【艦これ】響「不死鳥の止まり木」back

【艦これ】響「不死鳥の止まり木」


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1:
登場人物:提督,響,暁,雷,電.
ぴったり30レスで終わるはず。
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2:
――――――――――――――――――――――――――
提督「お、おい響……ちょっと酔い過ぎじゃないか? いくら飲めるって言っても駆逐艦なんだし、そろそろ止めた方が……」
響「……ひっく。いいんだ、私は明日はオフだから……ひっく」
提督「いや、俺の管理責任が問われるんだよ……普段から小っちゃい子にあまり飲ますなって、妙高さんとか香取さんとか煩いんだぜ?」
響「大丈夫。自分で勝手に飲んでるだけだから……ひっく」
提督「そういう問題じゃなくてな……まあ既に手遅れだしな……今日は好きなだけ飲め! 俺が許す!」
響「言われなくてもそうするさ……司令官、頂戴」
提督「あ、俺がお酌するのね……はいはい響様の仰せのままにしますよ……」
3:
響「ばーしぱす……ところで司令官、話は変わるんだけど」
提督「なんだ? 俺の贔屓のチームがたった1年でJ2に降格しそうでヤバい話か?」
響「違うよ……それは響の知ったことではないから」
提督「酷い! 響の薄情者!! お前もJ2に落としてやろうか!!?」
響「わけがわからないよ……ねえ、私の話を始めてもいいかな?」
提督「お、おう……余計な茶々を入れて済まなかったな」
4:
響「うん……実はね……」
提督「……おう」
響「しばらく前から……『ハラショー疲れ』で悩んでいたんだ」
提督「……はい? ちょっとよく分からないんだが……もう少し詳しく!」
響「鎮守府の誰と居ても、ハラショーと言わなければいけない気がしてね。気が滅入ってたんだ……」
提督「ほう……そうだったのか」
響「私だってハラショー以外に言いたいこと、たくさんあるんだけどね……」
5:
提督「そりゃそうだろうな」
響「でも、皆は私にそれを期待しているみたいでね……」
提督「なるほどね……あっ!」
響「どうしたの?」
提督「そういや、何時からかハラショーハラショー言う子が増えたよな? あれも関係あるのか?」
響「大ありだよ!」
提督「お、落ち着けって……」
響「あっ、すまない……その原因が、諸悪の根源が、あのくそったれのアニメ撮影なんだ……ひっく」
6:
提督「そ、そこまで言うか……」
響「事実だからね。事実を言っただけで、何か都合が悪い事があるかな? 響はどこか間違ってるかな?」
提督「だ、大丈夫だ、問題ない」
提督(響ちゃん怖い……相当おかんむりだぞこれは……)
響「ねえ、司令官はどう思ったかな?」
提督「どう思ったって……アニメ撮影か?」
響「うん。特に私に関してね……ひっく」
7:
提督「そうだなあ、うーん……響がアニメに出て、俺も嬉しかったよ。響も、第六駆逐隊のみんなも、天使だなぁ……って」
響「……うん、ありがとう」
提督「でも……響は、ハラショーしか喋ってなかったような気がするなぁ……」
響「……そうだね」
提督「俺以外の皆もそう思ってたのかな……」
響「うん。皆の印象に残ってしまったらしくてね……あれ以来、私がリアクションをとる瞬間、一斉に視線が集まってきて……」
提督「なるほどなぁ……ハラショーを期待してる視線か」
響「うん……Блин, надоело……うんざりだったよ」
8:
提督「響はそういうの嫌がりそうだもんなぁ」
響「私は余計な所で目立ちたくないよ。目立つなら戦果とか功績がいい」
提督「立派だな、えらいぞ。監督としても使いたくなるよ、ゴールやアシストに貪欲な子は」
響「えっと……監督じゃなくて提督じゃないのかな?」
提督「……そうだね、うん。私は貴女の提督ですよ」
響「? うん、私の司令官だよ」
提督(私の司令官……私だけの司令官……言われてみたい……)
9:
響「司令官? さっきからちょっと変だよ。さては酔ってるね?」
提督「俺が変なのは元からだし、へべれけのお前に言われたくは……っていうか、ちょっと待て……あれれ??」
響「どうかしたの?」
提督「いや、気のせいかもしれんが……響とこんなに仲良くなったのって、アニメ撮影の頃からじゃないか……?」
響「!……ふふ……そうかもしれないね……ふふ……」
提督「な、何故笑いをこらえているのでしょうか……?」
響「ふふっ……奇妙な偶然もあるものだね……」
提督「え、マジで笑ってる理由が分からん……どういうことなの……」
10:
響「ふふふ……はぁ……可笑しいね」
提督「失礼ですが、可笑しいのは響さんの方ではないでしょうか……」
響「……司令官も、同じだと思ってたんだよ」
提督「お、同じ? 何が?」
響「ハラショーかぶれの皆と同じ、その内の一人ってね……」
提督「……なるほど」
響「でも実際は違ったんだ……司令官は、私に何も求めなかったから」
11:
提督「……つまり、響が俺と一緒に居るようになった理由は」
響「うん」
提督「ハラショーと言うことを……強いられていないと感じたから? もしくは俺がハラショーと言わなかったから?」
響「……まぁ、そういうことだね」
提督「えぇ……」
響「でも、私にとっては大事だったんだ。ノイローゼになりそうだったし……」
提督「そりゃ深刻な問題だが……」
響「そうだよ。それに、司令官に安らぎを求めた、とも言えるよ」
12:
提督「そう言われると聞こえはいいけどな……」
響「何が不満なのかな?」
提督「いや、ちょっと浮かれてた俺が馬鹿みたいだっていう話さ……」
響「……どういうこと?」
提督「あのラヴリーエンジェル響ちゃんに好意を寄せられてるのかな……なんて恥ずかしい自惚れもあった訳だよ」
提督「実際は、たまたま都合が良い相手だっただけ……ってな」
提督「まぁあれだ……正式オファーだと勝手に思い込んでたけど、実は飛ばし、エアオファーだったみたいな……」
提督「サムライブルーのエアKになった気分だな、はは……」
13:
響「……いいんだよ」
提督「へ?」
響「キッカケなんて、何だっていいんだよ。些細な事だよ……あれからずっと、私は司令官と一緒だよね」
提督「ま、まぁ……そうだけど」
響「確かに最初は、空気を読むのに疲れて、逃げてきたかもしれないけど……」
響「今は……ハラショーとか抜きで、司令官と居たいと思うようになったよ」
提督「響……」
響「今の私にとって、司令官は……」
響「司令官は……」
14:
響「と……」
提督「と?……」ドキドキ
響「止まり木……かな」
提督「と、止まり木……??? 俺は止まり木? 鳥が羽根を休めるやつ? ってことは響ちゃんは鳥さん?」
響「そうだね……私は、籠の中の鳥さ」
提督「……以前と何か違うのか……?」
響「違うよ。全然違うよ。戦艦クラスと秋津洲くらい違うよ」
提督「そ、そうなんだ……そりゃえらい違いだな……」
15:
提督「ちなみに以前は……?」
響「以前の司令官は……さしずめ縁切寺の坊主って所かな」
提督「なんだその嬉しくない例えは……」
響「まぁ……緊急避難所みたいなものさ。私は切羽詰まってたんだよ」
提督「うーん……よく分からんが、響の為になったなら何でもいいや……」
響「……ふふ」
提督「ど、どうした?」
響「私達、次は何に変わるのかな……?」
16:
提督「何にって言われてもな……すぐに思いつかないな」
提督「そもそも響は……って寝てるし……」
提督(あれだけ飲んでりゃ無理もないか……)
提督(さっさと暁型の部屋に届けてくるか)
提督「しかし……止まり木ねえ」
提督(そんな名前のスナックだかバーが在った気がするが……そういう意味じゃないよな……?)
提督(まぁ違うとは言い切れないが……)
提督「……なんにせよ、坊主よりはマシか」
17:
――――――――――――――――――――――――――
暁「響! いつまで寝てるの! そろそろ起きなさいよ!」
響「ん……いまなんじ……?」
暁「もうお昼よ。ヒトフタマルマル。オフだからって寝過ぎだわっ」
響「きのうすこしのみすぎてね……」
雷「駄目じゃない! 節度を持って飲まないと!」
電「なのです。隼鷹さんみたいになっちゃいますよ?」
響「うん、きをつけるよ……」
暁「ほら、顔洗って、歯を磨いて、目を覚ましてきなさい」
響「うん、ありがとう……」
18:
響「……」パシャパシャゴシゴシ
響「ふぅ……気持ちいいな」
響(私が寝過ごすほど飲んだくれるとはね……焼きが回ったかな)ニュルン
響(司令官と何を喋ったか、あまり覚えてない……)シャコシャコ
『司令官は、私に何も求めなかったから』
響「……あれ?」
19:
『それに、司令官に安らぎを求めた、とも言えるよ』
『今は……ハラショーとか抜きで、司令官と居たいと思うようになったよ』
『今の私にとって、司令官は……』
『止まり木……かな』
『私は、籠の中の鳥さ』
『私達、次は何に変わるのかな……?』
20:
響「う、うわあああああああああああああ!!!!!!!!」ダッシュ
暁「ぴゃあっ!?」
雷「ど、何処行くのよ!?」
電「歯ブラシ咥えたまま行っちゃったのです……」
雷「せ、洗面所にGでも居たのかしら……?」
電「ふにゃああああ!?」
暁「それは無いわよ。響は虫とか平気だもの……」
暁(もしかして、昨日の何かを思い出した、とか……?)
21:
――――――――――――――――――――――――――
響(お酒の勢いに任せてなんてことを……)
響(穴があるなら入りたい……穴掘って埋まっていたい……)
響(どんな顔で司令官に会えばいいんだ……)
提督「おう、響! よく眠れたか?」
響「!?」ビクッ
提督「歯ブラシ咥えたままふらふらしてると危ないぞ?」
響「ん?!!!!」ダッシュ
提督「あ、あら……何で逃げたし……」
22:
――――――――――――――――――――――――――
暁「あっ居た! 司令官!」
提督「(響の次は暁か)……おう、おはよう」
暁「お、おはようございます……ちょっと聞きたいんだけど、いいかしら?」
提督「んー?」
暁「昨日……響と何かあった?」
提督「……いや、特別何もなかったぞ。一緒に酒飲んだだけだ」
暁「ホントに……?」
提督「嘘吐いてどうするんだよ……俺はシミュレーションが嫌いなんだ。くたばれダイブ野郎どもってもんよ」
23:
暁「え……えっちなこととか、してない……?」
提督「……はい???」
暁「だ、だからっ! 響が叫んで走り去るなんて、普通じゃないっていうか……え、えっちなことしたの、思い出して、とか……」
提督「あのなぁ……そんなこと考えるお前が一番えっちだ」
暁「ぴゃあっ!? え、えっちじゃないわよっ! 司令官のバカ!」
提督「バカって言うほうがえっちだ、エロつきめ」
暁「え、エロつきじゃないもん! エロ司令官!」
24:
提督「……はぁ。本当に何も無かったよ。ガーディアン紙の移籍情報並みに信じていいぞ」
暁「よ、よく分からないけど……信じるわ。司令官、嘘言ってるようには見えないから」
提督「ありがとな。まぁ昨日気付いたことと言えば……響がいつもよりお喋りだったかもな」
暁「へ?……でも、それでああなるとは思えないわね……」
提督「……別に恥ずかしい暴露話とかも無かったしなぁ」
提督(俺にとって嬉しいような悲しいような話くらいだよな)
提督(都合のいい男とか、坊主とか、止まり木とか……流石に関係ないだろ)
25:
暁「うーん……それじゃ、司令官は関係ないのかもね。ごめんね、色々言っちゃって……」
提督「いや、全く気にしなくていいぞ。むしろありがとう」
暁「な、なんでお礼を言われてるのかしら……?」
提督(暁の口からえっちとかエロとか聞けたからな!)
提督「……あ、もしかしたら、部屋に送るときにおんぶしたからかな?」
暁「そう……なの?」
提督「まー止むを得なかったとはいえ、身体に触れてしまった訳だし、悪かったかもな。ごめんって、響に伝えておいてくれ」
26:
――――――――――――――――――――――――――
暁「あっ響! やっと見つけた!」
響「……やあ暁。さっきは取り乱してすまない」
暁「ううん、大丈夫よ。それより、司令官から伝言預かってきたわ」
響「えっ!?」
暁「ど、どうしたの? そんなに驚いて」
響「え、いや……何でもないよ。それで、伝言って……」
暁「えっとね……響をおんぶした時、身体に触っちゃったから、ごめんなさいって」
27:
響「……それだけ?」
暁「ええ、それだけよ。どうして?」
響「……いや、無ければ無いでいいんだ。ありがとう、暁」
暁「う、うん。どういたしまして」
響「ねえ、暁はお昼、済ませたのかな?」
暁「まだよ。響が起きてから、一緒に行こうと思ってたから……」
響「それじゃ、司令官も誘って、皆で行こうか」
28:
――――――――――――――――――――――――――
提督「響、どうかしたか?」
響「……うん。美味しいね、このパスタ。天龍いちおしなだけあるね」
提督「ああ、アイツは意外とこういうの詳しいもんな。ホントうまいわ」
響(司令官は昨日私が言った事、理解してないみたいだ)
響(さっき取り乱したのは、取り越し苦労だった訳だね……)
響(まぁ……だから楽なんだけどね。変に気を遣わなくていいから)
提督「パスタと一緒にワイン飲みたくなってきたな……」
雷「ダメよ、昼間からお酒飲むなんて! 昨日も飲んだんでしょ?」
29:
響(……でも、お酒はしばらく止めておこうかな)
響(何から何まで喋ってしまいそうだし……)
響(今回は大丈夫だったけど、次回はそうとは限らないしね)
暁「響、手が止まってるけど、もうお腹一杯?」
響「……いや、そんなことないよ。まだ食べられるさ」
暁「そう? それならいいけど……」
響(それに……酔っ払っていたら、『止まり木』から落ちてしまいそうで)
響(『止まり木』の次に変わるまでは、お酒はお預けだね……)
30:
――――――――――――――――――――――――――
響「マルマルマルマル。司令官、そろそろ切り上げたら?」
提督「そうだな……後は明日に回すか」
響「今日もお疲れ様、司令官」
提督「いやいや。響も、こんな時間まで付き合ってくれて、ありがとな」
響「うん、どういたしまして」
提督「……明日、二人で飯でも行かないか? ロシアの郷土料理の店、見つけたんだ」
響「それはいいね。是非お供させてほしいな」
31:
提督(あの日以来、しばらく響とは飲んでいない)
提督(でも、相変わらず彼女と一緒に居る。それは変わらない)
提督(結局、響が暴走した理由は分からず仕舞いだったけど……)
提督(こうして以前と変わらず、楽しそうにしていれば、それだけで十分だ)
提督(それに……いつか響から誘われる日が来る気がしている)
提督(『止まり木』の俺は、ただ、止まってくれるのを待つだけだ)
32:
おしまい
3

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