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鷹富士茄子「むぅ、ツイてないですねー」


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1:
茄子「むぅ、ツイてないですねー」
P「どうかしましたか、茄子さん」
茄子「ヒールのかかとが折れちゃいまして……」
P「参りましたね。事務所までタクシーを呼びましょうか」
茄子「そうですねー」
P「……あれ」
茄子「どうしました?」
P「向こうに見える鍵屋、確か靴の修理とかもやってませんでしたっけ」
茄子「あ、そういえば」
P「あの店まで歩けそうですか?」
茄子「うーん、腕を貸して頂ければ」
P「ああ、すみません。気が利きませんで」
茄子「いえいえ♪」
P「ツイてないですね」
茄子「ふふっ、そうですねー♪」
4:
P「この季節は温かい飲み物が身体に沁みますね」
茄子「もうすっかり冬ですもんね……あら?」
P「どうしました?」
茄子「違う飲み物が出て来てしまって……」
P「……温かいポカリスエットですか。業者さんが入れ間違えたのかな」
茄子「むぅ、ツイてないですねー」
P「こっちのお汁粉と代えますか?」
茄子「え?」
P「ああ、すみません。もう口、付けちゃいましたしね」
茄子「そっちで……いえっ、そっちが良いです」
P「そうですか? どうぞ」
茄子「……ふふっ。甘いですね♪」
P「それは良かった」
茄子「……あの、そちらは大丈夫ですか?」
P「まぁ、飲めますよ。それに」
茄子「?」
P「慣れてますから」
茄子「慣れて……?」
P「ええ。何度も」
6:
P「ツイてないなぁ……」
茄子「どうかしましたか?」
P「いえ、また携帯電話をどこかに落としてしまいまして……」
茄子「あ。帰り道で拾ったんですけど、ひょっとしてこれですか?」
P「ああ、私のですね。流石は茄子さん、ありがとうございます」
茄子「見覚えのある二つ折りだったので、プロデューサーに確かめてから届けようと思って♪」
P「あれ、中を確認しなかったんですか」
茄子「ちょっと失礼な気もしますし。見てもいいんですか?」
P「まぁ茄子さんですし、やましい物も入ってませんので……確か」
茄子「では、ちょっと失礼して……どんなメールしてるんでしょう♪」
P「普通ですよ」
茄子「ディレクターさん、愛梨ちゃん、アーニャちゃん、課長、蘭子ちゃん、美嘉ちゃん、アーニャちゃん」
P「ね?」
茄子「蘭子ちゃん、アーニャちゃん、ちひろさん、蘭子ちゃん、蘭子ちゃん……あの、プロデューサー」
P「どうしました?」
茄子「確か落とし物って、届けると1割もらえるんですよね?」
P「金銭的な価値があればですが、そうですね」
茄子「わ、私とも、もっとメールしてくださいっ!」
P「へっ?」
茄子「みんなと合わせての1割ぶんくらいでいいので!」
P「は、はぁ。分かりました」
茄子「えへへ……約束ですよ♪」
7:
アーニャ「…………」
茄子「あら。何か困り事ですか、アーニャちゃん?」
アーニャ「茄子。明日の七夕が、ちょっと心配で」
茄子「流星群が降るんでしたよね? 楽しみです♪」
アーニャ「でも、天気予報だと スィムナーッツァチ アー……雨も降るかもしれないと」
茄子「なるほど。でも、だからアーニャちゃんは私へお願いしたんでしょう?」
アーニャ「はい……」
茄子「ふふ……では、アーニャちゃんの為に予報をしてあげましょう」
アーニャ「?」
茄子「明日、七夕のCGプロのお天気は雲一つ無い快晴。穏やかな風も吹き、絶好の星見日和になるでしょう♪」
アーニャ「……茄子」
茄子「ふふっ。安心出来ましたか?」
アーニャ「ダー。私も、茄子のカゴを信じます」
茄子「…………」
アーニャ「……ニェート。何でも、無いです」
茄子「アーニャちゃんの冗談、珍しいですね?」
アーニャ「何も、言ってないです」
茄子「もー、嘘ついちゃって♪」
アーニャ「つ、ついてないですっ」
茄子「ふふっ、可愛いですねぇ♪」
8:
茄子「むぅ、ツイてないですねー」
P「どうかしましたか」
茄子「お気に入りの口紅を落としてしまったみたいで」
P「茄子さんも化粧をしていたんですね」
茄子「む、どういう意味ですか」
P「ああいえ、化粧に頼らずともとてもお綺麗なので」
茄子「もう、お上手なんですから♪ 私だっておめかしぐらいしますよ」
P「どこで落としたか心当たりはありませんか?」
茄子「いえ……外で落としていたら、残念ですが諦めるしかありませんね」
P「そうですか……茄子さん、この後時間はありますか?」
茄子「えっ? はい、大丈夫ですけど……」
P「良かった。では出掛ける準備をしておいてくださいね」
茄子「どこへお出掛けですか?」
P「化粧品店へ」
茄子「!」
P「買い直すか他の物を選ぶか、行きましょう」
茄子「あ、あの。もし無かったら、プロデューサーが選んでもらえませんか?」
P「私が選んでしまっていいんでしょうか」
茄子「はい♪ 是非お願いしますっ」
P「分かりました。お気に入りのが置いてあるといいですね」
茄子「うーん、何となくですけど、無い気がします」
P「そうですか……茄子さんの勘はよく当たりますからね」
茄子「当たってないといいですね♪」
9:
P「どうでしょうか」
受付「申し訳ありません。調べてみましたが、やはりシングルの方はキャンセルも無く」
茄子「むぅ、ツイてないですねぇ」
P「そうですか……分かりました。ツインに空きはありますか」
受付「少々お待ちください……すみません、ツインの客室も残念ながら満室となっておりまして」
P「参ったな……」
茄子「シーズン中ですし、仕方無いかもしれませんねー」
受付「あの、お客様」
P「はい」
受付「ダブルでしたらご用意可能ですが」
P「…………いえ」
受付「ですが、先ほど近辺のホテルも満室だと伺いましたが……どうされますか?」
P「…………」
茄子「私は、大丈夫ですよ?」
P「……茄子さん」
茄子「野宿は、ちょっと遠慮したいですね」
P「…………分かりました。ダブルを一部屋、お願いします」
受付「かしこまりました。では、こちらにお客様の……」
10:
茄子「あら、良いお部屋ですねー。ツイてたかも♪」
P「…………」
茄子「プロデューサー?」
P「茄子さん」
茄子「何でしょう?」
P「今回は緊急事態でした。変装しているとはいえ、良い事とは言えません」
茄子「そうですね、ちょっとしたスキャンダルになるかもしれませんし」
P「はい。ですから私はロビーにでも」
茄子「プロデューサー」
P「どうかしましたか」
茄子「私、ツイてますから」
P「そうですね」
茄子「ちょっと、変な事、したくらいじゃ……バレないと思いますよ?」
P「…………」
茄子「プロデューサー」
P「茄子さん。俺は、プロデューサーです」
茄子「…………」
P「そして、茄子さんはアイドルです。そこは、譲れません」
茄子「……もう。プロデューサーったら真面目なんですから」
P「それだけが取り柄だと思っています」
茄子「でも、だから、そういうところが大好きなんです」
P「ありがとう、ございます」
11:
茄子「ただいま戻りましたー」
P「お帰りなさい、茄子さん」
茄子「むぅ、ツイて……あーっ!」
P「ごふっ! ……ど、どうしたんです」
茄子「そのたい焼きは……」
P「ああ、最近話題に上るから気になってて。ようやく買えたんですよ」
茄子「さっき行ってみたらちょうど売り切れだって言われて」
P「……あ。そういえばラスト1個だ、ツイてるねって言われてました。嬉しかったなぁ」
茄子「そんなぁ」
P「えーと、どうしましょうか。もう囓っちゃいましたし、しっぽの方を半分こに」
茄子「あーん」
P「……?」
茄子「あ、あーん」
P「…………」
茄子「あーんっ!」
P「……えい」
茄子「む、もぐ」
P「…………」
茄子「…………ふふっ、甘いですね♪」
P「そうですか、それは良か」
茄子「あーん」
P「…………」
茄子「あーん♪」
P「……えい」
茄子「?♪」
13:
茄子「むぅ、ツイてないですねー」
P「どうしました」
茄子「さっき商店街でくじ引きをやってて、1等のお洒落なティーセットが欲しかったんですけど……」
P「なるほど。外れでしたか」
茄子「いえ、特等のハワイペア旅行のチケットが当たってしまって」
P「それはツイてないんでしょうか」
茄子「小さい頃から何度も当ててるので」
P「すごい」
茄子「両親にあげようにも、二人とも流石に行き飽きてしまったようで」
P「なるほど」
茄子「誰か良い相手は居ないものでしょうか」
P「…………」
茄子「…………」
P「…………」
茄子「……ちらっ」
P「…………」
茄子「……ちら、ちらっ」
P「……ええと、手帳は……それ、何日からでしょうか」
茄子「松の内が明けてすぐです!」
P「……都合良くぽっかりと空いていますね」
茄子「ちらっ、ちらっ」
P「…………お供させてもらっても、良いでしょうか」
茄子「はいっ♪」
14:
蘭子「我が友よ!」
 (プロデューサーさんっ)
P「蘭子ちゃん、久しぶりですね」
蘭子「ラグナロクの刻は近いか?」
 (いま、お話出来る時間はありますか?)
P「ええ、大丈夫ですよ」
蘭子「なれば良い。あれは移し身の儀を執り行いし凍える大地にて――」
 (よかったー! この前、撮影で北海道に行ったんですけど)
P「それは遠くまで――」
茄子「…………」
蘭子「――む、目覚めの刻は近いか。幾星霜も瞬く間よ」
 (あ、もうお仕事の時間! ごめんなさい、すっかり話し込んじゃいました)
P「いえ、楽しいお話でしたよ。いってらっしゃい、蘭子ちゃん」
蘭子「再び相見えん!」
 (いってきまーすっ)
P「相変わらず絶好調みたいですね」
茄子「…………」
P「茄子さん? 先程からずいぶん静かなようですが」
茄子「……わ、我が友よっ!」
P「…………」
茄子「…………」
P「…………」
茄子「……に、ニヤついてないで何か言ってください」
P「ニヤついてないですよ」
茄子「ニヤついてました」
P「ついてないです」
茄子「ついてましたー!」
P「ははは」
茄子「もうっ!」
15:
茄子「結局、一日降ってましたね」
P「そうですね。遅くまで連れ回してすみません」
茄子「いえいえ、お仕事がいっぱいなのは良い事じゃないですか♪」
P「そう言ってもらえると助かります」
茄子「早く事務所に戻って温か、きゃっ!」
P「突風? ……茄子さん、傘が」
茄子「あ……むぅ、ツイてないですねー」
P「濡れるといけません、この傘を」
茄子「でも、それじゃプロデューサーが」
P「平気ですよ、これでも男ですしね」
茄子「ダメですよ! ほら、一緒に入りましょう?」
P「いえ、しかし……」
茄子「イヤ……ですか?」
P「……分かりました。では失礼して」
茄子「ふふっ。そうそう♪」
P「雨、当たってませんか?」
茄子「ちょっと肩が当たってて……もう少し寄ってもいいですか?」
P「はい」
茄子「ふふっ」
P「ツイてないですね」
茄子「そうですねー♪」
17:
P「……あ」
茄子「どう……しましたか?」
P「すみません、ゴムを切らしてしまっていて」
茄子「…………」
P「ちょっと今日は」
茄子「Pさん」
P「はい?」
茄子「つけなくても、いいですよ?」
P「……それは」
茄子「Pさん」
P「…………」
茄子「私は、こうしてPさんと二人で居るのが好きです」
P「私も、好きですよ」
茄子「でも」
18:
 「賑やかなのも、大好きですから」
20:
 ― = ― ≡ ― = ―
 「ぐわああぁぁぁっ! ちくしょうっ!」
 「一日になんどころべば気がすむのあなたは」
 「ヒザが……オレだってすきでころんでるわけじゃないッ!」
 「ほら。ちょうどバンソーコー買ったかえりでよかったね」
 「ねーちゃんにはわからないだろう。オレのこの『いたみ』が!」
 「うん、ぜんぜん」
 「正月早々から元気だなぁあいつらも」
 「ふふ。子供は風の子って言うじゃないですか」
 「まるで台風だよ」
 「私達も走り回りましょうか? 台風一家という事で♪」
 「うーん、今日は冷えるなぁ」
 「あー、ひどいっ!」
 「風邪引かないように……って言う必要も無いか」
 「ふふっ。今年も健康に、良い一年になるといいですね♪」
 「うん、今年もよろしく」
 「はい♪」
 「わ。どうしたんだい、急に腕なんて組んで」
 「いいじゃないですかー。今年もラブラブの一年にしましょ?」
 「はは。分かった分かった」
21:
 「――これからも、ずっとついていきますからね、あなた♪」
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