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女提督「甘えてもいいんだよ?」【後半】


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7:
瑞鶴「…………」
翔鶴「…………」
提督「あ、そうだ加賀」
加賀「なに?」
提督「もうすぐお仕事終わりそうだから、今日は一緒に寝られるよ」
加賀「そう……わかったわ」
提督「それじゃ、またあとでね」
加賀「ええ」
スタスタ…
638:
瑞鶴「……ねえ」
翔鶴「?」
飛龍「どしたの?」
瑞鶴「気にならない?」
蒼龍「なにが?」
瑞鶴「提督さんと加賀さんが、どこまで行ったかよ」
赤城「それはまあ、確かに」
瑞鶴「ですよね?」
翔鶴「具体的に言うと?」
瑞鶴「………夜戦ね」
飛龍「うわあ」
蒼龍「いきなりそんなディープな」
639:
赤城「でも気になりますね、どれくらいの頻度でどんなことをしてるのかとか…」
翔鶴「提督、かなりの恥ずかしがり屋なのでもしかしたらなにもしていないということもあり得るかもしれませんね…」
飛龍「……そこまで言われるとなんだか気になってくる」
蒼龍「私も」
瑞鶴「ね?だからそれを聞き出したいのよ」
赤城「と言っても、加賀さんが素直にそれを喋るとは思えませんね」
瑞鶴「そこが問題なんですよねえ、提督さんに聞いても恥ずかしがって何も言わないだろうし…」
翔鶴「この前も下着の色を聞いただけで真っ赤になってたし…」
飛龍「いやそれただのセクハラだから」
640:
瑞鶴「うーん、他の子達に頼んでも無理だろうし…」
翔鶴「酔ってる時に聞いてみればいいんじゃないかしら?」
飛龍「おおー、それだ!」
蒼龍「でも加賀さん、私達の前で酔うくらいお酒飲むと思う?」
瑞鶴「……そう言われてみればそうね」
赤城「提督は酔いませんし…」
瑞鶴「あー、難しい話ねぇ…なんとか聞き出す方法は……」
カタン
鳳翔「どうぞ、食後のお茶です」ニコ
瑞鶴「…………!!」
鳳翔「? どうしました?」
瑞鶴「鳳翔さんなら、いけるかも…!」
鳳翔「へっ…?」
???
641:
加賀「……………」ガタ
鳳翔「あの、加賀さん」
加賀「鳳翔さん…どうしました?」
鳳翔「その……これから一緒に、どうですか?」スッ
加賀「お酒……晩酌、ということでしょうか」
鳳翔「はい、たまにはいいかなと…」
加賀「………そうですね。鳳翔さんがそう言うのなら付き合いましょう」
鳳翔「! なら、向こうのお部屋で」
加賀「ええ」
642:
ガラ
加賀「…………」ピク
瑞鶴(来た…!)
翔鶴「ど、どうも…」
飛龍「あ、加賀さん!」
蒼龍「こっちですよー!」
加賀「……他の子達もいるのですね」
鳳翔「えと、ダメでしょうか…」
加賀「あ、いえ。そんなことは」
鳳翔「そうですか…ふふ、ならよかった」
加賀「…………」
瑞鶴(くくく……加賀さんは鳳翔さんに弱い!それを利用して、酔わせれば…!)
加賀「……ちょっと、なにを一人で笑っているの?」
瑞鶴「へっ?あ、な、なんでもないわ!」
加賀「ふうん…」
鳳翔「加賀さん、お酌しますね」
加賀「あ、はい」
瑞鶴(いける…)
643:
???
加賀「…………//」ポー
鳳翔「zzz……」
瑞鶴「いい感じに酔いが回ってきたんじゃない?」ヒソヒソ
翔鶴「ええ、肩肘ついてぼーっとしてるわ」ヒソヒソ
飛龍「というか鳳翔さん寝てるし…」
赤城「鳳翔さん、お酒飲んだらすぐ寝ちゃいますから…」
蒼龍「毛布かなにかない?」
瑞鶴「あ、ここにちゃんちゃんこがあるわ」
蒼龍「とりあえずこれ掛けておいたら風邪は引かないよね…」
翔鶴「ところでそれ、誰のちゃんちゃんこ…?」
飛龍「提督のじゃない?」
瑞鶴「うそ!?」
鳳翔「ん……」ゴロ ギュウ
蒼龍「無意識に抱き締めてる」
瑞鶴「ぐぅ…羨ましい…」
644:
瑞鶴「って、本題はそうじゃないわ。加賀さんと提督さんがどんなことをしてるのか聞き出すのよ」
翔鶴「簡単に話してくれるかしら…?」
瑞鶴「お酒入ってるから大丈夫だとは思うけど…それとなく誘導した方がいいわね」
飛龍「ねーえー加賀さーん」
加賀「……なに、そんなに楽しそうにして」
蒼龍「提督とはどこまで進んだんですか??」
加賀「どこまで、って?」
飛龍「やっぱり夜戦とか……するんですか?」
蒼龍「やっちゃうんですか??」
加賀「…………」
瑞鶴「ちょっ、そんなストレートに!?」
645:
加賀「………そうね、夜戦ね……」
瑞鶴「!」
飛龍「ほら、やった!」
赤城「で、どうなんですか?どうなんですか?」ワクワク
翔鶴(この人何気に子供っぽいわ…)
加賀「………してないわ」
赤城「えっ!?」
瑞鶴「うそでしょ!?」
加賀「あ……少し違ったわ……」
蒼龍「なにが違うんですか?」
646:
加賀「あの子からはなにもして来ないけど…いつも私から手出ししてるから……」
赤城「と言いますと?」
加賀「……私が一方的にあの子を弄っているというか……まあ、そうね…そういうことになるわね…」
瑞鶴「えっ、じゃあ提督さんはバリネコってことですか?」
加賀「…よく分からないけれどそうなんじゃないかしら」
瑞鶴「マジか…マジか!!」
翔鶴「瑞鶴、テンションおかしくなってるわ」
飛龍「でも、それって嫌がられたりしません?」
加賀「いえ……拒絶するどころか、むしろ嬉しそうにしてるというか…あの子、キスしたらすぐスイッチ入って目がとろんとして濡れてくるから…」
蒼龍「うわあ///」
飛龍「な、なんか一気にディープな話になったね///」
647:
加賀「こう、一方的にされるというのが好きみたいなのよね……誰かに気付かれそうな状況で手を出しても『ダメだよ』とか『バレたらまずいから…』とか口先だけで実際は抵抗もなにもしないし……」
瑞鶴「そ、そんなことしてるんですか」
加賀「………執務室の扉越しに駆逐艦の子と喋っている時に後ろから性感帯弄っただけでもうぐしょぐしょに濡れていたわ。あの時が一番興奮した」
飛龍「はぇ…」
蒼龍「い、いいのかな、こんな暴露話聞いちゃって」
赤城「なんですかね、提督は……割とそういうのも好きなんですかね」
加賀「……そうね、恥ずかしがるけど…それがまた可愛くて、手を出してしまうというか…危ないプレイもしたくなるというか…」
瑞鶴「なにこのノロケ話」
翔鶴「あの、加賀さん」
加賀「ん……なに?」
648:
翔鶴「ここまで聞いていて、思ったことがあるんです」
加賀「ええ」
翔鶴「その……提督は、もしかしてMなのではないでしょうか」
瑞鶴「えっ」
加賀「…………」
翔鶴「…………」
加賀「………そうね。あの子、割とマゾっ気があるのよね」
翔鶴「! 本当ですか!?」
瑞鶴「いやなんで嬉しそうなのよ」
加賀「ええ、多少痛いことをしても許してくれるというか…まあ、具体的に言うと濡れるというか…」
翔鶴「もっと詳しくお願いします」
649:
加賀「こう……例えば、下を弄りながら首筋とか噛むじゃない」
翔鶴「はい」
加賀「それだけで指が痛いくらい締め付けられるから…マゾで間違いないわ」
翔鶴「おおお?!!」
瑞鶴(なんか分かり合ってる!)
翔鶴「ち、ちなみに道具とかは……」
加賀「道具……そうね、道具……そうね………」
飛龍「道具?」
蒼龍「ほら、SM用のアレ」
飛龍「ああ…」
加賀「………そうね、鞭までいったわ」
翔鶴「鞭!?」(歓喜)
瑞鶴「鞭!?」(驚愕)
650:
加賀「鞭といっても一本鞭ではなくて、あの……先が分かれた、バラ鞭っていうの?あまり腫れないもので叩くといい声で啼くの」
翔鶴「いいですねぇそういうの!!」キラキラ
瑞鶴(うわあ…翔鶴姉めっちゃキラキラしてる…)
翔鶴「でも、どうしてバラ鞭なんですか?痕が残る方が自分を刻み付けられたようで興奮しません?」
加賀「それもいいけど……痕が残るのはさすがに女として可哀想だし、自分の証を残すのならいつも首筋にキスマークを付けているから……」
赤城「……超イチャイチャしてるじゃないですか」
蒼龍「私達なに聞こうとしてたんだっけ…」
飛龍「さあ…」
651:
加賀「……でもあの子、根っからのマゾというわけでもなさそうよ」
翔鶴「えっ?」
加賀「前に……私が使ってたバラ鞭に興味を示したのか、振り回してる時に偶然私のお腹にそれが当たったことがあって…」
赤城「なにやってるんですか…」
加賀「思いの外痛くて私はその場にうずくまるように倒れたんだけど……痛がる私を見る目が、完全に愉悦を感じているものだったわ」
翔鶴「つ、つまり…?」
加賀「……そうね、大元はサドね」
瑞鶴「サド!?」(歓喜)
翔鶴「サド!?」(驚愕)
652:
瑞鶴「や、やっぱり叩かれる側とも相性はいいんですかね?」
加賀「私の趣味は逆だから分からないけど…たぶんそうなんじゃないかしら…」
瑞鶴「っしゃあ!!」
飛龍「でも、SとMを持ち合わせてるってどう呼べばいいのか…」
加賀「……さしずめ両刀といったところね」
瑞鶴「両刀!?」(歓喜)
翔鶴「両刀!?」(歓喜)
653:
蒼龍「そうそう、一緒に寝る日はいつもしてるんですか?」
加賀「……そういうわけでもないわ、私がそういう気分になった時か、あの子が誘ってくる時ね」
赤城「誘ってくる、とは」
加賀「と言ってもそんな明確なことをするわけでもないけど……ただ、寝ようとしてもずっと目を開けてるだけ」
飛龍「へぇ?…自分じゃ言い出せないんだ」
加賀「そう。そこが可愛いのよ」
蒼龍「加賀さん、提督にメロメロだね」
加賀「だって……可愛いじゃない、あの子…可愛い……」
赤城「あー……そろそろ限界みたいですね」
654:
赤城「加賀さん、もうこんな時間ですよ」
加賀「んぁ……本当…それじゃ、私はあの子と寝るから」ガタ
飛龍「あ、お疲れ様でした」
瑞鶴「一人で大丈夫?」
加賀「問題ないわ」
パタン
瑞鶴「……もう話すこともないし、鳳翔さん起こしてお開きにしよっか」
翔鶴「そうね、明日も早いし」
赤城「ええ。それでは、みなさんもお疲れ様でした」
飛龍「おつかれ?」
蒼龍「おやすみなさーい」
656:
瑞鶴「はぁ、ねむ…」スタスタ
翔鶴「ちゃんと布団まで歩かなきゃダメよ?」スタスタ
瑞鶴「分かってるわ…」スタスタ
『きゃあ!?』
瑞鶴「ん?」
『っちょ、加賀!?いきなりどうしっ……ん、んんんっ……!』
翔鶴「…………」
『……っは…あ、ま、待っ……ひゃあっ!』
瑞鶴「…………」
『だ、ダメだってば…まだ起きてる子もいるかもしれないの、にぃっ……!』
瑞鶴「………聞かなかったことにしよう」スタスタ
翔鶴「そうね……」スタスタ
657:
惚気おわり
深夜テンションって怖いですね(適当)
659:
提督「……………//」ボー
加賀「………風花」
提督「……………」
加賀「………風花ってば」
提督「………え?なに?」
加賀「大丈夫?」
提督「なにが?」
加賀「顔が赤いし、さっきからぼーっとしているから…」
提督「え……ほんと?」
加賀「ええ…もしかして風邪?」
提督「そんなこと……げほっ!」
加賀「!」
660:
加賀「…今日はもう休んだ方がいいわ、本格的に熱が出たら大変よ」
提督「うん、この書類書き上げたら…」
加賀「ダメ、すぐ寝なさい」
提督「ほ、ほんとに大丈夫だって!簡単なものだから!」
加賀「なら私がやっておくから。あなたは寝ていなさい」
提督「やだよ、加賀に迷惑なんてかけられないもん!」ガタッ
加賀「あ、ちょっと」
提督「これくらい明日になれば治るから!」ガチャッ
バタン
加賀「はぁ……」
661:
提督「報告書仕上げるための図鑑……図鑑は書斎にあった、はず……」
提督「う……」フラッ
ドン
提督(あれ……私、なんで壁にもたれかかって……休んじゃダメなのに…)
提督「はぁ……はぁ……」
提督(身体が熱い…頭も回らない……景色が……歪んで………)ズル…
ストン
提督「だ、め……」
提督(これを終わらせなきゃ…加賀に……)
提督「……ぁ………」
提督(ダメだ……力が、入らない…なんで…)
662:
提督「……………」
加古「ん………おや?」
パタパタ
加古「…………」キョロキョロ
提督「……………」
加古「…うおーい、提督ー、さすがにこんなところで寝てると風邪引くぜー?」ユサユサ
提督「……………」
加古「……あれ?」
提督「……………」
加古「え…お、おい、冗談だろ?提督?提督っ!?」
664:
???
キィ…
パタン
提督「……ん………」パチ
「あ……起こしてしまいましたか…?」
提督「……鳳翔、さん…?」
鳳翔「はい、鳳翔です。よかった、ちゃんと意識が戻って…」
提督「え……?私…」
鳳翔「昨日の夜、廊下で倒れていたんですよ。大変だーって、加古さんが大慌てで私を呼んで…」
提督「………?なんで…?」
鳳翔「なんでって……提督、昨日は40度も熱があったんですよ?」
提督「……えっ」
鳳翔「どうですか?自覚症状、あります?」
提督「………うん。頭は痛いし、意識はぼんやりしてるし…身体も熱い…」
鳳翔「身体のどこかが痛む、とかは…?」
提督「ん……ない…」
鳳翔「そうですか…なら、とりあえずインフルエンザの心配はありませんね」ニコ
665:
提督「……ごほっ…」
鳳翔「おでこ、失礼しますね」スッ
ピト
提督「ん……」
鳳翔「…………」
鳳翔(……まだ、40度近くはある……かも…)
鳳翔「熱……下がりませんね…」
提督「…………」
鳳翔「大丈夫ですよ、しっかりみんなで看病しますから」
提督「うん…………鳳翔さんの手、ひんやりしてて気持ちいい…」
鳳翔「…ええ、先ほど水仕事をしていたので…」
提督「そっか……この時季は…すぐ冷えるから、気を付けてね……」
鳳翔「もう…あなたは人の心配ばかり…」
666:
鳳翔「日頃の無理が祟ったみたいですね…」
提督「……私、無理なんてしてないんだけどなあ…」
鳳翔「疲れというのは、気付かないうちに溜まっていくものですから…しっかり休まなきゃダメですよ」
提督「……鳳翔さんは?いつ休むの?」
鳳翔「もう、提督ったら…今は人の心配なんてしなくていいですから…」
提督「でも、心配になって…」
鳳翔「……分かりました、なら近いうちにどこかへ連れて行ってください」
提督「……うん」
鳳翔「もちろん、ちゃんと風邪を治してからですよ?」
提督「……うん」
667:
鳳翔「………そろそろ戻りますね、本当はずっと見ていてあげたいんですけど…」
提督「あ………うん、わかった…気にしなくていいよ…」
鳳翔「……提督は素直じゃないですね」
提督「え…?」
鳳翔「寂しいって、顔に書いているみたいですよ」
提督「……そんな、私は…」
鳳翔「他の子達もちゃんと見に来てくれますから…安心してください、提督は一人じゃありません」
提督「…………うん……」
鳳翔「それでは…また、夜に来ます」
提督「うん…頑張ってね」
パタン
提督「……ありがとう……」
669:
提督「………ん…?」
提督(そういえば、パジャマになってる…)
提督(鳳翔さんが着替えさせてくれたのかな…)
提督(……ん?だとしたらブラとかは……)
提督「……………」ゴソ
提督「……………」
提督「…………///」カァ
提督(ない……見られた…下もない……)
671:
カチャ…
提督「ん………」チラ
時雨「……あ…提督、起きてる?」
夕立「提督さん、大丈夫っぽい…?」
提督「ううん…大丈夫じゃないっぽい…」
夕立「……!」
パタパタ
ストン
夕立「提督さん、ごめんなさい…」
提督「ふふ…どうして謝るの?」
夕立「だって…この前、大雨だったのにあたしが無理やり連れ出して外で遊んでたから…」
提督「それ、もう一ヶ月くらい前の話じゃない…今私が寝込んでるのとは無関係だから、夕立は悪くないよ」
夕立「でも……」
提督「ちょっと、頑張りすぎてただけだから…休んでいればすぐ良くなるよ」
夕立「………うん」
672:
時雨「提督、辛そうだね」
提督「……そう?」
時雨「うん。顔は赤いし、声も掠れてるし…頭は?痛い?」
提督「…うん、ズキズキする」
時雨「そっか……」
キュ
時雨「ごめんね…僕に出来ることはこれくらいしかないんだ」
提督「そんな…これだけでも十分だよ…」
夕立「あたしも握るっぽい!」ギュ
提督「ふふふ……よしよし」ナデナデ
夕立「きゃー♪」パタパタ
時雨「あはは…」
673:
提督「んく……げほっ、ごほ…」
時雨「! 大丈夫?」
提督「うん、大丈夫…それよりほら、風邪移ったら大変だから……もう戻った方がいいよ」
夕立「う?…でも、提督さんが心配っぽい…」
提督「ちゃんとお薬飲めば楽になるから…」
時雨「そうだ、お薬…咳止めも頭痛薬もあるんだけど、食後の方がいいよね…」
提督「そうだね…今はまだ飲めないや」
時雨「本当はお粥作ってあげたかったんだけど…もう時間だ。行こう、夕立」
夕立「うん……」
提督「……そんな顔しなくても大丈夫だよ、元気になればまた遊べるから」
夕立「……うん」
時雨「それじゃあ…何かあったらすぐ誰かに言うようにね」
提督「うん…」
パタン
676:
提督「げほっ……」
提督「……今何時だろ……」ムク
提督「う……」
クラッ
提督「うぅ……」
提督(すごいくらくらする…世界が回ってるみたい……)
提督(こんなにすごい熱出たの、いつぶりだっけ…)
提督(苦しい……辛い……)
ボフッ
提督「はぁ……はぁ……」
提督(なんでこんなに苦しい思いしなきゃいけないの…?このまま死んじゃうの……?)
提督(痛い…頭がいたい…)
提督(母さん………)
677:
『…………』
『風花、あなたはよく頑張ったわ』
『お母さん……うん、私、頑張ったよ……』
『ええ…見ていたわ、ちゃんと…』
『うん、お母さんを助けた』
『………ええ』
『私、頑張ったから…これなら、また風音達も戻っ───』
『………風花、あなたは頑張ったわ』
『うん』
『だから……今は、休んでていいのよ』
『え?』
『もう…もう、いいの…』
『お母さん?どうして泣いてるの?』
『ごめんなさい……全部、私が悪かったの……』
『お母さんは何も悪くないよ?だから、泣かないで…そんなに泣いたら、私まで……うっ…うぅ…』
678:
「う……うぁ……」
「───風花!」
提督「あ………え……?」
木曾「……大丈夫か?」
提督「……?今の……」
木曾「今のって……ああ、多分、悪い夢でも見てたんだろう」
提督「夢……」
木曾「身体の調子が悪い時はよくそういうものを見るからな…気分はどうだ?」
提督「……くらくらする」
木曾「その分だとまだまだ回復しそうにないな…」
提督「…………」
木曾「あ、そうだ」
提督「………?」
679:
木曾「ほら。お粥、持ってきたぞ。食べた方がいい」コト
提督「お腹空いてないんだけど……」
木曾「ダメだ、食欲がなくてもこういう時は食べなきゃ逆に辛くなる」
提督「むぅ……」
木曾「ちゃんと食べさせてやるから文句を言うな」
提督「……わかった」
木曾「ああ、それでいい」
カチャ
木曾「ふー…ふー……ほら」スッ
提督「ん……」パク
木曾「……どうだ?」
提督「………味、分からない……」
木曾「はは、だろうな」
680:
提督「……これ、木曾が作ったの?」
木曾「ん?ああ、そうだが」
提督「………美味しいよ」
木曾「………ああ」
提督「ほんとだよ?」
木曾「わかってるって」スッ
提督「あつっ!」
木曾「あ、悪い」
提督「……照れてる?」
木曾「…まあ、そんなところだ」
提督「あはは…可愛いね」
木曾「はいはい…」
681:
提督「ふぅ…」カチャン
木曾「ちゃんと全部食べられたな。えらいぞ」
提督「早く風邪治して、みんなに元気な顔見せたいから…」
木曾「ああ、ならこれも飲まなきゃな」
提督「うえぇ…お薬…」
木曾「ダメだぞ。頭痛薬と咳止め、食後に二つずつだ」
提督「うん……」
木曾「ほら、水」
提督「カプセル剤って、どうも苦手なんだよね…喉に詰まりそうっていうか…」
木曾「飲めないのか?」
提督「出来れば飲みたくないんだけど…」
木曾「なんなら、鳳翔さんが置いてった座薬もあるが…」
提督「飲みます飲みます!!」
682:
提督「んぐ……はぁ……」
木曾「ちゃんと飲んだか?」
提督「うん、全部…」
木曾「よし…よくやった」
提督「……そういえば、今何時?」
木曾「今?ヒトロ……四時だな」
提督「四時……もうそんな時間なんだ…」
木曾「まあ昨日気を失ってから、十二時ぐらいまでずっと眠っていたそうだからな」
提督「うそ…」
木曾「それだけ疲れてたってことだ」
提督「……気付かなかった…」
木曾「ああ……お前は頑張りすぎてるからな」
683:
木曾「考えてもみろ、普段俺達なんて遠征ぐらいしか行かないのにいつもお前は忙しいじゃないか」
提督「そうだっけ……」
木曾「ああ。常に書類とにらめっこしてるイメージがあるぞ」
提督「………そっか……」
木曾「まあ、資源の消費と供給が激しい分報告書とか作らないといけないんだろうが……休める時はしっかり休んで、誰かを頼るのも大事だぞ」
提督「うん……」
木曾「……さて、ちょっと体温計るぞ」スッ
プチ
提督「あ………ぬ、脱がされちゃう……」
木曾「意味深なこと言うな」
提督「えっち…」
木曾「ボタン二つ開けただけだろ!!」
685:
木曾「まったく…ほら、自分で出来るか?」
提督「うん……」スッ
カチ
木曾「すぐに計れるからな」
提督「そうなんだ…最近の体温計って優秀なんだね」
木曾「昔のは時間がかかったのか?」
提督「うん、少なくとも私が知ってる限りでは一分以上…」
木曾「へぇ……」
ピピピピ ピピピピ
木曾「っと、言ってるうちに」
提督「んしょ…」クイ
木曾「貸してみな」
提督「ん…」スッ
686:
木曾「…………」
提督「ん゛ん゛っ…」
木曾(三十九度七分……下がったとは言えないな…)
提督「……どう?」
木曾「ん?ああ、もう一日も寝ていれば治るさ」ニッ
提督「そっか……よかった……」
木曾「さっきまで寝てたから眠れないだろうが…それでも安静にしておくんだぞ」
提督「うん…」
木曾「それじゃあ、俺はもう行くからな」
提督「うん」
木曾「退屈なら本でも読んでていいんだぞ」
提督「うん」
木曾「不安になったらすぐ呼ぶんだぞ」
提督「うん」
木曾「スポドリと水もここに置くからな」
提督「う、うん」
木曾「あと…」
提督「早く行きなよ…」
687:
木曾「あー、いや…すまない、やっぱり心配で…」
提督「あはは……大丈夫だよ、私一人でも…」
木曾「ん…そうだよな、ちゃんと薬も飲んだもんな」
提督「それに、もう子供じゃないから…」
木曾「……そうだな、大人だもんな…心配しすぎだったな」
提督「うん……だから、大丈夫…」
木曾「…ああ。それじゃあ、また後で来るからな」
提督「頑張ってね…」
ガチャ
パタン
提督「大人…かあ…」
688:
提督「…………」
提督「…………」ゴロン
提督「…………」
提督「………う?ん……」
提督(眠れない……)
提督(暇だなぁ…駆逐艦の子達と戯れたい…)
提督(でも安静にしてなきゃダメだし……)
提督「…………」
提督(お薬飲んでちょっと楽になったし……本でも読もうかな…)ムク
ペラッ
提督(あ…しおり、挟み忘れてる…)
提督(どこまで読んだっけ……)ペラッ
689:
???
提督「……………」ペラッ
『ねえ、早く入りましょう?』
『わ、こら!お、押すなって!』
提督「…………?」
『そっと入った方がいいって!寝てるかもしれないだろ、起きたらどうするんだ!』
『うふふ、その時はその時ね?』
『ちょっ、まっ……うおぉ!?』
ガチャッ ドタッ
バタン!!
提督「!?」ビクッ
天龍「よ……よう…」
提督「ど、どうも…」
龍田「お邪魔するわね?」
天龍「いてっ、いてて!というか龍田、早く退けぇ!!」グイグイ
龍田「あら?、ごめんなさい」
提督(なにこれ…)
690:
天龍「えーっとだな…その、今日来たのは…」
龍田「お見舞いに来たんだって、天龍ちゃんったら行くって言って聞かなくて?」
天龍「い、言うなよ!恥ずかしいだろ!」
提督「ああ、そうなんだ……えへへ、ありがと…」
龍田「はいこれ、差し入れ」スッ
提督「ん、これは……プリンにゼリーに…ってプリン多くない?」
龍田「天龍ちゃんが食べたいって言うから…」
天龍「言ってねえ!!」
提督「へぇ、天龍がねぇ…」
天龍「言ってないって言ってるだろ!?」プンスカ
691:
提督「ふふふ、冗談だってば」
天龍「ったく……で、どうなんだ?少しは良くなったのか?」
提督「うん、さっきお薬飲んでちょっと楽になったかな」
龍田「起きてても大丈夫なの?」
提督「さすがに退屈だからねえ…あんまり眠くもないし」
天龍「熱は?」
提督「ん…さっき木曾に計ってもらったら、あと一日で治るって」
天龍「どれどれ……」スッ
提督「えっあ、ちょ
ピト
天龍「………うーん」
提督「ほっほ、ほああぁ」プルプル
天龍「……ダメだ、全然わかんねえ」
提督「//////」ボンッ
天龍「うおぉ!?どどどどうした!?真っ赤になってるぞ!??」
龍田(天龍ちゃんも何気にジゴロよねえ…)
693:
龍田「大丈夫よ天龍ちゃん、提督はちょっと照れちゃっただけだから」
天龍「そ、そうなのか?」
提督「う、うん…というか、近い…」
天龍「っ…わ、わりい///」
提督「………///」
龍田(いい雰囲気になっちゃって…)ムスッ
天龍「おい龍田、なんでそんな顔してるんだ」
龍田「別に、なんでもありませんー」
天龍「えぇ…俺なにかしたか…?」
提督(ギャルゲーの主人公みたい…)
694:
龍田「それにしても提督、今はかなり弱ってるみたいね?」
提督「え?ああ、まあ……うん、身体が重いよ」
龍田「うふふ、なら好き放題しても何も出来ないってことかしらぁ」ニコォ
提督「えっ」
天龍「龍田…」
龍田「……分かってるってば、冗談よ?」
提督「よかった…」
天龍「はぁ…お前のは本気か嘘か分からないからな」
龍田「あら、じゃあ私が冗談って言わなかったら本気にしてもよかったの?」
天龍「そういう意味じゃないっての」
提督「何も抵抗出来ない………そういうのもあるんだ………」ボソボソ
龍田「え?」
提督「なんでもない」
695:
龍田「そうだ提督、ゼリー食べる?」
提督「うーん…プリンの方がいい…」
龍田「そう、ならこっちね」
パキッ
龍田「よいしょ……はい、あーん」スッ
提督「…………」
龍田「食べないの?」
提督「………いや、自分で食べ」
龍田「食べないの?」
提督「………あーん」パク
龍田「うふふ、どーお?」
提督「……美味しいよ」
龍田「そう、よかったわ?。はい、あーん♪」
提督(結局食べさせられるんだねえ…)
696:
提督「……うん、やっぱりこういう時は喉に優しいものが美味しく感じるね」
天龍「そうか?いつでも美味いと思うぞ」
龍田「それは天龍ちゃんが風邪引いたことないからでしょう?」
天龍「ん?まあそうだな!俺は強いからな!ははは!」
提督(馬鹿は風邪を引かないって本当なのかなあ…)
龍田(馬鹿は風邪を引かないって本当よねえ…)
天龍「というかそのプリン美味そうだな」
龍田「市販のやつだけど…天龍ちゃんも食べたいの?」
天龍「えっ、いいのか!?プリン食べていいのか!?」
提督(食べたかったんだ…)
龍田(子供ねえ…)
697:
龍田「はい、あーん♪」
提督「あー…」パク
龍田「うふふ、なんだか餌付けしてるみたいで楽しいわ?」
提督「もうちょっとゆっくり食べたいんだけど…」
龍田「あら?、ごめんなさいね?」
天龍「いやーやっぱプリンは美味いな!な、もう一つ食ってもいいか?こんなにあるんだからいいだろ、な!」
提督「うん、全部食べてもいいよ」
天龍「マジ!?やったぜ!!」
提督(プリン好きなんだ…)
龍田「いいの?」
提督「私だけじゃ食べきれないだろうし…あとゼリーだけ貰っておくね」
龍田「そうね、ちょっと張り切って買いすぎちゃったわ?」
提督「それだけ心配してくれてるの?」
龍田「少なくとも天龍ちゃんはね?」
提督「龍田は?」
龍田「もちろん私もよ?ちゃんと伝わればいいけど…」
提督「………うん、ちゃんと伝わってるよ」キュ
龍田「あら?///」
701:
天龍「おいお前ら、なにいい雰囲気になってんだ」
龍田「え??別にそんなつもりじゃなかったんだけどなぁ?」ギュルルルル
提督(うわっ、すっごい回転してる)
天龍「……まあそれはいいとして、そろそろ俺らもお暇した方が良さげだな」
龍田「そうねぇ、他の子達も来るみたいだし」
提督「そうなの?」
龍田「うふふ、提督は愛されてるからね?」
バァン
雷「司令官、起きてる!??」
天龍「噂をすれば」
702:
ガバッ
ドスン
提督「ぐえっ」
雷「司令官、大丈夫!?寂しくなかった!?苦しくない!?お薬は!?なにか欲しいものとかある!?」
提督「お、落ち着」
雷「熱はあるの!?なら寝てなきゃダメよ!!ほら、お布団かぶって!!大丈夫よ、私がついてるかr
ドスッ
雷「」バタン
提督「ひっ!?」
龍田「うふふ、ちょっと眠らせただけだから安心してね?」
提督「は、はい…」ビクビク
703:
響「失礼するよ、司令官」
暁「司令官、大丈夫ー?」
電「お見舞いに来たのです」
天龍「おー、こりゃまたぞろぞろと」
龍田「私達はお邪魔みたいね?…それじゃあ提督、私達はここでお暇するわ?」
提督「あ、うん、ありがとうね」フリフリ
バタン
暁「司令官、寝てなくていいの?」
提督「うん、ちょっと前までずっと寝てたし…薬も飲んだから今は平気だよ」
電「司令官さんが風邪なんて……珍しいのです」
提督「あはは……みんなも気をつけてね」
響「……ところでなんで雷は寝てるんだい?」
提督「うーん…寝かされたというかなんというか…」
響「??」
704:
響「まあそれはいいとして……よいしょっと」
提督「ん、どうし……
モミュ
響「ふむ、やっぱり熱いな」ムニムニ
提督「……………」
暁「あのさぁ…」
電「お姉ちゃん…」
響「ん、なんだい司令官、そんな顔して」
提督「いや……普通熱があるか確かめるならおでこ触るんじゃ…」
響「それもそうだね。えいっ」ペチッ
提督「わっ、いきなりなに……ん?なにこれ、ひんやりする……」
響「冷えピタ。鳳翔さんがそろそろ熱を下げる段階だから持って行ってくれって」
提督「あ、そうなんだ…ありがと」ナデナデ
響「ん……///」
705:
提督「はー……冷たくて気持ちいい…」
暁「結構辛いみたいね、顔も赤いし…」
電「司令官さん…」
提督「そんな心配そうな顔しないで、すぐに治るよ」
電「………はい」
提督「ごめんね、元気になったら一緒に遊んであげるから……」
電「……待ってるのです」
提督「あー…暁も、それまでみんなのこと頼むね」
暁「! ええ、もちろん!」
響「私は?」
提督「…………えっと、怪我しないでね」
響「そんなに言うことがないか」
提督「正直…」
706:
響「まあいいか……それじゃ、そろそろ私達は出て行くよ」
提督「うん、長居して風邪移したら大変だもんね」
暁「雷ー、雷ってば!」ユサユサ
雷「うぅーん……司令官……」
提督「あぁ…暁、おぶってやってくれないかな…」
暁「ええ…よいしょっと」
電「それでは…司令官さん、お大事に、なのです」ペコリ
提督「うん、またね」
響「司令官」
提督「ん?」
チュッ
提督「わ」
響「じゃあね」パタパタ
バタン
提督「…………」
提督(やっぱり響はませてるなぁ…)サスサス
711:
提督「…………」ペラッ
提督「ん……げほっ、ごほ…」
提督「う?……」
提督(なんだか、またぼーっとしてきちゃった…)
提督(薬の効果が切れてきたのかな……頭も痛いし、身体も熱くなってきた…)
提督(ちょっとだけ、寝ようかな…)
ガチャ…
羽黒「し、失礼します…」
提督「あ、羽黒…どうしたの?」
羽黒「い、いえっ、鳳翔さんに頼まれて、その…夕飯はいるのかどうかを聞きに…」
提督「ああ…ごめんね、もう寝ようと思ってたから…」
羽黒「わ、分かりました、そう伝えておきますね」
712:
羽黒「じゃ、じゃあ……お風呂に入っていないでしょうから、身体だけ拭かせてもらいますね」
提督「ああ、うん…悪いね」
羽黒「い、いえ!そんな、気にしないでください!」
提督「あはは…じゃあ、お願いね…」プチ
スルッ…
羽黒「わ……」ドキン
羽黒(す、すごい……綺麗……)
羽黒(肌、真っ白…雪みたい……)
羽黒(なのに顔は赤くて、目はちょっと虚ろだし……な、なんだかとっても……)
羽黒「…………///」ドキドキ
提督「………?拭かないの…?」クル
羽黒「あ……ご、ごめんなさいっ!ふ、拭かせていただきます!」
提督「う、うん…?」
713:
羽黒「い、いきますよ…」スッ
提督「うん…」
ピト
提督「…………」
羽黒「あ……」
羽黒(タオル越しにも分かる…すごい熱……)フキフキ
羽黒(汗も拭き取ったそばから滲んでくるし……相当辛いんだろうなぁ……)フキフキ
羽黒(それにしても……)
羽黒(…………汗で艶が生まれて……せ、セクシー…というか……)
提督「んっ」ピクッ
羽黒「!!?」
提督「あ…ごめん、続けていいよ」
羽黒「は、はひ…」
羽黒(な、なんなの今の声…ううぅぅ…)///
提督(咳我慢しないと…風邪移っちゃうかも…)
714:
キュッ…
羽黒「あ、あの…」
提督「……ん?なに…?」
羽黒「背中、終わりました…」
提督「ああ、ありがと……」
羽黒「そっ、そ、その、ま、ま、ま、前、は」
提督「ん、前はいいよ自分でやるから…」
羽黒「ですよね……」シュン
提督「タオル、貸して」
羽黒「あ、は、はい」スッ
提督「……うわ、すごい濡れてる…こんなに汗かいてたんだ……」スル
グイ
羽黒「!!!」
羽黒(む、胸が持ち上がって……すごく、すごい……!!)
提督(………なんだか、前より重くなったような……)フキフキ
715:
提督「………ふぅ…ありがと、拭き終わったよ」スッ
羽黒「は、はい」
提督「よいしょ…」
スル
提督「それじゃ私、そろそろ寝るから……ごめんね、相手してあげられなくて…」
羽黒「い、いえ、そんな、私は…無理にお話なんてして、風邪が悪くなる方が嫌ですから…」
提督「ふふ、そっか……じゃあ、おやすみ…」
羽黒「あ………ま……待って、ください……」
提督「………?なにかあるの…?」
羽黒「え、えと、ですね、その、は、早く風邪を治して、司令官さんと、お話、したいから……だから、その……」
提督「………?」
716:
羽黒「きっ……きき、キス、したら、風邪が治るらしいです………よ………?////」カァア
提督「…………」
羽黒「…………///////」
提督「………ダメだよ、聞いたことはあるけど…それだと羽黒に風邪が移るから……」
羽黒「で、ですよね…はい、ごめんなさい…」ショボン
提督「……でも、羽黒の気持ちは嬉しいよ…早く元気になって、その時にいっぱい…お話しようね」
羽黒「……!は、はい!」
提督「うん……それじゃ、今度こそ、おやすみ……」
羽黒「お、おやすみなさい…」
提督「…………」スゥ…
717:
提督「くぅ……」
羽黒「…………」ナデ
羽黒(ちゃんと寝付いたかな……よし、そろそろ私も部屋に戻らなきゃ……)
羽黒(あ、その前にタオルを鳳翔さんのところに……)スッ
羽黒「…………」
羽黒「…………」
羽黒「…………」
羽黒(………ちょ、ちょっとだけ……)スッ
スンスン
羽黒「わぁ………///」
羽黒(優しくて、ほんのりと甘くて…いい匂い……汗じゃないみたい……)ボフ スンスン
羽黒(はぁ……安心する…司令官さん……)スーハー
羽黒(あぁ……ダメ、こんなの…変態さんみたい………)ギュウウッ
羽黒(ダメなのに、やめられないよぉ……)スンスン
718:
羽黒「…………」チラ
提督「すぅ………」
羽黒「………可愛い寝顔……」ツン
提督「ん………」
羽黒「ふふ……」プニ
提督「んぁ……むにゃ…」
羽黒「唇も……柔らかい………」ピト
提督「zzz……」
羽黒「…………」キョロキョロ
羽黒(だ、誰も見てない……よね……)
722:
羽黒「し……失礼、します……」スッ
提督「すぅ………」
羽黒「…………////」ドキドキ
羽黒(こ、これは、司令官さんの風邪を早く治すためだから……)
提督「んん……」
羽黒「!」ピタッ
提督「………ぐう……」
羽黒「…………」…スス
羽黒(あ、あとちょっと……あとちょっと……!こ、こ、このまま、このまま…)ドクンドクン
チュッ
723:
提督「……ん……う………」
羽黒「………………っは」スッ
羽黒「…………」
羽黒「/////」ボッ
羽黒(きゃああああああああ!!!やっちゃった!!?やっちゃった!!!わっわっ、私、司令官さんになんてことを!!)
羽黒(ででででも、と、と、と、とっても柔らかかった…暖かいし優しい味がしたし、あ、安心する……)ドキドキ
羽黒「…………」チラッ
提督「んう?………」ポリポリ
羽黒(お、起きてない………よね………)
提督「……zz…」
羽黒(寝てるよね……な、なら、も、もう一回だけ……)スッ
チュッ
羽黒(……も、もう一回……)
チュッ
羽黒(もう一回だけ……もう一回だけ……)
チュッ チュッ チュッ
???
724:
羽黒「…………はぁ……」
羽黒「………あれ?」
羽黒(…も、もう十五分以上経ってる!?)
羽黒(うそ……わ、私、その間ずっと………)
提督「…………っくしゅ…!ごほ……」
羽黒「!」ビク
羽黒(し、司令官さん…ごめんなさい…こんな、ずるいことしちゃって……)
羽黒「…………」
羽黒(……あ、そろそろ戻らなきゃいけないんだった……)ガタ
提督「うう……んぐ…」ゴロン
羽黒「……お、お大事に」
ガチャ
パタン
725:
羽黒(はぁ……あんなところ、誰かに見られてたら……)
足柄「あっ」
羽黒「えっ」
足柄「…………」
羽黒「…………」
足柄「………あ、あのね、これはちが」
羽黒「見てたの?」
足柄「いや、そんなつも」
羽黒「見てたの?」
足柄「ミテマシタ…」
726:
足柄「で、でもねほら、言いふらすとかそういうことはしないから、ね?」
羽黒「……なら、いいけど……」
足柄「いやあ、びっくりしたわ…提督かちゃんと寝てるか見に来たら、羽黒が何回も何回もキスしてるんだもの」
羽黒「い、言わなくていいからっ!」
足柄「はいはい…しかしあの羽黒がねえ、大胆になったわねえ」
羽黒「でも、見つかったのが姉さんで良かった…青葉ちゃんに見つかったら他の子達になにを吹き込まれるか……」
ビュン
青葉「特ダネゲットオオオオオオオオオオ!!!」ドドドドド
羽黒「」
足柄「」
728:
桟橋
ドッドッドッドッ
ガチャンッ
シュー…
赤城「ふぅ……みなさん、お疲れ様でした」
島風「ああ?疲れたぁ?…」
雪風「zzz……」
加賀「……みんな相当疲れてるみたいね」
赤城「無理もないですよ、朝から今までずっと海の上だったのですから」
加賀「……そうね。あなたたち、今日はもう部屋に戻って休みなさい」
天津風「時津風、歩ける?」
時津風「・ー、きつい…」
赤城「あら、なら私がおぶってあげますね」グイ
時津風「やったぁ!おー、らくちんらくちん♪」
729:
加賀「あなたはおぶらなくてもいいの?」
天津風「私は平気、疲れてないわ」
島風「そんなこと言って、さっきすっごいあくびしてたよ?」
天津風「んなっ、い、いちいち言わなくていいから!」
赤城「ふふ、どれだけ強がってもまだ子供ですね」
加賀「ええ……ところで」
赤城「はい?」
加賀「なぜ私まで遠征に?」
赤城「えっと、駆逐艦の子達だけで行く予定だったんですけど……提督の指示がないぶん、心配だからって鳳翔さんに頼まれて…」
加賀「………なら仕方ないわ」
赤城(相変わらず鳳翔さんには甘いですよねぇ…)
730:
加賀「……………」
赤城「そんなに提督のことが気になりますか?」
加賀「………別に、そういうわけでは…」
赤城「でも、いつもより早足になってますよ?」
加賀「…………」
赤城「ふふ、提督のところに行ってきてあげてください。資材の運搬は私達に任せてくれて大丈夫ですよ」
加賀「赤城さん……」
赤城「さあ、行ってください」
加賀「いえ、でも…」
赤城「? なにか理由でも…」
加賀「赤城さんがつまみ食いしないか心配で…」
赤城「しません!!」
731:
ガチャ
キィ…
加賀「…………」
パタン
提督「…………」zzz
スタスタ
ストン
加賀「……なんだか長い間会えなかったような気分ね」ギュ
加賀「一人で……辛かったでしょう?」
提督「……ん、う…うぁ……」ビクッ
加賀「………うなされているの?」ナデ
提督「うっ……あ…」キュ
加賀「……怖かったのね……」
加賀「でも、大丈夫よ…今は…私達がいるから……」
提督「……ん……」
加賀「…………」スゥ…
734:
???
加賀「……ぅ……?」パチ
提督「すー……すー……」
加賀「…………」ボーッ
加賀「………あ」
加賀(あのまま寝てしまってたのね……)
加賀「………?」
提督「う…げほ……」ギュー
加賀(汗が……一晩中握られていたのかしら…)
735:
提督「んんっ………ぁ……」パチ
加賀「あ…起きた…?」
提督「……お母さん……?」
加賀「え?」
提督「大丈夫だよ、心配しなくても……」
加賀「…………」
提督「私なら……一人でも…」ゴロン
加賀「………ええ」
提督「だから、お仕事に………」
加賀「…………」
提督「………ん?」
736:
提督「…………!!!」ガバッ
加賀「どうしたの?」
提督「か、加賀!?なんでここにいるの!?」
加賀「お母さんはあなたを心配して来たのよ」
提督「いやああああ!!忘れて!!さっきのは寝ぼけてただけだから忘れて!!」ブンブン
加賀「そんなに叫んだら喉を傷めるわ」
提督「ああぁ?…なんで母さんだと思ったんだろ恥ずかしい死にたい……///」
加賀「熱でぼーっとしてるみたいだし、仕方ないでしょうね」
提督「………忘れて」
加賀「ええ、お母さんはすぐ忘れるわ」
提督「もう!」
加賀「ふふ、冗談よ」
739:
スッ
ピト
提督「!」
加賀「熱、ずいぶん下がったみたいね」
提督「ん……そういえば、昨日よりかなり楽になった気がする」
加賀「鳳翔さんが看病してくれたの?」
提督「うん、他の子達もね」
加賀「そう……よかったわ」
提督「みんな、変わり代わりに来てくれるから…寂しい気持ちも紛れたよ」
加賀「あ………その、ごめんなさい…」
提督「え、どうして謝るの?」
加賀「いえ、ずっとそばに居てあげられなかったから…寂しかったでしょうに…」
提督「そのくらい大丈夫だよ、確かに寂しかったけど……けど、ちゃんとこうして来てくれることが、それよりも嬉しいから…」
加賀「風花……」スッ
提督「加賀……」
クイ
740:
提督「………ってなにナチュラルにキスしようとしてるのさ!」グイ
加賀「うぐっ」
提督「風邪移るからダメ!ちゃんと治ってからにして!」
加賀「お固いのね」
提督「加賀ががっつきすぎなんだよ」
加賀「でも、あなたにしかしないわ」
提督「………もしかして私が他の子とキスしてたりするの、怒ってる?」
加賀「怒ってなんていないわ。まあ、少し悔しい気もするけど」
提督「………やっぱり、加賀は…」
加賀「?」
提督「私のことが好きだから、そういうことをするんだよね」
加賀「ええ、そうね」
741:
提督「……ごめんね、加賀」
加賀「? いきなりどうしたの?」
提督「自分でもよく分かってないんだけどね……私、本当は加賀に恋愛感情なんて持ってないんじゃないかって…」
加賀「どういうこと?」
提督「………私、加賀を母さんと間違えてたでしょ?」
加賀「ええ」
提督「私の母さんね、加賀に似てたの。加賀と同じ髪型で、物静かで、いつも仏頂面で………けど、優しかった」
加賀「私、そんなに無愛想な顔してる?」
提督「うん」
加賀「…………」ニマァ
提督「な、なにその気持ち悪い笑顔…無理しなくていいよ…」
加賀「…………」
742:
提督「おほん…で、ね?そんな母さんが大好きで、妹が生まれるまではずっと母さんに甘えてたの。母さんもちゃんと私を甘えさせてくれてた」
加賀「…………」
提督「五歳の時に一人目の妹が生まれて、それから母さんはその子に付きっきりになって…私はお姉ちゃんらしくなれるように、母さんがいなくても一人でなんでも出来るように色んなことをしてたと思う」
加賀「上手く甘えられなかったの?」
提督「まあ、結論を言うとそうなんだけど………二人目の妹が生まれて、私が…九歳…十歳だったかな?それくらいの頃に、色々あって父さんも妹二人も家を出ちゃって…」
加賀「……離婚?」
提督「ううん、一応別居っていう形だった。で、その後から……あの人が来てから、全部、おかしくなって……」
加賀「…………?」
提督「………全部おかしくなる前、ね。その時が、最後だったんだ。母さんが、甘えさせてくれたのは」
加賀「え……お母様、もう他界して…」
提督「あ、いや、まだ元気なんだけどね。語弊のある言い方でごめん」
加賀「そ、そう…ならよかった」
743:
提督「今でも鮮明に覚えてる…私が好きだった歌を歌いながら、お気に入りの櫛で髪を梳いてくれた、母さんを…」
加賀「…………」
提督「………変な話して、ごめんね。たぶん、私は……うん、加賀を擬似的に母さんとして見て、甘えたがってただけなんだと思う」
加賀「なるほど…つまり、家族愛みたいなものというわけね」
提督「親友とも恋人とも付かないような気持ちだったから、これだって気付いて……なのに深く考えもせずに、恋人だとか言って、申し訳なくて……」
加賀「それがなにか問題なの?」
提督「…………へっ?」
加賀「たとえ恋愛感情を持っていなかったとしても、それでもあなたは私に愛してると言ってくれたわ」
提督「……でも、私は…」
加賀「それに、もう決めたの」
提督「え……?」
加賀「これから行く先に光など見えなくても、何があってもあなたを信じるって」
提督「…………」
744:
提督「…………」ブワッ
加賀「えっ」
提督「えっ?」ポロポロ
加賀「えっ、ちょ、な、ど、どうして泣くの?そんなに嫌だった?」
提督「え?あ、あれ、なんで私泣いてるんだろ、あっ、ちが、ただ、ちょっと嬉しくて、なんだろ、なんだろうこれ」ポロポロ
加賀「………ぶふっ」
提督「わ、笑わないでよ!私だって何がなんだかもうわかんなっ………うっ、うっ、うえぇぇ…わかんないよおぉぉぉ……」ボロボロ
ギュウ
加賀「よしよし……私はあなたを裏切ったりなんてしないから」ナデナデ
提督「うん……うん……」ギュウウ
加賀「もうあなたは一人じゃない…だから、好きなだけ泣いても、甘えてもいいから」ポンポン
提督「う…っ、う、わあああああん……!」
加賀(しばらく泣き止みそうもないわね…)ナデナデ
747:
???
提督「…………」
加賀「……落ち着いた?」
提督「……うん、ありがと」スッ
加賀「そういえば、あなたが泣いてるところなんて見るの、初めてね」
提督「うん…お姉ちゃんは泣いてるところを下の子に見せちゃダメだって、ずっと母さんに言われてたから」
加賀「そう……長い間我慢してたのね」ナデ
提督「…………////」カァア
バッ
加賀「?」
提督「っご、ごめん、なんだか今そういうことされると、すっごい恥ずかしいっていうか…その…」
加賀「ええ」
提督「い、意識しちゃうというか……///」
加賀「…………」
748:
提督「………か、加賀?」
加賀「なに?」
提督「手、握ってもいい?」
加賀「ええ」
提督「し、失礼します…」
ギュ
加賀「どうしてそんなに緊張しているの?」
提督「…………///」カァッ
加賀「ちょ、ちょっと…」
提督「あ、も、もういいよ。うん、やっと分かったから」
加賀「分かった…?」
749:
提督「うん……あの、その、先に謝っておくね?」
加賀「え、ええ」
提督「そのぉ………さっきは恋愛感情なんて持ってないかもしれないって言ってたけど…やっぱり私、加賀のことが好きみたい…っていうか……」
加賀「はあ」
提督「こうして来てくれたのも嬉しいし、今みたいに手を握ってもらうだけでドキドキするというか…うん、あったかい気持ちになるっていうか……その……」
加賀「…………」
提督「………好き、だよ」
加賀「…………」
提督「…………な、なにか言ってよ//////」
加賀「え?ああ、正直私も混乱してるからよく分からないわ」
提督「えぇ…」
750:
加賀「けど、私達が両想いということは分かるわ」キュ
スッ
提督「あ、ま、待っ…」
加賀「……口はダメだったわね」
チュッ
加賀「ここなら風邪は移らないでしょう?」
提督「…………///」
加賀「赤くなってばかりね。熱、計る?」
提督「………おでこ、汗出てると思うんだけど」
加賀「そうね、少し塩辛いわ」
提督「…………バカ!」ギュム
加賀「痛い」
751:
加賀「…それで?私のことが好きということは、恋人同士という関係でいいの?」
提督「うん、加賀が良ければ…だけど」
加賀「今さら拒む理由もないわ」
提督「そっか……なら、改めて、これからよろしくね」
加賀「ええ。あなたと一緒なら海の底に沈むのだって怖くないわ」
提督「………なんだかその発言は危ない気がする」
加賀「………私も言った後思ったわ」
755:
提督「あ……」
加賀「どうしたの?」
提督「その……私、加賀だけじゃなくて、他の子ともそういうこと、してる…っていうか、されてるんだけど…」
加賀「前にも言ったけど…そんなこと気にしないわ、最後に私のところに帰ってきてくれて、私を愛してるならそれでいいの」
提督「で、でも、恋人同士だし…やっぱり私もちょっと躊躇ってしまうというか…」
加賀「恋人の幸せを願うのが、恋人の本道でしょう?」
提督「………何も言い返せないや」
加賀「さっきも言ったわ、何があってもあなたを信じるって」
提督「……うん、なら他の子達ともどんどんスキンシップしようっと!」
加賀「その開き直りはどうなの…」
756:
加賀「それじゃあ、私はもう行くから」
提督「え?今日、非番じゃないの?」
加賀「ここにいたらどうせあなたが風邪が移るだのなんだの言って出て行かせるじゃない」
提督「………まあ、そうだけど」
加賀「それに私、昨日ずっとここで寝ていたから…身体が痛いの」
提督「え、そうだったの?」
加賀「少し部屋で寝たら、また来るから…じゃ」スッ
提督「うん、またあとでね」ギュウウ
加賀「…………」
提督「………行かないの?」
加賀「行かせる気、あるの?」
757:
パッ
提督「でへへ、離れたくなかったものでつい…」
加賀「また来ると言ってるでしょうに…」
提督「うん、ごめんね、戻っていいよ」
加賀「ええ…そうそう、朝ご飯は鳳翔さんが持ってきてくれるそうよ」
提督「うん、わかった」
加賀「ちゃんと薬、飲まなきゃダメよ?」
提督「分かってるって」
加賀「熱は下がったとはいえ、まだ風邪だからあまり無理はしないように」
提督「うん」
加賀「辛くなったらすぐに寝るのよ?」
提督「うん」
加賀「あと…」
提督(一緒だ…木曾と一緒だ…!!)
758:
加賀「………あと、これ」シュル
スッ
提督「え?髪留め?」
加賀「これを私と思えば、少しくらいは寂しさが紛れるかもしれないから」
提督「………うん、ありがとう」
加賀「それじゃあ、私は寝てくるから」
提督「うん、しっかり休んでね」
パタン
提督「…………」
スンスン
提督(髪留め……いい匂い…)
提督(加賀の匂い……安心する……)
提督「えへへ……」
760:
バタンッ!!
提督「っ!?」ビク
大井「提督うううううううううううう!!!!」ドドド
ガバッ
提督「うわっ!?ちょ、ひええぇ!?」
ドサッ
大井「わあああああああん!!元気そうでよかったでずううううううう提督うううううう!!!」ギュゥゥゥ
提督「ぐえ……わ、分かったから大井…は、離れて……うぐぐ…」ギリギリ
大井「会いに来られなくてごめんなさい!!でも、ずっと心配でしたあああああああ!!」ギュゥゥゥゥゥゥ
北上「やっほーふーちゃん、元気になっ……」
提督「ぐげっ……こひゅっ……」ビクン ビクッ
北上「うわあああ!??大井っち!キマってる!!キマってる!!」
761:
提督「げっほ……死ぬかと思った……」
大井「ご、ごめんなさい…つい気持ちがはやって…」
北上「もー、一日会えなかったぐらいで大げさだよ」
大井「提督が高熱を出したと聞いて、心配で心配で…」
提督「あはは…まあ、気持ちは十分に伝わったよ」
大井「ちょっと、失礼しますね」スッ
ペタ
大井「………やっぱり熱いですね」
提督「これでも昨日よりはかなりマシになったんだけどね…」
大井「どれどれ…」ペタ ペタペタ
提督「んっ…?」
大井「ふむふむ…なるほど」サワサワ
提督「やっ、ちょ……///」ビク
大井「ふ…ふくく、ぐへへへ……」ゴソゴソ
提督「あんっ…!」ピクッ
北上「……………」
ガスッ
762:
北上「いやーごめんねー、うちの大井っちが迷惑かけてねー」ギギギ
大井「げご、ぐぎぇっ、ごひゅ」パンパン
提督「う、うん…まあ、嫌ではないから……というか…」
北上「なに?」
提督「完全にキマってない?」
北上「そう?」
大井「きっ、ぐっ、ぐっ」ブクブク
提督「泡吹いてるけど…」
北上「ああ、これはもっとやってほしいってサインだから」
提督「そ、そう…」
北上「ほら、そうでしょ?そうって言えよ」ググ
大井「うごげぐ…は、はひぃ…」
北上「ね?」
ゴキン
提督「あっ」
大井「」ビクンビクン
北上「あっ」
763:
大井「折れたかと思ったわ…」
北上「ごめんねー、さすがにお仕置きしなきゃまずいと思ったからさ」
大井「私と提督以外にこんなことしちゃダメですからね?」
北上「うん、わかった」
提督「なんで私も含まれてるの?」
大井「愛だからに決まってるじゃないですか。ねえ、北上さん」
北上「ん?うん、そだねー」
大井「ねー♪」
提督(ダメだ、ついていけない…)
764:
提督「…………うっ」ブルッ
北上「ん、どしたの?」
大井「具合、悪くなったんじゃ…」
提督「いや……ちょっと、も、催しちゃって…」
北上「あー、なるほど」
大井「! ちょっと待っててくださいね、今尿瓶を持ってきますからねフヒッ」
提督「待って、なんでここで出す前提なの」
766:
大井「…………よし、録音完了」カチッ
北上「…………」バキッ
大井「ああー!!??」
ジャー
ガチャ
提督「ふぅ……あれ?二人ともどうかしたの?」
北上「いや、なんでもないよー」
大井「わ、私の録音機が…」
北上「なんでもないよね?」ギュム
大井「あ☆%○>〒??!!??」
北上「うん、なんでもないってさ」
提督(この二人、もしかして仲悪いんじゃ…)
768:
北上「というかふーちゃん、もう歩いて大丈夫なの?」
提督「うん、ちょっと頭が痛むぐらいだから平気だよ」
大井「うふふ、一応倒れたりなんてしないように支えておきますね」ギュッ
北上「あ、ずるーい。あたしもやるー」ギュッ
提督「あはは、歩きづらいよ?」
北上「いいじゃんいいじゃん、このままゆっくり行こー」
大井「行きましょー」
提督「はいはい」
769:
ボスッ
提督「はぁ?…なんだか久々に歩いた気分だったよ」
北上「まー長いこと寝てたみたいだからねえ」
大井「あ、北上さん、そろそろご飯の時間ですよ」
北上「そうなの?ならもう行くね」
提督「うん、しっかり補給して頑張ってね」
北上「そうそう、言い忘れてたんだけどさ」
提督「なに?」
北上「キスしたら風邪治るらしいよ?」
提督「ぶっ」
北上「まあそんなことしたらふーちゃんに迷惑かかるからやらないんだけどね」
提督「もう…変なこと言わないでよ…」
大井「提督から移された風邪なら辛くないかもしれない……いやむしろ幸せなのでは……」ボソボソ
提督「へ、変なこと言わないでよ…」
770:
北上「じゃ、また風邪治ったらしようねー」
提督「う、うん…?」
バタン
提督「……なんて大胆なことを…」
提督「…………」グゥ
提督「………私もお腹空いたなあ」
提督「どうしようかなあ…ご飯、持ってくるって言ってたけどみんなと食べたいしなあ…)
提督(でも食堂に行ったら怒られるだろうしなあ…)
提督「う??……」
ガチャ
提督「!」
772:
摩耶「よう、元気か?」
提督「摩耶…来てくれたんだ」
摩耶「鳳翔さんにご飯持って行ってあげてくれって言われたんだよ」
提督「えー、じゃあ心配されてないの?」
摩耶「別にそうは言ってないだろ」
提督「なら心配してくれてるんだ?」
摩耶「はいはい、それでいいよもう」
提督「ふふっ、ありがと」
摩耶「ほら、米。もう食べられるだろ?」
提督「うん、ありがと」
摩耶「おかずもあるからな。無理して食べなくてもいいぞ?」
提督「わかってるよ」
774:
摩耶「ん?」
提督「どうかした?」
摩耶「これ、花瓶。もう水ないじゃねーか」
提督「あ、ほんとだ…ごめんね、変えておいてくれないかな」
摩耶「ったく、しょうがねーな……もし今枯れたりしたら縁起悪いどころじゃないぞ…」
提督「あはは…」
摩耶「ちゃんと定期的に変えるんだぞ?じゃなきゃお花が可哀想だからな」
提督「お花?」
摩耶「? お花はお花だろ?」
提督「あ、う、うん、そうだね」
摩耶「…変なヤツだな」
提督(お花って…!お花って、超可愛い…!!)
775:
摩耶「ほら、味噌汁。身体あっためろよ」
提督「うん」
ズズ…
提督「…………?」
摩耶「どうした?」
提督「いや、味噌汁の味、いつもと違うなーって思って…」
摩耶「! ど、どうだ?美味いか?」
提督「うん、美味しいよ。ほんとに毎日飲みたいぐらい…」ズズズ
摩耶「???????!!!////」グッ
提督(なんでガッツポーズしてるんだろ…)
776:
ガチャ
鳳翔「提督、おはようございます」
提督「あ、おはよう鳳翔さん」
摩耶「よっ、もう全部食べ終わったみたいだぜ」
鳳翔「あら…もうそんなに食欲が戻ったんですね」
提督「うん、美味しかったよ」
鳳翔「ふふっ、よかったですね、摩耶さん」
摩耶「!!!」ドキン
提督「えっ?」
鳳翔「え?あ、あら、言ってなかったんですか?摩耶さんが提督の朝ご飯を作ったと…」
提督「そうなの?」
摩耶「へっ!?あっ、ああ、それはだな、その、えっと」
提督「なんだ、そういうことなら隠さなくてもいいじゃない!摩耶のご飯、美味しかったよ!」
摩耶「??????!!!/////」ブルブル
777:
摩耶「?????っ!!!///」ダダダ
提督「あ、摩耶!?」
ガチャ
バンッ!!
提督「………行っちゃった」
鳳翔「よほど恥ずかしかったのでしょうか……顔が真っ赤でしたね…」
提督「うん……鳳翔さん、あとで摩耶にまた作ってねって言っておいてくれる?」
鳳翔「はい、お任せください」
提督「ありがと…それにしても、あんなに照れることないのにねぇ」
鳳翔(想い人の前でなら、仕方ないと思いますけども…)
提督「ねえ?」
鳳翔「……そうですね、ふふ」
鳳翔(私も、そのうちの一人なんですけどね…)
778:
鳳翔「おでこ、失礼しますね」スッ
ペタ
鳳翔「……もうかなり熱は下がったみたいですね。体調はどうですか?」
提督「んー、たまに頭が痛くなるくらいかな」
鳳翔「なら…はい、解熱剤と頭痛薬です」
提督「これだけでいいの?」
鳳翔「はい、あとは熱を下げるだけなので…明日には治りますよ」
提督「そっか……よかった」
鳳翔「ちゃんと自分で飲めますか?」
提督「うん、大丈夫」
鳳翔「あ、なんならゼリーでも…」
提督(子供扱いされてる気がしてならない…)
779:
ゴクッ
提督「ふぅ…ほら、ちゃんと一人で飲めるよ」
鳳翔「ふふっ、よく出来ましたね。えらいえらい」ナデナデ
提督「………鳳翔さんって、誰に対してもそうなの?」
鳳翔「え?あ、いえ、辛い時は子供をあやすみたいに接すると気持ちが落ち着くみたいなので…」
提督「ふーん……なら、悪い気はしないかなあ」
鳳翔「提督が子供扱いされたくないというのは分かっているのですが…弱っている人を見ると、優しくしてあげたくなるというか…」
提督(これが母性か…!)
780:
鳳翔「それでは、私はそろそろ行きますね」
提督「うん…ごめんね、洗濯とか手伝ってあげられなくて」
鳳翔「いえいえ、少し休むくらいがちょうどいいんですよ」
提督「……うん、鳳翔さんもたまには休んでね」
鳳翔「はい、今日は非番なのでゆっくりさせてもらいます。では」
提督「またねー」
バタン
提督「…………」
提督(……加賀、まだ寝てるのかなあ)
782:
???
提督「……………」
キィ…
提督「…………ん?」
天津風「……………」ジイ
提督「………天津風?」
天津風「……入っていい?」
提督「うん、いいよ」
天津風「ん…ありがと」
パタン
783:
提督「一人?雪風に時津風、島風は?」
天津風「まだ寝てるわ、昨日は相当疲れたみたい」
提督「……ああ、そっか。一日遠征だったもんね。天津風は?疲れてない?」
天津風「疲れてない……なんて、嘘言ってもあなたには分かるわよね」
提督「うん…一人じゃ眠れない?」
天津風「………そこまで見通されてるんだ」
提督「素直に言い出せない子、ここにはいっぱいいるからね。顔を見たらわかるよ」
天津風「そう…優しいのね…」
提督「……ほら、おいで」ポンポン
天津風「……ええ」
パタパタ
ギシッ
ポスン
784:
天津風「抱き付いてもいい?」
提督「いいよ」
ギュム
天津風「…………」
提督「今日はやけに甘えてくるね」ギュウ
天津風「………なんだか、こうしてると安心するの…」
提督「…………そっか」
天津風「………昨日、ね」
提督「うん」
天津風「昔の頃の夢を見て…ちょっと、怖くなっちゃって…」
提督「昔のって、前の鎮守府?」
天津風「………ええ」ギュウ
提督「………そっか」
785:
天津風「………ねえ」
提督「うん?」
天津風「私、ここに居てもいいのよね」
提督「うん」
天津風「私、あなたに必要とされてる?」
提督「うん、天津風は私にとって大切な人だよ」
天津風「………そう、なら……嬉しい…わ…///」ポポポ
提督「もう辛いことは何も思い出さなくていいからね。ここに居れば、何も怖いことはないから…」ナデナデ
天津風「…………///」ポポポ
提督「………とは言っても、まだまだ時間はかかりそうだね」
天津風「そう、ね……今だに大きい音が鳴ったりすると、怖くなるから…」
提督「…ゆっくりでいいよ、誰も天津風を見捨てたりなんてしないから」
天津風「…ええ、ありがとう…」
786:
提督「…………ところで、天津風ってさ」
天津風「? ええ」
提督「照れたり嬉しい時はさ」
天津風「ええ」
提督「その煙突?というかラジエーターから、ハート型の煙が出るよね」
天津風「っ!?///」ポポポ
提督「あ、今も」
天津風「えっ、ちょ、や、やだ、見ないでよ!!///」ポポポポ
提督「他にも楽しい時は音符型の煙とか、何か閃いた時は豆電球型の煙とか…」
天津風「う、うそ!?そんな、私いつの間に…!///」ポポポ
提督(まあさすがにそれは嘘だけど…というかこれ、無意識だったんだ…)
天津風「ううう?……止まれ止まれ止まれ?っ……/////」ポポポポポ
提督(かわいい…)
788:
提督「ほら、もう止まったから。一緒に寝よう」ゴロン
天津風「ん…そうね」ボフッ
提督「はい、枕」
天津風「いらないわ、あなたの胸で寝かせて?」
提督「はいはい、どうぞ」
天津風「ありがと……うん、安心する…」
提督「ふふ、どうも」ギュム
天津風「………あなた、身体あったかいのね」
提督「そう?」
天津風「ええ……優しくて…心地いい……わ……」スゥ…
提督「…………」ポンポン
789:
天津風「すぅ……すぅ……」
提督(もう寝付いちゃった……やっぱり疲れてたんだろうなぁ…)
提督(まだ子供だもんね……人間に換算したら、十五も行ってないだろうに……)
提督(こんな………子供に………)ギリッ
天津風「ん……」コロ
提督「…………?」
提督(首の後ろに………これは、火傷の痕……?)
提督(………今度、改装の時に消してあげなきゃ……)
提督(辛かっただろうな……ずっと、誰も味方してくれなくて……)
天津風「ぅ……あな、た……」
提督「………よしよし、私はここにいるからね」ナデナデ
天津風「……んぅ……」
提督「…………」
790:
???
提督「……………」ペラッ
天津風「……ぅ……」ゴロン
提督「ん……起きた…?」パタン
天津風「………あなた…?」
提督「うん、私。もうお昼の時間だよ」
天津風「……そう……お昼……」グラ
提督「おっ…まだ眠い?」
天津風「………いただきます…」
提督「へっ?」
カプ
提督「ひょわぁあ!?」ビクッ
791:
天津風「あむ……ん……」アグアグ
提督「おっあ、あっあっあっ」ドキドキドキドキ
天津風「んんっ…ふ……」チュウ
提督「んひいっ!?」
提督(だだだだダメダメダメダメ!!ね、寝ぼけてるだけだから!子供に惑わされちゃダメだから!!耐えろ私!!)
天津風「………んぁ…?……あれ?」
提督「はっ……はっ……」
天津風「……あっ!?わ、私、あなたに変なこと…ごめんなさい!」
提督「いや……いいよ、大丈夫…」ゼェゼェ
天津風「え、ええ…」
天津風(なんでこんなに息切らしてるのかしら…)
提督(理性の勝ち……!)
794:
提督「そ、そんなことよりほら、もう十二時過ぎだよ。お腹空いてない?」
天津風「ん……?そうね、朝食べてないから結構…」
提督「なら、食堂行っておいで?」
天津風「あなたは?」
提督「私は……まだお腹空いてないからいいや。またあとで、一緒におやつ食べよっか」
天津風「……ええ、そうね。じゃ、行ってくるわ」
提督「うん、今日はゆっくりしててね」
天津風「わかったわ!」ガチャ
パタン
795:
加賀「…………」スタスタ
天津風「?♪」パタパタ
加賀「………?天津風…」
ガチャ
加賀「起きてる?」
提督「あ、加賀!もう寝なくていいの?」
加賀「ええ、あまり寝すぎると今夜眠れなくなるから。それより…」
提督「なに?」
加賀「あの子…一緒にいてあげたの?」
提督「うん、二度寝だって」
加賀「そう…なら私と同じね」
796:
提督「何か気になることでもあるの?」
加賀「いえ……あの子、ここに来た時よりいい顔をするようになったと思って」
提督「ああ……前の鎮守府のこと、ずっと引きずってたみたいだから…」
加賀「………虐待?だったの?」
提督「うーん…まあ、そうなるのかな…特別海域開放で、労力をかけた割に役に立たない奴だって、そこの提督が見捨てたみたいで…」
加賀「…ひどいことをするものね」
提督「うん……それがトラウマになったのか、今でも大きい音が鳴ったら必要以上に反応したり、火を見たら怯えたり…」
加賀「なるほど…だからお風呂にも一人で入ろうとするのね」
提督「………天津風の背中、見たことある?」
加賀「…ないわ」
797:
提督「あの子の背中ね……今は改装のおかげでなくなってるけど、ここに来た当時は火傷の痕でいっぱいだったんだよ」
加賀「火傷?」
提督「うん、私は吸わないから見たことないかもしれないけど…たぶん、煙草とかで焼かれたんだろうね」
加賀「…………」
提督「……ごめんね、変な話して」
加賀「いえ、その……あの子の気持ちが、少し分かるような気がしたわ」
提督「……うん、力になってあげてね」
加賀「…とは言っても、あの子はあなたに懐いているみたいだけれど」
提督「あはは…みんなの前で甘えるのは恥ずかしいみたいだけどね」
798:
加賀「素直じゃないのね」
提督「加賀も人のこと言えないでしょ?」
加賀「私?私は素直よ」
提督「じゃあなんでみんなの前じゃ風花って呼んでくれないの?」
加賀「それは……えと……」
提督「ほら、加賀もツンデレじゃない」
加賀「………私は別に、そういうのじゃ…」
提督「それ言うともっとツンデレみたいだよ」
加賀「……………」
799:
加賀「……素直じゃないのはあなたもそうよ」
提督「なんで?」
加賀「他の子達がいる前で抱き締めようとしたりキスしようとしても振り払うでしょう」
提督「いやそりゃそうでしょ」
加賀「どうして?」
提督「こっちが聞きたいよ」
加賀「抱き締めちゃいけないの?」
提督「そういうわけじゃないけどさ、もっと時間と場所を考えなよ」
加賀「なに?金剛さんに洗脳でもされたの?」
提督(もしかして加賀もアホなんじゃ…)
800:
提督「とにかくほら、私は素直だから。ちょっとこっち来てみて?」
加賀「……はあ」
ギシ
提督「そうそう、そのまま座って」
加賀「こう?」
提督「うん」
ポスッ
加賀「…………」
提督「ね?」
加賀「ね?と言われても」
提督「なんでさ、素直に甘えてるでしょ」
加賀「いつも通りじゃない」
801:
提督「そう?」
加賀「二人きりの時は大抵こうだと思うけれど」
提督「他は?」
加賀「……海を眺めたり、一緒に本を読んだり、たまにお酒を飲んだり…」
提督「なんか、おばあちゃんみたいだね」
加賀「………私、いくつくらいに見える?」
提督「まだ二十代前半ぐらいでしょ。私は?」
加賀「え?」
提督「私は?」
加賀「………えっと」
提督「うん」
加賀(……何、この威圧感は…)
802:
加賀「…………そうね、あなたも二十代くらいに見えるわ」
提督「んふふ、ありがと」
加賀「この鎮守府で最年長なのって、誰なの?」
提督「え?竣工日から考えて、金剛じゃないの?」
加賀「あ、いえ、そうじゃなくて、見た目から人の年齢に換算するということで」
提督「………人の年齢かあ。なら……鳳翔さん……は、まだ若いよね…」
加賀「でも私よりは歳上じゃない?」
提督「んー、まあ加賀が二十二ぐらいだとしたら鳳翔さんは二十五かそれ以上になるね」
加賀「なら、それより上」
提督「足柄とか…」
加賀「ああ…」
803:
提督「………不毛な話はやめようか」
加賀「そ、そうね…」
提督「…しかし、こうしてみると私達って結構恋人らしいことしてるね」
加賀「………言われてみればそうね」
提督「どう?私と一緒に海を眺めたり、本を読んだり、お酒飲んだりすると楽しい?」
加賀「ええ。いつどの瞬間よりも満たされているわ」
提督「そっかそっか、えへへへ」
加賀「ふふ…」ギュ
804:
提督「うーん、でもなあ」
加賀「なに?」
提督「せっかく恋人なら、その証として何か残したいよね」
加賀「いい考えね」
提督「証……あ」
加賀「なにかある?」
提督「ちょっと、手見せて?」
加賀「こう?」
提督「ん、ありがと…」ニギニギ
加賀「く、ふふ…くすぐったいわ…」
提督「あ、もう少しだけ我慢して」ニギニギ
加賀「ふ…くくく…」プルプル
805:
提督「…………」ジーッ
加賀「……私の手に何かついていて?」
提督「…ん?ううん、今はまだ…何も付いてないよ」
加賀「今は?」
提督「うん……ね、加賀」クルッ
加賀「どうしたの?」
提督「加賀の練度ってさ、もう最大だったよね」
加賀「ええ、自分でも限界を感じるわ」
提督「そっ、か……」
加賀「それがどうかしたの?」
提督「…………」
806:
提督「ねえ、加賀」
加賀「?」
提督「私と……」
加賀「ええ」
提督「…………」
加賀「…………」
提督「………ごめん、やっぱりいいや」
加賀「え?気になるわ」
提督「また今度、ちゃんと言うよ。この風邪を治して、元気になってからね」
加賀「……そう、楽しみにしているわ」
提督「うん……待っててね」
加賀「ええ」
807:
提督「加賀」
加賀「なに?」
提督「大好きだよ」
加賀「…あなたから言い出すなんて、珍しいわね」
提督「そう?」
加賀「……なんでもいいわ、私もよ」
提督「えへへ…やっぱり、加賀が一番だな…」
加賀「ふふっ、嬉しいわ」
提督「こうしてると、安心するから…母さんみたいで……」
加賀「…………」ナデナデ
提督「………くう……」
加賀「……おやすみなさい」ギュウ
808:
長いのおわり
加賀に死亡フラグが立ったような気がするのは気のせいです
810:
次は提督の過去の話ですが、オリジナル要素が強いので苦手な人は…ナオキです。
811:
提督「……………」キィ クルクル
翔鶴「……………」
瑞鶴「……………退屈ねえ」
飛龍「ねー…」
提督「私はいつもこれくらい暇だといいんだけどなあ」
蒼龍「提督、毎日忙しそうだからねえ」
赤城「そうですね、付近の海域が平和な分私達は時間がありますが」
加賀「その割に鎮守府が大きいから、資材の増減が激しくて…」
翔鶴「書類の作成、提出に追われると」
提督「大変だよ、毎日毎日…文字ばっかり見て…」
加賀「よくサボるくせに」
提督「でへへへ」
812:
提督「さてと……どうせ暇ならゲームでもやろうかな」
飛龍「なになに?なにやるの?」
提督「悪魔城」
蒼龍「悪魔城?」
加賀「今日は何をやるの?」
提督「んー、みんないるしHDかなあ」
瑞鶴「複数人で出来るの?」
提督「四人までだけどね」
飛龍「やりたい!」
蒼龍「私も!」
瑞鶴「私もやってみたい!」
翔鶴「わ、私も…」
提督「あ、なら私は後ろから見てるよ。はい、コントローラー」
飛龍「やったぁ!」
加賀「……………」カチッ
ペポゥ
赤城(白夜の協奏曲…)
813:
飛龍「あれ?一人しかいないよ?」
蒼龍「ぷれす…すたーと?って読むのかな?」
瑞鶴「どういう意味?」
翔鶴「すたーとを押せってことじゃないかしら…」
蒼龍「すたーとぼたんってどれ?」
飛龍「これじゃない?同じ字が書いてあるし」ポチ
チュキーン
蒼龍「おおー!入った!」
瑞鶴「ここ?」ポチ
翔鶴「えいっ」ポチ
チュキーン チュキーン
飛龍「おおー、これで四人揃ったね」
蒼龍「ここからどうするの?」
翔鶴「キャラクターを選択って書いてあるけど…」
814:
飛龍「どうせならみんな別々のキャラがいいよね」ポチ
蒼龍「うわー……いっぱいいる」
瑞鶴「へー、女の子もいるのね」
飛龍「じゃあ私は………シャーロットちゃん」
蒼龍「あー、ずるい!?私もそれ選ぼうと思ってたのに!」
飛龍「ふふん、早い者勝ちだよ。ほら、早く決めてよ」
蒼龍「むうぅ……なら、マリアちゃん…」
翔鶴「瑞鶴、次決めていいわ」
瑞鶴「うん……ねえ、この人翔鶴姉に似てない?」
翔鶴「そ、そう?」
瑞鶴「似てる似てる!じゃあ私アルカードさんにする!」
蒼龍「えー、男の人使うの?女の子なんだから女の子使えばいいのに」
瑞鶴「なんでもいいでしょ、好きなの使えば」
815:
翔鶴「私が最後ね………えっと……シャノアさん、で…」
飛龍「この人は提督に似てるねえ」
提督「そうかなあ」
蒼龍「うん、眼鏡かけたらそっくり」
瑞鶴「えぇ?どう見てもそんなに似てないでしょ」
翔鶴「確かに提督の方がもっと柔らかい雰囲気というか…」
飛龍「えー!?絶対似てるよ!ほら、見比べてみなよ!」
瑞鶴「似てませんー!提督の方が可愛らしいですー!」
翔鶴「ま、まあまあ、早くゲームを始めましょう?」
飛龍「むう、それもそうか。じゃあ始めるよ?」
蒼龍「おっけー!」
提督(誰もジョナサン選ばないんだ…)
816:
ピリリリ ピリリリ
飛龍「ん?」
蒼龍「なんの音?」
提督「あ。ごめん、私だ」ゴソゴソ
加賀「携帯?」
提督「うん…こっちにかかってくるなんて珍しいな…」
瑞鶴「誰から?」
提督「ちょっと待ってね……ん?」
ピリリリ ピリリリ
提督「公衆電話から……?誰だろ…」
翔鶴「分からないなら出ない方がいいのでは…」
提督「うーん…でも、一応出てみるよ」
817:
ピッ
提督「もしもし?」
『もしもーし』
提督「…………!そ、その声、雪菜!?」
『そだよー』
加賀「?」
飛龍「なになに、誰?」
蒼龍「お友達?」
提督「あ……ちょ、ちょっと待ってね!……ごめんね、すぐ戻るからね」
パタパタ
バタン
赤城「………気になりますよね?」
瑞鶴「なるなる」
飛龍「ならないはずがないよね」
翔鶴「でも、提督に悪いわ」
蒼龍「聞き耳立ててるくせにい」
加賀「…………」
818:
ガチャ…
ソー
加賀「…………」チラッ
提督「うん……そう、だから公衆電話からなんだ」
提督「あはは、誰かと思ってびっくりしたよ…今時公衆電話でかけてくるなんて変態しかいないよ」
提督「ん……ガラケー?うん、そうだよ。いや、まだ現役だから…そろそろ変えようと思ってるけど」
飛龍「なんだか楽しそうだね」ズシッ
蒼龍「やっぱりお友達なのかな?雪菜って言ってたけど」ズシッ
加賀「前にあの子が言っていたわ、雪菜という幼馴染がいるって」
瑞鶴「ならその人なんじゃない?」ズシッ
加賀「ええ……というか、重い…」
819:
提督「それで、どうかしたの?失敗でもした?」
提督「忘れてたって……相変わらず抜けてるなあ」
提督「……うん。…うん。………えっ!?」
提督「ちょっ、ちょっと待って!来るの!?ここに!?」
提督「い、いつ?………明日ぁ!?ど、どうしよう、何も用意してないよ!?」
提督「お構いなく、って言われても………うん……分かった、じゃあ、楽しみにしてるね」
提督「うん、気を付けて帰ってね。それじゃ、また明日」
提督「……んなっ…///も、もう…切るよ!」
提督「………うん、待ってる」
ピッ
提督「………ふふっ……」
飛龍「よほど仲がいいようで」
蒼龍「すっごい楽しそうだったねえ」
赤城「私にも見せてください」グイグイ
加賀「ちょ……赤城さん、そんなに押したら……うっ!」
820:
ドサドサ
提督「!?」ビクッ
瑞鶴「………ど、どうも」
翔鶴「あっ…す、少しみんなでお花を摘みに行こうかと…」
提督「う、うん…もう少し上手な嘘つこうよ…」
飛龍「うっ」
蒼龍「やっぱり分かるよね?…」
赤城「すみません、どうしても気になってしまって…」
提督「いや、別に悪いことでもないし…気にしてないよ」
加賀「ぐ……し、死ぬ……」プルプル
提督「うわっ!?ちょ、み、みんなどいてあげて!加賀が潰れちゃう!」
飛龍「お?おおっ!?」
821:
???
飛龍「そりゃ!ダークインフェルノ!」
蒼龍「飛龍、それあんまり効いてない!」
瑞鶴「私のソウルスチールも効かないわ…」
翔鶴「雷よ!」
赤城(結構ノリノリですねえ…)
提督「みんなもう寝る時間だよー」
飛龍「分かってるけど、ドラキュラ強いよー!」
『デモニックメギド!!』
蒼龍「うわあ!?」
瑞鶴「全滅……」
翔鶴「つ、強い…」
提督「ああー…お疲れ様、続きはまた明日にしようね」
飛龍「はーい。よーし、次こそ勝つぞ?」
蒼龍「提督、おやすみなさい」
瑞鶴「おやすみなさーい」
翔鶴「それでは提督、失礼します」
提督「うん、おやすみ」
バタン
822:
加賀「…………」カチカチ
提督「加賀ももう寝なきゃダメだよ?」
加賀「今日は一緒に眠れないの?」
提督「ごめんね、まだ書類が残ってるから…」
加賀「そう…分かったわ」
赤城「うふふ、お熱いですねえ」
加賀「茶化さないでください……それでは」
提督「二人とも、おやすみ」
赤城「はい、おやすみなさい」
バタン
提督「……さてと、お仕事お仕事…」
823:
???
提督「…………んーっ……」ググ
提督「はぁ……お仕事終わりと…」
提督「…………」チラッ
提督(もう二時かあ……)
提督「…………あ」
提督(今日の見回り担当私だっけ…)
提督「………よいしょっと」ガタ
提督「ふぁ……ねむ…」
提督「何もありませんように…と」ガチャ
バタン
824:
その頃……
明石「…………よおおぉっし……!!」
明石「出来た……!足柄さんに頼まれてたお肌が若返る化粧水…!」
明石「二徹した甲斐があった………なんたって報酬は提督の……ぐひひひ」
明石「ふふ……あははは!あーっはっはっはっはっは!!」
明石「はっは……はぁ…」
明石「…………」
明石「試験、明日でいいや…ねよ…」
ドサッ
明石「ぐごぉ……」
825:
提督「うー、さむっ……」ブルッ
提督「もう三月になったとはいえ、さすがに夜は寒いなあ……」スタスタ
提督「…………」
提督(静かだなぁ……みんな、ぐっすり寝てるんだろうなあ……)
提督(私も早く寝なきゃ…明日……もとい、今日は雪菜が来るし…)
「う?………」
提督「ん……誰?」
「う?………」
提督「幽霊さんならちゃんと成仏してくださいねー…」
「は?い……」
提督(ずいぶん聞き分けのいい幽霊だなぁ…)スタスタ
826:
提督「まっくらくーらいー……」
提督「…………ん?」
提督(工廠の裏口から明かりが……明石、まだ起きてるのかな?)
スタスタ
ガチャ
提督「戸締りしてないし……明石ー?」
提督「明石ー、まだ起きてるのー?」
提督「明石ー?……あ」
明石「ぐう……ぐう……」
提督「………もう、こんなところで寝てたら風邪引くよ」グイッ
ズルズル…
827:
提督「よいしょ、っと……」
バサッ
明石「んん?………くぅ……」
提督「ここ、あったかいから毛布一枚でも大丈夫…だよね」
提督「さてと……他に見回る場所もないし、私もそろそろ寝ようかな……」
提督「…………ん?」
スッ
提督(なんだろ、このボトル…中身は水?)
提督(作業中の水分補給のために明石が持ってきたものかな……)
提督(…まあいいや、ちょうど喉が渇いてたし……ちょっとだけ)
提督「いただきます…」ペコリ
グイッ
提督「………うっ…!」
828:
提督「うぇ……まずっ……」
提督(ちょっと粘度もあるし…これ、飲んじゃダメなやつだったかな…)
提督「……あ」
提督(そういえば間接キスだ…ごめん、明石…)
提督「…………」
提督「………ふあ…」
提督「…………戻ろ」
ガチャ
バタン
明石「んぐ…ごぉ……」
???
830:
翌朝
「すー……すー……」
ドドドド
バァン!!
雷「しーれーいーかーーーん!!」
パタパタ
雷「司令官、朝よ!いつまで寝てるの!」
「んん……うるさいよ……」
雷「こらー!布団に包まってたらいつまで経っても起きられないでしょ!……って、あれ…?」
雷(なんだか、丸みが小さいような…)
雷「……まあいいわ、ほら!起きなさい!」バサッ
雷「……………」
雷「…………………え?」
831:
少女「………?」
雷「えっ」
「えええええええええええええええええええええええええええええええ!!??!??!!?」
832:
バタバタ
電「ど、どうしたのです!?」
暁「今の大声、なに!?」
響「敵襲か?」
少女「……お姉ちゃん達、誰?」
電「へっ?」
響「雷、その子は…」
雷「わ、分からないわ…司令官が寝てると思って、起こしにきたらこの子が布団の中に入ってて…」
少女「………?」キョロキョロ
暁「ね、ねえあなた」
少女「ここ、どこ?」
響「え?」
833:
雷「どこって…なにも覚えてないの?」
少女「…………」
電「ど、どうするのです?」
響「どうって…私達だけじゃ何も分からないし、大人の人を呼ぶしか…」
暁「大人ならここにいるわ!」
雷「私、加賀さん呼んでくる!」ダッ
暁「…………」
834:
雷「こっちこっち!」グイグイ
加賀「わ、分かったから…あまり引っ張らないで」
飛龍「なになに?なにかあったの?」
蒼龍「提督がどうかしたの?」
雷「とにかく来て!ほら!」
ガチャ
雷「みんな!連れて来たわ!」
少女「…………!」ピク
加賀「え?その子は…?」
少女「お母さん!」
加賀「!?」
飛龍「へ?」
蒼龍「え?」
暁「えっ!?」
電「ええっ!?」
835:
少女「……じゃ、ない……」シュン
飛龍「な、なんだ…びっくりした…」
蒼龍「知らないうちに加賀さんが結婚したのかと思っちゃった…」
加賀「………?待って、お母さん、ということは…」
暁「なにか心当たりがあるの?」
加賀「ねえ」スッ
少女「……なに?」
加賀「あなた、名前は?」
少女「……ふうか」
雷「えっ」
響「ということは…」
飛龍「この子は…」
蒼龍「て、提督ってこと!?」
少女「?」
836:
加賀「信じ難いけど……そういうことになるわね」
飛龍「で、でも、こんな、急に身体が小さくなるなんて…」
蒼龍「あの様子を見ると、精神まで子供に戻ってるみたいだし…あり得ないんじゃ…」
加賀「なら、提督がここにいないことはどう説明するの?」
飛龍「それは……」
加賀「よく見てみなさい、提督の面影はあるわ」
飛龍「………」チラッ
少女「………?」
蒼龍「そう言われてみれば、結構…」
飛龍「いつも眼鏡かけてるから見慣れなかったけど…目が垂れてるところとか、雰囲気とか……うん、提督だ…」
加賀「それに、ね」
飛龍「?」
加賀「小さい提督も可愛いわ」
蒼龍「…………」
837:
暁「うーん…この子が司令官、ね…」
風花「しれいかん?私はふうかだよ?」
雷「ねえ風花ちゃん、眼鏡はかけないの?」
風花「私、目いいよ」
電「そうなのですか?」
風花「うん、向こうの文字も読めるもん」
雷「じゃあ……」
パタパタ
雷「これは?」
風花「………ず…?」
暁「図鑑、ね」
電「目はいいけど、漢字は読めないみたいなのです」
雷「なるほどねえ…じゃあこれは?」
提督「………!その本、読みたい!」
雷「え?ええ」パタパタ
暁「なんの本?」
雷「ペンギン大好きって本」
電「わあ…可愛らしいのです…」
響「……………」
840:
風花「フンボルト……ペンギン…」
響「ちょっといいかな」ストン
風花「? なに?」
響「あなたは……あー、私達の知っているあなたは、普段は司令官と呼んでいたんだ」
風花「うん」
響「でも、今のあなたは私達の知っている司令官じゃない」
風花「そうなの?」
響「ああ、だから少し調べたいことがあるんだ」
風花「? いいよ、なんでも調べて」
響「なら、手を背中の方に回しておいてくれるかな」
風花「ん…こう?」クイ
響「そうそう……そのままだよ」スッ
ペタ
風花「ひゃっ」
響「動かないで…」ペタペタ
風花「お姉ちゃん…?」
841:
響「……………」スッ ワキワキ
電「右手が」
雷「普段の司令官ので」
響「……………」スッ ワキワキ
電「左手が」
暁「今の司令官の」
響「……………」ワキワキ ワキワキ
暁「……………」
雷「……………」
電「……………」
響「……………」
響「」ズーン
雷「撃沈した…」
842:
飛龍「でも、これからどうすればいいんですか?」
加賀「そんなこと、私に聞かれても…原因がわからなければ対処のしようもないもの」
蒼龍「とりあえず…このだぼだぼのパジャマ、なんとかしてあげられないですかね?」
加賀「そうね、さすがに服までは縮まらなかったみたいだし…」
暁「本人は気にしてないみたいだけど…」
雷「どうする?」
電「あ、電達の制服があるのです」
雷「それだわ!私、持ってくる!」
パタパタ
844:
バタバタ
雷「あったわ!ほら、これ!」
風花「へ?なにこれ?」
飛龍「お着替えの時間だよ、朝だからちゃんとした服に着替えないとね?」
蒼龍「一人で出来る?」
風花「……うん」
ヌギヌギ
飛龍「あら」
蒼龍「こ、ここで着替えさせちゃっていいの?」
暁「見られて困るようなことでもないし、本人が恥ずかしいと思ってないならいいんじゃない?」
加賀「…………………」ジーッ
電(な、なんだか加賀さんの視線が怪しいような…)
845:
風花「……ほら、出来たよ。一人で」
飛龍「おー、えらいえらい」ナデナデ
風花「………」
雷「似合ってるじゃない!可愛いわ!」
蒼龍「そうだ、下は?」
暁「下?」
蒼龍「下着。このままだとノーパンでしょ?」
雷「あれ、一緒に持ってきたはずだけど…」
風花「これ?」
雷「あ、それ。どうして履かなかったの?」
風花「いつもはいてるのと、ちがうから…」
暁「ああ…まあ、仕方ないわ、とりあえず今日はそれで我慢して?」
風花「うん…」
スッ
一同「!!」
風花「?」
飛龍「け、結構危ない履き方するんだね」
蒼龍「まさか直でやるとは…」
加賀「」ボタボタ
電(うわあ…鼻血出してるのです…)
846:
飛龍「うわっ!?か、加賀さん、ティッシュ!」サッ
加賀「あ……ああ、ありがとう…」フキフキ
蒼龍「で、これからどうします?」
加賀「そうね、とりあえずこのことを鎮守府全体に伝える必要があるわ。食堂にみんなを集めてもらえるかしら」
飛龍「りょーかい!」
蒼龍「任せてください!」
加賀「さて…じゃあ私達も行きましょうか」
風花「どこに?」
加賀「食堂よ」
風花「しょくどう………って、ご飯食べられるの?」
加賀「ええ」
風花「! 行く!」キラキラ
加賀「ええ、おいで」スッ
風花「うん!」パタパタ
ギュ
加賀「よいしょ…っと」グイッ
風花「わっ…落とさないでね?」
加賀「ええ、安心して」
電(上手く乗せたのです…)
847:
???
風花「お腹すいた…」
加賀「もう少し待ってね」ボソ
飛龍「………え?というわけで、提督が小さくなっちゃったのでみなさん協力してあげてください……って」
一同「」キラキラ
飛龍「聞いてる…?」
蒼龍「触りたくてうずうずしてるって感じしかしないけど…」
飛龍「と、とにかく、あまり提督を困らせないようにしてください。それでは、解さn
一同「提督うううううう!!!」ドドドドド
飛龍「ひえええ!?」
バッ
大井「キエエエエ!!!」ピョイーン
加賀「!?」
蒼龍「ま、まずい!提督が襲われる!」
848:
北上「ほっ」ガシ
大井「おおおおお!?」グイーン
ビターンッ!!
大井「げぶっ」
北上「おー、危ない危ない…ごめんね、大井っちがねー」
風花「う、うん…お姉ちゃん、大丈夫…?」サスサス
大井「あ、ああ…浄化されるぅ……」
「テイトクゥー!!ワタシにもするデース!!」
「キャー!こっち向いてー!」
「あら?、提督ったらもっと可愛くなっちゃったわね?」
「うぉーー!?しれぇ、なんでちっちゃくなっちゃったのー!??」
風花「あのお姉ちゃん達、どうしてこんなに喜んでるの…?」
加賀「あなたは気にしなくていいわ、朝ご飯にしましょう」
風花「あなたじゃなくて、ふうかだよ」
加賀「…ごめんなさい、風花」
風花「うん、行こ」ギュ
加賀「ええ」ニコ
849:
風花「…………」モグモグ
加賀「美味しい?」
風花「うん、おいし……っ」ビクッ
加賀「どうかした?」
風花「み、みんな私のこと見てる…なんで…?」
加賀「え?」クル
一同「………………」ジーッ
加賀「ああ……ちょっと待っててね、すぐ言い聞かせてくるから」
風花「う、うん…?」
飛龍「あはは…ほ、ほら、ご飯冷めちゃうよ」
風花「あ、それはやだ」モグモグ
850:
ススス…
風花「………?」
瑞鳳「んふふふ」
風花「なんで笑ってるの?」
瑞鳳「ん?なんでもないよ、それよりほら、これ」コト
風花「…?これ、なに?」
瑞鳳「卵焼き。食べる?」
風花「! たべりゅ!」
瑞鳳「りゅ?」
風花「たべりゅ…あれ?たべ…りゅ…」
瑞鳳(可愛いなぁ…)
852:
加賀「あら、瑞鳳…」
瑞鳳「加賀さん…って、それは…」
大井「」
加賀「この子に手を出そうとした者には容赦しないわ」
瑞鳳「そ、そう…」
加賀「で、あなたは何をしているの?餌付け?」
瑞鳳「そういうつもりじゃ…あ、加賀さんも食べる?」
加賀「ええ、いただくわ」
風花「この卵焼きおいしいよ、はい」スッ
加賀「え?」
風花「食べさせてあげるから、あーんして?」
加賀「あ、あー…」
パクッ
風花「ね?おいしいでしょ?」
加賀「……ええ、美味しいわ」
瑞鳳(うわあ…加賀さん、すごい嬉しそう…)
853:
加賀「瑞鳳、あなた他の料理も出来るの?」
瑞鳳「え?あ、ああ、まあ…」
加賀「なら、少し教えてもらってもいいかしら」
瑞鳳「いいけど……誰かに作ってあげるの?」
加賀「その……」チラッ
風花「?」
瑞鳳「……ああ、なるほどね!そういうことなら任せて!」
加賀「助かるわ、ありがとう」
クイ
風花「お姉ちゃん」
加賀「なに?」
風花「遊んできていい?」
加賀「いいけど、あまり離れないでね」
風花「うん」
パタパタ
瑞鳳「じゃあ、まずは基礎からね……」
854:
パタパタ…
隼鷹「でなー、鳳翔さんが猫にエサをあげててなー」
飛鷹「ええ…あ、隼鷹」
隼鷹「んお?なに?」
飛鷹「ほら、これ」
隼鷹「んー?」
風花「…………」ジー
隼鷹「おっ、提督じゃんか」
風花「ていとく?」
隼鷹「あー、今は何も覚えてないんだっけ…まあ座んなよ、ほら、隣」
風花「うん」ストン
855:
風花「お姉ちゃん……もしかして、朝からお酒?」
隼鷹「ん?おー、そだよ。飲む?」
飛鷹「こら、隼鷹!」
隼鷹「へへへ、冗談だよ冗談。お嬢ちゃんにはまだ早いね」
飛鷹「もう…」
風花「ダメだよ、朝からお酒飲んじゃ。ダメな大人になっちゃうから」
隼鷹「くくく、子供に言われちゃったよ」ゴク
飛鷹「また鳳翔さんに怒られるわよ?」
風花「そうだよ、怒ってくれるうちにやめないと、どうしようもなくなるよ」
飛鷹「こ、子供なのに深いことを言うのね…」
隼鷹「まあまあ、今日は一日非番だからさ。勘弁してよ」
風花「ヒバン?」
隼鷹「なんにも仕事がないってことだよ」
風花「ニート?」
隼鷹「あっはははは!合ってる合ってる!」ケラケラ
飛鷹「隼鷹…あなたもう出来上がってるでしょう」
856:
龍驤「お、ここにおったんやな。うわ、マジで小さくなってるなぁ」
風花「? おねえ…………あれ?」
龍驤「ん?どしたん?」
風花「……お兄ちゃん、男の子なのにスカート履いてるの?」
龍驤「違うわ!!うちは女や!!」ムキーッ
風花「え…そ、そうなの?でも、お胸がないし…」
龍驤「あるわ!!ないけど!ないけどあるわ!!」
隼鷹「あっはっはっはっは!!ふひゃっひゃひゃははは!!」ゲラゲラ
飛鷹「く、ふふふ…間違えられてる…」プルプル
龍驤「笑うな!笑うなアホー!!」プンスカ
857:
風花「女の子なのにお胸がないなんて…かわいそうだね…」
龍驤「やめろ…やめてくれ…」
風花「…………」チラッ
隼鷹「くっくっくっく、ひーっひっひっひっひ…」ピクピク
龍驤「アンタはいつまで笑っとるんや!いい加減黙らんかい!」
飛鷹「ん、どうかしたの?」
風花「うん、同じ服のお姉ちゃん二人はおっきいなって」
隼鷹「んっふへへ、羨ましい?」
風花「うん。私もそんな風になれるかな?」
隼鷹「あー、そだねえ」
飛鷹「その心配はないと思うわ、うん…」ナデ
風花「?」
858:
ポン
風花「…?」
榛名「提督、おはようございます」
霧島「あら、本当に小さくなってしまったんですね」
金剛「ワーオ!近くで見るともっとcuteネー!」ギュ
グイッ
風花「わっ…」
比叡「あっちょ、お姉様!いきなり抱き上げたら怖がりますって!」
金剛「ノープロブレム!ちゃんと支えてマース!」
風花「怖くない……けど、もうそんな歳じゃないよ」
霧島「ふふ、結構大人びてるんですね。ほら、下ろしてあげてください」
金剛「むー、もうちょっとだけ抱きたかったけど…しょうがないデース」
スッ
風花「ほっ」ストン
859:
風花「ねえ、お姉ちゃん」
金剛「どうしマシタ?」
風花「その変な喋り方、お姉ちゃんは外国人さんなの?」
金剛「ンー……そうですネー、英国で生まれましたが、ハートは日本人そのものネー!」キラッ
霧島「そう、私達に敬語で話されるのは嫌なのね」
風花「うん、私の方が歳下だし…」
比叡「ごめんねー、普段の感じが抜けなくてねー」ナデナデ
金剛「聞けよ」
860:
金剛「ンー、やっぱりテイトクは小さくなっても可愛いデスネー♪」ナデナデ
風花「……私、ていとくじゃない…」
金剛「へ?」
風花「私、風花なのに…みんな、私のこと、しれいかんとか、ていとくって呼ぶの」
霧島「お姉様、この子はまだ子供ですから。ちゃんと自分の名前で呼んでくれないと、安心しないのでしょう」
金剛「なるほど……なら、フーカちゃん、デスネー!」ギュ
風花「! うん!」
榛名(笑った…)
比叡(かわいい…)
862:
瑞鳳「………で、あとはキツネ色になるまで揚げて…」
加賀「なるほど…」カキカキ
飛龍「加賀さん」
加賀「なに?」
飛龍「提督のことなんですが…」
加賀「何かあったの?」ガタ
飛龍「あ、いや、そういうわけじゃなくて」
加賀「そう…で、用件は?」
飛龍「えっと…あの子、知ってる人が誰もいないからか、ちょっと不安そうで…」
加賀「ああ……そうね、なんとかしてあげないと…」
瑞鳳「んー…」
863:
瑞鳳「提督と同年代のお友達でもいればいいんだけど…さすがに子供にはなれないよねえ…」
加賀「同年代の友達、ね……」
飛龍「友達……」
瑞鳳「んー…」
飛龍「…………ん?」
加賀「…………友達?」
飛龍「…………あーーーーーーっ!!???」
瑞鳳「うわっ!?い、いきなりなに!?」
飛龍「そうだ、友達!!今日提督の友達が来るんだった!!」
瑞鳳「え、えっ?こ、この状態で?」
飛龍「だって、提督が小さくなったのも昨日だし、どうしようもないし…」
加賀「どうにか治す方法はないのかしら…」
飛龍「でも、何も原因が分からないし…」
864:
飛龍「とりあえず、提督の部屋に戻ってみません?なにか痕跡があるかもしれませんし…」
加賀「そうね、なら連れ戻しに行きましょう」
飛龍「はい。えっと、風花ちゃーん」
風花「らにー?」
金剛「フーカちゃ????ん♪」ムギュウ スリスリスリ
比叡「こっち向いて!ほら!」パンパン
榛名「すごい!もちもち!」ムニムニ
霧島「これは……いいものね…」ムニムニ
加賀「」ブチッ
飛龍「あっ」
865:
提督の私室
加賀「はぁ……」
飛龍「お、お疲れ様です…」
風花「お姉ちゃん、あんまり怒っちゃダメだよ」
加賀「ごめんなさい…」
飛龍「えーっと……さっき部屋中見て回ったんですが、特にめぼしいものはなかったですね」
加賀「そう…どうすればいいのかしら」
飛龍「うーん……」
風花「?」
866:
ピリリリ ピリリリ
飛龍「あ、提督の携帯ですね」
蒼龍「加賀さん、出てくださいよ」
加賀「え、私?」
飛龍「ほら、早く早く!切れちゃいますよ!」
加賀「え、ええ…どうやるの?」
蒼龍「ここをピッて」
加賀「こうかしら…」
ピッ
加賀「はい、もしもし…」
『やっほー……って、その声、風花じゃないっぽい?』
加賀「ええ、私は加賀よ」
『加賀……もしかして、艦娘さんの?』
加賀「そうね」
『へー、すっごい!あ、でも鎮守府にいるから当たり前か』
加賀「え、ええ…」
867:
加賀「あの……用件は?」
『あ、そうだ忘れてた!風花は?もしかして今取り込み中?』
加賀「えっと…」
『ちょっと急な仕事が入っちゃってさ!そっちに着くの、夕方になりそうなの!って伝えといて!』
加賀「わ、わかったわ」
『ごめんねー、楽しみにしてただろうに』
加賀「……その、話していい?」
『え?ああ、いいよ。一方的に話しすぎちゃったね』
加賀「…落ち着いて聞いて」
『え、なに?風花に何かあったの?』
加賀「風花は……あの子は、小さくなってしまったの」
『……………はっ?』
868:
『ちょっと待って』
加賀「なに?」
『小さくなったって、どういう意味?』
加賀「文字通りだけれど…」
『……マジ?』
加賀「ええ」
『そんなのあり得な……………いや、でも、あの子のことだし、あり得るかも……』
加賀「納得してくれた?」
『まあ、嘘ついてるようには思えないし……とりあえず信じてみるよ。小さくなったって、年齢で言えばどれくらい?』
加賀「そう、ね……」チラッ
飛龍「ほら、こうやって艦載機を飛ばすんだよ」ブーン
風花「なにそれ!?すごい!!」キラキラ
加賀「………八歳、くらいかしら」
『八歳、ね……八歳?』
加賀「?」
869:
『それって、もしかして精神も子供になってるの?』
加賀「ええ、そうよ」
『だとしたら、変わった様子とかない?何も喋らないとか、部屋から出ようとしないとか』
加賀「………?いえ、特にはないわ」
『そっか、なら……あれからしばらく経った頃あたりかな……』
加賀「え?」
『……ん!ごめんごめん、ちょっと考え込んじゃった!えっとね、その子は………え、なに?はぁ!?また仕事入ったの!?』
『ドタバタ…』
加賀「…?」
『………っごめーん!さらに緊急の用事入っちゃってすぐ行かなきゃいけないの!またそっちに着いたら色々と話すから、それまで風花のお守り頼むね!それじゃ!』
加賀「ちょっ、そんないきなり…」
ブツッ
ツー ツー ツー
加賀「…………」
蒼龍「どうかしたんですか?」
加賀「切られたわ」
飛龍「なんて言ってました?」
加賀「夕方くらいに来るから、それまでよろしくと…」
蒼龍「……えっ」
870:
飛龍「どうします?」
加賀「とりあえず、面倒を見てあげるとしか…」
蒼龍「でも、私達もう午前の演習ですよ?」
加賀「そう、よね…」
ガチャ
球磨「失礼するクマ」
多摩「同じく失礼するにゃ」
北上「いやー悪いね、大人数で押しかけて」
加賀「あなた達…」
大井「加賀さん達、もうすぐ演習があるんですよね?私達がこの子の面倒を見ますよ」
木曾「俺もいるぞ!」
加賀「………そうね、頼めるかしら」
球磨「任せろクマ!」
872:
飛龍「それじゃ、私達は行くね」
蒼龍「あとは任せたよ!」
加賀「いい子にしてなきゃダメよ?」ナデ
風花「うん」
加賀「よし…ならいいわ」
ガチャ
バタン
風花「……ねえ、お姉ちゃん」
球磨「ん?なんだクマ?」
風花「お姉ちゃんはクマなの?」
球磨「球磨はクマじゃないクマ」
風花「あ、え……?」
球磨「球磨は球磨クマ」
風花「………???」
873:
風花「えっと……こっちのお姉ちゃんは?」
多摩「多摩にゃ」
風花「…にゃ?」
多摩「にゃ」
風花「猫さんなの?」
多摩「猫じゃないにゃ」
風花「え……違うの…?」
多摩「にゃ」
風花「じゃあ、なんでにゃって言うの?」
多摩「さあ?」
風花「…………」
874:
風花「ねえ、目隠ししてるお姉ちゃんはなんて言うの?」
木曾「目隠しって………まあいい、俺は木曾だ」
風花「キソ?キソって、どこの国の動物?」
木曾「いや、俺は動物じゃなくて…」
風花「キソお姉ちゃんはなになにキソーって言わないの?」
木曾「え?えっと…」
北上「言わないの?」
大井「ねえ、言わないのー?」ニヤニヤ
木曾「そ、そんなの言うわけ…」チラッ
風花「…………」ジーッ
木曾「うっ……!」
875:
木曾「………き、木曾だキソー………///」カァッ
風花「わあ……」
球磨「グッ……」
多摩「ニャフっ……」
北上「ぶく……くくくく…」
大井「ンフ……ンフフフフ……」プルプル
木曾「わ、笑うんじゃない!!///」
風花「キソお姉ちゃん、キソはキソーって鳴くんだね!」
木曾「そ、そうだな…ははは…」
876:
風花「キソお姉ちゃん、女の子なのに俺って言うんだね」
木曾「ん?ああ、そうだな」
風花「ふーん……可愛いのに、もったいないよ?」
木曾「えっ」
風花「ちゃんと女の子らしく私って言った方が可愛いよ、絶対」
木曾「あ、ああ…」
風花「でもそのままのキソお姉ちゃんもかっこよくて好きだよ、強そうだし」
木曾「っ……っ……!///」プルプル
北上「うわあ……」
大井「小さい頃からあんな殺し文句を…」
球磨「木曾が恥ずかしがるって滅多に見ないクマ…」
877:
大井「ねえ、風花ちゃん?」
風花「なに?」
大井「はい、お手」スッ
風花「?」ポン
大井「はい、おかわり」スッ
風花「うん?」ポン
大井「よしよしよしよし」ワシャワシャ
風花「わぁー」
大井「北上さん!!この子可愛いです!!」
北上「ああうん、大井っちが楽しそうで何よりだよ」
木曾「犬か」
878:
大井「ほら、わんわんって」
風花「わんわん!」
大井「ウフフ、可愛い犬ね…首輪を付けましょうね?」
木曾「おい…」ガッ
北上「分かってるとは思うけど…」
球磨「変なことしたらただじゃおかんクマ」
大井「は、はい…」
風花「? 首輪、付けないの?」
大井「うん、怒られちゃったからダメみたい。でもね…」ゴソゴソ
風花「?」
大井「ほら、尻尾!これ付けましょう!」スッ
風花「……?このビーズみたいなの、なに?」
ガッ
大井「うぐえっ」
球磨「お前!!子供になんてもの見せるクマァ!!」ゲシッゲシッ
多摩「いい加減にするにゃあ!!」ガスッガスッ
北上「死ねっ!!」バキッ
大井「冗談です!!冗談です!!」
879:
大井「んヌウウウおおおおおおおおおお」ググググ
北上「ごめんねー、大井っちがねー」
多摩「妹が粗相をしてすまんにゃ」
風花「うん、よくわからないけどいいよ」
球磨「オラ、もっと気張るクマ。椅子としての自覚を持てクマ」
大井「ハイッ!!」グググ
球磨「さて…風花、こっちに来るクマ」チョイチョイ
風花「? うん」
スタスタ
球磨「よっと」ヒョイ
風花「わっ」
ストン
球磨「お馬さんごっこだクマ」
風花「おー…」
球磨「叩くと走り出すクマ。やってみるクマ」
風花「えい」ペチッ
大井「んほぉ!!」
ドドドド
風花「っうわあ!!これすごい!あははは!」
球磨「楽しそうで何よりクマ」
木曾「大井姉…」
球磨「今のあいつに人権はないクマ」
882:
大井「ぜぇ……ぜぇ……」
球磨「もう無理クマ?」
大井「ぜぇ……ぜぇ……」コクコク
球磨「よし、なら休んでいいクマ」
大井「うげぇ……」ドサッ
風花「お姉ちゃん、おつかれさま!楽しかったよ!」ギュッ
大井「!!???!?!!!!?」
風花「えへへへ、大井お姉ちゃんは優しいね」
大井「ああ……………」シュワァ…
北上「ん……?」
木曾「なんだ…大井姉の影が薄くなっているような…」
多摩「……マジで薄くなってるにゃ!!」
球磨「うおぉ!?大井、消えるなクマ!!帰ってくるクマ!!」
884:
大井「ふぅ……危ない危ない、もう少しで消えるところだったわ」
球磨「お前がその子抱えてると危険クマ、こっちに寄越すクマ」ヒョイ
風花「おー」
球磨「さて、しばらくは球磨が遊んでやるクマ」ワシャワシャ
風花「ん……髪、くしゃくしゃになっちゃう」
球磨「おっと、すまんクマ。ならブラッシングしてやるクマ」クルン
多摩「多摩もやるにゃ」
風花「優しくしてね?」
球磨「任せろクマ」
木曾「……………」
北上「あの二人って、割と面倒見いいよね」
大井「結構お姉さんらしいところがあるというか…」
木曾「ああ…お守りは任せるか」
885:
???
風花「立ってる!」ギュ
球磨「クマァ!?いてて、髪を掴むなクマ!」
多摩「大変そうにゃあ…」
球磨「見てないで助けるクマ?!」
ガチャ
天津風「失礼するわね」
時津風「うおぉー!?しれぇ、ほんとに小さくなってるーー!?」バタバタ
卯月「うーちゃんにも見せるぴょん!」
球磨「うお、いきなりなんだクマ」
弥生「ごめんね…騒がしくて」
球磨「遊びにきたクマ?」
弥生「うん、そんなところ」
886:
球磨「そうか、ならバトンタッチだクマ」
弥生「いいの?」
球磨「子供の相手は子供が一番いいクマ」
北上「ぶっちゃけ疲れただけでしょ?」
球磨「………子供の体力を侮っていたクマ」
弥生「…まあそういうことなら任せて、他にも司令官と遊びたいって子はたくさんいるから」
球磨「じゃあ、頼んだクマ。ほら、撤収クマ」
風花「またねー」
大井「♪」フリフリ
バタン
卯月「んふふふ?」
風花「……?」
888:
卯月「ねえふーちゃん、うーちゃんのこと覚えてる?」
風花「………?ごめん、覚えてない…」
卯月「そっか、なら改めて自己紹介するぴょん!うーちゃんは、卯月って言うぴょん!」
風花「ぴょん……うさぎさん…?」
卯月「そうっぴょん!ふーちゃんもぴょんぴょんするぴょん!」
風花「ん……っぴょん!」ピョン
卯月「ぴょん!」
時津風「ぴょん!」
弥生「ぴょん」
天津風「…………」
風花「…………」ジー
天津風「……いや、やらないから」
卯月「ノリが悪いぴょん」
風花「ねー」
卯月「ねー」
889:
卯月「さて、これからはうーちゃん達が遊んであげるぴょん」
風花「うん」
卯月「とは言っても、この部屋だけじゃ出来ることは限られるし、大人もだいたい出払ってほとんど子供しかいないぴょん」
風花「じゃあ何するの?」
卯月「逆に言えば止める人がいないから好き放題出来るぴょん!!」
風花「うん
時津風「おおー!いいねえ!!」
天津風「ちょっと、あまり危険なことは…」
卯月「だから!鎮守府全体かくれんぼを開催するっぴょん!!」
風花「おおー」パチパチ
時津風「いぇーーーい!!!」
弥生「…………」パチパチ
卯月「そうと決まれば食堂にみんなを集めるぴょん!ゴー!!」ダッ
風花「ごー!」ダッ
天津風「…………」
時津風「行かないの?」
天津風「いや……付き合うわ」
890:
???
卯月「というわけで!駆逐艦全員で鎮守府全体かくれんぼをやるぴょん!みんな、ふーちゃんのためにこぞって参加するぴょん!」
「「「ワアアアアアアア!!!」」」
天津風「さすが、子供はノリがいいわね」
時津風「天津風はノリ悪いけどね」
天津風「うぐ…ほっといてよ」
卯月「駆逐艦じゃなくても、参加したいって人はご自由にどうぞっぴょん!」
曙「なにがかくれんぼよ、バカバカしい…あたしは部屋に戻るから」
卯月「はーい!それじゃあ第七駆逐隊が鬼でスタートぴょん!」
曙「はぁ!?」
卯月「一人も見つけられなかった鬼はふーちゃんと会話出来る権利を永久に剥奪されるぴょん。じゃ、百数えたら探しにくるぴょーん!」ダッ
「「「ワアアアアアアア!!!」」」
ドドドドド…
曙「ちょっと!?」
潮「まあまあ…提督を喜ばせるために、ね?」
曙「釈然としないけど……まあいいわ、ふん捕まえてお尻叩いてやるんだから!」
漣(なんだかんだで楽しんでるじゃん…)
891:
時津風「わはー!早く隠れないと鬼がくるよー!」バタバタ
風花「どこがいいかな」
ビュン
時津風「うわお!?」
島風「てーとくおっそーい!隠れるのも島風が一番いもんねー!!」
天津風「あの力バカ…」
風花「………」ムッ
ビュンッ
島風「おぅっ!?」
風花「私の方がいもん!」
島風「なにをー!?一番いのは私だもん!!」
白露「一番!?一番ならあたしだよ!!」
風花「私!」
白露「私!」
島風「私!」
「「「おおおおおおおおお!!!」」」
ドドドドド
時津風「うわ、はやっ!」
天津風「ちょっ、追いつけないじゃない!」
「「「おおおおおおおおお!!!」」」
892:
ドドドドド…
ズザッ
風花「はぁ…はぁ………ほら、私が一番……?」
風花「あれ……みんな、置いてきちゃった…?」キョロキョロ
風花「……………」
風花「……まあいっか、隠れるところ探さなきゃ…」
風花「………ここ、どこだろう…?」
パタパタ…
893:
加古「ふぁ?……ねっむ……」テクテク
加古「昼飯前に一眠りすっかな?……お?あれは…」
風花「うーん…」パタパタ
加古「……抱き枕発見」
風花「ど、こ、にっ、し、よ、う、か、なー…」
ギュ
風花「う?」
加古「お持ち帰り?」スタスタ
風花「???」
894:
ガチャ
古鷹「あ、戻ってきた……って」
加古「おやすみ?……」ボフッ
風花「……?もう寝るの?まだお昼だよ?」
加古「ぐう……」
風花「お姉ちゃん?」
古鷹「えっと……風花ちゃん、だよね?」
風花「え?うん、そうだよ」
古鷹「ごめんね、その子、一度寝たらなかなか起きないから…そっとしておいてあげて?」
風花「…だらしないんだね」
古鷹「あはは…」
895:
パシャッ
風花「!」ビク
青葉「んー、小さくなった司令官!可愛らしいですねぇ?」
古鷹「もう、青葉!いきなりフラッシュ焚いたらこの子がびっくりしちゃうでしょう!」
青葉「いやーすみません、ちょっと興奮しちゃったもので」
風花「……写真?」
青葉「はい、そうですよ!もう一枚撮ってもいいですか?」
風花「うん、好きなだけ撮っていいよ」
青葉「あは、きょーしゅくです!じゃあピースしてもらってもいいですか?」
風花「こう?」
青葉「はい!で、もっと笑って!」
風花「うん」ニコ
青葉(やば、可愛い…)
パシャッ
青葉「うわお……いいですねえ!次は古鷹も一緒に並んで!」
古鷹「いいの?」
青葉「こんなチャンス二度とないですからねえ、記念です!」
古鷹「じゃあ…よろしくね」
青葉「はい、二人とも笑って笑って?……一足す一はー?」
風花「にー♪」
古鷹「にー♪」
パシャッ
896:
???
風花「いっぱい写真撮ってもらっちゃった…」パタパタ
ギュ
風花「ん?」
大鯨「ふふ、捕まえた♪」
風花「…お姉ちゃん、おに?」
大鯨「ううん、違うけど…お腹空いてない?」
風花「ん………すいてる」
大鯨「やっぱり?ちょうどその頃だと思ってきたの。もうお昼時だから…」
風花「そうなの?」
大鯨「うん、ご飯食べに行く?」
風花「行く!」
大鯨「ふふ、なら行きましょうか」ギュ
897:
食堂
ガチャ
大鯨「連れてきました?」
武蔵「お、来たぞ」
風花「ごはん…」
大和「あ、提督……じゃない、風花ちゃん!」
風花「うん?私?」
大和「ご飯、何が食べたい?なんでも好きなものを言っていいのよ?」
風花「んっと……オムライスがいい」
大和「オムライスね、すぐ作るわ!」
大鯨「あ、私もお手伝いします!」
パタパタ…
武蔵「珍しく大和が敬語じゃないな…」
風花「?」
武蔵「……まあ、君がこの状態じゃ仕方ないか」
898:
武蔵「…………ん?」
風花「…………」ジー
武蔵「ふっ……遊んで欲しいのかい?おいで」
風花「だ、ダメ」
武蔵「? なぜだ?」
風花「そんな服で遊んだら、脱げちゃうから…」
武蔵「服?ああ、これは服じゃなくてサラシというものでな」
風花「服じゃない……え、じゃあ裸なの!?」
武蔵「いや、そういうことでは」
風花「それじゃへんたいさんだよ!ちゃんとした服着なきゃダメだよ!」
武蔵「…………」
900:
大和「もう少しで出来るから待っててね……って、武蔵、どうして頭を抱えてるの?」
武蔵「いや……子供と話すのは存外疲れるものなんだと思ってな…」
風花「そんな格好で外出たらおまわりさんに捕まっちゃうよ」
武蔵「教えてくれ大和、私はおかしいのか?」
大和「え、ええ…?いきなりそんなこと言われても…」
風花「お姉ちゃんも、こんなに横が空いたスカート危ないよ?変な人に見つかったらなにされるかわからないもん」
大和「そ、そうなの?」
風花「そうだよ!」
武蔵「子供の道徳心はすごいな……」
901:
パタパタ
大鯨「大和さーん、もう仕上げられますよー」
大和「あ、はい!それじゃあ、すぐ持ってくるからね」
風花「うん」
武蔵「大和の料理は美味いぞ」
風花「ほんと?」
武蔵「ああ、この武蔵が保証する」
パタパタ
大和「お待たせしました」カタ
風花「わあ…」
武蔵「くくく、ケチャップでハートとはな。やるじゃないか」
大和「ふふ、武蔵のも書く?」
武蔵「本当か?」キラキラ
大和「えっ」
902:
大鯨「ちょっと机が…高いですね」
大和「ほら、ここ。おいで?」ポンポン
風花「うん」
トタタ
風花「よいしょっと」ポスン
大和「ああ、かわいい……」
風花「いただきます」
大鯨「あ、武蔵さんの分も持ってきますね」
武蔵「む、ありがたい」
ガチャ
明石「うー……おはようございま?す…」ゴシゴシ
武蔵「おはよう……って、今起きたのか?」
明石「まあ、二徹ぐらいしてたもので…まだ寝てたいんですけどね…」
武蔵「そ、そうか…」
903:
大和「美味しい?」
風花「うん、おいしい……おかわりある?」
大和「ええ、もちろん。たくさん食べてね♪」
明石「……ところで、その子は誰です?」
武蔵「ん?ああ、提督だ」
明石「ああ、提督…………ん?」
武蔵「どうかしたか?」
明石「提督?」
武蔵「ああ」
明石「その子が?」
武蔵「ああ」
明石「………………」
「えええええええええええええええ!!??」
904:
明石「えっなっんっあ、えええぇ!?」
武蔵「もう少し静かにしないか」
明石「いやだって、ええっ!?」
武蔵「まあ言いたいことは分かるが…どうしてこうなったかも分からん以上、何も出来ないのが現状だ」
明石「は、はぁ………今の衝撃で目が覚め…………あれ?」
武蔵「どうした?」
明石「………確か、成分を配合する段階でやった試験にヒトの細胞だと若返りすぎた記録を書いたような…」
武蔵「え?」
明石「でもそれだと艦娘には効果が薄すぎるから、そのまま運用して……」
武蔵「お、おい、分かるように説明してくれ」
明石「……え?あ、ああ、すみません」
905:
明石「………というわけで、提督が小さくなってしまったのはその化粧水を飲んだからかもしれないんですよ」
武蔵「なるほどな…艦娘用に作った肌を若返らせる化粧水を、提督がそのまま飲んでしまったからか」
明石「理屈ではそうなりますね…それが完成したことは足柄さんには伝えてませんし、そもそもボトルだけ空になってるということは昨日の晩に見回りをしていた提督が誤飲した可能性が高いでしょう」
武蔵「ふむ……原因は分かったが、これをどうにかする手段はないのか?」
明石「ありますよ。実験の段階で、提督が飲んだものと真逆の性質を持った薬品が出来たんです。それを少し飲ませてあげれば元に戻ると思います」
武蔵「そうか、いつ頃治るんだ?」
明石「効果が出るとしたら、早くて明日の朝といったところですかね…」
武蔵「明日、か……」
明石「それじゃあ私、薬取ってきますね!」ダッ
武蔵「ああ」
906:
風花「げふ……」
大和「すごい、二杯全部食べちゃった…」
風花「おいしかった……ありがと、お姉ちゃん」
大和「ふふ、どういたしまして」
明石「ちょっといいですか?」
風花「なに?」
明石「えーっと……このお薬を飲んでくれるかな?」スッ
風花「おくすり?私、病気じゃないよ?」
明石「あー、そうじゃなくて………そう、これを飲めば、病気を予防出来るの!」
風花「予防……お注射、しなくていいの?」
明石「そうそう!これで済むからね!」
風花「なら、飲む」
ゴク
907:
風花「うぇ……にがい…」
明石「ごめんね、でもお薬はそういうものだからね…我慢出来る?」
風花「うん…」
明石「よしよし、えらいねー」ナデナデ
大和「何を飲ませたの?」
武蔵「元に戻る薬だと。明日にはいつも通りに戻るそうだ」
大和「そうなの…私はこのままでもいいんだけど…」
武蔵「そうもいかんだろう…」
ガチャ
時津風「あーっ、いた!!」
天津風「あなた、かくれんぼ中に抜け出しちゃダメでしょ!」
風花「あ…忘れてた」
天津風「みんなあなたを探してるわ、行きましょう」ギュ
時津風「次はあたし達が鬼だよ!」
風花「うん。お姉ちゃん達、またね」
大和「ええ、またね」
バタン
908:
???
加賀「ただいま帰投しました」
飛龍「はーつっかれた?…」
蒼龍「あれ?」
飛龍「どしたの?」
蒼龍「提督の友達さん、まだ来てないの?」
飛龍「そう言われてみれば…」
加賀「夕方あたりに来るとは言っていたけれど…」
『執務室、誰かいますか』
飛龍「あ、大淀ちゃんだ」
ガチャ
加賀「どうかしたの?」
『提督のお友達がお見えになりました。誰か、迎えに行ってあげられませんか?』
加賀「私達、まだ艤装の片付けが…」
ガチャ
電「なら、電が行ってくるのです」
『電さんですね、よろしくお願いします』
電「なのです!」
飛龍「ごめんね、任せた」
パタパタ
909:
「ううーさっぶ……いつまで待てばいいんだろこれ…」
「……お?あの子かな?」
パタパタ
電「お待たせして申し訳ないのです!あなたが司令官さんのお友達の……」
雪菜「そうそう、雪菜だよー。よろしくね」
電「はい、よろしくお願いします、なのです」ペコリ
雪菜(礼儀正しい子だなー…)
雪菜「ねえ、もしかして君って艦娘さん?」
電「へ?はい、そうなのです」
雪菜「だよね!ねね、ちょっと触ってみてもいい?」
電「は、はい…どうぞ」
雪菜「わー、ありがと!」ペタペタ
電(よく分からない人なのです…)
雪菜「ふんふん…」ペタペタ ムニムニ
雪菜(やっぱりどう見ても普通の人間だよねえ…これが海で戦ったりするのかー…)
910:
電「あの、もういいですか?」
雪菜「ああうん、ありがとね」
電「それじゃ、案内するのです」
雪菜「はーい」
ガチャ
雪菜「うっわー……外観で想像はついたけど、玄関ですらここまで広いとは……」
電「向こうが司令官さんの私室なのです」
雪菜「ほー、廊下もこんなに長いんだ…すごいところに住んでるもんだねえ…」
電「普段はみんながいるから、結構騒がしいのですが…今日はほとんどの人が遠征や出撃でいないのです」
雪菜「へえー…ここって、どれくらいの艦娘さんがいるの?」
電「えっと……だいたい百人くらいなのです」
雪菜「百人!?そんなに多いの!?」
電「はい、その指揮をとっているのが司令官さんなのです」
雪菜(はえー…あたしの知らないところですごい役割担ってるんだ…風花ってば…)
911:
電「ここが司令官さんのお部屋なのです」
雪菜「うん、ありがと。電ちゃんだっけ?小さいのに偉いね」ナデナデ
電「そ、そうでもないのです///」
コンコン
雪菜「失礼しまーす」
ガチャ
加賀「ん…来たのね」
雪菜「どーもどーも、比嘉雪菜と申します」
加賀「あ…ええと、航空母艦、加賀です…でいいのかしら…」
雪菜「あ、加賀さんって朝電話出てくれた艦娘さん?だよね?」
加賀「ええ、その通りね」
雪菜「やっぱり!いやーごめんね、急に仕事が入っちゃって」
加賀「気にしなくていいわ、仕事なら仕方ないことでしょう」
電「お茶を淹れてくるのです」
雪菜「お構いなく…って言っても、あの子みたいな性格じゃ聞かないか」
加賀「そうね」
912:
加賀「仕事って、何をしているの?」
雪菜「んー……まあ、カウンセラーみたいなものかなあ」
加賀「カウンセラー?」
雪菜「そっか、艦娘さんって外の世界のことは詳しくないんだっけ。簡単に言うと、心の病気を治す人のことだよ」
加賀「なるほど……忙しいの?」
雪菜「そりゃあもう!結構都会の方に店あるんだけど、精神科って言ったらあたし一人ぐらいしかいないからさあ」
加賀「それは大変ね」
雪菜「まあ慣れたら軽いもんだけどさ…それより、艦娘さんの方が大変じゃないの?ほら、戦場で一つ状況を読み違えれば死ぬ可能性だってあるんでしょ?」
加賀「確かにそうだけど…私達には優秀な指揮官がいるもの、怖くなんてないわ」
雪菜「ふーん…あの子、そんなにすごいの?」
加賀「そうね……戦場で一人も死人を出していないと言えば伝わるかしら」
雪菜「むむ…そりゃすごい」
913:
雪菜「あ、そうそう、風花はどこにいるの?小さくなっちゃったんでしょ?」
加賀「さっきまで遊んでいたから、そろそろ戻ってくる頃だと思うけれど…」
ガチャ
風花「お姉ちゃーん」
雪菜「うわー風花!久しぶりだね?!」
風花「え、雪菜!?なんで大人になっちゃってるの!?」
雪菜「あははは!違うよ、風花が子供になっちゃったんだよ!」
加賀(一目で分かるのね…)
風花「え?な、なんで…?私、大人だったの…?」
雪菜「ん?、まあ難しいことは考えなくていいよ」
風花「う、うん…」
914:
風花「ん?……」ソワソワ
加賀「ほら、立ってないで座りなさい」
風花「お姉ちゃん、だっこ…」スッ
加賀「はいはい…」ギュ
ストン
風花「ん…ありがと…」
雪菜「あはは、そうしてると風花のお母さんみたい」
加賀「…それ、この子にも言われたわ。そんなに私とお母様は似ているの?」
雪菜「似てる似てる、あたしもさっき加賀さん見た時風花のお母さんかと思ったもん」
加賀「そうなの…」
雪菜「いやーなんだか思い出すなあ、あの頃を…」
加賀「……この子とはいつからの付き合いなの?」
雪菜「いつからも何も、産まれた時から一緒だよ。この子の妹より親しい間柄なんだから」
加賀「へえ…聞かせてもらえる?」
雪菜「ん、いいよ」
ガチャ
電「お茶、置いておくのです」
915:
雪菜「と、その前に…」ゴソ
加賀「?」
雪菜「ここって禁煙?」チンッ
加賀「いえ、特には決まってないはずよ」
雪菜「そっか、なら一本だけ吸わせてもらうね」
加賀「ええ」
雪菜「いやあ悪いねえ、今日一本も吸ってなかったからさ」スタスタ
ガラッ
加賀「吸わなきゃいけないものなの?」
雪菜「そういうわけじゃないけど、仕事柄吸わなきゃやってらんないっていうかね。結構ストレス溜まるもんだから」
加賀「そう…大変なのね」
916:
風花「…………」カクン
加賀「眠いの?」
風花「うん……」
加賀「このまま寝てもいいのよ」
風花「うん…」ギュ
加賀「…………」ポンポン
雪菜「あはは、ずいぶん懐いてるみたいだね。やっぱりお母さんに似てるからかな?」
加賀「…そうかしら」
雪菜「それともあれかな、昔甘えられなかった分を今取り戻そうとしてるのかな」
加賀「この子、昔なにかあったの?」
雪菜「あ、そういや昔の話だっけ。窓開いてるからちょっと寒いけどいい?」
加賀「ええ」
917:
雪菜「そだね、まずは生い立ちから話さなきゃね」
加賀「産まれた時から一緒と言っていたけれど…」
雪菜「ああ、あれはウソ。同じ病院で産まれたのは確かだけど、実際のところはあたしの一日遅れで風花が産まれたんだよね」
加賀「…まあ、間違ってはいないわね」
雪菜「もともとあたしの母さんと風花のお母さんって、家が隣同士だったから仲良しでさ。それで、出産のタイミングもかぶったからあたし達も仲良くなったわけ」
加賀「なるほど…」
雪菜「赤ちゃんの頃だからよく覚えてないけど、いつも一緒にいた気がする。大きくなっても、ずっとそうだったから」
加賀「そんなに仲良しだったの?」
雪菜「そりゃもう、お風呂に入る時も寝る時もずっと引っ付いてたよ」
加賀「…そう」
918:
雪菜「ん?もしかして嫉妬しちゃった?」
加賀「いえ…そうでもないわ、今はこの子がいるから」
雪菜「へ?この子がいるって?風花のこと?」
加賀「ええ。私の恋人」
雪菜「………はっ?こ、恋人?」
加賀「そうよ」
雪菜「え?加賀さんと風花が?」
加賀「ええ」
雪菜「……マジで!??やっぱりこの子、レズ脱却出来なかったの!?」
加賀「え?」
雪菜「あ、いや、ごめん。こっちの話。あー…そうなんだ、ダメだったかー…ちょっと積極的にしすぎたかな…」
加賀「何の話?」
雪菜「………いや、ぶっちゃけね。この子が女色家になったの、私のせいなんだよね」
加賀「どういうこと?」
919:
雪菜「それはまた後で話すから、続きをしていい?」
加賀「まあ、そういうことなら…」
雪菜「どこまで話したっけ…インパクトが強すぎて記憶が吹っ飛んだ」
加賀「あなたと風花が小さい頃からずっと一緒にいたところまで聞いたわ」
雪菜「ああ、そうそう…で、この子の一人目の妹が産まれてからだったかな、だんだん遊ぶ時間が減ったのは」
加賀「仲が悪くなったわけではないのよね?」
雪菜「うん、むしろ妹が出来たーって喜んでる風花を応援してあげてたよ。産まれる前からよくいいお姉ちゃんになるって張り切ってたから」
加賀「そう…その後は?」
雪菜「そうだね、特に何かあったわけでもなく二人目の妹が産まれて…よく遊びに連れて行ったり世話を焼いてたよ」
加賀「…いいお姉ちゃんだったのね」
920:
雪菜「うん…その時はまだ、ね…」
加賀「…?」
雪菜「…この子が八歳ぐらいの頃、だったかな。私達が住んでた街に、大きな木がある公園があったの」
加賀「ええ」
雪菜「いつも通りそこに妹達と遊びに行ったら、木の上に降りられなくなった猫が居たらしいの」
加賀「……」
雪菜「風花は大人の人を呼んでくるって言ったんだけど、上の妹が待ち切れずに木に登っちゃって…」
加賀「…落ちたの?」
雪菜「そうだね、それで妹さんが意識不明になって病院に運ばれて…三日ぐらいずっと泣いてたよ」
加賀「それは…そうね、辛いことね…」
921:
雪菜「まあ、特に後遺症もなく無事に退院出来たんだけど………問題はその後でさ…」
加賀「なにかあったの?」
雪菜「……風花の両親がさ。そのことで喧嘩しちゃったんだよね」
加賀「どういうこと?」
雪菜「命に関わるような問題だったからね。二人とも気が立って、なんでちゃんと見てやらなかったんだってお互いを傷付けあってた」
加賀「…離婚?」
雪菜「あ、離婚はしてないよ。ただ風花のお父さんが妹二人を連れて、別居状態になってただけ」
加賀「今もそうなの?」
雪菜「ううん、今はちゃんと仲直りして一緒に暮らしてるよ。でも、この出来事が風花に与えた傷はかなり大きかったみたい」
922:
雪菜「妹達がいなくなってからは、ほんとにもぬけの殻みたいだったよ。あたしが部屋に行っても反応すらしなかったし、揺すぶってもどこを見てるか分からないような目だった」
加賀「…………」
雪菜「言葉が出ない?」
加賀「………まだ小さいのに、そんなの、あんまりすぎるわ…」
雪菜「…そうだよね。感性豊かな子供がそんな重い現実に直面出来ると思う?」
加賀「無理よ、そんなの…」
雪菜「そう、それっきり風花は変わってしまったの。いつも笑顔で、明るい性格だったのに…あたしが何をしても笑わなくなった。たぶん、あの頃は相当病んでたんだと思う」
加賀「………で、どうなったの?」
雪菜「風花がおかしくなったのはこれだけじゃなくて…お父さん達が出て行って、お母さんが働きに出てる時は親戚の人が来てたらしいんだけど、その人が典型的なアルコール依存症でね…」
加賀「アルコール依存症?」
雪菜「うん。お酒が切れると、すぐに暴力に走ったり物を壊したりして、よく風花の家から怒鳴り声と物音が聞こえてた」
加賀「…………」
923:
雪菜「風花は殴られたりしなかったみたいだけど、いつも風花のお母さんは暴力を振るわれてたんだって。仕事の帰りが遅かったり、疲れで料理を焦がしたりしただけで…殴られてたって…」
加賀「…それを、見てたの?」
雪菜「うん、長い間。それで決定的だったのが、ある事件なんだ」
加賀「事件?」
雪菜「………あの子が、八歳になる時の誕生日だったっけ。その日は早めにお母さんがケーキを買って帰ってきて、二人でお祝いをしようとしてたんだ。けど…」
加賀「…………」
雪菜「…ギャンブルに負けた、親戚の男が家に戻ってね。その腹いせにケーキを床に放り投げて、お母さんに当たり散らしたの」
加賀「……最低の人間ね」
雪菜「で…あとでお母さんに聞いた話なんだけど、腹の虫が収まらない男が棚に置いてた家族の写真を投げ捨てたんだよね。それを見た瞬間、風花の目の色が完全に変わって…何をしたか分かる?」
加賀「怒ったの?」
雪菜「怒ったとかそういうレベルじゃないよ。刺したんだよ」
加賀「……は?刺した?」
925:
雪菜「タガが外れたって言うのかな、それまでずっと溜め込んできたものが爆発したみたいで…すぐ近くに置いてあったケーキナイフで腹を刺したの」
加賀「……まだ、小さいのに…」
雪菜「何度も何度も『返してよ!私の世界を返してよ!!』って叫んでたって。この子にしてみれば、自分の世界は大切な家族達がいるものだったんだろうね」
加賀「…その後は?どうなったの?」
雪菜「傷が浅かったおかげで死にはしなかったみたい。まあ、その一件ですっかり風花を畏怖の対象として見てたからすぐ蒸発したみたいだけど」
加賀「……この子は?」
雪菜「ああ、まだ子供だからってことで警察には厳重注意で済まされたよ。ただ…この子が本当に望んでたものは得られなかったんだよね」
加賀「どういうこと?」
雪菜「男を刺してるこの子を止めようとした時、お母さんは半狂乱になった風花に腕を切り付けられたの。刺した時のことは夢中でほとんど覚えてないらしいんだけど、この時のことは正気に戻ったから覚えてるんだって」
926:
雪菜「風花はそのことに負い目を感じてて、お母さんに話しかけようとしなかったんだ」
加賀「お母様の方は?この子に何かしてあげなかったの?」
雪菜「心労もあったんだろうけど…あとで話された時には、どう接してあげればいいのか分からなくなった。母親失格だって、泣きながら言ってたよ」
加賀「そう……そんなことがあったのね…」
雪菜「んまあ、これだけだったらただの暗い子になってたんだろうけど、ここまでメンヘラみたいになったのは間違いなくあたしのせいなんだよねえ…なんだか、ほんと申し訳ないや」
加賀「気にしなくていいわ、続けて」
雪菜「そだね……ま、当然そんなことがあったらまともな精神状態でいられるはずがないでしょ?ましてやまだ子供だし、もう限界寸前だったよ」
加賀「…そうね」
雪菜「で、その日から風花はあたしに甘えてくるようになったんだよね。小さい頃上手く甘えられなかった子は常に愛に飢えるようになるってよく言うけど、まさにそれを体現したみたいだったよ」
加賀「助けてあげたの?」
雪菜「そんなつもりじゃなかったんだけど…まあ、結果的にそうなったかな。それこそあたしがいないだけで泣き出したりとか、とにかくあの頃は精神状態がまともじゃなかったよ」
加賀「……苦労してきたのね」
927:
雪菜「あれが依存って言うのかな?学校でも常にそばに居られるように校長に無理言って毎年同じクラスにしてもらったり、あたしが風邪引いて学校休んだ時はこの子も一緒に休んでたよ」
加賀「文字通り、いつも一緒だったのね」クス
雪菜「ほんと、すごかったよ。高校受験の時、この子あたしより成績良くなかったのにさ、あたしと同じ高校行くーって猛勉強したんだよ」
加賀「そんなに?」
雪菜「うん、実際のところやってたのは数学ばっかりだったけど…寝る間も惜しんでやってたよ。結果、あたしより遥かに上の成績で合格しちゃった」
加賀「ふふ…極端な子ね」
雪菜「元々努力する派の人間だからね、本気でやればなんでも人並み以上には出来るんじゃないかな」
加賀「ねえ、他に面白い話はないの?もっと聞きたいわ」
雪菜「ん?面白い話かあ、そうだなー…」
928:
雪菜「…………あ。そうだ、ここの子達ってこの子本気で怒らせたことある?」
加賀「え?ええ、一度寝不足の時に騒いでいた子達が怒鳴られていたような…」
雪菜「あー、それ本気じゃないよ。怒鳴ってるうちはまだ優しい方」
加賀「…と、いうと?」
雪菜「さっき、風花とは常に一緒に居たって言ってたでしょ?けど、高校でも同性とベタベタしてたら当然それを快く思わない連中もいるんだよね」
加賀「何かされたの?」
雪菜「ん?まあ、放課後体育館裏に一人で呼び出されてさ。どんな時代だよって思ってたら「キモい」だの「イチャついてんじゃねーよ」だの罵詈雑言を吐かれて殴る蹴るの暴行だったね」
加賀「それ、そんな笑って言うことじゃ…」
雪菜「いいんだって、昔のことだし。さすがにあの場に男がいたら犯されてただろうから笑えないだろうけど」
加賀(犯されてただろうって…なぜ笑いながら言えるのかしら…)
929:
雪菜「でさ、その現場を風花に見られちゃってさ。何やってるのって聞かれて、いじめられてましたって簡単に言うわけにもいかないでしょ?だからまあ、ただ遊んでるだけって言ったら「そっか」とだけ呟いて一緒に帰ったんだけど…その日はそれ以降一言も喋らなくてすごい不気味だったね」
加賀「…変な人達に絡まれたものね」
雪菜「うん、その翌日なんだけど…なぜか風花とそのあたしを呼び出したグループが学校を休んだんだよね。まあここまで言えば理由は分かるだろうけど…」
加賀「報復をしたの?」
雪菜「何をやったかまでは知らないけど…それからしばらくは、そのグループは学校に来なかったね。で、最後に見たのが退学届を学校に持ってきた時だったよ」
加賀「た、退学?」
雪菜「うん、四人いたんだけど…一人は眼帯になってて、二人は片腕、もう一人は両腕を骨折してたよ。そのことについて風花に聞いたら何も知らないって言ってたけど」
加賀「……そこまでやったの?」
雪菜「全員顔が怯えきってたからねえ、たぶん中身はもっとひどかったんじゃないかな」
加賀「…………」ゾク
930:
雪菜「あ……そうだ、加賀さん、この子と付き合ってるんだっけ」
加賀「? ええ、そうね」
雪菜「いいなあ…あたしも、あの時ちゃんと返事してたらなあ…」
加賀「……?もしかして、あなたもこの子に何か言われたの?」
雪菜「ん?ああ、まあ、そんなところ」
加賀「聞いてもいい?」
雪菜「いいよ。………きっかけは…いつだったかな?確か、この子が恋文もらった時だったっけ…」
加賀「恋文?異性からも人気があったの?」
雪菜「そりゃまあ、こんなに可愛くて家事出来る子ほっとく人の方が珍しいでしょ。男より女の子の方が多かったけど」
加賀「そ、そう…」
加賀(どんな台詞回しで女を落としてきたのかしら)
933:
雪菜「で、初めて風花が恋文もらった時にさ、風花はどんな人とお付き合いするのかなー?って茶化してみたんだけど…困ったような顔で「うん、そうだね…」って言って、それからしばらくは口数が少なくなってたんだ」
加賀「その恋文は男の人が送ったの?」
雪菜「ん、そう。その日から様子がおかしくて、あたしのことを見つめるようになったり、あたしが抱き付いたりほっぺにチューしたりしても反応がないというか…」
加賀「ちょっと待って」
雪菜「なに?」
加賀「いくら親友とはいえ、普通そんなことする?」
雪菜「しないんじゃない?」
加賀「なら、それが同性愛に目覚めた原因なのでは…」
雪菜「まあそうだろうね、ぶっちゃけ風花もあたしのこと好きだったしあたしも風花のこと好きだったし」
加賀「…そこまで行ったのになぜ恋仲に発展しなかったの?」
934:
雪菜「意外にも先に告白してきたのは風花の方だったんだよね。それで、気が動転したっていうか…」
加賀「どんな風に?」
雪菜「いきなりベッドに押し倒されて、『ねえ、恋ってなんなの?あの人はどんな気持ちで私に好きだって言ったの?私みたいに…苦しくて、ぎゅってなるような気持ちだったの?ねえ、教えてよ。私は、雪菜に恋をしているの?』って。泣きそうになりながら言われたよ」
加賀「…で?返事は?」
雪菜「……たぶん、今でも後悔してる。あたしもこの子のことが好きで、恋人になりたいってずっと思ってたの。けど、いざそう言われるとなんだか怖くなっちゃって…さ…」
加賀「逃げたの?」
雪菜「………うん。あたしのせいでこの子が変な人みたいに思われて、その責任があたしに来ると思ったら怖くて……ただの勘違いだって、嘘ついて逃げちゃった」
加賀「………そう」
雪菜「いつかまたそんなチャンスが来るとか、甘い考えでいたけど…先、越されちゃったなあ…」
加賀「……………」
雪菜「……ねえ、加賀さん」
加賀「なに?」
雪菜「この子…風花のこと、よろしくね」
加賀「ええ」
935:
雪菜「そうそう、今度はあたしが質問してもいい?」
加賀「ええ、答えられることなら」
雪菜「ここの人達って、一応軍人って扱いなんだよね?」
加賀「まあ、戦場に出るから…」
雪菜「あなた達艦娘が兵士なら、それを率いている風花は指揮官ってことになるんだ」
加賀「そうね」
雪菜「この子の階級、どれくらいのものなの?」
加賀「………どうだったかしら。確か、軍服にバッジが付いていたような…」
雪菜「軍服…これ?」
加賀「そう。確認してみて」
雪菜「どれどれ…」
936:
雪菜「えーっと……この襟の模様は……」
加賀「どうだった?」
雪菜「…………これ、ほんとに風花の?」
加賀「え?ええ、私がかけておいたから間違いないわ」
雪菜「………えええっ!?マジで!?風花めちゃくちゃ偉い立場じゃん!!」
加賀「そうなの?」
雪菜「そうだよ、今この国に十人いるかどうか…」
加賀「それほどすごい人だったのね」
雪菜「はー…道理でこんな大きい鎮守府にいるわけだぁ…」
937:
雪菜「………ん?だとしたら、給料もすごいんじゃ……年収いくらなんだろ……」ゴクリ
加賀「よく分からないけれど…ワゴン車?というものを現金で買ったと言っていたわ」
雪菜「ワゴン車!?キャッシュで!??」
加賀「ええ、外に止めてあったでしょう?」
雪菜「あれ風花のだったんだ!?へえー、どこかから他の客が来てるのかと思ったよ…」
加賀「……そんなに?」
雪菜「あたしもそれなりにはあると自負してたんだけど…それが霞むレベルかも…」
加賀「そ、そう…ちなみにあなたは?」
雪菜「………850万ぐらい」
加賀(…聞いたはいいものの、どれくらいあると多いのか分からないわ…)
雪菜「……風花に養ってもらうのを考慮すべきかもしれない……」
938:
雪菜「……というか、こんなにくつろいでて大丈夫なの?」
加賀「どうして?」
雪菜「いや、ここって戦場だし…いつ敵が攻めてきてもおかしくないんじゃ…」
加賀「ここはそうでもないわ。それなりに忙しい時はあるけれど、基本的には平和よ」
雪菜「へぇ?…意外」
加賀「世間一般から見て、私達はどう思われているの?」
雪菜「んー……あたしは政治とかそういうの詳しくないからよく分からないけど、大抵の人は危機から守ってくれる存在みたいに思ってるんじゃないかな」
加賀「なるほど…」
雪菜「ただやっぱり、戦争ってことになるからねえ。武力扱いで反対してる人もいるよ」
加賀「そうなの…」
雪菜「日本人は頭が固いからね…自分達が置かれてる状況とか、どうすればいいのか考えようともせずにデモとかやってるし」
加賀「…外の世界のことも、色々と聞かせてもらえる?」
雪菜「ん、もちろん。じゃあコーヒーでも淹れよっか」
加賀「ええ、ありがとう」
???
939:
雪菜「………おっ、もうこんな時間だ…」
加賀「え?ああ…本当」
雪菜「はーっ…んじゃあたし、そろそろ帰るわ」
加賀「いいの?」
雪菜「うん、これからまだ仕事もあるからね」
加賀「そう…大変なのね」
雪菜「いいよ、これから暇になる時期だし。今日は残念だったけど、また近いうちに来られるから」
加賀「ええ、待っているわ。この子もきっと」ナデ
風花「ん……」
雪菜「……うん、ありがと」
940:
玄関
電「今日は来てくれてありがとうございます、なのです。特におもてなしも出来なくて申し訳ないのです…」
雪菜「いやいや、こちらこそ。急に来てごめんね、今度はちゃんと連絡するから」
電「はい、司令官さんも喜ぶのです」
雪菜「それじゃ、またねー」ブンブン
電「はい!」ペコリ
バタン
雪菜「うおー……もう太陽があんな向こうに…」
雪菜「六時半か…間に合うかなー…」
941:
雪菜「うー…さっぶ…」
ビュオッ
雪菜「ううう…早く戻ろ…」
バタバタ
「きゃー!寒い寒いー!」
「あ、ま、待ってよ!置いてかないで!」
「あははっ、ちゃんとあたしについてきなさーい!」
「もうっ……一人にしないでよ!怖いんだから!」
雪菜「……………」
「あれえ、まだ暗いのが怖いの?ふふっ」
「だ、だって、何か出てきたら怖いし…」
「はいはい…ならちゃんと手繋いでてあげるから」
「うん…」
「二人で、一緒に帰ろう?」
「うん」
パタパタ…
雪菜「……二人で一緒に、か…」
942:
雪菜「……………」
『ねえ、教えてよ』
『恋ってなんなの?』
『人を愛するってどういうことなの?』
『私は多分、あなたを愛してる』
『私は、あなたに愛されているの?』
『私は、必要とされているの?』
『私は……ずっと、二人で一緒に───
雪菜「……………」
雪菜「………大丈夫」
雪菜「その答えはきっと、すぐそばにあるから…」
ーーーーーーー
ーーーーー
ーーー
943:
提督「…すぅー……」
提督「はぁー………」
提督「…………よしっ」
ガチャ
加賀「失礼するわ」
提督「あ、加賀…ごめんね、非番なのに呼び出して」
加賀「気にしなくていいわ。それで、用ってなに?」
提督「ん、うん…ちょっと渡したいものがあって」
加賀「渡したいもの?」
944:
提督「うん。これ」スッ
加賀「………?この箱は……」
提督「開けてみて」
加賀「……ええ」
パカ
加賀「…………!!これって……」
提督「うん、そういうことだよ」
加賀「………え、あ…」
提督「ど、どうしたの?嫌だった?」
加賀「ち、違うの……嬉しいけど…けど、私、感情表現が……その、これでも、とても嬉しいの…」
ポタッ
提督「あっ」
加賀「え?」ポロポロ
提督「あ、いや、ううん。加賀が嬉しいっていうのはよくわかったよ」
加賀「……??」ポロポロ
945:
加賀「………嵌めてもらってもいい?」
提督「うん、手出して」
加賀「はい」
提督「ようし……」
スッ…
加賀「……………」
提督「…………ねえ、加賀」
加賀「?」
提督「私と、ずっと一緒に居てくれる?」
加賀「ええ」
提督「後悔しない?」
加賀「ええ」
提督「……私を愛してくれるって、誓う?」
加賀「ええ。誓うわ」
スッ
提督「………私も、誓うよ」
加賀「………ええ」
946:
提督「あ……そうだ」
加賀「どうしたの?」
提督「あのね、この指輪は練度の上限を解放するっていう効果があるんだけど…もう一つ、意味があるの」
加賀「…?なに?」
提督「えっ、と……その、これは…エンゲージリングみたいなものだから…」
加賀「…………」
提督「あの……将来的には…っていうか、法が変わったら………その時は本当の…仮じゃない、結婚を、しよう?」
加賀「…………」
ガバッ
提督「うわっ!?」
加賀「嬉しい…嬉しいわ、私、あなたとずっと一緒に居る、ずっとそばで、護るから」ギュウウッ
提督「うぐぐ…そんなに抱き着かれたら苦しいよ…」
加賀「もう離さないわ、このまま暮らしましょう」
提督「そんなアホな…」
947:
加賀「あなたと一緒がいいの」スリスリ
提督「はいはい、分かったからとりあえず離れなよ」ポンポン
ゴトッ
提督「んっ?」
青葉「あっ、あ、あ、あっあ」ワナワナ
提督「あ…」
青葉「だっ」
「大スクープですうううううううううううううううううううううっっ!!!!!」
ドドドドド
提督「あ、青葉!……って、こうなったら止められないか…」
加賀「…ぷっ、くく…」
提督「もー、加賀がずっと抱き付いてくるからだよ」
加賀「ふふ…いいじゃない、どうせすぐ分かることでしょう?」
提督「…それもそっか」
「司令官と!加賀さんが!!ケッコンしましたああああああああああああああ!!!」
948:
司令官と加賀さんがケッコンしたことは、青葉の新聞によってあっという間に鎮守府中に広がりました。
その日、司令官と加賀さんはずっとみなさんに囲まれて、質問責めに遭っていました。
中には司令官を攫おうとしたり、薙刀を振り回して奪おうとしたりしてた人もいましたけど…というか、大井さんと龍田さん…危ないです…
それからしばらくして、司令官は休みを利用して実家に帰りました。なんでも、このことを報告するのと、昔のことを謝りたかったそうです。
戻ってきた司令官には、いい笑顔が浮かんでいました。
辛い思い出のことをちゃんと話し合って、当時の誤解やすれ違いを正せたそうです。
…今?今はですねえ…
お二人とも、幸せそうに笑ってます。
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