狩人「目指すは伝説級ハンター!」【中編】back

狩人「目指すは伝説級ハンター!」【中編】


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―――――――――――
遡る事、数時間前
草原村 正面入口
女「こんにちは」
草原村人「やあ、女ちゃん」
草原村人「今日はこんなに早く来たのか。 珍しいね」
女「ええ、日帰りで済ませられるかと思って」
草原村人「なるほど」
草原村人「それじゃ、俺は野良仕事に出るから」
女「はい」
393: 以下、
女「さて、まずは縫製の品物ね」
―――――――――――
女「どうもーふもと村ストアの女です」
草原店主「ああ、女ちゃん。 いらっしゃい」
女「こちらが頼まれていたドンドルマ産のゼニマスの干物になります」
女「他にも野草やきのこ類の乾物も入ってますよ」
草原店主「ありゃりゃ……こんなに早く届くとは思ってなかったなぁ」
草原店主「こりゃ物々交換だけじゃ済まないね」
草原店主「ちょっと待っててくれ、お金を取ってくるから」
女「はい、ごゆっくり〜」
女「…………」
女「……ん?」
394: 以下、
  チクショウ… チクショウ…
  アイツメ…… オレノナワバリ アラシヤガッテ……!
  ユルサナイ…… ユルサナイ…… ゼッタイユルサナイ……!
  アンナヤツ ハライッパイナラ ナンナクコロセル
  クイタイ…… クイタイ……
  クッテ クッテ クイマクッテ
  アイツヲブチノメス!!
395: 以下、
女「あ……あ……」
  ヒュ―――――……
女「まさか……そんな……」
草原店主「お待たせ、女ちゃん……ん?」
草原店主「どうしたんd」
  ド ズ ン ッ !!
草原店主「」
396: 以下、
  ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!
397: 以下、
草原店主「う、うわあああああああああああああっ!!?」
草原住民「ティ、ティガレックス!?」
草原住民「に、逃げろ! 逃げろ――!!」
草原女「いやああああああああっ!!」
草原子供「ままぁ――!!」
草原男「ハ、ハンターは!? ハンターを呼べぇぇぇぇっ!!」
  ワー ワー ギャー ギャー
  ドズッ! グチャ!! ドゴォッ!!
女(逃げないと……逃げないとっ!)
女(………っ!)
女(あ、足が……すくんで……!)
  グルルル……
女「ひっ……!」
398: 以下、
  ド ガ ア ッ !!
399: 以下、
―――――――――――
ふもと村 集会所
ロートル「狩人! 良かった、ここに居たか」
狩人「ロートルさん!」
ロートル「近隣の村がティガレックスに襲われた話は聞いたか?」
狩人「はい、たった今」
ロートル「よし」
ロートル「今、村長が村の住民に呼びかけて、救援に向かう準備をしている」
狩人「!」
ロートル「手の空いている者、総出で事に当たるのだが」
ロートル「相手はあの轟竜ティガレックスだ」
ロートル「安全の為、俺は先発隊として草原村に向かうが、狩人」
ロートル「できれば、お前にも手伝ってもらいたい」
400: 以下、
狩人「」
狩人「ええ!?」
狩人「で、でも、俺のHRはまだ低くて上位モンスターとは……」
ロートル「それはわかっている。 ティガとは俺が戦うが」
ロートル「狩人には、救援隊の護衛を行ってもらいたい」
ロートル「夜間だし、道中にはランポスが時々出る」
ロートル「やってくれないか?」
狩人「…………」
狩人「分かりました」
狩人「俺でいいのなら、やります」
ロートル「クエ帰りで疲れているところ、すまん」
401: 以下、
ロートル「少女にも頼んであるから、彼女に必要な物を聞いて準備してくれ」
ロートル「終わったら広場へ集合だ」
ロートル「ソロには念の為、ふもと村に残ってもらう」
狩人「分かりました。 準備でき次第、広場へ行きます」
ロートル「頼むぞ」
  タッ タッ タッ…
狩人「…………」
狩人「急がないと!」
―――――――――――
402: 以下、
少女「狩人!」
狩人「少女!」
少女「ロートルさんから話は聞いたわね?」
狩人「ああ」
少女「これ、必要なものをメモに書いてまとめておいたわ」つ(メモ)
狩人「……え?」
少女「全部は無理でも、集められるものは できるだけ持って行きなさい」
少女「いい? ほら、早く受け取って!」つ(メモ)
狩人「あ、ああ……」つ(メモ)
少女「時間はまだ少しあるわ。 焦らずにね! じゃ……」
  タッ タッ タッ…
狩人「…………」
403: 以下、
―――――――――――
広場
  ガヤ ガヤ
少女「狩人!」
狩人「すまん! 待たせたか?」
少女「いいえ、大丈夫よ」
村人「えー、お集まりの皆さん、忙しいところ集まっていただき感謝します」
村人「今回の救援隊、臨時リーダーを務める事になった、村人です」
村人「まだ詳細はわかりませんが、多数の負傷者が出ているみたいです」
村人「手当の心得がある人は、重点的に……」
404: 以下、
狩人「ロートルさんは?」
少女「とっくに出発したわ」
少女「上位ハンターの足なら、かなり早く草原村に着けると思う」
狩人「そうか……」
狩人「こっちはどれくらいに着ける?」
少女「そうね……たぶん夜中すぎくらいかしら?」
狩人「……思ったよりかかるな」
少女「しょうがないわ。 夜の上、ポポ荷車に一般の人たちの足だから……」
狩人「…………」
少女「……どうしたの?」
狩人「ん? いや、何でもないよ」
少女「?」
405: 以下、
  …………
  いつか打ち明けないといけない事が俺にはある。
  だけど……今は、時間がない。
  不安を抱えたまま、俺は
  救援隊と共にふもと村を出発した。
406: 以下、
※注 それぞれの装備
ロートル(HR 6)
武器:双剣
防具:ゲリョスS装備一式
狩人(HR 2)
武器:大剣(フルミナントソード)
防具:フルフル装備一式
少女(HR 3)
武器:ライトボウガン
防具:ガンナー用ザザミ装備一式
407: 以下、
―――――――――――

街道
  ザッ ザッ ザッ…
狩人「…………」
狩人「……思ったより暗くないな」
少女「今夜は雲も少ないし、半月だけど月明かりもあるからね」
少女「それよりも狩人」
狩人「ん?」
少女「どうして大剣を持ってきたの?」
狩人「え……そりゃあティガがこっちに来るかも知れないと思って」
少女「確かにその可能性はあるわ」
408: 以下、
少女「でもこういった場合のモンスターは」
少女「用事が済めば、大抵もとの住処に戻っていくものなの」
狩人「用事?」
少女「……お腹いっぱいになったら、と言った方がいいかしら?」
狩人「…………」
少女「それに草原村の村付きハンターが倒している可能性も高いと思う」
少女「一度人間のテリトリーに入り込んだモンスターは、味をしめて」
少女「また同じように村を襲う事がよく知られているから……必ず倒さないといけない」
狩人「…………」
狩人「詳しいな」
409: 以下、
少女「……だから今回に限り」
少女「私たちは救援隊の護衛に専念すべきよ」
少女「相手にするのは小型のものを主と考えて武器を選ぶべきだったと思う」
狩人「……すまん」
少女「ううん……ティガの遭遇に備えるのは悪くないわ」
少女「でも今回、目的は『モンスターを倒す事』じゃ無いという事」
少女「大剣を振るうのなら、周りに気をつけてね」
狩人「ああ」
少女「それから……」
少女「こうやって、私たち護衛がひと固まりにまとまって歩くも良くないわ」
狩人「! ……そうだな」
狩人「俺は左の方を歩く」
少女「ええ、任せるわ」
少女「お互い、頑張りましょう」
410: 以下、
―――――――――――
草原村
  アア…… ウウ……
  ミズヲ……ミズヲクレ……
ロートル「これは……酷いな」
ロートル「誰か! 村長は居ないか!?」
ロートル「代理の責任者でもいい!」
ロートル「ふもと村の村付きハンター、ロートルだ!」
ロートル「今、救援隊がこちらに向かっている!」
  ザワッ!!
草原村人「救援!? 本当か!?」
411: 以下、
ロートル「ああ、今、こちらに向かっている」
ロートル「おそらく夜中くらいに着くだろう」
草原村人「おお……!」
ロートル「村長は? それとここの村付きハンターにも話を聞きたい」
草原村人「わかりました。 案内します」
ロートル「頼む」
―――――――――――
ロートル「」
ロートル「何だと!? 仕留め損なった!?」
草原ハンター「すまん……」
草原ハンター「あと一歩というところだったんだが……逃げられた」
412: 以下、
ロートル「くっ……」
ロートル「どっちに逃げたかわかるか?」
草原ハンター「ペイントもしていなかったし、うろ覚えだが」
草原ハンター「たぶん……北の方角だと思う」
ロートル「っ!!」
草原ハンター「ここはアプトノスばかりで、奴の好物のポポが少ないからな……」
草原ハンター「おそらく雪山にでも行ったのだろう」
ロートル「……わかった」
ロートル「後の事は俺たちに任せて休んでてくれ」
草原ハンター「すまん……」
413: 以下、
ロートル「…………」
ロートル(こうしてはいられない……草原ハンターは優秀な上位ハンター)
ロートル(満足な準備ができなかったとしても……)
ロートル(ただのティガに遅れを取るハンターではない)
ロートル(それが仕留め損ねた……間違いなく上位クラスか、それ以上のティガだ!)
ロートル(狩人たちの救援隊に襲いかかったら……!)
ロートル(くそっ!!)
  ダッ!!
―――――――――――
414: 以下、
  アアアアアアアア……
  イタイ イタイ イタイ
  ジャマサレタ…… チイサイ イタイノ フリマワシテ
  ユルサナイ ユルサナイ…
  オレノナワバリアラシタ ヤツモ チイサイノモ
  ユルサナイ
  ポポクッテ タクサンクッテ コロシテヤルッ
  スコシヤスンデ コロシテヤルッ!
415: 以下、
  ……ン?
  クンクン……
  …………
  ポポダ! ポポノニオイガスル!
  ポポクッテ タクサンクッテ アイツモ チイサイノモ
  ブチノメシテヤルッ!!
416: 以下、
―――――――――――
街道
  ザッ ザッ ザッ…
狩人「…………」
少女「…………」
狩人(今のところ、静か……だな)
少女(このまま順調であって欲しいわね……)
  ヒュ―――――……
狩人(何事も起きてくれるなよ……)
少女(……草原村まであとどのくらいかしら)
417: 以下、
  ド ズ ン ッ !!
少女「」
狩人「」
村人「」
救援隊一同「」
418: 以下、
  ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!
419: 以下、
村人「う、うわああああああああああああっ!?」
  ワー! ニゲロー! クワレルッ!
少女「くっ! み、みんな! 落ち着いて!」
  ドスッドスッドスッ!
少女「ひっ!」
狩人「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
  ドガァ!!
  ギュアアアアアアッ……!!
狩人「はあっはあっはあっ……大丈夫か!?」
少女「狩人! ……ごめん、助かったわ」
420: 以下、
  オオオ…… イタイ……
  ココニモ
  チイサイ イタイノ フリマワス チイサイノ イル
  ……ジャマスルナ
421: 以下、
  グルルル…
狩人「はは……すげぇ迫力だな……」 ブルブル…
少女「一番起きて欲しくない事が、起きてしまったわね……」
狩人「……どうする? 俺たちでやれるか?」
少女「…………」
少女「…………」 カチャ カチャ…
少女「……私に考えがある」 ジャキン!
  ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!
狩人「くそっ、またきた!」
少女「くっ……!」
422: 以下、
  ポポ クウノ……
  ジャマスルナッ!!
423: 以下、
  ドスッドスッドスッ!
狩人「!」
狩人(俺狙いか!)
狩人(ちっ……避けられそうにない!)
狩人「くそっ!!」(防御姿勢)
  ガシィッ!!
狩人「がっ……!!」
狩人「ぐっ……くっ……」 ビリビリビリビリッ!!
狩人(……受け流すよう角度つけて防御したのに)
狩人(それでもダメージが入って……くそっ!)
狩人(こんなの少女がまともに食らったら……!)
424: 以下、
  ダンッ! ダンッ! ダンッ!
狩人「! 少女! やめろ!」
狩人「ガンナー装備のお前じゃ……!」
  ギィアアアアアアッ……!!
  クウウウウウゥゥゥ…… zzz
狩人「!?」
狩人「な、何だ? 寝ちまったのか?」
少女「狩人!」
狩人「少女、一体何をしたんだ?」
425: 以下、
少女「全部を説明してる時間がないから、必要な事だけ言うわ」
狩人「……わかった」
少女「とりあえず眠らせただけ。 すぐ起きる」
狩人「!」
少女「でも逃げた人たちは、少なくともこのティガに追いかけられる事はもうない」
少女「ティガの狙いは、おそらく荷車を引いてたポポ」
狩人「! じゃあ俺たちはポポを囮にして逃げ……」
少女「……たぶんダメ。 私たちはティガの視界から逃れられない」
狩人「!!」
少女「で、これからどうするか、だけど……」
少女「狩人、罠は持ってきた?」
狩人「ああ、この前の残りの落とし穴罠を持ってきた」
少女「今すぐ、そこに仕掛けて」
426: 以下、
狩人「わかった」
  カチャ カチャ…
少女「……ここからは、イチかバチかよ」
少女「あのティガを……捕獲する」
狩人「!!」
  捕獲! その手があったか!
  罠を仕掛け、その際に浸透性の高い特殊な麻酔をかけ
  モンスターを生け捕りにするやり方だ。
  ただ……それにはいくつかの条件が前提になる。
427: 以下、
  理屈は分からないが、今、少女がティガに撃った
  睡眠系のモノとは全く別系統の麻酔らしく
  モンスターが罠にハマり
  それに気を取られている内に仕掛けないと効果は望めない。
  もう一つ……これが相当に厄介なのだが
  モンスターを死なない程度に弱らせる必要があるという事。
  この見極めが非常に難しく、モンスターが足を引きずるとか
  そういう明確なサインがあれば仕掛けやすいのだけど……
  それを見ずに捕獲をしようとすると、失敗するリスクも高くなってしまう。
428: 以下、
狩人「足を引きずっていたのか!?」
少女「見てないわ」
狩人「…………」
少女「でも……ティガの体はどこも傷だらけ」
少女「草原村のハンターと相当やりあった証拠でもある」
狩人「…………」
少女「……けど、こうなる可能性を私、低く見てたから」
少女「前の残りで たまたま持ってた麻酔弾は、たったの二発……」
少女「ギリギリ一回分しかない」
429: 以下、
狩人「……そうだな」
少女「失敗したら、あとは死に物狂いで戦うのみよ」
少女「私たち下位の装備でどこまでやれるか……でも」
狩人「ああ……わかっている」
狩人「最後の最後まで……あがいてやるさ!」
  グルルル…
少女「……起きたみたいね」
狩人「……その様だな」
  ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!
狩人「くっ……!」
少女「うっ……!」
430: 以下、
少女「まずは私たちを囮にして、罠に誘い込むわよ!」
狩人「わかった!」
  ズシャァッ!!
狩人「!?」
少女「!?」
  しかしティガの方は、それを見越してか
  その巨大でたくましい右腕を振るい、地面をえぐり
  そのままの勢いを付け、巨大な土の塊を
  こちらに向かって押し出してきた……!
狩人「あんな攻撃ありかよっ!?」(防御姿勢)
少女「くっ……!」(しゃがみ姿勢)
431: 以下、
  ドガァッ!!
狩人「ぐおっ……!!」 ビリビリビリビリッ!
少女「狩人!」
  防御ごと俺は後ろへ弾き飛ばされ、尻もちをつく……!
狩人「……くそったれっ!」
少女「もう一発くるわ!」
狩人「うおおおおおっ!」
432: 以下、
  しかし大剣を出しっぱなしじゃまともに動けない!
  背中に背負う暇も もちろんない。
  やむを得ず、俺は地面を転がるようにティガの土投げ?を回避する!
  ゴウッ!!
狩人「あ、あぶねぇ……!」
  巨大な土の塊が俺の頭のすぐ隣を通り過ぎていった。
狩人「少女、大丈夫か!?」
433: 以下、
少女「はあっはあっはあっ……」
  少女の息が荒い……
  俺だってまともに喰らえば、死ぬかもしれないあの攻撃……
  通常の半分しかない防御力であるガンナー装備の彼女は
  避けられなければ間違いなく即死だ。
  その緊張は極限にまで達しているだろう……
狩人「ちくしょう! この野郎! 早く俺を食いに来い!」
狩人「このチ○カス! デベソ! ええと……腐れマ○コ!」
  俺は、大剣を背中にしまいつつ
  思いつく限りの悪口を大声で言い、ティガの気を引く。
434: 以下、
  ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!
狩人「!!」
  想いが通じたのか
  俺に向かって突進してくるティガ!
狩人「くっ……そおおおおおおおっ!!」
  きびすを返し、罠の落とし穴へと誘うため全力で俺は走った!
  頭で分かっていても正直、生きた心地がしねぇ!
狩人(少女! あとは任せるぞ!)
435: 以下、
少女「……!」 スチャッ…
  少女はライトボウガンを構え
  罠の上あたりに照準をつける……!
少女(お願い……! 大人しく捕獲されて!!)
  ズ ボ ッ !!
  ギィアアアアアアアアッ!
狩人・少女「かかった!」
  ドウッ! ドウッ!
436: 以下、
  ビシッ! バシッ!
少女「よし! 命中!」
狩人「……!」
  だが……喜んだのも束の間
  ティガは相変わらず、罠から脱出しようともがいている!
  失敗だ……まだ、捕獲できるほど弱っていないんだ!
少女「……そ……そん……な」
狩人「くっそおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
  ダッ!!
少女「狩人!!」
437: 以下、
  ……この時の俺は
  はっきり言えば、やけくそになっていた。
  深い考えがあってティガに向かって行ったわけじゃない。
  ただ……どうせ死ぬのなら
  ティガの野郎に一矢報いてやる!というような
  そういう気持ちで大剣を振り下ろしただけ。
  それだけだった。
438: 以下、
  ドガァ!!
狩人「ちくしょおおおおおっ!」
  ザクッ!! ズガァッ!!
狩人「死んでたまるかっ……死んでたまるかぁっ!!」
  ドズッ!! ズシャアッ!!
狩人「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
  ザシュッ!!
439: 以下、
少女「……え?」
  クウウウウウゥゥゥ…… zzz
狩人「はあっ……はあっ……はあっ」
狩人「はあ……はあ……」
狩人「…………」
狩人「……え?」
  スピー…zzz スピー…zzz
440: 以下、
狩人「…………」
少女「…………」
狩人「……寝ている?」
少女「……捕獲できた?」
狩人「…………」
少女「…………」
狩人「何で……?」
少女「さっきの狩人の一撃で、捕獲できる状態になった……のかも?」
狩人「…………」
少女「…………」
441: 以下、
狩人「はああああああああああああっ……」 ドサッ…
少女「ふう……」 ストンッ…
狩人「…………」
少女「…………」
狩人「…………」
少女「…………」
狩人「……くくっ」
少女「……ぷっ」
狩人「はははは……」
少女「ふふふふ……」
  アハハハハハハ……!
442: 以下、
  とりあえず助かった、という安堵感と
  いまいち腑に落ちない達成感を感じた俺と少女は
  その場にヘタリこみ……
  何故か、笑いがこみ上げて
  止まらなくなったのだった。
443: 以下、
―――――――――――
数時間後の夜明け前
草原村 臨時集会所
ロートル「……それにしても驚いたぞ」
ロートル「まさかあのティガを捕獲している、なんてな」
狩人「……俺たちの手柄じゃないですよ」
少女「ここの……草原村のハンターがダメージを与えてくれてなかったら」
少女「私たちは生きて、ここにいませんでした」
ロートル「そうか……だが、とっさの判断としては正しかったと思うし」
ロートル「運も実力の内、という言葉もある」
ロートル「お前たちは立派に仕事をした。 誇っていいと思うぞ」
444: 以下、
狩人「ははは……」
少女「草原村……だいぶ酷い状況みたいですね」
ロートル「ああ……」
ロートル「死傷者はおよそ50人」
ロートル「死者は20人を下らないそうだ」
少女「…………」
狩人「……そうですか」
ロートル「ともかく、疲れているだろう」
ロートル「不幸中の幸い、侵入ティガはお前達が捕獲してくれた。 安心して休んでくれ」
少女「そうですね……」
狩人「そうします……」
445: 以下、
―――――――――――
仮設テント
女「!」
女「狩人! 少女ちゃん!」
狩人「女!?」
少女「女さん!」
狩人「無事だったか……良かった」
女「うん……生きた心地しなかったけどね」 ブルルッ…
女「それにしてもあのティガ、捕獲したんだって?」
女「すごいじゃない!」
446: 以下、
狩人「ははは……」
少女「普通に相手をしていたら、たぶん私たち死んでいますよ……」
女「なら、なおさらすごいじゃない!」
狩人「それがなぁ……さっきロートルさんにも言ったんだが」
狩人「ここ……草原村のハンターが、かなり追い詰めていてくれたから、なんだよ」
女「あー……なるほど、そういう事か」
女「でも、それでも十分すごいよ」
狩人「俺一人じゃ間違いなく死んでたと思う」
少女「それは私も同じよ。 狩人が居なかったら、きっと死んでたわ」
少女「ロートルさんも言ってたけど、運が良かった」
女「そっか……」
女「おっと、ここには休みに来たんだよね?」
447: 以下、
狩人「ああ」
少女「本当に疲れました……」
女「ごめん、また後で話をしましょう」
女「ゆっくり休んでね。 あ、女の子はこっちのカーテンの向こう側ね」
少女「はい」
―――――――――――
狩人「…………」
狩人(……横になったらすぐ眠れると思ったが)
狩人(作業をする周りの声とか、音とかが気になってなかなか寝付けない)
狩人(…………)
448: 以下、
狩人(……あれがティガレックスか)
狩人(ものすごい衝撃の攻撃だった)
狩人(…………)
狩人(上位に上がったら……あんなのを相手にしないといけないんだな)
狩人(…………)
  あの時の重い衝撃の感触……
  今も手に残っている。
  憧れていたハンターの姿が
  どこか、遠のいてしまった気がした……
449: 以下、
―――――――――――
同日の昼頃
仮設テント付近
狩人「ふあ……」
狩人「……ふう」
狩人(…………)
狩人(腹が減ったな……)
狩人(…………)
狩人(……こんな状況だけど、飯を頼むか)
450: 以下、
―――――――――――
仮設食堂
  ガヤ ガヤ
狩人「いい匂いだ……」
狩人「あのー……俺も何かもらっていいですか?」
草原村人「ああ、構わないよ」
草原村人「お? あんた、ふもと村のハンターか!」
狩人「ええ」
草原村人「あんた達が、あのくそったれティガに止めを刺してくれたんだってな」
草原村人「かたきをとってくれてありがとう。 感謝してる」
狩人「いえ……」
草原村人「さあ、大したもんはないが、遠慮なく食ってくれ!」
451: 以下、
―――――――――――
狩人「ふう……満腹だ」
狩人「…………」
狩人「これから……どうすればいいのかな?」
狩人(勝手に帰るわけにはいかないだろうし)
狩人(ここの復興を手伝う?)
狩人(う〜ん……)
狩人(…………)
狩人(とりあえず、ロートルさんを探そう)
452: 以下、
狩人(……ん?)
狩人「!!」
  タッ タッ タッ
狩人「あの!」
草原男「ん? なんだい?」
狩人「その荷車で運ばれている人って……」
草原男「ああ……さっき息を引き取ったんだ」
草原男「腹の傷が深かったし……相当な爺さんだしな」
狩人「…………」
  俺は……この人に見覚えがあった。
狩人「老ハンターさん……」
草原男「老ハンター? 違うよ、そんな名前じゃない」
草原男「こいつはグランドって名前で、老いぼれたお荷物ハンターだよ」
狩人「……え?」
453: 以下、
草原男「昔は名うてのハンターだった様だが……」
草原男「いつまでも村付きハンターを止めなくてな」
草原男「村としても昔の恩があるし……面と向かって引退しろとは言い辛くてな」
草原男「他に身寄りもなく、ズルズルと居着いてて困ってたんだ」
狩人「…………」
草原男「たまに採取クエを受注して、細々とやっていたみたいだが」
草原男「それだけじゃねぇ……」
狩人「…………」
狩人「……埋葬するんですか?」
草原男「ああ、無縁墓地に他の遺体とまとめてな」
狩人「…………」
454: 以下、
―――――――――――
夕方
草原村 共同墓地
  ザッ… ザッ…
少女「狩人、探したわよ」
女「こんなところに居たの」
狩人「……ああ」
ロートル「墓を作っていたのか?」
狩人「はい。 ……うんしょっ、と」
  (大きめの石)ドサッ…
狩人「ふう……」
ロートル「知り合いだったのか?」
455: 以下、
狩人「そうですね……でも、深くは知りません」
狩人「少し話をした程度なんです」
ロートル「……なのに墓を作ってやったのか」
狩人「はは……その通りです」
狩人「自分でも何故、そうしたのか……分かりません」
ロートル「…………」
女「名前は何ていうの?」
狩人「グランド、という名前だって」
ロートル「グランド? ……知らないな」
狩人「そうですか……ロートルさんでも知らないハンターなんですね」
ロートル「ハンターだって?」
456: 以下、
ロートル「しかし……草原村の村付きハンターは、草原ハンターしか知らないが」
狩人「……もう一人居たんです」
狩人「採取クエで細々と生計を立てていた老人の村付きハンターが」
ロートル「…………」
少女「…………」
女「…………」
ロートル「……同情か?」
狩人「多分違います」
ロートル「ほう?」
狩人「……もちろん詳しい事情なんて知りませんけど」
狩人「最後の最後まで現役ハンターとして、今日まで生き残ってきた」
狩人「……そうそうできる事じゃないと思います」
女「狩人……」
457: 以下、
狩人「そんな彼が、敬意も払われず葬られるなんて……」
狩人「なんか……嫌でした」
少女「…………」
ロートル「…………」
ロートル「そうか……」
ロートル「なら、この墓標には、お前が名を刻んでやれ」
狩人「え!?」
ロートル「きっとグランドとやらも、それを望むだろう」
狩人「い、いや……俺は……その、字が汚いし不器用なので」
ロートル「じゃあ、俺も手伝おう」
ロートル「自慢じゃないが俺の字は綺麗だと、よく言われるんでな」
ロートル「それの上をなぞって刻むといい」
458: 以下、
狩人「!」
狩人「ええ、お願いします、ロートルさん」
ロートル「なに……俺も同じハンターとして、このハンターを弔(とむら)ってやりたい」
ロートル「その手伝いができるのなら光栄だ」
少女「…………」 クスッ
女「…………」 クスッ
―――――――――――
狩人「ふう……」
ロートル「なんだ、不器用とか言ってたわりに上手く刻めたじゃないか」
狩人「ははは。 クエより神経使ったかもしれません」
ロートル「ははは! ……では、我々の村へ帰るとするか」
狩人「はい!」
459: 以下、
  俺たちハンターと、女は
  グランドさんの墓に一度手を合わせたのち
  様々な村からの救援隊到着の姿を見届け
  草原村を後にしたのだった……
460: 以下、
―――――――――――
深夜
ふもと村 ソロの家
ソロ「……そうか、G級のティガだったのか」
ロートル「ああ……詳しく調べてみないと、とは言っていたが」
ロートル「ギルド観測所の職員は、ほぼ間違いない……とな」
ソロ「ふふ……お互い先をこされたな」
ロートル「半日近くG級とやりあった、草原ハンターを褒めてやれよ」 クスッ
  ハハハ…
ソロ「……で?」
ソロ「こんな夜中に俺の家を訪ねた理由はなんだ?」
ロートル「……ああ、それなんだが」
ロートル「一つ、腑に落ちない事がある」
461: 以下、
  コポコポコポ…
ロートル「…………」 グビッ
ロートル「ふう……」
ソロ「…………」
ロートル「……今回のティガ」
ロートル「どこから飛来したと思う?」
ソロ「……通常なら火山か砂漠のあたりだと思うが」
ロートル「それは俺も考えた」
ロートル「しかし……ティガは跳躍して滑空するタイプの飛竜だ」
ロートル「飛行距離はレイアやレウスより短いが……」
ロートル「火山や砂漠からの飛来なら直接雪山まで行けるのに」
ロートル「なぜ森丘に近い草原村に降りたんだ?」
462: 以下、
ソロ「ふむ……猟区からすれば不自然さはないと思うが」
ソロ「たまたま降りただけかもしれないし……」
ソロ「腹が減ってとりあえず、という意味合いで草原村に降りただけかもしれん」
ソロ「森丘は今、リオ夫婦のシーズンだから近づきたくなかったので手前で降りたとか」
ロートル「ありえそうな仮説だな」
ロートル「だが、森丘に奴の好物のポポはいない」
ロートル「ティガが直接目指すのに森丘は不自然だと思う」
ソロ「……何が言いたい?」
ロートル「…………」
ロートル「あくまで推測だが」
ロートル「雪山まで直接行けないくらい弱っていた、と仮定したらどうだ?」
463: 以下、
ソロ「バカな……」
ソロ「確かにそれならしっくりくるが、G級のティガだったのだろう?」
ソロ「そんな奴を飛行距離まで短く、弱らせる事ができるモンスターなんて……」
ソロ「!!」
ロートル「……俺の言いたいことがわかったか?」
ソロ「い、いや、しかし……」
ソロ「いくらなんでも」
ロートル「こう言ってはなんだが……」
ロートル「G級ティガなのに優秀とはいえ、準備不足の草原ハンターが渡り合えた」
ロートル「G級ハンターでもない、俺たちと同じ上位ハンターのな」
ソロ「…………」
464: 以下、
ロートル「となると……これはそう考えるしかない」
ロートル「あのG級ティガは……」
ロートル「『何か』にコテンパンにされて住処を追い出されたんだ」
ソロ「……G級ティガをボコれて」
ソロ「さらに砂漠か火山に出没するモンスターとなると……」
ロートル「G級のグラビモスやディアブロス」
ロートル「もしくは……古龍」
ロートル「テオ・テスカトル……だな」
469: 以下、
―――――――――――
数日後の午前中
ふもと村 集会所
狩人「え? 受け取っていない報酬?」
受付嬢「はい」
受付嬢「狩人様と少女様が共同で捕獲した、G級ティガレックスの報酬です」
狩人「」
少女「」
  ザワッ……!
狩人「ちょ、ちょっと待ってください!」
受付嬢「はい?」
470: 以下、
狩人「あれは俺たち、ほとんど何もしていなんですよ!?」
狩人「偶然襲われたから最後に罠張って、捕獲しただけで……」
狩人「報酬を受け取るべきなのは、数時間かけてダメージを与えた」
狩人「草原ハンターさんですよ!」
少女「それにG級!?」
少女「あのティガって、G級だったんですか!?」
受付嬢「落ち着いてください、順を追って説明しますので」
狩人「…………」
少女「…………」
受付嬢「まず、ギルドの仕組みとして」
471: 以下、
受付嬢「今回のティガレックスは、ギルド観測所により正式にG級と認定されました」
受付嬢「また、今回の捕獲は『緊急クエスト』と同義として扱われます」
狩人「…………」
少女「…………」
受付嬢「次に報酬ですが」
受付嬢「先ほどあなた方が言っていた通り」
受付嬢「草原ハンターさんが主にダメージを与えていたとしても」
受付嬢「捕獲したのはお二人の手柄であり、お二人が居なければ」
受付嬢「G級ティガによる被害は拡大の恐れがありました」
狩人「…………」
少女「…………」
472: 以下、
受付嬢「ですので、ギルド規定による『緊急クエスト』報酬は」
受付嬢「草原ハンター、狩人、少女の3名による共同捕獲と判断し」
受付嬢「報酬のお金・モンスター素材、それぞれを」
受付嬢「三等分で支払うのが妥当、と判断しています」
狩人「そ……そうなんですか」
少女「……いまいち釈然としませんが」
受付嬢「もっと胸を張ってください」
受付嬢「何度も言いますが、今回の討伐はお二人が居なければ」
受付嬢「早期解決しなかったんです」
受付嬢「あなた方に救われた人は、お二人の想像以上に多いと思ってください」
狩人「……はあ」
少女「…………」
  ……パチ パチパチパチ
473: 以下、
狩人「え?」
少女「!」
  ソウダゼ、ヨクヤッタンダ! ムネヲハレ!
  ウマイコト、ヤリヤガッテ! ワー! ワー!
狩人「は、ははは……」///
少女「〜〜〜っ」///
受付嬢「ふふふ」
受付嬢「それでは報酬です。 どうぞ受け取ってください」
  ドサドサッ!
受付嬢「134000z(ゼニー)とG級ティガレックスの素材になります」
狩人「じゅうさんまっ……!?」
少女「G級ティガの素材……」 ゴクリ…
474: 以下、
ロートル「おー……それが報酬か」
ロートル「G級素材……羨ましいな」
狩人「ロートルさん」
少女「私たち下位なのに……いいんでしょうか?」
ロートル「ああ、受付嬢さんの言う通り、どこに断る必要もない正当な報酬だ」
ロートル「もらっておけ」
ロートル「草原ハンターの奴も今頃もらって、驚いている事だろう」
狩人「こ、こんな大金……初めて受け取ります」 ガクブル
少女「……狩人、言っておくけど」
少女「たぶん素材を全部売ったら、それの4〜5倍の金額になると思うわ」
狩人「」
ロートル「まあG級素材を売る奴なんて、滅多にいないけどな」
475: 以下、
狩人「……何て言うか」
狩人「G級って、本当にすごいんだなって、改めて思いました……」
少女「同じく……」
ロートル「そうか」 クスッ
ロートル「で、だ。 話を変えるが……二人に頼みたい事がある」
狩人「はい? 何ですか?」
ロートル「俺とソロは、しばらくふもと村を離れたいと思うんだ」
狩人「しばらく……というと?」
ロートル「期間はわからん」
ロートル「ある『目的』を達成するまで帰らないつもりだ」
ロートル「それまで、ふもと村の事をお前たちに任せたい」
476: 以下、
少女「!」
狩人「ある目的?」
ロートル「今回はもしかしたら、早く済むかもしれんが……」
ロートル「まあ、何かあったら手紙をくれ。 砂漠村を拠点にするから」
狩人「はあ……」
少女「…………」
ロートル「じゃあな、狩人、少女」
ロートル「無理せず、強くなれよ」
  スタ スタ スタ…
狩人「……?」
少女「…………」
少女「ねえ、狩人」
狩人「ん?」
477: 以下、
少女「今日は休みにしない?」
狩人「はあ?」
少女「たまにはいいでしょ?」
少女「とにかく決まり」
狩人「は?」
少女「……ちょっと話したいことがあるの」
少女「もらった報酬を家に置いたら、私の家に来て」
少女「じゃ……」
狩人「あ……」
狩人「…………」
狩人(何なんだ?)
478: 以下、
―――――――――――
少女の家
コックアイルー「いらっしゃいませだニャ!」
狩人「あ、ああ……」
コックアイルー「どうぞ、お入りください」
コックアイルー「ご主人様がお待ちですニャ」
狩人「お邪魔します」
―――――――――――
狩人「……キッチンアイルー雇ってたのか」
少女「ええ。 報酬が安定して来た時に、ね」
少女「狩人も大金が手に入ったんだし、一人くらい雇ってみたらいいわ」
少女「本当に助かるから」
479: 以下、
狩人「さっそく村長さんに聞いてみるよ」
少女「うん」
狩人「それで……話って?」
少女「…………」
少女「……さっきのロートルさんの話」
少女「どう思った?」
狩人「どうって言われても……何か突然だな、としか」
少女「そうね」
狩人「何が言いたいんだ?」
少女「…………」
少女「狩人、そろそろランクアップのクエ、受注できるんじゃない?」
480: 以下、
狩人「え? ……ああ、その通りだけど」
狩人「対象となるモンスターが出現するまで待ってくれって言われてる」
少女「うん。 私もそうだった」
狩人「で? それがどうかしたのか?」
少女「…………」
少女「……ロートルさんと、ソロさんってさ」
少女「HR6だよね」
狩人「ああ」
少女「その上を目指す、としたら何になる?」
狩人「そりゃあG級しかないじゃ……」
狩人「……ん?」
少女「…………」
狩人「そういやG級に上がるのって……どんなモンスターを狩るんだろう」
481: 以下、
少女「さあ……それは私にも分からないけど」
少女「G級モンスターって、たまにしか出現しないよね」
狩人「……あんなのがポコポコ出たら困る」
少女「確かに」 クスッ
少女「でも……それってさ」
少女「G級に上がる為の対象モンスターにも言えないかしら?」
狩人「…………」
狩人「……あ」
少女「そうなると当然、そのモンスターを目当てにした者同士の奪い合いになる」
少女「報酬や素材目当てのハンターも多いけど」
少女「G級猟区に存在する鉱石目当てでG級ハンターになりたいハンターも多いわ」
少女「高値で取引されているから」
482: 以下、
狩人「……ロートルさん達が後者だとは思いたくないが」
狩人「G級ハンターになるのが予想以上に大変そうなのはわかった」
少女「うん」
狩人「それで、今回のロートルさんの行動とどう繋がるんだ?」
少女「…………」
少女「……たぶん、だけど」
少女「もしかしたら、ロートルさん達……」
少女「G級に上がるための対象モンスターの情報を掴んだのかもしれない」
狩人「!」
少女「その辺りの詳しい事は分からないけど」
少女「いずれにしても命懸けである事は間違いないわ」
狩人「…………」
483: 以下、
狩人「……この村を任せるって」
少女「……うん」
少女「そういう意味だと思う」
狩人「…………」
狩人「だ、大丈夫さ」
狩人「必ずまた会おうって言ってたし」
少女「そうね」
少女「でも……ある程度は覚悟しておいた方がいいと思うわ」
狩人「…………」
狩人「……そう……か」
484: 以下、
狩人(…………)
狩人(……G級、か)
狩人(…………)
狩人(いや、ロートルさん達の心配なんて)
狩人(下位の俺がしてもしょうがない)
狩人(俺は、俺の出来る事をして)
狩人(少しでも彼に近づける様、努力するべきだ)
狩人(……そうとも)
狩人(まずは自分の心配をしないとな……)
狩人(…………)
485: 以下、
―――――――――――
村長宅前
狩人「村長さん」
村長「お? 狩人か」
村長「聞いたよ、莫大な報酬をもらったんだってな」
狩人「はは……なんか申し訳ない気もしましたけど」
村長「ははは。 で、何か用かい?」
村長「まさか採取クエの受注じゃないよね?」
狩人「ええ」
狩人「実は、アイルーを雇いたいと思いまして」
村長「あっ……! すまん狩人、そういえばその事を言ってなかったね」
狩人「いえ……」
486: 以下、
村長「では、アイルーの仲介をしてくれる、通称ネコ婆さんという人を紹介するよ」
村長「こっちに来てくれ」
狩人「はい」
―――――――――――
村長「この人だよ」
ネコ婆さん?「初めまして、狩人さん」
狩人「」
村長「どうかしたのかい?」 ニヤニヤ
狩人「……その」
狩人「もっと、お年を取った人を想像していたので……」
村長「だよねぇ」 ニヤニヤ
487: 以下、
村長「少し前まで、本当にお婆さんな人がやってたんだけど」
村長「この前、お孫さんが代替りしてね」
村長「ネーコ、という名前なんだ」
ネーコ「改めて。 通称ネコ婆さんをやっている、ネーコです」 ニコッ
狩人「ど、どうも……」///
狩人(何て言うか、ものすごく可愛い女の子だ……)///
狩人(女や少女も十分可愛いし、綺麗だけど……この娘は格別だなぁ)///
村長「じゃ、後は彼女にいろいろ聞くといい」
村長「ネーコちゃん、お願いするね?」
ネーコ「はい、村長さん」
村長「じゃ……」
  スタ スタ スタ…
488: 以下、
ネーコ「それでは、狩人さん」
ネーコ「仲介をする前に、簡単な説明をしますね?」
狩人「あ、はい。 ネーコさん」
ネーコ「ネーコでいいですよ」 クスッ
狩人「そ、そうですか……」///
狩人「それなら俺も狩人、でいいよ」///
ネーコ「いえいえ、お客様には節度を持って対応しないといけないので」
狩人「そ、そうか……」///
ネーコ「で、説明ですが」
ネーコ「まず仲介するにあたり、仲介料が発生します」
ネーコ「これはアイルーの報酬とは別にいりますのでご了承ください」
狩人「はい」
489: 以下、
ネーコ「次に」
ネーコ「アイルーを雇う際に保証金を預からせていただきます」
狩人「保証金?」
ネーコ「はい」
ネーコ「これは無責任なハンター様の雇用と解雇を防ぐ目的があり」
ネーコ「また、ハンター様の引退や死亡に際し、雇用したアイルーに対する手当てとして」
ネーコ「私が責任を持って預からせていただきます」
狩人「……ハンターの引退や死亡」
ネーコ「そうです」
ネーコ「雇用主であるハンター様は、突然いなくなる可能性があり」
ネーコ「失業したアイルーが路頭に迷わないよう必要な処置として」
ネーコ「ご了承ください」
490: 以下、
狩人「…………」
ネーコ「……厳しい事を言うようですが」
ネーコ「彼らは次の仕事を待つ期間や、故郷に帰る為の資金がどうしても必要になります」
ネーコ「それらをハンターに望むのは間違っているのでしょうか?」
狩人「……そ、それは」
狩人「俺にはわからないよ……けど」
狩人「幾らになるのか分からないが、高くつくな……と思ってしまって」
ネーコ「それは否定しませんが……」
ネーコ「しかし、この制度ができるまで」
ネーコ「大勢のアイルーたちが泣き寝入りをしていたのも事実なんです」
ネーコ「ハンターの気まぐれや、ささいな間違いで突然不当解雇されて……」
ネーコ「中には名前が気に入らないとか、寝相が気持ち悪いとか」
ネーコ「そんな理由だってまかり通っていたんです」
狩人「…………」
491: 以下、
狩人「……わかったよ」
ネーコ「ありがとうございます」
狩人「で、いくらくらいになるのかな?」
ネーコ「それでは料金のご説明をさせていただきます」
狩人「…………」
ネーコ「まず、キッチンアイルー、オトモアイルー共に」
ネーコ「ランク分けされています」
ネーコ「当然ですが、上に行けば行くほど、料金も高くなります」
狩人「……ですよね」
狩人「おすすめは、やっぱり高い方なんですか?」
ネーコ「即戦力が欲しいのなら、そうですね」
492: 以下、
狩人「料金が安い方を選ぶハンターも居るんですか?」
ネーコ「そこはハンター様の事情も絡みますので、十人十色です」
狩人「う〜ん……」
狩人「ちょっと疑問なんですけど」
ネーコ「はい」
狩人「安い方は、ずっと安いままなんですか?」
ネーコ「基本的にはそうですけど……アイルーが給金に不満を持った場合」
ネーコ「私が仲介して交渉する事もあります」
ネーコ「それでハンター様との合意が得られない場合は」
ネーコ「辞める事もあるとお考え下さい」
狩人「そうですか」
493: 以下、
ネーコ「では、詳しい料金ですが」
ネーコ「ランクは大まかに3段階あり」
ネーコ「C、B、Aの順に料金も高くなります」
狩人「はい」
ネーコ「Cランクは仲介料200z(ゼニー)と保証金が1500z(ゼニー)」
ネーコ「月々の給金は500z(ゼニー)です」
狩人「…………」
ネーコ「Bランクは仲介料500z(ゼニー)と保証金3500z(ゼニー)」
ネーコ「月々の給金は1000z(ゼニー)です」
狩人「…………」
ネーコ「Aランクは仲介料1000z(ゼニー)と保証金7700z(ゼニー)」
ネーコ「月々の給金は2100z(ゼニー)となります」
狩人(高ぇ……)
494: 以下、
ネーコ「いかがなさいますか?」
狩人「…………」
狩人「……ちょっと待ってくださいね」
ネーコ「はい」
狩人(最後のAランクって、普通のクエ2回分くらいが毎月かかるのか……)
狩人(しかも仲介料や保証金とか、すごい値段)
狩人(……今なら払えるけど、ちょっと躊躇するな)
狩人(…………)
狩人(安い方はどうなんだろ?)
狩人(下手な掃除や不味いメシ作られたりするのかな……)
狩人(う〜ん……)
495: 以下、
ネーコ「…………」
狩人「…………」
狩人「じゃあ……Bランクのアイルーを見せてもらえますか?」
ネーコ「はい。 こちらになります」つ(一覧表)
狩人「どれどれ……」
狩人「…………」
狩人「……あの」
ネーコ「はい、何でしょう?」
狩人「こんな事を聞くのはおかしいかもしれないけど」
狩人「選ぶ時の基準とかあります?」
ネーコ「……それはハンター様のお心しだいです」
496: 以下、
ネーコ「キッチンアイルーならば、好物の料理が得意なアイルーを選んだり」
ネーコ「オトモアイルーなら、自分の戦闘スタイルと相性のいい」
ネーコ「アイルーを選択すればいいと思います」
狩人「なるほど」
狩人(……難しいなぁ)
狩人「う〜ん……」
ネーコ「…………」
狩人「……じゃあ」
ネーコ「はい」
狩人「この板前アイルーってのをお願いします」
ネーコ「ありがとうございます」
497: 以下、
ネーコ「オトモアイルーはいかがですか?」
狩人「それはまた今度でいいです」
ネーコ「わかりました」
ネーコ「では、仲介料と保証金あわせて4000z(ゼニー)いただきます」
狩人「はい」
―――――――――――
ネーコ「……はい、確かにいただきました」
ネーコ「それでは……板前アイルーさーん」
板前アイルー「ニャ!」
ネーコ「たった今、こちらのハンター様が あなたと雇用契約を結びました」
498: 以下、
板前アイルー「ニャ! 旦那、あっしは板前アイルーって名のケチな野郎ニャ!」
板前アイルー「遠慮なくこき使ってくれニャ!」
狩人「お、おう。 よろしくな」
板前アイルー「頑張るニャ!」
ネーコ「それでは狩人さん、板前アイルーさん」
ネーコ「仲良く頑張ってくださいね」
―――――――――――
板前アイルー「ニャ! ここが旦那の住処かニャ?」
狩人「ああ、そうだよ」
板前アイルー「やりがいのありそうな職場だニャ!」
板前アイルー「炊事・洗濯・掃除、全部お任せニャ!」
狩人(……ちょっと暑苦しい奴だな)
狩人「おっと、掃除についてなんだけどな」
板前アイルー「ニャ?」
499: 以下、
狩人「俺の部屋は、このままの状態で掃除してくれ」
板前アイルー「このままでかニャ?」
狩人「乱雑に思えるだろうけど、これで俺は使いやすいんでな」
板前アイルー「わかったニャ!」
狩人「それじゃ、仕事にかかってくれ」
板前アイルー「ニャ!」
―――――――――――
板前アイルー「旦那!」
狩人「ん? なんだ?」
板前アイルー「夕食は何にするニャ?」
狩人「もうそんな時間か……そうだな」
狩人「やっぱり肉料理だな」
500: 以下、
板前アイルー「注文、ガッテン承知だニャ!」
板前アイルー「では、食材を買ってくるので、20z(ゼニー)欲しいニャ」
狩人「え……あ、そうか」
狩人「そりゃ食材が無いと作れないな……ちょっと待っててくれ」
  ゴソゴソ…
狩人「はい、20z(ゼニー)」
板前アイルー「はい! 確かにいただきましたニャ!」
板前アイルー「では! 行ってきますニャ!」
狩人「おー」
―――――――――――
板前アイルー「お待たせしましたニャ!」
狩人「…………」
501: 以下、
  プ〜ン…
狩人「…………」
狩人「……何か嗅いだ事のないニオイだな」
板前アイルー「あっしの特製肉料理だニャ!」
板前アイルー「ささっ! 冷めない内にガッツリ行くニャ!」
狩人(……何か嫌な予感がするが)
狩人「じゃあ……いただきます」
  モグッ…
狩人(お? 意外と味は悪くないな)
  ムシャムシャ…
狩人(まあそこそこって感じだけど……)
―――――――――――
狩人「ごちそうさま」
502: 以下、
板前アイルー「どうでしたかニャ?」
狩人「ああ、何か不思議な……」
  ゴロ…
狩人「……ん?」
  ゴロゴロゴロ……
狩人「ヴッ!?」
  ピーゴロゴロゴロ……
狩人「bhszこhさrlんgy!?」
  ダダダダダダッ!! バタンッ!
板前アイルー「ニャ?」
503: 以下、
――――――――――――――――――――――
  お見苦しい描写の為、割愛します。
  しばらくお待ちください。
――――――――――――――――――――――
504: 以下、
――――――――――――――――――――――
  お見苦しい描写の為、割愛します。
  しばらくお待ちください。
――――――――――――――――――――――
505: 以下、
――――――――――――――――――――――
  お見苦しい描写の為、割愛します。
  しばらくお待ちください。
――――――――――――――――――――――
506: 以下、
狩人「……お前……毒でも……入れたのか?」
板前アイルー「すまねぇ旦那……ちょいと冒険しすぎたみてぇだニャ」
狩人「冒険……って……うっ……」
板前アイルー「ま! たまにはこんな事もあるニャ!」
板前アイルー「笑って許して欲しいニャ! 旦那!」
  ニャハハハハハハ!
狩人「…………」
狩人(……これ)
狩人(解雇しても十分いい理由だよな……?)
狩人(…………)
狩人(……でも4000z(ゼニー)も払ってるしなぁ)
狩人(納得いかねぇ……)
507: 以下、
―――――――――――
翌日の朝
狩人の家前
狩人「――というわけで」
狩人「俺は今日、休む……」
少女「……それは災難だったわね」
少女「まあ仕方ない、か……」
狩人「おう……すまんな」
少女「ううん。 クエから帰ったら、お腹に優しいもの持ってくるわ」
少女「じゃ!」
508: 以下、
―――――――――――
昼頃
狩人「ふう……どうにか落ち着いてきた」
狩人「…………」
狩人(とりあえず、ネーコに文句の一つも言わないと気が収まらん)
狩人(……我ながら人間ちっちゃい気もするが)
狩人(酷い目に合わされたんだし)
狩人(アイルーの入れ替えくらいには応じてくれるかもしれん)
狩人(ダメもとで文句くらい言ってもいいだう)
狩人「……出かけるかな」
509: 以下、
―――――――――――
ネーコの家付近
狩人「……ん?」
狩人「…………」
狩人(どうやら出かけるみたいだな)
狩人(…………)
狩人(どうする? また今度にするか?)
狩人(…………)
510: 以下、
―――――――――――
ふもと村 墓地
狩人「…………」
狩人(……何で墓地に?)
狩人(しかもこんな昼間から……)
  ザッ… ザッ…
狩人(!?)
狩人(墓を掘り始めた!?)
狩人(白昼堂々と墓荒らしか!?)
狩人(…………)
狩人(ともかく、止めないと!)
  ダッ!
狩人「お、おい! ネーコ!」
511: 以下、
ネーコ「え?」
ネーコ「ああ、狩人さん」
ネーコ「どうかなさいましたか?」
狩人「それはこっちのセリフだ」
狩人「真昼間から墓荒らしなんて……何をしているんだ?」
ネーコ「墓荒らし? ……ああ」
ネーコ「これは墓荒らしではありませんよ」
狩人「はあ? どう見ても……」
ネーコ「……これを見てください」つ(つつみ)
狩人「は? ……何ですか、これ?」
ネーコ「あるアイルーの尻尾です」
狩人「!?」
512: 以下、
ネーコ「時々あるんです」
ネーコ「雇っていただいた ハンター様の事が忘れられなくて」
ネーコ「遺言に亡くなったハンター様のお墓に埋めて欲しい、というアイルーが……」
狩人「…………」
  ザッ… ザッ…
ネーコ「ふう……故郷が遠くて、体の一部分でもいいから、と」
ネーコ「このアイルーは、言い残して亡くなったんだそうです」
狩人「…………」
ネーコ「狩人さん、周りのお墓……見てみてください」
ネーコ「ところどころ、お墓の脇に小さなお墓があるでしょう?」
狩人「……ありますね」
狩人「あそこなんて、3つもある」
513: 以下、
  ザッ… ザッ…
ネーコ「……これでよし。 あとは……」
  (小さな墓標)トン…
ネーコ「これで……あっちでも一緒です」
ネーコ「きっと……」
狩人「…………」
狩人「……あれ?」
ネーコ「どうしました?」
狩人「名前が……墓標に名前が無いけど?」
ネーコ「ああ、それは……故事にならって、そうしているんです」
狩人「故事?」
ネーコ「ポッケ村に伝わる……ある歴戦ハンター様の晩年のお話です」
514: 以下、
ネーコ「……という事で」
ネーコ「それ以降、ハンター様のお墓に寄り添うアイルーのお墓に」
ネーコ「名前を刻まない事が、ポピュラーになったんです」
ネーコ「最近は名前を刻む事も多いんですけどね」 クスッ
ネーコ「今でもそのハンター様のお墓と、アイルーのお墓はポッケ村に残っていて」
ネーコ「事情を知っている人は、そっと花を手向(たむ)けるそうです」
狩人「……そうですか」
ネーコ「それで……狩人様は、私に何かご用だったのですか?」
狩人「!」
狩人「あー……その……何でもないです」
狩人「たまたまネーコを見かけたんで……」
ネーコ「そうですか」
515: 以下、
ネーコ「それでは、私はこれで」
狩人「あ、ああ……」
  テク テク テク…
狩人「…………」
狩人(……何か気が削がれてしまったな)
狩人(…………)
狩人「はあ……」
狩人「…………」
狩人「まあ、悪気があったわけじゃないだろうし」
狩人「板前アイルーにもう冒険はするなって、言えばいいか……」
狩人「はあ……」
516: 以下、
―――――――――――
数日後の朝
ふもと村 集会所
狩人「ガノトトスが出現した!?」
受付嬢「はい。 ようやく出現しました」
狩人「やっと出たかぁ……長かった」
少女「狩人?」
狩人「あ、少女!」
狩人「聞いてくれ! ガノトトスがやっと出たんだ!」
少女「そう。 ランクアップ対象モンスターが出たのね」
少女「けど……」
狩人「ん?」
517: 以下、
少女「密林だと一週間かかるから」
少女「私たち二人一緒に出かけるのは、まずいわね……」
狩人「あー……」
狩人「い、いや、まあ……そりゃ心配かもしれないだろうけど」
狩人「俺もそれなりに腕を上げたんだし……ひとりでも何とかなるさ」
少女「そう……」
少女「じゃ、せめてガノトトスの弱点を教え……」
ハンター(女)「あら、ガノトトス狩りに行くの?」
ハンター(女)「あたしで良かったら手伝おうか?」
狩人「え」
少女「え」
518: 以下、
娘ハンター「あ、あの!」
娘ハンター「よ、良かったら私も……」///
狩人「」
少女「」
露出女「ちょいと待ちな」
露出女「そんな小娘とじゃなく、あたいとどうだい?」
露出女「いい仕事して見せるぜぇ〜?」
狩人(何て格好を!?)///
少女(ボーン装備……あれで戦う女の子が居るなんて)
少女(って! 問題はそこじゃない!)
少女(どうして女の子ハンターばっかり寄ってくるの!?)
狩人「え、ええと、俺、3乙ばっかしているんですけど……」
519: 以下、
ハンター(女)「でも一皮むけたんだよね」
ハンター(女)「何しろG級ティガをやっつけたんでしょ?」
娘ハンター「私、いろいろ教わりたくて……」///
娘ハンター「あ、後でG級ティガのお話も聞かせてくださいね?」///
露出女「一人のメスとしちゃあ、実力もだが……」
露出女「運のいいヤローにツバつけときたいんだよ♪」
狩人「」
少女「」
  ワー ワー ギャー ギャー
狩人「……どうすりゃいいの?」
少女「知らないっ!」
少女「その人達と一緒に行けば!?」 フンッ!
狩人「…………」
520: 以下、
  弱点の事、まだ聞いてないんですけど……
  と、言いたかったが
  雰囲気がそれを許してくれなかった……
521: 以下、
―――――――――――
砂漠村 集会所
ロートル「…………」
ソロ「ロートル」
ロートル「ソロ。 そっちはどうだ?」
ソロ「噂話程度だが……焼け焦げたアプケロスをよく見かけるようになっている」
ソロ「ハンターやメラルー・アイルーの仕業にされているみたいだ」
ロートル「こっちも同じだ」
ロートル「目撃した場所は?」
ソロ「砂漠のあるエリアに集中している」
522: 以下、
ロートル「よし、これも同じ」
ロートル「砂漠地帯で決まりだな……」
ソロ「ああ」
ロートル「…………」
ソロ「…………」
ソロ「古龍殺し(エルダーキラー)は無条件でG級ハンターに……」
ロートル「前回はアカムトルムを探して半年粘ったがダメだった」
ロートル「今回はモノにしたいな……」
ソロ「そうだな……」
ロートル「…………」
ロートル(今度こそ……今度こそは)
ロートル(G級に……!)
523: 以下、
  ロートルの目は、一瞬あやしく輝き
  そして、グラスの酒を一気に飲み干した……
524: 以下、
※補足説明
原作(P2G)のゲームでは、旧猟区と樹海以外、下位でも入れましたが
このスレでは、HRごとに入れる猟区が制限されています。
下位ハンターは、雪山・森丘・密林・砂漠に入れます。
上位から、火山・沼地・塔・樹海にも入れるようになります。
G級は無制限でどの猟区にも入る事ができ、今回のお話でも出てきましたが
貴重な鉱石はG級ハンターしか、取ってくる事ができません。
P2Gで上位からG級に上がるキークエのモンスターは、アカムトルムですが
このスレでは、G級モンスターは希少なため、それ以上に希少な出現率の
古龍モンスター撃破は、例外的に無条件でG級に上がれるとしています。
また、G級モンスターの報酬額は、原作ゲームの約10倍にしています。
これは古龍クラスも同様です。
モンスター素材もその値段で売買されています。
525: 以下、
また、今回のお話で出てきた『 故事 』とは
非公式のエピソードでして、知る人ぞ知るお話です。
気になる人は、『
ハンカチ必須。
531: 以下、
―――――――――――
数日後の昼頃
密林
露出女「そっちに行ったよ! 狩人!」
狩人「ああ!」
狩人「でやああああっ!」
  ブウンッ!(亜空間タックル)
  バゴォッ!
狩人「ヘベッ!?」
娘ハンター「だ、大丈夫ですか!?」
532: 以下、
―――――――――――
BC(ベースキャンプ)
狩人「」
狩人「はっ!?」
救助アイルー「気がついたかニャ?」
狩人「…………」
狩人「……また1乙したのか」
救助アイルー「そろそろガノトトス、狩猟される頃だと思うニャ」
救助アイルー「早く行かないと、剥ぎ取り損ねるニャ」
狩人「そ、そうか……早く行かないと!」
救助アイルー「頑張ってくれニャ」
533: 以下、
―――――――――――
露出女「おー、帰ってきたか」
娘ハンター「あ、大丈夫ですか?」
ハンター(女)「早く剥ぎ取りしなよ?」
狩人(……本当に終わってるし)
狩人「お、おう……」
―――――――――――
狩人「はあ……間に合った」
狩人「でも、なんかほとんど任せてごめん……」
露出女「お疲れ!」
娘ハンター「調子の悪い時もありますよ」 クスッ
ハンター(女)「そうそう」
534: 以下、
―――――――――――
数日後の午後
ふもと村 集会所
狩人「あの、どうもありがとうございました」
露出女「いやいや。 礼を言われるほどの事じゃねーよ」
娘ハンター「これでHR3ですね。 おめでとうございます」
露出女「けどまあ……どうしてもってんなら」
露出女「ひとつだけ頼みを聞いてくれねーか?」
狩人「え? ああ、俺に出来る事なら」
ハンター(女)「んふふ、やっぱそれ狙いか」
狩人「……?」
露出女「あんたの髪の毛を一本くれないか?」
535: 以下、
狩人「髪の毛……ですか?」
ハンター(女)「そう! ぜひちょうだい♪」
娘ハンター「お、お願いします……」///
狩人「は、はあ……」
  ピッピッピッ…
狩人「これでいいんですか?」
露出女「そう! これでいいの♪ あんがとねー♪」
ハンター(女)「じゃ! またねー!」
娘ハンター「私、しばらく、ふもと村に居ますから、また誘ってください」
娘ハンター「それじゃ」
536: 以下、
狩人「あ、ああ……また」
狩人「…………」
狩人(……何なんだ、この展開)
狩人(みんな(特に女性ハンター)手のひらを返した様に接してくる)
狩人(どうやら俺の髪の毛が目当てだったみたいだが……)
狩人(しかも全員上位ハンターだよな?)
狩人(……わからん)
????「……ただのゲン担ぎだ」
狩人「え?」
狩人「!」
狩人「あ、あんたは!? イケメン!!」
537: 以下、
イケメン「……いかにも俺はイケメンだが」
イケメン「どこかで会っていたか?」
狩人「白々しい! 何も知らない俺を騙して、クエストの報酬だまし取っただろ!」
イケメン「! ……そういう事か」 ハア…
狩人「あの時の金、返せ!」
イケメン「いいから落ち着け」
イケメン「お前の言う『イケメン』の顔には、頬に傷跡が無かったか?」
狩人「何が傷跡だ! そんな事でもう騙され……え?」
イケメン「ここだ。 この部分に傷跡が無かったか?」
  イケメンは、自分の頬にトントンと指で指し示す。
  もちろん傷跡など無い。
狩人「……確かに」
イケメン「まったく……」
538: 以下、
イケメン「君に迷惑をかけたのは、俺の双子の兄の方だ」
イケメン「名前もベテラン、という名前でな」
狩人「はあ!?……偽名まで使っていたなんて」
狩人「ギルドにバレたらタダじゃ済まないのに……」
イケメン「俺も迷惑している」
イケメン「おそらく、クエの受注は君にさせたのだろう?」
イケメン「ギルドは受注者以外の素性は余り確かめない」
イケメン「そこを上手く突いているんだよ」
狩人「……ギルドは黙認しているんですか?」
イケメン「ある意味な」
539: 以下、
イケメン「もっとも被害者が初心者ばかりで、極端に訴える者がいない」
イケメン「内容も少し気をつければ住む事だし、被害金額も少なく」
イケメン「告発自体を恥ずかしいと考えて、泣き寝入りする者がほとんどだ」
イケメン「君もその口か?」
狩人「…………」
イケメン「……やれやれだな」
狩人「よ、余計なお世話だ!」///
狩人「あんたも身内なら、もっと注意してやれよ!」
イケメン「兄は俺の言う事なんて聞きゃしないよ」
イケメン「まったく……兄のしでかした事で何度、嫌な目に合わされた事か……」
イケメン「……というか、なぜ、兄の話になったんだ?」
狩人「あんたが俺に声をかけてきたんじゃないか」
狩人「なんか、ゲン担ぎがどうとか……」
イケメン「あー……そうだったな」
540: 以下、
イケメン「さっきの……お前の髪の毛を欲しがったのは」
イケメン「下位ハンターがG級モンスターを打ち破ったと聞いて」
イケメン「それにあやかりたいんだよ」
狩人「……なるほど」
イケメン「G級に上がるには努力はもちろんだが……」
イケメン「運の要素も強い」
イケメン「幸運を手にした者の一部は、効果がありそうだからな」
狩人(聞いていると切なくなる話だ……)
イケメン「まあその分、クエを手伝ってもらえたんだ」
イケメン「よしとしておくんだな……じゃ」
狩人「…………」
541: 以下、
―――――――――――
狩人の家
狩人「……ただいま」
板前アイルー「おう! けえってきたかニャ、旦那!」
板前アイルー「お疲れ様だニャ!」
狩人「おう……」
板前アイルー「……なんか元気ねぇけど、どうかしたかニャ?」
狩人「いや、何でもない」
狩人「今日はさっぱりしたもの……刺身とかいいかな」
板前アイルー「ガッテンだニャ!」
狩人「金はまだあるか?」
板前アイルー「問題ないニャ!」
542: 以下、
  ドサッ…
狩人「ふう……」
狩人(…………)
狩人(……待てよ?)
狩人(俺でこれなら……少女の奴はもっとすごいんだろうな)
狩人(何もなくたって、彼女の髪の毛ならお守りになりそうだし)
狩人(欲しがる男は多そうだなぁ……)
狩人(…………)
狩人(俺ももらおうかな)
狩人(……まてまて、何かそれはダメすぎな気がする)
543: 以下、
―――――――――――
翌日の朝
ふもと村 集会所
  ガヤ ガヤ
少女「おはよう、狩人」
狩人「ああ、おはよう少女」
少女「見事にガノトトス倒したんだってね」
少女「おめでとう」
狩人「……倒したっていうか」
狩人「むしろ倒してもらったって言う方が正しいと思う」
少女「……たくさんの女の子に囲まれて良かったわね」 フンッ
狩人「俺の髪の毛目当てだったんだよ」
少女「髪の毛?」
544: 以下、
少女「なるほど……ゲン担ぎね」
狩人「少女も野郎ハンターからクレクレ言われているんじゃないのか?」
少女「全くないけど……」
狩人「え? そうなの?」
少女「うん」
狩人「へー……ちょっと意外だな」
狩人「俺なんかより、よっぽど御利益ありそうなのに」
少女「…………」
少女「……欲しい?」
狩人「ん?」
少女「私の髪の毛」
545: 以下、
狩人「……考えはしたけど」
狩人「なんか、いろいろダメな気がするから……」
少女「……そう」
狩人「それよりHRも同じになったし」
狩人「何か狩りに行かないか?」
少女「それもそうね」
少女「じゃあ……レイアはどう?」
狩人「ああ、ちょうどいいかも」
狩人「話には聞いていたし、ランクが上がったらやってみたかったんだ」
少女「なら問題ないわね」
少女「火炎攻撃は離れてても飛んできて厄介だから、よく見て覚えて」
狩人「わかった」
546: 以下、
―――――――――――
砂漠のとあるエリア
ロートル「はあ!」
  ズバズバズバッ!
ロートル「ふう……ドスゲネポスを狩るのも飽きてきたな」
ソロ「そう言うな、ロートル」
ソロ「これも目的のためだ」
ロートル「……わかっているさ」
ロートル「…………」
547: 以下、
―――――――――――
砂漠村 集会所
ロートル「ふう……」
????「よう。 クエは順調か?」
ソロ「む……?」
????「おっと、こいつは失礼」
????「俺はイ……ベテラン、という名前のハンターだ」
ベテラン「よろしく」
ロートル「よろしく。 ロートルだ」
ソロ「よろしく。 ソロだ」
ベテラン「少し話をしたいんだが、構わないか?」
ベテラン「挨拶がわりに一杯おごろう」
548: 以下、
  コト…
ロートル「……で? 話とは?」
ベテラン「まあまあ。 その前に少し聞きたいんだが」
ベテラン「おたくら、何を狩りに来たんだ?」
ベテラン「今の時期、砂漠なら上位クラスのガノトトスってトコなのに」
ベテラン「ここ数日ドスゲネポスしか狩っていないな?」
ロートル「……片手剣の素材を集めているだけだ」
ソロ「ついでにダイミョウザザミも狩っている」
ベテラン「なるほど。 もっともらしい理由だ」
ベテラン「だが……」
ベテラン「俺はふと、ある事に気がついた」
549: 以下、
ロートル「…………」
ソロ「…………」
ベテラン「最初の疑問は武器と防具の属性だ」
ベテラン「ドスゲネポスを狩るのに水属性で火炎耐性の防具」
ベテラン「おまけにかなりの鎧玉をつぎ込んだ重装備……」
ベテラン「どう考えてもドスゲネポス相手とは思えねぇ」
ロートル「……他に防具を持っていないだけだ」
ロートル「どんなモンスター相手でもこれを使っている」
ロートル「武器は使い慣れているから、としか言い様がないな」
ベテラン「……ま、そういう言い訳は、ごもっともだな」
ベテラン「が、ここからは俺の推測だ」
ベテラン「おたくらはドスゲネポスを目的にしているんじゃないと仮定した場合」
ベテラン「ひとつだけ思いつく共通点が見えてきた」
550: 以下、
ロートル「…………」
ソロ「…………」
ベテラン「おたくらはドスゲネポス……いや、クエのモンスターが目的なんじゃない」
ベテラン「砂漠の『あるエリア』のクエを受注しまくっているんだ」
ロートル「…………」
ソロ「…………」
ベテラン「水属性で火炎耐性の防具……」
ベテラン「まるで火山のモンスターを狩りに行く装備だ」
ベテラン「何が目的なんだ?」
ベテラン「今の時期の砂漠には似つかわしくないぜ?」
ロートル「……そう言われてもな」
551: 以下、
ロートル「ベテラン……とか言ったな」
ロートル「君の言う通り、怪しく見えても」
ロートル「俺たちはドスゲネポスを狩りに来ただけ……それだけだ」
ベテラン「…………」
ベテラン「やれやれ……どうやら警戒されているみたいだな」
ベテラン「じゃ、今日はここまでにしておく」
  ガタタ…
ベテラン「機会があったら、俺も『ドスゲネポス狩り』に参加させてくれ」
ベテラン「ぜひな」
ロートル「まあ考えておくさ」
ベテラン「期待してるぜ……ふふふ」
  スタ スタ スタ…
ロートル「…………」
552: 以下、
ソロ「……ガブラス野郎め」
ロートル「油断も隙もないな……」
ロートル「だが……確かに人数は欲しいところだ」
ソロ「気持ちは分かる」
ソロ「しかし、俺たちは何度も裏切られてきたからな」
ロートル「ああ……」
ロートル「何度もな……」
ソロ「…………」
ロートル(古龍殺し(エルダーキラー)を狙っている事を感づかれてはダメだ)
ロートル(G級を目指すハンターならば、この情報は喉から手が出るほど欲しいモノ……)
ロートル(絶対に他のハンターに気取られてはいけない)
ロートル(信頼して出し抜かれた事は一度や二度では無いからな)
553: 以下、
ロートル(だが……時間が経てば経つほど)
ロートル(あのベテランとかいうハンターの様にカンのいい奴が出てくる)
ロートル(早く出現しろ……テオ・テスカトル)
ロートル(…………)
ロートル(狩人達が同じ上位ハンターならな……)
ロートル(信頼もできるし、修行という名目もできて怪しまれずに済むのに)
ロートル(…………)
ロートル(ふ……いかんな)
ロートル(まだまだヒヨっ子のあいつらを頼ろうとするなんて)
ロートル(ましてやロクな装備もなしで古龍殺し(エルダーキラー)に付き合わせるとか)
ロートル(何を考えているんだ……俺は)
554: 以下、
―――――――――――
森丘
  ギャオオオオオオオオッ!!
狩人「くっ……!」
狩人(こんな所まで咆哮の影響が来るのかよ!)
  ダンッ! ダンッ! ダンッ!
少女「怒ったわ!」
少女「ここからが正念場よ!」
狩人「わかった!」
555: 以下、
狩人(これがリオレイア……!)
狩人(火炎攻撃は厄介だし、目が退化しているフルフルと違って)
狩人(狙いもバッチリで隙が少ない!)
狩人(だが……!)
  ブウウンッ!
狩人(テールアタック!) 回避!
狩人「でやあああああああっ!」
  ドガァッ!!
  ギャオオオオオ……
狩人(基本的な動きや動作はフルフルとほぼ同じだ!)
狩人(懐に入ってしまえば……)
556: 以下、
  ザクッ!!
狩人(こっちのモノだ!)
狩人「はあああああああああっ!」
  グルルル……(後ずさり)
少女「!」
少女「ダメ! 狩人! 下がって!」
狩人「へ?」
  ギャアアッ!(サ○ーソルト)
狩人「あべばっ!?」
557: 以下、
―――――――――――
BC(ベースキャンプ)
狩人「」
狩人「はっ!?」
救助アイルー「気がついたかニャ?」
狩人「…………」
狩人「……また1乙か」 ハア…
救助アイルー「毎回思うけど」
救助アイルー「あんたは本当に頑丈だニャ」
狩人「……ヤられてたら意味がないよ」
558: 以下、
救助アイルー「何言ってるニャ」
救助アイルー「レイアの宙返りテールアタックをまともに食らって」
救助アイルー「その程度で済んでるなんて、フツーありえないニャ」
狩人「……褒めても何も出ないぞ?」
救助アイルー「下位のレイアとはいえ」
救助アイルー「あいつの最大最強の攻撃方法だニャ」
救助アイルー「フツーの下位ハンターなら良くて一日中気絶」
救助アイルー「悪ければ体中の骨が砕けて再起不能ニャ」
狩人「……ウソだよな?」
救助アイルー「大真面目な話だニャ」
559: 以下、
  タッ タッ タッ
少女「狩人!」
狩人「え? 少女?」
少女「だ、大丈夫!?」
少女「私が分かる!?」
狩人「も、もちろん分かるし、大丈夫だよ」
少女「…………」
少女「は――っ……」 ヘナヘナヘナ…
救助アイルー「……とまあ」
救助アイルー「このくらいの心配される攻撃力なのは間違いないニャ」
狩人「…………」
少女「で? 狩人は大丈夫なの?」
救助アイルー「助けたこっちが驚いてるくらい元気だニャ」
560: 以下、
少女「そう……良かった」
救助アイルー「じゃ、俺はもう行くニャ」
  タッ タッ タッ…
狩人「…………」
少女「…………」
狩人「……なんか、ごめん」
少女「ううん、狩人が無事なら……」
少女「…………」
狩人「少女?」
少女「ねえ、狩人」
少女「あなた……モンスターの書物、読んでいないの?」
561: 以下、
狩人「!!」
狩人「あ……あ〜……その……」
少女「…………」
狩人「……すまん」
少女「……私に謝る事じゃないわ」
少女「ねえ、狩人」
少女「モンスターの書物は、判明している事柄すべてを載せている」
少女「貴重な情報源よ」
少女「弱点部位、弱点属性、罠の効きやすさ、行動や習性、食性すらも書いてある」
少女「初めてのモンスターに挑むのなら、最低限、読んでおかないといけないものなのよ」
少女「ハンターとして」
狩人「…………」
562: 以下、
少女「今日はこの程度で済んだけど」
少女「明日は分からない」
少女「あなた自身の身の安全の為に、一度は目を通しておいて?」
少女「せめて、今日狩るモンスターの部分だけでもいいから」
狩人「そ、そうだな……うん」
狩人「分かったよ……」
少女「……本当に?」
少女「本当に分かってるの?」
狩人「分かってるよ」
狩人「ちゃんと読むよ……モンスターの書物」
少女「…………」
563: 以下、
少女「なら、いいわ」
少女「とりあえず今回は、私が一通り教えるから」
狩人「ああ、頼む」
少女「そうね……まず攻撃方法だけど」
少女「狩人が受けた宙返りテールアタックと、もう一つ要注意な攻撃があるわ」
狩人「うん」
少女「これは通常の火炎攻撃と動作がほぼ同じだから見分けがつきにくいけど」
少女「怒った時にやると思えばいいと思う」
少女「普通は単発だけど、三連続で、しかも左右に角度をつけて撃ってくるわ」
狩人「三連続か……角度ってどれくらいだ?」
少女「それほどないと思うけど、一度見れば分かると思うわ」
狩人「ふむふむ」
少女「それから……」
564: 以下、
  少女の説明は分かりやすく、的確で
  その後のレイアの狩りは問題無く終了した。
  …………
  だけど……
  このままでいい事はない。
  いい加減に言っておかなければ……
565: 以下、
  下手をすれば、彼女にも迷惑をかけてしまう。
  いや……少女だけじゃない。きっと他のハンターにだって……
  …………
  もしかしたら彼女に……俺は軽蔑されるかもしれない。
566: 以下、
―――――――――――
夕方
ふもと村 集会所
少女「報酬は受け取った?」
狩人「ああ」
少女「そう」
狩人「……俺の1乙で少なくなってしまったな。 ごめん」
少女「いいよ、このくらいで謝らなくても……」
少女「それよりもモンスターの書物、ちゃんと読むのよ?」
狩人「……あ、ああ」
少女「それじゃ、また明日」
狩人「…………」
567: 以下、
広場
  タッ タッ タッ
狩人「少女!」
少女「え? 狩人?」
少女「どうしたの?」
狩人「…………」
狩人「……実は」
狩人「話したい事があるんだ」
少女「え? ……うん、何?」
568: 以下、
狩人「ここじゃちょっと……」
狩人「そうだな……少女の家に行ってもいいか?」
少女「……いいけど」
少女「いったい何のはn」
少女「!」
少女(……も)
少女(もしかして……もしかしたら)///
少女(もしかする……かも!?)///
少女「…………」///
少女「……大事な話……なの?」///
狩人「ああ……俺にとっても少女にとっても」
少女(わ、私にとっても!?)///
569: 以下、
狩人「とにかく、二人だけで話がしたいんだ」
狩人「頼む、少女」
少女「う、うん……分かった」///
少女「で、でも! ちょっと時間をちょうだい」///
狩人「え? 時間?」
少女「家……少し散らかってるから、片付けたいのよ」///
狩人「い、いや、俺は気にしな」
少女「私が気にするの!」///
少女「とにかく……そうね」
少女「一時間くらいしたら来て」
狩人「……分かった」
570: 以下、
少女(…………)
少女(大事な話……)
少女(狩人と私にとって……)
少女(おまけに二人きりでって……)
少女(…………)
少女(……こ、これは)///
少女(間違いない……よね?)///
少女(そんなに経験ないけど……)
少女(両思いになれる……のよね?)///
少女(〜〜〜〜〜っ!!)///
571: 以下、
―――――――――――
一時間後
少女の家
  コン コン
狩人「少女、俺だ。 狩人だ」
  キィ…
少女「い、いらっしゃい……」///
狩人「…………」
狩人(……着替えたかったのは分かるけど)
狩人(この前並に気合の入った格好だな……)
狩人「……何か、気を使わせたみたいだな」
少女「う、ううん、そんな事ないよ!?」///
少女「そ、そういう気分ってだけだからっ」///
572: 以下、
狩人「えと……入っていいか?」
少女「!」
少女「あ、う、うん。 どうぞ、入って」
狩人「お邪魔します」
  パタン
―――――――――――
少女「…………」///
狩人「…………」
少女「……え、えと……お茶でも出すね」///
狩人「あ、いや……そんなに気を使わないでくれ」
狩人「これから話す事は、そんなにいい話じゃないし……」
573: 以下、
少女「……え?」
狩人「…………」
狩人「……実はな、少女」
少女「う、うん」///
狩人「俺……前からずっと言わなきゃ、って思ってた事がある」
少女「そ、そう……」///
狩人「出だしで躓(つまず)いて、集会所に出入りしにくくなったから」
狩人「必要ない様に感じていたけど……」
狩人「今日みたいな事が起きて、やっぱり言わないといけないって痛感した」
少女(……ん?)
狩人「今まで黙っていてごめん、少女」
狩人「実は……俺……」
少女「…………」
574: 以下、
狩人「字が……読めないんだ」
579: 以下、
少女「…………」
少女「……え?」
少女「字が……読めない?」
狩人「……ああ」
少女「……ちょっと待って」
少女「そんな訳ないでしょう?」
少女「だったらハンター試験はどうなるの?」
少女「筆記試験もあったじゃない」
狩人「あれは答えが選択式の試験だし……」
狩人「他のハンター受験者の話を聞いて一番右を選んで書いておけば」
狩人「とりあえず合格点には届くって知ってたから」
少女「……名前はどうしたの?」
狩人「孤児院に居た時、それだけは教えてもらって書ける様になったんだ」
580: 以下、
少女「…………」
少女「……そうだったの」
少女(そうだ……狩人は……)
少女(孤児院出身者だった)
少女(一応学校はあるけど……辺境、それも特に猟区に近い村なんかは)
少女(そういった施設が無い事が多いって聞く)
少女(さらに国や地域で修学制度も違うし、彼のようなハンターが居てもおかしくない)
少女(…………)
少女(これは……ハンターの需要と供給のバランスで)
少女(ある程度、黙認されている事なのかも知れない)
少女(私だって……ハンター試験の問題をお金で解決した)
少女(…………)
581: 以下、
狩人「…………」
狩人「この前の……G級ティガ襲来で」
狩人「少女にメモを渡された時、焦ったよ」
少女「!」
狩人「ティガがどんなものか、だいたい知っているって程度だったし」
狩人「とにかく、あの時はティガというモンスターに対して備えるって事しか」
狩人「俺には出来なかった」
少女「…………」
少女「……結果的には、それで助かった側面もあるわね」
少女「私のメモ、持っていけたら罠を……としか書いてなかった」
582: 以下、
狩人「そうだったのか」
狩人「ロートルさんの言う通り、本当にツイてたんだな……俺たち」
少女「…………」
狩人「…………」
少女「……あ」
狩人「ん?」
少女(字が読めない……という事は)
少女(調合書も読めない、という事)
少女「……まさか」
少女「狩人、もしかして今まで……」
少女「秘薬とか強走薬とか……飲んでない……の?」
583: 以下、
狩人「……それがどういう飲み物なのかも知らないよ」
少女「」
狩人「…………」
少女「…………」
少女「……狩人がどうしてよく3乙するのか」
少女「今、やっと分かったわ」
狩人「…………」
少女「クエの受注はどうしてたの?」
狩人「受注書類には場所と仕事内容(狩猟や捕獲が色分けされている)」
狩人「それに討伐モンスターの絵が書いてある。 あれで判別していたんだ」
狩人「それに受付嬢さんに『ガノトトスのクエある?』とか聞けば出してくれるし」
少女「……なるほど。 確かにあったわね」
少女(やっぱりギルドは……ある程度の黙認をしているんだわ)
584: 以下、
少女「……ともかく」
少女「読み書きができないっていうのは結構な問題ね」
狩人「…………」
少女「事情はわかった」
少女「狩人、早めに打ち明けてくれてよかったわ」
狩人「……え?」
狩人「怒らないのか?」
少女「どうして私が怒らないといけないのよ?」
狩人「いろいろ迷惑かけたし……」
少女「…………」
少女「……そうね」
少女「でも、気に病む必要はないと思う」
585: 以下、
狩人「……そうか?」
少女「ギリギリだったけど、まだ取り返しがつく段階だし」
少女「反省が出来るのなら、これから何とかすればいいのよ」
狩人「少女……」
少女「でも」
少女「これは……そうねぇ」
少女「女さんに相談してみるべきだと思う」
狩人「女に?」
少女「狩人、確か……数字は分かってたわよね?」
狩人「ああ、足し算と引き算はできるし、数字や単位はある程度分かる」
狩人「孤児院で数字がわからないと、大変だからな」
少女「何が大変なの?」
586: 以下、
狩人「主に買い物で必要だった」
狩人「買い出しで金額とか間違えたら、ものすごく怒られたし……」
少女(子供を働かせる孤児院だったのかしら……)
少女「……なるほど」
少女「となると……」
少女「やっぱり彼女にお願いするのが一番だと思う」
少女「読み書きはすぐに出来るものじゃないし、私はハンターとしての仕事もある」
少女「その点、女さんなら仕入れはあるけど割と村に居るし」
少女「識字に関する資料を集められる情報も持っていると思うわ」
狩人「……よくわからないけど」
狩人「女が適任、って言いたいんだな?」
少女「ええ」
587: 以下、
少女「もちろん私も手伝うわ」
少女「でも、しばらく狩人は、狩りを休む必要があると思う」
狩人「……そっか」
狩人「せっかくランク上がったばかりなのにな」
少女「毎日休む必要はないわよ」
少女「例えば3日勉強して1日狩りをして1日休む」
少女「こんな風にすればいいのよ」
狩人「なるほど。 少女は頭がいいな」
少女「この程度……ううん、とにかく今はG級ティガの報酬で余裕もあるし」
少女「いい機会だと思ってやればいいと思う」
狩人「そう……か。 そうだな」
狩人「じゃ、明日さっそく女に相談してみるよ」
588: 以下、
少女「うん、それがいいと思うわ」
狩人「ありがとう、少女」
狩人「俺、少女に打ち明けて良かった」
少女「ふふ、どういたしまして」
狩人「それじゃ、帰るよ」
少女「ええ、またね、狩人」
  パタン…
少女「…………」
少女「……字が読めない、か」
589: 以下、
少女(…………)
少女(でもそれは、多少時間がかかっても何とかできる事柄)
少女(だけど……秘薬もなしで今まで戦ってこれたなんて)
少女(とてつもない身体能力……)
少女(…………)
少女(……いくら努力したって、私は絶対に得る事ができない才能だわ)
少女(…………)
少女(羨ましい……)
590: 以下、
―――――――――――
翌日の朝
ストア裏 女の家
女「」
女「字が読めない!?」
狩人「ええ……」
女「あきれた……でも結構難しい言葉を知ってるのに」
女「!」
女「ちょっと待って……字が読めないって事は」
女「秘薬とか鬼人薬とか作れないだろうから、飲んだ事が無いって事!?」
591: 以下、
狩人「そうです」
女「」
狩人「少女にも同じように驚かれた」
女「……狩人がよく3乙する理由が分かった」
狩人「それも少女に言われたよ」
女「…………」
女「あんたって……ううん、何でもない」
狩人「?」
女(秘薬なしで、今まで3乙しながらも狩りを続けてこれたって事は)
女(もしかしたら狩人は……とんでもない才能を持っているのかも……)
女「とにかく、要件はわかったわ」
女「私もお店があるから毎日は無理だけど……協力するわ」
592: 以下、
狩人「ありがとう、女」
女「となると……教材がいるわね」
女「まあ、何とかなるか」
女「とりあえず今夜、狩人の家に行くわ」
狩人「ああ、分かった」
狩人「しばらくは雪山での採取クエをやる事にする」
女「そうね。 それがいいと思う」
女「それじゃ、今夜」
狩人「ああ」
女「…………」
女(……う〜ん)
593: 以下、
―――――――――――
その日の夜
狩人の家
女「とりあえず目標を決めてかかるわ」
狩人「目標?」
女「そう、目標!」
狩人「具体的には?」
女「まずはこの本を読める様になろう」つ(絵本)
狩人「わかった」
狩人「……けど、なんか子供っぽい表紙の本だな」
女「でも、読めないんでしょ?」
狩人「……はい」
594: 以下、
女「それじゃ最初に基本的な事から始めないとね」
女「読み書きって、文字通り『読んで』『書かない』と覚えられないのよ」
狩人「はい」
女「そこでまずは……『こんにちは』とか『さようなら』とか」
女「そういうのを何度も書いて覚えてね」
狩人「何度も、か……」
女「うんうん、気が滅入るよね」
女「でも私たちは、そういう教育を受けて、字が読めるし書ける様になったのよ」
狩人「教育……」
女「そうよ」
女「さ、英雄への道も一歩から」
女「書いて書いて、書きまくって覚えるの!」
狩人「は〜い……」 ←若干涙目
595: 以下、
  こうして、文字を読める様になる勉強が始まった。
  お手本を見て、お盆位の大きさの黒板に
  チョークで繰り返し、繰り返し
  『こんにちは』を書いていった……
  正直面倒くさいことこの上ないが
  文字が読めれば、最初のホットドリンクだって
  どういう効果なのかラベルを読んで理解できたんだ。
596: 以下、
  そう思いつつも……
  やっぱり面倒くさかった。 ううっ……
597: 以下、
―――――――――――
数日後の午前中
砂漠村 集会所
ベテラン「よお、お二人さん」
ソロ「…………」
ロートル「……またあんたか」
ベテラン「まあまあ。 そう言わずに俺も参加させてくれ」
ベテラン「ドスゲネポス狩りに」
ロートル「…………」
ロートル「わかった」
ソロ「……おい、ロートル」
ロートル「いいんだ、ソロ」
ベテラン「へへっ、ありがとうよ」
598: 以下、
ソロ(……本当にいいのか、ロートル)
ロートル(どこまで気がついているのか知らんが)
ロートル(装備は俺たちの属性をしっかりと真似してきている)
ロートル(HRも6だ)
ロートル(足でまといにはならんだろう)
ソロ(…………)
ロートル(それにここで断ったら返って怪しまれる)
ロートル(一度つき合わせて、ドスゲネポス狙いだと思わせておけばいい)
ソロ(…………)
599: 以下、
ロートル(古龍が出たら出たで構わないだろう)
ロートル(運がよければ、みんな揃ってG級になれる)
ロートル(古龍殺し(エルダーキラー)は、人手があればありがたいからな)
ソロ(…………)
ソロ(背に腹は代えられない、か……)
ソロ(分かった、ロートル)
ロートル(よし)
ロートル「よろしくな、ベテラン」
ソロ「よろしく」
ベテラン「ああ、よろしく!」
600: 以下、
※注 それぞれの装備
ロートル(HR 6)
武器:双剣(ギルドナイトセーバー)
防具:レウスS装備一式
ソロ(HR 6)
武器:大剣(蒼刃剣ガノトトス)
防具:レイアS装備一式
ベテラン(HR 6)
武器:ランス(アクアンスピア)
防具:クック(亜種)U装備一式
601: 以下、
―――――――――――
砂漠のとあるエリア
  ザッ ザッ ザッ…
ロートル「…………」
ソロ「…………」
ベテラン「…………」
ベテラン「……まあ信用されてないのは分かるが」
ベテラン「もう少し口数があってもいいんじゃないのか?」
ロートル「……そんなんじゃない」
ロートル「ソロ……気づいているか?」
ソロ「ああ。 様子がいつもと違うな」
ベテラン「様子?」
602: 以下、
ロートル「いつもならゲネポスの群れがここに居るんだが……」
ロートル「見当たらないな」
ベテラン「へえ?」
ベテラン「だが、ツガイだったら群れのない時もあるぜ?」
ソロ「……確かにな」
ベテラン「ここんとこ、おたくらがドスゲネポス狩りまくったせいで」
ベテラン「単純に居なくなったんじゃねーの?」
ロートル「かもしれん」
ベテラン「へっ……」
ベテラン「にしちゃあ……嬉しそうだな、あんたら」
ベテラン「いよいよお目当てのモンスターが……ってとこか」
603: 以下、
ロートル「…………」
ソロ「…………」
ベテラン「……そろそろ何を相手にするのか」
ベテラン「教えてくれないか?」
ロートル「見ればわかるさ」
ロートル「嫌でもな」
ベテラン「ふん……」
ベテラン(どうやら、ただならぬ相手みたいだな)
ベテラン(火炎耐性の防具に水属性の武器……)
ベテラン(普通ならグラビモス、ってところだが)
ベテラン(砂漠にグラビモスが出たなんて聞いたこともねぇ)
ベテラン(いったい何を狙ってんだ……?)
604: 以下、
  ゴガアアアアアアア……
ロートル「!」
ソロ「!」
ベテラン「……!?」
ロートル(ついに……)
ロートル(ついに来たか!)
ロートル「クーラードリンクを飲み直せ!」
ロートル「ベテラン、これから長丁場になる。 覚悟しておけ」
ベテラン「あ、ああ……」
605: 以下、
ベテラン(何だ……? 今の鳴き声)
ベテラン(正直、聞いた事もない鳴き声だったぞ)
ベテラン(…………)
ベテラン(火炎耐性……水属性の武器……)
ベテラン(知らない鳴き声……)
ベテラン(そして……こいつらの秘密めいた行動……)
ベテラン(…………)
ベテラン(っ!!)
ベテラン「ま……まさか!?」
ロートル「気がついたか? ベテラン」
ベテラン「……正気か、お前ら。 俺がいなかったら二人で……」
ベテラン「いやそれよりも、どうやって古龍の情報を……」
ロートル「そんな話は、終わってからいくらでも話してやるさ」 クスッ
606: 以下、
  鳴き声の主は
  この目の前の砂丘を越えれば見えるだろう。
  G級ティガをも圧倒する古龍……
  それを上位装備で倒そうというのだから、並大抵の実力では
  敵う事なく終わることも珍しくない。
  だが――
  それでも、自身がG級ハンターになる為にはやるしかないのだ。
  衰えが見え始めた自分が手に出来るチャンスは……もう少ないのだから。
607: 以下、
  これで死んだら
  狩人や少女はどう思うだろうか……
  先輩らしい事を多少した程度だし
  それほど悲しみはしないだろうな。
  そんな事を少し考え、ロートルは迷いを払うかの様に首を振る。
  そして、おもむろに背中に携えた愛用の双剣を引き抜き、構えると
  気合と抑揚を込めて、口を開く。
608: 以下、
ロートル「さあ、狩りの時間だ!!」
609: 以下、
※補足説明
識字率について尋ねられた人が居ますが
具体的に何%かは決めていません。
モンハン世界では銃器(ボウガン)などの武器もありますし
作り手側の竜人族の識字率は高いものと推測できますが
ハンターの識字率及び、教養は低いのではないかと思います。
ゲームをやっていて特に気にした事はなかったんですが
2年くらい前に甥っ子(当事4歳)とモンハン4をしばらくやっていて
「クック行くー」と言って自分でクエを受注して、ものすごく驚きました。
どうやったのか聞いたら、クックの絵で判断していたので
他のモンスターの絵はわかっているのか尋ねてみると、ほぼ正解。
ここから今回のエピソードを思いつきました。
610: 以下、
このSSの狩人がやらかしている失敗は、ほとんど>>1の失敗なんですが
私の場合は初心者で秘薬なんかの存在を『知らなかった』んです(汗)
友人に聞いて「え!? そんなのあるの!?」状態……
>>1がそれに気がついたのはシェンガオレンに対峙した後で
友人も驚いていましたw
最後に、ゲームではキークエを受注したハンターのみですが
このスレでは古龍殺し(エルダーキラー)のみならず
クエに参加した条件を満たしたハンターは
ランクアップ対象モンス討伐に成功すれば、全員めでたくランクアップします。
615: 以下、
これ見てるとモンハンやりたくなってくる
622: 以下、
―――――――――――
狩人の家
狩人「こうして おひめさまは」
狩人「わるいりゅうを たおして かえってきた はんたーと」
狩人「すえながく く……ろ? くろしまし……」
女「く『ら』しました」
狩人「……くらしましたとさ」
狩人「めでたし めでたし」
狩人「ふう……」
623: 以下、
女「うん。 こんなに短い間に随分読めるようになったわね?」
狩人「ははは……」
狩人「いや、字って分かる様になったら結構おもしろくてさ」
狩人「今まで単なる……うーんと……記号?みたいに思ってたモノが」
狩人「ああ、そういう意味か、って分かって……何て言うか」
狩人「そう! 世界が違って見える感じなんだ」
女「ふふ、そっか」
狩人「…………」
女「狩人?」
狩人「ん? あ、いや。 ちょっと気になった事があって」
女「何が気になったの?」
624: 以下、
狩人「この絵本ではさ」
狩人「主人公のハンターは、一人で討伐に行ってるけど……」
狩人「俺たち現実のハンターだって最大4人までしか参加できない」
狩人「もっと大勢でやれば、楽にモンスターを狩れるのにな……と思って」
女「ああ、そういう事」
狩人「何か知ってるのか?」
女「少しヤな話もあるんだけど……表向きはね」
女「救助するネコタクアイルーの確保が厳しいってのがあるわ」
女「例えばハンターひとりにだいたい3〜4人のアイルーが付くけど」
女「10人のハンターでそれをやると、凄い人数のアイルーが必要になる」
狩人「ハンターひとりひとりに付けていたのか……」
狩人「あれって一つのクエに3〜4人だと思ってた」
625: 以下、
女「最初はそうだったのかもね」 クスッ
女「でもそれだとハンターが複数で一人が乙した場合」
女「残されたハンターの安全が確保しにくくなるわ」
狩人「なるほど……確かに」
女「もう一つは同士打ちを防ぐ、という目的があるわ」
女「ラオシャンロンみたいな巨大モンスターならともかく」
女「ドスギアノス程度で10人一斉に斬りかかったらどうなると思う?」
狩人「うわぁ……想像したくない」
女「ふふ、そうよね」
女「とまあ、ここまでが表向きの理由」
狩人「裏の理由があるのか」
626: 以下、
女「もちろん」
女「ある意味、至極真っ当で、情けない理由……」
狩人「?」
女「分配される報酬が少なくなるからよ」
狩人「……あ〜」
狩人「でも、一番納得もできる理由だなぁ……」
女「ホントね」 クスッ…
狩人「それじゃ、話を戻すけど」
狩人「次はどうしたらいい?」
女「そうねぇ……基本的には同じなんだけど」
女「絵本をこれだけ読めるのなら、もう少し難しいの行ってもいいかもしれないわね」
狩人「調合書とかは まだ無理か?」
女「う〜ん……じゃあ一度、1ページだけ試してみましょうか?」
狩人「調合書、持ってくるよ」
627: 以下、
女「そういえば、狩人は回復薬を調合できたっけ」
女「どうやって覚えたの?」
狩人「ハンター講義の時、これだけは最低限覚えておけって」
狩人「目の前で実演してくれたから覚えたんだ」
女「なるほど」
女(……見たり聞いたりした事なら出来るんだ)
女(それにしても今まで回復薬のみで戦って来たなんて)
女(よく生き残れたものね……)
女「それじゃ1ページだけ、読めないところや単語を指差してくれる?」
女「私が読むから」
狩人「ああ、頼むよ」
628: 以下、
―――――――――――
女「……って読むのよ」
狩人「ふむふむ……」
女「意味は分かる?」
狩人「ああ、大丈夫だ」
女「うんうん」
女「狩人って、頭良いね」
狩人「え? そ、そうかな……」
女「今までは知らなかったってだけだから」 クスッ
女「物覚えは早いし、言葉の意味はしっかり把握してる」
女「頭良い証拠よ」
狩人「ははは……何か照れるな」///
629: 以下、
女「じゃあ、今日はここまでにしとくね」
女「私、これから仕入れに行かないといけないから2〜3日はお休みよ」
狩人「そうか……いつも悪いな」
狩人「そうだ、昼飯くらいは奢らせてくれ」
女「んーそうね。 ご馳走になろうかな♪」
狩人「よし。 おーい、板前アイルー」
女「あら? キッチンアイルー雇ったんだ? いつの間に?」
狩人「うん。 ついこの前」
  タッ タッ タッ
板前アイルー「あいよー! 旦那、お呼びかニャ?」
狩人「昼飯、俺と女の分、作ってくれないか?」
狩人「おっと……くれぐれも冒険はするなよ?」
630: 以下、
板前アイルー「ニャハハ……旦那、わかってるニャ!」
板前アイルー「メニューは何にするニャ?」
狩人「俺は肉料理」
狩人「女は何がいい?」
女「うーん……そうねぇ」
女「焼き魚定食……みたいなのできる?」
板前アイルー「お任せあれニャ!」
狩人「じゃ、これ材料費……100z(ゼニー)くらいで足りるか?」
板前アイルー「お釣りがくるニャ!」
板前アイルー「んじゃ、少々お待ちくださいニャ!」
  タッ タッ タッ
女「……ちょっと元気すぎるアイルーね」
631: 以下、
狩人「ははは……まあな」
狩人「でも仕事はきっちりしてくれるし、本当に助かってる」
狩人「一度雇うと、手放せなくなるかも」
女「あーそれ。 ハンターの人からよく聞くわ」
女「給金が高いから一般の人は縁遠いんだけどね」
狩人「毎月1000z(ゼニー)もいるからな……」
女「わっ! そんなにするんだ」
女「私の月給の6分の1くらいだよ、それ」
632: 以下、
狩人「へえ……女って結構いい稼ぎなんだな」
女「えー? そうでもないと思うけど?」
女「部屋の借り賃とか、その他もろもろ引くと、手元に残るのはほんの僅か……しくしく」
狩人「俺がハンターやり始めた頃は、間違いなくそれより低かったよ」
狩人「部屋代は要らないから助かってたけど……」
狩人「そうじゃなかったら、とっくにこの村を追い出されてると思う」
女「3乙ばっかりしてたもんね」 クスッ
狩人「……ヤなこと思い出さないでくれ」 ハア…
  アハハ…
633: 以下、
―――――――――――
砂漠のとあるエリア
ロートル「うおおおおおおおおっ!!」
  ズバッズバッズバッ!
ロートル「ソロ!」
ソロ「おうさ!」
  ブウンッ! ドガァッ!!
  ギュアアアア……
ベテラン「ヒュー! やるねぇ……」
634: 以下、
ベテラン(さすがにテオ・テスカトルを見た時は、腰が抜けそうになったが)
ベテラン(あの二人の動き……おそらく何回かやり合った事があるみたいだな)
ベテラン(初見なら しばらく見とけと言われて、ここから観戦させてもらっているが)
ベテラン(前足の攻撃範囲は広いみたいだし、大きな隙は火を吹いた時くらいか)
ベテラン(それにしてもあの二人、それ以外の少ない隙を突いて……いや)
ベテラン(ロートルが主に隙を作り出して、ソロが強力な一撃を与えている)
ベテラン(……見事な連携だ)
ベテラン(…………)
ベテラン(だが……)
  ゴガアアアアアアアアアッ!!
ベテラン(怒ったみたいだな。 問題はここからだ)
635: 以下、
  ズガッ! ドガッ!
ソロ「ぐっ……!」(防御姿勢) ビリビリビリッ…!
ソロ(ただの前足攻撃なのに、何度受け止めてもキツいなッ……!)
ソロ「ロートル!」
ロートル「おおっ!」
  ズバッズバッズバッ!
ベテラン(うへぇ……今度は役割を変えたのか?)
ベテラン(双剣の乱舞技はスイッチが入っちまったら、止められねぇってのに……)
636: 以下、
  ギュアアアア……
ベテラン(!!)
ベテラン(いいタイミングで怯んだな……運のいいことで)
  ブワワワ…… チリチリチリッ
ベテラン(!? なんだあれ? 何か粉みたいなを撒き散らしている……?)
ソロ「赤! 近距離!」
ロートル「おうっ!」 回避!
  ガチンッ! ボボボボボボボンッ!!
ベテラン「」
ベテラン「んなっ!? 爆発した!?」
637: 以下、
ロートル「はあっはあっはあっ……」
ソロ「ふー……ふー……ふー……」
  グルルル……
ベテラン(こいつはおったまげたぜ……どういう理屈で爆発したのか分からねーが)
ベテラン(粉振りまいたと思ったら爆発した。 知っていないと確実にやられていたな)
ベテラン(しかも近距離って言っていた。 という事は……遠距離もあるって事か?)
ロートル「はあああああああっ!」
  ズバッズバッズバッ!
ロートル(くっ……切れ味が!)
ロートル(もうこんなに刃こぼれしているのか……!)
638: 以下、
ロートル「ソロ! 時間だ!」
ソロ「! 分かった!」
ベテラン(時間?)
ソロ「…………」つ(閃光玉)
  ブンッ… カッ!!
  ギュアアアア……
ロートル「よし! 一度下がるぞ!」
ソロ「ベテラン! そこの洞窟へ入れ!」
ベテラン「ああ、分かったぜ!」
639: 以下、
―――――――――――
砂漠の洞窟
ロートル「はあっはあっ……ふー……」
ソロ「ふう……」
ベテラン「…………」
ベテラン「それにしても見事なもんだな、お二人さん」
ベテラン「聞くまでもないが、テオとやり合った事があるのか?」
ロートル「……ああ。 5年くらい前にな」つ(砥石)
ソロ「…………」つ(砥石)
  シャッ… シャッ…(砥石使用中)
ベテラン「5年も前かよ……」
640: 以下、
ベテラン「にしちゃ、かなり息の合った連携だ」
ベテラン「まるで毎日テオ相手に練習していたかの様だったぞ」
ロートル「……悔しい思いをしたからな」
ロートル「俺もソロも……」
ソロ「…………」
ベテラン「……まあ、その辺りは聞かないでおいておく」
ロートル「どうだ、ベテラン」
ロートル「やれそうか?」
ベテラン「へっ……正直、最初はブルっちまったが」
ベテラン「今はやる気満々だぜ」
ロートル「そうか」
641: 以下、
ベテラン「おっと、再戦の前に一つ聞いておきたい事がある」
ロートル「なんだ?」
ベテラン「お言葉に甘えて、テオの攻撃方法をじっくり見させてもらったが」
ベテラン「あの爆発。 あれはどういう理屈なんだ?」
ベテラン「いや、それはどうでもいいな……」
ベテラン「近距離とか言っていたが、見分け方を教えてくれ」
ロートル「ほう。 よく見ているな」
ロートル「俺も理屈は知らん。 が、赤い粉だと奴の近距離で爆発して」
ロートル「黄色い粉だと遠距離で爆発するんだ」
ベテラン「なるほど……赤で近距離、黄色で遠距離ね」
ベテラン「覚えたぜ」
642: 以下、
ベテラン「んじゃ、行きますか」
ベテラン「俺は二人の邪魔にならないよう、援護に徹するぜ」
ベテラン「もちろんヤバそうなら間に割って入る」
ベテラン「それでいいか?」
ロートル「ああ。 それでいい」
ソロ「…………」
ベテラン「ソロのあんちゃんもそれでいいかい?」
ソロ「……ああ」
ベテラン「へへっ……ま、信用できねーのは分かるが」
ベテラン「もうちょっと愛想よくできないのかねぇ」
ソロ「……この顔は生まれつきなんでな」
ソロ「無駄口はそのくらいでいいだろう」
ソロ「行くぞ」
643: 以下、
  古龍テオ・テスカトル
  外見は赤い表皮に覆われ、龍の羽こそあるが
  肉食獣に近い見た目で鳴き声もそれに準じている。
  大きな特徴として、その頭に冠の様な角があり
  また、近づくだけで衣服に火が付く様な高温の体温であるため
  別名『炎王龍』との異名を取る。
  性格は凶暴で縄張り意識が強く
  火山や砂漠など、暑い地域に生息している。
644: 以下、
  もちろん下位ハンターが手を出していい相手ではない。
  上位でもトップクラスの実力者や
  G級ハンターでないと、生き残る事すら難しい相手なのである。
  もし、テオ・テスカトルを見かけた時
  その実力に達していないと思うのなら
  自分の存在を気づかれる前に逃げる事をお勧めする。
  それは恥ではない。
  テオに限らず古龍相手ならば、生存をかけた逃走であるのだから。
645: 以下、
ロートル「はあっ!」
  ズバッズバッズバッ!!
ロートル(……そろそろか?)
  ゴアアアアアアアッ!!
ロートル「……やっぱり鳴いてきたか」
ロートル「はあっ!」
ベテラン「どぉうりゃあああああっ!!」つ(ランス)
  ザクッ! ザクッ! ザクッ!
ベテラン「よっと」(防御姿勢)
  ドゴォッ!!
ベテラン「ぐっ……くっ!!」 ビリビリビリビリッ!
646: 以下、
ベテラン(ただの前足攻撃なのに、なんてクソ重い一撃だ……!)
ベテラン(まともに食らったら、ヤバイなんてもんじゃねぇぜ!)
ソロ「はあああああああああっ!!」(タメ3)
  ドガァッ!!
  ギュアアアアアアッ……
ロートル「! すっ転んだ!」
ロートル「叩き込め!」
ベテラン「言われなくてもぉぉっ!」(突進)
ソロ「おおおおっ……!」(タメ3)
  ドガガガガガガガッ!!
647: 以下、
―――――――――――
  数時間後
648: 以下、
砂漠の洞窟
ロートル「はあっはあっはあっ……!」
ソロ「ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……」
ベテラン「はあっはあっはあっ……くそっ」
ベテラン「どんだけ……はあっはあっ……タフなんだよ……ひー、ひー……」
ロートル「くっ……覚悟は……していたが……はあっはあっ……」つ(砥石)
ソロ「ぜぇ……ぜぇ……」
ソロ「ちょっと……言っておきたいんだが……ぜぇ」つ(砥石)
ベテラン「なんだ……? 足を引きずっているの……はあっはあっ……」
ベテラン「見かけたとかか……?」つ(砥石)
  シャッ… シャッ…(砥石使用中)
ソロ「生命の粉塵(同じエリアの味方ダメージを回復するアイテム)の残りが後ひとつだけだ……」
ベテラン「ちっ……悪い知らせかよ……」
649: 以下、
ベテラン「俺はあと……二つだな」
ロートル「俺は使い切った……それと、もっと悪い知らせがある」
ベテラン「聞きたくねーなぁ……」
ソロ「……何だ?」
ロートル「グレートはおろか、強走薬も使い切ってしまった」
ベテラン「……くそっ」
ロートル「…………」
ロートル「これからは作戦を変えるぞ」
ベテラン「どうすんだ?」
ロートル「シンプルに自分の事は、自分で何とかする」
ソロ「……仕方ないな」
651: 以下、
ロートル「幸い、ここまで俺たちは1乙もしていない」
ロートル「奇跡はきっと起こせるさ」
ベテラン「……へっ」
ベテラン「そういうの、嫌いじゃねーぜ」 ニヤッ
ロートル「ただし、大きなダメージを負ったら、この洞窟に逃げ込んで回復するんだ」
ロートル「もう閃光玉も効果が薄くなっている」
ロートル「各自の判断で撤退して体制を整えるんだ」
ソロ「……そうだな」
ソロ「それしかないだろう」
ベテラン「ああ、俺もそれでいいと思う」
ロートル「よし」
ロートル「……行くぞ!」
652: 以下、
―――――――――――
夕方
砂漠のとあるエリア
ロートル「でやああっ!!」
  ズバッ! ズバッ!
ベテラン「このっこのっ!!」
ベテラン「いい加減、くたばりやがれ!!」
  ゴガアアアアアアアアアッ!!
ソロ「ぐっ……しまった!」
653: 以下、
  ドゴオッ!!(突進攻撃)
ソロ「ぐあああああああああっ!!」
ロートル「ソロッ!」
ロートル「くそおおおおおおおおっ!!」
  ズバッズバッズバッ!!
ベテラン「! やけになるな! その間合いで乱舞技は……!」
  ズガァッ!!
ロートル「ぐぎゃああああっ!!」
ベテラン「言わんこっちゃねぇ!!」
654: 以下、
ベテラン「うおおおおおおおおおおおおおおっ!」つ(ランス)
  ドドドドドドドドドドドドッ!(突進攻撃)
  ズガガガガガッ!!
ベテラン「今のうちだ! 下がれ!」
ロートル「……すまんっ」
  ギュアアアアアッ!!
  ドガァッ!! ゴギャッ!!
ベテラン「ぐっ……くっ……!!」(防御姿勢)
ベテラン(くそったれっ……!)
655: 以下、
砂漠の洞窟
ロートル「はあっ……はあっ……」
ソロ「ぜえっぜえっぜえっ……」
ロートル「ソロ……大丈夫か……?」
ソロ「……心じゃ……ぜえっ……やる気は、あるんだがな……」
ソロ「くそっ……もう回復薬すら使い切ってしまった……」
ロートル「……そうか。 あとは任せて休んでおけ」
ロートル「俺とベテランで何とかする……はあっはあっ……グビッ」つ(回復薬)
ソロ「……お前も……それ最後じゃないのか……?」
ロートル「……実を言うと……クーラードリンクも使い切っている」
ソロ「はっ……それは一大事だな……」
ロートル「なに……なんて事ないさ……ふふ」
ソロ「ふふふ……」
656: 以下、
ベテラン「うおおおおおおおおおおっ!?」
  ガチンッ! ボボボボボボボボンッ!!
ベテラン「ひー! あ、あぶねえ!」
  ゴガアアアアアアアアアッ!!
ベテラン「くっそお……! 怒りすぎだろーが!!」
ベテラン「このおっ!!」
  ザクッ! ザクッ! ザクッ!
657: 以下、
  ギュアアアアアッ!!
  ドガァッ!! ゴギャッ!!
ベテラン「ひえええええっ!!」 バックステップ回避!
ベテラン「はっ!? し、しまった! 壁際に追い詰められ……」
  グワアッ!!
ベテラン「わわっ!? ちょ、タンマ!!」
  ズバッ!!
  ギュアアアアア……
ベテラン「…………」
ベテラン「……へ? 生きてる?」
658: 以下、
ロートル「大丈夫か!?」
ベテラン「ロートル!」
ベテラン「すまねぇ……助かったぜ」
ロートル「いい。 これで貸し借りなしだ」
ベテラン「ああ、そうだな!」
ベテラン「うおおおおおおおおおおっ!!」つ(ランス)
ロートル「でやあああああああああっ!!」
  ドガガガガガガガガッ!!
  ギュアアアアアッ……
ベテラン「はあっ……はあっ……」
ロートル「はあっ……はあっ……」
659: 以下、
  ズルルッ… ズルルッ…
ベテラン「!」
ロートル「!」
ベテラン「あの野郎、足を引きずってやがるぜ!」
ロートル「ああ! もう一息だ!」
ロートル「もう一息で……」
  バサッ…
ベテラン「あ……」
ロートル「な……!?」
660: 以下、
  バサッ バサッ バサッ…
ベテラン「…………」
ロートル「…………」
ベテラン「あの高さ……」
ベテラン「……エリチェン……じゃねーな」
ロートル「…………」
ロートル「……そ……だ」
ロートル「……うそだ……うそだ……」
ロートル「うそだあああああああああああああああっ!!」
ベテラン「…………」
661: 以下、
  砂漠の地平線に夕日が沈んでゆく。
  そして砂の大地に、あらん限りの絶叫が響いた。
  傷つき、足を引きずりだした古龍テオ・テスカトルは
  その翼をはためかせ、沈みゆく太陽に向かって羽ばたいていく。
  ……それはまるで
662: 以下、
  ロートルを、ハンター達を
  あざ笑うかの様だった……
663: 以下、

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