狩人「目指すは伝説級ハンター!!」【後編】back

狩人「目指すは伝説級ハンター!!」【後編】


続き・詳細・画像をみる



狩人は一人だけプレイヤー補正が付いてるみたいなもんか
しかしロートル達……ゲームと違って撤退されるとよこどられる可能性あるよなぁ……
強く生きろ
671: 以下、
―――――――――――
  半月後
672: 以下、
午前中
狩人の家
狩人「……っと」
狩人「これが秘薬か」
少女「うん。 そう」
狩人「回復薬にもグレートとかあるし……」
狩人「調合って奥が深いな」
少女「奥が深いとは思わないけど……」
少女「すごいハンターを見た事があるわ」
狩人「すごいハンター?」
少女「すごい、と言うか、器用、と言うか……」
673: 以下、
少女「ババコンガに追いかけられながら調合していたのよ」
狩人「ぶっ!?」
狩人「嘘だろ!?」
少女「エリチェンしてからやればいいのに……と思ったけど」
少女「調合し終わったら、また戦っていたわ」
狩人「……すごいんだか、無駄な才能というか」
狩人「判断が難しいな」
少女「まあ出来るにこした事はないとは思うけど」
少女「調合書開きながらやってるのにも驚いたわ」
狩人「……もうそれ曲芸でお金取れるレベルだな」
少女「それにしても字、大分読める様になったんだね」
674: 以下、
狩人「にひひ、まあな」
狩人「女が辞書っての持ってきてくれて」
狩人「知らない単語が出てきたら、これを調べて読んでるよ」
少女「そこまで出来るようになったんだ……」
少女「狩人って頭いいね」
狩人「女にも言われたけど、そうなのかな?」
少女「だって普通は、子供の頃から何年もかけて覚えていく事なのよ?」
少女「狩人は覚え始めて一ヶ月、経ってないし」
狩人「ふうん……」
狩人「まあ何て言うか、こう……出来なかった事が出来る様になっていってるという」
狩人「実感がすごくあってさ」
狩人「それが楽しいし、世界が違って見える気がするんだよ」
少女「そうなんだ」
675: 以下、
狩人「まあ、まだ調合書1巻目の半分くらいしか読めてないけど」
少女「うふふ」
  トコ トコ トコ…
板前アイルー「旦那、もうそろそろ昼だニャ」
板前アイルー「どうするニャ?」
狩人「もうそんな時間か」
狩人「少女、どうする? 一緒に食うか? もちろん奢るぜ?」
少女「そうね。 じゃ、お願いするわ」
狩人「んじゃ、俺はいつもの肉料理」
狩人「少女は?」
少女「んー。 魚の煮付け……みたいなのできる?」
板前アイルー「できますニャ! まどもわぜる」
676: 以下、
狩人「何だよ、まどもわぜるって……」
板前アイルー「何か、れでーに対しての親愛の言葉って聞いたもんで……」
狩人「相変わらず覚えた事、すぐ使いたがるな……」
狩人「おっと、くれぐれも冒険はするなよ?」
板前アイルー「……ニャハハ、分かってますって旦那!」
狩人(やる気だったな、こいつ……)
狩人「ほい、100z(ゼニー)」
板前アイルー「ガッテン承知だニャ!」
板前アイルー「少々お待ちくださいニャ!」
  タッ タッ タッ
少女「元気なキッチンアイルーね」
狩人「それはいいんだけど、時々俺で新メニューの実験しようとするんだよ……」
677: 以下、
少女「そういえば、いつだったか……」
少女「猫飯でお腹壊したって言ってたっけ」
狩人「黙ってやるな、とは言っておいたんだが」
狩人「この前、調味料間違えたとかって 言い訳してきたし」
狩人「何でこっそりやろうとしたがるのか……」 ハアッ…
少女「解雇すれば?」
狩人「それも考えたんだけど……そこ以外は真面目に完璧なんでな」
狩人「まあ、あいつの個性だと思って、そのままにしてる」
少女「個性……か」
少女「そういう意味じゃ、私のコックアイルーはどれも無難な感じね」
少女「時々、材料を焦がしたりしてダメにしちゃったり」
少女「食器を割ったりしてごめんなさいって言ってくるわ」
678: 以下、
狩人「そうなのか」
狩人「板前アイルーはそういうの無いよ」
少女「ちょっと羨ましいかも」 クスッ
狩人「でも時々雇い主で実験します」
少女「やっぱり羨ましくないわ」
狩人「ははは……」
少女「ふふふっ」
狩人「…………」
狩人「そういやさ」
少女「ん?」
狩人「昨日、集会所に行って少し気になったんだけど」
狩人「なんか、ハンターの数が少ないな?」
679: 以下、
少女「あ、それ私も気になってるのよ」
少女「どういう訳か、上位の……それも」
少女「HR6のハンターばかり、急に姿が見えなくなってるの」
狩人「へぇ……」
狩人「どうしてなのかな?」
少女「さあ……でもHR6のハンターに限って、というのが」
少女「何か関係しているのかもね」
狩人「HR6か……」
狩人「…………」
狩人「ロートルさん達は、どうしてるのかな」
少女「そうね……あれっきり何の連絡もないから」
少女「さっぱり分からないわ」
狩人「…………」
680: 以下、
―――――――――――
砂漠村 集会所
  ワイ ワイ ガヤ ガヤ
ロートル「…………」
ソロ「…………」
ベテラン「…………」
ベテラン「……あれから、あの場所のクエを受注しにくくなったな」
ロートル「……そうだな」
ソロ「……ギルド観測所・所員の報告を聞いてたのが居たんだろう」
ソロ「ネコタクアイルーから、という事もあるかもしれん」
681: 以下、
ロートル「結局……こうなったか」
ベテラン「正式な古龍討伐依頼はG級扱いだし」
ベテラン「俺たち上位ハンターは『偶然遭遇』しないと、ありつけないからな」
ソロ「……古龍は、現れた場所にまた舞い戻ってくる」
ソロ「それは周知の事実……」
ロートル「…………」
ロートル「くそっ……」
ベテラン「…………」
ソロ「…………」
682: 以下、
ロートル(……またか?)
ロートル(また、なのか……?)
ロートル(…………)
ロートル(5年前も……この前の半年間も)
ロートル(最終的には別のハンター達が仕留める結果に……)
ロートル(…………)
ロートル(ここからは、あの場所のクエの奪い合いになる)
ロートル(時間が経てば経つほど、受注が難しくなっていく……)
ロートル(…………)
ロートル(……いや、諦めるな)
ロートル(まだ……チャンスはある)
ロートル(きっと……)
683: 以下、
―――――――――――
さらに数日後の朝
ふもと村 集会所
狩人「…………」
狩人「あ」
狩人「ババコンガの依頼がある」
少女「おはよう、狩人」
狩人「少女。 おはよう」
少女「どうしたの?」
狩人「ああ、ババコンガの依頼があってな」
684: 以下、
少女「ババコンガかぁ……という事は密林ね」
狩人「そう」
狩人「俺たち下位ハンターは、ここでしかババコンガを狩れないからな」
狩人「上位の沼地って猟区が、よく出るんだっけ?」
少女「正解。 でもランクアップ対象モンスターだから」
少女「必ず狩らないといけないし……面倒なモンスターよね」
狩人「ははは……モンスター書物を読んだけど」
狩人「ウ○コぶつけてくるんだってな……喰らいたくねぇ」
少女「私は出来れば、もう二度と狩りたくないわ……」
狩人「ははは……」
狩人「それじゃ、ちょっと行ってきていいか?」
685: 以下、
少女「うん。 これを狩猟できたら、狩人も上位ランクアップクエを」
少女「受注できるようになるね」
狩人「そうだな」
少女「帰ってきたら、一緒に上位ランクアップクエに挑戦かも?」
狩人「そうそう上手く行くかな……」
狩人「ドドブランゴだっけ?」
狩人「今、待っている状態なんだよな?」
少女「うん」
少女「ドドブランゴはシーズンがある訳じゃないから」
少女「基本待つ事になるのよねぇ……」
狩人「こっちの都合に合わせて出てくれたらいいのにな」
少女「ふふっ、ホントだね!」
  ハハハ…
686: 以下、
狩人「じゃ、持っていくもの準備し直して行ってくる」
少女「うん」
少女「頑張ってね」
狩人「ああ」
狩人「……それにしても」
狩人「さらにハンターが居なくなってるな……?」
少女「うん……原因は何なのかしら?」
狩人「帰ってくる頃には、分かっているといいんだが」
狩人「ともかく、行ってくるよ」
少女「ええ」
687: 以下、
※狩人の装備
武器:大剣(フルミナントソード)
防具:フルフル装備一式
688: 以下、
―――――――――――
密林
BC(ベースキャンプ)
狩人「ふう……やっと着いた」
狩人(いつも思うけど、どうしてここだけこんなに遠いのかなぁ)
狩人(さて、愚痴っててもしょうがない)
狩人(初見な上にまた一人……まあ今回はハンターが少なかったからだけど)
狩人(難易度高くなるのは事実だからな)
狩人(消臭玉に閃光玉と罠……)
狩人(思いつく限りの準備はしてきたつもりだ)
狩人(そして……)
  ゴソゴソ…
狩人「秘薬!」つ(秘薬)
689: 以下、
狩人(飲んだハンターの耐久力を引き上げる効果がある)
狩人(これも最初から知っておけば……)
狩人(って、それは言いっこなしだな)
  ゴクゴク… シュオオオッ!!
狩人「おおっ!?」
狩人「なんか……うまく言えないが」
狩人「ちょっと強くなった気がするな!」
狩人「よし、回復薬グレートに、その予備として調合分も持ってきている」
狩人(……ハチミツなんて使い道を知らなかった時は売っぱらってたからなぁ)
狩人(今からすると、何てもったいない事をしてたのかって思うぜぇ……) トホホ…
狩人(よし、準備万端)
狩人(待ってろよ、ババコンガ!)
690: 以下、
―――――――――――
  フゴッ フゴッ
狩人(居たいた……全身ピンクの体毛の牙獣種)
狩人(普通のコンガと見分ける一番の特徴は、頭にある黄色いトサカみたいな毛)
狩人(まあ大きさで だいたい分かる気もする……)
狩人(いずれにしても、間違いなくコンガの親分格、ババコンガだな)
狩人(…………) ゴソゴソ…
狩人(…………)つ(ペイントボール)
狩人(よっ……と) ブンッ!
  ヒュ―――…… ベチャ!
狩人「……でやあああああっ!!」
691: 以下、
  ドガアッ!!
  アオオオォッ……
狩人「先制攻撃成功!」
狩人「ここで……タメ3!」
  バキッ!
狩人「ぶげっ!?」
狩人(い、意外と素早い!?)
狩人「くっ……」
692: 以下、
  ブロロオオオオオオオオオンッ!!
狩人(怒ったか……まあ当然だな)
  フゴッ! フゴッ! フゴッ!
  ドドドドドドドドドッ!!
狩人「うおっ!」(防御姿勢) ガシッ!
狩人(あの時のティガに比べたら大した事はないけど)
狩人(この突進は要注意だな……)
狩人「おりゃあああっ!!」
  ドガァッ!!
693: 以下、
―――――――――――
狩人「…………」
狩人「ふう……」
狩人「とりあえず倒せたけど……」
狩人「臭ぇ……」
狩人「剥ぎ取りもあんまりしたくないなぁ……」
狩人「…………」
狩人「消臭玉使えば、多少はましかな?」
  ザシュ… ベリリ…
狩人「…………」
狩人「……おえっ」
694: 以下、
―――――――――――
数日後の午前中
ふもと村 集会所
狩人「あ〜……やっと帰ってきた」
狩人「一応、体も装備も洗ったけど」
狩人「まだ臭う気がするなぁ……」
  ソ、ソンナ! デスガ…
狩人「……ん?」
狩人(ハンターが……ひとりも居ないな?)
狩人(それにあれは、村長さんに女……受付嬢さんと何の話をしているんだろう)
狩人(やけに深刻そうだけど……)
695: 以下、
狩人「あのー……」
女「!」
村長「か、狩人!」
女「良かった……帰って来たんだね!」
狩人「ど、どうかしたんですか?」
狩人「ハンターが一人も居ませんけど……」
女「…………」
女「狩人、最初から話すわね」
狩人「あ、ああ……」
女「まずね……3〜4日くらい前に」
女「ドドブランゴが現れたの」
狩人「はい」
696: 以下、
女「それ自体は普通のこと」
女「特に気にするべき事案じゃない……でも」
女「次の日、さらにドドブランゴがもう一頭現れた」
狩人「…………」
女「それだって珍しいけど、まあ無かった事じゃないわ」
女「だけど……」
女「昨日になって、全部で4〜5頭ものドドブランゴに増えていたの!」
狩人「!?」
女「こんな事は、さすがに初めてよ……」
女「ブランゴじゃなく、ドドブランゴが群れになって現れるなんて……!」
女「最新のギルド観測所の話だと、今は、もう2〜3頭増えているかもしれないって」
狩人「い、一体どうして!?」
697: 以下、
女「…………」
女「狩人、もうそれは問題じゃないわ」
狩人「え……?」
女「今、受付嬢さんから、ギルドからの避難勧告が伝えられたの」
狩人「!?」
女「今朝、参加できるハンター総出で討伐隊が結成され、出発したけど」
女「全部で8人しかいない」
狩人「なっ……!?」
狩人「それで避難って……」
狩人「! そ、そうだ、少女は!?」
女「……もちろん討伐隊に参加してる」
狩人「」
698: 以下、
女「受付嬢さんの話では……」
女「雪山周辺の集落全部に避難勧告が出ているそうよ」
女「理由はわからないけど……」
女「どこの村も強いハンターが遠征しているそうで」
女「こんな状態で、この数のドドブランゴ相手では……難しいと判断したみたい」
狩人「難しいって……!」
狩人「じゃあ討伐に行ったハンターは、どうなるんですか!?」
女「………っ」
村長「狩人……」
村長「どう言い繕っても結果は同じ事だから、私がはっきり言うよ」
狩人「…………」
699: 以下、
村長「ただの……時間稼ぎにしかならない、という事だ……」
700: 以下、
狩人「」
狩人「そ……そんな!!」
狩人「じゃ、じゃあ……少女や、他のハンターを」
狩人「見捨てるって言うんですか!?」
女「…………」
村長「…………」
受付嬢「…………」
狩人「……っ!」
  ダッ!!
女「!!」
女「狩人! 待って!!」
  ギュッ!
狩人「止めるな! 女!」
701: 以下、
女「あなた一人が行って、どうにかなるの!?」
狩人「っ!!」
狩人「…………」
女「狩人……落ち着いて聞いて」
女「今、ギルドが総出で近隣の村や街に、この異常事態を知らせに回ってる」
女「だけど、どうやっても上位ハンターがここに来るまで」
女「3日以上はかかってしまうのよ……!」
狩人「…………」
女「私だって……こんなのは嫌よ……!」
女「でも、他にどうすればいいの?」
女「少女ちゃん達が居てくれたからこそ、逃げる時間ができた」
女「今は……早く避難しないと、雪山を降りてきたドドブランゴに対抗する手段が」
女「私たちには全くないのよ!!」
702: 以下、
狩人「……っ」 ギリッ…
狩人「…………」
狩人「……く」
狩人「くっ……そおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
村長「…………」
村長「……皆に知らせてくる」
村長「もう時間が無いからね……」
  スタ スタ スタ…
狩人「ぐっ……くっ……くそっ……くそぉっ……うぐっ……」
女「ごめん……狩人……ごめ、ん……」
女「ごめんなさい……少女ちゃん……ひっく……」
703: 以下、
  ……この世の中は、本当に理不尽だ。
  こういう事態が起きた時
  自然の営みとか、神様って奴の気まぐれとか
  何かしらそう理屈づけて語る奴が多い。
  でも……どんな奴でも必ず最後にこう付け加えるんだ。
  『仕方ない』
  ああ、そうさ。 その通りだ。
  『仕方ない』んだよって……納得するしか無いんだよな。
  弱いから……
704: 以下、
  …………
  だけど……俺はハンターだ。
  弱くても……ハンターなんだ。
  モンスターを狩る、ハンターなんだ!
  俺は……俺は……
705: 以下、
  俺は、ハンターだ!
 
711: 以下、
これ読んで久々に4g起動してギルクエやるかと思ってみたけどLV150なのがクシャしかなくてそっ閉じした
笛なのにどーやって戦ってたんだ俺…
テオの逃走はなんか魂抜けるw
716: 以下、
―――――――――――
雪山
  ダンッ! ダンッ! ダンッ!
少女「くっ……!」
モブハンター1「くそっ! こっちにも一頭いるぞ!」
ロン毛ハンター「いったい何匹いるんだ!?」
  ドバァッ!!
モブハンター2「うわあああああっ!!」
モブハンター2「」 ドサッ…
モブハンター3「くっそおおおおおおおっ!!」
717: 以下、
少女「だめ! やけにならないで!」
少女「!」
少女「あっちのドドブランゴ、雪塊を投げてくるわ!」
ロン毛ハンター「固まるな!」
ロン毛ハンター「巻き添えを食うぞ!」
  ドド―――――ンッ!!
少女「きゃあっ!」
ロン毛ハンター「くっそおおおおおっ!!」
718: 以下、
モブハンター1「」 ドサッ…
モブハンター3「」 ドサッ…
少女「ああ……」
ロン毛ハンター「畜生!」
ロン毛ハンター「もうだめだ! 一時撤退しよう!」
少女「分かったわ!」つ(閃光玉)
  ブンッ! カッ!
  オオ――――ン……
少女「洞窟に向かいましょう!」
ロン毛ハンター「賛成だ!」
モブハンター4「はあっ……はあっ……」
  タッ タッ タッ…
719: 以下、
―――――――――――
雪山の洞窟
少女「はあっはあっはあっ……」
ロン毛ハンター「はあっはあっはあっ……」
モブハンター4「はあっはあっはあっ……」
少女「くっ……みんな、怪我はない?」
ロン毛ハンター「ああ、なんとかな。 俺は擦り傷程度だ……」
モブハンター4「こっちも一応大丈夫だ……」
少女「そう……とりあえず朗報ね」
ロン毛ハンター「くそっ……それにしても数が多すぎる」
ロン毛ハンター「昨日言ってた4〜5頭より絶対多く居るぞ……」
720: 以下、
少女「ええ……そうね」
少女「それにドドブランゴ達で連携しているようにも思える」
少女「一匹だけでも厄介なのに……」
ロン毛ハンター「それのせいで一匹に集中砲火を浴びせられないしな……」
ロン毛ハンター「くそっ……」
モブハンター4「どうする?」
モブハンター4「正直、お手上げだ……」
モブハンター4「少なくとも もう数の上で敵いっこないぞ」
少女「…………」
少女(冷静に考えなくても撤退しかない)
少女(でも……それじゃあドドブランゴ達が雪山を降りてきてしまう)
721: 以下、
救助アイルー「ニャ! ここに逃げ込んでいたのかニャ!」
少女「!」
少女「救助アイルー!」
ロン毛ハンター「おお、ネコタクのアイルーか!」
ロン毛ハンター「ちょうどいいところに……ん?」
モブハンター1「」
モブハンター3「」
救助アイルー「…………」
モブハンター4「……おい、なんで乙ったハンターを」
モブハンター4「BC(ベースキャンプ)に連れて行かないんだ?」
モブハンター4「それに……どうして二人だけなんだ?」
722: 以下、
救助アイルー「…………」
救助アイルー「BC(ベースキャンプ)には、もう戻れないニャ」
救助アイルー「すぐ手前のエリアに2頭のドドブランゴが陣取ってて……」
救助アイルー「乙ハンターを抱えながら通るのは……無理だと判断したニャ」
一同「!?」
救助アイルー「乙ハンターが二人なのは……これが精一杯だったからニャ」
救助アイルー「今の俺たちの人数と技量の限界というだけニャ……すまないニャ」
一同「…………」
ロン毛ハンター「なんてこった……」
ロン毛ハンター「下山する事も出来ないなんて……」
723: 以下、
モブハンター4「……とりあえず」
モブハンター4「ここで救助を待つしかないんじゃか?」
モブハンター4「俺たちのみじゃ、どうしようもない」
ロン毛ハンター「確に……と言いたいが」
ロン毛ハンター「BC(ベースキャンプ)の手前まで降りてきているのなら」
ロン毛ハンター「奴ら、いつ猟区外へ行ってもおかしくないぞ」
ロン毛ハンター「今は、上位ハンターが極端に不足している異常状態……」
ロン毛ハンター「俺たちの救助は、いつになるのか……」
モブハンター4「なら、その手前のドドブランゴ達だけを倒せばいんじゃないのか?」
モブハンター4「2頭だけなら俺たちだけでも何とか……」
724: 以下、
ロン毛ハンター「仲間を呼ばれたらどうする?」
ロン毛ハンター「下手に戦えば、返ってBC(ベースキャンプ)に戻れなくなるぞ」
モブハンター4「じゃあどうしろって言うんだ!?」
モブハンター4「ここにいる乙ハンターだって、早く何とかしないと死んじまうぞ!?」
ロン毛ハンター「俺にだってわからねーよ!」
ロン毛ハンター「くそっ……どうしてこんな事に……」
少女「…………」
少女「……ひとつだけ、私に提案がある」
一同「!」
ロン毛ハンター「提案?」
モブハンター4「聞かせてくれ」
少女「その前にまず……救助アイルー」
少女「あなただけなら、BC(ベースキャンプ)に戻れる?」
725: 以下、
救助アイルー「それなら問題なくできるニャ」
少女「そう……」
少女「ここからは推測も入っちゃうけど」
少女「今日、ふもと村に帰ってくる予定のハンターが一人いるわ」
一同「…………」
ロン毛ハンター「上位か?」
少女「残念ながら下位よ」
少女「でも、ドドブランゴと戦う条件を満たして帰ってくる」
モブハンター4「あんたと同じ、ランクアップ直前ハンターか」
モブハンター4「で?」
726: 以下、
少女「救助アイルーにふもと村まで行ってもらって」
少女「彼に助力を仰ぐわ」
少女「まず、BC(ベースキャンプ)手前のドドブランゴの相手をしてもらって」
少女「その隙に乙ハンター二人をネコタクアイルー達で」
少女「BC(ベースキャンプ)に連れて行ってもらう」
ロン毛ハンター「ちょっと待ってくれ」
ロン毛ハンター「さっきも言ったが、仲間を呼ばれたらどうするんだ?」
少女「…………」
少女「私達が雪山に打って出て囮になれば」
少女「数の多い、こちらに気を取られるはずよ」
ロン毛ハンター「」
モブハンター4「」
727: 以下、
ロン毛ハンター「しょ、正気か? あんた……」
ロン毛ハンター「またあれだけのドドブランゴとやり合おうってのか!?」
少女「やり合う必要はないわ」
少女「あくまで囮……引きつけておくだけ」
少女「少し戦う素振りを見せて、引く」
少女「それを繰り返せばいい」
モブハンター4「し、しかし!」
少女「上手く行けば、乙ハンター達も狩りに復帰できて」
少女「私たちの下山も可能になるかもしれない」
ロン毛ハンター「…………」
モブハンター4「…………」
728: 以下、
少女「どの道、賭けになる」
少女「ここで救助を待つのが私たちにとっては一番安全だけど」
少女「この乙ハンター二人は治療できないから助からない」
少女「かと言って、私たちだけで打って出ても結果は目に見えている」
少女「また、ふもと村に狩人……さっき私の言ったハンターが」
少女「都合よく帰っているかどうかも分からない」
一同「…………」
少女「救助アイルーをふもと村に向かわせるのは」
少女「状況を把握したい、というのもある」
少女「最悪……私たちを見捨てて避難しているかもしれないわ」
ロン毛ハンター「っ!!」
モブハンター4「!!」
729: 以下、
一同「…………」
ロン毛ハンター「……確に上位ハンターが極端に居ない上に」
ロン毛ハンター「俺たちがボロ負けしたのは、ギルド観測所が把握しているだろうしな」
モブハンター4「ふもと村含め、周辺の村とかも同じ状況だったし」
モブハンター4「住民の安全を考えたら、やりかねないな……」
少女「…………」
ロン毛ハンター「いいだろう」
ロン毛ハンター「あんたの策、乗ってやる」
少女「!」
モブハンター4「……やるしかなさそうだな」
モブハンター4「幸い、回復薬のたぐいはタップリ残っている」
モブハンター4「使う暇が無かったからな……」
730: 以下、
少女「……ありがとう」
ロン毛ハンター「礼は及ばんさ」
ロン毛ハンター「自分の命の為でもある」
ロン毛ハンター「それにこの二人をただ見捨てるのも寝覚めが悪いしな」
モブハンター4「まあどの道、あんたの言うハンターが居なかったら」
モブハンター4「そこで終わりだけど……」
少女「…………」
少女(……本当は居ない方がいい)
少女(狩人は……こんな無茶な作戦で命を散らしていいハンターじゃない)
少女(きっと、とんでもなく強くなれる才能を秘めている)
少女(私なんて遠く及ばないような……)
731: 以下、
少女(…………)
少女(でも……私……)
少女(まだ死にたくないよ……!)
少女(あなたにもう会えなくなるのも……嫌……)
少女(…………)
少女(……私は……わがままね……)
少女(…………)
少女(ごめんなさい……狩人)
少女「……それじゃ救助アイルー」
少女「往復でどれくらいの時間がかかるかしら?」
救助アイルー「ふもと村なら……だいたい2時間ってとこニャ」
732: 以下、
少女「2時間……乙ハンター達は、それまで持ちそう?」
救助アイルー「ひどい外傷は見当たらないし、脈もしっかりしているニャ」
救助アイルー「凍えさせなければ、たぶん大丈夫ニャ」
少女「分かった。 凍えさせないようにできるだけ気を配るわ」
救助アイルー「それは部下たちに任せてあるニャ」
救助アイルー「ホットドリンクもあるから問題ないニャ」
少女「そう。 じゃ……お願いね」
少女「あなたが帰って来なかったら……私たちはここで救助を待つ」
救助アイルー「……わかったニャ」
救助アイルー「じゃ、行ってくるニャ!」
  タッ タッ タッ…
733: 以下、
―――――――――――
ふもと村 狩人の家
狩人「…………」
狩人「…………」
板前アイルー「旦那」
狩人「……ん?」
板前アイルー「どうするんだニャ?」
板前アイルー「本なんて読んでる時じゃねぇと思うニャ」
狩人「…………」
狩人「少女達を助けに行くつもりだ」
板前アイルー「……左様ですかニャ」
734: 以下、
狩人「……短い間だったけど」
狩人「ありがとうな」
狩人「本当に助かったよ」
板前アイルー「…………」
板前アイルー「なあ、旦那」
狩人「ん?」
板前アイルー「せめて、あっしの飯を食ってから行きやせんかニャ?」
狩人「……冒険は無しだぞ」
板前アイルー「もちろんニャ」
板前アイルー「今のあっしにできる、最高の猫飯を食って行ってくだせぇニャ」
735: 以下、
板前アイルー「どうぞだニャ」
狩人「いただきます」
  ムシャムシャ モグモグモグ…
―――――――――――
狩人「ありがとう、板前アイルー」
狩人「とても旨かっ……」
狩人「……!?」
  シュインッ!!
狩人「こ、これは……!?」
板前アイルー「いかがですかニャ?」
狩人「なんか……秘薬を飲んだ後みたいだ」
板前アイルー「たぶん、その通りだニャ」
狩人「どういう事だ?」
736: 以下、
板前アイルー「これはあっしの故郷に伝わる秘伝の猫飯でして」
板前アイルー「旦那のお役に立てれば、と思って作りましたニャ」
狩人「……なんで今頃」
板前アイルー「実は人によっては、拒絶反応でお腹を壊したりする食材が含まれてまして」
狩人「おい!?」
板前アイルー「悪いと思いましたけど」
板前アイルー「普段の食事にその食材を少しずつ混ぜて」
板前アイルー「旦那の体を慣れさせてましたニャ……」
狩人「それなら最初から言ってくれよ……」
板前アイルー「これまで雇ってもらえた旦那には、全て断られてきましたんで……」
板前アイルー「旦那も強くなれるかもしれないけど、お腹を壊すモノを」
板前アイルー「体を慣らしてまで食べたいとは思わねぇでしょ?」
狩人「まあ……そうだな」
737: 以下、
板前アイルー「実は、本当はこれでも完璧じゃねぇですニャ」
板前アイルー「もっとすごい効果のある猫飯なんですが」
板前アイルー「今のあっしの腕前では、これが限界……」
板前アイルー「許してくだせぇ……旦那」
狩人「…………」
狩人「……今の飯、本当に旨かった」
狩人「また食いたい」
板前アイルー「旦那……!」
狩人「じゃ……行ってくる」
板前アイルー「へい! 必ず……必ず! 戻ってきてくだせぇニャ!」
狩人「ああ……」
738: 以下、
―――――――――――
ふもと村 集会所
受付嬢「いいえ、ダメです」
受付嬢「許可できません」
狩人「なら……勝手に行かせてもらうだけだ」
受付嬢「ですが!」
女「狩人!」
女「バカ! もうダメなのよ!」
女「あなた一人行ったって、何も変えられないのよ!!」
女「無駄に死にに行くのと同じなんだから!!」
739: 以下、
狩人「…………」
狩人「……でも」
女「え……?」
狩人「俺はハンターだ」
狩人「このまま逃げ出して、少女達を見捨てたら……」
狩人「きっと後悔すると思う」
女「なに、かっこいいこと言った!みたいな顔してるの!?」
女「ふざけないで!!」
女「命がかかってるのよ!?」
女「少女ちゃんを助けに行って、あなたが死んだら、何にもならないじゃない!」
狩人「女、分かってくれ……」
女「分からないわよ!!」
740: 以下、
救助アイルー「……取り込んでる所、ごめんだニャ」
一同「!?」
狩人「お前は……救助アイルー! 無事だったか!」
救助アイルー「そっちも元気そうで何よりニャ」
狩人「それで!? 少女達は無事なのか!?」
救助アイルー「今話すニャ」
―――――――――――
救助アイルー「……という状況ニャ」
女「…………」
狩人「そうか、分かった」
741: 以下、
狩人「受付嬢さん、女」
狩人「俺、行ってくるよ」
狩人「もう討伐じゃない。 少女達の下山を助けてくる」
狩人「それなら、みんな揃っての避難だ」
女「…………」
女「……分かったわ」
女「でも……相当に危ない道よ?」
女「全員が生きて帰ってくる事は……難しいと思う」
女「その事は忘れないで」
狩人「ああ。 肝に銘じておく」
狩人「女も他の人たちと一緒に逃げてくれ」
狩人「草原村で落ち合おう」
女「……うん」
742: 以下、
※ それぞれの装備と状況
行方不明
モブハンター2(HR 4)
武器:片手剣
防具:ハンターS装備一式
死亡
モブハンター5(HR 3)
武器:太刀
防具:フルフル装備一式
モブハンター6(HR 4)
武器:ハンマー
防具:ハイメタS装備一式
743: 以下、
乙中
モブハンター1(HR 4)
武器:太刀
防具:ギアノスS装備一式
モブハンター3(HR 5)
武器:弓
防具:ガンナー用ギザミS装備一式
744: 以下、
健在
モブハンター4(HR 4)
武器:双剣
防具:ゲネポスS装備一式
ロン毛ハンター(HR 5)
武器:ハンマー
防具:フルフルS装備一式
少女(HR 3)
武器:ライトボウガン
防具:ガンナー用ザザミ装備一式
狩人(HR 3)
武器:大剣(フルミナントソード)
防具:フルフル装備一式
745: 以下、
―――――――――――
雪山 BC(ベースキャンプ)
狩人「…………」
救助アイルー「じゃ、手はず通り、合図が来たら頼むニャ」
狩人「わかってる」
狩人「……少女によろしく言っといてくれ」
狩人「必ず生き残ろう、と」
救助アイルー「分かったニャ」
  タッ タッ タッ…
狩人「…………」
746: 以下、
狩人(ドドブランゴ……別名『雪獅子』の異名を取る全身真っ白の牙獣種)
狩人(ブランゴを束ねるリーダーであり、大きな特徴として)
狩人(鋭く、大きな牙を持つ)
狩人(ドスギアノスの様に群れを従え、統率の取れた動きで)
狩人(ハンターに襲いかかってくる、厄介なモンスター)
狩人(…………)
狩人(動きが俊敏で、慣れるまでは攻撃を当てるのにも苦労する)
狩人(ドドブランゴの攻撃方法は幾通りか有り)
狩人(突進攻撃や大きなモーションの後に行う 飛びかかり攻撃は)
狩人(よく見ていれば、避ける事はそれほど難しくない)
狩人(が、地中移動して地面の下から襲いかかる『地中急襲』は)
狩人(相当に悪辣な攻撃だ)
747: 以下、
狩人(さらに巨大な雪の塊を投げてきたり、ブレスを吐いて)
狩人(ハンターの動きを大きく制限する『雪ダルマ』状態にする事も)
狩人(…………)
狩人(……それが、最低でも2頭同時……か)
狩人(…………)
狩人(いや、困難なクエなのは最初から分かっていた)
狩人(一応対抗手段は用意してある)
狩人(消散剤は持ってきた。 走り回るだろうから強走薬も作れるだけ作ってきた)
狩人(…………)
狩人(少女……)
748: 以下、
―――――――――――
雪山の洞窟
  タッ タッ タッ
救助アイルー「お待たせニャ!」
少女「救助アイルー!」
少女「待ってたわ……」
モブハンター4「それで? 状況はどうなっている」
―――――――――――
救助アイルー「という事で、BC(ベースキャンプ)で待機してるニャ」
少女(狩人……!)
ロン毛ハンター「よし、何とか首の皮一枚つながったな」
少女「ええ……でも、ここからが正念場よ」
ロン毛ハンター「わかっているさ」
749: 以下、
救助アイルー「それじゃ、俺は乙ハンターのところに行くニャ」
救助アイルー「ああ、それから狩人は必ず生き残ろうって……囮役、頑張ってくれニャ」
少女「うん……ありがとう、頑張るわ」
  タッ タッ タッ…
少女「…………」
ロン毛ハンター「…………」
モブハンター4「…………」
モブハンター4「さて、行きますか」
ロン毛ハンター「雪山の地形は大丈夫か?」
少女「問題ないわ」
少女「ドドブランゴに分断されないよう気をつけましょう」
750: 以下、
―――――――――――
雪山 山頂手前付近
ロン毛ハンター(ひょー……居るいる)
ロン毛ハンター(今のところ3匹か……)
少女(まず、私がペイント弾でマーキングしていくわ)
少女(その後、少し戦って山頂方向へ向かい、脇道にそれて洞窟へ入る)
少女(こんな感じでどうかしら?)
モブハンター4(先がどうなってるのか、分からないから不安だ……)
モブハンター4(だが、雪山にいるドドブランゴを引き付けないと意味がないからな)
モブハンター4(OK。 それで行こう)
ロン毛ハンター(よし。 合図の爆弾も用意できてる。 いつでもいいぞ)
少女(……分かった。 始めるわ)
751: 以下、
―――――――――――
雪山 BC(ベースキャンプ)
狩人(…………)
狩人(…………)
  ……ドドーン
狩人「!!」
狩人「よし、始まったな」つ(強走薬) グビッ
  シュイン!
狩人「少女……頑張ってくれ」
狩人「行くぞ!」
752: 以下、
―――――――――――
雪山 BC(ベースキャンプ)近くの洞窟出口付近
救助アイルー(始まったかニャ……)
救助アイルー(…………)
救助アイルー(正直、あいつじゃドドブランゴ2頭同時なんて)
救助アイルー(もって5分……というところだニャ)
救助アイルー(何としてもこの二人を早く気づかせて、戦列に復帰させないと)
救助アイルー(いくらあいつでも死んでしまうニャ……)
救助アイルー(…………)
救助アイルー(雪山の方も……どこまで持つのか……)
救助アイルー(…………)
753: 以下、
  ザッ ザッ ザッ…
狩人「…………」
  グルルル……?
狩人「……さて、どうなるかな」つ(ペイントボール)
  ヒュッ ヒュッ… ――――ンッ ベチャ! ベチャ!
狩人(まずは……様子を見るだけでいい)
狩人(救助アイルー達に注意が向かない様にしないと……!)
754: 以下、
  ゴアアアアアアアッ!!
狩人「まずは威嚇か……!」
  ググッ……バッ!
狩人「……!」 回避!
狩人(なるほど……あれが大きな動作からの跳びかかり攻撃か!)
  バキッ!
狩人「ぐっ!」
狩人(別の一頭からの攻撃……!)
狩人(これは……相当に厄介だ!)
狩人「このおっ!」
755: 以下、
  ブウウンッ! ドガッ!
  グアアッ!
狩人「うしっ!」
狩人(だけど大剣の溜め攻撃は、しない方がいいな)
狩人(今は倒す事より、あいつらの注意を引き、動きを見る)
狩人(これに徹するんだ!)
救助アイルー「…………」
救助アイルー(おいおい……何があったのか知らないけど)
救助アイルー(俺はあいつを過小評価してたみたいだニャ)
救助アイルー(いつの間にあんなに冷静な行動を取れるように……)
救助アイルー(いや、それどころじゃないニャ)
756: 以下、
救助アイルー「いいか、野郎ども」
救助アイルー「もうすぐドドブランゴ達が怒るニャ」
救助アイルー「俺たちはそれを確認した後、全力でBC(ベースキャンプ)に戻るニャ」
  ニャー!!
救助アイルー「BC(ベースキャンプ)に戻った後」
救助アイルー「医療班を除いた1班2班は、雪山のハンターの援護に向かってくれニャ」
救助アイルー「残りは、俺と共にここのハンター達を援護するニャ」
  ニャー!!
救助アイルー「よし」
救助アイルー「…………」
救助アイルー「…………」
757: 以下、
  ゴガアアアアアアアアアアアッ!!
救助アイルー「ミッションスタート!!」
―――――――――――
狩人「……!」
狩人(よし、いいタイミングだ! 救助アイルー!)
狩人「うおおっ!!」
  ザシュッ!!
  グガアアッ!!
758: 以下、
―――――――――――
雪山 山頂付近
  ゴガアアアアアアアアアアアッ!!
ロン毛ハンター「ちっ、この程度で怒ってんじゃねーよ!」
  ドウッ! ドウッ! ドウッ!
少女「ペイントは済んだわ! そこの脇道に行くわよ!」
モブハンター4「わかった!」
モブハンター4「オラァッ! そこをどきやがれ!!」つ(ハンマー)
  ドゴオッ!!
少女「上手い! スタンを取った!」
759: 以下、
―――――――――――
雪山 中腹付近の洞窟
少女「はあっはあっはあっ……」
ロン毛ハンター「はあっはあっはあっ……」
モブハンター4「はあっはあっはあっ……」
少女「確認できるペイントの煙は……全部で……はあっはあっ……8頭かしら」
ロン毛ハンター「通りで……ふうっふうっ……敵わないわけだな」つ(回復薬G)グビッ
モブハンター4「くそっ……はあっはあっ……何でこんな数のドドブランゴが……!」
少女「残念だけど、これで全部かどうかは分からない」
少女「それに……」
760: 以下、
ロン毛ハンター「ああ、分かってる。 みなまで言うな」
ロン毛ハンター「俺たちの仕事はこれで終わりじゃない」
モブハンター4「最後まで持つかなぁ……」
ロン毛ハンター「今から泣きごと言ってどうする」
ロン毛ハンター「閃光玉の残りとか、確認しとけ」
モブハンター4「わかってるよ……」
モブハンター4「あと2発だ」
ロン毛ハンター「俺は5発丸々残ってるぞ」
少女「私は3発と調合で10個作れるわ」
ロン毛ハンター「そいつは頼もしいな」
モブハンター4「唯一とも言えるいいニュースだぜ」
少女「急いで山頂手前付近の出口に向かわないと……さ、行くわよ」
761: 以下、
―――――――――――
雪山 BC(ベースキャンプ)
救助アイルー「よし!」
救助アイルー「医療アイルー以外の1班2班は予定通り雪山のハンター援護へ!」
救助アイルー「それ以外は、俺について来いニャ!」
  ニャー!
救助アイルー「今回は異常事態ニャ!」
救助アイルー「普段は禁じられている出過ぎたサポートも俺の責任で許可するニャ!」
救助アイルー「ハンターの命を守る事に全力を尽くすんだニャ!!」
  ニャー!!
762: 以下、
―――――――――――
雪山 BC(ベースキャンプ)近くのエリア
狩人「ぐあああああああああっ!!」
  グルルル…
狩人「く、くそっ!」
  バキッ!
狩人「ぐはっ!?」
狩人(くそったれ……! もう1頭の死角からの攻撃がキツいっ!)
狩人(……いや、やけになるな)
狩人(冷静になれ! もっと集中するんだ!)つ(回復薬G) グビッ
763: 以下、
  狩人は確かに成長していた。
  事前にモンスターの情報を知り
  調合の知識や薬効を理解し
  状況を見、頭で考え、冷静に行動していた。
  それは目を見張るほど素晴らしい成長ぶりである。
764: 以下、
  だが……
  決定的に足りないものがひとつだけあった。
  才能がどれだけあろうとも
  それは……時間をかけなければ得る事ができないのである。
765: 以下、
  ゴアアアアアアアッ!
狩人(雪塊攻撃!)
狩人(何度も見たぜ!) 回避!
  グルルル…
狩人「!?」
狩人(もう一匹が……居ない!?)
  地中移動して地面の下から襲いかかる『地中急襲』は
  相当に悪辣な攻撃だ
狩人「!!」
766: 以下、
狩人(しまっ―――)
  ド ガ ア ア ッ !!
狩人「がっ……」
  ゴ キ ン ッ !!
狩人「」
767: 以下、
狩人「ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」
768: 以下、
  狩人の右腕から鈍い音と同時に
  強烈な痛みが彼に襲いかかる。
  そう……
  狩人は、複数同時の討伐モンスターを相手に戦った『経験』が
  圧倒的に足りていなかった。
774: 以下、

二頭はほんとウザいよな…
777: 以下、
―――――――――――
雪山 山頂手前付近
  ドウッ! ドウッ! ドウッ!
少女(くっ……! ペイントの効果を消してるのが、もう何頭か居る!)
少女(…………) チラッ…
少女(山頂に2頭……ここに3頭、脇道付近に1頭……)
少女(そして、BC(ベースキャンプ)近くに2頭)
  ゴアアアアアアアッ!
ロン毛ハンター「ちっ、また怒りやがったか!」
モブハンター4「そろそろ移動じゃないか!?」
778: 以下、
少女「ええ!」つ(閃光玉)
  ブンッ… カッ!
  グアアアア……
少女「今のうちよ!」
ロン毛ハンター「ヒュー……いつもながら3頭同時に見事なもんだ」
モブハンター4「これが終わったらギルカ交換してくれ」
少女「無駄口叩かない!」
少女「あなた達、私よりHR上なんでしょ!?」 ←HR 3
ロン毛ハンター「……そうですね」 ←HR 5
モブハンター4「……すみません」 ←HR 4
少女「さ、早く行くわよ」
  タッ タッ タッ…
779: 以下、
―――――――――――
雪山 BC(ベースキャンプ)手前エリア
 痛い  痛い 痛い   痛い
    俺……どうしたんだ……?
 あれ? 何を…   痛い
痛い  ヤバイ…    痛い  痛い
     ああ……
   痛い  痛い   痛い
 ドドブランゴから逃げないと……
      苦しい……
 ここは……?   何が……?  少女……
 痛い  痛い  痛い  痛い
  ドドブランゴ……?
      くそっ……
  痛い
780: 以下、
  ドサッ!!
狩人「がふっ!!」
狩人「……ぐ……くっ……はっ……」
  ドドブランゴの「地中急襲」の直撃を寸前で避けた狩人だったが
  代わりに右腕が犠牲になった上に、結局数メートル上空に突き上げられ
  地面に叩きつけられる結果となった。
  その落下の衝撃で意識が飛びそうになるが
  何とか持ちこたえるものの……朦朧(もうろう)とするのはさすがに抑えられなかった。
狩人「はっ……はっ……」
781: 以下、
  ゴアアアアアアアッ!
狩人「!」
  まるで勝ち誇ったかのような
  ドドブランゴ達の雄叫びでようやく意識がはっきりする。
  ヨロヨロと立ち上がり、首を軽く振ると
  狩人は自分の右腕を見る。
狩人(……くっ)
狩人(痛みの場所から そうだと思ったが……折れてるな……これ)
狩人(おまけに……武器まで失った……くそっ……!)
782: 以下、
狩人(だけど……)
狩人(最後まで諦めるものかっ!)
  狩人は、剥ぎ取り用の小さなナイフを左手に構える。
  だがこれは、剥ぎ取るために作られたものなので
  討伐用の武器とは比べ物にならないほど貧弱で脆い代物だった。
狩人(……これがダメになったら、噛み付いてでも戦ってやる)
狩人(さあ……かかってこい、ドドブランゴ!)
  威勢のいい事を考えているが
  どう見ても悪あがきでしかない……
狩人「はあっ……はあっ……」
783: 以下、
  だが、そんな狩人を見て
  ドドブランゴ達は少々戸惑っていた。
  これだけ圧倒的に不利な状況で大ダメージを受け
  ましてやあの奇妙な道具(武器)も失い
  自分たちに抗う術(すべ)などないハズ……
  だが、いま目の前に居るこの小さいのは
  それでも立ち上がり、何かを取り出して
  圧倒的に有利である自分たちを睨みつけ、戦う姿勢を崩さないでいる。
  何かあるのか……?
  ドドブランゴ達は、本能的に狩人を警戒してしまったのだった。
784: 以下、
  グルルル…
狩人「はあっ……はあっ……」
  一方、狩人の方に余裕など少しもない。
  正直、立っているだけでも辛い、という状況だった。
狩人(……何とか……武器を……!)
狩人(ドドブランゴの後ろにある大剣を拾わないと……!)
  狩人は もう冷静ではなかった。
  痛みで気を失いかけながら考えた事は、ただ”勝つ事”のみ。
  根拠など何もなく、自分の武器さえ取り戻せば何とかなる、と
  思い込んでいるにすぎない……
狩人「はあっ……はあっ……」
785: 以下、
  ゴガアアアアアアアッ!
狩人「!」
狩人「く……うおっ」 回避!
狩人「ぎ……ああああっ!」
  しびれを切らしたドドブランゴの突進に思わず避けたが
  その動きだけで激痛が狩人の体を駆け抜ける……!
狩人「はあっはあっはあっ……」
786: 以下、
狩人(痛ぇ……たった……これだけの動作で……)
狩人(どうすればいい……)
狩人(どう……すれば……)
  あまりの痛みに気が遠くなる狩人。
  ついには、剥ぎ取りナイフすらも落としてしまった……
狩人「はあっ……はあっ……」
狩人(もう……ダメ……かな……)
狩人(…………)
狩人(……女……君の言う通りになってしまったよ……)
狩人(俺一人じゃ……何も変えられなかった……)
狩人(…………)
787: 以下、
  ドドブランゴの一頭が、飛びかかりの前動作を始めるのが見えた。
  狙いはもちろん狩人だ。
狩人(…………)
狩人(畜生……)
  カッ!!
  ゴアアアアアアアッ!?
狩人(!?)
狩人(閃光……玉!?)
788: 以下、
救助アイルー「3班は右のを!」
救助アイルー「4班は左の注意を引くんだニャ!」
救助アイルー「乙ハンターは居ないから、いつもより軽い仕事だニャ!」
  ニャー!!
救助アイルー「大丈夫かニャ!?」
狩人「救助……アイルー……うっ」
救助アイルー「……折れているニャ」
救助アイルー「…………」
救助アイルー「状況が変わったニャ!」
救助アイルー「3班! このハンターをBC(ベースキャンプ)へ!」
救助アイルー「3班のドドブランゴは、俺が何とかするニャ!」
  ニャ!?
789: 以下、
救助アイルー「時間がもったいないニャ!」
救助アイルー「早くしろニャ!」
  ニャ……ニャー!!
―――――――――――
BC(ベースキャンプ)
  ガラガラガラ…
3班アイルー「状況! 右、前腕部骨折!」
医療アイルー「了解!」
3班アイルー「俺たちは戻るニャ!」
医療アイルー「こっちも済んだらすぐ行くニャ!」
790: 以下、
医療アイルー「さ、この布を噛むニャ!」
狩人「……え? ぐもっ」
医療アイルー「他の連中は、患者を抑えるニャ!」
  ニャー!
医療アイルー「時間が惜しいから荒療治ニャ!」
  コキッ パキョ…
  グギギギギギギギギギギギギギ……コキンッ✩
狩人「―――――――――――ッ!!!!?」
医療アイルー「添え木……固定完了!」
医療アイルー「回復薬や秘薬は持っているかニャ?」
狩人「」
791: 以下、
医療アイルー「ほれ、起きるニャ」 ペチペチ
狩人「……う、う〜ん……」
医療アイルー「回復薬や秘薬は持っているかニャ?」
狩人「え……?」
狩人「あ、ああ……持ってるけど」
医療アイルー「じゃあ回復薬……できればグレートと秘薬を飲んで休んでいるニャ」
医療アイルー「安静にして一日一回は回復薬Gと秘薬を飲んでいれば」
医療アイルー「3日後くらいに治っているニャ」
狩人「そうなのか……わかっ」
狩人「って! 休んでなんていられないんだよ!」
医療アイルー「お前は意識こそ失わなかったけど」
医療アイルー「武器を手放した段階で乙扱いになるニャ」
792: 以下、
狩人「し、しかし!」
医療アイルー「……その腕じゃ、どの道足でまといニャ」
狩人「……っ」
医療アイルー「けど、お前はよくやってくれたニャ」
医療アイルー「おかげで二人のハンターを治療できたニャ」
狩人「!」
医療アイルー「だから、休んでいてくれニャ」
医療アイルー「乙から復帰したハンターが、きっと何とかしてくれるニャ!」
医療アイルー「じゃ……」
  タッ タッ タッ…
狩人「…………」
793: 以下、
―――――――――――
雪山 山頂付近
モブハンター4「くそっ!」
ロン毛ハンター「雪塊、来るぞ!」
  ドガァァァァンッ!!
少女「はあっはあっ……そろそろ潮時」
  ガウウウウッ!!
少女「きゃあっ!!」
ロン毛ハンター「野郎!!」
モブハンター4「大丈夫か!?」
794: 以下、
少女「っ……な、何とか……」
ロン毛ハンター「脇道に入るぞ!」
  グルルル…
少女「!」
ロン毛ハンター「なっ!?」
モブハンター4「ま、待ち伏せ……だと!?」
  ガアアアアアアアアッ!!
ロン毛ハンター「くそっ! だめだ、散れっ!」
795: 以下、
モブハンター4「畜生!」
  バババッ!
少女(いけない……このままじゃ分断される!)
  ドウッ! ドウッ! ドウッ!
少女「はあっはあっはあっ……!」
少女(今、このエリアには4頭……)
少女(確認した最大の頭数から単純計算でBC(ベースキャンプ)近くのを除けば)
少女(残りは2頭ということ)
少女(なら……!)
少女「このまま、それぞれでエリアチェンジしよう!」
ロン毛ハンター「!」
モブハンター4「!」
796: 以下、
ロン毛ハンター「ちっ……!」
モブハンター4(それしかないか……!)
ロン毛ハンター「わかった!」
モブハンター4「洞窟で落ち合おう!」
少女「ええ!」つ(閃光玉)
  ブンッ! カッ!
  グアアアア…
―――――――――――
雪山 山頂手前付近
ロン毛ハンター「はあっはあっはあっ……」
797: 以下、
  ゴアアアアアアアッ!!
ロン毛ハンター「くっ!?」
ロン毛ハンター(どうやら……貧乏くじは俺が引いたみたいだな……)
ロン毛ハンター(くそったれ!)
ロン毛ハンター「だが、何としてもそこを通してもらうぜ!」
ロン毛ハンター「うおおおおおおおおおおおっ!!」
―――――――――――
雪山の洞窟
少女「はあっはあっはあっ……」
モブハンター4「! 良かった……あんたは無事だったか」
少女「ええ……はあっはあっ……なんとか、ね……」
798: 以下、
モブハンター4「……という事は」
少女「…………」
少女「助けに行きましょう」
少女「彼が行ったルートは、たぶん、山頂の手前に出る場所」
少女「すぐに行かないと命に関わ……」
ロン毛ハンター「……大丈夫だ」
少女「!」
モブハンター4「!」
モブハンター4「無事だったか!」
ロン毛ハンター「…………」
799: 以下、
モブハンター4「……?」
モブハンター4「どうした?」
少女「どこか、怪我でも?」
ロン毛ハンター「…………」
ロン毛ハンター「……ネコタクアイルーが一人死んだ」
ロン毛ハンター「俺を庇って……」
少女「!」
モブハンター4「!」
モブハンター4「……そうか」
ロン毛ハンター「…………」
ロン毛ハンター「閃光玉の残りは、後どれくらいある?」
800: 以下、
モブハンター4「……俺は使い切った」
少女「私は……あと2発」
ロン毛ハンター「……俺も使い切ってる」
ロン毛ハンター「正直、これはヤバイ状況だ」
ロン毛ハンター「俺たちの行動は、だいぶ奴らに読まれている上に」
ロン毛ハンター「頼みの閃光玉も無くなりかけている」
少女「…………」
モブハンター4「……囮のアタックもあと一回できるかどうか」
モブハンター4「BC(ベースキャンプ)手前の2頭は、どうなったんだ?」
モブハンター4「こっちはそろそろ限界だぞ……」
少女「…………」
801: 以下、
少女「でも、信じて合図を待つしかないわ」
少女「ネコタクアイルーも加わってくれるのなら、多少私たちの負担も減る」
ロン毛ハンター「…………」
モブハンター4「…………」
ロン毛ハンター「……しょうがない、か」
モブハンター4「よし、思い切って今度は逆ルートで行ってみないか?」
モブハンター4「単純だが、少しは時間稼ぎになると思うが?」
少女「そうね……試してみる価値はあると思う」
少女「じゃ、今度は中腹あたりの出口から山頂を目指して」
少女「山頂手前の洞窟を目指しましょう」
ロン毛ハンター「ああ、わかった」
モブハンター4「早いとこ合図来てくれよぉ……」
802: 以下、
―――――――――――
雪山 BC(ベースキャンプ)手前付近
  ゴアアアアアアアッ!!
救助アイルー「ギニャアアアアアッ!!」
3班アイルー「隊長! もう下がるニャ!」
3班アイルー「乙ハンターも復帰して今戦ってくれているニャ!」
救助アイルー「かはっ……」 ビチャ…
3班アイルー「医療アイルー!」
3班アイルー「来てくれニャ!」
救助アイルー「はあ……はあ……」
803: 以下、
救助アイルー「誰か……ハンターに……」
救助アイルー「合図の仕方を……教えるニャ……」
3班「分かってるニャ! だからもう休むニャ!」
医療アイルー「……!!」
救助アイルー「はあ……はあ……」
医療アイルー「……ここは僕に任せるニャ」
医療アイルー「BC(ベースキャンプ)に連れて行くから……」
3班アイルー「任せたニャ!」
  タッ タッ タッ…
救助アイルー「はあ……はあ……」
医療アイルー「…………」
804: 以下、
―――――――――――
雪山 BC(ベースキャンプ)
  タッ タッ タッ…
狩人「!」
医療アイルー「…………」
救助アイルー「はあ……はあ……」
狩人「救助アイルー!?」
狩人「だ、大丈夫か!?」
医療アイルー「…………」
医療アイルー「……静かに見てやって欲しいニャ」
狩人「え? で、でも俺……」
805: 以下、
医療アイルー「……っ」
医療アイルー「内蔵をしこたまやられてて……手の施しようがないニャ……!」
狩人「っ!!」
医療アイルー「だから……看取ってやってくれニャ」
狩人「だ……だから……って」
医療アイルー「僕は……まだ仕事が残ってるニャ!」
医療アイルー「ここで放り出したら、隊長は僕を怒るニャ!」 グスッ…
狩人「!」
医療アイルー「……頼んだニャ」
  タッ タッ タッ…
狩人「…………」
806: 以下、
救助アイルー「はあ……はあ……」
狩人「…………」
救助アイルー「……ふふふ……そんな顔するな……」
救助アイルー「俺が……自分の判断で……やった事ニャ……」
狩人「……けど」
救助アイルー「はあ……はあ……」
救助アイルー「やっぱり……アイルーじゃ……」
救助アイルー「どうやっても……討伐モンスターには……勝てないみたいだニャ……」
狩人「…………」
救助アイルー「はあ……はあ……」
救助アイルー「昔は……オトモアイルーとして……」
救助アイルー「旦那さんと……フィールドを……駆け回ってたニャ……」
狩人「…………」
807: 以下、
救助アイルー「はあ……はあ……」
救助アイルー「でも……旦那さん……守れなかったニャ……」
救助アイルー「目の前で……グラビモスの……ブレスで……」
救助アイルー「……俺は……悔しかった……ニャ」
狩人「…………」
救助アイルー「はあ……はあ……」
救助アイルー「何度も……何度も……自分がハンターだったらって……」
救助アイルー「そうしたら……仇(かたき)を討って……やれるのにって……」
救助アイルー「考えたニャ……」
狩人「…………」
808: 以下、
救助アイルー「はあ……はあ……」
救助アイルー「でも……こうやって……ハンターを救っていけば……」
救助アイルー「いつか……俺の旦那さんの無念を……晴らしてくれるって……」
救助アイルー「そう考えるように……して……この仕事……始めたニャ……」
狩人「……そうだったのか」
救助アイルー「はあ………はあ………」
救助アイルー「なあ……新人ハンターさん……」
狩人「……なんだ?」
救助アイルー「俺は……頑張れたかニャ……?」
救助アイルー「旦那さんは……喜んで……くれるかニャ?……」
狩人「当たり前だ」
狩人「きっと……笑顔でお前を迎えてくれるさ」
809: 以下、
救助アイルー「ふふふ……そうか………」
狩人「…………」
救助アイルー「あんたみたいな……ハンターを……最後に……救えて……」
救助アイルー「本当に……良かった……ニャ……」
狩人「ああ……俺も感謝してる」
狩人「そしていつか、お前の主より強くなって」
狩人「グラビモスだって、ラオシャンロンだって」
狩人「一人ででも倒せるくらいになってみせるさ……!」
救助アイルー「ふふふ………はあ………はあ………」
救助アイルー「……期待…………してるニャ」
狩人「絶対に裏切らないよ」
救助アイルー「ふふふ…………」
810: 以下、
救助アイルー「…………」
救助アイルー「あんたが……そういう…………ハンターになった……」
救助アイルー「武勇伝を……」
狩人「…………」
救助アイルー「……あっちで……」
救助アイルー「旦那さんと…………聞け……るの…………」
救助アイルー「……楽…………し……み………………に…………」
救助アイルー「」
狩人「…………」
狩人「…………」
狩人「救助……アイルー……」
救助アイルー「」
811: 以下、
狩人「…………」
狩人「……っ」
狩人「……ぐっ……うくっ…………ぐっ…………」
狩人「……うあ……ああああっ……ぐっ……くっ……」
狩人「バカ……野郎っ……ひぎっ…………ぐっ……くっ……」
狩人「何で……ぐくっ……何で、だよっ……うあっ………はっ…」
狩人「ひぎっ……うっ、うっ……ぐっ……うあっ……はっ……」
狩人「あああっ……ぐっ……ひぎっ……くっ……うっ……ああっ……」
狩人「……ひうっ……ぐっ……くっ……ぎっ……くあっ……」
812: 以下、
  ……俺が、救助アイルーを看取って
  泣いていると……
  ドドブランゴを倒した、という合図である
  大タル爆弾の炸裂音が響いてきた。
  ……これで、やれる事は一応全部済んだ。
  けど……
813: 以下、
  下山してきた少女達も含め
  喜んでいる者は、誰ひとりとしていなかった……
814: 以下、
―――――――――――
翌日の昼
草原村 仮設テント
女「狩人!」
女「それに……少女ちゃん」
狩人「……やあ、女」
狩人「怪我したけど何とか帰ってきたよ……」
少女「すみません……討伐できなくて」
女「ううん……謝る必要はない」
女「むしろ、私たちの方こそ許しを請う立場よ……」
女「何しろ我が身可愛さに少女ちゃん達を見捨てて逃げたんだから」
少女「…………」
狩人「…………」
815: 以下、
女「……でも」
女「ここへ生きて帰ってきてくれて」
女「本当に良かったわ……」
少女「…………」
狩人「…………」
女「ここには駆け足で来てくれたHR6のハンターが、ついさっき何人か着いたの」
女「明日にはもっと来る予定よ」
女「今は……体を休める事に専念して」
少女「ええ」
狩人「そうさせてもらうよ……」
816: 以下、
―――――――――――
砂漠村 集会所
ギルド連絡員「急報!」
ギルド連絡員「現在、雪山猟区にて、ドドブランゴが大挙して襲来!」
  ザワッ……!
ギルド連絡員「手の空いているハンターは救援に向かわれたし!」
ギルド連絡員「繰り返す!」
ギルド連絡員「手の空いているハンターは救援に向かわれたし!」
ロートル「…………」
ソロ「…………」
ベテラン「…………」
817: 以下、
ロートル「…………」
ソロ「…………」
ソロ「……?」
ロートル「…………」
ソロ「……ロートル?」
ロートル「! ……なんだ?」
ソロ「なんだ?は、無いだろう?」
ソロ「ふもと村に戻る準備をしないと」
ロートル「…………」
ソロ「……おい、ロートル」
818: 以下、
ロートル「……大丈夫だろう」
ロートル「俺やお前がいなくたって……」
ロートル「何とかなるさ」
ソロ「…………」
  バキッ!
ロートル「ぐっ……!」 ドサッ…
ベテラン「…………」
ソロ「……今のは聞かなかった事にしてやる」
ソロ「さあ、ふもと村に帰る準備をするんだ」
ソロ「俺たちは、ふもと村の村付きハンターなんだぞ」
ロートル「…………」
ロートル「…………」
ロートル「……わかった」
ベテラン「…………」
819: 以下、
―――――――――――
翌日の昼
草原村 墓地
ネーコ「……そうですか」
ネーコ「救助アイルーさん、そんな事を……」
ネコタクアイルー一同「…………」
狩人「…………」
狩人「なあ、ネーコ」
ネーコ「はい?」
820: 以下、
狩人「もしかしたら……ネコタクアイルーって」
狩人「救助アイルーみたいな 元オトモアイルーなのか?」
ネーコ「…………」
ネーコ「半分くらいは……その通りです」
ネーコ「もう半分はご主人様と生き別れ、とういうわけでなく」
ネーコ「ただ給金がいいから、という理由できている元オトモアイルーです」
ネーコ「人間とあまり変わりませんよ」 クスッ…
狩人「そうか……」
狩人「でも、みんな元オトモアイルーなのか」
ネーコ「ええ」
ネーコ「ネコタクアイルーの条件にありますので……」
821: 以下、
狩人「…………」
狩人(救助アイルー……)
狩人(俺……必ずあの約束を守るよ)
狩人(…………)
狩人(でももし守れなかったら……)
狩人(その時は遠慮なく、俺を蹴っ飛ばしてくれ)
狩人(…………)
狩人(だから……)
狩人(あっちでもまた会おうな……)
狩人(救助アイルー)
822: 以下、
  今回のドドブランゴ襲来で犠牲になったのは
  ハンターが3人 ネコタクアイルーのアイルーが2人……
  覚悟こそそれなりにしていたが
  俺にとって、最も辛く、苦い経験となった……
823: 以下、
―――――――――――
  ビュオオオオオオオオオオ……
824: 以下、
  ここは雪山の遥か北に位置する場所。
  見渡す限り……白く凍てつく氷の大地。
  一見すると息づくものはなく
  常に吹雪が渦巻いていた。
  が……
825: 以下、
雪山深奥
  ズシン… ズシン… ズシン…
  
  ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
826: 以下、
  付近の山と見間違うほど巨大で大きい何かが突然吠えた。
  生き物、というのには躊躇(ちゅうちょ)するそれは
  何かに導かれるように南に向かって進み始めた……
839: 以下、
―――――――――――
  約一週間後
840: 以下、
午後
雪山 山頂付近
狩人「くらえ、ドドブランゴッ!!」
  ドガアッ!!
  グアアアアッ…
狩人「よしっ」
  ダンッ! ダンッ! ダンッ!
  アオオオッ……!
少女「狩人! 今よ!」
狩人「はああああっ!!」(タメ3)
  ドガアッ!!
841: 以下、
  あれから一週間が過ぎた。
  あの時の俺たちの頑張りが功を奏したのか
  結局、雪山を降りてきたドドブランゴは一匹もおらず
  ふもと村を含め、雪山周辺の村々にも被害は全く出ずに済んだ。
  そしてロートルさん達を含め
  駆けつけてきたHR6のハンター総数は60人を超え
  雪山に来たドドブランゴ達は一掃された。
842: 以下、
  だけど、それからも1〜2日に一頭くらいの頻度で
  ドドブランゴは現れ続け
  ギルド含め、雪山周辺住民にも動揺が広がっていた。
  何かの前触れではないかと……
  無論、ギルド側も事態を重く見て
  調査隊を派遣する事を決めた。
  のだが……
843: 以下、
―――――――――――
夕方
ふもと村 集会所
狩人「ふう……」
少女「狩人、もう腕は問題ないみたいね」
狩人「ああ」
狩人「けど骨が折れるのって、もの凄い激痛なんだぜ……」
狩人「あの痛みは もう味わいたくないよ」
少女「それは……ごめんなさい、狩人」
狩人「ん?」
狩人「何で謝るんだ?」
844: 以下、
少女「だって……」
少女「私が助けを求めて、複数のドドブランゴを相手にさせたから……」
狩人「……いや、気にしなくていいんだよ」
狩人「俺も少女の事、助けたかったし……」///
少女「!」 ドキッ
少女「そ、そう……」///
受付嬢「お待たせしました」
受付嬢「こちらが今回のドドブランゴ討伐の報酬です」
  ドサッ
受付嬢「そして、これがHR4のギルドカードになります」
受付嬢「これでお二人共、正式に上位ハンターですね」
845: 以下、
狩人「ありがとう、受付嬢さん」
狩人「これで上位の猟区に行けるんだな……」
受付嬢「はい」
受付嬢「ただし、塔はHR5から」
受付嬢「樹海猟区はHR6からになります」
狩人「そうですか……まだまだ先は長そうですね」
受付嬢「ええ。 それでは、上位に上がった際の注意点を説明いたします」
狩人「注意点?」
受付嬢「まず……これまでの猟区より危険なモンスターが出没するため」
受付嬢「支給品の配送が遅れる事が多々あります」
受付嬢「ぶっちゃけると、ほぼ毎回、猟区到着時には『無いもの』と思ってください」
846: 以下、
狩人「そうなんですか……」
受付嬢「上位猟区配送員の人員確保は難しくなっておりますので……すみません」
狩人「わかりました」
少女(これは……今まで以上に準備を心がけないと)
少女(猟区に着いて『クーラードリンク忘れた!』なんて)
少女(シャレにならなくなるわ……)
少女(…………)
少女(……たぶん、狩人は事の重大さに気が付いてない気がする)
狩人「他には何かありますか?」
受付嬢「猟区の砂漠なのですが」
受付嬢「上位から”夜の砂漠”に行くクエが登場します」
狩人「はい」
847: 以下、
受付嬢「これまで下位クエでは昼間ばかりだったので知らないでしょうが」
受付嬢「砂漠は夜になるとホットドリンクが必要になるくらい冷え込むんです」
狩人「……冗談ですよね?」
受付嬢「信じられませんか……」
受付嬢「理屈はまだ分かっていないのですが、本当に『そうなる』ので」
受付嬢「これからの砂漠クエ受注の際、時間帯をよく見て、注意してください」
狩人「はあ……」
狩人(あんなに暑い砂漠なのに……本当かなぁ?)
受付嬢「以上が上位に上がった際の注意点です」
受付嬢「これまで以上にできるだけ無理せず、少しずつ強くなってください」
狩人「はい」
少女「わかりました」
848: 以下、
―――――――――――
ふもと村 広場付近
  ガヤ ガヤ
狩人「あ……あの荷車」
狩人「まだ調査隊、出発していないのか」
少女「ギルド側は調査隊の護衛にG級ハンターを付けたいみたいなんだけど」
少女「なかなか応じてくれるG級ハンターが居ないみたい……」
狩人「HR6のハンターなら、たくさん居るのに……」
少女「未知の……ううん、モンスターのテリトリーに入っていくのだから」
少女「どんな不測の事態になるのか、分からない」
少女「それに備えてG級ハンターの護衛を付けたいのよ」
849: 以下、
狩人「それは分かるんだけどな……」
少女「特に今回は山あいで天候が安定しない地域だから」
少女「気球観測ができないし……」
狩人「…………」
  スタ スタ スタ…
ロートル「……お」
狩人「あ……」
少女「ロートルさん」
ロートル「…………」
ロートル「……その様子だと」
ロートル「ドドブランゴ討伐、成功したみたいだな」
850: 以下、
狩人「はい」
少女「上位ハンターになれました」
ロートル「そうか……おめでとう」
狩人「ありがとうございます」
ロートル「じゃ……」
  スタ スタ スタ…
狩人「あ……」
狩人「…………」
少女「…………」
狩人「……ロートルさん」
狩人「帰ってきてから様子がおかしいな……」
少女「うん……」
851: 以下、
―――――――――――
ふもと村 集会所
  ガヤ ガヤ
ロートル「タンジアビールにモス煮込みを頼む」
  アイヨー
ロートル「ふう……」
ベテラン「……よお」
ロートル「!?」
ロートル「ベテラン……なぜここに居る?」
ベテラン「ま……気まぐれってやつさ」
852: 以下、
ベテラン「ねーちゃん、俺は黄金芋酒に刺身盛り合わせな」
  ハーイ
ベテラン「ふう……」
ロートル「…………」
ベテラン「……もう知ってるかも しれねーが」
ベテラン「砂漠のテオ……討伐されちまったよ」
ロートル「…………」
ロートル「……そうか」
ベテラン「お前さんがふもと村に向かって、2日後の事だった……」
ロートル「…………」
ロートル「で? それをわざわざ伝えに、こんな所まで来たのか?」
ベテラン「…………」
853: 以下、
  オマチー ソッチノオキャクサンモー
ロートル「おう」
ベテラン「ありがとよ」
  ガツガツ… ムシャムシャ…
ベテラン「なかなか旨いな」
ロートル「ここは刺身より煮物の方が旨いぞ」
ベテラン「そうか……今度試してみる」
ロートル「……で? 何でここへ?」
ベテラン「……深い意味はねーよ」
ベテラン「ただ……」
ロートル「ただ?」
854: 以下、
ベテラン「ソロの兄ちゃんがお前を殴った時」
ベテラン「俺も殴られた気がした」
ロートル「…………」
ベテラン「結局……俺は残って、古龍殺し(エルダーキラー)のおこぼれに預かろうとしたが」
ベテラン「おたくら同様、怪しまれて相手にされなかったよ……」
ロートル「…………」
ベテラン「何でかね……」
ベテラン「ソロの兄ちゃんの方が正しいのは分かってるんだが」
ベテラン「お前の事を応援したかった」
ロートル「…………」
855: 以下、
ベテラン「けど……俺はそうしなかった」
ベテラン「目の前にある、細い一本のチャンスって名前の紐を掴みたかったし」
ベテラン「面倒事に巻き込まれるのも、お前さん達の関係を悪くするのも避けたかった」
ロートル「…………」
ロートル「……そんなに気にする事じゃないだろう?」
ロートル「流れのハンターなら、当たり前の事じゃないのか?」
ベテラン「まあな……」
ベテラン「だが、テオ討伐の報を聞いて……ものすごく後味が悪くなった」
ロートル「…………」
ベテラン「こんな事……何度もあった、経験したハズなのに」
ベテラン「逃げるテオを見た後のお前の絶叫を どうしても思い出しちまう」
ロートル「!」
856: 以下、
ベテラン「…………」
ベテラン「ねーちゃん、黄金芋酒、おかわり」
  ハーイ
ロートル「…………」
ベテラン「…………」
ベテラン「すまなかった、ロートル」
ロートル「…………」
ロートル「……いいさ」
ロートル「もう……」
  ガヤ ガヤ…
857: 以下、
―――――――――――
翌日の朝
ふもと村 集会所
狩人「さて……新しい猟区、さっそく行ってみるかな」
狩人「……ん?」
狩人「!!」
  ツカ ツカ ツカ!
狩人「おい! あんた!」
ベテラン「あん?」
狩人「その頬の傷……間違いない!」
858: 以下、
狩人「イケメンの兄貴だな!」
ベテラン「っ!」
狩人「あの時はよくも騙してくれたな!」
狩人「騙し取った金、返せ!」
ベテラン「な、何の事だぁ〜??」
ベテラン「何か証拠でもあんのか?」
狩人「まだしらばっくれる気か!?」
  ザワ… ザワ… ナンダ? ケンカカ?
ベテラン「い、いいから落ち着けって」
狩人「落ち着いてられるか! だいたいあんたが……」
ロートル「どうした? 狩人?」
狩人「ロートルさん! 聞いてください!」
859: 以下、
狩人「――という訳で」
狩人「このハンターから、お金を騙し取られたんですよ!」
ロートル「……なるほど」
ロートル「ベテラン、何か反論は?」
ベテラン「反論も何も……俺はこんな奴しらねぇし」
ベテラン「言いがかりは よしてもらいたいってだけだが?」
狩人「この……!」
ロートル「落ち着け、狩人」
狩人「でも、ロートルさん!」
ロートル「いくらやられたんだ?」
狩人「は? ……750z(ゼニー)ですけど」
860: 以下、
  ゴソ ゴソ…
ロートル「ほら、この財布をやる」
ロートル「中に1000z(ゼニー)くらいは入っているから」
ベテラン「!?」
狩人「はあ!?」
ロートル「金さえ戻れば文句は無いのだろう?」
狩人「え? い、いや、それは……」
ロートル「いいから。 それで抑えておけ」
狩人「…………」
ベテラン「…………」
狩人「……わかりました。 けど」
狩人「そんなハンター、庇っても何もならないと思いますけどね」
狩人「じゃ……」
861: 以下、
ロートル「…………」
ベテラン「…………」
ベテラン「……何してくれてんだよ」
ベテラン「礼なんて言わねぇからな?」
ロートル「ああ。 そんなもの気にしていないさ」
ロートル「狩人の奴は、人を信じすぎるきらいがあるから」
ロートル「お前や俺みたいに、ロクでもない人間が居る事を知らないといけない」
ベテラン「…………」
ベテラン「けっ……だからって、お前にまで不信を抱かせるこたぁねーだろ」
ロートル「そうとも」
ロートル「お前が一番いやがるだろうから、ああしたんだ」
862: 以下、
ベテラン「…………」
ロートル「…………」
ベテラン「……ロートル」
ロートル「なんだ?」
ベテラン「お前って……いい性格してるな」
ロートル「おいおい。 今頃気がついたのか?」
  ハハハ…
―――――――――――
沼地 BC(ベースキャンプ)
狩人「全く……」
少女「何を怒ってるの? 狩人?」
狩人「ロートルさんの事なんだが……」
863: 以下、
狩人「――って事があったんだよ」
少女「ふうん……」
狩人「何だってロートルさんは、あんな奴を庇ったんだか……」
少女「それは私にも分からない……けど」
狩人「けど?」
少女「ロートルさんが何の考えもなしに そんな事はしないと思う」
狩人「…………」
少女「きっと、深い何かがあるんだよ」
狩人「……そうかな?」
少女「うん」
864: 以下、
少女「……世の中ってさ」
少女「何もかもが、こう……善と悪、みたいに分かりやすいモノじゃないし」
少女「そういう風に決めつけて見ちゃうと……世間って、小さく見えて……」
少女「!」
狩人「……?」
狩人「少女?」
少女「……何でもない」
狩人「??」
少女「とにかく」
少女「私たちは目の前の採取クエに集中しないと」
少女「ね?」
狩人「あ、ああ……」
少女「…………」
865: 以下、
少女「…………」
少女(昔……)
少女(私を引き取ってくれた、おばさんに)
少女(同じ事を言われた……)
少女(…………)
少女(……私は)
少女(悪い奴を悪いと言って何が悪いの!……って)
少女(言い返したっけ……)
少女(…………)
少女(皮肉なものね……) クスッ…
866: 以下、
―――――――――――

ふもと村 集会所
狩人「あー……戻ってこれた……」
少女「日帰り、行けるかと思ったけど……」
少女「ぬかるみに足を取られて、想像以上に疲れる上に時間も掛かるわね」
狩人「ああ……今度は沼地猟区近くの村に泊まって帰ろう」
少女「マップで見ると森丘猟区より近くなのに……」
少女「……ん?」
867: 以下、
  ✩急募✩
  調査隊ビバーク品輸送員、護衛のハンターを
  募集しています。
  条件はHR6以上でG級モンスター及び
  古龍との遭遇・戦闘経験のあるハンターです。
  報酬などはギルド員と直接交渉で……
868: 以下、
狩人「調査隊……ビバーク品?」
少女「簡単に言うと食料や体を温める暖房用の燃料の事よ」
狩人「何でそんな物がいるんだ?」
少女「たぶんだけど……」
少女「雪山のかなり奥地まで調べるつもりなんだと思う」
少女「この前も言ったけど、天候の関係で気球観測は出来ないし」
少女「そうなると、食料やその他備品は歩いて持っていくしかない」
狩人「ふむふむ」
少女「でも、一人で運んでいける荷物の量は限界があるし」
少女「それでは限られた距離しか奥に行けないわ」
狩人「うん」
少女「だから中継地点を設けて、そこに食料品や燃料を備蓄しておけば」
少女「より遠くへ行く事ができる様になる」
狩人「なるほど!」
869: 以下、
狩人「この募集の紙は、それを運ぶ人達の護衛ハンターを求めているのか」
少女「そういう事ね」
狩人「…………」
狩人「……という事は」
狩人「本命の調査隊護衛のG級ハンターも見つかった……という事か?」
少女「うん。 少なくともその目処が立ったのだと思う」
狩人「いよいよ動き出すのか……」
  テク テク テク…
ロートル「狩人」
狩人「あ……ロートルさん」
ロートル「…………」
ロートル「俺とソロとベテランは明日の朝、ビバーク品輸送部隊の護衛で出発する」
870: 以下、
狩人「!」
少女「!」
狩人「……そうですか」
狩人「ソロさんはともかく、ベテランって、あのハンターですか?」
ロートル「ああ」
ロートル「狩人がどう思っていようが、腕は立つからな」
狩人「…………」
少女「どのくらいで帰ってきます?」
ロートル「一応、往復で約一週間から10日……と言われている」
少女「わかりました」
少女「ふもと村の事は、私たちに任せてください」
ロートル「頼む」
871: 以下、
  テク テク テク…
狩人「…………」
狩人「大丈夫かな……」
少女「そういえば……ロートルさん」
少女「この前の遠征について、何も言ってくれないね」
狩人「ああ……」
狩人「あのベテランとかいうハンターに騙されてないといいんだが」
少女「さすがにそれは大丈夫だと思うけど……」
少女「でも今回の急な話。 随分あっさり行くのを決めた気がする」
狩人「いけないのか?」
少女「報酬の部分が曖昧なのが気になるの」
872: 以下、
狩人「ギルドと交渉……って書いてあるな」
少女「うん」
少女「破格のお金や素材じゃないのが、どうもね……」
狩人「そういうのを求められる、って事じゃないのか?」
少女「確かにそれは考えられる話だけど……」
少女「ごめん、うまく言えない」
狩人「そうか……」
狩人「じゃ、そろそろ俺たちも休むか」
少女「そうね」
少女「お疲れ様、狩人」
狩人「ああ、お疲れ様」
873: 以下、
※それぞれの装備
ロートル(HR 6)
武器:双剣(ゲキリュウノツガイ 火属性)
防具:ガノスU装備一式
ソロ(HR 6)
武器:大剣(ブルーウィング 火属性)
防具:ザザミU装備一式
ベテラン(HR 6)
武器:ランス(シェルクロウランス)
防具:フルフルS装備一式
874: 以下、
―――――――――――
翌日の朝
ふもと村 広場付近
  ガヤ ガヤ…
ベテラン「よお」
ロートル「おはよう」
ソロ「……おはよう」
ソロ「ベテラン、その武器……火属性じゃないな?」
ベテラン「ああ。 火属性、あるにはあるんだが……まだちょいと力不足なんでな」
ベテラン「迷ったんだが、こっちにした」
ソロ「そうか」
ベテラン「寒い地域のモンスターは、どうも苦手だ……」
875: 以下、
ロートル「……ハンターの集まりが悪いな」
ロートル「昨日聞いていた通りなら、8人の予定だったと思うが……」
ベテラン「寝坊して遅れてるんじゃねーの?」
ロートル「だったらいいんだが……」
  タッ タッ タッ
観測所員「すみませーん」
観測所員「護衛のハンターさん、何人か風邪を引いてしまって参加できないそうです」
  ザワッ…!
ベテラン「おいおい……大丈夫なのか?」
観測所員「と、私に言われましても……」
観測所員「ですが、全部で5人もいらっしゃいますし」
観測所員「もう予定は変えられないので、このまま出発します」
876: 以下、
ロートル「……やれやれだな」
ソロ「5……か」
ソロ「何事もなければいいが」
ベテラン「おや? ソロの兄ちゃん、迷信を信じる口か?」
ソロ「多少はな」
ベテラン「へっ……5だろうが、9だろうが、数字は数字」
ベテラン「いちいち気にしてたら、その若さで涼しげなヘアースタイルになるぜ?」
ソロ「……その軽口を叩く癖。 直した方がいいと思うぞ」
ロートル「まあまあ。 その辺りにしておけ」
ロートル「それよりも古龍の情報を優先して貰える、という報酬は魅力だ」
ロートル「参加できなかったハンターは無念だと思っているだろう」
877: 以下、
ベテラン「おおともよ」
ソロ「……確かにそれは言えるな」
ロートル「昨日話した通り」
ロートル「観測所は今回の騒動の原因、古龍クシャルダオラと見ている」
ロートル「閃光玉は多めに持ってきたか?」
ベテラン「モチのロンだぜ」
ソロ「俺も調合分を含めて持ってきている」
ロートル「よし」
ロートル「もうひとつの候補はラージャンらしいがな……」
ベテラン「そうだったら、おたくら死ぬな」
ロートル「他に鍛えている防具がない……その時は尻尾巻いて逃げるさ」
ソロ「クシャルダオラ前提で考えたからな……」
878: 以下、
―――――――――――
  3日後の夜
879: 以下、
  ビュオオオオオオオオ……
雪山奥地 調査隊中継地点 ビバーク予定地 洞窟テント内
ベテラン「う〜さむさむさむ……」
ロートル「見張り、ご苦労さん」
ロートル「あまり旨くないが、モス煮込みだ。 温まるぞ」
ベテラン「ほっ、ありがてぇ……」
  ガツガツ… ムシャムシャ…
ベテラン「熱っ……はふはふ……ふう……あったまるぜ」
880: 以下、
ロートル「結局、クシャルダオラは襲来せず……か」
ベテラン「ここらでもドドブランゴのみだったな」
ベテラン「しかも並の奴ばかり……原因の『何か』は、もっと奥地みてーだぜ」
ロートル「…………」
ロートル「……それはしょうがない」
ロートル「モンスターが俺たちの都合を考えてくれる訳はないからな」
ベテラン「ちげーねぇ」
  ハハハ…
ベテラン「……明日はいよいよ帰還、か」
ロートル「何事もなく済めば、それでいいさ」
ロートル「命あっての物種だ」
881: 以下、
ベテラン「ほお? ずいぶんあっさりしてるな」
ロートル「今回のドドブランゴ襲来で命を落としたハンターは3人も居る」
ロートル「ネコタクアイルーにも犠牲が出た」
ベテラン「…………」
ロートル「俺たちハンター全員が『そうである』必要はないし、強制もできん」
ロートル「が……自分より若いハンターが命を散らさずに済むよう務めるのは」
ロートル「俺たちにとって、最低限の役割なんじゃないだろうか……」
ベテラン「…………」
ベテラン「……かも知んねぇな」
ベテラン「ハンターやってりゃ、誰だってG級目指したいの同じだが」
ベテラン「さすがに今回は、醜態さらしちまった気がする」
ロートル「……そうだな」
882: 以下、
ロートル「さあ、休んでくれ」
ロートル「時間になったら起こす」
ベテラン「ああ。 休ませてもらうぜ」
―――――――――――
??「……ラン……ベテラン」
??「起きてくれ」
ベテラン「……ん」
ベテラン「…………」
ベテラン「……ソロの兄ちゃん」
ベテラン「……もう……交代の時間か……ふあああっ」
ソロ「違う」
883: 以下、
ベテラン「はあ?」
ソロ「ともかく、起きて外に出てくれ」
ソロ「帰り道が無くなった」
ベテラン「……何言ってるんだ?」
ソロ「いいから早く」
ベテラン「??」
―――――――――――
  ザッ ザッ ザッ…
ロートル「起きたか、ベテラン」
ベテラン「……どうした、ロートル?」
884: 以下、
ロートル「しっ……声を絞れ、ベテラン」
ベテラン「はあ?」
ロートル「百聞は一見にしかず……とりあえず、声を上げないように」
ロートル「あの巨大モンスターを見てくれ」
ベテラン「……!?」
ベテラン(巨大モンスター!?)
ソロ「…………」
  スッ…
ベテラン「」
ベテラン「なっ……何だ、ありゃ……!?」
ベテラン「あんなの知らねぇぞ……!?」
885: 以下、
  ベテランが驚くのも無理は無かった。
  いつの間にか吹雪は止み、視界が開けていたのだが
  ロートルに促(うなが)され、岩の影からこっそりと覗いたら
  昨日、自分たちが来た道を塞ぐように
  巨大な『何か』が横たわっていたのだ。
  ……いや、もっと正確に言うと
  寝息を立て、寝ていたのだ。
886: 以下、
  大きさは縦に約10〜15m。
  丸まっているので全長は推定だが、尻尾を含めると
  軽く50mは超える、と、言ったところか……
  そいつは全身を真っ白なウロコ状の甲殻に包まれ
  全体的に流線型の体型をしている。
  特徴的なのは顔面の顎。
  スコップ状の形で、そのまま地面を掘れそうな感じだった。
887: 以下、
ロートル「俺も見た事がない」
ロートル「吹雪が止んだので、帰り道の確認をしに来たら」
ロートル「『あれ』が居たんだ」
ベテラン「…………」
ベテラン「……今回のドドブランゴ騒動は」
ソロ「ああ……たぶん『あいつ』のせいだろう」
ベテラン「…………」
ベテラン「しかしでかいな……ラオシャンロンくらいは ありそうだ」
ロートル「……ともかく、これはまずい事になった」
ロートル「ラオシャンロンは国の軍隊の協力や準備してた防衛設備」
ロートル「そしてHR関係なく、ハンター総出で事に当たって何とかしているのに」
ロートル「あんな奴、たった5人のハンターで相手にできるモンスターじゃない」
888: 以下、
ソロ「ましてや、どんな攻撃をするかもわからん」
ソロ「しかも……」
ベテラン「くそったれ……帰り道を塞がれたら、逃げる事もできねーじゃねーか」
ロートル「その通りだ」
ロートル「ともかく今は、奴がどう動くか見極めてからでないと行動できん」
  スタ スタ スタ…
観測所員「何事ですか? こんな朝早く……」
ロートル「しっ……静かに」
ロートル「見た事もない巨大モンスターが寝ている」
観測所員「!!」
ロートル「ゆっくりと……息を殺して『何』なのか、見極めてくれ」
観測所員「……わかりました」
889: 以下、
  スッ…
観測所員「……!!」
ロートル「……どうだ? 何か分かるか?」
観測所員「…………」
観測所員「……わ……私の記憶が正しければ」
観測所員「あれは……おそらく……」
観測所員「崩竜……ウカムルバス……!」
一同「…………」
ロートル「崩竜ウカムルバス……詳しい情報はあるか?」
890: 以下、
観測所員「残念ながらありません」
観測所員「ウカムルバスが最後に確認されたのは……確か50年くらい前で」
観測所員「当時の雪山周辺は、まだ未開の土地……」
観測所員「ラオシャンロン同様、何年かに一度の割合で回遊しているのではないか?」
観測所員「と、推測されただけです」
一同「…………」
ロートル「ほぼ、情報はなし、か……」
ソロ「ラオシャンロンと同じように回遊する、と推測した根拠はあるのか?」
観測所員「……大きさから、そう推測されたと記憶してます」
ベテラン「こいつはキツいねぇ……」
891: 以下、
ベテラン「こっちは戦える奴は5人。 非戦闘員は多数」
ベテラン「おまけによく知らねぇ デカブツ相手で、逃げ道が塞がれちまったときた」
一同「…………」
ロートル「ともかく、確かめたい事もある」
ロートル「一度ビバーク地点まで下がるぞ」
―――――――――――
  ザワ ザワ… ドウスンダヨ…
ロートル「みんな、落ち着いてくれ」
ロートル「ここは洞窟で、とりあえず奴には見つからない」
  …………
ロートル「よし」
892: 以下、
ソロ「ロートル」
ロートル「戻ったかソロ」
ロートル「どうだった?」
ソロ「残念だが……お前の懸念が当たっていた」
ソロ「観測所員の話だと、計画されていたルートは」
ソロ「8年前の雪山奥地探索ルートを元に作られているが」
ソロ「ざっと調べた限り、奴の通った跡は見事にそのルートに沿っていた」
ロートル「……そうか」
ベテラン「俺たちは、やっこさんの通った獣道を探索ルートに選んでいたって事か……」
ロートル「回遊する、という言葉を聞いて、ふと、な……」
観測所員「……通りで通りやすいわけですね」
ロートル「…………」
893: 以下、
ロートル「俺の考えとしては、3つある」
ソロ「……聞こう」
ロートル「一つ目は、迂回ルートを選択して一刻も早く帰還する、だ」
ロートル「だが、これは予定されていないルートを通る事になる為」
ロートル「遭難の危険性があるし、たぶん時間もかかる」
ロートル「そうなったら手持ちの食料や燃料が、どこまで持つか不安になる」
一同「…………」
ロートル「二つ目は、ここで救助を待つ事」
ロートル「ウカムルバスの目的は何なのか分かっていないので」
ロートル「ふもと村の方向へ向かっている、とも言い切れない」
ロートル「ここには調査隊本隊の食料や備品もあるので」
ロートル「原状、我々が一番安全な方法とも言える」
894: 以下、
ロートル「しかし……奴がふもと村の方角へ向かっていった場合」
ロートル「俺たちの救助は遅れに遅れる事が予測される」
一同「…………」
ロートル「最後の選択肢だが……」
ロートル「俺たちハンターが奴の囮となり、非戦闘員たちだけで帰還してもらう事」
一同「!!」
ロートル「……正直、一番危険な策だと思う」
895: 以下、
ロートル「囮になるハンターはもちろん、逃げる非戦闘員も」
ロートル「ギアノスやブランゴ等のモンスターの脅威にさらされる」
一同「…………」
ロートル「だが同時に最も早く、迫ってくるウカムルバスの危険や」
ロートル「救助の求めを伝えられる可能性が高い」
ロートル「同じルートを進んでくる後発隊に接触できるしな」
一同「…………」
ロートル「他に何か、いい考えはあるだろうか?」
観測所員「……ひとつ聞きたいんですが」
ロートル「何だ?」
896: 以下、
観測所員「囮になったハンターは……どうなるんですか?」
ロートル「もちろんあいつを適当にあしらったら……」
ロートル「ここで救助を待つさ」
ロートル「死ぬつもりなんて、これっぽっちもない」
観測所員「…………」
観測所員「私は……3つ目の選択肢を選びます」
  ザワ…!
ベテラン「……こいつは意外だったな」
ベテラン「一番反対すると思ってたぜ」
観測所員「私だって安全に行きたいですよ」
観測所員「でも……ふもと村含め、この脅威を雪山周辺の皆さんは知りません」
観測所員「リスクを冒してでも、伝えなければならない事だと思います」
897: 以下、
一同「…………」
ロートル「ハンター含め、みんなもよく考えてくれ」
ロートル「自分が『どうすべき』なのかを……」
一同「…………」
―――――――――――
約一時間後
ウカムルバス 就寝地点
  グルルル…zzz グルルル…zzz
898: 以下、
ベテラン「……まだ寝てやがるな」
ロートル「どの道、あいつが起きだしたら俺たちが通ってきたルートを進む」
ロートル「退路を絶たれてるのは変わらんさ」
ベテラン「へっ……違ぇねぇ」
ベテラン「なら、こっちの思惑通り動いてもらおうぜ」
ロートル「ああ。 手はずは?」
ソロ「できている」
ソロ「例の洞窟で非戦闘員は待機して、合図を待っているぞ」
ロートル「そうか……」
ベテラン「じゃ……最終確認と行くか」
899: 以下、
ベテラン「俺たちハンターは、囮としてあのデカ物をこの先の開けた窪地へ誘導」
ベテラン「その隙に非戦闘員は元来た道を使って帰還」
ベテラン「大体はこうだな?」
ロートル「ああ」
ロートル「しばらく奴に付き合って、時間を稼ぐが」
ロートル「俺たち囮のハンターは、あの洞窟に立て籠って救助を待つ」
ベテラン「合図は大タル爆弾で……だったな?」
ロートル「雪崩が心配だが、他に手段がないからな……」
ベテラン「……よし」
ベテラン「そろそろ、おっぱじめるとするか」
ソロ「……いつでもいいぞ」
ロートル「わかった」つ(ペイントボール)
  ブンッ ……―――ンッ ベチャ!
900: 以下、
  グルルル…
ベテラン「おーおー……あのでかい図体で、あんなのでも起きるんだな」
ロートル「先に行け」つ(強走薬グレート)
  グビッ …シュインッ!
ソロ「わかった。 気をつけろよ」
ベテラン「頼んだぜ!」
  タッ タッ タッ…
ロートル「……ああ」
901: 以下、
※ここで ウカムルバス戦闘 のBGMを流すといいかもです。
902: 以下、
  ゴアアアアアアアッ!!
ロートル(まずは威嚇……定番だな)
  ズシンッ! ズシンッ! ズシンッ!
ロートル「!?」
ロートル「くっ……!」 回避!
ロートル(思ったより素早い……あの図体で かなり動けるみたいだな)
ロートル「はあっ!」
  ズバッ! ズバッ!
903: 以下、
ロートル「…………」
ロートル(こんな程度じゃ全然ダメージにならんな……)
ロートル(ラオシャンロンもハンターに切り刻まれながら)
ロートル(その歩みを止めないと聞く……)
  ガアアアアアアアアアアッ!!
ロートル「!!」
ロートル(どうやら、こいつは気が短いらしい)
ロートル「くっ!」
  ダダダダダダダダッ!
―――――――――――
904: 以下、
ベテラン「おっ……もう来た」
ベテラン「どうやら頭に血が上りやすい質(たち)の様だな」
ソロ「かえって好都合だ」
ソロ「そっちの準備はいいか!?」
  他のハンター達(ガンナー)は手を挙げて
  OKのサインを送りかえす。
ソロ「よし……」
ソロ「…………」
ソロ「…………」
ソロ「…………」
ソロ「今だ!!」
905: 以下、
  ドウッ! ドウッ! ドウッ!
  ドオオオオオオオンッ!!
ベテラン「しゃ! いいタイミングだぜ!」
ソロ「これだけ引き離せば大丈夫だろう」
―――――――――――
ロートル「!」
ロートル(どうやら、作戦の第一段階は成功のよう……)
ロートル「……!?」
906: 以下、
  不意に
  ウカムルバスは、ロートルから目を離す。
  何かに気がついた様に自分の後方へと目線を移すと
  その方向へ自分の体の向きを変えた。
ロートル「な……何だ?」
ロートル「…………」
ロートル「!!」
907: 以下、
  その目線の先には――
  慌てて洞窟から逃げ出そうとする非戦闘員達の姿が見える。
  この距離で、俺というハンターを目の前にして
  なぜそっちへ……というロートルの疑問は
  次の瞬間、すぐに分かる事となった。
908: 以下、
  ブシャアアアアアアアアアアアアアッ!!
  ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!
ロートル「――っ!!」
ベテラン「」
ソロ「」
909: 以下、
  たぶん水ブレス……
  ガノトトスが使う、貫通性の高い、直撃を食らうと
  下位の防具なんぞ簡単に穴を開けるヤバイやつ。
  アレだ。 それはすぐわかった。
  だが、破壊力が比較にならない!!
  ブレスを吐いた途端、地面の氷や大岩を巻き上げ
  大地ごと非戦闘員達の姿が……消えてしまった!!
910: 以下、
ベテラン「マ……マジかよ」
ソロ「…………」
ロートル「…………」
  モンスターの驚異的な力は
  ハンターであれば、誰でもある程度は分かっている。
  が……
  こいつ……ウカムルバスの この攻撃は
  想像をはるかに超えた破壊力だった。
  故に……ハンター達の動きが一瞬止まる――
ソロ「……!」
ソロ「ロートル! 止まるな!」
ロートル「っ!!」
911: 以下、
  ブオッ!
ロートル「うおっ!」 回避!
  すんでのところでウカムルバスの前足攻撃を避けるロートル。
ロートル「はあっはあっはあっ……」
ロートル(くそっ!)
ロートル(非戦闘員の安否確認に行きたいが……おそらく全員……)
ロートル(…………)
ロートル(完全に俺の見積りが甘かった)
ロートル(どうする?)
ロートル(あの洞窟に逃げ込んでも あの攻撃をやられたらおしまいだ!)
912: 以下、
ベテラン(これで本当の意味で逃げ場が無くなったな……)
ベテラン(もう囮なんて意味がねぇ)
ベテラン(できる選択肢は……)
ソロ(残った5人でそれぞれ逃げ散るか……)
  戦って勝つしかない!
ベテラン(……正直、あいつに手を出した瞬間、終わっていたのかもな)
ソロ(まさか……ラオシャンロン以上の化物が居るとは……)
ロートル(くそったれ……!)
913: 以下、
  だが、ロートル達以外のハンターは
  『逃げる』という選択を選んだ。
  振り返り、ウカムルバスを確認しながら逃走するハンター達……
ベテラン「ちっ……あいつら!」
  そう舌打ちしつつ、ベテランも気持ちはよく分かっていた。
  が、すぐにその選択は正しくない事を悟る。
914: 以下、
  ブシャアアアアアアアアアアアアアッ!!
  ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!
915: 以下、
  逃げ出したハンター達は文字通り
  『消し飛んだ』……
  通常、モンスターに限らず
  獣という存在は、逃げるものほど追いかける性質がある。
  決して間違いではないが、今回の場合は
  『一斉に別方向へ』逃げないと意味がないのだ。
916: 以下、
ロートル「くそぉっ!!」
  ズバッズバッズバッ!!
ベテラン「ちくしょおおおおおおおおっ!!」つ(ランス)
  ドドドドドドドドドドッ!!(突進攻撃)
ソロ「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
  ドガアッ!!
  ガアアアアアアアアアアアッ!!
ベテラン「!?」
ロートル「!?」
ソロ「!?」
917: 以下、
  ほとんどなし崩し的に……いや
  ヤケクソ気味に攻撃を仕掛けたロートル達。
  だが、ウカムルバスの行動に異変が見えたため
  若干引いて様子を見る。
  ズズウゥ……
ロートル(あの巨体で立ち上がるのか……!)
ベテラン(だが、そんなのはラオシャンロンだってやってるぜ!)
ソロ(ラオシャンロンなら……大きな隙になったはず!)
918: 以下、
  ロートル達は、ラオシャンロンの例に当てはめ
  この後、咆哮を仕掛け 長い時間の隙があると予測した。
  確かにその予測は間違いでは無かった。
  ゴアアアアアアアッ!!
ロートル「ぐっ!?」
ベテラン「がっ!?」
ソロ「ごふっ!?」
919: 以下、
  見えない壁に体を叩き付けられた様な衝撃……!
  これはティガレックス等に見られる
  強烈な咆哮による音波ダメージと原理は同じだ。
  しかし、これもティガとは比較にならないほど強力で範囲が広い!
  ロートル達は、完全に間合いを見誤り
  それぞれの後方へ吹き飛ばされる!
ベテラン「く……くそっ……たれ……!」
ベテラン「は、反則……だろ……こんなの……」つ(回復薬G) グビッ
ロートル「はあっ……はあっ……」つ(回復薬G) グビッ
ソロ「ぐっ……くっ……」つ(回復薬G) グビッ
920: 以下、
ソロ「…………」
ソロ「…………」 ゴソゴソ…
ソロ「…………」つ(閃光玉)
  ブンッ…
  カッ!!
  グアアアア…
ベテラン「閃光玉……!」
ソロ「……効いてくれたか」
ロートル「これで、とりあえず一息つけるな……」
ソロ「ロートル。 このまま逃げてくれ」
ロートル「!?」
ベテラン「…………」
921: 以下、
ロートル「何を言って……」
ソロ「俺たちの中……大剣、ランス、双剣で一番身軽なのはお前だ」
ロートル「……!」
ソロ「俺はありったけの閃光玉でお前を援護する」
ソロ「もう一度 強走薬を飲んで、この場から脱出しろ」
ロートル「し、しかし!」
ベテラン「そういう事なら、お任せするぜ。 ソロの兄ちゃん」
ソロ「…………」
ロートル「! ベテラン……お前!」
ベテラン「ほれ、やっこさん、もう治ったみたいだぜ?」
922: 以下、
  グルルル…
ソロ「…………」つ(閃光玉)
  ブンッ…
  カッ!!
  グアアアア…
ソロ「ロートル、ここで俺たちが全滅したら」
ソロ「誰がウカムルバスの驚異を伝えるんだ?」
ロートル「!!」
ベテラン「……そういうこった」
ベテラン「んじゃ、俺は行くぜ!」
  タッ タッ タッ…
ロートル「だ、だが! ソロ!」
923: 以下、
ソロ「…………」つ(閃光玉)
  ブンッ…
  カッ!!
  グアアアア…
ソロ「早くしろ」
ソロ「そう長くは持たない」
ロートル「……っ」
ロートル「…………」
ロートル「……生きろよ、ソロ」
ソロ「ああ。 頑張るさ」
  ダッ!!
924: 以下、
  ガアアアアアアアアッ!
ソロ「例の水ブレスは、撃たさせんぞ!」つ(閃光玉)
  ブンッ…
  カッ!!
  グアアアア…
―――――――――――
ソロ(これで……最後!)つ(閃光玉)
  ブンッ…
  カッ!!
  グアアアア…
925: 以下、
ソロ「…………」
ソロ(ロートル……どのくらい逃げられただろうか)
ソロ(…………)
ソロ(あんたには振り回されてばかりだった気もするが)
ソロ(救われた事も多かった……)
  グルルル…
ソロ(…………)
ソロ(……そういや礼。 言ってなかったな……)
ソロ(あんたとの狩りは、いつだって)
ソロ(楽しかった)
926: 以下、
  ブンッ…
  カッ!!
  グアアアア…
ソロ「!?」
ソロ「閃光玉!? いったい誰が……」
ベテラン「黄昏(たそがれ)てんじゃねーよ、ソロの兄ちゃん」
ソロ「ベテラン!?」
ベテラン「よっ……と!」つ(閃光玉)
  ブンッ…
  カッ!!
  グアアアア…
927: 以下、
ベテラン「もう、ほとんど一瞬で回復してるな……」
ソロ「…………」
ソロ「なぜ……」
ベテラン「おりゃ」つ(閃光玉)
  ブンッ…
  カッ!!
  グアアアア…
ベテラン「……何でだろうな」
ベテラン「けどよ」
ベテラン「俺だって……ハンターの端くれだ」
ソロ「…………」
928: 以下、
  ブンッ…
  カッ!!
  グアアアア…
ベテラン(…………)
ベテラン(俺は……出来のいい弟にいつも比べられていた)
ベテラン(そいつは弟のせいじゃねぇ。 んなこたぁ分かってる)
ベテラン(けど……足掻けば足掻くほど、惨めな結果に終わっていった……)
ベテラン(……そしていつしか、それも恥とは思わなくなった)
ベテラン(…………)
ベテラン(最後くらい……カッコつけても)
ベテラン(いいだろーよ……)
929: 以下、
  ブンッ…
  カッ!!
  グアアアア…
ベテラン「これで手持ちが尽きた!」
ベテラン「調合するから、しばらく頼んだぜ!」
ソロ「分かった!」
  ガアアアアアアアア!
ソロ(立ち上がった! また咆哮か!)
930: 以下、
  咆哮が来る。
  そう判断したソロは、大剣で防御姿勢を取る。
  が……大剣の防御姿勢は、目の前に大剣をかざす為
  一時的に視界を遮ってしまう、という些細な弱点があった。
ベテラン「!!」
ベテラン「違う! 咆哮じゃない!」
ベテラン「逃げ――」
931: 以下、
  ド ズ ン ッ !!
  立ち上がったウカムルバスは
  そのままソロに対し、ボディプレスを仕掛けてきた。
  ウカムルバスの重量は見た目の推測でも
  おそらく1000tは下らないだろう。
  防御なんて関係ない。
  ソロは……防御ごとウカムルバスに押しつぶされてしまった……
932: 以下、
ベテラン「くそったれ!!」
  目の前で起こった出来事を悲しんでいる暇すらない。
  早く調合を終えないと、次、ああなるのは自分だ!
  ベテランはそう思って調合を急いだのだが……
  そのせいで、ウカムルバスが尻尾を振り上げたのに
  気が付くのが遅れた。
ベテラン「っ!」
ベテラン「テールアタックか!?」
ベテラン(だが、さすがにこの距離なら――)
933: 以下、
  ズ ゴ オ ッ !!
ベテラン「がっ……!?」
ベテラン(うそ……だろ……)
ベテラン(………まさか…ここまで)
ベテラン(とどく……なんて……!)
  ドサッ!
ベテラン「がふっ!!」
ベテラン「…………」
ベテラン「ゲボォッ……」 ビチャビチャ…
934: 以下、
ベテラン(…………)
ベテラン(あー……こりゃ……体中の骨……逝ったな……)
ベテラン(…………)
ベテラン(痛いんだか……だるいんだか……)
ベテラン(もう……わかんねぇ……な)
  ガアアアアアアアア!
ベテラン(…………)
ベテラン(…………)
ベテラン(へっ……ソロの……兄ちゃんよぉ……)
ベテラン(どうやら……5って……数字……)
ベテラン(迷信なんかじゃ……無かった……みた)
935: 以下、
  ブシャアアアアアアアアアアアアアッ!!
  ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!
936: 以下、
―――――――――――
ロートル「はあっはあっはあっ……」
ロートル(強走薬が切れたか……)
ロートル(…………)つ(強走薬グレート) グビッ
  シュイン!
ロートル(…………)
ロートル(……くそ)
ロートル(休んでいられん)
  ビュオオオオオオオ……
ロートル(天気まで悪くなってきた……)
ロートル(…………)
  タッ タッ タッ…
937: 以下、
―――――――――――
  数日後
938: 以下、
午前中
ふもと村 加工店
職人「どこかキツいところは無いか?」
狩人「ええ、大丈夫ですよ」
狩人「オウビートS装備、いい感じです」
職人「そうか」
職人「そっちはどうだい?」
少女「……大丈夫です」
少女「デザイン以外、問題ないですよ」
職人「はっはっはっ!」
少女「…………」
狩人「お、俺は可愛いと思うぞ、うん!」
939: 以下、
少女「……どうしてパピメルS装備って」
少女「蝶蝶(ちょうちょ)の羽みたいなデザインになるんですか?」
職人「そりゃ女性用の防具だからだよ」
職人「オウビートに比べて、より軽量化したり」
職人「体型に合わせた結果、こうなるんだ」
狩人(……その理屈が全然わかりませんけどね)
少女(……同じ素材なのに、どう見ても別物なんですけど)
少女「ともかく、ありがとうございました」
少女「デザインは別にしても ようやく上位の防具ができたわね」
狩人「ああ。 ありがとう職人さん」
職人「どういたしまして」
940: 以下、
―――――――――――
狩人「さて、これからどうする?」
狩人「俺はできたら、沼地のフルフルをやりたいんだが……」
少女「…………」
狩人「少女?」
少女「きょ、今日は……休まない?」
狩人「……まだ気にしてるのか」
狩人「あれは一応、誤解を解いたと思うが……」
少女「…………」///
941: 以下、
狩人(いつだったか……)
狩人(俺の髪の毛目当てで女の子ハンターが寄ってきた事があるが)
狩人(昨日、集会所で少女も欲しいと言ってきた)
狩人(……ここまでは問題なかったんだけど)
狩人(『代わりに私のも挙げるね』と言った事で、集会所が静まり返った)
狩人(俺と少女は訳が分からなかったけど……)
狩人(たまたまそこに居あわせた女が説明してくれた)
少女(……何で女の子が男にあげる場合は『下の毛』限定なのよ)///
少女(顔から火が出るほど恥ずかしかった……)///
狩人(……通りで少女にクレクレ言う男ハンターが居ない訳だ)
狩人(そんな奴、ただの変態でしかないからな……)
942: 以下、
少女「……もう恥かきついでに」
少女「これ……あげるわ」つ(お守り)
狩人「え?」
少女「わ、私の髪の毛よっ」///
少女「言っとくけど、下品なモノは入れてないからね!?」///
狩人「! ……あ、ああ」///
狩人「ありがとう、少女。 嬉しいよ」///
少女「そ、そう……」///
少女「…………」///
少女(……ほ、本当は)///
少女(一本だけ……)///
943: 以下、
狩人「じゃあ……どうする?」
狩人「今日は休むか?」
少女「うん。 お願い」
狩人「わかった」 クスッ
少女「ふふっ」 ニコッ
  ガアアアアアアアア……
狩人「!?」
少女「!?」
  ザワッ…
狩人「今の……何だ!?」
少女「分からない。 分からないけど……」
944: 以下、
  モンスターの叫び声なのは間違いない。
945: 以下、
狩人「いったいどこから……」 キョロキョロ…
少女「…………」
  ブシャアアアアアアアアアアアアアッ!!
  ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!
狩人「」
少女「」
946: 以下、
  その日は、さ……
  天気も良くて、爽やかな風も吹いて
  本当にいい日になるなって、そんな気持ちにしかなれない
  穏やかな日だった。
  ……けど
947: 以下、
  この一撃で……
  それは、ただの幻想だって……
  思い知らされる事になったんだ……
948: 以下、
という所で、今日はここまでです。
このスレだけで終わらせるつもりだったけど
ロートル達の奮闘は書きたかった……
前回、泣く泣く救助アイルーの奮闘は削ったのになぁ……
すまねえ救助アイルー……
そんな訳で次スレに続きます。
一応残り2話くらい?と考えてますので。
お付き合いありがとうございました。
950: 以下、
次スレが規制で作れなくなってる!?
どうしよう……
952: 以下、
>>951
すみません、ご心配をおかけしました。
スレ名をちょっと変えたら行けました。
次スレ
狩人「目指すは伝説級ハンター!!」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1436793760/
953: 以下、
それからこのスレの修正をいくつか……
>>440修正↓
954: 以下、
狩人「…………」
少女「…………」
狩人「……寝ている?」
少女「……捕獲できた?」
狩人「…………」
少女「…………」
狩人「何で……?」
少女「さっきの狩人の攻撃で、捕獲できる状態になった……のかも?」
狩人「…………」
少女「…………」
955: 以下、
>>456修正↓
956: 以下、
ロートル「しかし……草原村の村付きハンターは、草原ハンターしか知らないが」
狩人「……もう一人居たんです」
狩人「採取クエで細々と生計を立てていた老人の村付きハンターが」
ロートル「…………」
少女「…………」
女「…………」
ロートル「……同情か?」
狩人「多分違います」
ロートル「ほう?」
狩人「……もちろん詳しい事情なんて知りませんけど」
狩人「最後の最後まで現役ハンターとして、今日まで生き残ってきた」
狩人「……そうそうできる事じゃないと思います」
女「狩人……」
957: 以下、
>>496修正↓
958: 以下、
ネーコ「キッチンアイルーならば、好物の料理が得意なアイルーを選んだり」
ネーコ「オトモアイルーなら、自分の戦闘スタイルと相性のいい」
ネーコ「アイルーを選択すればいいと思います」
狩人「なるほど」
狩人(……って言われてもなぁ)
狩人「う〜ん……」
ネーコ「…………」
狩人「……じゃあ」
ネーコ「はい」
狩人「このアイルーをお願いします」つ(指差し)
ネーコ「ありがとうございます」
959: 以下、
>>744修正↓
960: 以下、
健在
モブハンター4(HR 4)
武器:ハンマー
防具:ゲネポスS装備一式
ロン毛ハンター(HR 5)
武器:双剣
防具:フルフルS装備一式
少女(HR 3)
武器:ライトボウガン
防具:ガンナー用ザザミ装備一式
狩人(HR 3)
武器:大剣(フルミナントソード)
防具:フルフル装備一式
961: 以下、
>>803修正↓
962: 以下、
救助アイルー「誰か……ハンターに……」
救助アイルー「合図の仕方を……教えるニャ……」
3班アイルー「分かってるニャ! だからもう休むニャ!」
医療アイルー「……!!」
救助アイルー「はあ……はあ……」
医療アイルー「……ここは僕に任せるニャ」
医療アイルー「BC(ベースキャンプ)に連れて行くから……」
3班アイルー「任せたニャ!」
  タッ タッ タッ…
救助アイルー「はあ……はあ……」
医療アイルー「…………」
8: 以下、
※それぞれの装備
狩人(HR 4)
武器:大剣(フルミナントソード)
防具:オウビートS装備一式
少女(HR 4)
武器:ライトボウガン(メラルーラグドール)
防具:ガンナー用パピメルS装備一式
9: 以下、
―――――――――――
狩人「な……何だ……あれ……」
少女「大きいっ……!」
  俺と少女は攻撃が飛んできた方向をみて驚愕する。
  そこには、普段通りそびえ立つ雪山と
  その裾野辺りで蠢く白い物体……いや
  あの攻撃を放ったであろう巨大モンスターを肉眼で捉えたからだ。
狩人「ラオシャンロンか!?」
少女「いいえ。 多分違う……!」
少女「外殻の色が亜種のものとも合わないし、ラオシャンロンはブレスを吐かないわ!」
10: 以下、
  ワー! ワー! キャー!
  モンスターダ! ニゲロー!!
狩人「くっ……!」
少女(これじゃもう収集がつかなくなる……!)
少女「狩人! 今すぐ家に戻って」
少女「大タル爆弾と閃光玉を調合分も含めて持ってきて!」
狩人「!」
狩人「た、戦うのか!?」
少女「せめて……この村をあいつの目標から逸らさないと!」
少女「住人が逃げる時間を少しでも稼ぐわ!」
狩人「わ、分かった!」
11: 以下、
  ブシャアアアアアアアアアアアアアッ!!
  ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!
12: 以下、
狩人の家
  ミシミシミシ…
狩人「くっ……!」
板前アイルー「だ、旦那!」
板前アイルー「この騒ぎはいったい……!?」
狩人「板前アイルー……簡単に言うと」
狩人「ラオシャンロン並みの巨大モンスターが襲ってきたんだ」
板前アイルー「」
狩人「お前も今すぐ逃げろ」
狩人「その時間は……俺が稼ぐ!」
板前アイルー「だ、旦那!?」
狩人「いいか? とにかく逃げるんだ!」
  ダッ!
板前アイルー「…………」
13: 以下、
―――――――――――
ふもと村 集会所
  ワー! ワー!
受付嬢「落ち着いて! みなさん、落ち着いてください!」
受付嬢「現在、ギルド観測所に問合わせています!」
色黒ハンター「んなこた聞いてねぇよ!」
色黒ハンター「あんなヤバそうな奴と誰がやり合うか!」
色黒ハンター「そこをどけ! 俺は逃げるぜ!」
村長「ま、待ってください!」
村長「せめて、村民が逃げるまでの……」
  ギャー! ギャー!
狩人「…………」
少女「…………」
14: 以下、
狩人「……誰か、手伝ってくれるハンターは居ないか、と思ったが」
少女「現実は……こんなものよ」
少女「どちらかといえば、あんな未知の化物に向かって行く方がおかしいの」
狩人「言えてる……」 クスッ…
少女「……狩人」
狩人「ん?」
少女「つい、いつもの調子で誘ってしまったけど」
少女「引き返すのなら、今のうちよ」
狩人「…………」
狩人「冗談じゃない。 君一人だけでなんて、行かせられるか」
少女「狩人……」
少女「…………」
少女「ありがとう」
15: 以下、
―――――――――――
ふもと村 雪山猟区手前付近の森
狩人「仕掛けるのは、この辺りでいいか!?」
少女「適当でいい!」
少女「仕掛けられるだけ仕掛けて!」
狩人「分かった!」
  スッ… ドドンッ スッ… ドドンッ
少女「!」
少女「狩人、もういいわ……! 少し離れるわよ」
少女「あの白いの、すぐそこにいる……!」
狩人「くっ……」
16: 以下、
  ズシン… ズシン… ズシン…
少女「狩人……作戦を説明するわ」
狩人「ああ」
少女「もう少ししたら、あいつの足元にある大タル爆弾を炸裂させる」
少女「それでこちらに注意を向けるわ」
少女「で、その後、閃光玉を投げて、それが効いたら」
少女「猟区へ走って」
狩人「効いたら?」
狩人「効かなかったら どうするんだ?」
少女「その場合は、ここ……森の中を戦いの場にする」
17: 以下、
少女「ここは木々が隠れ蓑になってくれるから」
少女「時間を稼ぐ、という意味では割と使えるわ」
少女「それに村に行かれるより多少はマシ」
狩人「……猟区へ行って、その後は?」
少女「まだその前があるわ」
少女「閃光玉が効いた場合、猟区へ走ってもらうけど」
少女「二度目の閃光玉が炸裂したら、走るのを止めて、閃光玉を用意して」
狩人「え……?」
少女「あいつのブレスは、たぶん食らったら即死よ」
少女「それを防ぐために、かわりばんこで囮役と目くらましをやるの」
狩人「! ……なるほど」
18: 以下、
狩人「俺が囮の時は少女が目くらましをして」
狩人「その後は少女が囮になり、俺が……という繰り返しだな?」
少女「ええ」
少女「……けど、あいつが他にどんな攻撃をするのか分からない」
少女「それに一度でもミスったら、命に関わるわ」
少女「それでも……やってくれる?」
狩人「ああ、やってやるさ」
狩人「それで、猟区へ着いたら……」
少女「しっ……! 時間切れよ」
少女「大タル爆弾を炸裂させるわ」
  ドウッ! ドウッ! ドウッ!
  ドガアアアアアアンッ!!
19: 以下、
  ガアアアアアアアアッ!?
少女「…………」
狩人「…………」
  グルルル…
少女「…………」
少女(お願いだから……効いて!)つ(閃光玉)
  ブンッ…
  カッ!!
  グアアアア…
少女・狩人(効いた!)
20: 以下、
少女「狩人、走って!」
狩人「おう!」 ダッ!
少女「…………」つ(閃光玉)
  グルルル…!
少女「えいっ!」つ(閃光玉)
  ブンッ…
  カッ!!
  グアアアア…
少女「よしっ!」 ダッ!
21: 以下、
狩人「!」
狩人(二度目の閃光玉!) ピタッ
狩人「…………」つ(閃光玉)
狩人「! 少女!」
  タッ タッ タッ
少女「狩人! 猟区へ着いたら洞窟へ!」
  タッ タッ タッ…
狩人「……よし」
  ズシンッ! ズシンッ! ズシンッ!
狩人「!?」
狩人(突進!? あんな大きさなのに早い!)
22: 以下、
狩人「くっ……!」つ(閃光玉)
  ブンッ…
  カッ!!
  グアアアア…
狩人「あ、あぶなかった……!」 ダッ!
  タッ タッ タッ
少女「…………」つ(閃光玉)
狩人「あいつの突進、思ったより早い! 気をつけろ!」
  タッ タッ タッ…
少女「…………」 コクッ
23: 以下、
  俺と少女は
  森の木々を物ともせずに なぎ倒し迫ってくる あの白い化物を
  代わりばんこで猟区へ誘導しながら
  すれ違うわずかな時間に気がついた事、気になった事を伝え
  できる限りの情報を蓄積・共有していった。
24: 以下、
―――――――――――
ふもと村 集会所
  ワー! ワー!
  ギャー! ギャー!
受付嬢「とにかく、落ち着いて!」
  ……ドドーンッ
一同「!?」
色黒ハンター「今の……何の音だ?」
ハンター(女)「大タル爆弾の……炸裂音じゃない?」
流れハンター「さっきのブレス攻撃で、どっかのが誘爆したのか?」
25: 以下、
  タッ タッ タッ
ギルド連絡員「あの化物が進行方向を変えたぞ!」
  ザワッ…!
ギルド連絡員「あいつの足元で何か爆発したと思ったら」
ギルド連絡員「突然、雪山猟区に向かいだしたんだ!」
  ……!?
ハンター(女)「どういう事?」
ハンター(女)「誰かがあの化物を誘導してるって事なの?」
流れハンター「だとしても誰だ?」
流れハンター「正式な依頼もなく、金にもならないってのに……」
  タッ タッ タッ
ネーコ「狩人さんと少女さんですっ……はあ、はあ」
26: 以下、
村長「!」
村長「な……それは本当かね!?」
ネーコ「今……はあ、はあ……その二人が雇っているキッチンアイルーが」
ネーコ「さっき、私のところへ来まして……」
ネーコ「この村の住人が逃げる為の時間を稼いでくると、言っていたと……はあ、はあ」
村長「ばかな……二人とも上位に上がったばかりだというのに……!」
  ザワ… ザワ…
村長「…………」
村長「……よし」
村長「受付嬢さん。 ふもと村がギルドにあずけている復興資金はいくらでした?」
受付嬢「え? ……少々お待ちください」
受付嬢「だいたい700万z(ゼニー)になりますね」
27: 以下、
村長「そうですか……」
受付嬢「村長さん?」
村長「…………」
村長「では、ふもと村を代表する者として正式にギルドへ依頼します」
村長「あの白い巨大モンスター討伐を……!」
受付嬢「し、しかし……」
村長「報酬はギルドにあずけている復興資金、全額を差し出します」
  ザワッ…!
受付嬢「な……しょ、正気なんですか!?」
28: 以下、
村長「いたって正気ですよ」
村長「これで村の住人に罷免される事になっても……悔いはありません」
受付嬢「…………」
村長「ハンターの皆さん!」
村長「どうか、あの白いモンスターの討伐をしてください!」
村長「報酬は約700万z(ゼニー)」
村長「10人で分配しても一人70万z(ゼニー)になります!」
村長「どうか……どうか! お願いします!」
29: 以下、
―――――――――――
ふもと村 広場付近
女「職人さん、しっかり……!」
職人「う……うう……」
女「お医者さん、もっと手当てを急いで!」
医師「…………」
医師「……残念ですが」
医師「手の施しようが……」
女「な……そ、そんな……!」
村人「先生ー! こっちを見てやってくれ!」
医師「今行きます」
30: 以下、
  スタ スタ スタ…
女「ま、まって! お医者さんっ!」
職人「…………」
職人「……女、ちゃん……よ」
女「! ……職人さん」
職人「俺ァ……もうダメ……なんだな……?」
女「……っ」
職人「……まいったな……まさか……こんな…………最後に……なるなんて……」
女「ごめ、んなさい……」
職人「いいんだ……女……ちゃんの……せいじゃ……ねぇ……」
職人「…………」
31: 以下、
職人「……いつか、な……G級……の……」
職人「武器や……防具……鍛える……って………」
職人「……夢…………だったん……だけど……な……」
女「…………」
職人「……あと…………」
職人「女……ちゃんや……少女……ちゃんの……ふふふ……」
職人「花嫁姿…………」
職人「……見た……か…………」
女「…………」
職人「」
女「……職人さん」
女「…………」
32: 以下、
  エーン… エーン…
女「!」
女「坊や? どうしたの?」
女「お母さんは?」
男の子「わかんない……」
女「そう」
女「じゃあ……しばらくお姉さんと一緒に居よう?」
女「お母さんも、きっと坊やを探してる」
女「ここで待ってれば……きっと……」
男の子「……どうしてお姉ちゃん、泣いてるの?」
女「……何でもない。 何でも……ないから……」
  ギュッ…
33: 以下、
  もう……
  これ以上……
  悲しい事は……起こらないで……!
34: 以下、
―――――――――――
雪山 BC(ベースキャンプ)付近
  タッ タッ タッ
狩人「はあっはあっはあっ!」
少女「これで最後!」つ(閃光玉)
  ブンッ…
  カッ!!
  グアアアア…
狩人「くそ……! 俺はもう使い切った!」
少女「ここからは横にずれる下り坂で、あのモンスターの視界から一瞬外れるわ!」
少女「全力で洞窟に向かうわよ!」
狩人「わ、わかった!」
35: 以下、
  ブシャアアアアアアアアアアアアアッ!!
  ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!
狩人「うおおおおおおおおおおおおっ!?」
少女「きゃああああああああああああああっ!?」
36: 以下、
狩人(あ、あぶねぇ!!)
狩人(BC(ベースキャンプ)のあったところが吹き飛んだぞ!?)
少女(くっ……)
少女(やっぱりこの距離で、この威力……!)
少女(洞窟に到着する前に狙われてしまう……間に合わない!)
少女(…………)
少女(賭けになるけど……)
少女(あの方法をやるしかないのかも……!)
  タッ タッ タッ…
37: 以下、
―――――――――――
雪山 BC(ベースキャンプ)手前エリア
  タッ タッ タッ
狩人「はあっはあっはあっ」
少女「はあっはあっはあっ」
  ガアアアアアアアアッ
少女「!」
少女(……いけない!)
少女(やっぱりブレス攻撃を仕掛けてくるつもりだわ!)
38: 以下、
  少女は、その場で先を行く狩人が向かう方向とは
  別方向へと向きを変え、走る。
  目的は二つあった。
  一つは標的を分散させる事で、モンスターを躊躇させる事。
  もう一つは、洞窟を壊させない事。
  だが、それには狩人を狙わせない様にする必要があった。
39: 以下、
  ドウッ! ドウッ! ドウッ!
狩人「!?」
  ライトボウガンの発射音を聞いて
  思わず足を止め、その方向へ目を向ける狩人。
狩人「少女!?」
少女「来ないで! 狩人!」
  グルルル…
40: 以下、
  白い巨大モンスターが、ブレスの攻撃態勢に入る。
  標的はもちろん攻撃した少女だった。
少女「……今!」 ダッ!
  
  ブシャアアアアアアアアアアアアアッ!!
狩人「しょ、少女ッ!」
少女「く……のおおおおっ!!」
  間一髪。
  ブレス発射のタイミング、距離、巻き上げられる岩石の有無。
  それら全てを、絶妙に読みきった少女は、かろうじて避け切る事に成功した。
41: 以下、
少女(よし、これで次のブレス攻撃まで、ある程度の時間がいる)
少女(後は洞窟に逃げ込んで、救助を待つ)
少女(私たちに出来る事は、ここまで)
少女(これ以上は、G級ハンターでもハンターの軍勢でも何でもいい)
少女(それらが、あの白いモンスターを倒してくれれば、私達の勝ち……)
少女(っ!?)
  だが、誤算もあった。
  ブレス攻撃で巻き上げられた岩石や土砂が
  少女の位置から、洞窟までの間に障害物として散乱していたのだ。
42: 以下、
少女(……っ)
少女(これじゃ、まっすぐ走れない)
少女(洞窟に行くまでにブレス攻撃が来てしまう……!)
少女(…………)
  少女は決断を下す。
  そのまま、雪山猟区の奥へ
  障害物のない方向へと走り出した。
狩人「しょ、少女!?」
少女「狩人! あなたはそのまま洞窟へ行って!」
狩人「だ、だけど!」
  タッ タッ タッ…
43: 以下、
  少女は狩人の戸惑いに答えなかった。
  だが、彼女の行動に迷いは無い。
  狩人には思いつけない、何か、考えがあるのだろう。
狩人(……でも)
狩人(あの先はやや開けた場所があるだけ……)
狩人(逃げ道の洞窟の入口もあるけど)
狩人(崖を登らないと行けないし、それをあのモンスターが待ってくれる訳はない)
狩人(事実上の袋小路になる……)
狩人(どうするつもりなんだ、少女!)
44: 以下、
  グルルル…
狩人「っ!」
狩人(……今は考えている時間がない)
狩人(少女を信じるんだ!)
狩人「くそっ!」
  ダッ!
―――――――――――
雪山 中腹付近エリア
  タッ タッ タッ…
少女「はあっはあっはあっ」
45: 以下、
少女(……さあ、ここからが最後の賭けよ)
  カチャカチャ… カキンッ
少女(落ち着いて……落ち着くのよ、少女ッ!)
  ズシン… ズシン… ズシン…
  グルルル…
少女(できれば麻痺弾も持ってきたかった……)
少女(ちょうど無くなっていた時で、調合をする材料も切らしていたから)
少女(余ってた睡眠弾を調合分含め、持てるだけ持ってきたけど……)
  ガアアアアアアアアッ!
少女「くっ……」
46: 以下、
  一般的にもよく知られる超巨大龍ラオシャンロンは
  数年に一度、周期的に決まった場所を通ろうとする厄介なモンスターだ。
  だが、こちら側も知恵を絞り、急ごしらえでも砦を作り
  周期回遊を経験するにつれ、ついに撃退に成功していった。
  襲来するラオシャンロンには個体差があるので
  回遊してくる度に違う個体であるのは確認済み。
  わかりやすく言うと何頭も、何十頭もラオシャンロンは存在し
  なぜか、同じ場所を回遊するのだ。
47: 以下、
  そして、様々な攻撃をしていく過程で
  ラオシャンロンは状態異常を起こす薬品そのものが
  まったく効果のない事も証明されている。
  少女は、この事をモンスターの書を読み、熟知していたが
  今回、ふもと村を襲ったモンスターは全く知らない未知のものなので
  念のため持ってきていたのである。
48: 以下、
  しかし、賭けになるのは間違いない。
  これが効かなければ
  逃げ場のない少女は生存する事ができない。
  だから、『必ず効く』と信じ込んで
  そうならない事を考えない様にしていた。
  そうしなければ……恐怖で体が動かなくなりそうだったから……
49: 以下、
少女(……大丈夫)
少女(状態異常弾は古龍クラスにだって効果がある)
少女(図体が大きいから、多少打ち込む弾丸が多くなるだろうけど)
少女(必ず効いてくれる!)
少女(あいつはラオシャンロンじゃない!)
  ズシンッ! ズシンッ! ズシンッ!
少女「くっ……!!」
少女(ただの突進なのに……避けるのも一苦労だわ)
少女(でも、ここはそれほど広くない)
少女(あのブレス攻撃は ほとんどしないはず!)
少女(こちらの攻撃チャンスは……)
50: 以下、
  ズズウゥ……
  ガアアアアアアアアッ!
少女(そう……そうやって) スッ…
少女「立ち上がった時よ!!」
  ドウッ! ドウッ! ドウッ!
少女「もう一撃……」つ(リロード)
少女(……ううん、深追いは禁物!)
少女「ここまでね」 スッ…(ボウガン収納)
少女(悔しいけど、あの突進は武器を収納した状態じゃないと避けられない)
少女(周りに気をつけて逃げ道を確認しながら移動しないと……!)
51: 以下、
崖上 洞窟出入り口付近
狩人「はあっはあっ……」
狩人「少女は……!?」
  ガアアアアアアアアッ!
狩人「ちっ……!」
狩人(こんなところまで咆哮が!)
狩人(少女の様子を見に行きたいが、この洞窟を出たら)
狩人(あのモンスターに見つかってしまいそうだ……)
狩人(どうする……?)
狩人(もし見つかってここを あのブレス攻撃されたら)
狩人(少女の逃げ道が無くなってしまう!)
52: 以下、
狩人「…………」
狩人(……こうなったら)
狩人(結構な回り道になるけど、このさらに上の崖に行けば)
狩人(あいつに見つからずに様子が見えるかも知れない)
狩人(くそっ!)
狩人(この洞窟を出て崖を登れば直ぐなのに!)
  ダッ!
狩人(少女、無事でいてくれ!)
  タッ タッ タッ…
53: 以下、
―――――――――――
少女「はあっはあっ……」
  ドウッ! ドウッ! ドウッ!
少女(これで、9発……!)つ(リロード)
  ガアアアアアアアアッ!!
少女「くっ……ううっ!」
少女(こんなところまでバインドボイスの影響が……!)
少女(高級耳栓があれば、このタイミングで撃てるのに!)
少女(…………)
少女(無い物ねだりをしてもしょうがない)
少女(このリロードで、持ってきた睡眠弾が切れる)
少女(これで効かなければ調合しないと……!)
少女(いいえ、余裕のある内にしておかないと!)
54: 以下、
  こんな時だが
  ババコンガに追われ、逃げながら曲芸師のように
  調合していたハンターを少女は思い出していた。
  あの時はエリアを変えてからやれば……
  などと思ったけど
  今は、それができるあのハンターが心底羨ましかった。
55: 以下、
  ズズウゥ……
  ガアアアアアアアアッ!
少女(よし……今の内に)つ(調合の材料)
  カチャカチャ… パキュ
少女(……ひとつ……二つ……)
少女(三つ……よっ……失敗した)
少女(っ!)
少女(ここまでね)
  ズシンッ! ズシンッ! ズシンッ!
少女「また突進……!」
少女「くっ……!」 回避!
56: 以下、
雪山 中腹付近エリア 崖上付近
狩人「はあっはあっ……」
狩人「しょ、少女は……!?」
狩人「…………」
狩人(よし、ここからなら高くて あいつにも気づかれない)
狩人(少女も……何とか見えるな)
狩人(崖下の方に行かれたら、死角になって見えないけど……)
狩人(…………)
狩人(戦っている……?)
狩人(少女が……あんな化物相手にたった一人で……?)
狩人(…………)
57: 以下、
狩人(何か勝算があるのだろうか?)
狩人(……いや)
狩人(あのブレス攻撃を受けたら即死だと言ってた)
狩人(そんな奴相手に討伐なんてリスクが大きすぎる)
狩人(それに猟区に着いたら洞窟に向かえとも言ってた)
狩人(どう考えても戦うつもりでは無かったはず……)
狩人(…………)
狩人(少女は……少女なら、どうする?)
狩人(…………)
狩人(!)
狩人(そうだ……あの時のティガレックス!)
狩人(あれみたいに状態異常にして、逃げるつもりなんじゃないだろうか?)
58: 以下、

続き・詳細・画像をみる


回し車でなくマニ車を一心不乱に回すハムスターwwwwwwww

『王様と私』のケリー・オハラが見せたたった47秒の早着替えがスゴイ!!

吸ってるタバコの銘柄書いて被ってたら外に出て一服

海外自動車メーカー「日本の若者よ、中古の輸入車を買ってくれ」

韓国検察、2ちゃんねるの書き込みを証拠として提出 産経の記事は「大統領を傷つける意図」

オニヤンマ「スズメバチうめえええええええww」

最も最終回の闇が深い漫画wwwwwwwwww

【朗報】童貞をさくらゆらちゃんが筆おろししてくれちゃう夢の企画が再始動!!

【画像】 フッサーラ猫の夏毛と冬毛の違い

【ママ友】予定があり家で遊べない旨をA母に伝えると面倒な返信が返ってきた

実際おんJってどの球団のファンが一番多いんやろか

土下座して騒ぐアイマスファンが晒される → 晒された一人がブチギレ「撮影した奴スコップでぶん殴る」

back 過去ログ 削除依頼&連絡先