やよい「プロデューサーが家に来てくれますーっ!」back

やよい「プロデューサーが家に来てくれますーっ!」


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1:
P「ふぅ、やっと昼休憩がとれるな……」チラリ
P(時刻は正午過ぎを指していた)
P(ちょっとばかし遅いが、ご飯でも――と思った矢先だった)
やよい「……うぅ」
春香「やよい……? どうかしたの?」
響「お、お腹でも痛いのか? 何だか苦しそうだぞ」ワタワタ
P(事務所の奥から聞こえる、やよいを心配する声)
P(何か、様子がおかしいみたいだが……?)
4:
P「お前たち、何かあったのか?」
響「あっ! ぷ、プロデューサー!」
春香「プロデューサーさん……」
P(二人とも、心配そうな目つきまま俺を見てきた)
P(やよいは、依然として俯いたままだ)
P(喧嘩、でもなければ……まずは原因を探るしか方法はなさそうだな)
5:
P「……二人とも、ちょっとこっちへ」チョイチョイ
P(俺はそんなやよいを傍目に、先に二人から話を聞くことにした)
P「で、何があったんだ?」
響「……」チラッ
春香「……」チラッ
P「……?」
P(だが、二人とも訝しげな表情を崩さないで、口を開こうともしない)
P(不審に思った俺は、ぐっと顔を寄せる)
6:
P「……やよいに、何かあったのか?」
響「……う、うん」コクリ
P(もしかすると、デリケートな問題かもしれない……俺は頭を巡らせて、言葉を探す)
春香「やよい、凄い落ち込んでるみたいなんです……」
P(そんな折、春香が神妙な面持ちでそう口ずさんだ)
P「それは、やよいの雰囲気からも分かった」
春香「……」
P「何か、原因があるんだろ?」
P(俺はそう尋ねる――しかし二人は首を横に振った)
9:
響「やよい、何も話してくれないんだ」
春香「だから余計に心配になっちゃいまして……」シュン
P「……ふむ」
P(二人があれだけやっても何も話さない……俺は少しだけ不思議に思った)
P(話せない理由でもあるのか?)
春香「プロデューサーさん……?」
P「二人はここで待っていてくれ。ちょっと俺がやよいと話してみる」
P(俺はそれだけ告げると、やよいのもとへ向かう)
10:
やよい「……」
P「やよい、ちょっといいか?」
やよい「プロデューサー……」
P(その声にいつもの元気さはない)
P(俺は眉を寄せるのを寸前の所で止めると、やよいと同じ目線まで膝を曲げる)
P「俺にも、話せないか?」
やよい「……」ジッ
P(うるうるとやよいの瞳が揺れる)
P(これは……ダメみたいだな)
11:
P「……まあ、話したくなったらでいい――俺は向こうにいるからいつでも……」
P(そう言いかけて、俺は踵を返しかけた)
P(だが、それは誰かに袖を引かれたことで阻まれる)
やよい「……」フルフル
P「……やよい?」
やよい「……私、話します」
P(やよいは目を合わそうとはしなかった)
12:
P「あ、ああ……ゆっくりでいいんだぞ」
P(俺は後ろで心配そうに俺を見つめていた春香たちに頷くと、二人は安心そうな顔をして離れた場所へと遠ざかっていった)
P「ソファーにでも座るか」
やよい「……」コクリ
P(俺はどこか腰の浮かないこの状況に頭をかく)
P(やよいが、そんなになる原因が考えられないんだがなあ……)
15:
やよい「……あの」
P「ん? どうした?」
P(やけにか細い声が響き渡り、俺は思わず聞き返す)
やよい「今から話すこと、絶対誰にも言わないでください」
P「……ああ、分かった」
P(念押しに二度そう告げると、やよいはようやくその重たい口を開いた)
やよい「最近……私の家族が、どこかおかしいんです」
P「……?」
P(突如として放たれた言葉に俺は思わず首を傾げた)
16:
P「おかしいって、どういう意味だ?」
やよい「……分かりません」
P(やよいはそれ以上は何も言わず、首を振るだけだった)
やよい「私、家に帰りたくないです――ッ!」
P「やよい……」
P(悲痛な叫びが耳を劈く)
やよい「あんな……」フルフル
P「やよい、一回落ち着くんだ」
P(俺はやよいの背中を摩ると、ゆっくりと水を飲ませた)
18:
P(やよいが落ち着いてくれたのは、それから暫く経ってからのことだった)
P「……」
P(俺は、少々疑いの目を向けていた)
P(誰にでもない、俺自身にだ――それは、さっきのやよいの言葉が原因だった)
P(あんなやよいを見たのは初めてだった)
P(やよいがああなった原因――高槻家に対する『異変』)
P(……さて、どうしたものか)
19:
P(結局、就業時間の終わりまで俺の頭はその出来事でいっぱいだった)
P(そして――)
やよい「……」
P「やよい、どうする? 家、帰れるか?」
やよい「……」フルフル
P「そうか……」
P(俺は腕を組むと、ちらっとやよいを見る)
22:
P「じゃあ、俺も一緒にやよいの家に行ってもいいか?」
やよい「えっ……?」
P「やよいの言ってたことも気になるし。何もなかったらすぐ帰るさ」
P(俺がそう言うと、少しだけやよいは笑ってくれた)
P「じゃあ行くか」
P(そのことに俺は少しだけ気持ちが楽になった)
――――
――

24:
P(高槻家に着いた時、俺はどこか空気が重たくなるのを肌で感じていた)
P(既に日も落ちた夜の闇の中で、中から灯りも灯っていない家――それはどこか不気味に思えた)
P「もうみんな寝てるのか?」
やよい「……いえ、たぶんいると思います」
ガラララ
P(やよいが扉を開けると、靴が立ち並んでいた)
P(気になることと言えば――その靴が全て綺麗にまっすぐ並んでいることだ)
P(まだ幼いやよいの兄妹なら、これだけの靴があれば脱ぎ散らかしているものが一足くらいあってもおかしくはないものだが)
25:
やよい「ただいま……」
P(か細く、やよいはそう声を出す)
P(すると、奥の居間からゆらりと誰かの影がちらついた)
長介「姉ちゃん、おかえり」
やよい「長介……」
P(長介君は、裸足のままペタペタと玄関口までやってきた)
長介「……その人は?」
P「俺はやよいのプロデューサーだよ、今日は急に押しかけてごめんな」
長介「……」チラッ
やよい「……」ビクリ
P(俺の挨拶に対して、長介君はやよいの顔を眺めていた)
27:
長介「こんばんは、プロデューサーの兄ちゃん」
P(……言葉だけ聞けば、普通の挨拶だった)
P(張り付いた笑顔を除けば――の話だが)
やよい「プロデューサー……」ギュッ
P(何も言わなくても俺は頷く――そう、確かに何かがおかしい。だが、それを断言するのはまだ早いのかもしれない)
P「……家に上がってもいいかな」
長介「……」スタスタ
P(何も言わず、長介君は居間にへと戻っていった)
30:
P(俺は靴を脱ぐと、ゆっくりとそっちへと向かう)
ガラガラ
P(……その瞬間、俺は己の目を疑った)
かすみ「……」
浩太郎「……」
長介「……」
P(明かりもつけずに、三人は机に座っていた)
P(つけっぱなしのテレビがぼんやりと光っており、それがチカチカと三人の顔を照らしていた)
31:
やよい「もう――なんで、またこんなことしてっ!!」
P(そして隣にいたやよいは憤りを露わにして、灯りをつけだす)
P(俺は唖然として、口をぽっかりと開いていた)
やよい「うぅ……」
P「や、やよい、大丈夫か……?」
P(ようやく飛び出てきた言葉をやよいに投げかける)
P(やよいは俺にしがみつくと、涙を零していた)
33:
P「お前たち……、なんでこんなことをしてるんだ?」
P(思わず、心の声が漏れた)
長介「ミサキ様が来ないようにしてるんだ」
かすみ「…………」コクリ
P「ミサキ様?」
やよい「……」
長介「ミサキ様が来ちゃったら、みんな死んじゃうから」
かすみ「だから家を暗くするの」
34:
P「……それは、遊びか何かか?」
浩太郎「あそびじゃないよお」
長介「姉ちゃんには見えないんだ、兄ちゃんにもね」
P(俺はそれ以上は何も聞かなかった)
P(ただ三人は『ミサキ様』と言う存在についてしか言葉にしなかった)
――――
――

36:
やよい「今日、泊まっていってくれませんか」
P(帰り際、突如としてやよいはそんなことを口走った)
P(なんでも、今日は両親が夜勤でいないらしく、家はやよい達だけとなるらしかった)
P(……どうしたものか)
やよい「お願いします……」ギュッ
P「やよい……」
P(やよいがこうなってしまったら俺もどう説得していいかわからなかった)
P(何より、長介君たちの様子がおかしいこと――そしてミサキ様という人物)
P(いや、人物と言うよりは……それは……)
38:
やよい「それじゃあ、電気消しますよ」
P「ああ」
パチリ
P(結局、やよいの押しに負けて共に寝ることになってしまった)
P「やよい、今日は寝れそうか?」
やよい「はい……ありがとうございます」
P(そう言うと、やよいはひたりと俺に寄り添ってきた)
P(よほど怖かったのか、体が震えている)
P(俺はあやす様に頭を撫でる、嬉しそうに目を細める)
P(ミサキ様……ね)
41:
P(さっき、やよいが風呂に入っているとき、俺はスマホで『ミサキ様』というものを調べていた)
P(調べたところによると、『ミサキ様』は、日本の神、悪霊、精霊などの神霊の出現前に現れる霊的存在の総称である可能性が高かった)
P(この『ミサキ様』は、民間信仰において、特に西日本ではミサキは憑き物の信仰と結びつき、行逢神やヒダル神などのように、不慮の死を遂げて祀られることのない人間の怨霊が人に憑いて災いをなすものとされることが多いと言う)
P(つまり……このミサキ様と言う存在は、悪霊的な存在として考えるべきなのかもしれない)
P(そして、その『ミサキ様』に憑かれると全身に冷水をかけられたように体の震えが止まらなくなり、最悪の場合死んでしまうと書かれてあった)
P(すべからく、気味の悪い話だ――俺は電気の消えた部屋を見渡す)
P(シンと静まり返った、部屋はどこか不気味に思えた)
43:
やよい「……プロデューサー」
P(ふと、俺の隣に寝ていたやよいが甘い声を漏らす)
P「どうした?」
やよい「何か……聞こえませんか?」
P「……?」
P(俺は耳を澄まして、辺りの音を聞く)
パチ
パチ
P(確かに、何かの弾けるようなラップ音が響いていた)
45:
P「何の音だ?」
やよい「ぷ、プロデューサー……」ギュッ
P(やよいはそんな状況に耐えかねてか、俺にしがみ付いてきた)
P(胸元に顔を埋めると、やよいはぎゅっと俺に抱き付く)
P「大丈夫か……?」
やよい「ぎゅってしてください……」
P(俺はやよいの頼みに応じて、固く抱きしめる)
48:
P「これで、いいか?」
やよい「……」コクリ
P(俺は再び耳を澄ませて辺りを窺う)
ヒタ
ヒタ
P(今度は、何者かの足音がゆっくりとこちらの部屋へと歩みを進めていた)
ガラガラ
P(そして、扉の開く音――これは向かい側の部屋のようだ)
P(長介たちの寝ている部屋だが……何ともないのだろうか?)
49:
ヒタ
ヒタ
P(暫く無音が続くと、再びあの音が鳴り響く)
ドンドン
P(そして――俺たちのいる部屋が叩かれる)
P(……俺たちは無言のまま、じっと押し黙っていた)
ドンドン
P(二度、三度――扉の叩く音は次第に強くなっていく)
51:
P(来るな――来るな――来るな――)
P(何度も何度もそう繰り返す)
P(胸の中の、やよいの息遣いがごく近く感じられる)
P(暫くして、音は鳴りを潜めていった)
P(――俺は思わず、安堵の溜息を洩らした)
ガラガラ
P(扉が開かれたのは、そんな瞬間の出来事だった)
52:
かすみ「ちゃんと寝れてる……?」
P(しかし、姿を現したのはかすみちゃんだった)
P(扉を少しだけ開いた先に揺れ動く瞳、俺は肝を冷やす)
P「あ、ああ、大丈夫だ」
かすみ「そっか……」
P「さっき――かすみちゃんの部屋に誰か入っていかなかったか?」
P(さっきの足音の向かった先を俺は不審に思っていた)
P(もしも――あれが『ミサキ様』だったとしたら)
55:
かすみ「ううん……誰も来てないよ」
P「……え?」
P(俺は思わず耳を疑った)
P(何度か尋ねても、かすみちゃんは首を振るだけだった)
かすみ「それじゃあ、わたしもう寝るね……」
ガラガラ
P(鳴りやまない心臓の音だけが、俺の存在を示していた)
――――
――

56:
P(結局、俺は一夜寝ることが出来なかった)
P(眠い頭を携えて、俺は隣で眠るやよいを眺める)
P(すぅすぅと寝息を立てるやよいは、いつもよりも幼げに見えた)
P「やよい……朝だぞ」
やよい「ん……」
P(俺は外を眺める――空は明るみを帯びていた)
P(夜、というものがこれほど怖いと感じたことは生まれて初めてだった)
やよい「おはようございます、プロデューサー」
P(そんな俺をよそに、やよいは晴れ晴れとした顔で笑った)
P(結局、『ミサキ様』についても、やよいの家の異変についても分からなかったが……俺はこの笑顔を見ることが出来た)
P(それだけで、十分じゃないか――と、そう思うことにした)
――――
――

59:
やよい(初めは、長介に言われたことがきっかけだった)
やよい(私がプロデューサーに抱いている思いを打ち明けたら、長介はこう言った)
長介『それじゃあ、姉ちゃんとプロデューサーをくっつけるの俺手伝うよ』
やよい(それが今回のやりかただった――なんでも、小学校で流行っている『ミサキ様』を使った悪戯なようだった)
やよい(あまり気のりはしなかったけど、かすみや浩太郎も巻き込んで、みんな私のことを手伝ってくれるって言ってくれた)
60:
やよい(結局、私は流れに身を任せ、プロデューサーと共に『高槻家』の中に潜む『悪霊』に怯える演技をした)
やよい(作戦は――恐らく成功した)
やよい(朝まで抱きしめることの出来たプロデューサーの匂い、撫でてくれた優しい手つき――あれは私だけでは叶うことはなかっただろう)
やよい「プロデューサー、今日はありがとうございました」ペコリ
P「いや……悪かった、何もできなくて」
やよい(最後まで、プロデューサーは申し訳なさそうに頭を下げていた)
やよい(罪悪感は胃に落ち込んできた)
61:
やよい「……いえ」
やよい(私は目を合わさずに、何とか無理して笑った)
P「それじゃあ、また事務所でな」ナデナデ
やよい「……」
やよい(私は手を振って送ると、にたにたと笑う家族の方へ踵を返した)
長介「姉ちゃん、昨日はどうだった?」
かすみ「……音とか、出してみたけどどうだったかな」
やよい「……ありがとう」
やよい(もう一度、私はお礼を言った)
やよい(すると嬉しそうにみんなは目じりを下げていた)
6

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