真姫「ピアノのない世界」back

真姫「ピアノのない世界」


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真姫「嘘……」
真姫「ピアノが……弾けない!?」
その時、私の世界は色褪せた。
私のμ’sでの存在理由が理由はわからないがなくなってしまったのだ。
穂乃果は私の奏でるピアノが好きだと誘ってくれた。
あなたの曲を歌いたいと言って私をμ’sに入れてくれた
真姫「じゃあピアノが弾けずに、曲の構想を浮かべることのできない今の私は」
存在理由がないじゃない……
凛「真姫ちゃーん!!練習いくにゃー!!」
凛に誘われる声に私はついていく
本当は今の私には、みんなと一緒に歌って踊る資格なんてないのに……
真姫「もう!引っ張らないでよねっ。服が伸びちゃうじゃない」
私はいつものように凛に軽い文句を言いつつ考える
そんな資格があるのだろうかと。
2:
凛は穂乃果が修学旅行でいないとき、穂乃果の代わりにリーダーを務めた
そして最初は自信のなさがあらわれていた凛も本番ではまさにリーダーだった。
対して私はどうだろうか
もうすぐμ’sのライブを行う
そのために新曲を作ろうと、そう決めていたはずだ。
ことりはしっかりと衣装を作った。
海未もちゃんと歌詞を完成させた。
しかし私は、ことりの衣装を見て、海未の歌詞をみるという行為を経ても一小節すら浮かんでいないのだ。
真姫「これじゃ、私はただの邪魔者でしかないじゃない……」
いつの間にか頬に涙が伝っていた。
何よりも音楽が大好きだったはずなのに
今は何よりも音楽が大嫌い
5:
海未「真姫、作曲の調子はどうですか?」
海未が問いかける
真姫「ごめんなさい、まだ出来ていないの……」
海未「そう……ですか……」
こころなしか海未の顔に焦りの表情が伺える。
当然だ。新曲をやろう、そういっているのに……新しい衣装も揃っているのに
曲がないのだから
真姫「どうして……弾けないのよ!!」
怒りをピアノにぶつけてみれば帰ってくるのは汚い旋律
曲の構想など浮かんでこない
真姫「そうだわ。別にピアノでなくてもいいじゃない」
そうだ。単純なことだ。私が曲を作るとき、基本のメロディをピアノで作っていたから忘れていたが
PCで主旋律から作ればいいのだ。いつもは編曲のためだけにつかうが今回ばかりは作曲にもこれを使うとしよう
そうして私はただPCにむかう……
真姫「浮かばないわ……」
ピアノに向かうと次々と旋律が浮かんでくるのにどうしてこうも違うのだろう
音出しながら微調整するのは同じはずなのに、アイデアがちっとも浮かばないのだ
真姫「どうしてよっ……」
ただ叫ぶことしか出来なかった
8:
花陽「真姫ちゃん、調子はどう?」
花陽が曲について聞いてくる、きっとものすごく不安なのだろう
でも私にプレッシャーをかけまいとしているのか優しい調子で聞いてくる
真姫「今ちょっと雰囲気を考えているの。私たちもそろそろ有名になってきたしいいものをつくらなきゃ」
完全な虚勢だ。本当は今すぐにでも泣きつきたいのに、曲なんて作れないと投げ出したいのに
私の中に残っているプライドという邪魔者が同級生の親友に泣き言をいうのを許さなかった。
凛「凄いにゃー!真姫ちゃんが作る曲なら絶対にいいものに決まってるもんね!そんな真姫ちゃんがじっくり煮込んだ曲、物凄いものになるにゃ!」
凛、ごめんなさい……
本当はただ浮かばないだけなの……
こんなことして逃げてるだけなら曲はできず、すべてをぶち壊した私はみんなから嫌われる
わかっているはずなのに……μ’sも、凛と花陽との関係も
居心地が良すぎて甘えてしまう
9:
真姫「どうして、弾けないのよっ!?」
西木野真姫はピアノと作曲の能力を買われてμ’sに入ったのだ
本来はもうμ’sの一員である資格はとっくに失っているのだ
それなのに……私のわがままのために自分を隠して
まだ作曲ができる振りは続けて……最高の人達の集まりに置いてもらっている
いずれ……誰からも軽蔑されるような人間になるにに
真姫「私ってリスク管理のできない女だったのね……」
真姫「それに自分のことすらまともにできない」
作曲のできない西木野真姫は、医者にもなっていない西木野真姫は
真姫「この世にいる意味があるのかしら……」
11:
私は、ふと考える
今までは人の期待に応えて生きてきた。
テストでは高得点を取ってきたし、容姿だって我ながら綺麗に育ったと思う。
病院の娘だからお金持ちだろう、容姿がいいし、成績もいいだろう
恐らく誰にでもできることじゃない期待にも応えられては来た
じゃあ今は?
真姫ちゃんなら凄い曲を作ってくれるはずにゃ
期待してますよ
そんな言葉を掛けられているのに
私は期待に応えられない……
真姫「ピアノさえまともに弾けるようになれば、曲だってすぐに浮かぶはずなのに!」
12:
私は赤ん坊が泣きじゃくるようにピアノを叩く
真姫「酷い音……これなら赤ちゃんの方がよっぽどマシね……」
今や西木野真姫は赤ちゃん以下だ
真姫「どうして私の思うとおりに動かないのよっ……」
いつの間にか、頬に涙が伝っていた。
13:
穂乃果「真姫ちゃん?」
ふと、穂乃果の声が耳に入る
嫌なところを見られたと思った。
私は隠し通さなきゃいけないのに……
もっとμ’sでいたかったのに……
穂乃果「どうしたの?」
あくまで優しく、穂乃果は私に話しかける
真姫ちゃんの悩みを聴いてあげるよとでもいっているようだ
真姫「泣いてなんかいないわ」
そうだ。私はまだμ’sでいたいのだ
だから隠し通さなくてはならない
西木野真姫はまだ天才美少女である
ごめんなさい……
14:
どんなにピアノを叩いても
私の勘は戻ってこない
時間は刻一刻と迫ってくる
真姫「もう潮時かしら」
所詮、無理な話だったのだ
私は医者を目指す高校生
本来はピアノなんて勉強の片手間にするものだった
真姫「でも、楽しかったな……」
悔いはないかと聴かれたらあるとしか言えない
本当はもっとライブをしていたかった
本当はもっと穂乃果を追いかけていたかった
本当はもっと凛や花陽と一緒に歌っていたかった
けれど夢の時間は終わるのだ……
作曲のできない西木野真姫なんて
μ’sという存在にとってなんの価値もないのだから
15:
真姫「ごめんなさい……、全然曲が浮かばないの……」
私はみんなの前で謝った
最悪の結果だ
なんで私は自分の役割も全うできないのだ……
真姫「ごめんなさい」
そう言って私は逃げるように部室を去った
もうここは私がいていい場所じゃない
私なんかがいたらみんなの邪魔になってしまう
16:
翌日、私は学校を休んだ
あのキラキラした青春の日々を思い出してしまうから
少しクールダウンしたかったのだ
花陽「真姫ちゃん!大丈夫?」
学校には風邪と連絡してあるためか、私家に授業のプリントを届けに来た花陽は開口一番そういった。
真姫「えぇ、だいぶ良くなってきたわ」
本当は風邪などひいていないが誤魔化してみる
花陽「真姫ちゃん、何かあった?」
花陽「最近あんまり元気がないみたい」
もう、いいかな
隠す必要もなくなったのだ。曲が作れなくなってしまったことは先ほど自白してしまった
その時点で西木野真姫の存在理由はなくなったのだから
真姫「ピアノが……弾けなくなってしまったの」
17:
真姫「なんどピアノに向かっても、弾けない」
真姫「うちのピアノであろうと、音楽室のピアノであろうと弾けないの」
花陽は驚くような目でこちらをみる
花陽「……そっか」
私の独白を受けた花陽は、静かにひとこと呟いた
そういえば、花陽も私の演奏が好きだと言っていたっけ
やっぱり離れて行ってしまうのかな……
花陽「気が付かなくて、ごめんね?」
しかし、帰ってきたのは批難の言葉ではなく謝罪の言葉だった
18:
真姫「どうして謝るのよ、花陽は何も迷惑をかけてないわ」
真姫「私と違ってあなたはしっかりと自分の役割を全うしているわ」
花陽はその綺麗な声で難しいハーモニーすら今はこなせる
私は歌の面では何も変わっていない
ただ作曲ができなくなっただけ
花陽「真姫ちゃんがつらいのに、寄り添ってあげられなかったから」
真姫「別に寄り添う義務なんてないわよ。それに作曲の出来ない私なんてμ’sでは邪魔なだけだわ」
花陽「そんなことっ」
真姫「あるのよ。だって私はピアノで穂乃果に誘われたんだから」
19:
真姫「私、もうμ’sを辞めるわ」
私は部室に入るや否や宣言をした。
光を失った私にアイドル研究部は眩しすぎる
穂乃果「えぇーっ!?真姫ちゃんなんでっ!?」
穂乃果が叫ぶ。それもそうだろう
穂乃果は私がピアノを弾けなくなったことをしらない
真姫「ピアノ、弾けなくなっちゃったの。そのせいか作曲も出来なくなっちゃったみたい」
真姫「だから私がμ’sにいる資格はないわ」
26:
凛「そんなことないにゃ!」
真っ先に凛が叫んだ。
凛「真姫ちゃんはいいところいっぱいあるよ!」
穂乃果「そうだよ!真姫ちゃんは大事な大事なμ'sの仲間だよっ」
その言葉は確かに嬉しいものだった。
しかし、今は大丈夫かもしれない。
けれど、能力のない人間からは自然と人は離れていくのだ。
そして残された後に実感するのだ。自分の無力さを
そうなるくらいなら自分からいなくなるほうがマシだった
真姫「冷静になりなさいよ。今の私は自分の役割すらできないお荷物。きっといつかは私を捨てたくなる日が来るわ」
今度は誰も何も言わなかった。
……
数秒の沈黙
その沈黙を破って口を開いたのはにこちゃんだった。
にこ「そうね。今のあんたじゃメンバーの士気を下げるだけだわ。アイドルをやめるのならとっととでていきなさい」
まるで出会った当初のような冷たさでにこちゃんは言い放った。
ことり「にこちゃん!?どうして」
ことりが声を張り上げる。他人事のようだけど、その姿が珍しいなと思った。
絵里「確かに今の真姫はとてもみてられないわ。このままだとみんなを壊してしまいそう」
エリーもにこちゃんに同調する。
しかし、それは過大評価だ。私が人間関係に影響するほど大きな力を持っているはずがない。
27:
凛「にこちゃんがそんな人だとは思わなかったにゃ!」
凛「凛もやめます。にこちゃんが部長をしている部活なんてやってられないよ!」
凛が叫ぶ。予想外の出来事だ。
だって凛はどんどんと女の子らしい可愛さを身に着けて
キラキラしたアイドルの輝きはどんどん増して言ってるのだから
さび付いて鈍い光しか放てなくなった私とは対極だ
真姫「凛!?なによそれ、意味わかんない!?」
思わず抗議の声が出た
μ'sから凛の光を失わせてはいけないのだ
凛「真姫ちゃんがいなきゃ意味ないよ」
凛はそういって、泣いているのか笑っているのか
区別の付きづらい目で私をみてそう言った
28:
次の日から私と凛は練習に行かなくなった
凛に練習にいくように促しても「真姫ちゃんもいってないにゃ」と言われてしまい、私は何も言えなくなる
花陽はアイドルを諦めたくないからと、私たちに謝りながら練習へと向かった。
謝る必要なんてないのに……
彼女だってまたそのとろけるような歌声で調和を図れる欠かせないメンバーなのだ
作曲もピアノもできなくなって役割を果たせなくなった私とは違う
凛「それでね、お母さんが凛の嫌いな魚をだしてくるんだよ、酷いにゃ」
真姫「好き嫌いはよくないわよ」
他愛もない会話。
凛は私と話すときに音楽の話は出さなくなった
29:
side 花陽
穂乃果「真姫ちゃんと凛ちゃん、今日も来ないね」
ことり「うん……」
そう言いながら二人は花陽のほうを見る
本当は私も一緒にやめるべきだったのかもしれない
友達のことを考えるなら続けているのは裏切りだ
そう思っても続けているのはやはりアイドルが好きだからなのだろう
穂乃果「にこちゃんがあんなこというから!」
穂乃果ちゃんがにこちゃんを責めるような目で見る
にこ「ふんっ!真剣味が足りないのよ、あいつらには」
海未「それにしても言いすぎなのでは? 真姫だって真剣に悩んでいたはずです」
にこちゃんの言葉に海未ちゃんが抗議する
絵里「ねぇ、海未……」
絵里「あなたは弓道をずっとしてきているわよね。弓道は好き?」
絵里ちゃんが問いかける
海未「いきなりなんですか?……好きですよ。もちろん」
海未ちゃんが応える
絵里「もしも海未の右手が自由に動かなくなって」
絵里「会の動作の時に、自分が思ったタイミングよりもとても早く離れてしまって」
絵里「そのせいで看的場の人を危うく怪我させかけてしまったら、海未は楽しく弓道ができる?」
絵里ちゃんの言葉を聴いてここ数日間の真姫ちゃんの様子を思い出す
……きっと笑顔は少なかった
30:
海未「そうですね……確かに真姫に負担を掛けすぎていたのかもしれません」
海未ちゃんも思うところがあったのか落ち着いたようだ
……
沈黙
……
やはり空気が重い
あの二人の大きさを改めて感じた
にこ「大丈夫よ。あんなに音楽に愛された娘だもの。今は少し休ませてあげましょう」
にこ「きっと戻ってくるわ。その時には笑顔で迎え入れればいいのよ」
穂乃果「じゃあそういってあげようよ。真姫ちゃん、きっと責任を感じすぎてる」
穂乃果ちゃんが言う。確かにそうだ。真姫ちゃんの言動は明らかに責任感から出てきたものだった。
そうでなければ資格とかなどの言葉は出てこないだろう
にこ「ダメよ」
しかし、にこちゃんはそれを遮った
にこ「スランプに陥るのは人間だもの。仕方がないことだわ。だけど、真姫はできると言い切っていた」
にこ「だけど結局完成していない。真姫の調子がどうであれ、義務を果たせなかったことは事実よ」
花陽「でもっ!それは私たちだって真姫ちゃんに負担を掛けすぎていたんだよ!」
にこ「それはにこも反省してる。けどね、私たちはアイドルよ。観客を沸かせる義務があるの」
31:
にこ「やるといったことはやらなくちゃ」
そう言ってにこちゃんはPCにいる絵里ちゃんに視線を向ける
ちらっと見えた画面の向こうには、mp3ファイルの一覧が並んでいた
絵里「実はね、私と穂乃果と海未も真姫に多少作曲を教わっていたの」
私の視線に気づいたのか、絵里ちゃんは私に声をかけた
絵里「ユニット曲はリーダーが作るべきよっていう真姫の意見でね」
海未「それから私たちも多少は作曲の心得を学んでいたのです」
そういえば、Printempsのユニット会議の時に穂乃果ちゃんが持ってきたLove marginalとsweet sweet holiday
この二つを持ってきたときに穂乃果ちゃんが少し不安げな顔をしていたのを思い出した
それはこういうことだったのか、ということを知る
絵里「真姫の曲には叶わないけど、作ると決めたんだから完成させないと」
絵里ちゃんも使命感が強いからだろう。PCから殆ど目を離さずにいる
33:
私は何をするべきなのだろう
真姫ちゃんと凛ちゃんはどちらも私の大切な友達だ
2人がいない練習はやはり何か物足りない
真姫ちゃんがいないと華やかさが薄れる気がするし
凛ちゃんがいないとシャープさが薄れる気がする
2人はそれほどまでに目立つ存在だったのだ
確かに真姫ちゃんの作曲は凄かった
μ'sとしての曲は作曲は真姫ちゃんが一挙に担当していたと言っていいのだろう
しかし、真姫ちゃんが作曲以外に取り柄がないなんてことはありえない
花陽「戻ってきてほしいな……」
しかし私はつぶやくことしかできなかった
34:
side 希
希「なかなか厄介やんな……。自分で掛けた呪いっていうのは」
自分の心が一度マイナスに振れてしまえば
人から掛けられる言葉なんて増幅薬でしかないのだ
励ましの言葉はプレッシャーとなり
責める言葉は倍になって突き刺さる
希「真姫ちゃんの呪いを解かなくちゃ」
自分で掛けた呪いに苦しむ友人はもう2人もみてしまっている
一人は廃坑阻止のためにと言い聞かせて
アイドルなんてくだらないと言い聞かせて自分の心に蓋をした
一人はアイドルの夢なんて理解されないと周りを切り捨て
新しいアイドルもどうせくだらないと切り捨て孤独の中で苦しんだ
しかしその2人は運命的な出会いによってか、呪いを解くことができたのだ
希「ピアノだけが真姫ちゃんの価値なんてこと、絶対ない」
36:
side 真姫
一度、音楽なんてやらないと見切りをつけてしまえば気楽なものだ
幸か不幸か私には医学部受験という目標だってある
ピアノに向かう代わりに机に向かえば気が紛れるような気がした
真姫「退屈ね……」
しかし、やはり音楽というのは真姫の中では大きすぎるものだった
かと言ってピアノを弾けば、出来ない自分を痛感するだけだ
真姫「でも……」
もしかしたら……
今日は弾けるかもしれない
そう思ってピアノを叩く
真姫「やっぱり……」
そうしてまた懲りずに痛感するのだ
西木野真姫は、現在ピアノが弾けない
その現実を
37: >>35 ごめん、タイプミスです。廃校が正しい(もんじゃ)@\(^o^)/ 2015/10/16(金) 22:12:55.78 ID:CYaTUhpR.net
side 希
希「ピアノの、音?」
真姫ちゃんの家から不意にピアノの音が聞こえた
それは縋るような悲しい音……そして
乱暴に叩くような痛々しい余韻が響いた後
ピアノの音はやみ、風の音だけが耳に届くようになった
希「やっぱり続けたいんやね」
希「本当は音楽が好きで、ピアノが好きで仕方ないんや」
そう思うとやはり真姫に会わなくてはならない
痛々しい責任感で好きをやめるなんていうのは悲しすぎる
38:
side 真姫
インターホンが鳴る
お手伝いさんが、私への来客を知らせてくれた
真姫「今行くわ」
そして客間に向かうとそこに居たのは希だった
希「久しぶりやね」
私の顔を確認すると希が言った
真姫「えぇ、久しぶり。この前はごめんなさい。曲を作ることができなくて」
私は謝罪する。とんでもなく迷惑をかけてしまったら
希「ううん、スランプはあるよ。誰にでも」
希「それに、今絵里ちが曲を作ってる、もうすぐ完成するそうや」
それを聞いて私は何かが崩れる気がした
そうだ。とっくに私なんて必要なくなっていたんだ
穂乃果と海未と絵里は作曲ができるのだから
とっかかり教えたのは私だけどあの3人のセンスには驚いた
いきなりまともな曲を仕上げてきたのだから
真姫「そう、よかったわ。それを聞いて安心した」
真姫「あの3人に作曲を教えておいてよかったわ」
……口ではそう言っているが同時に教えなければよかったという気持ちが芽生えているのがわかった。
作曲は私の居場所だったのに……私が存在していい理由だったのに
私が必要とされる理由だったのに……それを自ら手放していたのだ
希「でも、やっぱり真姫ちゃんには叶わないって言ってた」
希「μ'sで一番いい曲が作れるのはやっぱり真姫ちゃんだって」
39:
私を誉めてくれる希の言葉に嬉しくなる
しかし、現実の私はもう作曲ができないのだ
今の私と比べたら、絵里の方が必要な人材だろう
真姫「でも私はもう作曲はできないわ」
真姫「近いうちにμ'sの作曲者といえば絵里になるでしょうね」
希「そうかもしれへんね」
希「ねぇ、真姫ちゃん。μ'sに戻ってくる気はない?」
そんなことを希は言った。
何を言っているのだろうと思った
今の話の流れでどうして私がアイドルに戻るっていうのだ
真姫「なにそれ、意味わかんない」
本当に意味がわからない
真姫「穂乃果は私のピアノに弾かれて私の元に来たのよ」
真姫「それを失った今、私に残っているものは何もないわ」
40:
訂正
前:真姫「穂乃果は私のピアノに弾かれて私の元に来たのよ」
後:真姫「穂乃果は私のピアノに惹かれて私の元に来たのよ」
41:
希「そんなことないよ」
希「確かに真姫ちゃんは作曲が出来なくなってしまったかもしれない」
希「けど、真姫ちゃんの曲のおかげで穂乃果ちゃん達の1stライブが成功したという事実は消えない」
希「そうして救われた事実が残っていれば、傍にいるだけでも嬉しくなるもんや」
希は静かに、私に語りかけた.
希「にこっちや絵里ちはあんなこと言っとったけど、本当は真姫ちゃんが戻ってくるのを待ってる」
真姫「そんなこと……」
だって私は、何もかもを投げ出したのだ
音楽も、仲間も捨ててしまったのだ
それに……
真姫「やっぱり戻ることはできないわ」
真姫「みんながキラキラしている中で私だけ何もできないなんて耐えられそうもない」
真姫「せっかく来てくれたけど、ごめんなさい」
私はやっぱりもうみんなのようには輝けないのだ
43:
作曲のできない西木野真姫
ピアノの弾けない西木野真姫を
何より私が認められないのだから
……
ことり「あ、真姫ちゃんっ!」
問題集を買いに本屋に立ち寄ったところ
不意にことりに声を掛けられた
真姫「ことり……」
ことり「偶然だね」
真姫「そうね」
ことり「真姫ちゃんも参考書かぁ。やっぱりお医者さんになるには勉強大変だもんね」
真姫「えぇ。ことりはフランス語の本?留学はやめたんじゃなかったの?」
そう、ことりの持っていた本はフランス語の教材だったのだ
少し意外に思ってことりに聞いてみた
ことり「うん。高校生のうちはスクールアイドルをずっとやるよ」
ことり「やりたいと思ってる」
ことり「だけど、いつまでもみんな一緒にはいられないから」
ことり「その時に私だけ何もない状態にならないようにしておくんだ」
真姫「ことりはずっと穂乃果に着いていくと思っていたわ」
流石に失礼だっただろうか。しかしこれは率直なイメージだ
だってことりは留学の誘いが来てたのにそれを蹴ってまで穂乃果の元に残っていたのだから
ことり「やっぱりお洋服を作るのが好きだから、本場へのあこがれはあるんだ」
真姫「でも、留学の誘いが来てたのに行かなかったじゃない」
そうそれで一度μ'sは空中分解したのだ
だから嫌でも印象には残っている
ことり「楽しみきっていなかったから」
45:
真姫「楽しみきる?」
ことり「うん。あの時ね、将来のためには絶対に留学するべきだと思っていたの」
ことり「でもやっぱりμ'sでライブもしたかった。それに穂乃果ちゃん達と一緒にいたかった」
ことり「でも将来のためには留学するべきで、そう思うとわけがわからなくなって」
ことり「そんなことを考えているうちにことりは本当にお洋服を作るのが好きなのか頭ではわからなくなってた」
ことり「でもそれでμ'sを辞めるっていうのは私の本当に求めていたものとは違った」
真姫「本当に求めていたもの?」
ことり「うん。ことりはお洋服を作りたかっただけじゃない。ことりの作ったお洋服を着て喜んでいるのを見たかったんだ」
ことり「そしてやっぱり自分で作ったお洋服を着て歌って踊りたかった」
真姫「そう」
ことり「本当はね、衣装なんていらないんじゃないかって思うこともあるんだ」
真姫「え?」
ことり「たとえばライブをするのに曲がないと歌えない」
ことり「でも衣装がなくても、制服や体操服でだって、歌って踊ることはできる」
ことり「オトノギの制服は可愛いからそのままでも充分に魅力的だし」
そう告げられた言葉は私にとってはとても意外なものだった
46:
ことり「だけど居てもいいって言ってくれる友達がいるから」
ことり「何よりライブが楽しいから、私はμ'sに残ることにしたの」
ことり「でも高校が終わればそれもおしまい」
ことり「今度は新しいことりの居場所をみつけにいく」
真姫「いろいろ考えているのね」
ことり「そうかな?」
真姫「やっぱりことりはしっかりものだわ」
ことり「真姫ちゃんだって♪1年生のうちから将来を見据えているんだからしっかりものだよ」
ことり「じゃあね、真姫ちゃん。いつでも戻ってきてね♪」
そう言ってことりは私と別れた
ことりも不安を感じていたのね……
あんなに素敵な衣装を作っているのだから
いらないなんて思ったことがなかった
けれどことりはそれをいらないかもしれないと思っていた
存在理由を見失っていた
でもことりは
好きだから
μ'sをずっと続けているのだ
47:
真姫「私は何を好きでいるのかしら」
私は勉強が嫌いではない
穂乃果や凛やにこちゃんや希には驚かれるが
知識を吸収するのは好きなのだ
かといって一番好きなことかと言われたら
たぶん、それは違う
真姫「私から勉強と音楽を取ったらなにも残らないわね」
48:
花陽「そんなことない!」
一瞬、誰の声かわからないくらいの大声で花陽が叫んだ
思わずたじろぐ
花陽「私がμ'sに入ったのも、積極的にアイドルの夢を追いかける自信がついたのも真姫ちゃんのおかげなんだよ?」
花陽「それは勉強でも作曲とも関係ない真姫ちゃんの優しさだよ」
凛「そうにゃ。それに真姫ちゃんは凛に可愛いお洋服が似合うって言ってくれたよね」
凛「リーダーにふさわしいとも言ってくれた。だから凛は輝くことができたんだ」
花陽「きっとみんなもそう思ってるはずだよ」
……
凛「作曲が出来なくなったって、真姫ちゃんはまだ充分に輝いているよねっ!?」
穂乃果「あたりまえだよっ。それに穂乃果が作曲を出来るようになったのは真姫ちゃんが真剣に教えてくれたから」
穂乃果「疑問に一つ一つこたえてくれたからだよ。それは人のことを思う優しさだよ」
絵里「ねぇ、真姫?」
真姫「何よ?」
絵里「本当に音楽が嫌いになってしまったの?」
その問いにyesを返すことができなかった
51:
にこ「それにあんたは作曲意外にも充分にアイドルとしてのものを持ってるわ」
にこ「顔立ちは悔しいけどにこよりも整ってるし、歌唱力だって抜群。さらにお嬢様で頭がいい」
にこ「これで何も持ってないなんて言われたらやってられないわ」
真姫「にこちゃん……」
にこ「でも戻れって命令はしない」
にこ「本当に音楽が嫌いになったのなら、笑顔で音楽なんてできないし、笑顔になれない人が笑顔にさせるなんてできっこない」
にこ「でも本当は音楽が好きで、戻りたいという気持ちが少しでもあるなら」
にこ「歓迎するわ」
海未「それに真姫のおかげで私たちも作曲ができるようになりましたし、安心してください」
希「それにピアノが弾けないならあえて別の楽器を弾いてみるのもええんやない」
真姫「別の楽器?」
考えたこともなかった。
私にとって音楽は、ピアノと編曲ソフトだったから
希「そう。別の楽器。それなら現状維持か、上手くなるしかないやん。今が一番下手なんやから」
穂乃果「真姫ちゃん」
52:

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