後輩「先輩、そろそろ寝ませんか?」先輩「えー?まだ早いよ」back

後輩「先輩、そろそろ寝ませんか?」先輩「えー?まだ早いよ」


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1:
先輩「もしかして……このゲーム、つまらなかった?」
後輩「いえ、そうではなくて……明日も朝早いので」
先輩「あー、そっか。月曜日か」
後輩「ごめんなさい、先輩」
先輩「謝られると逆に困っちゃうなぁ」
先輩「しょうがない、寝よっか」
後輩「え?先輩はいいんですか」
先輩「二人でやんないとつまんないゲームだから」
後輩「そう、ですか」
先輩「そうなんです」
2:
後輩「……ん」
後輩(もう、朝……時間は?)
後輩(うん、まだ平気)
後輩「んーぅ……」
先輩「すぅ……」
後輩「それじゃ、行ってきますね。先輩」
後輩「……」
後輩「……ちぅ」
3:
先輩「んーぅ……っと」
先輩(今何時……ふむ)
先輩「どうりでお腹が空いてるわけだ」
先輩(後輩ちゃんもそろそろお昼食べてるかな?)
先輩「さて、今日は何味にしようかなっと……ん」
後輩『先輩、起きてましたか』
先輩「うん、どしたの」
後輩『またカップ麺で済ませようとしている予感がしましたので』
先輩「……」
後輩『材料は買ってあるんですから、自炊の練習ちゃんとしてください』
先輩「……ふぁーい」
後輩『ちゃんと食材減ってるかチェックしますからね。捨てたりしたら……』
先輩「わ、分かってるって。じゃぁね」
後輩『あっ、先輩?』
4:
後輩「もう……」
後輩(やっぱりちゃんと作り置きして置いた方がいいのでしょうか)
後輩(こうしてコンビニ弁当を突いている手前、強く言えない気がしてなりません)
「さっきの電話、聞こえちゃった」
後輩「あ、どうも……」
「弟くん?大変だねぇ、お姉ちゃんは」
後輩「へ?えと……まぁ」
後輩(年上が相手なんですけど、とは言えないな)
5:
「後輩ちゃん、飲んでる?」
後輩「あ、はい。頂いてます」
後輩(参ったな、早く帰りたいのに……)
「ねぇ、後輩ちゃんってさ」
後輩「はい、なんでしょうか?」
「今、彼氏っているの?」
後輩「……」
後輩「……います」
「え?何?今の沈黙。あっやしー」
後輩(めんどくさいな、もう……ん)
後輩(……ドクロの絵文字)
後輩「すいません、急用が出来たので帰らせていただきます」
「へ?あ、ちょっ……」
「おい、お前が調子に乗るからだぞー」
「あーあ、後輩ちゃん帰っちゃったの?」
後輩(駅前のシュークリーム屋さん、まだ開いてるかな?)
7:
後輩(……電気、付いてない)
後輩(どこかに遊びに?なわけないか)
後輩「……先輩?」
「……」
後輩(毛布が盛り上がってる……なんてベタな)
後輩「ただいま帰りました、先輩」
先輩「……」
後輩(……毛布つむり)
先輩「……お腹空いた」
後輩「材料はあったはずですが?」
先輩「……む」
後輩(台所が悲惨な事に……)
先輩「全然おいしくなかった」
後輩「分かりました、すぐに作りますね」
先輩「おいしくなかったー」
後輩「駅前のシュークリーム、ありますから」
先輩「ほんと?」
後輩「夕食の後ですよ」
8:
後輩「……ふぅ」
後輩(昔から、子供っぽくてずぼらな所がある人だとは思っていましたが)
後輩(家賃が払えなくなって街を放浪していた所を見つけた時は、驚きました)
後輩(何も知らない先輩、まるでケースに入れられた魚のような、先輩……)
後輩(……少し失礼な物言いでしょうか)
後輩「先輩、あがりましたよ」
先輩「もぐもぐ……」
後輩「どうですか?」
先輩「おいしいよ、ほら後輩ちゃんも。あーん」
後輩「……」
後輩「……あーん」
先輩「おいしい?」
後輩「はい、おいしいですよ」
9:
先輩「……あ」
先輩「後輩ちゃん、下着取ってー」
先輩「……後輩ちゃん?」
後輩「……」
先輩「ありゃ、寝てる」
先輩「毛布毛布っと……」
先輩「お疲れ様、後輩ちゃん」
先輩「っと、寒い寒い」
後輩「……」
後輩(……相変わらずスタイル抜群ですね、先輩)
10:
後輩「……っ」
後輩(しまった、本当に寝ちゃってた……)
先輩「?♪」
後輩「先輩、まだ起きてたんですか」
先輩「あっ、後輩ちゃん。ごめん、起こしちゃった?」
後輩「いえ、普段寝ない時間だったので体が自然に」
先輩「そっか、ならよかった」
後輩「よくないです、先輩。こんな時間までゲームだなんて」
先輩「後輩ちゃんも、やる?」
後輩「え……」
後輩(……この時間から寝ると遅刻してしまうかもしれません)
後輩「操作方法を教えていただいてもいいですか?」
13:
「おーい」
後輩「……」
「おーい、後輩ちゃん、おーきーてー」
後輩「……んぁ?」
「よかった、起きた」
後輩「くぁ……せん、ぱい?」
先輩「はい、先輩です」
後輩「……っ!?い、今何時ですか!?」
先輩「ご安心を、いつも後輩ちゃんが起きる時間でございます」
後輩「よかった……」
後輩「先輩がこんな時間に起きているなんて、珍しい事もありますね。おかげで助かりました」
先輩「寝てないんだなこれが」
後輩「……健康に悪いですよ」
先輩「今さら?」
後輩「……シャワー、浴びてきます」
先輩「ふわーぁ……それじゃ、私は寝ようかな……」
後輩(……私を起こすために起きていてくれた、とか?)
後輩(自意識過剰みたいで聞けませんね)
14:
後輩「おはようございます」
「おはよう、後輩さん」
後輩「……」
「わっ、どうしたのその隈。大変な事なってるよ」
後輩「……徹夜でゲームを、してしまいまして」
「後輩さん、徹夜でゲームとかするんだ。ちょっと意外かもー」
後輩(自分でも意外です……)
15:
「後輩ちゃん、ゲーム好きなの?」
後輩(この人は確か、昨日の……)
後輩「……まぁ、たしなむ程度には」
「俺の家、最新のゲーム機揃ってるよ!」
後輩(ゲーム機……そういえば先輩は中古で買ってきた古いゲームばかりやってますね)
「そ、それで―――今日空いて―――」
後輩(流行に興味が無いのでしょうか。それとも、私に遠慮して……?)
「ど、どうかな?」
後輩「あ、すいません。聞いてませんでした」
「……ぅ」
後輩「……?」
「ま、また今度でいいや。じゃ、じゃあね」
後輩「……なんだったんでしょうか」
「やるねぇ、後輩さん」
後輩「??」
16:
後輩(……これが最新のゲーム機、か)
後輩(いち、じゅう、ひゃく、せん、まん……むぅ、結構しますね)
後輩(でも、先輩が喜ぶなら……)
後輩(いや、そもそも先輩が欲しがってるかどうかも……)
後輩(……推測で悩むのは性に合いませんね)
先輩「お腹空いたなー、後輩ちゃんまだかなー……ん?」
先輩「後輩ちゃんからメールだ。なんだろ?また遅れるとかかな」
先輩「なになに……」
後輩『先輩、今一番欲しい物ってなんですか?』
先輩「……?」
先輩「お腹、空いたから、早く帰って、きて……と」
後輩「……ん」
後輩「先輩、そういう事じゃなくて……」
後輩(……うぅん、先輩の望みは正にこれなんでしょうね。好意の押し付けはやめましょう)
後輩「そうと決まれば、早く帰らねば」
18:
後輩「先輩、ただいま帰りました」
先輩「おかえりなさーい」
先輩「後輩ちゃん、私の誕生日は結構先だよ」
後輩「ちゃんと覚えてますよ。そういう意味のメールじゃありません」
先輩「じゃあ、どういう事?」
後輩「……」
後輩「……実はですね」
19:
先輩「そんなこと考えてたんだ、後輩ちゃん」
後輩「……はい」
先輩「……ぎゅう」
後輩「っ」
後輩「せ、先輩……っ」
先輩「我慢を全くしてないかって言ったら、嘘になっちゃうけど」
先輩「その我慢はきっと、必要な我慢なんだと思うから。だから、平気だよ」
後輩「せん、ぱい……」
先輩「なで、なで」
後輩「く、くすぐったいですよ」
先輩「あはは、お腹空いちゃった。早く晩御飯食べよ?」
後輩「……はい」
20:
先輩「?♪」
後輩「……」
先輩「ん、後輩ちゃんもやりたいの?」
後輩「……明日はお休みなので」
先輩「あれ?水曜日だよね、明日」
後輩「祝日くらいは覚えておきましょう、先輩」
先輩「そういえばそうだっけ」
後輩「……で、その」
先輩「久しぶりにお出かけでもするー?後輩ちゃん、行きたい場所とかあるかな」
後輩「先輩はどうですか?」
先輩「私が出不精なの一番知ってるお方が何をおっしゃる」
後輩「それを言ったら、私もあまり外出する方ではないですよ」
先輩「んー、それじゃやっぱり……はいっ」
先輩「休みと言えば、徹夜ゲームでしょ!」
後輩「……お付き合いします」
21:
先輩「後輩ちゃん、そこはこうするんだよ」
後輩「なるほど」
先輩「おっ、後輩ちゃんやるねぇ」
後輩「恐縮です」
後輩「先輩、このアイテムこれと組み合わせてはどうでしょう?」
先輩「おぉ、いいね」
後輩「……」
先輩「……」
23:
先輩「ぐー……」
後輩「……徹夜ゲームじゃなかったんですか?先輩」
後輩「……」
後輩「……ん……」
先輩「……じー」
後輩「……」
後輩「起きて、いらっしゃったんですか?」
先輩「うぅん、今起きたんだよ」
後輩「……」
先輩「……」
先輩「今日は一緒にお風呂はいろっか」
後輩「……はい」
27:
後輩「……ふー」
先輩「お湯加減どう?後輩ちゃん」 
後輩「私は丁度いいですが……少し熱いかもしれません」
先輩「いちち、目にシャンプーが……」
後輩「大丈夫ですか?先輩。シャワーです、どうぞ」
先輩「んーぅ……ありがと、後輩ちゃん」
後輩「いえいえ」
28:
先輩「二人だと流石に狭いね」
後輩「そう、ですね」
先輩「はー……」
後輩(普段クセ毛だから、髪の毛真っ直ぐの先輩がたまに別人に見えちゃいます)
先輩「後輩ちゃん、また大きくなった?」
後輩「へ?」
先輩「わきわき……」
後輩「ひゃっ!?せ、先輩っ」
先輩「よいではないかよいではないかー」
29:
先輩「男の人は大きいのが好きってよく聞くけれど」
後輩「だめです、先輩……」
先輩「私も大きい方が好きだなぁ」
後輩「ん……ぅ」
先輩「こうやってクッションみたいに出来るしー」
後輩(先輩の髪……同じシャンプーのはずなのに……)
後輩「わ、私は先輩みたいに……スタイルがいい方が、いいです」
先輩「そうかなぁ?」
後輩「そう、です」
先輩「えへへ、ありがと」
後輩(……その笑顔は反則、です)
30:
後輩「先輩、ちゃんと乾かさないとダメですよ」
先輩「えー、どうせめちゃくちゃになるんだからいいよぉ」
後輩「ダメです」
先輩「んじゃあ……後輩ちゃん、おねがーい」
後輩「……どうぞこちらへ」
先輩「?♪」
後輩(……やっぱり、いい香り)
31:
先輩「ねぇ、後輩ちゃん」
後輩「はい、何でしょうか」
先輩「私が我慢をしてないかって、後輩ちゃんは言ってたけど」
先輩「あれって普通、私が聞くことなんじゃないかな?」
後輩「……」
先輩「辛かったらいつでも言ってね……なんて言える立場じゃないか、あはは」
先輩「……わぷあっ?」
後輩「……ぎゅう」
先輩「後輩ちゃんの髪……いい香りがするね」
後輩「先輩の髪と変わりませんよ。同じシャンプーなんですから」
先輩「えー?なんか違うと思うけど、気のせいかぁ」
32:
後輩(私が無理するのは、当たり前なんですよ?先輩)
後輩(だって無理に先輩を縛り付けてるのは、私なんですから)
先輩「……へくしっ」
後輩「あっ、す、すいません。風邪ひいちゃいますね」
先輩「後輩ちゃんもね、早く服着よ」
後輩(……残念)
33:
先輩「さーてっと……寝ますか!」
後輩「もうですか?今日はお早いですね、先輩」
先輩「……ぽん、ぽん」
後輩「……?」
先輩「いつも思っていたけど、一人で寝るには大きいと思うんだこの布団」
後輩「……では、失礼します」
先輩「どうぞ、遠慮なく」
先輩「後輩ちゃんほど弾力がなくて申し訳ない」
後輩「私は好きだから、いいんです」
先輩「んふふー」
後輩「……ふふ」
36:
『どうしたの?こんな所に一人で』
『え?あの、その……』
『見ない顔だね、もしかして新入生かな』
『ウチのガッコ広いから、こうして迷い込む子が毎年いるんだよね』
『はい、手』
『……はい?』
『ほら、急がないと遅刻になっちゃうよ』
『……あ、ありがとうございます』
37:
『いやぁ助かったよ、キミがうちのサークルに来てくれて』
『……いえ、そんな』
『こうして改めて知り合えたんだし、キミって呼び方は他人行儀かな』
『よろしくね、後輩ちゃん』
『よ、よろしくお願いします。先輩』
『他の方はいらっしゃらないんですか?』
『ほとんど名前借りてるだけだからねー』
『そ、そうなんですね』
『だから後輩ちゃんも無理に来なくて大丈夫だよ』
『いえ、ちゃんと来ます』
38:
『ここに来るのも今日までかー』
『長いようで短かったなぁ』
『……先輩』
『あれ、後輩ちゃん。どうしたの?こんな所で』
『少し、懐かしみに』
『あはは、後輩ちゃんが卒業するわけじゃないのに』
『あの時も先輩は、今と同じように話しかけてくださいましたね、どうしたの?って』
『懐かしいねぇ』
『……先輩』
『んー?』
『……また、会えますか?』
『んー……』
『また会う気がするなぁ、なんでかは分からないけど、さ』
39:
後輩「……ん、ぅ?」
後輩(なんだか凄く、懐かしい夢を見ていたような気が……)
後輩「……?」
後輩「せん……ぱい?」
後輩「せんぱいっ!」
先輩「どうしたの?後輩ちゃん」
後輩「……い、いたんですか」
先輩「私も起きたのはさっきだけどね。後輩ちゃん、かわゆい顔で寝てるもんだからおこしづらくって」
後輩「……」
先輩「後輩ちゃん?」
後輩「……ぎゅー」
先輩「もがが」
後輩(この気持ちはあんな夢、見たせいです)
後輩(そう、きっとそう)
先輩「よしよし、いいこいいこ」
40:
後輩「こんな時間まで寝てしまってたんですね、私」
先輩「お休みの日くらいいいんじゃない?」
後輩「せっかくの休みだからこそ、時間を無駄にしたくなかったんですが」
先輩「それじゃ、今からの時間を有効に使えばいいよ」
後輩「そう改めて言われても、なかなか難しいというか……」
後輩「……じー」
先輩「……?顔になにか付いてるかな」
後輩「いえ、その……」
先輩「……先にお風呂、入ろっか」
後輩「……はい」
46:
後輩「……ぼーっ」
後輩(……先輩、柔らかかった……)
後輩「……」
「こーうはいちゃんっ」
後輩「……はひ、なんでしょうか?」
「……そんな後輩ちゃんの顔、初めて見たわ」
後輩「ど、どんな顔してました?」
「なんて言ったらいいんだろ、マタタビを思う存分渡された猫?かな」
後輩「そんな顔してましたか、私……ぺしぺし」
「いや、悪いことじゃないと思うよ。いつもの後輩ちゃん、こう眉間にシワが寄っちゃってるから」
後輩(……自分じゃわからないですね)
47:
「それで、なんか良いことでもあったわけ?」
後輩「それは……まあ、その」
「いいなぁ、そういうの。初々しいって言うか」
後輩(そういえば、先輩は初めてだったんでしょうか?)
「私も彼氏、作ろうかしら」
後輩「……彼氏」
「ん、どうかしたの?」
後輩「あ、いえ……」
後輩(そう、普通は彼氏……ですよね)
48:
後輩(先輩はどう思ってるのでしょうか、この歪な関係を)
後輩(聞けるわけないことを悩んでも、仕方のない事ですが)
後輩(なぜ今になって、私はこんなにも不安になっているのでしょうか?)
後輩(……いえ、今になってではありませんね。私は昔から変わらないまま)
後輩(先輩にも変わらない事を、強要してしまっている)
後輩(……先輩)
49:
「こ、後輩ちゃん。そんなに飲んで大丈夫?」
後輩「……ら、らいじょぶれふ」
(ど、どう見ても大丈夫じゃない……でも、今ここにいる男に送らせるのはちょっとなぁ)
後輩「……げふーぅ」
(とはいえ、今の状態の後輩ちゃんにまともな道案内も期待出来ないし……ん、そうだ)
「後輩ちゃん、少しスマホ借りるわね」
後輩「……」
(通話履歴から……って、ほとんど同じ人ね)
(この先輩ってのが彼氏さん、かな?)
「お願い、出て……」
『もしもーし、後輩ちゃん?』
「……女の人の、声?」
『あれ、後輩ちゃんじゃない?もしもーし』
(……はっ、今は考えてる場合じゃないか)
「私は後輩ちゃんの会社の同僚で……」
53:
後輩「……うー」
先輩「大丈夫?後輩ちゃん、立てる?」
後輩「……気持ち悪い、です……」
先輩「吐いちゃえばいいよ、我慢しないで」
後輩「……う、ぷ……」
先輩「……さす、さす」
後輩「……ぅ」
先輩(後輩ちゃんがここまで飲むなんて、珍しいな)
後輩「……ぐぅ」
先輩「あ、寝ちゃった」
54:
先輩「連絡くださってありがとうございます」
「あ、いえ……」
先輩「よい、しょっと……」
後輩「……」
「そ、そのまま背負って行くんですか?」
先輩「急いでたもので、財布を家に忘れてしまって」
「立て替えておきましょうか?」
先輩「……」
先輩「大丈夫です、お構いなく」
「……っ」
55:
「……あ、あの」
先輩「まだ何か?」
(先輩とか言う人が、女にだらしない男って可能性もまだ、ないわけじゃないけど……)
「あなたが、先輩さん……ですか?」
先輩「……そうですが、何か?」
「え?あ、その……後輩ちゃんとは、どういうご関係で?」
(なにを聞いてるんだろ、私。先輩後輩に決まって……)
先輩「恋人ですけど」
「あぁ、こいび……へ?」
先輩「もうよかったですか?」
「あ……は、はい」
先輩「それでは、これで」
「……は、はは」
56:
先輩「……」
後輩「……せん、ぱひ」
先輩「あ、後輩ちゃん。起きた?」
後輩「……ずっと、おきてましたよ……」
先輩「そうだったんだ」
後輩「……せんぱい、すきですぅ……」
先輩「私も大好きだよ、後輩ちゃん」
後輩「……すぅ……すぅ」
先輩「……今度は本当に、寝ちゃったかな?」
先輩(……さっきの人に余計な事、行っちゃった気がするなぁ)
先輩(……大丈夫だとは、思うんだけれど)
57:
後輩「……?」
後輩(あれ、ここは……どうやって帰ってきたんだっけ)
後輩「……っ」
後輩(頭がガンガンする……水、水……)
後輩「……んぐ、んぐ」
後輩「……ぷぁ」
後輩(だんだん頭がすっきりしてきました……)
先輩「……ぐー……」
後輩(先輩、シャツのままで寝ちゃシワになっちゃいますよ)
先輩「んー……ぅー……」
後輩「……先輩、ありがとうございました」
後輩「……ちう」
63:
後輩「……おはようございます」
「あ……お、おはよう。大丈夫だった?あの後」
後輩「はい……ご迷惑おかけしました」
「……えと」
後輩「……?」
「あの先輩って人と……恋人だって、ほんと?」
(……って、聞く必要ないのに)
後輩「……」
「ごめんね、後輩ちゃん。答えたくなければ……」
後輩「本当ですよ」
「……そう、なんだ」
64:
後輩「すいません、隠していたかったわけではないんですが」
後輩「あえて言う事でも無い気がしてしまっていたんです」
「……」
後輩「ちょうどいい機会だったのかもしれません」
後輩(きっとこんな事でも無い限り、私からは言い出せなかったでしょうし)
「……えと、その」
後輩「……変だと、思いますか?」
「あ、いや……」
後輩「いいんですよ、自分でも思わないわけじゃないですから」
「……そうなの?」
後輩「はい、いつも不安で一杯です」
65:
「それなら、なんで……」
後輩「……それでも」
後輩(そうだ、それでも……)
後輩「それでも、好きなんです」
「……そう、なんだ」
後輩「……はっ」
後輩「す、すいません。こんな事言われても困りますよね」
「うぅん、後輩ちゃんの意外な顔が見れてよかったよ」
後輩「お恥ずかしい、です」
「他の人には一応、内緒にしておくね」
後輩「ありがとうございます」
「っと、少し話し込んじゃったわね。急ぎましょ」
後輩「……はい」
(……それでも好きなんです、か。少し、憧れるな)
66:
後輩(それでも好きなんです……か)
後輩(こんな簡単な事だったんですね)
後輩(先輩に、凄く会いたい……)
先輩「……んー、お腹空いたなぁ」
先輩「今日も後輩ちゃん、遅いのかな……」
後輩「……せん、ぱいっ!」
先輩「あれ、後輩ちゃん。今日ははや……」
先輩「わぷぁっ」
後輩「先輩……大好き、です」
先輩「……ん、ありがと」
後輩「ずっと一緒に、いましょう」
先輩「私は最初から、そのつもりだよ」
後輩「先輩、せんぱい……っ」
先輩「……なで、なで」
67:
後輩「……先輩、そろそろ寝ませんか?」
先輩「えー?まだ早いよ」
後輩「……そうですね、もう少し起きてましょうか」
先輩「うんうん、そうしよう」
後輩「……ぎぅ」
先輩「……ぎゅーっ」
6

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