穂乃果「ちっぽけな夢」『SS』back

穂乃果「ちっぽけな夢」『SS』


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また上司に怒られた。
悪いのはわかってるけど、頭ごなし過ぎて、逆にこっちが頭に来る。
でも悪いのは、ミスをしてしまった私。
穂乃果「す、すみません!」
だから、謝る。
2:
今日も残業。
それから帰る。
穂乃果「はあ……」
肩が痛い、なんてことは、もう当たり前になってしまった。
もともと、今までパソコンにこれだけの時間、向かい合うということがなかったからなのもあるだろうけど。
穂乃果「……コンビニで…いや、今日くらい何か作って食べよう……」
3:
残業をしてきたとはいえ、いつもよりは早く帰れている。
普段はコンビニのお弁当やお惣菜を適当に買ってテキトーに食べて……。そんな日々だ。
これはいけないと思い、疲れていても、時間があるならば、なるべく自分でつくるようにしているんだ。
穂乃果「……冷蔵庫に何かあったっけ」
まあ、最悪の場合は。
卵かけご飯だ。
4:
アパート(なんとお隣には凛ちゃんがいた。高校で体育の先生やっているんだと)に帰ると、疲れがどっと、押しつぶさんとばかりに、溢れる。
穂乃果「うぁあ〜……お風呂……」
シャワーだ。ちなみにトイレと一緒の
5:
穂乃果「ふう……」
一日のリフレッシュが出来る時間。
大事だ。こういう時間は、本当に。
シャワーを終えて、私はとりあえず冷蔵庫をあけて適当に材料を取り出し、料理をはじめる。
穂乃果「……」
一人分を作るのは、ちょっと面倒なのと同時に。
ちょっと寂しい。
6:
穂乃果「……いただきます」
何も返ってこない。
そりゃそうだ。
穂乃果「……」モグモグ
最近は面白いテレビ番組もない。学生の頃は、面白いと感じていたものが、何一つ面白く感じない。
面白く感じる、余裕がないのなもしれない。
7:
明日は久しぶりの休日。
どこかに行こうかとも思うが、なんだかだるく思ってしまう。
穂乃果「……なんだかなー」カシャカシャ
食器を洗う時も、考えてはみたけれど、やっぱり面倒だ。
休んでおきたいのた。
8:
食器を洗い終えて、やる事がなくなる。
趣味がないのも、考えものだね。
私は携帯電話の電源をつけて、LINEを開く。
『あの頃』つくった、μ'sのグループには、新しい発言は来ていなかった。
穂乃果「……」
μ'sをおしまいにして。
言ってしまえば、スクールアイドルでもなんでもない学生に戻って。それはそれで、放課後の練習がなくなったから、みんなで遊ぶ時間は増えた。けど。
9:
何かを追うような、必死になれるものは、無くなっていた。
絵里ちゃん達三年生とは、会う機会が少しずつ減ったけれど、たまに遊びにも行っている。
でも、本当に減った。
毎日のように会っていたのに。
10:
と、そう思っていると、インターホンが鳴った。
穂乃果「ん……はーい」ガチャッ
凛「やっほ」
凛ちゃんだった……凛ちゃんは最近、髪をほんのすこしだけ伸ばしている。高校で生徒に『先生、ポニテとか似合うんじゃないんですか?』と言われ、試しにやってみたら、評判が良すぎて引くレベルだったらしい。
やめるとブーイングが来て授業が出来なくなるらしいので今じゃポニーテールがオーソドックスになっている。とのこと。
22歳、って若さもあるから、人気なんだろうね。
11:
穂乃果「凛ちゃん、どうしたの?」
凛「ん、いやね、実は明日、久しぶりにみんなで集まりたいなー、って思って」
穂乃果「……!」
凛「どうかな? 」
穂乃果「いいね、いいと思う!」
疲れてるのに。
その日一番元気になった瞬間だった。
12:
ーーー
海未「……集まるのも、久しぶりですね」
海未ちゃんは凛ちゃんと逆に、髪を切っていた。ショートカット、ショートカット。
みんな忙しいけれど、偶然、奇跡的、ラッキー、そんないろいろな何かが混ざって今日集まれた。
ことり「せっかくの休日なんだし、楽しもう。……発案してくれた凛ちゃんに感謝だね!」
凛ちゃんも先生になって、まとめる事が増えたからか、そういう事に慣れているのかな。
絵里「……お待たせ、ごめんごめん、遅れちゃって」
穂乃果「ううん、大丈夫大丈夫」
希「ほな、これで全員やね」
9人……と、いいたいけど。
花陽「……真姫ちゃんとにこちゃんは…」
凛「真姫ちゃんは無理だったー、流石に医者の卵、ほいほい休みますって言って出てこれないってさ」
穂乃果「まあしょうがないよ……今度、誘おう」
医者の卵。
病院をつぐため、真姫ちゃんは、たぶん、わたし達の中で一番奮闘してる。
この前、よほど疲れていたのか、すれ違っても気づかれなかった。
13:
そして、にこちゃん。
『待望の2ndシングル、8月3日発売!予約受付中……』
穂乃果「……」
絵里「高いところに、行ったわね、にこは」
……にこちゃんの姿だけは、ほぼ毎日見ている。テレビで。
最初はずたぼろに落とされたらしい。でも、あのにこちゃんだ。諦めなかった。
なにより、年齢的にどうかと思われるかもしれないけど、にこちゃんはあのとおり、童顔でちっちゃいから。
その結果がこれなんだから、すごいと思う……。
穂乃果「……」
ことり「……?穂乃果ちゃん?」
穂乃果「え……あ、ううん、なんでもない。……行こっか」
14:
苦悩に塗れて、何かを手に入れることを、にこちゃんは成し遂げた。
ずっと、あの部室を守ってきたにこちゃん。一人で。……でも、今は、『プロの』アイドルとして、ユニットのメンバーとも仲良くやっている……私達も、それを喜んだ。良かったね、って心から思った。けど。
『μ'sを捨てたのか、にこにー』
『結局他のメンバーなんて誰でもいいんだ』
……そんな声もある。
15:
あの場所に立っているのは、にこちゃんの強さだと思う。
にこ『こんな程度で嫌になるならアイドルになんかならないわよ』
その強さは、どこから出てくるの。
私には、ないものだ。
そして、欲しいものだ。
16:
みんなどうして、どうやって、道を目指すの。
決められない。決められなかったから、今、こうして特に好きでもない、面白くもない、お金を貰うためだけの仕事して。
穂乃果「……」
いけない……こんな時にまで……。
今は、楽しい時間なんだ。
17:
――久しぶりの外出はそれなりに楽しかったと思えた。
面白い事もあったし、たくさん笑った。絵里ちゃんはドジっ子なんだから。
希ちゃんは途中で、家でやる仕事の残りを終わらせるために、一足先に帰る。
希「またね」
そう言って希ちゃんは駅に向かった。
18:
希ちゃんは学生の頃から変わらず、一人暮らし……と、思っていたけど、今は絵里ちゃんと一緒に生活しているらしい。
絵里「新鮮な気分よ」
絵里ちゃんはそういう。
帰る場所も同じ、というのは、そういう気分になるのかな?
私も言ってしまえば凛ちゃんとは帰る場所は同じだけど。
ーーー
そしてそろそろ日も落ちきって、明日の事を考えないといけない頃。
海未「……では、そろそろ解散ですかね」
海未ちゃんのその言葉で、今日はお開きとなった。
19:
私は家に帰る途中で、凛ちゃんとスーパーに向かう。…少し遅かったけど、まだ開いてて助かった。
そして、今は凛ちゃんと一緒に食べるご飯の材料を買いに来ている。
凛「……何にするの?」
穂乃果「うーん、そうだね、お肉と野菜炒めて……サラダとか」
穂乃果「……あ、豚肉やっすい。買お」
20:
『ーーーー円です』
穂乃果「……あ、凛ちゃん。12円貸して」
凛「はいはい」チャリン
穂乃果「ありがと」
〜〜〜
一人暮らしを始めてから自炊ができるようになった。
最初はひどかったけど、失敗しながらどうすればいいのかを覚えていった。それは凛ちゃんも同じようだった。
学生の頃は、全部お母さんがしてくれていたから。
21:
穂乃果/凛「いただきます」
穂乃果「……ところで凛ちゃん。高校の先生ってのは、最近どんな調子?」
凛「ん……そだね」モグモグ
凛「やっぱりみんなヤンチャだね。なかなか言うこと聞いてくれない」
穂乃果「そっか……」
凛「……22歳で、本当、免許とって即教員になれたのは嬉しかったちゃあ嬉しかったけど……年の差がね」
穂乃果「体育教師って最低何歳からなれるの?」
凛「22歳」
22:
穂乃果「ほへー……」
つまり凛ちゃんは本当に、すぐに体育教師になった、って事か。
穂乃果「すごいね、凛ちゃん」
凛「これからだよ。…まずは舐められすぎないようにしないと……あくまで『教師』と『生徒』なんだから」
凛「踏み込んではいけない部分があるし、踏み込ませちゃいけない部分があるんだから」
穂乃果「……うん」
23:
凛「――教師になって分かった事があってね、まず私達……あ、名前呼びはもうやめたんだ。さすがにね。……それで、まずね、『高校生は全然大人なんかじゃない事』。大人として、見てわかった。やっぱりちゃんと、ここで軌道修正してあげないといえないんだ。教師が」
穂乃果「……凛ちゃん」
凛「ん?」
穂乃果「……大人に、なったね」
24:
凛「……そうかな」
穂乃果「うん。なにより、ちゃんとやりたい事を、達成出来てて、すごいと思うよ」
……私も早く、見つけたいな。
穂乃果「……凛ちゃん」
凛「ん」
穂乃果「……これ、美味しいね」
……迷う暇は、ない、か。
〜〜〜
穂乃果「おはようございます!」
出社。
……そうだ、グダグダ悩むのも、私らしくもない。
いつだって、あの頃は、いつだって…………。
あの頃は、どんな事だって……。
25:
『どんな事だって乗り越えられる!!』
穂乃果「…………」
今の私は……乗り越えられる?
穂乃果「……」
そうだ……。
超えられないなら……壊せばいい。
どれだけ高い壁でも……超えられなくても……壊す事は出来る。壁は壊せるものだ。
穂乃果「なんちって」
本来、壁って、そういうものじゃない?
26:
ーーーー
穂乃果「……」
今日は夕方に退社できた。
……いつもより早いから、帰って、何かが出来る時間ができた。
……趣味、水泳とシール集め。
……。
穂乃果「……帰ろう」
何か始めようともがいても、もがいた労力で挫ける。
馬鹿みたい。
27:
その、馬鹿みたいな行動力は、どこに行っちゃったんだろう。いつも私が持っていた、それは、どこに……。
いつの間に、なくしてしまったんだろう。
穂乃果「……」
立場ってものがあるから。
後先を考えないといけなくなった。
そう考える度に思うんだ。
私はわたしをどこに置いてきちゃったんだろう。
28:
ーーー
海未「穂乃果は穂乃果ですよ」
海未ちゃんはそう言うけれど、私はそう思えない。
海未「……根本的なものは変わっていませんよ。だから、そんなに悲観的になることもありませんよ」
海未ちゃんは園田流道場を継いでいる。人に教えることもあるんだろう、話し方が妙に優しい。
穂乃果「……悲観的っていうか、単に、今のままでいいのかなって」
海未「……なにか、やりたいことが?」
穂乃果「ないから……困ってるんだ」
29:
海未「…」
穂乃果「……なんかね、怖いんだ」
穂乃果「みんな、それぞれの、目指してたものに向かってて、でも、穂乃果は……」
海未「……穂乃果、それは、誰もが同じです」
海未「自分が望んでいる道に、進められる事が、どれだけ望ましいかなんて……私だって……そういう意味では、穂乃果と同じですよ…」
海未「……?海未ちゃんは、園田流道場を……」
海未「……いえ、なに」
海未「もし、あのまま、μ'sが、スクールアイドルだけにとどまっていなかったら……なんて、戯言ですね」
穂乃果「……海未ちゃん」
海未「……」
ーーー
30:
……レールの上の人生。
私にはそれがないだけ、マシなのかもしれない。
いやもしかしたら……私にはそういうものがあった方が、気楽だったかもしれない。
きっとそうだったろう。むしろ、『わーい!お店継ぐなら受験勉強とかしなくていいんだ!』とか思っていたかもしれない。そんなことはなかったけど。
穂乃果「……」テコテコ
穂乃果「……レールの上の、人生か……」
…明日、会いに行ってみようかな。
ーーーー
31:
真姫「……で?どうしたの?今日はなにもなかったからいいけど、連絡もなしに家に来るなんて…」
真姫ちゃんも一人暮らしを始めていた。……私よりもいい部屋、むむむっ……。
穂乃果「……いや、これと言って用はないんだけど……ちょっと久しぶりに話したくなって」
真姫「話……いいわよ」
穂乃果「……真姫ちゃんは、さ。西木野総合病院を継ぐって話じゃない?」
真姫「……そうね」
穂乃果「どんな気持ち、なの?」
真姫「……」
真姫ちゃんは髪の毛をくるくると指で巻く。……そういえば少し髪が伸びている。
真姫「……どうも、なにも。私は私の進む道を進んでいるだけよ」
穂乃果「……それは、本望なの?」
真姫「…………」
真姫ちゃんは黙る。
32:
真姫「……」
穂乃果「……ごめん。変な事訊いちゃったね。……でも、なんか安心した」
真姫「……?」
穂乃果「…真姫ちゃんでも、何もかも、上手くはいかないんだなって」
……劣等感に耐えられる。
そう思っておけば、劣等感に耐えられる。……浅ましいかな。でも悲しいね、これ、本心。
穂乃果「……真姫ちゃん、どっか出かけない?この前の埋め合わせ、ってことじゃないけど」
真姫「……いえ、構わないわ。行きましょう」
ーーー
もしかしたら真姫ちゃんと二人だけで出掛けたのは、これが初めてかもしれなかった。
でもやっぱり、慣れていたのか、普通に楽しめた。
真姫「……ふう。今日は楽しかったわ……いい休日だった」
穂乃果「うんっ」
33:
それから私は真姫ちゃんと別れた。家に帰る途中、凛ちゃんと鉢あった。
そのまま一緒に帰ることになったんだけど、凛ちゃんが何やら相談があるそうで、家に(隣同士だけど)あがった。
凛「えっとね。単刀直入に言うとね。……生徒の男の子から告白されたの」
お茶ふいた。
凛「ぎゃーー!?」
穂乃果「あ、ごめんごめんげほっ……」
凛「驚きすぎだよ……」
穂乃果「だ、だって……それで、なんて返したの」
凛「そりゃ、ごめんね、って」
まあ、そうだよね。
34:
凛「問題は…その後、その子、学校に来なくなっちゃって……」
穂乃果「あらー…」
凛「自惚れるわけじゃないけど、……たぶん、り……私が原因じゃん?」
穂乃果「いいよ、私の前なら凛で」
凛「ん……でね、凛、どうしたらいいのかなって……こんな事、他の教員の人にも言えないし……」
穂乃果「そうだね……」
……私に相談するのか……頼られるような感じじゃないと思うけど……ああ、となりだからかな。
穂乃果「……時間が解決してくれる事を祈ろうよ」
凛「うーん……そっかぁ」
ーーー
あれから数週間がたった頃。
その例の男子生徒に彼女が出来たらしい。
凛「心配損だよ……」
穂乃果「はは……」
35:
『高坂さん、最近頑張ってるじゃない?』
穂乃果「……!そ、そうですか?」
『そのまま、維持してくれると助かるね』
穂乃果「……はい!」
ーーー
我ながら単純だと思う。
まあいいけどさ。
穂乃果「……♪」
……あ、あれは。
にこ「……」コソコソ
穂乃果(……にこちゃん)
にこちゃんは変装のつもりなのか、いつぞやの、う○ちみたいな帽子をかぶっていた。
そりゃ今や大人気アイドルユニットのセンターが……ねぇ……?
そんな帽子被ってるとか誰も思わないよね……。
穂乃果「……にこちゃん」
にこ「っ!?……あ」
ーーー
にこ「びっくりさせないでよ……」
穂乃果「いやこっちがびっくりしたよ。なんであんなのかぶってんの」
にこ「変装よ」
穂乃果「やめておこう……」
にこ「うん……」
36:
穂乃果「……お仕事終わり?」
にこ「ん、そうね。今日は珍しく……っても、明日の朝っぱらから収録だけどね。『おめざめテレビ』あるじゃない?あれに出るの」
穂乃果「へえ……」
にこ「まああれよ。今度出る2ndシングルの宣伝よ」
穂乃果「ああ、あれ……タイトルなんだっけ」
にこ「『まほうつかいはじめました!』よ」
穂乃果「そうそれ」
37:
穂乃果「……にこちゃんはすごいねぇ、夢叶えて。穂乃果とは大違いだ」
にこ「……何言ってんのよ。私がここまでこれたのは、ある意味じゃ、あんたのおかげなのよ、穂乃果」
穂乃果「……?」
にこ「あんたが、私をμ'sに入れてくれたから、今の私があるのよ」
にこ「……何回言わせるのよ、これ」
穂乃果「……でも、ここまでの存在になれたのは、全部、にこちゃんの…」
にこ「…………あんた、なんか皆にも、そうやって辛気臭い顔して自虐していってるって?」
穂乃果「え……」
にこ「あんたはいつまで高校生のつもりよ」
にこ「いい加減、他人と、自分は違う、だから差があるし、環境も違う、結果が違うのも当たり前だってことに気づきなさいよ」
38:
穂乃果「……」
にこ「あんたが今苦しんでるのもわかる、私も挫けそうになったわ……でも、どうして、あんたの言う『今』があると思うの?」
穂乃果「……どうして」
にこ「自分を信じたからよ」
にこ「……私なら、この道を進んでも、大丈夫だって」
穂乃果「……!」
にこ「今あんたが、自分のやりたい事がない、そしてそのせいでみんなに劣等感を持っているって言ったわよね?」
にこ「なら何よりも先にやりたい事を見つけて見なさいよ。劣等感を持つのはそれが『うまくいかなかった』時よ。してもないのに劣等感よなにもないわ」
穂乃果「!」
にこ「ふう……あ、ごめん、今からD子ちゃんとディナーなの、ディナー。そう、ディナーよディナー。ふふん。……じゃ、またね、穂乃果。今度、暇が出来たら、連絡するわ。その時、どこかに行きましょう」
ーーー
にこ「……なにも、ない、ね」
にこ「……『私達』からしたら、穂乃果にしかないもの、それが羨ましくて仕方なかったけどね」
ーーーー
39:
穂乃果「……ん?」
??「……ん、じゃあ、体には気をつけな」
凛「……大丈夫だよ。…というか、お金なんて……困ってないよ」
??「……気持ちだよ。受け取っておけ……それじゃ」
そう言って、女性は去って行った。……誰だろう。
穂乃果「……凛ちゃん、今のは」
凛「……お母さん」
穂乃果「……そうなんだ。……優しいお母さんだね」
凛「変に心配症なの」
穂乃果「ふぅん……」
ーーー
穂乃果「ふう……」ゴロン
お布団に横になって、考える。
やりたいこと。
簡単な事でいい、いつか、やっていて、楽しかった事……。
穂乃果「……誰かを笑顔にする事」
そんな単純な事。でも、それをどういうことで、実現させるか。
あの時は、歌で……今だと、何になる?
40:
私に、何が出来る?
穂乃果「……」
……何をしたい?
穂乃果「……歌いたい」
……やっぱり、私にとって、やりたい事……そして……楽しい事。
穂乃果「……歌で、誰かを笑顔にしたい」
ちっぽけな、夢。
でもそのちっぽけな夢が、いま、私の。大きな原動力になる。
穂乃果「そうと決まれば……」
ーーー
海未「……作詞の仕方?そうですね…」
ーーーー
真姫「……作曲?……あなた、楽器は……これからって…キーボード、買いなさい。話はそれからよ」
ーーーー
今回の件で、知った事。
友達って、大事。
41:
ーーー
最初はひっどいものだった。
アコースティックギターを片手に。
誰も聞いてくれやしない。
思った以上に、誰も、聞いてくれやしない。
たまに一人、立ち止まって、すぐ歩き出す。まるで私はそこにいないみたい。
――でも。
穂乃果「〜♪」
こんなの、あの時と比べたら……。ちっとも、辛くない。
穂乃果「〜〜〜♪」
私は歌い続ける。
誰かに、届くまで。
ーーー
そんな生活を続けて、数ヶ月が経った頃。
穂乃果「〜〜〜♪」ジャカジャカ
『……』
『……頑張ってください。応援します』
穂乃果「……!」
それだけ。
たったそれだけで。
私は、心の底から、嬉しくなった。
……そうだ、忘れていた。
こんな、気持ち、前にも……あった。
全てが始まったあの時と、似てる……。
……やれる。
私ならやれる。そうだ!
マイナスなんて考えるな!当たって砕けて、終わってしまったあとに、落ち込めばいい!
穂乃果「――よっっっし!やるぞぉぉおーー!!!」
ーーー
ーー

42:

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【悲報】オークションで即決落札したらキレられたんだが

【閲覧注意】生チョコまんをレンジでチンしたら悲惨なことになったんだが

チョコレートドーナツって言う映画が後味悪いって言うかやりきれなかった……

ニューヨークの街中にオナニーボックスが設置される しかも無料

【悲報】京王線、人を詰め込みすぎて傾く

亜美「あみひびだよ!!」真美「まみひびだってば!!」響「え?」

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【画像】究極に安全な飛行機が公表される

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