八幡「同音異義語にご注意を」back

八幡「同音異義語にご注意を」


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5:
小町「あ、おはよお兄ちゃん。もうご飯出来てるよ」
八幡「おお、おはよう。いつも悪いねぇ小町さんや」
小町「もう、それは言わない約束でしょー」
八幡「いや、なんとなくだよ。なんとなくお約束ってやつだ」
八幡(本日のメニューは、ベーコンエッグ、わかめの味噌汁、さんまの塩焼きに、そしてキャベツ。これがごきげんな朝飯というやつか。どこの範馬家だよ。うまそうだけど)
TVリポーター<今日は地鶏で有名な秋田県に来ていまーす!>
小町「お、今日は秋田県かー。お兄ちゃん地鶏だって地鶏」
八幡「はっ。朝から食レポとか。もっと他に伝えることあんだろ。大体あいつら『美味い』とか『甘い』しか言わないじゃねーか」
八幡(食材でエビが出てきたらプリプリな食感!ハンバーグとかの肉料理だと溢れる肉汁!とか。決まりきった文句は聞いててまったく面白くない)
6:
小町「素直においしそうだなーって見ればいいのに……。何でそんな穿った見方になっちゃうかな?」
八幡「俺に素直さを期待するのはまちがってるぞ小町。あと穿った見方って本来は『物事の本質を突いた』って意味だからな」
小町「まぁまぁ細かいことは気にしない気にしない」
八幡「いや気にしろよ。もう高校生になるんだから」
小町「お兄ちゃん朝から説教臭いよ。ほら、早く食べて学校行こう?」
八幡「へいへい、すんませんでした。今日も乗ってくか?」
小町「え? いいの? いやー悪いですなぁ」
八幡「その顔でホントに悪いと思ってんのかよ……」
小町「もちろんであります!」
八幡「うぜぇ……はぁ、まあいいや」
八幡(小町は総武高に見事合格した。残り少ない登校期間で、2人乗りで送っていくのも数える程しかない。同じ高校に通う時はさすがに送りたくないよ?だって恥ずかしいじゃない?)
TVリポーター<さっそくいただきます!……噛めば噛むほど肉汁が溢れてきますね?。何よりも脂が甘い!こんなの今まで食べた事ありませんよ!>
八幡「美味そうなんだけど、なんかイラッとするな」
小町「うん。悔しいけど少し気持ちがわかるよ」
八幡「……さっさと片付けるか」
小町「だねー」
八幡(そうして朝食を黙々と食べ終え、小町を送り、学校に向かった。ここまでは何の問題もない。だが俺は、この先に我が身に振りかかる事態をこの時点ではまったく想像できなかったのである)
×  ×  ×
7:
八幡「うーす」
結衣「ヒッキーやっはろー!!」
八幡「あれ? お前だけか珍しい。雪ノ下は?」
結衣「なんかね、平塚先生にお呼ばれしてさっき行っちゃった。来年度の活動予定とか何とか」
八幡「ほーん、なるほどね。ていうか4月以降活動すんの?」
結衣「え、しないの?」
八幡「受験勉強だってあるだろ。その辺大丈夫なわけ?」
結衣「えっと、まあ何とかなるでしょ。ゆきのんがいるし、それにヒッキーもいるし」
八幡「万能型の雪ノ下はともかく、俺はあんま力になれないと思うぞ」
結衣「そんなことないよ。いてくれるだけで嬉しいっていうか……やっぱりまだ3人でいたいっていうか」
八幡「お、おう。よくそんな恥ずかしいこと平気で言えるな」
結衣「あっそうやってまたあたしのことバカにして! ヒッキーのバカ! アホ! キモい!」
9:
八幡「理不尽すぎるだろそれ……。で、今は何してたんだ?」
結衣「茶化すヒッキーがいけないんじゃん。今は携帯見てただけかな」
八幡(勉強しとけよ。受験勉強の前に期末テストもあんだろうに)
結衣「ヒッキー? なにその顔?」
八幡「いんや何でもない。何か面白いものでもあったか?」
結衣「そうそう! そうなんだよ。最近さ、自撮りが流行ってるらしいよ」
八幡「地鶏? そんなもんが流行ってるのか?」
10:
結衣「うん。専用アイテム(自撮り棒)もあるって記事に書いてあったし」
八幡(そういえば、朝っぱらから情報番組でも取り上げられてるわけだし、もしかしてそういう流行りは本当にあるのかもしれない。アイテムってのはキーホルダーとかのご当地もの?もしくは調理器具のことだろうな)
結衣「世界的にも流行ってるらしいんだよね。それを、なんだっけ? エイチアイエス?にアップする人が多いんだって」
八幡「どこの旅行会社だよ。SNSのことか?」
結衣「それそれSNS」
八幡(なるほど。自分が食べた地鶏を写真撮ってアップするってわけか)
八幡「ホントこの世の女子ってそういうの好きなやつ多いよな。お前もそういうのやんの?」
結衣「あたし? あたしはあんまやらないかなー」
八幡「あんまやらない方がいいと思うぞ。(店員とか他の客とか)快く思わない人もいるだろうし」
結衣「うーんそういうもんかー。ねぇヒッキーは、自撮りとかどう思う?」
八幡「そうだな……」
(まあ、美味そうは美味そうなんだよな。食レポが好きじゃないだけで)
11:
八幡「悪くはないんじゃないの?」
結衣「なんか、ヒッキーがそう言うのって意外だね。(自撮り)めっちゃバカにしてきそうなのに」
八幡「俺だってなんでもかんでも否定したりしないぞ? 実際(地鶏)美味そうだし」
結衣「上手そう?」
八幡「何かあるのか?」
結衣「え、えっとううん何でもない」
(それってあたしが自撮り上手そうってこと?……よし!)
結衣「ねぇヒッキーはさ、その、急に自撮りとか送られてきたらどう思う、かな?」
八幡「……そんな言い淀むことか?」
結衣「いいから答える!」
八幡「怒るなっての。まぁ別に(地鶏)贈られて悪い気はしないんじゃねーの普通は」
結衣「ホントに!?」
八幡「こんなことで俺は嘘つかないぞ」
結衣(ヒッキー、そうなんだ。悪い気はしないんだ……うん!!)
12:
結衣「じゃああたしから(自撮り)送られたら、どうする?」
八幡「へ? お前から? どうしたんだ急に?」
結衣「お願いだから……教えて?ヒッキー」
八幡(なんで無駄に艶っぽいんだこいつ?家で地鶏飼ってるの?買うにしても結構高いイメージだけど。それでもまあ贈ってもらえるなら)
八幡「素直に嬉しいと思う」
結衣「ホントに? ホントのホントに嬉しい?」
八幡「ああ、嬉しいな」
結衣「そっかぁ。そうなんだ」
(勇気出して良かったのかな?でも、うー/// 想像するだけで恥ずかしいよ///)
八幡「どうした由比ヶ浜?」
結衣「な、何でもない何でもない! あとちなみにさ、どんなところ送れば一番嬉しい? やっぱり、顔?」
八幡「(地鶏の)顔贈るとか怖すぎだろ……」
結衣「(顔撮影するのが)普通じゃないの?」
八幡「えっ?」
結衣「えっ?」
八幡(えっ?世間的にはもしかして一般的なの?八幡わかんない。いやいや絶対おかしいでしょ。ダンボール開いたら鶏の生首が入ってましたとかシャレになんねーだろ)
八幡「ゴホン。とにかく、顔はやめてくれ」
結衣「そこまで言うなら……わかった。でも顔が普通だと思うんだけどなー」
八幡(いや、もっとこう鶏!的な部分が他にあるでしょ。手羽先とか。あとは……)
13:
八幡「普通はモモとかその辺だろ?」
結衣「腿!?」
八幡「そんないちいち驚くなよ。あとはムネとか」
結衣「む、胸ぇ!? ひ、ヒッキーのド変態! マジありえない!」
八幡「えー何その反応? 俺そんな間違ったこと言ってるか?」
結衣「だって、そんなの……恥ずかしいし」
八幡(そんな真っ赤になって俯くなよ……。俺が何したって言うんだ)
八幡「由比ヶ浜、悪かったって」
結衣「ヒッキーのバカ……えっち」
八幡「うぐっ」
(上目遣い+ほんのり紅い顔+その発言はヤバい。こうクルものがある。主に下半身に。いかんいかん邪念を振り払え。しかしえっちって何のこっちゃ。ムネ肉とかモモ肉ってエロいワードだったの?そこはかとないエロスは感じるけども。とにかくこの場をなんとか切り抜けなければ)
八幡「由比ヶ浜、聞いてくれ」
結衣「……なに?」
八幡「俺は、期待したんだ。お前に、お前の贈ってくれる地鶏に」
結衣「あたしの、自撮りに?」
(ヒッキー、すごい真剣な表情)
15:
八幡「ああ。繰り返しになるが、やっぱり嬉しいと思う。人からそういうの贈られることってあんまないからさ」
結衣「経験豊富だったらちょっとアレだと思うけど、そう、なんだ」
八幡「それで、その中でも、お前に贈って貰えたら。俺は特に嬉しいと思ってる」
結衣「えっ、それって……」
八幡「恥ずかしいからあんま言わないけどな。……俺はお前のことある程度、なんだ、近しい人だとは考えてる」
結衣「……うん」
八幡「だから、ほら、その近しい人からのプレゼント(地鶏)とかって、どんな気持ちになるんだろうって思うんだよ。想像でしかないけど、嬉しいんじゃないの?多分」
結衣「ヒッキー……」
(あたしのこと、そんな風に思ってくれてたんだ)
17:
八幡「だから、俺は」
結衣「?」
八幡「俺は……」
八幡「それでも俺は……」
八幡「俺は、地鶏が、欲しい」
結衣(ヒッキーそんなにもあたしの自撮りが、欲しいんだ)
八幡「…………」
結衣「…………」
八幡「なぁ」
結衣「ねぇ」
八幡「……先言っていいぞ」
結衣「……うん。ね、ヒッキー?」
八幡「何だ?」
結衣「楽しみに、待っててね?」
八幡「……おお」
(いつ、届くんだろうか?)
×  ×  ×
18:
比企谷家 八幡の自室にて
八幡「…………」ペラリ
八幡「…………ん、メールか」
八幡(差出人は、由比ヶ浜か。ん?本文なしで添付ファイルのみ?なんだこれ?)
八幡「開けてみるか」
八幡「…………」ポチ
八幡「…………ぶはっ!!」
八幡(何だこれ、何だこれ?何であいつの、ふ、太もも画像? 血迷ったのかついに?マジでビッチじゃねえか)
八幡「はっ。ていうか、まだ寒いのにホットパンツかよ」
八幡(いや、突っ込むところはそこじゃないとわかっている。だが人間、理解の範疇を超えると変な笑いしか出てこないのだ)
八幡「…………エロいな」
20:
八幡(座った状態で上から撮ったのだろうか?短いホットパンツからすらりと伸びるほっそりとしながらも健康的な白い太ももから目が離せない)
八幡「…………」スッ
八幡「保存、と」
八幡「ん、またメールか?」
八幡(先ほどと同じ様に添付ファイルが1件。俺は迷った。だって、これはパンドラの箱。開けば災厄が振りかかるのは必至。だけど、それでも、俺は!!)
八幡「…………」ポチ
八幡(そこにあったのは、谷間でした。とても柔らかそうな、双丘でした)
八幡「保存、と」
八幡「…………」
八幡「…………」
八幡「…………」
八幡「…………」
八幡「…………うっ! ふぅ……」
八幡「なぜ人は争うのだろうか?憎しみは憎しみしか生まない。正しくそれは、負の連鎖。俺は、それを断ち切る人になりたい」
八幡「……削除、と」
八幡「何が理性の化け物(笑)だよ。笑っちまうよ」
八幡(だが俺だって高校生。そういうことに興味深々な年齢だ。許せ由比ヶ浜。そして……ありがとう)
小町『おにいちゃーん、大丈夫? うめき声聞こえたけど』
八幡「小町か。ちょっと待て」スタスタガチャ
八幡「なんか用か?」
小町「いやご飯できたから呼びに来たんだけど……どしたのお兄ちゃん? そんな清々しい顔して」
八幡「なぁ、小町。本物って、なんだろうな」
小町「は?」
八幡「きっと、すぐ近くにありそうな気がする」
小町「意味わかんないよ……」
×  ×  ×
21:
八幡「うす」
雪乃「あら、こんにちは比企谷くん。今お茶淹れるわね」
八幡「ああサンキュ。……由比ヶ浜はまだか?」
八幡(結局教室では話せず終いだったな)
雪乃「後ろを見なさい」
八幡「後ろ?」
結衣「や、やっはろー」
雪乃「こんにちは由比ヶ浜さん」
八幡「……おう」
結衣「…………」
雪乃「昨日、何かあったの?」
結衣「な、何でもないよゆきのん! ヒッキーちょっとだけいい?」
八幡「ああ。ここでいいのか?」
結衣「廊下で話そっか。ごめんね、ゆきのん? ちょっとだけ待ってて」
雪乃「気にしないでいいわ。話が終わったら戻って来てちょうだい」
結衣「うんわかった。じゃあ、行こっか?」
八幡「わかった」
×  ×  ×
22:
部室前廊下 
結衣「ヒッキー、昨日のは、そのどうだったかな?」
八幡「どうだったって……」
八幡(正直に言っていいものなのん?完全にセクハラになりそうなんだけど)
結衣「ヒッキーが欲しいって言うから、あたしだって勇気出したんだよ?」
八幡「俺が?」
結衣「そうだよ。……恥ずかしかったんだからね///」
八幡「…………」
八幡(まったく見当がつかない。え、俺?そんなこと頼んだっけ?)
結衣「なんで無言だし」
八幡「痛いって。叩くなよ」
結衣「むー」
八幡「睨むなよ。それに、俺が聞きたいくらいだぞ。なんで急にあんなもん送ってきたんだよ? ビッチなの?」
結衣「ビッチじゃないし!! ヒッキーが腿とか、む、胸とか送って欲しいって昨日言ったんじゃん!!」
23:
八幡「えっ」
結衣「えっ」
八幡「…………」
結衣「…………」
ポクポクポクチーン
八幡「由比ヶ浜、耳貸せ」
結衣「?」
八幡「…………」ゴニョゴニョ
結衣「…………」
結衣「っ??????///」
結衣「ヒッキーの……」
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