだロシアにいたんだっけ・・・って思ったらえりちがうちと同居を始めるタイミングで日本に帰ってきていたみたい−−−
とμ’sのメンバーたちだった。
そして、うちは棺の中で眠るえりちの体の上に、HJNNえりちを静かに置いた。
もちろん、その中にはえりちの魂が入っている。
置いた瞬間、ぬいぐるみの口のあたりからモヤみたいなものが出てくる・・・これはあの時、神様たちが出て行くのと同じようなものだった。
静かに、そのモヤが一旦人の形を作る・・・その体つきからえりちの体を象っているのがよくわかった。
他のメンバーにも、亜里沙ちゃんを始めとした絢瀬一家にも見えているのか、ただ、息を飲んで静かにその様子に釘付けになっていた。
そのモヤはえりちの体を包み、それからえりちの中に入っていく・・・
モヤが体の中に取り込まれるとえりちの体がビクンッと一瞬跳ねた。
48:
「ん・・・んんぅ・・・」
すこし艶やかで、まどろみの中にいるような声が聞こえた。
それは、とても聞き覚えのある声・・・ずっと聞いていたけど、でも、今ここで聞こえてすごく嬉しい、声。
その声の主は、棺の中から、静かに体を起こした。
それから両手をぐーぱーして、体の感覚を確かめ、キョロキョロして周囲を確認する。
「おねえ・・・ちゃん・・・?」
「・・・絵里・・・?」
「・・・絵里ちゃん・・・?」
亜里沙ちゃんが、目に涙を浮かべながら確かめる。
相手の頬に触れたりして、感触を確かめる。
ご両親も、涙をこらえながら確認している−−−−−−お母さんに関しては、もうボロボロと泣いていた。
大丈夫だよ、目の前にいるのはおばけでもなんでもないよ・・・
−−−−−−そう、ちゃんと、帰ってきたよ
49:
「・・・心配かけたわね・・・ごめんなさい・・・亜里沙、お父さん、お母さん・・・そして・・・希・・・皆・・・ただいま」
−−−−−−おかえりなさい、えりち。
うちは涙を流しながら、おばけじゃないえりちに声をかけた。
The End.
50:
−−−−−−数日後
えりちはあの事件のことを半分だけ真実を伝えた上ではぐらかしてくれた。
運ばれた病院が西木野総合病院だったということもあって、真姫ちゃんもうまいこと口裏合わせてくれたおかげで皆納得してくれた。
でも、ちょっと無理やり過ぎひんかなぁ・・・?
だっておかしいやん?
「寝不足で立ちくらみを起こしてしまって、そのまま気を失って倒れて、階段から転げ落ちて気を失っていたら死亡扱いされた」
なんて・・・まぁ、本当の事情を知らないのがあの4人・・・
あぁ、ことりちゃんには見透かされていたというか海未ちゃんから事情を聞いていたらしいから、実質穂乃果ちゃんと凛ちゃんとにこっちの3人だけだったからゴリ押せたんかな?
希「ただいまー」
あれからもうちとえりちは同居を続けている。
ただ・・・困ったことが一個増えてしまった。
それは−−−−−−
51:
絵里「!?お・・・おかえりなさい・・・」
希「ただいまぁー。あ、えりちー、頼まれていたもの、買っておいたよー」
絵里「そ、そう・・・あ、ありがとう」
えりちの様子がおかしい。
何故かうちの方を見ようとしない・・・というか、妙に挙動不審というか・・・あれ・・・?なんか・・・違和感・・・
希「な・・・なぁ、えりち・・・?」
絵里「な・・・ナニカシラ?」
希「なんか今日のえりち色素薄くない?」
52:

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