女幽霊「死後の世界がHなアプリだったなんて……」back

女幽霊「死後の世界がHなアプリだったなんて……」


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ゆう「う、うぅん……」
死神「娘よ、気が付いたか」
ゆう「あ、あなたは?!」
死神「わしは死神だ」
ゆう「死神……。じゃあ、私は死んじゃったのか」
死神「そうだな。未練もあるだろうが、魂を回収させてもらうぞ」パキンッ
ゆう「きゃっ! 何っ、この光?!」
死神「現世の縛りを解放したのだ。この魂を吸引せよ!」スポーン
死神「よしっ、次は轢死した女性の魂か。張り切って遡らないと、収穫が終わりそうにないな」シュッ
元スレ
女幽霊「死後の世界がエッチなアプリだったなんて……」
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2: 以下、
死神「はあ、これで最後だ。今月期は煩雑でかなわん」スポーン
死神「それではお前たち、今から冥府に案内するので心するように!」ドナドナ
ゆう(死後の世界って、どんな所だろ〜。お花畑かなあ♪)
ばこんっ!
パリーンッ!
ゆう「わわっ、何かぶつかった。……って、落ちてるうぅっ!!」
死神「そんなバカな!」
ゆう「きゃあぁぁっ……」
3: 以下、
〜部屋〜
男「あれ? こんなアプリ、DLしたっけ?」
夕食を食べて部屋でスマホをいじっていると、見慣れないアプリがあることに気が付いた。
以前、友が勝手に触って、エロアプリをDLしていたことがある。
どうせ、今回もヤツの仕業だろう。
友がDLしたなら、おすすめアプリかもしれない。
気になって、試しに起動してみた。
――Now Start――
その言葉の後、洋服姿の女性が表示された。
背景はどこかの教室のようだ。
4: 以下、
男「ライブチャット? 通信料とか、ぼられないだろうな」
ゆう「あわわ// お待ちしておりました……」アセアセ
男「こんばんは。俺は男、キミは何ていうの?」
ゆう「私はゆうです。あのぉ、ここが死後の世界なんでしょうか?」
男「はあ?!」
唐突に何を言ってるんだ、こいつ。
ゆう「わわ、私は死んだはずなんです。人って、死んだらスマホのアプリになるのでしょうか」
男「いやいや、そんな訳ないだろ」
ゆう「でも、確かに……」
5: 以下、
男「ゆうちゃんは、オカルトな話に興味があるんだ」
ゆう「いえ、オカルトには興味がありません……。上手く思い出せないけど、死んでしまったことは間違いないんです」
男「でもこれ、ライブチャットだよね。死んでたら、話なんて出来ないじゃないか」
ゆう「う〜ん、文字入力にも対応していると思いますよ」
そう言われ、メニュー画面をタップしてみた。
入力方式というモードがあり、音声から文字に変更する。
ついでに、出力方式も変更した。
男『文字入力に変えてみた。服、可愛いよ』
ゆう『ありがとうございます♪』
6: 以下、
男「確かに、会話できるな」
ゆう『ねえ、今は何て言ったの?』
男「ああ、そうか。今は文字入力だったっけ」
ゆう『それで、男さん。私は、死んでしまったのでしょうか?』
男『そんな訳ないだろ』
こいつ、どうかしてるんじゃないのか?
そう思いつつ、ふと彼女のスカートが気になった。
椅子に座っている姿が映し出されていて、もう少しで見えそうなのだ。
下着が――。
だから、やってみた。
スカートをめくることが出来ないか。
7: 以下、
可愛い
8: 以下、
ゆう『きゃあ// なな、何、するんですかあ!』
男「ま、マジかよ!」
指の動きに合わせて、スカートがめくれ上がったのだ。
彼女が触っていないのに……だ。
ショーツの色は確認したので、今度は胸元をズームしてみる。
そして、ブラウスのボタンをタップしてみた。
ボタンが外れ、指で袖を脱がせることも出来る。
ゆう『やんっ、お、男さん。それ以上は……困ります//』アセアセ
男「タップしたら脱げるぞっ。やっぱり、友がDLしたエロアプリだ!」
ゆう『ううっ// 恥ずかしいよう……』
9: 以下、
男「このカメラアイコンをタップしたら、どうなるんだ?」
エロアプリだと分かれば、やることは一つだよな!
試しにアイコンをタップしてみる。
すると、視点を指でスライドさせられることが分かった。
くるりと背中側に回る。
すると、ブラジャーのホックが見えた。
ゆう『だ、駄目です。まだ初対面ですよ?!』
男「良いじゃないか。そういうアプリだし……」ニヤニヤ
彼女が腕を背中に回して、抵抗してきた。
しかし、その腕さえも指でどかせることが出来る。
そして、難なくブラジャーを外すことが出来た。
10: 以下、
太ももの上に、ブラジャーがはらりと落ちた。
すると程よい大きさのおっぱいが、ぷるんとお目見えした。
ゆう『男さんのエッチ//』
男「やっぱり声で聞きたいな。たしか、メニュー画面で――」
ゆう「わわっ……エッチな声を出させるつもりですね?! 絶対にそんな声を出さないんだから//」
男「自分から言うときって、たぶん期待してるよね。ゆうちゃんのおっぱい、触りたい」サスサス
ゆう「ひゃうん// お、男さん。あっ……んんっ……」
さすがに画面の硬さか……。
しかし実際に揉まれているかのように変形し、喘ぎ声と表情はすごく好みだ。
よし、この際だ。
ショーツも脱がせてしまおう!
11: 以下、
男「ゆうちゃんの裸、すごくきれいだよ」
ゆう「ほ、本当ですか//」
男「ああ。だから、あそこも見せてほしいな」サワサワ
ゆう「こ、これ以上は恥ずかしいです//」
男「良いから、スカートをめくってみて」
彼女ははにかみながら、スカートをめくり上げた。
そして腰を少し浮かせ、ショーツを下ろす。
全裸で椅子に座って、スカートをつまみ上げている姿が何ともいやらしい。
ゆう「うぅ…、恥ずかしい……」
12: 以下、
男「もっと見せてほしいなあ」
そう言って、閉じている脚を指で広げる。
普通はモザイクがかかる場所。
そこをはっきりと見ることが出来た。
さらに指で広げると、ピンク色の大切な部分まで見えてしまう。
男「うわ……、こうなってるんだ……//」
ゆう「やぁんっ……、あまり見ないでぇ」カアッ//
男「その恥らう声も可愛いよ」イジイジ
13: 以下、
ゆう「あんっ……だめっ、男さん……そこ、気持ちいい……」
男「ふうん、ここが気持ちいいのか。じゃあ、もっとしてあげるよ」クリクリ
ゆう「はうん……あぁ、だめぇっ、そこクリクリしないで……いくっ、いっちゃうぅっ!」ビクビクッ
男「はあはあ……。気持ちよすぎて、いっちゃった?」
ゆう「だって、止めてくれないから……」ハァハァ
男「俺も、もう我慢できない!」
俺はスマホを見えやすいところに置いた。
ゆう「えっ? ちょっ、脱いじゃうの//」
14: 以下、
ゆう「あわわ// すごく大きくなってますよ。私で興奮……したんですか?」
男「あんなにいやらしい声で喘がれたら、興奮するに決まってるだろ」シコシコ
ゆう「はうぅ……。私はどうしましょうか」
男「そうだな、オナニーしてみてよ」
ゆう「……?! そんなの無理です、ムリぃっ!」アセアセ
男「いいから、いいから」スイスイ
そう言って、
彼女の腕をスライドさせて、おっぱいと陰部を触らせた。
こうすると、彼女は何だかんだ言いつつ、従順にしてくれる。
きっと、ツンデレというやつだな。
15: 以下、
ゆう「こ、これは男さんがさせてるんですからね!」
男「そんなこと言いつつ、手つきがいやらしいよ」シコシコ
ゆう「だって……。あうん、んっ……いいっ//」クチュクチュ
男「ゆうちゃん、イきそう――」
ゆう「男さん、もういっちゃうんですか?」マジマジ
男「イクっ!」
ドピュッ
ドピュピュッ
ゆう「きゃわわ、いっぱい出てる//」
男「はあはぁ……、なんだかんだ言って、ゆうちゃんもノリノリだったな」
ゆう「私、そんなにエッチじゃないもん!」プンスカ
男「エロアプリに言われても、まったく説得力ないし」ハハッ
16: 以下、
ゆう「ところで……その…、楽しかったですか?」
男「ゆうちゃんの反応がいやらしくて、今までで一番気持ちよかったよ」ハァハァ
ゆう「……// 何だかうれしいです」テレッ//
男「これからも、このアプリで抜きたいかも」
ゆう「わわっ、そうなんですか?!」
男「こうして話していると、何だか彼女が出来たみたいで楽しいしね」
ゆう「は、はいっ。また頑張りますっ!」ペコリッ
17: 以下、
ゆう「やっと真面目な話も出来そうですし、リンクを切断してくれませんか?」
男「リンクを切断?」
ゆう「えっと……、メニュー画面のアイコンをタップすれば、リンクを切断出来ると思います」
そう言われ、メニュー画面を開く。
一番下のアイコンを見ると、『リンクの接続:接続』という表示があった。
それを言われた通りにタップして、切断状態にしてみる。
そしてトップ画面に戻ると、背景が女の子らしい部屋に変わり、さっきとは別の可愛らしい洋服姿になっていた。
また脱がせてやろうとしたけど、今度は服を動かせない。
どうやら、リンクを接続していないと、服を脱がせることは出来ないようだ。
18: 以下、
ゆう「それでは話を戻しますけど、私は死んだはずなんです」
男「死んだって、どうして?」
ゆう「それは分かりません。死神に連れて行かれたんですけど、私だけ途中で落ちてしまって……」
ゆう「多分そのときに、魂がこのスマホに混ざってしまったのだと思います」
男「なるほど、了解。それがゆうちゃんの設定なんだな」
ゆう「設定じゃなくて、本当の話なんです。まさか、死後の世界がエッチなアプリだったなんて……」ショボーン
男「まあ、普通は天国を想像するよな」
ゆう「そうでしょ。普通は、チョウチョが飛んでいるお花畑なんです! でもなぜか、ここがうれしいと感じ始めているんですよね……」
男「スマホのエロアプリなのに?」
ゆう「はい。もしかしたら、ここが私にとって天国なのかもしれません//」ニコッ
19: 以下、
男「とりあえずこれは、ゆうちゃんと仲良くしながらエッチが出来るエロアプリってことでいいのかな?」
ゆう「はいっ// 仲良くできるかは、男さん次第ですけどね♪」ニコッ
男「ところで、月額料金とかはどうなるんだろ?」
ゆう「私はこのスマホの一部だから、別に必要ないと思うけど――。うん、どこにも記載はありません」
男「そうみたいだな。こんなに高機能なのに、無料アプリなのか……」
ゆう「ちなみに常駐アプリなので、よろしくお願いします。ホームでは隠れますし、マナーモードになるのでご迷惑はおかけしません!」
20: 以下、
男「おい、待て。エロアプリが常駐って、ありえないだろ!」
ゆう「大丈夫ですよ♪ 男さんのスマホを分析した結果、影響はないと判断しました。そういう画像やサイトが、たくさん保存されてますし//」
保存データを参照するって、どんなアプリなんだよ!
もしかして、アダルト機能で役立てるつもりなのか?
いや……、
それ以前に普通のアプリなら、そんな事をする必要がない。
21: 以下、
男「お前は新型ウイルスか?! また裸にしてやるっ!」
ゆう「ええっ、二回戦ってやつですか?!」アセアセ
リンクを接続すると、またさっきの洋服姿に変わった。
背景は教室ではなくて、アングルは違うがトップ画面の女の子らしい部屋だ。
男「ほら、脱げ脱げえ!」
ゆう「ひえぇぇっ……。男さん、激しすぎますぅ//」
・・・
・・・・・・
25: 以下、
〜部屋・翌朝〜
ブブブ、ブブブ……
ゆう「ひゃうっ// えっ、ええっ?!」ブルブル
男「……もう朝か」
ゆう「男さん、バイブを止めてくださいぃ//」ビクンッ
男「おはよう。まさか、朝からエッチなお誘い?!」
ゆう「そ、そんなつもりは……バイブを……ぅんっ//」
26: 以下、
男「ゆうちゃん、バイブ機能で感じるんだ」ニヤニヤ
ゆう「……だって、リンクを接続……したままじゃないですか……」ハァハァ
ゆうはパジャマに着替えたらしく、今はベッドの上で悶えている。
何だか可愛い。
男「ここを触るとどうなるのかな〜」クリクリ
ゆう「あうぅぅっ、だめぇ……いっちゃうぅっ」ビクビクッ
27: 以下、
ぽちっ
男「ほら、止めてやったぞ」
ゆう「はあはあ……// 朝からこんなことをしてくるなんて、男さんは本当にエッチですねえ」
男「いやいや、俺は普通に目覚ましをセットしただけだろ」
ゆう「なっ、何だか白々しいです。ちゃんとリンクを切断してくださいよ」ジトー
男「操作をしなかったら、三十分で切断されるって言ってたじゃないか」
ゆう「でもでも、それは仮切断なんです。待機モードで放置プレイをされて、不意打ちされる私の身にもなってほしいです……」グスン
男「待てよ……。バイブの振動で感じるなら、振ったりひっくり返せばどうなるんだ?」
ふりふり
くるっ
ゆう「ふぇっ!?」
28: 以下、
ゆう「お、男さん! 落ちる、また落ちるうっ!」
男「な、何だ?!」
ゆう「うぅっ……」
ゆうが必死な形相になって、ベッドの上で逆立ちをしている。
一体、何をしたいんだ?
そう思ったが、違和感に気が付いた。
パジャマがめくれ落ちて来ないことと、髪の毛が逆立っていないことだ。
まさか、本当に落ちるのか?!
ゆう「もうだめっ――」
29: 以下、
ゆうが手を離した瞬間、ベッドがフレームの下に落ち始めた。
そして、部屋の天井がフレームに入ってくる。
まさか……!
本当に、ゆうが天井に落ちているんだ!
慌てて、スマホを正しい方向に向ける。
ゆう「……きゃうんっ」ポスッ
ゆうはベッドに落ちて、ポスっと跳ねた。
よく分からないが、怪我はなさそうだ。
30: 以下、
ゆう「男さん、死ぬかと思った。怖かったよぉ……」グスン
男「ごめん、もう逆にしないから。というか、死んでいる設定じゃなかったっけ?」
ゆう「ううっ……。いいから、リンクを切断してください」
男「そうだな。着信音が喘ぎ声とか、さすがに困るし……」
リンクを切断すると、パジャマから洋服姿に変わった。
そして、背景はベッドの上から部屋の中央に移動した。
ゆう「ふぅ、今度から気を付けてくださいね」
31: 以下、
ゆうちゃんノリノリや
処女のまま死んだのが心残りだったんかな
32: 以下、
男「じゃあ、俺は朝飯にするから」
ゆう「あの……。その前に、重力センサーをオフにしてくれませんか?」
男「重力センサー?」
ゆう「はい。スマホには重力加度を感知するパーツがあって、それが私に影響しているみたいなんです」
男「それで天井に落ちそうになったのか。そんな機能、要らないだろ……」
ゆう「ですよねえ。初期設定がオンって、きっと嫌がらせですよ」プンスカ
33: 以下、
俺は拗ねているゆうを見つつ、メニュー画面を開いた。
『重力の設定』というアイコンがあり、その設定が『同期』になっている。
それをタップして、設定を『オフ』にした。
重力設定はそれだけではなく、背景に対しても『直接入力』が出来るらしい。
ますます、エロアプリには要らない機能だな。
ゆう「これで、もう落ちませんね♪」ルンルン
男「そういう細かい設定があるなら、ちゃんと最初に説明しろよ」
ゆう「はわわ、すみません。男さんが初めての人だから……」シュン
男「い、いや、俺も言い過ぎたかも。ゆうちゃんに怪我がないようで良かったよ」
ゆう「えへへ、ありがとうございます//」
35: 以下、
〜学校・お昼休み〜
ゆう『ここが、男さんが通っている学校なんですね。ちゃんと授業は聞いていましたか?』
男『当たり前だろ――』
午前中の授業が終わり、ゆうが暇そうにしていると思って話をすることにした。
周りにクラスメートもいるので、今は文字入力のマナーモードで会話をしている。
ゆう『男さんのことだから、授業中もエッチな妄想ばかりしているのかと思いました』
男『お前は、俺を何だと思っているんだよ』
ゆう『てっきり、そういうことしか頭にない人かと』クスクス
男『一応、成績は良いほうなんだからな』
ゆう『そうなんですか? では、そういうことにしておきますね♪』フフッ
36: 以下、
友「おう、男。スマホを眺めて、何にやにやしてるんだ?」
ゆうと話をしていると、友が声を掛けてきた。
こいつは勝手にエロアプリをDLするようなヤツだが、困ったときには頼りになる友人だ。
男「そういえば、お前に聞きたいことがあったんだっけ」
友「何だよ、聞きたいことって」
男「昨日、俺のスマホにアプリをDLしなかったか?」
友「んなこと、するわけないだろ。この前、すごく怒ってたじゃないか」
男「そうか。まあ、それならいいんだ」
そう言うと、友が前の席に座った。
どうやら、居座るつもりらしい。
友「いやいや、俺を疑うってことはエロアプリなんだろ。どんなやつか、見せてくれよ」
37: 以下、
男「仕方ないなあ。これなんだけど……」
そう言って、スマホを机の上に置いた。
すると、ゆうは困ったような表情を見せた。
友「おっ、可愛いじゃん」
ゆう『あの……、男さんのお友達ですよね?』
男『ああ、友って言うんだ』
ゆう『友さん、はじめまして。ゆうです』ペコッ
友「……! まさか、見えているのか?」
男「カメラで前後が見えているようだ。今はマナーモードだけど、ライブチャットみたいに会話も出来るぞ」
38: 以下、
友「最新機種は凄いんだな……。エロアプリってことは、そういう機能もあるんだろ?」
男「じゃあ、少しやってみるか」
友「おお、頼むっ!」
メニュー画面を開き、リンクを接続した。
すると、ゆうの服が学生服に変わり、背景が学校の教室になった。
友「んっ? 場面が変わったけど……」
男「そういうムード作りなんだと思う」
39: 以下、
ゆう『ちょっ、まさか学校でするつもりですか?!』アセアセ
友「ゆうちゃんが困ってるぞ」ニヤニヤ
男『大丈夫、少しだけだから』
ゆう『少しだけって……はわわ// こ、これって3Pじゃないですかぁっ! しかも、学校の教室で?!』
友「教室エッチは男のロマンだ」
男『教室エッチは男のロマンなんだ』
ゆう『ううっ、男さんのお願いなら我慢します……』
俺は、ポケットからタッチペンを取り出した。
これを使えば、指では出来ないソフトタッチが可能になるのだっ!
40: 以下、
男「よし、まずはブラウスから脱がせよう」
上半身をズームし、タップでボタンを外していく。
そして胸元をはだけさせ、ブラウスをするりと脱がせる。
あっという間に、ゆうはキャミソール姿になった。
ゆう『ううっ、恥ずかしいです。しかも、昨日より上手になってますよ!』
男『ゆうちゃんを喜ばせてあげようと、イメトレしてたんだ』
41: 以下、
ゆう『やっぱり、授業そっちのけでエッチな妄想をしてたんじゃないですかぁ』ジトー
男「ははっ」
友「おい、俺にもさせてくれよ」
男「そうだな。じゃあ、キャミソールは任せた!」
友「おうっ!」
タッチペンを渡し、スマホの向きを変える。
そして、友はゆうに両手を上げさせた。
ゆう『きゃんっ……//』
42: 以下、
友「このキャミを脱がせれば、たわわなおっぱいが……」
ゆう『んくっ……、優しくお願いします。縫い目が破れるかも――』
友「ごめん、こんな感じで……」
するすると、キャミソールがめくれ上がっていく。
その下には、水色のブラジャーを着けていた。
友『良いよな?』
ゆう『……優しくしてくれるなら、良い……ですよ』
友はブラジャーの肩紐をずらし、カップ部分にタッチした。
ペン先を動かすと、ブラジャーも一緒にずれ下がる。
そして、カップ部分に乗り上げる様にして、ゆうのおっぱいが露わになった。
さらに、友は乳首を責める。
43: 以下、
ゆう『あぅんっ……、それ…だめぇ……』
男「友、俺は下着を脱がせる」
友「分かった。エロい感じで頼む!」
ゆう『ぅんっ……、二人掛かりだなんて//』
俺はスカートをゆうに捲らせ、ショーツをひざ上まで下ろした。
半脱ぎのブラジャーから見えるおっぱいと、捲り上げたスカートとショーツが醸し出す絶対領域。
やっぱり、チラリズムがエロの基本だろう!
男「友、俺はこんな感じがエロいと思うんだけど」
友「いやいや、パンツは片足に残すくらいで……」
ゆう『…』
ゆう『……』
ゆう『……な、何なんですか?! さっきから、恥ずかしいポーズばっかり取らせないでくださいよぉ//』
44: 以下、
友「このアプリ、ゆうちゃんと普通に会話が出来るんだよな」
男「出来るけど、さすがに声を出すとまずいだろ」
友「……だよなあ。何とかして、声を聞きたいけど」
そう話しつつ、ふと思った。
俺たち、もう思いっきり喋ってるじゃないか!
女友「ねえねえ。二人とも、さっきから何してるの?」チラッ
友「んなっ、女友! お前、いつの間に――」
45: 以下、
女友「……! ふ、ふうん。教室でエッチなゲームをしてるんだ//」
女友が蔑む視線を向けてきた。
彼女は幼馴染で、俺たちとは付き合いが長い。
ゆう『え、えっと……。男さん、どうしましょうか?』アセアセ
男「ごめん、切断する」ポチッ
リンクを切断すると、着エロ姿から洋服姿に戻った。
というか、女友にエロアプリを見られたこの状況。
どう切り抜けよう――。
50: 以下、
女友「はあ……。こんなゲームばっかりしてるから、二人とも彼女が出来ないのよ」
友「女友こそ、彼氏がいたことないだろ。せっかく、いい所だったのに」
女友「わ、私のことは関係ないでしょ。お楽しみのところ、残念でしたねえ」プイッ
友のせいで、少し機嫌を損ねてしまったようだ。
こういうときは、やり過ごすしかない。
女友「ところで、男。そのアプリ、ちょっと気になるんだけど」
男「気になるって、女友も実は一緒にしたい……とか?」
女友「そんな訳ないでしょ! 私が気になるのは、その女の子よ」
51: 以下、
男「ゆうちゃんが気になる?」
女友「ちょっとね……」
そう言われ、ゆうを見た。
しかし、何が気になるのか分からない。
もしかして、女友は霊感が強いのか?!
ゆう『あの……。私のことで、何を話しているんですか?』
ゆう『音声入力だけでも、オンにしてもらえないでしょうか』
そうだな。
それくらいならいいだろう。
マイクを有効にして、スマホを女友に手渡した。
すると女友は、まじまじとゆうを見つめながら言った。
女友「やっぱり! この子、女さんだ!」
52: 以下、
男「女さん?」
女友「同じ塾に通っている友達なんだけどね、すごくそっくりなの」
スマホを受け取り、ゆうを見る。
ゆうに似ているなら、女さんは俺好みの容姿だ。
男「ふと思ったんだけど、ゆうのフルネームは何て言うの?」
ゆう『フルネームは思い出せないけど、名前はゆうです』
男「フルネームは思い出せないのか。じゃあ、何とも言えないな」
いや、待てよ。
ゆうはエロアプリのキャラクターなのだ。
死んでいる設定だから、幽霊の『ゆう』なのかもしれない。
だとしたら、名前を考えることはナンセンスだ。
53: 以下、
友「ゆうちゃんの名前が『ゆう』だとしても、女さんと似ているのは確かだよな……」
女友「そうでしょ」
男「友も女さんを知っているのか?」
友「女友と塾が一緒だし、少しだけ話をしたことがあるくらいだけどな。試しに声を聞かせてくれよ」
話し声は、もう今さらか……。
どうせ周りからは、ライブチャットをしているようにしか見えないだろう。
そう思い、マナーモードを解除した。
ゆうが困惑した表情で、俺を見る。
そして、友と女友に話しかけた。
ゆう「えっと、その……私はゆうです」
54: 以下、
女友「うそでしょ……」
友「決まりだな。ゆうちゃんは女さんだ」
ゆう「そんなことを言われても、私は女さんを知りませんし……」
男「容姿だけではなくて、声も似ているのか――」
ゆう「でも世の中には、そっくりな人が三人いると言いますよね」
女友「ふと思ったんだけど、このアプリは本当にゲームなの?」
男「着エロを見て、自分でそう言ってたじゃないか」
女友「でもこれ、普通にコミュニケーションを取れているみたいなんだけど……」
55: 以下、
ゆう「だって、私は生きてますから♪」
男「おいおい、死んでいる設定じゃなかったのかよ」
ゆう「も、もちろん死んでいます」アセアセ
女友「死んでいる?!」
ゆう「はい。死神に連れて行かれたのですけど、私だけ途中で落ちてしまったんです。そうしたら魂がスマホに混ざって、エッチなアプリになっていたんです」
友「とんでも設定だな」
ゆう「飛んでいません。私はそのまま落ちました……」ショボン
56: 以下、
男「一つ聞きたいんだけど、女さんは亡くなっているのか?」
女友「まさか。そんな訳ないじゃない」
男「女さんが元気なら、どういうことだろ」
友「そんなの単純な話じゃないか。女さんがそういうバイトをしていて、エロアプリのモデルになっているだけだろ」
男「なるほどな。そういうことか」
女友「でもそれって、ショックだな……」
ゆう「誰が何と言おうと、私は私です。女さんのことは知りませんけど、証拠もなく貶めるのは良くないと思います」
女友「そう……だよね。ゆうさん、ありがとう」
女友は笑みを返した。
ゆうは人を注意することも出来るらしい。
俺は何だか、ゆうの良い一面を見た気がした。
57: 以下、
友「それにしても、女さんにエロいことをしたかと思うと、うらやましいぞ!」
男「そんなにそっくりなら、俺も女さんに会ってみたいな」
女友「はあっ? 不純な動機が見え見えなのに、紹介できるわけないでしょ!」
男「うぐっ……」
ゆう「あのっ、私も会ってみたいです」
女友「ゆうさんには会わせてみたいけど、アダルトなアプリだしねえ。男が会うってことでもあるから、少し難しいかな」
ゆう「男さんが私にエッチなことばっかりするから、私まで会わせてもらえないじゃないですかぁ」プンスカ
男「エッチなことって、ゆうはそういうアプリだろ」
ゆう「はわわ// そうでした!」
58: 以下、
女友「ねえ、ゆうさん。嫌なら、我慢せずに断ったほうが良いんじゃないの?」
ゆう「……いえ。男さんがたくさん射精してくれるように、もっと頑張りたいです// 心配してくれて、ありがとうございます」テヘッ
女友「しゃせ……いって// う、うん……そうだよね」カアッ//
友「もしや、お前はリア充なのか?!」
男「いやいや、アプリだから」アセアセ
ゆうに羞恥心という概念はないのか?!
ないのか……。
ゆう「男さん、もうすぐ1時ですよ。次の授業が始まります」
男「そ、そうだな……」
女友「ねえ、男。ゆうさんが嫌がることをしたら、許さないからね!」プイッ
59: 以下、
女友はそう言い残し、席に戻っていった。
エロアプリが見つかった危機は、何事もなく解決できたようだ。
男「それにしても、女さんか。会ってみたいけど、残念だな……」
友「男、安心しろ。俺が何とか取り持ってみるよ」
男「マジか?!」
友「俺とは日程が少し違うんだけど、来週には何とかしてみるから」
男「分かった」
ゆう「もし会えるなら、私も話をしてみたいです♪」
友「ゆうちゃんのおっぱい代も払わないといけないし、今しばらく待っていてくれ」キリッ
ゆう「お、おっぱい代?! じゃあ、待ってますね」
62: 以下、
〜放課後・帰り道〜
ゆう『学校は楽しかったです。二人とも、良い人でしたね』
男『あいつらとは、長い付き合いだしな。楽しかったなら、また話してみるか?』
ゆう『ぜひ、お願いします!』
男『ゆうちゃんに似ている女さんにも、一度会ってみたいよな』
ゆう『そうですね。ところで、お昼休みの時みたいに、ゆうと呼んでほしいです。そのほうが、親近感がわきます//』
男『ゆうがそう言うなら――』
ゆう『ちなみに、歩きスマホは危ないですよ。文字入力しながらは、もっと最悪です』メッ!
男『大丈夫大丈夫。毎日、歩いている道だし』
家から学校まで、電車と徒歩で約三十分。
人通りは少ないし、今までぶつかったことはない。
ゆう『そういう問題じゃないと思うんだけど……』ハァ
63: 以下、
ゆう『あっ、男さん。あそこにネコさんがいます!』
男「ネコ?」
ゆうが指差す方向を見ると、一匹のネコがいた。
不思議そうな顔つきで、スマホを見詰めている。
ゆう『こっちを見てますね。かわいい//』
男『ネコ好きなの?』
ゆう『はいっ。かわいいじゃないですかぁ♪』
男『だったら、写真を撮ってやるよ。画像データの参照を出来るんだろ?』
ゆう『ぜひ、お願いしますっ!』
64: 以下、
男「ネコ、逃げるなよ」
スマホをカメラモードに切り替えて、ネコにレンズを向けた。
男「にゃ〜!」
鳴き真似で気を引いて、そろりそろりと近づく。
何だこいつと思われたのか、ネコと目が合った。
これ以上近づくと、逃げられるかもしれない。
ネコ「にゃぁ〜」
男「よし、シャッターチャンス!」パシャリ
ゆう『男さん、ありがとうございます! ネコ、かわゆすぅ//』
画像を参照しているのか、ゆうが満面の笑みを浮かべた。
俺はそれを見て、もっと喜ばせてあげたいなと思った。
65: 以下、
男『今度、一緒に動物園に行かないか?』
ゆう『えっ、良いんですか?!』
男『ネコが好きなら、楽しいかなと思って』
ゆう『すごくうれしいです!』
男『それに死んだという話が本当なら、生きていたときの記憶を思い出すかもしれないしな』
ゆうが本当に幽霊なら、何をすれば喜んでくれるだろうか。
それで思い付いたのが、生前の記憶探しだった。
66: 以下、
ゆう『生きていたときの記憶?』キョトン
男『人の記憶っていうのは、味だったり音楽だったり、ふとしたきっかけで思い出すものなんだ』
男『動物が好きなら、動物園で何か思い出すかもしれない』
そう言うと、ゆうの表情が陰った。
ゆう『それはどうでしょうか……』
ゆう『人の記憶は脳に保存されます。だけど私は、魂だけしかありません。思い出せる記憶は何もないのです』
67: 以下、
男『じゃあ今、どうやって記憶したり考えたりしているんだ?』
ゆう『……? 言われてみればそうですね』
男『もしかしたら、スマホに記憶しているのかも』
そう思い確認してみたが、スマホのデータ容量は殆ど使用されていなかった。
つまり、ゆうの主な情報は外部にあることになる。
しかし、ゆうは常駐アプリなので、常に外部サーバと通信しているとは考えにくい。
そうなると、やはりスマホに全てのデータがあることになってしまう。
まさか、本当に魂があるのか?!
思わぬ形で、ゆうが幽霊であることを証明することになってしまった。
68: 以下、
ゆう『何か分かったのですか?』
男『オカルトな話で良ければ話すけど』
ゆう『オカルト……ですか。お願いします』
男『ゆうは幽霊だから、魂に記憶が刻まれているのだと思う』
ゆう『脳ではなくて、魂に?』
男『そうとしか考えられない。だからゆうは、こんなにも人間らしいんじゃないかな』
ゆう『人間らしい、か。それは当然です、私は人間でしたから』
ゆう『でもね、私はこの若さで死んだのです。もしかすると、つらいことがあったのかもしれません』
男『そのときは、俺がゆうを慰めてやるよ。ゆうが成仏できるように』
ゆう『何だか、頼もしいです// 動物園、楽しみにしておきますね』
69: 以下、
男『ところで、ゆうは俺と同い年くらいだろ。どんな女性だったんだろうな』
ゆう『……分かりません』
男『でも、エッチな女性だったのは間違いないよな』
ゆう『ええぇっ! この流れで、そんな話になるんですか?!』
男『だって、ゆうの魂は今、エロアプリじゃないか。よほど、好きだったんじゃないのか?』
ゆう『そそ、そんなことないですっ!』
男『どうだかなあ。性格が魂に影響したなら、そういうことになるだろ』
ゆう『私はアプリだから、システム的に逆らえないだけです。べ、別にエッチが好きな女性ではありません!』
男『それじゃあ、今夜からエロ動画で抜くしかないな』
ゆう『……えっ。今夜はじゃなくて、今夜から――なんですか?!』アセアセ
71: 以下、
男『やっぱり、ゆうはエッチが好きなんじゃないか』
ゆう『んなっ// それはその……』
男『それはその?』ニヤニヤ
ゆう『私、友さんに胸を触られて分かりました。私は、男さんじゃないと嫌なんです』
ゆう『だから、男さんのアプリになったのかもしれません。私は、男さんとエッチをするのが好きなんです』
男『俺とエッチがしたくて、俺に取り憑いたのか?!』
ゆう『取り憑いただなんて、照れてしまいます//』ポッ
男『好意はうれしいけど、幽霊が取り憑くのはイメージ悪いよなぁ』
ゆう『そ、そうですよね……』ショボン
ゆう『でも生きていたときの私は、そんな女性だっただろうと思います』
72: 以下、
男『そんなことを言われても、ゆうに該当する女性はいないんだよな……』
ゆう『どうしてですか?』
言わないと分からないのか。
というか、言わせたいのか?!
男『俺のことを好きだと言ってくれるのが、ゆうだけだからだ』
ゆう『男さんの身近な女性が、最近亡くなりませんでしたか?』
男『これ以上は聞いてくれるな……』グスン
ゆう『あらあら――。それじゃあ、私にもチャンスありですね//』ヤッタネ!
男『そういうことだし、今夜も楽しみにしてるから』
ゆう『はい♪ 男さんに、気持ちよく射精してもらいたいです//』
ゆうは幽霊であると同時に、エロアプリだ。
使ってあげたほうが、喜んでくれるのは間違いない。
こうして、夜の充実生活が始まった――。
74: 以下、
〜学校・お昼休み〜
女さんに会わせてもらう約束をして、10日が過ぎた。
さすがに気になってきたので、俺は友の席に向かった。
男「友、あれから結構経つけど、女さんの話はどうなった?」
友「ああ、その話か。ちょっと難しいかもしれない」
男「難しい?」
友「実は、女さんがずっと休んでいるみたいなんだ……」
友は気まずそうに言った。
女さんが塾に行っていないなら、どうしようもない。
男「もしかして、具合が悪いとか?」
友「それは知らないけど、俺より女友に頼むほうが早いかもな……」
女友には、一度断られている。
興味はあるけど、会うことはないのかもしれない。
75: 以下、
友「ところで、ゆうちゃんは?」
男「今は学校だし、マナーモードにしてる」ポチッ
俺はアプリを起動し、スマホスタンドに立て掛けた。
これさえあれば、万全の態勢でチャットが出来る。
ゆう「友さん、こんにちは」
友「こんにちは。さっき男に話したんだけど、女さんに会わせる約束は難しそうだ」
ゆう「体調が悪いなら、仕方ないですよね……」
友「ごめん。そういうことだから、おっぱい代は出世払いにしとくよ」
ゆう「ななっ! 触るだけ触って、払わないなんてサイテーですよっ」プンスカ
友「いいなあ、萌えるわぁ」
男「本当にサイテーだな、お前……」
76: 以下、
女友「ゆうさん、こんにちは。女さんがどうかしたの?」
女さんの話をしていると、女友がやってきた。
椅子を寄せて、三人でゆうと向かい合う。
正直、ちょっと狭い。
ゆう「こんにちは。女さんが塾を休んでいると聞いて、みんなで心配していたんです」
女友「確かに心配だけど、どうして二人が気にするのよ」
男「女さんに会えないか、友に頼んでて……それで」
女友「ふうん……。詳しいことは知らないんだけど、何かあったらしくて悩んでいるみたいなの」
77: 以下、
男「……悩み事?」
女友「うん。今度の日曜日に買い物に行こうって約束出来たから、そのときにでも相談に乗ってあげたいなって思ってる」
男「何だか、俺が会えそうな雰囲気じゃないな……」
女友「当たり前でしょ。バイトの事も関係あるかもしれないし、何か分かったら教えてあげるわね」
女さんがしているかもしれない、風俗系のバイト。
それは、ゆうが幽霊であることを否定する、反証にもなりうるものだ。
ゆう「女さん、元気になるといいですね」
友「そうだな。女友と買い物に行けば、気分も晴れるさ。ポジティブに行こうぜ」
男「それもそうだな」
78: 以下、
友「ところでさあ、ゆうちゃんが死んだ原因は考えているのか?」
男「どうしたんだよ、唐突に――」
友「ゆうちゃんは、死神から逃げ出してきたんだろ。それが本当なら、ゆうちゃんのことを探していると思うんだ」
男「確かに……」
ゆう「逃げ出したのではなくて、私だけ落ちてしまったんです」
友「だとしても、死神はゆうちゃんを探しているはずだろ」
ゆう「そう……ですね」
友「でも実際には、まだ捕まっていない。つまり俺は、死神が待ってくれているんじゃないかと思うんだ」
男「待ってくれている?」
友「だって、そうでないと説明が付かないだろ。死神なのに幽霊を見つけられない、なんて事はないだろうし」
80: 以下、
ゆう「待ってくれているなら、何のためでしょうか?」
友「そこで、ゆうちゃんの死因が関係してくるんだ」
女友「きっと、想いを遂げるのを待ってくれているのかも。未練があるから、死後の世界に入れなかったんでしょ?」
ゆう「未練ですか? 容赦なく連れて行かれたので、あまり関係ないと思います」
友「という事は……。まさか、本当に見つけられない……のか?」
男「それは分からないけど、時間があるなら、ゆうの未練を遂げさせてあげたいよな」
女友「ゆうさんには、何かやり残した未練はないの?」
ゆう「私は、男さんが私でオナニーしてくれれば幸せです//」
女友「そ、そうだよね……。ゆうさんは、そういうアプリだもんね//」
81: 以下、
女友「じゃあ、ゆうさんは幸せだから、やり残した未練はないのね//」
ゆう「今のところは……」
女友「でも聞く限りだと、男のことが好きなのに死んでしまったことが、ゆうさんにとって未練になっていると思うの」
ゆう「それも考えたことがあるんですけど、違うみたいなんです」
女友「だよね〜」
男「おい、納得するの早すぎ!」
女友「だって、男には彼女がいないでしょ。片思いの噂も聞いたことないし」
男「ぐぬぬ……」
ゆう「謎ですよね。ライバルがいないのは嬉しいけど」
82: 以下、
友「とりあえず、男はゆうちゃんと仲良くしてればいいよ。なあ、女友」
女友「そうそう。それが、ゆうさんの未練だしね」
ゆう「そういうことなので、男さん。また今夜もお願いしますね//」ルンルン
女友「えっ、また今夜も……なの?! ふ、ふうん……そんなにするものなんだ」カアッ//
男「ま、まあな……。なあ、友……」アセアセ
友「お、おう! 俺には分かるぜ、同志よ!」ビシッ
女友「はあ……。男子って、本当に毎日そういうことをするんだ。何だか、幻滅しちゃうな……」
83: 以下、
ゆう「女友さん。若い男性の中には、自己嫌悪で悩んでしまう人もいるんです」
女友「……そうなの?」
ゆう「はい。性的なことは悪いことだと思って、思春期の身体の変化に困惑したり、他人と比較して劣等感を感じてしまったり――」
ゆう「それなのに欲求が募ってしまうから、一人で射精をした後に悩んでしまうんです」
おいおい。
何か知らないが、急に語りだしたぞ。
エロアプリとして、変なスイッチが入ったのかもしれない。
84: 以下、
ゆう「だから、男さんみたいに健全な気持ちでオナニーを楽しめる人は、自分を大切にしている素敵な人だと思います」
ゆう「自分を大切に出来ない人は、誰かを大切にすることは出来ません」
女友「要するに、健全な気持ちで楽しんでいる男子は、みんなを大切に出来るって言いたいの?」
ゆう「私はそう思います。男性として自然なことだし、性差を想い合える女性のほうが素敵だと思いますよ//」
女友「ゆ、ゆうさんがそう言うなら……」
85: 以下、
友「女友、少し二人で話したいことがあるんだけど良いかな」
女友「ええっ?! この流れで言われたら、下心しか感じないんだけど……」
友「いやいや、普通の話だから」
女友「本当かなぁ……。じゃあ、向こうで話しましょうか」
友「そうだな」
女友「ゆうさん。さっきの話、ありがとう。また、おしゃべりしましょうね」ニコッ
ゆう「はいっ♪」
86: 以下、
ゆう「あの二人、どんな話があるんでしょうね」
男「気になるのか?」
ゆう「ほら、内緒話って気になるじゃないですか〜」チラチラ
男「多分、ゆうの話だと思う」
ゆう「わわ、私の話ですか?!」
男「二人とも、ゆうのことを色々考えてくれているんだ。それなりに、感謝しないといけないな」
ゆう「はい。何でしょうね、私が死んだ原因と未練は……」ハァ
88: 以下、
〜部屋・日曜日〜
ブブブ、ブブブ……。
ゆう「男さん、朝ですよ〜♪」
男「うう、休日くらいゆっくり寝かせろよ」ぽちっ
ゆう「でも今日は、動物園に行く日です」
男「そうだけど、まだ早いだろ」zzz
ゆう「まだ早いって、この時間にセットしたのは男さんじゃないですかっ」プンスカ
男「そう、そのツッコミを聞きたくて早めにしたんだ」
ゆう「えっと……、なんでやねん!」ビシッ
89: 以下、
〜リビング〜
母「おはよう。今日は休みなのに早いわねえ」
男「……おはよう。ちょっと、動物園に行こうかと思って」
母「動物園って、女友ちゃんとデートに行くの?」ニヤニヤ
男「いや、それはない」
母「もしかして……ここ最近、部屋でよく話をしている女の子?」
その言葉に驚いた。
まさか気付かれていたとは――。
母「やっぱり、そうなんだ……」ハァ
92: 以下、
母「リビングにいたら、ときどき声が聞こえるのよね。何て言うのかな、アダルトチャット?」
男「ま、まあ……、それに近いことはしてるかも」
ゆうが来て、今日で14日。
何も言われないから、完全に油断していた。
母「あのね。アダルトサイトを見るのは良いけど、そういう場所で知り合った女性に会うのは、絶対に認めないから!」
男「いやいや、そんな人と絶対に会うわけないし」
母「でも、その女の子と行くんでしょ?」
はあ……。
母さんから解放されるには、もう見せたほうが手っ取り早いかもしれないな。
俺は仕方なく、アプリを見せることにした。
93: 以下、
男「今さら、見られて困るようなものじゃないけど――」
ゆう「は、はじめまして。私は、ゆうと申します」アセアセ
母「……」
ゆう「あ、あの、男さん。ついに私を、お母さまに紹介するという流れでしょうか?!」ドキドキ
男「そ、そんな感じかな」
ゆう「お母さま、いつも男さんに可愛がってもらっております。ふつつかものですが、よろしくお願いいたします!」ミツユビ
母「……?!」
母「ちょっと、男。何なの、このくすぐったい挨拶は!」
男「いや、俺に言われても困るんだけど……」
94: 以下、
母「とりあえず、この子がチャットの相手なのは分かったわ。でも、本当にゲームなの?」
男「昔、恋愛ゲームが社会現象になっただろ」
母「そういえば、聞いたことがあるわね……」
男「まあ、それとは違うんだけど――」ポチッ
リンクを接続すると、ゆうはパジャマ姿になった。
ベッドの上で上体を起こしていて、早朝らしい寝起きのシチュエーションだ。
95: 以下、
ゆう「い、今からするんですか?!」
男「……」
ゆう「もしかして、私は今、ベッドの下に隠していたエッチな本が見つかった的な状況なんでしょうか?!」アセアセ
新妻気取りだったけど、ようやく自分の立場に気付いたか。
一人でテンパっている姿が、何だか面白い。
ゆう「あのっ、お母さま! 私は男さんが好きだし、私でオナニーしてくれるとすごくうれしいんです。だから、一緒にいさせてほしいです!」ペコリ
母「おな、にい……」ジトー
ゆう「……!? きゃあぁぁっ、お母さまに口が滑ったぁっ!!」パニクリ
男「俺にどうしろと……」
96: 以下、
母「……ねえ、男。この子、突拍子がなくて面白すぎるんだけど!」ケラケラ
ゆう「そ、そうですか?!」
母「隠していたエッチな本が見つかったとき、そんな気持ちになるんだ。でもね、削除するか決めるのは私だから♪」ニコッ
ゆう「あわわ……、その笑顔が怖いです」
男「無駄話は良いから、ゲームだと分かれば良いんだろ」
そう言って、ゆうのパジャマを脱がした。
そして、腕をぶんぶん振り回す。
ゆう「ひえぇぇっ……、やめてくださいぃぃっ//」グルングルン
男「これで、ゲームだって分かっただろ?」ポチッ
母「最近はこんなアダルトアプリがあるのね。ちょっと、私にもさせてみなさいよ」ニヤニヤ
男「いやいやいや。さっさと話を終わらせて、遊びに行きたいし。早起きした意味がないじゃん」
母「むむ、それもそうね……」
97: 以下、
ゆう「そ…それで、私はどうなるのでしょうか?」オドオド
母「それなんだけど、アダルトサイトの月額料金によっては、退会・削除してもらうから」
男「それなら大丈夫。無料アプリなのは確認してあるし」
母「ふうん……。まあ、そういうことなら好きにすればいいわ」
ゆう「じゃあ、私はお母さま公認のアダルトアプリということですね//」ヤッタネ!
母「そう言われると、微妙な気持ちになるんだけど……」
母「男、フィルタリングの設定は確認しておくけど、有害アプリには気を付けなさいよね」
男「分かった。じゃあ、もう良いよな」
母「……別に良いわよ」ハァ
男「夕方には帰ってくるから」ガチャリ
98: 以下、
〜外〜
ゆう「いや〜、一時はどうなるかと思いましたねえ」
男「ゆうが余計なことを言うからだろ……」
ゆう「すみません。でも、お母さま公認になれたし、今まで以上に頑張りますね//」テヘッ
男「じゃあ、楽しみにしてるから。だけど、母さんがリビングにいるときは、気を付けないといけないな」
ゆう「そうですよね。思い返すと恥ずかしいです……」カアッ//
男「まあ、過ぎたことは考えても仕方ないし……。気を取り直して、動物園に行こうか」
ゆう「そうですね。動物園に行きましょう!」
99: 以下、
男「でもせっかく遊びに行くんだし、服を着替えなくて良いの?」
ゆう「それはその……、着替えは出来ないんです」シュン
ゆうは、いつも同じ服を着ている。
リンクを接続すると着替えられるが、さっきみたいにアダルト機能に傾倒してしまい、日常会話に制限がついてしまう。
男「ごめん。幽霊だし、そういうものだよな。死んだときに着ていた服?」
ゆう「……それは分かりません。だけど私は、この洋服が一番好きなんです♪」
男「そうなんだ。それじゃあ、マナーモードにするから」
ゆう『はいっ』
104: 以下、
〜動物園〜
ゆう『休日の動物園は、家族連れやカップルが多いですね〜』
男『スマホ片手に歩いているのは、俺だけか……』キョロキョロ
ゆう『いえいえ、私たちもデートじゃないですか♪』ルンルン
男『そうだよな。ゆうとデートだよな』
ゆう『はいっ♪ でも、歩きスマホは危険なので止めてください。バッテリーも心配です』
男『分かった。撮影ポイントになったら見せてあげるよ』
ゆう『お願いします』
105: 以下、
まずは、サファリコーナーに行こう。
そこのキリンが今、話題になっているのだ。
動物園の人気者といえば、やはり赤ちゃんだ。
つい最近、キリンの赤ちゃんが産まれたことが、ここの目玉でもある。
男「アングルはこの辺かな」
男『ゆう、見える?』
ゆう『この動物はキリンさんですね! 首が長くて、フレームに収まりきらないです』
男『でも、あのキリンなら大丈夫だと思う』
ゆう『あっ、この子は小さいですね』
男『まだ生まれたばかりの、赤ちゃんキリンだからな』
ゆう『そういえば、キリンさんの赤ちゃんが産まれたんですよね。ここのHPを見ると、成長日記が更新されています』
男『ゆうはネットも使えるのか……』
ゆう『はい。赤ちゃんキリン、かわいいです//』
106: 以下、
ゆう『キリンさんの赤ちゃん……か』
男『お母さんに付いて歩く姿が、かわいいよな』
ゆう『はい。私はもう死んでしまったので、新しい生命って応援してあげたくなります』ファイト!
男『応援か……。ゆうらしいな』
ゆう『天国に行けたら、私も生まれ変われるのかなあ』
男『そのための記憶探しでもあるし、ゆっくり楽しもうよ』
ゆう『そうですね。人が増えてきたし、移動しましょう』
男『じゃあ、先にあの建物に行ってみようか』
107: 以下、
ゆう『きゃあぁっ! 世界のネコ展ですって//』
男『今月15日までの特設コーナーだってさ。間に合って良かったね』
ゆう『はうぅ// ネコかわゆすぅ!』
男『見てみて、あのネコ』サッ
ゆう『クロアシネコ? 何あれ、ちっさかわいぃ//』
解説には、絶滅危惧種と書いてある。
世界一小さい猫で、足が黒いからクロアシネコらしい。
男『日本で見られるのは奇跡かも』
ゆう『絶滅危惧種なんだ。こんなに可愛いのに、いなくなったら寂しいよね……』
男『そうだよな』
ゆう『……! カメラを左に動かしてっ。何かいるっ!』
ゆう『しっぽがモコモコで可愛い〜//』
ゆう『あの子、こっち見てるぅ//』キャッキャッ
108: 以下、
ぬこ展行きたいお
109: 以下、
ゆう『世界のネコ展、癒やされました〜//』
男(スマホを向けるのが大変で、俺は疲れたよ――)
ゆう『次は、どの動物に会いましょうか?』
男『じゃあ、次はライオンを見に行こうか』
ゆう『また、にゃ〜ですね! 百獣の王の貫禄を見せてもらいましょう♪』ルンルン
男『にゃ〜って時点で、貫禄がないし……』
ライオン「――」チラリ
ゆう『おおっ! どっしり構えてますね。あれは獲物を狙う目ですよ、きっと』
男『獲物か……。そういえば、お腹が空いてきたな』
ゆう『ええっ! もしかして、ライオンさんを狙っているんですか?!』
男『そんな訳ないだろ。ネコ展にずっと居たから、もうお昼だし』
ゆう『あれっ、もうそんな時間なんですか? じゃあ、昼食にしてきてください』
110: 以下、
・・・
・・・・・・
ゆう『今日は楽しかったです♪』
男『俺も楽しかったよ。世界のネコ展が、やっぱりヒットだよな』
ゆう『はいっ! 仲良くじゃれあう姿が、すっごくキュートでした//』
男『ネコ画像も保存したし、いつでも参照すると良いよ』
ゆう『えへへ、ありがとうございます♪』
男『他に良かったことってない?』
ゆう『そうですねえ。絶滅危惧種の動物や赤ちゃんに出会って、生きるって素敵なことなんだなと思いました』
ゆう『そう思えたのが死んでからだなんて、ちょっと遅いんですけどね……』
ゆう『動物園に来て、本当に良かったです//』
111: 以下、
男『それじゃあ、生前の記憶は何か思い出せた?』
ゆう『記憶と言われると、まったく……』
男『……そうか』
ゆう『すみません。せっかく、連れて来てくれたのに』
男『別にいいよ。ゆうが楽しんでくれたし、俺もそれが嬉しいから』
ゆう『ありがとうございます。男さんと、またデートに行きたいです//』ニコッ
男『ああ、また行こうな』
115: 以下、
ゆう『男さん、動物園の隣に公園がありますよね。そこで休んでいきませんか?』
男『そうみたいだな。ちょっと散歩して行こうか』
木漏れ日を浴びながら、散歩道を上っていく。
やがて、木々に囲まれた広場にたどり着いた。
どうやら、森林公園のようだ。
ゆう『ネットには人気スポットって書いてあったけど、誰もいませんね』キョロキョロ
男『動物園で歩き疲れた後に、家族連れが来るような場所じゃないと思う。だから、こんなものじゃないか?』
ゆう『でもこれなら、音声会話できますよね。文字だとラグがあるし、バッテリーも大丈夫そうだから』
男『そうしようか。ゆうの声、しばらく聞いてないし』
そう思い、マナーモードを解除した。
116: 以下、
ゆう「ねえ、ここでエッチをしませんか?」
男「話せるようにした途端、すぐにお誘いか……。外でするようなことじゃないだろ」
ゆう「でも私は、どうしてもここでしたいんです。お願いします……//」
男「どうしてもここで?」
ゆう「はいっ、どうしてもです。私も動物みたいに、自然を感じながらしてみたいんです//」テレッ
男「青姦ねえ」
ゆう「だめ……ですか?」
117: 以下、
男「……分かった。ゆうを気持ちよくしてあげるよ」
ゆう「……// うれしいっ!」
どうせ人が来ても、スマホをいじっているようにしか見えないだろう。
そう思い、リンクを接続した。
背景が部屋から公園に変わり、ゆうの服がカジュアルな装いに変わる。
それを見て、ふと疑問に思った。
アプリの背景となっている公園が、この森林公園とは違う場所だったからだ。
もしかすると、アダルト機能の背景は、ゆうの記憶と関係しているのかもしれない。
男「ゆうは、ここでどうしたい?」
ゆう「公園でしか出来ないことをしたいです//」
男「じゃあ、ブランコまで歩いていけるかな」
ゆう「あ、あれですね」トテトテ
118: 以下、
男「じゃあ、座らずに跨ってくれる?」
ゆう「……? それで、どうするつもりですか」
ゆうは不思議そうに、ブランコに跨る。
俺はメニュー画面を開いて、重力の設定を『直接入力』にした。
ゆう「わわっ! そんなことをしたら、私、お星様になっちゃいます!」
男「この機能、背景に対して直接入力が出来るだろ」
ゆう「それはそうですけど……」
つまり――。
ブランコの重力だけを反転させることも出来る。
言うなれば、ポルターガイストを引き起こせるのだ!
119: 以下、
ブランコを長押しタップすると、椅子が上方向に落ち始めた。
しかし跨っているので、ゆうに縄が引っかかる。
ゆう「きゃうん……// な、縄が食い込んでっ//」
男「痛くない?」
ゆう「だ、大丈夫。下着くらいで、ちょうど良い刺激だと思う」
男「分かった。じゃあ、一度下ろすからズボンを脱ごうか」
俺はブランコを下ろし、ズボンを脱がせた。
そして下着姿となったゆうに、再びブランコを舞い上げる。
ゆう「きゃふんっ……! あっ、これっ……、これくらいが気持ちいいっ//」
男「そっか。ゆうはブランコが気持ちいいんだ?」
そう言って、ブランコをぐいぐいと引っ張った。
その度に縄が陰部に食い込み、ゆうが嬌声を上げる。
ゆう「ひゃうんっ……、気持ちいいのぉ。あぁっ、ブランコ気持ちいいよぉっ……!」
120: 以下、
ゆう「ああっ、いいよぉ// 縄ブランコ……、ぐいぐい食い込んでるぅっ//」
男「じゃあ、ここの縄を揺らすとどうなるのかなぁ」
ゆう「あんっ……あぁっ。クリクリを弾かないでぇっ……//」
ゆう「……らめぇ……ぃい//」ユサユサ
淫らな声が、森林公園に響く。
俺はゆうのシャツを脱がせて、ピンク色のブラジャーを外した。
そして、溢れ出たおっぱいで縄を挟ませる。
擬似パイズリをさせながら、乳首をさわさわと刺激した。
ゆう「男さん、気持ちいい……。はうんっ……ぁっ、んんっ//」ハァハァ
男「ゆうは公園でこんなことしちゃうんだ」ニヤニヤ
ゆう「お外でこんなことしてる。ゆうはエッチなことしてるの//」
121: 以下、
男「じゃあ、ブランコをバイブにしてあげるよ」ニヤリ
ゆう「……ぇっ?」
ブイィィィンッッ
ゆう「いやあぁぁっ、あぁぁ……らめぇぇ…………」
ゆう「はうぅぅっ……// いぃっ……、もっと、もっとぉっ…………」
スマホのバイブを振動させると、ゆうが悶え始めた。
ゆう「んんんっっ…………はうぁ、いぃっ、いいぃっ!」
おっぱいに挟まれ、外性器に食い込み、会陰部とお尻を通っている縄ブランコ。
それが激しく微振動することで、いくつもの性感帯を刺激し、ゆうを快感に飲み込んでいく。
122: 以下、
ゆう「はうぅぅ……、あふん…あぁ……ああん! だめぇ、らめぇ……っ!」ガクガク
快感に飲まれて足腰が立たなくなり、ゆうはしゃがみ込んだ。
しかし、ブランコとゆうでは重力の方向が違う。
だから自分の体重だけではなく、
ブランコの椅子が加重となって、縄バイブがよりきつく食い込むことになる。
ゆう「あひゃうっ! んぐぅっ……あぁぁっ!」
ゆう「もうだめぇぇ……、ううぅん、ああっ! らめっ……いきそう、いぐぅっっ……」
男「ゆう、ブランコでいっちゃうのか?」
ゆう「イクぅっ! ブランコれ、いっちゃうのぉおっ……」
ゆう「イクうぅぅっ……!」ビクビクッ
123: 以下、
ゆう「はあはあ……//」
ゆう「もうどうにかなっちゃいそう……//」ハァハァ
ゆうが絶頂に達したので、スマホのバイブを切った。
そして重力設定を『オフ』にして、ブランコに座らせてあげた。
男「無駄そうな機能も、考えればいろんな使い方があるもんだな」
ゆう「ブランコ……、すっごく気持ちよかったよ//」ハァハァ
男「ポルターガイストでエッチをしたのは、ゆうくらいじゃないか? 本当にいやらしい幽霊だよな」ニヤニヤ
ゆう「だって、私は男さんとエッチをするのが好きだもん//」エヘッ
男「すごく喘いでいたから、もう俺まで興奮してきたし……」
ゆう「じゃあ、今度は男さんが気持ちよくなってね//」
127: 以下、
男「さすがに、俺は外で出来ないって」
ゆう「ここにいるのは私たちだけだよ。誰も見てないから大丈夫//」
ゆうはそう言うと、ショーツを脱いで手に取った。
そして、大きく広げる。
ゆう「ほら、こんなに濡れちゃいました// お……おまんこもヌルヌルなんですよ//」クチュクチュ
男「いやらしい音が聞こえる……。今日のゆうは大胆だな」ハァハァ
ゆう「この開放感が、そうさせるのかも。だから私が、男さんを射精させてあげたいの//」
確かに人はいない。
ゆうがエロ過ぎて、我慢も出来そうにない。
だったら、早く抜けば見つかることはない……かもしれない。
男「分かった。さくっと抜くことにするか」
ゆう「だったら、私は男さんとセックスしたいです。一緒に気持ちよくなりたいです//」
129: 以下、
男「意味が分からないんだけど」
ゆう「そ、そうだよね……。だけど大丈夫!」
ゆう「スマホのバイブ機能でカメさんを刺激すれば、男さんも一緒に気持ちよくなれるんです//」エッヘン
男「ゆうがそこまで言うなら、今日はそうしてあげるよ……」
ゆう「ふふっ// じゃあ、移動します」
ゆうはそう言うと、脱ぎ捨てた衣服を拾ってシーソーに移動した。
ベルトで地面のタイヤと固定し、腰ほどの高さから衣服を敷いていく。
そして、仰向けに寝そべった。
130: 以下、
ゆう「準備オッケイです//」
男「ブランコの次はシーソーか」
ゆう「えへへ// もう我慢できません。お願い……します//」
艶めかしい表情で、ゆうがこちらを見詰めている。
腕を軽く組み、寄せ上げられたおっぱい。
すでにトロトロの女性器からは、陰唇が開いてピンク色の膣前庭が見えている。
俺は木陰でパンツを脱いで、スマホのバイブを起動させた。
131: 以下、
ゆう「んんっ……! あぁ、ぃぃっ……」
ゆう「一緒に気持ちよくなりたい。……こっちにきてっ、男さん……//」クチュクチュ
俺は覚悟を決めて、陰茎にスマホを近付けた。
そして、硬くなった筆でゆうの身体をタップする。
男「ぬおっ……?!」ビクッ
男「バイブって、かなり気持ちいいな……」ハァハァ
ゆう「あぅうっ……ぃい、私も……気持ちいいぃっ//」
裏スジや亀頭への微振動。
そして、屋外の開放感と淫らに喘ぐゆうの姿が、興奮のボルテージを上げていく。
もう、二人で快感を貪ること以外は知覚できない。
132: 以下、
ゆう「ぅくうぅっ……、んんっ、あぁぁっ……//」クチュクチュ
ゆう「……男さん、いれてほしい……。私をもっと……感じさせてほしいのぉっ」
男「わ……、分かった」スルスル
ゆう「……あぁ……いいぃ。いっぱい当たってる……」
ゆう「はうっ…中に入りそう……、入っちゃいそうっ//」ヌチュヌチュ
いやらしく開いた陰唇と剥けたクリトリスを、陰茎で刺激する。
それはセックスというより、スマタかもしれない。
それでも、よがり声とバイブの振動が、射精感を急激に高めていく。
133: 以下、
男「ごめん、もうイきそう!」
ゆう「もういっちゃうの? 出してっ、いっぱい精液出してっ//」
男「イクッ!!」
ドピュッ
ドピュドピュッ
ゆう「んぅっ、私も……いっちゃうぅぅっ…………」ビクビクッ
男「はぁはぁ……。ゆう、気持ちよかったよ//」
ゆう「……はいっ、私もです//」
ゆうはそう言いつつ、中指を膣に挿入した。
シーソーの上で、浅く深く、何かを確かめるように。
135: 以下、
傍から見たらただのド変態だな

136: 以下、
公園でスマホにチンコ擦り付けてんのか…
138: 以下、
・・・
・・・・・・
ゆう「ねえ、男さん。私はどうして死んでしまったんだろ……」
ベンチに座って木々を眺めていると、ゆうが気落ちした声で話し掛けてきた。
その表情には、愁いが混じっているように見える。
男「死んだって、急にどうしたの?」
ゆう「それはその……。上手く言えないんですけど、死んでいることに気付いてしまったんです」シュン
男「でも死んでいることは、最初から自分で言ってたじゃないか。もしかして、つらい記憶を思い出したとか?」
ゆう「そういう訳じゃなくて……。それに私は――」
139: 以下、
男「ひょっとして、幽霊的な悩みなのかな」
ゆう「……はい、そうだと思います」
男「そういうことなら、俺や女友に相談してくれれば良いから。何か、力になれることがあると思うし」
ゆう「……ありがとうございます。心配かけて、ごめんなさい」
男「謝らなくていいよ。いつでも聞いてあげるから」
ゆう「……はぃ」
140: 以下、
ゆう「……! 女友さんからメールが来ました」
トゥルルル〜ン♪
男「ほんとだ、何だろ?」
From:女友
件名:何してた?
本文:
私は女さんと買い物してたよ♪ 男は今、何してた? 
男「……どうでもいいな」
141: 以下、
ゆう「ええっ、無視するんですか?!」
男「返す必要ないだろ」
ゆう「でも友達なんだから、何か一言くらいは……」
男「仕方ないなぁ」
To:女友
件名:Re:何してた? 
本文:
別にいいだろ
男「これでよし」
ゆう「そんなメール。女友さん、怒りますよ」
男「大丈夫だって。どうせ学校で会うんだし、用事があれば聞いてくるだろ」
ゆう「はぁ……」
男「それじゃあ、家に帰ろうか」
142: 以下、
アカウント:ゆう
>メール
>新規作成
To:女友
件名:ゆうです
本文:
女友さん、こんにちは。
今日は動物園に行って、公園でセックスをしました。
でも、私では繋がることが出来ないんですよね……。(>_<)
明日、悩みを聞いてもらえないでしょうか??
私は男さんに取り憑いて、セックスをしたくなるように頑張りました。
でもそれは、間違いだった気がするんです。
お願いします。(T_T)
>送信
>削除しますか? Yes
143: 以下、
〜学校・お昼休み〜
女友「男、ちょっといい?」
昼食を食べ終えると、女友が話し掛けてきた。
声色からして、真面目な話があるようだ。
男「……何?」
女友「ゆうさんと二人で話したいことがあるから、スマホを貸してくれないかなあ」
男「話したいこと?」
女友「うん。昨日女さんに会ったんだけど、そのこととかちょっとね」
男「そういえば、女さんと買い物に行ってたんだっけ。バイトの話はどうだった?」
女友「バイトはした事がないんだって。考えてみれば、未成年だし出来るわけないよね」
144: 以下、
女さんは、風俗系のバイトをしていなかった。
つまり、アダルトサイトの外部サーバにゆうの情報がある可能性が消えたので、幽霊だと確定したことになる。
女友「そういうことだから、スマホ貸してくれない?」
男「そうだな……。教室から持ち出したり、余計なところは触るなよ」
女友「……しないわよ。ゆうさんとは、文字入力でも話せるんだっけ」
男「今、その状態だから」
女友「じゃあ、授業が始まるまでには返すね」
女友はそう言うと、席に戻っていった。
149: 以下、
男「はぁ……。ゆうがいないと、時間を持て余すな……」
友「そうだろうと思って、俺が来てやったぞ!」
友が前の席に座り、得意気な顔を見せた。
相変わらず、調子のいいやつだな。
男「何か、面白いネタでもあるのか?」
友「ゆうちゃんが来て、もう二週間だろ。最近、そういう小説とか漫画にはまっててさあ。今、色々と読んでるんだ」
男「そうなのか」
友「それで考えてみたんだけど、意外とよくあるネタなんだよな」
150: 以下、
男「よくあるネタ?」
友「幽霊・妖怪ネタや動物の擬人化は、もはや定番中の定番だろ」
男「言われてみれば、そうだなあ。どれも読んだことがある」
友「そうだろ。しかも人形に魂が宿ったり、電化製品や食べ物が擬人化する物語まであるんだ」
男「つまり、どういうことだよ」
友「死んだ人間の魂がスマホに宿っている訳だから、ゆうちゃんは幽霊ネタメインの人形ネタだと思うんだ」
151: 以下、
男「なるほどねえ。それで、そういう本を読んでどうするんだ?」
友「使い古されたネタだし、パターン化されているだろ。だから、ゆうちゃんがどうなるか参考になるはずだ」
男「お前、すごいな……。それで、今後の展開の参考になりそうな本はあったのか?」
友「もちろん! ゆうちゃんは幽霊ネタメインの人形ネタだろ。その系統の恋愛モノは、どんな展開になると思う?」
男「恋愛モノ?」
友「ゆうちゃんは男が好きだし、どう考えても恋愛モノじゃないか」
男「それもそうか。幽霊ネタなら、最後は成仏してエンディングだよな……」
友「死神も探しているはずだし、俺も一番可能性が高いエンディングだと思う。そして、生まれ変わって幸せになるパターンだろうな」
152: 以下、
男「生まれ変わり……か。じゃあ、人形ネタとしてはどうなるんだ?」
友「そもそも、宿っている魂が幽霊だからなあ……。ラストは同じだろうけど、人形に魂が宿った理由が見せ場になりそうだ」
男「要するに、エロアプリになった理由が見せ場なのか」
友「はっきり言って、考えるまでもないけどな。エロいこと以外に使えないし」
男「まあな。でも、ゆうは初対面のとき、『死んだらアプリになるのでしょうか?』って戸惑っていたぞ」
友「あー、そうか。ゆうちゃんは落ちてきた訳だし、空から女の子が降ってきた系の、押し掛けヒロインの可能性があるのか……」
男「そうだとしても、ゆうの未練を遂げさせてあげたいし、それが大切なことは変わらないよな?」
友「確かにそうだな。未練を遂げるのが、恋愛モノのお約束だしな」
男「なるほど。色々と参考になったよ」
153: 以下、
友「いや、話はまだ終わってないから。実は、幽霊ネタにはもう一つのパターンがあるんだ」
男「何なんだよ、もう一つって……」
友「それは生き霊ネタだ。危篤状態や不思議な力で、幽霊のように具現化するパターンだよ」
男「それはないな。ゆうは死神に回収されたんだから……」
友「すまん、俺の言い方が悪かった。男には彼女がいないのに、ゆうちゃんは男のことが好きだろ」
友「それって、時系列がずれていると思わないか?」
男「まさか、タイムスリップとか言うつもりじゃないだろうなあ」
友「そう、そのまさかさ。この今現在、生きているゆうちゃんがいるんだ!」
154: 以下、
男「別にタイムスリップじゃなくても、押し掛けヒロインなら、最初から好感度が高いものなんだろ」
友「でもそれだと、女さんと同じ容姿である必然性がないじゃないか」
男「……まあな。それで、タイムスリップか」
友「しかも生き霊ネタなら、生前の記憶がないことも説明出来るんだ」
男「記憶がないことに理由があるのか?!」
友「生き霊ネタはエンディングでヒロインに逢うから、幽霊の記憶を曖昧にしないと物語にならないだろ」
男「なるほどな。もし生き霊ネタなら、最終的に女さんに逢えることになるのか……」
彼女が出来るなら、
それはそれで魅力的な話かもしれない。
155: 以下、
友「でも、そう単純じゃないんだよな……。ゆうちゃんは、タイムスリップをしている幽霊だから」
男「……!」
ゆうは間違いなく幽霊だ。
もし本当にタイムスリップをしているならば、女さんが死んでしまう可能性があることになる!
男「タイムスリップなんて、非現実的じゃないか?!」
友「現実世界とあの世の時間の流れが同期していると、男は証明出来るのか?」
男「……出来ないな。ゆうも死んだときの記憶がないし」
友「それならば、タイムスリップが実在すると仮定しても問題ないだろ」
男「まあなあ……。ゆうの説明をするには、便利なSFネタだよな」
156: 以下、
友「でもそうなると、未来で女さんが死ぬことになるんだよな……」
男「それなんだけど、ゆうの死因が一向に分からないんだ」
友「でも、分かっていることもある。例えば、ゆうちゃんになる条件とか」
男「ゆうになる条件?」
友「ああ、これはループものだろ」
男「そうか。将来、俺の彼女がゆうになるのか……」
友「いや、それでは不正確だ。男が好きだという気持ちが、ゆうちゃんになるための条件なんだ。好きだからといって、付き合っているとは限らない」
男「細かいな……。だとすれば、俺が誰からも好かれなければどうなるんだ」
友「その場合は、誰もゆうちゃんにならないと思う」
157: 以下、
男「つまり、女さんに好かれなければ、女さんはゆうにならないのか」
友「確かにならないけど、死なないとも限らない」
男「だよな……。恋愛感情と死の原因に、関連性があるか分かってないもんな」
友「だから俺は、女さんに会うべきだと思う」
男「でもそうしたら、ゆうはどうなるんだ?」
友「パターン的には、二種類だと思う。成仏する場合と、女さんに魂や記憶が受け継がれる場合」
男「女さんに記憶が受け継がれるっていうのは、ある意味生き返るってことだよなあ?」
友「そうだろうな。生き霊ネタなら、お約束のエンディングだ」
158: 以下、
動物園に行って、ゆうは『生きることは素敵なことだ』と感じていた。
もし生き返れる可能性があるならば、それを模索するべきだ。
そうすれば、女さんの命を助けるだけではなくて、女さんの魂をも救うことになる。
ゆうの未練と死の原因。
それを知るためにも、まずは女さんに会ってみるべきだ。
男「友、ありがとう。女さんに会わせてもらえないか、女友に頼んでみるよ」
友「俺は、女さんを彼女に出来るチャンスだと思うぞ。オトコなら頑張れ!」
161: 以下、
男「女友、ちょっといいか?」
女友「あっ、ちょうどいい所に! 今日じゃないんだけど、一晩だけスマホを貸してくれないかなあ」
女友に声を掛けると、とんでもないことを頼まれた。
どこの世界に、スマホを貸すやつがいるんだよ。
男「スマホを貸すなんて、出来る訳ないだろ」
女友「じゃあ、夜までには返すから。ねっ、貸してくれない?」
男「いやいや、絶対に無理だから。女友だって、俺に貸せないだろ」
女友「だよね……」
男「そもそも、どうして貸さないといけないんだよ」
女友「えっと……。確かめたいことがあって、ゆうさんを女さんに会わせたいの」
162: 以下、
男「ゆうを女さんに会わせるなら、俺も一緒に行く」
女友「えっ?! それはちょっと困るんだけど――」
男「さっき友と話していて、ゆうがタイムスリップをして来た可能性があると分かったんだ」
女友「タイムスリップ?!」
男「ああ、女さんとゆうは似ているんだろ」
女友「……うん、そうだけど」
男「もし女さんがゆうなら、これから死ぬことになる」
女友「……!」
男「だから、俺は女さんを助ける方法を考えたいんだ!」
男「ゆうの未練や死の原因を探るためにも、女さんに会わせてほしい」
163: 以下、
女友「男の言いたいことは分かったわ。でも、今は会わないほうが良いと思う」
男「どうしてだよ。別に二人きりじゃなくても良いから、何とかならないかな」
女友「もし私の想像通りなら、男は知るべきだけど会うべきではないと思うの」
男「それって、どういう意味なんだ?」
女友「ごめん。まだ不確実だし、私の口から言えることじゃないと思うから――」
女友はそう言うと、ちらりとスマホを見た。
ゆうが何か言っているのかもしれない。
女友「はぁ……。ゆうさんが、男も一緒に行ったほうが良いだって」
男「じゃあ、それで決まり……なんだな?」
女友「そんな訳ないでしょ。私は反対だし、決めるのは女さんなんだから……」
男「それもそうだな」
164: 以下、
女友「それで女さんに会う日だけど、明後日の放課後に会えないか聞いてみる」
男「明後日か」
女友「女さんに会いたいなら、男が私たちに予定を合わせてね。日付が決まったら連絡するから」
男「分かった。女友に任せるよ」
女友「それと女さんに会うまで、ゆうさんとエッチなことをするのは我慢してくれないかなあ」
男「何でだよ」
女友「ほら、ゆうさんはアダルトなアプリでしょ。女さんにそっくりだし、そのアプリでしているなんて知ったら、男の第一印象が悪くなるじゃない」
男「ま、まあ、確かにな……」
女友「会わせてあげる努力をするから、それまで我慢してね」
男「お……おう」
165: 以下、
〜放課後・部屋〜
ゆう「男さん、女友さんからメールです」
トゥルルル〜ン♪
男「おっ、来た来た」
From:女友
件名:決まったよ
本文:
明後日の放課後に女さんの家に行くことになったから。
予定空けといてね。
男「了解っと」ポチッ
167: 以下、
ゆう「いよいよ、女さんに会えるのですね……」
男「そうだな。女さんに会うことで、ゆうの未練や死の原因が分かると良いな」
ゆう「……ねえ、男さん」
ゆう「男さんは、女さんと付き合いたいですか? 死んでいる私より、生きている女さんのほうが良いですか?」
ゆうは物憂げに言った。
やはり、昨日から様子がおかしい。
男「ゆう……。昨日から、何を悩んでいるんだ。良かったら、話してくれないかな」
168: 以下、
ゆう「……」
ゆう「私は……、男さんに謝らないといけないことがあります」
男「謝るって、何を?」
ゆう「私は男さんに取り憑いています。だから、私が誘えば男さんはエッチをしたくなるんです」
男「……はっ? 取り憑いてる?」
ゆう「エッチをしたくて取り憑いたことは、話したことがありますよね……」
そういえば、会った頃にそんな話をしたことがあるような気がする。
すっかり、そんな設定は忘れていた。
169: 以下、
男「思い出したよ。確かに、そんな話をしたっけ……」
ゆう「つまり、そういうことなんです。私は未練ではなくて、強い欲望を持っている幽霊だったのです」
ゆう「そして昨日、私はどうしてもしたくなりました。私は私の欲望のために、してはいけない事をしてしまったんです」
男「俺がしたくなるように誘った……のか」
ゆう「はい……」
ゆう「それなのに、死んでいる私では繋がる事が出来なかったんです」
ゆう「笑っちゃいますよね……。あんな事をしたらダメなのに、分かっていたはずなのに――」
男「昨日から、そのことで悩んでいたのか……」
ゆう「本当にごめんなさい。ごめんなさい……」ポロポロ
170: 以下、
男「俺はゆうに出会って、思っていた事があるんだ」
ゆう「何を……ですか?」グスン
男「セックスは、お互いに想い合う気持ちが大事なんだなって――」
男「ゆうが気持ち良さそうだったり、少し痛そうな顔をしたり……。そんなゆうを見て、自分の気持ちを押し付けるだけじゃなくて、想い合う気持ちが大切なんだなって知ることが出来たんだ」
男「現実的にはオナニーなんだろうけど、そう思えるようになったのは、ゆうのお陰だと俺は思う」
それが正直な気持ちだった。
ゆうに出会わなければ、気付けなかったかもしれない。
171: 以下、
ゆう「私のおかげ……なんですか?」
男「そうだよ」
ゆう「お役に立ててうれしいです。それなのに、私は昨日――」
男「ゆうはセックスのつもりだったんだろ?」
男「セックスなら、一人で出来ない。ゆうが間違えたと思うなら、俺も一緒に間違えたんだ」
ゆう「でもっ、でも……」
男「一緒に間違えたなら、一緒に反省しよう。人は、失敗から学ぶものなんだし」
ゆう「一緒に反省……」
男「俺も駄目だと思っていたのに、結局してしまったんだ。俺の方こそ、ごめんな――」
172: 以下、
ゆう「男さんも、女友さんと同じことを言うのですね……」
男「女友と同じこと?」
ゆう「いえ……、何でもありません。ただ、やっぱり私はもう駄目なんです」
男「もう駄目って、何がだよ」
ゆう「セックスをしたくて取り憑いていたのに、絶対にセックスは出来ないんです! 私では、男さんと結ばれる事はないんです」
ゆう「こんなの、あんまりじゃないですか……。気付かないふりをしたままでいたかった――」ウゥッ
ゆうは未練を遂げるために、エロアプリになったのかもしれない。
しかしその身体は、膨らんだ欲望に応えられるものではなかったのだ。
173: 以下、
ゆう「……ねえ、男さん。正直に答えてください」グスッ
男「分かった」
ゆう「男さんは、女さんと付き合いたいですか? 死んでいる私より、生きている女さんを選びますか?」
どう答えても、ゆうは悲しむことになるじゃないか。
しかし、俺は一つの可能性を信じて、正直に答えることにした。
男「俺は女さんを選ぶ」
174: 以下、
ゆう「……ぁ…」
ゆう「そっ、そう……ですよね。私、振られちゃいましたね」
ゆう「でも……、ありがとうございます」ウウッ
男「人の話は最後まで聞けよ」
ゆう「聞けって言われても、私はもう終わったんです――」
男「ゆうの思い出は今、その魂に刻まれているんだろ」
ゆう「そ……そうだと思います」
男「だから、俺は女さんを選ぶんだ!」
男「女さんの死の原因を取り除くことで、女さんとゆうの魂が一つに戻るはずなんだ。俺は二人の魂を守るために、女さんを選ぶんだ!」
175: 以下、
ゆう「な……、何を言ってるんですか?! 変な冗談は止めてください!」
男「落ち着いて聞けよ。ゆうは未来から来た可能性があるんだ」
ゆう「み、未来から?!」
男「そうだ。女さんが死んで、ゆうになった可能性がある。つまり女さんを助けると、ゆうは死ななかったことになって生き返れるんだ」
ゆう「うそ……。そんなことがあるはずないっ!」
男「確かに、断定は出来ない。だけど、この方法なら、ゆうを救えるかもしれない」
ゆう「もし女さんが私じゃなかったら、どうしますか?」
男「そのときは、ゆうを選ぶ。そして、生きているゆうを探し出す」
男「だから、俺とずっと一緒にいられるんだ!」
176: 以下、
ゆう「男さん……ずるいです!」
ゆう「私はこのまま、男さんを好きでいても良いんですか? 私を、ここから出してくれるんですか?!」
男「俺を信じてくれ。女さんとゆうを幸せに出来るように、頑張るから」
ゆう「だったら、今から私でオナニーをしてください。好きでいて良いなら、それを示してほしいんです」
男「今さらだけど、女友と約束をしただろ。体裁は良いに越したことはない」
ゆう「私は不安なんです……。お願いします」
男「仕方ないな……」
俺は、ゆうの唇をタップしてあげた。
切断状態とはいえ、何をされたか分かっただろう。
177: 以下、
ゆう「……!」
男「女さんを助けることは、ゆうの魂を救うことになる。それまで待ってくれ」
ゆう「ううっ、やっぱり男さんはズルいです……」
ゆう「女さんが私なら、女さんを好きになってください。お願いします……」
ゆう「うわああぁぁぁんっ………」
ゆうはミニテーブルに突っ伏して、泣き濡れた。
それを見て、俺は心が定まった。
何としてでも、死の原因を解明しなければならない――と。
181: 以下、
ゆうちゃん…(/_;)
182: 以下、
〜放課後・水曜日〜
二日が過ぎ、約束の日になった。
いよいよ、女さんに会うことが出来る。
俺は一度家に帰り、身だしなみを整えて待ち合わせ場所に向かった。
男「女友、お待たせ」
女友「遅いと思ったら、着替えてきたんだ。別に遊びに行く訳じゃないのに……」
男「分かってるって。女さんの家に行くのかと思うと、すごく緊張してきて……」
女友「緊張ねえ。これから、大変なことになるかもしれないのに」
男「その大変なことって、結局、何なんだよ」
女友「それは着いてから話す。今から、心の準備をしておいたほうが良いわよ」
男「相変わらず、教えてくれないのか……」
女友「軽い気持ちで、言えるようなことじゃないの。それじゃあ、行きましょうか」
183: 以下、
〜女さんの家〜
女さんは、マンションの一室に住んでいるらしい。
エレベーターから降りると、女友はチャイムを鳴らした。
ピンポ〜ン
ガチャリ
女「女友ちゃん、いらっしゃい」
女友「うん、お待たせ」
男「……えっ!!」
俺は驚かずにはいられなかった。
本当に顔も声も、ゆうとそっくりだったからだ。
まるで、スマホから出て来たかのようだ。
女友「それで、こちらが友達の男くん」
男「ど、どうも。男です」
女「はじめまして、女です。今日は誰もいないけど、どうぞ上がってください」
184: 以下、
〜女さんの部屋〜
男「おい、冗談だろ……」
俺は部屋を見回して、声を上げた。
化粧台があって、ミニテーブルがあって、洋服ダンスがあって……。
女さんのベッドも、見慣れた柄の掛け布団が敷いてある。
アプリのトップ画面やアダルト機能で表示されている、女の子らしい部屋。
その背景が、まさしくここなのだ。
トップ画面は、この位置だろうか。
俺は部屋の中央、ゆうと同じ場所に立ってみた。
女「どうかしたのですか?」
男「窓からの眺めが良いなと思って……」
女「そうですよね// 今日は暑いし、りんごジュースで良ければ飲みますか?」
男「あ、ありがとうございます」
185: 以下、
女「ねえ、女友ちゃん。今日は、確かめたいことがあって来たんだよね?」
女友「う……うん。男、スマホいい?」
男「……ああ」
ジュースを飲んで落ち着いた後、三人でミニテーブルを囲んだ。
アプリを起動し、トップ画面が表示される。
ゆうは待ちくたびれた様子で、ぬいぐるみと戯れていた。
女「……!」
女友「えっと……、この子がゆうさんなの」
ゆう「わわっ、はじめまして。私はゆうです……」
186: 以下、
女「本当に私そっくりなんだ……」
ゆう「女さん、ですよね?」
女「……はい」
ゆう「わ、私も驚きました! 本当に私そっくりなんですね!」
女「あなたの方が、私にそっくりなのよ。そこは勘違いしないでくれる?」ムッ
ゆう「そ、そうですよね。すみません……」
女「それにしても、本当に普通に会話が出来るんだ……」
女友「ねっ、すごいでしょ。私も初めて見たとき、びっくりしちゃって」
女「ゆうさん。あなたは、どうして私にそっくりなの?」
ゆう「分かりません。はっきりした事は、まだ分かっていないんです」
187: 以下、
女友「えっと……、ゆうさんには過去の記憶がないの」
女「記憶がない?」
ゆう「はい……。私は死んでしまったんです」
ゆう「死神に連れて行かれて、あの世に向かう途中で私だけが落ちてしまいました。そして気が付いたら、男さんのスマホアプリになっていたんです」
ゆう「私が覚えている記憶は、それだけなんです」
男「おいっ、それを話すのはまだ早いだろ」
ゆう「はわわ、そうでした!」アセアセ
女「死んだ? 死神?!」
188: 以下、
女友「きっと、死神は本当にいるんだと思う。それくらいでないと、説明が付かないから」
男「どういう意味だよ、それ……」
女友「ねえ、女さん。覚悟は出来てる?」
女「う、うん。ある程度のことは、心の準備が出来ているつもりだから」
女友「分かった。じゃあ、二人に話すね……」
女さんの言葉を聞いて、女友の雰囲気が変わった。
いよいよ、ここに来た目的を言うつもりだ。
女友「ねえ……、男は超常現象を信じる?」
男「超常現象?」
女友「例えば、空に向かってブランコが落ちるとか――」
189: 以下、
男「いやいや、そんな訳ないだろ」
女友「私たちは、実際にそれを見たの。そして、ゆうさんから話を聞いて確信した」
女友「ねえ、日曜日にメールしたでしょ。あの時間、男は何をしていたの?」
男「それは……」
あの時間は、ゆうとエッチをしていた。
そんなこと言える訳がない。
女友「黙っていても、全部知ってるから。空に落ちるブランコ、心当たりがあるはずだよねえ?」
なるほど……。
ゆうが悩みを相談したのか。
それなら仕方がない――。
男「知っているなら認めるけど、それって本気で言ってるのか?」
女友「そうよ。スマホを貸してほしかったのは、それを確かめるためだったの」
190: 以下、
男「それで確かめるって、どうするんだ?」
女友「そのアプリで、実際にやってみせて欲しいの。ゆうさんも準備は良い?」
ゆう「は、はいっ!」
男「そういう事なら、実際にやってみるけど……」
俺はタッチペンを取り出し、リンクを接続した。
すると、ゆうの洋服が女さんと同じ部屋着に変わり、体勢が正座になった。
そして背景が、女さんを正面から映すアングルに変更された。
女「…ぅくっ……」
女友「えっ……。これって、女さんが今着ている服じゃない!」
男「そ、そうみたいだな……」
同じ服とか、それ以前の問題だ。
これではまるで、女さんそのものじゃないか――。
191: 以下、
女「あの……、試すんですよねぇ」
女友「……そうそう。何か大丈夫な物ってない?」
女「だったら、あのぬいぐるみが良いと思う」
そう言って、女さんはぬいぐるみを指差した。
もう、試さなくても結果は分かる気がする。
だけど、しなければならない。
スマホを手に取り、カメラのアングルを変えた。
部屋の間取りは再現されているが、俺と女友の姿はない。
そして、指定されたぬいぐるみの重力を反転させる。
――ポフッ
ああ、やっぱりか。
俺たちの目の前で、ぬいぐるみは天井に落ちていった。
194: 以下、
女友「信じられない……。やっぱり、そのアプリが原因なんだ」
男「そ、そうみたいだな」
ゆう「本当にぬいぐるみが落ちたのですか?」
男「今、天井にある」サッ
ゆう「本当なんだ……」
重力の設定を戻すと、ぬいぐるみはポスッと下に落ちた。
このアプリで重力を反転させると、本当に空に落ちるのだ。
待てよ……。
アプリで起きたことが現実に起きるなら、それは背景だけの事なのか?
195: 以下、
女「じゃあ、私が今までつらい思いをしてきたのは……」
女友「それを今から確かめましょ」
男「あぁ、そうだな。ゆう、立ち上がれるか?」
ゆう「……分かりました」
女友の言葉を聞いて、俺はゆうを立ち上がらせた。
すると、女さんが困惑した面持ちで立ち上がった。
やはり、アプリが影響しているのは背景だけではなかったのだ。
ゆうの行動が、女さんに影響している。
リンクの接続とは、二人の魂が繋がることだったのだ。
しかし、完全に同期している訳ではないようだ。
女さんの言動から分かるように、二人には独立した思考がある。
今みたいに、ゆうに命令した行動には逆らう事が出来ないのだろう。
196: 以下、
男「それじゃあ、脱がせてみるから」
女「えっ……うそ。あ……」オロオロ
女友「ちょっと、何やってんのよ!」
その声に驚いて、俺は手を止めた。
女友「男は外に決まってるでしょ。ほら、スマホを置いて出て行きなさいよ!」
男「えっ? でも、確かめるって……」
女友「でも、じゃないでしょ! エッチが好きなのは良いけど、油断も隙もないんだから……」ジトー
男「分かった。出て行くから、俺をそんな目で見ないでくれ」
女「いいですよ……。このまま部屋にいてください」
197: 以下、
女友「いいって、どうして?!」
女「ここにいてもらわないと、証拠にならないから」
女友「それはそうだけど……」
男「じゃ……じゃあ、試してみるから」
女友「男、じろじろ見たりしたら、今度は許さないからね」
男「わ、分かってるって」
そう言うと、女友が俺の隣ににじり寄ってきた。
そして、スマホを覗き込む。
ゆう「お……男さん。その、お願いします」キョドキョド
男「あ、ああ……。軽く脱がせるだけだから――」
198: 以下、
女友「ほら、いつもやるみたいにやってみて」
男「いつもって言うなよ……。じゃあ、本当に脱がせるから」
そう言って、ブラウスのボタンを外した。
この部屋着は、もう何度も脱がせた服だ。
慣れた手つきで胸元を開き、袖から腕を抜く。
それと同時、衣擦れの音が聞こえた。
そして視界の隅で、ブラウスが床に落ちた。
女「うぅ……この感覚……」ハァハァ
女友「あ、あの時と同じだ。服が勝手に……」
男「まさかと思ったけど、本当に脱げるのか!」
200: 以下、
しかし、一枚だけなら偶然かもしれない。
そう思い、ズボンを半分だけ下ろした状態でキャミソールを脱がせ、
半脱ぎのズボンを一度穿かせてから、ゆうに脱がせてみた。
もちろん、女さんからは画面を見ることは出来ない。
それにもかかわらず、まったく同じ動きで脱いでしまったのだ。
これはホンモノだ――。
女友「これ、本当にその通りになるんだね」
男「何なんだよ、これ……」
タッチペンで脱がせれば、女さんと衣服がアプリと同じように動いて、魔法のように脱げてしまう。
そしてゆうに脱がせれば、女さんが自分で衣服を脱ぐことになる。
どちらにしても、女さんは強制的に、ゆうと同じ姿になってしまうのだ。
201: 以下、
女友「一応聞くけど、そのアプリは下着も脱がせられるんだよねえ」
男「そうだけど、このブラジャーだけは無理なんだ」
ある時から、ゆうは外し方が分かりにくいブラジャーを着けるようになった。
その中でも特に、これだけはタップをしても外せないのだ。
強引に引っ張ろうとすると怒られるし、外したいときはゆうに頼むしかない。
女友「無理って?」
ゆう「これはフロントホックブラで、すごく強力な磁石で留めているんです」
女友「へぇ、そんなのあるんだ。見せて見せて//」
女「えっ?! ちょっ、恥ずかしい……//」
女友にされるがままになっている、女さん。
ふくよかなおっぱいが、とても柔らかそうだ。
こんな状況、健全な男子に我慢できる訳ないだろ――。
202: 以下、
男「ところで、服が脱げるのは分かったけど、感覚は伝わるのかな?」
女「感覚……ですか。試しても良いですけど、察するにいやらしいことですよねえ」
女友「えぇっ、いやらしい事をするつもりなの?!」ジトー
男「そうじゃなくて、確認……。そう、確認しておきたいだけだから」アセアセ
女「分かりました……。私も気になるし、確認しておきたいです」
男「じゃあ、少しだけやってみるね」
まさか許してもらえるとは……。
とりあえず、ゆうの胸を揉んでみる。
すると、女さんの胸も揉まれているかのように変形した。
女「…んぅっ……」
ゆう「ぁぅんっ……//」
男「やっぱり、ゆうと同じように感じるのか」サスサス
女「ぁぅっ……あぁ…//」
203: 以下、
男「ゆうはここが弱いよな//」
ゆう「……男さん。あんっ……//」
女「んんっ……ぁっぁっ…」カアッ//
女友「男っ! いつまでやってるのよ!」
胸をくりくりしていると、強引にスマホを奪われた。
少し調子に乗りすぎたかもしれない……。
男「ご、ごめん。エロアプリだし、確かめておきたくて――」
女友「私には、楽しんでいるだけに見えたけど?」プンスカ
男「すみません。おっしゃる通りです」
204: 以下、
女「……きゃあぁっ!」
女友「……えっ?! あっ、女さん!」
女さんを見ると、柔らかそうなおっぱいが露わになっていた。
強引にスマホを奪われたせいで、それがブラジャーを強引に外そうとする動作になってしまったらしい。
女友「わわっ、ごめん! ゆうちゃん、ブラ着けて!」
ゆう「はっ、はいっ!」アタフタ
女「ううっ……。でも、これで何もかも分かったわ」
205: 以下、
女「女友ちゃん。そのスマホを貸して」
女友「う、うん……」
女友は、女さんにスマホを手渡した。
そして女さんは、スマホを受け取ると操作を始めた。
女「ふうん、私だと操作出来ないんだ。こんなもののせいで、私は……、私は――」ウウッ
女友「ねえ、男。この状況、分かるよねえ!」
男「分かるって、何が……」
女友「男がゆうさんとエッチをしていたとき、女さんも同じ事をしていたのよ!」
ゆう「……!! 私、そんなこと知らなかった……」
女友「ゆうさんが、そんな人じゃないことは分かってる。男のことが好きで、尽くしていただけだもんね」
男「そんなの、シャレにならないじゃないか――」
ゆう「ごめんなさい。ごめんなさい……」ポロポロ
206: 以下、
女「そうです、シャレにならないんです!」グスッ
女「私が今までどんな思いをしてきたか、男さんに分かりますか?!」ポロポロ
男「そ、それは……」
女「私、もうこんな思いはしたくないんですっ!」
女さんは激昂し、スマホを振り下ろした。
そして、ミニテーブルの角に叩き付ける。
ゆう「うそ……。いやっ、いやあぁぁっ!!」
男「ゆうっ!」
俺は、慌てて手を伸ばした。
しかし、間に合わない。
ガシャアァァンッ!!
214: 以下、
女友「ゆうさんっ!」
女「うぐあぁぁっ……!」
女友「女さん?!」
男「ど、どういうことだ?!」
スマホが床に転がると同時、女さんが崩れ落ちた。
お腹を抱え、苦しそうに呻き続けている。
そして両手足が痙攣したかと思うと、女さんは事切れた。
215: 以下、
女友「ね、ねえ。お、女さんどうなったの?!」
男「リンクを接続した状態でゆうを叩き付けたから、その衝撃が女さんにも伝わったんだ」
女友「でも、女さんは使えないし、テーブルでスマホは動かないんじゃ……」
男「でも、これが現実だろ!」
叩き付けたときは、手に持っていなかった。
そして壊れる瞬間に、電極間の静電容量が異常な変化を起こしたのかもしれない。
原因なんて分からない。
壊した結果がこれなんだ。
女友「じゃあ、こんな事で女さんは死んじゃうの?!」
216: 以下、
パネルが割れてしまい、まったく起動しないスマホ。
そして、糸が切れた人形のように動かない女さん。
ゆうは女さんだ。
それはもう、疑いようがない。
だけど死の原因が、こんなことであっていいはずがない。
ゆうが宿ったスマホを壊すことで、女さんが死んでしまうなんて。
そして女さんに壊されることで、ゆうの魂が消えてしまうなんて――。
これだと俺は、二人を追い詰めただけじゃないか……。
217: 以下、
女友「ねえ、女さん! 起きて、起きてよおっ!」ユサユサ
男「ごめん。ちょっと代わってくれ!」
女友「う、うんっ……」
女友と場所を代わり、女さんの胸と腹部を見た。
規則正しく上下に動いているので、ちゃんと呼吸をしていることが分かる。
そう、女さんは生きているのだ!
男「……大丈夫。気を失っているだけみたいだ」
女友「ほ、本当なの?!」
男「よく見ると、ちゃんと呼吸をしているだろ」
女友「良かったぁ……。もう、どうなったかと――」ウウッ
男「とりあえず、ベッドに運んであげようか」
女友「多分、それは無理……だと思う」
218: 以下、
男「無理? 抱えるくらい、俺でも出来るって」
女友「公園にいたとき、どんなに頑張っても動かせなかったの。女さんが言ってたけど、縛られたみたいに移動出来なくなるんだって……」
そう言われ、試しに持ち上げようとしてみた。
しかし、身体の下に腕を入れることさえ出来なかった。
まるで、床に張り付いているかのようだ。
男「そうみたいだな。これだと、救急車を呼ぶことも出来ないし……」
女友「そっか、運べないもんね」
男「仕方ないから、服を掛けてあげようか」
そう思い、キャミソールを取ろうとしたが持ち上げられなかった。
これもまるで、根を張っているかのようだ。
221: 以下、
男「……何だよ、これ」
女友「身体を動かせないのと同じで、脱いだ服も動かせないみたいなの。シーソーのベルトも外せなかったし……」
男「でもこれは、服を盗まれる心配がなくなるから、親切設計だな」
女友「親切設計……ねえ。あと、掛け布団も無駄だと思う。私の上着を着せようとしたら、見えない壁が出来たりしたの」
どうやら、アプリ画面と現実に、大きな食い違いが起きないようになっているらしい。
男「そうなると今、スマホが壊れているのに、アプリが起動していることになるよな」
女友「そ、そうだよね」
ゆうのアプリは、スマホのデータ容量をほとんど使用していない。
つまり、タップ操作や画面表示などの入出力以外の大部分は、魂に依存していたことになる。
だからスマホが壊れても、二人は無事だったのだ。
222: 以下、
男「これで、ゆうの魂が消えていないことも分かった。自分に殺される悲劇は、避けることが出来たんだ」
女友「だけどこのまま、女さんが起きないなんてことになったら……」
男「操作をしなかったら、三十分で仮切断されるんだ。しばらくしたら、女さんは目が覚めると思う」
女友「じゃあ、ゆうさんは? 女さんが気絶しているってことは、ゆうさんが気絶しているってことでしょ!」
男「それは……。ゆうは幽霊だし、無事を信じよう」
スマホを修理すれば、ゆうは回復するのだろうか。
そして女さんは、仮切断で本当に目覚めるだろうか。
今の俺には、ただ信じることしか出来なかった。
223: 以下、
女友「ねえ、どうしてこんなことになっちゃったんだろ」
男「それは……」
女友「ゆうさんは、未練を遂げようとしていただけなのよ!」
女友「それなのに、どうしてこんなに苦しまないといけないの?!」ウウッ
男「女さんが死んだときに、死神のせいで世界が壊れてしまったんだ。きっと――」
女友「死神のアプリ……か」
なぜ、ゆうがエロアプリになったのか。
それは未練を遂げさせる対価として、過去の自分を傀儡させるためだったのだ。
それならば、記憶がないのは当然だ。
記憶を消さないと、こんな事は出来ない。
224: 以下、
男「死神がゆうを回収しないのは、アプリを使わせるためだったのか……」
女友「そんなの、ヒドすぎる――」
男「仮にそうだとして、女さんの死の原因は何なんだろうな」
女友「はあ?! それ、本気で言ってるの?」
男「どういうことだよ」
女友「これが原因に決まってるじゃない!」
225: 以下、
女友「男、あなたに女さんのつらさが分かる?」
男「それは……。つらい思いをさせたのは悪かったと思う。だけど知らなかったんだ――」
女友「それは分かってる。だから私は、一方的に責めるつもりはない。だけど少し考えてほしいの」
女友「女さんは毎日毎日、時間と場所を選ばず裸にされていたのよ」
女友「最近は家が多かったらしいけど、学校や塾、公園でそういう事をしてしまって耐えられると思う?!」
女友「公園は私だけだったから良かったけど、教室には人がいたんだよ。しかも、逃げられないの!」
女友「私だったら、こんなの絶対に耐えられない!」
男「それくらい分かってるよ。だけど、その感情が死の原因だとすれば、ゆうに繋がらないだろ」
226: 以下、
女友「繋がらないって、何がよ!」
男「自分で言ってたじゃないか。『俺のことが好きなのに死んでしまったことが、ゆうにとって未練になっている』って」
女友「それはそうだけど、もう諦めたほうが良いと思う。こんなことがあって、好きになれる訳がないでしょ」
男「……待てよ。これが死神の狙いなんだ」
女友「えっ?」
男「ほらっ! 女さんが死んでもゆうにならない事で、魂を回収できるようになるんだよ」
女友「それで、男はどうするつもりなの?」
227: 以下、
男「どうするって、何も変わらないさ。死の原因は、女さんの感情とは無関係だと分かったんだ」
男「ならば外的要因を探すために、女さんとゆうを交えて話し合うしかないんじゃないかな」
女友「女さんは、もう会いたがらないと思うけど……」
男「そうだとしても、女さんを助けるには必要なことだろ」
女友「つまり、私に上手く取り持ってほしいってこと?」
男「今回のことを帳消しに出来るくらい、上手く言ってくれたら嬉しいかな」
女友「はあ……、一つ聞かせて。男は何のために、女さんを助けるの? ゆうさんの記憶を受け継がせて、付き合うためなの?」
男「正直、そうなれば良いなって期待もあるけど、女さんを助けることで二人の魂を救えるなら、考えるまでもないじゃないか」
女友「……」
女友「……そう、分かった。そういう事なら、男に協力してあげる」
男「女友、ありがとう!」
228: 以下、
女友「それでその間、ゆうさんの未練はどうするの?」
男「それも話し合うしかないと思う」
女友「男がずっと我慢し続けることは出来ないの?」
男「我慢って簡単に言うけど、今だって結構つらいんだけど」
女友「……えっ、たったの三日間でしょ?!」
男「オトコって、そういうもんなんだよ」
女友「そ、そうなんだ。ごめん……、さっきは言い過ぎた」
男「まあ、折衷案を探してみるよ」
229: 以下、
女友「ていうか、男。今気付いたんだけど、いつまで女さんを見てるのよ!」
男「えっ……、あ…いや、ほらっ。見てないって」チラッ
女友「今、見てたっ。絶対にエッチな視線を向けてた!」
男「わ、悪かった。下着姿だから、つい……」
女友「つい、じゃないでしょ」
女友にポカポカ叩かれ、部屋の隅に追いやられた。
そして、仮切断の時間になった。
231: 以下、
・・・
・・・・・・
女「う、うぅん」
女友「あっ、女さん。気が付いた?」
女「女友ちゃん、私……」パチクリ
女友「女さんは、気を失っていたの」
女「そうなんだ……」
男「無事に気が付いて、本当に良かったよ」
女「……男さんに、部屋の隅で何をさせているの?」
女友「エッチな狼を隔離してたの」
女「そ、そうなんだ。女友ちゃん、ありがとう」
232: 以下、
男「ところで、女さん。どこか痛むところは無い?」
女「特には……。男さん、今日はもう帰ってもらって良いですか?」
男「ご、ごめん。それじゃあ、俺はもう帰るよ」
女友「じゃあ、私が玄関まで送っていくから。その間に、女さんは着替えてて」
女「ありがとう」
男「女さん。落ち着いたら、また話をしよう」
女「そうですね……、また」
男「それじゃあ、お邪魔しました」パタン
233: 以下、
〜玄関〜
女友「ねえ、男」
男「何?」
女友「ゆうさんのこととか、本当にごめんなさい。こんなことになるなんて、想像してなかったの……」
男「仕方ないよ。女さんのことは不用意に言えることじゃないし、女友は間違ってなかったと思う」
女友「うん……、ありがとう。女さんには上手く言っておくから、気を付けて帰ってね……」
男「今までのことが帳消しになるくらい、上手く言っといてくれ。じゃあ、また明日――」
234: 以下、
〜家・夕方〜
男「母さん、話したいことがあるんだけど……」
母「お帰りなさい。どうかしたの?」
男「実は、スマホを壊してしまって……」
そう言い、壊れたスマホを手渡す。
母さんはそれをテーブルに置くと、声を震わせた。
母「何をしていて壊したの?!」
男「うっかり落としてしまって、当たり所が悪くて……」
母「落としたくらいの衝撃で、こんな壊れ方しないわよ」
男「そのまま気付かずに、踏んでしまったんだ。修理したいんだけど……」
母「それも嘘でしょ。本当のことを言わないなら、しばらくお小遣いは半分だからね!!」
男「ごめん……」
235: 以下、
〜ショップ〜
店員「こちらのスマートフォンですか?」
母「はい。修理をお願いします」
店員「修理でしたら、一週間前後でお返し出来るかと思います。損傷が著しいので、場合によっては基板を――」
母さんに何度も謝り、無事に修理してもらえることになった。
店員さんには機種変更を勧められたが、このスマホを手離す訳にはいかない。
後は、ゆうの回復を願うばかりだ。
店員「修理期間中ですが、代わりのスマートフォンはいかが致しましょうか?」
母「必要ありません」
男「一週間だろ。絶対にいるって!」
母「物を大切に扱うということがどういうことか、その間に反省なさい!」
男「分かったよ……」
店員「それでは、修理が終わりましたらご連絡致します」ペコリ
236: 以下、
〜部屋・夜〜
今日からしばらく、ゆうと話が出来ないのか――。
そう思うと、部屋が寂しく感じられた。
ゆうは大切な存在になっていたのだなと、居なくなって気付かされた。
会話が楽しくて、エッチな雰囲気作りも上手だった。
服を脱がせてタップしてあげると、喘ぎながら悦んでくれた。
しかしそのとき、女さんも裸にされて喘いでいたのだ。
ゆうと同じ表情で、ゆうと同じ声で――。
俺は事情を知らなかったとはいえ、女さんを辱めてしまったのだ。
あんなに怒るのも無理はない。
あのときに謝れていれば、こんなことにならなかったかもしれないのに……。
今日、女友が言った通りだ。
ほんの数時間で、本当に大変なことになってしまった――。
241: 以下、
〜学校・お昼休み〜
友「女友から聞いたんだけど、スマホが壊れたらしいじゃないか!」
翌日の昼休み、友が慌てた様子で話し掛けてきた。
友と女友は、密に連絡を取り合っているのか……。
そう思いつつ、俺は当たり障りのない返事を返すことにした。
男「昨日、色々あって……。今、修理しているんだ」
友「ゆうちゃんは大丈夫なんだろうな?」
男「魂は消えていないみたいだから、大丈夫だと思う。一週間で直るらしいし、笑顔で帰ってきてくれると信じてる」
友「それなら良いんだけど……」
男「色々と考えてしまって、一週間が長そうだよ」ハァッ
友「なあ、男。俺はここが分岐点だと思うんだ」
友「これは時間ループものなのか、それともホラーなのか」
242: 以下、
女友「二人とも、お待たせ〜。ホラーって、どういうこと?」
友「ゆうちゃんには、女さんを操る機能が隠されていたんだろ」
女友「……うん」
友「ホラー小説でありそうな設定じゃないか」
男「それで、分岐点ってどういう事だよ」
友「男がゆうちゃんの正体を選ぶんだ。女さんなのか、それとも悪霊なのか」
男「ゆうが悪霊な訳ないだろ!」
俺は声を上げた。
友は何を言ってるんだ?!
243: 以下、
友「まあ、冷静に聞いてくれ。ゆうちゃんは、空から女の子が降ってきた系の、押し掛けヒロインの可能性があっただろ」
男「押し掛けヒロインだと、女さんと容姿が同じである必然性がないって言ってたじゃないか」
友「その時は、女さんを操る機能のことを知らなかったからな。わら人形に写真を貼るのは、お約束だろ?」
男「それはそうだけど……」
友「むしろ悪霊だとしたほうが、タイムスリップを考慮せずに済むから受け入れやすい仮説だと思う」
男「そうだとしたら、どうして俺のスマホなんだよ」
友「それは、女さんのことを知らない若いオトコだったからだ。まさに狙い通りの結果じゃないか」
女友「つまり、女さんは誰かに恨まれるような事をしていたって言いたいの?」
友「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。ホラー小説では、悪霊の祟りや呪いが付き物だろ」
女友「それ、本気で言ってるの? ゆうさんが、悪霊な訳がないでしょ!」
友「分かってるよ。だから、男の覚悟を聞きたいんだ」
友「悪霊の可能性があっても、ゆうちゃんを信じて救うのかどうか――」
244: 以下、
男「確かに悪霊だと考えれば、アプリ機能に納得できる。でも、俺はゆうを信じる!」
男「ゆうは悩んで泣いていたんだぞ。死んでいる自分より、女さんを好きになってほしいって言ったんだ……」
男「そんな優しい悪霊が、どこにいるんだよ! ゆうが悪霊だったとしても、俺は絶対に二人を助けてみせる!」
女友「男……、少し感動した」ウルッ
友「俺たちに、ここまで言ったんだ。もう後には退けないぜ」
男「……?! もしかして、俺を試したのか」
友「どうだろうなあ」ニヤニヤ
男「くそっ、恥ずかしいじゃないか!」
245: 以下、
女友「それで、これからどうするつもり?」
男「どうするというか、昨日から死神のアプリのことを考えているんだ。今ひとつ、分からない事があるんだよな……」
友「分からないって、何が?」
男「容赦なく回収したゆうの魂を、アプリにした理由だよ」
友「死神がアプリにしたとは限らないだろ」
女友「私は死神が関わっていると思う。そうでないと、あんな卑劣な現象は説明が付かないもの」
友「でも確かに、死神がアプリに関わっているなら、魂の回収をせずに待っているのも頷けるよな」
246: 以下、
男「そうなると、アプリを使わせることが、死神の目的だと分かるだろ」
友「そうだな」
男「すると、死神にメリットがあるんだけど……」
1:俺を好きにならなければ、女さんは死んでもゆうにならない。
2:タイムスリップが起きないことになるので、女さんの魂を普通に回収できるようになる。
男「……こう考えたんだけど、余計に面倒臭いと思うんだよな」
女友「ゆうさんの魂を回収できない理由があるのかなあ?」
友「ちょっと待て。その仮説は、俺たちにもメリットがあるぞ」
男「俺たちに?」
友「未来を変えられることが、死神のおかげで立証されたことになるじゃないか!」
男「なるほど……。死神の思惑を超えれば、女さんを助けることが出来るのか!」
247: 以下、
女友「その死神のメリットを信じるなら、ホラーの話は違うことになるよね」
友「死神のメリットは、ループものを前提とした推理だろ。ホラー設定と混同するのは良くない」
女友「そ、そうなんだ」
男「問題は死の原因だよな……」
友「こればっかりは情報がなさ過ぎるし、ゆうちゃん頼りな部分は否めないな」
男「そうでもない。さっき話した死神のメリットが正しいなら、死の原因は女さんの感情とは無関係の、外的要因だと分かるだろ」
友「それは違うぞ。未来が変わるなら、死の原因も変わるんじゃないか?」
男「ああ……、そうか」
248: 以下、
女友「死の原因が変わるなら、ゆうちゃんにも頼れないんじゃないの?」
友「いや、過去や未来が変わっていることが分かるだろ」
女友「それって、意味あるのかなぁ……」
友「とりあえず、これは女さんの問題だ。死ぬなんて話はされたくないだろうし、どうしたら良いかな?」
女友「死ぬことと死神のことは、流れで話してあるわよ」
友「そうなんだ。男はどうしたい?」
男「つらいことが続いていた訳だし、なるべく意識させない方が良いんじゃないかな」
友「でも、女さんからの情報も欲しいし……」
女友「じゃあ、ゆうさんが帰って来るまで待ちましょ。それが一番良いんじゃない?」
友「そうだな。一週間あれば、気持ちの整理が出来るだろうし」
男「それが良さそうだな」
249: 以下、
男「ところで、女友。女さんの体調はどうだった?」
女友「落ち着いてたし、大丈夫そうだったよ」
男「そっかあ、良かったよ」
女友「そういえば今朝、メールがあったの。男の住所を知りたいらしいんだけど、どうする?」
友「住所って、フラグじゃないか?!」
男「マジか!」
女友「私は家族で顔合わせに行くのかなって思うんだけど、教えて大丈夫かな?」
なるほど……。
普通はそっちだよな。
男「そういうことなら断れないし、覚悟しておくよ……」
女友「了解っ! 男、頑張ってね」ニコッ
252: 以下、
〜放課後・女さん〜
今日は勇気を出して、久し振りに学校に行ってみた。
その帰り道、地図アプリにナビをさせながら、男さんの家にやってきた。
ここが男さんの家……なんだよねえ。
このチャイムを押せば、男さんが……。
勇気を出して、チャイムに触れた。
しかし、押せずに指を離す。
そして結局、チャイムの前に立ち尽くした。
押さないといけないよね。
謝るために来たんだし……。
女「よしっ、決めた!」
「決めたって、何を?」
女「……!」ビクッ
驚いて振り返ると、見知らぬ女性が立っていた。
察するに、男さんのお母さんだ。
253: 以下、
女「あっ、あの……」
母「どなたですか。もしかして、男のお友達?」
女「わわ、私は女と申します。今日はその、男さんや家族の方に謝りたいことがあって来ました……」
母「私たちに謝りたいこと?」
女「は、はい。昨日、スマホを壊してしまって、それで……」
母「うっかり落としたって聞いたけど、あなたが落としたの?」
女「いえ……。私がテーブルに叩きつけて壊したんです」
母「何それ……。ちょっと詳しく聞かせてくれる? 中に入りなさい」
女「は、はい……」
254: 以下、
〜リビング・女さん〜
母「……で、どうしてそんなことをしたの?」
おばさんは険しい表情で言った。
本当のことは言えないけど、嘘を吐くわけにはいかない。
私は心を決めて、口を開いた。
女「詳しい事情は言えないのですけど、今月からずっとつらい事が続いていたんです」
母「うん、それで?」
女「それで友達に相談して、昨日、男さんに会いました。最初は話し合うつもりだったのですけど、ある切っ掛けで気持ちを抑えることが出来なくなって――」
母「……」
女「とても許せなくなって、スマホをテーブルに叩きつけてしまいました」
母「……そう」
女「本当にすみませんでした!」
255: 以下、
母「それで、男は女さんに何をしたの? 事によっては重大だし、詳しい事情を聞かせてくれない?」
詳しい事情、か……。
アプリに操られて、性的な行為を強制されていたんです。
そんな話を、どこの誰が信じるだろう。
女友ちゃんから聞いたとき、自分でも半信半疑だったのだ。
絶対に言える訳がない。
女「男さんは何もしていません。ただ、信じられないようなことが起きていたんです」
女「だからこうして、スマホを壊したことを謝りに来ました」
母「男が何もしてないのは良かったけど、信じられないようなこと……ねえ」
256: 以下、
女「あの、スマホの弁償はどうすればいいですか?」
母「今回のことで二人が反省するなら、弁償はしなくていいから。だけどどんな事情があっても、壊してもいい理由にはならないことは覚えておきなさいね」
女「……はい。すみませんでした」
母「まあ、いいわ。女さんだっけ、正直に話してくれてありがとう。謝ることが出来る人で良かったわ」
おばさんはそう言うと、にこりと笑ってくれた。
母「男は部屋にいるはずだから、謝るなら会っていきなさいね」
女「は、はいっ」
260: 以下、
〜部屋〜
トントン
男「何?」
女「お、男さん。お邪魔してます」
男「女さん?! どうしてここに……」
いつ来たんだ?!
というか、学校帰りに何の用だろう。
顔合わせを覚悟していたので、少しほっとしたけど……。
女「昨日のことを謝りたくて、女友ちゃんに住所を教えてもらいました」
――謝る?
261: 以下、
男「女さん、謝るのは俺のほうだ。知らなかったとはいえ、つらい思いをさせてしまって、本当に申し訳ないです」
女「そのことは、もう良いんです。一晩考えて許すことにしましたから」
男「えっ……」
女「ゆうさんを裸にしたら私も裸になるなんて、普通は想像できないですよね」
女「男さんは、ただ普通にアプリを楽しんでいただけなんです。悪いのは死神ですから……」
まさか、こんなに簡単に許してもらえるとは思わなかった。
思い返してみると、女さんが激昂したのはブラジャーが外れた後だ。
もしそれがなければ、冷静に話し合うことが出来ていたのかもしれない。
262: 以下、
男「それでも、俺が悪いんだ。下着のこととか、本当にごめん……」
女「あれは事故なんです。私のほうこそ、取り乱してスマホを壊してしまいました」
女「本当にごめんなさいっ!」ペコリ
男「スマホは、来週には直るみたい。だから、大丈夫ですよ」
女「本当にすみませんでした。ゆうさんにも、謝っておきたいです」
男「それが良いかもね。きっと許してくれると思う」
女「はい……」
263: 以下、
女「ところで、ここが男さんの部屋なんですよね」
男「そうだけど」
女「エッチな本って、どこに隠しているんですか?」キョロキョロ
男「んなっ?!」
男「エッチな本は持ってないから!」アセアセ
女「あぁ、ですよね。あのアプリがあれば必要ないし」ニコッ
そのにこやかな笑顔が、微妙に怖い。
やっぱり、怒っているではないか……。
264: 以下、
男「それはその――」
女「私が裸にされていたとき、男さんはエッチなことをしていたんですよね?」
男「それは、なんと言うか……。本当にごめんっ!」
女「いえ、良いんです。男さんを許すのは、さっき話した通りですから」
女「女友ちゃんから聞きました」
男「聞いたって、何を?」
女「若いオトコの人は、射精をして悩む人がいるらしいんです。だけど、男さんは健全な気持ちでオナニーを楽しめる人だから、みんなを大切に出来る人なんだよ――と」
女友よ……。
あいつは何を言ってくれてるんだ。
しかも、ゆうの受け売りかよっ!
女「だから私、少しだけ信じてみることにしたんです」
男「……はっ?」
266: 以下、
女「月曜日に女友ちゃんから、私のことを説明されましたよねえ」
男「まあ、少しは……」
女「そしてその日から、男さんはアプリを使いませんでした」
女「私を大切にしてくれたことが、すごくうれしかったんです//」
男「う、うん……」
そう答えつつ、疑問に思った。
一体、今は何の話をしているんだ?
女「だから、その……」
女「私と付き合ってくださいっ!」
267: 以下、
男「付き合う?!」
女「はいっ。私ではだめ……ですか?」
本気で言ってるのか?!
女さんは、俺のせいでつらい思いをしていた。
だから、昨日のように激昂したのも無理はない。
それなのに、一体どんな心境の変化があれば、一晩で付き合うという結論に至れるのだろうか……。
女友が上手く言ってくれたからか。
それとも、ゆうの記憶を受け継いだからか?
女「ごめんなさい……。考え込むなら、さっきの話は忘れてください」
男「えっ……?」
女「ゆうさんのことを大切にしていた男さんなら、私のことも大切にしてくれると思ったんです」
女「だけど、ゆうさんを壊した私なんか、もうすぐ死んでしまう私なんか、彼女にしてくれる訳がないですものね――」
268: 以下、
その言葉を聞いて、女さんは大切にされたいと思っていることが分かった。
つらいことがありすぎたから、つらい未来が待っているから――。
俺は何としてもでも、女さんを助けたい。
そしてその女さんが、俺のことを必要としている。
ならば、返事は一つしかないじゃないか!
男「女さん、俺も付き合いたい。死の原因を探して、一緒に乗り越えよう」
女「え……、良いんですか?!」
男「こうして出逢えた訳だし、俺は女さんを知りたいと思う」
女「は、はいっ。うれしいです//」
269: 以下、
女「そ、それじゃあ、今日を記念日にしてほしいです//」
男「記念日?!」
そう言うと、女さんは俺の隣に座り、肩を寄せた。
ぴったりと身体が触れ合い、ドキドキと胸が高鳴る。
ゆうでは感じることの出来なかった温もりが、すぐ隣にある。
母「……ケーキ、持って来たんだけど」
男「どわぁっ! な、何で勝手に入ってるんだよ!」
母「ちゃんと、ノックしたわよ」
男「ええっ、いつ?!」
母「いい雰囲気だったのに、ごめんね〜。何だか邪魔しちゃったみたいで」クスクス
女「そ、そんなことないです// ケーキ、ありがとうございます」アセアセ
270: 以下、
男「びっくりしたー」
女「……今日はだめですね」
確か、リビングにいたら声が聞こえるんだよな……。
母さんは油断禁物だ。
とりあえず、ケーキを食べて紅茶を飲むことにした。
男「そうだ、女さん。付き合うようになった訳だし、連絡先を交換しようよ」
女「はいっ」
女さんはそう言うと、通学鞄から筆記具を取り出した。
そしてお互いに、連絡先をメモ用紙に書いて交換した。
男「ありがとう。スマホの修理が終わったら連絡するから」
女「楽しみに待ってます♪」
271: 以下、
女「でも修理が終わったら、ゆうさんが帰ってきますよねえ」
男「そうだけど」
女「そうなったら、ゆうさんのアプリは二度と使わないでほしいんです」
男「えっ?」
女「これ以上は、本当に耐えられません……」
女さんの表情が暗く沈んだ。
使うことで何が起きるか考えると、当然の要求だろう。
272: 以下、
男「やっぱり、そうするしかないか……」
女「エッチな本は見てもいいので、アプリ以外でお願いします」
男「分かった……。でも一応、三人で話し合おうよ。ゆうにも意見があるだろうし、死の原因も考えないといけないから」
女「……そうですよね。でも操られるのは、もう限界なんです――」
男「限界……か。俺のせいだよね」
女「いえ……。そんなことないです」
男「う、うん……」
女「はい……」
男「……」
女「……」
男「…」
女「」
278: 以下、
男「あ、あの!」
女「はいっ!」
男「次の休みに、デートしようよ」
女「デート、ですか?!」
女さんは驚きつつも、身を乗り出してきた。
気まずい沈黙が続いてしまったけど、何とか話を続けられそうだ。
男「どこか行きたい所はある?」
女「私は動物園に行きたいです!」
男「動物園?!」
279: 以下、
そこは日曜日に、ゆうと行ったばっかりだ。
定番コースだから、女さんが行きたがるのは普通のことなんだけど……。
まあ、行きたいならば仕方がない。
女「私はネコや動物が好きなんです。だから、動物園に行きたいです」
男「じゃあ、土曜日の9時30分に、動物園の前の駅で待ち合わせで大丈夫かな」
女「日曜日にしませんか? 21日から、特設コーナーが変わるんです」
男「そうなんだ。じゃあ、日曜日に待ち合わせで」
女「はいっ。男さんと初デート、楽しみにしています♪」
男「俺も楽しみにしてるよ」
280: 以下、
女「それではその……、今日を記念日にしてほしいです//」
女さんはそう言うと、何かを待つように目をつむった。
昨日の今日で、どうしてこんなことが出来るのだろうとは思う。
大切にされたいとか、死が近いとか。
そんな気持ちが、女さんを急がせているのかもしれない。
だけど、同情ではなくて。
積極的なところが、女さんはゆうと同じだなと思った。
女「……んっ…」
男「女さん、今日からよろしくね//」
女「はぃ//」
女「あの……、男さん。遅くなると母が心配しますし、今日はもう帰りますね」
男「ああ、うん。近くまで送って行こうか?」
女「いえ、自転車なので。ではまた、日曜日に//」
281: 以下、
〜リビング〜
女さんを見送って、キッチンで食べ終わった食器を洗った。
そしてリビングを通ると、母さんに声を掛けられた。
母「ねえ、男。昨日、女さんと何があったの?」
男「それは……」
母「大体のことは聞いたんだけど、男からも聞いておきたいのよね。女さんが、スマホを壊した理由」
女さんは母さんに、自分が壊したことを話したのか……。
しかし母さんの態度から察するに、アプリのことは話していなさそうだ。
男「……分かったよ」
男「詳しいことは言えないんだけど、知らない間に女さんを傷付けてしまっていたんだ」
男「そしてその原因が分かって、溜め込んでいた気持ちが爆発したんだと思う」
282: 以下、
母「知らない間にって、どういうことなの?」
男「本当に、言葉通りの意味なんだ。信じられないようなことが起きていて、知らない間に女さんを……」
母「信じられないようなこと……ねえ。彼女もそう言ってたけど、話してくれないと何も分からないじゃない」
確かに、母さんの言う通りだ。
だけどこれは、女さんにとってデリケートな内容だ。
女さんが望んでいないなら、言うことは出来ない。
男「女さんが母さんに説明してないなら、俺からも言うことは出来ない」
母「そう……、もう良いわ。他校の生徒みたいだし、恋愛か何かで行き違いがあったんでしょ」
男「それは……」
母「二人で乗り越えればいいと思うし、二度と同じことを繰り返すんじゃないわよ」
男「それは分かってる」
283: 以下、
母「それにしても、男に彼女がいたんだ〜」ニヤニヤ
男「まあ、ようやく」
母「女さんって、どういう子なの?」
男「どういう子って聞かれても、少し困るんだけど」
母「この前、アダルトアプリを見せてもらったでしょ」
男「あー、うん」
母「彼女とゆうさん? 何となく似ている気がするのよね……」
それに気付くとは、目ざといな……。
関連付けられるとまずいので、上手くごまかしておかなければ。
284: 以下、
男「女さんとは、まだ知り合ったばかりなんだ。女友の友達だし、気になるなら聞けばいいんじゃない?」
母「そうなんだ。女友ちゃんの友達なら、何の心配もいらないわね」
男「当たり前だろ……」
さすが女友。
持つべきは幼馴染だな。
母「でも、心配なのは男なんだからね。DVとか避妊しないとか、無責任なことをしたら許さないから!」
男「分かってるって……」
母「女友ちゃんの信頼を失わないように、彼女を思いやる気持ちを大切になさいね」
285: 以下、
〜待ち合わせ・休日〜
男「女さんは、まだ来ていないみたいだな」
まだ約束の20分前だし、早く来すぎたかもしれない。
女さんは、一体どんな服を着てくるのだろうか。
今日一日がすごく楽しみでもあり、不安でもある。
しばらくして、女さんが駅舎から出てきた。
それを見て、俺は唖然としてしまった。
女「男さん、おはよう。待たせちゃいましたか?」
男「そ、そんなことないよ。おはよう……」
女「……?」
どういうことだ。
女さんが着て来た服は、ゆうがいつも着ている洋服と同じじゃないか。
これでは、先週と何も変わらない――。
286: 以下、
男「女さん、その服……」
女「あっ、気付きました?」
女「思い切って、新しい服を買っちゃったんです♪」
男「新しい服?」
女「はいっ。男さんは私の服を全部知ってるから、新しい服で喜んでもらいたかったんです//」エヘッ
俺のために、新しく買ってきてくれたのか。
それならば、ゆうと同じ服だなんて、とてもじゃないけど言えないよな……。
最初から雰囲気を壊したくないし、今日は黙っておいてあげよう。
女「あの……、似合ってますか?」クルリン
男「うん。女性らしくて、すごく可愛いよ」
女「わぁ、うれしいです// 実はここがポイントで――」
男「じゃあ、行こうか」
女「はいっ♪」
291: 以下、
〜動物園〜
女「休日の動物園は、家族連れやカップルが多いですね〜」キョロキョロ
男「俺たちもその中の一組だよ」
先週来たときは、現実的には一人スマホだった。
だけど今日は、女さんと二人で来ている。
誰がどう見ても、これはデートだ。
女「そうですよね。私たちもデートだし//」
女さんはそう言うと、手を繋いできた。
少し戸惑ったけど、リードすべきだと思って、手を握り返す。
それだけで、心の距離が縮まった気がした。
女「ねえ、サファリコーナーから行きませんか。キリンの赤ちゃんに会いたいです」
男「じゃあ、まずはキリンに会いに行こうか」
292: 以下、
女「ねえねえ、赤ちゃんキリンはどこだろ」
男「いたっ。ほら、あそこ!」
女「お母さんと一緒に歩いてる。かわいい〜」
男「そうだね」
女「知ってました? キリンは牛の仲間で、『モォー』って鳴くらしいですよ」
男「へえ、そうなんだ。鳴かないかなあ」
女「鳴かないかなぁ」
キリン「…」
キリン「モォー」
女「男さんっ、聞こえた?!」
男「聞こえた!」
粘り強く待っていると、赤ちゃんキリンが鳴いてくれた。
動物園はどうかと思っていたけど、新しい発見ってあるものなんだな。
293: 以下、
女「運が良かったね、私たち!」
男「ああ、初めて聞いたよ!」
女「私もっ」
男「鳴かぬなら鳴くまで待とう、ってやつだな」
女「……鳴くまで待とう、か」
男「そうそう、徳川家康。赤ちゃんキリンを信じて良かったよ」
女「うん、そうだね……。赤ちゃんキリンを信じて良かったです」
男「じゃあ、特設コーナーに行こうか」
294: 以下、
女「特設コーナーは、世界のネズミ展だって。やっぱり、初日だから人がいっぱいだね……」
男「すごいな……」
ネコの次はネズミか。
冗談きついよ、この動物園は――。
女「ハムちゃん、かわいぃっ!」
男「見てみて。こっちは、チビキャラがいた!」
女「うわっ、小さいっ! カヤネズミって言うんだ」
男「でも、準絶滅危惧種だって。自然が減ってるからかな……」
女「可哀想だけど、仕方ないですよね。家にいたら嫌だもん」
295: 以下、
男「確かに嫌だけど、カヤネズミも自然を人に壊されたら嫌なんじゃないかな」
女「……考えてみればそうかも」
男「生態系も人の繋がりも、なくなったら取り戻せないから大切にしたいよね」
女「……」
女「男さんって、意外と良いことを言うんですね」
男「まあね。でも、意外とは余計だと――」
女「見てっ、あのネズミ。尻尾がひょろっと長いです!」
男「……ちょっと待って。はぐれるから」アセアセ
296: 以下、
女「世界のネズミ展、パンダマウスがプリティーでしたね〜//」
男「パンダ柄って、破壊力抜群だよな」
女「あれは無敵ですね。カピバラさんは常設の触れ合いコーナーがあるらしいから、後で行きたいです」
男「そうだね、そうしよう」
女「でも、先週で終わったネコ展も見たかったな……」ショボン
男「じゃあ、今からライオンを見に行こうよ。ネコ科だし」
女「ネズミの王に会う前に、百獣の王に挨拶しましょう♪」
ライオン「――」チラリ
女「きゃあぁっ、こっち見た! やっぱり、ネコ成分は必要だね//」
男「女さんは、本当にネコ好きなんだな」
297: 以下、
女「ねえ、男さん。一緒に写真を撮りましょうよ」
男「いいよ」
そう返すと、女さんは通りすがりの女性に声をかけた。
そして、スマホを渡す。
女「ライオンとスリーショットでお願いします」
おばさん「じゃあ、もう少し寄ってください」
女「あっ、はい……//」
おばさん「では、撮ります。はい、チーズ」
パシャリ
男・女「ありがとうございました」
298: 以下、
女「いい感じに撮れましたね。このライオン、密かにカメラ目線ですよ」
男「本当だ。慣れてるなあ」
女「彼は慣れてますよね。では、この写真。男さんのスマホが直ったら、メールしますね♪」
男「あっ、うん。楽しみに待ってるよ。それじゃあ、お昼にしようか」
女「そうですね。いつの間にか、こんな時間なんだ……」
男「じゃあ、あのレストランでいいかな」
女「良いですよ。お昼を食べたら、カピバラさんに会いに行きましょうね!」
女さんはそう言うと、腕を絡ませてきた。
胸が当たって、その柔らかさを感じる気がする。
一緒に写真を撮ったり、腕を組んで歩いたり。
ゆうでは出来なかったことが、女さんとは出来る。
だけど、積極的すぎる気がしていた。
299: 以下、
・・・
・・・・・・
女「今日は楽しかったです♪」
男「俺も楽しかった。女さんって、動物とドーナツが好きなんだな」
女「形が可愛くて、美味しいじゃないですか〜」
男「ふんわり食感も良いよね。最初、ダジャレかと思ったけど」
女「ダジャレじゃないですっ」プンスカ
男「そういえば、円の方程式って勉強した?」
女「習ったかもだけど、数学は苦手です……」
男「だったら、一緒に試験勉強しない? 学校は違うけど、内容は変わらないだろうし」
女「そうですね。試験が近いし、授業も遅れちゃったから……」
男「じゃあ、週末にどこかで勉強しようよ」
女「はいっ。連絡、待ってます//」
300: 以下、
男「そうだ。ドーナツが好きなら、ドーナツ屋さんに寄っていかない?」
女「あっ、いいですねえ。でも、ちょっと歩き疲れたかも……」
男「じゃあ、近くのお店にしようか」
女「いえ、そこに公園があるみたいですよ」
男「えっ、その公園は――」
女「ほらっ、木漏れ日が気持ちいいです。ちょっと上ってみましょうよ」
歩き疲れたと言った割には、すたすたと散歩道を駆け上がっていく。
女さんは、ここで俺が何をしたのか知っているのだろうか。
いや、知っていれば行きたがらないよな。
散歩道を見上げると、女さんが手を振ってきた。
それを見て、仕方なく後を追うことにした。
過去の失敗は反省して、女さんが喜んでくれることを考えよう。
304: 以下、
女「恋人たちの人気スポットって聞いていたけど、まったく人がいませんね」
男「森林公園って、カップルが好んで行きたがる場所だとは思えないけど」
女「でも、私たちには好都合です」
男「好都合?」
何だか、これと同じような会話を先週もした気がする。
ならば、次に出る言葉は――。
女「ねえ、男さん。一緒にエッチしませんか?」
男「やっぱりか。どうして、こんな所で?」
女「ここは特別な場所だから……。だから、私の初めてをここで受け取ってほしいんです」
男「俺はそんなつもりはないし、女さんを大切にしたいから」
女「コンドームなら、私が持ってますよ。安心してください」
305: 以下、
女さんはそう言うと、バッグから箱を取り出した。
そして箱を開け、たくさん入っていた小袋を、一つちぎり取る。
それを受け取って見ると、中にピンク色のゴムっぽい物が入っていた。
男「これがコンドームなんだ」
女「はい。もし生でしたいなら、私はそれでも大丈夫ですよ」
女「だから、セックスしませんか?」
どうして、こんなに準備が良いんだ。
いや、最初からそのつもりだったということか……。
男「こういうことは、俺のほうから誘うべきだと思うんだけど……」
女「私からでも良いと思います」
男「でも、知り合って間もないだろ。早過ぎると思う」
女「……私は不安なんです。だから、早くしたいんです」
306: 以下、
男「不安?」
女「私はもうすぐ死ぬんですよね……。だから、その前に愛されたいんです!」
男「それでセックスを……」
女「はい」
男「女さんは死なせない。だから、大丈夫だよ」
女「ねえ、男さん。どうして、私がこの公園に来たと思いますか」
男「まさか……」
女「この公園で、ゆうさんとセックスをしたんですよね?」
307: 以下、
男「知っていて、ここに来たのか」
女「そうです。ゆうさんのメールに書いてありました」
男「メール?!」
ゆうはメール機能まで使えたのか――。
確かにメールの受信を教えてくれていたし、内容も把握していた。
だけど送信履歴がなかったので、作成も出来るとは思っていなかった。
女「最初だけしか読めなかったけど、ここでしたことは分かっているんです」
女「だったら、私としてくれても良いじゃないですか!」
308: 以下、
男「女さんとゆうでは、その意味が違うと思うんだけど」
女「違わないです。ゆうさんは、セックスだと認識していたんですから」
男「だとしても、ゆうはアプリだろ」
女「そのアプリは、幽霊になった私です。ならば、男さんは私とセックスしていたことになります」
男「だから、女さんもセックスしたい?」
女「私は今まで、たくさん苦しんで来ました」
女「それを耐えられたのは、男さんのことが好きだからだ……。そう思いたいんです」
女「死んでしまう前に、愛されていることを実感させてほしいんです」
309: 以下、
男「女さんの気持ちは分かったよ。でも、それは良くないことだと思う」
女「どうしてですか?」
男「俺はゆうに出会って分かったんだ。セックスって、お互いに想い合う気持ちが大事なんだなって」
女「お互いに想い合う気持ち……」
男「そう。今の女さんは、つらい想いを紛らわせるために、セックスをしたいんだろ」
男「それって、現実逃避に俺を利用しているだけじゃないか」
男「ゆうの話は、それを正当化させようとしているだけに聞こえた」
男「そんなつもりでしか俺を見てくれていないなら、今の女さんとはセックス出来ない」
そう言うと、女さんは悲痛な表情で訴えてきた。
310: 以下、
女「それの何が悪いんですか!」
女「死にたくなるほど毎日がつらくて、でもやっと原因が分かって、現実と向き合おうと思っていたんです」
女「ゆうさんのことが好きなら、私を大切にしてくれると思ったんです!」
女「彼女になれば、この苦しみを乗り越えられると思ったんです!」
女「それは、あなたでないと意味がないんです!」
311: 以下、
男「女さんは少し間違ってる! つらい想いを癒したいからセックスしようとか、そんな繋がりもあると思う」
男「だけど俺たちは、まだ出会ったばかりだろ。もっとお互いのことを知ってから、するべきことだと思うんだ」
女「……それだと遅いんです。だから、早く繋がりが欲しいんです!」
男「女さんも自分で言ってたじゃないか。俺のことを『健全な気持ちでオナニーを楽しめる人だから、みんなを大切に出来る人だ』って」
女「……」
男「セックスも健全な気持ちで、お互いに想い合うことが大切なんじゃないかな」
男「俺が守ってみせるから、俺と真剣に向き合ってほしい」
312: 以下、
女「……」
女「……私のこと、もう嫌いになりましたよね。私は、男さんを利用していただけなんですから」
男「そんな訳ないだろ!」
俺はそう言うと、女さんを抱き締めた。
今ここで伝えないと、すべてが終わってしまう。
女「わわっ、離してください//」
男「今日のデートで、女さんは明るくて積極的な女子だと思った。つらい気持ちを抱えているのに、楽しかったと言って笑顔を見せてくれた」
男「そんな女さんを、もっと知りたくなった」
男「だから、一緒に相手の気持ちを想い合うことから始めようよ。俺は女さんと、本気で付き合いたいんだ!」
女「……ぁ」
313: 以下、

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