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【ラブライブ】絵里「100秒後の未来……?」


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希「うん。うちな、それくらいの近い未来のことなら予知できるようになったんよ」
絵里「まさか。いくら何でもそれは信じられないけど。それって、また新しい占いの話?」
希「うーん。占いとはちょっと違うかな。とにかく見えるって言うか……例えば、あそこにいる真姫ちゃん」
絵里「真姫がどうしたの?」
希「真姫ちゃんは今から100秒後に、「イミワカンナイ!」と言う」
絵里「ええ?まさかそんな……」
希「まあ見ててみ」
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2: 以下、
真姫「……何よ?二人で私の顔を見て」
希「別に、なーんもないよ」
真姫「ウソばっかり。絶対、二人で私の話、してたでしょ」
絵里「ほ、ほんとに何でもないの。ただちょっと……」
真姫「ちょっと何よ」
希「まあまあ真姫ちゃん。ほんまに大した話やないから」
真姫「……ならいいけど」
希「それはそうと、真姫ちゃんは、あんまりスピリチュアルな話には興味ないんやったっけ」
真姫「興味ないって言うか……非科学的なことは信じてないだけ」
絵里「た、例えばなんだけど。未来予知とか、ほんとにあると思う?」
3: 以下、
真姫「……未来予知?」
絵里「ええ」
真姫「馬鹿馬鹿しい。そんなもの、あるわけないじゃない」
絵里「そ、そうよね?真姫もそう思うわよね……?」
真姫「何よ。希はともかく、エリーがそんな怪しげな話題を持ち出すなんて」
絵里「……いや、実はね。真姫がこれから口にするセリフを当ててみせるって、希が言うもんだから」
真姫「私の……?」
希「うちには100秒後の未来が見えるんよ」
真姫「それでさっきは私の顔をチラチラ見てたのね」
4: 以下、
絵里「でも、真姫の言うとおりね。そんなこと、やっぱりあり得ないわ」
真姫「当たり前でしょ」
希「そうかなぁ?」
真姫「まったく。くだらない話をするのは勝手だけど、よりにもよって私の未来予知だなんて……ほんと、イミワカンナイ」
絵里「あっ」
真姫「えっ?」
希「ちょうど100秒……やろ?」
絵里「そんな……まさか」
真姫「何よ。どういう事?」
希「うちにはなんでもお見通し、っていう事や」
5: 以下、
真姫「!じゃ、今のセリフを言い当てたってこと?」
希「ま、そういうことやね」
真姫「……でも、ちょっと待って。今の場合、私は二人の会話に誘導されただけの気がするけど」
絵里「そう言われればそうね。それに、よく考えてみればあのセリフは真姫の口癖みたいなものだし……」
真姫「そ、そんなにいつも言ってないとは思うけど」
絵里「とにかく。これだけじゃ、まだ何とも言えないわね」
希「もう、疑り深いなあ。じゃ、もういっぺんやってみよか」
スッ
希「……あそこにいる海未ちゃんは、100秒後に「にっこにっこにー」をやる」
6: 以下、
絵里「!それは、いくらなんでも……」
真姫「さすがにあり得ないわね」
絵里「にこの持ちネタだということもあるけど、海未の性格的にどう考えても……」
希「でも見えたんやなあ、これが」
真姫「まあ、お手並み拝見といきましょうか。あ、今度は海未に話しかけるのはナシよ」
絵里「……それはそうと、何だか機嫌が悪そうね、海未」
ガチャッ
穂乃果「ごめん海未ちゃん、待たせちゃって」
海未「……遅かったですね、穂乃果」
穂乃果「で、話って何?」
7: 以下、
海未「先ほどの練習の件で、気づいたことがありましたので」
穂乃果「あれ……穂乃果、ちゃんとできてなかった?」
海未「はっきり言って、全くダメだったと言わざるを得ません」
穂乃果「あちゃー……海未ちゃんは厳しいなあ。でも、言われたように踊ったよ?」
海未「確かに、表面的な動きはきちんと押さえられていました。しかし……うわべだけではダメなんです」
穂乃果「うわべだけ……?」
海未「はい。さっきの穂乃果のダンス……心のどこかに、まだ照れがあるように見えました」
穂乃果「!!うっ……」
海未「その点、やっぱりにこは凄いです。ステージの上では、全く動きに迷いがない……見習って欲しいものです」
8: 以下、
穂乃果「でも、あのダンス……ちょっと激しすぎて恥ずかしいんだもん」
海未「言い訳は聞きたくありません」
穂乃果「でも、海未ちゃんだって……」
ブツブツ
海未「……何か言いましたか?」
穂乃果「う、海未ちゃんだって、にこちゃんみたいにはやれないでしょ……?穂乃果ばっかり、そんなに怒らなくても」
海未「そんなことはありません。私は、やるときはちゃんとやります」
穂乃果「……じゃあ、証拠見せてよ」
9: 以下、
海未「は?」
穂乃果「にこちゃんみたいに照れずにやれるってとこ、穂乃果に見せて」
海未「し、しかし、ここで踊るわけにはいきませんから」
穂乃果「別にダンスじゃなくてもいいよー?それとも、そんなこと言って逃げようとしてるだけなのかな……?」
海未「!!そ、そこまで言われては……!いいでしょう。何をやって見せれば満足なのですか」
穂乃果「えーっと、じゃあねえ……」
絵里「!こ、この流れは……」
真姫「まさか……」
10: 以下、
海未「……分かりました。行きますよ……!?」
穂乃果「ほら、早く!」
海未「……」
スーッ
海未「に、にっこにっこにー……!!」
絵里「!」
真姫「!」
海未「にっこにっこにー!にっこにっこにっこにー!」
穂乃果「わ、分かったよ海未ちゃん!もう分かったから」
海未「ハア、ハア……」
11: 以下、
穂乃果「まさかほんとにやるなんて……」
海未「分かりましたか、穂乃果……?このように、ステージの上ではいっさいの恥じらいを捨てて」
穂乃果「う、うん。勉強になったよ、海未ちゃん……」
希「……どう?」
絵里「これは……」
真姫「信じがたいけど、あながちインチキとも言えないわね」
絵里「不思議なこともあるものね……」
希「ま、こんなの序の口やけどね。もっとチカラを磨いて、そのうちμ'sの未来を見通せるようになりたいなあ」
12: 以下、
?30分後。
海未「じゃあ、私たちはお先に失礼しますね」
真姫「私も帰るわ。お先に」
希「はい、お疲れさん」
絵里「お疲れさま」
希「……ほな、うちらも帰ろか?絵里ち」
絵里「!あ、えっと……今日はちょっと片付けものをして帰るから、先に帰ってて」
希「片付けもの……?」
絵里「う、うん。いろんな雑用とか……」
希「そうなんや。ほな、うちも先に帰らせてもらうね。お疲れー」
バタン
13: 以下、
絵里「……」
絵里「……はぁ」
絵里「今日も気持ちの整理がつかなかったわ……」
絵里「希に対する特別な感情に気づいてから、はや一ヶ月」
絵里「希は知っているのかしら。私のこの想い……」
絵里「……」
絵里「まさか、ね。だって、ずっとただの友達だったんだもの。それに、女どうしで……なんて」
絵里「私自身が一番驚いてるくらい……」
絵里「でも、ずっとこんな気持ちを抱えたままでいるのは辛いわ」
絵里「二人きりの帰り道で、胸に秘めたこの想い……何度ぶつけようと思ったことか」
絵里「でも、いつもその勇気が持てなかった」
絵里「今日こそは伝えたい……そう思って家を出たのに」
絵里「気がつけば、希のスピリチュアルトークにすっかりペースを乱されて……」
絵里「結局、心の準備ができないまま」
絵里「中途半端な気持ちで一緒に帰るのも辛いし、ちょっと一人で落ち着いて考えたかったんだけど」
絵里「……」
絵里「はぁ……」
14: 以下、
ガチャッ
絵里「!?だ、誰……?」
希「あ、やっぱりまだいた」
絵里「の、希……?」
希「?どうしたん、そんなに慌てて」
絵里「べ、別に。それより、希こそ家に帰ったんじゃ」
希「……そのつもりやったけど、絵里ちの様子が気になってな」
絵里「わ、私は別に」
希「ならいいけど」
絵里「……」
希「……隣に座ってもいい?」
絵里「え?」
ドキッ
希「よいしょ、と」
15: 以下、
絵里「あ……」
ドキドキ
希「……もう、すっかり秋やねえ」
絵里「そ、そうね」
希「学園祭、上手くいくとええね」
絵里「うん……」
希「……」
絵里「……」
絵里(ど、どうしよう)
絵里(誰もいない部室に、二人っきり)
絵里(全く心の準備ができてはいないけど)
絵里(ひょっとしたら、今こそ気持ちを伝えるチャンスなのかも……)
絵里(……)
16: 以下、
絵里(でも、希は私の想い……受け止めてくれるかしら)
絵里(これまでの二人の関係を壊してしまったら……取り返しがつかない)
絵里(それだけじゃないわ。μ'sの活動にも支障が出ちゃうかも)
絵里(どうしよう……)
希「絵里ち」
絵里「!な、何……?」
希「勘違いやったらゴメンやけど……何か、言いたいことがあるんちゃうの?」
絵里「!!」
希「悩みごと?もし、うちでよかったら……」
絵里「な、悩みと言うか……」
希「あ。ちょっと待って」
絵里「……?」
希「……うち、絵里ちが何言うか分かっちゃった」
17: 以下、
絵里「!!ほ、ほんとに……?」
希「うん。うちのチカラはさっき見たやろ?」
絵里「それは……でも、さすがにこんなことまで」
希「信じない……?」
絵里「……」
希「……じゃあ、こうしよっか」
スッ
絵里「白紙のカード……?」
希「うちは、100秒後に絵里ちが何を言うか分かってる。だから、それに対するうちの返事をこのカードに書くね」
18: 以下、
絵里「……!」
希「じゃ、ここにカードを置くよ。ただし……100秒過ぎるまで、このカードは開けちゃダメ」
絵里「それって……どういうこと?」
希「まあ、もっぺんテストしてみたいってとこかな。うちのチカラがほんものかどうか」
絵里「……」
希「じゃあ、数えるね。時間……」
絵里(何を……考えているのかしら。希……)
絵里(私の気持ちも知らずに……また不思議なことを言いだして)
絵里(……)
絵里(でも……もし希のチカラが本物だったら……?)
絵里(私がこれから口にする言葉を本当に予知していて……ちゃんと私の想いを知ったうえで、こんなことをやってるのだとしたら……?)
絵里(そうだとしたら、このカードには……希の答えが書いてある)
絵里(私の気持ちに対する、希の答えが……)
絵里(でも……)
19: 以下、
絵里「ね、ねえ希?」
希「んー?」
絵里「もしかしたら……何も言わないかも知れないわよ、私。100秒たっても、いつまでたっても……」
希「……そうだったとしても、うちにはそれも見えてるから。絵里ちが何も言わないと予知している場合は、そのカードには何も書いてないよ」
絵里「……」
希「あと、50秒……やね」
絵里(ああ、どうすればいいの……)
絵里(希は、私をからかっているのかしら)
絵里(始めからカードには何も書いてなくて……私が何を言いだすのか、試そうとしてるだけかも知れない)
絵里(でも……さっき見た感じだと、確かに希のチカラは本当みたいだった。信じられないけど……)
絵里(そうだとすると、やっぱりカードの裏には希の答えが……)
20: 以下、
希「……あと40秒」
絵里(イエスなの?それとも……)
絵里(知りたい。希の答えを……知りたい)
絵里(でも、やっぱりからかわれているだけだったら……?私がこんな想いを秘めているなんて、希は夢にも思ってないんだとしたら……)
希「あと30秒」
絵里(待って。よく考えるのよ)
絵里(カードはもう……伏せられてる)
絵里(私が何を言おうと、言うまいと、カードに書かれた内容は……変えられない)
絵里(そうよ。希が何を書いたとしても、書いていないとしても、それはもうこのカードの裏にあって変わらないんだわ)
絵里(だったら……このまま黙っていればいいんじゃないかしら)
絵里(これから私が想いを伝えようと、口をつぐんでいようと、今さらカードの内容には関係ないんだもの)
絵里(なら、時間が来たら黙ってめくってしまえばいいのよ。簡単なことじゃない……)
希「20秒」
22: 以下、
絵里(そもそも、いくら希が不思議なチカラを持ってるんだとしても)
絵里(人間なんてほんの気まぐれで行動したり、直前で心変わりしたり。それを予知なんて、できっこない)
絵里(だって私自身にすら……これから自分が何を言うのか、言わないのか、分からないんだもの)
絵里(……それに)
絵里(もし私の気持ちを伝えたら、希との友情や、色々なものを失う可能性がある)
絵里(そうなるかどうかは、もちろん未知数だけど)
絵里(はっきりしているのは……私が今ここで勇気を出して、希への想いを口にしたとしても)
絵里(それとも、その言葉を胸にしまったままにしたとしても)
絵里(……得られるものは同じ、ってこと)
絵里(カードの内容はもう、変わらない)
絵里(だとしたら、今は……勇気を出す必要なんて、ない……)
希「あと……10秒」
23: 以下、
絵里(……)
絵里(……本当に?)
絵里(本当に、それでいいの?)
絵里(だって、希がもし全部見透かしていたら)
絵里(私が今みたいに考えて、何も言わないだろうと予知して……それでカードを白紙にしていたとしたら)
絵里(私が想いを伝える勇気を持ってさえいれば、カードに書かれていたかも知れない言葉が……こんな気後れのせいで永遠に失われてしまうのだとしたら)
希「5秒……」
絵里(……)
絵里(……馬鹿な私)
絵里(そうよ。こんなことで迷うくらいなら、誰かを好きになる資格なんて……ない)
絵里(カードの裏がどうなってるかなんて、関係ないわ)
絵里(大事なのは……私が、私の気持ちを、言葉にするということ)
絵里(その先の未来に何が待ち受けていようと……想いを伝える勇気を持つこと)
絵里(例え傷つくことになったとしても……)
24: 以下、
希「3秒」
絵里「……希」
希「2秒」
絵里「私、あなたのことを」
希「1秒」
絵里「ずっと前から?」
希「……絵里ち」
絵里「え?」
希「?キスしよっか」
グイッ
絵里「?!」
25: 以下、
ギュー……
希「……」
絵里「……」
バッ
絵里「の、希……!」
ハァハァ
希「時間切れ、やね……」
絵里「あなた、私の……」
希「今回も、当たったやろ?うちの予知……」
ピラッ
絵里「!カードは白紙……」
希「でも、真姫ちゃんにはきっとズルって言われるんやろなあ。うちが絵里ちの唇をふさいじゃったんやから……」
26: 以下、
絵里「あなた……気づいてたの?私の気持ち……」
希「……どうなんやろ」
絵里「え?」
希「もしかしたら、と思ったり。そんなはずない、と思ったり……」
絵里「……」
希「絵里ちの気持ちを知りたいという思いと、知るのが怖いという思いの間で、ずっと揺れ動いてて……こんなこと思いついたんも、正々堂々と気持ちを確かめる勇気がなかったから……」
絵里「そうだったの……」
27: 以下、
希「……でも、よかった」
絵里「え?」
希「もし、あのまま……あのまま二人とも黙っていたら、きっと今ごろはいつも通り友達として部室を出て……」
絵里「……そして、卒業までずっと友達のまま……」
希「それでもいいと思ったこともあったけど」
絵里「そうね。私もそうだった……」
希「……」
絵里「好きよ。希」
希「うちも……」
28: 以下、
?30分後。学校の外。
絵里「じゃあね、希。また明日」
希「うん。学園祭に向けて頑張ろな。ほな?」
絵里「あ。待って、希」
希「え?」
絵里「さっきのことだけど……希には、やっぱり見えてたの?あの結末が」
希「まさか。未来のことなんて、うちにも分からへんよ」
絵里「え?でも?」
希「真姫ちゃんや海未ちゃんのあれか?あれは、みんなの事をよく観察してた結果や。まあ、タロット占いの力も借りたけど、あそこまで的中したのはたまたまかな」
絵里「?だとしても、さっきだって当てたじゃない。めくったカードの裏は、白紙だった……」
29: 以下、
希「そう、カードは白紙」
ピラッ
希「?うちらの未来のようにね」
絵里「私たちの、未来……?」
希「未来なんて、誰にも見えないんよ。だってそれは、まだ何にも描かれてない、真っ白な紙みたいなもんなんやもん」
絵里「なるほど。そういうことね」
希「だから、ね、絵里ち。これから二人で一緒に描いていこう?好きな言葉を、好きな模様を」
絵里「?ええ。そうね。時間はたっぷりあるんだもの。ゆっくりと、少しづつ彩っていきましょう」
絵里「今はまだ真っ白な?私たち二人の、未来を」
30: 以下、
?おしまい?
最後まで読んでいただきありがとうございました
33: 以下、

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