希「人形溶けた」back

希「人形溶けた」


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希「……」
希(今日もいつも通り、目が覚める)
希(カーテンの端から零れ落ちる斑の光、それがウチに今が朝であることを教えてくれる)
希「おはよう」
希(返事がないことは分かっていても、小さく呟いた)
希(家具の少ない寒々しい家に、私は一人なのだから)
※たまに>>1が唐突に自分語りします
7:
希「ふぁ……」
希(気怠い身体を無理矢理に起こして、洗面所へと向かう)
希(パジャマ越しに部屋の冷気へ触れた肌が、僅かに震えた)
希「もう、すっかり秋やね」
希(一人暮らしを始めてからというもの、こういった軽い独り言が増えたような気がする)
希(話す人間がいない家。それが寂しいからなのだろうか)
希「眠……」
10:
希(冷水で顔を荒い、歯を磨きながら、眠気で呆けた頭を無理矢理に覚醒させる)
希(思い出すのは、昨日友人に言われた言葉)
『凛は希ちゃんのことが好きだにゃ』
希(何気なく発せられた、その言葉)
希(彼女がその言葉に込めた意味を、ウチは知らない)
希(友愛なのか、親愛なのか、……恋愛なのか)
12:
希「……返事、するべきなんかなぁ」
希(彼女のことは、確かにウチも好きだ)
希(けどその好きは、友人に向けたもので、仲間に向けたもので)
希(恋愛の好きとはまた違う)
希「逃げられたのが、まずかったよなぁ……」
希(捕まえてでも聞いておくべきだったんや。どういう意味かって)
13:
希(まあ、どうせいつも通りの考えすぎなんやろうけど)
希(彼女と、ウチが会ったのもつい最近のことで)
希(恋愛感情を抱くほど長い付き合いってわけでもない)
希「友達としての好き、やんな」
希「けど」
希(友達に、友達としての好きを伝えるときに)
希(わざわざ好きって言うのも変な話やけどな)
15:
学校 教室
絵里「おはよう、希」
希「おはよう」
絵里「……? ねえ、なんだか今日……顔色、悪くない?」
希「昨日、少し遅くまで起きてて」
希「少し疲れてるんかも」
絵里「そう、ならいいんだけど。夜更かしは身体に毒よ」
希「分かってる」
希(とは言いつつも、夜遅くまで起きていたなんてことはない)
17:
希(いつも通りの就寝時間、22時半にはベッドに入っていた筈や)
希(なら、きっと顔色が悪いっていうのは)
希(昨日の彼女からの告白を、気にしすぎているからなんやと思う)
希「はぁ……」
絵里「本当に大丈夫……?」
希「ああ、平気。あまり気にしないで」
希(とはいえ、そんなことを親友に言える訳がない)
19:
希(友人に好きと言われて、それを気にしてます)
希(なんて。どこの生娘や、Yahoo!知恵袋にでも書いとけ)
希(……けど、仮に凛ちゃんが本当に恋愛の意味で言ってきていた場合)
希(ウチはどう返事したらいいんやろうなあ……)
希「やっぱり、昼休みにでも……聞きにいこうかな」
希(昨日の好きは、どういう意味なんや、って)
21:
昼休み 一年生の教室
凛「お昼にゃ……」
花陽「どうしたの、凛ちゃん? そんなに落ち込んで」
真姫「普段なら、お昼食べるにゃー! なんて喜んでるのに」
凛「いや、実はね。凛は今日お弁当を持ってきてないんだ」
真姫「……忘れたの?」
凛「ううん、自分の意志で持ってこなかったの」
花陽「まさか凛ちゃん、ダイエットするつもり……?」
22:
凛「いや、今日は希ちゃんが凛にご飯をくれる筈なんにゃ」
花陽「希ちゃんが……?」
凛「うん、これは昨日の放課後の話なんだけどね?」
凛『練習終わったから帰るにゃー』
花陽『うん、帰りに何処か寄っていく?』
凛『じゃあ駅前のラーメン屋に……って、部室に財布置きっぱなしにゃ!』
花陽『ええ!? 早く取りに戻らなきゃ!』
凛『すぐ取ってくるから、昇降口で待ってて!』
凛「ここまではかよちんも知ってるよね?」
花陽「うん、急に財布を忘れたって言い出して驚いたよ」
真姫「え? 二人で何処か行ったの?」
真姫「私誘われてないわよ、ねえ? ねえってば」
24:
凛「で、部室に戻ってみるとね」
凛『うっかりしてたにゃ、財布を置いてくるなんて』
希『……』
凛『……ん? 希ちゃん? 部室で一人何かしてるにゃ』
凛『真剣そうだし、少し覗いて……』
真姫「待って、待って」
凛「なんにゃ」
真姫「回想は後にしなさいよ。今は、何で私が誘われていないかのほうが重要よね?」
凛「そんなことはないと思うけど……」
真姫「いやでも、実際私は誘われてないわけよ」
真姫「現在進行形で地味なショックを受けているわけよ、分かる?」
25:
花陽「そう言われても」
凛「ねえ……」
真姫「いや、何でちょっとこっちが悪い風になってるの?」
真姫「私が聞き分けのない、ダダをこねているみたいじゃない」
凛「まあ、多角的に見ればそうなるにゃ」
真姫「違うのよ、私は二人を責めてるんじゃないの」
真姫「何故私だけ誘われていないのか。そこを知りたいだけなのよ」
27:
凛「それはまあ、都合が悪かったとか都合がつかなかったと」
花陽「一緒に行けないか、仕方ないなあって時もあるよね」
真姫「確かにそういう日もあるわね」
真姫「けど昨日は、都合がつくつかない以前に、私に声すらかかってないわけよ」
真姫「分かる、この意味? 都合すら聞かれてないのに都合が良いも悪いも無いわよ」
凛「確かにそれはそうにゃ。凛達の短い話からそれを見抜くとは、やっぱり真姫ちゃんは賢くて可愛いにゃ」
真姫「そ、そんなこと……ないわよ」
凛「じゃあ話を戻すにゃ。それでね……」
29:
希『……』
凛『何か読みながらメモしてる……あれは、料理雑誌?』
凛『なんで料理雑誌なんて、部室で読んでるにゃ』
希『……よし、出来たやん。調理メモ』
希『これで明日は……』
真姫「待って」
凛「なんにゃ」
真姫「騙されないわよ」
凛「何が」
真姫「よくよく考えてみれば、さっきの話で誘われなかった理由が一切解明されてないわ。よくも騙そうとしたわね?」
30:
花陽「誰も騙そうとなんてしてないよ。真姫ちゃんが勝手に勘違いしたんだよ」
凛「そうそう、凛達は真姫ちゃんを褒めただけだよ」
真姫「褒めるのは別にいいけれど、私は答えを教えてほしいのよ」
真姫「私が昨日の放課後、誘われなかった理由、その答えを」
凛「そう言われても、凛だって困るよ」
真姫「一番困ってるのは私よ。凛じゃない」
31:
凛「理由? 理由……」
真姫「本気で考え込まないで。何だか私、悲しくなってきた」
凛「ッ! ごめん、凛達のせいで悲しませちゃって」
花陽「真姫ちゃんがそんなに悲しんでいるなんて、私達知らなかった……」
真姫「凛、花陽……」
凛「大丈夫、これからは凛達は三人で一つにゃ」
花陽「ずっと一緒に、いつも一緒にいるからっ!」
真姫「……ありがとう」
真姫「私はいつも二人を、何処か一歩引いたところから見ていたのかもしれない」
32:
真姫「二人は幼い頃からの親友で、長い時間を一緒に過ごしてきた」
真姫「けど私は、四月に出会ったばかりで、仲良くなったのもつい最近」
真姫「そんな私が、二人の輪の中に入っていけるわけがない」
真姫「だって、凛と花陽は親友でも、私はただの……友達だから」
凛「真姫ちゃん……」
真姫「だから、いつも気持ちの何処かに遠慮があった」
真姫「二人が仲良さそうにしているのを、羨ましいと思っても口に出すことは出来なかった……!」
34:
真姫「だから……だから!」
ギュッ
凛「もういい、もういいにゃ」
花陽「ごめんね、真姫ちゃん。真姫ちゃんがそんな風に思ってたなんて私達……」
凛「けど真姫ちゃん、真姫ちゃんの話には一つ間違いがある」
凛「凛もかよちんも真姫ちゃんの友達じゃない」
真姫「え……」
凛「……親友にゃ」
凛「じゃあ話の続きに戻るにゃ。メモのところまで話したよね?」
花陽「うん、調理メモのところ」
35:
希『これで明日のお昼は決まった』
希『あー、けどこれ二人前やん。一人分のレシピないんかな?』
希『ないなぁ……しゃーない、二人分作って冷蔵庫入れとこ』
希『それか、痛んでも嫌やし誰かにあげるか……』 
凛『(これは……美味しい食事にありつける気がするにゃ)』
凛『(凛は希ちゃんのことが好きアピールして、明日のお昼は優雅なでぃなー(ランチのこと。空は飛ばない物を指す)にゃ)』
ガラッ
凛『希ちゃ……』
真姫「待って」
凛「なんにゃ」
36:
真姫「いい加減にしなさいよ」
凛「そんな急に怒って……何かあった?」
真姫「親友扱いは嬉しかったわ、確かに嬉しかった」
真姫「けどそれ、私が誘われなかったこととなんら関係ないわよね?」
真姫「むしろ誘われなかった理由が余計分からなくなったわ、親友なら普通誘う筈よ」
凛「真姫ちゃん、もうやめよう」
真姫「なんでよ、私はただ理由が……」
凛「凛にはもう適当なこと言って真姫ちゃんをあしらうネタがないにゃ」
37:
真姫「……」
花陽「凛ちゃん……」
凛「だから、もうやめよう」
凛「今は、話を本筋に戻して回想するべきにゃ」
凛「真姫ちゃんをからかって遊ぶのは二回まで、それ以上はもう意味がない」
真姫「……からかわずに、本当の理由を言えばいいじゃない」
凛「聞きたいの? 本当に?」
真姫「ええ……」
38:
凛「……後悔しない?」
花陽「や、やめようよ凛ちゃん。真姫ちゃんは」
真姫「後悔なんてするわけないじゃない。私はどんな理由だろうと、受け止めてみせるわ」
凛「……真姫ちゃんが見当たらなかったからにゃ」
花陽「凛ちゃん!」
真姫「それは、先に出たから……け、けど携帯に連絡すればいいじゃない!」
真姫「二人とも携帯があるんだから、連絡してくれればよかったじゃない!?」
39:
凛「り、凛達は……凛達は……!」
花陽「ああ……」
凛「真姫ちゃんの連絡先、知らないにゃ……!」
真姫「あ……?」
真姫「嘘よ、そんな。そんなの」
凛「真実にゃ。かよちんも凛も、真姫ちゃんの電話番号も」
凛「メールアドレスもラインも何も知らないにゃ。ツイッターは知ってるけど!」
40:
真姫「言われてみれば……教えてない」
真姫「仲良くなったから既に教えたような気がしていたけど、冷静に考えたら私も凛と花陽の連絡先を知らない!」
凛「交換したような気になっていたんだよね」
花陽「よくあることだよ」
真姫「だから、昨日は私を誘えなかったのね」
凛「ごめんね、衝撃の事実だったから言っていいものか悪いものか分からなくて」
真姫「確かに驚いたわ……こんなことってあるのね」
凛「じゃあ昼ご飯が終わったら、改めて連絡先を交換するにゃ」
凛「希ちゃんまだかなぁ……凛もう、お腹ぺこぺこだよ」
41:

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