上条「今夜、君の元へ」 〜Cry for the MOON〜【その2】back

上条「今夜、君の元へ」 〜Cry for the MOON〜【その2】


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――『胎魔のオラトリオ アフターシナリオ”死者の書”』
156:以下、
――学校 放課後
キーンコーンカーンコーン……
上条「……」
青ピ「おんやー?どうしたんかいな、授業も終わったちゅーのに!」
上条「……お前か」
青ピ「さぁ暗く冷たい檻からボクらは解き放たれた!いざ世界が羽ばたく時がキマシタワー!」
小萌「……折角のお勉強そんな風に言われるのは心外なのですよー?」
青ピ「具体的には遊びに行きまっさ!もっと具体的にはナンパ!」
青ピ「鬱々とした時代こそボクらかリードしなくてはいけない世界に――」
上条「……」
青ピ「てぇ、どうしたんでっか?さっきから一言も喋らんと、ポンポン痛い?」
小萌「あー……言われてみれば今日は少し元気がないように見えますねー。何かありましたか?」
上条「……まぁ、あったっつーか、カマされたっていうかさ、うん」
青ピ「……そうなん?よくは分からんけど、災難やったねぇ……」
小萌「気を落としちゃダメなのですよ!頑張れば良い事があるかも知れないのです!」
上条「そう……かな?そうだよな、きっと!」
上条「前向きに!あくまでも真っ当な生き方をしていれば、報われるよな!」
青ピ「その意気だぜぃ――”とーまくん」
小萌「その通りなのですよ――”とーまくん”」
上条「……」
青ピ「あんれー?あれあれあれあれ?ここは『お前、土御門の語尾と被ってるよ!』ってツッコミする所とちゃいますのん?ん?」
小萌「ツッコミ役がツッコミを放棄しちゃダメなのです!めっ、なのですよ!」
上条「あのー……ちょ、ちょっといいかな?些細な事なんだけどさ」
157:以下、
青ピ「なんやの?」
小萌「はい?」
上条「二人とも俺の呼び方おかしくないかな?」
青ピ「え、なんですのん?何を急に言い出してますのん?」
小萌「何かおかしい所でもありましたかー?」
上条「や、なんつーかそんなにフレンドリーだったっけ?名前呼びするような?」
青ピ「ペーターのバカっ!」 ビシッ
上条「そげぶっ!?」
青ピ「ボクはそないな子ぉに育てたつもりはないよって!そんな、そんな些細な事に気ぃ遣うなんてぇな!」
上条「お前……」
小萌「ペーターちゃん関係ないのですよ。悪いのはクララちゃんであって」
上条「そう、だよな?俺がきっと気にしすぎなんだよな、うん」
上条「……悪い。なんかこう気が抜けちまったようでさ」
青ピ「ええんよ。誰やっても具合が悪い日ぐらいあるわいな」
小萌「そうなのですよー」
上条「……あぁ!」
青ピ「――で!それはともかく現役のアイドルから『とーまくん大好きっ!』って生告白されてどんな気持ちなん?」
上条「やっぱりそれかよっ!?か分かってたけどな!」
小萌「異性交遊はよくないのですけど……職員室でも『上条ちゃん、今度は大物狙いに行った!?』って騒ぎになってるのですよ」
上条「狙ってないですね?ていうか職員室でネタにされるぐらいに有名なんですか!?あえて言えば見えざる神の手みたいなねっ!」
青ピ「いやぁ、な?大体もっと早く噂されてんのに気ぃつきませんかぁ?他のクラスからも時々見て来てる奴もおるし」
上条「そっかー!だからかー!」
上条「だから朝っからずっと姫神さんと吹寄さんが俺を道端で死んでる虫を見る目なんだ!てっきりご褒美かと思った!」
小萌「それでご褒美だと思う辺り、上条ちゃんは訓練されすぎなのですよ」
158:以下、
青ピ「つーか今は何やったんよ?怒らないからボクに教えてみ、ほら?」
上条「どう聞いてもフラグにしか聞こえねぇが……まぁ別に珍しい事はしてないしなぁ」
小萌「どこからか強権が発動したらしく、いきなり語学留学の話が出た時には……先生、ビックリしちゃいましたけど」
小萌「フランスのテレビ局で、フランス人へ喧嘩売ってる上条ちゃんを見た時には心臓が止まるかと……!」
上条「あれ!?それ俺がやらかした事になってんの!?」
青ピ「ま、でもアレですやん?親友としちゃアイドルから告られて鼻が高いですよって」
上条「告白……まぁ、ありがとう」
青ピ「――だがしかし、ARISAファンとしては納得いかへんのよ。これが」
上条「お前――まさかっ!?」
青ピ「今頃気づいたんでっか、カミやん。もうこの教室は包囲されてるという事に……!」
上条「そう言えばさっきまで居た姫神達が居なくなって、他のクラスの奴らが入って来てる……まさか!?」
青ピ「……ま、無粋な事は言いっ子なしですわ。シンプルに行きましょーや」
青ピ「ARISAを――このボクらが育てたARISAとの時間を思い知るがいいカミやん!」
上条「ちょっと意味が分からないですね。お布施的な意味でかな?」
青ピ「はっきり言うわ!ARISAのたゆんたゆんをたゆんたゆんたゆんしたければ――」
青ピ「――ボクらの屍を越えて行かんかい!」
ファン一同「イーーーッ!」
上条「お前ら本音がダダ漏れになってる。あとたゆんたゆん言い過ぎでゲシュタルト崩壊しそう」
小萌「プラスして先生をそこへ加えないで下さい。純粋に歌のファンなだけですから」
上条「あ、小萌先生も?」
小萌「はい、なので本来イケナイ事なのですが、サイン的なものを頂けないかなーと思っちゃったりしたりなんかしまして」
上条「他の連中には制限無くなるからダメだけど、小萌先生だったらこっそり」
小萌「――はい、解散!いつまでも学校で騒いでるのはめー、なのですよっ!」
小萌「悪い子は先生が課題を出しちゃいますから、早く帰るのです!」
青ピ「攻で裏切りおった!?……あぁ、でもそんな小萌先生もキュートやわ……」
上条「お前はもうちょっと懲りる事を憶えるべきだと思うんだよ、いや割とマジで」
159:以下、
青ピ「な、ならこうしません?物理的な暴力はなしで!なんかこうゴールデンタイムにやってる面白くもなんともないパーティゲームみたいなので決めますし!」
上条「暴力ありだったのかよ、最初」
青ピ「ここには校内の濃いARISAファン20人が集まっとる!さぁカミやん!ボクらのファン愛を越える事が出来るか!?」
上条「ファン愛ねぇ……俺は俺でアリサと友達なんだけどな。まぁCD貰ったし……ファンでもあるか」
小萌「勝負はどうするのですかー?暴力だったら黄泉川先生を呼んで制圧してもらいますからね?」
青ピ「それはそれでご褒美ですが――古今東西ゲーーーーーーム!パチパチパチパチっ!」
上条「あぁ、この人数だったらそれが早いかもな」
青ピ「……くくく!甘い、甘いでカミやん!まるで新しいノンカ口リーコーラのように甘い考えやわ!」
上条「あれそんなに甘くねーぞ?」
青ピ「ここに残ってるのは校内から選りすぐられた猛者の集まり!ARISAの無駄知識に関しては一騎当千の強者ばかりや!」
ファン達『ぶおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!』
上条「うわぁ……」
小萌「あのぅ、学校はお勉強を優先……なの、ですよ?」
青ピ「ではお題――古今東西ゲーーーームっ!『ARISAの好きなもの、さんっハイッ!』」
パンパン
上条「カレー」
パンパン
青ピ「カツカレー」
パンパン
ファンA「シーフードカレー」
パンパン
160:以下、
?30分経過?
161:以下、
上条「……ごめん。ちょっとタイム、これ終わらなくね?千日戦争状態じゃねぇかな?」
青ピ「……言われてみれば――ARISAに死角は無かったもんね!」
上条「嫌いっつーか、お題は好きなもんだった筈だが……大体出そろったよな」
小萌「途中から先生が板書しましたけど、古今東西・和洋中全部出てるのですよ」
上条「そりゃ高校生22人が思い付く限りの食べ物上げれば、まぁ思い付く限りは大体はコンプリートするわな」
小萌「その労力をもうちょっと、出来ればお勉強にですね、その学生なんですし」
青ピ「――甘い、甘いでカミやんっ!ペプ○のストロングコー○のように甘い考えや!」
上条「いやだから、あれ別に言う程は……うん」
青ピ「例えるならば――そう!スーパーのワゴンセールの値下げ商品覗いたら、ニンニンジャ○の黄色い奴が大量に積まれとったわ!」
上条「キニンジャ○の事かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
小萌「上条ちゃん、ツッコム振りをしてボケ倒してないですかね?あってますか、それで?」
青ピ「ワイのメル友の地元にはゴールデンウィークだろうが夏休みだろうが、黄色系のヒーローしか来やしませんわ!」
上条「あー……ツッコみづらいな!」
青ピ「やっからァァァァァァァァっ!見せたるわっボクらのファン魂を!」
青ピ「ARISAファンとして!ARISAの古今東西ゲームで負ける訳にはいかへんのやで!」
上条「関西弁怪しくなってる」
青ピ「ワイは……男には結果が分かってても前に進まんといかん時があるんよ!」
小萌「一人称も変わってますねー」
ファンA「隊長……そんな、隊長だけにそんな事はさせられません!」
ファンB「そうですよ!隊長にやらせるぐらいだったら俺が!」
ファンC「何言ってんだよ!だったら俺が!」
青ピ・ファンAB「「「どうぞどうぞどうぞ」」」
ファンC「聞いてないよ!?」
上条「ねぇ帰っていいかな?俺帰りにスーパー寄んなきゃいけないんだけど」
小萌「上条ちゃんは相変わらず自活していて偉いのですよ」
上条「というかこれ事前に打ち合わせしてるよな?明らかにコント臭がプンプンするって言うかさ」
162:以下、
青ピ「さぁ、バトルはまだ終わってへんよカミやん!ボクらの男気見ぃや!」
上条「いやだからそれ神戸弁だっ――」
青ピ「――古今東西ゲーーーーーーーーーーーーームっ!お題はARISAの好きなモノっ!はいっ」
パンパン
上条「あー……パス」
青ピ「はいっカミやんアウトー!これでボクらの勝利は決まりましたやん!」
小萌「この後、誰かが答えられなければ引き分けになりますけどねー。先生的にはそっちの方がいいのですよ」
青ピ「では野郎共!生き様を見せたろやないか、さんっはいっ!」
パンパン
ファンA「……か――」
上条・小萌「か?」
ファンA「か、か、か……」
上条「何で溜める必要があんのか分かんねぇんだけど……」
ファンA「――ぐふっ!?」
上条「回答中に舌噛みやがった!?」
小萌「――と、見せかけてドクターペッパーですね」
上条「あぁうん、絵的に似てないですよねー。深い意味もありませんしー」
青ピ「オイっ!大丈夫だ!傷は急所を逸れて――」
ファンA「……あとは――」
青ピ「なんや?何が言いたいんや?」
ファンA「――たの、む」 ガクッ
青ピ「お前――お前ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
上条「(つーか小萌先生、さっきから思ってたんですけど)」
小萌「(はい?なんなのですか?)」
163:以下、
上条「(ARISA親衛隊ウチの高校支部の連中、誰も名前呼んでませんよね?)」
上条「(って事は多分、”お互いに名前は知らないけど、何となく趣味の話題で盛り上がる”程度の繋がりって事ですかね?)」
小萌「(あぁありますよね。なんかクラス違うんですけど、少し話すみたいな)」
上条「(ちなみにウチのクラスの青髪ピアスの本名ってなんて言うんですか?)」
小萌「(――しっ!上条ちゃんコントが良い所になってきてますから!)」
上条「(まさか小萌先生も把握してない疑惑が!?)」
ファンT「僕は君と一緒だ……どこまでも君と行くよ――かはっ!?」
青ピ「ファンTァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!?」
上条「呼んでやれよ、良いシーンなんだから名前ぐらいは呼んでやりなさいよ」
上条「ていうかアルファベットで20番目なら『ファン”ティ”』で良くね?」
上条「何でファン”タ”になってんの?売り場でジュース買ってってダダ捏ねてる子供みたいになってるからな?」
小萌「あと、そのファンTちゃん台詞はゲームボーイアドバン○の鉄腕アト○(※トレジャ○制作)で、ファンは号泣しそうになったのですよ!」
上条「ゲームボ○イ?なんですか、それ?」
小萌「あ、ほらっ上条ちゃん!青ピちゃんが何しようとしてるのですよ!」
上条「先生誤魔化し方超ヘタですね――っていうか名前を呼んであげて!」
青ピ「……ふっ、カミやん。勝ち誇るのはまだ早いでっせ……!」
上条「勝ってねぇよ。全員ほぼ均等に大怪我してるよ!」
青ピ「ワイは一人に見えるかも知れへん――けれど心や、心の目で見てみぃ!」
青ピ「ファンA、ファンB、ファンC……20人分の魂が耀いてる筈や!そりゃもうギラッギラに!」
上条「濁音……うん、なんか生々しいけど、お前が良いって言うんだったら別に」
青ピ「それはもうパラッパラに!」
上条「チャーハンだよね?イイ感じにご飯がほどけてる感じだよね?」
164:以下、
青ピ「……ファンの心意気!その眼に焼き付けて行かんかい!――古今東ざーーーーーーーーーーーーーーーいっ!」
青ピ「ARISAの好きなモノ――さんっはいっ!」
パンパン
青ピ「……」
上条「……あ、止まった」
小萌「あれですかね。こう、何か目に見えない葛藤的なものなのでしょうか?」
上条「いやぁ、どうでしょう?」
青ピ「――なんじゃこりゃあ!?」
上条「松田優○の殉職シーン始まったぞ」
青ピ「ボクは……こんな所で、こんな所で負けるかい……!」 プルプルッ
上条「なんだろうな。生まれたての子鹿のようなリアクションは見事なんだが、する意味が分からない」
青ピ「――ARISAのぉ、ARISAの、一、一番、好きな――モノ、はっ!」
上条「……」
青ピ「――『カミやん』や……ッ!!!」
上条「……うん?」
小萌「あー……成程なのですよ」
上条「先生?」
青ピ「ボクは!ボクらは確かにARISAの好きなモノやないよ!つーか多分名前も憶えて貰ってもないわ!」
青ピ「握手会に婚姻届持ってった時も、ボクと同じ行動しおったんは結構おったわ!」
上条「ごめん。普通に引く」
小萌「それ以前に”何人か居た”時点で、黄泉川先生の担当になるのです……」
165:以下、
青ピ「カミやん!カミやんはARISAの一等賞になったかも知れへん!またなんかこうラッキースケベを拗らせたんは分かっとるわ!」
上条「俺の評価、散っ々だな!」
青ピ「――そやけど!ファンは!ARISAのファンは!」
青ピ「ボクらが一番や!何故なら――」
青ピ「――そう!カミやんが知らないアイドルとしてのARISAを知っとるさかいに!」
上条「どういう事?」
小萌「『ARISAのファンとして、ARISAちゃんが上条ちゃんを好きなのは認めますよー』、なのですね」
小萌「『でも彼氏彼女じゃなく、ファンとしての知識であれば上条ちゃんには負けないぞ!』と」
上条「……そっか。ありがとな」
青ピ「何を仰いますカミやん!ボクら――トモダチ、ですやんか?」 グッ
上条「そ、そうだねっ!友達、だねっ?」
キーンコーンカーンコーン……
小萌「あ、そろそろ下校の時間なのですよー」
上条「あ、はい。さよなら先生」
青ピ「まいど!……あ、そうそうカミやん、一つ頼みがあるんやけどエエかな?」
上条「おう、何?」
青ピ「同じ事務所でARISAのMCやってる黒髪ロングの子って彼氏居るん?」
上条「ダメダメじゃねぇか!つーか乗り換えるの早っ!?合理的っちゃ合理的だけどさ!」
青ピ「居なかったら電話番号聞いといてくれへん?なんやったら紹介してくれるだけでもエエし、なっ?」
上条「――はい、お疲れー」
青ピ「あ、ちょっ!待ってぇなカミや――」
パタンッ
166:以下、
――昇降口
上条「――つーかさ、お前普通に彼女作る気になんないの?」
青ピ「ボクがでっか?」
上条「土御門もお前も、社交的だし外見もまぁ普通なんだし、普通にカノジョ出来るんじゃねぇのか?」
青ピ「何を仰いますかセンセ!ボクが求めているのは恋やで?」
青ピ「彼氏彼女になるんは目的やないよ!好きな者同士がなるのが先や!」
上条「ま、そうなんだけどな」
青ピ「それでやっぱりカミやんって義妹派?それとも実妹派やったっけ?」
上条「出て来い、なぁ?まずお前は二次元から三次元へのランクアップを果そうか?」
青ピ「いつんなったらミ○さんは出て来るんかいなっ!?」
上条「落ち着け!多分この学園都市だったらそっちの方向で突き進むバカも絶対居る筈だから!」
上条「ていうかボーカロイドを三次元化させようが、歌しか歌わせないんだったら意味無いよね?!」
青ピ「そりゃ……アレですやん?そう――」
青ピ「――ボクだけのアイドルになって欲しい、的な!」
上条「言ってる事はちょっと格好良いけど、それシモだよな?つーかテメェ初○さんに何させるつもりだコノヤロー」
青ピ「イケズやでカミやん。そないにビリビリせんと」
上条「ビリビリはしてないけど――ビリビリ?ピリピリの間違いじゃね?」
青ピ「そうやろか?でもいや、ほれアレ見てみぃよ」
上条「見る?なんで?」
青ピ「やっから、アレや。アレ。校門んトコ」
上条「んー……?」
御坂 ビリビリビリビリッ
上条「スッゴイビリビリしてますよねっ!ていうか物理的にスポォアァァク(※巻き舌)させてますしね……ッ!!!」
167:以下、
青ピ「やなぁ。まるで自分の友達へ手ぇ出した悪い野郎を成敗しに来よった感じや!」
上条「的確な状況説明ありがとう。でもこれ詰んでるよね?」
青ピ「――何を仰いますやら上条はん!」
上条「舞妓さんになってんぞ」
青ピ「今こそ我らの無双の友情を見せつける時やおまへんかっ!」
上条「友情……そうだね、友情って何だろうな。世界全部敵に回しても、信じ抜く事だよな、きっと」
青ピ「この場はボクに任せて先へ行きぃや!」
上条「その心は?」
青ピ「たまにはボクにも出会いが欲しいねん」
上条「あぁうん。予想を裏切らないよねー……って、海原ん時に一回すれ違ってる筈だけど……?」
青ピ「ささっ、カミやん!銃後の守りは完璧や!」
上条「……それじゃ頼む」
青ピ「おうさっ!」
168:以下、
――学校 裏口
上条「……」
上条(――と、さっさと逃げて来ちまった訳だが。いいのかな?)
上条(御坂の用件は確実にアリサ関係だと思うが……)
上条「……良し!先送りしよう!君子、危うきに近寄らずって言うじゃない!」
マタイ「そうだな。それは正しい」
上条「だよなっ!別に逃げてる訳じゃないぞ!」
マタイ「だが危うきの定義に拠るのではないのかね?逃げ先にはもっと大きな落とし穴が口を開けて待っているやも知れぬ」
上条「分かってさ!つーか俺の人生そんなんばっかだ、よ……?」
マタイ「こんばんは、で、合っているかね?」
上条「あ、はい。どうも」
マタイ「息災そうで佳きかな。ほんの数日前の話だというのに、な」
上条「あー、確かに。何か数ヶ月も戦ってた気がするよなー……って、マタイさん帰っちまったんじゃ?」
マタイ「最初から私はここに居ないさ。気軽に出歩けなくて困るよ」
上条「良かったらウチ来ます?今だったらレッサー達もまだこっちへ居るみたいですし、アリサも呼んで打ち上げ出来ると思いますよ?」
マタイ「厚意には礼を言おう……しかし、そう諸手を挙げて感謝されると遣りづらくもある」
上条「何が?」
マタイ「これからしようとしている事が、だ」
上条「はい――か……ッ!?」
老いた聖堂騎士「……」
マタイ「……では、行こうか」
169:以下、
――倉庫?
上条「――はっ……と?」
マタイ「申し訳ないのだが、場所を移させて貰ったよ。少しばかり内々の話をしなくてはいけないからね」
上条「……ここは?」
上条(LEDの蛍光灯――矛盾している言い方だが――が規則的に並ぶ天上、積み上げられたダンボール……つか見覚えのあるカップメンの箱だ)
上条(どっかのスーパーかコンビニの倉庫?しかも俺は縛られてもないし、なんで?)
マタイ「心配は要らない。君の家の直ぐ近くまで運ばせて貰った」
上条「聞きたい事はごまんとあるんだが」
マタイ「――の、前に私の話から聞いてくれ給え。それが回答となる」
上条(目が慣れてくると……マタイさんの背後に、これまたじーちゃんが立ってるのが分かる……)
上条(誰だろう……?なんかドラキュラっぽい格好してるが……)
マタイ「結論から言えば『死人が徘徊している』らしい。分かるかね?死人だよ、死人」
上条「お、おぉ?セレーネの話は終わったんじゃ?」
マタイ「一柱は眠り、一柱は去り、一柱は失せ、一柱は種を撒く」
マタイ「魔神が世界から手を引いた事で、暫しの猶予を得て訳だが、それで全てが元通りになった訳ではなかった、という話だ」
上条「死人……具体的にはどういう?」
マタイ「分からん。全く分かってはおらぬ。こちらのリィ卿が微弱なマナを感じ取り、追跡に入った瞬間に消えた」
マタイ「従って害があるのもかも、また土へと還ったのかも分からず仕舞いだ」
上条「――分かった。それを俺達が調べればいいんだな?」
マタイ「こういう件に関しては”だけ”は察しが良くて佳い」
上条「随分な言い方ですよねっ!……てか、アレだろ?学園都市で好き勝手出来ねぇとか、アウェイだから動きづらいとか、そういう話なんだよな」
マタイ「然り。だが、私の経験上あまり時間を掛けない方が佳いだろうな」
上条「なんでまた?勘みたいなもんか?」
マタイ「では、なく……『抑えが効かない』んだよ」
上条「……はい?」
170:以下、
マタイ「イギリス清教がそうであるように、ローマ正教もまた一枚岩とは行かぬ。多様性があるのは佳い事ではある」
マタイ「が、科学サイドとの『開戦』を望む者も居り、正直持て余しているのだよ」
上条「あー……」
マタイ「よって然るべくやかに、且つこちらにも納得の出来るような形で決着を望む。でないと抑えきれない」
上条「……りょーかい。なんとかやってみるよ」
マタイ「頼む。私も戦いたく――は、ない、とも言い切れないがね」
上条「いい加減自重しろ。あと年相応の生き方をしよーぜ!」
マタイ「と、言われてもな。この街には我が逆縁たる”木原幻生”が居る」
マタイ「幸い魔神討伐の戦力がほぼ無傷で残っている上、学園都市内部まで易々と来られる機会はもう無いであろう」
マタイ「この老いぼれと引き替えにあの悪魔を滅せるならば、それはそれで佳いかもしれん」
上条「確実に第四次世界大戦になるから止めて下さい!……え、だったら?」
マタイ「最悪、私が何をしなくとも『そう』なる可能性がゼロではない、という事だけを憶えていれば結構だよ」
上条「相変わらずタイトな綱渡りだよなぁ……」
マタイ「健闘を祈るよ」
上条「レッサー達の力を借りてもいいんだよな?」
マタイ「友情は佳きかな。然れどそれが友情かは不明であるか」
上条「分かってるよチクショー!頼れば頼る程、つーか借りを作れば作る程色々と断りづらくなるってな!」
マタイ「産めよ増やせよ。それもまた佳い」
183:以下、
――カラオケ店
上条「――と、いう訳なんですけども」
鳴護「『――I Really Really Really Really Really Really Really Really Really Really Really Really Like You!』」
ベイロープ「……」
上条「ですのでね、どうにも魔術的な知識に乏しい私どもと致しましては、やっぱりは餅は餅屋、みたいな感じでですね」
鳴護「『――I Really Really Really Really Really Really Really Really Really Really Really Really Like You!』」
フ口リス「……」
上条「こうお任せしたい所存で御座いまして、えぇはい」
鳴護「『――I Really Really Really Really Really Really Really Really Really Really Really Really Like You!』」
ランシス「……」
上条「……どう、でしょうか?ダメ?」
レッサー「……いやあの、上条さんの案件は理解もしましたし、私もまぁ首突っ込んでやろうとは思うんですが」
レッサー「ただその、無駄に高い歌唱力でカーリー・レイ・ジェプセンさんの新曲を熱唱しているアリサさんが気になって気になってしょーがないです」
上条「無駄言うなや。現役アイドルやってんだから」
フ口リス「てかこの歌詞と歌うタイミングに『相当溜まってんジャン』って思うよネー?」 チラッ
ベイロープ「たくましくなったのは良い事よ。それがきっと届いていないだけで」 チラチラッ
ランシス「……てか、気づいてない?」 チラチラチラッ
上条「おっと君達っ人を意味ありげにチラチラ見るのは止めて貰えないだろうかなっ!」
レッサー「ちなみにアリサさんがなんつってるか分かります?」
上条「あ、ごめん洋楽聞かないから」
レッサー「アレですなぁ、昨日テレビ見てたら着うたで告白する、みたいなCM流れてましたけど、バカが相手だと通じないんですよね」
レッサー「議論なんかもそうですが、議論される方にも一定の知性が無ければ論破されてた事に気づかないと」
上条「全くその通りだな。良い事言ったよ!」
ベイロープ「真っ正面から毒を吐かれてるのに気づ……いや、この場合は気づかない方が?」
フ口リス「天然はこれだから恐ろしい。や、ワタシは別に関係ないんだケドさ」
ラシンス「被害者友の会としては、もう少し……ね?」
184:以下、
レッサー「語学留学という名目の紐無しバンジーを敢行した挙げ句、辛うじて日常会話程度の英語ならはナントカ出来るのに」
レッサー「歌だからと敬遠してしまうのはどうかと思いますが」
上条「悪かったなチクショー!毎日聞いてるとヒアリングはどうにかなるけど、流石に歌ってるのを一回で聞き取るまでには上達しねーよ!」
レッサー「……まぁ確かに。日本人でもほっともっ○入った時、店内ソングが洋楽だったらしいんですよ」
上条「なんの小話?」
レッサー「注文終らせて、椅子に座ってぼーっとしてたら、”かかっていた曲が普通のJpopだった”時の衝撃度と言ったらもう!」
上条「老化だよ。それオッサンが『若い子の音楽』でテクノとトランス一緒くたに語ってんのと同じ事だわ」
レッサー「ちなみにアリサさんが荒れているのは『半泣きになるぐらいお姉ちゃんが怖かった』とのお話です」
上条「あー……シャットアウラさんなー」
レッサー「そりゃまー現役アイドルがですねぇ?ぶっちゃけタレントとしての生命の危機――と、本人含めて思ってたらしいんですが」
上条「”が”?」
レッサー「一部の先鋭的な、ぶっちゃけ握手会へ婚姻届を持参する層以外は、『まぁやっぱり?』的な反応だったようですよ」
上条「婚姻届……マジだったんかい!」
レッサー「昨今の流行りである『コイツ誰?』的な芸人に持って行かれるよりは、マシだと思ったんでしょうなぁ」
上条「お前妙に日本の事詳しいよね?なんの影響?」
レッサー「主にもふもふからですが何か……まぁ、ともあれ企画の主旨は理解しました。承るしかないでしょうな」
ベイロープ「学園都市側からの依頼じゃないのよね?あくまでもローマ正教ってのが引っかかるけど」
レッサー「あ、報酬は頂きますんのでご安心を!」
上条「その言い方止めろ!何を要求されるか分かったもんじゃねぇから!」
上条「……あ、なんか言ってきたら『鎌が報酬たからね!宜しくね!』ってマタイさん言ってたし!」
フ口リス「あー……アレなー。なんつーかアレだよなー」
上条「なんか微妙なん?」
フ口リス「”教皇級”が長年愛用してた霊装を、ワタシらが持って直ぐに使いこなせると?」
フ口リス「『念願の剣を手に入れたぞ!』っつーRPGじゃあるまいし、手に入れて即威力発揮出来るなんて有り得ないジャン」
ランシス「相性的にはレッサーが持つのが……だけど、『爪』よりも応用力が低いし、悩み所」
レッサー「暫くは霊装の解析待ちですけど、RPGに耐えるならば『攻撃力は高いが回避率が落ちるから使いにくい』でしょうかね」
上条「……あぁうん。ゲームと違って、俺らは攻撃が当たれば死ぬし、死ななくても戦闘不能になるもんな」
上条「だったら大きすぎる武器を振り回すよりは、コンパクトな物に絞って回避した方がいいか」
ベイロープ「セレーネの時みたいに背水の陣だったらば、まだ分かるし」
ベイロープ「他にも『相手に攻撃される前に殺せばヒャッハー!』みたいなコンセプトだったらまだしも、ロマンがあるネタ武器としか」
上条「それ、レッサーさん好きそうだよね?大好きだよね?」
185:以下、
フ口リス「あれジャン?ジョン=ボール自体が『後の無い農民のオッサン』だった訳だし、取り敢えずATKに全振りしとけ、みたいな?」
ランシス「……でもその当時は霊装じゃなく、ただの鎌だった筈だけど……?」
レッサー「誰一人として私を擁護しない事実に少し凹みつつも反論しますが、流石に私だって現実とフィクションの境は分かりますよ」
レッサー「将棋も嫌いじゃないですが、現実は往々にしてチェスですからねぇ。対応しないといけませんな」
上条「つー割にはカーテナん時、あっさりし過ぎてた気が……?」
レッサー「あの時はエ口そうな顔とエ口そうな右手を持った東洋人に追いかけられ、気が動転してましてね」
上条「そっかー、お前も大変だったよな――で、取り敢えずここで殴り合うかな?それとも表?」
レッサー「断言しますし、反省はこれっぽっちもしていませんが、あの時『騎士派』へカーテナを預けたのは間違いではないと」
上条「てか聞こうと思ってたんだが、『カーテナ』の場所をお前らが把握してたんだよな?」
レッサー「はい。正確にはもふもふがですけどね」
上条「指示されてやってたのか?」
レッサー「ではなく、話を持ちかけてきたのはキャーリサ王女殿下で、持ちかけられたのはベイロープです」
フ口リス「……ワタシはやりたくなかったんだよナー。いや今だから言うケドさ」
ベイロープ「お黙んなさいな。つーか当時からブーブー言ってたでしょうが!」
ランシス「まぁ、『騎士派』繋がりで、色々とあった……それが?」
上条「ん、あぁいや大した事じゃないんだが、計画とか全部マーリンさんがやってんのはどうかなーと」
レッサー「意外かも知れませんが、もふもふの教育は基本放任主義でしてね」
レッサー「学芸都市もそうだったように、私達の”課外活動”についてアドバイスをくれる事はあっても、あまり止められはしないですよ」
上条「全く以て意外ではないかな。むしろ好き勝手やった結果、伸び伸びと育ち過ぎちゃったよねと納得するぐらいだ」
レッサー「――まっ!締め付けがない方がよく育つとも言いますがね!」
ランシス「おい、一体ワタシのどこを見て言ってるのか、はっきりさせようじゃないか?なぁ?」
上条「まぁまぁ――で、そのマーリンさんはどこ行ったん?つーかお前らお疲れ会の後にさっさと姿を消してたみたいだし、またなんかやってんの?」
レッサー「えっと……ですね、まぁそれはそれ、これはこれと言いましょうかね」
フ口リス「折角学園都市へ来たんだから、やりたい事とかあるジャンか?」
上条「あぁ観光な。納得納得」
ランシス「いやぁ……新しいアジト作り」
上条「何やってんの!?もう一回言うけどお前ら何しやがってんの!?」
186:以下、
ベイロープ「個人的な友情はさておくとしても、ローマ正教も学園都市も信用出来たもんじやないし、いざって言う時に準備しておくのは大切よ」
上条「うん、だからな。どうしてお前らはこう発想が世紀末なの?アメリカさんにあんま強くは言えないよね?」
上条「ていうかウヤムヤにする気満々だろうけど、『ハロウィン』の件でキャーリサとアックアは服役してっからな?言っとくけどさ」
上条「そもそも俺らの旅の結論、人を信じようって結論になんなかったっけ?」
鳴護「『当麻君が好き勝手するんだったら、あたし達もいるけどいいよね?』じゃなかったけっ?」
上条「アリサさんお疲れ。熱唱すんのは個人的には嬉しいんだけど、カラオケ屋でやり過ぎるとギャラリー集まるから注意な?」
鳴護「……無理だと分かってたけど、正面からスルーされるとそれはそれで……」
上条「――と、じゃあじゃあマーリンさんもアジト探しなのかなっ!きっとそうだよねっ!」
レッサー「その勢いで押し切ろうとしてますます傷口を広げる芸風はリスペクトすらしていますが……まぁもふもふは違いましてね」
上条「放任主義も結構だが、どっかでトラブルに巻き込まれて、とか?」
レッサー「あーいえいえ、そういうんでもないんですよ。えっと……この間のお疲れ様会、私途中でお手洗いへ行きましたでしょう?」
上条「同意を求められてもな……」
レッサー「そん時、『ドリンクバー連れてってぇよ!』と宣っていたので、手を洗う所に置いて、私は用を済ませたのですが――」
上条「が?」
レッサー「戻ってみたら、こう影も形も見当たらず。えぇそれっきりと」
上条「探してあげてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
レッサー「いや大丈夫ですって!あぁ見えてたくましいですから!」
上条「扱い悪すぎんだろう!?そういや会計ん時一人居なくて、『あ、マーリン逃げやがったな』と思ったのはそれかっ!?」
上条「つーかごめんなさい先生っ!俺の早とちりでした!」
レッサー「残機も大量にあるので、本体に何かあったとしても問題ありませんし?」
上条「……いや、うん、そのな?お前らもう少し、こう、扱いをですね」
上条(旧い魔神なんだよな。セレーネと同じ地母神系だっつーのにこの扱い……惨すぎる!)
レッサー「や、それがいいヤサを見つけちゃったんですよ!まるで誰かが使っているかのようにキレイな感じの!」
上条「住んでんじゃね?ていうか少なくともこの街で所有権が決まってない所なんて無いと思うぞ」
レッサー「ですので、こう些細な問題は後回しと言いましょうか。それとも先送り?」
上条「知らん知らん。誰か迎えに行けよ、カラオケ屋さんに捨てられる前に」
187:以下、
レッサー「まぁでも死人、死人ですか。こらまた厄介ですな。つーか面倒臭い」
上条「そうなのか?」
ベイロープ「死人……と、されているタイプは大まかに分けると”ゴースト”系と”ゾンビ”系。神話別にすればもっと増えるわ」
上条「肉体を持っていないのと持ってるタイプ?」
レッサー「極めて大雑把にすればその通りです」
ベイロープ「元々はギリシャ神話の女神が繋いだ『あの世』で、また甦ってきた死人も準拠するんであれば――」
鳴護「あ、次、フ口リスさんの曲です」
フ口リス「本場のアシッド・ジャズを聞かせてやるぜ!」
ランシス「いいぞー……」
上条・レッサー・ベイロープ「……」
上条「……あのぅ……真面目な話をね、してるんですけどね」
ベイロープ「あんまりね、そのあの子達は座学が好きじゃないし、うん」
レッサー「取り敢えず私が対抗して脱ぎましょうか?」
上条「誰に?誰にどんな意味で対抗すれば全裸になるの?」
ベイロープ「ともあれ、ギリシャ神話の死人だったら肉体を持ったタイプが多いし、体を壊せば事件は解決する……と、思う」
上条「ゾンビってヤツか」
ベイロープ「実際のゾンビはブゥードゥーの生ける死人の意味だし、ゴーストも昔は別の言葉が使われてたし、あくまでも便宜上ね」
レッサー「ですがしかし、これが十字教系と混じってしまえば超面倒臭ぇですかねー、これが」
上条「混じる?混線的な意味で?」
レッサー「えぇはい。セレーネの事件で魔神が日本の術式、それも日本風土記を使ってやがりましたし」
ベイロープ「そもそもで言えば魔神がクイーンズ話してた時点でおかしい。喋るならギリシャ語よね」
上条「俺には日本語に聞こえたが……まぁ、そういうもんなんだろう」
レッサー「ですので実際に異教の神がグローバル()な魔術を使っていましたし、変な思い込みは危険ですよねぇ、えぇえぇ」
上条「……その”混じる”と具体的にどんな問題が?」
ベイロープ「例えば……ギリシャ神話での冥界はタルタロス、ハーデスと呼ばれているのよ」
上条「タルタロスは知ってる。でもハーデスって神様の名前じゃなかったっけ?」
188:以下、
ベイロープ「だったのだけれど、後に冥界自体をハーデスと呼ぶようになり――っていうかタルタロスも元は巨人の名前ね」
レッサー「あんましデカいんで、他の巨人や迷惑な魔獣を押し込めてるウチに、気がつけばタルタロス=冥界の別名に」
上条「なんか居たたまれない話だな、タルタロスさんとハーデスさんに」
ベイロープ「でもこの二つはギリシャ神話だけじゃなくて、十字教の聖典にも出てるのよ。同じ『冥界』って意味の単語で」
レッサー「有名なのはゲヘナとヒンノムですが、シェオルやハーデスとも新約聖書に出て来ます」
上条「……つーことは、ナニ?もしかしたら”そっち”と混ざる可能性も……?」
レッサー「充分に有り得るでしょうなー。しかも十字教の死人って超メンドクセーんですよ」
上条「お前さっきから連呼してっけど、そんなにか?」
レッサー「えぇはい。ギリシャ神話の方はデメーテルみたいに、基本出て来ても悪さはしないですから、まぁ許せるっちゃ許せるんですが」
レッサー「ヘブライ系となると……聞いた事ありません、『レギオン』って?」
上条「あー……はいはい。あの小学生にトラウマ植え付けるポケモンボー○な」
レッサー「例えがディ・モールト不適切!ですが、そのセンス嫌いじゃありません!結婚して下さいっ!」
上条「――それはともかく、レギオンは”ゴースト”系なんだよな?」
レッサー「私のクリティカルなプロポーズが流されたっ!?」
鳴護「それが渾身だと思って……いやなんでもないよ」
ベイロープ「そうね。だから基本的に実体を持たないし、人や獣に取り憑くわ。しかも自殺まで追い込むわで、面倒なのよ」
レッサー「ゾンビならば物理的にグシャグシャボーン!と、お見舞いしてやれば簡単ですからねー」
上条「確かにそうだな……てかマタイさんの言ってた『途中で魔力が消えた』のも、誰かに取り憑いたと考えれば納得がいくか」
ベイロープ「『朝日を浴びて消えた』とか、『魔力が尽きて消えた』のも選択肢ではあるけどね」
上条「……ん?あれでもおかしくないか、この話」
レッサー「笑っちゃいますよね?、あっはっはっはー!」
上条「レッサーさんリアクション間違ってるわフライングだわで何一つ合ってないよ!ないよっ!」
189:以下、
ベイロープ「どうしたの?」
上条「うん、だからさ。十字教が余所様の神話の神様を引っ張って来たり、他の神話の世界観を持って来てんだよな」
上条「よく中二病拗らせて大人になりそこなった連中が、『十字教の悪魔は他の神話の神だったんだ!』と今更情報を垂れ流すし」
上条「だったらこの”死人”もギリシャ準拠になってゾンビ系、つーかもっとぶっちゃければ穏やかなモンになんじゃなかったのか?」
レッサー「あーそれは十字教特有の事情がありまして。てか上条さん、おかしいと思いませんでしたか?」
レッサー「『今回の件、ローマ正教がやけに好意的だな』って」
上条「……マタイさんがいい人だから……?」
ベイロープ「過去異端審問会と呼ばれていた、人類史上最悪の処刑部隊で半世紀近くトップをやった人間がなんですって?」
レッサー「前教皇さんの人柄を否定はしませんがね。あー……十字教の『神の子』の逸話ってどんだけご存じですか?」
上条「どんだけ……クリスマスに産まれたのと、『罪人へ石を投げるんだったら罪のない人がしなさい』……ぐらいかな」
レッサー「……なんかこう、嫌な所撃ち抜きますね。相変わらず」
上条「はい?」
レッサー「ま、それも含めてなんですが――復活しやがったでしょう?神の子?」
上条「あー……あったなぁ。そんな逸話も」
レッサー「キモは”そこ”でしてね」
上条「どこ?」
レッサー「『神の子は死した後にまたこの世へ復活しもうた。よって神の子はいと高きあの方の御子に相違ない』と、ここまではいいですよね?」
レッサー「”奇蹟”を起こす事により、神の子は神の子だと何よりも雄弁に証明して見せた。それはまぁ良しとしましょう」
レッサー「――ですが!ここで問題となってくるのは、その”奇蹟”の方ですよ」
上条「や、実際にやったかとどうかはともかく、他に誰にも出来ない事をやって見せたんだから、スゴイ力持ってますー、のアピールになってんじゃねぇの?」
レッサー「そこです、そこ。その『誰にも出来ない事』です」
レッサー「確かに死者蘇生は凄い――いや、『凄くなければいけなかった』と」
レッサー「『むしろ誰にでもホイホイ起こせるような”奇蹟”であってはいけない』」
レッサー「『死者の蘇生はいと高きクソッタレのみが成せる至高の業なのだ』――でしょうかね」
上条「つまり……『十字教の神様”以外”は完璧な蘇生はしちゃダメだよ』的な話か?」
190:以下、
ベイロープ「それで産まれたのがレギオンみたいな『肉を持たず、不完全な蘇生を遂げた悪霊』よ」
レッサー「また稀に肉を持ったまま黄泉帰ったとしても、話の通じないゾンビのようなパターン”で、なければいけなかった”んですね」
上条「理解はするが……納得しきれない」
レッサー「てかさっきの『罪を犯した事の無い者だけが罪人へ石を投げよ』の、話にも繋がるんですが、時々我々とのギャップに気づきませんかね」
レッサー「なんてんでしょうかね、こう、なんか妙に話や価値観がズレる的な感じで」
上条「うん、レッサーさんとは割としょっちゅう。貞操観念的な意味で」
レッサー「いやー一本取られましたね!こやつめー!」
ベイロープ「はいそこネタに走ろうとしない。終ってからにしなさい、ボケるのは」
ベイロープ「そうじゃなく。カルチャーギャップって言うか」
上条「んー……と、あるとすれば――みょーになんかこう、人権関係でアレ?って思う事はあったりする」
上条「政治的な話になっちまうってのも今更だが、死刑制度廃止にする一方、変な所で日和ったり」
レッサー「それも実は『十字教的な価値観』が根底にあったりなんかするんですよね」
レッサー「『人は人を裁く権利はない』は罪人投石云々がモロに影響してますし、死刑に関しても復活云々が実は密接に」
レッサー「所謂”審判の日”には死者が全員蘇り、神の審判を受けるとされています」
レッサー「従って『どうせいつの日か、神が裁くのであれば人が人を殺める必要はない』と」
上条「んー……分かった、気がするけど。そこまで十字教的な価値観が浸透してるモンなのか?今なら『関係ないぜ!』みたいな奴らも多くないか?」
ベイロープ「それは逆に日本人にも言いたいのだわ」
上条「俺らに?なんで?」
ベイロープ「『人は死んだら何も残らない』。『悪い事をすれば回り回って自分へ帰ってくる』。他には……」
レッサー「『神なんて居ない』も、ですよ」
上条「当たり前だろ、それは」
レッサー「うん、ですからね。『今のは完璧なぐらいにブディスト(仏教徒)の価値観』なんですよ、えぇ」
上条「……はい?」
レッサー「あなたが今まで疑いもせず、そしてまたこれからも当たり前のように持ち続けるであろう『価値観』はブディズムですよ――」
レッサー「――『私達から見れば』、そう見えると言うだけの話です」
上条「あー……なんか分かった。理解した。価値観ってのは無意識の内に”なってる”もんなんだな」
191:以下、
レッサー「積み上げた文化と言い換えても良いですがね。ま、そんな訳で」
レッサー「日本人が落とし物を交番へ持っていくのと同じように、はたまた道で迷っている人に親切にするように」
レッサー「十字教圏で生まれ育った人間達にとって、『死者の復活』なんてーのは、そりゃーもう罪深い訳でしてね」
上条「その割にハザー○とかデッドライジン○とか人気だし、そもそもゾンビ映画の発祥はそっちだったような……?」
レッサー「『禁忌に触る事が最大限の恐怖』なんですよ。むしろ禁忌が強ければ強い程に恐怖の対象でもあります」
レッサー「例えば豆腐を食べてはいけない教団の方にとって、豆腐小僧はどれだけ恐ろしい事か……ッ!!!」
上条「弩級マイナーな妖怪さんの話をされてもな……」
ベイロープ「そうね……えっと、ギャングエイジ……日本語では知らないけど、小中学生が少し悪ぶる年頃があるわよね」
上条「思春期、反抗期……あぁあと中二病か」
ベイロープ「その年頃には色々と悪ふざけ――ま、後から思い出すと叫びたくなるようなアレコレをやったり言ったりするの」
ベイロープ「その一つとして悪魔的なモノを崇めてみたり、と」
上条「どこでも症状は変わらないんだよなぁ……」
レッサー「――と、お思いでしょうが、あちらだと割と大問題へ発展します。例えばとあるバンドマンが『僕達は神の子より有名だ』と宣ったり」
上条「あー……日本じゃ、『あぁうん、そう、かもな?ガンバレよ?』と、良くも悪くもスルーされるか」
レッサー「似たように子供が頑張って反抗期カマすんですが、とあるアジア人がホームステイ先で見たのは、実に微笑ましい中二的なアレコレだったとか……」
上条「……まぁ基本タブー無ぇからな。あっても面倒臭い所を乗り越えれば、それなりに生きていけるし」
レッサー「魔術の話へ戻しますけど、ヤポンじゃゴーストの恋に落ちるのはよくある話!中には子育てするゴーストもいるじゃないですか!」
上条「そう言われると混沌としているような……?」
ベイロープ「ついでにローマ正教は”そういうモノ”の集大成みたいなもんだし。場合によっては本格的に鎮圧へ乗り出すでしょうね」
上条「どうせだったら日本型のゴーストになってほしいもんだが……取り敢えずの基本方針はなんて?」
レッサー「マタイさん方が感知したログはおありですよね?魔術師組はそこを中心にローテを組むのが妥当でしょうな」
レッサー「ウチには魔力感知のプロが居ますからねっ!」
ランシス「……ぐっ」
上条「路上でアンアン言ってる絵しか思い浮かばない……!つーかちょっと見たいぜ!」
鳴護「……当麻君、本音がダダ漏れになってるよ」
192:以下、
上条「お帰りー。つーか熱唱は終わりか」
鳴護「いやそのね、フ口リスさんが――」
フ口リス「『――Fly me to the Moon――』」
鳴護「――って独唱へモード入っちゃって」
上条「……マーリンさん、よくこいつらをまとめたよなぁ……」
ベイロープ「……あと、私もよ」
上条「うん、はいお疲れっ!」
レッサー「そこでお二人して私を生暖かい目で見るのは嬉しくないんですが――ま、その間には科学サイド組は別の仕事をして貰おうかと」
上条「魔術の役には立ちそうにないしな。いいけど具体的には何をすればいいんだ?」
レッサー「ま、そっちも地元の治安維持組織さんへ顔出して貰って、ここ数日おかしな事はなかったかを調べ貰っちゃって下さい」
レッサー「ネットの噂も良いですが、やはり一線で体張ってる方々から情報を仕入れるのがベストかと」
鳴護「白井さん、手伝ってくれるかなぁ?」
上条「……うん、きっと満面の笑みを浮かべながらやってれるよ!誰かさんのお陰でなっ――と、調べる?」
レッサー「はいな」
上条「範囲は?もしくは具体的に何を調べれば良いんだ?つーかこんカオスっぷりに拍車がかかってきた学園都市で”おかしな”っつーのも、なぁ?」
上条「つーかさつーかさ。もしなんか重大事件が起きてて、そこへ俺がノコノコ出向いてったらさ」
上条「まさにカモネギの如く、実にスムーズな流れで俺が犯人にされちまうんじゃ……?」
レッサー「――まっ!それはやっぱり地元の方でないと分からないでしょうし、お任せしますよっ!」
上条「ねぇレッサーさんどうしてキミ俺と視線を合わせないのかな?ねぇなんで?」
レッサー「――はいっ!と言う訳で各自解散っ!あ、上条さんはローマ正教から貰ったデータの転送をヨロシクっ!」
上条「えっと……アリサさん!アリサさんなら俺に付き合ってくれる筈……っ!」
鳴護「ごめんね、当麻君?嫌じゃないんだけど、門限があって」
上条「……あぁ過保護なお姉さんの」
193:以下、
フ口リス「ま、デモあんま深刻に考えなくていーと思うぜ?」
上条「お前また勝手な事言いやがって!」
フ口リス「いやマジ話さ。だって死人がやらかしてんだったら、もっと大きな事件なり事故なりになってる筈だしー?」
フ口リス「そもそも”大きな事件”だったらば、ワタシらへ任さずローマ正教が戦力で潰すっしょ?それこそ嬉々としてサ」
上条「あー……魔術師は超々個人主義だもんなー」
フ口リス「なんだったらワタシがついていっ――」 ガシッ
レッサー「――はいっと言う訳ですね!そちらはお任せしますんでねっ!」 シュタッ
ベイロープ「それじゃ、また」
ランシス「……ん」
フ口リス「ちょま――!?」
上条・鳴護「……」
上条「えっと、今不自然な連行があったよ――」
鳴護「な、なかったよ!」
上条「はい?」
鳴護「不自然な所なんてなかったもん!」
上条「お、ぉおぅ……そう、かな?」
鳴護「それよりも!当麻君はお仕事任されたんだから頑張ってねっ!」
上条「ん、あぁそうだな。取り敢えずはそっちが大事か」
207:以下、
――カラオケ店
ピンポーン
上条「どもー」
店員「っしゃいあせー。お一人ですかー?」
上条「あ、いえ違います。今日はちょっと」
店員「ぼっちですかー?」
上条「それも違ぇよ!つーか言ってる内容はさっきと同じだ!」
店員「しゃっしゃいしたー」
上条「……もう同じ日本語喋ってると思えない……!」
店員「て、あれ?お客さん、一週間ぐらい前に来なかった?ほら、女の子イッパイ連れてさ」
店員「メチャクチャルームサービス頼んだ人っしょ?俺担当だったもの」
上条「ん、あぁ多分俺達だと思う」
店員「いいよなー、あんだけたくさん居たのにどしたの?今日は一人でカラオケ――って、あぁ修羅場かなんか?」
上条「あー、違います。そうでなくって」
店員「あーいーよいーよタメで。どうせお客さん学生でしょ、俺と同じ?」
上条「俺はいいがお前はダメだろ。接客的に――ってそうじゃない。えっと、忘れ物無かったかな?」
店員「あーはいはい。そっちね、ちょっと待ってな」
上条(チャラい店員はカウンターの下から段ボール箱を取り出す)
店員「サイフじゃないんでしょ?だったらここの中に――」
客A「すいませーん。お会計いいですかー?」
店員「――ある、から。探しててな。つーか他にはないし」
上条「ありがとう、ございます」 ゴサゴソ
上条(カウンター横のスペースで段ボール箱を開け……あぁ中にはハンカチやタオル、ポーチ?やトートバッグのような物が多い)
上条(街の雑貨屋さんで売ってそうな『これ、どこ製?』の時計とか、ヘッドフォン、ケータイのストラップらしき物が雑多に詰め込まれているが……)
上条(……俺の探している”モノ”は見当たらない)
上条「(マーリンさーーーん……?居たら返事しろー……?)」 ボソッ
208:以下、
店員「――で、どう?見つかった?」
上条「いや全然っ!他には無かったんですかっ!?」
店員「他にって、忘れ物聞いてねーけどさ、お客さんケータイとかサイフじゃ無いんでしょ?だったらそこにしか入れてない筈」
上条「……そか。ちなみにケータイとサイフだったらどうなるんだ?」
店員「風紀委員か警備員へ直で渡すって規則があんだよ。誰にどう悪用されっか分かんねーし、拾ったヤツがババを引くかもしんねーし」
上条「拾ったヤツが?なんで?」
店員「『このサイフには10万円入れといた筈だ!でも何も入ってない!そうだ、拾ったヤツが盗んだんだろう!』――ってクソみてーな話がたまーに」
店員「なんつーの?当たり屋みたいな感じ?」
上条「あー……それは善意で届けた方も気が悪いわなぁ」
店員「だーかーらー間にしっかりとした連中に入って貰ってーの、トラブルを無くす訳だと」
店員「お客さんも気ぃつけた方がいいんじゃね?何か変なモノ拾って不幸を背負い込みそうな顔してっから」
上条「……インデックス、姫神、御坂妹、風斬、オルソラ、サラシ巻いたおねーさん、バードウェイ、トール……!」
店員「なんでお客さん指折り数えながら泣きそうになってんの?」
上条「……一応聞いとくけど、白いぬいぐるみ落ちなかったかな?こう、犬のような、日曜朝のファンシー系マスコットのようなカンジの」
店員「ぬいぐるみねぇ?ケータイのストラップについてるんじゃなかったら、その箱に入ってんのが全部だわな」
上条「そうか……」
店員「一週間より古いのだとあっかもしんないけど、一応見てく?
上条「いやー……いいや。ありがとう。ま、その内見つかんだろ」
店員「どう致しまして――って、あぁお客さんちょっと聞きたいんだけど、いいか?」
上条「はい?」
店員「結局、あん中の誰が彼女なの?」
上条「俺だって知りたいわコノヤロー!」
209:以下、
――風紀委員 第177支部
上条「――と、いうワケで初春さん!」
初春「は、はい?」
上条「何も言わずに機密情報を教えてくれ!」
初春「やかにお引き取り下さい。あ、出口はあちらですので」
上条「待ってくれよ!?あんまりな対応じゃないか!?」
初春「開口一番、『問答無用で職務規程を破ってほしい』と言われた私もあんまりだと思うんですが……」
上条「……じゃあ、理由話したら協力してくれる?」
初春「ご協力出来るかどうかは分かりませんが、私達風紀委員は困っている方を助けるお仕事をしていますよ」
上条「そうなの?何かこういつもいつも学園都市存続の危機レベルの事態に首突っ込んでるものとばかり」
初春「ヤダナー、ソンナコトアルワケナイジャナイデスカー」(※超棒読み)
上条「だ、だよね?時々ネットニュースで大事件が取り上げられるけど、その中で良く出る”すんごい髪飾りの風紀委員”って初春さんじゃないもんね?」
上条「あくまでも噂だけどトム=クルー○張りの映画アクションを強いられてたなんて話ないもんねっ!」
初春「――と、とにかくですね!私達風紀委員は全員がボランティアとはいえ、むしろそれ故に高い倫理を要求されますの!分かりますよねっ!?」
上条「は、はい」
初春「ですからこう安易に情報を流してはいけない――と、いう一面もあるのですが、また同時に善良な学園生の味方でもありまして!」
初春「常識的な範囲を逸脱しなければお助けするのも吝かではない、ですよ」
上条「よっ!流石はジャッジメント!外から来た人に『”ですの”ってやって!』とせがまれるだけはあるぜ!」
初春「……すいません。さっきから私の精神を削るのは止めて貰えませんでしょうか?地味に堪えるんですが」
上条「うん?俺なんか変な事言った?」
初春「ここら辺の鈍感力は佐天さんと組んで番組出来るって感心しますけど……それで、ご用件をどうぞ?」
初春「迷子の猫ちゃんの捜索や人捜しに道案内に喧嘩の仲裁、あなたの風紀委員は色々とやらされてますよー……」
上条「……あぁはい、苦労してんですね」
初春「かと思えば合体変形ロ――いや、なんでもないです。気にしないで下さい。あれはなかった事になると思いますんで」
上条「戻って来い初春さん!瞳から光彩が消えかかってるから!」
初春「あぁ失礼しました。つい」
210:以下、
上条「頼み事をしに来た俺が言うのもなんなんだけどさ、もう少しお休みや人員を増やした方がいいんじゃないかな?なんだったら俺も手伝おうか?」
初春「それだけは勘弁して下さい!?学園都市史上初のレベル5ジャッジメントが出来ちゃったらどうするんですかっ!?」
上条「犯罪減りそうじゃん?」
初春「あ、だったらいいですかねー」
上条「ごめんなさいっ!もうおフザケしないから帰って来て!」
白井「うるさいですわよ初春。一体どうしたっていう――」
上条「あ、白井さん。お邪魔してます」
白井「あら上条さん。お姉様がお探しでしたわよ?」
上条「待ってくれ違うんだよ!これはきっと敵の魔術師(レッサー)の攻撃だっ!」
白井「その、小声で仰ったレッサーさんに心当たりは御座いませんが、安心して下さいまし。黒子は突き出すつもりはありませんから」
上条「そ、そう?ビリビリにチクらない?」
白井「あ・のっ!アリサさんの熱烈な告白を見ましたら、ねぇ?」
上条「……いやだからあれは!」
白井「お姉様も意地になってる所がありますし、一度きちんと話されては如何――と、何を不思議そうな顔をされているので?」
上条「……いやー、白井とまともに喋ってんの初めてだなって思ってさ」
白井「失敬な。こう見えても正真正銘の常盤台のお嬢様ですのよ」
上条「その割には車椅子で殴りかかってきたりしてなかったか……?」
初春「白井さんは難儀な人ですが、基本的には常識人ですからねぇ」
白井「んまっ!?初春まで!」
初春「ま、白井さんのお話はさておくとして――そろそろ本当に何をしにいらしたのか、聞きたい所なんですけども」
上条「あぁ丁度いい。出来れば白井にも協力してほしいんだが……その、さ」
上条「最近、ここ一週間ぐらいの間におかしな事起きなかったか?」
211:以下、
白井「それはまた随分と漠然的な質問ですのね」
初春「あー、はい。あれですか?佐天さんとやってる深夜番組の――って、それだったら佐天さんが私へ直接聞きますかー」
上条「うん、別件。なんでかは……まぁ、オカルト的な話だから聞かない方がいい」
白井「科学の街でオカルト……眉唾ですわね」
初春「もっと具体的にはどんな感じでしょうか?範囲が広すぎて、こうお役に立ちそうな情報を絞り込めそうにないですし」 ピッ
白井「むしろ”そっち系”のお話でしたら、佐天さんへ訊いた方が早いかも知れませんわ」
上条「あー……確かに。それも手段としちゃありか」
初春「デマに付き合わされた挙げ句、『ホンモノ』を引く可能性だってありますけどねー」
上条「むぅ……どうしたもんかな」
白井「あくまでも、と前置きをした上でわたしくし達の感想で言えば……それほどトラブルはありませんでしたわよね?」
初春「でしょーかね。能力者同士のいざこざはいつもの通りですし、変な誘拐犯もふつーに出てますし」
上条「……風紀委員のお仕事お疲れ様です」
白井「というか普段よりも少なかった、気がするですの。なんとなく、ですけど」
初春「そうですねー。そういえば迷子の猫ちゃんを探す依頼もありませんでしたよね」
上条「その部分だけ聞いていると和やかで結構だが……そっか、分かったよ。ありがとうな二人とも」
白井「いえお役に立てず」
初春「佐天さんに私が聞いておきましょうか?きっとノリノリで調べてくれると思いますよ?」
上条「あーうん、他に手がなくなったらお願いするよ――って、そうそう」
上条「落とし物とか無くし物の担当も風紀委員でやってんだっけ?だったらちょっと別件で聞きたい事があったんだ」
初春「お財布とか金銭的な価値を持たないものであれば、ウチの担当ですね。何か無くされたんですか?」
上条「知り合いがね……知り合いを、か?」
212:以下、
白井「何を小声でブツブツ言ってますの?」
初春「さぁ?なんでしょうねー」
上条「あぁっと、俺が探してんのはだな。こう、ぬいぐるみなんだよ」
上条「なんつったらいいのか、ぶっちゃけ謎生物かつファンシーっぽいので」
初春「へー?上条さんにもそういう趣味があったんですかー?」
上条「だから俺んじゃないって。知り合いのだ」
白井「落としたのはどちらで?」
上条「XX学区、多分カラオケ屋周辺」
初春「だったらウチの子とは違いますねー、良かったー」
白井「ちょっと初春。わたくし達が不謹慎な発言は慎まないといけませんのよ?例えそれが類人猿相手であっても!」
上条「白井に罵られて、ちょっと安心している俺がいる――ん?ウチの子?」
初春「あ、それじゃ見ます?これ、なんですけど――」
マーリン「……」
上条「……」
初春「YY学区の路地裏に泥だらけで落ちてたんですよー、なんかこう酔っ払いのおじさんみたいにやさぐれて」
初春「見た瞬間たまらなくなって拾って来ちゃいました」
白井「お風呂へ入れてキレイにするのは良い事ですけど、持ち主が来たらきちんと返すんですのよ?」
初春「わかってますよー。でもきっと一週間も放置されてますし、この子はもうウチの子にするって決めたんですからー」
上条「えっと……初春、さん?」
初春「あ、それでですねー、ここを押すとー」
マーリン「……」
初春「あ、あれ?壊れちゃったのかな?ここを、ぎゅっと押すと喋るんですよ」 ギュッ
マーリン「『オイ鬼太○!』」(※デス声)
白井「……えっと、そんなデス声でしたかしら……?」
初春「……もっと綺麗な声で『ワイ、マーリン!ブリテン一の魔術師やで!』って言ってくれたんですけど……電池がないんでしょうかね?」
マーリン「『ダイター○カムヒアー!』」
上条「……必死で他人のフリしてる所悪いんだけどさ、バレてるから。これ以上ないぐらいの勢いでバレてるからな」
上条「つーかお前みたい謎生物そんなにホイホイ居るわけねーだろ!常識的な考えろや!」
213:以下、
白井「どうなさいましたの?」
初春「ぬいぐるみに話しかけて……?」
上条「……あぁ心配ない。俺は正気だから、白井さんは通報しようとしてんの止めて?俺が大丈夫じゃなくなっちゃうから」
上条「心配はいらない。こんな事もあろうかと!俺はレッサーからお前の擬態を解く合い言葉を知ってる!」
マーリン「……」
白井「……初春、類人猿さんがついに……!」
初春「どうしましょう?誰に通報すれば……」
上条「俺どんだけ信用ないの?せめてビリビリの知り合い枠でフォローしてくんねぇかな?」
初春「御坂さんもある意味電波を受信出来るので、そのお友達かな、と」
白井「初春、結構言いますのね」
上条「――ともあれ!行くぞ!覚悟しやがれ!」
マーリン「……」
上条「白井っ、バーン!」
白井「指でっぽうで撃つ仕草……お姉様がよくやるのに似てますわね」
上条「初春さん、バーン!」
初春「えっと……はい?」
白井「あぁもしかしてあれですの?関西の方が『バーン!』って振ると、『やーらーれーたー』みたいな」
初春「ケンミンショ○やローカル関東番組でよくネタ検証してますねー……って上条さん、ウチの子はただのぬいぐるみなんですが……」
上条「そしてーーーーーーーーーーーーーーーーーッ――!」
マーリン「……」 ソワソワ
上条「――ふー、疲れたー」
マーリン「ってぇせーへんのかい!?『バーン!』するかと思ぉて待っとぉたんのに!こんなオイシイボケ振らへんて!」
214:以下、
マーリン「鬼っ!悪魔っ!高千穂っ!アンタには人の血ぃが流れてへんのかいな!」
マーリン「『あぁもうこれはバレてんなー、しゃないなー、つーかワイの神々しいオーラは隠せへんかったわー』」
マーリン「『――やけども!どうせやったら派手なリアクション決めとぉわ!それが浪のオンナの生き方や!』」
マーリン「『よっしゃガヴェインの最期の再現しとったるわ!派手に殉職したるで!』――って思っとぉたのにスルーかーーーーーーーい!」
マーリン「つーか誰や!?こないなヒドイ芸人殺し上条はんに入れ知恵したんは!?ワイがオシオキしたるさかい出て来んかい!」
マーリン「――ってこのネタ、レッサーに教えたんワイやないかーーーーーーーーい!ルネッサーーーーーーンスッ!!!」
初春・白井「「……」」
上条「何やってんの?お前何やってんの?」
上条「確かにレッサーの扱いは悪すぎるとは思うが、どこをどうシライ2(前方伸身宙返り3回ひねり)したら初春さんのマスコットに収まってんだよ、なぁ?」
マーリン「や、違うんよ?つーかちゃうやん、そーゆー事じゃないねんな。うん」
マーリン「これはあれやで?誤解されるかもやけど、初春さんは何も悪くないんよ!いやマジで!」
マーリン「やから!責めるんやったどうかワイだけにしときぃ!ワイは誰の非難やっても受けるわ!」
上条「途中からさも初春さんが悪そうな流れに持ってくんじゃねぇよ。つかそれでいいのか地母神の切れっ端」
マーリン「ワイの担当ここちゃうし?」
上条「てか何やってんの?姿見ないなと思ったらなんで初春さんちの子になってんの?」
マーリン「……や、これにはや。泣くも涙、語るも涙、涙涙の物語がな」
上条「泣くと涙ってカブってねぇかな?」
215:以下、
マーリン「ワイ、な。決めたんよ」
上条「何を」
マーリン「……ワイ、初春さんのチの子ぉになるわ!」
上条「……はい?」
マーリン「人って産まれて来たからには理由があるんよ。誰かのために戦ぉたり、誰かを育てるっちゅー使命を負うねんな」
マーリン「時には道ぃ外してもぉてバッサリ斬られもぉても、それはそれで英雄の誕生に一役買うんよ」
上条「はぁ」
マーリン「ワイも約1500年、このボディを使い始める前からだと4000年か。そんだけ多くの子ぉらを導いて来た……やけども!」
マーリン「……ワイは知ったんよ!今までのワイの経験はこの子ぉのために培って来たもんやって!確信をや!」
上条「うん、具体的には?」
マーリン「初春さんプリキュ○にしたら人気出ると思わへん?あとワイもマスコットとして新たな人生をやね」
上条「……えっと、ちょっと待ってな」 ピッ
マーリン「なに?どしたん上条はん?ピコピコで何探してるん?」
上条「……っと、これか。えっと――こほん」
上条「りん、ぴょー、とー、しゃー、かい、じん、れつ、ざい、ぜん?」
マーリン「早九字やね。そんなに棒読みでやっつけの密教呪、”レッツゴー!陰陽○”以来初めて見とぉわ」
マーリン「てかその『右手』、こっち向けよぉの良ぉないよ?うん、ワイにとっては銃口を向けられる的な意味が――」
上条「――消え去れ悪霊よ!『幻想殺し』!」 ペタッ
マーリン「ぎにゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
マーリン「……」 クテンッ
上条「……ふう」
白井「……あのー?今の一連のコントは一体なんでしたの……?」
上条「これでもう安心だ!このぬいぐるみに憑いていた悪い妖怪は除霊した!――ような気がする!」
初春「えっと……?」
上条「霊装としてはもう使えないから!これからは大事にしてやってくれよ!じゃなっ!」 パタン、タッタッタッタッ……
初春・白井「「……」」
白井「……なんでしたの、今の?」
初春「……なんなんでしょうね?、今の?」
216:以下、
――路上
レッサー『あー……それでですか。だから急にこっちの残機へ戻ってきたと』
上条「『霊装として壊れたぬいぐるみはそのまま預けちまっていいかな?』」
レッサー『それは構いませんが、今の外見はエ口ゲのマスコットキャラなのでお忘れなく』
上条「『……まぁ初春さんが気に入ってんだし……後からそれとなく言っとくわ』」
上条「『ちなみにマーリンさんはどうだ?あんま責めないでやってな』」
レッサー『分かってます分かってます。苦しまずに一撃で仕留めるように前向きに努力したいと思いますので』
上条「『曖昧な返答だわ処刑前提だわで突っ込む所多すぎるだろ!?』」
レッサー『ともあれそちらさんの情報は伺いました。”何もなかった”のは、あまり嬉しくはないですよねぇ』
上条「『どういう意味?』」
レッサー『本当に何も起きてないのか、それとも巧妙に隠されているのか……難しい所です』
上条「『何事もないなら越した事はない筈だが……!』」
レッサー『そう悠長に構えてても、いざなんかあったら真っ先に巻き込まれてヒドい目にあう上条さんっ流石ですよねっ!』
上条「『言うなよ!俺だって逃げたくなる時だってあるんだからな!』」
レッサー『とーもーあーれー、そちらの事情は把握しました。引き続き自称その筋の専門家さんへコンタクト取ってみて下さいな』
上条「『いいのか?大切な情報は隠されてる可能性もあんだぞ?』」
レッサー『話を聞くに、もし何か大事件が起きていればご友人方とのんびり話す暇もないんじゃないかな、と』
上条「『あー……風紀委員の主力だもんな。駆り出されて当然だし、なんか疲れてる感じもなかったか』」
レッサー『そしてぇぇぇぇぇぇっ!こんな事もあろうかとジャッジなんとかさんへ潜り込ませていた我らのエージェントからも同じ報告が!』
上条「『偶然だよね?君らがマーリンさんをぞんざいに扱ってただけだもんな?』」
レッサー『――おぉっと!電波が――ジジッ――悪い――ジジジッ』
上条「『ノイズ音を口で言って――』」
レッサー『それではではではっ!またアジトにてお目にかかりましょう!アデュー!』 プツッ
上条「『”では”が妙に増量中だが……』って切りやがったよ」 ピッ
217:以下、
上条(ふーむ。”ホウレンソウ”はきちんと果たしたし、もふもふもあっちへ戻ったと)
上条(立場上マーリンさんの中の人は介入するつもりがないみたいだが、まぁこれで落ち着く所へ落ち着いた)
上条(……個人的にもふもふが主犯じゃねぇかなって思ってたはのナイショだ!今も少しは可能性があると疑ってるが!)
上条(……と、ネタはともかく。佐天さんへ連絡をしなきゃいけない)
上条(あの子は間違いなく良い子なんだが、色々な所が残念すぎる!主にフラグ管理とセーブ無しで突っ込む所がねっ)
上条(「お前が言うなよ、お前だけは言うなよ」ってツッコミが聞こえそうだけども!俺には何個とか分からないなっ!) ピッ
佐天『――もしもし?』
上条「『佐天さん?上条ですがちょっと今話せるかな?』」
佐天『ええっと……はい、大丈夫ですよ?都市伝説の事ですよね?』
上条「『あぁ初春さんから連絡行ってたんだ?』」
佐天『うえ?次の特番の話じゃないんですか?』
上条「『……』」
佐天『……』
上条「『――そうだねっ!次の特番の話かも知れないよねっ!』」
佐天『なーんか面白そうな事隠してませんか?あたしのレーダーに引っかかるんですけど』
上条「『友達!友達が学園都市に来ててさ!それで少し興味あるっていうかね!』」
佐天「『また女の子ですよね?』」
上条「『”また”と女の”子”に悪意しか感じねぇんですがコノヤロー』」
佐天『否定しやがらない所がまた女の敵ですよねっ!』
上条「『緊急事態だから!そのお話は後に回して貰っていいでしょーかねっ!?』」
佐天『今上条さんが置かれている事態に興味津々ですが……まーはい分かりました。お話は初春からもメール受けてますし』
上条「『知ってたじゃねぇか』」
218:以下、
佐天『一週間縛りとなると……あぁありますね。丁度生きのいいのが入ってますよ』
上条「『いやだから、キミ場合によっては犯罪になるんだし不謹慎……』」
佐天『――”客の消えるブティック”って知ってます?』
上条「『なんとなくは……グロい都市伝説でしょ、確か』」
佐天『まぁまぁまとめますと、ある日旅行先であるブティックへ入りました。しかし友達は試着室へ入っていきましたが中々戻って来ません』
佐天『気になって試着室を開けてみると――そこには誰も居なかったのです!』
佐天『現地の警察にも訴えましたが相手にして貰えず、結局友達はそのまま失踪扱いになりました……その数年後』
佐天『別の友人が「消えた友人らしき人が写っている写真」を見つけたという話を聞きつけ、その友人へ詰め寄ったのですが中々見せようとしません』
佐天『「見ない方がいい、絶対に!」と渋る友人から写真を引ったくり、消えた友人は今どうしているのかと写真を覗き込むと――』
佐天『そこには四肢を切断され、ダルマになって見世物にされた友人の姿が写っていたのです……!』
上条「『……やなオチだなぁ、知ってたけどさ』」
佐天『ちなみにこういう怪談では”溜め”を作るのが大切ですんで、余所様で話す時、もしくは聞く時には注意してみるといいですよ』
上条「『誰に向かってなんのアドバイスしてんの――って待て待て。違くね?』」
佐天『あぁ「古い都市伝説じゃないか」、ですよね?いや、そうなんですけど、違うんですよ』
佐天『その、このお話のキモはアレな姿にされちゃうって所なんですが、そっち繋がりで一つ』
上条「『嫌な予感がする!聞きたくねぇ!』」
佐天『あー”その”心配はいらないですよ。ってか”そんな”事件が起きてたら初春達も大忙しですから』
上条「『いやでも噂なんだろ?人が消えるか、改造されっちまう話なんだよな?』」
佐天『それもブッブー!です。ていうか都市伝説というよりかはゴシップ系のお話ですかね』
上条「『話がよく見えないんだが……結論は?』」
佐天『あー、でしたら見た方が早いかも知れません。今どちらに?』
上条「『ちょい前まで初春さん達の支部で話聞いてた所』」
219:以下、
佐天『もっと具体的には?』
上条「『あーっと、向かい側の、一階にファミマ入ってるテナントビル――って、そこまで詳しい位置情報要る?』」
佐天『そっちは……えぇ、はい、友情的なアレでして――はい、オッケーだそうですよ』
上条「『で、その場所言わせるって事はなんかあるのか?』」
佐天『XX学区にですね、あるんですよ――』
佐天『――”ニホンダルマ”ってお店が……ッ!』
上条「『……はい?』」
佐天『超絶悪趣味だと思いませんかっ!?あたし的にはオッケーですが!』
上条「『店……店、なんだよね?店舗、お店、ショップの、店?』」
佐天『そーですよーっ!なんでも一見コンビニ風でありながら中へ入ると怪しげなオカルトグッズの数々が!』
佐天『噂ではたった昨日まで倉庫だったのに、一夜にして忽然と現れたという未確認情報も!』
佐天『またそのイメージを覆すように!店員さんは可愛らしいラクロス?だかクリケット?だかのユニフォーム着たガイジンさんですって!』
上条「『……ヘー、ソウナンデスカー』」
佐天『しかも”アタリ”の店員さんが居れば、事細か且つフレンドリーにアレコレ相談になってくれるそうですよ!』
上条「『……ふーん?店員さん、店員さんなぁ。他になんか特徴はないのかな?』」
上条「『こう、ヘアバンド着けたりだとか、一部に金髪ウィッグみたいなのつけてたりだとか?』」
佐天『……ありゃ?上条さんどうしてそれをご存じで?』
上条「『知り合いだから、かな?よりぶっちゃけるとソイツらに紹介するために佐天さんへ訊いてんだよ!』」
佐天『ミイラ取りがミイラ、とはよく言いますけど、その子達もまさか都市伝説を生む方へ回るとは……!』
上条「『……うん、まぁ聞けてよかったよ。情報ありがとう』」
佐天『いえいえ、あまりお役に立ちませんでしたが――つてもし良かったら引き続き調べときます?』
佐天『猫の手ぐらいにはお役に立てると思いマスですよ、にゃー』
上条「『佐天さんその鳴き声あんま外で言わない方がいいと思うよ?具体的には変なオブション憑くから』」
上条「『――て、今日はやけに親切だな……?』」
佐天『あー、いややっぱり分かっちゃいますか?実はですねー、隠していた事が一つだけありまして。そのお詫びで、はい』
上条「『隠してた?一体何――』」
???「――見つけた」
上条「ッ!?」
220:以下、
佐天『えっとですねー、あたし的にもARISAさんのDAI・TAN告白は驚きだったんですが――』
佐天『――やっぱりその、きちんと会ってお話ししたいという友達がですね。はい』
バチッ、バチチチチチチチチチチチチチチチチチッ!!!
上条「大気が――周囲の電子機器が帯電している……ッ!?」
佐天『まぁ取り敢えず誘導したんで、後はお若いお二人でって、事で一つヨロシクー!』
上条「『待てよテメェっ!?何俺んトコまで死神誘導しやがってんだァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!?』」
佐天『と、都市伝説については!不肖この佐天涙子の名にかけて調べときますんでっ!それじゃご武運をっ!』 プツッ
上条「あぁクソ切りやがった!?どーすんだよこの状況!出て来いよ責任者――」
???「うん、そういうのいいから、ね?」
上条「ビリビリ、さん……?」
御坂(???)「うん、どうしたのそんなに震えちゃって?まるで猛獣を見るような目で」
上条「いやあの違うんだよ!話を聞いてくれよ!」
御坂「そうよね、話し合いは大事よね――」
御坂「――『最期』になるかも知れないから、しっかり言えばいいと思うわ。悔いのないように」
上条「まず最初に!俺はARISAのEUツアーへ頼まれてついて行ったんだよ!マネージャ的な仕事の一環としてだ!」
御坂「うん。その話は知ってるわよ」
上条「そう思ったらユーロトンネルん中でドロドロネバネバの怪物達に襲撃されたんだ!女の子と一緒に戦ったけどさ!」
御坂「うん?」
上条「そうかと思えばフランスへ着いたらトカゲ人間達と深夜のスタジアムで追い回されたし!別の女の子と一緒に撃退したけども!」
御坂「……うん」
221:以下、
上条「イタリアへ入れば入ったで、夢の中で命を賭けた探偵推理ごっこをさせられる羽目になったよ!また別の女の子と一緒に乗り切ったが!」
御坂「……えっと……」
上条「イギリスへ舞い戻って敵の本拠地へ乗り込めば、変態双子と邪教集団を相手もしたな!違う女の子と一緒に解決したんだけどもだ!」
御坂「……」
上条「頑張って頑張って学園都市へ戻ってみれば、月の海で死して眠っていた魔神が復活して地球は静止するし!」
上条「でもアリサや『新たなる光』の女の子達の力を借りて!俺達は勝ったんだよ!ただそれだけだ!」
御坂「……」
上条「――って話、信じられる?どう?」
御坂「ワケないわよね?」
上条「ですよねー、あはははははははははははっ!」
御坂「……」
上条「はは、はははは……」
御坂「そろそろいいかな?」
上条「良くないですっ!まだ死にたくありません!」
上条(考えろ、俺!何か方法はある筈だ!)
上条(事実をほぼ包み隠さずに言ってもダメ――ほぼ詰んでるが!)
上条(そのためにも今は一端逃げて!ビリビリの怒りが収まるまで隠れれば!)
上条(……けどなんて?どうやってビリビリの気を逸らせようか?下手な言い方をすればオシオキが処刑へ変わるかも知れないし……)
上条(俺が知ってるビリビリのイメージで、なんか気を引けそうなもの――つったらアレか。アレしかないか)
上条「あーーーーーーーーーーーっ!?あんな所に――」
御坂「通じないわよ。てかいつの時代だと」
上条「――可愛い子猫がいるーーーーーーーーーーーーーー!」
御坂「マジでかっ!?どこに!どこに居るのよっ!?」
上条「ダメ元でやったのに食いつきいいな!?今のウチに――」
222:以下、
――路地裏
カツカツカツカツ
御坂「……」
ガタッ
御坂「――誰……ってポリバケツか」
ポリバケツ「……」
御坂「……」
御坂「探さ、ないと――」
カツカツカツカツ……
ポリバケツ「……」 パカッ
上条「……ふう、行ったか……!」
上条「俺を甘く見たなビリビリ!まさか俺がゴミバケツの中に潜んでいたとは分からなかったようだな!!」
上条「ポリバケツはポリ塩化ビニルで作られているから電気を通しにくい――つまり!ビリビリのレーダーからも逃れられるって訳さ!」
上条「生ゴミがスッゲー臭いけど!お嬢様育ちのビリビリにこの発想は見破れまい!」
上条「……」
上条「……うん、臭いよね。何やってんだろ俺……」
上条「ゴミバケツん中で勝利宣言……どう見ても負けてるだろ。コールド的な大差をつけられてだ!」
上条「……まぁいいや。今日はもうどっかでフロでも借りるか、公園で体洗って帰ろ――」ムギュッ
上条「――う。ってかなんだ?さっきから俺なんか踏んでるみたい……?」
女の子「……」
上条「………………屍体だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
上条「運が悪いのもいい加減にして下さいよもうっ!つーかシチュ的に第一発見者=犯人じゃねぇかっ!」
223:以下、
上条「今度は何か?あ?アズカバンにでもブチ込まれんのかよっ!なあぁっ!?」
上条「……」
上条「……いやしかし、三食メシは出るし家事炊事をしなくていいし」
上条「何よりもラッキースケベで困る事はない………………成程な!」
女の子「何が……ナルホドか、分からない訳……?」
上条「生きてたっ!?」
女の子「勝手に……殺す……な……」
上条「どうしたっ!?どっかケガでもしてんのか!?待ってろ、今救急車呼んぶからな!」
女の子「……おなか……」
上条「痛いのかっ!?」
女の子「………………へった」
上条「……あん?」
女の子「おなか……へった、わけ……」
233:以下、
――夕方 自宅(上条のアパート)
女の子 ガツガツガツガツガツ……
上条「あー……っと、な?メシ食うのはいいし、俺の部屋を占拠するものいいんだけどさ」
上条「半分は俺の分だから、残しといて欲し――」
女の子「グルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルッ!」
上条「オーケー!分かったよ!それはお前の分だから物投げようとスンナ!」
上条(あれから……ゴミバケツの中で女の子を拾ってから、大変だった……)
上条(お互いにカブトムシのような臭いはするわ、しかも公園で洗ったぐらいじゃ取れる筈も無く)
上条(俺は情報収集をさっさと切り上げて自宅へ戻った訳だが……オプション付きで)
上条(ポリバケツ子(仮名)さんをどうしたらいいものか、つーか拾っちまったものは仕方がないんだよ、うん。それは分かるだろ?)
上条(だが!だからといって救急車を呼ぶでもないし、どう見ても訳ありの子をそのまま放置するのも後味が悪いし)
上条(……てか憶えてないんだが、インデックス拾った時の俺もどうして通報しなかったんだろう?普通に考えれば救急車と風紀委員のお仕事なのに)
上条(……はっ!?まさかエ口目的で――って、それはないな。それだけはない)
上条 クンクン
上条(……つーか臭ぇな。公園で軽く洗ったのに落ちる筈もねぇが)
上条(てかこの子、よく食えるなこんな所で――うん?) クンクン
上条(なんの……香料だろう?花っぽい香りが微かに――)
女の子「――おかわりっ!もう一杯っ!」
上条「ねぇよ。ウチにある食材全部食いやがったよ」
上条「……てかインデックス居ないから油断していたけど、こんなトラップが待っていようとはな!」
女の子「ちょっとー、人をトラップ扱いは感じ悪い訳よ?」
女の子「こう、小汚い家へ超絶ぷりちーなあたしが来てやったんだから、五体投地して有り難がるのが筋って訳だし」
上条「ぷりちー()、超絶()」
女の子「半笑いに超ムカツク訳」
234:以下、
上条「てかそもそも小汚いの半分以上はお前のせいだよ」
女の子「あー……暫くお風呂に入ってなかったしねー。そんなに臭う訳?
上条「俺はお前がカブトムシの化身であっても驚かないレベル」
女の子「――お風呂借りる訳ねっ!あ、あと覗いたら殺すから!」
上条「覗くとか()」
女の子「……さっきからちょくちょく見下した笑いが入るけど、それは一体なんなの?」
上条「お前そりゃ現役アイドルや洋タレ顔負けの――って何でもないです!気にしないで!」
女の子「はっきり言うと?」
上条「もつと高いレベルで見慣れてるから、『ちょっと可愛いかな?』ぐらいにしか思わない」
女の子「言いやがった訳ね!こう見えて脱いだら超すっごい訳よ!」
上条「ヘー、ソウナンデスカー」
女の子「むっきーーーーーーーーーーーーーーーっ!信じてない訳!?だったら見せてやろうじゃない!」
女の子「このあ・た・し・のっ!脚線美を!お○ぱいは成長途中にあるけども、その将来得るであろう美貌の一部を!」
上条「……」
女の子「……」
上条「どした?」
女の子「ちょ、ちょっと聞きたい訳だけどさ?あんた高校生よね?」
上条「だな」
女の子「夜遅くないとはいえ、オトコの家にか弱いあたしが居る――はっ!?これってピンチが貞操っ訳か!?」
上条「いや、別にそういうつもりは。あとお前の日本語スゲーな」
女の子「近寄らないで!不幸がうつる訳!」
上条「不幸関係ねぇだろうが!お前オレのアイデンティティ否定すんなや!」
女の子「あ、エ口い事するのは否定しない訳かっ!?」
上条「だからさ!」
女の子「美人で可愛くてこう同僚からも妬まれて時々シバかれるあたしを!薄い本みたいにエ口い事するつもりな訳ねっ!」
女の子「――ハッ!?まさか食事の中に媚薬が混ざって……!?」
上条「ないな。そんな便利な薬あったら実用化されてるわ!つーか欲し――いやいや!俺は紳士だからそんな不埒な事は思わないけども!」
上条「そもそもエ口目的だったらメシなんて食わさねぇだろ!どこの世界に美味いメシ作ってフラグを立てるヤツがい、る……」
上条「……」
上条「ま、まぁ!その話はいいとしてだ!」
女の子「……なんでそこで完全否定しきれない訳……?」
235:以下、
上条「ともかくだ!俺はエ口い事なんて考えてないぜ!これは純粋に人助けだ!」
女の子「あたしの同僚の話なんだけどさ」
上条「なんだよ急に」
女の子「まぁ聞くって訳。いいからその子が前に言ってた訳よ」
女の子「『いいですかー?フレンダは超アレンダかも知れませんが、男もまたは超オオカミなのです』」
女の子「『例え道に落ちている超腐った肉でも、スカベンジャー的な超思考を持ったバカが超居ますからね』」
上条「お前100%バカにされてるからな?死肉扱いされてんぞ?」
上条「てかフレンダ……?」
女の子「『どれだけ女の子には超関心がない振りをしていても、心の中では肉食系ですので超注意すべきです』」
上条「オマエら男バカにするのもいい加減にしろ、な?お前らが思ってる程単純じゃねーぞ!」
女の子「『例えば……男が”エ口い事なんて考えてない”と宣う時は超注意ですね』」
女の子「『この場合、100%の確率で超エ口い事しか考えてはいませんから。ええはい、それはもう超確実に』」
上条「ごめんなさいねっ!男って大体そーゆーもんだからなっ!」
上条「つーかその時空を超えてあの小悪魔から心理的腹パン喰らうとは思ってみなかったよ!どんだけだあのヤロウっ!」
女の子「『あ、ちなみに”エ口い事考えてる”と超正直に言っていた場合、それも100%エ口い考えを持ってますんで』」
女の子「『――つまり男は200%の確率でエ口しか頭にないですねっ!』」 ドヤァッ
上条「間違っちゃーない、つーかそれが世界の真理なような気がするけども。その計算式はウォーズマ○方式、別名死亡フラグだ」
上条「あと野郎代表として言わせて貰えれば、たまーに100にの一人二人の割合で、女の子には興味がないってヤツも居るのは居るわ」
上条「……ただそういう”ポーズ”を取ってるヤツに限って、同性でもドン引きするような性癖を隠してたりするし……」
上条「……や、まぁその、なんだ。警戒する気持ちは分かるけど、取り敢えず俺は暫く外に出てっからさ」
上条「その間にシャワー浴びるなり、服洗濯するなり好きにすれば良い――し」
上条「家を出るんだったら、合鍵置いてくから、鍵閉めてから郵便入れにでも入れといてくれ」
女の子「……手慣れてる、訳?」 ジーッ
上条「訳ありっぽい子を助けるのは慣れてんだよ、一身上の都合で」
236:以下、
上条「だから……いや、だけどか。別に話を無理矢理聞き出そうってつもりはねぇから、まぁ気の済むようにしてくれて構わない」
上条「話を聞いて欲しいってんなら聞くけど強制はしない――って、お前」
女の子「な、何よ!?」
上条「いや、どっかで会ったような……?」
女の子「……やっぱり、ナンパ?」
上条「ナンパ()」
女の子「待ちなさいよっ!さっきからずっとずっとずっと!」
女の子「なんで全部”()”で流されてる訳よ!?それはそれで女としてのプライドがあるって訳だし!」
上条「流石にカブトムシの臭いがする相手は、ない」
女の子「んがーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」
上条「あー、はいはい――って人様んちの物を投げるな!目覚まし時計は結構したんだぞ!?」
女の子「さっさと出て行く訳よ!このヘンタイっ!チカンっ!不幸っぽい!」
上条「待て!?不幸は構わないだろ!不幸は他人から誹られる憶えはねぇよ!」
女の子「いいから、出てけーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」 ドンッ
上条「おふっ!?」
ガチャッ、ガチャンッ
上条『あテメ内鍵だけじゃなくてチェーンかけやがったな!?何しやがってんだよ!?』
女の子「ベッドの下、にーはー、何がある訳かなーっと」 ゴソゴソッ
上条『それじゃさよならカブトムシさんっ!比較的やかに離れるからそこだけはノータッチで頼む!』
カッカッカッカッ……
女の子「………………はぁ」
女の子「どうした訳、よ……」
237:以下、
――近くの公園
上条「……」
上条(……アレだな。こう、テンションってあるよな?)
上条(なんか格好いいっぽい事を言ったために、後々困る時ってないかな?まぁ一般的には後悔って言うんだが)
上条(ノリで出て来たはいいもののですね、行く場所が無いっていうか、えぇはい)
上条(フロ沸かしーの、服洗濯しーの、乾燥機へ放り込んでーの……で、まぁ二時間ぐらいは必要だろう。女の子だし下手すればもっと)
上条(生ゴミん中へ隠れるぐらい悲惨な逃げ方をしなくちゃいけない状況……なんとなく想像はつくが、まぁ碌なもんじゃねぇだろうし)
上条(側に見知らぬ野郎――俺だ――が居て、ゆっくり休めるとも思えない。だったら今晩ぐらいは帰らない方がいいだろうっと)
上条(とはいえ、どこへ行ったもんかな)
上条(土御門不在――最近帰って来たんだけど、雲川先輩の所で働いているらしい――の、土御門家へお邪魔する訳には行かないし)
上条(コンビニか公園、はたまた漫画喫茶で一晩過ごすのが妥当か……ふむ)
上条(”死人”の方をレッサー達(除くもふもふ)が調べてるのに、俺だけが遊んでんのも気が引ける)
上条(歩き回って出くわすなんて偶然、そんなある訳ねぇし。だからってネットでググっても答えは返ってこない)
上条(佐天さんの地雷踏み抜く能力は結構アテに出来るとして、任せっぱなしなのも如何なものかと)
上条(死人……死人ねぇ?科学サイドで、つーか俺の知り合いで詳しそうなのはカエル先生ぐらいか。でも魔術だから明らかに専門外ではある)
上条(他に詳しそうな、且つ魔術師は――って居た!そうだよ!あいつが居たじゃんか!)
ピッ、プルルルルルルルルルッ
???『――はい?』
上条「『もしもし?海原か?』」
海原(???)『えぇはいお疲れ様です――と、あぁARISAさんの記者会見見ましたよ?』
上条「『あー……はい』」
海原『つまりアレですよね?自分との約束を果たされなくなったと言う事で、殺してもいいんですよね?』
上条「『いやあの、約束を破ったつもりはですね?こう、流れっていうかさ?』」
海原『まぁカノジョ持ちでも御坂さんは守れますし、そこは信頼してますから』
上条「『……すまん。あと、ありがとう』」
海原『そもそも上条さんの側に居た方が、より危険性が高まる気がしないでもありませんし』
上条「『ホンットーーーーーーーーーーーにごめんなさいよ!俺が望んでトラブルに巻き込んでるんじゃないんですけどねっ!』」
238:以下、
海原『それでご用件はなんでしょうか?雑談でも構いませんが』
上条「『えぇっと、”そっち”絡みで相談したい事が……なんかゴメンな?頼るばっかりでさ』」
海原『それはお気になさらず。回り回ってプラスになるのであれば、自分は別に』
海原『……ですが、今自分が居る場所が少々特殊でして。あなたがいらっしゃるのは厳しいかと』
上条「『俺今自宅近くなんだが、位置的にキツいって?』」
海原『では、なく……なんて言うんでしょうかね、こう、素人の方にはお勧め出来ない、と申しましょうか』
上条「『あ、ごめん。もしかして潜入捜査中とかなのか?』」
海原『えぇ、ざっくばらんに言えばそのようなものかと――』
ケータイからの声『お待たせしましたセンパイっ!ご注文のストロベリーショートとベリーベリードーナツになりまぁすっ!』
ケータイからの声『ご注文は以上でお決まりでしょうか?ではごゆっくりどうぞー!』
上条「『……』」
海原『――と、言うワケでしてね!自分は今厳しい環境下に置かれているのですよ!』
上条「『確かに厳しいわ?、俺的にはベリーハードだもの』」
上条「『だって俺だったらなんかベリー多すぎて躊躇するもの。もしくは帰るもの』」
海原『いえこれはですね、そういう目的ではなく』
上条「『つーかテメー今メイド喫茶的なものに居るだろ、なあぁっ!?だって今”センパイ”つって注文持ってきたみたいだし?』」
上条「『人が割とマジで相談したいってのに!海原さん的にはそっち優先でいいのか、あぁ?』」
海原『いやでも、素人の方には厳しいかと』
上条「『厳しいの意味が違うだろうがよ!お前が言ってんのはハードじゃなくってルナティックの方だし!』」
海原『一応誤解を解いておきますが、メイド喫茶ではありませんよ』
上条「『どこでも変わらんねーよ!?だってそっち系の店確定してんだから!』」
海原『スゴいんですって!いやホントに!来てみれば上条さんもビックリしますから!』
上条「『……もう既にビックリはしてるさ。お前のキャラの変わりっぷりにな!』」
海原『アドレス、ショートメッセージで送りましたんで。ではっ』 プツッ
上条「『あ、こら話はまだ終って――』……またこの展開か」
上条「……あぁうん、近くはないけど……行けばいいのな、ここに」
239:以下、
――???喫茶
カランコロンッ
上条「えっと……」
海原「あぁ上条さんこっちです、こっち」
上条「あぁうん、お疲れー」
上条(指定された場所は繁華街の裏路地の一角。外観は普通の喫茶店で、中身もまぁアンティーク調のシンプルな店だ)
上条(俺が想像していたような、『お帰りなさいませ、ご主人様!』的な店じゃなかったらしい。というのも――)
上条「常盤台の子、多いなこの店」
上条(品行方正(※例外あり)で通ってる、常盤台中学の女の子が結構な数居る。大体立ったままだけど……なんで?)
上条「なぁ?JC大好きの海原さんがこの店に居着くのは分かるんだが、どうして常盤台の子ばっか居るんだ?」
上条「なんかぱっと見、ウェイトレスさんっぽい事もやってるみたいだし、体験学習――なんて、させる筈はねぇか」
海原「あぁ、それはですね上条さん――」
海原「――ここが『常盤台喫茶』だからですよ」
上条「ふーん……………………え、何?お前今変な事言わなかったか?」
海原「常盤台喫茶ですか?何を今更」
上条「いや知らねぇよ!?何お前が『え?』みたいな顔してんの!?」
海原「あぁっと……メイド喫茶はご存じですよね?」
上条「前に……一緒に行かなかったっけ?いつだったか忘れたけどさ」
海原「最近だと……他にもペット喫茶という変わり種が広がっているのはご存じですか?」
上条「あー聞くなぁ。店内に放し飼いになってるペットをもふもふ出来るんだろ?ドッグカフェは正直行ってみたい」
海原「そのどちらも『店内にあるもので癒やされよう』に、異論はないですよね?」
上条「ツッコミ所はあるが、異論は特に」
海原「犬好きな方はドッグカフェへ、猫好きな方はキャットカフェへ、そしてメイドさんが好きな方はメイド喫茶へ」
上条「……うんまぁ、その三つ並べるのはどうかと思うが。理解は出来るよ」
海原「そして――常盤台中学の子が好きな人間は常盤台カフェへ行くに決まってるじゃないですかっ!」
上条「需要がニッチ過ぎるだろうが!」
240:以下、
上条「なに?それじゃこの子ら全員常盤台の制服着てるだけで、通ってる訳じゃねぇのか!?」
海原「お店の子達は『憧れの常盤台の制服着れてラッキー!』だそうですよ」
上条「ウルセェよ!?そんな動機でバイトするんじゃありません!」
海原「お客の方も、ですね、その……」
上条「……何?なんかあんの?」
海原「常盤台へ不用意に近づくと、問答無用で私設警備員呼ばれて補導されるので、えっと……好評ですよ?」
上条「近づいただけで補導って……それはやり過ぎじゃねぇのか?」
海原「ですよね。ただ風景写真を撮るためだけにバズーカレンズ着けたままだってのに!」
上条「うん、その段階で窃視する気満々だよね?てかその理屈が通ると思っている方が、おかしい」
海原「……と、自分は心の癒やしを求めてここへ来ていた訳ですよ、はい」
上条「個人の趣味に文句つけるつもりはねぇが……てか客結構入ってんな」
海原「プレイであっても常盤台のお嬢様に憧れているだけですよ、きっと」
上条「お前がプレイ言わなきゃいい話だったのにな!……いや、そうでもないか。全然そうじゃなかった」
海原「それで?自分に話があるとは一体――と、ちょっと失礼します」 クンクン
常盤台カフェの店員さん達「「「……!!!?」」」
上条「海原さんちょっといいかな?テメー人の首筋に顔埋めるとBL的な構図になっちゃうからさ?」
上条「てか店員さんがカメラ構えて――」
常盤台カフェの店員さん達「「「……」」」パシャッ、パシャッ、パシャッ……
上条「撮るな撮るな!見せもんじゃねーぞ!」
海原「――と成程。アネモネですか。それで自分へお声がかかったと」
上条「はい?」
海原「込み入った話になりそうなので個室を借りましょうか。あまり人に聞かれてもよくないでしょうしね」
242:以下、
――次回予告1
243:以下、
――イギリス清教 地下大聖堂
ステイル「『――そうだ。そこを壊して――何?』」
インデックス「……とうま……」
ステイル「『今はそんな事を話している場合じゃない――縁起でもない!そんな事を――!」
インデックス「うん?」
ステイル「『……あぁ分かった、分かったよ。キミがそう望むのであれば、僕は叶えてやらなくもないよ』」
ステイル「ただし貸し一だからね。必ず返せよ――』」
ステイル「『――生きて帰って、だ』……ほら」
インデックス「えっと……?」
ステイル「ベツレヘムの星に居るあのバカとこの霊装は繋がってる。ここを持ちながら話せば向こうへ声は届く」
ステイル「……話があるんだってさ。君に」
インデックス「……うん――『もしもし?とうま?』」
上条『……よぉインデックス。元気か?』
インデックス「『ちょっと頭がクラクラするかも』」
上条『そいつはフィアンマに操られてたからだ。そっちの術式はぶっ壊したけど、その間お前の隣に居るヤツが傷付けないように抑えてくれたんだよ』
上条『一応でいいからお礼言っとけ』
インデックス「ありがとうなんだよ」
ステイル「……仕事だからね」
上条『まぁ……あんま大した話じゃないんだが――その、聞いてほしくってさ』
上条『もしかしたら最期になっかも知んないし、さ?』
インデックス「『とうま!そんなこと言っちゃダメなんだよ!』」
上条『いいから、聞いて欲しい』
インデックス「『でも!』」
ステイル「……聞いてあげなよ。男の一世一代の見せ場だ」
インデックス「……うん」
上条『俺はさ。お前に嘘……吐いてきたんだよ』
インデックス「『……うん』」
上条『いつか……いつかきっと言おうって!ずっとずっと思って――』
インデックス「『それはもういいんだよ、とうま』」
上条『インデックス……!』
インデックス「『ちゃんと帰って来てくれれば、それだけで』」
上条『違うんだインデックス!これはそんななぁなぁで済ませて良い問題じゃないんだ!』
上条『きちんと!お前に謝らなきゃ!俺自身の中でケジメが決かねぇんだよ!』
インデックス「『……うん。だったら聞くんだよ。とうまが何を言いたいのか、もう分かってるけど』」
上条『……ありがとうインデックス――その、俺、俺さっ!俺、実は――』
上条『――ヅラ、だったんだよ……ッ!!!』
244:以下、
インデックス「『』」
ステイル「……」
上条『……』
インデックス「――はっ!?」
上条『インデックス?』
インデックス「『あーうんごめん?なんか今ちょっとよく聞こえなかったのかも?』」
上条『俺――ヅラだったんだよ!』
インデックス「『……うんごめんね、とうま?いやあの、そうじゃなくって』」
上条『何?』
インデックス「『うんその、ヅラだって事は分かったから、本題を――』」
ステイル「――男の告白を茶化すなッ!!!」
インデックス「!?」
ステイル「……あぁごめんよ。大きな声を上げてしまって」
ステイル「けれど、これは大事な話だ。きちんと聞いてあげなきゃダメだ!」
インデックス「わたしがふさげてるのかな?どう考えてもとうま達の方がネタに走ってるとしか……」
上条『……初めて会った時から!俺、お前に嘘吐いて……!』
上条『嘘がバレるのが怖いから!ヅラだって言い出せなかったんだ!』
インデックス「『記憶は?とうまの記憶がなくなってたって下りはしなくていいのかな?』」
上条『バカヤロウ!何言ってやがんだよ!』
インデックス「『この流れで怒られるのは納得行かないかも……!?』」
上条『……いいか、良く聞けよ?確かに俺の記憶はなくなってたかも知れない』
上条『それでインデックスに嘘を吐いた……あぁ認めるさ!それは俺の過失ではある!』
上条『でもなインデックス?よく考えてみようぜ』
上条『記憶ってのは幾らでもやり直す事が出来る。生きてさえ居れば何度だって繰り返す事が出来るんだよ!』
上条『楽しかった事!辛かった事!何度でも何度でも、忘れられなくなるまですりゃいいだけの話さ!』
上条『……でも、でもな。記憶はそれでいいのかも知れない。それでどうにかなるかも知れない。けど!』
上条『――毛根は一度死んだらそれでオシマイなんだよ……ッ!!!』
245:以下、
インデックス「『……とうま……』」
ステイル「……くっ!」
インデックス「『――って待って待って?ちょっと深い話かもって一瞬思っちゃったけど違うよね?これただのお馬鹿なお話しだよね?』」
インデックス「ていうかあなたも共感してるって事は……!?」
ステイル「……」
上条『……あぁこれで言いたい事もなくなった――思い残す事はない!』
インデックス「『こんなのが言いたかったのかな?他にもうちょっと言うべき事はあったよね?』」
インデックス「『ていうか今までよく隠せたのかが不思議なんだけど……』」
上条『うん?』
インデックス「『や、あのね?病院でお医者様に治療を受ける時とか、あっくあに攻撃されてあいしーゆー?へ入ってたのはどうしたの?』」
上条『カエル先生は協力者だ!あの髪型を見ただろう?』
インデックス「『髪型っていうか、あれはハゲ散らかるっていうか……』」
上条『ステイル――もし、もし俺に何かあったら!』
インデックス「『とうま!わたしを心配して――』」
上条『俺のヅラは、お前が使ってくれ……!』
インデックス「『譲渡するの!?ヅラってそういうシステムだったんだ!?』」
ステイル「『断る。君からの施しを受けるつもりはない』」
ステイル「『僕のヅラは僕が勝ち取ってから着ける!今までも、そしてこれからもそうさ!』」
上条『……へっ、こんな時まで嫌なヤローだぜ』
ステイル「『お互い様だと思うがね、それは』」
インデックス「あのー?二人ともおかしくないかな?」
インデックス「ていうかどんな世界観なんだろう?ヅラを継承する世界ってつまり、滅んでもいいよね?」
上条『――っと、そろそろ限界みたいだ』
ステイル「『……ま、ヘマしないようにね』」
上条『分かってるよ――じゃな』 プツンッ
インデックス「『とうま、とうまーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?』」
246:以下、
――ベツレヘムの星 落下地点
御坂「――どこよ!?あんにゃろ一体にどこに居るって言うのよ!」
御坂「てかさっきから電磁波レーダーにはゴミしか引っかからないし!どこまで落ちてん――」
御坂「――あった!ここから近い所に!」
御坂「……」
御坂「……これは――」
ヅラ「……」
御坂「千切れた、あいつのヅラ――!」
――『上条「俺、ヅラだったんだ」』、へ続く
247:以下、
――次回予告2
248:以下、
――大法廷
アックア「――では、ただいまから『上条当麻、ラッキースケベ裁判』を始めるのである」
上条「……はい?」
アックア「被告人、宣誓をするのである。右手を胸に置いて、メモを読み上げるのであるな」
上条「待ってくれよ!?俺が何をしたって言うんだ!?俺は疚しい事なんかひとっつも――」
上条「……」
上条「――して、ナイヨ?」
アックア「いいからさっさと読み上げやがるのである。時間の無駄であるが故に」
上条「……てか何?朝一で呼び出されてみりゃ裁判ってどんだけ理不尽極まねぇんだよ……!」
アックア「さっさとするのである。しないと裁判官の心証が悪くなるのであるが」
上条「裁判官って……アックアが?」
アックア「同性だと裁判中にフラグを立てられる恐れがあるため、立ち位置的にも比較的ニュートラルな私が選ばれたのであるな」
アックア「よって一度引き受けた以上、私の名にかけて理不尽な判決が下る可能性はゼロである」
上条「あぁそう?だったらまだ救いようはあるが……何々」
上条「『わたくし、上条当麻は人の持つ良心に従い、嘘偽りのない証言をすることを誓います』」
アックア「宣誓は為された。では検察官、罪状を読み上げるのである」
青ピ「はいなっ!」
上条「予想通りお前かい」
青ピ「被告人はラッキースケベと称して数々の犯罪行為を女の子にしてますぅ!これは立派な犯罪やで!」
上条「不幸なのは仕方がねぇんじゃねぇかなって」
青ピ「よって検察は『チ××切断の刑』に処するように望みますわ!」
上条「刑罰ヘビー過ぎんだろ!?つーかどんな刑だ×ン×切断!?」
アックア「そんな刑はないのである――さて弁護人、前へ」
ステイル「あー、検察の話していることは真実であり、弁護人の立場からしても処刑が妥当だと思われます」
上条「裁判官!弁護人が弁護以外の役割をしてるんですけど!」
上条「つーかアウェイ過ぎるだろ!?何この状況!?」
アックア「では検察」
青ピ「はいなっ!まずは証人その一!どーぞ!」
インデックス「……」
上条「ヤバイな!最初っからいい訳も申し開きも出来なくなった!」
249:以下、
青ピ「では被告人からあなたがされたセクハラを証言して下さい!辛いと思うけど、しっかりしてや!」
インデックス「……えっと、とうまに何回も裸見られたんだもん……」
ステイル「――もう死刑でいいんじゃないかな?いいよね?つーか殺すからそこを動くな!」
上条「ごめんなさいインデックスさん!本当にごめんなさいだから今は空気読んで!」
アックア「はい、弁護人は退廷するのである――と、被告人は新しい弁護人を呼ぶか、自身で弁護するのである」
上条「チェンジしたら誰が来るの?」
アックア「HAMADURAがやりたそうにしていたのであるな」
上条「だったら俺がするよ!つーかアイツ俺の交友関係知んねぇのになんでエントリーしてやがる!?」
アックア「他に弁護したがるニンゲンが――いや別に何でもないのである」
上条「……どんだけ野郎から人望ないんだ……!」
アックア「で、被告人兼弁護人、反論は?」
上条「異議あり!証人の証言は正しいですが、それは過失の筈です!」
上条「被告が意図的にした訳ではないので罪に問えないんじゃないですかっ!?」
青ピ「そうなん?」
インデックス「それはっ!そうかも、だけど……」
アックア「確かに過失であれば、過失自体の罪はあるものの、性犯罪自体を立件すれば冤罪になるのであるな」
上条「よしっ!」
青ピ「裁判官!次の証人を出しますわ――どうや!」
御坂「……」
上条「ビリビリ……いや、ビリビリさんも大体インデックスと同じシチュじゃ――」
御坂「……った」
上条「あい?なんて?」
御坂「私のお○ぱい、触った!」
アックア「強制猥褻罪、6ヶ月以上10年未満の懲役であるな」
上条「待てよ!?俺ビリビリを触った憶えなんてねぇぞ!?」
御坂「しらばっくれるんじゃないわよ!あ、あ、あんたが触ってきたんでしょうが!」
上条「そりゃー……御坂妹のは入院していた時に触ったけどさ」
御坂「よし殺す」
アックア「証人は冷静になるである!復讐するのであれば裁判が終ってから!」
250:以下、
上条「いやでもビリビリ触った憶えは………………あ」
アックア「思い当たる点があるのであるか?」
上条「そういや……トールが御坂に化けてた時に、面白半分で触ったような……?」
一同「……」
上条「……なんだよ。なんで全員急に静かになるんだ?」
御坂「あんた……”男の胸”だったら触るの……?」
上条「そりゃそうだろ。何言ってんだ」
御坂「ちょ、ターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーイムッ!」
?審議中?
上条「審議中ってなに?つーか今俺の罪状審議してる真っ最中じゃねーの?」
上条「てか主にビリビリと御坂妹達のひそひそ話なんだが……」
?審議終了?
上条「あ、終った」
御坂「――裁判長!」
アックア「なんであるか」
御坂「BLは嫌いじゃありません!ホモが嫌いな女子は居ません!」
上条「なんでその結論になった!?」
御坂「や、まぁ男だったら……うんっ!応援してるわ!頑張って!」
上条「嫌な理解のされ方だなチクショー!リアルゲイとBLは別もんだろうが!」
アックア「――と、いうか検察。埒があかないのである」
青ピ「ま、まだまだやっ!他にもラッキースケベに遭ぉた証人ならダース単位で居まっせ!」
アックア「そうではないのであるな。先程も言ったように、『被告人が強制猥褻の意図があった』と証明出来なければ、それはただの軽犯罪に留まるのである」
上条「……真面目だ……てっきり冤罪でぶち込まれるもんかと」
アックア「ギャグへ走る程落ちぶれてないのであるな」
青ピ「――あ、そういやカミやん、ヴィリアン第三王女にドキドキしてませんでしたっけ?」
上条「あー……あったなぁ、そういや」
アックア「判決を申し渡すのである!上条当麻は××コ切断の刑に処するのである!」
上条「変わり身早っ!?つーか今までのは全部フリじゃねーかよ!?」
上条「ていうかチ××さんは関係ないだろ!悪さをしたのは主に右手であって×ン×さんは新品未使用だから罪はねぇよ!」
アックア「――ならば罪一等を減じ、上条当麻はアズカバン送りとなるのである!」
上条「……はい?」
――『上条「ここがアズカバンか……」』、へ続く
251:以下、
――次回予告3
252:以下、
 生温い雨に打たれながら少年は自らの無謀を知る。
 たかだか、そうたかだか『世界を救う』程度の力では到底及ばぬ高みがある事を。
 無様に路上へキスをしながら、切れた頬を伝う血をぬぐう事すらせずに、ただ思い知らされる。
「現実を受け入れろ。何も切り捨てずに何も手に入られる訳がない」
 二刀の戦士が――本来の得物すら使わせる事が出来なかった――吐き捨てる。その中には大分憐憫が含まれていて。
「……次、あったら容赦はしないわよ――例えあなたが誰かを助けるのだとしても」
 側に立つ魔導師の声は懇願じみていた……誰に願うのか?何を願うというのか?
 非情に徹すればここでこの命を絶つのが正解――だが、それをせず見逃している時点で……。
「……無ぇよ、二度目なんか、ない……ッ!」
 少年は肘から切断された『右手』を泥水にぐちゃり、とツッコミ、支えにして立ち上がる。
 いつかの如く、そう『世界にそう仕組まれた』ように再生する気配は微塵もない。
 足下の水溜まりをより赤く、紅く染め上げるだけ。
「……ここで寝てたら、それで終っちまう。そんなのはもう嫌なんだよ!」
 今までもそうしてきたように、これからもきっと。
「『右手』があろうがなかろうが、俺のすべき事は変わらない――」
「……そうか、なら死ねよ」
 音よりもく、光に肉薄する程のさで双剣は放たれた。
 主へ確認はしない。それはきっと優しさなのだろう。手心を加えて主が傷つかないように。
 そしてまた剣の軌道は正確に急所へと向かっている。それもまた慈悲だ。痛みすら感じる前に絶命するであろうと。
 物語はここで終る。ただの人間が殺されて終わり。
 それもまた必然だ。この物語は彼の居るべき物語ではないからだ。
 彼に従うサーヴァントなど存在しないのだから――そう。
 ――たった”今”までは。
253:以下、
 ギャリギャリギイィィィィィィィィィィィィィィィィンッ!!!
 鋼が鋼を弾き、周囲に昼間よりも明るい火花が溢れ出す。
 あぁ少年の命を救ったのは、そう――。
 ――槍、だ。
「――退くぞ!」
「待ってよ!?何が起きて――」
『――おいおい、つれないじゃないかニンゲン』
 ぞくりとする程の圧力を持った声。まだ若く女のものだと知っても尚、魔導師は判断を誤る。
「新しいサーヴァントね!だったら正体を――」
「――だから、ダメだ――ッ!」
 脱兎の如く逃げ出した二人を追うとはせず、血と泥の溜まった水溜まりから”それ”は全身を表す。
 千切れた少年の右手を眺め、次に自身の失われた片眼に触れた。
『いいザマじゃないか。前よりもずっと男前だ』
「力を――力が欲しいんだ!」
『ほう?』
254:以下、
「誰かを救える!誰かを助けるための力が!」
『……あぁそうか。それで私が喚ばれたのか』
 くっくっと喉の奥で最悪の魔神は嗤い――次の瞬間、少年の喉元へ”槍”を突きつけていた。
『勘違いするなよ、貴様?私は大人しくサーヴァントになってやるつもりなど――』
「俺を、やろう」
『……何?貴様なんて言った?』
「強い戦士を集めてるんだろ、お前は?だったら俺が死んだら俺の躰も魂も、どっちもくれてやるよ」
『……』
「……戦士、って言っちゃ本職の人らに悪いし、物足りないだろうが……それでどうだ?」
『――宜しい。ならば付き合おう!貴様が死んで我が戦さ場へ至る時まで、私が従ってやる!』
「……ありがとう」
『勘違いするなよ。これは正統な対価の元に交わされた契約だ、礼など言われる筋合いはないよ』
「……そか、なら――逝くぞ、オティヌス」
『――あぁ逝こう、我が主よ』
――『上条「聖杯戦争……?」 オティヌス「戦って、死ね」』、へ続く
255:以下、
――次回予告4
256:以下、
――とある日記
○8月1日
今日もお○ぱいは育っていない。あ、パンツは黒いレースだった
○8月2日
今日もお○ぱいは育ってなかった。でもペロペロしたい。あとパンツは白のローレグだった
○8月3日
今日もお○ぱいは残念なままだった。でもprprしたい。あとパンツよりガーター付きのニーソハァハァ
○8月4日
今日はスク水だった。ドサクサに紛れてお○ぱいチェックをしたが壁を触ってるような感触だった。でも興奮した
平泳ぎの練習をしたいと言ったので、お腹へ手を添えて支えるついでにタッチした。とても興奮した
あまり露骨に触れるとマズいので、外側から円を描くように愛撫しつつ、もう一方の手は要所要所で膨らみの先端を――
(※都合により以下省略)
○8月5日
今日は転んだ振りをして抱きついてみた。悪い反応じゃなかった、ちっぱい様prpr
○8月6日
俺はちっぱい様のためなら死ねる!イアイアちっぱい!ジークちっぱい!
けれど育ってしまったら価値はない!俺がちっぱい様をタッチしている間に育ってしまったらどうすれば……
(※以後、掠れて判読不能)
257:以下、
――上条のアパート
上条「……なんだ……これは!?」
上条「記憶を失う前の俺に一体どんな秘密が――」
インデックス「通報しました」
――『上条「ちっぱい様観察日記」』、へ続く
258:以下、
――次回予告5
259:以下、
――駅
上条「……あちぃ……」
上条(なんだってこんな真夏に呼び出されるんだよ。クソ重い荷物持たされてさ)
上条(しかも待ち合わせ場所は駅のロータリー前とか、もっとあるだろ……)
上条(つーかこんな所で待ち合わせなんて、俺の他には誰も――) チラッ
黒髪の女の子「……」
上条「……居るな――よっと」 ポトッ
上条(俺と同じように旅行鞄持ってるし、ここって結構待ち合わせ場所として使われてんのかな)
黒髪の女の子「――ンー?」
上条(あ、ヤベ。ガン見してんのバレた)
黒髪の女の子 ニコッ
上条(はい?笑顔?)
黒髪の女の子「チョット、いーですかー?」
上条「は、はいぃ?」
黒髪の女の子「オニーサン、これ落としましたよー?」 ヒョイッ
上条「あ、俺のサイフ――ありがとう」
黒髪の女の子「イエイエ、どういたしてー――って、あっついですよねー」
上条「あぁうん、そうだ、ですよね」
黒髪の女の子「ヤダー、敬語じゃなくっていいですよー?オニーサン年上じゃないですかー」
上条「歳だけな。今見たようにあんましっかりしてないけど」
黒髪の女の子「アハハッ!そうかもしれませんねー――と、待ち合わせですか?こんな所で?」
上条「そっちも見ての通りだ。朝一で電話寄越して、『旅行へ行くから』って」
黒髪の女の子「彼女さんですか?」
上条「あんなお○ぱい大きいけど脳が残念な子は嫌だ」
黒髪の女の子「ソーナンデスカー?あ、だったらオニーサン格好いーし、私、立候補しちゃおーかなー、なんて」
上条「そ、そんな事言われての初めてだけど……」
260:以下、
黒髪の女の子「ンデ?オニーサンのお名前なんてーんですかー?」
上条「上条、上条当麻です」
黒髪の女の子「……」
上条「はい?」
黒髪の女の子「……チェー……時間の無駄だったよ」
上条「……はい?」
黒髪の女の子「テカよくよく考えれば分かったかー。だってこのクソ暑い中、待ち合わせ場所が同じなんてありえないし」
黒髪の女の子「イヤー失敗失敗。手っ取り早くコネ作ろうとするもんじゃナイネー」
上条「あのー……ちょっといいかな?なんで君、露骨に態度変わって――」
プップー
上条「お、ロータリーへ車が入って来――」
リムジン(※全長7メートル) ブルルルルッ
上条「――日本の交通事情じゃトラップ扱いのリムジン入って来やがった!?」
黒髪の女の子「しかも周囲に停めてあるバスがこぞって道を譲る……アー、能力使ってんなー」
上条「まさか――つーか確定だよ!こんな残念な事するのあの残念な子しか居ないもの!」
ウィーン……
黒髪の女の子「ア、窓が開いテー……」
食蜂「上条さぁーん☆かっみっじょーさーん☆」
上条「遠くから俺の名前を連呼すんなよ!?関係者だと思われるでしょーが!いや関係者だけどさ!」
ウィーン……
上条「あ、別の窓も開いて――誰?少しビリビリに似た女の子、か?」
茶髪の女の子「みーちゃーーーーーーーーーんっ!なんかスッゴイんだよ!車がおっきくておっきいの!」
茶髪の女の子「ピッってやったらね!星がキラってみさきちゃん凄いんだよ!」
黒髪の女の子「食蜂ちゃん!ドリーに悪い影響を与えるから能力を使わないで言ってるでしょー!」
上条「言ってやれ言ってやれ。あのお○ぱいに言ってやりなさいよ」
黒髪の女の子「だから人の居ない所でしろってあれだけ注意したのに!」
上条「あれ?君もそっち側の人なの?人として残念な系の子なんだ?」
261:以下、
上条「取り敢えず車と運転手さんを元あった所へ捨ててきなさい!何でもかんでも拾って来ちゃダメだってお母さん言ったでしょ!」
食蜂「えー、旅行って言ったらこういうのが普通力じゃなーい?」
上条「どこの世界に運転手付きのリムジンで遠出する学生が居る!?アラブの富豪じゃあるまいし返してきなさい!」
食蜂「アラブだって私の魅力力でチャームし・ちゃ・う・ん・だ・ゾ?」
上条「それ物理的な暴力って事だよね?多分向こうの王族は対策――つーか魔術師雇ってるから、返り討ちに遭うと思うが」
上条「あと魅力に”力”って着ける意味あるかな?最初誤字かと思ったよ」
黒髪の女の子「……これは」
上条「な、なに?」
黒髪の女の子「天然ボケ×2で間に合わなかったツッコミに光が――!」
上条「え!?俺ってやっぱツッコミ要員なの!?」
食蜂「さぁ――海へ行きましょう!」
――『食蜂「潮騒の響く渚で」』、へ続く
(※以上、では)
281:以下、
――常盤台喫茶 個室
海原「――個人的には○ちゃんと阿良々○君が和解して欲しくなかったですねぇ」
上条「唐突にアニメの話?しかも結構前に終ったよね?」
海原「何と言ってもあのゴミを見るような目つきで蔑まれるのは、やはりご褒美ですよねっ!」
上条「海原海原、テメーいい加減にその外骨格オリジナル海原君へ返してやったらどうだコノヤロー」
上条「確かにご本人はちょい素行に問題があるけど、下手すれば『暗部』に間違われる程悪い事はしてねーぞ」
海原「自分の外見だと少々目立ちますのでね。まぁいいじゃないですか」
上条「……なんかそのウチ俺の所へ、『上条さんドッペルゲンガーが出たそうですよっ取材しまっしょーよ!』って残念な子が来そうなんだが……」
海原「心苦しくはありますから、この姿でこっそり募金でもしましょうか?」
上条「こっそりしてる時点で意味がねぇな!……と、なんか悪いなお楽しみの所」
海原「自分の潜入捜査は後日でもできますからお気になさらず――どうせ緊急の要件だったのでしょう?」
上条「俺が、とある風紀委員ですのさんへ通報するから後日は二度と来ないが、まぁそうだな」
海原「信じてますよ!上条さんは恩に対して義理を忘れない人情味溢れる方だと!」
上条「……まぁ店も客も損してないっつーんだったら止めないが……」
海原「それで?死人のお話でしたよね?」
上条「そうだな――ってお前に言ったっけ?」
海原「結論から申し上げますと、自分は魔術師ですが死霊術士――所謂ネクロマンサーではないため、関連する術式を扱う事は出来ません」
海原「が、得意とする魔術の特性上、知識は持っていますのでご相談には乗れると思いますよ」
上条「すまん、ありがと……う?でもお前のって、アレだよな」
上条「素人考えだけど、アステカって割と死と直結した文化じゃなかったっけ?」
海原「自分の、より正しくはアステカ系魔術師で冥界関係の術者が得意するのは『屍体から霊装を作る』事であり、死人そのものは対象じゃないんですよ」
上条「うん?」
海原「ですからあくまでも自分達が有効利用するのは『屍体』であって、『死人』ではありません」
上条「いやごめん。意味が分からない、どっちも同じじゃねぇの?」
海原「……えーっとですね。順を追ってご説明しますと」
海原「古代アステカではイケニエを捧げてきました。こう、神殿の一部に輪っかを作り、そこへボールを入れたら勝ち、みたいな感じで」
上条「あぁ負けた方が罰ゲームな。文字通りの命を賭けた」
海原「いえ逆です。勝者から生贄が選ばれ、神へ捧げられたんですよ」
上条「……あい?」
282:以下、
海原「具体的には、その神殿の上で黒曜石のナイフで胸を裂かれ、頬骨の間から血の滴る心臓をくぱぁ、と」
上条「詳しく聞きたかったんじゃねぇな!?つーか個室指定した意味はこれかよ!」
海原「言っておきますが人身御供を捧げていたのは自分達だけではありませんよ。EUはドルイド、アフリカではブゥードゥ、アジアではカーリー教団」
海原「日本でも古くは補陀落渡海や人柱という風習が、ついぞ100年ぐらい前まではあったじゃないですか」
上条「否定はしないし前のは聞いた事もないが……でも、何?勝った方がなんで殺されんだよ?」
上条「俺だったら絶対死にたくないし、他の連中も多分そうだからそのデスサッカーいつまでも終りそうにないんだが……」
海原「まさにそこが価値観の違いでしょうね。自分達の文化では『イケニエにされるのは名誉』だとされていましたので」
海原「……まぁやり過ぎて人材不足に陥り、後年はイケニエ欲しさに戦争までしていましたが!」
上条「アレだよね?俺知り合いのイギリス人に『お前らスーツ着た蛮族だよね?』って散々言ってたけど、南アメリカも相当だよね?」
海原「アステカに近いマヤ文明ではイシュタムという自殺を司る女神も居ましたし、やはりそういう土地柄ではないかな、と」
上条「そんなに過酷だったっけ?」
海原「十字教とは違い、自殺が『肯定される”側面”』もありましたからねぇ。そこら辺は現代の価値観でどうこう言うのは間違っています」
上条「あぁだからお前の使ってた年代物のナイフも――って出すな出すな!今の話聞いて直視したいとは思わないから!」
海原「以上を踏まえて話を戻しますが、自分達にとっては『死は神聖なもの』であると分かって頂けたでしょうか?」
海原「だから――そう、”だからこそ死人が甦る”のは禁忌とされています」
上条「えっと……?」
海原「アステカでは優れた戦士であればある程、死して神へ命を捧げるのが尊いとされています。正確にはいました」
海原「でも考えてみて下さいよ。仮に魂なり肉体なりを復活出来てしまえるようならば、その捧げた命、チープになりませんか?」
上条「あー……分かるような」
海原「例えば年間所得が数千ドルに満たない家庭があったとしましょう。まぁ世界には遙かにそちらの方が多いのですが」
海原「その家で100ドル分の供物を買うなり用意したとして、大出費ですよね?文字通りに大枚をはたいた状態です」
海原「同様に。日収数千ドルの人間が、同じ神へ100ドルを捧げたとしましょう。こちらはレストランのチップ感覚で」
海原「さて、同じ百ドルですが、どちらがより信心深く、また神が喜ぶでしょうか?」
上条「……なけなしのお金を出した方だな」
283:以下、
海原「で、ある故に。『死とは絶対的で取り返しのつかないもの』でなければいけないんですよ、それこそホイホイ甦ってしまったりしてはいけない」
海原「そんな事がまかり通ってしまっては、自分達の先祖が捧げてきた命の価値が暴落しますからね」
上条「もしかしてさ」
海原「はい?」
上条「お前らの魔術が、妙に遺体や人骨を使いたがるって……まさか?」
海原「えぇ、誓って言いますが『死者の尊厳を傷付けている』つもりは毛頭ありません。むしろ逆ですね」
海原「優れた戦士の力を後世へ伝え、あやかろうとするのが目的です」
海原「勿論余所様で屍体を傷付けたり、墓を暴いたりするのは冒涜であると考える方や信仰もあるでしょう。それは否定しません」
海原「ですが自分達は決してぞんざいに扱ったり、面白半分でやっているのではありませんから」
上条「……成程。だからお前らん所では『死人』を使った魔術は発展しなかったと」
海原「あなたが今頭を悩ませている『死人の復活』系はありませんが、その代わり先祖霊と交信するのは出来ますね」
海原「女性の舌に穴を開けて紐を通してから、切った髪を血に浸して燃やし――」
上条「だから方法は聞きたくねぇよ!?」
海原「そうすると竜が現れ、その口から先祖の霊が姿を現します」
上条「嫌なシェンロ○ですねっ!」
海原「ただし!繰り返しますが自分が今お話ししたのは古代から近代にかけてのアステカの宗教観です。現代では当然違います」
海原「また同じく死者へ敬意を払ったとしても、十字教とは正反対の弔い方をしていますのでご注意下さい」
上条「南アメリカの……どこだったか、人骨で作った十字教の教会もあったよな。あれもお前ら流の信仰の表れだと」
海原「そうですね」
上条「十字教は最後の最期、審判の日に神様が甦らせて復活させるんだっけ?」
海原「はい。だから遺体を損壊させるのは禁忌ですし、また死人を甦らせるのは神の模倣として大罪にされていますね」
海原「……ただ、歴史的な災禍に度々見舞われ――ペストは知ってますよね?日本語では、えぇっと」
上条「黒死病。ネズミについたノミから人に感染する伝染病だな」
海原「その媒介となったネズミは……まぁやはり屍肉を漁る訳でしてね、えぇ」
海原「だから土葬とは非常に相性が”良”く、また当時の墓地は教会に隣接して造られる事が多いため」
海原「当時は街の中心へ教会が据えられるのが当たり前であり……余計に被害が拡散してしまった背景があります」
上条「流石にそこまで命の危険に関わると、なぁ?」
284:以下、
海原「納骨堂なんかも、一度土葬した遺体を掘り返し後に聖堂の中へ戻して安置する。それ自体は立派な信仰ですが、生憎ペストを野放しには出来ませんでした」
海原「統計学の一つに”世界人口”というものがありまして……大体西暦1年ぐらいに人類は何人ぐらい居たと思います?」
上条「まさに神話の時代だよな。あー……数十万ぐらい?」
海原「研究者によって幅がありますが、まぁ1億7千万?3億人ぐらいだそうです」
上条「あ、意外と居るんだ?……いやでも、今の日本人の倍ちょっとが世界人口と言われると……少ないか?」
海原「では続いて11世紀、西暦1000年ではどうでしょうか?」
上条「あー、今が大体70億ぐらいだろ?だったら、そこから3億引いて半分にしてーの……33、4億ぐらい?」
海原「外れ。これも約2億6千万?3億4千万人だと」
上条「……あんま、つーか全然増えてなくね?」
海原「ちなみに10億の大台に乗ったのが19世紀、1800年の産業革命直前ですかね」
海原「以上の事から分かるのは、人類は11世紀ぐらいまでは停滞していたんですよ。単純にね」
海原「人口が増えなかった理由は様々でしょうが、その一つに感染症が大きく寄与しているのではないかと」
上条「信仰深いのは良いと思うが、まぁ……なぁ?」
海原「それだけ十字教圏はアレだった証拠。それ以外も大差ありませんが」
海原「そう言えば負けた国の幹部を指導者の息子の誕生日に処刑し、遺体を家族へ返さずに海へ捨てた国があったような……」
海原「お察しします。いつか倍返ししましょうね?」
上条「なんの話か分からないが!今の季節には一度考えて欲しいですよねっ!」
海原「ま、遺体を大事にするのは、イコール死人の尊厳を大事にする、とも言い換えられまし、自分も否定はしません」
海原「同様の理由で未だにほぼ100%土葬が続けられている国もありますからね」
上条「ギリシャ正教だっけか。もう墓場がなくて困ってる所」
海原「よくご存じで。ある意味棺桶に囲まれて暮らすのもまた悪くはないでしょうか」
上条「……んー、まぁアステカの話――と、十字教の話は理解した、ような気がする」
海原「でも上条さんがお知りになりたい情報とは違うんですよね?」
上条「傾向と対策、かな?思い過ごしだったら、それに越した事はないんだけどさ」
海原「そうですね……他に自分が知ってる知識であれば、死霊術は決して使い勝手の良い魔術ではない事ぐらいでしょうか」
上条「ゲームとかでよくある『不死の軍団!コスパ最強!』じゃね?」
海原「いえ、ですから伝染病は?見た目が悪いので、確実に石を投げられるでしょうし」
上条「ス、スケルトンだったら大丈夫!」
海原「一々屍体を掘り起こして魔術をかけるのですか?それでしたら生きている人を動員し方が早いですよ」
海原「権力者になるなり、取り入るなりすれば人を動かす以外にも力を持てますし。骨の王になっても虚しいだけでしょう」
285:以下、
海原「……というか、上条さん。あなたは魔術がそんなに安いものではないとご存じですよね?」
海原「自分は少し事情が異なりますが、本来であれば持たざる者が持つ者へ復讐するために学ぶ術です」
海原「どうしてわざわざそれを死人を甦らせるんですか?もっと直接的な方法がある筈でしょう?」
上条「まぁな。そりゃ復讐するんだったら火球ぶち込んだり、呪い殺した方が早い――待て待て」
上条「動機だったら『亡くなった人にもう一回逢いたい』なんて普通じゃないか?むしろ日本神話にもあったろ、冥界へ下る神様の話が」
海原「よくご存じで。今日は冴えてますね」
上条「うん……一身上の都合でね、ついこないだ行ってきたばっかっつーかさ」
海原「えぇまぁですから、自分が言ったように『死人を呼び出して喋らせる』程度の術式は有り触れていますよね、割と」
海原「日本でもITAKOと言う専用の巫女さんが居ると聞きますし!」
上条「おいなんで今テンション上がった?巫女か?巫女さんも好きなのか?」
海原「あぁ上条さんはシスター派でしたっけ?」
上条「否定はしないよっ!俺はオトナだからねっ!」
海原「”その程度”は存在するんですよ。死人へ伺いを立てたり、簡単な会話をする程度であれば」
海原「ですが上条さんも仰ったような『死者の蘇生』に関しては、時として神ですら失敗している。違いますか?」
上条「すごーく非効率的だと?」
海原「死人が死人でなくなるのは、それはつまりある種の『永遠の命』と同義ですから。人類の永遠のテーマでしょうかね――と、そうそう」
海原「一つだけご忠告を。少々本題とは逸れますが、まぁこちらのお会計代としてサービスを」
上条「ここ俺のオゴリか!?……い、いや払うけどさ」
海原「詳しくお話は存じませんが、今探しているのは『甦ったかも知れない何か』で、間違いありませんよね?」
上条「ん、そうだな。あくまでも”かも知れない”ってレベルで」
海原「なのに、だというのに、上条さんは何故『死人』と呼んでいるのでしょうか?」
海原「復活を遂げたのであれば、それはもう『死人』とは呼べない筈でしょう?」
上条「あー……考えもしなかったが、なんでだろう?」
海原「その答えは簡単ですね。あなたへ話を持ってきた人間が十字教関係者だから。彼らの言い方をそのまま真似て、違いますか?」
上条「……ノーコメントで」
海原「では、深くツッコミはしませんが……基本的に十字教関係の方々に取っては、どれだけ完全に甦ろうが、それは『死人』と呼び続けるんですよ」
海原「どうしてかと言えば『復活とは神と神の子のみが行なえる奇蹟』である上、その対象も『十字教の洗礼を受けた者限定』」
海原「それ以外は全て偽物であり、まやかしに過ぎないと教会が明言しています」
海原「どれだけ完全に生前のままだと言っても、鼓動があり生きていたとしても、彼らにとっては『死人』なんです」
上条「それは……なんか」
海原「ですから決してその死人とやらに同情しないように。すれば依頼者をそのまま敵に回す事になりますよ、と」
上条「分かった。気をつけるよ」
海原「……あなたが”何も分かっていない事が分かった”のですが、まぁ苦労するのは自分ではありませんし、良しとしましょう」
286:以下、
海原「それよりもそろそろ何か頼んだらどうですか?店い――自分の後輩もやきもきするでしょうしね」
上条「その設定いい加減なんとかしろや――ハッ!?」
海原「どうされました?」
上条「お前”常盤台の理事長の孫”の皮を被ってんのって――まさか……?」
上条「任務どーたらを放棄してまで、尚且つレベル4の大能力者をブチ倒して復讐されるリスクを負いながらも使い続けるメリットとは――」
上条「――もしかして常盤台JCとお近づきなりやすいから、じゃ……?」
海原「企業秘密ですっ☆」
上条「お前いつか刺されるからな?」
海原「いえいえ自分など上条さんの足下にも及びませんよ!」
上条「あれ?その台詞って相手を褒める時に使うんじゃなかったっけ?」
287:以下、
――常盤台喫茶 個室
店員「――ベリーベリーミックスセットベリーは以上となりまーす!宜しいでしょうか、センパーイ?」
海原「はい、お疲れ様です」
店員「ではごゆっくりどーぞ――」 パタンッ
上条「……なんだろうな、これ」
海原「どうされました?」
上条「いや……正直『センパイって呼ばれんの悪くないな』って、ちょっと思った」
海原「でしょう?自分も常盤台カフェを出す場所へ出せば大人気だと思うんですよ!」
海原「ひまカフ○で『リアル?なにそれ新しい食べ物?』と大失敗をカマしてはいますが、是非に実現して欲しい!」
上条「おまひ○とタイアップしたメイド喫茶の話は止めろ。二次元と三次元のギャップに悩む人だって出てくるんだからな!」
海原「ちなみにとある筋から仕入れた情報によれば、裏で風紀委員と闇取引してるという噂も……!」
上条「白井さんじゃねぇかな?きっとみょーに小物しっかりしてんのも、監修やってくれてっからじゃねぇか?」 ズズ
上条「……と、紅茶も良い茶葉使ってんなー。美味しい」
海原「あ、今の間に食べておいた方がいいですよ?」
上条「何?モノ食えなくなるような話に突入すんのか?」
海原「素人さんには少々厳しいかと。スプラッター・ゴア好きな人間でもないと、はい」
上条「聞かなきゃ駄目か?」
海原「それはどうぞ自由に。ただし後悔とは”後になって悔いる”と書きますが」
上条「……あークソ!分かったよ!聞けばいいんだろっお願いしますよっ!」
海原「まぁ多少はマイルドにしますが、決して聞いていて楽しい話ではありません、と前置きはさせて貰いましょう――さて」
海原「先程も言いましたが――言いましたっけ?」
上条「出だしからコケてんぞー」
海原「死霊魔術全般、『死者の蘇生』――『黄泉帰りはコストに合わない』と」
上条「神様でも失敗するっけか?」
海原「えぇ。死者を迎え入れて支配する神も居るんですが、それはあくまでも『死んだままの人』ですから」
海原「例えばオーディンが迎え入れる戦士達は、やはりあの世ですし。冥界から一日の半分だけ帰還するペルセポネーは半死人」
海原「イザナミに至っては神ですら死の運命から逃れられなかった」
海原「また神でもなくとも個人がどうにかしようとしても、ほぼ100%の確率で失敗しているのが現状ですかね」
上条「まぁ理屈はよく分からないけど、言いたい事はなんとなく分かる」
288:以下、
上条「死人が簡単に甦るんだったら、ここまで医療は発達してないよなー、なんて」
海原「……その指摘は魔術師全般にも言える皮肉ですが、まぁそうですね」
海原「『”完全な形”での死者の蘇生』は、賢者の石を造り出すぐらいには難題とされていますね」
上条「妙に強調すんなぁ――つーことはアレか?”完全じゃない形”でなら、そこそこ成功するってか?」
海原「残念ながら……ゾンビはご存じで?」
上条「バイオがバザードする奴だろ?オカルト由来なのにサイエンスフィクションの領域へ入っちまってるし」
海原「あぁそれ元々は科学ルーツらしいですよ」
上条「マジで!?ゾンビだぞ!?」
海原「ブードゥー系の社会的制裁でゾンビパウダーという、物凄い強烈な毒薬を使用される刑があるそうです」
海原「その毒薬を使われると脳の殆どの思考が出来なくなり、『生きた屍体』として人から命令されるままになるとか」
上条「あー聞いた事はあるが……あぁじゃバイオも技術としては間違いじゃないんだ?」
海原「あくまでも系統的な話ですが――まぁその話はさておくとして、『生きた屍体』は誰かが造る物と、自発的に生まれる物の二種類あります」
海原「地域や国によっての細かな差異もありますが、例外なく共通しているのが――」
海原「――『生者を食い物にする』という事ですよ」
上条「……幽霊も?」
海原「幽霊が誰それを取り殺すというお話は有名ですよね?『生きた屍体』もまさにそれが関係します」
海原「ある種の哺乳類である霊長類ヒト科ヒト目を好んで捕食している、というケースが多いと」
上条「あー……それ、いつも思うんだけどさ。他の肉じゃダメなのかな?」
海原「近年に於ける人口問題、上条さんは如何お考えですか?」
上条「はい?」
海原「増えすぎた人口を適当な数にまで少なくするためには――そう、食糧問題と一緒に解決出来る方法があります!」
上条「それ以上言わせねぇよ!俺が悪かったから!魔術に理屈を求める方が悪かったから!」
海原「と、いう冗談はさておき、まぁ実はこれにも――『人間は死人と同居出来ない』という理にも、立派な答えがあるんですよ」
海原「屍体を屍体として適切な方法で弔わないと祟りますから」
上条「……オカルトの話か?」
海原「”発祥はオカルトですが、根本は科学の話”です」
上条「ちょっと何言ってるかわっかんないですよ?」
海原「都市伝説の一つの、『切り落とした腕』というものをご存じでしょうか?」
上条「なんとなく想像はつくが……グロ系だろ?」
海原「えぇまぁ一応お食事処でする話ではないので、要点だけを言いますと、色々あって切断された腕を巡って繰り広げられる都市伝説です」
海原「糖尿病であったり、また交通事故であったり、他には工事現場というパターンもあるらしいですが」
海原「その腕は非常にお食事中の方にはお聞かせ出来ないような最後になります――が、この都市伝説は正確ではありません。少なくともこの日本では」
上条「そうか?お前の話の触りだけ聞いてても、あぁありそうだなって思うんだが」
289:以下、
海原「はい。例えば糖尿病が悪化して切断せざるをえなかった四肢であれば、それは医師立ち会いの下に診断書が書かれ、即火葬にされます」
海原「同都市伝説の派生バージョンとなる『屍体拾いのアルバイト』でも、列車に轢かれたバラバラ屍体をアルバイトが拾う――と、されていますが」
海原「実際に回収するのは警察であり、洗浄の一部も彼らのお仕事となりますね」
上条「それを聞いて少し安心だが、そこまでキッカリする必要あんのか?」
海原「何故ならばそうしないと危険ですから」
上条「霊的な意味で?」
海原「ではなく『感染症という意味で』、です」
上条「……はい?」
海原「人間の体は雑菌の塊なんですよ。それも質量数十キロという肉の塊が抱え、それを媒介により悪い菌が大発生する可能性も高い」
海原「ペストでがヨーロッパが全滅しかかったのも、”それ”が理由です」
上条「あー……成程。死者を俺達が弔って埋葬するってのは、科学的な面から見れば防疫になんのか」
上条「昔の人はそれが『死者の呪い』や『祟り』みたいに解釈してたんだけど、実際にはただのパンデミックだったと?」
海原「仰る通りです」
上条「その延長線の話で、昔の人達は死者……っていうか屍体を怖いモンだと考えていた。正しく処理しないと祟る、みたいに」
上条「その畏怖や、科学的な寓意も込めて生まれたのが――」
上条「――『生者を食い物にする』」
海原「と、自分は解釈しています。実際に遺体から霊装を造るにしろ、きちんとした処理をしないと村や町の共同体が壊滅するレベルの病気が起こりかねません」
海原「また古代から中世にかけて、オリエンタル近辺では大規模な戦争が繰り返し行われてきました」
海原「その多くの戦死者を放置したため、近くの水辺が汚染されて畑や森が死んだケースを見、当時の人間はこう思いました」
海原「『これは死者を弔わなかった呪いだ』と」
上条「それを元に人類は神話や伝承を語り出し、それがまた元になって魔術が出来る……」
海原「どちらが先かは自分には分かりませんが、とにかく人と死人との境は明確に分けられましたね」
上条「お前がさっき言ってた『人口が中々増えなかった』ってのも、関わってそうな感じだよなぁ」
海原「2015年初頭から夏にかけて起きた、南アフリカでのエボラ出血熱の大流行。その原因と一つされているのが『葬式で死者にハグする風習がある』そうですね」
上条「科学が発達してなければ、何をやっていいのか、また何をしてはいけないのかの境は曖昧で」
上条「トライ&エラーで……まぁ言い方は良くないけどさ、誰かが死んだりするのを見て経験値を積まなきゃいけなかった訳か」
290:以下、
海原「人類の歴史はそうやって築いてきましたからね」
上条「でも、さ?その、死人を甦らせるのがそんなに悪いか?ってのも思っちまうんだな」
上条「俺が例えば、父さんなり母さんなりが少しでも生き返るんだったら――とか、迷うもんな」
海原「自分だってそうですよ。ただ善悪ではないだけの話で」
海原「ただただ『共存は出来ない』という一言に集約されるだけかと」
上条「よく――あぁごめん、雑談みたいな話になっちまうけど――道路で車に轢かれた犬猫の屍体ってあるじゃん?」
上条「あれに手を合わせるのも良くないって聞いた事はあるし、やっぱり……なぁ?」
海原「理解されてきた所なのに、お言葉を返すようで恐縮ですが、あれはまた別”かも知れない”ですね」
上条「うん?」
海原「グレイトフルデッド、という単語はご存じで?」
上条「老化させるスタン○、プロシュー○兄貴。アレな敵ばっかの世界で珍しく人格者」
海原「――の、更に元になったバンドさん達曰く、『チベットにある男の霊の話』だそうです」
海原「埋葬されない男のために旅人が自腹で弔った結果、以降旅人は不思議な幸運が続くようになったそうです」
海原「旅人は『あぁあの男の幽霊が感謝して助けてくれているのだろう』と。聖書にも似たような話があるらしいですね。自分は専門外ですが」
海原「あくまでも個人な見解で言えば、更に今までずっとやって来た体験談からすれば」
海原「手を合わせたり心の中で祈る程度でどうにかなるのであれば、それはしてもしなくても”そうなっていた”と思いますよ」
海原「大体その辺の普通の犬猫の屍体程度が祟るというのなら、所謂英雄や偉人の霊廟はどうるんですか?」
海原「キルスコアが万単位のNobu-nagaやHide-yoshiは?」
海原「心霊スポット行って幽霊が憑く話は良く聞きますが、本能寺行って『Nobu-naga憑いてきちゃったよー、やっぱり寺生まれってスゴイ!』とはならないでしょう?」
上条「戦国武将と一緒にすんなや!つーかローマ字にしてハイフンで区切るとなんかカッケーな!」
上条「――いや待て待て、つーか猫?どっかでその話が出たような……」
海原「あと言わせて貰えるのであれば、洒落怖系のお話で”寺生まれの○○君ってスゴイ!”的なのがありますよね」
上条「あぁ肝試しに行ったら、たまたま寺生まれのC君が霊媒先○ゴッコを始めるヤツだな」
海原「ですが原始仏教では血の繋がりは完全否定、むしろ開祖は邪魔になると捨てて出家していますし」
海原「そもそもの本懐としては『生まれに関係なく徳を積めば救われる』であり、あの話を作った人間は仏教の知識をまるでお持ちでないと」
上条「魔術的には遺伝する素質みたいなのはなかったっけか?イギリス王室なんかそうだと思うんだが」
海原「当然ありますね。けれど仏教は選ばれた某かが衆愚を扇動――先導するような話ではないでしょう。ならば資質も限定はされない」
上条「てか長々と話してきてなんなんだが……死人との共存って不可能じゃなくね?」
上条「寺生まれのC君、はさておき、手を合わせれば『あぁこの人は優しいんだな』ぐらいの判断は出来るって事だろ」
291:以下、
上条「少なくともチベットの旅人の話は、誰かの厚意へ感謝する心を持ってんだからさ」
海原「心……心ですか。持っているのでしょうかね」
海原「学習しても記憶するべき器を持たない彼らが、果たして自分達のように学習出来るとは思えませんが」
上条「どういう事?」
海原「よく死んだ後も生前と同じ行動をしている幽霊の話がありますよね?飛び降り自殺したのに、同じ場所からずっと飛び降りている幽霊、みたいな」
海原「人を呪うにしろ、どうしてそんな無駄な事をするんですか?あの世とやらがあるんでしたら、さっさとそちらへ行ってしまった方がいいのに」
海原「『生ける死体』にしてもそうです。過酷な環境で重労働を強いられても唯々諾々と従う。自分だったら逃げ出すでしょうが」
上条「それは――やっぱり死んでるし、もしくは実体も持たないからじゃないのか」
海原「ですね、自分もそう思います。どれだけ経験を積もうが蓄積する場所が無ければ意味は無い」
海原「その延長線上の話で、『死人は約束を破れない』という概念もあります」
上条「あー、なんとなく分かる。幽霊とかって意外と義理堅いようなイメージあるよな」
海原「あ、いえそうじゃなく。約束を破”ら”ないのではなく、破”れ”ないです」
上条「どう違うんだよ。自発的に破棄出来ない?」
海原「そうですね……上条さんがどなたかと約束するじゃないですか?例えば『御坂さんを一生守る』みたいな?」
上条「例えてないよね?具体的にその約束したもんね?」
海原「この約束を果たすのであれば、上条さんがある程度の距離で御坂さんに接し、守るのが最適でしょう」
海原「でも実際の所、上条さんの方がより大きなトラブルに見舞われる確率が高い――よって、逆に御坂さんを遠ざける事で約束を守ろうとした。違います?」
海原「懐かれてると気づいているのに、わざわざ嫌われるような態度を取って――例えば名前を呼ばないなんて意地悪をして」
上条「……優しいストーカーめ」
海原「今の話はあくまでも『最初の約束を守るため、一見反故にしたように思える行動を取る』という例ですが、現実での約束破りはよくある事です」
海原「昔々、『おっきくなったら結婚しようね!』と妹に言われた場合、自分調べでは100%の確率で約束は守られていませんしねっ!」
上条「誰に言ってんの?もしかしてお前遠回りに自分を擁護してねーかな?」
海原「約束破りは一般的には宜しくない事――では、ありますが、時として破る事も大切です」
海原「お土産にケーキを買って帰ると約束したのに、売り切れだった。だから別のお店でもっとお高いケーキにした、といえば大抵喜ばれるでしょうし」
海原「また緊急時や災害時も同じく。まぁ今更言うべき事ではないのかも知れません――が、今のはあくまでも生者の話です」
海原「一般に死者と呼ばれる物達はそれが出来ない。柔軟な思考力が失われているのか、そもそも考える事が出来ないのか」
海原「幽霊だけでなく、それは勿論『生ける死体』も例外ではありませんよ」
上条「体が死んでるからこれ以上記憶の上書きが出来ない、か?」
292:以下、
海原「と、解釈する以外はないと思います。もしくは精神そのものが死んでいるか」
海原「ですから『約束を破るという概念がない』んですよ。ずっと変わらず、学習せず劣化すら出来ない哀れな存在」
上条「……意志の強い人は、てか約束を頑に守る奴だっているだろ?それが悪い事だとは思えない」
海原「電波時計が毎日毎日同じ仕事を休まず繰り返すのを、上条さんは『時間を守って誠実だな』と褒めるのでしょうか?」
上条「……」
海原「個人の意見は尊重致しますが、人類の歴史に於いて死者と生者が共に暮らした事はありません」
海原「それは魔術的な困難さだけではなく、科学的に屍体を処理しないリスクの高さが原因だからですね」
海原「しかもそれらのリスクを負ってまで、言わば常に爆弾を抱えながら魔術の研鑽に励む死霊術士とはやらはクセが強いらしいですよ」
上条「知り合いとか居ないのか?」
海原「自分達は加工が専門ですので。一見近いように見えますが、彼らと相容れる事は有り得ませんね」
上条「お前らそれ五十歩百歩にしか見えねぇが……まぁいいや。なんとなくは分かった」
海原「――というか聞こう聞こうと思っていたのですが、こんな所で油を売っていて宜しいのですか?」
海原「確保してあるとは言え、長時間放置されるとリスクが高まりますよ」
上条「あぁそれは別に大丈夫だろ。俺以外にも探してっから、どっかっつーとサポートだし」
海原「……はい?」
上条「うん?」
海原「会話が噛み合わない気がしますね……どうしたものでしょうか」
上条「だからさ。何でも魔力で追跡出来るらしいんだけど、俺は無理だしって話だ」
海原「……そう、ですか?おかしいですね、それは」
上条「つーと何?」
海原「自分が話を聞いて想像するだに、上条さんプラス上条さんハーレムチームは『死人』の足取りを辿っている最中、ですよね?」
上条「その妙な敬称以外は合ってる」
海原「ならば――どうしてあなたの体からは『死人』の臭いが漂っているのですか?」
上条「――はぁ!?俺から!?なんでだよ!?」
海原「自分に聞かれましても。魔力の残滓等は特に感じられないのですが、こう、自分達のような特殊な人間には分かるんですよ」
海原「肉体が本格的に朽ちる、その直前に放つ花のようなどことなく甘い香りを」
海原「最初にお会いした時からしていたので、てっきりもう話は結構進んでいるものとばかり」
上条「いやぁ……どこですれ違った、つーかそんなに臭いかな?」
海原「何か心当たりはありませんか?例えば電車の中で妙な人と密着したとか、バスを待っている間に、とか」
上条「ないなぁ。特に普通――――――あ」
海原「思い当たる節があって重畳かと。ちなみにどこで?」
上条「……さっき、行き倒れさんをですね、拾った、かな……?」
297:以下、
――夜 路上
タッタッタッタッタッ……
上条(太陽は完全に地平の下へ隠れ、肌寒い冷気が足下から這い上がってくる)
上条(昼間は忘れていたが、その寒さは10月に相応しいもので――と、モノローグごっこしてる場合じゃねぇ)
上条(終電もバスもなくなる――学園都市は夕方に終るって設定、タクシーなんか呼べる金もない――から、全力で道を走ってる訳だが!)
上条(まさか道で拾ったカブトムシ子(仮名)さんアタリかもしんないって!どんだけ引き強いんだよ!もっと別の所でこの運を使って欲しかったけどな!)
298:以下、
――回想 常盤台喫茶(※常盤台非公認)
海原「――ま、取り敢えず落ち着いて下さいよ。焦っても良い事なんかありませんから」
上条「お、おぅ」
海原「まずはこのベリーベリーストロベリーベリーハッピーセットをベリー飲んでですね」
上条「ベリーつけすぎじゃねぇかな?明らかに修飾語の三重苦になってんだけどさ」
海原「えぇとですね。まず自分が嗅いだ『死体の臭い』はあくまでも感覚的なものに過ぎません」
海原「従って上条さんが直接接したのか、間接的に接したのかまでは分かりません――が、まぁ相当薄れていたので、直接ではないと思います」
上条「俺、一回公園で体も洗ったし、家で服も着替えてるのに?」
海原「料理人が臭いを嗅いだだけで使っている香辛料を当ててしまう。その延長線の話だと思ってください」
海原「ですから精度の方もあまり正確ではないのですが、恐らくは、と」
上条「……どうしたもんか」
海原「どうもこうもないでしょうね。成仏させる以外に選択肢がある筈も無く」
海原「自分が行って『分解』するのもいいですし、上条さんの『右手』があれば然程問題なく終るでしょう」
海原「死んだという自覚がない相手の場合ですと、気づかせればとの、言う話もありますが、逆に襲われる事も――」
上条「女の子だぞ、相手は!」
海原「ではもしも屈強な男性であれば即座に始末するのでしょうか?」
上条「そういう話じゃねぇよ!」
海原「あーいえ、お気持ちは分かりますとも。相手がモンスターみたいな形状をしていれば、それだけで排除対象になるのでしょうが」
海原「見るからに人間じみていれば同情するでしょうし、それは感情として正しいとも思いますよ」
海原「ですが、上条さんは知ったでしょう?彼らが人間としてはもう戻っては来られないと。存在するだけで害悪だと」
上条「理解はしたつもりなんだが……」
299:以下、
海原「ま、自分の事件ではありませんし、どんな結論を下すのかは上条さん次第でしょうけど――あぁでは最後に一つだけ」
海原「仮にあなたが『生ける死体』として甦ってきたとしましょう。この世界に何か未練があり、それを晴らしに帰って来ました」
海原「ヒューマニズムに充ち満ちた奇跡が起き、戻ってきたあなたに周囲の方々は戸惑いながらも手を差し伸べ、受け入れる。それはとても素晴らしい事でしょう」
海原「ですが――あなたは、死人故にそんなに親身になってくれた人達を食い殺さなくてはならない。誰よりも親しい身内を手にかけなくてはいけない」
海原「同族殺しの罪を着せるのか、はたまた笑って自身を差し出すのかは分かりませんが」
海原「……あなたに人の心が残っていたら、これ、耐えられますか……?」
上条「……」
海原「あくまでも私見ですが……『死人』とは”加害者であり被害者でもある”と思うんですよ」
上条「……うん?」
海原「人の肉を持ちながら、それでも同じ人を害さなければいけない――これは『加害者』であると言えるでしょう」
海原「時として存在するだけでパンデミックを引き起こしかねず、それはまさに呪われていると言っても過言ではありません」
海原「ですが――同時に『そうしなければいけない躰になってしまった』時点で、ある意味被害者ではないでしょうか?」
海原「大抵の場合ですと、甦る――黄泉帰”らせる”のは第三者であり、死者がそう望んだ訳ではありません」
海原「『死者の意を汲み取って』というチープな台詞は多々聞かれますが、本当にそう望んでいるのかは何とも言えません。ですが」
海原「もし、上条さんがそんな立場になってまで――」
海原「――生きていたいと思いますか?」
300:以下、
――路上
上条「……」
上条(……俺は――もし、俺だったら嫌だ。それは)
上条(誰かに、それも親しい奴らに尋常じゃない迷惑かけてまで生き返りたいとは……幾ら何でも)
上条(……けど、今の話の中心は――そう、主人公は俺じゃない。あの子だわな)
上条(死んだ人がどう思うかなんて、それこそ口寄せしてみても分からないと一緒。生きてる人間だって聞いてみないと分からない)
上条(それに海原が教えてくれたのは『一般的な死人』であって、それが全てのケースに当て嵌まらないとも言ってたっけ……?)
上条(まずは――そう、まずはだ。あの女の子が本当に確かめるのが先だろ、うん)
プップー
上条(……てーか、もうどっかで見たような気がしてるし、他でも会ってるような……?あぁクソ記憶が曖昧になってんな)
プップー、プップー
上条(あの日の出来事――『常夜』前後の事は、当事者である俺やアリサ達も少しずつ――)
プップップ、プッププ、プププ、プップップ、ププッププッ
上条「車のクラクションでB'○!?しかも初期の名曲だなっ!?」
上条(あ、やべ。クセでやばそうな黒塗りのワゴンツッコんじまった――て、窓が開く?) ウィーンッ
クロウ7「――こんばんは上条さん」
上条「あ、はい、こんばん、は……?」
クロウ7「取り敢えずどうぞ中へ。お送りしますので」
上条「あぁどうも――てか、ありがたいんですけど……タイミング、良すぎじゃないんですか……?」
クロウ7「そうでもないですよ。たまたま尾行していた所ですから」
上条「そっかー、それじゃたまたまですよねー――ってと、取り敢えず殴っていいですよね?」
クロウ7「……時間、ないんでしょう?殴りたければ前向きに検討したいのでどうがご乗車下さい」
上条「……日本人的な回答だな……!」
301:以下、
――車内
クロウ7「どちらへ行けば宜しいでしょうか?学内であればどちらへでも」
上条「あ、俺ん家までお願いします。って場所は――」
クロウ7「あぁ知っていますので、というか最初から尾行していました」
上条「どこのストーカーだよ。てかARISAのジャーマネ設定どうなった?」
クロウ7「先週、顔の皮を剥がされたばかりで、少し接合面が残ってるんですよ。ですので人前に出るお仕事は厳しいかと」
上条「あー……結局、セレーネ事件で傷負ったのって一人だけ……ん?だったら会うのはおひさしぶり?」
クロウ7「ですねぇ。自分と魔術結社のボスが入れ替わっていたのに、どなたさんも気づいて貰えませんでしたしねぇ」
上条「相手がプロだからですよねっ!ほら!変装とかのね!」
クロウ7「それにウチは慢性的な人材不足で……!ホームページで社員募集したのですが、応募して下ったのはたった一人だけという大惨事に」
上条「あー、あったなぁ。つーか俺のコメント削除して下さいよ。社員じゃないんですから」
クロウ7「しかもその方、岩○さんとおっしゃる方なんですが、かなり真っ当な方っぽかったので、泣く泣く不採用のお手紙を出せさて頂きました……!」
上条「どうしよう。知り合いの企業がブラック過ぎるんですが」
クロウ7「ま、まぁ詳しくは言えませんが、今日は業務の一環とお答えしましょう」
上条「……大体想像はつくがな。心配性のねーちゃんか、それとももっと心配しぃの妹さんのどっちかだろ?」
上条「俺に疚しい所なんてないから、別にしてくれたっていいんだけどさ」
クロウ7「ちなみに現時刻での最終報告は『常盤台の制服を着たお若い子に接待されるお店へ行った』、ですかね」
上条「あ、そうだよねっ!たった今ものっそいやましい疚しいお店に行ってきたばかりですもんねっ!」
クロウ7「自分はもう少し歳がいってる方が好みです」
上条「うん、知ってた。アリサも含めて多分知ってる」
上条「てゆうか、歳いっ――もとい、大人っぽいけどもシャットアウラは『88の奇蹟』ん時には大体中学生ぐらいだよなぁ?」
上条「あれが三年ぐらい前だって事は、シャットアウラ今高校せ――」
クロウ7「いえ、ですから自分がボスへ寄せる感情は信頼であって、そういうのとは違います――し」
クロウ7「上は子供が中学生の人妻から下は一桁まで幅広い交友関係の上条さんには、いやはやとてもとても」
上条「よしっ!これ以上は痛くない腹の探り合いになるから止めようかっ!痛み分けの内になっ!」
302:以下、
クロウ7「コールドゲーム並の大差がついたような気がしますが……まぁ冗談はこのぐらいにしましょうか。自分がどうして尾行していたのか、ですか」
クロウ7「まぁ指摘されたように、依頼があったからですね。とある筋からの」
上条「……あぁ、なんかすいません」
クロウ7「詳しいお話はまだ伺っていないのですけど、『死人』でしたっけ?」
上条「魔術サイドの話なんだが、首突っ込んで大丈夫ですか?」
クロウ7「殺せば死ぬのでしょう?”物理的にどうにかなる”相手であれば、多脚戦車を使える自分の出番かと」
上条「このバン、みょーにカッチリしてっと思ったら後部座席に積んでんのかよ」
クロウ7「正直、魔神だ結社だ、と言われるよりも分かりやすくていいです」
上条「……」
クロウ7「どうされました?」
上条「いや……何でもない」
上条(『殺すのがいいのか?』とは、聞けなかった……流石に失礼すぎんだろ)
上条(さて……今のウチに整理しちまおう。他に出来る事もないし)
上条(まずはあの子、ウチに居る子が『死人』だって可能性がある。海原曰く絶対ではないらしいが)
上条(確定じゃないし、あの子が接触した時についた香り?死臭?が、俺についたのも否定出来ない)
上条(だから現時点で判断を下せない。とはいえ放置も出来ないし、確保に向かってる最中だ)
上条(次にあの子の身元だ……どっかで会った気がするんだよなぁ。どこだっけか?)
上条(彼女が友達から言われてる話の中で、確かアレンダ?フレンダ?とかって)
上条(珍しい名前だよな。フレッドやフレデリックみたいな名前は聞くが、他じゃ滅多に――)
上条「……」
上条「……フレ、メア……?」
上条(そう――だよ!浜面んトコの女の子!垣根がペドって――もとい、ペタって張り付いてた幼女た!)
上条(特設ステージへ運んで貰う最中、俺は垣根の背中で揺られながらあの子のねーちゃんの話をした!『遠い所にいる』って縁起でもねぇよってさ!)
上条(それは浜面の頭が残念じゃなく、今にして思えばそのまんまの意味で……か!)
上条「……」
303:以下、
上条(それに……それよりか少し前の日に、デパートで買い物してた時にも、遭ってる……よなぁ?)
上条(ちっこいの二人に俺が買い物のお願いをしたのを、どこをどう勘違いしやがったのか蹴りくれやがって――)
上条(――そして、『冥界』で俺とアリサを助けてくれた、と……)
上条「……」
上条(……あぁクソったれ繋がっちまったよ。これで多分『死人』確定か)
上条(しかも俺、伝言を浜面に伝えんの忘れてる――あぁそうか、浜面の知り合いなんだよな、あの子)
上条(感情的には引き合わせた方がいいのか?下手に隠して事情を知らないまま遭遇したら、悲惨な事になるだろうし……よし)
上条「あ、すいません。電話しても良いですか?」
クロウ7「どうぞ」 ピッ
上条「それじゃ――――――待てよ?」
上条(俺があの子とコンタクトを取った、つーか発見したのを知ってるのは誰も居ない。海原も言いふらしたりはしないだろうし、聞かれなきゃ)
上条(ここで浜面に『あ、ウチで珍しいの拾ったんですよー』なんて言えば、柴崎さんからアリサ達に伝わる、よな。やっぱり)
上条(隠すようなこっちゃない。ないんだが……だよな?ない筈だ)
クロウ7「……ご心配なく。余所の女と楽しそうに喋っていた、なんて報告は致しませんから」
上条「話盛る気満々じゃねぇですかコノヤロー……あ、そうだ柴崎さん」
クロウ7「はい」
上条「『死人』の始末なんですが……」
クロウ7「そちらは自分達のコネでどうとでも。最悪の最悪、死体損壊程度には疑われるかも知れませんが、不起訴に持ち込みますから」
上条「た、頼もしいですよねっ!」
上条(……ダメだ。こっちに情報流したら即処分――いや待てよ。レッサー達は?レッサー達だったらきっと良い方法を考えてくれるよ!)
Trrrrrrrrr……
レッサー『――はーいどうもー、今夜もやって来ましたDJレッサーの”LateLateLateRadio☆”のお時間ですっ!』
レッサー『今日も張り切ってご機嫌なソウルを皆さんにお聴かせしちゃうんだぜ!覚悟して下さいなっ!』
レッサー『さぁ、一曲目のリクエストは学園都市にお住まいの、ハンドル”姉の愛情が重すぎて辛い”さんからのナンバーだ!』
レッサー『曲は”そろそろツッコミがないと間が持たない”のニューシングルを――』
上条「……」
レッサー『……最近、上条さん私の扱いに慣れてきてやしませんかね?』
上条「『えぇお陰様で慣れさせられたからなっ!基本ツッコんだら負けだってねっ!」
304:以下、
レッサー『――ちょ……待って……ぅんっ!』
上条「『……うん?どした?また混線ゴッコか?』」
レッサー『ランシス、今上条さんと話――やぁっ、指がエッチぃですってば……!』
上条「『……』」
レッサー『そんなに……強く、されたら聞こえ――ちゃいます……!』
上条「『間違いなく敵の魔術師の攻撃を受けてるなっ!今すぐ行くから場所を教えて下さいっ!さぁ早く!さぁさぁ早くっ!』」
上条「『あと近くに居るであろうベイロープさんとフ口リスさん達は写メと動画を頼むっ!俺が行くまで記録プリーズ!』」
クロウ7「ツッコまない言った側からツッコんでんじゃないですか」
レッサー『嘘ですけど。食いつきが良くて逆に引きます』
上条「『騙したなァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!よくも騙してくれたなァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!』」
レッサー『ていうか私を含めた全員が、庭の隅で死んでるセミを見るような目をしてますけど、そっちの写メだったら要ります?』
上条「『ごめんなさい。もうおフザケはしませんから』」
レッサー『どこをどう聞いても魂の叫びが夜のシジマに響いた気がするんですが……』
上条「『あー、ごめんな?夜遅く……は、ないけど』」
レッサー『いや構いませんよ。レジ締めも終った所ですし』
上条「『レジ締め?』」
レッサー『えぇ、我らが新アジト”ニホンダルマ日本支店”も中々評判が宜しいようで。なんでもどこぞのローカル番組で取り上げたいとJCが』
上条「『佐天さんには相変わらずバックギアついてないよね?仕様かな?』」
レッサー『ブリテンのおまじないグッズが珍しいらしく、割と稼がせて貰っていますよ』
上条「『へー。ちなみに一番人気は?』」
レッサー『幸運の一ペニーがなんとお値段税込み200円!ご奉仕価格でうっはうっはですなー!』
上条「『オイコラ詐欺師。ペニーって確かポンドの下の通貨で、セントとどっこいどっこいだよね?ぶっちゃけ数円程度の価値しかねぇよな?』」
レッサー『いえ、一応は”ラッキーペニー”というジンクスもありますし、根も葉もない嘘という訳では』
上条「『しかもお前ら確実に消費税の対象外じゃねーか!ぼったくりにも程がある!』」
305:以下、
レッサー『……マジ話だと、ユーロから学園都市までの出張費が結構嵩んでいます……』
上条「『あー……学生だったんだよな、お前ら』」
レッサー『このままだとベイロープが実家に泣きついて、縁談と引き替えに融資をして貰わなくてはいけないハメに!』
上条「『止めて差し上げろ。無駄に分岐していくんだからその手の発言はな!』」
レッサー『――上条さん!』
上条「『はい?』」
レッサー『ペニーってなんか卑猥ですよねっ!』
上条「『お前がイギリスの自虐ネタに走んなや!確かにアメリカじゃチップとして渡すと殴られても文句言えねぇらしいけども!』」
クロウ7「上条さん本題本題。そろそろつきますよ」
上条「『――っと!レッサー、ズバリ聞きたい!”死人”見つかったらどうするつもりだ?』」
レッサー『ズバリ処分しますけど?』
上条「『ですよねー……』」
レッサー『よく正しくはズバリではなく、バッサリですけど』
上条「『――うん分かったよ!それじゃおやすみっ!』」 ピッ
上条「……ふぅ」
上条(分かってた……レッサーさん達が”悪・即・バッサリ”逝く人らだって分かってた……!)
上条(……あ、いや対処としちゃあいつらが正しいのは分かる。俺だって知らない奴だったら、『仕方がないね』で済ませてただろうし)
上条(でも、なぁ?一度知り合った上、何と言っても恩人だし。向こうは憶えてないみたいだけど)
上条(ていうか冥界に居た俺の事も記憶してないみたいだよな?そもそもあそこに居た自覚があったら自分の立ち位置は理解して――)
上条「……」
上条(……それじゃアレか?あの子は『自分が死人だと自覚した瞬間に死ぬ』とか……?)
上条(それは……)
306:以下、
キキィッ
クロウ7「――はい、到着しましたよ」
上条「あ、はい。送ってくれてありがとうございます」 パタンッ
クロウ7「いえいえお気になさらず」
上条「それじゃ、どうも。おやすみなさい」
クロウ7「はい。よい夜を」
上条「……」
クロウ7「……」
上条「……帰らないの?」
クロウ7「……業務ですので、はい」
上条「あー……はい、お疲れ様です」
クロウ7「自分は念のためにマンションの周囲を調べてから帰りますので、どうかご安心下さい」
上条「すいません。なんか色々と」
クロウ7「そう思うのであれば、さっさと彼女さんを誰かに絞って下さると自分の気苦労も減るのですが……」
上条「はいっ!おやすみなさいねっ!また明日っ!」 シュタッ
クロウ7「相変わらず誤魔化すのが……まぁいいですがね」
307:以下、
――上条のアパート 周辺
クロウ7「さて……」
クロウ7(一通り見た感じで不審者、不審物はなし。極々普通の環境でしょうかね)
クロウ7(……というかリーダーも心配しすぎなんですよね。そうそう彼を害する人間が居るとも思えませんし)
クロウ7(不意の事故や、事情を知らない堅気の人間にどうこうされる事はあっても、それ以上に怖い方々から目をつけられるのは必然――と)
クロウ7(……ま、自分には関係な――)
ガサッ
クロウ7(植え込みの中に何か居る……?枝葉が邪魔でよく見えませんね)
クロウ7(素人ならば近寄ってミスするのはよくある話、特にホラー映画では死亡フラグですが。プロは慌てず騒がず機械に頼ると)
クロウ7(臭気感知装置――は、剥がされてから直してないんでしたっけ。でしたら携帯型の集音器を、と) カチッ
クロウ7(感度を上げて、拾った音から雑音を抜き、入力してあるサンプルと照らして合わせて音源がどれに最も近いかを絞る)
クロウ7(視覚と違って音は誤魔化しようがありませんから、人が隠れていれば吐息や心臓の鼓動でそれだけと分かります――と) ピピッ
クロウ7(呼吸音は感知出来ず、しかし心臓の鼓動は検知。パターンは……)
クロウ7(……猫と一致、ですか。まぁ人が隠れるにしてはおかしな場所ですし) クルッ
クロウ7(さてと。さっさと帰ってリペアでも――) ピピピッ、ピピピッ
クロウ7(分析結果の完全なデータが出たようですが……まぁわざわざ目を通す程のものでもな――)
クロウ7「……………………は?」
クロウ7「猫の心臓の鼓動数から推測する個体数――」
クロウ7「――さんじゅ――」
ザシユッ……!!!
クロウ7「か………………は――――――――!?」
…………バタ
???「ナー……ゴロゴロゴロ――」
???「――――――――――――にゃあ」
308:以下、
――上条のアパート 自室
上条「たっだいまー……と」
上条(内鍵はかかってたけど、チェーンはかけられてなかったぜ、と。ついでに合鍵も郵便受けに入ってなかった)
上条(部屋の中に居るのを期待したんだが……隠れるような場所は無いし)
上条(一応、そう一応、風呂場兼俺の寝室を覗いてみても、誰の姿もなかった)
上条(なーんか微かにゴウンゴウン言ってるが……あぁ洗濯機か。シャットアウラに貰った、ほぼ最新式の乾燥機付洗濯機!が、回ってる音だ)
上条(俺が回した憶えはない、から、きっとあの子がやってったんだろうが……うーん?)
上条(見事にどっか行ってるし、しかも戻ってくる気がある、感じだよなぁこれは)
上条(しかも素っ裸で外出る訳はねーから――べ、べつに興味なんてないんだからねっ――俺の服パクってったんだろうが)
上条(まぁ、そのまま戻って来ない可能性もあるが……んー?探しに行ってみるか?)
上条(浜面に連絡取れなきゃだし、表に出るのは――あー、柴崎さん居んだっけか?)
上条(一応そっちの確認もしながら、バレないよーにしてみっかなー。ま、なんとかなんだろ)
309:以下、
――アパート外 路上
上条「……」
上条(あのひぐらしの鳴きそうな黒いバンはどこにも見当たらない。帰ったんかな?……お疲れ様です。いやマジで)
上条(今の内に浜面へ連絡っと――) ピッ
Trrrrrrrrrrr……
浜面『――もしもし?どうしたヅラか?』
上条「『お前こそどうした!?唐突にその語尾なんだ!?』」
浜面『あーごめんごめん。今ちょっとフレメアと”ハピレスプリキュア”ごっこをだな』
上条「『やめなさい!そんな教育に悪いアニメ見ちゃいけませんよ!』」
浜面『俺がハマッヅラ?なんか陽性役で』
上条「『お前ホンットに気をつけろよ?彼女持ちが陽性の国行ったら人生詰むからな?』」
上条「『確かに一見メルヘンっぽく映るけど、実際には素人さんお断りの仁義なき世界だからな?』」
浜面『んでフレメアが――』
上条「『……あーアレだろ?キュアスター(二代目)とかでしょ?だって他に選択肢ないもの』」
浜面『いやキュアサベスだって』
上条「『カ・ツゥーラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?』」
上条「『持ち込みやがったな!?シリアスなこの世界にネタを持ち込み……あぁクソ!あのヤロウっ!』」
浜面『んで、どったん大将?こんな時間に珍しい』
上条「『あー……なんつったらいいか、そのさ、お前んトコのフレメアのねーちゃんの話なんだが』」
浜面『……フレンダの?』
上条「『嫌なこと確認するんだが……もう、亡くなってる、んだよな?絶対に?』」
浜面『どういう話だよ?何かの興味本位だったら、お前でも俺は怒るからな?』
上条「『……すまん。そういう茶化した話じゃ一切無いし、ここで――電話口で言っても信じて貰えるか分からない』」
上条「『だから――俺を信じて教えて欲しいんだ、頼むっ!』」
浜面『あー……まぁそこまで言われっちまうと、なぁ。なんつーか、だけど。ちょっと待ってな』 ガタゴト
上条「『浜面?』」
浜面『他の奴らに聞かれたらマズいんだろ?ベランダに出たから、もう大丈夫』
上条「『ん』」
310:以下、
浜面『あー……結論から言っちまうと……フレンダは死んでる』
浜面『俺がこの目で確認したし、他の”アイテム”の奴らも確認した。だからそれは絶対だ。間違いなんてありっこない』
上条「『……そっか……ごめんな』」
浜面『んで、なんでまたそんな話聞きたいんだよ?下手な言い訳したらぶん殴るからな』
上条「『……ウチに居たんだよ。ついさっきまで』」
浜面『お?U-chi?新しい食いモンかなんか?』
上条「『良いから落ち着け、そのまんまの意味だ』」
上条「『誰がどうやったのかは知らない。何のためにかも分からない』」
上条「『でも何らかの魔術を使って、その、フレンダを甦らせた、らしい』」
浜面『ハアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!?そんなんアリなのかよっ!?反則じゃねーかそっち側は!?』
浜面『甦るってアレだよな?イタコのばーちゃん口寄せ的じゃなくって、生きてた頃そのまんまって意味なんだよな!?なっ!?』
上条「『いいから最後まで聞けよ!でもそのまま、って訳には行かないらしいんだ!』」
浜面『え、どーゆー』
上条「『あくまでも可能性だが、その……死んだ人ってのは、やっぱり死んだ人であってさ?』」
上条「『人を傷付けられずには、いられない、みたいな……』」
浜面『……あぁなんとなく分かった――で、俺はどうすればいい?』
上条「『どうすればって……どう?』」
浜面『その”フレンダっぽい死人”を殺せば……いいのか?その手伝いをしろって?』
上条「『……違う。俺はそんなつもりで連絡したんじゃ――』」
浜面『――フレンダを殺したのはな。ウチ――”アイテム”の奴なんだよ』
上条「『――っ!』」
311:以下、
浜面『内容は言いたくねーが、そいつも死ぬ程――少なくともテメーの生き方見失って自暴自棄になるぐらい、悩んだよ』
浜面『どうしてって、それこそ盛大な八つ当たりで自分を融かすぐらいにはな』
上条「『……』」
浜面『俺は……俺は約束したんだよ。そんな奴でも守るって、もう”アイテム”が二度とバラバラにならないようにするって!』
浜面『……今のさ、大将の話聞いてるとさ?なんだかんだで、その……殺さなくっちゃいけないみたいじゃん?』
浜面『そんな、そんな辛い思い、させたくはねぇんだよ!俺は!もう二度とだ!』
上条「『……あー、うん、浜面。分かった、お前の言いたい事は、理解、した』」
浜面『……悪い。それでは俺は――』
上条「『――大丈夫だ、それは』」
浜面『あん?』
上条「『こっちは俺が”なんとかする”から、そっちは出来る限り、その……見つからないようにしてくれれば、それでいいと思う』」
浜面『――悪い!本当に、悪い!』
上条「『いや――こっちこそゴメン。何か平和にやってんのに、変な話持ち込んじまってさ?』」
上条「『こっちはこっちで何とかするから、うん、大丈夫大丈夫!上手く行くって!』」
浜面『……上条』
上条「『――あ、それじゃな?気をつけろよ、お前顔に出やすいからな?』」
浜面『オイ、まだ――』
上条「『それじゃまたなっ!』」 ピッ
上条「……」 プツッ
上条「……これが――」
上条(――『死人』って事かよ……!)
318:以下、
――上条のアパート 一階出入り口エントランス
上条「……」
上条(アパートの近くを探してみたものの、結局見当たらずと)
上条(ついでに言えば怪しいバンもなく、帰ってくれたのは不幸中の幸い、かな?)
上条「……」
上条(浜面の言葉……いや、俺がどうこう言って良い問題じゃないのか、それは)
上条(仲間を――友達を手にかけて、尚且つ今も仲良くやってるのは、そこにどんだけ葛藤があったのか、想像もつかない)
上条(たまたま首を突っ込んだだけの第三者が、感情に任せて詰っていい訳がねぇ――し。浜面だってだ)
上条(そんだけ大切にしてる仲間を守るために、元の仲間を――っていう”覚悟”がある。それはきっと半端な覚悟ではないに決まってる)
上条「……はぁ」
上条(とはいえ、とはいえだ)
上条(あの子――フレンダを、はいそーですかってさっさと処分する……)
上条(……そんな下らない事は絶対にしたくはないし、させたくもない)
上条(……だってホラ?アレじゃん?まだあの子が危険だって決まってもないし?)
上条(なんかこう、『陽性の国から来ました!』みたいなファンシーな可能性だって――)
上条「……」
上条(ないな、それはないわー。つーか今文字おかしくなかったか?まぁいいや)
319:以下、
上条(まぁまぁそれはいいとしてだよ。俺はこれからどう動くべきかを考えよう)
上条(今日はそろそろ日付が変わっちまうけど、引き続き彼女を探すのは不可能じゃない)
上条(学校もサボっちまえば、見つける可能性は更に高まる――それが雲を掴むような話で、0.01%が0.02%程度に上がるのであっても)
上条(……ただ、強行軍をしちまうとどっかで破綻するだろう)
上条(学校をサボれば土御門や青ピみたいな友達から、そうじゃなくても勘の鋭いレッサー達にバレるリスクが高まる)
上条(そして一回疑われたら、俺が秘密裏にこっそりと探すのは難しくなる……というか)
上条(現段階で俺がリードしているのは、『死人』の姿や顔を知ってるって一点だけ)
上条(レッサー達は……えぇと、何だっけ?魔力の残り香から探す?みたいな感じか)
上条(海原曰く、『魔力は感じ取れない』……らしいが、まぁ……下手に急いで探すのは止めにした方が無難だろう)
上条「……」
上条(『見つかった後』ってのもまた問題だわなぁ、これが)
上条(『新たなる光』だと処刑コース、黒鴉部隊も同じく)
上条(ハマッヅラ――じゃねぇや、同じ『アイテム』だった浜面も……てか、それだけは避けたい)
上条(……でもなー、出来ればなー、仲直りさせたいって言うかさ?)
上条(心情はどうあれ、割り切るかもさておき、あの子は故人の記憶と肉体っぽいものを受け継いでんだしさ)
上条(何とか、こう、せめてだ。妹さんぐらいに挨拶はさせてあげたい。うん)
上条(と、なると――写メかな?あのちっこい子に事情を話してなんかないだろうし、いつか話にしたって今ではないし)
上条(だとすると『お姉ちゃんは頑張ってるわよ!』みたいなメール出したっていい、かな……?そのぐらいは、さ)
上条(……浜面の許可なしにバカやらかすつもりはねぇが、一応写真の一枚二枚ぐらいは撮っておこう)
上条(……ま、捕まえるのが先だし、その間に何事も起こらない事を祈るが)
320:以下、
――上条のアパート 自室の前
上条「鍵、鍵……」 ガチャッ
上条「」 ガチャガチャッ
上条「あれ……?」
上条(鍵、今開けた筈なのに閉ってんな……?もしかして開けたまんまで出かけた、かな?)
上条「――って、まさか!」
上条(あの子が帰って来てる!?他に行く場所も無いだろうし、取り敢えず俺の部屋へ!) ガチャガチャッ
上条「……ただいまー……って居ねぇな」 ギィィッ
上条(台所、ベッドの上、ベランダ……にも居ない) キョロキョロ
上条(つーコトは風呂場か。あぁ洗濯の続きでもしてんのかな――あ、そだ)
上条(本人の安否確認用の写メ撮っちまおう。了解ないけど、後からとればいいし)
ガチャッ
上条「おー、お帰り。お前今までどこほっつき歩いて――」
フレンダ(※シャワー中)「――!?」 シャーッ……
上条 パシャッ、ピロリロリーン
321:以下、
フレンダ(※シャワー中)「……」
上条「――だん、だ……」
フレンダ(※シャワー中)「……」
上条 パシャッ、ピロリロリーン
フレンダ「なんでもう一枚撮った訳っ!?」
上条「ツッコム所そこかっ!?……あ、いや間違ってないけども!」
フレンダ「ていうか何でカメラ下に向けた訳よ!?」
上条「あぁいや『下も金なんだな』って。他意は無いよ?」
フレンダ「えっと――正座」
上条「あの、ここ下、濡れまくってんですけど……」
フレンダ「大声を出されて一生性犯罪者の汚名にビクつきながら生きていくのとどっちがいい訳?」
上条「――よっしゃ任せとけ!正座をさせたら校内一だと言われたこの俺に!」
フレンダ「あ、壁向いたままでね?あと、ケータイはこっちに渡す訳よ」
上条「……はい」
フレンダ「エーっと……あー、それじゃ整理する訳よ。オケ?」 ベキッ
上条「ノーオーケーでありますっ!たった今背後から電子機器をヘシ折った異音が聞こえましたけどっ!?」
フレンダ「あんたの人生が折れる方が好きなら、まぁ止めない訳だし?」
上条「形あるものはいつか壊れますもんねっ!サヨナラっ旅の報酬で貰った最新式のスマフォさんっ!短いお付き合いでしたねっ!」
フレンダ「で、なんだっけ?あー、そうそう、まずあんたは言いました――『俺は紳士だから不埒な事は考えない』と!」
上条「も、勿論だ!俺は誰に恥じる事はない!」
フレンダ「やだー、超カッコイイ訳ー――でねでね、取り敢えず自身の行動を振り返ってほしい訳なのよね?」 シャーッ
上条「あの……すいません?ちょ、ちょっといいですかね?」
フレンダ「あによ?」
上条「あのですね、俺の背後から水しぶきが飛んでくるって言うかですね、冷たいんですが」
上条「具体的にはテメー俺にシャワー浴びせてねぇか?あ?」
フレンダ「……これがシャバ最後のシャワーになる訳ねー」
上条「いやーシャワー好きだなぁ!特に夏は服を着たまま浴びるって最高ですよねっ!今は10月で寒いですけどっ!」
フレンダ「矯正施設のシャワールームで、ムサいオッサン共に後ろから前から……悪くない訳よねっ!」
上条「それだけは!ゴメンナサイするからそれだけは勘弁して下さいっ!」
322:以下、
フレンダ「話を戻す訳だけど、あんた言った訳よね?なんかこう『純粋に人助けだ』みたいな台詞言った訳だよね?」
上条「あー……言いましたねぇ、俺」
フレンダ「で?道で拾ったか弱く可愛い女の子がシャワー浴びてる最中に、カメラ構えて突入してきたのはどこのどなたさんって訳よ?」 カチッ
上条「……俺、かな――って、すんませんっ!緊急のお話があるんですが聞いて下さいっ!」
フレンダ「あ、ごめんちょっと待つ訳よ。今シャワーの温度最高にしてる訳だから」
上条「その話ですねっ!俺が何とかして欲しいのは丁度そのお話なんで――あちちちちちちちちちちちちちちちちっ!?」
フレンダ「この――ヘンタイっ!」
上条「ごめんなさいしますからっ!つーか悪気はなかったんだよ!むしろ善意で!」
フレンダ「善意で女の子の裸を撮る世界があるんだったら、滅びた方がタメになる訳だし!」
上条「まぁ、同感だ――アヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂッ!?マジで!?熱湯だけは勘弁して下さいっ!」
フレンダ「そんなにあたしの脚線美が好きだった訳か!」
上条「あ、ごめん。そういうのいいから」
フレンダ カチカチカチカチカチカチッ
上条「シャワーの水温を上げんのを止めてくださいっ!?それは高橋名○みたいに連射するもんじゃありませんよっ!」
上条「つーか珍しく俺の生活環境が最新家電に包まれてるのがアダになったな!ほんのちょっぴり嬉しいぜ!」 ドヤァ
フレンダ「微妙に喜んでる訳……?」
上条「お前には――あちちちっ――分からないだろうさ!あちちっ、追い炊きに1時間かかるウチの前時代的なあちちちちちちちっ!」
上条「つーかテメェ人が喋ってんだから熱湯止めろよ!?お約束でしょーが!」
フレンダ「……他に言いたい事はある訳、被告人?」
上条「ブラつける必要無くないかな?」
フレンダ カチカチカチカチカチカチカチカチッ
上条「バカっ!学習しない俺のバカバカバカバカっ!前も似たようなシチュで半殺しになっ――」
フレンダ「はーい、最大熱湯ショー開始って訳――よ!」
上条「だーーーーーーーーーーかーーーーーーーーーーーーらーーーーーーーーーーーーっ!」
323:以下、
――上条の自室
フレンダ「――ふっ、悪は滅びる訳よね」
上条「滅んだっつーか、今まさに俺の背中が大惨事なんですが……」
フレンダ「ていうかそんなに温度上げてない訳だし、ていうか一般家庭用のシャワーがそんな高温になる筈ない訳よ!」
上条「残念!俺んちは今最新家電に包まれてるんだな、これが!」
フレンダ「うっわ、自慢ムカツクー」
上条「まさかリミッター無しのアレな仕様になってるとは思いもしなかったがな!」
上条(……あれから誤解を解いて、どうにか許して貰ったんだが……背中はヒリヒリする)
上条(冷水のシャワーを浴びたが……まぁ、うん)
フレンダ「ていうかあんた、マジで盗撮する気だった訳?」
上条「いやー、だからそれば誤解だって」
フレンダ「どんな誤解って訳よ。まぁ百歩譲ってお風呂中なのは分からないとしても、なんであたしの写メ欲しかった訳?」
上条「そりゃお前、ご家族に安否をだな――」
フレンダ「身代金目的の誘拐っ!?」
上条「――じゃ、ないですねっ!ついこうフラっと!ほら、魔が差した的なカンジで!」
上条「可愛い子が居たから!俺の右手がつい勝手に!みたいな!」
フレンダ「まー、気持ちは分からない訳でもない訳だけどー」
上条「……ちっ、立場が立場だけに何も言い返せない……!」
上条「――まぁ冗談はさておくとしてだ」
フレンダ「うん?」
上条「お前、その危ねーヤツんちでくつろいでる訳だが、そこら辺の事情どうなんだよ?」
上条(拾った直後はブラック過ぎる背景がアレで突っ込めなかったが、今は少しでも話を聞き出すのが大切だな)
フレンダ「あー……」
上条「あ、いや別に出てけって訳じゃないし、何だったら居てくれても構わないんだけども……」
上条「どこでどうトラブってる奴を置くのもなんか気になるし、事情ぐらいは聞いときたいな、と」
フレンダ「そうねー……ま、相手が変質者だとしても、一宿一飯の恩がある訳よね」
上条「誤解が全く解けてないようで恐縮だが、それで?」
324:以下、
フレンダ「……いい?今からあたしが話す事は、絶対に他では言わない事。守れる訳?」
上条「……約束する」
フレンダ「……ん、それじゃ言うけど、あたし――」
フレンダ「――『タイムスリップしてた』訳よ……ッ!!!」
上条「……」
フレンダ「うんその、『何言ってんだコイツ?』的なリアクションになるのは分かってた訳よねっ!」
フレンダ「でも聞いてよ!あたし的には全っ然突拍子もない話じゃないんだから!」
上条「あー……タイムスリップなぁ」
上条(この子にしてみれば当然そう解釈するわなぁ)
上条(『誰かに殺されて、一年以上経ってから黄泉帰った』って思い付いたら、ある意味天才だが)
フレンダ「てかNARUT○が終ってた訳!ネ○兄さんも死んでるし!」
上条「テメェどっか行ったと思ってたら、コンビニで立ち読みしてやがったのかコノヤロー」
フレンダ「あ、でもHUNTER×HUNTE○は終ってなかった訳!むしろ一巻も進んでなくてホッとした訳よねっ!」
上条「あれもなぁ……てかマンガで確認すんなや。テレビか新聞で充分だろ」
フレンダ「……」
上条「どした?」
フレンダ「……オカルトって、信じる?」
上条「タイムスリップした時点で充分にオカルトだと思うが」
フレンダ「そうじゃない訳!そうじゃなくて、その……都市伝説、的なの」
上条「……なんか、あったのか?」
上条(自分が『死人』だって理解してきた、とか……?)
フレンダ「それがね――」
325:以下、
――回想 とある路地の一角
フレンダ『あ、あれ……?あたしどうしてXX学区にいる訳……?』
フレンダ『てかおなか……ついてる訳よね?なんで確認したんだろ……?』
フレンダ『ケータイ……は、ないしお金も無いか。何があった訳?』
フレンダ『多分あれじゃない?精神操作系の能力者とかち合って操作された訳』
フレンダ『んで身ぐるみ剥がれて――って服はちゃんと着てるけど――ほっぽり出された訳よね、うん』
フレンダ『――はっ!?まさか超ぷりちーなあたしの貞操が……ッ!?』
フレンダ『……今、『ぷりちー()』って空耳が聞こえた訳だけど、まぁ大丈夫な訳』
フレンダ『さってと。それじゃどこ行ったら……』
フレンダ『麦野んトコへ行って事情を……あれ?なんか寒気がする訳ね?風邪かな?』
フレンダ『あたしがこんな状況で麦野達が平気だって可能性も少ない、か。『暗部』として巻き込まれてるんだったらば、うんそうって訳』
フレンダ『んー?それじゃ……あぁお腹も空いたし秘密アジトへ行く訳よね』
フレンダ『武器が無いのはまぁ仕方が無い訳だけど、お金と』
フレンダ『念のため麦野達にもナイショで作っといたから、バレる可能性も低い訳だし』
326:以下、
――XX学区 ”元”アジト
フレンダ『……アジトが――無くなってる訳!?』
フレンダ『つーかコンビニ!?何でコンビニ風の建物に……ニホンダルマなんて趣味わっる!?』
女の子『おんやー?いらっしゃいませーお客様ー、そんなとこで見てないで中入ったらどーです』
フレンダ『え、あ、はい、うん?ありが、とう?』
フレンダ『てかちょっといい訳?いつの間にコンビニなんて建った訳よ?』
女の子『……いつでしょうねぇ。私はバイトの身なんでよくは存じませんが』
フレンダ『ま、まぁいい訳だけど――って店員さん、なんであたしに近寄ってきて、る……訳?』
女の子『お客さん――匂いをしてますよねぇ?花ですか、これは』 クンクン
フレンダ『……え?』
女の子『ていうか大分お憑れ――もとい、お疲れのご様子だとお見受けしますし』
女の子『どうです?中へ入ってお茶の一杯でも――』
フレンダ『イヤーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?』
フレンダ『バラされるーーーーーーーーーーーーっ!?中国の片田舎で見世物にされるーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?』
女の子『最近では”コンビニのトレイへ入った女子高生が出て来ない”バージョンへと派生してるようですよ?』
フレンダ『シュタッ!』
女の子『あ、ちょっとお客さーん――』
327:以下、
――上条のアパート 現在
フレンダ「――っていう怪奇現象が!」
上条「……」 グッ!
フレンダ「あ、あれ?どうしてあんたDOZEZAしてる訳よ?」
上条「……えっと……うん、気にしないで欲しいな。なんつーか、こう、あぁっと……まぁ、今なんか無性にDOZEZAしたい気分ってだけだから!」
上条(うん、全然理解してなかったな!)
フレンダ「そ、そう?まぁいいけど大変だった訳よ!ヤサにはお金や武器も仕舞って置いたのに!」
フレンダ「――ってあんたのDOZEZAがますます地を這うぐらいに小さくなってんだけど、ホントどうした訳?今頃になってやっちゃった感て訳?」
上条「一身上の都合でねっ!決して身内(バカ)の不始末に誤ってる訳じゃないからなっ勘違いしないでよねっ!」
フレンダ「なんで今更感が漂うツンデレになってる訳……?」
上条「……大変だったな、うん!お前は大変だったよっ!いやマジでねっ!」
フレンダ「信じてくれる、訳?」
上条「勿論さっ!つーかあのバカ――もとい、どっかの俺の知り合いなんかじゃない奴らに代って!いつまでもここに居たら良いし!」
フレンダ「でもすこーし貞操の危機を憶えるような」
上条「貞操の危機()」
フレンダ「えっと、アンチスキルの一番近い詰め所はっと」
上条「いやー俺彼女居ないから!こんなキレーでぷりちーなお嬢さんを泊めるのは緊張しちゃうんですよねっ!」
フレンダ「ていうか怖かった訳よー。何だったんだろ、アレ?心霊現象?」
フレンダ「次行った時、お店が跡形もなくなってそうで怖い訳よね」
上条「いやぁ……うん、まぁ本人達からすればギャグ、つかボケなんだろうが……」
フレンダ「てかガイジンがなんであたしの隠れ家に居た訳……?」
上条「お前も外人だな?なんか日本に長く住む外人は、みんなそういう感覚になるって言うけどもだ」
フレンダ「――あ、そうだ聞いてよ!あたしの不幸はそれだけじゃ終らなかった訳だし!」
フレンダ「隠れ家を追われたあたしは!誰かの家に転がり込もうとした訳よ!」
上条「お前、それものっそい危険だぞ。割と本気で注意すっけどさ」
フレンダ「……まぁ、道を歩いてたら、こんな事があった訳……」
328:以下、
――回想 とある学区の路地裏
フレンダ『あー……』
フレンダ(どうしよう……他のアジトも含めて全滅……っていうかなくなってるし)
フレンダ(こんな短期間に全部潰せるなんて……相当の力を持った組織に狙われる訳か……!)
フレンダ(ってコトは下手に麦野達に連絡したらヤバい訳だし、かといってホームレスになるのはイヤだし)
フレンダ(これはもう、適当な相手をとっ捕まえて転がる込むしかない訳かー。あー気が進まない訳だしー)
フレンダ(脂ぎったオッサンに誘拐されたら人生終る気がする訳。薄い本的な意味で。それだけは何としても避けたい訳よね)
フレンダ(……っと、それっぽいカモ発見っと――)
青髪ピアスの男『……』
フレンダ『あのー――』
青髪ピアスの男『……どっかに女の子落ちてへんかなぁ……』
フレンダ『』 ビクッ!?
青髪ピアスの男『あれやんな?こう、まずは道を歩いてたら「助けて下さい!追われてるんです!」は基本やね。王道っちゅーか』
青髪ピアスの男『もしくは家帰ったらベランダにシスターさんが落ちとるとか、裏路地でリアルロ×を拾ったりせぇへんかなー』
青髪ピアスの男『やっぱ出会い言うたらアレやん?人間第1印象が大切やんな』
青髪ピアスの男『危機を乗り越えて惹かれ合う男と女っ!古きよき時代のボーツミーツガールは守っとかんとアカンで!』
青髪ピアスの男『そりゃ空から女の子降ってきたら世界敵に回しても戦うわ!当たり前ですやん!』
青髪ピアスの男『……ま、今の流行りも――』
青髪ピアスの男『最近は異世界転生チートモンばかりで風情がないっちゅーか、嘆かわしい事やん?……でも流行りは流行りやけど』
青髪ピアスの男『やっぱ転生するんやったらアイン○さん的なのはイマイチやね。楽しいのは楽しいやろうけども、イビルア○はんprprできひんし』
青髪ピアスの男『口リババ○……口リバ○アになって賢者の弟子のフリするんは……アリ、やな……っ!』
青髪ピアスの男『TSプラスロ×を兼ねられる……これまさに天才としか言えへんよ!そうやね!』
青髪ピアスの男『……あ、でもあれWEB版の微エ口描写、文庫版ではバッサリ切られとぉな……あれは頂けんわー、ホンマに――って』
青髪ピアスの男『ねーねーそこのカノジョ!』
フレンダ『は、はい?』
青髪ピアスの男『もしかして前世でボクら恋人同士やなかったっけ?』
フレンダ『おまわりさんこの人です』
329:以下、
――上条のアパート 現在
フレンダ「って変質者に絡まれたトラウマで、あたしは不幸な路上生活を余儀なくされた、って訳よ」
フレンダ「本当に、ホンットーに最近は治安が悪い――って、あんたはどうして床に額を擦りつけんばかりに再DOZEZAしてる訳なの?」
上条「……いや……なんつーか、うん、ごめんなさい……ッ!」
フレンダ「ハダカを見られたとは言え、そこまで卑屈になるのはどうかと思う訳だけど」
フレンダ「……ま、あたしはそんなこんなで大っ変な思いをしてきた訳なのよ!」
上条「辛かったんだな……そんな、若い子がカブトムシの臭いをさせるまで頑張るだなんて!」
フレンダ「別に好きでそうした訳じゃないんだけど……」
上条「てかアジトそんなに大切だったのかよ。身動き取れなくなる程に」
フレンダ「あー……っと、どうしよっかな?あんたには話しても良いような気がする訳だけど?」
上条「信用出来ないんだったら、まぁ無理して話す必要はないぜ?……言ってて自分で凹むがなっ!」
フレンダ「覗きは、まぁ何かの事故っぽいのは分かったけど……んー……巻き込んだら悪い訳だし」
上条「お前の能力に関してか?」
フレンダ「そうよ。『兵器庫艦(バックヤードキャロット)』って能力な訳――」
フレンダ「……」
上条「うん?どした?」
フレンダ「――巧みな誘導尋問っ!?あんたその筋のプロって訳か!?」
上条「まずお前の言動を省みろ!つーかどこの世界にここまで失敗しまくる尋問官が居るんだよ!」
フレンダ「ま、そこら辺は信用してる訳。こんなとっぽいニーチャンが『暗部』とは思えないし」
上条「……もうそこまで言ったら、つか拾った時点で巻き込まれてんだからさ、話してくれよ」
上条「まさか聞いたら即死末されるようなヤバい能力じゃないんだろ?」
フレンダ「んー……まぁ知られても問題はない訳だけど……アポート、って聞いた事ある?」
上条「あぽーと?」
330:以下、

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