長門「……はむっ」パクッ キョン「ファッ!?」back

長門「……はむっ」パクッ キョン「ファッ!?」


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1:
耳に違和感を覚えた俺は飛び起きた。
目の前には長門居て、いつもの様に読書している。
どうやらいつの間にか寝てしまっていたらしい。
長門「……どうかした?」
キョン「な、長門?今…俺の耳に何かしたか?」
長門「……別に」
キョン「そ、そうか…」
4:
気のせいだったのだろうか?
そう思い直して辺りを見渡すと、そこは長門の部屋だった。
最近長門は俺をよく家に招く。
特に話があるというわけではなく、例のごとく俺に何杯もお茶を飲ませ、そして読書をする。
俺が訪ねたことには反応を示すが、あとはほとんど無言だった。
その無言が苦痛かと言えばそうではなく、俺も長門と共に読書の真似事をしながら、静かに時が流れていく安心感に浸っていた。
7:
しかしリラックスしていたとはいえ、俺が人の家で寝てしまった理由は他にあった。
季節は冬であり、俺は長門の寒々しい部屋を見かねてコタツの導入を勧めた。
その俺の提案を受け入れた長門が用意してくれたコタツの温もりが、俺を眠りへと誘った最大の要因だった。
キョン「すまん。ちょっと寝てたみたいだ。俺が言い出したことだけど…コタツはどうも眠くなっていかんな」
長門「……謝らなくていい。コタツは…良いアイディアだった」
8:
長門が怒ってないことに安堵した俺は、そこでブルリと尿意を覚えた。
あれだけお茶をガブ飲みした後の寝起きとしては、当然の生理現象といえる。
キョン「すまん長門。トイレを貸して貰っていいか?」
長門「……構わない」
12:
長門に断りをいれて席を立つ。
時刻は午後6時半。
トイレを済ませたらそろそろ帰るか…
そんなことを考えながらトイレに入り、用を済ませた俺は便座から立ち上がる際に、トイレに備えつけられた棚の上に何か置いてあることに気づいた。
キョン「ん?何だこれは…?」ヒョイッ
キョン「!?」
それは真っ白なパンツだった。
13:
キョン「な、何でパンツがこんなところに?」
というかこのパンツは一体誰の物だ?
男性用には見えない。
俺の目はそこまで節穴ではない。
そしてここは長門の部屋。
長門は一人暮らしである。
つまり…
キョン「長門のパンツ…だよな?」ゴクリ
15:
確信を得た俺は、躊躇なく長門のパンツを制服のポケットに押し込んだ。
何故こんなところにパンツがあるかなど、もはやどうでも良かった。
そこにパンツがあった。
だから頂いた。
男子高校生なんてこんなものだろう?
16:
ホクホク顔でトイレから出た俺はその場に凍りついた。
ドアの前に長門が立っていたからだ。
長門「………」ジー
キョン「ど、どうした長門?もしかしてお前もトイレか?」
大丈夫だ。落ち着け。なんとかこの場を乗りきr
長門「……そこにあった私のパンツ…どうしたの?」
キョン「ッ!?」
18:
開いたままのドアの隙間から見える棚の上にはもうパンツの姿はない。
そりゃそうだ。
俺が頂戴したのだから。
それでも俺はなんとかシラを切ろうと試みた。
キョン「パ、パンツ?おいおい長門…そりゃ気のせいだ。俺が入った時にはそんな物どこにも…」
長門「……実はあなたを試していた」
キョン「!?」
19:
そこでようやく俺は気づいた。
詰まる所、俺は嵌められたのだ。
長門「……あなたが寝ている間にパンツをトイレに置いておき、それをあなたがどうするのかを検証していた」
キョン「へ、へぇ?…」
もしや、何杯もお茶を飲ませたのはこの為に?
まさか、お茶の中に睡眠剤でも仕込んでいたのか?
そんな疑念がぐるぐる頭を巡ったが、答えは既に闇の中であり、俺のお先も真っ暗だった。
22:
長門「……パンツ、返して」
キョン「待て待て待て長門!というかなんでこんな真似を?動機を聞かせてくれ!」
長門「……出来心」
そんな長門の答えに俺は脱力し、がっくりと膝をついた。
すると長門は俺から半歩距離を取った。
キョン「?」
24:
その行動に違和感を覚えた俺が訝しげに長門を見ると、なんと! あの長門が! 顔を赤くして! モジモジと! こんなことを呟いた。
長門「……今…穿いてない…から」
キョン「ッ!?」
俺は更に姿勢を低くせざるを得なかった。
25:
長門「……だから…早く…パンツ返して」
えらい美少女がそこに居た。
しかもノーパンである。
そんな長門の懇願に俺は…
キョン「いやだね。絶対返さないね」
パンツを返すつもりなど毛頭なかった。
26:
倫理観?道徳?
そんなもの捨て置け。
ノーパンの長門がそこに居るのに、何故パンツを返さなくてはならないのだ。
長門「……お願い。返して…」
キョン「絶対いやだね。そもそも俺がパンツを盗ったなんて証拠が一体どこにあるんだ?」
28:
長門「………」ムッ
キョン「そ、そんな目で見たって駄目だぞ。ないものはないんだ」
そんな俺の意地悪に長門はこう返した。
長門「……じゃあ…あなたのポケットの中、見させてもらう」
言うや否や長門は俺に飛びかかって来た。
29:
キョン「ちょっ!?長門!?」
ジタバタと悪足掻きをする俺の制服のポケットに、必死で手を伸ばす長門は健気でそして可愛らしかった。
長門の新しい一面を見た気がした。
だが、俺にも譲れない物はある。
意を決して、形勢を逆転する為の魔法の言葉を放つ。
キョン「そ、そんなに暴れると、スカートの中見えるぞ!?」
長門「!?」
33:
どうやら効果覿面だったらしい。
大人しくなった長門にホッと胸を撫で下ろし、勝利の達成感と満足感が俺の胸を満たした。
これで長門のパンツは俺の物だ。
長門「………ッ…」ジロリ
長門はスカートの端を押さえつつ、半分涙目になって俺を睨んでいた。
出会った当初は長門がこんな表情をする日が来るとは夢にも思わなかったが、どうやら長門は少しずつ普通の人間に近づいているらしい。
そんな感慨に耽りながら、罪悪感にほんの少し胸を痛めていると、長門がこんな提案をしてきた。
35:
長門「……パンツを取り戻すことは断念した。その代わり…あなたのパンツの引き渡しを要求する」
は?
俺の…パンツ?
Why? 何故?
そんなあまりに意味不明な提案に、俺が目を白黒させていると長門はこう続けた。
長門「……等価交換…だから」
37:
等価交換。
なるほど、パンツに釣り合うのはパンツしかないというわけだ。
しかし、俺のパンツに長門のパンツほどの価値があるとは思えないが?
長門「……等価交換!」
やれやれ…どうやら長門も引くに引けないらしい。
まさか封印した筈の感動詞をこんな場面で使うことになるとは…
そんなことを思いながらも、それでこの場が収まるならば安いものだと解釈し、俺は長門の提案を受け入れることにした。
40:
キョン「わかったよ。トイレで脱いで渡すから、茶の間で待っててくれ。だが、言っておくが俺は何も盗っちゃいない。くれぐれもそのことだけは忘れるなよ?」
長門「……わかった。ありがとう」ニコッ
キョン「ッ!?」
長門が…笑った?
長門の笑顔を見たのはいつぶりだろう。
あれは確か…ハルヒが居なくなった世界で見たのが最後だったか?
そんな激レアな長門の笑顔に心を奪われつつ、再びトイレに篭った俺はいそいそとパンツを脱ぐのだった。
41:
キョン「待たせたな。ほら、これでいいか?」
長門「……これで、取引成立」
キョン「いや、だから俺は何も盗ってないからな?取引じゃなくて…あー…言うなればそう!日頃世話になってるお前へのプレゼントだ!」
我ながら恩知らずにも程がある。
嘘つきな上にプレゼントと称して自分のパンツを渡す変態が俺だった。
それでも長門は嬉しそうにパンツを握り締め、こう言うのだ。
長門「……そういうことに…しておく。ありがとう」ニッコリ
43:
さっきよりも一段と眩しく見える長門のそんな笑顔に一瞬固まってしまったその時
長門「………」クンクン
長門は俺のパンツを嗅いでいた。
キョン「おいおいおいおい!?長門さん?何やってるの!?」
長門「? ……貴重な…サンプルだから?」
そんな風に小首を傾げる長門に…俺は何も言えなかった。
45:
それから俺は長門の家を出て、帰路についた。
俺を見送った長門は…まだ俺のパンツを嗅いでいた。
そんな衝撃的な光景を俺は夢だったと思うことにして、ポケットの中の現実を指先で弄びながらスキップをして家まで帰った。
ちなみに俺は当然ノーパンである。
完全に不審者だったが、周囲の目などもはやどうでもいい。
長門のパンツがポケットにある。
それが全てで、それだけが俺にとっての現実だった。
家に帰った俺がそれをどうしたかなんて、そんなことは言うまでもないことだろう?
46:
翌朝
長門「……はむっ」パクッ
キョン「ファッ!?」
またしても耳に違和感を覚えた俺は飛び起きた。
恐る恐る隣を見ると…
長門「……おはよう」
何故か長門がそこにいた。
47:
キョン「な、長門…?あれ?ここ、俺の部屋だよな…?」キョロキョロ
見紛うことなく俺の部屋だった。
何故長門が俺の部屋で、しかも俺の隣に寝ているのだ?
長門「……起こしてみようと…思って」
意味がわからなかった。
48:
キョン「えーと…わざわざ俺を起こしに来たのか?」
長門「……当初の目的は…あなたと一緒に登校することだった。だけど…あなたはまだ起きてなかった…だから」
キョン「だからって…どうやって家に入ったんだ?」
長門「……呼び鈴を鳴らしたら、あなたはまだ起きてないと言われて…起こして来て欲しいと頼まれて…」
俺の家のセキュリティーは一体どうなっているのだ。
50:
キョン「話はわかった。だが長門、お前の家から俺の家を経由して登校なんて遠回りにも程があるだろ。どうしてわざわざ一緒に登校しようなんて思ったんだ?」
長門「……パンツを…交換した仲だから」
全くもって意味がわからなかった。
キョン「あのな長門。だから俺はお前のパンツなんて…」
長門「……私のパンツ…カピカピになっているのは何故?」
キョン「!?」
51:
長門の手には昨日お世話になったパンツが握られていた。
ぬかった。
使った後、机の上に置きっぱなしにしていたらしい。
長門「……何故…カピカピに?」
キョン「さ、さぁて!そろそろ起きて、飯食って準備するかぁ!長門、すぐ準備するから待っててくれ!!」
とりあえず俺は誤魔化すことにした。
52:
準備を終えた俺は、お袋と妹に茶化されながらも家を出た。
妹には今朝のことは口止めしておこう。
長門「……何故…カピカピに?」
長門はしつこかった。
そんな長門の追求を躱す為に俺は話題を変えることにする。
キョン「そ、そんなことより長門、一緒に登校して大丈夫なのか?もし万が一ハルヒにでも知れたら…」
長門「……大丈夫。『ステルスモード』」
53:
キョン「ステルス…モード?」
長門「……今の私は、あなた以外に認識出来ない」
キョン「へぇ?便利な機能もあるもんだな」
そんな風に感心しつつ、とりあえず騒ぎにはならないことに安堵していた俺の背に、喧しい声で呼び掛ける馬鹿が現れた。
谷口「よぉキョン!なんだ今日はいつもより早いじゃねーか!」
56:
キョン「お前こそ早いじゃねーか。それより谷口…いま俺の周りに誰かいるか?」
谷口「あん?俺様以外に誰がいるんだよ。寝ぼけてんのか?」
どうやらステルスモードというのは本物らしい。
改めて長門の凄さを思い知った俺の手に、細い指が絡まってきた。
58:
キョン「うぉっ!?」ビクッ
びっくりして隣を見ると長門は右手で俺の手を握りながら、左手の立てた人差し指を口に添えていた。
長門「………しぃー…」
表情は無表情だったが、俺の目は誤魔化されない。
こいつ、楽しんでやがる。
60:
どうしたものかと口をパクパクさせている俺を見て、谷口がこんなことを言ってきた。
谷口「なんだキョン?急に驚いたり口をパクパクさせたりしてよ。まさかお前、とうとう『エア彼女』にでも手を出したのか?」
『エア彼女』
存在が認識出来ない以上、こいつにとっては俺の隣にいる長門はまさしくそれだと言える。
谷口「まぁこの時期だし、涼宮に振り回されて現実逃避したくなる気持ちはわかるけどよぉ…さすがに人としてどうかと思うぜ?」
そんなことを言う谷口を、とりあえずぶん殴っておいた。
61:
その後は特に問題なく登校し、昇降口でやっと長門は俺の手を離した。
それからちょっと手を振る仕草をして長門は自分の下駄箱へと向かった。
あの長門が手を振るなんて…
俺はいたく感動して、思わず手を振り返していた。
そんな俺を見て…
いや、奴の目には俺が誰もいないところに手を振っていたように見えたのだろう。
谷口「キョン…あとでいい病院紹介してやるよ」
懲りない谷口を再び殴った。
62:
その日1日は穏やかに流れた。
教室内に満たされた暖房の心地良さも相まって、授業中はほとんど寝て過ごしていたようなものだ。
なにより今日は後ろの席のハルヒが大人しかった。
ハルヒが大人しいと聞いて不安がる者も多いだろうが、安心して欲しい。
何せ俺の背後からは甘い香りが漂ってくる。
どうやらお菓子か何かを食べるのに夢中になっているらしい。
しかし、俺は失念していた。
嵐の前のなんとやら。
静けさとは嵐の前触れなのだと言うことを。
65:
放課後
帰りのHRが終わった後、俺は少しばかり国木田や谷口と談笑し、部室へと足を向けた。
特に何をしにいくというわけでもなければ、別段用があるというわけでもないが、習慣とは恐ろしいものである。
ちなみにハルヒは放課後になると同時に部室へ向かった。
我らが団長は恐らく部活の為だけに登校しているのだろう。
では一体俺はなんの為に?
歩きながら暫し考えてみたが、途中でアホらしくなって考えることを放棄した。
目的もなく登校している奴など、俺の他にもごまんと居るだろう。
67:
部室のドアを開けるとそこにはSOS団の女性部員が揃っていた。
古泉は…まだ来てないようだ。
そもそも古泉とは誰だ?
そんなどうでもいいことに気を取られながら俺は部室に入った。
みくる「あっ!キョン君!今、お茶淹れますね?」
そう言って甲斐甲斐しくお茶を淹れてくれる朝比奈さんに恐縮しながらも、あぁ…俺はこの為に登校しているのだと実感した。
長門はいつもの様に読書。
ハルヒは椅子に胡座をかき、何やら小箱を抱えその中に入ってる物を食べていた。
68:
それはお高そうなチョコレートだった。
その箱から漂う甘い香りに気づき、授業中にむしゃむしゃ食べていたのはこれだったのだと得心がいった。
キョン「ハルヒ。甘いものばかり食べてると太るぞ」
ハルヒ「うっさいバカキョン。あたしが誰の為に食べてると…って、あっ!今のなし!」
なんだこいつ?
71:
みくる「ふふっ…あのねキョン君。涼宮さんは今週末の為に…」
ハルヒ「黙りなさい」ギロリ
みくる「ふぁっ…ご、ごめんなさぃ…」
ぴしゃりとハルヒに窘められ、朝比奈さんはそれっきり黙った。
今週末?
一体なんのことだろう?
72:
ハルヒ「ほら、有希も食べる?このチョコ、とっても美味しいわよ!」
ハルヒはそう言って長門にチョコを勧めた。
どうやら話題を逸らすつもりらしい。
長門は暫しチョコを見つめて、コクンと頷いた。
長門「……頂く。私も…今週末のバレンタインの為に参考にする」
ハルヒ「ちょっ!?」
73:
なるほど。
そう言えば今週末はバレンタインか。
どうやらハルヒは、チョコ作りの参考するべく巷で評判のチョコを研究していたらしい。
ハルヒ「わ、私がバレンタインなんてチョコ会社の陰謀に乗っかるわけないでしょ!ほら有希、いいから口開けなさい!」
長門「……」アーン
どうにかして俺もおこぼれに預かれないだろうかと考えていた矢先、事件は起こった。
75:
ベチャッ
ハルヒ「あぁ!?ごめん有希!」
手元を狂わせたハルヒは、その持ち前の体温の高さによって溶け始めていたチョコの端を長門の口にくっつけてしまった。
先ほどの一件で動揺していたのだろうが、長門の口の小ささも要因の一つと思われた。
ハルヒ「みくるちゃん!ティッシュ!ティッシュ!」
みくる「は、はい!ただいま?」
ハルヒと朝比奈さんは慌てていたが、長門はいつも通り、冷静に口に入ったチョコ本体を咀嚼していた。
76:
そんな長門の冷静な対応を見て、俺は昨日と今朝の出来事は全て夢幻だったのではないかと疑い始めていた。
しかし、このあと俺は夢幻などではないと思い知らされることになる。
ハルヒ「ほら、有希!拭いてあげるから!」
長門「……大丈夫。必要ない」ゴソゴソ
そう言って長門が鞄から引っ張り出した物は…
事もあろうに俺のパンツだった。
78:
ハルヒ「は?」
みくる「へ?」
長門「……これで…拭くから」フキフキ
キョン「はぁ!?」ガタッ
長門は俺のパンツで口元のチョコを拭った。
80:
ハルヒ「ちょっと有希!?それって…もしかしなくてもパンツよね?しかも男物ってどういうこと!?」
みくる「あわわわ…」
長門「……昨日…彼から貰った」
そう言って長門が指し示した指の先には、開いた口が塞がらない俺が居た。
俺は…貝になりたかった。
82:
ハルヒ「ちょっとキョン!?どういうことなの!?」
キョン「い、いや、俺にも何がなんだかさっぱり…」
とりあえずしらばっくれることにした俺だったが…
長門「……私のパンツと…交換した。等価交換」
俺の目論見は儚くも瓦解した。
83:
ハルヒ「パンツを交換って…ちょっとキョン!!あんた何考えてんの!?」
みくる「キョン君がそんな人だとは思わなかった…」
ち、違うんです朝比奈さん。
何も違くはないけれど。
ハルヒ「とにかくそんな物は没収よ!よく見ると茶色い沁みがついてるじゃない!?」
俺の名誉の為にもはっきりと言わせて貰うが、それはただのチョコだ。
ハルヒ「有希、早くそれを渡しなさい!!団長である私がしっかり管理…じゃなくて焼却処分しておくから!」
85:
そう要求された長門のとった対応は意外なものだった。
長門「……やだ」
拒否。
断固拒否である。
まさか長門に拒否されるとは思ってもいなかっただろうハルヒは、少し鼻白んだ後に我に返って長門に掴みかかった。
ハルヒ「いいからよこしなさい!!」
長門「……絶対やだ」
86:
そうして長門とハルヒの綱引きならぬパンツ引き合戦が始まった。
小柄な長門が意外と力があることに驚いた様子のハルヒだったが、それもその筈、長門は人ならざる力を備えているのだ。
情報統合思念お手製の対有機生命体用ヒューマノイド・インターフェースは伊達じゃない。
劣勢に立たされたハルヒは朝比奈さんに助力を求めた。
ハルヒ「みくるちゃんも見てないで引っ張りなさい!!」
みくる「ふぇっ!?キョ、キョン君のパンツに触るなんて…そんなの無理ですよぉ?!」
88:
そんな朝比奈さんの絶叫も相まり、部室内は騒然となった。
ははっ…もうどうにでもなれ。
俺が半ば自棄になっていたその時、バーンと勢いよく扉が開いた。
鶴屋さん「やっほー!遊びに来たにょろよ?!」
鶴屋さん…あなたが救世主か。
古泉「遅れてしまって申し訳ありません。実は鶴屋さんに会長から押し付けられた生徒会の仕事を手伝って頂いたので、お礼にお茶でもと誘ったのですが…おや?これは一体何の騒ぎですか?」
どうせハルヒを退屈させない為のゲストのつもりだったのだろう。
というか、誰だこいつ?
90:
鶴屋さん「なになに?綱引き?おや、キョン君は参加しないのかい?」
キョン「鶴屋さん…実は引いているのは綱でなくて…」
長門「……パンツ」ググググ
ハルヒ「キョンのパンツ!!」ググググ
この2人…頼むから黙ってて貰えないだろうか。
92:
古泉「あなたのパンツとは…なるほど。興味深いですね」
興味を持つな気持ち悪い。
鶴屋さん「でも、なんでキョン君のパンツがあんなことに?」
キョン「いや、少々手違いがありまして…」
どう取り繕おうかと逡巡していると、またしても外野から声が上がった。
長門「……昨日…彼と交換したパンツを…防衛中」ググググ
ハルヒ「部内の風紀を取り締まるのは、団長としての責務だから!!」ググググ
93:
鶴屋さん「ふむふむなるほどなるほど。それでこんなことに…いや?大変だったね?キョン君!でも、パンツを交換なんて…君はそこまでして女の子のパンツが欲しかったのかい?」
キョン「欲しくはないけれどあったら嬉しい。そんな感じですかね」
そんな要領の得ない俺の意思表示に鶴屋さんはニヤリと笑い、こう切り出した。
鶴屋さん「少年の気持ちはめがっさ良くわかるよっ!それじゃあ、あたしともパンツ交換しよっか!」
95:
キョン「は?」
言葉が…出なかった。
鶴屋さん「ちょっと待つにょろよ?!すーぐ脱いじゃうからさっ!」ヌギヌギ
なんだこれは現実か?
いや、夢でもいい!
半脱ぎ状態の鶴屋さんはこの世の絶景を全て?き集めたとしても届かぬほど美しく、また神々しかった。
この瞬間を少しでも永く引き伸ばしたい!
そう思った俺はこんな提案をしてみた。
96:
キョン「つ、鶴屋さん。もし良かったらポニーテールにしてみませんか?実は俺、ポニーテールの女性からパンツを貰うのが小さい頃からの夢でして…」
我ながらなんと馬鹿馬鹿しい夢だろう。
まさに、寝言は寝て言えという奴だ。
しかし、鶴屋さんの半脱ぎ状態を引き延ばすことには成功した。
この隙に目に焼き付けておこうと思った俺に、鶴屋さんは笑顔でこう仰った。
鶴屋さん「あっはっはっ!そんなのお安い御用っさ!すぐ結んじゃうからっ!」
なんと快諾してくれた。
97:
パンツを半脱ぎ状態のまま、ポケットから髪留め用のゴムを取り出し、結び始める鶴屋さんを見て朝比奈さんが絶叫をあげる。
みくる「つ、鶴屋さん!?な、何をしてるんですか!?」
とうとう気付かれてしまったらしい。
鶴屋さん「へ?何をって…キョン君がポニーテールの女の子からパンツを貰うのが夢だって言うからっさ!ひと肌脱ぐことにしたにょろ!」
みくる「はぅ…」バタン
99:
鶴屋さんの過激発言に耐え切れなかった朝比奈さんが気絶したことで、ようやくハルヒ達もこの事態に気づいた。
ハルヒ「ちょっ!?鶴屋さんったらなんて格好してんの!?」
長門「……これは驚き」
と、その時
ビリッ…ビリビリビリッ!!
俺のパンツが無残にも破け散った。
100:
ハルヒ「あぁ!?」
長門「……ッ…!」
呆然と立ち竦む両者。
仕立ての良いパンツではなかった。
本気のパンツ引きに耐えられる器ではなかったのだろう。
鶴屋さん「あっはっはっは!残念だったにょろね?2人共!まぁ、くよくよせずに元気を出すっさ!」
鶴屋さんはこんな時でも高笑いだった。
101:
ハルヒ「くよくよって…それよりその格好はどうしたの!?」
鶴屋さん「いやだから、キョン君がパンツ欲しいって言うからっさ?」
ハルヒ「見境がないにも程があるでしょ!このバカキョン!!」パコンッ
キョン「いってぇなこの野郎!!」
情状酌量の余地なく、チョコの空箱で殴られた。
103:
長門「……何故髪を?」
鶴屋さん「いや?ポニーテールの女の子からパンツを貰うのが夢だって言うからっさ?」
長門「……」ギュウッ
キョン「いってぇなこの野郎!?」
釈明の余地なく、足を踏まれた。
104:
長門にまで断罪された俺はもうボロボロだった…
そんな抜け殻みたいな俺の目の前を横切って、古泉が破けた俺のパンツへと歩み寄り、そしてそれを…
古泉「はむっ。……美味ですね」ムシャムシャ
食った。
一同「!?」
105:
呆気に取られた俺達の視線を一身に浴びながら、古泉は俺のパンツを咀嚼して、破けたもう一方のパンツに手をかけた。
古泉「さて、こちらはどんな味でしょうか?ふふっ…楽しみですね。はむっ」ムシャムシャ
そんな猟奇的な光景を目の当たりにして、身動き一つ出来ない俺の手をぐいっと何者かに引かれる。
長門「……今のうちに。走って」
キョン「へ?お、おい長門!?」
そして俺達は走り出した。
106:
どれくらい走っただろう。
気がつくと、長門のマンションの前だった。
ハルヒ達は追って来なかった。
あんな光景を見せられたのだから無理もない。
しばらく夢に見そうだ。
頭の中を整理し、呼吸を整えた俺は長門に向き直った。
キョン「長門…助けてくれて、ありがとうな」
107:
あの場に留まって居れば、俺はただでは済まなかっただろう。
長門「……気にしなくて…いい」
そう言う長門の声には既に怒気はなく、先ほどの一件が尾を引いていないことに俺はほっと胸を撫で下ろした。
そんな俺をじっと見つめていた長門が再び口を開く。
長門「……上がっていって」
そして長門は繋ぎっぱなしだった俺の手を引き、マンションの中へと誘った。
108:
長門「……正座」
部屋に入るや否や長門はそんなことを俺に命じた。
まさかな…
恐らく、聞き違いだろう。
キョン「な、長門?今、なんt」
長門「……正座」キッ
俺はフローリングの上に正座した。
110:
こうべを垂れる俺を見下しながら、長門は聴取を開始した。
長門「……どうして、他の人からパンツを貰おうとしたの?」
キョン「……く、くれるって言うから…」
長門「……あなたは…あげると言われたら、誰のパンツでも受け取るの?」
キョン「そ、そんなことは…」
長門「……最低」
長門はご立腹だった。
111:
キョン「申し訳ありませんでした!!」
俺は平謝りを繰り返した。
こんな時に言い訳をしたって拗れるだけだ。
そんな殊勝な俺の頭を長門は踏んだ。
長門「……ポニーテールの女性が、そんなに魅力的?」グリグリ
どうやら長門の怒りの源はそれらしい。
112:
キョン「ショ、ショートカットも、悪くはないと思うぞ?」
恐る恐るそう進言するが、長門は取り付く島もない。
長門「……気休めは…好きじゃない」グリグリ
いや、確かに俺はポニーテールをこよなく愛しているが、別にショートカットが嫌いという訳じゃない。
むしろ長門と出会ってから、俺の中でショートカット株はうなぎのぼりだ。
113:
長門「……あなたには失望した」
長門は冷たい声でそう告げる。
俺は居ても立ってもいられず、長門の足に縋りついた。
キョン「ま、待ってくれっ!見限らないでくれ!許してくれよ…許してくれるなら俺、なんでもする!なんでもするから!!」
そんな女々しい俺に長門はピクリと反応した。
長門「……なんでも?」
116:
まるでその言葉を待っていたかのように、長門はこんな要求をしてきた。
長門「……じゃあ、パンツちょうだい」
そういや昨日渡したパンツは破れた上に古泉に食われちまったもんな。
至極当然の要求と言えた。
長門「……早く」
沈黙する俺に長門は焦れる。
俺は…攻勢に出るべきは今だと判断した。
118:
キョン「もちろんそれは構わないが…長門、何か忘れちゃいないか?」
そう言って不敵な笑みを浮かべる俺を長門は訝しむ。
長門「……私が何を忘れていると?」
よし。これで主導権はこちらの物だ。
キョン「等価交換だよ」
119:
長門「……等価…交換?」キョトン
小首を傾げる長門に俺は畳み掛ける。
キョン「おいおい忘れちまったのか?昨日お前が言ってたろ。パンツの対価はパンツだって。俺のパンツが欲しいなら、対価を払う必要があるんじゃないか?」
これが先刻、女の足に縋りつき、何でもするから許して欲しいと宣った男の発言である。
122:
長門「……でも、あなたはさっき…何でもするって…だから私は…」オロオロ
そんな長門の正論を俺は敢えて突っぱねる。
キョン「嫌なら良いんだぜ?この話はなかったことに…」
長門「……ッ…待って」
よし。食いついた。
123:
悪いな長門。
言われっぱなしってのはどうも性に合わないんだ。
長門「……わかった。等価交換は…絶対」
勝った。
上手く長門を丸め込んだ俺は勝利を確信した。
そして俺は長門の驚くべき行動を目の当たりにする。
124:
長門「……今、脱ぐから」ヌギヌギ
そう言って長門はいそいそとパンツを脱ぎ始めた。
Fantastic!!
よもや1日で2人の美女のパンツ脱ぎを生で拝むことができるとは!!
パンツを脱ぐ長門を一心不乱に見つめていた俺だったが、そこで唐突に我に返った。
126:
俺は…チキンだった。
少しばかり調子に乗っていたヘタレに過ぎない。
キョン「な、長門!今この場で脱ぐのはマズい!そ、そうだトイレで脱ごう!な?」
長門「……彼女には生脱ぎさせた癖に」
鶴屋さんのことだろう。
そんな文句は聞き流し、俺は長門をトイレに押し込んだ。
127:
キョン「……何をやってんだ俺は」
長門をトイレに押し込んだ俺は虚しさに襲われていた。
せっかく生のパンツ脱ぎを拝めるチャンスだったのに…
千載一遇のチャンスをふいにした自分のヘタレ加減にほとほと愛想が尽きる。
長門「……お待たせ」
間も無く長門はパンツを持ってトイレから出てきた。
さて、次は俺の番だ。
129:
長門に代わりトイレに入った俺は攻でパンツを脱いだ。
脱いだパンツを握り締めてトイレから出ると、長門はその場で待っていた。
キョン「ほら、これで仲直りだな」
そう言って長門にパンツを手渡すと、長門も俺に自分のパンツを手渡した。
長門「……仲直り出来て…嬉しい」ニッコリ
長門のパンツはまだ仄かに温かかった。
130:
そのことにいたく感動していた俺に、長門はおずおずとこう言った。
長門「……ちょっと早いけど…バレンタイン…だから」
そんな長門に頬を緩めた俺は謝意を示した。
キョン「ありがとな…長門」
これは…忘れられないバレンタインになりそうだ。
昨日の物と同様に沁み一つない純白のそのパンツはまさしくホワイトチョコパンツであり、ミルクチョコパンツでないことが少々残念ではあったが、俺は今晩自身のホワイトソースをこのホワイトチョコパンツに盛大にぶっかけるその瞬間に思いを馳せ、胸をときめかせた。
131:
俺が思いを馳せ、胸をときめかせている間、長門はずっと俺のパンツを嗅いでいた。
長門「……」クンクン
ま、楽しみ方は人それぞれだしな。
もうとやかく言うまい。
時刻は…午後6時45分。
そろそろ潮時だろう。
133:
キョン「そろそろ帰るよ。邪魔して悪かったな。それからバレンタイン…本当にありがとうな」
長門「……また、明日」クンクン
今日もパンツを嗅ぎながら見送る長門に軽く手を振ってから、俺は足取り軽く帰路についた。
俺のポッケには確固たる現実が。
ポッケに突っ込んだ手の先に確かに存在するパンツの感触を弄びながら、俺は今日もスキップをする。
ノーパン男は今日も今日とてご機嫌だった。
135:
一ヶ月後
長門「……はむっ」パクッ
キョン「ファッ!?」
耳に違和感を覚えた俺は飛び起きた。
ここは俺の部屋である。
あれから長門は毎朝俺の布団に忍び込み、耳を齧って起こすようになった。
136:
毎度のことながらこの感触に慣れることはなく、正直心臓に悪過ぎる起こし方だったが、俺は別にそれが嫌というわけではなかった。
むしろ、この瞬間の為に惰眠を貪っていると言っても過言ではない。
何故ならば、俺が飛び起きると可愛い長門が隣に寝ていて、こう言うからだ。
長門「……おはよう」
こんな幸せなことはそうそうないだろう?
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