上条「今夜、君の元へ」 〜Cry for the MOON〜【その1】back

上条「今夜、君の元へ」 〜Cry for the MOON〜【その1】


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――夜の学校?
上条(延々続く無限回廊と文字通りの階段マラソン……今日もまたドラム缶を押す一日が始まる――)
上条「――ってまたここかよ!?知ってたよ!何となくそんな気はしてたけども!」
鳴護「ま、まぁまぁ!当麻君のイメージなんだから仕方がない、し?」
上条「イメージ?」
鳴護「うん。『ここはそうゆうところなんだよ』ってインデックスちゃんが」
上条「……インデックス居ないんだが……『龍脈』にアクセスしてる?」
鳴護「えっと……『むかしから知識を求めて異界へ旅立つお話はあってね、そこで賢者や仙人、時には神や悪魔と遭うんだけど』」
鳴護「『”龍脈”が彼らに代って役割を果すとすれば、それは流れ込む過去の記憶が人の姿を取って辻褄を合わせてたのかも』って」
上条「俺ら的には”現実じゃないどこか”へ迷い込んだつもりでも、実際には『龍脈』に繋がって情報を取っていただけ、か?」
鳴護「『勿論!誰も彼も出来る事じゃないんだよ!不用意にやろうとすれば発狂するし』」
鳴護「『たまたまありさや、魔術的に死んでた人が居たからであって、素人にはおすすめしないんだよ』……素人?」
上条「……ベイロープん時も思ったが、なんだかなぁ」
鳴護「『っていうかありさ!言っちゃ駄目だってば!』……うん?」
上条「イギリスから戻ったら美味いメシでもお見舞いしてやるから、色々な意味で諦めとけ」
鳴護「えぇっとー、インデックスちゃ――もとい、匿名希望Iさんが言うには、だけどね」
上条「アリサさんもそこはもう情報公開していいんじゃないかな?逆にここで見ず知らずの誰かにアドバイスされてる方が怖いからね?」
鳴護「例えば!そこの扉を『この扉を潜れば現実へ帰れる!』って”当麻君が心の底から思え”ば、その通りになったんだって」
上条「お、マジで?ラッキーっ!」 ガラガラッ
上条「……」
鳴護「……」
上条「帰れ、ないんですけど……?」
鳴護「や、だからね?過去形だから、その通りになっ”た”ってだけで」
鳴護「今はある程度イメージが固まったから、ネタばらし出来るけど。うん」
上条「なんでまた?俺に言えばいいじゃん、最初っからさ」
鳴護「あー……なんかね、こう、なんでもポジティブに考える人とか、経験を積んだ魔術師さんだったら問題ないんだって」
鳴護「でも、フツーの人は、『あ、オバケ出るかも!?』って思った瞬間に出るし」
鳴護「『もしかして出口がないじゃん!?』って疑っちゃうと、もう出られなくなるんだ――よ」
上条「なにそれこわい――てか、いいのかネタばらししちまって?」
鳴護「もう魔術的には安定している――というか『完成』した後だから、これ以上大きく変わりはしないだろうって」
上条「……言われてみれば、ベイロープとアホがしきりに俺を言い聞かせてたような……?」
鳴護「……で、当麻君的には出口、どこら辺にあると思う?まだ遠いのかな?」
上条「んー……近い、と思う。最大の難関、アリサの説得も済ませたし、後は帰るだけだからな」
上条「そろそろ階段も上らなくていいような気がする。そうだな、この階をずっと進めば、帰れると――」
――ィィンッ――
上条「――思、う?なんだ今の?何か聞こえなかったか?」
3:以下、
鳴護「はい?あたしには何も――」
……ァァ……………………ア――
鳴護「……人の声、だね。それも一杯、ていうか周囲に……居る、かも」
上条「……もしかして俺?またやっちまったのかよ!?」
アルフレド「――違う。”これ”はそういうもんじゃねーんだよ」
上条「……もういい加減飽きた。ウェイトリィ兄弟のアホの方」
アルフレド「随分なご挨拶だよなぁ。まー、俺も同感だけどさ」
上条(影から――文字通り”影”から――ぬぅっと三体の人陰が立ち上がる)
上条(二次元の薄さが徐々に厚みを持って人型に――って、待ってやる義理はねぇっつーの!)
上条「そこを、どけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
団長『はっ、はあぁーーーいっ!』
バスッ!
上条(俺の右手はまた『団長』に易々と受け止められ、もう一つの影に飛び掛かられる前に後ろへ下がる!)
安曇「……ふむ、そう邪険にされては心が痛む、な」
上条(相変わらず少年か少女か分からない安曇阿阪。それに鉄仮面を被ってアニメ声メイド口調の『団長』……!)
上条「……幹部揃い踏みじゃねぇか!つーかお前ら死んだんじゃなかったのかよ!?」
アルフレド「あぁ死んだよ!俺達は完膚なきまでに死んださ!」
アルフレド「でも”ここ”は冥界だぜ、カミやん?死人が居て当然だろう?」
上条「だからって!急に出て来やがって邪魔するのか!」
アルフレド「――に、プラスして、たった今現実世界で魔神セレーネが『黄泉穴渡り(ナヅキノドウ)』を発動したぜ!」
アルフレド「神託巫女と蜂蜜酒の女王に邪魔されたが、発動が遅延しているだけで効果は出ている!俺達が証拠だ!」
上条「なづき……?」
アルフレド「十字教風に言えば『審判の日、その日(Apocalypse now)』かね?つーか聞いた事ねぇかな?」
アルフレド「終末の日には墓から死者が蘇って、善人も悪人も等しく神の裁きを受けるって――所謂黙示録かね」
上条「死者の――ってお前まさか!?」
アルフレド「あの世とこの世の境界は崩された!死人は墓から這い出るぞ!生者と仲良くパヴーァーヌを謳い上げろ!」
アルフレド「母親は戦場から戻った息子の死体へキスをし、子供は病気で死んだ犬の屍体を抱き締める!なんて、なんて美しい世界だ……ッ!」
アルフレド「――そう!”魔神の術式に善悪などない”んだよ!それが善人だろうと、悪人だろうとこうやって復活する!」
アルフレド「楽しい、あぁ楽しい世界の始まりだ!」
上条「……おい」
4:以下、
アルフレド「――て、ゆーかさ、カミやん。なぁカミやんよ?」
アルフレド「お前がぶち壊してくれたお陰で、この下らないボードゲームを続けようとしやがったせいで!」
アルフレド「俺の計画が台無しになった……クソッタレ、あぁあぁクソッタレが!」
上条「……」
アルフレド「折角”生かしておいてやった”のに!鳴護アリサの首を絞める大役を任せてやったのに!」
アルフレド「お前は!どうして役目を放棄しやがったんだよ、なぁ『幻想殺し』!?」
上条「……”あっち”でのお前にも言ったんだが、お前の言葉はもう届かないよウェイトリィ」
上条「それと――カミやん言うな」
アルフレド「あっあー、アレか?鳴護アリサ取り戻して調子ぶっこいてますかー?へー?」
アルフレド「上条さんはーアレですよねー?『右手』が効かなっきゃただの学生さんですよねー?」
アルフレド「『龍脈の力を得て記憶から再生し続けてる』俺らに、効くと思いますかー?」
上条「効くも効かねえもねぇさ」
アルフレド「あぁ?」
上条「お前が、お前らが俺達の前に立ちはだかるんだったら、全部ぶっ飛ばすに決まってんじゃねぇか!」
安曇「……ふふっ!」
団長『やだー、かっこいいー』
アルフレド「よっしゃ!はい、お前死んだ!つーか直ぐぶっ殺す!」
アルフレド「ブラック・ロッジのボス三人相手にして勝てるとでも思ったか――行くぞ!」
団長『りょうっかいっでーすっ!』
安曇「……ふむ――」
上条(前へ進み出るアルフレドと『団長』……やべぇ、勝つ自信なんかこれっぽっちもねぇよ!)
上条(今回の事件、殆ど俺はサポート役に回ってばっかで、連中にトドメ刺したのは『新たなる光』だし!)
上条(――そう、俺が半ばパニクっていると、先手を切ったのは――)
安曇「『”綿津見ニオワス大神ヘ奉ル”』」
(しょくじのじかんだな)
安曇「『”同胞ノ血ヲ以テ盟約ト成セ、我ラガ安曇ノ業ヲ顕現セン”』」
(では、いただきます)
上条(安曇の口が大きく裂け、子供ぐらいなら一呑みに出来そうな程、縦に伸びた!)
バキィッ、ガリガリガリガリカ゚リッ……ツ!!!
上条(その勢いそのままに、”最も近くに居た”者を噛みつき、貪り、引き千切る――)
アルフレド「オイ、阿阪安曇――」
上条(――そう、安曇がなんの躊躇もなく攻撃し、貪り食ったのは――)
アルフレド「――テメェ、なにやってんだコラァァァァァァァァァっ!?」
上条(――紛れもなく、”アルフレド”の左腕だった……!)
5:以下、
ズゥゥンッ、パリリイィンッ……!
団長『――!?』
上条(安曇はいつの間にか爬虫類へ変えた足で、『団長』も蹴り飛ばす!)
上条(背後からの奇襲に抵抗も出来ず、彼――か、どうかは知らないが――は、窓ガラスを突き破り、漆黒の闇に包まれた”外”へと叩き出された!)
安曇「だから、安曇阿阪だと言っている。以前にも言ったとは、思う」
アルフレド「何してくれんだよ、何してくれやがってんだよ、あぁっ!?」
アルフレド「テメーも俺達と同じ魔術結社の一員だったろうがよ!ブラック・ロッジのだ!」
安曇「そうだな、一言で言えば――」
安曇「――『交尾』、だな」
アルフレド「……?」
安曇「あぁ、ニンゲン――ではなく、カミジョウトウマ、か」
安曇「時間稼ぎをしてやろう、と安曇は言っている。よって先へ行け」
上条「お、おぅ……?」
アルフレド「質問に答えろ!」
安曇「分からないのか?そんな事すら説明が必要か?……ふぅ」
上条「……俺も知りたい。なんでお前が裏切るみたいな感じになってんだよ?」
安曇「知らないのか?その程度の事すら言わなければ分からないのか?……かくもニンゲンとは度し難い」
安曇「ならば見知りおけ。さして難しい事でもない故に」
安曇「安曇はな、魔術師だ。それも”ぶらっく・ろっじ”と呼ばれる、自己中心的な魔術師の中ですら、より欲求に”すとれぇと”だ」
安曇「喰いたければ、喰う。抱きたければ、抱く。自己の欲求のみに生きる存在だ」
安曇「たまたま”今まで”は利害が一致したに過ぎん。これからは違うという事だな、うん」
上条「利害?」
安曇「我が一族が金よりも欲している”モノ”は『血』だ。より強くより濃い、強者の種を取り入れなければならん」
上条「ヘー、そうなんだー?」
安曇「うん、そういう訳で先へ進むとよい――”だぁりん”」
上条「おうっ!………………おう?」
安曇「横文字は発音しにくいな。『お前さま』、の方がよかったのか?」
鳴護「……当麻君?」
上条「待て待て待て待て待て待て待てっ!?テメェ何言い出しやがった」
6:以下、
安曇「お前は安曇を下した、よって強者である、ここまでは理解出来るか?」
上条「あ、あぁ!」
安曇「よって『交尾』をする権利をやろう。というか、しろ。むしろ無理矢理にでも、する」
上条「だめだこいつなんとかしないと!つーか発想が獣レベルじゃねぇか!?」
安曇「獣だが?」
上条「ウン、ですよねー。お前ら徹頭徹尾類人猿レベルですもんねー」
安曇「――と、いい加減先へ行け」
上条「いやだから――」
安曇「いいか?時間稼ぎ、だからな?いくら安曇であっても、”でうす”相手にそれ以上は厳しい、と言っておこう」
上条「でうす……?」
上条(安曇が視線を外さぬ先にはアルフレドの姿があった――だが、しかし)
上条(傷口からは蔦のような触手が伸び、腕のような姿を取り戻しつつある様は悪夢めいている――っていうか!)
上条(”これ”はなんだ?安曇や『団長』、ショゴスの時にも”異質”を感じたが――)
上条(――こいつは何かが違う!本当に俺達の世界の生き物なのかよ……!?)
安曇「……ま、交尾はその内、貰いに行くとしよう――だから」
上条「……悪い」
安曇「構わない、と安曇は言おう」
安曇「生命は死んだらそこで終わりだ、終わりでなければいけないんだ」
安曇「そうでなければいつまで経っても若葉は伸びず、子供は産まれなくなるだろう」
安曇「……”それ”は安曇の”るぅる”、に反している。それだけだ」
上条「――アリサ、行こう……!」
鳴護「……ありがとう、ございます」
安曇「気にするな、行け」
カッカッカッカッカッカッカッ……
7:以下、
――夜の学校?
上条「――いい加減、しつこいんだよ……ッ!」
パキィィインッ……!
死人『アァァアアァァァ……ゥ』
上条(恨めしげな声を上げ、道を塞いでいた死人の群れが崩れる)
上条(……アルフレドから逃げる中、姿を隠していた”死人”が俺達へ群がってきた!)
上条(一人一人の動きは遅く、また全員が向かってくる訳でもないから、どうにか捌けてるって感じだ)
上条「アリサ、アリサっ!大丈夫かっ!?」
鳴護「ぅ、うんっ!なんとかっ!」
上条(元々荒事に慣れてないアリサを連れての強行突破は苦しい――クソ、どうしたらいいんだよ!)
上条(もたついてたら奴に追い付かれちま――)
男「――おや?そこに居るのはどこかで見知った顔ですねー?」
ザウンッ!!!
上条「また新手かっ!?」
上条(預言者が海を割るように、笛吹きが子供を連れて行くように)
上条(俺の前に立ちはだかっていた障害、亡者の群れはたった一払いで霧散させやがった――)
上条(――”小麦粉の刃”っていう、矛盾したシロモノで!)
上条「お前――っ!」
男「おや?お前ではありませんよー。私にはね、立派な名前があるのですから」
テッラ(男)「――そう、『左方のテッラ』という名前がですねー」
上条「死んだ、って聞いたんだけどな」
テッラ「えぇ、アックアにバッサリと。いけませんねー、やっぱりゴロツキはゴロツキでしょうか」
テッラ「借りは返したい所なんですがねー。ここからイタリアは流石に遠いでしょうし……」
上条(最悪だ!ここへ来てこいつが俺の前に現れるなんて!)
上条(確かフランスでも、偶然爆撃かなんかに気を取られてる隙が出来てんであって、正面からやって勝てた訳じゃない……)
上条(どうする?……ま、ぶん殴る以外には選択肢は無――)
ボトッ
上条(背後から肩を掠めて”何か”放られる)
ボトボトボトボトッ
鳴護「えっと――?」
上条「――アリサっ見るな!」 サッ
鳴護「う、うん……?」
8:以下、
上条(アリサの視線を逸らせた事に安堵しながら、俺は投げられた”それ”から目を離せない)
上条(……少し前まで、敵になったり味方になったりと掴めない奴だった。そう――)
上条(――安曇阿阪を”構成していたパーツ”が、無造作に転がっていた……)
アルフレド「………………かーみーやんっ、あっそびっまっしょっ!」
上条(背後から掛けられる声に肌が粟立ち理解を拒む!人と言うよりは虎か何かに追いかけられてるような……いや、猛獣の方がマシか)
上条(前をテッラ、後をアルフレド――クソッタレ!どうしたもんか!)
上条(近くの教室へ逃げ込んでも死人の群れに囲まれば、時間稼ぎにすらならない!)
上条(俺がアリサを抱えて悩んでいる間にも、前にいるテッラは近づき、アルフレドの尋常じゃない気配が這い寄ってくる!)
上条(逃げ場はない!近くの教室へ駆け込もうにも中は死人で一杯だろう!)
鳴護「……当麻、君……」
上条「……大丈夫だ、アリサ。約束したろ?」
テッラ「……」 ブゥンッ
上条(テッラは小麦粉で出来た刃を振り上げる。俺はきつくアリサを抱き締め、少しでも安心させるように)
上条「お前は、俺がまも――」
金髪「――はいはい、雰囲気出してる所にごめんねって訳よ?」
ガラガラッ、グイッ
上条・鳴護「――はい?」
テッラ「――『光の処刑』」
ガガガガガガガガガガッ!!!
上条(刃が廊下を突き進み死人諸共アルフレドを巻き込み――)
上条(――その、犠牲になる筈だった俺達は、間一髪、教室の中へ引きずり込まれて、難を逃れた)
金髪「はいはい、おつかれー。怪我してないって訳?」
上条(この、金髪の女の子の手によって)
上条「ありがとう、助かった、よ?」
金髪「なんで疑問系?そこは『ありがとうございますっ!』でいいって訳じゃないの!?」
9:以下、
――夜の学校? 廊下
ガガッ、ブゥン……!
アルフレド「……っ!?」
テッラ「やれやれ。異国の異教徒を助けるのは本意ではありませんがねー」
アルフレド「……テメー、『左方のテッラ』!」
テッラ「はい、初めまして」
アルフレド「……でだよ」
テッラ「何か?言葉はもっと明瞭に発すべきかと思いますよー」
アルフレド「なんでテメーがそこに居やがるんだよ!?あまつさえ『幻想殺し』を助けるなんぞ有り得ねぇだろうが!」
アルフレド「死人如きが!生者を助けるなんざ聞いた事がねぇよ!」
テッラ「死人……あぁやはりこの身は朽ちていたのですか。神の国へ入れるとばかり思っていましたが、まだその日ではないのでしょうねー」
テッラ「最期に見たのはアックアの顔……そのせいだと思いませんか?ねー?」
アルフレド「俺の質問に答えろ狂人が!」
テッラ「狂人?誰がです?」
アルフレド「テメーだよ!十字教徒以外の人間をモルモット扱いで殺してたお前の話だ!」
テッラ「心外、それは心外ですよー。異教徒はね、一度死んだ上で煉獄へと赴き――」
テッラ「”ここ”で魂に付着した罪を洗い流す事で、漸く神の国へ入れる資格を持つ訳ですから」
テッラ「例えあの少年――十字教へ楯突いた愚かな人間であっても、罪は許された訳でしょう?私が救うべき存在なのですよー」
アルフレド「話が、通じねぇっ!」
テッラ「それにこの術式は、あくまでも死人を甦らせる”だけ”のもの――つまり、そこに意識を操る意図は無いようですからねー」
テッラ「こうして『神の敵』と相対するのも可能な訳でして、ねー?」
アルフレド「……テメーは、確か」
テッラ「そうですねー、あなた方の前身――先代の『濁音協会』を殲滅したのはこの私でしてねー。お忘れですか?」
テッラ「あなた方を壊し、そして私を壊してしまった借りは返しませんとねー」
アルフレド「カミやんどこまでも運の良い野郎だなぁ、オイ……まぁいいぜ」
アルフレド「たかだか一介の魔術師如き、さっさと磨り潰してカミやんと遊ぼう」
テッラ「いやー、それはどうでしょうかねー?――『光の処刑』、ご存じで?」
アルフレド「あん?小麦粉の優先順位を入れ替える術式だっけか、だからどーした?」
テッラ「その言葉で確信しましたねー――”あたなは龍脈に通じてはいるが、全てを知る立場にはない”と」
アルフレド「……そぉいやテメェ、カミやんの記憶喪失も見破ったんだっけか?ただの狂人じゃねぇのか、嫌らしい」
10:以下、
テッラ「ですから心外ですよー。私はただの敬虔な信徒に過ぎないのですから――と、謙遜してもしようがないので、話を進めますがー」
テッラ「どうして皆さん、『その程度』の能力だと思われるんでしょうかねー?」
アルフレド「……あん?」
テッラ「『神の右席』の内、『前方のヴェント』は無差別殺傷術式”天罰術式”を持つ。またアドリア海の女王の真の持ち主でもありますかねー」
テッラ「『後方のアックア』は”聖母の慈悲”により、ありとあらゆる魔術的な制限を免責します。チート過ぎるような気もしますがねー」
テッラ「『右方のフィアンマ』は”聖なる右”にて、いと高きあの御方の奇跡を、不完全ながらも行使する事か出来ますねー。あぁ羨ましい」
アルフレド「それがどーしたよ」
テッラ「そして私、『左方のテッラ』は”光の処刑”により、あらゆるものの優先順位を変える事が出来ますねー」
テッラ「例えば小麦粉でギロチンを作ったりして――と、よく言われるんですがねー、それは誤解なんですよねー。ていうか」
テッラ「”たかだかその程度の能力”で、右席に選ばれる訳ないじゃないですか。少し考えれば分かりそうなものですがねー」
テッラ「よく人からは誤解されやすいんですよ、心外ですがねー」
アルフレド「……」
テッラ「私の研究テーマは『”神の子”が人の手で処刑された』点にあるんですよー?分かります?」
テッラ「魔術的にも遙かに劣る人が、どうやって”神の子”を害しめさせたのか、と。ね?おかしいでしょう?」
テッラ「だから私は研究を続けましたねー――そう、”あなたがた”のために」
テッラ「より小さき者が冒涜じみた”あなたがた”へ対抗するための手段……゜と、言えば格好良いかもしれませんが」
テッラ「許せないだけですねー。いと高きあの御方以外の存在が、神を名乗るなどと言う事が!」
テッラ「だから『優先順位』を変えてしまえば良い!そうすれば小さなナイフでも”あなたがた”を殲滅しうる武器になる!」
アルフレド「お前――『神殺し』の術式か……ッ!?」
テッラ「……私はねー、魔神よ。一度壊れてしまったんですねー、狂ってもしまいましたねー」
テッラ「人である事を捨て、人で在り続ける事を止めましてねー?」
テッラ「だが――壊れたからといって貴様らへの憎悪は止まず!狂ったからといって貴様らのへの敵意は衰えず!」
テッラ「あの御方の名を騙る紛い物に滅びを!」
アルフレド「……かかって来いよ。”狂信者(Judas)”」
テッラ「貴様に煉獄へ落ちる資格も無い、永劫の地獄で苦しみを味わうがよい……ッ!!!」
11:以下、
――夜の学校?
金髪「――よいせっ、と!」
バシュゥッ、チュドドォォォォウンッ!
上条(金髪の子がスカートの中から取りだしたミッソー――ミサイル?ペンシルロケット?――で、死人を薙ぎ払っていく)
上条(どこに収納してんだって話だが、まぁ能力なんだろう!流石は学園都市だよ!やったねっ!)
上条(ていうかアレだな。この状況を例えるならばだ、『バイ○でデフォ装備が弾数無限ラケラン』状態)
鳴護「当麻君、その……そろそろ目を開けてもいいかな……?」
上条「あ、ごめんな。もうちょっとだけ待って貰っていいかな?今その、うん……情操教育的にアウトっぽくてさ」
上条(見た目、殆ど俺達と変わらない死人をFPS感覚でデリート……うん、緊急事態ですからねっ!今はなっ!)
上条「つーかお前誰よ?」
金髪「ヒドっ!?初対面じゃないのにっ!」
鳴護「当麻君……?」
上条「待って下さいよアリサさん?これは、そう言うんじゃなくてですね。えっと」
上条「あ、もしかしてこの間デパートで会った――」
金髪「あ、それそれ」
上条「俺に『連帯保証になって下さい!』って言ってきた子だよな?」
金髪「それ違う訳よね?てかそんな事あったの?」
上条「割と、うん……時々は、かな……?」
金髪「そーじゃーなーくーて!デパートで、ほらっ、あたしの妹にプロポーズした時に!」
上条「あーっ!お前あん時のハイキックくれやがった金髪!」
鳴護「プロポーズ?……え!?この子の妹さんだったら――」
金髪「八歳よね。あー、今年の誕生日で九歳か」
鳴護「あー……」
上条「してねーよ!?誤解を招くような発言は慎んで貰おうかっ!」
上条「あとアリサさんの『あー、そーなんだー』みたいなリアクションおかしくないかな?なんで『少し納得』みたいな感じなの?」
鳴護「あれだけモーションかけてるレッサーちゃんに冷たいと思ったら、やっぱり?」
上条「あのですね、こう、ある学説に拠れば『男は省みない』的な説もあるんですけどね、はい」
上条「でもリアルな世界で言えば、明らかに見えてる地雷を踏みに行くのは……ま、まぁ少数派だって事かな!」
金髪「つまりアンタって訳よねっ!」
上条「ぶっ飛ばすぞコノヤロー!自慢じゃねぇがそんな機会すらなかったわ!」
12:以下、
金髪「まー、アレって訳よね、あたし、死んでんのよ」
上条「……あぁ。何となくはそんな気がしてたけど。どっか魔術師より能力者っぽい感じがしてたし」
金髪「あたしもよく分かんなくてさ?学園都市歩いてたらあのキチガ×の人に、『あなたは十字教徒ですか?』って」
上条「死んでも頭イタイのは治らなかったか……!」
金髪「何日か前から『境』――こっちをあっちを繋ぐ、ゲート?境界?みたいなのが緩くなっちゃってた訳。んで、あたしらみたいなのがフラフラっと」
上条「大丈夫だったのか、それ?」
金髪「大丈夫って何が?」
上条「いや、今現在俺らはゾンビー的なものに猛攻撃を受けてる訳だが、お前は他に死人とは違うのかよって」
金髪「アンタさ、お腹空いたら人でも食べたくなるヒト?」
上条「ねぇよ。つーか大抵の野郎は餓死選ぶわ」
金髪「それと一緒って訳。あたしはあたしだし、死んでようが生きてようが変わらないって訳」
金髪「”こいつら”は不完全に術式が成ってしまったからー、みたいな事言ってたっけ?」
上条「……」
金髪「何?心配してくれるって訳?」
上条「いや……まぁ、するじゃんか?やっぱり?」
金髪「……色々思う所はあった訳だけど、まぁいいんじゃない?妹にも会えたし、ね」
金髪「それと自分のお墓へ『嫌がらせっ!?それとも新手のジェンガっ!?』って引くぐらいの量の鯖缶が積んであれば、まぁまぁ悪い気持ちはしなかった訳よねっ!」
上条「……そか」
金髪「あー、でも心残りがあるとするんだったら、麦野に一言だけ言いたい事があった訳だけど――」
上条「麦野?もしかして浜面んトコの麦野さんか?」
金髪「浜面知ってる訳?」
上条「ダチだな」
金髪「あー、元スキルアウトの?言われてみれば三下っぽい雰囲気って訳よね!」
上条「違げぇよ。なんだ三下っぽい雰囲気って」
金髪「不幸そうな所」
上条「……俺、ほぼ初対面の相手から指摘される程、ヒドいか……?」
鳴護「えっと……うんっ、頑張ろっ!ふぁいおーっ!」
金髪「そっちの子も追い打ち入れてる訳だし」
上条「あー、それじゃ浜面に伝言させようか?あんま長くなかったら」
13:以下、
金髪「……それじゃ――こほん、『えっと、麦野。あたしずっとずっと思ってた訳なんだけど――』」
金髪「『――ぶっちゃけ、上から下まで同じブランドで固めるのって、超絶ダサいと思う訳よ』」
上条「最期の挨拶それかよっ!?」
金髪「あ、あたし達にはあたし達にしか分からない繋がりがある訳だしっ!」
上条「やー……でも麦野さん、大人の女だし、なぁ……?言っても問題は無い、のか……?」
金髪「あ、騙されてる訳っ!乳かっ!?あの乳に騙されたのかっ!?」
上条「それはハマーに言ってやってくれよぅ!なんかこう、いつ浮気的なものをやらかしそうで怖いし!」
金髪「麦野に粗相したら、全殺しされそうで……と」
金髪「ってゆうか”そろそろ出口の筈”なんだけど――どうって訳?」
上条「どれどれ……あー、あるなぁ。銀色の、なんだろ……門っぽいのが」
金髪「(いよっしゃっ!成功って訳よね!)」
鳴護「(当麻君も色々と心配になるメンタルだと思う……てか話したのに!)」
上条「幸い周りには死人も居ないな?なんでだろ?」
鳴護「えーとー……うん、『出現位置が術式の核にした人間の思い通りなんだから』、だって」
上条「よく分からんが、結果オーライだなっ!」
鳴護「や、だからね?当麻君もあたしのこと子供扱いするけど、中身はそんなに変わらないんじゃないかって」
上条「良し!それじゃ――」
金髪「あ、ごめん。あたしはここまでって訳だから」
上条「ん?一緒に帰れ――は、しないんだっけか」
金髪「行こうと思えば行ける訳なんだけどね。実際、行き来してたし?」
金髪「ただその、『扉』が開いて、そのままってのは問題ある訳よ。アンダスタン?」
上条「死人が……溢れる、か?」
金髪「さっきのオッサン曰く、『善人も悪人も関係なく、賢者も気狂いも分け隔てなく甦る』から、放っとくとヤヴァイ訳だし」
上条「お前は……いいのか?」
金髪「そう思ったら墓前に鯖缶でも上げる訳。あ、いっちばん高いのね?ブランドものがいいなー」
上条「……探してみるよ――それじゃ」
金髪「――ん、また”お盆”に逢いに行くって訳、よ!」
14:以下、
――銀色の扉
上条(永遠に続くかと思われた長い長い廊下の終焉……ぶっちゃけ突き当たり)
上条(そこにあったのは銀色の扉――なん、だが)
上条「……なんか安っぽくね……?俺の想像していたのとは少し違うような?」
鳴護「き、急遽作ったから!きっと冥界さんも時間が無かったんだと思う!思うよっ!」
上条「ま、帰れるんだったらなんだっていいけど――それじゃアリサ、心の準備はいいか?」
鳴護「……ん」 コクッ
上条「うっし!セレーネをぶん殴りに――」 ガチャッ
鳴護「うん?」
上条「……」 ガチャッ、ガチャガチャッ
鳴護「え、もしかして……?」
上条「……鍵、かかってる」
鳴護「えぇっ!?」
上条「落ち着けアリサ!こんな時には冷静にならないと駄目だっ!」
鳴護「当麻君……うんっ、そうだねっ!」
上条「今ちょっと交番行って、鍵が落ちてなかったかどうか聞いてくるから!」
鳴護「待って?当麻君、あたしより混乱してるのは分かったから!待とうかっ!?」
上条「どーすんだよ!?俺鍵なんて持ってねぇし!つーかあんのはサイリウムぐらい……」
鳴護「誰かに、何か言われなかった?アドバイスみたいなの、とか」
上条「アドバイス、アドバイス……あー、そう言えばアルフレドのNPCが『銀の鍵』って言ってた気が……?」
鳴護「銀色の門だし、それだよ!きっと!」
上条「……いや、だから俺は何も持って――違う、アリサは?」
鳴護「わたし?」
上条「なんかこう、それっぽいもの持ってないのか?なんだっていいから」
鳴護「急に言われても、待ってて――――――あ」
上条(アリサが”鳴護アリサ”になった瞬間、世界に生まれた時に手にしていたもの)
上条(そしてそれは『奇跡』を起こし、シャットアウラとの再会の切っ掛けにもなった――)
上条「――ブローチ……っ!」
15:以下、
鳴護「……うん。そう、だね」
上条「本物は俺が預かってるぞ。戻ったら返さなきゃ、な?」
鳴護「……」
上条「……アリサ?」
鳴護「……このブローチね、一回だけ捨てようとしたんだ」
上条「えっ?」
鳴護「身元の手がかりになのは分かっていたけど、それでも……辛くて」
鳴護「捨てられたんじゃないか、って思っちゃうんだよ。やっぱりさ」
鳴護「……でも、捨てた筈のブローチを拾ってくれたのは院長先生だったよ」
鳴護「昔はもっと厳しくてね、滅多に笑わない人で、みんなからも怖がられてて」
鳴護「……そんな人があたしになんて言ったと思うかな?叱られた?笑われた?……ううん、違う」
鳴護「先生は泣いてくれたの。あたしが泣かないから、代わりにだって」
鳴護「『傷つけてごめんなさい、あなたが辛いのに気付けなくてごめんなさい』って……ね?そんなことされちゃ困るよね?」
鳴護「……二人でわんわん泣いたあの日に――院長先生はわたしの『おばあちゃん』になった」
上条「……あぁ」
鳴護「それから――それから、少しずつだけど鳴護院の子達とも仲良くなって、古いオルガンを弾くようになって」
鳴護「……そうしてあたしの”世界”はちょっとずつ、おっかなびっくり広がっていった――」
鳴護「あたしは――ううん、わたし”も”一人なんかじゃなかったよ。繋がりは、あった……っ!」
鳴護「一人じゃなかった……っ!みんなや、お友達が居たよっ!居たんだよっ!」
鳴護「このブローチのお陰でっ!あたしは家族を探そうって切っ掛けになったんだもん!」
上条「……アリサ」
鳴護「……帰ろう、当麻君。あたし達の世界へ――」
鳴護「――あたし達の居なきゃいけない世界へ!」
上条「……うん」
上条(アリサがブローチを扉へ押し当てると、扉はゆっくりと開いていく)
上条(光が俺達を包み――)
上条「……」
上条(――光に包まれながら、同時にここへ来る時感じた浮遊感にウンザリしながら、俺はとある事を考えていた)
上条(アリサと合流してから、インデックスは――正しくは、その”知識”を優先的にアリサへ流して助けてくれた)
上条(けど、ここへ来て、最後の最後でアドバイスをくれなかった。何故?)
上条「……」
上条(……もしかして”これ”も俺達が帰るには必要な手順だったのか?アリサに”こう”させる事が?)
上条(待ってるのは俺だけじゃなく、俺”達”だって、自覚させるためのが、だ)
上条「……」
上条(……ただ、もしその仮説が正しいとすれば一つだけ疑問がある)
上条(だったらどうして――あのアホが助言をくれたんだ……?)
16:以下、
――青冷めた光の柱の下
レッサー「ランシス!」
ランシス「……空から堕ちてくるのは透明な魔力の塊、方向性を持たない無色のテレズマ……!」
ランシス「けどっ、量が多すぎる……!」
ベイロープ「具体的には?」
ランシス「……うーん……月から視認可能なクレーターが、出来るレベル?」
フ口リス「マジか!よしジャパニーズ背負って逃げようぜ!」
レッサー「――と、お待ちなさいなフ口リス。ちゅーかあなたはこんな時にまで逃げグセがですね」
フ口リス「言ってる場合じゃないケド!HurryHurry!!!」
ランシス「……逃げられるような範囲だと、思う?」
フ口リス「……ワタシの『翼』でも?」
ランシス「ん――ていうか、ぶっちゃけ、あと五秒で堕ちてくる、し……」
ベイロープ「全員『爪』を展開!”X”を維持しながら結界を張るわよっ!」
ランシス「四、三……」
レッサー「ベイロープ、それ私の台詞ですよねっ!?」
フ口リス「言ってる場合じゃネーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
ラシンス「……いち、ぜ――」
キゴゴゴゴゴコゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ――――ッ!!!
レッサー「なんですコレ――潰され――」
ベイロープ「いいから黙っ――」
フ口リス「……イヤー、これ詰んでんじゃ――」 バキンッ!!!
ランシス「……あ、『爪』折れ――」
ベイロープ「だからっ!常日頃のメンテナンスをしな――」 バキンッ!!!
フ口リス「へーんだっ!ベイロープ――カーチャン――」
ラシンス「……お母さんは全員非処――」 バキンッ!!!
レッサー「あ、ヤバ。これ全員死にま――」
―― バキンッ!!!
レッサー(……ふーむ。私の人生ここで終わりですか、ま、こんなもんですかねぇ)
17:以下、
レッサー(悪い意味で『最後の王』になってしまったのは泣けばいいのか、それとも笑えばいいのか……)
レッサー(ま、取り敢えず笑っときましょうか、にゃっはっはっはっー!……あー、クソ面白くない)
レッサー(に、しても間に合いませんでしたねぇ、上条さん。あのスケコマシ、言うだけは格好良いんですから、えぇ)
レッサー(アリサさんが帰って来たら”ドギツいの”一発カマすつもりだったんですが……ま、アリサさんにとっては幸運かも?)
レッサー(騙された方か悪いっちゃ悪い気もしますがね、どうせだったら最後まで騙して頂きたい!是非に!)
レッサー(つーかアレですよ?こう、物語にはお約束ってもんがあるじゃないですか?)
レッサー(や、魔術師的に――てゆーか円卓の騎士の術式使ってる身としちゃ、あんま『お姫様になりたい!』な願望は薄いんですが)
レッサー(やっぱり、こう、あるじゃないですか?憧れみたいなの)
レッサー(お姫様がピンチになってレッツリーンカーンパーリィ!さぁ家族が増えるよっ!やったねっ!)
レッサー(だがしかぁし!騎士が颯爽と現れ助けてくれる!……みたいなの)
レッサー(理想。そうですねー、最後ですしねぇ?希望を並べるのもいいでしょうかね)
レッサー(外見は別に好みはありませんよ。人並みであればそれだけで)
レッサー(ただまぁ欲を言うのであれば、黒髪でツンツンしてるのが良いかもしれません。私も黒髪で、お揃いですしね)
レッサー(性格も別に好みはありませんよ。サイコキラー的なハッピー属性でなければそれで)
レッサー(ただまぁ希望を上げるとすれば、バカで不幸で空気読めなくて、無力の癖に突っ走るような、そんなバカが好みですね)
レッサー(……ある意味、私とお揃いでしょーしね。やはり性格が一致してなければ)
レッサー(……で、そのクソヤローは、散々焦らした後に、美味しい所だけ持っていって)
レッサー(そうですなー、きっとこう言うんでしょうね)
上条「――――――――――悪い、少し遅くなったっ!」
レッサー「そうそう、こんな感じ――」
レッサー「……」
レッサー「――こんな感じっ!?」
上条「……このまま世界が終わるとかっ!全員夢見てれば幸せだとかっ!」
上条「一人だけを犠牲にして、その他大勢が救われる、なんて――」
上条「――そんなふざけた『幻想』は――」
パキイイイン………………ッ!
上条「――――――――俺がぶち殺す!!!」
18:以下、
――青冷めた光の柱の下
フ口リス「……おせーぞジャパニーズ。もう少しで本気で逃げる所だったし」
ベイロープ「あなた、本気で逃げようとしてなかった……?」
フ口リス「く、口だけだし!」
レッサー「……」
ランシス「レッサー?」
レッサー「……遅いですよ、クソヤロー」
上条「あぁすまん。色々あった」
レッサー「あなたもそうですが――だけではなく、そちらの」
鳴護「……」
レッサー「言いたい事はクソ程もありますが……まぁ今は置いておきましょう」
レッサー「目を瞑って下さいな。一発ドギツいのでチャラにしてあげますから」
上条「おいレッサー!アリサだって――」
レッサー「あなたは黙ってて下さいな。結果だけ見れば”こう”なってる以上、ある程度の落とし前を必要かと」
上条「けど!」
鳴護「いいの当麻君!あたしが悪いんだから!」
鳴護「全部が悪いとは思ってないけど……ここで、この場所で皆が戦ってる間、わたしが居なかったのは事実だから!」
上条「……そうか」
レッサー「いよーしっいい覚悟ですっファッキ×野郎!そこで目ぇ瞑りなさいなっ!」
鳴護「う、うんっ」
レッサー「あ、もうちょい屈んで貰えます?あぁそうそう若干猫背になる感じで、えぇ」
上条「……すいませんレッサーさん、出来るだけ穏便に」
レッサー「んでわっ!覚悟は宜しいかっ!?」
鳴護「はいっ」
レッサー「――では、頂きます」
鳴護「はい――むっ!?」
レッサー「チュッ……ん、ちゅっじゅっちゅぅっ、じゅじゅっ」
鳴護「んーーーーーーーーーっ!?んんんんんんんんんんんんんんんんーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」
19:以下、
鳴護「レッ――舌入っ、ちゅっ、じゅっ――んあっ、ぁふっ」
鳴護「当麻く、んっ!助けっ!たすけ――」
上条 パシャッ、ピロリロリーン
鳴護「とうまく――――――ちゅぱっ!?」
レッサー「――――――――――――ぷはぁっ!現役アイドルJCの唇、大変美味しゅう御座いましたっ!」
上条「変態だーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」
ラシンス「写メ撮ってなかった……?」
上条「それはそれ、これはこれ」
フ口リス「説明になってねーゾー?ンー?」
上条「百合が好きで何が悪いかっ!!!」
フ口リス「開き直りやがったコイツ!?」
鳴護「レッサーちゃん、舌、舌……ぶちゅーって……」
ベイロープ「相当ダメージ……というか、トラウマを負ったようだけど、大丈夫?」
ラシンス「これだったら、普通に平手打ちされた方が……まだマシ、だよね」
鳴護「もう、あたし、お嫁に行けない……ッ!」
レッサー「まっ、今日は初めてを奪った所で勘弁して差し上げますが!」
レッサー「次に友達ほっぽり出しやがった際には!ウチのムッツリスケベに襲わせますから覚悟して下さいなっ!」
ラシンス「いぇーい……」 グッ
上条「……」 ソワソワ
ベイロープ「おい、ソワソワしないの百合厨疑惑」
鳴護「え、ていうか初めて?」
レッサー・フ口リス・ランシス・ベイロープ「「「「えっ?」」」」
ほぼ全員「………………」
上条「な、なんでそこで俺を見んの?」
20:以下、
レッサー「ズバリ――犯人はこの中に居る……ッ!」
上条「――よ、よおおぉぉしっ!魔神セレーネめ!よくも俺の仲間を傷つけやがったな!」
上条「俺が来たからには指一本触れさせないぞ!な、ないぞっ!」
フ口リス「力業で誤魔化そうとしてるしー」
レッサー「何でしょうね、こう、パニクった時の私ってあんな感じなんだな、とつくづく思い知らされるって言いましょうかね」
ランシス「……というかレッサーもだけど、勢いで誤魔化せてるとでも?」
ベイロープ「これ、犯人の自供と同義だと思うのだわ……」
鳴護「当麻君当麻君っ!バレてるっ、バレちゃってるよっ!」
上条「お黙んなさいよ外野っ!アリサさんそれフォローになってねぇからな!」
上条「つーかアリサは”わたし”と一つになってから言動がレッサー寄りになってきてるから注意しないと!」
レッサー「その言い方は私の乙女なハートがブロークンマグナ○なんですけど……ま、状況をご説明致しますと、見たまんまでしょうかね」
レッサー「マタイさんは外から”ショゴス”が乱入しないよう結界張り――をしていたんですが、今ので破れましたな」
レッサー「レディリーさんは少し前の魔術から我々を庇って昏倒中。残念ながら死ねなかったかと」
上条「ふーん……あ、もふもふは?」
レッサー「えぇっと、その……」
上条「……あぁいやゴメン。何となく分かったよ」
レッサー「魔神セレーネは大技ぶっ放して硬直中、ただしそろそろ動ける筈――」
セレーネ『――きひっ、きひひひひひひひひひひひっ!』
レッサー「――と、ご覧の通りで!」
上条「……了解!それで、俺は何をすれば――」
――――ヴゥンッ……!!!
レッサー「――と、また空が堕ちて……ッ!」
ベイロープ「複数攻撃判定が出るタイプの術式か!」
上条「空?……何も見えないけど……?」
21:以下、
レッサー「あ、上条さん上条さん、そこでちょっとバンザーイして貰えません?バンザーイって」
上条「こ、こう?」 スッ
レッサー「あー、いいですねー、イイ感じですねー。そのポーズから左手を曲げて、右手の肘を支えるように……そうですそうです」
上条「……中二的なポーズになってないか、これ?」
レッサー「はいっ、ではそのまま頑張って下さいなっ!てーか失敗すれば人類滅びますんでっヨロシクッ!」
上条「おうっ任せ、ろ?」
ガァッ――――――――――ズズズズズズズズズズズズズズズズズズッ……ッ!!!
上条「あだだだだだだだだだっ?!何コレ!?これナニーーーーーーーーーっ!?」
上条「重い重い重いっ超重い!腕が折れ、るっ!」
レッサー「そういやむかーし聞いたんですがね。月と地震い――地震には密接な関係があるらしくて」
レッサー「地平線上へ消える月は、毎日毎日地上へ落下しているという世界観が在り、地震とはその結果なんだそーで」
フ口リス「その心は?」
レッサー「さっきのがP波で、今来てんのがS波。当然後者の方が強いって事ですかねー」
レッサー「別の説を上げるとすれば、最初の一撃は二撃目を放った”余波”であって、セレーネ的には攻撃でもなんでもなかったんじゃねーかと」
フ口リス「あ、なーる。だからさっきのは打ち消せて、今度のは潰されそうになってんジャン」
ベイロープ「つまりトーマは、その第一撃目をドヤ顔で」
ランシス「『――俺がぶち殺す!!!』」 ドヤァッ
レッサー・フ口リス・ベイロープ プッ
上条「この鬼っ!悪魔っ!高千穂っ!人が命賭けて支えてるのにネタしなくていいじゃないっ!」
鳴護「ていうか、そろそろシャレにならないんじゃ……?」
レッサー「そうですね。そろそろ結界張るのに遣った魔力も戻って来ましたし、我ら『新たなる光』の対神殲滅集団術式をご覧に入れましょう」
レッサー「あ、これナイショなんで?特にイギリス清教には黙ってて下さいな」
レッサー「私達がコレ”使える”時点で、王権やら正当性やら小難しい事になりますんで」
22:以下、
レッサー「では――ベイロープ!」
ベイロープ「行けるわ」
レッサー「フ口リス!」
フ口リス「オッケー」
レッサー「ランシス!」
ランシス「……ん」
レッサー「今こそジェットストリームアタッ○の出番ですよっ!」
ベイロープ・フ口リス・ランシス「「「こんな時までボケんなっ!!!」」」
上条「ぜぇ、ぜぇ……そ、そして、一人、……多い……!」
鳴護「早くしてあげて!?当麻君がツッコミに手を回せる余裕がなくなってきてるからっ!」
レッサー「……ははっ、何言ってんですかねー、アリサさんは」
鳴護「はい?」
レッサー「余裕に決まってるでしょう?そんな三下相手に私達が負ける筈はありませんよ――何故ならば!」
レッサー「『全員』揃っているからです。このクソ楽しかった旅の中、散々苦労してきたメンバーがここに居る」
レッサー「なら負ける訳はないでしょう。フルメンバーの私達が負ける事は有り得ませんよ、はい」
鳴護「……ん、そうだね」
レッサー「それではでわでわ、魔神セレーネ――」
レッサー「――あなたを、滅ぼします……ッ!」
上条(レッサー、ベイロープ、フ口リス、ランシスはそれぞれ月から伸びている光の柱を囲み)
上条(手に持っているのは霊装だ。四人が装備していた物を取り外し、手にしている)
23:以下、
上条(ベイロープ『角』を掲げて、こう唱えた)
ベイロープ「『”Heimdall who has the corner cup of wisdom.. look!”』」
(知の角杯を持つヘイムダルよ、見よ!)
ベイロープ「『”The giant of the flame that extends in Bifrost of the fire and the wolf that swallows the sky!”』」
(火のビフレストを渡る炎の巨人を、天空を喰らう狼を!)
ベイロープ「『”Troops of the melancholic dead from Bifrost of the shadow!”』」
(影のビフレストからは憂鬱な死者の軍勢どもを!)
ベイロープ「『”Ah play Gjallarhorn. The sound turns into thunder and echos through Midgard!”』」
(さぁ吹き鳴らせギャッラルホルン!その音は雷鳴と化して蛇の中庭に響きわたらん!)
ベイロープ「『”The previous notice that reports fighting. Summon all soldiers!”』」
(戦いを告げる先触れを!全ての戦士を喚び起こすのだ!)
ベイロープ「『”――Ragnarok, Now!”』」
(――神々の黄昏が来た!)
24:以下、
上条(次にフ口リスが『翼』を掲げ、こう宣言した)
フ口リス「『”Know Gullinkambi to doze the morning glow!”』」
(朝焼けに微睡むグリンカムビよ、知れ!)
フ口リス「『”Roar of the giant from whom we invade Asgard, Lick your lips by the venomous snake that lies in the courtyard! ”』」
(我らがアールガルズへ攻め込む巨人の咆哮を、中庭に横たわる毒蛇の舌なめずりを!)
フ口リス「『”The horn that the main plays solemnly tells the age of the struggle!”』」
(主が吹き鳴らす角笛は粛々と闘争の時代を告げん!)
フ口リス「『”Now cockscomb of gold must flap!, Remind me of propriety in the battlefield the brave man of a great Odin!”』」
(さぁ羽ばたけ金の鶏冠!偉大なるオーディンの勇者へ戦さ場での礼節を思い出させよ!)
フ口リス「『”The fight started! Raise soldiers who report the end and war cries!”』」
(戦いは始まった!終焉を告げる戦士達よ、鬨の声を上げろ!)
フ口リス「『”――Ragnarok, Now!”』」
(――神々の黄昏が来た!)
25:以下、
上条(続いてランシスが『爪』を掲げ、こう呟いた)
ランシス「『”Loki who is the god of the clown.. laugh!”』」
(道化の神であるロキよ、嗤え!)
ランシス「『”The shout of the giant who shakes the earth crowds it about the dead who change the revolt to foolish Cyclops!”』」
(大地を揺るがす巨人の咆吼を、愚かなキュクロプスに反旗を翻す亡者の群れを!)
ランシス「『”The dead dye the sky to the previous notice of the flame in red, and do not raise its fist even if it dispels one's melancholy!”』」
(天空は炎の先触れに赤く染まり、死者は憂鬱を晴らそうと拳を上げん!)
ランシス「『”Give the mistletoe Now blind to the hero! To dispel thine disgrace, all!”』」
(さぁ盲目の英雄へ宿り木を持たせよ!全ては汝の屈辱を晴らすために!)
ランシス「『”The dead will come! The dead came! All are mangling!”』」
(死人が来るぞ!死人が来たぞ!全てはぶち壊しだ!)
ランシス「『”――Ragnarok, Now!”』」
(――神々の黄昏が来た!)
26:以下、
上条(最後にレッサーが、見慣れた『尻尾』を掲げ――)
レッサー「『"Goddess Guna to run in the sky must start. "』」
(天空を駆け上がる女神グナーよ、疾走れ!)
レッサー「『"It is neighs of wolf's fang, giant's fist, and children of the flame that approach the chaser. "』」
(追手に迫るは狼の牙、巨人の拳、炎の子らの嘶き!)
レッサー「『"If it colors, it approaches the scarlet, and the coming madman doesn't destroy everything, the earth doesn't raise the groan. "』」
(大地は緋色に色づき、迫り来る狂人が全てを滅ぼさんと唸りを上げん!)
レッサー「『Soldiers of it is possible to stand up Ordin. The honor that scatters in the battlefield is yours. 』」
(さぁ立て父の戦士達よ!戦場に散る名誉はお前達のものだ!)
レッサー「『"Kill the enemy, kill the companion, and kill and carry out even the end. "』」
(敵を殺し!仲間を殺し!終末すら殺しつくせ!)
レッサー「『”――Ragnarok, Now!”)』」
(――神々の黄昏が来た!)
27:以下、
上条(それぞれ四人が掲げた――差し出した霊装は掌を離れて宙へ浮く)
上条(ボウッと赤い光が霊装を包み、次第に光の形が変化していく――あれは?)
レッサー「『”The story ends here. The age of the myth rang the death knell! ”』」
(物語はここで終る。神話の時代は終わりを告げた!)
レッサー「『”Odin disappeared as it was drunk by the wolf, and a primitive giant disclosed his entrails. ”』」
(オーディンは狼に呑まれて姿を消し、原始の巨人は臓腑をさらけ出した!)
レッサー「『”Therefore ..so.., ..doing.. ..the oak... ”』」
(たがしかし、だとしても、それ故に――)
レッサー「『”The world doesn't end. Do not end. ”』」
(――世界は終らない!終わりなどしない!)
レッサー「『”It is untied from the chain of an old pantheon, and the world is divided by the fine dust. ”』」
(旧き神々の鎖から解き放たれ、世界は千々に分かたれる)
レッサー「『”Even if the pantheon age (Ragnarok) brings the end, it is a previous notice that signals the coming in the next age. ”』」
(神々の時代が終焉をもたらしたとしても、それは次の時代の到来を告げる先触れである)
レッサー「『”Now it is a crow of can the dance as for the sea of the imaginary number. ”』」
(さぁ、虚数の海を舞えカラスよ!)
28:以下、
上条(……カラス、だ)
上条(『翼』、『尻尾』、そして『爪』の霊装がカラスと重なり、標本骨格のような姿を形作る)
上条(けど……『角』の収まるべき所はない。これはきっと――不完全なのだろう)
上条(……そう、俺が不安に感じている間に、カラスがレッサー達へ問いかける)
赤いカラス「『”It falls into the person dripping of grief that drops in the world of the calm and the world of the struggle and Holy Chalice is filled. ”』」
(凪の世界に落ちる嘆きのひとしずく、闘争の世へ落ちて聖杯を満たせ)
赤いカラス「『”Fall into a large wave of rejoicing buoying it up in the stormy world and the world of harmony and dye Longinus. ”』」
(嵐の世界に浮き立つ歓喜の大波、和合の世へ落ちて聖槍を染めよ)
赤いカラス「『”It must fall into the apple unevenly that plays in the world of the tohubohu and the world of making desperate efforts and X must hang. ”』」
(混沌の世界に戯れる不揃いの林檎、狂奔の世へ落ちて聖剣を掲げろ)
赤いカラス「『”My name makes to the offering and is god of death's bride . If it makes to good and evil is not done, it wants my body. ”』」
(我が名は贄にして死神の花嫁。我が体は善にして悪を成さんと欲す)
赤いカラス「『”――Report hero's name. ”』」
(――英雄の名を告げよ)
29:以下、
レッサー「『”The magician expresses it so in the story when old. ”』」
(古の物語で魔術師はこう謳う)
ベイロープ「『”The thing of dynamic rogue and 2 swords that there is a knight who toward the battlefield on the hand. ”』」
(豪快無頼、双剣を手に戦さ場へと向かった騎士が居た事を)
フ口リス「『”Neither an incomplete genius nor the promised success are obtained and thing where knights who ..life.. drop exist. ”』」
(大器未完、約束された成功を手にせず命落とした騎士が居た事を)
ランシス「『”The thing of the rebellion usurpation and the lord where the knight who usurps everything exists to the hand. ”』」
(反逆簒奪、主君を手にかけ全てを簒奪した騎士が居た事を)
レッサー「『”Hero matchless and thing it keeps the oldest and with the last kings”』」
(英雄無二、最古にして最後の王が居る事を)
レッサー「『”Now we keep ..can legend.. living in the legend ....our ..magician.. body.. death... ”』」
(さぁ語り継げよ魔術師!我らの肉体は死すれども、伝承の中に我らは生き続ける!)
ベイロープ「『”In catnap that infant hears of”』」
(幼子が耳にするうたた寝の中に)
フ口リス「『”In tales of adventure that shake boy or chest”』」
(少年か胸を震わせた冒険物語の中に)
ランシス「『”In hero paean that poet is put on wind and sung”』」
(詩人が風に乗せて謳う英雄譚の中に)
ベイロープ「『”In lullaby that mother puts child to bed”』」
(母が子を寝かしつける子守歌の中に)
フ口リス「『”In battlefield where father fights with enemy”』」
(父が敵と戦う戦場の中に)
ランシス「『”Inside of inheritance that elderly person left"”』」
(老翁が残した遺産の中に)
30:以下、
上条(光が大きく――そして、その輪郭が徐々に変わっていく。カラスからもっと別なモノへと)
上条(『翼』は背中へ、『尻尾』は臀部へ、『爪』は手足の先へ)
上条(……今まで余剰パーツであった『角』は――)
上条(――当然、その雄々しい頭部へと導かれる……)
上条(……あぁ、俺はこれを知っている!『影』だけだが、とっくに目にしていた!)
上条(あの追い詰められたサッカー場で!天空から古の竜モドキを一蹴した――)
上条(――『ペンドラゴンの”赤い竜”』を……ッ!!!)
31:以下、
深紅の竜「『”The cross rots and rots away. ”』」
(十字架は腐って朽ち果てる)
深紅の竜「『”The dead threaten the person who forgets even dying and is alive. ”』」
(死人は死すら忘れて生者を脅かす)
深紅の竜「『”However, no wither the thing of doubt ..no withering the thing of forgetting.. never. ”』」
(されど忘れる事無かれ!ゆめゆめ疑う事無かれ!)
深紅の竜「『”It's Avalon and it is a king sleep barrel in Kudo. ”』」
(アヴァロンにて久遠に眠りたる王よ!)
深紅の竜「『”It is not suitable to kill thine even if dying. Even the death doesn't face the end in a grotesque, eternal outskirts. ”』」
(死を以てしても汝を殺す事は能わず!怪異なる永劫の果てには死すら終焉を迎えん!)
深紅の竜「『”This calls and sings the name out in a loud voice only the story and now of us. ”』」
(これは我らの物語、今こそ名を呼べ歌い上げろ!)
深紅の竜「『”The gate of Avalon is opened. Our king returns. ”』」
(アヴァロンの門は開かれる!我らの王が帰還する!)
深紅の竜「『”Ah, and call our king giving and the name by being and hear the begged clamor. ”』」
(さぁ来ませり我らの主、その名を呼び請う民草の声を聞け!)
32:以下、
レッサー「『”It asks thine. ”』」
(汝らに問う)
レッサー「『”I'm the last monarch who does chiefly by Britain and dozes in Avalon. ”』」
(我はブリテンの主にしてアヴァロンでたゆたう最後の君主)
レッサー「『”Britain is liberated, it makes to the hero who takes Gaul by storm, and I of a reverse-thief. ”』」
(ブリテンを解放し、ガリアを攻め落とす英雄にして逆賊の僕)
レッサー「『”What is my name called?”』」
(我が名を何と呼ぶ?)
33:以下、
ベイロープ「『”Oh the lord I serve, and the Grail is dedicated dear. ”』」
(おぉ主よ!俺が仕え、聖杯を捧げた愛しき方よ!)
ベイロープ「『”Suitably to dedicating the sword that makes to the road middle and has become interrupted. your name. ”』」
(道半ばにして途切れてしまった剣を捧げるに相応しい。あなたの名は――)
ベイロープ「『”Arthur!”』」
(『アーサー!』)
フ口リス「『”Ah lord family also who is my father's best friend”』」
(あぁ主よ!僕の父の親友でもある家族よ!)
フ口リス「『”Suitably to dedicating the revival sword ..will deprivation of the command of fellows of the rebellion.. even several-time. your name. ”』」
(反逆の輩に命奪われようとも、幾度でも蘇り剣を捧げるに相応しい。あなた様の名は――)
フ口リス「『”Arthur!”』」
(『アーサー!』)
34:以下、
ランシス「『”…… Lord It makes to my friend and it is enemy of fate”』」
(……主よ!私の友にして宿命の敵よ!)
ランシス「『”Suitably to lowering my sword to the temporary ..killing, times how many getting tired, and worth... your name. ”』」
(何度殺して飽き足らず、仮初めに私の剣を下げるに相応しい。お前の名は――)
ランシス「『”Arthur!”』」
(『アーサー!』)
レッサー「『”――It's exactly so ! exactly so !. ”』」
(――然り!よって然り!)
レッサー「『”My name risks to Arthur Pendragon's child and is a wild boar in Cornwall. ”』」
(我が名はアーサー!ペンドラゴンの子にとしてコーンウォールの猪!)
レッサー「『”It's 'Arthur829 (king who crowns it to eternal The End of the Road again”』」
(『Arthur829(永劫の旅路の果てに再び戴冠する王)』なり!)
35:以下、
上条(深紅の竜が更に姿を変え……四振りの神々しい剣となり、光の柱の前へ浮かぶ)
上条(……レッサーの前に現れたのは、柄を上にして持てば黄金の十字架のような――)
上条(――『聖剣』、だ)
36:以下、
レッサー「『”The old one boasts of an older thing, and the rotting one remains though it rots. ”』」
(古きものはより古きを誇り、朽ちるものは朽ちるがままに――)
レッサー「『”However, the flame of a candlestick old ..the piling of sleep at 1000 nights.. doesn't disappear. ”』」
(――されど千夜に褥を重ねようとも、旧き燭台の火は消えず――)
レッサー「『”The wail of repaying dies I pray in 'Enemy of Britain' of the public peace. ”』」
(――『ブリテンの敵』に報いの慟哭を、願わくば安寧の死を――)
レッサー「『”Soldier ..under the name of 'New round table'.. ..the collection food... ”』」
(――『新たなる円卓』の名の下に集えよ、戦士)
レッサー「『”It's a gathering knight to my round table. Introduce itself. ”』」
(我が円卓へ集いし騎士よ!名乗りを上げよ!)
37:以下、
ベイロープ「『”'Balin189 (The knight of two swords must retrieve the disgrace)' is here. ”』」
(Balin189(『双剣の騎士よ汚名を濯げ!)』が、ここに)
フ口リス「『”Florence243 (lady's protection knight)' is here. ”』」
(『Florence243(淑女の守護騎士)』が、ここに)
ランシス「『”'Lancelot225 (The knight of murdering shows by the action)' is here. ”』」
(『Lancelot225(弑逆の騎士は行動で示す)』 が、ここに)
38:以下、
レッサー「『”It doesn't suffice. My round table has not been filled yet. ”』」
(足りず!我が円卓は未だ満たさず!)
レッサー「『”The Grail lacked 2,000, and Longinus disappeared in the dark of Ti 'R na n-O' g. ”』」
(聖杯は千々に欠け、聖槍はティル・ナ・ノーグの闇へ消えた!)
レッサー「『”Do not reach to beat off his enemy even if my reckless courage is done. ”』」
(我が蛮勇を以てしても、彼の敵を打ち払うには届かず!)
レッサー「『”Coming in haste is a spirit of the war dead. It is soldier who doesn't have the name that dies and returned to the soil of the homeland in which it disappears either. ”』」
(ならばはせ参じよ英霊どもよ!死して故国の土へ還った消えた名も無き兵士共よ!)
レッサー「『”Become the foundation of the king hero who bundles thine spirit of the war deads. ”』」
(汝ら英霊を束ねる英雄王の礎となれ!)
レッサー「『”It returns from the nether world and the enemy of Britain is not destroyed. ”』」
(冥界より還り来たりてブリテンの敵を撃滅せん!)
39:以下、
ベイロープ「『”My friend Sir Galahad must come. Thine sword is here. ”』」
(来たれ我が友ガラハッド。汝の剣を、ここに)
フ口リス「『”My father Gawain must come. Thine sword is here. ”』」
(来たれ我が父ガウェイン。汝の剣を、ここに)
ランシス「『”My friend Tristan must come. Thine sword is here. ”』」
(来たれ我が友トリスタン。汝の剣を、ここに)
レッサー「『”Come to my Sir brothers Guillaume. Thine sword is here. ”』」
(来たれ我が同胞ギヨーム公。汝の剣を、ここに)
ベイロープ「『”My independent king brothers Wallace must come. Thine sword is here. ”』」
(来たれ我が同胞ウォレス独立王。汝の剣を、ここに)
フ口リス「『”My brothers Gruffydd great emperor must come. Thine sword is here. ”』」
(来たれ我が同胞グリフィズ大帝。汝の剣を、ここに)
ランシス「『”My king friend James must come. Thine sword is here. ”』」
(来たれ我が友ジェームズ老僭王。汝の剣を、ここに)
上条(レッサー達が英雄の名前を呼ぶたび、光の柱の周囲へ”剣”が。また一振り、そしてまた一振りと出現し――)
上条(――十、百、千……天へ昇る光柱へ切っ先を向け、包囲の輪を強固にしていく)
40:以下、
レッサー「『”Hero's king must come. ”』」
(来たれ英雄王)
ベイロープ「『”Fairy's king must come. ”』」
(来たれ妖精王)
フ口リス「『”Spirit's king must come. ”』」
(来たれ聖霊王)
ランシス「『”Spirits of the dead's king must come. ”』」
(来たれ精霊王)
レッサー「『”The king of the ghost must come. ”』」
(来たれ幽霊王)
41:以下、
上条(万、十万、そして夥しい数の『剣』を前に。『最後の王』が高らかに宣言する……!)
レッサー「『”We must hang to the evil murdered in our country out the sword. ”』」
(我が国に弑逆する悪へ我らが剣を掲げよ!)
レッサー「『”Hero's soul Think death by fighting to be boast”』」
(英雄共の魂よ!戦って死ねる事を誇りと思え!)
レッサー「『”Destroy the sword of Sabaoth and destroy wickedness――”』」
(万軍の剣を以て邪悪を滅ぼせ――)
42:以下、
レッサー「『”――――"Million Arthur"――――!!!”』」
(――――『万軍英雄(ミリオンアーサー)』――――ッ!!!)
43:以下、
――青冷めた光の柱の下
ヒュゥッ――――ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ……ッ!!!
上条(百万の剣が!過去に在った英雄達の剣が!天へ伸びる青冷めた光を蹂躙していく……ッ!)
上条(ある剣は正面から薙ぎ払い!またある剣は音も立てずに刃を差し込み!またとある剣は狂ったように乱舞する!)
上条(光の柱は一つ、また一つと欠けていく――そう、月が満ち欠けするように、ぽっかりと空虚な穴を晒す)
上条(一方的な暴虐が限界を超えれば、起きるべき事が起きるのは必然か)
――ガッシャァァァーーーーーーーーーーーンッ――!
上条(……半ばまで断たれた光の柱は、断片となって地表へと降り注ぐ……)
上条「その様子はまるで流星雨……って、大丈夫なのか?」
レッサー「……問題、ない、でしょう……ありゃ、ただの魔力の残滓ですから」
上条「レッサー!……レッサーさん?お前っ!?」
レッサー「なんですか、人の顔見て?」
上条「髪の色が……金色に……?」
レッサー「あぁこれは『オジリン・アーサー』のイメージがブロンドらしく、”覗き過ぎる”とこうなるんですよ」
レッサー「なーに、放っておいても二、三日で元に戻りますんで」
上条「そうか、だったら――」
上条(……待てよ?その説明が正しいんなら、レッサーがいつも染めてる前髪は……)
上条「……」
レッサー「ほぉら、ボケっとしてないでセレーネぶん殴りに行って下さいな!きちんと天の龍脈ぶった斬ったんで、ノルマは果しましたよっ!」
レッサー「……私達はもう少ししないと、流石に、ですから」
上条「……了解。後は俺――いや」
上条「俺”達”に任せてくれ」
レッサー「えぇ、お任せします――って、俺”達”?」
44:以下、
上条「んー……まぁ、見ててくれ。アリサ!」
鳴護「うんっ」
レッサー「うえ!?ちょ、ちょっと待って下さい!アリサさんも行かれるんですかっ!?」
上条「こっち帰ってくる途中で話し合ったら、そうなったんだよ」
レッサー「保険金でも掛けましたか?……ハッ!?もしくは認知したくなくて抹殺するおつもりでっ!?」
上条「ぶん殴るぞテメェ」
レッサー「や、どう考えても無理ゲー過ぎでしょう。確かにアリサさんの『奇跡』は魔術史へ名を残すレベルですけど」
レッサー「直接戦闘、しかも前線でガチる系ではありませんでしょうに」
鳴護「多分、だけど……わたしが行かなきゃいけないような気がする、んだ」
レッサー「どうしてまた?」
鳴護「……何となく?」
レッサー「……はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ……どうしたもんでしょーなー、これ」
ベイロープ「――レッサー」 ブンッ
レッサー「はいな――って、これは私の『尻尾』」 パシッ
ランシス「わたしの……『罪人の貨車』に、残ってた魔力を詰めてある……」
フ口リス「なんかあったら、引っ掴んで、ニゲロ」
レッサー「……流石のレッサーちゃんもお疲れなんですが……まぁ、いいでしょう!キス一回で引き受けますコトよっ!」
上条「支払いはアリサ持ちで」
レッサー「賜りましたっ!」
鳴護「また当麻君が裏切ったよっ!?」
上条「アリサの安全のためだからな!決して疚しい気持ちがある訳じゃない!」
レッサー「また素敵な感じに全力で嘘吐いてやがりますなっ!」
45:以下、
――月蝕の夜
セレーネ『……』
上条(大規模術式を遣った反動か、それとも無理矢理龍脈を切られた反動か。目に見えて憔悴している)
上条(その場に居るだけで押し潰されそうになるプレッシャーは大分弱まり――と、言っても『神の右席』レベルよりも強い――どこか陰を落としている)
上条(……あぁそういや、『堕ちてくる空』はいつの間にか消えてたな。あれが残ってたらヤバかったが)
上条(と、言う事はあの術式は星辰の龍脈から力を得ていた――つまり、今は完全に断線している、ってか)
上条(『魔神』としちゃ、まだ地の龍脈を自由に遣える分、脅威は脅威なんだろうが……)
上条(……まぁ、いい。俺はアリサが失敗したら飛び出そう)
鳴護「――っ!」
レッサー「てーかアリサさんに先行させて良かったんですか?あんまり精神衛生上宜しくないっちゅーかですかね」
上条「……あぁ。ステージで助けられなかった時の話か。気持ちは分かるが……アレだ」
レッサー「どれですか」
上条「見せようぜ、取り敢えず」
セレーネ『……どうして?どうしてみんなはわたしを受け入れてくれないの……?』
セレーネ『みんな、大切なわたしの子なのに……!大事な大事な、わたしのぼうや達……!』
セレーネ『辛いでしょう、この世界は?厳しいでしょう、この世界は』
セレーネ『だから、そう、だから』
セレーネ『わたしの揺り籠でお眠りなさい……そうね、それが一番――』
鳴護「――」
レッサー「ちょっ!?近づき過ぎじゃないですかねっ!」
上条「いいんだと思う、あれで……や、違うか」
上条「あれじゃないと駄目なんだよ、きっと」
セレーネ『あなたは……アリサ!わたしの可愛い――』
鳴護「――――――――――”ありがとう”」
46:以下、
レッサー「………………はいぃ?」
セレーネ『アリサ……どうしたの、アリサ?』
鳴護「わたしが――”あたし”がこっちの世界、現実世界へまだ戻って来られたのって、あなたが助けてくれたんだよね……っ?」
鳴護「あたしが集めた『奇跡』じゃ、到底足りなかった。だから、一度は諦めようとした――のに!」
鳴護「あの時!背中を押してくれたのはっ!――あなた、なんだよねっ?」
レッサー「……何のお話で?」
上条「アリサは前にも一回消えてるんだよ。忘れたのか?」
上条「学園都市へ落下する大質量の塊、『エンデュミオン』を逸らすために一度」
上条「……あの時、『助かりたい!』って願った人達の思い――”想い”を集めて『奇跡』を起こした」
上条「……でもアリサは、あの体に込められた力を全部遣っちまったらしくてさ。一度は消えちまったんだ」
レッサー「や、でも!」
上条「……そうだ。アリサは戻って来たんだよ、『エンデュミオンの奇跡』から、少し時期はズレるけど」
上条「でも、これはおかしいって本人は思ってたんだと」
レッサー「おかしい、ですか?……いやいやっ、アリサさんがご自分の『奇跡』を使えば不可能ではないでしょう?」
上条「あぁ。アリサの『奇跡』は”不特定多数の意識を汲み取り現実を改竄する”力だ」
上条「少数の祈りでも理論上は出来るが……そうなるとごく細やかなものに限られる」
上条「……確かに。アリサのファンは最低でも万単位。『88の奇跡』を考えれば、全員で祈れば可能かもしれない』
レッサー「でしたら、それでいいんでは?」
上条「あの時、『アリサが消えたって知ってる人間は数人しか居なかった』んだよ。だから数万人が祈りを捧げる事は、ない」
上条「補足する――ん、だったら、アリサが自分のために『奇跡』を起こすと思うか?」
レッサー「……それ、上条さんが『右手』で世界征服始めるぐらいの確率ですよね」
47:以下、
上条「だけどアリサは帰って来た。『奇跡なんかじゃない』って」
上条「そこら辺の理屈は……アリサ自身も分かってなかったらしくて、そこら辺はなぁなぁで済ませてたんだが――」
レッサー「ここへ来て『濁音協会』との抗争が始まる、ですか」
上条「そう。連中曰く、アリサは魔神の欠片、なんだと」
レッサー「それは……」
上条「あぁ、そうだ。『龍脈』の力によって生み出された存在だ。最初っからそうだと言えば、その通りな気もするが――」
上条「でも、それはさ?逆に考えられないかな?」
レッサー「逆?何をリバースするんですか?」
上条「『セレーネはアリサを助けるために、魔神としての生を与えた』ってさ?」
セレーネ『――そうね、アリサ。わたしの可愛いぼうや』
セレーネ『あなたはかあさんの娘よ。生と死が交差する”塔”で、あなたを見つけて、産んだのはわたし……』
鳴護「あなたが、わたしの……」 ギュッ
上条(今まで一切噛み合わなかった会話が、初めて対話らしきものが成立する!……や、それも違うか?
上条(今にして思えば、セレーネはアリサを特に気にかけていた気がするし、アリサが消える直前も、二人の会話だけは成り立っていた……?)
48:以下、
セレーネ『あらあらまぁまぁ?アリサ、どうしたのアリサ?』
セレーネ『当麻に虐められたの?それとも他の妹にからかわれたのかしら?』
セレーネ『悪い子はかあさんが叱ってあげる。だから、泣くのを止めて頂戴、ね?』
鳴護「……」
セレーネ『それとも――アリサは”ここ”が合わないのかしら?』
セレーネ『あなたが生きるのに厳しいのだったら、またわたしの中へ戻って、おやすみなさい?ね?』
レッサー「……あのクソババアっ!まだアリサさんを――」
上条「待て!」
鳴護「……あの、ね。あたし、あなたに伝えたい事があるんだ」
セレーネ『なぁに、アリサ?言ってご覧なさい?』
鳴護「こっちの世界はね、とても、辛いんだよ。生きるのは辛いし、楽しくない事だって……幾らでもあるよ」
鳴護「思い通りになる事は少ないし……本当に、うん」
セレーネ『そう、だったら――』
49:以下、
鳴護「――でも!辛いけどっ!厳しいけどっ!あたしは、もうっ、大丈夫だからっ!」
鳴護「見て!お友達も出来たんだよっ!当麻君にレッサーちゃん!ベイロープさんにフ口リスさんにランシスちゃんもっ!」
上条・レッサー「「……」」
ベイロープ・フ口リス・ランシス「「「……」」」
鳴護「あたし、はっ!もう、大丈夫だからっ!」
鳴護「あたし”達”はっもう大丈夫だからっ!」
鳴護「辛い事があっても!厳しい事があっても!」
鳴護「もう一人で――歩いて、行ける……からっ!」
鳴護「だから、あなたは――っ!」
セレーネ『……泣かないで、アリサ。わたしの可愛い娘、アリサ』
鳴護「……っ!」
セレーネ『わたしは”こんな”だけれど、あなたは正真正銘”私”の子よ?それは忘れないで?』
鳴護「……うんっ」
50:以下、
セレーネ『体に気をつけてね?無茶をしちゃ駄目よ?あ、あと、お姉ちゃんも気に掛けてあげて?あの子も弱い子だから』
鳴護「うん、うんっ!」
セレーネ『……なら、かあさんは帰るわ。元の場所へ』
セレーネ『アリサは――みんなは、立派になったものね。もう、子供だって言ってられないのかしら?』
セレーネ『当麻も――お兄ちゃんなんだから、アリサのワガママを聞いてあげなきゃいけませんよ?』
上条「……分かってるさ」
セレーネ『それじゃまた――そうよ、あぁアリサ、あなたは歌が上手いのよね?』
鳴護「え、う、うん」
セレーネ『だったら最期にお歌を聴かせて頂戴――』
セレーネ『――この世界を”動かす”歌を』
鳴護「わたしに……出来る、かな?」
セレーネ『出来ますとも!だってあなたはわたしの子なんだから』
鳴護「……ん、やってみる」
セレーネ『慌てないでいいのよ?ゆっくりと、停まった糸車を回すように』
セレーネ『全ては、また、逆巻く――』
51:以下、
鳴護「『十六夜の月の下、月影が出来るのは二人』」
鳴護「『降り注ぐ蒼覚めた色は、煌々と』」
鳴護「『宵に伏す顔はそれでも甘さが見え』」
鳴護「『重ねた手に、冷えた手と手を繋ぐのはぬくもり』」
鳴護「『ずっと触れていたい、それは願いで』」
鳴護「『ずっと見つめていたい、それは望み』」
鳴護「『輝けるのは、続いていく君?』」
鳴護「『それとも私?』」
上条(大地に深く根を張った世界樹が、建物を覆った茨の蔦が、逆再生のように折り畳まれ、枯れていく……)
上条(静寂に包まれた世界から、徐々にざわめきが響き始める……)
鳴護「『絡みつく、月と太陽の輪廻』」
鳴護「『何度生まれ変わっても君と出逢うよ』」
鳴護「『だから君も見つけて――『あたし』の事を』」
鳴護「『ずっと触れていたい、それは願いで』」
鳴護「『ずっと見つめていたい、それは望み』」
鳴護「『絡みつく、月と太陽の輪廻』」
鳴護「『幾度繰り返しても君に恋する』」
鳴護「『だから君も探して――『わたし』の事を』」
52:以下、
上条(月蝕のまま閉じた円環は再び開き、漆黒一辺倒だった”月”は――)
上条(――微かに端の方から光を放ち、この優しい悪夢が終わりだと告げている……)
セレーネ『……じゃ、さようならアリサ――わたしの可愛い子』
鳴護「……っ!」
上条「アリサっ!」
鳴護「うん……ありがとう、あたしを産んでくれてっ!本当にありがとうっ!」
鳴護「――――――”おかあさん”……ッ!!!」
……パキィィィィィィィイインッ……!!!
上条(停まった世界が、凍り付いた世界が、今)
上条(生命の歌と共に動き始める――!)
53:以下、
――2014年10月8日18時10分 『Shooting MOON』ツアー・学園都市凱旋ライブステージ
佐天『改めましてサプライズ!ついに来やがった本日の主役ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!』
佐天『”夜の女王”さんの登場でぇーーーすっ!はい拍手ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!』
上条「…………あ、あれ…………?」
佐天『――て、あんれー?どっか見たよーな、つーか具体的にはあたしの知り合いっぽい人が居ますねぇ?』
上条「……オイ、ちょっと待て、これまさか――」
佐天『突然舞台に現れた集団の正体とは一体っ!?』
佐天『っていうかこれ打ち合わせにないんですけど、大丈夫ですかー?アンチスキル呼んだ方がいいのかなー?』
上条「――丸投げしやがったよあの魔神!元に戻してほしいとは思ったが、現状復帰させるにも程があんだろ!?」
佐天『アリサさん号泣してますし……感動のご対面なんでしょーかねー、もしもーし?』
上条(よし、考えろ俺!きっと打開出来る言い訳が浮かぶさ!信じろ、信じるんだ!)
上条(現状、ステージの上に居る奴らを完璧に説明する方法は――) チラッ
鳴護(※号泣)
ベイロープ・フ口リス・ランシス(※疲労困憊×3)
レディリー(※昏倒)
上条「――よし!諦めようぜ!」
レッサー「待ちましょう、取り敢えず待ちませんか上条さん?」
54:以下、
レッサー「何を諦めたのかは存じませんが、今レッサーちゃんをスルーしませんでしたか?今今今っ!」
上条「お前に収拾が付けられるとでも?」
レッサー「その今にも唾棄しそうな蔑んだ顔も嫌いじゃないですがっ!ここは一つワタクシに任せてみてはどうでしょうかっ!」
上条「自信、あんの?」
レッサー「任せてつかーさい!こう見えて私は三年連続校内ランキング、『顔はいいが関わり合いにはなりたくない女ナンバーワン!』に耀いていますから!」
上条「今の危機的状況とそのランキング関係なくね?……あ、でもお前の学校が割とまともでホッとした」
レッサー「……上条さん、あぁカミジョーサン!」
上条「なんで外人っぽく言った?」
レッサー「私達が長い長い旅を通じて、様々なものを学びましたよね?それを思い出してくださいませんか?」
レッサー「良い事も悪い事も、我々は共に生活して知ったではありませんかっ!」
上条「そう、だけどさ」
レッサー「例えばアリサさんが、体洗う時は肌弱いんでスポンジ使ってるとかをですね」
上条「そ、それは知らなくていい情報だな?」
レッサー「人は万の言葉よりも一つの行動が信頼を生む筈でしょう!?違いますかっ!」
上条「あー……まぁ、そこまで自信があるんだったら、任せるけど――あ、佐天さん、ごめん。マイク貰える?」
佐天『あ、はい。どーぞ……あれ?この女の子、あたしと同じ芸風を感じるぞ……?』
上条「気のせいだ!?スタン○能力者は引かれあうとか言ってるけど、本当だったらDI○が来日してる筈だし!――と、ほら、レッサー!頼む!」
55:以下、
レッサー「期待を裏切りませんから!――『あー、あー、マイクテストーマイクテストー』」
レッサー「『フランス野郎は国連の援助物資で女子供を買うクソヤロー、クソヤロー』」
レッサー「『フランス女が売女しか居ないからって、余所の国まで同じだと思ってんじゃねーぞテストテストー』」
上条「止めてあげて?攻で国際問題引き起こしてアリサさんの名前に泥を塗らないであげて!」
レッサー「『では――』」
上条「……」
観客『……』
レッサー「『――――――』」
上条「……うん?どーした――」
レッサー「『ぜっ、全員動くなァァあああああああああああああああああああッ!!』」
上条「お前それ一番やっちゃいけないヤツぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?」
ラシンス「(……や、だから。レッサーが言いたいのは)」
フ口リス「(『芸人としてのお約束を裏切らない』って意味ジャンか)」
ベイロープ「(はいはい、無駄話はそこまで。アリサとレディリー回収して引っ込むわよ)」
鳴護「(あのー、あたしもですか?)」
ベイロープ「(顔、泣き腫らしたアイドルなんて居ないでしょ?あと衣装も着替えないとね)」
鳴護「(あ、はい)」
56:以下、
フ口リス「(てゆーかさ、アレ計算?天然?)」
ランシス「(……レッサー、意外とヘタレだから、多分……素)」
鳴護「(そう言えば旅の途中も、プラトニックが多かったような?)」
ベイロープ「(……言わないであげて――と、そうそう、アリサ)」
鳴護「(はい?)」
ベイロープ「(お帰りなさい)」
鳴護「(……はい、ただいま帰りました)」
フ口リス「(あー……その、なんだ。ワタシが言うのもなんなんだけどサ。イヤだったら別に逃げたっていいんだぜ?)」
フ口リス「(それで思い詰めるよりか、ずっとマシでしょーに)」
ランシス「(……ん、でも今度逃げたらわたしが……ぐへへへ)」
フ口リス「(変態ダーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?)」
鳴護「(……もう、あの夜の恐怖体験はゴメンだよ……うん)」
ベイロープ「(この子はある意味、無言実行だからレッサーよりもタチが悪いのだわ……)」
57:以下、
レッサー「『――フランスが大負けしたワーテルローから今年で200年だよっおめでとうっ!今世紀中には滅ぼしたいですねっ!』」
上条「おいマイク離――逃げるなっ!」
上条「誰かーーーーっ!?誰かこのバカのマイクの電源落とし――」
シャットアウラ「――何をしているか貴様ァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」
佐天『あ、激怒したスタッフの人だ』
上条「待て!?違うんだシャットアウラ!これはお前が考えてるような事じゃない!ちゃんとした理由があるんだよ!」
シャットアウラ「……言うだけ言ってみろ、聞くだけは聞いてやる」
上条「これはな、敵の魔神の攻撃――」
シャットアウラ「――ふんっ!」 バスッ!
上条「そげぶっ!?」 バタッ
上条(……シャットアウラの加減なしの一撃を食らい、俺はゆっくりと意識が狩れ取られていく……)
上条(その、目に映ったのは、大笑いするレッサー、ほぼ逃走を完了しているフ口リス、レディリーの微妙な所を持って抱きかかえてるランシス――)
上条(――アイアンクロウをバカに噛まそうとしているベイロープ、そして――)
上条(――いつものように心配そうに見ているアリサの姿だった……)
上条(……ま、そんな日常を守るためだったら、世界の一つや二つ、どうって事はな――)
上条(――い……)
上条「……」
上条(……いや、やっぱ世界救ったのに、貰ったのがボディーブローって割に合わなくないか……?)
――闇、海より還り来たる ?終?
74:以下、
――『エピローグ』
75:以下、
――ローマ コロッセオ
???「――――死んだらどうするっ!?」
???「……」
???「……あぁ怖かったー。死ぬかと思ったー。つーか一回死んだわー」
???「テッラ超つえー。『ククク、ヤツは右席の中でも最弱よ!』的な噛ませ犬かと思ったんだが、相性の問題だわ、あれ」
???「ま、滅ぼしきられる程のもんじゃなかったが、つーか生前にやり合ってたらヤバかったかもしれねぇが、あぁ」
???「あと『万軍英雄(ミリオンアーサー)』か……過去にブリテンで死んだ英雄達を”アーサー”と見なして部分的に召喚」
???「曖昧な定義且つ、様々な物語の英雄を組み込んでいったアーサー王伝説ならではの大技。カッケーな!」
???「……しかもあれ、『アーサー王伝説に組み込まれれば組み込まれる程、剣の本数は増す』ってトンデモ術式か。やってらっんねー」
???「流石は『アーサー王の遺産管理人』ども、ンな隠し球持ってるなんざ、この世界も捨てたもんじゃねぇな」
???「つーかさつーかさ、確かにあん時は連中も龍脈に接続していた――っていうか」
???「セレーネの属性の一つである『死して永遠に夢見る』へ、アーサーの『アヴァロンで永久に横たわる』属性で上書きしてやがったんだけど」
???「もしそれが出来ねぇ状況、ぶっちゃけ何の助けもなしに使えるかっつーと、相当疑問だわなー」
???「あぁっと……連中の術式か、霊装を起動させてた順番はベイロープ、フ口リス、ランシス、レッサー……ふむ」
???「名前っつーのは本質をも表しているから、下手なフェイクは入れられねぇ。意味を持たせるとすれば――」
???「ベイロープ、ベイ・ロープ、ベイリン・ロゥ・プール……『Balin row pool(ベイリンは死の淵を渡る)』」
???「フ口リス、フローレンス・リス、フローレンス・リスプ――『Florence lisp(フローレンスは震える舌で話す)』」
???「ランシス、ランスロット・シス――『Lancelot cist(ランスロットの石棺)』」
???「レッサー、レス・アーサー――『Less Arthur(未だ満たさぬアーサー)』」
???「――ってトコか」
???「ふーん?あぁそうか、最低でも二人、最悪だと全員死なないと発動しねぇのか!」
???「ベイリンは”災いの一撃”で死ななければいけないし、フローレンスも味方に斬り殺されて、『原型を辿る』必要がある」
???「神話をなぞった術式は強えぇ。だが強い代わりにそれ相応の代償を”持って”行かれっちまう」
???「そして円卓の騎士とは、必ず崩壊して死へ至る運命を持つ、と。イイ感じに狂ってやがるな!」
76:以下、
???「俺的には非常に好みだが、マァブも相変わらず奉仕する人間の魂を欲するか!」
???「今はもう狂ってしまったのか、それとも最初から狂っていたのかは興味深いところだが……さてさて」
???「つーか介入してんじゃねーぞババア。”この”世界はどう考えてもニュートラルなんぞとは縁遠いってぇのに、何考えてやがる」
???「カミやんの『右手』が魔術師のセーフティだってなら、俺達も俺達の……や、違うか?」
???「まさかと思うが……あの売女、テメーらの”子供達”を守るためだけに……?」
???「……」
???「……これだから地母神関係は嫌いなんだよ。ったく、いい加減子離れしねーと」
???「――んが、まぁアレだな。理論通りに”メインプラン”のセレーネ降臨は上々」
???「……つーか最初から分かるだろ?分かっていた話だろ?」
???「”ポラリス”があるおおぐま座は、アルテミスの侍女であるカリストが純潔を破り、天へ上げられた姿だ」
???「それに執着する娘は、母親を慕う子供と何が違う?違わないぜ」
???ギリシャ神話で、セレーネとエンデュミオンとの間に生まれた子は50人を越す。その中には女神もいた」
???「”パンデイア”、神話に登場する露の女神にして別名――」
???「――『エルサ』」
???「日本語読みにしたら面白ぇ事になる。文字通りの『冥護アリサ』だっつー訳だ。だー」
???「……まぁこっちに定着したし、嫌がらせとしても悪くはない。カミやんが大変なだけで俺は知ったこっちゃねぇし」
???「問題は……次は何で遊ぼうかな?私は誰を嘲笑えばいいのだろうか?」
???「……」
???「セレーネ召喚の呼び水に使った、んで使い物にならなかった場合のサブプラン――Κ(カッパー)の三相女神の復活と行くか」
???「たかだかセレーネ如きに一度滅びたんだ。今度は女神三人相手にどこまでやれるか、精々楽しませて貰うとするぜ」
???「『濁音協会』名乗んのも楽しかったがね」
???「……つーかユグドラシルの術式って超使い勝手悪ぃのな。無限再生するだけの躰(からだ)ってドM専用機じゃねぇか」
???「元々戦闘目的じゃなくて、延命目的だからまぁ、しゃーなし的な側面はあんだけど」
???「次はもっとまともな力が欲しいぜ。出来れば痛くないの、遠距離型がいーかなー?」
キラッ☆
???「――ん?流れ星――ハッ!?」
77:以下、
???「津へ津へ津へ!やったねっおにーちゃんこれで津へメテオストライク決定だ!……だ?」
キラキラッ☆
???「まだ、消えねぇな。ていうか昼間に星?どんだけ近くまで落ちて来てんだか」
???「また学園都市の人工衛星じゃねーだろうな……あぁ『エンデュミオン』のスペースデブリから、合法口リは回収済みなんだっけ」
???「あー……アレだ」
???「探査衛星が地球へ落っこってくる、所謂大気圏突入は大体秒11kmぐらいになる」
???「時換算では約時3万9千6百キロ。キップ何枚切られるか分かったもんじゃねぇわ」
???「ちなみに赤道の長さが4万キロ。超早いと理解出来りゃそれでいい」
???「他にも中距離弾道ミサイルが秒2km、ICBMこと大陸間弾道ミサイルは7km」
???「ちなみに光は約30万kmだっけか?大気を越えると減するらしい」
???「月の地球の距離は約38万キロ、だから大体一秒弱前の光を俺達は見てんだが――って」
???「やっぱりこの”肉の檻”に影響されてやがるな。俺が持ってた冒涜的な知識の殆どが失われてるわー、つれーわー」
キラキラキラッ☆
???「てかどうしちゃったのお星様?シャーロット=ヴェイルでも拗らせた?」
???「……?てか、大きくなってね――」
――――――フッ
???「あるぇ?右目が見えな――」
???「……」
………………ザシュッ!!!
???「あー、成程。音よりは早かったんだな、だからこう、矢が俺の目に刺さる前に音は聞こえなかったと」
???「そっかー、そうだよ、なんだー、こやつめー!」
???「……」
???「――ぐがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁっはぁぁっ!!!」
???「目が!?俺の目がッ――!?」
???「なんだ――これはっ!?どうして空から矢が降って来やがる!?天気予報には出てなかった筈だぜ!」
………………ザシュッ!!!
???「ァァァァァァアアァァァァァァァァァァァァァガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアァッ!!!?」
78:以下、
???「両目を……クソが!つーか誰だ出て来やがれっ!」
ヴヴゥンッ、ヴヴヴヴヴヴヴヴッ
???「矢がっ!振動し――つーか痛ぇよ!溶けた鉛を脳に突っ込まれるぐらいに痛ぇ!?」
振動?『――あー、ハローハロー?聞こえているか?』
振動?『私の姿を探しているとすれば、それは無駄。私は今ロンドンに居るの」
振動?『君へ声を伝えているのは、この『矢』を振動させ擬似的に話しているだけだから』
???「探すも何もこっちは見えてねぇんだよバカヤローっ!!!」
振動?『ふうん。やはり”この程度”では死ななかったのね』
???「頭イタイんで手短にっ!」
振動?『両目の後ろには大脳があり、大抵の人間はそこを貫かれれば良くて即死』
振動?『悪くて”死に損なった”場合でも、激痛に苛まれてまともな行動出来ない筈。なのに』
???「……テメェは誰だ!?誰が俺の物語へ入って来やがった……ッ!」
???「”ここ”はポッと出のルーキーが余裕かましていい場面じゃねぇぞコラ!」
???「最初から!舞台へ上がって道化を演じ、演じたつもりが本気になったバカ共の立つ場所だ!」
???「――貴様はどんな資格があって私のオペレッタへ足を踏み入れた……ッ?」
振動?『名乗る程の者ではない。私は属すべき結社をこの手で滅ぼしたのだから』
振動?「だ、けれども。声高らかに名乗りを上げられないのは少し寂しいと感じる――なら、ならば』
振動?『今はもうない彼らへの手向けと侮蔑、そして愛情を込めてこう言おう』
振動?『私は”天上より来たる神々の門”の一員だった者、よ』
79:以下、
――ローマ コロッセオ
???「天上の――ウレアパディーてぇ事は――」
???「――『ブラフマーアストラ』か!?」
ウレアパディー(振動?)『あら、私も有名になったものね』
???「……ふ」
ウレアパディー『ふ?』
???「ふざけんなチクショーっ!流れ星なんぞ滅多に流れるもんじゃねぇだろ!」
???「つーか同時に三つの流れ星を確認するなんざ、無茶振りにも程がある!」
ウレアパディー『そう』
???「……」
ウレアパディー『……』
???「……いや、説明は?」
ウレアパディー『君が”龍脈”と接続出来る能力があるのだったら、それを有効に使うべきでしょ?』
???「知らねぇよ!検索するのにだって限度があるわっ!」
ウレアパディー『つい一年前、”エンデュミオンの奇跡”の陰で暗躍していた組織があったわ』
ウレアパディー『それが私達”天上より来たる神々の門”……なんて、言ったものの』
ウレアパディー『”ブラフマーアストラを使ってみたい”なんて、バカな理由で命を賭けた人達だったわ』
???「……話にゃ聞いてる。何でも学園都市のスペースデブリを利用すんだったよなぁ?」
ウレアパディー『そう。空から降って来る残骸を、でしょ?』
???「空――!?」
80:以下、
ウレアパディー『私は見た。邪悪を滅ぼす英雄の剣を』
ウレアパディー『私は見た。魔王に打込む勇者の剣を』
ウレアパディー『私は見た。空から降り注ぐ青冷めた光の柱、そして――』
ウレアパディー『――そこから降り注ぐ、”剣”は流星だった……!』
???「テメェ――『万軍英雄』を流星雨だと解釈しやがったのか……ッ!?」
ウレアパディー『”ブラフマーアストラ”の起動条件は揃ったでしょ』
ウレアパディー『魔術師同士の戦いへ手を出すつもりはないけれど、あなたは私の同朋を傷付けた』
ウレアパディー『だからこれは彼らの怒りを代弁しているに過ぎない……なんて、言ってはみたのだけれど』
ウレアパディー『……結局の所、妹に泣き付かれた、なんて言えやしないわ』
ウレアパディー『あ、皆には内緒よ?』
???「――ッザてんじゃねぇぞ!そんな、そんなご都合主義が通る訳がねぇ!通して良い訳がねぇだろうがよ!」
???「『ブラフマーアストラ』だぁ?ンな大技、流れ星見ましたーハイ使いますー的なテンションでホイホイ撃てる筈ねーだろ!」
ウレアパディー『そうね。流れ星を”確認”するのにだって、数日の儀式魔術を必要とするわね』
ウレアパディー『でも”夜が明ける時には必ず流星雨が降る”のを、予測していたのであれば、前以て準備するのは造作もないでしょ』
???「だからっつって――」
ウレアパディー『ごめんなさい。そうやって”時間稼ぎ”したい気持ちは理解出来るわ』
ウレアパディー『君はきっとこう考えているのよ――”ブラフマーアストラの起動時間はどれぐらいだろう?そう長くはない筈だ”って』
ウレアパディー『そうね、確かにアストラが矢を放てる時間はほんの僅か……ま、アクティブにして、受け付け時間は多少あるけれど』
ウレアパディー『少なくとも既に終わってしまっているのよ』
???『だったら――』
ウレアパディー『けど、ごめんなさいね。あなたの思い通りは行かないわ。何故ならば――』
81:以下、
ウレアパディー『――”私はもう矢を放った”のだから』
???「………………あぁ?」
ウレアパディー『ブラフマーの弓はどこに居ようと何人居ようと、それが狙った相手であれば”全て”射貫く』
ウレアパディー『”そこに居る”君だけじゃなく、”全ての”君を』
ウレアパディー『それはきっと”アガシックレゴート”という魂の記録から、神々が書き給うた書物にも例外ではないでしょうね』
ウレアパディー『そして”龍脈”の記憶からすら抹消されてしまば、何をどうやっても”この”世界へ干渉出来ない』
???「な、なァァァァァァァァァァァァァァァッ――!?」
ウレアパディー『君はもう、この世界から存在ごと消えるの。じゃ――と、最後に一つだけ。妹の新しいお友達から伝言があるわ』
???「そいつか!そいつが俺を殺しやがるのかっ!?」
ウレアパディー『”わたしの辞書にあなたたちの存在はなかったんだよ――つまり”』
ウレアパディー『”――あなたって存在が、ウソ、なんだよね?”』
――――――――――ザシュッ!!!
???「か――――――――はっ……………………」 ドサッ
82:以下、
――学園都市某所
老いた聖堂騎士「――と、無事鳴護アリサは帰還し、悪しき神は退けたようだ」
老いた聖堂騎士「テンプルナイトは全員撤収させた……全員が全員、最新家電を買い込んでいったのが、堕落ではないかと思わないでもないが」
マタイ「佳きかな佳きかな。これで借りは返せた」
老いた聖堂騎士「……」
マタイ「何か問題でも?」
老いた聖堂騎士「いや――なんでもないよ、ヨーゼフ。君がそう言うのであれば、私には何も」
マタイ「不満があるようにしか見えないが?」
老いた聖堂騎士「彼(か)の売女の事は分かる。これからの時代に私達のような老人が出しゃばるのは宜しくないからな」
老いた聖堂騎士「『ゴルゴダの枷』を再び外すのにも問題はあるし、必要最低限の労力で済んだとも評価は出来る」
マタイ「だろう?」
老いた聖堂騎士「だが『ジョン=ボールの首狩り鎌(セイクリッド・デス)』を渡してしまってよかったのか?あれは確か君が――」
マタイ「――佳い、それこそ佳いのだ」
マタイ「あの鎌の出自からすれば、力なき者が振う刃であるべきなのだ。むしろそうでなければいけないのものだ」
マタイ「……今の私”達”は力を持ちすぎた。今更頼るものでもあるまいよ」
老いた聖堂騎士「私はてっきり、あの女狐に渡すものとばかり思っていたが」
マタイ「……この歳になって『色ボケした』と後ろ指を挿されたくもない、私はね」
老いた聖堂騎士「では、帰るとしよう。この街は少々居心地が悪い」
マタイ「ふむ?科学の街は嫌いかね?」
老いた聖堂騎士「そういう訳ではない、ないのだが――」
少女「あ、あのっ!すいませんっ!超すいませんがっ!」
老いた聖堂騎士「……」
マタイ「何かねお嬢さん。年寄り二人が珍しいかな?」
少女「その、ですね、もしかしたら超違うかも知れませんが――」
マタイ「ふむ」
少女「――俳優のイアン=マクダーミ○さんとクリストファー=リ○さんじゃないですかっ!?」
マタイ「……ふむ?」
老いた聖堂騎士「……これだよ、ヨーゼフ」
83:以下、
少女「超よかったらサイン下さいっ!ダメだったら超握手でも構いませんがっ!」
老いた聖堂騎士「……先に戻る」 スッ
少女「あっ!?」
マタイ「……すまないね、お嬢さん。私の相棒は気が短くて困る」
マタイ「お詫びと言ってはなんだが、この老人で佳ければ握手でもしようか」
少女「あ、ありがとうございます!……あの、超聞いてもいいですか?」
マタイ「年齢は秘密だよ。女性関係については『お互いに清い交際だった』とだけ」
少女「あはは、超そうじゃないですよ。そうじゃなくって――」
少女「――クリストファーさん、亡くなった、って超聞いたんですけど?――もしかして!」
マタイ「しーっ!……それ以上言っちゃいけない、どこかでヘルシングが聞いているかも知れないだろう?」
少女「……それじゃ、やっぱり!」
マタイ「あまり長く生きても怪しまれるし、そろそろ頃合いなんじゃないかな?」
少女「そっか……よかった……」
マタイ「……内緒だよ?」
少女「ありがとうございましたっ!わたし、超一生に記念にしますからっ!」
タッタッタッタッタッ……
老いた聖堂騎士「――おい、貴様。何を吹き込んだ?」 スッ
マタイ「佳い佳い。子供に夢を持たせるのも大人の仕事であるな」
老いた聖堂騎士「夢とホラ話は違うだろうに」
マタイ「私は嘘など一つも言っていないよ。何一つ事実を話していないだけだ」
老いた聖堂騎士「……というか、だな。彼はギリシア星教団から目をつけられていなかったか?」
老いた聖堂騎士「ともすれば”本物”として、今もどこかで生きているかも知れないが……」
マタイ「好きだったろう、彼の映画は」
老いた聖堂騎士「……あぁ。もう一度新作を見てみたい所だが……」
マタイ「どう、だろうね。それはきっと彼の気分次第ではあるだろうが……」
マタイ「……例え姿を消したとして、彼は銀幕の中に生き続ける。その魂と共に」
マタイ「……」
マタイ「……そうだな、永遠などこうやって簡単に手に入るものなのだよ」
マタイ「魔術などに頼らなくても、科学などに依存せずとも、な」
84:以下、
幼女A「……」 ジーッ
幼女B「……」 ジーッ
マタイ「おや?どうしたかね、迷子にでも――」
幼女A「にゃあ!シスの暗黒○がどうしてこんに所にいるのだっ!?」
幼女B「しかもドゥークー伯○までセットで豪華だよねってミサカはミサカは戦慄を隠せないし!」
マタイ・老いた聖堂騎士「「……」」
幼女A「が、学園都市では悪い事なんかさせないのだ!だって浜面は強い心を持っ――」
幼女A「……」
幼女A「……わ、わたしが頑張るし!にゃあ!」
幼女B「なにおー!それならあの人だってフォー○の暗黒面になんか捕われ――」
幼女B「……」
幼女B「……ひゅーひゅー、ってミサカはミサカは誤魔化すために口笛を吹いてみたり!」
老いた聖堂騎士「(……どうするんだヨーゼフ。これはプラハの春よりも厳しいぞ!)」
マタイ「(考えるな、感じるんだ!さすれば自ずと道は啓かれよう……!)」
老いた聖堂騎士「(貴様は困った時にはすぐそれだ!『流れで誤魔化そう!』としか言ってないからな!)」
幼女A「――だがしぁかしっ!正義をアイする力は誰にだってあるんだっ!つまり――」
幼女B「――このミサカ達にもフォースの力はある!とミサカはミサカは言ってみたり!」
老いた聖堂騎士「……師よ、如何致しましょうや?」
マタイ「――フゥハハハハハハーッ!笑止!その程度のフォースで我らが暗黒のフォースへ立ち向かうなど片腹痛いわ!」
マタイ「まだまだ力の弱いフォースなど恐るるに足りぬ――だが、しかし!」
マタイ「もしも汝らが毎日毎日早寝早起き、しっかり勉強して友達とも仲良く家族を大切にして好き嫌いなく食事をするようであれば!」
マタイ「何年か後には我が覇道の妨げになる可能性は否めないがな!」
幼女A「にゃあ!?それってホントなのか!?グリーンピース食べればフォースが強くなるのか!?」
幼女B「ミサカの嫌いなセ口リにそんな秘密があったとは!ってミサカはミサカは驚愕してみたり!」
マタイ「……くくく、出来るものならばやってみるが佳いわ!」
幼女A「にゃあ!」
幼女B「うんっ!ミサカはミサカはやるぞーって!」
85:以下、
マタイ「それではさらばだ、小さなジェダ○よ!いつしか汝らが敵として相見舞えんのを楽しみしておるぞ!」
マタイ「だがしかしフォ○スの暗黒面はどこにだって口を開けて待っている!」
マタイ「例えば歯磨きしなかったり、お手伝いをしない悪い子とかが落ちるのだ!」
幼女A・B「「――っ!?」」
マタイ「フハハハハハハハハハハーーーーーーーーっ!!!」 ダッ
……
老いた聖堂騎士「……おい、『教会を大切にしよう』を入れておかないと、立場的に拙い気がするんだが……?」
マタイ「……余裕などあるまいよ」
老いた聖堂騎士「まぁいいが――おい!」
マタイ「なんだね。今度は」
小萌「あのー?もしたからなんですけども、そちらにいらっしゃるのは――」
老いた聖堂騎士「……まただ。また幼き少女が、だ」
マタイ「ならばするしかあるまい。道化を演じさせられるのも、演じるのも同じ事――」
マタイ「――それもまた、宿命、か」
86:以下、
――某日 学園都市XX学区 スクランブル交差点
ペーペーペー、ペーペペポー、ペーペペ、ペーペペ、ペペペペポー……
街頭テレビ(レポーター)『――ARISAさん。凱旋記念ライブおめでとう御座いますー!』
街頭テレビ(レポーター)『前売りは一時間で完売、追加席も直ぐになくなる程の人気でしたが、それについては何かありますかねー?』
鳴護『あ、いえ、特には』
街頭テレビ(レポーター)『……』
鳴護『――じゃないです、ありましたっ!』
鳴護『ファンの皆さんにはいつもありがとうございます。わたしの応援に来てくれてる方達から元気を貰っています(※棒読み)』
街灯テレビ(レポーター)『……えーーーっと、はい。ありがとうございます。では次に――』
人工音声『信号が赤に変わります。ご注意下さい』
上条「……相変わらず天然をお見舞いしてやがんなー」
上条(俺は交差点にあるビルのスクリーンに映されてる動画を見ていた。以前のように)
上条(以前、とは言ってもあの日は10月8日。あの異様に長い日からまだ数日しか経ってはいない)
上条(なんかこう、あれだよな?たった一日、時間的には0秒未満の間にどんだけ居たのかって話だ)
上条(まず『常夜(ディストピア)』では体感で2日、コント夢の中もカウントへ入れると更にプラスして2日)
上条(冥界下り……階段下りマラソンは一日だとして……アリサの見た夢は大体一週間ぐらい?)
上条(そうするとトータルで12日前後か……随分頑張った!頑張ったよ俺!)
上条「……」
上条(だがしかし……貰ったのはシャットアウラの素敵なボディブローだけ……!)
上条(ライブを妨害したようにしか見えなかったかもだけど!理不過ぎる!)
上条(確かにまぁ、いつもの『敵の魔術の攻撃なんだ!』とネタが被っていたのは認める。認めるが……)
上条「……」
上条(……あれから、俺達がどうなったのか?世界はどう変わったのか?と、言えば――)
上条(――結論から言えば、何も変わっちゃいない)
87:以下、
上条(アリサがセレーネを説得し、またこの世界は動き始めた。それも以前と寸分の狂いもなく)
上条(停止していた時間を見たのは極々少数。人類でも10人に満たないんじゃないですかー、とはレッサーの弁だが)
上条(地球は相変わらず太陽の周りを回っているし、月もまた同じく)
上条(俺はシャットアウラに殴られて即入院、てか検査入院)
上条(アリサは凱旋ライブを見事に”誤魔化し”、『新たなる光』は見届けた後に姿を消した、らしい)
上条(マタイさんも別れの言葉も一つなく居なくなっちまった)
上条(……ネットで調べたら、前教皇猊下はずっと”ローマで公務中”だったらしく、来日したのも無かった事になっている)
上条(三文小説の夢オチのように、文字通り『夢』だった訳で――)
上条(――俺達以外には”そう”なんだろう)
上条(夢を見ている時には、夢が夢だとは疑わない。疑えば夢は覚めてしまうから)
上条(そして覚めた後に夢を憶えている事も少ない。所詮、夢は夢だ)
上条「……」
上条(繰り返すが世界は何も変わってはいない。変わりようはなかった)
上条(世界のどこかでは誰かが死に、そして生きる)
上条(絶望に希望を見出して立ち上げる人もいれば、希望へ絶望を”期待”して深淵を覗き込む奴も居る……)
上条(『幻想が現実を絞め殺そうとしている』……と、言われれば真っ向からは否定しにくい)
上条(あん時、終わってた方がいいんじゃねぇかなって――あー、いやいや、なんかネガティブになっちまってんな)
上条「……」
88:以下、
上条(……何か、時間を持て余した俺はフラフラと街へ出て来ていた。誰か知り合いと会えねぇかなー、みたいな期待を持って)
上条(……ま、そういう時に限って誰とも会わないのは、ある種のお約束と言えなくもないか)
上条(そんな訳で、俺は止めどなく街頭テレビを眺めていたら、そこへ映ったのはアリサの姿だった)
上条(たった数日とは言え、声を聞いていなかったのは寂しく思う……あぁそれは勿論、レッサー達にも言える事だが)
上条(アホみたいに濃密な時間を過ごした俺達は、なんかもう知り合いとか友達とか、そんな言葉じゃ表現しにくい気もする。まぁ、いいや)
上条(てかアリサ――ARISAのインタビュー生放送なんだろう。アリサさんの天然っぷりが相変わらず炸裂している……!)
上条(タレント的には”素”というのが新鮮らしく、弱小の個人事務所でも結構お仕事があるんだとか)
上条(そのお仕事が食レポだったり、イメージビデオだったり、本人の望むものではないらしいんだが……)
上条(ま、まぁ?前よりは遠慮しない性格になったっぽいし、イヤならイヤだとはっきり言うだろうし)
上条「……」
89:以下、
上条(……てかレッサーが口走ってたっけー……アリサはスポンジ派かー……そうかー……)
上条(そういや夢ん中でおかしいと思ったんだよ!ほら、タオルかける、っつーか干す棒みたいなのあるよな?)
上条(正式名称知んないけどさ、ユニットバスとかで棒吊してあって、そこへタオルやスポンジ掛けて乾燥させるー、みたいなの)
上条(あそこにかかってたのが俺の小汚いタオルとアリサのタオル……なーんか端っこの方に白いスポンジが引っかかってたんだよ)
上条(最初、『あれ?バスタブ洗う時用のスポンジ?』って思ってたんだが、別に聞くような事じゃないし、ボロが出るのもアレだしでスルーしたんだが)
上条(家事手伝うようになったら、『あ、当麻君。バスタブのスポンジはベランダにあるから』って、あぁそれじゃこっちのスポンジ何なの?みたいな)
上条「……」
上条(それがっ!あの白くて柔らかそうなスポンジがっ!より正確にスポンジを絹100%のネットで覆った肌に優しそうなのがだ!)
上条(なんかこう良い匂いがするなー、とかバスタブに浸かりながら毎日毎日思ってたんだよ……それがッ!)
上条(あの、素晴らしいたゆんたゆんをスポンジで……ッ!!!)
上条「……」
上条(……止そう。幾ら何でも知り合いに失礼すぎる。そして俺は頭が残念すぎるわ――と)
上条(つーかまだ数日かぁ。何が長い時間が経ってる気がするんだよなぁ)
上条(あん時は確かバードウェイからの電話がかかってきたんだよ、うん)
チャーチャーチャチャー、チャチャチャー……
上条(そうそう、こんな感じ――)
上条「……」
90:以下、
チャーチャーチャチャー、チャチャチャー……
上条(出たくねぇっ!超々出たくねぇなっ!)
上条(着メロ、ダースベーダ○のテーマに設定しやがったのはどこのどいつだっ!?面白カッコいいけどもだ!)
上条(つーか誰?まさかマジでバードウェイじゃないよね?戻って来たつもりなのに、世にも奇○な世界に帰って来たとかねぇよな?)
上条(あー……液晶に出てる名前は――『上条刀夜』?父さん?なんでまた?)
上条(いや、だったら出るけどさ。だって安全だもの)
上条(つーか父さんの書類、レッサーさんがパチったままで返してねぇよ。そっちの話か……?) ピッ
上条「『――もしもし?上条ですけど?』」
刀夜『あー、もしもし上条で御座います、いつもお世話になっております』
上条「『父さん、営業トークになってんだけど』」
刀夜『当麻か?今、ちょっと時間大丈夫かな、話があるんだけどさ』
上条「『あーダイジョブダイジョブ、俺も今ヒマ持て余して――ん?』」
刀夜『どうかしたかい?忙しいんだったら、後から掛け直すよ?』
上条「『いやぁ――携帯がなんか重いんだよ、スッゲー』」
刀夜『当麻はガラケーだったっけ?折角学園都市に居るんだから、最新式の探せばいいのに』
上条「『……色々あって直ぐ壊すからなぁー……てか、異様に重いな。なんかストラップについてる?』」
上条「『ケータイクリーナー?それにしちゃやたらと重いし、人肌だし――』」
マーリン「……」 チラッ
上条「『……』」
刀夜『とうまー?どうしたんだい、とうまー?もしもーし?』
91:以下、
上条「『あっゴメンっ父さんっ!今ちょっと野暮用が出来たからっ切るなっ!』」
刀夜『ちょま――』 ピッ
上条「――で、何やってんですかマーリンさん?」
マーリン「『ワイはマーリン!ブリテンいちの魔術師やで!』」
上条「ぬいぐるみのフリしてんじゃねぇよ。つーか触ってもないのに勝手に喋るか!」
マーリン「いやんっばかんっ!ワイには心に決めたお人がおるのに触るやなんてっ!」
上条「おっと手が滑った『右手』でタッチ」 モフモフッ
マーリン「ぐあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」 パキイィィンッ……!
上条「……」
マーリン サラサラサラサラッ……
上条「え、なに?マジで効いたのかっ!?ええぇっ!?」
上条「や、でも『常夜』ん時はもふもふしても効かなかったじゃんかっ!」
マーリン「……」
上条「……」
上条「えっと……ゴミ箱――」
???「待ぃよ?なんぼなんでもその態度は失礼ちゃうのん、んん?」
???「ワイもレッサー達にイジられて大概やけど、まずゴメンナサイすんのが先ちゃうか?あぁん?」
上条「マーリンの声……?どこから――」
上条「――って千切れた方の毛糸の残骸から……?」
マーリン(???)「まいどっ!おおきにっ!」
上条「一回り小さくなった!?つーか死んでねーじゃん!?効いてなかったのかよっ!」
マーリン「や、効いてた効いてた。やけどその程度で『魔術師の中の魔術師』を倒そう言うんは百年早いわっ!」
上条「じゃ、もう一回」
マーリン「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおぉぉぉっ!?」
上条「いや、しないけどさ」
マーリン「何で!?こんだけ振っといてテンドン無視するのは鬼の子ぉの仕業やんっ!?」
92:以下、
上条「知らん知らん。いいから、つーか何でお前俺のケータイクリーナーになってんの?」
マーリン「お前やのぉて、ま・あ・り・んっ!って呼んで!」
上条「……まーりん」
マーリン「誰がマーリンやねん!そんなホイホイ女の子の名前呼んだにらアカンよっ!」
上条「……あぁ面倒臭ぇ!今ならレッサー達の気持ちがよぉぉぉぉっく分かる……っ!」
マーリン「や、必要やん?こう、人生にウェットなジョークみたいなんは?」
上条「……路上でぬいぐるみ相手に一人芝居してるイタイ人って思われる前に何とかして欲しかったぜ!賢者名乗るんだったら特にな!」
上条「見て見ろ!既に俺の周りにはニヤニヤしながら笑ってる口リっ子以外には誰も居ないぜ!早足で消えてったから!」
マーリン「まぁまぁ気にせんと。ハゲよるよ?」
上条「どっかにゴミ箱……あ、コンビニでいいか」
マーリン「マーリン捨てるの良くないと思いますぅ!だってほら、分別的にゴミ箱じゃ扱ってへんし!」
上条「あ、それじゃどっかに置き忘れれば良くね?俺ってうっかりさんだからなー、仕方がない仕方がない」
マーリン「ヒドっ!?発想が悪オチしてるやんかっ!」
マーリン「てーか生き物飼うんやったらな、最期まで面倒見ましょうってワイは教えた筈やでっ!恥を知りぃよ――」
マーリン「――ってワイ教えてへんやないかーーーい!ルネッサーーーーーンスッ!」
上条 フキフキ
マーリン「あの……上条はん?なんやツッコんでくれへんと、オチてへんから次のチャプター行けへんのよ?分こぉ?」
マーリン「ちゅーか無言でワイの筐体使ぉてケータイ拭かれると、なんやモヤモヤするっちゅーか、な?」
上条「いいから、要件を、さっさと、言え!」
マーリン「あ、その言い方ベイロープに似とぉわ」
上条「……ベイロープはこんなストレスをいつも抱えていたのか――!」
マーリン「……あの子ぉはレッサー達の指導もせんとアカンし、大変やよね?」
上条「元凶が言うな!つーかあんなポジティブな変態ども育てたのはお前の仕業じゃねーか!?」
マーリン「否定はせんけど……ま、でも、代々の王様ってあんな感じよ?いやマジでマジで」
93:以下、
マーリン「そもそも頭良かったらガリアからの独立とか考えへんし、ランスロットも放置せぇへんやんか?」
上条「……マーリンのオリジナルが言うと説得力かある、のか?」
マーリン「まー、大概の英雄っちゅーんはどっか抜けてへんとアカンのよ。大望があって、立ち上がるだけの意志以外には何も要らんし」
マーリン「力なんてぇのはワイらみたいな、お節介な連中が出しゃばればええんよ」
上条「つーかな、マーリンさん生きてたのか?レッサー達と話した感じじゃ、死んだっぽい扱いになってたけど」
マーリン「あー、あの体は死んだ――ちゅーよりか、内蔵した魔力使い果たして崩れたわ」
マーリン「流石に魔神相手にこの体でどうこうすんのが間違いやっとぉ……ま、でも?レッサー達、残機増やしてたやん?」
上条「残機?」
マーリン「見とったやん。ほら、プチプチィって千切って」
上条「あー……そういえば千切られたら増えるとかなんとか言ってた――」
上条「――ってアレ、ネタじゃなかったのかよ!?」
マーリン「うん、そう――あ、口調忘れてるなー」
上条「うん?何か言ったか?」
マーリン「何も言うてへんよ?――てかレッサー言うて無かったっけ?『マーリンは霊装か龍脈の切れっ端』みたいなの」
上条「それも聞いた気がするが……なんか、モヤッとするな。正体が分からないってのは」
マーリン「んむぅ……ま、上条はんにはウチの可愛いアホの子ぉ達が世話になっとぉし、スジ通さなアカンかぁ」
上条「無理にとは言わない。てか、誰がどこで聞いてるかも分からねぇんだから」
マーリン「あぁそれは心配要らへんよ。さっきから人払いの結界を、ちょっとだけ強くしとぉの張っとぉわ」
上条「いや効いてねぇだろ、ヤブ魔術師。あっちに一人居るっつーの」
マーリン「ちゅーかな、ワイの中の姿知っとぉのて、オリジン・アーサーも含めて誰もおらへん」
上条「はい?」
94:以下、
マーリン「当たり前やんか。誰にどんな魔術かけられるか分からんし、身内やっても裏切れるかも知れんのよ」
マーリン「やったら誰も最初から信用せぇへんと、こうやって使い魔使役させんのがええやんな?」
上条「って事は、”これ”」
マーリン「この筐体は霊装やね。やから無理も利くし、下手な事では滅ぼされへんのよ」
上条「俺が触って、壊れる壊れないのジャッジは?」
マーリン「『常夜』が発動してる時には、ちょいちょいっと魔力盗ませて貰ぉてたわ」
マーリン「この街はちょぉっとマナが薄ぅて、近くに魔術師でも居らんと自立行動は出来んのよ」
上条「あぁ、だからさっきから動かないのな……んー」
マーリン「何よ?言いたい事があったら聞こぉで?」
上条「……お前、それ仲間信用してないって事じゃねぇのかな、ってさ」
マーリン「……あぁ、それ言われると辛いなぁ。ワイも全然気にしてへん訳じゃないんよ」
マーリン「堪忍な?それがワイ――ブリテンを護る魔術師の役目であり、王様と交わした約束でもあるんよ」
マーリン「あの子ぉらは最悪の最悪、ワイが居れば復活出来るけど、ワイはそうはいかへんからな」
上条「……納得行かねぇな、それ」
マーリン「……」
上条「つまりアレだろ?お前はレッサーみたいな子達を戦場へ送って、お前自身はどっか安全な場所から眺めてるだけ」
上条「ゲームで良くある代理戦争じゃあるまいし、そんな事……ッ!」
マーリン「あー、それはちゃうちゃう。ちゃうちゃうちゃうねんよ?ちゃうちゃうやで?」
上条「意味が分からんわ!」
マーリン「んー、そやんなぁ。どう話したもんか……」
マーリン「――あ、エエ事思い付いたっ!」
クタッ
95:以下、
マーリン「……」
上条「……マーリン?どうした?」
上条「もしもし?もしもーし?……切りやがった、のか?」
上条「……」
上条「……よし、それじゃコンビニに捨て、もとい忘れて来よ――」
ギュッ
上条「あん?」
上条(ぐったりしたマーリンの体をどこに捨てようか、と思っていたら)
上条(後から軽い衝撃と、温かい誰かが密着して、俺の胸の前で両手を回してきた)
上条(……その手は小さく、まだ子供のもの――つーかオンブしている格好だが……?)
???「――ワイやってな、ワイの子ぉを戦さ場へ送るぅんは好きとちゃうんよ?」
上条「……マーリン?」
上条(マーリンの声がするのは、クテっとなったぬいぐるみではなく。もっと後――)
上条(俺に背負われているらしい、女の子の口から発せられた)
上条「お前、それが――」
マーリン「あ、振り向いたらアカンよ?そうなったら責任取らんといかなくなるよって」
マーリン「――ね、”おにーさん”?」
上条「この声、どっかで――」
マーリン「落とし物、役に立ちましたか?」
上条「お前……ライブ会場の外で、ケミカルライト渡してくれた女の子かっ!?」
マーリン「みんなにはヒミツやで?」
上条「もしかして――レッサー達に何かあったら、助けられるように、か?」
マーリン「……あぁそれは誤解や、上条はん。ワイは――というか、ワイらにはそないな自由もないんよ」
上条「意味が……分からねぇんだが」
96:以下、
マーリン「あー……そやんなぁ。オティヌス居るやん?下乳魔神の?」
上条「そのオティヌスは知らないが、世界の敵になってる魔神なら知ってる。つーか『右手』切られたばかりだ」
マーリン「そうなん?切られた”ばかり”で合っとぉ?」
上条「合ってる……よ?」
マーリン「……ま、その話は本題と違ぉし触れへんけども、オティヌスの『50%の制約』っておかしいと思わへんかった?」
上条「あぁ、よくは理解出来てねぉんだけど、何やったって50%の確率で失敗する、みたいなのか」
マーリン「それだけやないよ。正しくは『50%で自身へ還ってくる』んよ」
マーリン「もしただ成功確率が50%だけやっとぉ、二回同じ事を繰り返せばエエし、最悪成功するまで何回もやれば済む話や」
マーリン「なのにそれをしない、出来ない言ぅんは、自分に跳ね返って来よぉ」
上条「それじゃ、俺の右手を切り飛ばした時、可能性としてはオティヌスの右手が切り飛ばされるかも知れなかったのか?」
マーリン「やんね。やから即死系の術式は出来ひんし、手ぇ出そうにも中々上手く行かへんのやけどもぉ――」
マーリン「『なんでコイツ、こんな面倒ぉな制約付けとぉ?』みたいなん、思わへん?」
上条「あー……言われてみればそうだよなぁ。その制約があるから、奴は世界を滅ぼしてないんだっけか」
マーリン「そもそも”そんな呪いはオリジナルであるオーディンには無い”のに、おかしな話やなぁ?んん?」
マーリン「……ま、でも難しい話とちゃうんよ。至極単純な話や」
マーリン「時に上条はん、”Ship in a bottle”って知っとぉ?」
上条「知らない、かな」
マーリン「日本語やと……ああっと、ボトルシップ、で合っとぉか?」
上条「そっちは知ってる。ワインみたいな空の酒瓶の中に、船の模型を入れて飾るんだろ?」
マーリン「それや、それそれ。ちなみに作り方は?」
上条「あぁ、『瓶の口よりも大きい船の模型をどうやって入れたんだろう不思議!?』みたいな、リアクションはしねーぞ」
上条「あれ確か、ボトルの口からピンセットで模型の部品を入れて、中で組み立てるんだよな」
マーリン「やんね。要はそれと同じなんよ」
上条「どれと?」
97:以下、
マーリン「『普通に接したらこの世界は壊れてしまう、だから力は50%の確率を負う』って制約がピンセットみたいなもんやね」
マーリン「そうでもせぇへんと、あんだけ大きい力を無尽蔵に振るえとぉたら、世界が幾つあったって足りへんよ」
マーリン「やから『よし!相手殺そぉか!』って力放ったら、半分の確立で自分が死ぬっちゅう”呪い”をな」
上条「……何となくは分かった、気がする。ただその、気になってんのが一つ」
マーリン「何?」
上条「制約制約つってるが、それは”何”なんだ?誰に付けられたんだ?」
上条「学園都市でオッレルスから聞いたんだけどさ。魔術を極めると魔神になるっていうじゃん?」
上条「それは何となく分かるんだよ。中世の錬金術師や、魔術師が求め続けてきたのは『神へと至る手段』だっつーのは」
マーリン「日本人にはよぉ難しい概念やねんけどなー。ほら、大八洲(おおやしま)には神が溢れとぉし?」
上条「……うんまぁ、出雲から電気街まで色んな所に居るな!」
マーリン「そこら辺を注意して『右席』を見よれば、また違ぉ解釈も出来る筈や」
上条「魔術を極めた結果、行くべき道を突っ切って、更に踏み込んだ先――それが『50%の確率』ってのは、おかしい気がする……」
上条「階段を登るように、もしくは奈落へ転げ落ちるように力を付けていくんだったら、そのどこかで妥協したりはしなかったのか?」
マーリン「誰や、っちゅう訳ではないんやけど……まぁ、自然の摂理みたいなもん?」
マーリン「科学サイドでも言うやん?『人間がフルパワーで動いたら、靱帯・筋肉・骨格がバッキバキになるさかい、常に手加減しとぉ』て話」
マーリン「それと同じで、ワイらも望む望まん限らず、どうやっても制約は受けよぉ」
上条「って事は、つまり。”こっち”のもふもふは、お前にとっての”ピンセット”か?」
マーリン「そうやんね。ワイにとってはそれが制約……ま、呪いみたいなもんや」
上条「……昔からな。不思議には思ってたんだよ」
マーリン「ん?何を?」
上条「三国志で諸葛孔明って有名な軍師が居るんだよ」
マーリン「三国志の名前の由来になった、国を三つ立てて拮抗さそぉとしたお人やんね」
上条「『コイツ別に軍師にならなくても、劉備押しのけて君主になっちまった方が話早くね?』」
マーリン「それは……まぁ、うん、なんちゅーかな、ぶち壊し的な発想やけど!」
上条「同じく。アーサー王伝説の魔術師マーリンも、チートに近い能力を持ち、つーか物語によってはアーサー食ってるレベルで」
上条「それがまさかマーリンは活躍しちゃいけなかったのか……?」
98:以下、
マーリン「……あぁ、それは間違ってへん。へんけども……違ぉとぉよ」
マーリン「別にワイは力を出し惜しみしとぉ訳や無いし、どの王様にも全身全霊で仕えとぉ。それはアーサー王の名前にも誓ぉよ」
マーリン「それにオリジンもそうなんやけど……子供の頃から預かっとぅ子を、可愛くないと思わん親はおらへんやろ?」
マーリン「ただの素人を一端の魔術師まで育て上げるのに情が移らへん程、ワイは狂ってへんよ……”まだ”」
上条「……ごめん」
マーリン「それに『マーリンの最期』は”最愛の女性に塔の中へ幽閉されて死ぬ”っちゅー運命がおぅて」
マーリン「”最愛の女性”――つまりワイの娘達に替ぉて、『Reverse Endymion(エンデュミオンの逆さ塔)』へ行く覚悟は出来とぉ」
上条「……」
マーリン「やってレッサー、ベイロープ、フ口リス、ランシス……イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランド」
マーリン「ワイがこのマーリンを名乗るよりもずっとずっと前、『蜂蜜酒の女王(ミード)』として君臨しとぉてた頃から――」
マーリン「――アルビオンで産まれたんは全員ワイの子ぉや。可愛い可愛い、ワイの娘達やで」
マーリン「それは多分、魔神セレーネが全ての命の”妣(はは)”であったのと同じよぉにな?」
上条「……マーリンと名乗る”前”?」
マーリン「レディの過去の詮索すんのは野暮天焼きやで、上条はん……ただ、ま」
マーリン「ヒントをあげるとすれば、マタイはんも面白い事言っとぉ。確か『世界が滅びた過去は無い』やったっけ?」
上条「あぁ、だから『位相世界』はただの神話に過ぎないし、魔神も降臨した事が無いって」
マーリン「それはな。おるんよ、お節介焼きな連中が」
上条「……何?」
マーリン「この世界を壊そうとする魔神、オティヌス以外にも存在しせぇへんって誰が決めとぉ?そして何を知っとぉ?」
上条「それじゃ――まさか!?」
99:以下、
マーリン「……あぁ、それは間違ってへん。へんけども……違ぉとぉよ」
マーリン「別にワイは力を出し惜しみしとぉ訳や無いし、どの王様にも全身全霊で仕えとぉ。それはアーサー王の名前にも誓ぉよ」
マーリン「それにオリジンもそうなんやけど……子供の頃から預かっとぅ子を、可愛くないと思わん親はおらへんやろ?」
マーリン「ただの素人を一端の魔術師まで育て上げるのに情が移らへん程、ワイは狂ってへんよ……”まだ”」
上条「……ごめん」
マーリン「それに『マーリンの最期』は”最愛の女性に塔の中へ幽閉されて死ぬ”っちゅー運命がおぅて」
マーリン「”最愛の女性”――つまりワイの娘達に替ぉて、『Reverse Endymion(エンデュミオンの逆さ塔)』へ行く覚悟は出来とぉ」
上条「……」
マーリン「やってレッサー、ベイロープ、フ口リス、ランシス……イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランド」
マーリン「ワイがこのマーリンを名乗るよりもずっとずっと前、『蜂蜜酒の女王(ミード)』として君臨しとぉてた頃から――」
マーリン「――アルビオンで産まれたんは全員ワイの子ぉや。可愛い可愛い、ワイの娘達やで」
マーリン「それは多分、魔神セレーネが全ての命の”妣(はは)”であったのと同じよぉにな?」
上条「……マーリンと名乗る”前”?」
マーリン「レディの過去の詮索すんのは野暮天焼きやで、上条はん……ただ、ま」
マーリン「ヒントをあげるとすれば、マタイはんも面白い事言っとぉ。確か『世界が滅びた過去は無い』やったっけ?」
上条「あぁ、だから『位相世界』はただの神話に過ぎないし、魔神も降臨した事が無いって」
マーリン「それはな。おるんよ、お節介焼きな連中が」
上条「……何?」
マーリン「この世界を壊そうとする魔神、オティヌス以外にも存在しせぇへんって誰が決めとぉ?そして何を知っとぉ?」
上条「それじゃ――まさか!?」
100:以下、
マーリン「この世界は何度も何度も、悪い神さんの手ぇによって滅ぼされかけとぉわ」
マーリン「三千世界を統べる暴虐の魔神、星辰の彼方から来た邪神、時には自然発生した嵐の神も居ぉたし」
マーリン「ここ大八洲でも……天に天津甕星、地に素戔嗚、海の彼方に名も無き異形の神」
マーリン「どの時代にも魔神や、魔神に近い性質を”持ってしもぉた”連中がな。その性質そのままに悪さしよぉ」
マーリン「……でも、そうなる度に、人間は全て討ち倒して来たんよ」
マーリン「――そう、ワイらの手ぇを借りて、な」
上条「だったらお前――じゃない、あなたは……?」
マーリン「でもワイにはワイの誇りがあるん。この世界、人間だけでよぉ作らなあかん。それに手ぇ出すのはルール違反やで」
マーリン「……残酷なように聞こえるかもやけど、もしワイらが全て解決しとぉたら、それはきっと種としての終わりと同じや」
マーリン「『カーゴ・カルト』の一種に”フィリップ王配信仰”っちゅーんがあるんよ」
上条「カーゴ……?貨物信仰?貨物車信仰――って、レッサーが大分前に言ってたような……?」
マーリン「んー……日本ならマレビト信仰、ワイらで言えばプレスター=ジョンやよ」
マーリン「大体11世紀終わり頃、度重なるクルセイドが失敗に終わり、オスマントルコの脅威が十字教へ迫って来とぉた時や」
マーリン「東方三賢者の末裔にして、極東にあるとされた十字教の王、プレスターがいつか現れ、クルセイドを参戦するよってー、みたいな信仰やね」
上条「よく分からんが……」
マーリン「で、時は下って20世紀。連合軍がとある南の島で基地を作ろう、っちゅー話になって」
マーリン「原住民の助けも借りとぉ、港やら滑走路やらは特に軋轢も起こさず完成しとぉた」
マーリン「ちゅーのも、連合軍は島の原住民へ対し、持ってた物資やらを分けてすんなり了解を得とぉ。ま、これはエエやん」
マーリン「……ただなぁ、問題になっとぉのがこの後。原住民がなぁ……」
上条「話の流れからすると、連合軍へ攻撃した?」
マーリン「いんや逆。崇拝しよった」
上条「……はぁ?」
101:以下、
マーリン「なんや、元々の信仰の下地はあったらしゅうてな?こう『遠い所から我々の神さんが来ぉて繁栄させてくれよぉ』的な?」
マーリン「やから……まぁ、そのな?飛行機のメス作り始めよったんよ。いやマジで」
上条「……はい?」
マーリン「何でも連合軍の使ぉてる飛行機はオスなんやて。やから飛行機のメスを滑走路に置いておけば、また来てくれる――」
マーリン「そして『自分達に物資をもたらしてくれる』っちゅー、な?」
上条「笑えない話だな……」
マーリン「や、まぁその程度なら笑って済ますのもエエんやけど……原住民の人ら、今まで自分らが作ってきた文化を捨て始めよぉた」
マーリン「貨幣代わりだったら獣の歯を捨て、農耕や漁を止め、育ててきたブタやニワトリをさっさと捌いて食いよぉ」
マーリン「過去の文化を全否定して、作り始めたのが藁で作ぉたメスの飛行機モドキ、滑走路モドキ」
マーリン「他にも木で作ぉたヘッドホンやラジオにライフル銃。あ、あと入れ墨で神が作ぉてる名前を刻むのが流行っとぉな」
マーリン「その名前は『USA』」
上条「うわぁ……」
マーリン「今の例は極端やー……ちゅーてもなぁ、もし仮に神さんが居たとして、ホイホイ言う事聞いとぉたら、人類は終わりよぉな」
マーリン「狂ぉたセレーネのように、世界はただ静かに滅ぼぉわ」
上条「……」
マーリン「……ワイに出来る事なんてなんもあらへんよ。こうして、ほんの少ぉし手ぇ貸すぐらいが精々やし、それに……」
マーリン「……ワイの娘がなんぼ可愛い言ぅても、こうやって抱き締める事も出来ひん。側に居て名乗る事すら許されへん」
マーリン「傷ついて、傷ついて、傷つくのを黙って見てるしか……」
マーリン「……母親として失格やん、な」
上条「……」
マーリン「……何も言ぉてくれへんの?なんや、凹んでる女が居ったら慰めんのがマナーやで」
上条「……いや、アリサん時もそうだったんだが、ここで安請け合いするような事は言いたくない」
102:以下、
上条「そもそも俺は何も分かってはないから。世界の事とか、様々な事を」
上条「旅の間中、色々な話を聞いたけれど……それもきっと間違いではないんだろう。現実の一つなのは間違いない」
上条「でも、俺にとってはその殆どが遠い国の遠い話……嫌な言い方をすれば、”他人事”かも、しれない」
マーリン「上条はんは悪ないよ……そぉいうもんやで、人は」
上条「――でも、けれども、だ」
上条「だから自分の目で見る事にする。自分の耳で聞く事にする」
マーリン「……?」
上条「この世界が、幻想が現実を絞め殺しに来ている――そう、俺の知り合いは言ってた。俺も納得はした」
上条「でも、それが本当かどうか、俺はまだ自分の目で見た訳じゃない。事実を確かめたのでもない」
上条「だから――あぁ、だから」
上条「取り敢えずは”知ろう”と思う。何が正しくて、何が間違っていて……どっちも正しいのか、間違ってるかも知れないし」
上条「そうして知った上、もしくは調べながらも、俺は――」
上条「――俺”達”は――」
上条「――自分の歩幅で、歩いて行こう……と思うよ」
マーリン「……そぉかぁ。やっとぉ、上条はんがどんな判断するか、楽しみにしとぉわ」
上条「……つっても、出来る事なんかちっぽけだがな」
マーリン「ええんよ、それで。何もかも自分でやろうとしたら、結局は大抵独りで死んどぉ運命にハマるわ」
マーリン「どっかのホラ吹きのように、世界相手に嘲笑い続ぇ羽目になるよって」
上条「その例えはよく分からないが――イッ!?」 チュッ
上条(背中に張り付いていた重みが消え、その瞬間、頬へ柔らかいものが触れる)
上条(残ったのは濃厚な蜂蜜の香り……?)
マーリン「――ま、上条はんの最初の判断は誰を選ぶかやねっ!」
上条(俺が持っていたもふもふが喋り出し、背後の気配は音もなく消えていくが――俺は振り返らなかった)
上条(それが……礼儀のような気がして)
103:以下、
上条「……うん?誰?誰ってどういう事だ?」
マーリン「イヤイヤっ!?上条はん、以前ここで黄昏れてた時思い出してみぃよ!」
上条「黄昏……あぁ、うん、あん時もブラブラしてたんだっけか」
マーリン「なんで?なんでブラブラしとぉ?ほら、おねえぇさんに言ぉてみぃ?ホレ?」
上条「あー……そういや、なんか悩んでたんだよなー。なんだっけかなー……?」
上条「アリサの様子がおかしかった、とか?」
マーリン「いやいやいやいやいやっ!違うやん、そうじゃないですやんっ!」
上条「……つーか何でお前が俺の悩み知ってんだよ」
マーリン「何を今更……見とぉたからに決まっとぉ」
上条「見てた?どこを?」
マーリン「ウェイトリィ兄弟倒しーの、レッサーとベンチで腰掛けぇーの」
上条「ありましたねー、そんなの」
マーリン「ぶっちゃけそん時にコクられとぉよね?」
上条「……ありましたねー、そんなの」
マーリン「ちなみに逃げよぉ思ぉても無駄やで?堪忍しぃよ?」
上条「そ、その心は?」
マーリン「うん、今日はお疲れ会開こぉちゅー話になっとぉんよ」
上条「……あ、あの?俺そのお話聞いていないんですけど……?」
マーリン「あーうん、心配せぇへんといてよ!そこはバッチリ、このっマーリンさんに手落ちはないんよっ!」
上条「そ、そうか?」
マーリン「全員ここの交差点に集まれっちゅー手配しといたんよ、うん」
上条「よく分かったなー……じゃねぇよ、俺のストラップに変態(生物学的な意味で)してたお陰だろ!」
マーリン「や、さかいっ!ここで一体誰ルートへ入るんかっ!決めて貰おうやないのっ!」
上条「……」
マーリン「お、どぉしたん?顔色悪いで?」
上条「あ、ごめん!俺ちょっと塾の時間だから早く帰らないと!」
マーリン「うぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーいっ!みんなーーーっこっちこっちーーーーーーーーーーーっ!」
上条「黙れ変態生物っ!俺から逃げ場を奪うなっ!」
104:以下、
マーリン「……くくく、こないな展開になると思ぉてたわ!片腹痛いでこれしかしっ!」
上条「なぁ、素に戻って聞きたいんだけどさ。俺ってそんなに信用ないの?」
マーリン「や、ワイもね?別にそこまではー、みたいなの言ぉたよ?レッサー達に言ぉたんやけどもね?」
マーリン「上条はん、女性関係に関しては、更正前のジャン=バルジャン並に……うんっ」
上条「微妙に表現をボカしてくれてありがとう!その事実は俺が受け止めるには重すぎるからなっ!」
ラシンス「……あれ、時間的に端折られるんだけど……一回では更正しなかった……」
ベイロープ「……てか、往来で先生と話していると、その……」
上条「……分かってる。あぁ、分かってるさ!」
フ口リス「ビョーキ持ちの人みたいに見えるジャン?」
上条「分かってるから言うなよぉ!一応は人払いされてるんだし!」
レッサー「あ、もう切れてますよ。じゃなかったらランシスがアンアン言ってるでしょう」
ランシス「……ふっ」
上条「何で勝ち誇るのか意味が分からない……多分、意味は無いんだろうけど」
上条「……ていうか、皆とも久しぶりだな。元気だった?」
レッサー「お陰様でまぁ何とかやっていますよー。てか怪我らしい怪我はなかったですし」
上条(そう答えるレッサーの髪の色は元へ戻っていた)
上条(……ただ、少しだけ金色のメッシュ部分が広がっているような……?)
レッサー「気になるんだったら、どうぞ手にとって確かめて下さいなっ!さあさあさあっ!おっ気軽っにっ!」
上条「ねぇレッサーさん?今俺ちょっとしんみりしてたよね?ちょっとナイーブな雰囲気出してたじゃんか?」
上条「なんかこう、『この子達は自らを犠牲にしながらも戦っていくんだな』的な余韻に浸るシーンだよね?」
上条「だっつーのにテメェはどーして胸突き出してんだ?あん?」
105:以下、
レッサー「え?お○ぱい凝視してませんでしたか?」
上条「残念ながら今日は見てなかった!つーかどんだけお○ぱい好きだと思われてんだよ俺っ!?」
全員(-1)「えっ?」
上条「この外道共が!テメェらの血は名前を言ってみろ!」
ベイロープ「色々ミックスされてるみたいだけど……」
ラシンス「予想以上に生態バレしてて混乱してるとみた……」
フ口リス「や、でもホラ、さ?ジャパニーズ見るジャン?つーか見てたジャン?ワタシらを?」
上条「見て――ない、けども!ここはオトナだから話を合わせて見て事にしておくけど!オトナだからねっ!」
フ口リス「視線に気づかない訳がねーよ、的な。ウン?」
ベイロープ「男と違って――ってのはあんま使いたくないけど、見られ”慣れてる”分だけ、女の方が視線に敏感なのよね」
上条「……待ってくれ!違うんだ!これはきっとアレがあーしてコレがこーしたから、それなんだ!」
マーリン「もはや良い訳も出来ひん時点で詰どぉよ」
レッサー「てかお好きですよね?」
上条「大好きさっ!そりゃ大好きだけどもだ!」
上条「――てかアリサさんは?まだ来てないみたいだけど!」
レッサー「その超絶強引な話題転換で誤魔化されると思ってる所は、”Too too Bad(残念)”ですが……」
レッサー「ま、少しだけ待てば来ると思いますよ」
上条「え?でもホラ、テレビで中継やってるし?」
レッサー「中継、ですか?」
上条「ほら、見てみろって」
街頭テレビ(レポーター)『――成程!流石はディフェンディングチャンピオン、貫禄が伺えますね!』
上条「ちょっと目を離した隙に凄い話が展開されてんな!何となくメシ関係の話だとは分かるが!」
レッサー「あれはあれで必要ですからねぇ。文字通り美味しい商売ですし」
106:以下、
上条「……あぁなんか違和感あるなーっと思ったら、食う量、元へ戻ってんのな」
レッサー「何のお話で?」
上条「夢ん中でのアリサの話、つーか設定?家事全般が得意で、料理も上手くて小食っつー感じだった」
フ口リス「我に返ったら、『あ゛あああああぁぁぁぁぁっ!!!』ってシャウトする感じじゃネ?」
ランシス「触れないであげる優しさ……」
レッサー「いえっ!むしろここは延々イジッて差し上げるのが芸人的な意味での優しさかと!」
ベイロープ「それ、絶対違う。ていうかあなたとアリサは同じカテゴリじゃなかった」
レッサー「なんと!?エ口可愛いとコンセプトにして来た私がっ!?」
上条「お前はただエ口イだけだ……て、まだインタビュー終わってねぇな」
レッサー「いや、ですからね上条さん?さっき頂いたメールに拠れば、それはとっくの――」
街頭テレビ(レポーター)『では最後の質問になりますが――ズバリ!』
街頭テレビ(レポーター)『ARISAさんには気になるお相手とかいらっしゃらないのでしょうかっ!?』
街頭テレビ(レポーター)『ファンも聞きたがってると思いますよ!ぜ。是非っ!お返事を――
マネージャー『――はい、と言う訳で会見は終わりになります。本日はありがとうございま――』
鳴護『……あ、ごめんなさい。その質問待ってました、実は』
街頭テレビ(レポーター)『――はい?』
マネージャー『………………ARISAさん?――っ!?中継停めろ!カメラもだ!』
鳴護『当麻君っ!上条当麻君っ!聞いてますか、聞いてますよねっていうか聞いて下さいっ!』
レッサー・ベイロープ・フ口リス・ランシス「「「「……」」」」 ジーーーーーーーーーーッ
上条「………………俺?」
マーリン「あ、堪忍な。ワイちょっとコンビニ行っとぉから、続けて続けて?他意はないんやけど」
上条「自立移動不可能じゃ……あ、ふわふわ飛んでる」
鳴護『えっと……はい、その、色々、考えたんだけどね。その――』
107:以下、
鳴護『上条当麻君大好きですっ!あたしと結婚を前提にお付き合いして下さいッ!!!』
108:以下、
上条「――――――――へ?」
四人「……………………」
マネージャー『言いやがった!?つーか自分がリーダーに殺されますから!?』
鳴護『と、ごめなんさいっ柴崎さんっ!お姉ちゃんには”わたし”から言うからっ大丈夫!……多分!きっと!』
マネージャー『誰が言ったって殺さ――』
プツッ
街頭テレビ(司会者)『――はい、と言う訳ですね。先程の爆弾発言を投下したARISAさんでしたー』
街頭テレビ(司会者)『ARISAさんの言ってた、トーマクンとは一体誰の事なんですか?さぁー続報が待たれま――』
上条「――あー、ごめんな?俺確か父さんから呼び出しがかかって――」 ギュッ
上条「はにをふるんですかへいろーふさん?おれのほっぺがひたいんれすけど?」
ベイロープ「んー……何となく?」
上条「なんとなくなってなんらっ!?なんと――おぅ?」 ギュッ、ギュギュッ
上条「ふろりふはんとらんひすはんも、どおしておれをつねるんですか?つーかむっひゃいたいんれすけど……?」
フ口リス「あー……アレだぜ?何となーく?」
ランシス「……右に同じ」
上条「ひや、れすからね――あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!?」 ギュゥゥッ!
上条「れんいんでひっひゃったらいたいわっ!?つーかなにひやがるっ!?」
レッサー「私に理由を問われるのであれば、やはり『何となく』としかお答え出来ませんがね」
上条「――って離せっ!つーか理不尽過ぎんだろーがよおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
鳴護「……あのぅ、何やってるの、かな……?」
109:以下、
上条「アリサえもんっ!?」
鳴護「や、、やあっボクアリサえもん――っていうか語呂が悪いよっ!」
レッサー「一瞬ノッたアリサさんには敬意を表しますが、メッチャ似てませんでした」
上条「てかお前何やってんだよっ!?生放送でやらかしてくれやがなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
上条「つーか中継じゃなかったのかよっ!?……ハッ!?テレポート……ッ!?」
レッサー「テンパって良い感じに錯乱してらっしゃるようなんで、私の方からお伝えします。録画ですよ、あれ」
鳴護「ていうかそうじゃなかったら、お疲れ様会、あたしだけのけ者になると思うんだけど。だけどー?」
上条「そ、そうですよねっ!みんな仲間だもんなっ!よーし、それじゃっ行こうか!」
レッサー「――の、前に”ちょっと”いいでしょうか。ちょっとだけ」
レッサー「直ぐ、終わりますから。えぇホント、”直ぐ”に」
上条「……はい」
レッサー「あー、一応確認しておきますけど……その、私達、告白したじゃないですか?」
鳴護「……うん」
レッサー「アリサさんと私――つーか、関係ない顔してバックレようとしてやがりますけども!他の三人だって同じでしょーに!」
ベイロープ「レッサー……その、モノには言い方ってあるのだわ」
レッサー「違うってんなら、殴り合いましょうか?私はこんな事で嘘を吐かせるような人間じゃありませんよ」
レッサー「――という訳で『どう』でしょうか?」
上条「あー……うん、二人の気持ちは嬉しい。素直にそこはありがとう」
上条「俺なんか――つったら怒られるかもだけど、うん、本当に」
フ口リス「あのーワタシらは……?」
上条「忘れてない……し、だ!その、えーっと――」
上条「――はっきり言う。俺は、お前達とは付き合えない」
110:以下、
鳴護「それは……全員フラれた、のかな?それとも他に……?」
上条「って言う事でもなくって……俺は、まだ学生なんだよ。どうやってもさ」
レッサー「……なーんか体良くゴメンナサイされてる気がしますよねぇ、そのフレーズ」
上条「……俺がそんな世渡りが上手いとでも……?」
ベイロープ「これ以上ない説得力……!」
上条「なんていうか、だな。なぁなぁにしたくないって言うか、半端な気持ちで流されたくないって言うかさ?」
上条「『あ、それじゃお試しで付き合ってみようか!』みたいなのもアリだと思うし、俺も実は付き合ってみたい、ってのが本音だ」
ランシス「……じゃ、なんで?」
上条「……例えば、やっぱり付き合っちまったらさ、その、上手く行ったら最終的には、あー……」
上条「結婚を前提に!みたいな、所まで話は進むよな?重いとかキモいとか言われるかもだけど、俺はそう思う」
レッサー「出来ればそれが嬉しいですよね。つーか、しやがってください」
上条「だから、俺が仮にイギリス組と付き合うんだったら、最終的にそっちかこっちで暮らすって覚悟が必要だと思うんだよ」
上条「好きだから、愛してるから、って誤魔化していい問題じゃない。後回しにすんのも論外だ」
ベイロープ「そう、よね。『明日から科学サイドの街で暮らせ』って言われても、直ぐにどうこうは出来ないし」
フ口リス「や、ワタシは別にいいケド」
ランシス「だよねー……」
レッサー「空気読みなさいなっそこっ!珍しく上条さんが頭の中身使ってんですからっ!」
上条「一番酷い事を言ってるのはレッサーさんだからな?……ま、それはそっちの理由。次はアリサ」
鳴護「はいっ!学園都市っ、学園都市出身兼在住の鳴護アリサですっ!宜しくお願いしますっ!」
レッサー「……逞しくなりましたよねー、このアマ」
111:以下、
上条「あー……こっちは俺の都合だ。自慢じゃないけど――”バカ”なんだよ」
鳴護「え、知ってるよ?」
上条「『当然だよね?』みたいな邪鬼の無い顔で聞き返されてもな!レッサーとはまた違った嫌がらせだよ!」
上条「あーっと、アレだ。学力じゃなくって、生き方って言うのか?生き様?」
上条「……こっちも例えば、なんだが――目の前でさ、困ってる奴が居たら助けるよな?」
鳴護「それはいい事だと思うけど……?」
上条「その、誰を敵に回しても、なんだ」
鳴護「それが?」
レッサー「……あー、アリサさん。上条さんが言ってる『敵』のレベルがスゲーぜってお話なんですよ」
レッサー「私達がやったように、無償で魔神クラスの相手を出来ますか?」
鳴護「それは……出来るよ、きっと!」
レッサー「それがただの通りすがりの人であっても、命を賭けられますか?」
鳴護「それは……」
レッサー「あぁいえ、失礼。ワタシも意地悪を言ってる訳ではなくてですね、『上条当麻』って人は、”そーゆー”人なんですよ」
レッサー「もし仮に恋人になっても、彼女ほっぽり出して誰かを助けに行く――そして、最悪命を落とす」
レッサー「そんな”クソヤロー”です。要はそんな相手に耐えられますか、ってお話ですよね?」
上条「言い方がヒデぇな。間違ってはないが」
レッサー「ちなみにそのお話を私達へしない理由を聞いても?」
上条「……お前は来やがったじゃねぇか、あのロシアでさ」
上条「なんだかんだで理由付けて……きっと、オティヌス辺りとの最終決戦にも首突っ込んでくるつもりなんだろ?」
レッサー「上条さんのためではありませんよ、自惚れないで下さいな」
フ口リス「(――と、言っていますが、解説のフ口リスさん、どうでショー?)」
ランシス「(『べ、別に上条さんのためじゃないんだからねっ!』と、ネタに走らなかった……つまり!)」
ランシス「(照れてボケれなかった……なんだと思う)」
ベイロープ「(真面目にしなさい、マ・ジ・メ・にっ!)」
112:以下、
上条「……そか」
鳴護「……むー、レッサーちゃんの方が当麻君を分かってる気がするよっ」
レッサー「それは立ち位置の問題なので、お気になさらず」
上条「……つー事なんだけど、どうかな?」
鳴護「分かった、ていうか分かっちゃった、かな?」
鳴護「わたしが色々なモノを背負ってるように、当麻君も同じなんだよね。それは、理解したよ」
上条「ん」
鳴護「――でも、その上で言わせて貰うよ。当麻君こそ独りなんかじゃないんだから」
上条「と、言うと?」
鳴護「誰かとお付き合いするのは幸せな事だと思うし、逆にしなくちゃ不幸せだって事でもないと思うんだ。それはね?」
鳴護「でもね?当麻君がそうやって犠牲になる必要もないと思うんだよ、わたしは」
上条「俺が、犠牲に……?」
鳴護「……うん。当麻君のお話を聞いてると、『自分は迷惑を掛けるから、誰とも付き合えない』って聞こえる」
鳴護「間違ってはない……けど、納得も出来ないって言うか」
鳴護「『誰かを助けるために戦わないで』、なんて……言えないし、言っちゃダメだし」
上条「……ごめん。本当に、ごめん」
113:以下、
鳴護「だから――だか、ら。わたしは当麻君と一緒に解決したい、って思うよ」
鳴護「……あたしみたいに、一人で悩んでいたら答えの出ない事はあると思う。現に、当麻君になんて言葉を返したらいいのか分からなくて」
鳴護「……けど、そういう時は頼ってもいいんだよ。むしろ、頼ってくれないとやだ、っていうか」
上条「……」
鳴護「……上手く、言えないけれど、あたしは当麻君が好きだよ」
鳴護「だから、ね?一緒に考えたいって思う。解決出来る方法を探したいって」
上条「……ありがとう、アリサ」
レッサー「そう、ですよね。流石は、と言っていいのか分かりませんが、正道だとは思いますよ」
レッサー「一人一人の力なんてたかが知れてますからね、非常にいいお話でしょうなぁ」
上条「それじゃレッサーも――」
レッサー「――――――――いえ、真っ平お断りですよ。はい」
上条・鳴護「「………………はい?」」
114:以下、
レッサー「何言ってるんですかっ!何やってるんですかっそんな甘っちょろい事を!」
上条「ごめんタイム。ねぇレッサーさん俺達の話聞いてた?今ちょっといい話をしてたよな?」
レッサー「えぇ確かに。涙の枯れた私でも思わずもらい泣きしそうになる程でした!」
上条「バカにしてねぇかな、それ?」
レッサー「また上条さんの仰りたい事も分かりましたっ!ぶっちゃけ性的な意味でデキちゃったら困るからって事でしょ?分かりますっ!」
上条「ちょっと何言ってるのか分かんないですね」
鳴護「でも正解ではないけど、大体の主旨はそんな感じじゃ……?」
上条「アリサさんもシーっで、頼む?最近君もイギリス組に悪い影響を受けてるからね?」
レッサー「……まぁ、年頃の女の子の端くれやってる身としては、ですね。そのお気遣いもありがたいですよ?無責任にアレコレされるよりは、ずっと」
上条「良かった……話通じてた」
レッサー「でも――『それは上条さんの都合』ですよね?」
上条「そうだけど……それが?」
115:以下、
レッサー「あー、ウチにはですね。実は恋愛の達人が居まして」
上条「初耳過ぎるが……」
レッサー「そいつはあろう事か1000年以上前に、こう言ってやがりました」
上条「千年?つーか誰?」
ラシンス「『好きなものは好きだからしょうがない……ッ!!』」
上条「それ現代の作品っ!ランスロットは多分そんな事言ってない!行動へは移したけどもだ!」
上条「つーかまた変化球ぶん投げて来やがったな!」
レッサー「上条さんには上条さんなりの理屈がある。それは理解出来ますし、私も少なからず共感を憶えます」 ギュッ
上条「……あのぅ、レッサーさん?ものっそい力で腕を捕まれると痛いんですけど……?」
レッサー「――が、しかぁし!さんなに知ったこっちゃありません!それが魔術師というものですよっ!」
上条「勝手に魔術師を貶めるな!確かに俺が会った連中は全員そんな奴らだったけどな!」
レッサー「むしろ嫌がって下さった方が興奮します」
上条「変態だーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」
レッサー「と言う訳でレッツ既成事実!来年度からは『上条当麻の奇妙な冒険・イングランド編』が始まりますよっ!」
上条「いい話がぶち壊しじゃねぇかよぉ!なんだこれっ!これなんだっ!?」
上条「つーか何回も言ってるけどっ!お前らなんだかんだでヴァイキングの時代から成長してねぇだろオォィッ!?」
上条「何でも暴力で解決して来やがったくせに、何で21世紀になったら自由だ平和だって物わかりのいいフリしてやがるっ!?」
116:以下、
レッサー「……ふっふっふー!私は知ってますよー、上条さん!あぁ上条さん!」
上条「……何をだよ」
レッサー「嫌いに”なれる”んだったら、とっくに私の手を――私”達”を突き放してるでしょ?違いますか?」
上条「……」
レッサー「つーかむしろ嫌いになれず、ぶっちゃけ大事だからアレコレ条件を付けた――どうです?合ってますでしょ?」
レッサー「諦めて下さい。アリサさんも含めて私達を、今更突き放したり嫌いになったり――」
レッサー「――”その程度の事すら出来ないほど、入れ込んでる”んですよね?ねっ?」
上条「否定はしねぇが……」
レッサー「――と、合意も頂いた所でっ!お疲れ会へ行きましょーかっ!」
上条「……や、だから腕離して欲しい――ってアリサ?」 ギュッ
鳴護「……なーんかレッサーちゃんだけズルいと思うよっ」
上条「いやだから、ズルいとかじゃなくて、この子は残念な子だからな?主に頭と頭と頭とかがね?」
上条「っていうか両側からDに包まれるのは、なんかこう、下条さんが覚醒しそうだからっ!自制して上げて!?」
117:以下、
レッサー「――ね、アリサさん?どうです?生きてて良かったでしょ?」
鳴護「レッサーちゃん?」
レッサー「この下らねー世界であっても、まぁそれなりに楽しめるとは思うんですよ」
レッサー「泣いて笑って、ケンカしてバカやって……それが充分、何かのために戦う理由になったりもしますし」
上条「……」
鳴護「……うん、そうだね」
レッサー「――ってそう言えば、キス一回貸しでしたっけ?」
鳴護「――――――――――え?」
レッサー「よぉっし!行きなさいなランシスっ!そして上条さんはそのまま腕を放さないで下さいよっ!」
鳴護「ちょっ!?ここで!?あたし現役アイドルだし問題がありすぎるよ!?っていうか問題しかないし!」
鳴護「っていうか当麻君?当麻君はわたしの味方――」
上条 ギュッ
鳴護「当麻君がまた裏切ったよ!?」
118:以下、
上条(……と、まぁ路上で、しかもデカい交差点の真ん前で俺達は騒いでる訳だが)
上条(悪ノリするレッサーにラシンス、他人の振りをするフ口リスと頭を抱えるベイロープ)
上条(全力で抵抗して失敗するアリサ……まぁ若干一名を除いて、その顔には笑顔が浮かんでいる)
上条(アリサに言われた事も、レッサーに指摘された事も。どっちも正しい事であってだ)
上条(俺が今更、この子達の手を離せるか、って言ったら論外で。つーか考える事すらしたくない訳でさ?)
上条(今さっきまで、街をブラブラしていた時の寂寥感はどっかへ吹き飛んでしまっていた……まぁ、それが証拠っちゃ証拠か)
上条(俺達の関係性は変わるのか、それとも変わらないのか。それはまだ誰にも分からないし、誰かに言われる事でもない)
上条(……ま、いつか離れる時は来るだろう。どんなに形になるのは分からないけど)
上条(寿命が来ればそれでお終い、事故にあってもそれも同じく)
上条(生きていても生活環境や生活圏の違いで、道を分かつ事はあるんだろう。それは当たり前の話で)
上条(でも。それが当然だとしてもだ)
上条「……」
119:以下、
上条(……暇な間、俺はケータイの電子図書館から『ファウスト』って本を読んでみた)
上条(アルフレドの言い回しが気になったのもあってだが……その中で悪魔がこう嘲笑う一節がある)
上条(『”最初から無かった”と”既に失われた”の違いはなんだ?』)
上条(『どちらも無くなっちまうってんなら、結果は押し並べて同じだろう。ならば俺は永遠の虚無が好きだ』――と)
上条(あのアホも似たような事を言ったが――俺は後者を選ぶ)
上条(どんだけ頑張っても無駄になるかも知れないし、突然の悲劇が全部無しにしちまうかも知れない)
上条(でもこうして。俺の手には俺達が積み上げたものがある)
上条(まだ『愛』や『恋』とかじゃないけど、紛れもなく『信頼』には値するだろう)
上条(これは誰にも、壊す事は出来ないんだから――)
120:以下、
ランシス「……そろそろ観念しよ、うん?」
鳴護「ランシスちゃん!?こういう時ばっか早――んんんんんんんんんんんんんんんんんんーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」
レッサー「あ、舌入ってますよね!グッジョブ!」
フ口リス「どーしたコイツらのノリは……?」
ベイロープ「テンション振り切ってるだけでしょ?後で死ぬ程凹むわよ」
上条(微妙にハブられてる俺だが、はっきり言ってやったよ!そう、胸を張ってな!)
上条「あ、ごめん。誰かっ!俺のケータイで衝撃的ムービーを撮っ――」
上条「――いやだから頼むって!だから今両手が塞がって――」
上条「――違う違う!そう言う事じゃない!これはほら純粋なアレだから――」
上条「だからっ!せめて写メだけでもおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
上条(……まぁ、締まらないのもお約束か)
――エピローグ ?終?
――胎魔のオラトリオ ?完?
137:以下、
――上条家(新築) リビング
刀夜「『――とーまー?もしもーしもどうしたんだい当麻?』」
刀夜「……うん、切れてるね。どうしたんだろう?」 ピッ
詩菜「当麻さんはなんて?」
刀夜「んー?よく分からないなぁ――っと、ちょっと詰めて貰えるかな?」
???「……」
刀夜「それがねぇ、なんかパニクってたみたいだし。やっぱり学園都市でも同じ報道がされてるとか思えないよねぇ」
テレビ(司会者)『――先程、爆弾発言を投下したARISAさんでしたー』
テレビ(司会者)『ARISAさんの言ってた、トーマクンとは一体誰の事なんですか?さぁー続報が待たれますね!』
テレビ(司会者)『ファンにフルボッコだな……おっと、ダメですからねっ!絶対に暴力なんて!』
テレビ(司会者)『幾らよく訓練されたARISAちゃんファンでも!暴力はいけませんから!』
テレビ(司会者)『絶対ですからねっ!ゼ――』 プツッ
刀夜「……思いっきりリンチ的なものを示唆してるような気がするんだ……」
詩菜「ワイドショーのお話だと、まだお付き合いはされていないようですけどね……」
詩菜「……当麻さんったら、一体誰に似たのやら。ねぇ、刀夜さん?どう思いますか?」
刀夜「待とうか詩菜さん!?安易な容疑者捜しは良くないと思うよっ!私はねっ!」
詩菜「容疑者も何も、犯人は確定してると思うわ。刀夜さんってば本ッッッッ当に面白い事を言うのね?」
刀夜「詩菜さんっ瞳から光彩が消えかかってるから!?ヤンデレにならないで戻って来て下さいっ!」
詩菜「……ふぅ、当麻さんったら……」
刀夜「ま、まぁアレだよ!きっと何かの勘違いとか、誰かの身代わりになったとかじゃないかなっ!」
刀夜「そうでもないと当麻がアイドルの子に告白されるなんて、有り得ないと思うし」
詩菜「……やっぱり当麻さんは刀夜さんに似たのね、はぁ」
刀夜「……深々と溜息を吐かれても。その『分かってない』的な溜息は何?」
詩菜「女の子がね、わざわざ『好きだ』なんて冗談でも言える筈ないじゃないですか」
刀夜「そ、そう……なの?私は結構――」
詩菜「刀夜さん?」
刀夜「――世界で一番愛してますよっ詩菜さんっ!勿論当麻も一緒にねっ!」
138:以下、
詩菜「それに、ですね。本気じゃなかったらメディアを使って言いませんとも」
詩菜「それこそ『アイドル』の女の子にとっては致命的でしょう?」
刀夜「まぁ……そうだね。彼氏持ちのアイドル居なくはないし、特にARISAはシンガーよりも上手いって言われてる歌唱力が売りの子だからねぇ」
刀夜「同性のファンも多くて、そんなにダメージはないのかも知れない、かな?」
詩菜「それに『テレビを使った』のは……そうね、誰かに対する牽制かも知れませんよ?それとも宣戦布告」
刀夜「当麻が?……いやいや、まだ早いよ!」
詩菜「そうかしら?」
刀夜「当麻はをくれてやるつもりはないねっ!例え誰が相手でも!」
詩菜「刀夜さん、凄く気持ち悪いわ」
刀夜「ま、冗談……でも、ないけど。それより牽制かい?あんなに大人しそうな子が?」
詩菜「好きなものに一生懸命になるのは当たり前だし、あなたが思っているよりも女の子はずっと強かですよ」
詩菜「当麻さんにその気がなくても、別に『黙って言い分に従う』なんてルールもないでしょ?」
刀夜「……それは、うん。当麻は果報者なの、かな?」
詩菜「だって男の子は大きくなって初めて男になるけれど、女の子は生まれた時から女ですもの」
詩菜「世界をリードしてきた男性で、どんなに立派な英雄さんにも”おかあさん”が居るわ」
刀夜「言わんとする事は分からないでもないけどね」
詩菜「それに、私の場合――あの子ぐらいの年頃だと、刀夜さんのお嫁さんになるって決めていましたから、ね?」
刀夜「詩菜さん……」
詩菜「刀夜さん……」
刀夜「イングランドへ出張になって、色々と見て来たけれど、やっぱり私はここが帰るべき家だとつくづく実感したよ」
刀夜「何故ならば詩菜さん、あなたが私――僕の帰る場所だから」
詩菜「あらあら刀夜さんったら」
刀夜「その、それじゃ――」
バードウェイ(???)「――と、少し待て。いや大いに待とう、大馬鹿者の父親と天然を見事に遺伝させやがった母親よ」
139:以下、
刀夜「えっと……?」
詩菜「はい……?」
バードウェイ「『誰だっけ?』みたいな顔をするんじゃない!ずっと居ただろう!少し前にもまた席を譲ってるし!」
バードウェイ「展開自体ほぼ同じだろうが!貴様には学習能力がないのかっ!?」
刀夜「あぁうん憶えてますよお嬢さん!えっと――」
刀夜「――親戚のヌレンダちゃん?大きくなったねーオジサン元気にしてる?」
バードウェイ「キ・サ・マ・のっ!息子の将来の嫁のレイヴィニア=バードウェイだっ馬鹿者がっ!!!」
バードウェイ「ずっと居たぞ!貴様が日本へ帰って来てからもずっとだ!ずっと!」
バードウェイ「学園都市へ行こう――ってマークが言ったから仕方がなく行こうとしてたのに!貴様が、貴様が!」
バードウェイ「加齢臭臭いオヤジが加齢臭臭い家へ加齢臭い口で寄ろうと言ってたから!わ・ざ・わ・ざだっ!」
刀夜「あの、前にも言いましたが、加齢臭連呼されるのはちょっと……」
バードウェイ「あのまま直で向かっていれば!”蝕”にも間に合ったのに!全部かっ攫ってやったというのに!」
バードウェイ「『龍脈』の記憶は”同時並行する世界全て”と繋がっている以上!こう、私が華々しく解決する予定だったのに!」
バードウェイ「それが――蓋を開けてみれば、何日も拘束しやがって!?つーかそっちの女もだ!」
詩菜「あらあらまぁまぁ」
バードウェイ「随分若いしロ×コンかっ!?そういう血筋なのか、あぁっ!?」
刀夜「詩菜さんは私とそんなに変わらないんだけど……」
バードウェイ「よくやった!ある意味それでいいナイスペ×っ!」
刀夜「あれ?今×リが完全肯定されませんでしたか?規制法新しくなったのに大丈夫ですか?」
バードウェイ「とにかく!そしてともかく!貴様はさっさと対価を支払え!つーか今すぐだ!」
刀夜「対価……?」
バードウェイ「おっとここに褐色エルフさんと加齢臭男のツーショット写真がだな」
刀夜「――当麻の写真ですねっ!今お持ちしますからっ!」
刀夜「さぁどうかっそんな席ではなく上座へどうぞ!ささっ!」
詩菜「……刀夜さん?」
刀夜「いえ、違うんですよ詩菜さん?これは、ですね、この写真はですね――そう!」
刀夜「――敵の商社の攻撃なんだ!私は悪くないんです!きっとね!」
140:以下、
詩菜「えっと、レヴィニアさん?」
バードウェイ「んー?」
詩菜「当麻さんのお写真だったら、お二階の当麻さんのお部屋にありますから」
バードウェイ「そりゃどうもご親切に、レディ」
詩菜「わたしは……そう、少しウルサくするかも知れませんけど、どうかゆっくりしていってね?」
バードウェイ「あぁ気にしないでくれ給え。コピーしたら退散するし、気を遣って貰――」
詩菜「当麻さんの、小さい頃のお話に興味ないかしら?」
バードウェイ「――と、思ったんだが、折角の誘いを断る程に礼儀知らずではないさ。暫く厄介になろう」
詩菜「はい、それじゃまた”後”で」
バードウェイ「そうだな。それじゃ”後”で」
刀夜「そうだね、私も後――」
詩菜「――刀夜さぁん?」
刀夜「……バードウェイさんっ!?どうか弁護だけでも!」
バードウェイ「未遂だな」
刀夜「ほ、ほらっ!私は潔白だよっ!疚しい所なんてないし!」
バードウェイ「ただし私が止めなかったら、家族が増えていたかも知れない」
刀夜「異議あり!裁判官っこの弁護人は悪意を持っています!」
詩菜「却下ですっ☆……さ、こっちへいらして下さいな?」
刀夜「……………………はい」
――『父親からの電話』?終?
141:以下、
――『どこにでもあるようなありふれた夕の風景、そんな話』
――商店街
沈麻(さってと……今日はメシは何にすっかなー、と)
沈麻(昨日の残りは全部弁当に消えたし、冷蔵庫の中身はヴェイニッチと澪子、妃后に食われてると見た……!)
沈麻(まぁ……何人か手伝ってくれるし、量さえ買い込んじまえば特に困りはしねぇんだよー、これが)
沈麻「……」
沈麻(……なんだろう?今、『手伝ってくれるならいいじゃん!?こっちは一人でやってんだよ!』って魂の叫びが聞こえたような……?)
沈麻(親父の場合、100%自業自得ではあるんだが……母さん達が幸せそうだし、あんま強くも言ってやれないよなぁ)
沈麻(んー、まぁでもいつか殺すけどな!物理的に!)
沈麻(ていうか親父も子供の事考えろっつーかさ、あるじゃん?親は選べない、的な話?)
沈麻(どこのアフリカの王族か、シスタープリセン○か!いや知らないけどな!)
沈麻(姉妹仲荒れんだろう。常識的な考えでさ……)
沈麻「……はぁ」
アーサー「ってどうしました?一人でこの世の苦労を全て背負い込んでるような顔して?」
沈麻「あながち間違いじゃねぇけどなー……ってお前?」
アーサー「はいな、あなたの妹アッ!サーちゃんですが何か?」
沈麻「今不自然なタメが入らなかった?名前の先っちょの所に、ねぇ?」
アーサー「気のせいかと。つーか今帰りですか?珍しくお一人で買い出しですかねぇ?」
沈麻「いや、一人っつーか、お前は誰だっつーかさ」
アーサー「私らも部活上がりで、お肉屋さんのコロッケでも買い食いしよっかー、と、こっちへブラタモ○」
沈麻「日本語間違ってるよ?……ん?私”ら”?」
142:以下、
フローレンス「よっす。シズマも来たんジャン」
ランスロット「ここのコロッケは美味しい、し。メンチカツも絶品……」
ベイリン「あんまり食べるとご飯が入らなくなるわよ?」
ランスロット「ベイリンは良い……私とフローレンスは……っ!」
ベイリン「いや、だからこれは遺伝だから……」
フローレンス「それとワタシを一緒のカテゴリーにスンナ」
ランスロット「ヴォイニッチやフレイアにいつ抜かされるんじゃないかという恐怖が……!」
沈麻「……グダグダになってんなぁ、なんか」
アーサー「子沢山とママ沢山にはこういう弊害があるんですねっ!」
沈麻「俺のせいじゃない俺のせいじゃない俺のせいじゃない……!」
アーサー「父さんは割とチョロいですからねぇ。沈麻さんも確実に曰く付きの血統を受け継いでいますし」
沈麻「――はっ!?もしかしてお前らが子孫設定になってるって事は――」
沈麻「……アリサさんも、もしかしてどこかに……?」
アーサー「アリサ母さんですか?その方の娘さん、つーか私の姉は――あ、丁度そこの電気屋さんで映してますね」
沈麻「……映す?」
アーサー「そこそこ、テレビの方です」
観客(テレビ)『CHA・LI・CE!CHA・LI・CE!CHA・LI・CE!CHA・LI・CE!CHA・LI・CE!CHA・LI・CE!』
鳴護カリス(テレビ)『みーーーーーーーーーーーんなーーーーーーーーーーっ!CHALICEのライブに来てくれてアリガトーーーー!』
観客(テレビ)『オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ』
カリス(テレビ)『あたしも大好きだよーーーーーーーーーっ仙台ーーーーーーーーーーーーーっ!!!』
観客(テレビ)『オ、ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ……?』
沈麻「……なんで客席がキョドってんの?」
アーサー「学園都市ライブなのに『仙台サイコー』的なMCしたからじゃないかね?」
沈麻「天然って遺伝だったんだぁ……」
143:以下、
カリス(テレビ)『じゃ、じゃあじゃあ次の曲――』
ペーペーポー、ペーペペポー……(テレビ)
沈麻「ん?着信?――ってテレビの中からしてんな?」
カリス(テレビ)『――あ、はい、もしもしー?』
沈麻「ってお前かいっ!?ライブに集中しろや!つーかなんで持ってる!?」
アーサー「『あー、わたしわたし、あなたの可愛いアーサーちゃんですよっと』」
沈麻「そして堂々電話を掛けやがったバカがここに居た!?」
アーサー「『あ、今沈麻さん達と商店街に来てるんですけど、ご飯どうしますか?』」
アーサー「『帰って来るんでしたらリク受けますけど、どうですかね?』」
カリス(テレビ)『あー、うん。お食事には間に合わないけど、打ち上げキャンセルして帰るよ。他のタレントさんが気持ち悪いんだもん』
沈麻「お前も言葉を選べ、な?アリサさんはそこまでストレートじゃなかったんだ・ゾ☆」
カリス(テレビ)『ていうか、いいなーアーサーちゃん達、沈麻君と一緒なんだー』
アーサー「『ぶっちゃけ隣で中継見てますんで、メッセージあればカメラへどうぞ』」
カリス(テレビ)『あ、ホント?それじゃーねー――』
沈麻「オイっバカ待て!お前何言――」
カリス(テレビ)『カツ丼とソースカツ丼とカレーライスとスープカレーとオムライスとオムバーグとミートソースカツスパとチキンハンバーグに――』
沈麻・アーサー「……」
カリス(テレビ)『チャーハンとホットサンドとカツサンドとフォー丼とナポリタンとシーザーサラダと名状しがたいコーヒーゼリー(1kg)を――』
沈麻「……俺が予想していたのとはまた違ってたんだが、これはこれで大ケガしてねぇかな?ある意味放送事故?」
アーサー「まぁCHALICEファンは常々よく訓練されていると評判ですし、まぁ今更食生活が暴露された所で、えぇ多分。きっと恐らくは」
沈麻「というかやたらカツが多い気もするが……ライブで油分遣っちまったんかな」
144:以下、
アーサー「あ、ちなみに”CHALICE”は『聖杯』という意味も含まれていますし、結局落ち着く所へ落ち着いた、ってぇ意味ですな」
アーサー「……と、言う事ぁ、王様達が探し求めたものは――」
沈麻「なにそのミニ情報?親父達から聞いたの?」
カリス(テレビ)『――それじゃリクエストお願いだよっ沈麻君っ!』
沈麻「……全部か?全部俺が作るのか、これを?」
アーサー「……違いますよ、そんな訳ないじゃないですか!」
沈麻「……アーサーさぁんっ!お前手伝って――」
アーサー「ヴォイニッチさんも入れれば更に倍でしょう?ファィッ!」
沈麻「だからァァァァァァァァァァッ!俺の、俺の扱いが悪りーーーーーーーーーーーーーーーんだよっ!」
――『どこにでもあるようなありふれた夕の風景、そんな話』 ?終?
145:以下、
そして全てを嘲笑う
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そして全てを嘲笑う
――???
 また一つ、世界が終わった。いやより正しくは”これ以上の見る必要がなくなった”と、言うべきだろうか。
 地球儀のような霊装から目を上げ、隻眼の魔神は、ふぅ、と溜息を吐いた。
 世界の可能性は無限にあり、明日第四次世界大戦が起きる事もあれば、また明後日には人類滅亡が確定する事もある。
 蝶の羽ばたきでライオンが欠伸をし、さざ波が大河を遡る現象すら、ラプラスの悪魔は内包している。
 だが、そのような『突飛な世界』は滅多に起るものではない。
 仮に毎日通っている道を外れる世界があったとしよう。いつもと違う道を行けば、通った数だけ世界は分岐する――が、ここで奇妙な行動を起こすのは極めて稀であろう。
 常識的に考えて回り道、精々サボタージュするぐらいが関の山。
 ふと思い付いてマフィアの事務所へ殴り込みへ行ったり、悪い王様を倒しに行く奴は有り得ない程の確率に過ぎない。
 しかしまた、無限に広がる混沌の中では、そんなバカバカしい世界もまた存在し、その世界からまた分岐が始まる。
 ――そう、『上条当麻達が蝕月の魔神を倒した』という、有り得ない世界が。
 本来の時間軸では起こりえなかった『奇跡』が起き、有り得ない筈の他の魔神の介入を知り、慌てた時には全てが遅かった。遅すぎたのだ。
 近くにあった駒をエインヘリャルへ変え、辛うじて助言するのが精一杯。後は食い入るように経過を見入る以外に出来る事はなかった。
「………………チッ」
 全知全能では無かったのか?それともまだ何かが足りていないのか?
 世界を自在に操る術を得たというのに、どうしてこの世界は自由になりはしないのか?
 様々な焦燥が少女――少なくとも外見は――の胸を焦し、再び舌打ちでもしたい気分になる頃。
 『それ』は現れた。音を立てずに虚空へと――そう、まるで。
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「……?」
 魔神に心当たりは無い――と、いうよりも酷く不格好な屍体であった。
 それなりに整っていた容姿は見る影も無く、四肢はだらんと垂れ、一流ブランドのスーツは着崩れたままだ。
 屍体特有の腐った臭い、腐りかけの林檎に似た少し甘い匂いが鼻を突き、”これ”がまともな状態ではない、そう饒舌に物語っていた。
 それでもまだ、それだけであれば辛うじて生者か死者の区別は付かなかったであろう。
 駅のホームで寝転がっていたとしても、ただの泥酔した酔っ払いとして片付けられたかも知れない。
 けれど全てをぶち壊しにしているのは顔だった。
 両目は鋭利な何かでくり抜かれ、そのまま脳幹を貫通して後頭部へ穴を覗かせている。
 しかもその額の中央部にも同じ痕跡が刻まれており、脳髄は内部でグチャグチャにかき回されているのは必定だ。
 魔神の少女には見覚えがあった。たった今まで眺めていた世界の悪役、どこかしらから現れた魔術師の男。
 最期の最期に生き延びようとしたが、『ブラフマーアストラ』で射貫かれ、絶命した。たったそれだけの人物だ。
 働き自体はそれなりではあったが、結局負け、命を落とした。取るに足らない存在。
「――ふんっ」
 魔神が蝿を追い払うため――例えば人類最高峰の魔術師でも、同じ事をしただろうが――軽く手を振る。
 それで終わる。全てが終わる。何故ならば彼女はここの支配者だからだ。
 閉じた世界の、終わった終末の向こう側に君臨する暴君。たかだか屍体を消すのに躊躇も、容赦もありなどしなかった。
『………………く』
 だが――しかし。屍体は笑う。
148:以下、
『………………くく、クハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハっ!!!』
 全てを――魔神ですらも嘲笑う。
「貴様――”何”だ?」
『俺かい?散々言ったじゃねぇか、つーか分からなかったか?分からなかったのかよオティヌスよ!』
 屍体の両目、そして額に開いた傷跡が燃え上がり、輝きを増す――。
 それは、それこにあるのは闇の中で燃え上がる三眼――。
『何が完璧な世界だ!何が全知全能だ!よくまぁそれで神を名乗れるなぁ!?』
「……黙れ」
『たかだか男一人すら!カミやん一人の心すら折れない甘ちゃんの!一体全体どこら辺が完全な存在だというのか!』
「黙れ」
『あぁおかしい、アァオカシイ、嗚呼可笑しい。くっ、くはははははははははははははははははははははははははははははははっ』
「黙れ!」
『貴様の創った世界には既に綻びが出来て居るぞ!あっちにもそっちにも!ほら――ここにもだ!』
「……」
『秩序ある世界なんか創れっこない!破綻しない平和も、永遠の闘争なんてのも出来やしな――』
 ザシュッ。
 軽い音を立てて、屍体はなんの痕跡も残さずに消える。一寸の血痕や血臭も残さずに。
「……なんだ、アレは」
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