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P「目覚めた80年後の世界で」


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1:
ただ、寒いということだけが伝わってきた。
プロ----サー!!----ゃ!!いやぁ!!!
なんとしてでも----けえるわ!!----必ず!!
---歩!!見ちゃ---だ!!!
兄----!!!!!-----ちゃん!!!!!
ピ-
ピ---
ピ----
3:
P「・・・・」
P「ここは・・?」
P「病院・・?」
P「それにしては随分と、機械じみた場所だな」
白い、真っ白い空間に棺のようなカプセル。俺はそこで眠っていたらしい。
そのカプセルには幾つもの管がつながっていて、なんというか、近未来的な装置であった。
4:
「信じられない・・まさか・・こんな」
しばらくすると一人の男性が入ってきて俺に色々と質問をした。
そして最後にこう述べたんだ
「君は、そうだな。なんといえばいいか・・眠っていたんだ」
P「はあ」
「事故だったそうだ。そう、伝えられている」
「診断では、目覚めるはずがなかったんだがね」
P「そんなにひどい事故だったんですか?」
「そうらしい」
P「そうらしいって・・・曖昧ですね」
「曖昧にもなるさ」
「君は、80年間眠っていたんだ」
5:
何を言っているのか理解できなかった
P「80年間って、なんですか?」
そんな馬鹿みたいな質問を普通にしてしまっていた
医師によるとこうだ。
俺は80年前に事故に遭い、とある人物により目覚めるまで冷凍保存されていた。
そして今日、つまり80年後に目覚めた、と。
6:
P「馬鹿らしい・・何かのドッキリなんですか?」
医師は何も言わない。おい、どうしてそんな顔をする。やめろ。そんな目で俺を見るな。
P「申し訳ないが、外に出ても?」
「ああ。でもきっと、覚悟がいる」
7:
P「なんだよこれ」
そこはもう現実ではなかった。少なくとも俺の知る。
車は空を飛び、人々は機械のレールの上をただ滑るのみ。
昔みた何かのアニメの、未来光景そのままだった。
「80年で世界は大きく変わったんじゃないかね」
医師がそう言う
P「早く冷めてほしいですよ・・」
9:
それから俺は数日、ただ意味もなくすごしていた。
不思議と空腹は訪れなかった。腕に付けられている点滴おかげらしい。
それからしばらくして医師が小さな小包を盛ってやってきた。
10:
P「・・・俺に?」
「ああ、君が目覚めたら渡して欲しいと。そういわれている」
P「誰から?」
医師は告げる
「水瀬グループだ」
水瀬----水瀬
やっとなんだか頭に馴染みのある言葉が溶け込んでいく
俺は小包を開けた。中にはビデオテープが入っていた。
11:
『-------あー、あー
 ちょっとぉ!これであってるわけ?
亜美も話すー!!ハロー!兄ちゃん!!
   ちょっと!!待ちなさいよ!!』ジ------ジジ
『こんにちわ。でいいのかしら?ま、なんだっていいわ。
 これをもし見れてるって事は、あんたは無事ってことよね?
私がわかる?水瀬伊織、あんたの担当するスーパーアイドルよ!
説明はきっと医師から聴いてると思うけど、あんたは交通事故で意識不明ってわけ。
本当、情けないわ!!なにしてんのよ!!あんたは!!みんなが、私が、どれだけ心配したと・・!』
伊織・・・すまない。そうだったのか。頼む、泣かないでくれ。
『はぁーい!兄ちゃん!!亜美だよー!兄ちゃんが起きないから亜美、退屈だよ・・もちろんみんなもね!
早くぱぱっと起きちゃって、亜美たちをまたプロデュースしてね!!』
亜美、目が真っ赤だな。もしかして、寝てないんじゃないのか?
12:
『プロデューサーさん、三浦あずさです。体調は、その、大丈夫ですか?
 私たちも色々と大変ではありますが元気でやってますよ。あ!そうそう!
 音無さん、新しく入ったプロデューサーさんとうまくいきそうなんです!ふふ、応援してあげてくださいね』
あずささん・・髪、また伸びたんですね。懐かしいな。音無さんもいい出会いが合ったみたいだな
『プロデューサー殿!!いつまで寝てるんですか!!!こっちは大変なんですよ!!
早く起きてプロデュース活動に戻ってください!「でないと、私、私が、いつまでたってもアイドルに戻れないじゃないですか!
私のプロデュースする人は、もう決まってるんですからね!!』
律子・・・すまない・・・
13:
『あ!プロデューサーですか!!!僕です!!真です!!
どうですか!髪、伸ばしてみたんです!最近ではもう王子も卒業かなんて騒がれちゃってて、
それもそれで寂しい気がするんですけどね・・・えへへ
早く起きてくださいね。僕の、王子様』
真・・・すっかり大人な女性になったな。見違えるほど綺麗になった。
『はいさい!・・っていうのも久しぶりな気がするんだけど、こんにちわ!響だよ!
自分、沖縄に帰ろうと思うんだ!家族のことも心配だしそれに、それに・・
プロデューサーじゃないと、やっぱり自分だめみたいなんだ!だから、早く起きて沖縄までまた見つけに来て!待ってるから!』
響・・・髪の毛きったんだな。迎えにいってやれなくてごめんな
14:
『はろー!兄ちゃん!・・・なんてノリ、今じゃちょっと恥ずかしいね
双海真美です。姉のほうだよ。覚えてくれてるかな?
真美ね。アイドルやめようと思うんだ。そんでね!お医者になろうと思うんだ!
いおりんやひびきんはからかってくるんだけど、兄ちゃんなら、応援してくれるよね?
待っててね。』
真美・・・すっかりお姉さんじゃないか、高校生、くらいか?プロデュースしてやれなくてごめんな
『雪歩です。なかなか決心がつかないで、ごめんなさい。なんだか、ビデオに出ちゃうと本当にさよならになっちゃう気がして
でも、今日はどうしても言わなきゃいけないことがあって、だから私も勇気を出しました!!
わ、私、結婚することになったんです!!!あの私がですよ!?信じれませんよね!!!
プロデューサーがいなくなって、どうしようもなくなった私を支えてくれた人で、どことなく、プロデューサーに似てるんです
今まで言わなかったんですけど、私、プロデューサーのこと好きだったんですよ?えへへ
今まで、ありがとうございました。大好きです』
雪歩・・・ありがとうな。そして心からおめでとう。
『やよいです!こんにちわ!私、今日で30歳になるんですよ!えへへ、プロデューサーより年上になっちゃいましたね
どうかな・・変じゃないかな?うぅー・・少し怖い気もします。それで、今日で私もアイドルは引退です!
プロデューサーと、最後までトップアイドル目指したかったですけど、私ちょっと疲れちゃったみたいです!
・・・ごめんなさい。高槻やよいは、ここでリタイアです!
プロデューサー、私毎日ここに通って手、握ったりハイタッチしたりしてたんですよ!伝わってたら、嬉しいな』
すまない、やよい。まだ、すごく冷たいよ。でも心は温かくなった。今までお疲れ様。
15:
『ハニー・・・もう、起きないの?
美希、もうおばさんになっちゃったよ??いいの?人気、なくなっちゃうよ?
ダンスもね、だんだんできなくなってきたんだ。初めてもう無理かもって思っちゃってる。
ハニーが頑張れって言ってくれたら、美希。。。美希・・!!
美希もハニーみたいにずっと寝てられたら良かったのに。今はもう、すぐ起きちゃうの。
いつも寝るなー!って怒ってたくせに、寝すぎじゃないかな?もう、美希待ってあげないよ?いいの?
早く、起きてよぉ・・・はにぃー・・・』
美希・・・ごめん・・ごめんな・・・ずっと、待っててくれたんだな・・・
『プロデューサー。千早です。ご無沙汰しています
何を話せばいよいのかわからず、気づいたらこんなに時間が立ってしまいました。
プロデューサーは、夢を見てますか?私はいつも見ています
あのころの765プロがいつか、帰ってくるんじゃないかと。
ですが、もう夢も見えそうにないです。のど、痛めてしまって。厳しいだろうって。
私、歌姫なんていわれるくらいになったんですよ!・・・プロデューサーに、見てもらいたかったな。
なのでこれが最後です。聞いてください。如月千早で、眠り姫』
千早・・・本当にお姫様みたいだ。傍で支えてやれなくてごめんな。歌、一生忘れないぞ。
16:
『あなた様、貴音です。
今日はご報告があり、私がこうして姿を見せることとなりました。
三浦あずさと、萩原雪歩、それに、如月千早がこの世を去りました。
みな、幸せそうな顔をして眠ってましたので、安心してください。
人とは皆、最後が平等にくるものです。アイドルも例外ではございません。
・・・そろそろ私もいくとします。またあなた様にめぐり合えると、確信していますよ。
今まで私を導いてくださり、真、ありがとうございました。貴音』
貴音、みためが変わってないじゃないか・・・そうか、みんな、幸せだったんだ、なぁ・・・
『最後に、言い忘れたことが、きっと彼女はあなた様をまだ待ってることでしょう。』
彼女・・?、まさか・・・
17:
「あの、どうしたんですか?」
P「え?」
「あ、あの!いえ、泣いている様子だったので・・・」
P「ああ、ちょっと昔を思い出してね・・・かっこ悪いとこみせちゃった・・・ね」
P「春香?」
18:
「あ、はい!私、はるかですけど、どうして・・?」
P「は、春香なのか!?本当に!?天海春香なのか!!俺のアイドルの!!」
「・・・・いいえ。違います」
P「・・・え?」
「私は天海晴香、きっとあなたのアイドルは私のあばあちゃんの、天海春香ですよね」
P「・・・そ、う だよな。すまない。あはは、まさか、春香のやつも結婚してただなんて」
P「君は俺を見て驚いたり、頭のおかしなやつだとか、思わないのかい?」
晴香「思いませんよ。だって、おばあちゃんが話してくれていた人、そのものなんですもの。」
晴香「じゃあ、行きましょうか」
P「・・・いくってどこへ?」
晴香「天海春香のところです」
19:
晴香「ここです」
P「ここに、春香が?」
晴香「今年で97歳になります」
P「97歳、昨日のように思えるな。80年だもんな」
晴香「あって上げて下さい」
P「ああ」
俺はノックをする。ノックの音が静かな空間に響いた。
「はい。どうぞ」
その声をきき間違えるはずはない。どんなに時間が経とうと、それは間違いなく、天海春香だった
20:
P「春香」
春香「・・・プロデューサー?」
P「ああ」
春香「・・・・プロデューサーさん、なの?」
P「、ああ」ギュ
春香「あぁ。本当だ。プロデューサーだ」
P「待たせたな ありがとう。本当に」
春香「私、トップアイドルになったんです。みんなも、一緒に、付いてきてくれて」
P「ああ」
春香「プロデューサーさんに、見せたかった、なあ」
P「大丈夫。今、見てるよ」
春香「・・・・えへへ。おかえりなさい」
P「ああ、ただいま」
春香「みんなにも、教えてあげなくちゃ。きっと。喜び、ます」
P「すぐに会いに行くってみんなに伝えてくれ。今度はもう離れないからな。ずっと一緒だ」
春香「・・・。。。うん」
P「春香」
春香「・・・」
21:
晴香「・・・・」
P「・・・」
春香「・・・」
晴香「二人とも、とっても幸せそう。どんな夢を見てるの?」
22:
そこは、少しだけ薄掛かった、夜だった。
足元には優しく柔らかいヒカリの塊がたくさん満ちていて、私は裸足のまま夜の草原を歩く。
どこからか、懐かしい歌が聞こえてくる。
始まってゆく
果てなく続くひとつの道を
駆け出してゆく
まっさらな名もない希望を抱いて
どんな行き先でも
喜びと悲しみは廻る
辛くても進んでゆけるのは
大切な夢があるから
Start この My Life Song
私の歌声で
どこまでも響け
Feel 感じるまま
好きなメロディーでいい
それを心と呼ぼう
Stay この My Love Song
エールくれる人よ
愛を込め贈ろう
Shine 輝いて
ねぇ幸せあれ
いま明日が生まれる
「春香!」
「遅いよ!」
「待ってたんだから!」
「これでみんな集合だね!」
「だね!」
「遅いですよー!」
「そうせかしちゃだめよ」
「春香らしいっちゃらしいわね」
「もう待ちくたびれちゃったの」
「急いで転ばないようにねー!」
「思いは、伝えられたようですね」
「おかえりなさい。春香」
「うん!ただいま!」
終わらない My Song...
2

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