大鯨「て・い・と・く、今日も一日頑張りましょう!」提督「うん、頑張ろう」back

大鯨「て・い・と・く、今日も一日頑張りましょう!」提督「うん、頑張ろう」


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1:

執務室
大鯨「?♪」カキカキ
提督「……」ジーッ
大鯨「提督? 私の顔に何かついてますか」
提督「いや、特に何もついてないよ?」
大鯨「そうですか。しばらく私のことを見ていたので何かあるのかなと……」
提督「いやー、大鯨はよく働いてくれるなーって思っただけだよ」
大鯨「提督が秘書艦に選んでくれるからですよ」ニコッ
提督「他の艦娘達も大鯨みたいに積極的ならいいんだけどね。比叡とか加古とか寝てるし」
大鯨「あはは……」
提督(思えば、大鯨は今まで実戦どころか演習もロクに参加させていなかったな。鎮守府の戦力は間に合っているとはいえ、秘書艦の仕事とかばかりというのもなんかなー)
提督(そろそろ、演習に出すことを少しずつ考え始めるかな)
2:
――――――――――
【大鯨の初演習】

執務室
提督「ねえ、大鯨」
大鯨「なんでしょうか?」
提督「今までこうして秘書艦をやらせていたわけだけど、大鯨は出撃したいと思ったことはあったかな?」
大鯨「出撃ですか? そうですね……私は龍鳳として戦ったことがありますが、大鯨である今は潜水艦の子達の面倒を見たり、秘書艦をすることが楽しいのであまり考えたことはないです」
提督「そっかー、うーん」
提督(本人が楽しそうならそれを尊重してあげたいけど、実戦経験が艦娘になってから一度も無いからそう思うのかもしれないし……うん、やっぱ提案してみるかな)
3:
提督「大鯨が現状に満足しているのはいいと思う。でも、この先潜水母艦である大鯨の力が必要な作戦がもしかしたらあるかもしれない。だから大鯨にも多少の実戦経験を積んでもらいたいと思うんだ」
大鯨「でも……この武装で戦うのは厳しいと思いますよ?」
提督「戦闘用の艦種じゃないし、そこは仕方が無いさ。でも、艦娘としての戦い方とかは訓練だけでなく実戦で感覚を掴んでおいたほうがきっと役に立つとは思うよ?」
大鯨「そうですね。提督の言う通り、実戦の経験は大事だと思いますけど……」
提督「やっぱり、不安かな?」
大鯨「はい……」シュン
提督「そうか……まあ、いつか必ず実戦経験を積ませるために演習に出すこともあると思うから、それだけは覚えておいてね」
大鯨「はい、分かりました」
4:
――――――――――
その日の夜
提督の部屋
提督「とりあえず、大鯨のことと潜水母艦のことを色々調べてみるかー」サッ
提督「ふむふむ、潜水母艦はこういうことも出来るのか……よし、知り合いの提督にちょっと協力してもらおうかな」
Prrrr
提督「もしもし、今度の演習の件で相談がありまして……」
5:
――――――――――
次の日

大鯨「ええっ! 私が演習に!?」
提督「うん。明日の午後にちょっと特別な演習を組んでいるんだ。そこに大鯨とうちの優秀な潜水艦たちを参加させることになっている」
大鯨「特別な、演習?」キョトン
提督「うん。特別な演習の内容はこの通りだ」ピラッ
大鯨「えっと……潜水艦隊の指揮をして、敵水雷戦隊を殲滅……もしかして、私のためにわざわざ?」
6:
提督「そうだよ。ちょっと仲のいい提督に頼んでみたら快く引き受けてくれたんだ」
大鯨「そうですか……つまりこれは潜水艦作戦の練習が……」ジーッ
提督(食い入るように資料に目を通してるな……)
提督「キャンセルなら今のうちに出来なくはないけど……やってみるかな?」
大鯨「はい! 是非私にやらせてください!」
8:
提督「おお! その意気で頑張ってね。じゃあ、この後は潜水艦たちと作戦会議を行って訓練をしておくように」
大鯨「はい! ちゃんと指揮できるように、頑張ります!」
大鯨「では、失礼しました!」ガチャ
バタン
提督「予想と反して、結構やる気があるようで一安心、かな?」
提督「相手はソナーや爆雷を充実させて来るだろうから厳しいだろうけど、勝っても負けても大鯨が実戦の感覚を掴んでくれればいいな……」
9:
――――――――――
当日
昼過ぎ
大鯨「いよいよ、始まるんですね……」ドキドキ
伊168「大鯨さん、訓練とは違って大変だと思うけど、水上機での偵察と指揮の両方を頑張ってね」
伊58「昨日の訓練通りにすればきっと勝てる相手のはずでち!」
伊19「攻撃はイクたちにお任せなのね!」
伊401「偵察の支援として私も晴嵐さんを飛ばしちゃうよ!」
伊8「皆でサポートするから……勝ちに行きましょう」
大鯨「皆……はい。お互いで支えあって、絶対に勝ちましょう!」
潜水艦達「「「はい!」」」
10:
――――――――――
数時間後
提督「もうそろそろ帰ってくるかな」カキカキ
ガチャ
大鯨「無事、帰ってきました……」ボロッ
提督「無事じゃないみたいだね……お疲れ」
大鯨「ううっ、雷撃戦で魚雷を避け切れませんでした……」トホホ
提督「集中狙いされるから仕方ないと思ってたよ。ところで、演習の結果はどうなった?」
11:
大鯨「はい、結果ですが……こちらの被害は私が大破、イムヤちゃんとしおいちゃんが中破、残りの子達は小破しました」
大鯨「敵艦隊は昼戦・夜戦含めた結果、敵艦隊の旗艦以外を撃沈判定にしてA勝利しました……」
提督「おお! 十分すぎる戦果じゃないか!」ガタッ
大鯨「でも……殲滅は出来てないですよ?」
提督「ああ、あれは大鯨達に本気で挑んで欲しいと思ってわざと書いたんだ。本来は勝ち負け気にせず大鯨の実戦経験を積んでほしいだけだったし」
大鯨「そうだったのですか……あの、倒しきれず皆が落ち込んでいましたのでこのことを報告しに行っていいでしょうか?」
12:
提督「是非そうしてくれ……入渠ドックの中でね」メソラシ
大鯨「へ? あっ……」カァァ
提督「……真剣な話してたから、中々言えなかったんだ、ごめん」
大鯨「あ、ああ……て、提督に、見られ……」バッ
提督「頼む! 大声で叫ぶのはやめてくれ!」
大鯨「きゃあああああああああっ!」ダダダッ 
ガチャ バタン
提督「……どうしよう、後でイクたちのお仕置きが来そうだ」ガクブル
その後、提督がおしおきをされたのは言うまでもない
18:
――――――――――
【大鯨の心配り】

執務室
提督「あー目が疲れてきた」ゴシゴシ
大鯨「提督、目をこすらずこの蒸しタオルを使ってください」スッ
提督「おおっ、ありがとう。ありがたく使わせてもらうよ」パサッ
提督「やっぱ目の疲れには目薬よりこっちだよねー、気持ちいい」
大鯨「予め用意しておいてよかったですね。肩のマッサージも一緒にどうですか?」
提督「実は少し肩も凝ってたんだよね。是非頼むよ」
19:
大鯨「はい、では上着だけ脱いでください」
提督「おっけー」ヌギヌギ
大鯨「では早……結構凝ってますね」モミモミ
提督「最近そんなにしてなかったからねーあー気持ちいいよー」
大鯨「力加減はちょうどいいですか?」モミモミ
提督「うんうん、ばっちりだよ」
大鯨「分かりました。このまま続けますね」モミモミ
20:
提督(大鯨は本当にいい子だなー。こんな状況にも即座に対応してくれて……今度、是非感謝を込めてお返しをしないとね)
提督(どんなお返しにしようかな……気持ちよくて考えがでな……)
大鯨「提督、そろそろ凝りはほぐれ……あれ?」
提督「」グーグー
大鯨「よっぽど疲れていたみたいですね。でも椅子で寝ると身体に悪いですから……よいしょ」
21:
数時間後
提督「……んっ?」パチッ
提督「どうやら寝てしまっていたのか……とりあえずタオルを取って……あれ? 大鯨?」
大鯨「」スースー
提督「もしかして、ソファに座って膝枕してくれていたのか」
提督「……ここまでしなくても別にいいんだけど、もうしばらくこのままでいいかn――」
22:
ガチャ
伊58「てーとく、夕ご飯が出来たから呼びにきたで……」
提督「」
伊58「……邪魔をして悪かったでち」バタン
提督「ちょっと待って、それ多分誤解だから!」ガバッ
大鯨「」スースー
後日、提督は青葉を筆頭に色々な艦娘にからかわれるのだった
31:
――――――――――
【浴衣艦娘達の感想・駆逐艦編】
提督「急な出張から帰ってきたらうちの艦娘の何人かが浴衣姿になってるとは思わなかった」
大鯨「提督の驚く顔は少し面白かったですね」クスッ
提督「……そりゃ、驚かないほうが無理だよ」
大鯨「それもそうですね。ところで、皆さんの姿を見てどう思いました?」
提督「ん? 話さなきゃダメ?」
大鯨「はい、男性の意見が知りたいですから」
32:
提督「そうかー。じゃあとりあえず駆逐艦から言おうかな。まずは江風かな」
提督「江風のイメージって涼風みたいな口調と姉貴分なところがあったが、結構可愛らしい浴衣姿でびっくりしたよ。夕立らしきぬいぐるみっぽいのを抱えているのも加味して」
大鯨「うんうん、白い浴衣がよく似合ってますよね」
提督「そうだね。じゃあ次は朧かな」
提督「水着に引き続き緑がメインの浴衣だけどやっぱり緑色がよく似合う子だよね。何気に前の時には見なかった髪飾り……菊だと思うけど、もよく似合ってる。ただいつもの蟹のはさみが艤装の紐の近くにあるのは何でだろうね」
大鯨「蟹のはさみで切れるようなものじゃないと思いますよ?」
33:
提督「そうだよね……考えすぎだよね。次は浦風」
提督「江風と違って狐のお面がデフォルメされてるのに目が行ったけど、朝顔模様の浴衣がよく似合ってるね。あと腕の磯風と谷風のデフォルメされた何かも可愛らしいよね。銃を持っているのは射的が好きだからかな?」
大鯨「そういえば射的で色々と景品をゲットしていたみたいですよ? 十七駆の皆におすそわけしたとか」
提督「ほうほう、凄いなー。次は浜風」
提督「浴衣の花は忘れたけどよく似合ってる、頭につけたハイビスカスと思われる花飾りもいいと思う……けど、両手に焼きとうもろこしと綿あめ持って口にはイカ焼きって欲張りすぎじゃないかな?」
大鯨「あはは……浜風ちゃんなりにお祭りを楽しんでいるんですよ」
提督「まあ、まだ子供だから色々食べて大きくなって欲しいね」
提督(一部は子供じゃないけどさ)
34:
江風(か、可愛らしいって……)ドキドキ
朧(やった、褒めてもらえた)ガッツポーズ
浦風(提督さんにも、何かプレゼントを取ってこようかのぉ)
浜風(た、たまたまたくさん買ったタイミングで出くわすなんて思わなかっただけなのに……)カァァ
軽巡洋艦編へ続く
39:
【浴衣艦娘達の感想・軽巡洋艦・瑞穂編】
大鯨「駆逐艦の子達はこれで全員ですね。次は軽巡の皆さんですか?」
提督「そうだね。まずは大淀から」
提督「落ち着いた雰囲気のある彼女にあの水色をより濃くした色の浴衣……予想していたのとは違ってびっくりしたよ。あの色のおかげか椿と思われる花模様がより引き立っていて綺麗だね」
大鯨「色鮮やかでいいですよね。駆逐艦の子達の可愛らしさとは違って落ち着きがあって綺麗です」
提督「うんうん、いつも以上に魅力的だね」コクコク
大鯨「次は誰にしますか?」
提督「次は……長良にしよう」
提督「長良が日焼けしていたことについては置いといて……白色に橙色の朝顔の花模様が長良の元気いっぱいというか、活発さを表現できててよく似合ってる。大淀とは違って可愛い枠かな」
大鯨「お祭りでもはしゃいでいる姿を見ましたよ。元気いっぱいに」ニコッ
提督「なんとなく想像できるなー。名取は置いてかれそうになって慌てて追いかけてそう」
大鯨(当たってるけど、内緒にしておきましょう)
40:
大鯨「次は……流れ的に名取さんですよね」
提督「うん、そのつもりでいたよ。名取は落ち着いた色合いの浴衣で対極というか、とりあえず落ち着きがあっていいよね。帯と似た色の団扇で涼んでいるのもいい……うんうん」
大鯨「落ち着いてはいますけど、所々にある黒いラインが個性を引き立ててますよね」
提督「うんうん。他の子の浴衣に埋もれない個性だよね。次は神通かな」
提督「神通がこの色の浴衣をチョイスしたことにちょっと意外性を感じたかな。改二になってから戦闘以外では今まで通りだけど凛々しいとかそういう言葉がよく似合うイメージだったからさ」
大鯨「そうですね、私もちょっとだけ驚きましたけど、とても綺麗でしたよ」
提督「うん、確かに美しいって言葉が似合うよね。でもあの姿で戦うって想像つかないなー」
大鯨「戦闘の時は、きっといつものように激しい砲雷撃戦を繰り広げてそうですね」
提督「そうかもしれないなー。どこからか鉢巻とか取り出して巻いたりして……っと、次で最後かな?」
41:
大鯨「はい、瑞穂さんですね」
提督「うん、今回の捜索で唯一見つけられた子がまさか浴衣を着るとは思わなかったよ。なんかもうね、大和撫子ってイメージに当てはまりそうなくらい似合ってるよね」
大鯨「はい、私も一目見て提督と同じようなことを考えていました。普段から和装だからでしょうか? 綺麗です」
提督「うんうん……これで全員かな?」
大鯨「確か今のところはこれで全員ですよ」
42:
提督「ふう、女性を褒めるって大変だね。今回は詳しく聞きたいって言われたから頑張って考えたけど、本人の前では恥ずかしくて言えないね」
大鯨「そうですか……私の浴衣姿を見せても、本人から直接感想を言ってもらえないようなのでどうしましょう……」
提督「え? 大鯨も浴衣あるの?」
大鯨「はい。戦闘用ではなく、普通の浴衣ですけどね」ニコッ
提督「…………」ジーッ
大鯨「…………」ジーッ
提督「……よかったら、見せてください」
大鯨「はい。着付けに時間が掛かるので少し待っていてくださいね」
43:
提督「うん、ここで待ってるよ」
大鯨「はい」ガチャ
江風「あっ」
大鯨「あら?」
提督「」
朧「え、えっと……その……気になって」
浦風「提督さんがうちらの浴衣姿をどう思うとるか気になったんじゃ」
浜風「……さっきのは、タイミングが悪かっただけです」ボソッ
提督「……ごめん、ちょっと一人にして」
駆逐艦娘「「はーい」」
この後散々悶えた後大鯨の浴衣姿に見惚れたとか
45:
――――――――――
【潜水艦娘達の疑問】

潜水艦寮
伊58「……はぁ」
伊168「どうしたのよ、ため息ついて」
伊58「ゴーヤはそろそろしびれを切らしそうでち」
伊168「何に対してよ」
伊58「大鯨さんと提督でち」
伊168「あー……」
46:
伊8「でも、この前提督を膝枕していたってゴーヤから聞いたけど」ヌッ
伊168「突然後ろから来ないでよ、びっくりするじゃない」ドキッ
伊58「確かにこの目でみたよ。でも、その後は大鯨さんの浴衣姿を見ていたこと以外に何も無いからじれったくて仕方が無いでち」ウーム
伊19「二人とも肉食系ではないから、ただ見ているだけじゃ何年もあのままだと思うのね」ヌッ
伊168「ちょっと! 突然肩に手を乗せないでよ! びっくりするじゃない!」
伊19「ご、ごめんなのね……」パッ
47:
伊58「……こうなったら、大鯨さんにてーとくさんのことをどう思っているのか聞くしかないでち!」
伊168「聞いて素直に話してくれるの?」
伊58「聞いてみないと分からないでち」
伊8「……はちは、気になりますね」
伊19「イクもどうなのか是非聞いてみたいのね!」
伊58「ゴーヤ達は今から聞きにいくけど、イムヤはどうする?」
伊168「……やっぱ気になるから行くわ」
48:

大鯨の部屋
大鯨「え、私が提督のことをどう思っているか……ですか?」
伊58「この前の膝枕の一件から、とても気になっていたでち」
大鯨「そうですね……とても優しい人です」ニコッ
伊168「優しい人って……あまり意識してないって言われてるのも同じって聞いたことがあるわね」ボソボソ
伊58「きっと、詳しく聞けばその意味ではないことがきっと分かるでち」ボソボソ
大鯨「?」
伊8「えっと……はちは提督が優しい人だと思ったエピソードを聞きたいわ」
49:
大鯨「エピソードですか……前にこういうことがありまして――」
一時間後
大鯨「と、言うことがありました。他には――」
伊168「ねえねえ、これはもう確信犯でいいと思うんだけど……」ボソボソ
伊58「確信犯としか言えないでち……もう聞くのも疲れたでち」ボソボソ
伊8「はちはもう少し聞いててもいいけれど……」ボソボソ
伊19「次からはもう聞かないようにするのね……」グッタリ
次の日、三隻は特別に休暇をもらえたが、二日後はろ号消化で忙しかったそうな
51:
――――――――――
【そして、大鯨は選ぶ】

執務室
提督「今日の執務も終わりだな」トントン
大鯨「はい、お疲れ様でした」トントン
提督「大鯨もご苦労さん」
大鯨「はい」ニコニコ
52:
提督「そうだ、大鯨に聞きたいことが一つある」
大鯨「なんでしょうか?」
提督「実はな……大鯨の今の錬度を確認したところ、もう龍鳳に改造することが可能だということを知ったんだ。ここに設計図も一枚ある」ピラッ
大鯨「これが……龍鳳としての私の姿ですか」
提督「うん。今の大鯨も立派な潜水母艦だと思うが、龍鳳になることで更なる活躍が期待できると思ったんだ……君は、龍鳳への改造を受けたい?」
大鯨「私は――――」
大鯨(私が今望んでいること、それは……)
大鯨「――――龍鳳への改造を、受けません」
53:
提督「受けない、か。一応、理由を聞かせて欲しいな」
大鯨「はい。私は鎮守府で秘書艦として過ごして、潜水艦の皆と潜水艦作戦の演習をしていて、気づいたんです。私がやりたいことに」
提督「大鯨のやりたいこと?」
大鯨「はい。それは……唯一の潜水母艦として、潜水艦の子達をサポートすること。もう一つは……提督の秘書艦として、一緒に執務をすることです」
提督「つまり、龍鳳として戦うことより、潜水母艦として出来ることを全うしたいってことかな?」
大鯨「はい。過去と違った道を、艦娘になったことで歩むことが出来るようになりました。だから、龍鳳になることは望んでいません」
提督「そっか……それなら、この設計図は無かったことにしよう。そして、これからも潜水母艦として大鯨の活躍を期待しているよ」ニコッ
大鯨「……はいっ! これからも、大鯨をよろしくお願いします!」ニコッ
54:
――――――――――
【幸せなひと時】

執務室
大鯨「今日のお昼は、大鯨特製のカレーですよー」
呂500「とっても嬉しいです、はい!」
伊168「午後も頑張れるわね!」
伊58・伊19「やったでち!(のね!)」
伊8「これは良い物ですねえ」
伊401「やったね!」
大鯨「うふふ」
55:
まるゆ「まるゆも……ご一緒して、よろしいのでしょうか?」
大鯨「もちろんですよ」ニコニコ
まるゆ「あ、ありがとうございますっ!」
提督「じゃ、皆手を合わせてーいただきます!」
艦娘達「「「いただきます!」」」
56:
提督「お昼の時は執務室に来るようになったな、皆」
大鯨「そうですね。私が秘書艦ですからね」
提督「それもそっか、大鯨は潜水艦達のお母さんみたいなものだからね」
大鯨「お母さんですか……私は艦娘なので母親はいませんが、この子達の親でいるのもいいかもしれません」ニコッ
提督「……前向きな反応でよかったー」
57:
大鯨「どうしました?」
提督「あ、いや……気にしなくていいよ。それより皆おかわりしそうな勢いだよ」
大鯨「本当ですね。提督もたくさん食べてくださいね」
提督「もちろんだよ」パクパク
大鯨「気に入っていただけて、よかったです」ニコッ
大鯨(こうして、提督のお手伝いと潜水艦の子達を面倒見る日々、そしてたまにある演習とそこまで多くのことはしていませんが、十分幸せです)
大鯨(大鯨として、第二の人生――艦が人生って言うのも少し変な気がしますが――を送れることの嬉しさと、この鎮守府での日々は、私にとって……最高の宝物です)
終わり
58:
以下、この〆で満足出来ない人向けのおまけ
※一部地の文注意
――――――――――
あの後、半年ほどが経ちました
私はここの鎮守府に着任して、一年が経ちました。この一年は潜水艦の子達や提督とのかかわりがほとんどだった気がしますが、他の方達も皆良い人たちです
でも、龍鳳にならないまま今日まで来てしまって、本当によかったのかと少し思い始めていました。戦いが激しくなり皆が負傷していく中、見ているだけですから……
後ろめたさを感じながらも、私は大鯨で居続け、提督のサポートをし続けました
そんなある日、提督が私を個人的に部屋に呼んだのです。私は夜に提督の部屋を訪れ、横に並んで座りました
59:
――――――――――
大鯨「私への用とは、何でしょうか?」
提督「その質問の前に大鯨に聞きたいことがある。大鯨は今日が何の日か、分かる?」
何の日……ここに来る時にもしかしてとは思いました
大鯨「……私が着任した日、でしょうか?」
提督「その通り。今日は大鯨にとっては記念日とも言えるね。だから……これ」
提督は隠し持っていた黒く小さい箱を取り出します
大鯨「これは……私へのプレゼントですか?」
提督「うん。是非受け取って欲しい」
大鯨「あ、ありがとう……ございます」
60:
私は、提督から箱を受け取りました。箱は軽くてあまり重量のあるものではないことが分かりました
大鯨「あの……開けてみてもいいですか?」
提督「もちろんだよ」
大鯨「じゃあ開けますね」
私が黒い箱を開けてみると、綺麗な髪飾りのようなものが入っていました
大鯨「これは……髪飾り、ですか?」
提督「そうだよ。ネックレスとかブレスレットとかも考えたけど、前者はもう付けてるし、後者は料理作る時に邪魔になると思ってね」
大鯨「あ、ありがとうございます! 大切にしますね」
61:
提督「よかった。喜んでくれて……後もう一つ、大切な話がある」
私が笑顔を見せると、提督は安心して笑顔になり、またすぐ真剣な表情に戻りました
大鯨「私に、ですか?」
提督「うん。一年間、ここで暮らして……大鯨は楽しかったかい?」
大鯨「はい。とても楽しかったです」
提督「そっか……私も、君とほとんど一緒にいたこの一年が、とても楽しかった。そして、今まで言わないでいたこともある」
大鯨「それは……私に対して、ですか?」
提督「うん。それは……」
62:
提督は言葉を止めて、深呼吸をしました。そして、私の目を見て
提督「大鯨、私は君のことが……大好きだ」
少し緊張しながらも、提督は言いました
63:
大鯨「えっ……そ、そんな。私……ですか?」
提督「うん。私は長い間、君のことが好きで、君のことを見ていたくて、ずっと秘書艦に任命していたんだ」
大鯨「……」
提督「……私は、立場上あまり誰かを優遇したりするのは良くないと分かっていた。でも、それを無視してここまでずっと君を秘書艦という重要なポジションにつかせた。こんな私を好きになってくれているかは分からないけど、今日はこの気持ちを伝えたいって、思ったんだ」
大鯨「提督……」
64:
私は嬉しくて、腕を回して抱きついて、そして顔をぐいっと近づけて――提督にキスをしました
大鯨「……」
提督「……」
数秒間の短いキスを、提督は驚きながらも振り払わないで受け入れてくれました。私はもう少ししたいという欲求を抑えて、顔を離しました
大鯨「……これが、私の答え、です」
65:
提督「大鯨……ありがとう。私はとても幸せだ」
提督は私の背中に腕を回して、ぎゅっと強く抱きしめてきました。私も腕を回して、抱き返します
大鯨「私も……とても幸せ、です」
涙をこぼしながらも、笑顔で提督に気持ちを伝えました。そして、またキスを交わしました
66:
――――――――――
伊58「では、いつも通りろ号作戦を終わらせるため行ってくるでち」
提督「うん、大変だろうけどよろしくね」
伊58「初戦で単横陣に当たらなければいいだけでち、心配は無用でち」
大鯨「美味しい料理を作って、待ってますね」
伊58「楽しみにしてるね。じゃ、行ってくるでち」ガチャ
バタン
67:
提督「それにしても、割と気づかれないものだね。私たちは」
大鯨「そうですね。すぐにボロが出て気づかれるかと思いましたが、このまま何とかなりそうですね」
提督「そうだね。ケッコンカッコカリが出来るまで内緒だなんて無理かなーとか思ってたんだけどね」
大鯨「私の錬度もやっと60を越えましたし、後半分です」
提督「正しい折り返しは88くらいって聞いたけど……まあ、プラス思考でいかないとダメだよね。うん」
大鯨「はい。プラス思考でこの先も一緒に頑張りましょう」ニコッ
提督「うん、頑張ろう」ニコッ
伊58(やれやれでち、ゴーヤには二人の関係が更によくなったことくらいお見通しでち。でも、二人には恩があるから内緒にしてやるでち)
おまけ 終わり
6

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