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穂乃果(大人)「やり遂げたよ…最後まで」


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劇場版の方に出てきてたバロ果さんのSSです。
2:
穂乃果「わたし、スクールアイドルやめます」
みんな「……っ!」
穂乃果「……」スタスタ
海未(穂乃果…!)タタタッ
パチ-ン!
穂乃果「あ……」
海未「貴方が…あなたがそんな人だとは思いませんでした…」
海未「あなたは最低です!」
…………………………
穂乃果(あれから数ヶ月…わたしが学校に行かなくなった間に、ことりちゃんはそのまま留学)
穂乃果(μ'sは解散したけど、にこちゃんとりんちゃんとはなよちゃんは新しいアイドルグループを結成したらしい)
穂乃果(そういう風に、雪穂と亜里沙ちゃんから聞いた…そこそこはやってるらしく、ラブライブのホームページを見てみたら確かにランキングは上の方だった)
穂乃果(あれからみんなとは連絡してない。もちろん、何度か家に来たこともあった。でも体調が悪いから、とお母さんに追い返してもらうのを繰り返すうちに、誰も家には来なくなった)
穂乃果「何してるんだろ、私…」
穂乃果(汗かいちゃったな…シャワー浴びよ…そいえばもうすぐ夏休か…)
穂乃果(まあ学校に行ってない私にとっては毎日が夏休みみたいなもんだけどね…)
3:
ほの母「穂乃果、学校の先生が夏休みの宿題だってワーク何冊か持ってきてたわよ…机の上置いといたから」
穂乃果「わかった、ありがとお母さん」
ほの母「その…無理にしようとしなくてもいいからね?将来も穂むらを継いでくれれば大丈夫だから…」
穂乃果「…うん、わかってる」
穂乃果(夏休みの宿題か…何書いてあるかわかんないだろうな、もう半年以上行ってないし)
穂乃果(………)ペラ
穂乃果(することないからやろうかと思ったけど…なに書いてあるか全然わかんないや)ペラペラ
穂乃果(あれ…でもこの数学の問題…ちょっとだけわかる気がする)
穂乃果(ちょっとやってみようかな)
4:
穂乃果「あれ、答え合ってる」
穂乃果(そいえば私理系得意なんだった)
穂乃果(次のページは……)
穂乃果(うーん、わかんないや)ゴロン
穂乃果(………)
穂乃果(……今年の四月くらいに、海未ちゃんが二年生分の教科書持ってきてくれたんだっけ、あれどこにやったっけ…)ガサゴソ
5:
ほの母「ほのかー、今日はご飯どうするのー?」
穂乃果「あとで食べるから置いといてー」
ほの母「じゃあ冷蔵庫に入れとくからね…」
穂乃果(あと三ページ…)カキカキ
…………………
穂乃果(1日で終わっちゃったよ…こんなこと海未ちゃんに言ったらびっくりするだろうな)
穂乃果(国語は…ダメだ、頭がいたくなるよ)
穂乃果(あ、でも理系の科学ならできるかも…教科書何処やったっけ)ガサゴソ
…………………………
穂乃果(結局数学と科学、生物がちょっとだけ終わった)
穂乃果(ただ転がって寝ては起きる、ご飯を食べたらまた寝る、なんて生活を繰り返していた私にとって、なにかをやり遂げる、ということは物凄い達成感だった)
穂乃果「ここだけがどうしてもわかんないんだけど…学校に行ったら教えて貰えるかな…」
穂乃果(…明日行ってみようかな、数学教えて貰ったらすぐ帰ろう)ボフッ
穂乃果(いつぶりだろう、外に出るのは…)
7:
……………………………
次の朝
穂乃果「いってきます」
ほの母「穂乃果!?どこに行くの…!?」
穂乃果「…ちょっと用事がね、すぐ帰るよ」
ほの母「わかったわ…気をつけてね」
ほの母(あの子…大丈夫かしら…そうだ、海未ちゃんに…)
………………
穂乃果「学校、への道って…こんなに、長かったっけ…」ゼエゼエ
穂乃果(あれ、こんな時間なのに部活してる…そうか、今は夏休みなのか)
凛「あれ、穂乃果ちゃん!?」
穂乃果「…凛ちゃん、久しぶり…」
凛「どうしたの?なにか用事?」
穂乃果「ちょっと職員室にね…」
穂乃果(嘘はついてないよね…)
凛「そうなんだ、もしよかったらあとで体育館に来てね!凛達練習してるから!それじゃまた後で!」タッタッタッ…
穂乃果「うん、また後でね」
穂乃果(練習って…やっぱりスクールアイドルのかな。まだ続けてるんだ)
8:
……………………………
ー職員室ー
穂乃果(朝電話したから大丈夫だよね、久しぶりだな、職員室…)トントン
穂乃果「失礼します、数学の…先生に用があって…」
ヒソヒソ、コウサカガトウコウシテキタゾ、ハントシブリカ?
先生「来たな、高坂。ここじゃなんだろう、教室に行こう」
穂乃果「…はい、わかりました」
…………………………
教室
先生「…一応言っておくが、私は別にお前に普通に学校に来て欲しいなんて無理にはいわない。生徒の好きにさせるのが私のモットーだからな。」
穂乃果「…ありがとうございます」
先生「あと、お前は三年一組な、と言っても生徒がほとんどいないから一クラスしかないんだけどな…担任は私だ」
穂乃果「……」
先生「よし、数学だったな、ワーク持ってきたか」
穂乃果「あ、ワークは一通り終わったんですけど、ここの問題がちょっと…」ペラ
先生(終わった!?あの高坂が!?ワークに手をつけただけでも衝撃だったのに…何があったんだ)
先生「よ、よし、そこはな…」
9:
……………………………
穂乃果「ありがとうございます、これで全部できました」ペコッ
穂乃果(やっぱり…たった2、3個の問題が解けただけなのにこの達成感)
先生(この短時間であの問題が理解できるとは…)
先生「高坂、お前塾でも行ってたのか?」
穂乃果「いえ、別に行っていないですけど…」
先生(それでこの理解力…何があったんだ一体…)
先生「高坂、もしよかったら明日から数学だけでも教えてやろうか?時間ならお前の都合がいい時間でいいが…」
穂乃果「本当ですか!?じゃあついでに理科の2科目も教えて欲しいんですけど…」
……………………………
職員室
穂乃果「今日はありがとうございました。また明日もよろしくお願いします」ペコリ
先生「ああ、また明日」
教頭「あ、高坂、さっき生徒会長が呼んでたぞ、生徒会室にこいだとよ」
高坂「わかりました、ありがとうございます」
高坂(生徒会長…?誰だろう?)
10:
……………………………
廊下
??「…????♪」
穂乃果「この歌声…」タタタ
真姫「?♪……穂乃果…?久しぶりね」
穂乃果「久しぶり真姫ちゃん。てっきり凛ちゃん達とスクールアイドルをしてるんだと思ってたけど…」ガララ
真姫「あぁ、あれね。私は曲は作るけどアイドルは引退。歌って踊るのは花陽と凛に任せてるわ」
穂乃果「そうなんだ…どうして?」
真姫「別に、特に理由なんてないわよ。ただ…」
穂乃果「ただ?」
真姫「その……なんでもない!忘れて!」
穂乃果「ええ、そんな…気になるよ!」
真姫「また今度!また会った時に教えるわよ!」
真姫「…それより、穂乃果はどうなのよ」
穂乃果「えっ私…私は…もう廃校になる心配はないんだし、ラブライブに出たって何になるわけではないんだし、別にいいかなって…」
真姫「そう…」
穂乃果「?」
真姫「いや、特に深い意味はないわ。じゃあそろそろ私は凛たちの様子を見てくるわ。またね」ガラ
穂乃果「うん…じゃあ、またね」
真姫(…………)
真姫(…私は…μ'sとして踊りたい。9人が揃わないのだったら私がアイドルをする意味は…)
11:
…………………………
生徒会室前
穂乃果(ここに来るのは部活申請をしに来た時以来…かな?)
穂乃果(懐かしいけど…ここにいるのはもう絵里ちゃんじゃないんだよね)
穂乃果「先生に言われてきました…ってあなた…!」
??「…ほぼ1年ぶりですね、穂乃果」
穂乃果「髪切ってたから一瞬だれだかわかんなかったよ…でも生徒会長なんて…大変そうなのに、海未ちゃんらしいね」
海未「そうでしょうか、ですがあの日以来、熱中することもなくなったので私には丁度いいくらいです」
穂乃果「…そう…それで、話って?」
海未「……どうして突然学校に来ようなんて思ったのですか?」
穂乃果「…夏休みの宿題のね、ワークをしてみたらすごく達成感でいっぱいになったの。でもわからない問題があって…」
海未「それで先生に質問をしに来た、ということですか」
穂乃果「うん、そんな感じ」
海未「…穂乃果らしくありませんね、勉強をして達成感が得られるなど」フフッ
穂乃果「海未ちゃん…」
海未「よろしければ私が勉強を見ましょうか?わからないことがたくさんあるでしょう」
穂乃果「いや…大丈夫、先生にみてもらうから。海未ちゃんも生徒会が忙しいでしょ」
海未「…そうですか、わかりました」
穂乃果「それじゃ、また今度…」ガチャ
海未「ええ、また今度」
海未(穂乃果…ニコリともしませんでしたね)
海未(…朝穂乃果の母上から電話で今日穂乃果が来る、と聞かされていたので他の元μ'sのメンバーにもなるべく普通に接してくれ、と頼んでおいたのですが…)
海未「穂乃果…私たちの知っているあの明るい穂乃果はもう何処かへ行ってしまったのでしょうか)
海未(…さみしいです、穂乃果、ことり)
12:
……………………
体育館
凛「あ、真姫ちゃんにゃー!」
花陽「もしかして真姫ちゃん、もう曲できたの!?」
真姫「一応はね…というか、昔から溜めていたメロディーを繋げただけなんだけど」
花陽「それでもすごいよ、真姫ちゃん!いつもありがとう」
真姫「別に…いいわよこれくらい。…それはそうと、さっき穂乃果が来てたわよ。海未の言ってた通りね」
凛「あ、真姫ちゃんも出会ったの?凛もさっき出会ったんだー!後で体育館に練習見に来てね、っていっておいたにゃー」
真姫「…あの様子だと、見学には来ないんじゃないかしら。そのまま家に帰ってると思うわよ」
凛「イエニカエッチャッタノオ!?」
花陽「凛ちゃん、それ私の…、というか、やっぱり来ないのかな…」
真姫「私が音楽室で会ってから一時間は経ってるし、来てないのだったらもう帰ってる頃だと思うわ」
花陽「そう、だよね…」
凛「うなんかさみしいにゃー…」
真姫「そんなもんよ、そもそも半年以上も引きこもってた穂乃果が学校に来ること自体奇跡みたいなものだし…てっきりもう学校なんてやめてるものかと思ってたけど」
凛「……」
花陽「…」
真姫「じゃ、私はそろそろ帰るから、音が悪かったりしたらまた連絡して」
花陽「うん、わかった。ありがとうね」
凛「ばいばーい!真姫ちゃん!」
13:
…………………………
穂乃果の部屋
穂乃果(先生から貰ったら新しいプリント…もうできちゃった)
穂乃果(もしかしたら私って勉強の才能あるのかも。どうして今までできなかったんだろう)
穂乃果(これからは暫くこれに集中してみようかな…嫌なことも忘れられるし)
?????????????
二ヶ月後
ヒソヒソアレコウサカサン?フトッタネ…マダガッコウヤメテナカッタンダネトユウカナンデイマサラキタンダロ…
穂乃果「………」
海未(穂乃果……)
先生「よーし授業始めるぞ、今日は99ページの…」
…………………………………
昼休み
海未「穂乃果、一緒にお弁当食べませんか、生徒会室なら人目も気にしなくてすみますし…」
穂乃果「ごめん、海未ちゃん。今日は食欲ないしお昼ご飯はいいや」カキカキ
海未「…わかりました、では私は生徒会室にいますのでもしお腹が空いたら来てくださいね」
穂乃果「……」カキカキ
14:
??????????????
一ヶ月後
ヒデコ「定期テストの結果は…あぁ!また負けちゃったよ…」
ミカ「へっへーん!夏休み勉強した甲斐があったよ!」
フミコ「…ねぇ今回の1位って…」
ヒデコ「…あぁ、噂で聞いたよ、穂乃果だってね」
ミカ「あの穂乃果が一位だなんて…」
海未「………」
15:
???????????
半年後
先生「…高坂、進路のことだが…」
穂乃果「えっと…特に考えてないんですけど…」
先生「…お前は将来なにがしたい?正直、今のお前の成績ならやれば行けない大学なんてないぞ。全国模試の10位に入るなんてよっぽどだからな…」
穂乃果「…なにがしたいか…」
穂乃果(夏休みからのこの一年間、勉強をすることでの達成感はあったけど、遊んだりしなかったから特にやりたいことなんて…)
先生「その顔は、やりたいことが見つからない、いや…わからないって顔だな」
穂乃果「…はい」
先生「この半年、お前を見ていて思ったが、お前はわからないところをわかろうとするとグッと集中してそれに取り組むことが多かった。…何かを研究するなんてのはどうだ。それもまだ誰もやろうとしてないのとなんかを」
穂乃果「研究、ですか…」
穂乃果(研究か…私は何がわからないんだろう…なにが知りたいんだろう。しばらく楽しい事も特にしてこなかったし…)
穂乃果(楽しい事?…もしあの時、ことりちゃんが留学する前、私が引き留めていたらどんな人生だったんだろう…楽しかったのかな)
穂乃果(もし、あの時に戻れたら…私はどんな道を選ぶんだろう。)
穂乃果(…やり直したい。みんなと笑っていられるような道を、歩んで見たかった。もし叶うなら…)
穂乃果「…時を、まきもどして…」
先生「え?」
穂乃果「…私、時間について研究したいです。…タイムマシンが作りたいです」
先生「……」
穂乃果「…すみません、夢見すぎですよね、考え直し…「いや、いいと思うぞ」
先生「それくらい難しいことを研究できる頭が、今のお前にはある」
穂乃果「先生…」
先生「お前に合いそう大学を調べてみよう。また明日にでも話そう」
穂乃果「わかりました、ありがとうございます」
先生「おう、また明日」
穂乃果「はい、失礼します」ガララピシャ
16:
????????????
十年後
穂乃果(28)「あれから十年」
穂乃果(私はアメリカの大学に留学して、そこを首席で卒業した後、そのままアメリカの研究所で研究をはじめた)
穂乃果(まずはじめに物質のテレポーテーションの研究をした。いくら時間を巻き戻せたとしても物が移動しなきゃ何にもならないからね)
穂乃果(これは二年くらいで簡単に完成した)
穂乃果(と言っても、その成果はまだ世間に発表していない)
穂乃果(研究所のみんなで話し合って、効果が確かなものになるまで黙っておくことにした)
穂乃果(そして次に時間の仕組みの解明)
穂乃果(これだけはどれだけ研究してもわからなかったんだけど、ある日ウチに届いた手紙にヒントのようなものが書いてあってそれを元に解明できた。あれはなんだったんだろう)
穂乃果(約8年にも及ぶ長い研究でわかったことをザックリと説明すると、時間は宇宙の始まりから終わりまで、私人間の歴史の何億倍もの時間を何度も繰り返している、ということがわかった)
穂乃果(要するに気が遠くなるほどの無限ループが起こっているのだ)
穂乃果(そして基本的に時間の流れに逆らうのは不可能だ)
穂乃果(だから私は時間の流れから取り残される方法を考えた)
穂乃果(難しい説明は省くけど、このテレビのリモコンくらいの大きさの機械で時間とかを設定して、自分の周り大体半径10mくらいを巻き込んで、長い長い長い歴史を通過した後、行きたい時間になるとタイムマシンが作動を止める。っていう予定なんだけど…)
穂乃果(ごめんね…ちょっと説明がわかりにくかったかな…?)
穂乃果(でもまあ、要するに、過去に戻ることはできても体が若返るわけではない。)
穂乃果(でも歴史への干渉は不可能ではないと思う。まだ誰も実験なんてしてないから、確かなことは言えないけど…)
穂乃果「そして、明日、私ははじめて、少なくともこの歴史では初めてタイムマシンで過去へ進む、もとい過去に戻る」
穂乃果(…ちょっと散歩しにいこうかな。)ガタッ
17:
………………………………
タイムズスクエア周辺
穂乃果(なんだろう、ここの辺りにくるといつも胸がドキドキするんだよね)
穂乃果「…はぁ……」
穂乃果(過去に戻って何をしたらいいんだろう…そもそも私は…)
??「あれ?穂乃果ちゃん?」
穂乃果(?…日本語…?)クルッ
??「久しぶりやね、元気やった?髪が伸びてるから話しかけようか迷ったんやけど…」
穂乃果「……そのお○ぱい…希ちゃん?」
希「なんやお○ぱいって」
18:
……………………………………
穂乃果の部屋
穂乃果「ごめんね、散らかってて」
希「いやいや、泊めてくれるだけで嬉しいよ。ありがと」
穂乃果「いいよ、そんなの…それにしても、すごいね、世界を旅してるなんて」
希「もともと転勤族やったしね、性にあってるみたいなんよ」
穂乃果「へえー、そうなんだ」
希「まあ、穂乃果ちゃんに会って話がしたいってのもあったんやけどね」
穂乃果「え?」
希「えーと…何から話せばええんやろか…」
希「穂乃果ちゃん、タイムマシンの研究してるんだって?」
穂乃果「どうしてそれを…」
希「いや、学校の先生とか穂乃果ちゃんのお母さんに聞けばわかるやん」
穂乃果「あ、そっか」
穂乃果「でもどうしてそれで私と話を?」
希「うーんとねー…」
希「うちね、タイムスリップできるんよ」
穂乃果「…は?」
19:
希「まあ、すぐ信じてくれんでもええよ、でも話だけら聞いて欲しい」
穂乃果「………うん」
希「うちはね、ずっと親の転勤続きで決まった友達なんておらんかったんよ」
希「いたとしても転勤してしまうせいですぐにバラバラ」
希「でも高校に入ってからは違った」
希「9人の歌の女神μ's」
希「一週目の世界では全員が揃わなかった」
希「二週目はウチが目立ちすぎて失敗した」
希「三週目は…ことりちゃんの留学があって…」
穂乃果「…それが今の私たち?」
希「そうやね…」
希「さっき、ウチもタイムスリップできる、っていったけど、自分からできるわけじゃないんよ」
希「なんか、それこそ漫画とかアニメみたいなループだも思うんよね」
希「多分なにか条件を満たさないと終わらないと思う」
希「みんな中学生に戻りたいーとか高校生に戻りたいーとか言うけどな、実際戻ってみると気が狂いそうになるほど辛いんよ」
20:
希「…もう亡くなった人が生きてる、けどその人がいつ死んじゃうか知ってる」
希「どんな本でもアニメでもドラマでも、展開が分かっていれば面白さだって半減する」
希「…それがどれだけ辛いことか」
希「とりあえずウチはラブライブに優勝するのを目的にがんばってるんよ」
希「多分そろそろ過去に帰る頃だと思う…そこでな「ちょっとまって」
穂乃果「ちょっとまってよ、希ちゃんはタイムスリップするとき、身体も元に戻るってこと?」
希「そうよ、穂乃果ちゃんのタイムマシンはどういう仕組みなん…?」
穂乃果「まだ使ってないからわかんないけど、多分そのままだと思う…」
希「それって、戻ったとしてどうやって生活するん?」
穂乃果「あー、その辺はとりあえずビジネスホテルとかでなんとかしようかなーと…」
希「…もしよかったら、うちで寝泊まりする?」
穂乃果「いいの?でも友達とかに見つかったら…」
希「じゃあ友達とかが帰ってきそうだったら連絡するよ」
穂乃果「ありがとう…助かるよ」
希「いいよいいよ、困った時はお互い様やん」
穂乃果「その…私が戻りたい理由とかって…」
希「別に、聞かんでも大体わかるよ、ウチと同じものってかんがえてええんやろ?何年先輩だと思ってるんよ」
穂乃果「そうでした、希先輩!」
希「じゃあそろそろ寝ようか、夜も遅いし」
穂乃果「そうだね、私もそろそろ寝ようかな」
希「じゃ、布団お借りしまーす」
穂乃果「はーい、おやすみー」
希「おやすみー」
21:
……………………………
穂乃果「……」カチカチ
穂乃果(ラブライブの公式ホームページ…流石にもうないよね…なにかヒントになりそうなことが見つかるかと思ったけど…)
穂乃果(また過去に帰って探してみよう…)
22:
…………………………………
次の朝
チュンチュン…
穂乃果「うーん…あれ、布団が二つある…」
穂乃果(あ、そうか希ちゃんが泊まったんだった)
穂乃果「希ちゃん、朝だよ」
希「……」
穂乃果「希ちゃん…?」
希「……」
穂乃果「もしかして…」ガサゴソ
穂乃果(よかった脈はある…)
ピパパポ
穂乃果「Excuse me. My friend is unconscious.…」
穂乃果(よし、救急車は呼んでおいた)
穂乃果「希ちゃん、すぐに行くからね」スッ
穂乃果(最後に研究所のみんなに挨拶していかなきゃ…)
23:
……………………………
穂乃果(よし、準備は整った)
穂乃果(日本円はある程度持ったし…携帯はいらないよね)
穂乃果(行き先は…音乃木坂、時間は…ちょうど私たちが1年生になった頃で)
穂乃果(…よし、スイッチを…)スッ
穂乃果(………)
ポチ
ビュオオオオオオオオオオオオオオ
穂乃果(…っ!凄い風…意識が…)
24:
????????????
???
穂乃果(う…ここは…?)
穂乃果(花畑…?あ、私死んだのかな…)
穂乃果(いや…この花畑…見覚えがあるような…そんな訳ないのに…)
穂乃果(あ…あの時…私がまだ幼い時飛び越えた…あの水溜りのような)
穂乃果(…ダメ…意識が…)
30:
穂乃果(大人)「………」
穂乃果(大人)「ここは…私の家の近く?」
穂乃果(そうか…成功…したのかな、タイム…スリップ…)
穂乃果(えっと…お金は…あった、これだけあれば暫くはなんとかなるよね)
穂乃果「とりあえず希ちゃんと合流しなきゃ」
穂乃果(希ちゃん本当に覚えててくれてるのかなぁ…)
31:
…………………………………
音乃木坂学院
希(………)
希(タイムスリップしてからだいたい半月が過ぎた)
希(まだ大人の穂乃果ちゃんとは出会っていない)
希「タイムマシン、完成せんかったんかなぁ…」ボソッ
絵里「え?どうかしたの?希」
希「いやいや、何でもない、ちょっと用事思い出しちゃって、先帰ってもええ?」
絵里「もう…またあの二年生のグループに首突っ込んでくるの?」
希「いや、そうじゃなくてちょっとね…」
希(まあ間違ってはないけど…)
絵里「まあいいわ、また明日生徒会の方の埋め合わせよろしくね?」
希「ほいほーい、じゃ、また明日な?」バタン
絵里「まったく…希ったら最近落ち着かないんだから」
32:
……………………………
校門前
穂乃果(大人)「どうしよう…ここまで来たのはいいけどこれじゃ私不審者だよね…」
穂乃果「…帰ろっと」
穂乃果(…帰るって…どこに帰るんだろう)
希「あー!」
穂乃果「!」ビクッ
希「久しぶりやん!探しよったんよ最近!もう会えんのんかと思って焦ったやん…」
穂乃果「ごめんごめん、ちょっとタイミングがずれちゃったみたいで…あはは」
希「もう…とりあえず、ここじゃなんだしウチくる?」
穂乃果「お願いします…」
37:
…………………………
希の部屋
希「とりあえず、これからの事を話し合おうか」
穂乃果「そうだね、この世界のμ'sはもう結成したの?」
希「いや、まだもうちょいやね、ついこの間ファーストライブがあったばっかり」
穂乃果「あれは緊張したなぁ…」
希「穂乃果ちゃん大変だったもんなぁ。3人でライブする前は色々と悩んでたみたいやし」
穂乃果「そうだよー、曲作りとか、真姫ちゃんのピアノを聴いてなかったら他のグループの曲を使うしかなかったわけだし…」
希「あ、それね、初めて真姫ちゃんのピアノを聴いたときのこと覚えてる?」
穂乃果「あー、屋上にいたら突然真姫ちゃんのピアノが聴こえてきたんだよね…ってどうして希ちゃんがそれを?」
希「あれねぇ…ウチが聴こえるようにしたんよ」ニシシ
穂乃果「えぇそんな…!」
希「だってあんなに教室離れてるのにあんなにハッキリと聞こえるわけないやん。窓も閉まってたみたいやし」
穂乃果「たしかに言われてみれば…でもどうやって?」
希「それはスピリチュアルパワーよ」ニシシシ
穂乃果「スピリチュアルパワー…なんて万能なの」
39:
穂乃果「それはそうとして、私はμ'sが上手くいくために何をしたらいいと思う?」
希「そうやね…しばらくはウチだけでμ'sは結成させられるから…あ、もちろんこの世界の穂乃果ちゃん達の力も必要だけどね?」
希「穂乃果ちゃんには…」
穂乃果「私は…?」
希「あ、そうだ、ちょっとタイムマシン見せてくれない?」
穂乃果「タイムマシンか…ちょっとまってよ…」ガサゴソ
穂乃果「あ…うそ…」
希「どうしたん?」
穂乃果「壊れちゃった…」ポロリ
40:
希「直せないの…?」
穂乃果「うん…この時代にはまだない部品も使ってるから…」
穂乃果「でも辛うじてテレポートの機能だけは使えるかな…」
希「テレポート!?そんなスピリチュアルなこと出来るん!?」
穂乃果「未来の技術を応用させれば簡単だったよ…この私の頭脳ならね!」
希「この世界の穂乃果ちゃんからは考えられんね…」
希「というか、その頭脳があるならちょっとだけでも直せないかな?必要なお金とかなら貸せるから…」
穂乃果「そうだね…しばらくすることも無さそうだしこれの修理に専念してみるよ」
希「うん、もしどうしても使わないといけない場面になったら使えるからね」
穂乃果「がんばってみるよ…」
41:
………………………………
希「じゃ、ウチ先にシャワー浴びるね」
穂乃果「はーい、あ、希ちゃん、パソコン借りてもいい?」
希「どうぞどうぞー、パスワードはかけてないから」
穂乃果「ありがとーう、では遠慮なく」ポチ-
穂乃果「<ラブライブ 公式ホームページ>…っと」タッタ-ン
穂乃果(うわー懐かしい、μ'sは…まだ下の方だね…メンバーも揃ってない)
<ラブライブ 運営委員>
穂乃果「あれ、こんなページあったんだ、昔は気づかなかったな」カチッ
穂乃果「……え…この名前って…」
76:
?????????????
7月初め
穂乃果(大人)(あれから大体2ヶ月)
穂乃果(希ちゃんの方は無事μ'sも結成できたらしく、練習で帰りが遅くなることが多くなってきた)
穂乃果(その頃私はタイムマシンの修理に挑戦していた。…でもやっぱり一人でこれの修理は難しいようで、一向に治る気配はみせない)
穂乃果(一度だけ使ってみたけど、できたのはちょっとしたテレポートだけで、時間の移動は無理だった)
穂乃果(その時もあの花畑を通ったんだけど、二度目だから耐性がついたのか、割とハッキリと意識を保っていられた)
穂乃果(まあ特に意味はないんだけどね…)
穂乃果(でも…やっぱりあの花畑…見たことある気がする…)
穂乃果(…うーん…頭が冴えない)
穂乃果(最近籠りっぱなしだしな…出かけても近所のコンビニとかだったし)
穂乃果「…気分転換にちょっと散歩に出てみようかな」ガタッ
77:
………………………………
秋葉原
穂乃果(そういえば…あのラブライブの運営委員長の名前)
穂乃果(希ちゃんにはまだ見せてない…)
穂乃果(しばらくμ'sのメンバーが揃うまで忙しそうだったし、特に絵里ちゃんの時なんか色々と頭を悩ませてたみたいだしね)
穂乃果(…まあ名前がたまたま同姓同名ってこともありえるし)
穂乃果(また夏休みにでも入ったら相談してみよう…)テクテク
穂乃果(それにして久しぶりにこんなに散歩したな、あんまり人目につかないように外出は控えてたんだけど…よく考えたら別に誰も私のこと穂乃果だなんて思わないよね)テクテク
穂乃果(うわー懐かしい、このクレープ屋さんまだ潰れてないんだ、大学卒業したあとにお正月で帰った時には潰れてたのに)
穂乃果(昔はよく海未ちゃんとことりちゃんと来てたよね…)グウウ
穂乃果「……」
穂乃果「食べてみようかな」
78:
…………………………………
店員「ありがとうございましたー」
穂乃果(クレープなんて久し振りだなー…ぱくっ)モグモグ
穂乃果(…んー!おいしい!やっぱりクレープはイチゴだよねー)
??「んー!おいしい!!やっぱりクレープはイチゴだよね!!」
穂乃果「!?」ゴクン
??「全く…太りますよ?そんなに食べてたら」
穂乃果(16)「いいじゃーん海未ちゃん!3日ぶりだよ!3日ぶり!」
海未「もう…それにしても、最近ことりは忙しそうですね」
穂乃果(16)「そうだよねー、彼氏でもできたのかな?」
海未「かかかかか彼氏!?破廉恥です!そんなの認められません!第一私達は仮にもアイドルですよ?彼氏なんてそんなもの…」ブツブツ
穂乃果(16)「じょ、冗談だよー、海未ちゃん、大丈夫だって、そんなことないよ!」
穂乃果(大人)「や、やっぱりあの2人って私と海未ちゃんだよね…」コソコソ
穂乃果(大人)(見つかっちゃったらまずいかな…うぅー…言いたいよーことりちゃんがメイド喫茶でバイトしてるって…)
穂乃果(大人)(でもここはとりあえず退散しとこう…)コソコソ
海未「ん?」
穂乃果(16)「どうしたの?海未ちゃん」
海未「いえ、今そこの物陰から視線を感じまして…」
穂乃果(16)「もう!海未ちゃんったら気にしすぎだよ!いくらスクールアイドルっていったってそんなに有名じゃないんだから…」
海未「いえ、油断は禁物です!穂乃果、今日は家まで送っていきます!さあ早く帰りますよ!」
穂乃果(16)「あぁ!ちょっと待ってよぉ、まだクレープ食べきってないのに…」アセアセ
海未(…さっきの視線は…誰だったのでしょうか…)
79:
…………………………………
希の部屋
希「ただいまんごー」
穂乃果「おかえりんごー」
希「はー疲れた、海未ちゃん最近また練習メニュー厳しくなってきたんよー…」セイフクヌギヌギ
穂乃果「そうなんだ、メンバーも揃ってしばらくたったし、海未ちゃんも張り切ってるのかなー」
穂乃果「そいえば今日海未ちゃんたち見たよ」
希「…え、海未ちゃん『たち』ってことはもしかして…」
穂乃果「うん、16歳の穂乃果も一緒にいた。2人でクレープ食べてたよ…」
希「そうかあ…今日はことりちゃんもおらんかったし、練習が早く終わったからかなぁ」
希「なんか話したん?」
穂乃果「ううん、なんか話しかけたらことりちゃんの事とか言っちゃいそうだったから、見つからないように帰ってきた」
希「そう…まあ正解かもね、海未ちゃんなんか鋭いし、もし変にに疑われたらまたバランスが崩れかねんし、これからはなるべく見つからんようにした方がええかもね」
穂乃果「うん、そうするよ」
希「じゃ、ウチは晩御飯の支度するねー、って言っても温めるだけやけど」ヨッコラセット
穂乃果「うん、お願いします」
穂乃果(高校生の穂乃果…楽しそうだったな…私もあの頃に戻れたら)
希「ほらえーらーくーていーいーんだーふーんふんふんふふーん…♪」チンッ
穂乃果(…………)
80:
????????????
希『みんな中学生に戻りたいーとか高校生に戻りたいーとか言うけどな、実際戻ってみると気が狂いそうになるほど辛いんよ』
希『…もう亡くなった人が生きてる、けどその人がいつ死んじゃうか知ってる』
希『どんな本でもアニメでもドラマでも、展開が分かっていれば面白さだって半減する』
希『…それがどれだけ辛いことか』
????????????
希「穂乃果ちゃん?どうかしたん?そんなに見つめて…照れるやん///」
穂乃果「あのね、希ちゃん…その…」
穂乃果「私にも何か手伝えることないっ?」
希「え、穂乃果ちゃんいつも掃除やら洗濯とかいろいろしてくれとるやん…」
穂乃果「あーいや、そういうことじゃなくて…なにか…うーん…」
希「………」
希「あ、じゃあそのタイムマシンちょっと貸してくれん?ウチでも使いこなせるもん?」
穂乃果「いいよいいよいくらでも!あ、でもまだ修理しきれてないから場所の移動しかできないんだけど…」
希「いいよいいよ、それだけできれば十分、場所の設定お願いしていい?秋葉原の???らへんなんやけど」
穂乃果「うん、わかったよ、でも何に使うの?」ポチポチカチカチ
希「多分、明日くらいにことりちゃんの秘密がバレると思うんよ…」
穂乃果「…?それと何の関係が…」ポチポチ ピッ
穂乃果「あ、この住所!この辺りってたしか…」
81:
希「そう、ことりちゃんのバイト先の近く!これがあれば前回みたいに全力ダッシュでことりちゃん捕まえに行かんですむんよ」ニシシ
穂乃果「なるほど、これで先回りしておくってことだね!」
希「そうそう、よし、晩ご飯の準備できたよー、食べよか」
穂乃果「はーい!いっただーきまーす!」モグモグ
希「いただきます」
穂乃果「あ、そうだ希ちゃん一つ言い忘れてた」モグモグ
希「?」モグモグ
穂乃果「あのね、タイムマシンを使うと移動してる間にちょっと夢のようなものを見るの」モグモグ
希「うん、食べ物が口にあるときに喋っちゃだめよ」
穂乃果「あ、ごめんさい」ゴクン
希「それで、夢を見るってことは気を失ってたりするの?」
穂乃果「どうなんだろう…私は1回目の時はちょっと気を失ってたみたいなんだけど…」
穂乃果「二回目に実験でやってみたときは夢は見たけどまばたきしたら目的地に着いてた、って感じかな」
希「そうか…今から一回練習しといた方がいいかな?」
穂乃果「うーん、今から使って壊れちゃったりしたら明日すぐ使えなくなるし、別に大丈夫じゃないかな?」
82:
穂乃果「もし不安なんだったら、マシンを使う直前に携帯のアラームを2分後とかに設定しておいたらすぐに気がつくと思うよ。私の経験上、夢は1分もないはずだし…」
希「そうやね、穂乃果ちゃんがそう言うんだったらそうするよ。でも不安やし、もしも5時半までにウチから連絡がなかったら探しに来てもらっていい?女子高生が道端で寝るのはいろいろとよろしくないし…」
穂乃果「わかった、覚えとくよ」
希「うん、ありがと」モグモグ
希「あ、それと穂乃果ちゃん」
穂乃果「なに?希ちゃん」
希「なにか手伝えることないか、って聞いてたよね?」
穂乃果「うん、そうだね」
希「じゃあ、ウチ明日も頑張るからあれいってほしいなぁ…」ニヤニヤ
穂乃果「あれ?なんのこと…?」
希「穂乃果ちゃんが人を応援するときに言うことって言ったらあれしかないやん、あれ一度言われてみたかったんよ」ニヤニヤ
穂乃果「あ、もしかしてそれって…」
穂乃果「ん''ん''っ…(咳払い)」///
穂乃果「ファイトだよ!希ちゃん!」///
86:
…………………………………
次の日、放課後
ことり「ヨキニハカラエミナノシュ-」
ことり「さらばっ」ダッ
ほのうみ「ああ!!」
ほのか「ことりちゃん!」タタタッ
希(………)
希(みんな行ったね)スッ
希(あんまり人目にはつかんようにせんと)タッ
希(路地裏に隠れて…っと)
希(誰も見てないね、よし)ドキドキ
希(何か緊張するな…)ドキドキ
希(携帯のアラームをセットして…っと)ポチポチ
希(スイッチオン!)ポチ-
ビュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
希(すごい風…っ空気ごと移動するってことかな…っ)
希(目が開けとけられん…っ)マブタギュッ
希(うっ…いま体が一瞬…浮いた?)フワッ
希(風が…止んだ…)スゥ
希(…………)
希「…ここは…?」
希(そうか…ここが穂乃果ちゃんが言ってた夢の中?明晰夢みたいなもんかな)
87:
希(それにしてもここ…学校?学校の階段の踊り場…にしてはやけに光が射し込んで幻想的やなぁ、窓の外、えらい花が舞いよるし…)
希(あ、絵里ち)
絵里<………>スタスタ
希「なんや難しい顔してんなぁ…そんな子にはわしわししたる!えいっ…」スッ
希(…ってあれ?さわれない?…まあ夢だし…今の私は幽霊みたいなもんなのかな…?そいえば絵里ちも全然気づいてなかったみたいだし)
希(ってことは…)
タタタタタタッ
希<ぁ、あの!>
絵里<…貴方は?>ジロッ
希<あ、あたし…>
希<ウチ、東條希!!>ニコッ
サアアアアア…
88:
????????????
秋葉原の住宅街
希「今のは…」
希(今のは夢?…夢って言うにはやけにリアルやったし…)
希(また帰ってから穂乃果ちゃんに質問してみよ)
タッタッタッタッ…
ことり「脱出ルートを決めておいてよかったぁ…」
ことり「ふぅ…」
希「み?ぃつけた♪」
ことり「ヒィッ」
希「これ以上逃げたらそのふくよかな胸をわしわしするよ??」
ことり「ごめんなさぁい…」シュン
希「ふっ…」
希(思った以上に上手くいったなあ…)ニシシ
90:
………………………………
希の部屋
希「ただいまきちゃん」
穂乃果「あ、おかえりんちゃーん」
穂乃果「一応パソコンに届いたメールは読んだけど…あれからどうだった?」
希「うん、前回の世界とほぼ同じよー、まあこの調子だったら後しばらくは普通に上手くいきそうかなー」
希「穂乃果ちゃんの『ファイトだよ!』のお陰かな?」ニヤニヤ
穂乃果「もぅ…//意外と恥ずかしいんだからね、あれ…」///
希「でも自信持っていいよ、本当に元気出てきた気がするし」ニシシ
穂乃果「そうかなぁ…//」
穂乃果「それはそうと、希がタイムマシンを使ってなにか怪我とかしてないか不安だったんだけど…何もなかった?」
希「うん、特に何もなかったよ。それと確かになんか夢も見たね、あれは明晰夢か何かなんかなぁ?)
穂乃果「うーん、どんなんだろう…明晰夢って夢の中で『あ、これ夢だ』って気づくことができるアレだよね?」
希「うん、そうそう」
穂乃果「明晰夢なのかなぁ…。希ちゃんも花畑と水溜りだった?」
希「え?水溜り?…いいや、ウチは普通に学校だったよ?そこでたしか…えっと…」
希「あれ?思い出せない…」
91:
穂乃果「学校?学校の風景を見たの?」
希「うん…あ、でも窓の外はすごい花が舞ってたしちょっとこの世とは違う神聖な雰囲気があったのは覚えてる…」
穂乃果「花が舞ってた…それは私と同じなんだ…」
穂乃果(どういうこと…?あれはタイムマシンを使う人によって見る風景が変わるってこと…?)
穂乃果(じゃあその風景ってのは…)
穂乃果「希ちゃん…学校って、学校のどの部屋だったの?」
希「いや、部屋とかじゃなくて、階段の踊り場…だった気がする…詳しくはなんだか思い出せないけど…」
穂乃果「花が舞ってた、ってのは窓の外に花畑が広がってた、とかそういうのはあった?」
希「うーん…どうだったっけ…とにかくすごい量の花びらが舞ってたからなぁ…花畑かぁ…あったような、なかったような…」
希「あはは、ちょっと疲れちゃったみたい。…シャワー浴びてくるね」
穂乃果「うん、お疲れ様です…晩ご飯の準備しとこうか?」
希「ううん、今日はすぐ寝ようかな…晩ご飯は穂乃果ちゃんだけで食べてて」
穂乃果「わかった、起こさないよう気をつけるね」
希「うん、お願いします」
穂乃果(…………)
92:
穂乃果(…………)
穂乃果(…どういうこと…?)
穂乃果(まず私達がみたあの世界は完全に夢だと仮定しよう)
穂乃果(さらに条件をなるべく少なくするために…とりあえず私がみた花畑は希ちゃんがみた夢にもあったものだと仮定)
穂乃果(学校の…踊り場…と、に水溜り…なにか共通点は…特に思い当たらないな、他には…)
穂乃果(水溜り、これは私がみた夢)
穂乃果(学校の踊り場、これは希ちゃんがみた夢)
穂乃果(水溜りは私にとって…思い出せないけど何か昔の私にとって大きな出来事があったような気がする…)
穂乃果(学校…踊り場…希ちゃんにとって踊り場…つまり階段とは、何か思い出深いものがあったのだろうか…)
穂乃果(もし覚えてないだけでこの2つが私達にとって思い出深い風景なのだとしたら、タイムマシンを使うときは必ず思い出深い風景の夢をみる、ということ?)
94:
穂乃果(夢、というのは記憶の整理だということを聞いたことがある…記憶の整理?整理する、ということは当たり前だけど人間の容量には限界があるということ…まあ人は寝ている間でも記憶は蓄積されるって言うし…寝ている間?
つまり意識が覚醒していない間?
まって、まって、私はタイムマシンを『距離を無視した移動が可能になる』『長い長い長い歴史を通過する』ことができるマシンだと思っている。
いやまあ私が作ったんだからその通りだろう。この際『距離を無視した移動が可能になる』というのは置いておこう。これはほとんど解析されているから問題ない。
95:
(問題は『長い長い長い歴史を通過する』という機能…私はタイムマシンを使うと周りの時の経過を止めれるものだと考えていた…ただもし仮に時の経過が止まっているのだとしたら夢なんて見るのだろうか?
夢をみる、ということはある程度時間が立っているということ…つまり希ちゃんが使ったとき、瞬間的に移動してその先で目が覚めたように思えていたけど…目が覚めた!?
目が覚めだということは寝ていたという動かない証拠じゃないか!!
どうして気づかなかったんだ!!
そういえば私が初めて使った時も移動した直後気を失っていた…つまり夢をみていた!!
だとすると私はどれだけの間眠っていた…?
体が老化していない、というところを見ると身体自体はほぼ完全に時間の流れを止めることができた、代謝はおこなわれていなかった、ということなんだろうけど…脳はどうなんだ?
96:
(私がタイムマシンを初めて使った後目を覚ましたとき、確かに夢をみた記憶はあった。いまも僅かだけど覚えている…
ということは夢を見たのは確かなんだろう…要するに脳は起きていた。起きていたということか。
確かによく考えてみれば完全に仕組みが解明されていないような物を思い通りに時間を止めるなんてそもそも可能なのか?
時間を止めるということ自体冷静に考えれば物凄いことだ。
97:
(…………つまり、簡単にいうと、私は私がタイムマシンを使ってから、人類が滅んで、地球がなくなって、宇宙が無くなり、世界が終わった後。
世界が一から生まれ、宇宙が誕生し、地球が出来上がり、確かかどうかはわからないが、3.34÷10^100%の確率の奇跡が起こり生物が誕生し、それが長い時間をかけて進化し人間になり。
その人間が文明を築き上げ、何度もの戦争を繰り返し、そして私たちが生まれ高校2年になったこの時間まで。
そんな気が遠くなるような長い時間、ひたすら夢を見て記憶の整理をし続けていた、ということ…?
98:
(そんな長い時間、いくら寝ていて、ほぼ全ての情報が遮断されていたとしても、人間の記憶の容量は限界を超えるのではないか…?
私は私の記憶を全て覚えているのか…?
…家族は、お父さん、お母さん、雪穂。
μ'sのメンバーは私、海未ちゃん、ことりちゃん、真姫ちゃん、花陽ちゃん、凛ちゃん、絵里ちゃん、にこちゃん、そして希ちゃん。
クラスにはヒデコにフミコにミカに…大丈夫、人は覚えてる…はず。
私の担任先生は…たしか三年間ずっと同じで…ボーイッシュな先生だった…たしかモットーは………モットー…?
モットーなんてあったけあの人に…いやなかった…?あれ…おかしい、おかしいよ、
私は何を、何が?したかったんだっけ、え、進路、しんろ、えっと、何がしたくてアメリカに…ことりちゃん?…ことりちゃんを追いかけて?
…ちがう、もっと違ったはず。はず。
えっと、えっ?えっ?わたしは、私わ、わたしは、名前?名前?希!東條?雪穂?穂乃果?そのだ?あ、高坂!
ちがうちがうちがうはなよ!かよ!そら?ほしぞら?ことり?えっ?
えっ?えっえっえっえっえっえっえっえっえっえっえっえっえっえっ
「穂乃果ちゃんっ!!!」
100:
希「穂乃果ちゃんっ!!!!大丈夫!?」
穂乃果「え…私なんで床に…夢…どのまでが…?」
希「穂乃果ちゃん、ウチがシャワーからあがったら床に倒れとったんよ!?すごいうなされとるし熱はあるし…大丈夫!?」
穂乃果「うん…たぶん、考え事しすぎたんだと思う…」フラフラ
希「もう今日は早く休み!着替え持ってくるから…って汗びっしょりやん、シャワー浴びてきなさい!」
穂乃果「うん…」フラフラ
希「寝巻きもってくるから…って…穂乃果ちゃん…フラフラやん…そんなんでシャワー浴びれる?」
穂乃果「…ごめん…一人じゃ無理かも…」
希「もう…しょうがないなぁ…まあ風呂場で頭打って死なれても困るし…そんな汗で寝ても風邪ひいちゃうしね…」
113:
……………………………
風呂場
ワシャワシャワシャワシャ
希「どこか痒いところありませんか?」
穂乃果「…うん」
希「じゃあお湯かけますね?」シャアア
穂乃果「…うん」
希「顔にお湯かけますよ?」シャアア
穂乃果「…うん」
希(子供か……)シャアアアアアア
希「穂乃果ちゃん、湯船つかる?」
穂乃果「…うん」
希「じゃ、うちは先にでとくから、寝巻きは棚の…「希ちゃんも一緒がいい」
穂乃果「ダメ…?」
希「……!」
希(冷静に考えろ、ウチ、相手はもうすぐ30になろうとしてる大人だ、お姉さんと呼ぶことのできるギリギリの年齢に達しつつある女性…)
希(何をこんなにドキドキしとるんで…?いやそういう意味じゃなくて)
希(何というかその……穂乃果ちゃんは何年経っても穂乃果ちゃんなんだろうなあ)ポチャン
114:
穂乃果(さっきの夢は…というか何処からが夢なんだろう…タイムマシンの仕組みって…)
穂乃果(よく考えてみたら、タイムマシンの仕組みもいくつかの肝心な部分は自分の力で開発したわけではなく、昔届いた手紙に書いてあったヒントに頼りきっているところもあるから、不明瞭な部分も多い…)
穂乃果(今考えるとなんであんな代物が使うことができたんだろう…)
穂乃果(でももしさっき考えた事が本当だったりしたら…)
穂乃果(私達の思い出は…)
希「………」
希(やばい…穂乃果ちゃんこの歳でもまだ肌すべすべ…)サスサス
穂乃果「…希ちゃん」
希「はいっ!何でございましょう!」チャプン
希(ええ…触られるの嫌だったんかな…)
穂乃果「あのね、希ちゃんは…学校の踊り場の夢を見たって言ってたよね?」
希「うん…確かそうだったと思う」
希(よかった怒られはせんみたい…)
穂乃果「そこで何か、大切な思い出とかあったりしなかった?」
希「思い出……うーん…あったようななかったような…」
穂乃果「そっか、ありがと」チャプン
115:
希(何だったの…?怒ってるわけじゃなさそうやし…)
希「穂乃果ちゃん、それはさっきうなされてた事に関係すること?」
穂乃果「…うん…関係…あると思う」
希「…じゃあ、そんなこと、一回考えるのやめようや」
穂乃果「…え、でも…」
希「そんなん、使わんかったら別に大した問題やないんやろ?だったら足しばらく使わんかったらええんよ」
穂乃果「まあ、たしかにそうだけど…」
希「…最近の、というか私が再開してからの穂乃果ちゃん、全然楽しくなさそう」
穂乃果「楽しく…?」
希「うん。学校の成績が1位になったときも、勉強そのものが目的になってるから嬉しそうな様子は全くなかった、って海未ちゃんも言いよったし、タイムマシンの研究をする時も、作って過去に戻ること自体が目的で、正直何がしたいかなんて考えてなかったんとちがう?」
穂乃果「何が、したいか……」
希「………」
穂乃果「………私…何のために「カラオケ行こう!」
穂乃果「…へ?」
希「だから!カラオケに行って歌おう!今から!」
穂乃果「い、今から?どうして?」
希「そんなの決まっとるやん!楽しいことしたいからよ!」
116:
…………………………………
近所のカラオケ
穂乃果「来たのはいいけど…」
穂乃果(…そういえば、高校卒業してから、いいやμ'sが解散してから歌なんて歌ったことあったっけ…)
希「じゃあウチが適当に入れてくからそれ一緒に歌おう!」
穂乃果「う、うん、わかったよ…」
穂乃果(歌なんて…今更歌っていいのかな…私…)
希「?????♪」
穂乃果(希ちゃん歌上手だなあ…そりゃそうだよね、現役でスクールアイドルなんだし)
希「??♪、はい、穂乃果ちゃんのパート!」マイクヒョイ
穂乃果「え…え、私?」
希「そうよ!今日はそのために来たんだから!」
穂乃果「わ、わかったよ…」スゥ
穂乃果「???♪」
穂乃果(あ、楽しい)
穂乃果(何年ぶりだろ、歌ったのなんて)
穂乃果「???????♪」
希「…………」ニコニコ
117:
………………………………
帰り道
希「いや?楽しかったね!」
穂乃果「…うん、久しぶりにこんなに楽しいって思えた。ありがと希ちゃん」
希「いやいや、ウチも楽しかったし」
希「それより穂乃果ちゃん、最後の方にウチが歌った英語の曲があるやん?」
穂乃果「ああ、あのちょっと昔のラブソング…?」
希「うん、あれの題名ね、日本語にすると『時が過ぎ行くままに』って意味になるんよ」
穂乃果「時が過ぎ行くままに…」
希「そう、今の穂乃果ちゃんは、見よっても何かしなきゃって思うだけで何をしたいかがわかってないような感じなんよね。ただ時間を過ごしてるだけ」
希「何のためにこの時間に戻ってきたのか、わからなくなっちゃったんだったら、一度全部忘れて何がしたいかってことだけを考えてみたら?」
穂乃果「何の、ために…」
穂乃果(私は、何がしたいか…)
希「…ゆっくりでええけ、じっくり考えてみて。ウチはそれを応援したいから」
穂乃果「……うん」
118:
??????????
8月上旬 夜
穂乃果(私は、何がしたいのか)
穂乃果(あれからじっくり考えてみた)
穂乃果(そもそも私は、もしことりちゃんの留学を止めることが出来ていたら、楽しい高校生活が送れたのかな…って思って、タイムマシンを作った)
穂乃果(…ことりちゃんの、留学を)
穂乃果(…私が、ことりちゃんの留学を止めることができずに、その上引きこもってしまったから、私はこのある意味失敗した人生を歩んでしまった)
穂乃果(だったらせめて、この時間の穂乃果には楽しい思いをさせてあげたい)
穂乃果(そんな私を見ることができたら、きっと私も楽しい気持ちになれるはず)
穂乃果(そう考えた私は、希ちゃんに思ったことをそのまま伝えた)
穂乃果(希ちゃんは、驚きも否定したりもせず、ただ『そう言うと思ってた』と言ってくれた)
穂乃果(……だから私は思い切って希ちゃんにあの事を相談した)
119:
穂乃果「希ちゃん希ちゃん、これからしばらく、また忙しい?」
希「うーん…合宿も終わったししばらくはゆっくりかな…文化祭の準備が始まったら大忙しやけど」
穂乃果「…そのね、希ちゃんにずっと聞いてみようかと思ってたことがあるんだけど…」
希「ん?どういう?」
穂乃果「このホームページなんだけど…」
希「ああ、ラブライブやね、これがどうかしたん?」
穂乃果「この運営委員の紹介ページ…」
穂乃果「…希ちゃん、この名前って…」
希「…え…これって…」
<ラブライブ 運営委員長 東條希>
希「ウチの…名前?」
120:
穂乃果「希ちゃん…ラブライブの運営委員長だったの…?」
希「いや…知らんよ、こんなん…」
穂乃果「どういうことなんだろう…同姓同名?」
希「東條希なんて名前そうそうある名前だとは思えないけど…」
希「あ、電話番号のってる…運営委員会の」
穂乃果「何度か電話してみようか迷ったんだけど…結局してなくて」
希「…してみよか」
穂乃果「…しちゃうの?」
希「うん、この人が本当にただの同姓同名なのか、それともタイムマシンとか使ってまた戻ってきたウチなのか」
希「もし同姓同名じゃないんだったら、いろいろ話とか聞きたいし」ピポパポ
希「あ、スピーカーモードにしとくね」トゥルルルル
穂乃果「うん…」トゥルルルル
121:
…トゥルルルル…トゥルル ガチャ
??「…貴方が今日電話してくることは、わかってたよ」
穂乃果(ん?この声どこかで…)
希「その声…もしかして」
??「私、高坂穂乃果!」
132:
???????????
秋葉原の喫茶店
穂乃果(?)「ごめんね、こんな時間に呼び出して」
希「いえいえ…こちらこそこんな時間に電話しちゃって」
穂乃果(?)「あ、ドーナツとコーヒー3つづつお願いします。」
店員「かしこまりました」
希(ドーナツ?)
穂乃果(大人)「それより!どうして穂乃果が2人もいるの?私の方が微妙に若いけど!またタイムマシンで戻ってきたってこと?それとも別の私ってこと?…ああもうわけわかんない!」
穂乃果(?)「ふふ、私も当時は全く同じ反応したな、まあ同じ人間なんだし当たり前だよね」
希「同じ人間って…やっぱり貴方はタイムマシンを使って戻ってきた穂乃果、ってことですか?」
穂乃果(?)「そうだね…まあ間違ってはいないかな。とりあえず、紛らわしいし私の事は高坂、って呼んでほしいな。あと私があなたのことを呼ぶ時は穂乃果、って呼ぶから」
高坂「私の先輩の私もそうしてたから」
穂乃果(大人)「ああもう…わけわかんないよ…」
希「まあまあ、落ち着いて、とりあえず高坂さんから詳しい話を聞いてみようよ穂乃果ちゃん」
高坂「あ、ごめんね、そのことなんだけど…今私からは全ての事については説明できないんだ」
高坂「私から説明できるのは3つ」
穂乃果「ええー、いろいろ聞きたいことあるのに…」
希「穂乃果ちゃん、とりあえずはその3つを聞いてみようよ」
高坂「ありがとう、希ちゃん、やっぱりどの世界でも希ちゃんは頼りになるね」
133:
希「……」
穂乃果「……」
高坂「そんな難しそうな顔しないでよ、2人とも。まあ昔の私もそうしてたんだからしょうがないんだけど…」
高坂「まず1つ目。私はあなた達が想像した通り、タイムマシンを使って戻ってきた高坂穂乃果。詳しく言うと、一度タイムマシンを作ってこの時間に戻ってきた後、またタイムマシンを使って戻ってきた高坂穂乃。」
高坂「あ、もうホームページを見てもらったと思うけど、希ちゃんも同じように戻ってきてる。スピリチュアルパワーじゃなくてタイムマシンで」
134:
高坂「それから2つ目。穂乃果、今のあなたの時間についての認識は間違ってる。」
穂乃果「え?」
高坂「あなたは時間は何度も繰り返すもの、簡単に言うと輪っかようなもの、って認識をしてタイムマシンを作ったのよね」
穂乃果「うん…あ、はい。」
高坂「タメ口でいいよ、そんな」アハハ
高坂「だけどね、実際はちょっと惜しい感じかな。輪っかのようになっている、って認識は正しい。でも、希ちゃんが体験してきた1周目、2週目、3週目の世界があるよね。あれはそれぞれ別の世界線なんだ。」
希「別の…世界線…?」
店員「お待たせしましたー、ドーナツとコーヒーです」
高坂「あ、ありがとうございます。」
希「あの…」
高坂「あぁ、いいよ、今日はお姉さんが奢ってやろう、この中で一番最年長なんだしね」
穂乃果「じゃあ遠慮なく…」
高坂「あ、ちょっと食べるのは待って」
135:
希「あの…世界線ってどういう…」
高坂「そうだね…じゃあこのドーナツを使って説明してみようか。3つ縦に重ねて…っと」
希(そういうことか)
高坂「ここに3つのドーナツの塔があるね?この一番上のドーナツが今私達のいる、高坂穂乃果が3人存在している世界。」
高坂「そして、真ん中のドーナツがあなた達がついこの間までいた世界。ことりちゃんが留学してしまった世界。つまり穂乃果がタイムマシンを作った世界ね。」
高坂「そして一番下のドーナツが希ちゃんだけが体験した世界。私も、そこの穂乃果も知らない。希ちゃんだけが知っている世界。」
高坂「そしてこの下にも、上にもどんどん世界が繋がっているんだろうけど、私と希ちゃんが認識しているのはこの範囲だけ。」
136:
高坂「穂乃果が今持っているタイムマシンは壊れちゃってるでしょ?それは、世界線の移動に耐えられなかった証拠。まあ同じ時間を移動するようにしか設計していなかったんだから壊れちゃうのも当たり前だけどね。」
高坂「そして安心して欲しい、穂乃果。タイムマシンはあなたが思ってるような恐ろしい機械じゃない。」
高坂「確かに、あれは脳の働きまでを止めることはできないけど、極限まで抑えることはできる。無闇に記憶が消えたりすることもない」
高坂「ただ、もしも何かあったときのために、使ってる人が一番覚えていること、大切な思い出だったり、後悔していることだったり、衝撃的だったことだったり…
つまり一番容量の大きな記憶を忘れさせて、容量に空きを作っているだけ。その記憶もちょっとしたことで思い出せる」
高坂「どう?少しは理解できた?」
希「うーん…なにがなんだかさっぱり…」
137:
穂乃果「……うん、できた、大体は…」
希「え、ウソ、理解できたん…?」
穂乃果「ザックリとはね。この話が本当なんだったらタイムマシンが壊れちゃった理由も説明できるし…」
高坂「理解が早くて助かるよ、さすが私」
穂乃果「…あの、途中で通った花畑、というか夢があるじゃないですか、あれは何なのかわかりますか?」
高坂「あれはねー、正直完全に理解してはない。でも恐らく記憶を消すときに、脳がそれを拒否して矛盾が生じる影響でみるものだとは思う。」
高坂「まあ要するに夢だよ」
138:
高坂「私が希ちゃんと一緒にタイムマシンを使った時は、2人も別の場所を通ってきたからね…。私、というか高坂穂乃果の場合は、あの花畑と大きな水溜りの夢を見るんだと思う。あったでしょ?大きな水溜り」
穂乃果「ああ、そういえばありましたね…あの水溜りってもしかして」
高坂「そう。多分あれは私達が幼い頃に飛び越えようとして、飛び越えることができなかった公園の水溜りのことが大きく影響してるんだと思う。」
穂乃果(…!そうだ!あの水溜り…昔公園で海未ちゃんとことりちゃんと遊んだ時の…!)
穂乃果(なんでこんな大きなことをいままで忘れてたんだろう…)
穂乃果(…そういえば私は、結局あれを飛び越えることはできずに諦めて帰ったんだっけ…)
希(もう何話しよるかさっぱりわからん…)プスプス
139:
高坂「まあ私達、高坂穂乃果の場合は人生における大きな分岐点のようなものなんだと思う。実際、ある意味失敗してしまった世界線の私達は飛び越える事が出来なかったけど、この世界線の穂乃果はどうやら私達とは違う結果になってるらしいし…」
穂乃果「私達とは…違う結果に…」
高坂「いーの。すぐにわかるから」
穂乃果「うー、気になる…」
希「」プスプス
高坂「そして3つ目の話は、希ちゃん、あなたに話しておきたい話」
希「…はっ」プスン
希「えっと…ウチ?」
140:
高坂「うん。というか謝らないといけないことかな。」
希「謝る?」
高坂「うん、ごめんね、実はあなたの部屋に入って印鑑とかその他諸々借りたことがあるんだ、結構前に」
希「ええ!?なんでそんなこと…」
希「あ、……もしかして」
高坂「うん、そのもしかして。もう見てもらったと思うけど、ラブライブ運営委員会の委員長は希ちゃん、あなただよ」
希「ウチが、ラブライブ運営委員会の、委員長…」
高坂「まあ正確にはこの世界線でやるべきことをやり終えて、もう一度私と一緒に戻ってきた希ちゃんだけども。書類上はあなた、ということになってる」
高坂「いまその希ちゃんは大人の都合で出かけてるんだけど…」
高坂「そのラブライブ運営委員会をつくるとき、色々と書類にサインとか必要だったし、その…戸籍とか諸々難しいことを誤魔化すために希ちゃんの印鑑とかを借りたんだ」
高坂「ごめんね、あとから説明するとはいえこんなことしちゃって…」
希「いえ、そういうことなら別に…」
高坂「ありがとう、希ちゃんならそう言ってくれると思ってた。というか知ってた」
希「……」
141:
高坂「さて、これで今の私から話しておくべきことは全部話したよ。なにか質問はある?」
穂乃果「いや、私からは特に…」
希「ウチも、今聞いたことでいっぱいいっぱいで…」
高坂「じゃあそろそろ解散にしよっか。あ、それと穂乃果。」
穂乃果「?」
高坂「あなたは来年の4月までは絶対にこの世界線の穂乃果に姿を見られてはだめ。いろいろと上手くいかなくなる可能性があるからね。」
穂乃果「?…わかりました、気をつけます」
高坂「それじゃ、次会うのは…いつになるだろ、まあまた必要になったら私から連絡するよ」
143:
………………………………
希の部屋
希「なんか変な感覚やったわ…目の前に穂乃果ちゃんが2人…」
穂乃果「まあ確かに…でもよかったよ、話が聞けて」
穂乃果「また頭の中で整理しないとごっちゃになっちゃうけど…」
希「うん…正直ウチもほとんど理解してないわ…」
希「ウチが運営委員長…?それってラブライブには出られるんかな…許可とか…あれ?
でも運営委員長はウチだし…ん?ん??」
希「わけわからん…寝よ…」プスプス
穂乃果(…でもよかった…タイムマシンを使うリスクが記憶喪失なんかじゃなく物忘れ程度で…)
穂乃果(でも………)
穂乃果(私は何を忘れていたのか高坂さんのお陰で思い出せたけど…)
穂乃果(…希ちゃんは何を忘れたんだろう)
穂乃果(何かこれから必要なことじゃないといいけど…)
穂乃果(…まあ、いつか思い出すかな…?)
穂乃果(それにしても4月まで姿を見られたらダメだって…高坂さんは言ってたけど…)
穂乃果(いつかのクレープの時に見つかんないようにしてよかった…)
穂乃果(それにしても上手くいかなるって…見つからなかったら上手くいくってこと…?)ウトウト
穂乃果(でも上手くいくってのはどういう…)ウトウト
穂乃果(…よくわかんないや、頭がパンクしそう…今日はもう寝よう…)バタッ
159:
??????????????
一週間後
穂乃果(高坂さんと出会ってから一週間過ぎた)
穂乃果(あれ以降連絡は特にない)
穂乃果(『上手くいかなくなる可能性があるからね』って高坂さんは言ってたけど…)
穂乃果(上手くいく、っていうのはやっぱりラブライブ優勝、とかなのかな…希ちゃんはそれが目標みたいだし)
穂乃果(いや、でも流石に優勝はないか…A-RISEだっているんだし、他にも全国にはたくさんスクールアイドルはいるんだから…)
穂乃果(まあ、優勝とまでは行かなくてもラブライブ出場くらいはさせてあげたいな…)
穂乃果(でもμ'sがラブライブを辞退したのって、私が文化祭で倒れた次の日だから…)
穂乃果(それは希ちゃんにみんなを説得してもらうようにお願いするか…)
穂乃果(でも、引きこもったほのかを家から連れ出すのは…)
穂乃果(なにか…いい方法を考えないと…)
160:
????????????
学校
希(高坂さんと会ってから一週間)
希(音ノ木坂では文化祭の準備が始まっていた)
希(もちろん運営の生徒会にとっては年間を通して一番の行事、ということもあり、他の行事の何倍も気合が入っているように感じた)
希(…まあ生徒会ってウチと絵里ちなんやけど)
希「絵里ち、ウチ実行委員会の連絡プリント印刷しに行ってくるわ」
絵里「あ、じゃあ私も行くわ、他にも印刷したいプリントあるし」ガタッ
希「ほないこーかー」ガチャ
161:
…………………………………
廊下
希「ふぅ…この印刷が終わったらちょっと部室の方に顔出してみよか」テクテク
絵里「そうね、なんだか今日はほのかと凛が海未に怒られそうなことをしてそうな気がするわ」テクテク
希「奇遇やね、ウチもそう思ってた」テクテク
希「あ」
希「……………」
絵里「…………」
絵里「…窓ガラスが割れて廊下に破片が散らばって通れないわ」
希「…ちょっと遠いけど一年生の階段から行こうか」
絵里「…ええ、そうね」
絵里「…それにしてもどうしてガラスなんか割れたのかしら…ここ3階よ?グラウンドからずいぶん離れてるのに…」
162:
…………………………………
凛「ほのかちゃん!そっちは!?」キョロキョロ
ほのか「大丈夫!私達のこと見失ったみたい!」キョロキョロ
凛「よーし、今のうちに部室に…」ソ
ソソ…
ほのか「海未ちゃんに見つからないうちに…」ソソソ…
海未「おや、誰に見つからないように、とおっしゃいました?」ニコニコ
ほのか「ひぃ!」ガタガタ
凛「海未ちゃん!」ガタガタ
海未「もう逃げられませんよ…!」
ほのりん「ごめんなさぁぁぁい…」
花陽「いくら部室にボールがあったからって廊下でキャッチボールしなくても…」
にこ「しかも凛、フルスイングで投げるって…」
真姫「イミワカンナイ…」カミノケクルクル
ことり「わ、わたし、先生呼んでくるね…?」
163:
………………………………
廊下 階段
希(あ、この階段、あの夢で見た…)テクテク
絵里「あら、懐かしいわね、この階段。進級してからはあまり通らなかったけど…」
希「え、この階段がどうかしたん?」
絵里「…希、もしかして覚えてないの…?…意外に薄情なのね、希…」
希「い、いやぁウチ最近物忘れ酷くて……ごめん!」
絵里「ふふ、冗談よ冗談。まあ学校の階段なんてどこも同じような物だしね。」
絵里「私と希が知り合ったのは入学してすぐで、ここは一年生の教室の近くよ?」
希(知り合ったのは…?あれ、よく考えたらウチ、どうやって絵里ちと知り合ったんやっけ…)
絵里「あの時の希ったら、今みたいな落ち着いた雰囲気がなくて子供みたいだったわよね」ウフフ
希(子供みたい?子供みたいってのとはウチがこの口調にする前…あれ、ウチが口調変えたのって)
希「ここで初めて絵里ちに声かけたんか、ウチ…」
絵里「そうよ、やっと思い出した?全く、本当に忘れちゃったのかと思って焦っちゃったわ」
希「ははは、ごめんごめん…」
希(…ってことは、ウチがタイムマシンの影響で忘れてたのは絵里ちとの出会い…ってこと?)
希(なんか…すごい大切なことを忘れてたのに思ったより呆気なく思い出せたわ…)
絵里「希?どうかしたの?」
希「いやいや、何でもないよ、早く印刷して部室の様子見に行こ!」
絵里「そうね、さっさと済ませちゃいましょう」ウィ-ン
164:
……………………………………
希の部屋
希「ただいまきりんぱな」
穂乃果「おかえりちゃん」
希「うふふふ」
穂乃果「うふふふ」
希「…あ、そういえば、今日の昼のことなんだけど…」
…………………………………
希「……てな感じでね、無事思い出せたよ」
穂乃果「…なるほど、よかった…希ちゃんがちゃんと思い出せて」
希「うん…思ったよりすんなりと思い出せて拍子抜けしたんやけど…」
穂乃果「まあ忘れてもすぐ思い出せる、って理由もあるのかもね。タイムマシンを使って消える記憶に選ばれたのは」
希「そうなんかなあ…まあそこは穂乃果ちゃんの方が詳しいだろうからそうなんだろうけど」
穂乃果「これで2人ともお互いの消える記憶がわかったから、次から使うときはお互いが覚えていれば全く問題なくなるね」
希「そういうことやね」
165:
穂乃果「それはそうと、もうすぐ文化祭だよね?」
希「うん、今日もいろいろと準備してきたんよ」
穂乃果「文化祭当日って、たしか私が倒れて、そこから色々な事が重なって…」
希「…そうやね、ここからがμ'sの運命を左右する正念場、ってことになるね…」
穂乃果「…希ちゃん、文化祭の前の日ってたしか雨だったよね…?」
希「うーんと…そうやね、前の日の夜から文化祭にかけて雨が降ったんだっけ」
穂乃果「だったよね、…実は私、文化祭の前の日の夜、少しでもみんなの足を引っ張らないようにってランニングに行っちゃったんだ…」
希「………」
希「…それが、倒れた原因?」
穂乃果「たぶん…そうだと思う」
穂乃果「だから希ちゃん、文化祭の前の日になったらほのかに無理しないようにって伝えてくれない…?」
希「うん、わかった。それとなく伝えるようにするよ」
穂乃果「ありがとう希ちゃん…」
穂乃果(…ちゃんと希ちゃんの言うことを聞いて、大人しく休んでくれれば良いんだけど…)
166:
…………………………………
雪穂「まぁた行くの?」
ほのか「あー、ちょっとだけ!」
雪穂「もう時間遅いし…お母さんに怒られるよ?」
ほのか「ごめん、すぐ戻るから!」
ほのか「うわぁ、雨?」
ほのか(でも…私が一番がんばらないと!)
…………………………………
文化祭当日
ほのか「うぅっ……」バタッ
海未「ほのかっ!」
ことり「ほのかちゃん!」
絵里「ほのか!大丈夫!?」
絵里「!…すごい熱…!」
雪穂「お姉ちゃん!」タタタッ
海未「ほのか!」
ことり「ほのかちゃん…!」
ほのか「はぁ…はぁ…次の…曲…」
ほのか「…せっかく…ここまで…来たん…だから…」
希(…やっぱり…注意は聞いてくれんかったみたいやね…)
希(いや、きっとほのかちゃんに悪気があったわけじゃない…みんなに迷惑掛けないように、って考えた結果、こうなってしまったんやろな…)
168:
………………………………
希の部屋
希「…って事があったんよ…」
穂乃果「…そう…結局、空回りしちゃうのは変わらなかったんだ…」
希「ここからが問題やね…何とかしてほのかちゃんを立ち直らせんと…」
希「一応、明日みんなでお見舞いしにいこうとは思っとるんやけど…体調の方は大丈夫かなぁ」
穂乃果「そうだね、前回は気を使ってしばらく経ってから来てくれたし…」
穂乃果「実は体調的にも次の日来てもらっても全然よかったくらいだったんだけどね」
穂乃果「たしかあの日はお母さんもプリン2つ食べていいよって言ってくれたし」
希「あ、そうなん?だったら明日行っても問題はなさそうやね」
穂乃果「うん、お願い。あそこから立ち直れるかどうかがすごく大事だと思うから」
169:
………………………………
次の日
海未「ほら、病み上がりなんだから無理しないで」
ほのか「ありがとう…でも、明日には学校行けると思うんだ」
ことり「ほんと?」
ほのか「うん!だからね、短いのでいいからもう一度ライブできないかなぁって…」
にこ「……………」
海未「……………」
ことり「…………」
ほのか「ほら、ラブライブの出場グループ決定まで、まだもう少しあるでしょ?」
希「……………」
ほのか「何というか、埋め合わせっていうか…なんかできないかなぁって」
絵里「……………」
絵里「…ほのか」
ほのか「?」
171:
絵里「ラブライブには、出場しません」
ほのか「…え?」
絵里「…理事長に言われたの、無理しすぎたんじゃないかって」
海未「………………」
ことり「………………」
絵里「こういう結果を招くために、アイドル活動をしていたのかって」
にこ「………………」
絵里「それで、みんなで相談して、エントリーをやめたの」
絵里「もう、ランキングに、μ'sの名前は………」
絵里「ないわ」
172:
…………………………………
雪穂「おねーちゃん?おねーちゃーん?」
雪穂「ご飯できたってー、今日は下で食べるのー?」
雪穂「おねーちゃーん?…もう、寝てんのー?」ガララ
雪穂「!」
ほのか「…うっ…くっ…うぅ…」ポロポロ
173:
………………………………
次の日
穂乃果「…あ、希ちゃんおかえり…今日はほのかの様子見に行った?」
希「…それが、学校に来てたんよ…」
穂乃果「あれ?そうなの?」
希「うん、こんなん初めてやから…ちょっとびっくりしちゃったよ…」
希「でも、やっぱり落ち込んどる様子はあったね」
穂乃果「そっか…でも、何はともあれ家から出れたのだったらとりあえずは大丈夫だね!」
希「そうやね、でもまだことりちゃんの留学もあるし…」
穂乃果「ことりちゃんか…」
希「うん…これまでの世界では、噂に聞いただけだけど留学して上手くいったって話は聞いてないかな…」
穂乃果「だったら尚更…」
希「そうやね…まあ、そこは本人達しだいかなぁ…」
穂乃果(ちゃんと学校に行くことができたってことは…ほのかと私では何かが違うってこと…?)
穂乃果(何かが……)
穂乃果(!)
穂乃果(そういえば…)
高坂『実際、ある意味失敗してしまった世界線の私達は飛び越える事が出来なかったけど、この世界線の穂乃果はどうやら私達とは違う結果になってるらしいし…』
穂乃果(もしかして、この世界のほのかは水溜りを飛び越えることが出来た、ということ…?)
穂乃果(そんな小さな経験の差が…こんなところで影響してくるなんて)
174:
…………………………………
数日後
音ノ木坂 校門前
穂乃果(あれからまたしばらく経った)ハァハァ
穂乃果(ほのかはあれからも学校に来てるみたいだけど、落ち込んでてほとんど喋らないみたい…)ハァハァ…
穂乃果(…そして、この間、ついに)
ほのか『わたし、スクールアイドル辞めます』
穂乃果(みんなの前で、そう言ったらしい)
穂乃果(そして、今日はことりちゃんが出発する日)
穂乃果(…さっき、希ちゃんから電話があった)
希『穂乃果ちゃん!今、海未ちゃんからほのかちゃんとことりちゃん以外のみんなに話があったんだけど…』
海未『ほのかに呼び出されたので、これから話をしてきます、きっとほのかならことりを引き留めて、この学院に帰ってくると思います。なので、これから講堂でライブをしましょう!』
海未『ほのかが初めてのライブの時、絵里に言った、夢をみんなで叶えるんです!』
希『って…ちょっと無理があるとは思ったんやけど、みんな、なんだかんだで賛成してくれて』
希『お客さんの方は、2年生の例の3人に頼んだらしいんだけど…』
希『正直、今から空港に向かっても間に合わんと思う』
希『でも穂乃果ちゃん、タイムマシンを使えばもしかしたら!』
175:
穂乃果(そこまで聞いたら思わず電話を最後まで聞かずにタイムマシンだけ持って飛び出してきちゃったんだけど…)
穂乃果(よく考えたらここまでもマシンですぐに移動できたよね…)
穂乃果(それにしても…まだかなあ、ほのか…)コソッ
タッタッタッタッタッ…
穂乃果(…来た!)サッ
穂乃果(えっと、ほのかが10m以内にきたら、校門の影からスイッチを…)アセアセ
穂乃果(…今だ!)ポチ-
ビュオオオオオオオオオオオオオオオオ
穂乃果(いけるかな…!)
穂乃果(…目を閉じて…)
176:
……………………………………
穂乃果(夢の中…)
穂乃果(やっぱり今回も花畑と水溜り)
穂乃果(ほのかは…よし、坂の上にいるみたい)ホッ
穂乃果(…倒れてるけど)
穂乃果(向こうに着いたらすぐ起きてもらわないと…)
サアアアアアアアアアアア…
177:
………………………………
空港前
穂乃果(…ん、着いた)
穂乃果(えっと、ほのかは…)キョロキョロ
穂乃果(あ、ちょうどベンチに寝転がってる)
穂乃果(起こさないと…って)
穂乃果(そういえば姿見られたらだめなんだった…どうしよ)オロオロ
ほのか「…うーん…ここは…」
穂乃果(あれっ、もう起きた)ソロッ
穂乃果(植木の後ろに隠れとこう…)コソコソ
ほのか「私、何をしてて……………空港!そうだことりちゃん!」ガバッ
ほのか「何が起こったのかわかんないけど、早くことりちゃんを止めにいかないと!」タタタタ…
穂乃果「…何とかなった…」ホッ
穂乃果(よかった、ほのかがアホの子で…)
穂乃果(帰りは…ことりちゃんがタクシー代くらい持ってるよね)
穂乃果(じゃあ、私も戻ってライブ見ていこーっと…)ポチ-
穂乃果(今日はたくさん人いるみたいだし、少々バレないよね)
178:
…………………………………
講堂
μ's「Hey,hey,hey,START:DASH!!」チャララ-ン
ワアアアアアアアアアアアアパチパチヒュ-ヒュ-
穂乃果(おおお凄いな…私達のときよりもレベル高いかも…)
穂乃果(みんな若くて可愛い…)
穂乃果(…写真撮っとこ)パシャ-
ほのか「そうだ!みなさん、大事なことを言い忘れてました!」
ほのか「みなさんご一緒に!」
ほのか「ミューズ!」
μ's「ミュージックー…」
全員「スタートー!」
穂乃果(…思わず叫んじゃった…)
181:
……………………………………
希の部屋
希「いやーでも、何とかなってよかったわー」
穂乃果「うん、本当にねー、お疲れ様!」
希「穂乃果ちゃんも、お疲れ様、穂乃果ちゃんおらんかったら間に合ってなかったよー…」
穂乃果「たしかに…海未ちゃん飛行機乗ったことないから出発時間のギリギリまで会えると思ってたのかなー?」
希「まあだいたいそんな感じやない?」
穂乃果「…でも、これから何が起こるかは希ちゃんも知らないってことだよね?」
希「そういうことやね…こっからは手探りになるな…」
穂乃果「…今日のライブを見たら、もしかしたら今のμ'sなら、ラブライブ優勝も夢じゃないかな、って思えてきた」
穂乃果「私もできるだけの事はするから、一緒にがんばろう!」
希「そうやね、穂乃果ちゃんが、この世界のほのかちゃんが楽しそうなところが見られるように」
希「…ウチが、このループがら脱出できるように、」
希「また頑張ってこう!」
184:
穂乃果「…あ、そうだ希ちゃん」ガサゴソ
希「ん?どしたん…ってそれ」
穂乃果「じゃじゃーん!さっきの写真を帰りに現像してきましたー!ついでに写真立ても買ったし、これ飾っとこうよ!」
希「うわー、こうやって見ると恥ずかしいなぁ」////
希「でも、いい写真やし、せっかくやけ飾っとこうか」//
穂乃果「うんうん、じゃあ早…」
ホラエ-ラ-ク-テイ-イ-ンダワ-カ-ル-カラ-♪
穂乃果「あれ?電話?」
希「こんな時間に…誰やろ?」
穂乃果「私でるね?…はいもしもし」ガチャ
高坂「久しぶり、元気そうで何よりだよ!」
197:
??????????????
秋葉原
穂乃果(うわー、夜でも土日だと人多いなー…)
穂乃果(文化祭が終わってしばらく経った。長袖が必要な季節になってきたね)
穂乃果(希ちゃん達μ'sのみんなは、予選に向けての新曲作りのために、真姫ちゃんの別荘に合宿に行っている)
穂乃果(希ちゃんはこれから起こることが知らない事ばかりだからか、すごい不安がってたけど、カードを何回も引いて良さげな絵柄が出ると、よしっ、と勢いよく出かけていった)
穂乃果(…何回も引いて意味あるのかなあ)
穂乃果(で、希ちゃん達が合宿でいない間、どうして私は秋葉原にいるのかというと…)
穂乃果「…希ちゃんが合宿なのわかってるんだろうけど…なんの話だろ、高坂さん」
????????????
高坂『再来週の土曜の夜7時、秋葉原においで!話があるから!』
穂乃果『秋葉原って、秋葉原のどこに…」
高坂『あー、その…あれ、初めに起きたところ!うちの近くの!』
??????????????
198:
穂乃果「会うのは2回目だから…1ヶ月?2ヶ月?ぶりってことだよね」
穂乃果(にしても、なんで待ち合わせ場所をお店とかにしなかったんだろ)
穂乃果(初めに起きたところって、ほむらの近くだよね)
穂乃果(…お饅頭でも買いに行くかな?…でも私達、顔も姿もそっくりだし、あやしまれちゃうよね…)
穂乃果(前回は希ちゃんもいたし、お店の中だったからそのまで目立たなかったけど)
????、??????♪
穂乃果「あれ、誰か歌ってる」
穂乃果(聞いたことある声…しかも待ち合わせの場所の近くから聞こえてくる)
穂乃果(…もしかして)
199:
高坂「…????♪」
オオオオエイゴノハツオンスゲエナママミテ-!マアジョウズネ
穂乃果(…高坂さん…なんで歌ってんだろ…)
穂乃果(…路上ライブ…?でもこの曲確か前に希ちゃんが歌ってたやつ…)
穂乃果(他の人の曲を歌うって人もいるんだな)
穂乃果(あ、終わった)
高坂「…Thank you! Everyone thanks a lot for being here today! Bye!」
…ガヤガヤワチャワチャワイワイガヤガヤ
客「あー外人の人だったんだなー」
客「え、でも日本人っぽい顔してない?」
客「あー、最近まで外国に住んでたとかじゃね?」
客「でも上手だったねー」
……………………
200:
高坂「久し振り、穂乃果」ボソッ
穂乃果「あっ、えっと…」
高坂「お姉ちゃん、って呼んで」ボソボソ
穂乃果「あ、うん、元気だったよお姉ちゃん!」
シマイソックリダネ-ドッペルゲンガ-カトオモッタワ…
穂乃果「そういうこと…」
高坂「うん、今日ここに来てもらったのはこの歌を歌っているところを聴いてもらいたかったから」
高坂「ここで話すのもアレだしどっかお店に入ろ!」
穂乃果「…?わかりました」
201:
……………………………………
メイド喫茶
穂乃果(………なぜここ?)
高坂「あ、サービスの方はなしでイチゴパフェ2つお願いします」
メイド「かしこまりました、ご主人様♪」ペコリ
高坂「さっきの路上ライブね、意外とみんなお金置いてってくれるんだ、だからこのパフェはそれで奢ってあげる♪」
高坂「…まあ時と場合によるけどね」
穂乃果「…路上ライブ…って、どうしてそんなことを?」
高坂「そうだね…私も、みんなみたいに歌ってみたいから、かな?」
高坂「もちろん、μ'sのみんなが沢山の人を笑顔にしてるのをみるのも楽しいよ?…でも、やっぱり私は歌うのが好き」
高坂「…あなたも同じ気持ちのはず」
穂乃果「……………」
穂乃果「…でも、私なんかが今更歌なんて」
高坂「やりたいことをするのに、今更なんてない」
高坂「やりたいときにやる。それが私達、でしょ?」
穂乃果「やりたいときに、やる……」
202:
高坂「…まあ、やりたいからってのもあるんだけど、私がこうやって歌うことを始めたのはある人に言われたから、ってのもあるけどね」
穂乃果「ある人?」
高坂「私の、穂乃果からみた、私。つまり私より一周先にこの世界を体験した私から。」
穂乃果「…ってことはつまり…?」
高坂「…そう。あなたにも、私と同じことをやってほしい。」
高坂「もちろん、無理になんては言わないけどね」
穂乃果「…………………」
203:
高坂「けど、これは受け取って」ゴトッ
穂乃果「………マイク?」
高坂「うん、この青いケースと、マイク。この二つは受け取ってほしい」
穂乃果「…私、まだ自分が本当に歌いたいのかよくわからないんですけど…貰っても大丈夫なんですか?」
高坂「いいよ、じっくり考えて。私もそうしたから。私は歌うのは今日で引退。」
高坂「まあ、歌いたくなったらまたマイク買うけどね」
穂乃果「…じゃあ、これは貰っておきます。」
高坂「うん、そうしてそうして」
高坂(……そしてきっと、あなたもいつかそれを受け渡す時が来る)ボソ
204:
穂乃果「そういえば、このケースが青なのって…何か理由があるんですか?」
穂乃果「私、こういう時は迷わずオレンジを選ぶと思うんですけど…」
高坂「そう、その色ね、ずっと前からその色で受け継がれていってるらしいの。」
高坂「気になって調べてみたんだけど、色にはね、それぞれいくつか心理効果があるんだよ」
穂乃果「あ、赤だったら目を引いて関心を集める、黄色だったら集中力が高まる、とかいうあれですか?」
高坂「そうそう、じゃあ、青はわかる?」
穂乃果「えっと…睡眠を促進する、とかでしたっけ…?」
高坂「……まあ、それもあるけど…」
高坂「青にはね、時間経過を遅く感じる、って効果もあるの」
穂乃果「時間…」
高坂「そう。時間。
……まあそんなタイムマシンほど強い影響はないし、だからなんだって話にもなるんだけど……」
高坂「時間を掛けてしっかりと物事を考えてほしい、って想いも込められているんだと思う」
穂乃果「時間を、かけて…」
高坂「うん。歌のことも、それ以外のことも。」
206:
メイド「お待たせしました♪いちごパフェでーす♪ごゆっくりお召し上がりください♪」コトッ
高坂「お、来たね。難しい事考えるのは後にして、先に食べよっか!」
穂乃果「そうですね、いっただーきまーす!」
穂乃果「そういえば、どうしてメイド喫茶だったんですか?今日」
高坂「だって、今日は希ちゃんもいないし、流石にそっくりさんが2人も並んだら目立っちゃうでしょ?」
高坂「…木の葉を隠すなら森の中、だよ」
穂乃果「…なるほど…」
207:
????????????
一週間後
穂乃果(あれから一週間経ったけど、…まだ私は歌ってはいない)
穂乃果(どうしても、踏ん切りが付かないというか何というか…)
穂乃果(…それはそうと、今日はついに、ラブライブの予選)
穂乃果(なんとなんと、希ちゃん達μ'sはA-RISEとUTX高校の屋上で歌うことになったらしい)
穂乃果(私もできれば応援に行きたかったけど、人数が少なそうだし見つかったらまずいから、家で生中継を見ることにした)
穂乃果(大丈夫かな、みんな…)
穂乃果(ファイトだよ、希ちゃん)
208:
……………………………………
UTX屋上
希(ついに、ラブライブ予選か…)
希(なんだか、一歩づつ目標に近づいていってる感じがするなぁ)
希(高坂さんなら、この結果も全部知っとるんやろうけど…)
希(それを聞く、なんてズルをしようとは思わない)
希(ウチらμ'sの9人と、協力してくれるみんなの力で優勝したいから)
希(…でも、なんやろ…不安や、A-RISEと同じステージでライブなんて)ドクンドクン
希(これまでこんなことなかったし…)バクバク
希(なんか、なんかこれまでみたいに、ほのかちゃんにアドバイスは…)バクバク
ほのか「……」
209:
希(…だめや、何も思いつかん、穂乃果ちゃん……)バクバク
ほのか「…大丈夫だよ、希ちゃん」
ほのか「これまでだってなんとかなったんだから、今からだってなんとかなる!」
ほのか「今日まで頑張ってきたんだから!」
ほのか「まずはわたし達がμ'sを信じないと!」
希「……………!」
希「……そうやね、ありがと、ほのかちゃん」
希(何を不安がっとんやろ、ウチ…ほのかちゃんの言う通りやね、まずはウチらが自分を信じんと)
ほのか「……自分を信じて、明日を信じて」
希「……明日が、待ってるんだよ、いかなくちゃ!」
ほのか「希ちゃん!」
ほのか「ファイトだよ!」グッ
希「ふふ、ほのかちゃんも!」
210:
……………………………………
希の部屋
希「シャワー浴びたので限界や…もう歩けん…」グッテリ
穂乃果「希ちゃん、お疲れ様!いいライブだったね!」
希「ここまで緊張したライブ、久し振りやったわ…」
穂乃果「まあ本当に初めてだったわけだしね…」
穂乃果「私も、私が聞いたことがないμ'sの曲を聴くなんて不思議な感覚だったよ」アハハ
希「…ウチら、成功した?」
穂乃果「うん、もちろん!みんな可愛かったよ!」
希「…よかった…穂乃果ちゃんがそう言うなら…安心…」バタッ
穂乃果「えっ希ちゃん…?」
希「………」スゥスゥ
穂乃果「よかった…寝てるだけか…」
穂乃果「ベッドには移動させてあげよう…」ドッコイショ
穂乃果「…よいしょっと…」ポフッ
希「……」スゥ…スゥ…
穂乃果(頑張ったね、希ちゃん…)
穂乃果「お休みなさい、お疲れ様」
穂乃果「…私も、歌おうかな」
243:
??????????????
穂乃果(希ちゃん達は無事予選を突破した)
穂乃果(あのA-RISEと一緒に歌ってその上予選突破したなんて、それだけでも信じられなかったのに、朝TVを付けたらニュースでA-RISEやμ'sのライブシーンが流れててもっと驚いた)
穂乃果(…予選突破からしばらくして、にこちゃんの事でいろいろあった)
穂乃果(私は、不安に思ってあれこれ考えたのだけど、今のμ'sはなんなくそれを乗り越えて)
穂乃果(それどころか、これまでよりさらに絆が深まった様子だった)
穂乃果(着実に、成長している証だった)
穂乃果(それからまたしばらくして、ほのか達2年生が修学旅行に行ってる間、1年生と3年生だけでファッションショーに出る、なんてこともあった)
穂乃果(希ちゃんから聞いただけで、中継とかなかったから、詳しい様子はわからないんだけど…)
穂乃果(凛ちゃんたち1年生は立派に成長していたって)
穂乃果(それを聞いてちょっと安心した)
穂乃果(それから…なんかほのかと花陽ちゃんがダイエットする、なんてこともあったっけ)
穂乃果(希ちゃんは内心ドキドキしてたって言ってたけど、そこまで太ってるわけではないんだよね…)
穂乃果(前にお風呂に入った時にチラッと見たけど、太ってるっていうよりはその……胸がすごいよね)
穂乃果(やっぱ夢が詰まってんのかな)
穂乃果(…そして、μ'sは最終予選の準備に取り掛かっていた)
245:
……………………………………
部室
にこ「わたしは新曲がいいと思うわ」
ほのか「おお!新曲!」
凛「おもしろそうにゃ!」
海未「予選は新曲のみとされていましたから、その方が有利かもしれませんね」
希(新曲、か……)
希(この調子で行くと、あと何曲、μ'sとして歌えるんかな…)
希(9人の歌の女神、μ's)
希(ウチにとって、この9人は奇跡)
希(ウチは、この9人のために何かできればそれでいい、と思ってたけど…)
希『何がしたいかってことだけを考えてみたら?』
希(…ウチが、穂乃果ちゃんに言った言葉)
希(そういえばウチは、μ'sに関しては何がしたいか、なんて考えたことなかったな…)
希(何が、したいか…)
希「例えばやけど…」
希「このメンバーでラブソングを歌ってみたらどうやろか?」
ほのことえりりんにこうみ「………………………」
ほのことえりりんにこうみ「ラブソング!?」
246:
花陽「なぁるほど!」
花陽「アイドルにとって恋の歌即ちラブソングは必要不可欠!定番曲の中に必ず入ってくる歌の1つなのにμ'sにはいままでそれが存在していなかった!」ホッペプニ-
絵里「……希」
希「……………」
ほのか「でも、どうしてラブソングって今までなかったんだろう」
ことり「それは…」
………………………………………
……………………………
…………………
…………
……
真姫「にしても、今から新曲は無理ね」
絵里「…でも、諦めるのはまだ早いんじゃない?」
真姫「?…絵里?」
希「そうやね!曲作りに大切なんは、イメージや想像力だろうし…」
海未「まあ、今までも経験してきたことだけをしにしてきたわけではないですが…」
ほのか「でも、ラブソングって要するに恋愛でしょ?どうやってイメージを膨らませればいいの?」
希「…そうやね、例えば…」
247:
……………………………………
帰り道
ことり「わたしもそれがいいと思う」
花陽「うん…」
絵里「…でも、もう少しだけ頑張ってみたい気もするわね」
みんな「え?」
真姫「…絵里」
凛「絵里ちゃんは、反対なの?」
絵里「反対、ってわけじゃないけど…でも、ラブソングはやっぱり強いと思うし…それくらいないと、勝てない気がするの」
ほのか「…そうかなぁ」
海未「難しいところですが…」
絵里「それに、希の言うことはいつもよく当たるから」
真姫「………………」
ほのか「じゃあ、もうちょっとだけ考えてみようか!」
希(………………)
248:
……………………………………
希の部屋
希「ただいまんもす」
穂乃果「おかえりんくす」
希「りんくす…?」
穂乃果「大山猫の別名だよ」
希「へ、へぇ……」
穂乃果「うん、それはそうと、準備の方はどんな感じ?曲は決まった?」
希「曲ね……実は、まだ決まってないんよ」
希「完成度を重視して今までの曲を使うか、それとも新曲を作るか…」
穂乃果「新曲かぁ…でも、ここで新曲となると相当いそがなきゃいけなくなるよね。誰が提案したの?」
希「…ウチ」
希「…ウチが、みんなでラブソングを作ろ、って提案した」
穂乃果「…希ちゃんが」
希「うん、変かな…突然ウチがそんなことしたいって言い出すなんて…」
穂乃果「そんなことないよ、それが希ちゃんのやりたいことなんでしょ?」
穂乃果「…これまで自分のしたいことを言ってこなかった希ちゃんが、やりたいって言ってるんだから」
穂乃果「私はいいと思うな、ラブソング」
希「…よかった、ありがと」
希「…絵里ちは賛成してくれるんやけど、反対する子も多くて…だから、ちょっと自信なくなってたんよ」
穂乃果「そうかあ…」
穂乃果「…私も、そんな恋愛とかわかんないけど、何か協力できるとこがあったら言ってね!」
希「うん、ありがと!」
249:
希(9人でラブソングを…)
希(こんなわがまま、みんなに聞いてもらって大丈夫なんやろか…)
希(それよりも、これがもとで最終予選に落ちたりしたら…)
希(……………)
希(ううん、そんなこと考えたらダメや)
希(ループから抜け出せる方法がラブライブ優勝、と決まってるわけではないんやし、もしその条件が全員が満足できる結果で終わる、とかだったらウチもその全員に入っとるかもしれんし…)
希(ああダメや、なんか不安になってしまう)
希(…とりあえず言えるのは、今はまだループから抜け出せていない、という事…)
希(いつ戻るかわからん以上確信は持てんのんやけど、何かが頭の中に纏わり付いているような感覚は1度目に戻った時からずっととれないまま…)
希(……ウチはループから抜け出せるんやろか…もしずっとこのままだったら…)
希(…ううん、そんなことない)
希(いつかは絶対に抜け出して、こんな日々がいい思い出になるようにしてみせる)
250:
……………………………………
ほのかの家
真姫「…もう諦めた方がいいんじゃない?」
真姫「今から曲を作って、振り付けも歌の練習もこれからなんて、完成度が低くなるだけよ!」
ジツワワタシモ…ソウダヨネ…ヘタナコザイクハツウヨウ…
希(やっぱり…ウチには大きすぎる夢だったんかな…)
希(9人で曲をつくる…やっぱ難しいかぁ)
希(……………………)
絵里「でも!」ガタッ
希「たしかにみんなの言う通りや」
希「今までの曲で全力を注いで頑張ろう?」
絵里「…希…あなた…」
希(ここで今の団結力がなくなって…失敗したら元も子もないしね)
希「ええんや、一番大切なんは、μ'sやろ?」
真姫「………………」
251:
……………………………………
真姫「凛、花陽、先帰ってて」
りんぱな「?」
真姫(…あやしい…あんなに絵里が意地張ろうとすること滅多にないのに…)
真姫(…それにあの様子)コツコツ
………………………
…………………
絵里「…いじっぱり…」
希「絵里ちにいわれたくないなぁ」
真姫「…どういうこと?」コソコソ
真姫(希がラブソングを作りたがってる、ってこと…?)
希「じゃ、また明日!」
絵里「希…」
真姫「待って!!」
のぞえり「?」
希「まきちゃん」
真姫「前に私に言ったわよね、面倒くさい人、って」
希「そうやったっけ?」
真姫「自分の方がよっぽどめんどくさいじゃない!」
希「…………」
絵里「…気があうわね」
絵里「同意見よ」
252:
…………………………………
希の部屋
穂乃果(希ちゃん大丈夫かなぁ)
穂乃果「まあそろそろ帰ってくる頃だろうし、詳しい話聞こうっと」
カツン…カツンカツン…カツン
穂乃果(お、階段登ってくる音だ)
カツンカツン…カツン…カツカツン…カツン
穂乃果(…あれ?音がいつもより多い?)
穂乃果(まさか…!!)
253:
…………………………
ガチャン
真姫「おじゃまします」
希「遠慮せんと入って」
希(あ、やばい、穂乃果ちゃん忘れとった)
希(…あれ、いない…出掛けとんかな…よかった…)ホッ
穂乃果「……真姫ちゃんと絵里ちゃん…?」カベニミミアテ-
穂乃果(とっさに押入れの中にはいったけど…)ゴソゴソ
穂乃果(これじゃ私、実嫁が帰ってきた愛人みたいじゃん…)
穂乃果(…というかみんな、声小さいよ…よく聞こえない…)
絵里「………をつむいで、本当に、全員で………そんな曲でラブライブに出たい。それが希の夢だっの」
穂乃果「……絵里ちゃん」ボソッ
真姫「…どういうこと?」
希「…いったやろ?………夢なんて大それたもんやない」
希「……9人…何かを……」
希「…ウチにとって、μ'sは、奇跡」
254:
??????????????
「転校ばかりで、友達はいなかった」
「当然、分かり合える相手も」
『みなさん、初めまして、絢瀬絵里と申します。よろしく』
「初めて出会った」
「自分を大切にするあまり、周りと距離を置いて、みんなとうまく溶け込めない」
「ずるができない、まるで、自分と同じような人に」
「思いは人一倍強く、不器用なぶん、ひととぶつかって」
255:
『あの!』
『あなたは?』
『わたし…』
『ウチ、東條希!!』
「それがウチと絵里ちの出会いやった」
256:
「その後も、同じ想いを持つ人がいるのに、どうしても手が取り合えなくて。」
「真姫ちゃん見たときも、熱い想いはあるけど、どうやって繋がったらいいかわからない。」
「そんな子が、ここにも、ここにも。」
「そんなとき、それを、大きな力で繋いでくれる存在が現れた。」
「想いを同じくする人がいて、繋いでくれる存在がいる。」
「必ず形にしたかった。」
思えば、それの強い想いが、この繰り返しの始まりだったのかも…
「この9人で、何かを残したかった。」
257:
??????????????
希「たしかに、歌という形になればよかったのかもしれない。」
希「けど、そうじゃなくても、μ'sはもうすでに、何か大きなものを、とっくに生み出している。」
希「ウチはそれで十分。夢はとっくに…」
希(私の夢は……やりたいことは……)
希「一番の夢は、とっくに…」
希「だからこの話はおしまい。それでええやろ?」
えりまき「ふふっ」ケイタイスッ
希「まさか、みんなをここに集めるの?」
真姫「いいでしょ、一度くらいみんなを招待しても」
真姫「友達…なんだから。」
258:
…………………………………
穂乃果(…希ちゃん)
穂乃果(みんなに、話せるのかな…)
穂乃果(…というか私、どうしよ…腰痛いし…)
穂乃果(希ちゃん、気づいてくれないかな…)イテテテ
…………………………………
259:
ほのか「うええ!?やっぱり作るの?」
穂乃果(ほのか、声大きいな…)
真姫「そ、みんなで作るのよー?」
穂乃果(真姫ちゃん子供扱い…)
ことり「希ちゃんて、一人暮らしだったんだね」
穂乃果(みんなこっちの部屋に来たみたいで声が聞き取りやすくなったよ)
海未「初めて知りました」
海未(それにしては何か人の気配がしますね…)
穂乃果「!?」ビクッ
花陽「みんなで言葉を出し合ってかぁ…ん?」
花陽「これって…」カタッ
260:
希「あぁ!」ガバッ
にこ「そういうの飾ってるなんて意外ね?」ニヤニヤ
希「べ、別にいいやろ?ウチだってそんくらいするよ…」/////
希「友達、なんだから…」///
ことり「のぞみちゃん…!」
凛「かわいいにゃー!」
凛「うぶっ」ボスッ
希「もー!笑わないでよー!」///
凛「話し方変わってるにゃー!」
絵里「…暴れないの」ギュ
絵里「たまにはこういう事もないとね」
希「……もう」///
ほのか「あ!みてー!」
ワ-!ウフフフタタタガチャッ…
261:
…………………………………………
穂乃果(みんな出て行ったかな…?)
穂乃果(もういいかな…?)ガチャッ
穂乃果「ふーっ!苦しかったー…子供の頃はこういう狭いところ好きだったけど…」
穂乃果(希ちゃん…なんだかうまくいったみたいで良かった)
穂乃果「それにしても…」
穂乃果(写真…あやしまれなくてよかった…)ホッ
262:
……………………………………
公園
ほのか「うわーぁ!雪だ!」
凛「雪だね!見てみて!キャッチ!」ザッ
海未「ではせっかくですし、1人ひとつ歌詞に入れたい単語を行っていきましょうか」
花陽「歌詞に入れたい単語?」
絵里「そうね。そっちの方が作詞もしやすいだろうし」
にこ「じゃあみんな輪っかになってー」
真姫「それする意味ある…?」
にこ「べ、別にいいでしょ!雰囲気作りよ!」
μ's(…………………………)ザザッ
263:
…………………………………
ほのか(希ちゃん…絵里ちゃんはさっきμ'sを作ってくれた女神様って言ってたけど)
ほのか(初めの頃は、本当にお世話になったよね)
ほのか(希ちゃんがいなかったら、今のμ'sはなかったかもしれない)
ほのか(…いつもありがとう)
ほのか「…おもい」
264:
…………………………………
花陽(ほのかちゃん…)チラッ
花陽(引っ込み思案だった私を…変えてくれたのは、μ's)
花陽(リーダーはほのかちゃんだけど、μ'sに入る前からいろいろと支えてくれてたのは希ちゃんなんだよね)
花陽(希ちゃんのために、私もがんばらなきゃ!)
花陽「…メロディー」
265:
…………………………………
海未(…希…生徒会にアイドルグループの結成の申し込みをしにいったときから、貴女は私達の味方をしてくれていましたね)
海未(絶対に成功するという確信もないし、しっかりとした計画もないような私達を、まるで成功することがわかっているかのようにサポートしてくれていました)
海未(μ'sに入ってからも…希には頼りっぱなしですね)
海未(…新曲の歌詞は、希の願いを叶えるためにもがんばらないといけませんね…)
海未「…予感」
266:
…………………………………
凛(凛はあんまり頭が良くないから…難しいことはよくわかんないけど)
凛(それでも、希ちゃんが影からμ's支えてくれていたのは知ってる)
凛(縁の下の力持ちって言うんだっけ?)
凛(…ほのかちゃん達が修学旅行に行っている間、凛がリーダーをしてたときも、失敗しても何も言わず待っててくれた)
凛(希ちゃん…まるでお母さんみたいだね!)
凛「…不思議」
267:
…………………………………
真姫(…μ'sに入ってからも、みんなと距離を置いていた私に)
真姫(いつもちょっかいかけたりして、みんなに溶け込ませてくれようとしたのは、希だったわね)
真姫(夏の合宿のとき、希と朝、海で話すことがなかったら、今も私は変われないままだったかもしれない)
真姫(こんな私に、友達と笑っていられる明るい未来を作ってくれて…)
真姫(今度は、私が希を助ける番)
真姫「…未来」
268:
…………………………………
ことり(…私がメイドをしてるのが見つかって逃げたとき…)
ことり(私を捕まえてくれたのは希ちゃんだったよね)
ことり(あの時はちょっと希ちゃんを恨んじゃったりもしたけど…)
ことり(今思えばあのとき捕まえてもらえなかったら私は本当の私をみんなに隠したままだったのかな)
ことり(…希ちゃんは、私の背中を押してくれたんだね)
ことり「…ときめき」
269:
…………………………………
にこ(希、1年生の時からちょくちょく気に掛けてくれてて…)
にこ(希は力になれなかった、って思ってるみたいだけど私はアレだけでもすごく元気でてたんだから)
にこ(私がμ'sに入る前も、意地を張ってた私を説得するように、ほのか達に言ってくれたみたいだし)
にこ(…ありがと、希)
にこ「…そら」
270:
…………………………………
絵里(希、ついに、みんなに本当の気持ちを告白できたわね)
絵里(私、ずっとモヤモヤしてたのよ?貴女が自分のことを我慢して、みんなのことばかり気してるから…)
絵里(でも、今日でそれはお終いね)
絵里(…もし、また貴女が1人で閉じこもったり、我慢しているようなことがあったら、私が声を掛けて、みんなのところへ連れて行ってあげる)
絵里(…昔、貴女が私にそうしてくれたように)
絵里「…きもち」
271:
…………………………………
希(みんな…こんなウチの願いを聞いてくれて…ありがとう)
希(みんなとなら、どんなことでもできる気がする。A-RISEにだって、もしかしたら…)
希(これまで、何回も…3回も、やり直してきた時間)
希(たくさんの思い出があったのに…なかったことになってしまった時間)
希(…でも、この時間はなかったことにしたくない。心の底からそう思う。)
希(絶対に、やり遂げてみせる)
希(ウチ、みんなのこと…)
希「…すき」
希(…大好きよ)
272:
穂乃果(あれからしばらく過ぎた。私の腰痛が治るくらい)
穂乃果(そして今日は遂に最終予選)
穂乃果(みんなが家に来た日から、真姫ちゃんは曲作り、みんなは海未ちゃんを中心に歌詞作りをして、大急ぎで歌を完成させた)
穂乃果(一度、希ちゃんに聞かせて、とお願いしたら)
希『最終予選までのお楽しみ!』
穂乃果(って…聞かせてくれなかった)
穂乃果(…勝てるのかな、A-RISEに)
穂乃果「にしても…寒っ」フルフル
穂乃果(雪、ひどくなってきたな…というかもう吹雪じゃん)
穂乃果(ほのか達2年生は、学校から向かうって言ってたし…)
穂乃果「学校に、様子見に行こうかな…」
273:
…………………………………
穂乃果「うー、寒い」コソッ
穂乃果(こんな吹雪で…ちゃんと間に合うのかなあの子達…)
穂乃果(タイムマシンを使うにも流石に3人を同時に誤魔化すのは無理だし…)
穂乃果(それに今校舎入ったら間違いなくほのかに見つかる…)
穂乃果(あれ?あの3人は…)
ヒデコ「私、放送委員に頼んで手伝える人探してみるね!」
ミカ「うん!よろしく、こっちは体育倉庫の方からもスコップ探してみる!」
フミコ「わたし家にスノーブーツあったからちょっと走ってとってくるよ!」
穂乃果(ヒデコ、フミコ、ミカ…)
穂乃果(あの3人がいるなら、なんとかなるかな…)
穂乃果(ここは、音ノ木坂の生徒に任せよう…)
穂乃果(私が手を出すところじゃないな)
穂乃果(先に会場に行っとこう)ポチ-
穂乃果(ファイトだよ、ヒデコ、フミコ、ミカ!)
274:
…………………………………
会場
穂乃果(うおっ、こんな吹雪なのに、すごい人…)
穂乃果(こんなにたくさんの人が、注目してるんだ…)
穂乃果(こんな中で、A-RISEや他のスクールアイドルと、μ'sがライブをする)
穂乃果(私まで緊張してきたよ)
穂乃果(でも…きっとμ'sなら、できるはず)
穂乃果(がんばれ、希ちゃん、みんな)
穂乃果(あと一歩だよ)
285:
…………………………………
神田明神
穂乃果(まだ12時前だし、人あんまりいないかなーと思って来たけど…)
穂乃果(やっぱすごい人だな…)
穂乃果(さすが大晦日…)
穂乃果(まあせっかく来たんだし並ぶか…)
穂乃果(あの最終予選から数日)
穂乃果(予選前から、ネットではA-RISEとμ'sのどちらかが勝つ、とは言われていたけど…ライブ後の観客の様子を見るとどちらが選ばれるかは一目瞭然だった)
穂乃果(ダンスと歌も良かったけど、あのオレンジの光、凄かったなぁ…)
穂乃果(希ちゃんに聞いてみたら、事前の打ち合わせではなかったんだけど、本番で運営委員の人が突然やってくれたんだって)
穂乃果(そういえばA-RISEの時の照明もカッコよかったし…今回は運営委員の人が張り切ってたのかな?)
穂乃果(そうそう、運営委員といえば、最近、ちょくちょく高坂さんに会ってる。カラオケで)
286:
穂乃果(一度、街中で歌う前に聞いてもらおうと思って誘ったんだけど、その時、)
高坂『うーん…このレベルじゃまだ街中では歌わせられないかなぁ…』
穂乃果(って、ダメ出しを受けたから、それから何回か練習に付き合ってもらってる)
穂乃果(個室だと人に見られることもないし、そもそも気が合うから話をしていても楽しいし…)
穂乃果(まあ気が合うって、本人同士なんだから当たり前か…)
穂乃果(…そういえば、希ちゃんがここでバイトしてるんだっけ、後で様子見に行ってみようかな)
穂乃果(お、もうすぐ私の番だ、五円玉、五円玉…)
あんじゅ「あら…お財布に小銭いれてくるの忘れちゃったわぁ…」
ツバサ「じゃあ私の一枚あげる!はい」ジャラ
英玲奈「なんでそんなに五円玉持ってるんだ…」
穂乃果(あれ?この3人って…)
287:
ツバサ「毎年大晦日が近づいてきたら貯めるようにしてるんだー」ジャラジャラ
あんじゅ「ツバサって時々子供っぽいところあるわよね、そこが可愛いんだけど。…じゃあ一枚頂きまーす♪」
英玲奈「なんか信心深いお年寄りみたいだな…」パンパンオジギ-
ツバサ「……」パンパンパンオジギ-
あんじゅ「ツバサは、何をお願いしたの?」パンパンオジギ-
英玲奈「願い事は口にしたら叶わないと聞いたことがあるぞ」
あんじゅ「えー、でもなんかの曲では願い事は口にしなきゃ叶わないー、って言ってたけど…」
ツバサ「まあ、どっちもどっちなんじゃない?」
ツバサ「…ちなみにわたしは、わたし達のライバルがちゃんと優勝しますように、ってお願いしたわ」
あんじゅ「ツバサ…」
英玲奈「……奇遇だな、私もだ」
穂乃果(……………)
あんじゅ「あたしもよぉ、やっぱりあたし達って気が合わね」
ツバサ「…私達を越えたんだ、優勝してもらわないと」
ツバサ「……ところで、そこの貴女、さっきからずっとこっち見てるけど…どこかで会ったことあるかし…」クルッ
穂乃果(!?)ビクッ
ツバサ「……え、…ほのかさん?」
穂乃果「!?」ビクゥッ
288:
英玲奈「何言ってるんだ、ツバサ…どう見ても違うじゃないか…すみません、こいつアホで…」
穂乃果「い、いえ…そんな」アセアセ
あんじゅ「でも、言われてみれば確かにほのかさんに似てるような…」
穂乃果(嘘!?バレた!?そんな…高坂さんはここで3人にバレるなんて言ってなかったし…)
ツバサ「いえ、別にほのかさん本人ってわけじゃないわよ。どうみても大人の女性じゃない」
ツバサ「…高坂ほのかさんのお姉さんですか?…私、ほのかさんの友達の綺羅ツバサと申します」
穂乃果「あ、どうも…私はほのかの叔母の……遠坂っていいます、その…」
英玲奈「ツバサ、並んでる方に迷惑だから、先に列からどくぞ」
ツバサ「そうね、…すみません突然話しかけちゃって」ペコッ
穂乃果「いえいえ、またどこかで………あはは」
穂乃果(よかった、バレたわけじゃなかったみたい…)
穂乃果(…にしても、さすがツバサさん…なんで気づかれたんだろ…)
穂乃果(まあいっか、私もお願い事…)
穂乃果(…μ'sが、無事ラブライブに優勝できますように)パンパン
289:
……………………………………
英玲奈「どうしてさっき、あの女性を呼び止めたんだ?…どうみてもほのかさんには見えなかったが…」
ツバサ「…私は、何度もμ'sの動画を見て、踊り、歌、雰囲気、他にもたくさんのことをあの子たちから学んでいた」
ツバサ「…特に、ほのかさん」
ツバサ「この私がほのかさんを見間違えるわけないわ」
あんじゅ「…まあ、ほのかさんの叔母さんらしいし、似ているのも当たり前といえば当たり前だけど…」
英玲奈「本当、よくわかったな」
ツバサ(あの人は本当にほのかさんじゃないのかしら…?例えばの話だけど、未来のほのかさんがタイムマシンとか使ってμ'sの応援に来てたりとかは…?)
ツバサ(………バカバカしい、何考えてるのかしら、私)
ツバサ(タイムマシンなんてそんな非現実的な…あったら面白そうだけど)
ツバサ(きっと眠たくて頭が疲れてるのね、早く帰りましょう)
あんじゅ「あれ?噂をすれば、あそこにいるのは…」
ツバサ「…? あら、あなた達…」
290:
ほのか「あっ」
ツバサ「やっぱり」フフッ
ほのか「あけましておめでとうございます」ペコッ
ツバサ「おめでとう」
あんじゅ「初もうで?」
海未「はい、A-RISEのみなさんも?」
英玲奈「ええ、地元の神社だしね」
ほのか「ですよね」
μ's「……………」
A-RISE「………………」
ツバサ「…じゃ、いくわね」カツカツ
μ's「………………」
A-RISE「………………」
ツバサ「…ねえ」クルッ
ツバサ「優勝しなさいよ!ラブライブ!」
μ's「……はいっ!」
ツバサ「……」フフッ
291:
…………………………………
次の日 希の部屋
希「ただーいまーん」
穂乃果「おかえりーん」
希「ふぅ…今日も練習つかれたぁ…」
穂乃果「お疲れ様?」
穂乃果「あ、そうそう、今ラブライブのホームページ見てたんだけど、μ'sってまだキャッチフレーズ付けてないの?」
希「そのことねー、みんなで今日話し合ったんやけど…」
穂乃果「今、考え中?」
希「そんな感じかなー」
希「そういえば、今日、本大会で歌う曲の話もしてきたんよ」
穂乃果「本大会で歌う曲?」
希「そうそう、まだしばらく時間あるから、真姫ちゃんと海未ちゃんが2曲くらいつくって、それからえらぶって感じかんやけど…」
穂乃果「あれ、新曲なんだ?」
希「うん、みんなで相談してね」
希「もしかしたら…これが最後の曲になるかもしれんし…」
穂乃果「…そうかぁ、いよいよ…」
希「うん…折角なら、最高の歌で本大会に出よう、って」
穂乃果(最後かぁ…長かったような、短かったような)
穂乃果(曲も気になるけど、キャッチフレーズも気になるなぁ)
穂乃果(印象に残ればそれだけ有利になるだろうし…)
穂乃果(…どうなるんだろ)
292:
…………………………………
UTX前
ツバサ(……………)
ツバサ(…そろそろ、流れてくるはず)
ツバサ(本大会出場グループのグループ名と、キャッチフレーズ)
ツバサ(μ'sは昨日まで決まってなかったはずだから…これが初公開になるのね)ワクワク
ツバサ(お、きたわ)
ツバサ(μ'sのキャッチフレーズは…)
ツバサ(…………………)
ツバサ「…みんなで叶える物語」
ツバサ(…それが、μ'sを突き動かす原動力なのかしら)フフッ
ツバサ(…頑張りなさいよ、ほのかさん、μ's)
296:
……………………………………
数日後 希の部屋
穂乃果(そういえば、本大会が終わったらもうすぐ卒業式…)
穂乃果(絵里ちゃんやにこちゃん、希ちゃんは卒業しちゃうのか…)
穂乃果(…そうしたら、μ'sはどうなるんだろ…)
穂乃果(アイドルグループとかって、脱退とかあっても続けてるイメージあるけど、ほのか達スクールアイドルはどうするんだろう…)
穂乃果「希ちゃん、希ちゃん」
希「ん?どしたん?」
穂乃果「μ'sって…希ちゃん達って、卒業したらどうするの?」
希「うん…それね、今日みんなで相談したんやけど…」
希「やっぱり決めるのは2年生と1年生に任せることにしたん」
穂乃果「ほのか達に?」
希「そういうこと…」ト-ド-ケテ-セ-ツ-ナ-サ-ニワ-
希「あ、メールや」
297:
希「…今週の日曜、遊びにいこって…」
穂乃果「だれとー?」
希「μ'sのみんなで、ってほのかちゃんが…」
穂乃果「それって…」
希「…もしかしたら、ここで伝えるつもりなんかな、ほのかちゃん」
穂乃果「…覚悟は、できてる?希ちゃん」
希「…………」
希「…いつかは来るって、わかってたし…それに、これまでの時間でも、形はどうあれ解散してきたわけやし…」
穂乃果「でも、今回は…」
希「…うん、ようやく出来上がった最高のμ's…みんなで叶える物語」
希「その物語を終わらせてしまうんは…ちょっと悲しいけど、いつかは終わってしまうものなんやし」
希「覚悟は、しとるよ」
穂乃果「…希ちゃん…」
298:
穂乃果「泣きたくなったら、いつでもこの胸に飛び込んできていいからね!」
希「…もう、穂乃果ちゃんったら」クスッ
希「ありがと」ポスッ
穂乃果「…お、おう…?」ダキッ
希「しばらく、このままで…」グスッ
穂乃果(希ちゃん…)
穂乃果(まさか本当に来てくれるなんて)
穂乃果(…まあ辛いよね、今まで一緒だったμ'sがバラバラになるなんて)ヨシヨシ
穂乃果(ほのかは…ほのか達はどんな結論をだすんだろ)
299:
……………………………………
日曜日 海岸
絵里「…合宿の時も、こうして朝日を見たわよね」
希「そうやね」
ほのか「あのね…」
ほのか「………」
希(…ついに…くるんかな…)
ほのか「あのね、わたしたち話したの」
ほのか「あれから6人で集まって、これこらどうするのか」
ほのか「希ちゃんと、にこちゃんと、絵里ちゃんが卒業したら、μ'sはどうするか…」
絵里「…ほのか」
ほのか「一人ひとりで答えを出した、そしたらね、全員一緒だった。みんな同じ答えだった」
希(………………)
300:
ほのか「だから…だから決めたの」
ほのか「そうしようって」
ほのか「言うよ…っ…せーっ…」
ほのか「…っ、ごめん…いくよ、…」
ほのか「…せーのっ」
1・2年「「大会が終わったら、μ'sはおしまいにします!」」
にこえり「…………」
希「…………」
ほのか「やっぱり、この9人なんだよ」
ほのか「この9人がμ'sなんだよ」
海未「誰かが抜けて、誰か入って、それが普通なのはわかってます」
真姫「でも、私たちはそうじゃない」
花陽「μ'sはこの9人…」
凛「…誰かが欠けるなんて考えられない」
ことり「1人でもかけたら、μ'sじゃないの!」
301:
絵里「…そう」
にこ「絵里!」
希「…ウチも賛成や」
にこ「…希…」
希「あたりまえやん、そんなの…」
希「ウチがどんな想いで見てきたか、名前を付けたか」
希「9人しかいないんよ、ウチにとって、μ'sはこの9人だけ」
にこ「そんなの…そんなのわかってるわよ!…私だってそう思ってるわよ」
にこ「でも…でも…!…だって!」
真姫「にこちゃん」
にこ「私が、どんな想いでスクールアイドルをやってきたか、わかるでしょ?」
にこ「3年生になって諦めかけて、せっかくこんな奇跡に巡り会えたのよ!?こんな素晴らしいアイドルに!仲間に巡り会えたのよ!?終わっちゃうなんて、そんな…」
真姫「だからアイドルは続けるわよ!絶対約束する!何があっても続けるわよ!」
にこ「真姫…」
真姫「でも、μ'sは私たちだけのものにしたい、にこちゃん達のいないμ'sなんていやなの!私が嫌なの!!」
凛「…かよちん、泣かない約束なのに、…凛頑張ってるんだよ?なのに…もう…」
302:
ほのか「あーーーーー!」
9人「え?」
ほのか「時間!早くしないと帰りの電車がなくなっちゃう!」タタタ…
希「………………」
希(…あ、そうや…穂乃果ちゃんもμ'sをここまで応援してくれたんやし、今の様子だけでも…)スマホポチ-
希(ポケットにいれとこ…)グスン
希(あかん、もう…)
303:
………………………………
希の部屋
穂乃果「あ、もしもーし?希ちゃー…」
穂乃果(みんなの笑い声…?)
穂乃果(そうか、そういうことね)
穂乃果(みんな、楽しそう…よかった、それだけで私…)
穂乃果(……あれ、花陽ちゃん、凛ちゃん…泣いてる……?)
穂乃果(2人だけじゃない、みんなまで……)
穂乃果(みんな………やっぱり、μ'sは…)
穂乃果(決めたんだね、ほのか)
穂乃果(……………)ガチャッ
穂乃果「あとは、思いっきり楽しんで、ライブをするだけだね…」
穂乃果「ファイトだよ、みんな」
305:
……………………………………
穂乃果(…μ'sが解散を決めてから、しばらく経った)
穂乃果(いよいよ明日は、ラブライブ本大会)
穂乃果(ホームページで確認してみると、μ'sの出番は一番最後となっていた)
穂乃果(希ちゃんは、今日はみんなで学校に泊まるからって、一度着替えを取りに来てまた出かけていった)
穂乃果(緊張するな…)
穂乃果(できるかな、みんな)
穂乃果(ちゃんと楽しんで…)
穂乃果(……大丈夫、きっとできる)
穂乃果(今のμ'sだったら、なんだってできる)
穂乃果(μ'sを、みんなを信じよう…)
306:
……………………………………
学校の屋上 夜
9人「わああぁ……」キラキラ
ほのか「綺麗だね…」
ことり「光の海みたい…」
海未「…この一つ一つが、みんな誰かの光なんですよね」
絵里「その光の中でみんな生活してて喜んだり、悲しんだり」
ほのか「この中にはきっと、わたしたちと話したことも、会ったこともない、触れ合うきっかけもなかった人たちが、たくさんいるんだよね」
にこ「でも、繋がった。…スクールアイドルを通じて」
ほのか「…うん」
ほのか「偶然流れてきたわたしたちの歌を聞いて」
真姫(……)
ほのか「何かを考えたり」
ことり(……)
ほのか「ちょっぴり楽しくなったり」
花陽(……)
ほのか「ちょっぴり元気になったり」
凛(………)
ほのか「ちょっぴり、笑顔になってるかもしれない」
ほのか「…素敵だね」
307:
にこ「…だからアイドルは最高なのよ」
ほのか「…うん!」
ほのか「わたし、スクールアイドルやってよかったーーーー!」
真姫「…どうしたの?」
ほのか「だって、そんな気分なんだもん!」
ほのか「みんなに伝えたい気分、今のこの気持ちを!」
?????????????
ほのか「でも、一生懸命がんばって、届けたい」
ほのか「いま、わたし達がここにいる、この想いを!」
ほのか「いつか、わたし達、必ず…」
?????????????
ほのか「みんなー!明日、せいいっぱい歌うから、聞いてねー!」
まきりんぱな「ふふっ」コクッ
にこのぞえり「ふふっ」コクッ
ことうみ「ふふふっ」コクッ
μ's「みんなー!聞いてねー!」
313:
………………………………………
会場
穂乃果(うおお、大きい…)
穂乃果(こんなところで、あの子達ちゃんと歌えるのかな…)
穂乃果(…大丈夫だよね、ここまでやってきたんだもん)
穂乃果(今日だって、最高のパフォーマンスを見せてくれるはず)
穂乃果(どんなことも、乗り越えられる気がする)
穂乃果(…そういえば、本大会で歌う曲)
穂乃果(結局どっちになったんだろう?)
穂乃果(あれから真姫ちゃんと海未ちゃんは2曲作り上げて、さらにことりちゃんまで張り切っちゃって、2種類も衣装を用意していた)
穂乃果(一応、両方練習したらしいんだけど…)
穂乃果(本大会のしばらく前、希ちゃんに動画を見せてもらって、どちらが好きか、と聞かれたことがあった)
穂乃果(どっちの曲も好きなんだけど…片方の歌詞に、『みんなで叶える物語』って入っている方が好き、と答えた)
穂乃果(みんなで叶える物語、って、すごいスクールアイドルらしい言葉だし、μ'sのキャッチフレーズでもあるから、聞いてると他の言葉に比べて耳に残りやすいし…)
穂乃果(残ったもう一曲は、また卒業の前にでも体育館とかで、みんなへのお礼も兼ねてライブをしてみたら?って提案してみた)
穂乃果(結局、どの曲を使って残った方はどうするのか、希ちゃんに聞きそびれちゃったからどうなのかはわからないけど、それは本番までのお楽しみってことで…)
穂乃果(そうだ、高坂さんに呼ばれてるんだった)
穂乃果(大会開始は夜だし…高坂さんもいるから間に合わないってことはないよね)タタタ
314:
………………………………………
ウワアアアアアア…
真姫「…これが、会場?」
ほのか「大きいねー!」
絵里「さすが、本選はスケールが違うわねー…」
凛「こんなところで歌えるなんて…」
にこ「トップアイドル並みに注目を浴びているのよ!ラブライブは!」
凛「そっか!」
花陽「注目されてるんだ、わたしたち…」
315:
………………………………………
ライブ会場 夜
雪穂「すごーい!こんなに大きな看板が出てるー!」
亜里沙「ゆきほゆきほ!写真!」
雪穂「はいはい」
亜里沙「ここを目指す写真!」パシャ-
316:
………………………………………
フミコ「こんなに大きな会場で大丈夫かなー、ほのかたち…」
ミカ「優勝候補とか言われてるし…緊張してるかもー…」
ヒデコ「…大丈夫よ、誰もいない講堂に比べたら、どうってことないでしょ?」
フミコ「そうだね!」
ミカ「…って!時間大丈夫?各校の応援席って、入場時間決まってるんでしょ?」
ヒデコ「あ、ほんとだ」タタッ
317:
………………………………………
理事長「あのー…」
ほの母「?」
理事長「使います?これ」ヒカルボウ
ほの母「…ご心配なく!」サッ
ほのパパ「…」ササッ
318:
………………………………………
観客席
穂乃果(…高坂さん、また詳しい話は卒業式の次の日にするって言ってたけど)
穂乃果(それよりも、今はラブライブだよね)
穂乃果(…ついにここまで来たんだ)
穂乃果(希ちゃん、みんな……………ほのか)
穂乃果「ファイトだよ!」コソッ
319:
……………………………………
ステージ裏
ワ-ワ-キャ-キャ-ワ-ワ-キャ-キャ-ワ-ワ-
ことり「…お客さん、すごい数なんだろうな」
海未「楽しみですよね」
ことほの「ん?」
海未「…もうすっかりクセになりました。沢山の人の前で歌う楽しさが!」
ことり「ふふっ♪」
花陽「だいじょうぶかなぁ、可愛いかなぁ…」オロオロ
凛「大丈夫にゃ!すっごくかわいいよ!」
凛「えへへ、凛はどう?」
花陽「凛ちゃんも可愛いよ!」
希「…今日のウチは、遠慮しないで前に出るから、覚悟しといてね!」
ほのか「希ちゃんが?」
絵里「なら、私もセンターのつもりで目立ちまくるわよ?」
絵里「…最後のステージなんだから!」
希「…面白いやん!」
320:
凛「あ、やる気にゃ!真姫ちゃん、負けないようにしないと!」
真姫「わかってるわよ!3年生だからって、ぼやぼやしていると置いていくわよ!」
真姫「宇宙No.1アイドルさん♪」
にこ「ふふん、面白いこと言ってくれるじゃない…」
にこ「私を本気にさせたらどうなるか、覚悟しなさいよ!」
海未「…さあ、そろそろ時間ですよ!」
ほのか「…うん」
321:
ほのか「…みんな、全部ぶつけよう。今までの気持ちと、想いと、ありがとうを、全部載せて歌おう!」ユビスッ
花陽(……)スッ
真姫(……)スッ
凛(……)スッ
ことり(……)スッ
海未(……)スッ
絵里(……)スッ
にこ(……)スッ
希(………………)スッ
ほのか「……」
海未「?…どうしたんです?」
ほのか「なんて言ったらいいか、わからないんだ」
のぞえり「?」
にこ「…何よそれ」
ほのか「…だって本当にないんだもん」
ほのか「…もう全部伝わってる。」
ほのか「…もう気持ちは一つだよ!」
ほのか「…もうみんな、感じていることも、考えていることも、同じ……そうでしょ?」
希「…………………」
希「……そうやね。」
322:
ほのか「…はぁ、ふぅ。」
ほのか「μ'sラストライブ、全力で飛ばしていこう!!」
ほのか「いち!」
ことり「に!」
海未「さん!」
真姫「よん!」
凛「ご!」
花陽「ろく!」
にこ「なな!」
希「はち!」
絵里「きゅう!」
μ's「……ミューズ!」
μ's「ミュージックー…」
μ's「スタートー!」
キャ---キャ---ワ-ワ-キャ-キャ-ワ-ワ-ワ---…
323:
ーーーーーーーーーーーーーー
「…どんな明日が待ってるんだろ」
「…少しずつ、手探りしてた」
ほのか「…わかってた」
「同じ、夢を見てると」
「目指すのは」
絵里「あの太陽」
「…大きな、」
ことり「かがやきを、つかまえる」
「いつかの」
ほのか「願いへと、近づいて」
「…歌うんだ、Sensation!」
「奇跡、それは、いまさ、ここなんだ!」
「だから、ほんとうに、今を、楽しんで!」
『みんなで叶える物語』
海未「まぶしいな!」
真姫「いいな!」
希「おいでよ!」
花陽「うれしいな!」
にこ「いいな!」
凛「もっとね!」
「…ひとつになれ、こころ…KiRaKiRa!!」
…ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
……
ーーーーーーーーーーーーーー
324:
ーーーーーーーーーーーーーー
「東條希!」
「西木野真姫!」
「園田海未!」
「星空凛!」
「矢澤にこ!」
「小泉花陽!」
「絢瀬絵里!」
「南ことり!」
「高坂穂乃果!」
「音ノ木坂学院、スクールアイドル、μ's!」
μ's「ありがとうございましたー!」
………………………………………
325:
………………………………………
「…ではみなさん、3位、2位の入賞校に、もう一度大きな拍手をお願いします!」
ワ-ワ-パチパチワ-ワ-パチパチオメデト-ワ-ワ-…
「それでは3位、2位に続きまして、第1位を発表したいと思います!」
「第2回ラブライブ、本大会の優勝校は…!」
……………………………………
326:
……………………………………
舞台裏
りんぱな「………」ヨシヨシ
のぞにこ「………」ギュッ
えりまき「………」ニコッ
ほのうみこと「……………」ギュ-
ほのうみこと「……………」ギュ!
希(…ついに、ここまでやり遂げたんやな……)
希(長かったなぁ………でもよかった、このメンバーでここまで来ることができて…)
ほのか(やったんだ…わたしたち、やり遂げたんだ…!最後ま……)
ワ-ワ-キャ-キャ-ワ-ワ-…アンコ-ル!アンコ-ル!アンコ-ル!
希(……………え…?)
ほのか(………………………)
ほのか(…………たくさんの人が…………)
観客「アンコール!アンコール!」
327:
ヒフミ「アンコール!アンコール!」
つばあんえり「アンコール!アンコール!」
ゆきあり「アンコール!アンコール!」
理事長&真姫まま「アンコール!アンコール!」
ほの母「アンコール!アンコール!」
ほのパパ「…………」フリフリ
みんな「アンコール!アンコール!アンコール!アンコ-ル!アンコ-ル…………
μ's「…………!」
328:
??????????????
『このまま誰も見向きもしてくれないかもしれない。
応援なんて全然もらえないかもしれない。
でも、一生懸命頑張って、私たちがとにかく頑張って、届けたい!
今、私たちがここにいる、
…………この想いを!』
??????????????
329:
…………………………………
ほのか「…よし!」
9人「「……」」コクン
μ's「…ミューズ!」
μ's「…ミュージックー…!」
「スタートー!」
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!……
330:
ーーーーーーーーーーーーーーー
ほのか・海未・ことり「まっすぐなおもいが、みんなを繋ぐ」
真姫・凛・花陽「大きな夢はここにあるよ、はじまったばかり」
にこ・希・絵里「たのしいだけじゃない、試されるだろう」
ほのか・海未・ことり「集まったら、強い自分になっていくよ」
真姫・凛・花陽「きっとね」
にこ・希・絵里「かわり続けて」
ほのか・海未・ことり「We'll be star!」
「それぞれが好きなことで頑張れるなら」
「新しい場所が、ゴールだね!」
「こわがるクセは捨てちゃえ!」
「とびっきりの笑顔で」
「とんで、とんで、高く」
「僕らは、今の中で…」
「輝きをまってた…」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
331:
………………………………………
ワアアアアアアアアアア…
穂乃果(………………)
穂乃果「やり遂げたんだね、最後まで…」
332:
………………………………………
穂乃果(ラブライブから数日…)
穂乃果(今日は、音ノ木坂の卒業式)
穂乃果(希ちゃんが家を出て行くとき、『こんなに気分良く迎える卒業式は初めてや』って言ってた)
穂乃果(希ちゃんは、この1年間に悔いはなかったみたい)
穂乃果(…私も、戻ってきてからのこの一年間に、悔いはない)
穂乃果(私は何がしたいのか)
穂乃果(こっちに戻ってきてからいろいろと考えたけど、少なくとも、この1年は私にとってすごく充実した時間だった)
穂乃果(見ているだけで、こっちも笑顔になってしまうような、そんな力を、あの子達は持ってる)
穂乃果(…その中に私も入ってるっちゃ入ってるんだけど…)
穂乃果(でも、そのμ'sが今日で解散かぁ…)
穂乃果(…………せっかくだし、私も卒業式見にいこうかな)
穂乃果(ほのかの送辞がどんなもんかも気になるし)
333:
………………………………………
学校 花壇
希(今日で卒業かぁ…)
希(これが何回目の卒業式だろう)
希(…でも、こんなに気持ちがいい卒業式は、人生で初めてや)
希(…この1年間で、ああすればよかった、こうすれば良かった、とか思うことが全然ない)
希(全てが思い通り、ってわけにはいかなかったけど、最終的には最高の結果を残せた)
希(…それにしてもまさか、ほのかちゃんが生徒会長として送り出されるなんて)
希(あのほのかちゃんが送辞を読むんか…どんな送辞になるんやろ)ニシシ
希(…不思議と、不安ではない)
希(前のウチやったら、こんな大舞台の前は不安で頭がいっぱいだったのに、今は驚くほど落ち着いていられる)
希(…ウチも成長したってことかな)
希(…いや、ちょっと違うな)
希(ほのかちゃんも、大きく成長した。今のほのかちゃん、今のμ'sだったら、何だってできる、そんな気がする)
希(…でも、そのμ'sも、今日で解散なんか…)
希(……だめよ、ウチ…今日は笑って卒業するって決めたんやから)フフ
334:
ガチャ
ほのか「希ちゃーん!」
希「あ、ほのかちゃん」
希(ほら、この子はこんなに笑顔を見せてくれる)
希(うちも、先輩としてしっかりしなくちゃね)
希「どう?」カミファサ-
ほのか「すっごい似合う!希ちゃん髪綺麗だよねぇー」
希「そんなに言われたら照れるやん♪」
ほのか「でも、ほんとにそう思うよ!」
希「ふふ、ありがと」
ほのか「じゃ、また後で!」
希「あ、絵里ち知らない?」
ほのか「? 知らないよ?」
希「てっきり、ほのかちゃん達と一緒かと思ってたんやけど…」
ほのか「…そっか、見つけたら、いっとくね!」タタタ…
希「忙しい子やなぁ…」
希(というか、絵里ちどこいったんやろ…生徒会室かな)
希(…行ってみよっと)
335:
………………………………………
生徒会室前
希(…あれ、ほのかちゃんの声がする)
希(絵里ちの声も)
ほのか「じゃ、いくね!」ガチャ
ほのか「あ、希ちゃん!」
希「やっぱりここやったんやね」ニコッ
絵里「希!」
ほのか「また後でー!」タタタ…
絵里「………………」
絵里「…大きくなったわね」
希「…そうやね」
希「もう、立派な…生徒会長やね」
336:
………………………………………
「続きまして、送辞、在校生代表、高坂ほのか」
ほのか「はい!」
希(お、ついにほのかちゃんの送辞や…)
希(…やっぱり、壇上にほのかちゃんが立つと変な感じするな)
希(…でもほのかちゃん、しっかり話せとるな)
希(ほんと、立派な生徒会長に…)
ほのか「先輩、皆様方への感謝と、これからのご活躍を心からお祈りし、これを送ります」
希(お、そろそろ校歌かな…)
真姫「…………」ストンッ
337:
希(伴奏は真姫ちゃんかぁ…まあピアノも上手だしね)
真姫「………」スッ
ほのか「………」スウッ
ほのか「…愛してる、ばんざーい、ここでーよかーった、私達のいーまが、ここにあるー」
ほのか「愛してる、ばんざーい、はじまったばかり、明日もよろしくね、まだ、ゴールじゃない…」
海未「…さぁ!」
海未・ことり「大好きだ、ばんざーい、負けなーい勇気、私達は今を楽しもう」
凛・花陽「大好きだ、ばんざーい、頑張れるから、昨日に手を振って、ほら……前向いて…」
ほのか「ねぇ!みんな一緒に!」
みんな「ラーラーラ、ララララララ、ラララ、ラララ、ララララララーラ」
希(…さすが、ほのかちゃんらしいサプライズやね…)グスッ
みんな「ラララーラ、ラーララー…」
…………………………………………
338:
…………………………………………
穂乃果(うー、私までウルっときちゃったじゃない…)グスン
穂乃果(さっき、2年生と1年生だけを早めに呼んで、体育館にいる全員で歌の練習をしたのはこのためだったのね…)
穂乃果(…思ってた以上に生徒会長しててびっくりしちゃった)
穂乃果(卒業式自体は終わったみたいだし…私はそろそろ帰ろうかな)
穂乃果(明日は高坂さんから話があるらしいし、疲れたらまずいしね…)
穂乃果(…ほのか達に見つからないように、早く帰ろ)
………………………………………
校門
穂乃果(あれ?あの人は…)
高坂「やっほ、来ちゃった」フリフリ
穂乃果「ええ、高坂さん!?こんなとこにいたら見つかっちゃいますよ!」アセアセ
高坂「大丈夫だよ、少々…」
穂乃果「少々って、そんな…」
高坂「多分今頃、ほのか達は部室にいるだろうから」
穂乃果「なんでわかるんですか…?」
高坂「まあ、大人の勘、かな?」
高坂「…それより、お腹すいてない?どっかお店に入ろうよ」
339:
………………………………………
ファミレス
高坂「今日はあんまり周りの人にチラチラ見られないね」
穂乃果「まあ…私一応ちゃんとした服装してますし…髪も結んでるからパッと見はわかりませんよね」
高坂「そうだね」
高坂「…ところで穂乃果ちゃん、私がわざわざ校門であなたを待っていた理由、聞きたくない?」
穂乃果「そりゃ、知りたいですけど…何かあったんですか?」
穂乃果「明日会う約束してるから、まさか今日も会うことになるとは思ってもいませんでしたけど…」
高坂「うん、本当は明日伝える予定だったけど、せっかくなら今伝えておこうかなって」
穂乃果「せっかくなら?」
高坂「そ。…次のラブライブの事」
穂乃果「…次の…ラブライブ?」
穂乃果「でも、μ'sはもう解散したから…」
高坂「いやいや、まだ決定したわけではないんだけど…次はアキバドームでやる予定なんだ」
穂乃果「アキバドーム!?」
穂乃果「あの野球とかしてる!?」
高坂「そう。あのアキバドーム。…といっても、流石に今のままじゃドームを抑えることはできない」
高坂「そこで、μ'sの力を借りたいんだ」
穂乃果「μ'sの力を…」
340:
高坂「うん。…実はね、アメリカの大手テレビ会社の社長さんと、希ちゃんが知り合いらしくて」
穂乃果「アメリカの大手テレビ会社の社長さんと…?」
高坂「なんか、転勤続きで住む場所を転々としてたとき、いろいろあって仲良くなったんだって」
穂乃果「ほえぇ…恐るべし希ちゃんの人脈…」
高坂「それでね、たまたまその社長さんが日本のスクールアイドルに注目していて」
高坂「ここぞとばかりに希ちゃんが、ああ今日卒業した方じゃない希ちゃんね?話をつけてきてくれて…」
高坂「生中継で、ライブを放送してくれることになったの」
穂乃果「……なんか…スケールが大きすぎてよくわかんないんですけど…」
穂乃果「要するに、それでμ'sに出てもらって、ここでスクールアイドルの知名度を一気に上げよう、ってことですか?」
高坂「そういうこと。まあいろいろ端折った部分もあるけどね」
341:
高坂「そこで、穂乃果。あなたも一緒について行ってみたらどう?」
穂乃果「え?私も?」
高坂「うん、移動だったらタイムマシンを使えばいいし…」
高坂「何より、あなたまだあのマイクを使って歌ってないでしょう?」
穂乃果「…はい…… あ」
穂乃果「もしかして、アメリカの方で私も…」
高坂「今日はやけに勘がいいね。そういうこと。アメリカだったら、穂乃果も成功した経験がある地、になるわけだし、ここよりは歌いやすいと思うんだけど…」
穂乃果「…たしかに…ちょっと考えてみます」
高坂「うん、そうして。何も明日とつぜん出発するわけじゃないんだし、じっくり考えてみて」
342:
…………………………………………
絵里「じゃあ、いくね」
ピロリン♪ピロリン♪
花陽「あっ」ガサゴソ
真姫「なによ、こんな時に…」
花陽「ご、ごめん…」
花陽「…………………」
花陽「………え」
花陽「えええええ!?」
みんな「?」
絵里「花陽?」
にこ「どうしたのよ?」
花陽「あ、ああぅ、あぅあ…!」
花陽「たいへんです!」
みんな「え?」
ほのか「どうしたの?」
花陽「ここでは言えません、部室に戻らなきゃ!」ガシッ
343:
ほのか「え!?うぇぇぇ!?」
絵里「ちょ、なんなのよいきなり…」
希「ふふ、なになにー?教えてー!」タタッ
絵里「の、希!?」
花陽「たいへんです…!」ダダダ
海未「今度はなんですか…?」タタタッ
凛「にゃーーーー!」タタタッ
ことり「まだ終わってないってことー?」タタタッ
真姫「何それ、イミワカンナイ!!」タタタッ
にこ「行って確認してみるかなさそうね!」タタタタッ
絵里「ちょっと!今日卒業式なのよ!?」ダダッ
ほのか「おわわわわぁ!」タタタ
ほのか「よーし!みんな続けー!」タタタタッ
ほのか「さぁ、いこう!」ダダッ
ほのか「わたしたちと一緒に、見たことのない場所へ!」
ほのか「見たことのないステージへ!」
ほのか「…叶え、わたしたちの夢、叶え、あなたの夢」
ほのか「叶え!みんなの夢!」
375:
………………………………………
希の部屋
穂乃果(卒業式からしばらく経った)
穂乃果(卒業式の後、希ちゃん達は理事長から海外ライブの話を聞いたらしい)
穂乃果(学校に行く必要がないから、最近はほのかちゃん達が学校の間も絵里ちゃんとにこちゃんと練習しているみたい)
穂乃果(というかもう卒業しちゃったのに、希ちゃん達はまだスクールアイドルとして活動ができている)
穂乃果(不思議に思って、昨日聞いてみたら、どうやらラブライブ運営委員会が4月の終わりに登録情報を更新するらしくて、それまではスクールアイドルとして活動ができる、ってことらしい)
穂乃果(あと約1カ月…μ'sは何を残せるんだろう)
穂乃果「…ねぇ、希ちゃん」
376:
希「……………」ガサゴソ
希(えーっと、着替えとかは揃っとるか あとは…)ガサゴソ
穂乃果「…希ちゃん?」
希「…きーせーきーそれーはーいまーさーここなんだー♪…」ボソボソ
穂乃果「もしもーし!?希ちゃん?」
希「うぉっ、穂乃果ちゃん、どうしたん急に大声出して…」
穂乃果「さっきから呼んでたよ…」
希「え、そうなん…全然聞こえんかった…」
希「ウチ、耳が遠くなったんかな?」ハハハ
穂乃果「もう…昨日しっかり寝たの?」
希「もちろん!最近にしては珍しく10時には寝たし!」
穂乃果「たしかに…昨日は珍しく早かったよね」
377:
穂乃果「それはそうと、希ちゃん、向こうでするライブは何を歌うの?」
希「実はね、今回も新曲!」
穂乃果「えぇ、このタイミングで新曲って、しっかり踊れるの…?」
希「まあ…最近春休みやったけ、ずっと1日練だったし、みんなのモチベーションも高かったからいい出来になった、って自負はあるよ」
希「向こうに行っても最終確認とかはするけどね」
穂乃果「そうなんだ…楽しみにしてるね!」
穂乃果「私も見に行くから!」
希「あ、そっか、穂乃果ちゃんはタイムマシンで一瞬でこれるんだったね」
穂乃果「そうそう、飛行機より早いしお金もかからないし…」
希「そんな技術が世に放たれたら、運搬系の職業の人が一気に職を失うことになるよね…」
穂乃果「そうなんだよねー…だから結局このタイムマシンのことは元の世界でも秘密だったんだけど」
希「いろいろと大変やな…」
378:
希「あ、LINEきとる、えっと…ほのかちゃんもう空港に着いたって…」
穂乃果「はやっ!張り切りすぎだよ…」
希「まあ、それだけ楽しみってことよ…ウチもそろそろ出ようかな」
穂乃果「あ、そうだ希ちゃん、希ちゃん達が泊まるホテルってどこ?」
希「あ、後でパソコンのメールに送っとくよ」
希「どうかしたん?」
穂乃果「いやいや、何かない限りはあんまり近づかないようにしないとなー、って…」
穂乃果「ほのかに見つかったらまずいみたいだし」
希「あ、そういえばそうやったね」
希「じゃ、そろそろ行ってきまーす」ガチャ
穂乃果「うん、いってらっしゃーい」フリフリ
穂乃果(あれ?そう言えばもうすぐ4月…ってことは見つかっちゃってもいいってことかな?)
穂乃果(まあ…また高坂さんに会ったときに話聞いてみよっと)
380:
…………………………………………
空港
希(…そういえば、ラブライブに優勝してからも、頭の中に纏わりつくようなあの感覚は消えていない)
希(まあ感覚やけ、正確なことはわからんけど…)
希(…まだループは無くなっていない、ゆうことかな)
希(もしかしたらやけど…この繰り返しはいつか終わるもんなんよね…?)
希(…………………)
希(…考えてもムダや、とりあえずはこの海外ライブを全力でやり遂げよう)
希(今は今を、全力で楽しまんともったいないよね)
希(…みんなに会う前に、一回カードで占っとこうっと)スッ…
希「ふふ、旅立ちには最高のカードやね」
381:
………………………………………
ほのか「私あのエンピツみたいなビル登りたーい!」 テアゲ
海未「…ここに何しに来たと思ってるんですか?」
ほのか「何だっけ?」
海未「ライブです!」 バン!
ほのか「分かってるよぉ…」
海未「大切なライブがあるのです、観光などしているヒマはありません!」 ババン!
ほのか「ええ!?でもぉ………」
海未「幸い、ホテルのジムにはスタジオも併設されているようです」ニコッ
海未「ここで練習しましょう、外には出ずに!」
ほのか「ええ!?」
希「わざわざ来たのに?」
真姫「よっぽど怖かったのね…」
382:
ほのか「大丈夫大丈夫…街の人みんな優しそうだったよ」
海未「ほのかの言う事は一切信じません!」
絵里「確かに、ラブライブ優勝者としてはこのライブ中継はおろそかに出来ないわ」
海未「その通りです」
絵里「でも歌う場所と内容に関しては、私たちからも希望を出してくれと言われている…」
絵里「この街のどこで歌えばμ'sらしく見えるか、街を回って考えてみる必要があると思うの」
海未「それは……」
ほのか「そうだよそうだよ!」
絵里「だから、朝は早起きしてちゃんと練習」
絵里「その後は、歌いたい場所を探しに出かけると言うのはどう?」
ことり「それいいと思う!」
海未「ことり!」
にこ「賛成の人ー?」
8人「……」スッ
海未「あ……は……は…あ………」
希「決まりやね」
海未「はあ…」
ほのか「よーぅし、そうと決まったらご飯にしよう!」
383:
……………………………………
希のアパートの近くの公園 夜
穂乃果「……よし」
穂乃果(マイクとスピーカーと……おっけー、道具は整った)
穂乃果(お金も昼のうちにいくらかドルに替えてきたから大丈夫)
穂乃果(えっと、行き先はNYの…ホテルからちょっと離れたところにしようかな)
穂乃果(……よし、この辺りだったらほのか達も来ないだろうし、私も何度か行ったことある)
穂乃果(…はぁ、ふぅ…)
穂乃果(初めて人前で歌うことになるけど…人集まるのかなぁ、声ちゃんと出るかなぁ…)
穂乃果(…大丈夫だよね、高坂さんだって出来たんだもん、私にだってできるはず)
穂乃果(……よし、いこう)
384:
………………………………………
NY
穂乃果(うわぁ、…たった1年ぶりなのにこんなに懐かしい気分になるなんて)
穂乃果(…やっぱ空気というか雰囲気が違うよね…日本語の看板がないところとか)
穂乃果(えっと…あんまり人が多いところでやると迷惑になるから…ちょっと曲がった角のところでやろうかな)テクテク
穂乃果(よし、この辺で…っと)
穂乃果(この辺だったら人通りが多いところの近くだし、人も来てくれやすいよね)
穂乃果「あー、あー、」
穂乃果「???♪」
穂乃果(先に声出ししとかなきゃ上手く声出ないよね)
穂乃果「…………???♪」
穂乃果(よし)
穂乃果(準備しよう)ガチャガチャ
穂乃果(うわぁ…やっぱり緊張するなぁ…でも不思議と人に見られてるって感じはしないな)ガチャガチャ
穂乃果(そいえば許可とかとらなくていいんだっけ……まあいいよね、一曲分くらい)ポチ-
?????????????♪
穂乃果(うわぁ緊張する…)ドクンドクン
385:
穂乃果「…………」
穂乃果「…You must remember this………????♪」
穂乃果(あ、歌ってみると緊張が一気に解けた、むしろ楽しい)
ザワザワ…ザワザワガヤガヤワイワイ…ガヤガヤ
穂乃果(お…何人か立ち止まって聞いてくれてる)
穂乃果(すごいな、こんなに来てくれるもんなんだ)
穂乃果「Well, it's still the same old story……????♪」
穂乃果(なんか…来てよかったかも…)
穂乃果(もっと人なんて来てくれないものだと思ってたけど…)
穂乃果(意外にみんな立ち止まってくれるんだね)
穂乃果「…As time goes by…♪」
外人「Foo!」パチパチ
穂乃果「Thank you! Everyone thanks a lot for being here tonight! 」
パチパチパチパチパチパチパチパチ…
穂乃果(すごい…こんなに楽しいなんて…高校生の頃を思い出すなぁ…)
ガヤガヤ…ワイワイザワザワ…ガヤガヤ…
穂乃果(よし、お客さんみんな帰り始めてるし私も片付けしよっと)ガチャガチャ
穂乃果(この後どうせ暇だし…希ちゃん達のホテルでも見に行こっかな)ガチャガチャ
穂乃果(こんな時間ならさすがにみんな部屋に戻ってるだろうし)
穂乃果(よーし、片付け終わったし、早…)ポチ-
386:
………………………………………
ホテル
穂乃果(うわぁ…大きなシャンデリア…)
穂乃果(希ちゃん達こんなところに泊まれるのかぁ…いいなぁ…)
穂乃果(こういうホテルって大抵、売店とかあるよね…なんか買って帰ろっと)
穂乃果(おぉ…なんかこういう左右に分かれてる階段ってどっちから登ろうか迷ったりするよね)テクテク
穂乃果(あ、あった、売店…というかコンビニ)
穂乃果(よかった…売ってあるものは普通の値段だ…ホテルが豪華だから高いものばっかりかと思って不安だったけどそうじゃなくてよかった)
穂乃果(…アメリカのお菓子とかってすごいカ口リー高そうな見た目してるよね…というか身体に悪そうな…)
穂乃果(でもせっかくだし何個か買っとこーっと)
穂乃果(…ついでに今日の晩ご飯も買っておこう)
穂乃果(えっと、レジは……ってあれは)
穂乃果「希ちゃんだ」
387:
穂乃果(ジュースあんなに買って…あれかな、旅行に来たら特に必要ないのにテンション上がって買っちゃうアレかな)
穂乃果「おーい、希ちゃん」
店員「Here you are.」
希「Thank you!」テクテク…
穂乃果「希ちゃーん」
希「真姫ちゃんまだ風呂入っとるかなぁ…」ボソ
穂乃果「…いっちゃった」
穂乃果(なんか今日、希ちゃん聞こえてないこと多いなぁ…病気とかじゃなければいいんだけど)
穂乃果(…追っかける前に買っとかなきゃ、このお菓子)
希「…今穂乃果ちゃんの匂いがしたんだけど…気のせいだよね?」クルッ
希「…まあいるわけないか」テクテク
388:
………………………………………
希の部屋
穂乃果「ただーいまー…」ガチャ
穂乃果(ふぅ…楽しかったけど疲れた…)ゴトッ
穂乃果(にしても…あんなに聞いてくれる人がいるなんて、予想外だったな)
穂乃果「明日の夜も行こっかなー」
穂乃果(そうだ、高坂さんともお話したいな、せっかく歌ったんだし)
穂乃果「明日また電話してみようっと」
389:
………………………………………
ホテル 希と真姫の部屋
希「ただいま?」
希「ん?」
希(やっぱり真姫ちゃんまだシャワー浴びとったか…まあ別に何もないんだけど)フフ
希「真姫ちゃん、ジュース買ってきたよ」
真姫「ありがとう」
希(冷蔵庫いれとこーっと……)
希(…なんでこんなにジュース買ったんやろ、2人やったら飲みきれんやろ…)
希(明日誰かにあげよっと……ん?)
希(真姫ちゃんのノート…?)
390:
希「ん?これって」 パラパラ
希(これまでのμ'sの曲…ではないね…新曲かな…?…でもμ'sはこのライブで…)
真姫「…何勝手に見てるのよ」 フキフキ
希「あ…ごめん」
真姫「中、見たの?」
希「…真姫ちゃん、もしかして」
真姫「いいの、私が勝手にやってるだけだから気にしないで」
希「うん…」
希(やっぱり、真姫ちゃんもまだ未練はあるんかな…μ'sに)
希(…明後日のライブとは別で、最後にみんなで学校かどこかでライブしたい気もするんよねー…)
希(まあ、その辺はほのかちゃん達とまた話し合うところやなー…)
391:
……………………………………
次の日 希の部屋
穂乃果「…って感じで、意外に立ち止まってくれる人が多くて、びっくりしました」テレフォン
高坂『そうかそうか…それは良かった、上手くいって』テレフォン
高坂『ところで穂乃果』
穂乃果「ん?なんですか?」
高坂『最近、なにか変な感じを…というか違和感を感じることない?どんなことでもいいんだけど』
穂乃果「うーん違和感…これといって特には…昨日NYで買ったチョコ食べたら歯が痛かったことくらいしか…」
穂乃果「あ、そういえば昨日希ちゃんの様子が変でしたねー」
高坂『変って、どんな?』
穂乃果「なんか話しかけてもなかなか気付いてくれないって言うか…なんというか…」
穂乃果「希ちゃん病気とかじゃありませんよね…?」
高坂『……うん、大丈夫だよ。私の知ってる限りでは希ちゃんはそこまで大きな病気になったことはないかな』
392:
穂乃果「よかった…希ちゃんが何か大きな病気とかだったりしたらどうしようかと…」
高坂『まあそんなことはあり得ないと思うから大丈夫だよ』
高坂『ところで、明後日の昼、会えない?ちょっと話があるんだけど…』
穂乃果「明後日?…あ、夜には向こうに行ってライブ見たいんですけど…」
高坂『それなら大丈夫、そこまで時間かかるものじゃないから』
穂乃果「じゃあわかりました、明後日の昼ですね?いつものところでいいですか?」
高坂『うん、それでお願い。』
高坂『それじゃあまた明後日』
穂乃果「はーい、また明後日ー」ガチャッ
穂乃果(…話…なんのことだろう?)
穂乃果(そういえばさっき言ってた違和感についてのことも結局何なのかよくわかんなかったし…そのことかな?)
393:
………………………………………
NY
絵里「…ところで、一通り街は廻ってみたけど、ライブに使う場所はどうする?」
凛「凛はあの公園のステージとかいいと思うにゃー」
花陽「わたしも…あそこの雰囲気は好きだったなぁ…」
ほのか「わたし、あの広い芝生のところがいい!」
ことり「たしかに、あそこだったら広く使えそうだよね」
海未「しかし、あそこだと地面が不安定なので踊りにくくはありませんか?」
絵里「大丈夫よ。一応ライブをするときには特設ステージを作ってくれるみたい」
にこ「ええ!?そんなものまで用意してくれるの!?…さっすが私達ね…テレビ局がここまでしてくれるなんて」
凛「だったらせっかくだし、あの公園のステージよりは他の場所の方がいいのかなぁ」
ことり「そうだね…もっと他の場所でどこか良いところは…」
394:
希「…タイムズスクエアのところとかは、どう?」
海未「タイムズスクエアのところ、ですか?」
花陽「たしかに、あそこだと人も多いしお客さんも多いよね」
ほのか「わたしはこの街でライブができればどのでも!」
ことり「わたしも、ほのかちゃんがいいならどこでも♪」
真姫「本当、ことりはほのかに甘いわね…」
ことり「えへへ♪」
にこ「そうねえ…そこでいいんじゃない?私は賛成よ」
絵里「そうね、私も賛成かしら」
絵里「ほかに意見がある人はいる?」
凛「凛はそこがいいにゃー」
花陽「わたしも、それで大丈夫です」
ほのか「わたしもー!」
希「うふふ、ありがと、みんな」
希(タイムズスクエアの辺り…人が多いせいもあるかも知れないけど、あそこに行くと鼓動が早くなるような気がするんよね)
希(実際、あそこで穂乃果ちゃんに出会ってなければ今のこの状況はないわけやし)
希(何か特別な力があるように思うんよね、あの場所には…)
395:
………………………………………

ほのか「この街にもこんなお店あるんだね」
真姫「世界の中心だからね。大抵のものは揃っているわ」
花陽「はぁぁ?美味しかったぁ…やっぱり白米は最高です♪」タヌキナデナデ
凛「よかったね、かよちん!」
絵里「…さ、遅くなる前に戻りましょ」
ほのか「うん!」
ほのな「うふふ、なんかこうしてると、学校帰りみたいだね」
絵里「そうね」
真姫「不思議な感じ…」
絵里「…皆とこうしていられるのも…もうわずかなはずなのに」
絵里「この街は、不思議とそれを忘れさせてくれる」
396:
……………………………………
ピピーッ
ほのか「…あれ?あれぇ?」ガチャガチャ
ほのか「ぅ…そーりー…」
外国人「Oh, excuse me.」
ほのか「お金足りないのかなぁ…」
ことり「でね、希ちゃんに……」
ほのか「あぁっ!ちょっとぉ!!」
………………………………
………………………
………………
ガラン
ほのか「…もしかして…」
ほのか「迷った?」
ほのか「…………………………」
ほのか「どおしよおおおおお!」
397:
……………………………………
タイムズスクエア周辺
穂乃果「よし、今日はこの辺で…」
穂乃果(昨日よりちょっとホテルから近いけど…こんな夜だしもう部屋にいるよね、昨日と同じで)テクテク
穂乃果(お、いいところ発見、今日はここで歌おう)コトッ
穂乃果(えっと…いろいろと準備しながら…)ガチャガチャ
穂乃果「あー、あー、」
穂乃果「??♪」
穂乃果(準備完了、そろそろ始めようかな)
穂乃果(今日も何人か立ち止まって聞いてくれるかなぁ…)ドキドキ
穂乃果(…よし)ポチ-
???????????♪
398:
……………………………………
 
ほのか「うぅ…ホテルの駅……こんな階段じゃなかったよね…?」
ほのか「はぁぁ……」
ドンッ
ほのか「あっ!すみませ…」
外国人「Sorry.」
ほのか「……そーりー…」
ほのか「……」テクテク
ほのか「はぁ…なんて駅から乗ったんだっけ……」
ほのか「?」
404:
穂乃果「??????♪」
穂乃果(今日は昨日は人数少ないかなぁ)
穂乃果「?♪As time goes by…♪」
外国人「Fo!!」
パチパチパチパチ
ほのか「わぁ…あははっ!」パチパチパチ
穂乃果「Thank you! Everyone thanks a lot for being here today! I would like to see you all at my live performance too! 」
ほのか「あはっ、ふふっ!」パチパチパチ
穂乃果「?」
穂乃果(…もしかしてあの子…)
ほのか「ふふっ」ニコッ
405:
……………………………………
穂乃果「…ふーん……ま、たまにいるよ?あなたみたいに迷子になっちゃう人」
穂乃果(私も来たばっかりの頃はよく迷子になってたし…)
穂乃果「でもまさか…ホテルの名前もわからないとは…」
ほのか「すみません…」 カアア
穂乃果(念のため希ちゃんにホテルの名前聞いててよかった…)
ほのか「…でもお姉さん、大きな駅ってだけでわかるなんて!」
穂乃果「うふふっ」
ほのか「ふぇ?」
穂乃果「あなた、いちいち動きがオーバーね?」フフフ
ほのか「うっ…」
穂乃果(…それだけ、昔の私とは違って自分に自信を持ってる、って事かな)
穂乃果「大丈夫よ、場所は大体わかってるから」
穂乃果「大きな駅があるところの、大きなホテルなんでしょ?」
ほのか「はい!」
穂乃果「大きなシャンデリアもあるでしょ?」
ほのか「あります!」
穂乃果「ふふーん…じゃあ間違いなくあそこね……」
穂乃果(…まあ一応聞いただけで、昨日行ったんだけど)
406:
穂乃果(………あれ、そういえば私…)
穂乃果「あっ」
ほのか「どうしたんですか!?」
穂乃果「…マイク……忘れた」
ほのか「ええー!?……って、あの…」
穂乃果「え?」
ほのか「もしかして……それじゃあ……」
穂乃果「あ……あ!」
穂乃果「えへっ」ペロ
ほのか「もー!ビックリさせないでくださいよぉー!」
穂乃果「ごめんごめん…あったんだから、いいじゃない」プシュ-
ほのか「あ!この駅!見覚えある!」
ほのか「大っきい駅!ここだ!ここですよ!」
穂乃果「ふふ、だから言ったでしょ?場所はわかってるって」
407:
……………………………………
トコトコトコ…
ほのか「こっちでずっと歌ってるんですか?」 テクテク
穂乃果「……まぁね」 テクテク
穂乃果「…これでも、昔は仲間と皆で歌ってたのよ?…日本で」 テクテク
穂乃果(…ことりちゃんが、留学しちゃうまでは…)
ほのか「そうなんですか?」 テクテク
穂乃果「うん!」テクテク
穂乃果「でも……いろいろあってね…」テクテク
穂乃果「…結局、グループもおわりになって…」 テクテク
穂乃果(私が、家に引きこもってしまって…)
ほのか「……」
穂乃果「当時はどうしたらいいか、よくわからなかったし…次のステップに進めるいい機会かなー、とか………考えたりしたわねー…」
穂乃果(次のステップ、か…まあ、ある意味、これも次のステップなのかな)
ほのか「………」
408:
穂乃果「ん、どうしたの?」
ほのか「それで……それで…」
ほのか「…どうしたんですか?」
穂乃果「……簡単だったよ」
穂乃果(…簡単だった…私一人じゃもちろん難しかっただろうけど、希ちゃんの、友達の力を借りて、気持ちを切り替えることができた…はず)
ほのか「え?」
穂乃果「とっても簡単だった」
穂乃果「自分達が今まで、何故歌ってきたのか。どうありたくて、何が好きだったのか」
穂乃果(希ちゃんが、それに気づかせてくれた)
穂乃果「…それを考えたら…答えは、とても簡単だったよ」
ほのか「うぅーん……あの、なんかわかるようなわからないようななんですけど……」
穂乃果「今はそれでいいの!」
穂乃果(この子は…たくさんの仲間がいるんだから。きっとすぐに答えは出せるはず)
ほのか「えー!」 タタッ
穂乃果「それでいーの!」
ほのか「ぃやですー!」 タタタッ
穂乃果「いーの!」
ほのか「えー!」 タタッ
穂乃果「……すぐにわかるよ」 ボソッ
ほのか「?」
穂乃果(…今のあなただったら、私よりもずっと早く、自分の力と、μ'sの力で、それがわかるようになるはず)
409:
 
トコトコトコ…
海未「ほのかっ!!」
ほのか「?」
ほのか「みんな!」タッタッタッタッ…
ほのか「みんなー!」 タッタッタッ
海未「何やっていたんですかっ!!!」
ほのか「…海未ちゃん……」
ことり「…………」
絵里「…………」
海未「………」
海未「…どれだけ探したと思ってるんですか……」ギュッ
海未「…っく……うぅ……」ギュゥゥ
410:
ほのか「ごめん……あ、そうだ!実はここまでね…」クルッ
ほのか「あれ?」
ほのか「途中で会った人が………ここまで」
8人「?」
ことり「人………」
凛「誰もいなかったにゃ…」
ほのか「ええー!」
絵里「……まぁいいわ。早く部屋に戻って、明日に備えましょ」
希「あっ!穂乃果ちゃん、帰ってきた!」ガチャッ
花陽「よかったぁ……」テテッ
にこ「遅いわよ!」テテテテテッ
411:
ほのか「ねぇっみんな!」
みんな「?」
ほのか「ごめんなさい。私、リーダーなのにみんなに心配かけちゃった………」
真姫「もういいわよ」
絵里「その代わり!」
絵里「明日はあなたが引っ張って………最高のパフォーマンスにしてね」
ほのか「ぅ絵里ちゃん……」
にこ「私たちの最後のステージなんだから!」
希「ちょっとでも手ぇ抜いたら承知しないよ!」
ほのか「うん!」
凛「じゃあ明日に向けて、寝るにゃー!」
真姫「寝るのに気合いいれてどうするのよ?」
ワイワイガヤガヤ
ほのか「……なんのために歌う、か…」 クルッ
サアアアアアアア…
ほのか(…あ、このマイク…どうしよ…)
ほのか(とりあえず、わたしが預かっておこうっと)
ほのか(また、会える…そんな気がする)
412:
………………………………………
希の部屋
穂乃果(………………)
穂乃果「びっくりしたー…」
穂乃果(まさかあんなところでほのかと会うなんて…しかも迷子って)
穂乃果(よかった私がたまたまあそこを歌う場所に選んでおいて…)
穂乃果(そういえば私はなんであそこを選んで歌ったんだっけ?)
穂乃果(…………よく覚えてないや)
穂乃果(…そういえば、大人になってから初めて希ちゃんと出会ったのって確かあの辺りだったよね)
穂乃果(前からあの辺りにいくといつも胸がドキドキするというかなんというか…変な感覚はあったけど)
穂乃果(何か私達にとって不思議な力でも働いているのかなぁ…)
穂乃果「…道具片付けよっと」
穂乃果(明日は…μ'sの…希ちゃん達3年生にとっては最後のライブがあるし、歌うのはやめておこうかな)ガサガサ
穂乃果「…あれ?」
穂乃果(マイク…忘れた)
穂乃果(…今度は本当に)
穂乃果(どこやったけ…電車の中まではあったから…たしか…)
穂乃果「…ほのか」
穂乃果(…そうだ!ほのかに持ってもらってたままそのままなんだ!)
穂乃果(…みんなと合流した後、邪魔にならないように直ぐに帰ったんだけど…もう少し待っておけばよかった…)
穂乃果(まあ、また会えるだろうし、その時に返して貰えばいいか)
413:
………………………………………
次の日 希の部屋
ピンポ-ン
穂乃果(インターホンは鳴っても居留守使う約束…希ちゃんしか住んでないことになってるし)
ピンポ-ン
穂乃果(……そろそろ高坂さんと待ち合わせの時間だから家出たいんだけど…早く帰ってくれないかな)
ピンポ-ン
穂乃果(………………)
高坂「おーい!私だよー!」
穂乃果(…え?高坂さん?)
穂乃果「…どなたですか?」
高坂「私だよ!高坂だよ!」
穂乃果「…高坂だよ、って…」ガチャ
高坂「来ちゃった♪」
414:
穂乃果「来ちゃったって…待ち合わせっていつものカラオケでしたよね?」
高坂「…うん、まあそうなんだけど、よく考えたらここの方が話しやすいかなって」
高坂「あ、おじゃましまーす」
穂乃果「…ここの方が話しやすい……もしかして、結構大事な話だったりしますか…?」
高坂「うん、そうだね。かなり大事な話になるかな」
穂乃果「だからここに…」
高坂「うん、そういうこと」
穂乃果「というか、そのマイクって…」
高坂「このことも、今から話そうか」
415:
穂乃果「お茶でいいですか?」
高坂「うん、よろしく」
穂乃果「そのマイク…この間私にくれましたよね?」
穂乃果「あのマイク、今いろいろあってほのかが持ってるはずなんですけど…」
穂乃果「どうしてここに?」
高坂「簡単だよ、買ったんだよつい最近」
高坂「そしてこれも」ゴトッ
高坂「君にあげる」
穂乃果「………?」
高坂「…意味がわからないって顔してるね、私も昔、そう思ったからその気持ちはよくわかるよ」
高坂「とりあえず、1から説明しようか」
穂乃果「…わかりました」
416:
高坂「まずマイクの話をしようか」
高坂「私が初めに穂乃果にあげたマイク、あれは、私が知っている限りはあのままほのかが持ち続ける」
高坂「私からはじまる高坂穂乃果のリレーのバトンだ」
高坂「私がラブライブを作って、あなたが、ほのかがラブライブに出場するための手助けをして、ほのかが最後までやり遂げる」
高坂「まあ、バトンを渡したところでまだ役割は終わってないから、リレーとはちょっと違うんだけどね」
高坂「そして、私が今、穂乃果にあげたこのマイク」
高坂「これは、穂乃果が私の立場になった時、あなたの後輩の高坂穂乃果に受け渡すためのマイク」
高坂「要するに、私が一番初めにあげたマイクは、私が私の先輩の高坂穂乃果から2度目に貰ったマイクってこと」
417:
高坂「次に2つ目の話」
高坂「これは、まだ穂乃果に話してないタイムマシンのこと」
高坂「あなたが持ってるタイムマシンは、完全なものじゃないって、前に話をしたっけ?」
高坂「不完全なものだから、世界線の移動に耐えられなくて、もう時間を移動する機能はなくなっちゃってる」
高坂「でもそのタイムマシンの欠陥はそれだけじゃないんだ」
高坂「穂乃果、思い出してみて。こっちの世界で初めに目が覚めた時のこと…」
418:
高坂「あなたは道端で倒れていたよね?…でも、もし道端で人が倒れていたとしたらよっぽどじゃない限り声をかけたり救急車を呼んだりするよね?」
高坂「でも、あなたは声をかけられたりすることなく目が覚めた」
高坂「次に、ほのかを空港に送った時のこと」
419:
高坂「あの時、あなたは校門の影に隠れていたよね?…でも、あなたからほのかが走ってくるのが視認できた、ってことはほのかからも見えてた、ってことだよね?」
高坂「いくらほのかでも、今から自分が通るところにコソコソとしてる大人がいたら流石に立ち止まったりするはずだよね?」
高坂「でも、ほのかはあなたに気づくことなく、走り抜けようとした」
高坂「……次に、みんなが希ちゃんの家に来た時のこと」
420:
高坂「あなたは、真姫ちゃんと絵里ちゃんが来た時、とっさにそこの後ろにあるクローゼットの中に隠れたよね?」
高坂「その時はクローゼットと話していた場所は離れていたから、そこにいたのがバレなくても全く違和感はなかった」
高坂「…でも、みんなが来てから集まった部屋は、クローゼットと同じ部屋」
高坂「つまりかなりの至近距離」
高坂「…いくら姿が見えないと言っても、すぐ近くのクローゼットの中に人が入っていたら、なんとなく人の気配はするよね」
高坂「…それにあなたは、あの時同じ姿勢をしていたせいで腰が痛くなっていた」
高坂「そのせいで、最後の方はちょくちょく体勢をこっそり変えていたよね」
高坂「…自分達のすぐ後ろのクローゼットで、大人が1人入っていて、息をして、動いていたら、流石に気づくんじゃないかな…?」
高坂「…次に、ラブライブ最終予選の前のこと」
421:
高坂「あなたは、最終予選の前に様子を見るために学校にいったよね?そのときに、ヒデコ、フミコ、ミカの3人な会話を聞いたと思うんだけど…」
高坂「あの時は、ちょうどお客さんを案内している頃の時間帯だから、大人の、それも先生じゃなく、明らかに雪掻きをするような格好じゃない人を見かけたら、あの3人なら間違いなく校舎の中に案内すると思うんだけど…」
高坂「あなたは、あの時3人の会話がはっきりと聞き取れたよね?……あんな吹雪の中だったのに」
高坂「吹雪の中、会話が聞き取れるほどの距離ってことは、かなり近くで聞いていたってことだよね」
高坂「ということは、普通の人ならあの3人は気がついて校舎に案内していたはずだよね…」
高坂「もしそこにいたのが普通の人で、3人がそこにいることに気づけたのだとしたら、の話だけど」
高坂「この話の意味、わかる?」
穂乃果「……私は、他の人から見えていない…ってこと…ですか?」
422:

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