ぐだお「デオンが一緒にお風呂に入ろうとしてくる」back

ぐだお「デオンが一緒にお風呂に入ろうとしてくる」


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1:
だお「……ふぅ。レイシフト、完了」
ロマン「その通り。いやぁ?、今回も大変だったねぇ。お疲れ様」
マシュ「お疲れ様です、先輩。ドクターの言う通り、今回も厳しい戦いでした。今回もマッサージ、行いましょう
か?」
ぐだお「い、いや、今回は遠慮しておくよ」
マシュ「えっ」
2:
ネロ「うむ。今回も世の独壇場であったな!マスターよ!存分に褒め称えるがよいぞ!余も褒め称えてやろう!」
アタランテ「ふむ。今回もかなりの距離を走破したな。マスター、そろそろ私より足がくなったのではないか?
早く私を追い抜いて、娶るがいい」
マシュ「えっ」
ネロ「む。マスターは余のマスターであるぞ?」
清姫「……」
アタランテ「ん?清姫か。いつからそこにいた?」
マシュ(あっ)
ロマン「いや?大変だねぇ君も……ってあれ?いない……ははぁ、逃げたね」
3:
ぐだお「……」キョロキョロ
ぐだお「……ふぅ。逃げ切ったか」
ハサン「クク。魔術師殿も苦労しておられる」
ぐだお「笑わないでくれ」
カエサル「何を逃げる必要があるというのだ。女だぞ?望む限り手に入れればいい。向こうから寄ってくるのなら尚更だ」
ぐだお「そりゃあ全く嬉しくないとは言わないけど。あの場面にいつまでも居合わせる度胸も無い。毎度毎度清姫に令呪を奪われそうになるんだぞ?腕ごと」
カエサル「お、おぉ……」
ハサン「腕のみを欲するとは、少々趣味が悪いですな」
カエサル「そういう問題か?」
4:
小次郎「ふっ。色男も過ぎれば自らを苦しめるか」
ぐだお「だから笑いごとじゃあないんだって」
小次郎「いやはや、幾度となくサーヴァントとして召喚されてきたが、これほどまでに愉快な目に遭うとはな。世界を救うと言う使命を時に忘れそうになる」
ぐだお「勘弁してくれ。世界を救わなくちゃあいけないってのに、こんなことで悩みたくない。いっそ忘れてしまいたい」
小次郎「ならば主殿、風呂にでも浸かってくるといい。あれほど悩みを忘れるのにうってつけなものは無いぞ。一時的に、でもな」
5:
カエサル「お、おお!それはいい。あれはいいものだ。我がローマの誇りである」
ハサン「ふむ。風呂ならば女子は入っては来るまい、魔術師殿」
ぐだお「そうだな。ほとぼりが冷めるまで、ゆっくり風呂に浸かろう。疲れもたまってるしな」
小次郎「ほとぼりからより燃え盛っているかもしれんぞ?」
ぐだお「やめてくれよ、縁起でもない。とにかく風呂だ、風呂」
デオン「そうだね。お風呂は私も好きだ。行こうマスター、背中を流してあげるよ」
6:
ぐだお「……」
ハサカエ次郎「「「……」」」
デオン「あれ。どうしたんだい?急に押し黙って」
ぐだお「いや、その……」
デオン「あ……私では不満だったかな。すまない、マスター。君のことを考えず一人で話を進めてしまったね」
ぐだお「そんなことない!不満なんてない、けど」
デオン「……本当かい? それじゃあ、何がいけないのかな?」
ぐだお「その、デオンは、ほら」
デオン「……?」
7:
小次郎「女子であろう、其方。あまりに自然に会話に加わってくるゆえ、主殿も戸惑っておる」
ぐだお(来た!)
ハサン(言った!)
カエサル(後は勝利するのみ!)
デオン「なんだ、そんなことか」
ぐだお「えっ」
カエハサ次郎「「「えっ」」」
8:
デオン「いつも言っているじゃないか……男にも、女にもなれる。それが私、シュヴァリエ・デオン・ド・ボーモンさ、と」
ぐだお「いや、そうだけどさ!ほ、ほら!マリーが君は女の子だって!」
デオン「あぁ……マリー様はそう思っているようだね。私が男か女か、それは受け取る方次第さ。マスター、君は、私が」ズイッ
デオン「僕が」ズイッ
デオン「男か」ズイッ
デオン「女か」ズイッ
デオン「……どっちだと思う?」
ぐだお「デ、デオン?何だかいつもと雰囲気が違うような……あと近い……」
デオン「ふふ。フランスを守る騎士にとって、性別など些細な事さ。君が望むなら男に。女に。なってみせようじゃないか」
デオン「と、いう訳でマスター。お風呂に入ろうじゃないか。日頃の感謝の気持ちを込めて、その背中を流させてもらうよ」ズルズルズル
ぐだお「えっ!?ちょ、ちょっと待ってデオン!引き摺らないで!せめて歩かせてええええええ」ズルズルズル
9:
ハサン「……行ってしまわれたな」
小次郎「あれが筋力Aの腕力と言うことか。あの細腕のどこにそんな力があるのやら」
カエサル「そういう問題かぁ?」
小次郎「はは、良いではないか。それだけ我らが主殿が仕えるに値する、魅力的な人間であるということ」
ハサン「そうではある、が。女子から逃れる為の風呂だったはずなのだが。お主ら、予想できたか?」
カエサル「……出来る訳ないだろう、性別不明など!」
小次郎「はっはははは!やはりこの世界はまだまだ面白い。滅ぼされないよう、私も剣の腕をさらに磨かなくてはな」
ハサン「う、うむ。それには間違いあるまい」
カエサル「そ、そうだな……たまには黄の死の手入れでもするか……」
10:
カポーン
ぐだお(ふー……カルデアの中にこんなに大きなお風呂があるとはなぁ。銭湯みたいだ)
ぐだお(やっぱり落ち着くものがある。お風呂万歳!)
ぐだお(ただ……)
デオン「ふー……やはり、全身でお湯につかるというのは気持ちがいい物だね。ただ、長く浸かっていると息が上がるのが難点だ。気持ちいい物に疲れが伴うのは世の常なのかな?」ニッコリ
ぐだお(隣にデオンがいなければもっと落ち着くんだけど)
11:
ぐだお「デオン、その」
デオン「バスタオルかい?君のリクエストに答えて今は男であるつもりさ。けれど顔は変わらないからね、女に見えると言われても仕方ない。という訳で、一応巻いてみたんだ」
ぐだお(リクエストなんてしてないんですが)
ぐだお(と、言うと女のデオンとお風呂に入りたかったような物言いになる。入りたかった訳ではない。断じて。決して。絶対)
ぐだお(しかし……デオンの白い肌。濡れて纏まった長い金髪。透き通る海の様な碧の瞳。その全てが輝いて見えるのは……照明の反射と言うことにしておこう)
ぐだお(そんな彼女の姿をバスタオルで隠されれば……意識せざるを得ない。いっそ何もつけないでいてくれれば男だと認識することが出来たのに……出来たよね?)
デオン「マスター?どうしたんだい、お湯を見て押し黙って……そんなに視線を外されると少し落ち込んでしまうな」
ぐだお「……その、やっぱり何というか、今は男だと分かっていても、やっぱりデオン、可愛いし……何か気恥ずかしくて」
デオン「えっ?」
ぐだお「あはは、その……かっ体洗ってくる!」ザバァ
デオン「マスター……」
12:
ぐだお(デオンは男今は男デオンは男今は男男男男)ワシャワシャ
デオン「マスター。背中を流そう。元々そういう話だったしね。ご主人様?」
ぐだお(うわああああ覚えてたあああああああ)
ぐだお「ま、まだ体洗ってるから。後でいいよ」
デオン「……マスター」ギュッ
ぐだお「!?」
13:
ぐだお(何を思ったのだろう。デオンは俺の胸元に両手を回すと、しなだれかかるように身を寄せてきた)
ぐだお(左の耳元に彼女の湿った、熱のある吐息が触れる。背中で感じるデオンの身体はとても熱く、それでいて柔らかい)
デオン「……すまない、マスター。私はずっと、こうやって君を抱く瞬間を伺っていたんだ。二人きりでね……卑怯者だと罵って貰っても構わない。これは、私の欲望を満たすためだけの行為なのだか、ら」
ぐだお「……デオン」
デオン「ねぇ、マスター。ご主人様。もう一度、尋ねるよ。私は……シュヴァリエ・デオンは男か、女か、どちらだと思う? それとも……私のようなどちらつかずは、気持ち悪いかな」
ぐだお(今にも消え入りそうなデオンの囁きが俺の耳を、そして脳をくすぐる)
ぐだお(その囁きは言葉を重ねるごとに震えて行って、最後は微かな音となって溶けていった)
ぐだお(彼女の熱い体から心臓の鼓動が伝わってくる。とてもい。いや、これは俺の物だろうか?もう溶けてしまった俺の頭では判断がつかない。もしかしたら、俺達は今一つの生き物となっていて、鼓動もまた同じになっているのかもしれない)
ぐだお(答えなんて、初めから決まっていたのだろう)
ぐだお「デオン……俺は……」
14:
デオン「ふぅ。いいお湯だったね」
ぐだお「あ、あぁ。そうだな」
ハサン「……おや、魔術師殿に騎士殿。長風呂であられたな」
ぐだお「うん、まぁ……ホント、いい湯加減でさ。つい、長風呂をね。ハハハ……」
ハサン「……まぁ、何でも構いはしませんが。魔術師殿、おなご共が……」
15:
「み」
「い」
「つ」
「け」
「た☆」
ぐだお「ひぃっ!?」
ネロ「むっ!そこにいたかマスター!今夜こそ我が愛のリサイタルに招待するぞ!」
ハサン「未だ騒いでいるので気をつけられよ」
ぐだお「遅いよ!」ダッ
清姫「逃がしません……!」ダッ
ネロ「あぁっ! なぜ逃げるのだマスター! 待てー!」ダッ
16:
デオン「……ふふっ」
ハサン「……お主は行かぬのか?」
デオン「ああ。私がただの女だったら今すぐにでも追いかけていたかもしれないね」
ハサン「うん?」
デオン「私は男でも女でもある白百合の騎士。フランス王家と、マスターに仕える身。今はこの程度の事で騒ぎ立てる程の乙女ではない」
ハサン「ほう。その割には、先ほどはご執心に見えたが」
デオン「今は、と言ったじゃないか。今は、とね。今は性別不詳の騎士。でも、私の武器は時と場面によって女にも男にもなることが出来ること。そう簡単に周囲にばれるような使い分けは、しないつもりさ……それでは、私はこれで失礼するよ」
ハサン「……ふむ。一番手ごわかったのは男でも女でも無かったということか」
17:
デオン(私はシュヴァリエ・デオン・ド・ボーモン。フランス王家と、今はマスターに仕える白百合の騎士。男でもあり、女でもある。だけど……)
ぐだお「うっうわああああああああ!腕は!腕を持って行くのは勘弁してくれえええええええ!」
デオン「……くすっ。君達、程ほどにしておきたまえよ」
デオン(時には、女であることに喜びを感じてもいいだろう―—―—そうだろう、マスター?)
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