妖狐・河童・鬼「「「精をください主様!」」」浪人「出るか!」back

妖狐・河童・鬼「「「精をください主様!」」」浪人「出るか!」


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1:
妖狐・河童・鬼「「「え~……」」」」
妖狐「まぁ、食料も碌にない中で我らの相手をして頂いておりましたし、致し方ないことではありましょうが……」
鬼「そんくらい若い男なら平気だろ?眠気より食い気より色気のくせに」
河童「愛さえあればなんでもできるんじゃねぇのかー!?愛こそ全てだべ!!心に愛が無ければ英雄豪傑じゃねぇんだべ!!!」
浪人「何日も前から碌にものを食っておらんのに精など出せるわけなかろうが。あと『すぅぱぁひぃろう』とは何だ?またぞろ狐に何か吹き込まれたな?」
鬼「んで?腹ン中には代わりに何を入れりゃあいいってんだよ?腹ン中空っぽじゃあ力出ねぇぞ?」
浪人「それを聞きたいの俺の方だ…… ああ、以前にもキツく申し渡したが盗みや物取りのような真似はするなよ?」
河童「あれ、そんなん言ってたべか?まぁ、主様が駄目だっていうならやらねーだ」
鬼「それならどーすりゃあいいってんだ?金も無い、精も食いもんも無いってんじゃ俺ら全員飢え死にだぜ?」
浪人「もういっそそれでいくか?武士は食わねど高楊枝、腎虚も物取りに身をやつすのも御免被る」
妖狐「しかし、何事も経験であると言いますぞ?人間の言葉にも『やらない後悔よりやる後悔』というものがありましたような……」
浪人「何をほざきおるか!道に背くことなくお天道様に恥じることもないような生き方こそが武士の生き様よ!」
2:
鬼「バーカ、武士の心意気だか何だか知らねぇがそんなもんで腹がふくれるかよ」
河童「死んで花実が咲くものかー、命あっての物種、命に過ぎたる宝なし、だべ!」
浪人「五月蠅い!貴様ら妖怪如きに武士の生き様がわかってたまるか!!それと狐よ、河童に妙なことを教えるなと申したであろうが!!!」
妖狐「ほっほっほ。河童はむつかしい言葉を知っておるのぅ。どれ、頭を撫ででやろう」
河童「でへへぇ~」
浪人「親馬鹿か!」
鬼「んで主様?結局俺らには何を食わせてくれるんだ?」
浪人「……前から思っておったが、どうして俺が勝手についてきた貴様らの食事の面倒まで見てやらねばならんのだ?」
3:
鬼「えぇ~っと…… ああ、あれだ。俺はお前の弟子になってやったんだ。師匠が弟子の面倒を見るのは当たり前だろ?」
浪人「俺がいつお前なんぞを弟子にした!自分の食い扶持にも困っているというのにそんな余裕あるかぁ!!」
鬼「だから俺らが食いもん諦めてやるから、代わりにお前の精を寄越せって言ってんだろうが!」
浪人「だから食うものも食わずして精など出せるか!どうしてもと言うのなら、そこらから鳥なり何なりを捕まえて来んか!!」
鬼「おっと、その手には乗らねぇぞ?そうやってお前の傍から離れた隙に俺らを置いていくつもりなんだろう?」
浪人「しまった、その手があったか…… よし、貴様ら今すぐ何か食いものを取ってこい」
鬼「今のお前の台詞を聞いて『はいそうですか』って行く馬鹿がいるかよ」
妖狐「だそうじゃ。そんな阿呆にならぬよう河童よ、ここにおれ」
河童「ほえ?食いもの探しに行かんでええのか?」
4:
浪人「はぁ…… 今更だが貴様ら何で頼んでもないのに俺についてくるのだ?」
妖狐「本当に今更ですの。まぁ、それは我らが主様をお慕いしておりますからですじゃ」
浪人「そんなふざけた理由は聞いておらん」
妖狐「ふざけてなどおりませぬのに…… ま、理由の一つとして主様のお持ちになっている太刀から離れられぬこととか」
浪人「ならば今すぐもう一度封じられよ。その後は今度こそ誰も封印を解かぬような場所に収めてやる。で、貴様は?」
鬼「俺はお前の弟子だからな、師匠に付き従うのが弟子ってもんだろう?」
浪人「だから俺がいつお前を弟子にした!?ええいもう、弟子だと言うなら今すぐ破門だ!早々に立ち去れ!!で、最後は貴様だ」
河童「主様に助けてもらったからそのご恩返しがしてぇ!」
浪人「相分かった。今すぐ俺の元を去れ、それが一番の恩返しだ!」
河童「えぇ~……」
5:
浪人「というわけで解散解散。ほれ、さっさと散れ、散れ!」
妖狐「前々から申し上げておりますが、主様がその太刀を持っておられまする限り万一我が主様から離れたいと願うても離れられませぬ」
浪人「うむ、ならば金子が手に入ったらまずすべきことは代わりの刀を手に入れることであるな」
妖狐「まあ、なんと」
浪人「そうそう、ついでに煎り豆も買っておかねばな」
鬼「へ、へへっ、おいテメェ、そんなもんがホントに俺に効くとでも、お、思ってんのかよ?」
浪人「……相も変わらずわかりやすい奴だのう、貴様。柊や鰯の頭も苦手か?」
鬼「ぐぅうう~…… 弱みをついてくるなんざ卑怯だぞテメェ!」
浪人「はっはっは、聞く耳持たぬわぁ!! ……うん?」
河童「ぅう~……」
浪人「どうしたバ河童?」
河童「……お、オラ、ご恩返しがじでぇのにっ、恩返ししてぇだげなのにっ、ぐずっ」
6:
鬼「あー、主様泣かせたー。女泣かせたー」
妖狐「主様?言って良い冗談と悪い冗談があることは知っておられましょう?」
浪人「迷惑を被っておるのは冗談ではないのだがな…… ああもう、泣くな!泣くでない、俺が悪かった」
河童「主様ぁ、オラがんばるがらぁ、ご迷惑かげねぇがらぁ、主様ぁぁ~」
浪人「わかった!わかったから…… ええい、貴様らも何か言うてくれぇ」
妖狐「全く、仕方のない主様じゃ」
鬼「おーい、河童。大丈夫だぞ、主様お前のこと捨てたりしねぇぞ。なんたってお前のこと大好きだからな」
浪人「は?」
妖狐「そうじゃ、今はちょいと虫の居所が悪かっただけのこと。主様は我らをちゃあんと好いてくれておるでな。のぉ、主様?」
浪人「……は?」
河童「……ほんとけ?主様」
鬼「なー、主様?」
浪人「あー、うむ、その……」
妖狐・河童・鬼「「「主様?」」」
7:
浪人「……ええいもう、そうだ!大好きだ!!」
河童「主様……」
鬼「な?」
河童「主様ぁ!!」
浪人「どわぁっ!?いきなり抱きついてくるな!!」
鬼「……へへっ、俺も混ぜろ!」
浪人「待てっ!貴様の剛力で抱きつかれるのは洒落になら……ぐえっ!!」
妖狐「ふふっ、愛されておりますのぅ主様は……」
浪人「ぐふっ…… 何だ狐、その顔は?」
妖狐「……少しばかり餅を焼いてしまいましてな」
浪人「はぁ?餅などどこにある?」
鬼「いや、そういうことじゃねぇから」
浪人「はぁ?」
8:
浪人(――――しかし何ということだ。このような武士にあるまじき醜態を晒す羽目になるとは……)
妖狐(醜態などと…… 女の涙に優しい主様は、とても良い男でいらっしゃいますぞ?)
浪人(人の心の中に入ってくるな、化け狐!)
河童「……なぁ、主様」
浪人「……どうした?」
河童「泣いたら、その、皿が乾いてきちまって……」
浪人「早迷惑をかけるか!ええいもう、水は貴重なのだぞ!!」
妖狐「と、言いつつもちゃんと水をかけてやる辺り、主様はほんに優しい男よのぅ」
鬼「ははっ、優しいってかこりゃもう病気に近いんじゃねぇか?」
浪人「やかましいわ!」
9:
妖狐「ほっほっほ、照れておられる照れておられる。我もそんな主様が大好きじゃ!」
浪人「ぐぇっ!?き、貴様まで抱き着いてくるか!?」
鬼「俺も大好きだぞー、主様ー」
河童「オラだって大好きだぁ~!!」
妖狐・河童・鬼「「「主様ぁ~」」」
浪人「ああもう抱きつくな絡みつくな!何なのだ貴様らは!?」
河童「ちぇ~」
浪人「まったく、どうしてこんなことになってしまったのか……」
鬼「嫌なのか?」
浪人「ん?ああ、いや…… さっきも言ったがとにかく今宵はここで野宿だ。食うもんなどは明日考えることにする」
河童「んー、わかった。じゃあ今日は我慢するべ」
妖狐「ほれ、河童は我慢すると言うておる。お主も我慢せよ」
鬼「……わぁーったよ」
10:
浪人「……はぁ」
浪人(いやまったく、どうしてこんなことに…… 全てはあの日に始まったことか……)
妖狐(主様?過去を振り返るのは良いですが、ただ懐かしむだけでは何の意味もありませぬぞ?)
浪人(ええい、勝手に人の心の中に入ってくるなと言うとろうが!)
11:
―――――
―――

浪人(――――それは正に青天の霹靂であった)
浪人「なんと!殿がご失態を続けられたあまり遂に切腹を申しつけられたと!?」
年寄「然様、それに伴い御家は取り潰し。家来の者らも路頭に迷うことと相成り……」
浪人(幼き俺を背に負いつつ奉公先を求めていた父を召し抱えてくれた今は亡きご先代。その御恩に報いるべく死んだ親父共々殿を盛り立ててきたのだが……)
年寄「今はただ、殿を正しく導けなんだ我が身を悔やむばかり……」
浪人「こう言っては何だが殿はご先代とは似ても似つかぬ大虚け。こうなることはある意味必然かもしれませなんだ」
年寄「すまぬ、相すまぬぅぅ!!!」
浪人「……顔をお上げ下され。拙者は所詮は新参者、拙者より古参の御家来集の皆様にお計らいを……」
浪人(俺は数日の内に家財道具を売り払い、新たな奉公先を求める旅に出た。俺なんぞのために皆様の仕官先が減るのが申し訳なかったのだ)
浪人「幸い俺は身一つ、どうとでもなるさ」
浪人(そんな軽い気持ちで俺は新たな奉公先を求めて諸国を巡る旅を始めた)
12:
浪人(しかし、奉公先を探し求める旅の道中に思わぬ事態が起きたのだ)
??「へへっ、死にたかねぇだろお侍さんよ?有金全部置いて行きな」
浪人「……野盗か。やめておけ、命を落とすことになるぞ」
野盗「へへっ、泰平の世で腑抜けた武士なんぞが気取りやがって…… やっちまえぇぇいい!!」
浪人(野盗に襲われる、それぐらいなら別にどうということはなかった。剣の腕は立つ方だったのでな)
野盗「う、うぎゃぁあああ!?お、オイラの手がぁ!!?」
浪人「手の首で良かったと思え。頭の首ならもう死んでおるぞ?」
野盗「ひ、ひぃぃ~~~」
浪人「……さて、まだ来るか?」
野盗「ちきしょう!!」
浪人(問題は…… 二,三人斬ったところで起きた)
野盗「こなくそ!」
浪人「遅い!ってんなっ!?な、なんと……」
野盗「へ、へへっ…… そんな刀じゃ戦えねぇなぁオイ?」
浪人(唯一手元に残していた武士の魂、刀が野盗と剣を交えるうちにポッキリと折れてしまったのだ)
13:
浪人「なんということだ…… ええい!」
野盗「あっ、待ちやがれぇい!!」
浪人(悔しいが俺は逃げるしかなかった)
野盗「へっへっへ、お侍様と言えども刀も権力も関係ない山ン中じゃ女子みたいに逃げ回るしかできねぇんだなァ!!」
浪人(刺さるような雨降る漆黒の山奥を、俺は野盗の剣を躱しつつ懸命に走った!その最中あるものが目に留まった……)
浪人「これは何かの祠か? ……もしや」
野盗「お、天の岩戸のつもりかい?」
浪人(もしかしたら刀が奉納してあるやもしれぬと、俺は一縷の望みをかけてその祠を暴いた)
浪人「よし、あったぞ!野盗どもめ、目に物見せてくれるわ!」
野盗「うわっ、もう出てきやがった!?」
浪人「せいっ!!」
野盗「ぎゃぁぁあああああ!!!」
浪人「さっきは散々に言うてくれたな?……覚悟せいよ!」
浪人(運良くその祠には太刀が納められていた。年期は入っていたものの、野盗を斬るには十分だった)
14:
野盗「覚えてろぉぉーーーぃ……」
浪人「……去ったか。しかし、この太刀のおかげで助かった」
浪人(何人か斬ってやると野盗はようやく俺を諦めた。祠の主に感謝しつつ太刀を返そうとしたその時のことだ)
??「……なかなか使いよるの、お主」
浪人「何奴!?」
浪人(声のした方に刃を向けると、そこには目の覚めるような別嬪がおった)
妖狐『別嬪か。とうに耳慣れたと思っていたが、改めて主様にそう言われると照れてしまうのぅ……』
浪人『ええい、だから突然俺の心に入ってくるな!』
妖狐『で、どうされましたのかや?』
浪人(……その醜女は先刻まではいなかった。突然現れおったのだ。俺は醜女に何者かと問うた)
妖狐『醜女とな!?もう、主様ったら照れんでもよいではないか……』
浪人『……はぁ、もうよいわ』
15:
浪人「……貴様、何者だ?」
妖狐「お主が握っているその太刀に封じられておった狐じゃよ」
浪人「妖怪、か……」
浪人(あやかしに会うのは初めてではなかったが、目の前にいるのは封ぜられる程度には恐れられていたであろう妖怪。緊張が走った)
浪人「……一つ聞こう。封印が解けたのなら、なぜ直ぐに俺を襲わなかった?」
浪人(もう俺の命はない、そう感じていた。であるからして、俺はどうせなら死ぬ前に心に浮かんだ疑念を晴らそうとした)
妖狐「なに、我を解き放ってくれた者にちと礼を…… そう思っただけのこと」
浪人(下等な物の怪とは一味違うらしい。疑念の晴れた俺は二の太刀を考えぬ一撃必殺の構えをとった。刹那、妖狐が動いた!)
妖狐「封印を解いて頂き感謝しきり。この御恩に報いるべく、主様の在る限りお仕え致します」
浪人「……は?」
浪人(あやかしは突然跪き、俺が生きている間俺に尽くすと言ってきたのだった)
16:
妖狐『あの時は封印の解除を完全なものにするべく、この男を利用してやろうという腹積りでおりましたゆえ』
浪人『ふむ、それでいきなり忠を尽くすなどと言うてきたのか』
妖狐『ええ、己が意のままに操るためにまずは下手に出ようと』
浪人『……そんなことを俺に聞かせてもよかったのか?』
妖狐『構いませぬ。今の我は望みは、主様在る限りお傍に寄り添い続けることですゆえ……ね?』
浪人『何故そうなった……』
妖狐『お聞かせしましょうか?我が主様のどこに惚れたのか、どれほど我が主様を愛しているか……』
浪人『やめろ、そんなもの…… こっ恥ずかしゅうてかなわん』
妖狐『……残念じゃの』
17:
浪人『で、貴様に憑りつかれてしまってしばらくしてからか、河童と会ったのは』
妖狐『おや、そこに至るまでに我が主様に心底惚れさせられ、必死に尽くして主様の心を開かせ、遂に身も心も結ばれるといったことが……』
浪人『そういうのはやめろと言うておる』
妖狐『……御意』
浪人(あれは確か山裾の小さな村に立ち寄った時のこと)
??「ふぇぇ~、もうゆるしてけろぉ……」
浪人(不意に聞こえてきた幼子の泣き声、得も言われぬ憤りを感じた俺は声のした方へと走った!するとそこには……)
村人「くぉんのっ、このっ、このっ!」
浪人(齧りかけのキュウリを持った河童を男が滅多打ちにしている光景があった)
浪人「うーむ……」
浪人(俺は奇妙な違和感を覚えていた。頭の皿こそあるものの、滅多打ちにされている河童は俺の知る河童と微妙に異なる姿をしていたのだ)
18:
妖狐「ふむ、どうやらこの河童、人間の血が流れておる様子。ゆえにより人に近い姿をしております」
浪人「そうか、甲羅は縄を結わえ付けて背たろうとるだけか……って勝手に俺の心を読むな!入ってくるな!!」
河童「…………」
浪人「……ん?」
浪人(ふと、河童と目が合った。俺はなぜかその視線から逃れることができなんだ)
妖狐「どうする?アイ○ル!……といったところですかの?」
浪人「なんだそれは…… 仕方ない」
19:
浪人「すまん、もう許してやってくれ」
村人「くぉのっ! ……あん?なんだなんだ、お侍さんよぉ」
浪人「その河童は実は拙者のものでな。しかし、今だに世の理というものを分かっておらぬ。そこで荒療治をすることにしたのだ」
村人「……はぁ?」
浪人「なぁ、河童よ。これで人の物を盗ったらどうなるかよぉーくわかったであろう?これに懲りたら二度とするなよ」
河童「え……?うぁ…。わ、わがった。わかりました」
浪人「すまなかったな。これくらいあればキュウリの代わりになるだろうか?」
村人「へ、へぇ!こんなに……」
妖狐「多すぎたかの?ならば折角のこの美味そうなキュウリ、あと五つ六つもろうてもよいか?」
村人「へ、へい!」
20:
浪人(キュウリを食みつつ、村から離れたところで俺は河童に別れを告げた。今後二度と盗みを働くなとキツく戒めた上で)
浪人「……まったく、これでキュウリまで不味ければとんだ無駄金だったわ。しかし、改めて思い直せばあの御人の年貢はどうなるのだ?」
妖狐「主様、主様」
浪人「なんだ、このキュウリは俺のキュウリだ。やらんぞ?」
妖狐「いやいや、キュウリでなく後ろでございます」
浪人「後ろぉ?」
浪人(化け狐に言われるがままに後ろを振り向く。するとそこには先ほど逃がしてやったはずの河童がいた)
浪人「貴様…… なぜついてくる?」
河童「さっき助けてもらっただ!恩返しせねばだべ!!」
浪人「いらん、失せろ。仲間のところに帰れ」
浪人(一人旅であったはずがうっかり狐に憑かれて二人旅。さらに道連れを増やす余裕はなかった。だが……)
21:
河童「嫌だ、あそこにゃ戻りたぐねぇ」
浪人「知るか、消えろ」
妖狐「なしてじゃ?なして戻りたくないのじゃ?」
浪人「聞くな、化け狐」
河童「あそこじゃオラは除けもんなんだ…… おっ母が死んじまっでからみんなして出てけ出てけって」
浪人(曰く、この河童は仲間に虐められ川で魚を取ることもできず、やむにやまれず畑で盗みを働いたとのこと)
妖狐「半分人間であるがゆえに迫害されたか。人でなく妖怪でもない半妖の辛きところよの……」
河童「うぅ、ぐずっ、ひぐっ……」
浪人「…………」
妖狐「主様……」
浪人(見ればこの化け狐、河童の肩を抱いておった。此奴の性格からして俺が連れて行くと言わん限りは手を離さんだろう)
妖狐『まぁ!主様は河童を連れて行くことにしたのを我のせいにいたされますか!?』
浪人『実際そうであったろうが!無言で凄みおってからに!!』
22:
浪人「……化け狐ごと放って行くもいいがそれでは刀が無くなってしまう。今、刀を手放すわけにもいかんな」
妖狐「主様?」
浪人「ええい、泣くな!とりあえずこれでも食え!」
河童「あむ…… キュウリ?」
浪人「俺の食べかけだがな。それ食ったら一緒に行くぞ」
河童「ふえ……?」
浪人「恩返しをしてくれるのだろ?」
妖狐「……主様!」
河童「……んだ、んだ!絶対ご迷惑はかけねぇだ!!」
妖狐『こうして河童も連れての三人旅になったのでしたなぁ……』
浪人『しかしあのバ河童め、やれ皿が乾いた、やれ土の上は歩き慣れてないやら迷惑ばかりかけおってからに!』
妖狐『で、その憂さを晴らすためにも褥の上ではねちっこく河童を虐められるのですかや?』
浪人『黙れ醜女。まったく金の無駄遣いだったわ……』
25:
妖狐『ほっほっほ、心にもないことを仰られて…… で、この一連の流れを見るに最後は鬼との出逢いですかの?』
浪人『ここまでやったら最後までやるしかなかろう』
妖狐『ですよなー』
浪人(それは少し大きな村に立ち寄った時のこと)
浪人「なになに……?相撲大会とな」
妖狐「五穀豊穣を祈念してのものとありまする。それに村からは活気が感ぜられますゆえ、何ぞ食い物にありつけるやもしれませぬな」
河童「食いもんかぁ?じゃ、オラ行ってくるべ!」
浪人「あ、こら待たんかバ河童!」
浪人(走り出したバ河童を追いかけて村の広場らしきところに出た俺の眼前には異様な光景が広がっていた)
巨漢「のわぁぁああああ!!?」
若者「もう一番! ……ってぐはぁああああ!?」
青年「なんとぉおおおおお!!?」
?「はっはーっ!どうしたどうした!?てんで相手になりゃしねーぜ!!」
浪人(大の男たちがサラシと腰巻だけの別嬪に次から次へと千切っては投げ千切っては投げされていたのだ)
26:
巨漢「うぬぬ…… なんと強かな女人じゃッッ」
若者「しかし土俵を牛耳られては神事が執り行えんッッ」
青年「何としてもあの女人を土俵から引き摺り下ろさねばッッ」
浪人(男たちの目には裸同然の別嬪とぶつかり合えることへの助平心は既に無かった。皆が皆、打倒別嬪に燃えていた)
ご老体「……ぐ、ぐふっ」
若者「爺様ッッ、目をお覚ましになられたかッッ」
村長「うむ…… いいかよく聞け、お前たちの体力は既に限界ッ!最早これ以上取り組みは出来んッッ」
巨漢「うぬぅッッ、でっ、ですが、神事が行えなければ今年の祈念がッッ」
妖狐「なるほど、あの娘っ子を土俵からどかせたいのじゃな?」
青年「むむっ、何方ですかなッッ!?」
妖狐「旅の者じゃ。どれ、うちの旦那があの娘っ子を退けて見せよう」
浪人「おい、勝手に話を進めるでない。それと俺は何時から貴様の夫になった?嘘を申すな」
妖狐「そして見事追い払った暁には何か馳走してはもらえぬかの?あぶらげがあると尚良し」
浪人「聞けって」
村長「……良かろうッッ、あの女人を土俵から下ろせるのなら、わたしは一向にかまわんッッ」
27:
浪人(こうして俺は化け狐の思惑通り、怪力女と相撲を取らされる羽目になった)
?「次はお前かぁ?新顔だな」
浪人「旅の最中、たまたまここに来たら巻き込まれてしもうてな」
?「そっか。ま、何でもいいや…… さっきの奴らよりは歯応えがありそうだ!」
浪人「ガキ大将のようなことを言う…… ん?何やら外野が騒がしいが……?」
巨漢「む、無理じゃッッ、その身体では行司などもうとてもとても……ッッ」
村長「構うなッッ、例え此処で我が命尽きようと……わたしは一向にかまわんッッ 両者見合ってェェ……ッッ」
浪人「……やかましいな」
村長「八卦良いッッ」
?「っしゃあ!!」
浪人「うぉぉおお!!?」
村長「んのぉこったぁッッ、のぉこったぁあッッ」
浪人(女に負けるわけにはいかぬ、その想いで俺は何とか踏み止まった)
28:
?「へへっ、やるじゃねぇか!」
浪人「どうも……!」
浪人(話などしとる場合ではなかった。気を抜けば一瞬で投げられる、油断は禁物であった)
?「くぉ…のぉおお……」
浪人(凄い力ではあったが気合を込めれば何とか耐え凌げるくらいだった。俺は好機を辛抱強く待った)
?「…………っはぁ」
浪人「今ッ!せいやぁあああ!!!」
?「うぇえええ!?」
浪人「ダッシャアッ」
浪人(一瞬の隙を突いた俺の勝ちだった。連戦続きの影響か、女の持続力が弱くなっていったのが大きな勝因だった)
若者「やったッ!!さすがお侍!おれたちにできない事を平然とやってのけるッ!そこにシビれる!あこがれるゥ!」
青年「いや、さすがにそりゃ言い過ぎだろ」
29:
?「……ったはぁ~、いやー、参った参った!粘り腰ってヤツか」
浪人(そこには負けたというのにカラカラと胸がすくような笑みを浮かべる女人の姿があった)
?「本気出してなかったとはいえ、まさか人間に負けるなんてなぁ」
浪人「……人間に?」
浪人(女の口から出てきたまるで自分が人でないような物言い、嫌な予感がした)
村長「はぅあああああああああああ!!?」
巨漢「なんとぉおおおおおおおおおお!!?」
若者「きぃえええええええええええええ!!?」
青年「うひょおおおおおおおおおおおおお!!?」
浪人(いつの間にやら女の肌が薄青くなり、赤く染まった髪をかき分け生えるは二本の尖った角)
30:
村長「お、鬼じゃぁあああああああああああ!!?」
巨漢「鬼ぃぃいいいいいいいいいいいいいいい!!?」
若者「鬼じゃとぉおおおおおおおおおおおおおお!!?」
青年「うひょおおおおおおおおおおおおおおおおお!!?」
浪人(村人たちの言葉通り、別嬪の正体は鬼だったのだ)
鬼「うるせぇぞ!」
村人たち「「「「ひぃいいいいいいいいいいいいいい!!?」」」」
31:
鬼「っと、アイツらはどうでもいいや。それよりお前だ」
浪人「……俺か」
鬼「まさか俺を負かす人間がいるとはな!気に入ったぜ、旅の者って言ってたよな?」
浪人「ああ……」
浪人(……嫌な予感が再びした)
鬼「お前が人間のくせして強い理由はその旅の中にあるとみた!俺もその旅について行ってやるよ!」
浪人「いらん、失せろ」
鬼「おいおい、笑えねぇ冗談はやめろって」
浪人(そういって俺の首に回してきた腕から伝わってきた力は先刻ぶつかり合った時とは桁違いであった)
浪人「ぐおおおお!?わかった!連れて行ってやるかrぬぐぁあああ!!?」
鬼「ったく、始めっから素直にそう言やぁいいんだよ」
妖狐「……なかまがふえるよ、やったねた○ちゃん」
河童「オラ、『○え』って名前じゃねーべ?」
32:
浪人『こうして無理矢理鬼が加わってきたのであったな……』
妖狐『あの時は鬼めが村人たちを震え上がらせおったせいで食い物にもありつけず散々じゃったのぉ……』
浪人『化け狐、貴様女の正体が鬼だということ見抜けなんだのか?』
妖狐『お恥ずかしい限りですじゃ……』
浪人『……やれやれだ』
33:
妖狐『……それで主様、過去を振り返ってみてわかったことはありましたかや?』
浪人『こんなことになった原因は貴様にあると改めて得心いたした。河童然り、鬼然り』
妖狐『まぁ、なんと』
浪人『全く、野盗を追い払った時分に貴様の口車などに踊らされずこの太刀を祠に戻しておれば良かったわ』
妖狐『封印を完全に解いてもらいたいがためにかなり強引に詰め寄りましたからのう、あの時は。平にご容赦を』
浪人『土地の者も存在を殆ど忘れているくらいであるからして、野盗の刀を納めていてもばれぬなどと言いおって……』
妖狐『とは申されましても、あの祠自体我を封じ込めた太刀を祀るためだけのもの。封印が解けた時点で最早無用の長物』
浪人『そうは言うが、結局祠から盗み出してしまったことには変わりないだろう?その辺のことも引っかかっておるしなぁ』
妖狐『ですからあの太刀は我を封じる為のものであって誰のものでもありませなんだ!であるからして、我を解いた主様こそこの太刀の真の所有者!』
浪人『そういうものか?』
妖狐『そういうものですじゃ!』
34:
浪人『……ところで、貴様の封印は今どうなっておるのだ?あの時は不完全だったと言うておったが』
妖狐『主様に太刀を抜いていただいた時から変わっておりませぬ』
浪人『真か?』
妖狐『左様、重ねて申し上げますが我の力の殆どは今も鞘の方に封じられておりまする』
浪人『……それを解くには?』
妖狐『封印を完全に解くつもりはなかったのでは?』
浪人『解くつもりがないからこそうっかり何かの弾みで解いてしまわんように聞いておるのだ』
妖狐『正直さは美徳と言いますがのぉ…… 腕の立つ術師に任せるか、乱暴ですが我以外の者が鞘を壊すかですかの』
浪人『相わかった、この鞘は絶対壊さぬようにしよう。そしていずれまたあの祠に戻す』
妖狐『なんとぉー…… まぁ、それで我と離れられるやもしれませぬが残りの二人はどうされるおつもりで?』
浪人『うーむ…… それはその……』
妖狐『主様、過去を振り返り懐かしむだけでは意味はないと申し上げたはずですぞ?過去から学び、それをこれからのことに活かすことが肝要』
浪人『ええい、わかっておるわそんなことくらい! ……ん?』
35:

―――
―――――
河童「――――ぁ、主様ぁ!聞いてんのけ?」
浪人「ん、あぁ、どうした河童?」
河童「あんな、向こうの方から水の匂いがするべ」
浪人「ん?しかし貴様先刻はそんなこと言っておらんかったではないか。だからここで野宿すると……」
鬼「風向きが変わったからじゃねーか?確かにさっきまでは聞こえなかった水の音がするしな」
浪人「水…… 川か池があるということか。ならばこうしてはおれん、釣りでもいたして魚を捕らねば!」
妖狐「御意」
36:
―――
――

鬼「おーい、こっちだぜー」
浪人「け、結構遠かったではないか……」
妖狐「我らは人より感覚が優れておりますからな。かなり先の音であったり匂いであったりを感じ取れまする」
浪人「で、あるか……」
河童「見れ見れ!魚もいっぺぇいるべ!!」
浪人「うむ、月明りでよう見える。では早……」
妖狐「主様、お気を付けあそばせ」
浪人「何だ? ……ってうぉおお!!?つべたぁ!?」
37:
妖狐「河童が飛び込みますゆえ、水しぶきが来ると申し上げようとしたのですが……」
浪人「もっとはよ言え!ええいもう、魚が逃げてしまったではないか!」
鬼「いや、逃げても大丈夫だろ」
浪人「何を言う、それでは釣れぬだろうが!ええい、次はどこで釣ろうか……」
鬼「何で釣るのにこだわってんだ?魚とりなら河童に任せときゃいいだろ」
妖狐「はて?男の子の意地とでも言うべきかの」
鬼「ふ~ん」
38:
浪人「うむ、ここなら…… ムムッ、怪しげな魚影!大きさはかなりの……んぁ?」
河童「ボココ……主様ぁ~!!」
浪人「どわぁぁああ!!?って貴様かーっ!!」
河童「見てけろ、いーっぱい獲れたべ!」
浪人「…………ん、そーか」
河童「あっ、やぁだなぁ主様、どこ見てるんだべ?やらし~」
浪人「阿呆、貴様の獲った魚だ。しかし貴様、なんということを……」
河童「……なんかオラ悪いことしちまっただか?」
浪人「いや、悪いことではないのだが…… そのな?ここは俺の釣りの腕の見せ所で……」
鬼「何言ってんだよ主様、お前いくらやっても全然釣れねーじゃねぇか」
浪人「そんなことないわい!というか貴様は俺への敬意がないのなら様付けするな!腹の立つ!!」
鬼「ははっ、八つ当たりすんなって」
浪人「笑うなぁ!!」
39:
妖狐「まぁまぁ主様、魚は河童に任せて我らは山菜を採りに行きませぬか?」
浪人「そんなもの貴様一人で行ってこい!」
妖狐「主様?我が主様から…… いえ、その太刀の傍から離れられぬのは知っておいででしょう?」
浪人「ぐぬっ…… ええい、仕方のない」
鬼「頼んだぜー、主様ー」
浪人「……河童は魚、狐は山菜の知識に火も扱える。一番役立たずの穀潰しは鬼だの」
鬼「お、言ったなお前?言っちまったな?じゃあ見てろ、こいつらよりよっぽどいい食いもん獲ってきてやるよ!」
浪人「おいおい、盗みや物取りする気じゃなかろうな?」
鬼「楽しみに待ってやがれ!!」
浪人「おぉい、人の話ちゃんと聞いとったのかーっ!!?」
妖狐「鬼とてその辺の分別はちゃんとついておりましょう。でなければ主様に本当に嫌われてしまいますゆえな」
浪人「俺はそこまで惚れ込まれるような器ではないと思うのだが」
妖狐「ご自身が気付かれていなくとも、我ら皆主様の魅力をよく存じておりまする」
浪人「……何だかこそばゆいの」
妖狐「ほっほっほ…… さて、こちらにありそうですじゃ」
40:
―――――
―――

浪人「……俺はてっきり熊やら猪やらを獲ってくると思うておったのだがなぁ」
妖狐「兎でしたな」
鬼「なんでぇ、文句あるのか?」
浪人「いや、見当が外れただけだ」
妖狐「実際熊やら猪やら獲って来られても大きすぎて持ち運びには不便じゃしの」
鬼「へへっ、俺はその辺も考えて兎にしたんだぜ?」
浪人「……ホントはそれしか獲れなかったのであろう?あれだけの大口を叩いた手前、恰好がつかぬものな」
鬼「余計なお世話だ、兎返せ!」
浪人「ま、待て!まだ一口も食っておらんのだ!」
鬼「やなこった!」
河童「主様ぁ、オラの獲った魚はどうだべ?」
浪人「ん、ああ、魚はうまいぞ?でも今は兎も食べたい気分でな。ええい、返さぬか!」
妖狐「ほっほっほ」
41:
―――
――

鬼「はぁー、喰った喰った」
妖狐「残った魚は燻しておきましょうかの」
浪人「頼む」
河童「もっと魚いるかぁ?」
妖狐「いや、獲り過ぎはいかん。主様がお許しになるまいて」
浪人「そうだ、近隣の民の分がなくなる」
河童「そっかー」
浪人「とは言え、この量ではもって数日か…… 早いとこ仕官先を見つけねばなぁ」
鬼「しかし、火の近くにいたせいで汗かいちまったな。水浴びでもすっか」
河童「オラもー」
浪人「……貴様は水浴びせんのか?」
妖狐「燻すとなればまた汗もかきますし、匂いもついてしまいますゆえどうせなら燻した後からにいたします」
浪人「そうか」
42:
―――
――

鬼「――――すかー、すかぁー」
河童「すぅ…… すぅ……」
浪人「あれだけ好き勝手しておいて、もう寝おったわ……」
妖狐「よいではないですか、こうして腹が膨れたのもこの者たちが頑張ってくれた故のこと」
浪人「であるな」
妖狐「っと…… これぐらい燻せばよろしいですかの?」
浪人「おう、上出来だ」
妖狐「では、ひと眠りする前に我らも汗を流すとしましょうか」
浪人「ああ……」
妖狐「――――」
浪人「…………」
43:
妖狐「……どうされましたかや、主様?我が衣を脱ぐ様をじっと見ておいでのご様子」
浪人「何を白々しい、わざと艶めかしく焦らすように見せおって…… 俺を誘っておるのだろ?」
妖狐「ふふっ、その通りでございます。それで、主様は我を抱いてくださるのですか?」
浪人「ああ、久々の魚や兎で精が付いたところに貴様が色っぽい仕草や姿を見せつけおるからな。収まりがつかぬ」
妖狐「汗やら魚の匂いで臭うございますが……」
浪人「はっ、それより貴様の女の匂いの方がきついわ。触ってみよ、こんなにもいきり立っておる」
妖狐「まぁ、主様がこんなにも我を欲して…… 嬉しゅうございます」
浪人「まったく化け狐め、その色香で一体何人の男を惑わしてきたのだ?」
妖狐「そんなこと…… 聞かないでくださいませ……」
鬼「あーっ!?ずりぃぞ女狐!!」
河童「オラも混ぜてけろ!」
44:
浪人「んなっ!?寝たのではなかったのか貴様ら!?」
妖狐「ふふっ、久々に二人きりでと思うたのですが…… そうは問屋が卸さぬようですな」
河童「んだ、主様の独り占めはいけねぇだ!」
浪人「ええいもう、がっついてくるな!貴様らも少しは女らしくしおらしい態度をだな……」
鬼「んなこと言ったってお前、乳さえ見せればすぐギンギンだろうが」
浪人「ええい、そもそも貴様らが精を欲するのは飯の代わりであろうが!先刻腹いっぱい食ったのではないのか!?」
河童「魚をいっぱい獲ったごほうびがほしいべ」
鬼「俺は兎を獲ってきたぞ」
妖狐「我は山菜を取ったり魚を焼いたり燻したり……」
浪人「……わかったわかった!斯くなる上は皆まとめて相手してやるわい!!」
妖狐「流石は主様じゃ!」
河童「主様ぁー!」
鬼「へへっ、たっぷり出してもらうかんな」
浪人「はぁ…… こうなったからには俺も存分に楽しませてもらうぞ?」
45:
―――――
―――

浪人「うむ、良く晴れたいい朝だ。どれ、出立前に景気づけの水浴びでもしていくか」
鬼「……なんでそんなに元気なんだ、テメェはよ」
浪人「なんだ貴様ら、あれだけ精をやったというのにへっぴり腰ではないか」
鬼「いや、確かに精はついたが、お前が無茶苦茶するからまだ腰が……」
河童「主様、すごかったべ……」
妖狐「我も身体にうまく力が入らん……」
鬼「どうした女狐!?俺たちを尻目にいつも余裕綽々のお前が……」
妖狐「ふふっ、今までの余裕は術を使っていたからじゃよ…… しかし流石は我らの主様、妖怪以上の絶倫」
浪人「いやいや、貴様らの方が絶倫だろう?どうせ今夜にはまた精を欲してくるのだろうが。俺はもうちびとも出んぞ」
鬼「いーや、そんなはずねぇ。俺ら全員腰砕けにしといてテメェは余裕綽々。『ちびとも出ん』とはどの口が言うかって話だよ」
河童「主様、すごかったべ……」
妖狐「……皆もそう言っておりまするが?」
浪人「……まぁ、何はともあれ貴様らも水浴びしてこい。朝飯を食ったら出立だ」
46:
あれ?ミスったのかな?大事なところが抜けてますね
47:
―――
――

浪人「おお、町だ。久々に町だ」
妖狐「……ほう、町並みはなかなかの様子。ですが」
鬼「ああ、それにしちゃあ活気がなさすぎる」
河童「なんかこわいべ……」
浪人「ひっつくなひっつくな」
妖狐「人の気配もほとんど感じませぬ。この規模の町にしてはあまりにも奇妙」
浪人「確かに不気味だ…… 何ぞあったのか?」
妖狐「誰ぞ捕まえて聞いてみますかや?」
浪人「うむ、何やら単なる薄気味悪さ以上のものが潜んでおるような……」
48:
鬼「――――で、捕まえたのがこの爺さんだ」
老人「ひぃぃい……」
浪人「あまり怖がらせてやるな…… すまぬご老人。見ればこの町はあまりに静まり返っておる」
妖狐「ここで何ぞあったのかや?」
鬼「若い奴もいなけりゃガキすらいねぇ。寂れてるわけでもないのによぉ……」
老人「…………」
浪人「……ご老人!」
老人「――――それはのぉ」
49:
―――
――

浪人「知行取りのお殿様が若い衆を女子供問わず連れ去った、か……」
妖狐「しかもその領主を薄気味悪がって藩の者は城下町に呼び寄せることもせず一切近寄りもせぬ有様とのこと」
浪人「代官は立てておらぬようだし、良からぬことを企てるにはちょうどよい状態ではないか」
鬼「で、あんまりにもキナ臭ぇからこれからその領主のところに行こうってわけだな?」
浪人「うむ。しかし、女を三人も連れているのでは怪しまれるであろうな」
河童「ならどーすんべ?」
鬼「俺たちをここに置いてくってのは無しだぜ?」
浪人「うーむ、なかなか難しいことを言う。刀を手放すわけにはいかんだろうから狐は連れて行かねばなるまいが……」
妖狐「ならば主様、我ら一時的にその鞘の中へ隠れまする」
河童「そんなことできんのけ?」
妖狐「おそらくな。元は我ほどの者を封じておけるような代物、中に妖怪の二,三匹は入れるじゃろう」
鬼「ちゃんと出てこられるんだろうな?」
妖狐「やってみなければ断言はできぬが、主様に妖怪を封印する技はない。刀さえ抜けばまた出てこられるはずじゃ」
50:
鬼「じゃあ、それで決まりだな!」
河童「がんばんべ!」
妖狐「よろしいか、主様?」
浪人「……相わかった。そうするとしよう」
鬼「しかしあれだな、別にどうにかしてくれって頼まれたわけでもねぇのに物好きだなぁ、主様はよ」
妖狐「ふふっ、そこが主様の良いところじゃ」
浪人「あの老人、俺たちが余所者だったからか口にこそしなかったもののあの目…… 確かに助けてくれと言うていた」
河童「ほえ~」
浪人「それにな、物好きというならこんな俺なんぞについてくる貴様ら妖怪の方が余程物好きだわ」
鬼「ははっ、違いねぇ」
河童「んだんだ」
妖狐「では主様、怪しげなる領主の屋敷へ参るといたしましょう」
浪人「おう」
51:
―――
――

浪人「頼もぉぉぉおおお!!」
浪人「……頼もう!!」
浪人「……誰もおらぬのか?いや、そんなはずあるまい」
鬼『……上から来るぞ!気をつけろぉ!!』
浪人「なにっ!うぉおおっ!?」
??「…………」
52:
??「…………!」
浪人「な、何者だ此奴…… 太刀より伝わる力、人のものではないぞ!?」
妖狐『妖気は僅かに感じるものの、さりとて妖怪に非ず!生気も在らず!!』
鬼『生気も無い?じゃあなんだ、あれは動いてるのに死んでるってのか!?』
河童『わけわかんねぇ!』
浪人「だな!確かにあの者の姿、人の形こそしているもの……のぉっ!!」
人形「…………!」
浪人「背丈と胴に対して手足が長すぎる!ぐぅぅっ…… はぁっ!」
浪人「はぁ、はぁ……」
鬼『おいおい、やばいんじゃねぇのか!?俺が出るか!?』
浪人「いや…… このままでよい」
鬼『なんでだ!?』
浪人「どうも此奴の動き…… 俺を試しているようなのだ」
妖狐『試す……?』
浪人「何やらそんな気がするのでな…… ここは俺一人で斬り抜ける!」
53:
鬼『……わかった。でも、危なくなったりもっと数が増えたりしたら』
浪人「ああ!その時は頼むぞ!!」
河童『ま、負けんなぁ!主様ぁ!!』
浪人「はっ、泣くには早すぎるぞバ河童!!」
人形「…………!」
浪人「おぉっと!?」
浪人(まともに受けていてはマズイ…… ここは!)
人形「…………!」
浪人(受けて……ッッ)
人形「…………?」
浪人(流すッッ)
浪人「チェイリヤァァアアアアア!!!」
人形「……!!?」
浪人「どうだぁ!!」
54:
鬼『やるじゃねぇか!さすが俺の師匠!主様だぜ!!』
河童『んだんだ!』
浪人「しかし、この手応えは斬ったというより壊したというような……」
妖狐『……やはり人間、いやさ生き物ではないと?』
浪人「わからん。わからんが、もし俺の腕を試していたのだとしたらこの一部始終を見ていた奴が……」
???「フフン、使いおるなお主……」
浪人「何者だ!」
謎の男「フハッ、それはこちらの台詞よ。答えよ、貴様は藩の手の者か?いやさ、幕府の手の者か?」
浪人「拙者は浪人でござる!仕官先を求める旅の最中、この屋敷の不穏なる噂を聞き参上仕った!」
謎の男「ほほぅ、不穏なる噂か。どこまで知っている?」
浪人「若い衆が女子供問わずご領主に連れ去られたとだけ聞いている!なぜそのようなことをするのか!領主殿にお伺いしたい!!」
妖狐『そんな馬鹿正直に答えんでも…… それでは中に入れてもらえんじゃろ』
鬼『まぁ、主様はバカだからな』
河童『そーなのだー』
浪人「黙れ」
55:
謎の男「フハハハハハッ!面白い、然らばその旨我が殿に直接問い質してみるがよい!!」
妖狐『うそーん……』
河童『? 屋敷ン中入れるのけ?』
謎の男「それと仕官先を探していると言っておったな?試してみたがなかなかの剣の腕、我が殿も気に入ってくれるかもしれんぞ?」
鬼『おいおい、何だか話がウマ過ぎるぜ……?』
妖狐『主様、ここは慎重に……』
浪人「……いいだろう!御免!!」
鬼『いいのかよ!』
河童『虎穴に入らずんば虎子を得ず、だべ』
妖狐『おお、よく覚えておるのぁ!……しかし、敵地の奥深くに入るというのはそれ相応の危険が付き物』
鬼『まぁ、とにかく気ぃつけろよ』
浪人「うむ、油断せずいこう」
56:
謎の男「……連れて参りました」
領主「ご苦労。おい、貴様は下がれ」
女人「……はい」
妖狐『主様、ここまで連れてきた男は恐らく人間。ですが、あの領主は……』
鬼『ああ、何だアイツ?人間の匂いはしてるけどよ……』
浪人「うむ、只者では無いことは間違いないな」
領主「ふふふ、まぁそう固くなるな。もそっと近う寄れ」
浪人「然らば御免」
領主「聞いたぞ、お主が我が屍人形を生身で斬り倒したとな」
浪人「屍人形……?」
領主「左様」
浪人「……その屍人形とやらとご領主が若者たちを集めたこと、関係があるのでしょうか?」
領主「ふふっ、ところでお主…… 今の世をどう思う?」
浪人「は……?」
57:
領主「今この国は幕府の庇護の下、天下泰平の世として平和を謳歌しておる……」
浪人「……はぁ」
領主「武士は刀を握る必要も殆ど無うなり、今やその手に在るのは筆であったり算盤であったり……」
浪人「そうですな、故に剣しか能のない拙者には仕官の口がどうも……」
領主「然様であったか…… お主、そんな世の中は間違っているとは思わぬか?」
浪人「は……?」
領主「武士とは、もののふとはそういうものではなかったはずだ…… 侍の本分とはそうではないはずだ!」
領主「刀を持たずして何が武士か!戦をせずして何が武士かぁっ!!」
領主「泰平の世など狂っておる!そんなものが武士の世であるはずがない!!武士の世とは戦乱の世であるべきよ!!!」
浪人「ご領主……?」
領主「であるからこそ儂は!儂はこの世の中を真の武士の世とせんがために今一度天下に戦乱を齎すことに決めたのよ!!」
浪人「ほほう、なかなか大それたことを仰られる」
領主「大それたこと?確かにその通りじゃ。だがな、儂には秘策がある!見よっ!!」
58:
浪人「おおっ!?こ、これは先刻の……!?」
領主「そう、これこそ儂の秘策・屍人形共よ!奴らこそがこの世を再び戦火に包む者なり!!乱世を導く者也!!!」
浪人「……何?」
領主「人より強く!人より硬く!人よりく!人より高く!人より重し!当に無敵のつわものよ!!」
浪人「これと若い衆を連れ去ったこととどんな関係が…… 真逆ッ!?」
領主「そう!屍人形の材料は人間の血と骨!!皮を剥ぎ肉を削ぎ骨を砕き、恨みと痛みと呪いを煮詰めて創り上げた人形よ!!!」
領主「若い衆を拐かしたのはその材料にせんが為!老い耄れでは強度と怨嗟が足りぬでなぁ……」
領主「殺された者らの怨念を動力とし、その怒りを以て生者を切り裂く死神人形…… 儂はこの屍人形を以て天下に宣戦布告致す!!」
浪人「な、なんと……」
領主「どうだ?お主も儂と共に立たぬか?」
領主「お主も屍人形を倒すほどの剣の腕を以てしても、武士として身を立てることのできぬこの巫山戯た世に飽き飽きしておろう?」
領主「そうじゃ、この間違った世の中を儂らの手で正すのじゃ!!」
59:
浪人「むぅ……」
領主「手始めに我が藩を戦火に包み、然る後に日の本全てを乱世とする。今こそ武士の本来の姿を、もののふの世を取り戻すのだ!!」
領主「戦場にて刀を振るい槍で貫き、弓矢で撃ち抜き馬で駆け抜け、天下に遍く戦乱を巻き起こす!」
領主「終わりなき闘争の続く天下!それこそが真の武士の世というものよ!!」
浪人「真の…武士の…世……」
領主「さぁ、この手を取れ!儂と共に来るのじゃ!!」
妖狐『……主様?』
浪人「……………」
鬼『お、おい…… どうしたよ?』
河童『主様ぁ……』
浪人「ははっ、どうにも俺は妙な奴に好かれるらしい。真の武士、もののふの世か……」
領主「そうだ、それこそ儂の…… いや、儂らの目指すべきもの!!」
60:
領主「さぁ、この手を取るのだ!そして共に真なる武士の世を!!」
浪人「ああ…… あんたこそ真のもののふだ」
領主「……うむ!」
妖狐『主様!?』
鬼『おい!?お前そんな奴じゃなかっただろうが!!』
河童『主様!』
浪人「……おっと、すまぬ。一字違っていた」
領主「む……?」
浪人「貴様は『真のもののふ』などではない…… 『真のもののけ』だぁ!!」
領主「ぐぬぅっ!?貴様!儂に刃を向けるかっ!!」
浪人「ああ、向けるとも!確かに今の世は本当の武士の世としちゃ間違ってるかもしれぬ!だがなぁ!!」
浪人「そういうことはテメェみたいな気狂いだけでやりやがれ!無関係な奴や女子供を巻き込んでやっていいことじゃねぇだろうが!!」
領主「吠えよったなぁ……ッッ」
浪人「吠えるともさ、例え貴様の目指すものが本当の武士の道だったとしても…… お天道様に背くような人の道を外れたことしてよいはずがないッ!!」
謎の男「ええい、屍人形共!出合え出合えィ!!」
61:
屍人形「…………」
屍人形「…………」
領主「ふふふ、此奴らは先刻貴様が斬った仮組みとは訳が違う…… 冥土の土産に屍人形の真の力、思い知るがいい!」
浪人「上等ォ!数だけは多いな!」
鬼「……おいおい、暴れるんだったら俺も混ぜろよ?」
河童「助太刀するべ!」
浪人「貴様ら……」
妖狐「頼もしき我らが主様と言えど、流石にこれだけの数を一人で相手はできませぬでしょう?」
謎の男「此奴等いつの間に…… 鬼に河童に化け狐、おのれ貴様妖怪使いであったか!」
浪人「全く…… 無茶はするなよ?特に河童」
鬼「馬鹿にすんなよ?相撲じゃ後れを取ったが、本気の俺はあんなもんじゃないんだぜ?」
河童「オラだって!」
浪人「本当に大丈夫なのだろうな?特に河童」
河童「馬鹿にするなぁ!」
浪人「っと、すまんすまん!」
62:
領主「面白い、儂の屍人形と妖怪ども…… どちらが上か見比べてくれよう!」
謎の男「御意に!さぁ行け!屍人形ども!!」
屍人形「…………!」
鬼「へっ、こっちだ!」
謎の男「追え!逃がすな」
河童「ひぇぇっ!?」
屍人形「…………!」
謎の男「あのちっこいのも逃がすでないぞ!」
浪人「貴様は何処へも行かんのか?ああ、太刀から離れられぬのであったな」
妖狐「いえ、それは違います…… 太刀から離れられぬのではなく、主様のお傍を離れとうないのです」
浪人「こっ、こっ恥ずかしいことをよくもまぁぬけぬけと!!」
謎の男「見せつけおって!ならば二人まとめて殺してくれるわぁ!!」
63:
屍人形「…………」
浪人「なるほど、無辜の民の命で造られた物か。改めて見ればなんと悲しげでなんと怒りに満ちた形相よ……」
屍人形「…………!」
浪人「しかしその悲しみ、その怒りをこれ以上広げるわけにはいかぬ、許せ!」
屍人形「……!?」
浪人「何だ?何やら身体が軽い……」
妖狐「申し訳ありません、勝手ながら主様に我が力の一部をお貸ししておりますれば」
浪人「余計なことを…… と、言いたいところだが、あの外道を斬るには有難い。礼を言う!」
妖狐「嬉しきお言葉…… 狐火!」
屍人形「……?!」
領主「ほほう…… 妖怪の力添えか。実に興味深い…… よし、此奴は儂が相手してやる!貴様は他の妖怪を追えぃ!!」
謎の男「御意に!」
64:
鬼「おらおらおらおらおらぁっ!!」
屍人形「……!?」
屍人形「……?!」
屍人形「……!!?」
鬼「はっ、いくら人より強かろうが硬かろうがかろうが!その程度じゃ鬼にゃあ勝てねぇな!!」
屍人形「…………」
鬼「おおっと!!」
屍人形「…………」
鬼「……悪いな。俺、お経とかわかんねぇからさ?後でアイツに頼んで坊さんでも呼んでやるからさ」
屍人形「…………」
鬼「今は、とりあえず大人しくぶっ壊れててくれな…… おらぁっ!!!」
屍人形「……!!?」
鬼「おらおらどうした!?かかってこいよ!!」
屍人形「…………」
鬼「受け止めてやるぜ…… 何もかんも全部まとめてなぁ!!」
65:
河童「ひぃ!?」
屍人形「…………!」
謎の男「おのれ、チョコマカと!」
河童「とうっ!」
謎の男「むむっ、池の中に飛び込みおったか!怯むなぁ、貴様ら屍人形は水の中とて戦えるのだからなぁ!!」
屍人形「…………」
河童「へぇ、水ン中でもお前ら動けるんかぁ……」
屍人形「…………?」
河童「でも、水ン中ならオラ負けねぇぞ!」
屍人形「……!?」
屍人形「……?!」
謎の男「な、なんと!正しく水を得た河童か!?ええい、退け、退け!池から離れれば河童は無害よ!!先に鬼やら浪人者の方を……おがぁっ!?」
屍人形「…………?」
謎の男「何だこれは!?水がまるで蛇のように絡み付いてきおるだとぉっ!?」
河童「へへっ、逃がさねぇど!」
66:
浪人「チェイリヤァァアアアアア!!!」
屍人形「…………!?」
妖狐「狐火!そして舞え…… 狐炎!!」
屍人形「…………?!」
妖狐「……力が戻ってさえおれば、もちっと主様の負担を減らせたんじゃがのぅ」
浪人「いや、これで十分だ。残るは外道只一人!」
領主「うーむ、妖怪の力か。実に素晴らしい…… その力をも手に入れれば、儂の屍人形は何人にも止められぬ天下無双の兵士と成ろうぞ!」
浪人「貴様、この期に及んでまだそのような戯れ言を!」
領主「ふふふ、貴様らは捕らえた上で妖怪と人間の力の重ね方を骨の髄まで調べてくれるわぁ!!!」
浪人「うぉおおお!?な、なんという馬鹿力だ!!」
妖狐「主様!此奴自らをも屍人形にしておりまする!!」
領主「よう見抜いた!そうよ、儂自身こそが最強の屍人形なのよ!!」
67:
浪人「ははっ、やはり貴様はもののふではない!もののけよ!!」
領主「かもしれぬなぁ!!」
浪人「はっ、武士どころか人間をやめたその姿で何がもののふだ!!」
領主「言ったであろう!儂が目指すのは武士そのものではない!!儂が求むるは真の武士の世也!!!」
領主「儂自身の姿などどうでもよい!武士が武士でいられる世とすることが我が悲願なりぃ!!」
浪人「そういえばそのようなことを言っておったやもしれぬ!なぁっ!!」
領主「んなっ、ちゃんと聞いておらなんだのか貴様ァ!?」
浪人「そんな与太話、聞く耳持たんわ!そも人の道を外れて何が武士の道だ!!」
領主「ぐぬぅっ!?これが妖怪の力を借りた剣技の冴えっ!!!」
浪人「技は己よ!!」
妖狐「くっ…… こうも二人が近うては……」
68:
領主「クカカッ、死合いはよい!血沸き肉躍る!!死が直ぐ隣で嗤うておる、それが面白うてならぬ!!」
浪人「死こそが武士の道とでも謳うか!?その先に何が残るものかぁ!!」
領主「残るだとぉ?否!断じて否ァ!!死して屍拾う者無し、武士が死して後に残すもの等何も在らぬ!!」
浪人「それは貴様の独り善がり!ぜぁっ!!」
領主「ほう、為らば貴様は侍者でありながら今までこのような死合いを所望したことなど只の一度もないと?」
浪人「死合うておるのは貴様を見過ごせぬから!!」
領主「戦乱の世を望んでいるのは儂だけではッ!!」
浪人「ならばっ!まずは貴様を黙らせるッッ!!」
領主「出来るのかぁ?よしんば儂は倒せても、真の武士の世を求むる者は両の指では足りんであろうぞ!!」
浪人「でぇいやっ!!」
領主「ふんっ!甘いわッッ!!」
69:
浪人「くっ…… 戦いこそが武士の本懐とのたまうが、先達がみな戦を望んでいたわけではない!わかっておるはずだ!!」
領主「そんな情けないことを言う愚か者が天下を取ってしまったからこうなったのだ!」
浪人「なんだとっ!?それが旗本の言うことか!!」
領主「何が旗本かっ!彼奴は武士から戦を取り上げ、もののふの志を踏み躙りおった大罪人よ!!」
浪人「ぐぅぅ……!?」
領主「斯様な阿呆の強いた不条理に与する貴様如きに儂は負けん!!!」
浪人「根拠の足りない、屁理屈ッッ!!」
領主「大義である!!」
浪人「殺された者らの無念がっ!!」
妖狐(離れた……!!)
70:
妖狐「今じゃっ!狐炎・灼!!」
領主「うぬぁあ!?」
妖狐「腕で防いだか…… ですが主様、今こそ勝機!!」
浪人「おう!!」
領主「何の、腕の一本くらい……」
妖狐「なっ、腕を……」
領主「くれてやるわぁ!!」
妖狐「うぐぁぁっ!!?」
妖狐(ゆ、油断した…… 使いものにならんようになった腕を千切って投げつけてくるとはっ!)
浪人「狐ッ!?」
領主「片腕あれば十分!腕など、また造り直せばよいだけのことぉ!!!」
浪人「造り直す……?また何の罪のない者等を殺す気かキサマァァァアアア!!!」
領主「なんと!太刀筋が見えぬ!!読めぬ!!?」
71:
浪人「せいっ、セイッ!セイヤァッッ!!」
領主「うぬぁああっ!?がっ、はぁああッッ!!?」
領主(この屍人形のカラクリを以てしても剣閃を追い切れぬだとぅ!?)
浪人「腕のもう一本、貰い受ける!!」
領主「ぬがぁあああッッ!!?」
浪人「――――斬り裂く!!」
領主「ぬぅぅ…… 甘いわぁッッ!!!」
妖狐「なっ、腹から隠し腕!?」
浪人「フンッ!!」
領主「んなぁっ!?」
領主(膂力が乗りきる前に腕を差し出して刀を…… まさか儂の秘策を見切っておったのかッッ!?)
浪人「腕の一本くらい、くれてやる……」
領主「ふっ、不覚!!?」
浪人「チェイリヤァァアアアアア!!!」
領主「ブゥルァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
72:
―――
――

領主「くくっ、最高の屍人形たる儂が一介の浪人風情に破れるとはのぉ……」
浪人「いらん小細工に頼ったのが運の尽きだ」
領主「くかかっ、返す言葉も…ない……」
浪人「……貴様の狂った野望はここで仕舞だ」
領主「ぬふぅ… そうか、これで終わりか……」
浪人「ん?」
領主「これでやっと…… 終われる…… かたじけ…ない……」
浪人「なに……?」
領主「…………」
浪人「忝い……?どういうことだ?なぜ野望を阻まれて感謝する?」
妖狐「はて…… とんとわかりませぬ」
浪人「……それはそうと、先ほど腹に受けた傷は如何程だ?」
妖狐「ご心配なく、腹を強く打ち付けられただけのこと。それより主様の左腕の方が……」¥
73:
鬼「――――おーい!」
河童「主様ァーーー!!」
妖狐「およ、皆も無事のようですの」
浪人「鬼めの馬鹿力ならあんな人形に負けはせぬよ。河童は大方逃げ回っておったのだろ?」
河童「主様!ケガはねぇか?」
浪人「どこを見てそんなことを聞いてくるのか…… ほれ、左の腕を見てみぃ」
河童「ひぇっ!?ずっぱし斬られとう!!」
浪人「かろうじて動きはするものの、この先使い物になるのかのぉ……」
河童「で、大丈夫だぁ!おっ母が死んじまう前にくれた薬があるべ!!」
浪人「河童の妙薬か?それなら助かる」
鬼「……で、終わったのか?」
浪人「ああ、近くにもう動く屍人形はおらんだろう」
河童「ああそうだ、変なおっさんはオラがやっつけたどー!」
浪人「……真か?」
河童「真だ!!」
74:
妖狐「…………」
鬼「どうしたんだよ女狐?いつものお前なら『えらいの~』とか言って河童を褒めるとこだろ?」
妖狐「……主様、ここの領主はあの屍人形を造る術をどうして知ったのでしょう?」
浪人「ム……?」
妖狐「呪物にも似たあれほどの代物を呪い師でもない侍が…… そして『忝い』などという感謝の言葉」
河童「どうかしたんけ?」
妖狐「そして、屍人形の節々を繋いでいたこの頼りないほど細く、それでいて恐ろしく強靭な糸……」
浪人「どれ、貸してみろ。……何だこれは?べたついていてまるで蜘蛛の――――」
女人「うふふ、ご名答ぉ~!」
浪人「んなっ!?」
妖狐「しまった!?」
鬼「うぉわぁ!?」
河童「あれれぇ!?」
75:
鬼「何だこりゃあ、蜘蛛の糸か?クソッ、動けねぇ!」
河童「ふぇぇん、オラも動けねぇだぁー!」
妖狐「そうか、死体を糸で繰る技、生者を己が意のままにする術!真に戦乱を望んでいたのは……ッッ」
女人「そう、この私、絡新婦の一族の者さね!」
浪人「絡新婦!?おい狐、今生者を意のままに操ると言うたな?」
妖狐「左様にございます、主様」
浪人「ということは…… 貴様がご領主を操っていたのか!!」
女人「そうさね、だって今の天下泰平の世の中じゃ美味い腐肉が喰えないからねぇ」
浪人「腐肉、だと?」
女人「あの頃は良かった…… 戦で負けた者の恨み辛みや狂気に塗れた屍がそこら中に山のようにあった」
浪人「そんなもののために……」
女郎「アンタみたいな人間にゃあわからない味さ。そこの三匹はわかるだろ?あの喰ってるだけでイッちまいそうな極上な味!」
76:
鬼「けっ、味の趣味ワリィーなお前。碌なもん喰ったことねぇんだろ?」
河童「? 人間ってうめぇのけ?」
妖狐「……あまりオススメできぬの」
鬼「人間よか人間が作ったメシの方が美味いぜ?」
河童「そーなのかー」
女人「……もうちょっとアンタら、緊迫感持ってくれるぅ?」
鬼「がぁっ!?」
河童「いいっ!!」
妖狐「かはっ……」
浪人「し、締め付けがぁ…… ぐぅう…」
女人「けっこー頭にキてんだよ?あの馬鹿殿様に取り入って、玩具の造り方教えてさぁ…… 戦の世になるよう苦労してここまで準備してきたんだよ?」
女人「それをテメェら無茶苦茶にしやがって……!楽にゃあ殺してやらねぇぞ!!」
妖狐・河童・鬼「「「うぁぁああああ!!」」」
77:
女人「う~ん、人間の悲鳴の方が好みだけど妖怪の悲鳴もそれなりに乙なもんだねぇ……」
鬼「……けっ、『きんぱくかんがたりないからきんばく』かよ。ひねりがねぇなぁ」
女人「うるさいよ」
鬼「ぐはっ!?こ、この野郎、調子に乗んなよぉぉ…… ってあれ?本気出してんのにぃぃ…… くそっ!」
女人「馬鹿力だけで引き千切れるようなもんじゃないさ、私の糸は。あと野郎じゃないし」
河童「う~ん……」
女人「陸に上がった河童はまぁそんなもんだろうさ」
妖狐「我が身可愛さに裏でコソコソすることしかできぬような三下が、偉そうに……」
女人「……なに?」
妖狐「表立って動いて人を襲わんのは己が槍玉に挙げられるのが怖いからであろう?故に人を裏で操って人同士で殺し合わさせる」
女人「…………」
妖狐「そして出来上がった死肉と糞尿を横から掠めてこっそり喰らう。まるで蛆虫、いやそれ以下じゃな…… のぉ、三下?」
女人「……アンタみたいな獣からの成り上がりに三下呼ばわりされたくないねぇっ!!」
妖狐「ぐはっ!」
浪人「狐ぇっ!」
78:
女人「あらあら、どうしたんだい?そんな悲痛な声出してぇ?」
浪人「貴様……ッッ」
女人「それにしても、大した法力もないアンタみたいな男がどうして三匹も妖怪を従えてるんだか……?あぁ、ここ?」
浪人「うぐっ!?」
女人「なるほど、なかなか立派なものを持ってるじゃないか?濃厚でドロドロしたのがいーっぱい…… 溜まってそう」
浪人「ええい、触るな!」
女人「これでアイツらを手懐けてたわけ…… くくっ、どんな味がするのかしら?味わってみたいわねぇ……」
浪人(うぬっ、此奴の手技並ではない!……ってんなこと考えておる場合かっ!!)
女人「アハッ、もっと大きくなった。すごく硬くて太い…… お殿様とは比べ物にならないわぁ」
浪人(ええい、何と不甲斐無いやら情けないやら……)
女人「どう?私と一緒にならない?私のために尽くし続けますって、無様な命乞いと一緒にお願いしてくれたら……」
浪人「……ぬふぅっ!?」
79:
女人「アンタのこと、助けてあげる。ついでにものすごぉく、気持ちよくしてあげる……」
浪人「う~む…… 乳良し、髪良し、肌良し、尻良し、くびれ良し!」
女人「そうさね、私は美を高めることへの努力を惜しんだことはない…… 常に美を磨いているのさ。だから私は余すところなく美しい」
鬼「おい、テメッ!」
河童「主様ぁ!」
妖狐「…………」
女人「さぁ、どうする?私の身体と手練はあんな雌共とは比べ物にならないよぉ?」
浪人「う~む、なかなか…… いや、極上と言うても良い肉付き……」
女人「くふふ、でしょお?じゃあそろそろ聞かせて?貴方の惨めで無様な命乞いと、色に狂った雄叫びを……」
浪人「いや、結構。身体は兎も角やはりブスは無理だ。ブッサイクな女が相手ではいくら肉付きが良かろうが上手かろうが興が乗らん」
女人「――――へぇ…… 他の奴にそんなこと言えるようなツラしてんのかよテメェ!!」
浪人「ぐぁぁああああああああああ!!!」
妖狐・河童・鬼「「「主様!?」」」
80:
女人「いい音がしたねぇ…… 骨が何本イッちゃったんだろうねぇ?」
浪人「ぐふっ…… あばらが少々…鞘も、折れた……な」
女人「鞘ぁ?なになに、わざわざそんなこと言うなんて、余程大事な鞘だったのかい?親父様の形見とか?」
浪人「いや、そうではないが『大事』ではあったな。まぁ、『だいじ』と言うより『おおごと』かもしれん」
女人「おおごと? ……!?」
妖狐「――――ふぅ」
女人「何だこの嫌な感じ!?身体が内側から焼けるような、この感じは!?」
妖狐「なぁに、我が本来の力を取り戻しただけのことよ」
女人「!?」
81:
妖狐「ふむ、まずは邪魔な糸屑を取っ払うか」
女人「嘘っ!私の糸をいとも簡単に……」
妖狐「それ程大げさに驚くことでもなかろう?貴様と今の我とでは力の桁が三つ四つ違うだけじゃよ」
鬼「しかし『いとをいともかんたんに』にか、あんまり面白くねぇな」
河童「なー」
女人「そ、そんなわけあるかぁ!!もう一度味わうがいい、私の自慢の糸を!!!」
妖狐「……そのくらいのこともわからぬから三下なんじゃよ」
女人「そんな!?漏れ出る妖気に触れるだけで私の糸が燃えてゆく!?」
鬼「……今のアイツとの力の差ァくらい俺にだってわかるぜ?」
河童「んだんだ」
女人「そうか、アンタのその妖気…… 姿、尾の数と色…… アンたぁっ!!?」
妖狐「……もう喋るな。貴様如き三下に我の名を呼ばれとうない」
女人「――――!?――――!!?」
妖狐「塵の一片も残すなよ……? 狐火!!」
82:
妖狐「――――と、いきたいところじゃがの?喉を灼くだけにしておいてやろう」
女人「……!……ッッ!?」
妖狐「主様、今糸を焼きます。決着は主様の手で……」
浪人「ああ…… しかし、腕とは存外と千切れんものなのだな。まだ繋がっとるわ」
女人「…!……」
浪人「さて、ご領主の心を狂わせその命を弄び、更に無辜の民の幸せを徒に奪わせた貴様の所業…… 断じて許せん」
女人「……!!…ッッ!!」
浪人「罵倒か命乞いかはわからぬが、貴様に情けをくれてやる理由はない…… いざ、参る!」
女人「……!!」
浪人「ははっ、不意を突かねばこの程度か?道理で今まで潜んでおったわけだ!正しく三下だな!!」
女人「……ッッ!!?」
浪人「自慢の糸とやらで簀巻きにせねば当てることもできんか!遅いっ!!」
浪人「チェイリヤァァアアアアア!!!」
女人「……!? ……――――フシャァ」
浪人「なんだ、腕が増えておるだと……?」
83:
絡新婦「フシャァァァアアアアアア!!!」
浪人「ほう、それが貴様の本性か。大蜘蛛…… その醜い姿を持ちながら美しいなどと嘯いておったとは、全く笑わせてくれる」
絡新婦「シャァァァアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
浪人「ははっ、図体を大きくしたとて当たらなければ詮の無いことよのぉ!」
絡新婦「シャッ、シャッ!シャァア!!」
浪人「しかしデカいだけあって刀が首まで届かぬな…… まずは脚から斬っていくか!」
絡新婦「シャィィイッ!?」
浪人「まず一本!しかし化け狐を封じておっただけあってこれほど斬っても切れ味は鋭いままだの」
絡新婦「シ、シッ、シィィィイイイイイイイ!!!」
浪人「なっ、逃ぐるか貴様ぁ!?」
妖狐「……させんよ」
絡新婦「!?」
妖狐「狐炎・罪無救天!!」
絡新婦「――――!!?」
浪人「ようやった狐!」
84:
絡新婦「…ア……アア…………」
浪人「貴様と違うて動けぬ者を嬲る趣味はないのでな。一息に……」
絡新婦「シャッ―――――    」
浪人「……成敗」
85:
―――――
―――

妖狐「ほっほっほ、よう燃えておりますなぁ」
浪人「これだけ燃えていれば、屍人形に使われた者らの骨も燃えような。せめてもの弔いになればいいのだが」
鬼「……後で坊さん呼ぶか、主様?」
浪人「近場に居ればよいがな。……ところで」
妖狐「何か?」
浪人「貴様…… ほんに只の化け狐なのか?本当の名は何だ?なぜ封ぜられておったのだ……?」
妖狐「ふふっ、主様?女に昔のことを聞くのは野暮にございます」
河童「そうだー、野暮だべ。やぼやぼだべ!」
浪人「河童、貴様野暮の意味わかっておらんだろ?」
河童「でへへ……」
妖狐「……して主様、貴方様と我を繋いでいた封印はもう完全に無くなりました。最早我と主様をつなぐ」
浪人「そこから先は言わずともわかっておる」
妖狐「え……?」
86:
浪人「ついてくるなと言うたのに、貴様らは勝手についてきたのだろうが。これから先もそうなのだろう?」
妖狐「主様……!」
浪人「あいたぁっ!?だ、抱きつくな…… あ、あばらが……」
鬼「まぁ、そういうこったな。一生ついてくぜ、主様!」
河童「オラもー!」
浪人「ええい、抱きつくなと言うに!骨が折れとるし節々も痛むのだ!!左手に至ってはもうもげそうで……」
鬼「お、ワリィワリィ」
河童「ごめんなさいだ……」
87:
妖狐「それで主様、今後はどうされますかや?」
浪人「そうさのぉ…… 御上の裁きもないままに屋敷の者全て斬ってしまったしのぉ」
鬼「しかも全部燃やしてるしな」
浪人「暫く後にはこの藩内の、いや天下のお尋ね者になってしまうだろうな……」
河童「なら、どーすんだべ?」
浪人「お天道様に背を向けるようなやり方をしてしまった以上、今までのようにやっていくわけにもいかんな」
妖狐「しかし、主様の成されたことは人の世にとって正しいことなのでは……?」
浪人「人の世では正しいことが善とは限らん。善を成すために悪に成らねばならん時があるのだ」
鬼「悪を斬ったのに悪になる?悪を斬るのは悪なのか?悪を斬る悪…… なんかよくわかんねぇな」
浪人「……待て、悪を斬る悪、か」
河童「あくをきるあく……?」
88:
浪人「ああ、そうだ。一度違えた道は後戻りできぬというのなら、そういう道を行くのも悪くない」
妖狐「……主様」
浪人「道に背き、お天道様の下を歩けぬような悪を成しながら尚も面の皮厚く生きる者共らを斬る」
浪人「それにご領主を操っておった化け蜘蛛のように、再び戦乱の世を齎さんとする輩も斬って捨てる」
浪人「御正道で裁けぬような妖怪やら悪漢を斬り捨てる『悪』としての生き方…… よいではないか!」
浪人「そうよ、俺と同じようにお天道様に背いた妖怪やら悪漢やらを斬って斬って斬りまくるとするか!!」
鬼「……悪かねぇ。それなら思いっきり暴れられそうだしな」
河童「主様がそうするならオラもそうするべ!!」
妖狐「……しかしながら其の道は険しく辛く苦しいものになるかと存じます。其れを識った上で尚進まれますか?」
浪人「今更真っ当な生き方はできまいて…… で、貴様らも俺についてこの道を行く覚悟はあるか?」
妖狐・河童・鬼「「「当然!」」」
浪人「ははっ、物好きどもめ…… 勝手にせい!」
89:
――――――――――――――――
――――――――――――
――――――――
――――
その後、巷にはこんな噂が流れ始めた
別嬪さんを三人も引き連れた浪人者が、世の悪を斬っていると
浪人者の剣の腕も確かだが、付き添う美女たちもまたすごいと
妖しげな術を用いて火焔を操る金の目の女
大木をも突き倒す怪力無双を誇る青肌の女
そして、ちと頭の足りない緑の髪の馬鹿女
河童「……馬鹿って言うなぁ!」
9

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暑い時にぐびぐび飲む最強の飲み物って何なんや?

ノンスタイルのイケメン井上さんとノンスタイルの石田の画像を交互に貼ってく

飲みの席でグラスしごいてる女wwwww

ルーキーズ出演者の現在wwwwwwwwwwwww

船長は最後まで陣頭指揮を執り続け、最後は説得されて火災から4時間後に渋々下船

これが今どきのオシャレな学生だ!!!!!!1

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