モバP「アイドル専用車両に乗ってしまった……」back

モバP「アイドル専用車両に乗ってしまった……」


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1:
P「うう、焦っていたとはいえ、やってしまったなぁ」
ざわざわ ぼそぼそ
P「視線が痛い……早く別の車両に」
2:
渋谷凛「あれ、プロデューサー。同じ電車だったんだ」
P「凛! こ、これは間違えて乗っただけで」
凛「……別に焦らなくていいよ」
凛「専用車両って言っても、アイドルの乗車が優先されるだけなんだから」
P「それはそうだが……やっぱり、車両は移動しないと」
凛「もう電車は動いてるんだから、今移動したら危ないよ」
P「けど」
凛「危ないよ」
P「はい」
3:
P(結局、車両に残ってしまった。せめて、隅の方に行っておかないと)
凛「……プロデューサー、やましいことをしてるんじゃないだから、堂々としなよ」
P「いや、みんなも気にするだろうし。それに、まかり間違って痴漢を疑われたら」
凛「みんなはそんなに、自意識過剰じゃないから。ほら、こっちに来て」
ぐいっ
P「お、おい、凛……!」
4:
P(な、なんだってこんな混んでる場所に引っ張るんだ!)
P「凛、やっぱりまずいよ」
凛「いいから」
P「いいからって――ひっ」
P(尻を撫でられてる!? いや、なにか荷物が当たってるだけだ。とりあえず、手を回して)
がしっ
P「ぬわぁ! り、凛、俺の手が誰かに!?」
凛「……プロデューサー、ここにはアイドルしかいないんだよ」
凛「そんな痴漢まがいなこと、する人がいると思う?」
P「そ、それもそうだ。……すまん、取り乱した」
凛「ん、いいよ」
5:
P(凛の言う通りだ。手を掴まれてるのも、なにか勘違いがあるに違いない)
P(ちょっと振り向けば、相手もわかってくれるはず)
サッ
佐久間まゆ「うふっ」
サッ
P「なんで笑ってるんだよぉ!」
6:
凛「もう、プロデューサー! ここは公共の場だよ?」
P「だって、後でまゆが笑いながら手を」
凛「そうなの、まゆ?」
まゆ「ごめんなさい、Pさんが何を言ってるのか、まゆもちょっと……」
P「え、でも……いや、すまない。俺がどうかしてたみたいだ」
まゆ「いいんですよぉ……Pさんがまゆを想ってくれただけで、嬉しいですから」
7:
P(ちょっと意識し過ぎなのかもしれない。落ち着こう)
P(――あ、あれ? 今度は尻と同時に、両腕も触られてる!?)
P「ま、まさかな……」
サッ
凛「……ん」
まゆ「うふっ」
緒方智絵里「えへへ」
サッ
P「増えてるし、お前まで触るなよ!」
タッタッタ
凛「あ、プロデューサー、電車内で走ったら危ない――行っちゃった」
8:
P「ふぅ、思わず別の車両に来てしまった」
P(しかし、ここもアイドル専用車両のようだ)
P「けど、なんだか雰囲気が緩いな……」
P(アイドルしかいないから、みんな気が緩んでいる? よく見ると、ちょっとした化粧直しをしている人も)
十時愛梨「あー、なんだか暑いかも……脱いじゃお」
P「緩み過ぎだろ」
9:
愛梨「え、Pさん!? あ、でも、Pさんなら別に見られても」
P「よくないわ」
愛梨「でも、ここ、暑いですし……」
P「車内は弱冷房だ」
イヴ・サンタクロース「そうですね。ちょっと寒いくらいです?」
P「お前はなんで脱いでんの!?」
10:
P(目のやり場に困って、また車両を移動してしまった)
P(ここも専用車両のようだが……)
ざわざわ 
P(他の車両の比じゃないくらいに混んでるぞ!?)
P(これは下手に進むと、痴漢免罪の可能性だってある)
P「ん?」
P(よく見ると、この車両が専用車両の終わりだ。つまり、ここを抜けさえすれば、気まずい思いをしなくてすむ!)
P「……いくか」
11:
P「すみません、通してください。すみません……」
ぎゅうぎゅう
P(良い匂いがするなぁ……いやいや、早く抜けないと)
「きゃ!」
がしっ
P「え?」
12:
和久井瑠美「今、この人が私のお尻を……!」
P「え、わ、和久井さん!? 誤解です!」
瑠美「とぼけないで。この掴んだ手が証拠よ」
P「そんな!」
瑠美「P君がまさか、アイドル専用車両に乗り込んでまで、痴漢をする人だなんて……」
P「違うんですよ! これは間違って乗ってしまって」
瑠美「言い訳は聞きたくないわ。事実を認めないなら、この書類にサインをしてもらうわよ」
P「婚姻届け!? これじゃあ、既成事実を認めることに……!」
13:
三船美優「待ってください。Pさんは無実です」
瑠美「美優……どういうことかしら」
美優「私は見てました。Pさんは、瑠美さんを触っていません……」
P「三船さん!」
美優「私を触ってたんです」
P「三船さん!?」
14:
美優「怖くて言い出せなかったけど、瑠美さんが言ってくれたおかげです……」
瑠美「そう。そういうつもりなわけね」
美優「なんのことでしょうか。……Pさん。次の駅で一緒に降りてもらえますか」
P「そんな、俺は絶対にしてませんよ!」
美優「ふふ、今後のことを、じっくり話し合いましょう」
15:
片桐早苗「ストップ! 目の前で痴漢免罪をされちゃ、黙ってるわけにはいかないかなー?」
美優「免罪……早苗さん、Pさんが痴漢をしたことを認めたくないのは分かりますが……」
早苗「それなら、美優ちゃんが触られた部位を、P君はどっちの手で触ってたの?」
美優「え、あ、それは……」
瑠美「あら、答えられないの? 私はもちろん分かってるわ。左手よ」
美優「わ、私も左手です!」
P「あの、俺は荷物を左手で持ってたんですけど」
美優「え!? ――そう、ですか。瑠美さんは、私ごと……」
瑠美「悪いわね、美優。この勝負、引き分けにさせてもらうわ」
早苗「決まりね。次の駅で降りるのは、瑠美ちゃんと美優ちゃんよ」
早苗「お酒の出る場で、詳しく話を聞かせてもらうわ♪」
P「いや、仕事がありますからね!?」
16:
P「ふぅ、危なくいわれのない罪を被るところだった……」
P「けど、これでアイドル専用車両は抜けたし、もう安心だな」
P(見渡す限りアイドルばかりでない……こんなに落ち着くことだったのか)
P(あと少しで降りるけど、一息がてら座りたいな。――お、ちょうど一席空いてるぞ!)
すとんっ
18:
安部菜々「あっ」
P「え」
菜々「あ、あー……な、なんでもないですよ!? 菜々はJKですから、あと数駅くらい余裕」
P「どうぞ」
菜々「すんなり譲らないでくださいよ?!?」
21:
P「はぁ……あの時は大変だったなー」
P「とはいえ、今日から通勤には困らないぞ」
P「なんとプロデューサー専用車両ができたからな! これで間違ってもアイドルとトラブルは起きないはず……」
2

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