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ことり「今は秋でも春色デイズ」


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1:
ことり「……彼氏?」
「うん、彼氏とかいないの?」
ことり「うーん……私にそんな人、いるように見える?」
 それはことりなりの精一杯の皮肉のはずだったんだけれど……。
「見えるよ!」
「告白とかされたことないの?」
ことり「む……」
ことり「無いよ……!いいもんいいもん……」
ことり「私はモテないもん……」シュン
「あ……えっと。どうしてなのかな……このクラスじゃ一番可愛いと思うけど」
ことり「……」
ことり「ほんと?」
「うん」
ことり「……可愛いなんて言われたことないもん……」シュン
「え、あ、ごめんね!?」
2:
◇――――◆
ことり「……どうすれば可愛くなれるかなぁ……」
穂乃果「何ぶつぶつ言ってるの?」
ことり「あのね……さっき千穂ちゃんがね、ことりに彼氏とかいないのー? って」
穂乃果「ああ……。ことりちゃんもしかして、彼氏とかいるの!?」
ことり「え?」
海未「そ、そうなのですか!?」
凛「ことりちゃん彼氏できたのー!?」
花陽「そ、そうなのぉ!?」
にこ「こ、ここここことりああアイドルはね、れれ恋愛はご法度というかなんというかそのっ!!」
希「はぁーなるほどねぇ……」
絵里「まあ今までいなかったのが不思議なくらい?」
ことり「え、え?」
3:
穂乃果「そっか、ことりちゃんにも彼氏かぁ……」
ことり「あ、あのね」
海未「……ついに巣立ちの時なのですね」
ことり「ち、違うよぉ!!!」ガオー
穂乃果「違うの?」
ことり「彼氏なんていないよ……」
凛「なあんだ」
希「でもどうしてそんな急に? 彼氏のいるいないなんて話題、ことりちゃんなら結構経験してきてるでしょ?」
ことり「そうだけど……」
ことり「……」
ことり「あのね……ことりはそういうの全然わかんないから、だから彼氏とか出来ないのかなって」
希「うーん……」
穂乃果「……ことりちゃん彼氏が欲しいの?」
ことり「え? あ……うーん、どうなのかな。自分でもわからないの」
4:
希「焦ってそんなん作ってもいいことないよ? ま、ことりちゃんならすぐ出来ると思うけど」
ことり「む、無理だよぉ……」
希「そういえばこういう話みんなでしたことなかったね?」
にこ「そうね、だって別に必要ないし」
希「必要とか必要じゃないとかそういう問題じゃなーい」
にこ「どういう問題よ」
希「その、恋バナってのは女の子を構成する一つの要素であってー!」
凛「り、凛も恋バナしてみたいっ!」
穂乃果「こ、恋バナ!? え、えっと……そういうのやめようよ」チラッ
海未「……そ、そうですよ!」チラッ
希「んー? なんか二人とも怪しいー?」
海未「そ、そうでしょうか」
穂乃果「そんなことないと思うよ」
5:
希「まあいっか」
凛「ねえねえ早くしようよ恋バナ!!」
希「えっと、じゃあさっそく……」
希「――彼氏居たことある人ー!!!」
シーン
希「あり?」
希「みんなないの!?」
希「めくるめく元彼氏さんとの恋愛話は!?」
希「恋の駆け引きは!?」
希「えと……ほ、穂乃果ちゃんは!?」
穂乃果「穂乃果は……モテるわけないよ? うるさいし……」
希「海未ちゃん!?」
海未「私も……硬いと言われることが多いですから。まあ……それを理解してくれる人がいれば私は……////」チラッ
穂乃果「……海未ちゃん//」
6:
ことり「……?」
希「えー……」
ことり「でも海未ちゃん、告白されてたんだよね?」
海未「え、それは……」
希「なになに!?」
海未「い、いえ大したことじゃ……ただ同じクラスで隣になった男の子に……」
絵里「断ったの?」
海未「はい……まだそのようなことは早いかと」
絵里「早いとかあるのかしら」
希「つまんないなー」
にこ「そういうあんたはどうなの?」
希「ウチ?」
にこ「そんなおっきいのぶら下げてれば男の方からいくらでもよってくるんじゃないの?」
希「そ、そんなことないっ」//
希「だ、だってウチ、友達も少ないし……」
にこ「な、なんかごめん……」
7:
にこ「まあ私はそういうの興味ないし? 必要もないっていうかぁ」
凛「……寂しい人だにゃ」
にこ「なんですって? そういうあんたはどうなの、恋バナしてみたいっ! って言うくらいなんだからあるんでしょうね?」
凛「ないよ?」
凛「凛はかよちんしか興味ないもーん!!」ギュー
花陽「あはは……」
ことり「――女の子同士は……流石にないかな」アハハ
にこ「ほんとよ」
穂乃果「っ……」
海未「……」
凛「いいもーん、凛はかよちんと結婚するから!」
希「てことは花陽ちゃんも無しってこと?」
8:
花陽「わ、私は男の人と話すの苦手だし」
絵里「凛が男の子と仲良くてその友達の花陽がーとかそういうパターンは?」
凛「……えっと」
凛「かよちんより、その……凛の方が男の子と話せないにゃ……」
にこ「うそ……」
希「そうなん?」
花陽「あ、えっと、うん……男の子に話しかけられると凛ちゃん……無視というか……すぐ離れちゃうから……」
凛「そんなつもりないんだけれど、でも……なんて話していいかわかんなくなっちゃって」
穂乃果「わかるわかるっ!」
にこ「あんたは絶対わからないでしょ」
穂乃果「ええ!?」
穂乃果「穂乃果も男の子と話せないよー!」
ことり「あはは、そんなことないと思うけどな……」
9:
ガチャ
真姫「遅れてごめんなさい」
穂乃果「お、真姫ちゃん!」
真姫「なに、まだみんな着替えてなかったの?」
希「今日はね、みんなで恋バナしてたんよ!!」
真姫「……恋バナ?」
穂乃果「真姫ちゃんはどうなの!?」
希「なんだ穂乃果ちゃんノリノリやん」
穂乃果「え? あ、うん。だって彼氏の話でしょ?」
希「え? そうだけど」
希(どういうこと?)
穂乃果「で、真姫ちゃん!」
真姫「な、なにが」
穂乃果「彼氏いたことあるの?」
10:
真姫「うぇぇ……//」
穂乃果「」ワクワク
真姫「え、えっと」
穂乃果「うんうん」
真姫「な、ないわよ!」
絵里「へぇ、意外」
真姫「悪い!?」///
にこ「そんなムキになるってことはいないことが恥ずかしいって思ってるんだー」
真姫「な……別にそうは言ってないでしょ!? 告白くらいならされたことあるしっ!」
凛「すごいっ」
真姫「と、当然よ///」
穂乃果「なんで付き合わなかったの?」
真姫「私に釣り合ってなかったからよ」
みんな(うわぁ……)
希「えりちは?」
絵里「私は……うん、告白ならいくつかあるわよ」
11:
ことり「やっぱりすごいなぁ……」
絵里「そうかしら」
絵里「苦手なの? 男の人」
ことり「そういうわけじゃないんだけど……」
ことり「そういうわけじゃないのに、そういう経験ないのって……やっぱりダメなのかな」
ことり「みんな大体なにか訳があったりするのに、ことりだけなにもないよ……」
にこ「ま、まあ私は寄せ付けないオーラ出すタイプだし。うん」
希「……そうやね」
にこ「なによ」
希「なんでもないっ」
ことり「……」
穂乃果「なんでそんなに自信ないのさー」
穂乃果「ことりちゃんは可愛いよ? 少なくとも穂乃果よりは!」
ことり「……」
真姫「どうしたの急に」
絵里「誰でもそういう時期はくるわよ」
ことり「うん……」
12:
◇――――◆
ことり「恋愛、かぁ……」
ことり「すごいな、みんな」
ことり「みんなその気になればすぐに彼氏とか出来ちゃうんだろうな」
ことり「みんな可愛いもんね」
ことり「――恋愛、してみたいなぁ……」
ことり「ダメダメ! 恋愛なんかしてる暇はないのですっ」
ことり「そうだよ、今は忙しいんだもん。みんなだって忙しいのわかってるから恋愛はしてないんだもんね」
ことり「特に真姫ちゃんとか絵里ちゃんはいないのが不思議だもん」
ことり「切り替え切り替え!」
13:
◇――――◆
海未「ことり、最後まで落ち込んでいました」
穂乃果「そうだね」
海未「……そんなに気にすることなのでしょうか」
穂乃果「ことりちゃんなら作ろうと思えば一瞬だと思うな」
海未「私もそんな気がします」
穂乃果「恋バナって言われた時は焦ったよ?」
海未「私もです」
穂乃果「でも彼氏なら別にいいよね? 彼氏なんて出来たことないしっ」
海未「どうなんでしょうか」
穂乃果「えー、海未ちゃんが男の子になるー?」
穂乃果「穂乃果は今の海未ちゃんが好きー!」
海未「はいはい」
穂乃果「む……」
海未「?」
穂乃果「停滞期だ」
海未「はい?」
15:
穂乃果「前の海未ちゃんなら好きって言えば照れてくれたのにっ」
海未「そ、そうですか?」
穂乃果「うぅ……やだよぉ」
海未「大丈夫ですよ、私も穂乃果のこと、好きですから」
穂乃果「ほんと?」
海未「はい」
穂乃果「嬉しいっ」ギュッ
海未「……///」
穂乃果「やっと顔赤くなってくれた!」
海未「は、離れてください」///
穂乃果「んーやだ」
穂乃果「海未ちゃんのこと、大好きだからっ」ニコッ
海未「穂乃果……」
穂乃果「……でもね」
海未「はい」
17:
穂乃果「今日のことりちゃんさ、女の子同士はないって言ってたよね?」
海未「……」
穂乃果「ことりちゃんがあんなにはっきり自分の気持ちを出したってことはさ」
海未「嫌悪は……してるのでしょうね」
穂乃果「……そうだよね」
穂乃果「――やだよ……なんで、穂乃果達、女の子同士なの……?」
穂乃果「どっちかが男の人だったら良かったの?」ウルウル
海未「……穂乃果」
穂乃果「ごめんね、急にこんなこと」
穂乃果「穂乃果はいいよ、誰になんと思われたって、海未ちゃんのことが好きだから」
海未(誰になんと思われたって……)
海未(穂乃果がそんなこと、耐えられるわけないじゃないですか……)
18:
◇――――◆
ことり「うーん、うーん……」
真姫「どうしたの?」
ことり「あのね、真姫ちゃんね」
真姫「もしかして、太った?」
ことり「――ううん、おっぱい前よりおっきくなってるよ!!」
真姫「……ほんと?」
ことり「うん、78!」
真姫「前は76だったから……良かったわ」
 そうか、前は海未ちゃんと一緒だったんだ。あ、また海未ちゃん負けちゃったね? でも海未ちゃんはそういうこと気にしないよね?
 うーん……また海未ちゃんがガックリしているところ、みてみたいな♡
 なぁんて、そういう変な気持ちはマケミちゃんを見て我慢しようと思います。
ことり「なんか反応薄いね?」
19:
真姫「そう? これでも嬉しいのよ。これ以上大きくならなくてもいいけどね」
 希ちゃんのことかな?
 確かに希ちゃんなんだか色々大変そうにしてるしね……ライブの時も揺れすぎるからちょっときつめな下着をしてるらしいし。
 でもいいなぁ、ことりはあれくらい欲しいよ……。
ことり「どうして?」
真姫「大きいと色々大変そうだし」
ことり「あー……」
真姫「じゃあこれでいい?」
ことり「うん、作りなおしておくね」
真姫「ありがとう」
ことり「よし、じゃあ次は私のサイズだね」
ことり「うんっと……ウエストは」
20:
ことりは身体が柔らかいから、じーっとメジャーを伸ばして、一人でサイズを、はかるの。
 もう慣れちゃったからすぐ終わるってのもあるけれど、人にやられるのがその……恥ずかしいんだもん。
ガララ
絵里「あら」
ことり「ひゃっ……//」
絵里「なにしてるの?」
 だれかと思ったら絵里ちゃんでした。半裸になって自分でサイズをとってるところをµ’s以外の人に見られたら恥ずかしくて死んじゃうとこだったよ?
ことり「じ、自分のサイズを……」
絵里「ことりって自分ではかってるの? 人にはかってもらえばいいのに」
ことり「い、いやあ……なんか恥ずかしくね」
21:
ことり「絵里ちゃんはどうして?」
絵里「真姫が終わったから来てみたんだけれど……」
ことり「あ、えーと……そうだなぁ」
絵里「また後にしましょうか?」
ことり「もうことり制服抜いじゃってるし、そっちの方がありがたい、かなあ」
絵里「そっか」
絵里「あ、なら――私がはかってあげる」
ことり「え!? そ、そんなの悪いから……」
絵里「いいからいいから」
 絵里ちゃんは意味ありげに笑ったあと、後ずさることりよりも早く接近してきて持っていたメジャーをひょいと奪ってしまった。
絵里「えぇと……どうするんだっけ」
22:
ことり「え、えっと……」
絵里「そうだ、こうやって後ろから……」
ことり「ちょ、ちょっと!!」
 絵里ちゃんはすぅっとメジャーを伸ばして、ことりの後ろに回り込んだ。こうやってことりはいつもみんなの後ろからはかるんだけど……それと同じようにやるらしい。
 別に前からはかってもいいんだけど、前からだと相手も恥ずかしそうだしね?
ことり「い、いいよ自分で出来るもん//」
絵里「まあまあ」
ことり「え、絵里ちゃんにははかられたくないっ!」
絵里「え……」
ことり「い、嫌とかそういうのじゃないの。その……だって絵里ちゃん……スタイル良すぎるから……」
絵里「どういうこと?」
ことり「あ、あの……ほら、恥ずかしいの。なんて思われるか……胸、ちっちゃいなとか……」//
23:
絵里「ふふ、なんとも思わないわよ。ことりだって十分スタイルいいと思うわ」
ことり「むぅ……絵里ちゃんに言われても……」
絵里「もう、もっと自信もって? こんなに細いんだから」サワッ
ことり「んっ」ピクッ
絵里「58と……」
絵里「次はどこ? 胸でいい?」
ことり「ふぇ!?」///
ことり「や、む、胸は自分でするからぁ!」ブンブン
絵里「ここまで来たら問答無用よね?」
ことり「い、いやぁ!!」
24:
◇――――◆
絵里「ひゃんっ……」
ことり「仕返しだよ」
絵里「ごめんね、つい」
ことり「いいけどさ、恥ずかしかったもん」
絵里「みんなはいつもそんな感じなのよ?」
ことり「ぅ」
絵里「ことりに身体ジロジロ見られて、いつも恥ずかしい思いしてるのよ?」
ことり「……」
ことり「そ、そっか。そうだよね……」
絵里「え?」
25:
ことり「ごめんね? 人の気持ちなんて考えてなかったよね」
絵里「あ、あのね……」
ことり「――嫌、だった……?」ウルウル
絵里「え、そ、そんなことないわっ!」
絵里(か、可愛い……なるほど、海未がことりのお願いだけは断れないのがわかった気がするわ)
ことり「良かった」
ことり「じゃあ絵里ちゃんのおっぱいはかっちゃうもん!」
絵里「そ、そんな近づかなくてもっ」
ことり(絵里ちゃん、いい匂い……)
ことり「おっぱいが、88……と」
ことり「いいなぁ、胸大きくて」
絵里「そう?」
ことり「8cmだよ? これが、ここに……想像出来ない」
ことり「羨ましいよ……ことりもおっぱい大きかったらモテたのかな……?」
ことり「もっと足も長くて細かったら、モテたのかな……?」
26:
絵里「……ことり、最近変よ?」
ことり「だって……みんなすごいんだもん。ことりは可愛くないからモテないんだよ……」
ことり「絵里ちゃんだって男の子からたくさん告白されてるんでしょ?」
絵里「ま、まあ…少なくはないと思うけど」
ことり「……」
絵里「大丈夫よ、焦らなくても。好きになる相手がたまたまいなかっただけじゃない?」
絵里「きっとこれからたくさんそういう人が現れるわ」
絵里「だから安心して?」
ことり「……」
絵里「私が保証してあげる、それじゃあダメ?」
ことり「絵里ちゃん……」
ことり「ありがとう……」
絵里「うん、もっと自信もってね?」
28:
◇――――◆
ことり「絵里ちゃんっ」
絵里「なあに?」
ことり「あのね……えっと、ことりね……恋愛、してみたいの」
絵里「……どうして私に?」
ことり「一番経験あるかなって……」
ことり「絵里ちゃんは恋愛経験あるの?」
絵里「恋愛経験は、その……」
絵里「……ないの」
ことり「そ、そうなんだ……」
絵里「あんまり恋愛とか、ピンとこなくて」
絵里「私もね彼氏ほしーなーとか楽しいのかなーって思ったりすることもあるの」
29:
絵里「特に友達なんかに彼氏が出来ちゃうと尚更よね。イベントの時に遊べないんだもの」
ことり「絵里ちゃんもそういうこと思うんだね」
絵里「もう、どうしたの?」
ことり「あのね、プランタンの次の曲、恋愛の曲でしょ?」
絵里「そうね」
ことり「だから……」
絵里「なるほど」
ことり「恋愛経験ないと、色々ダメなのかなって」
絵里「そんなの問題ないって」
絵里「ことりはことりのままがいいわ」
ことり「……//」
絵里「そうだ、今度遊びに行く?」
ことり「え?」
絵里「ことりは自分に自信がなさすぎるわ、花陽よりも下手したら酷いかもしれない」
ことり「ひ、酷いって……」
30:
絵里「ね、自分が可愛いってことを少しくらい自覚しましょう?」
ことり「か、可愛くないもんっ!///」プイッ
絵里「もう……」クス
絵里「もう怒ったわよ?」
ことり「え?」
絵里「意地でも自分は可愛いって思わせるんだから」
ことり「だ、だって……」
絵里「うん、じゃあ今度遊びに行きましょ?」
ことり「え、絵里ちゃんと二人?」
絵里「嫌かしら?」
ことり「そんなことないけど……」
絵里「じゃあいいでしょ?」
ことり「う、うん」
ことり(え、絵里ちゃんと二人……? 話すことなくなっちゃうよぉ……)
絵里「今度連絡するわね」
31:
◇――――◆
絵里「ことりかぁ……」
希「どうしたん?」
絵里「今度ね、二人で遊びいこうって話になったの」
希「珍しい……」
絵里「自分でもそう思うわ」
希「ことりちゃん、二年生以外と遊ぶの見たことないからなぁ」
絵里「どうしよう、流れで言っちゃったけど……」
希「ことりちゃんもオシャレとか好きだよね? 留学しようとしてたくらいだし」
絵里「そうね……どこ行こう」
32:
希「表参道青山あたりでいいんやない? あ、原宿も」
希「えりちもそういうとこ好きでしょ?」
絵里「そうね」
希「ウチそういうの興味ないから色々溜まってるでしょ?」
絵里「なによそれ」
希「だって行ってもあんまり面白くないしー?」
絵里「……傷ついたわ」
絵里「私と遊ぶの、楽しくなかったのね……」
希「ああっ、ごめんね! そういうことじゃなくて」
絵里「冗談」
絵里「でも、そうねそういうところ行ってみるわ」
33:
◇――――◆
穂乃果「ねえ、今週遊びいかない?」
海未「週末ですか? ええ、もちろん」
穂乃果「そっか! どこ行く!?」
海未「決まっているのではないのですか?」
穂乃果「んー、全然?」
海未「もう……」
穂乃果「そうだなぁ……じゃあ今回は渋谷とか原宿とか……青山とか表参道とかオシャレなとこ行ってみる?」
海未「わ、私にそんなところは……巣鴨が一番落ちつきます」
穂乃果「おばあちゃんじゃないんだからー!」
海未「しかし」
穂乃果「服とか可愛いのいっぱい買おう? 海未ちゃんが可愛い服着るの、見てみたいな?」
海未「も、もう//」
海未「そんなの、断れるわけないじゃないですか」
穂乃果「知ってるっ。じゃあ決定!」
34:
◇――――◆
後日
ことり「うーん、なんだか緊張するかも?」
ことり「まあ穂乃果ちゃんや海未ちゃんと遊ぶ感じで……」
ことり「……そういえば穂乃果ちゃんと海未ちゃん以外と遊ぶの初めてかも」
 なんで緊張しちゃうのかな? 絵里ちゃんはかっこいいし、可愛いし、綺麗だし。あれ全部持ってる? だからなのかな?
絵里「――そこのお嬢さん」
ことり「え?」
絵里「こんにちは」
ことり「あ、絵里ちゃん!」
絵里「ちょっと待った?」
ことり「ううん、全然」
38:
やっぱり絵里ちゃん、綺麗だし、可愛いな。身長はそんなに大きくないけれど、スタイルが完全にモデル級だから着られている服も嬉しそう。
 秋風がすぅっと吹いてきて、ちょっと薄着だったかなって思っていると……。
絵里「おー……」ジロジロ
 絵里ちゃんがじーっとことりのことを見ているの。ことりとは違う青い瞳に、ことりはどう映ってるのかな? なにか変なことでもあったかな?
ことり「なあに?」
絵里「いや……なんだかことりじゃないみたい」
ことり「どういうこと?」
絵里「……いつもより、ふわふわしてる?」
絵里「あれ、それじゃあいつも通りね」
39:
ことり「……なに言ってるの?」
絵里「あ、うん、ごめんねなんとなく」
ことり「変な絵里ちゃん?」
ことり「えっと……今日は……」
絵里「ことりに自信を持ってもらおうと思って」
ことり「?」
絵里「とりあえずあっちまで行きましょう?」
ことり「うんっ」
 絵里ちゃんが指指す方は、服屋さんとかアクセサリーのショップとかがたくさんあるオシャレな通り。穂乃果ちゃんと海未ちゃんをこういうところに誘って見ても、あんまり行きたがらないんだよね。
 だから普段は一人でそういうところに行くから、なんだか新鮮。
 絵里ちゃんの後ろを少し歩いていると、道ゆく人がチラリと目線を絵里ちゃんに向けるのが良くわかる。
 こんな美人さんが歩いていたらことりだって思わず見ちゃうと思うな。
41:
絵里「どうして後ろを歩いているの?」
ことり「え!? な、なんとなく?」
 なんていうか、絵里ちゃんの横で歩くなんて図々しいような気がして、少しだけ負い目を感じるというか……。
絵里「ほら、ちゃんと横を歩いて?」クス
ことり「は、はいっ」
絵里「ことりはいつから衣装とか作るのが好きなの?」
ことり「えっと、小学生の頃かなあ? いらない布を切ったりして遊んでたから」
絵里「へえ」
ことり「中学生の時はコス――」
ことり「な、なんでもないっ」
42:
こ、コスプレを家でしてたなんて、言えないよぉ……。危ない危ない穂乃果ちゃん達にも言ったことない秘密だもん、お墓まで持って行かなきゃ……!
ことり「でもね服とかそういうのが好きだから、スクールアイドル誘われて嬉しかったの」
ことり「最初はただ可愛い服が着れるかもっていう期待だけだったんだけど」
絵里「うんうん」
ことり「なんだか可愛い服を着ている時だけ、いつもの自分じゃないような気がするんだ」
ことり「ご、ごめんねっ、こんな一人で喋っちゃって!」
絵里「幼馴染二人といる時はいつもそんな感じなの?」
ことり「どうなのかな?」
ことり「多分もっと喋らないかな……あの二人が揃っちゃうと……」
43:
穂乃果ちゃんが色々して、海未ちゃんがそれを注意する。もう様式美って言っていいくらい定番化したことは見ているだけで楽しいから。
 絵里ちゃんもそれを察してくれたみたいで、肩をくすめてみせた。
絵里「確かにそうかもね」
絵里「ねえ、ここ見てみない?」
ことり「あ、ここことり良くくるよっ」
 絵里ちゃんが指を指したのは、ことりが良く来る学生向けのブランド。かっこいい読者モデルさんとかもイベントでよく来ていたりして有名なところだね。
 価格帯は安い方なんだけど、女の子の服も多いし、やっぱり人気がある理由があると思う。
 絵里ちゃんは良かったって目を細めて。
絵里「――ことりに服、選んでもらおうかな?」
ことり「……え?」
44:
絵里「ことりに洋服選んで貰いたいな?」
ことり「いいの?」
絵里「どういうこと?」
ことり「あ、あの……その……ずっと絵里ちゃんに着せるならどんな服かとか、妄想してて……//」
絵里「……」
ことり「ち、違うのっ、あの、あのね……」
 どうしよう、ぜ、絶対変なふうに思われちゃったよ!? だって、身近にいる人で妄想だなんてっ……。
絵里「――へえ! じゃあ、今日は実物でお願いできる?」
ことり「……気持ち悪いとか思わないの?」
絵里「ぜんぜん、だってそれが衣装作りの役にも立ってるんでしょう?」
 あ、えっと……どうなのかな……。
絵里「ほら、じゃあこっち!」
45:
◆――――◇
ことり「はぅぁ……」トローン
絵里「こ、ことり……?」
 絵里ちゃん、可愛すぎるよぉ……。店から出た今でも、絵里ちゃんの晴れ姿? あれ、なんか違うなあ、まあそんなことどうでも良くて! カジュアル、ゴスロリ、キレイ系だったり、ふわふわしたフェミニンな感じのやつとか、でもかっこいい系のも試してもみたりして――。
 気がついたら二時間も時間が経っていて、絶対絵里ちゃんに迷惑をかけちゃったって反省……。
 でもでも絵里ちゃんを好きなように出来たことを思い出すと自然にニヤニヤしちゃう……ほらやっぱり変態みたいだよっ。
絵里「あんなにはしゃぐなんて思わなかったわ」
絵里「ふふ、ちょっとだけ恥ずかしかったのよ?」
46:
ことり「ごめんなしゃい……」
絵里「ことりの新しい面が見えて良かった! 花陽とかはアイドルのことだと一気に変わるけれど、ことりもそうなのね」
ことり「こ、こんなの人に見せたことないのに……」
絵里「そうなの?」
ことり「穂乃果ちゃん達とはあんまりこういうところ来ないから」
絵里「あ、ならことりのそういうところ知ってるのは私だけ?」
ことり「だ、誰にも言わないで!?」ギュッ
ことり「おね、がい……」
絵里「っ……」キュン
絵里(可愛い……これを男にしてやればすぐ落ちると思うんだけど)///
絵里「二人だけの秘密よ?」
ことり「うんっ!!」
「――あの、少々お時間よろしいでしょうか?」
47:
普段聞きなれない低い声に身体がびくってなってしまう。絵里ちゃんにくっつきながら声の主を確認する。
 ……爽やかなスーツ姿のイケメンさんでした。
 なんだろう……。
「私、芸能プロダクションの者ですが少しだけ話を聞いて頂けませんか?」
 芸能……プロダクション?
 え、スカウト!?
 や、やっぱりすごいな絵里ちゃんは……間近でスカウトされるところを見られるなんて……。
 絵里ちゃんの後ろに隠れると、絵里ちゃんは苦笑いをしながらことりを前に引っ張った。ど、どうして!?
絵里「私じゃなくて、あなたみたいよことり」
48:
ことり「ふぇ……?」
 絵里ちゃんは微笑んでいて、イケメンさんの方を見ると目の前に名刺が差し出されていた。会釈をしながら確認してみる。
 ストーダストプロモーション……あれ、なんか聞いたことあるような……。
 あ、ファッションショーとかで有名なモデルさんがいるところだ。え、どういうことなんでことりこんなの渡されてるの?
「失礼ながら、先ほどからあなたのことを注目していたんです。すごく可愛らしいし、雰囲気もあるなと思いまして」
絵里(おぉ……すごい)
「芸能関係のことに興味ありませんか?」
ことり「え、えっと……」
 ど、どうしよう、どうすればいいの?
49:
イケメンさんはことりが持っている袋を見て。
「――ファッションが好きなんですか?」
ことり「は、はい」
「でしたらファッションモデルなどいかかですか? 色々な服が着れますよ?」
ことり「も、モデル?」
ことり「無理です私には、背も低いし……」
「いえいえ、そんなことありませんよ。自信を持って下さい」
ことり「……」
 どうしていいかわからないまま、モジモジしているとその人はカバンから冊子を取り出した。
「最近注目のこのモデルもウチの事務所なんです」
 それは最近の若者なら誰もが憧れるモデルさんで、ことりだってそれは例外じゃない。こ、こんなすごいところからスカウトされちゃってるの……?
50:
「もし、興味を持って頂けたのなら名刺の番号にお電話頂けますか?」
ことり「は、はい」
「良い返事を待っています、では」
 礼儀正しくお辞儀をされて、それにことりも返してイケメンさんは去っていった。
絵里「すごいじゃない!」
ことり「……」
 実感がわかないよ、だって。
ことり「どうしてことりだったのかな?」
絵里「あなたが可愛いからに決まってるでしょ?」
ことり「……」
絵里「それに、すごい事務所ね」
51:
絵里「どうするの?」
ことり「ことりには無理だよ」
絵里「そんなことないと思うけど?」
ことり「それ以前に、ことりは芸能界とかあんまり興味ないんだぁ」
絵里「そうなの? もったいないわね」
絵里「でも、自信はついたでしょ?」
ことり「え……」
絵里「スカウトなんてよっぽどじゃないとされないわ、あの人も言ってたでしょ? 可愛くて、雰囲気があるって」
ことり「……そうなのかな?」
絵里「ええ」
ことり「ありがとう……」
絵里「どうして私に言うの? 私はなにもしてないじゃない」
絵里「本当は色々考えてたんだけど、ことりが私で着せ替えしてたから時間なくなっちゃった」
ことり「あ……ご、ごめんね?」
絵里「謝りすぎよ」
ことり「うん……」
絵里「じゃあ、違うところ行きましょうか――」
60:
◇――――◆
 その後も絵里ちゃんとオシャレなカフェにはいってみたり、普段行かないようなたかーいお洋服屋さんに入ってふたりでわちゃわちゃしたり、一緒に原宿の街を見て回っていたら。
 今度は――絵里ちゃんがスカウトされてしまいました。なんだかそれがおかしくて、二人で結構長い時間笑っていた気がする。
 そんなことをして過ごしていたら、もう陽が落ち始めていて、そろそろ帰る時間。
 オレンジ色に辺りを照らしだして、なんだかセンチメンタルな気分。
ことり「今日はありがとね?」
絵里「だから何もしてないわ」
ことり「穂乃果ちゃん達以外と遊ぶのも久しぶりで、本当に楽しかった」
絵里「最初はことりと何しよーとか考えてたけど、ほとんど意識しなくて良かったわね」クス
ことり「ことりも! でも絵里ちゃんがおねーさんみたいだから全然大丈夫で安心したよ」
絵里「もう……」
61:
ことり「ね、ねえ……」
絵里「?」
ことり「またことりと二人で遊びに来てくれる……?」
絵里「ええ、もちろん!」
ことり「やった!!」ギュー
絵里「ふふ……まったく」
 今日一日で絵里ちゃんと仲良くなれた気がする。思えば絵里ちゃんとなんて全然関わりが無かったから……。
 そろそろ帰ろうかって笑いあって、駅に向かって歩きだします。
ことり「……」
 遊んでる最中は気がつかなかったけれど、ここ、カップル多いんだね。カップルだらけ、みんな手を繋いで……。
絵里「どうしたの?」
62:
ことり「カップルばかりだなぁって。みんな手、繋いでる」
絵里「そうね……」
絵里「――私達も手、繋いでみる?」
ことり「ふぇ!?////」
絵里「ね、繋いでみよう?」
 ことりが全然状況が判断出来ていないのに、絵里ちゃんはことりの手を取って、微笑んだ。
ことり「……」ポー
絵里「ことり?」
ことり「はっ……」
 どうしよう、絵里ちゃんに見惚れちゃってた? 絵里ちゃんの手、ひんやりしててちょっとだけ気持ちいい。なんか、幸せ。
63:
ことり「こ、このまま駅まで……行きたいな……//」
絵里「ええ」
 ぅ……なんか変な気持ち……。女の子同士だから恋人にはなれないけれど、恋人っていうのはこんな感じなのかなぁ?
 だとしたら、すっごく楽しいんだろうな、絵里ちゃんが男の子だったら多分すっごくドキドキしてる。今でも心臓の鼓動が早いのに。
 絵里ちゃんもちょっとだけ気まずいのか、口数もちょっとだけ減って、いよいよ駅まで来た時でした。
ことり「――あれ、穂乃果ちゃんと、海未ちゃん?」
絵里「本当だ」
64:
ことりたちの視線の先には、いつも見ている幼馴染の二人。手を繋いで、なんだかいつもと雰囲気が違う? ただ仲が良いって感じじゃなくて、なんというか……恋人みたいな! 二人で遊びに来たのかな? 
ことり「む……ことりも誘って欲しかった」
絵里「まあまあ、私達だって他の人を誘わなかったしね?」
ことり「うーん。いいもーん、今度穂乃果ちゃんと二人で遊ぼー、海未ちゃんとも二人で遊ぶもん」ムスー
絵里「あら、私じゃダメかしら?」
ことり「そ、そんなことない!」
 そんなこんなで、絵里ちゃんと初めて遊んだ日でした。
65:
◇――――◇
穂乃果「……海未ちゃん」
海未「いいですか、穂乃果……?」
穂乃果「う、ん」
穂乃果「――んっ、あぁぁあ……♡」
穂乃果「好き……♡好き♡」ギュゥウ
穂乃果「海未ちゃぁぁん……♡」
海未「はぁ、はぁ……痛くありませんか?」
穂乃果「んむ、んっぅ♡も、ダメ……♡」ビクビクッ
穂乃果「んっ♡ぁぁ♡????ッ///」ガクガクガク
66:
穂乃果「はぁっ……ッはぁ……♡」
海未「……大丈夫ですか?」
穂乃果「うん、ごめんね。身体力入らなくて……」グッタリ
穂乃果「声出さないのに、必死で……」
海未「雪穂も下にいますからね」
穂乃果「うん……」
穂乃果「海未ちゃん、大好き」
海未「私もです」
穂乃果「ぅ……」ジワッ
海未「ど、どうしましたか!?」
67:
穂乃果「やだよ、離れたくないよぉ……」
海未「……急にどうしましたか?」
穂乃果「だって、だってぇ……いつかは、離れなきゃならないのかもって考えたらっ……ぐす」
海未「穂乃果……」
穂乃果「海未ちゃんは穂乃果から離れないよね? 大丈夫だよね?」
海未「もちろんです、私があなたから離れる時は、あなたに捨てられた時だけですよ」
穂乃果「そんなことぜったいしない!」
海未「ならずっと一緒ですね」
穂乃果「……///」
穂乃果「うん、一緒!」
68:
◇――――◇
数日後
ことり「絵里ちゃん」
ことり「絵里ちゃーん……」
絵里「どうしたの?」
ことり「眠い……」
絵里「珍しいわね」
ことり「んぅぅ……」コテ
希「なんかえりちとことりちゃん仲良くなったねー」
絵里「そう?」
69:
ことり「すぅ、すぅ……」
希「あらあら……眠っちゃった」
絵里「これから練習始まるのにね」
絵里(寝顔もかわいい……)//
希(なんか、えりちの態度が怪しいなー?)
希(最近ことりちゃんのこと見てることが多い気がするし、なんか、ねえ?)
絵里「ほらことり、起きて?」
ことり「んぅぅ……」
ことり「ふぁ……あ、あれ。寝ちゃってた」パチパチ
絵里「大丈夫?」ナデナデ
ことり「えへへ……///」
70:
ことり「ことりね、絵里ちゃんみたいなおねえちゃんが欲しかったな//」
絵里「アリサと一緒に妹になる?」
ことり「でも、妹が二人だと、絵里ちゃんに思いっきり甘えられないよ……?」
絵里「な、なるほど」
希(なんか気まずい……他の人はまだかな?)
ことり「ねえねえ絵里ちゃん絵里ちゃん、今日のペアことりと組もう?」
絵里「いいわよ」
ことり「やった!」
絵里「……////」
71:
◇――――◇
絵里「希ー、早く帰りましょうよ」
希「ちょっと待ってー、えっと、よしっ」
スタスタ
絵里「そういえばことりってすっごく身体柔らかいのよ」
希「えりちより?」
絵里「多分柔らかいわ」
希「ほー」
絵里「でねことりってね――」
希「なんか最近えりち、ことりちゃんのことばかりやね?」クス
絵里「え、そうかしら」
72:
希「うん、ウチが言うんだから本当。ことりちゃんと二人で遊びに行った頃からかな?」
絵里「あー」
希「もしかして――ことりちゃんのことが好き、とか!?」
絵里「え……」カァァァァアアアアア
絵里「えっ、と……」////
希(え……? 冗談だったんだけど、顔、真っ赤……)
絵里「の、希……」
希「?」
絵里「最近ね、ことりのこと見ると、ドキドキしちゃうの……。わかんないの、なんでかわからない」
絵里「あの日遊びに行って手を繋いで……多分そこから」
絵里「すごく甘えてくるし、可愛いし、本当の妹みたいだし……あの……」
73:
絵里「……私、ことりのこと――好きになっちゃったかも」
希「わお……」
絵里「……//」モジモジ
絵里「な、なんとか言ってよぉ!」
希「いや……うん、えりちが本当に恋する乙女そのものでなんだか新鮮で」
希「まさか相手は女の子で、しかもことりちゃんだなんて」
絵里「うう」
絵里「どうしよう……」
希「アタック!」
絵里「でも……女の子なのよ?」
希「でもえりち、女の子の後輩から告白されてたやん? それと同じやって」
絵里「……」
希「――逆に、このまま友達のままいるなんて、辛いと思わない? なら、当たって砕けた方がいいと思うんよ」
絵里「っ……」
絵里「気持ち悪いとか、思われないかしら」
絵里「しかもことり、彼氏欲しいって言ってたし……」
希「……それはわからない。でもやってみんと」
絵里「……そうね、そうよね」
絵里「応援してくれる?」
希「もちろんっ!」
74:
◇――――◇
ことり「んー……」
 針を通して、よし、完成!
 えへへ、マケミちゃん人形の横にこのお人形さんは置いちゃおー。
 今日作ったのはエリーチカ人形さん。金色の髪の毛ですっごく賢そうに作ってみたんだよ、うふふ、モデルはµ’sのおねーさん絵里ちゃんですっ。
 二人で遊びに行った日から絵里ちゃんと話す機会が急激に増えた気がする。前に比べたら自信もついたし、絵里ちゃんと話していると安心するんだもん。でもついつい甘えすぎて迷惑かけちゃってるよねって反省はするんだけれど……また甘えちゃうの。
プルルルル
ことり「!?」
ことり「もしもし、絵里ちゃん?」
絵里『あ、ことり……』
75:
ことり「なにか用?」
絵里『用って用はないんだけど……』
ことり「……?」
ことり「絵里ちゃんから電話かかってきたの初めてでちょっとびっくりしちゃった」
絵里『最近は電話自体しないものね』
ことり「今暇?」
絵里『ええ、暇だから電話かけたんだけど……迷惑だった?』
ことり「ううん、大丈夫だよ」
ことり「えへへ……ことりも暇だったからさ、お話してよう?」
ことり「絵里ちゃんとお話するの好きなんだー」
絵里『っ……////』
絵里『え!? う、うんっ』
76:
◇――――◇
数日後
 えっと、大丈夫かしら。なにか汚いところとかある? 大丈夫、いつ来ても大丈夫。
ピンポーン
絵里「いらっしゃいことり」
ことり「おじゃましまーす!」
絵里「なにもないけど、ごめんね?」
ことり「ううん、綺麗な部屋! 大人っぽくて絵里ちゃんらしいかも」
絵里「ありがとう」
絵里「いいの? 遊びに行かなくても」
ことり「うん、絵里ちゃんの家来て見たかったの!」
77:
ことり「お泊り、お泊りー!」
絵里「なにかあれば良かったんだけど」
ことり「なにもなくてもいいよ? ことりは絵里ちゃんと居られれば楽しいし」
絵里「……///」
ことり「今日もたくさんお話してようね?」
 私がことりのことを意識して、好きになってから数日が経っていた。私は希に知恵を借りながら、よくわからない恋愛の駆け引きをがんばっている。がんばっているとはいっても、押すことしかできないの。
 電話してみたり、一緒に遊びに行く回数を増やしたり。ことりはそれらを全部快く受け入れてくれて、最近はかなりことりの方からも誘ってくれたり、甘えてくる頻度も高くなっていた。
78:
でもそこから先は……なにも起きていない。いい雰囲気になることなんてないし、今日だって家に来てもらったはいいけれど、何か特別なことが起こるとは思えない。
 これが異性同士なら、どんなに鈍感な人でも気があるって気がついてくれてるはず、その多少の意識さえされれば告白も出来るんだけど……。
ことり「???♪」
 全く意識されているようには、思えない。あくまで友達、甘えてくるのも、いつも電話するのも、二人で柔軟するのも、私の家に来るのも、服を着せあいっこするのも、あくまで友達。
 それ以上でも、それ以下でもない。
 二人でお泊りなんて言っても、ことりにとっては幼馴染のふたりとよくあることなんだろう。対して抵抗のない様子を見るとそうに違いない。
 このまま有耶無耶にしてしまおうかな……もう、無理な気がするの……。こんなことを希に話したらまた叱咤して応援してくれるけど……。
 私は、これから……どうすればいいの?
79:
◇――――◇
ことり「一緒に寝てもいい?」ギュッ
 夜、ことりをベッドに寝かせて、私は布団で寝ようかと思って立ち上がったら、ことりが子猫みたいに私を見上げていた。持参したまくらをきゅぅっと抱きしめて、女の子座りのことりは……もうなんて言っていいのかわからない。
 
絵里「一緒に寝るの?」
ことり「絵里ちゃんと一緒に寝たい!」
絵里「……仕方ないわね」
 そう強がってみるけれど、ダメ。絶対顔緩んでる、だ、だって……無理よこんなのっ……!
 ことりはベッドに潜って、ニコニコしながらぽんぽんとベッドを叩いた。
80:
絵里「……一人用だから、狭いかもよ?」
ことり「いいよ全然」
絵里「あ、電気」
カチッ
 電気は消したけれど、真っ暗にはならない。私特製のスタンドライトがあるから、真っ暗になると……怖いからいつもこの小さなライトで枕元を照らしている。
 ことりには真っ暗が怖いって言ってあるから、今更聞かれることもない。
 ベッドの中は案の定せまくて、お互いが横になってしまったら鼻先一寸の距離に相手の顔があるんじゃないかしら。まだお互い仰向けだから、わからないけれど。
絵里「せまくない?」
ことり「うん、大丈夫だよ」
81:
ことり「えへへ、絵里ちゃん、あったかいね」
絵里「ことりもあったかいわよ?」
ことり「絵里ちゃんのほうがあったかい!」
絵里「いや、ことりの方が」
ことり「……ねえ絵里ちゃん」
絵里「?」
ことり「ことりね、絵里ちゃんとこんなに仲良くなれて良かったって思ってる」
絵里「……私も」
ことり「本当? なら嬉しいな」
絵里「……ことり」ゴロン
ことり「ん?」ゴロン
絵里(ち、近……)
 ことりの可愛いという方向に全て振り切った顔が、すぐ目の前にあった。いつも見慣れているはずの顔だけれど、ゆっくりとその隅々まで視線を移動させる。肌も白くて、本当に綺麗、そしてモチモチ。
82:
ことり「ひゃっ、もうっ」
ことり(あぅ、絵里ちゃんとこんなに近くに……///)ドキドキ
ことり(あ、あれ? なにこれ? なんでこんなにドキドキするの?)
ことり(絵里ちゃんの瞳に、吸い込まれそう……。今まで全然こんなこと、なかったのに……顔見てるだけ、なのに……//)
ことり(収まって、収まってよっ……)ドキドキドキドキ
絵里「……今日はもっと甘えていいのよ?」ナデナデ
ことり「ほんと?」
ことり「……あ、あのね絵里ちゃん」////
絵里「どうしたの?」
ことり「や、やっぱりなんでもないっ!!」プイッ
絵里「えー?」
ことり「今日はもう寝るの!」
絵里「もうちょっとことりと話してたいんだけど……」
ことり「……もう」///
83:
◇――――◇
 絵里ちゃんの家から帰ってきて、荷物を洗濯に出したり、色々と後始末も終わったころです。
 初めての絵里ちゃんとお泊り、お菓子を食べたりお話しているだけだったけど、穂乃果ちゃんや海未ちゃんとのお泊りと同じくらい楽しかったなぁ。
 絵里ちゃんとも一緒に寝れたし!
ことり「……//」
 でも、あれ? 絵里ちゃんの家から帰って来てからなんだか変だよ? 絵里ちゃんの綺麗なお顔を思い浮かべると途端に心臓の鼓動が早くなって、顔まで赤くなってくる。
 風邪かな? どうしちゃったんだろう、ことり……。
 経験のないこの感じに、ことりは戸惑うことしかできませんでした。
84:
◇――――◇
数日後
ことり「絵里ちゃん……//」
ことり「や、やっぱりなんでもないっ」
ことり「ぅう」
絵里「ことり、最近そんなのばかりよ?」
凛「ことりちゃん顔真っ赤ー!」
ことり「う、うそ……」カァァアアア
にこ「ことりは白いからよく目立つわね」
ことり「うう」
穂乃果「なんでそんなに赤くなってるの?」
85:
ことり「べ、別にいいでしょ!?」
 本当だったら遊びのお誘いをしようと思ったんですけど、何故か言えない。メールでしようと思っても手が震えて送信も出来ないの……。
 思えばこんなみんなの中でお誘いをしようとしてたなんてどうかしてた、ふたりきりの時の方が良いに決まってるのに。
 ふ、ふたりきりなんて無理だよぉ……。だって、絵里ちゃんの顔見るだけでドキドキして、顔が沸騰しそうになって。
 こんな気持ち、初めて。一体この気持ちは、なんなの……?
 絵里ちゃんの顔が極力目に入らないように、俯いていると。
絵里「……」
絵里(最近、避けられてる……?)
絵里(どうして……?)
希「ことりちゃん」ボソッ
ことり「……?」
希「あとで少し話があるんやけど」
 なんだろう……。希ちゃんから話って。
86:
◇――――◇
 
 今はことりたちが使っている生徒会室。希ちゃんは窓際に立って、待っていた。
ことり「話って?」
希「――えりちと喧嘩でもしたん?」
ことり「え?」
希「いやこんなこと言うのはお節介かもしれないけど、えりちから相談されたんよ」
希「ことりから避けられてるかもしれないって」
ことり「え……」
ことり「そ、そんなことないよっ!!!」
希「そうなの?」
ことり「避けてるとか、絶対ない!」
88:
ことり「……でもね、なんだか絵里ちゃんといつ通り話したり出来ないの……」
希「?」
ことり「絵里ちゃんと初めてお泊りした日にね、一緒のベッドで寝たんだ。そこで顔がすっごく近くなって……なんだかドキドキしちゃって」
ことり「それからね、絵里ちゃんのこと考えるだけでドキドキするし顔なんてみちゃったら顔が沸騰しそうになるの」
希(さっきも真っ赤だったね……)
ことり「だから……直接見ないようにとかペア組まないようにとかしてたの」
希「……ふふ」
希(なあんだ、両想い、か。でもことりちゃんは、恋とかしたことないみたいだし、自分の気持ちにも気がついてない……ふむふむ)
ことり「え、絵里ちゃんに悪いことしちゃったかな? 謝った方がいいかな?」
希「……ことりちゃんは、えりちのことをどう思ってるん?」
89:
ことり「どうって……」
ことり「優しくて、かっこよくて、頼りになって、時々可愛いところもあって……一緒にいると安心するし、それに、それに――」カァァァアアアア
希「……それは好きっていうことじゃないのかな」
ことり「す、き?」
ことり「絵里ちゃんのことは好きだよ?」
希「ううん、そういう好きじゃなくて……」
希「――恋愛感情の、好き」
ことり「れん、あい?」
希「うん」
ことり「――ちょ、ちょっと待ってよ! 絵里ちゃんは女の子だよ!?」
ことり「ことりだって女だし、つまり女の子同士だよ?」
ことり「恋愛感情なんてあるわけ……」
希「そっか。でもねことりちゃん」
希「ちょっとだけ恋愛感情があるかもしれないって意識してみて? それだけでいいから」
ことり「……」
91:
◇――――◇
ことり「恋愛感情……?」
ことり「そんなのわかんないよ……」
ことり「あれ……絵里ちゃんだ。あと、誰かいる?」
 階段の踊り場、絵里ちゃんの綺麗な髪の毛が見えた。そしてその奥には誰かが頭を下げているのが見えた。なんだろう、絵里ちゃん怒ってるのかな?
 しばらくそれを見ていると、少なくとも絵里ちゃんが説教してるとかではないみたい。それどころか絵里ちゃんまで頭を下げ始めた。
ことり「?」
 するともう一人の生徒は涙を拭うようにして、去っていった。
92:
絵里「……あんまりいい趣味とは言えないわよ?」
ことり「え!?」
 気づかれてた。
ことり「なにしてたの?」
絵里「――告白されてたの」
ことり「っ……」
絵里「断っちゃったけどね?」
ことり「そっか」
絵里「……時々あるの」
 時々あるんだ、なら今後も魅力的な人に告白されることもあるってこと? そうしたら絵里ちゃんがオッケーしちゃったら……。
 もう二人で遊べなくなるの?
 絵里ちゃんの家にお泊りも出来ない?
94:
そんなの、嫌だよっ。
 そんなことを考えているうちに、ことりの心の中は嫉妬と不安で埋めつくされていました。絵里ちゃんに甘えられなくなる? 他の人が絵里ちゃんの笑顔を独り占めしちゃうだなんて、考えられなくて。
 今のことり、図々しい気持ちでいっぱい……。
 これが、恋愛感情……?
 目の前の人にことりだけを見て欲しくて、でもそんなの……人気者の絵里ちゃんがしてくれるはずなくて……。
 そもそも絵里ちゃんは女の子だから女の子のことなんて見てくれるわけない。だから女の子から告白されても断り続けてるんだもん。なんで、ことりはこんなイバラの道を選んでしまったのかな?
95:
恋をしたってことを自覚して、でもすぐに、もうその恋は叶うことはないって知って――涙が出そう。
ことり「ぅ……」
絵里「え、ど、どうしたの!?」
ことり「っ!!」
絵里「ちょっと!!」
 今までにないくらい胸が苦しい、弱いことりはそんなことにも耐えられない。気がついたら走っていて、逃げ出していたんだ。
絵里(なんで、避けるの……?)
絵里(私、嫌われてる、の?)ジワッ
96:
◇――――◇

ことり「……」
 ご飯も喉を通らなくて、お風呂もすぐにあがっちゃった。
 なにをするにも気力が湧かないってこのことなのかな?
 なにをしていても、絵里ちゃんの顔が浮かんでくる、絵里ちゃんと手を繋いだ時のことで埋めつくされる。
ことり「絵里ちゃん……」
 身体がポカポカって火照ってくる。おかしいな、もう夏はとっくに終わっているのに……。絵里ちゃんのことを想えば想うほど、不自然に身体がポカポカして……そして、なんだか股の辺りがむずむずしちゃう。
ことり「なに、これ?」
97:
 自分の身体なのに、どうなっているのか全くわかりません。
 どうしていいのかわからないはずなのに、手は自然に股の方に伸びて……。
ことり「んっ……♥︎」
 な、なにこれ? 身体がちょっとだけ跳ねちゃった……。
 どうなってるのか不安になって、下着の中にすっと手をすべりこませる。
 薄く毛が生えているところをかき分けて、ソコに指を這わせてみる。
ことり「あっ……♥︎」ビクッ
ことり「え……?」
98:
気持ち、いい?
 待って、これって……一人えっち、だよね?
 一人であそこを弄って、気持ちよくなるってやつ。
 ことり、えっちな気分になってるってこと?
 
 今までこんな経験なくて、それでも股のむずむずと身体の火照りは収まるどころかさらに激しくなってきている。
ことり「もう、一回……」
ことり「ひゃぁ……♥︎」
ことり「はぁっ、はぁ……」
 気がつけばことりの手はソコを何度も往復していて、その度に身体がぴくんて跳ねていた。声を出すつもりなんてないのに、気持ちいいって感覚が自然に声を漏れさせている。
99:
ことり「んっ、ぁぁ……絵里、ちゃん……♥︎」
 絵里ちゃんのことを考えて、絵里ちゃんがこんなことしてくれるのかななんて考えて、「気持ちいい」に全てを預ける。
ことり「気持ち……ぃ……♥︎」トローン
 こんなえっちな声出したことないよ? ことり、すごくえっちな気分だし、きっと変な顔になってる。
 最低だよね、好きな人のことを考えながら一人えっちなんて。
 でも次々押し寄せてくる「気持ちいい」には、勝てなくて……。
 こんなことり、友達としても嫌われちゃうよ?
 そんなの嫌だけど、でも。
ことり「んん♥︎あっ、やっ♥︎」
100:
 辺りがふわふわって変な風になる、自分が出してる声すらわからなくなるけれど、意識の混濁とは対照的にシーツを自然にぎゅぅってしちゃってる。
 足腰に力が入っちゃって、自然にぐぐって腰もあがっちゃってる。手の動きは最初の頃と比べものにならないくらい早くなってる……もっと気持ちよくなりたい。
ことり「んっ♥︎?????っ♥︎」ビクビクビク
 ふわふわしていたのが一気に弾ける、そのエネルギーが全部「気持ちいい」に変わって、声を我慢しようととっさに口で手を覆っていた。
101:
むずむずが収まって、火照りも徐々に収まって来ている。一人えっちって……こんなに気持ちいいんだ。
 ふと右手をみると、なぜかびちゃびちゃになっていた。なんで……濡れてるんだろう……?
 幸福感に包まれていたのは一瞬で、絵里ちゃんに対して申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまう。
ことり「最低だよ……こんなの」
ことり「ぅぅ……」
ことり「どうしよう……ことり……えっちな子になっちゃったよぉ……」ウルウル
108:
◇――――◇
二日後
絵里「……ねえことり」
ことり「ぁ……」ウツムキ
絵里「……」
絵里「ことりに、話があるの」
ことり「え?」
絵里「大事な話よ。だから……今日の放課後、学校の校門辺りで待っていてくれない?」
ことり「大事な、話?」
絵里「ええ……とっても大事な話よ」
ことり「……うん」
 大事な話って、なんだろう。ふたりきりだよね。今でさえ恥ずかしくて絵里ちゃんの顔見れないのに、ふたりきりなんて……。
109:
◇――――◇
ことり「あれ、二人がいない?」
 授業中も放課後のことで頭がいっぱいでほとんど集中なんて出来ませんでした。
 だからせめてお昼の時だけはいっぱい食べていっぱいお話して忘れよーって思ったんだけど。
 穂乃果ちゃんと海未ちゃんの姿が見当たりません。
 んー、購買行ってきた間にどこかいっちゃったのかなー?
 一通り探してみようかな。
 まずは二年生のフロアを散策、適当に空き教室ではしゃいでるかもなんて思いながら探してみます。
 空き教室になんているわけないねーなんて思って、ここにいなかったら他の人と食べればいいかって思っていたんだけど。
「あっ……あんぅ……」
110:
「やだ、早くしてよぉ……」
「あああぁ……ん」
 え……?
 なに、この声……。
 えっちな声……しかも――聞いたことある、声……。
 あの子がこんな声出す? そんなわけないよ? しかもこんなところで。
 恐る恐る、ことりはその教室のなかを覗いてみました。
穂乃果「はぁ、はぁ……海未ちゃぁん……穂乃果、もう我慢出来ないよ」
穂乃果「なんでいじめるの……?」
海未「穂乃果が可愛いからですよ」
111:
海未「んっちゅ……ちゅる……ん」
穂乃果「はむ……ちゅるる……じゅ……んあ」
海未「一週間お預けしてましたからね」
穂乃果「はや、くぅ……」
海未「気持ちよくなって下さいね?」
 なにが起きているのか、理解なんて出来そうになかった。
 ただ目の前で行われる情事を、無心で見つめていた。あそこにいるのは違う生物、ことりが知っている海未ちゃんと穂乃果ちゃんではない。
 海未ちゃんが穂乃果ちゃんの股をまさぐる度嬉しそうな声をあげて絡み合う。女の子同士で。女の子同士で……えっちをしてる。
 ぞわりと背筋が震えた。
 女の子同士っていうのを、ことりの本能が、否定しているような気がしたんだ。
 ――キモチワルイ……。
113:
もうよくわからないまま、後ずさり。
ガタン
ことり「きゃっ」
海未「!?」
穂乃果「え!?」
ことり「あ……」
 掃除用具にぶつかって、大きな音がたった。それに気がつかないわけがなくて、絡み合っていた二人と、目が合う。
海未「こ、とり」
穂乃果「ぁ……ああ」
 一瞬の間のあと、ことりはすぐに足を動かして、走った。
114:
なんだか最近、逃げてばかりな気がする。
 息をあげたまま教室にたどりついて、自分の席に置いてあったパンをがむしゃらに口に入れる。
 人の目なんて気にしない。
 あれは現実だったの? 
 ああいうことをするってことは二人は恋人? 思えば二人はずっと仲が良かった、絵里ちゃんと二人で遊びに行った時も手を繋いでいた。
 こんな身近に、女の子同士のカップルがいただなんて。
 口の中に広がる甘いパンの味、コーヒー牛乳でそれを打ち消して、また次のパンを口に運ぶ。
 どうしてみんなことりのことを見ているの?
「ことりちゃん……どうして泣いてるの?」
115:
◇――――◇
穂乃果「こ、ことりちゃん……ちょっといい?」
ことり「……」
海未「ことり……」
ことり「――あ、ねえねえ凛ちゃんっ」
穂乃果「……っ」
希「……」
凛「なあに?」
ことり「最近すっごく服可愛くなったよね?」
凛「そ、そう?//」
ことり「うんっ」
 あれから穂乃果ちゃん達と話すことはなかった。なんて話していいかもわからないし、話していたらきっとあの場面が思い浮かんでしまうから。
 今だって話しかけられそうだったけれど、こんなに人のこと避けるなんて……初めて。
 本当だったら練習だって休みたかった、でも絵里ちゃんの話があるもんね。
116:
◇――――◇
希「ことりちゃんと、なにかあったの?」
穂乃果「……希ちゃん」
希「二人してことりちゃんに避けられてるような気がして」
海未「……色々ありまして」
希「そう……」
希「解決は出来そう?」
海未「わかりません、でも……努力はします」
希(ことりちゃんが露骨に避けるなんて……えりちの時は恥ずかしくて避けていただけみたいやけど、今回は……)
希(そろそろえりちがことりちゃんと話をつけるころかな? 場合によっては告白して、砕けるつもりって言ってたけど……まあ順当に行けばカップル成立やね)
希(でも……なんだか、嫌な感じやね……)
117:
そういえば、希ちゃんに相談してたんだっけ……。そっか不安な思いさせちゃってたんだ……。
絵里「……////」
ことり「絵里ちゃんはおねーさんみたいで、ひとりっ子のことりが唯一甘えられる相手だし、一緒に話してて楽しいし、お泊りだってまたしたいな!」ニコッ
絵里「ことり……」
ギュッ
絵里「……」
 えりちゃんとの距離はゼロになっていた。ぎゅぅっと強く抱きしめられて、持っていたカサが逆さまになって落ちる。
 ああ……幸せ。なんで抱きしめてくれているんだろう? あったかい……やっぱりことり、絵里ちゃんのこと好きなんだ……。きゅぅって痛くなる胸も絵里ちゃんに抱きしめられた瞬間ウソのように消え去っていた。
 女の子同士でも、絵里ちゃんとなら――。
絵里「ことり……私ね、ことりのこと……」
118:
ぞわり。
 ぞわり。
 突如として、あの嫌な感じが身体を駆け上った。穂乃果ちゃんと海未ちゃんが絡み合っている時におきた背筋が凍るような感覚。
 絵里ちゃんに抱きしめられて、嬉しくて、暖かいはずなのに。
 絵里ちゃんのことを、好きなはずなのに……。――嫌だ、離して、離して絵里ちゃんっ。
絵里「ずっと、好――」
ことり「――いやぁあああ!!!!!」
ドンッ‼︎‼︎
119:
絵里「きゃっ!!」
 あれ、ことりは絵里ちゃんに抱きしめられていたんだよね? どうして絵里ちゃん……尻もちをついているの?
 なにがおきたか、わからなかった。しばらく間が空いて、絵里ちゃんのことをことりが突き飛ばしたってことを理解した時、冷たい雨が頬を濡らした。
 確かに残る感触。絵里ちゃんの厚い胸を思いきり突き飛ばした、感触。
ことり「あっ……あぁ……」
 冷たい、寒い、嫌だ、嫌だよ。こんなの本心じゃないよ? 絵里ちゃん、ことりは絵里ちゃんのこと大好きで――。
絵里「……ごめんね」
 立ち上がった絵里ちゃんは泥まみれで、少しだけ微笑んでいた。やめて、怒ってよ。そんな風に悲しく笑うなら……ことりのしたことを怒ってよ……!!
 絵里ちゃんが背を向ける。待って、待ってよ。
 それが口に出せれば絵里ちゃんのことを好きだって言えれば……。
 口も身体もカチコチに凍ってしまって、ことりはただ雨の中、遠ざかる絵里ちゃんの背中を見つめていただけだった。
 視界から消えた後は、もう一生会えないんじゃないかって。秋の空の向こう側に飛んで行ってしまったんじゃないかって。
120:
◇――――◇
希『えりちから電話なんて珍しい』
絵里「うん……」
希『どうしたん?』
絵里「……」
絵里「――あはは……ことりにフられちゃった」ポロポロ
123:
◇――――◇
週末明け
ことり「練習休んじゃった……」
ことり「学校は行かなきゃね」
ことり「よし、準備オーケー」
 練習は、形としてはサボったってことになっちゃう。絵里ちゃんにどんな顔をして会えばいいかわからないし、それに穂乃果ちゃんや海未ちゃんとも。
 結局、なんでことりは絵里ちゃんのことを突き飛ばしてしまったんだろうってこの土日ずうっと考えていた。
 ――怖かったんだ、穂乃果ちゃん達のを見て。ことりもあんなになってしまうのかもしれない、穂乃果ちゃん達を……否定するわけじゃないけれど絵里ちゃんとあんなことをする日が来るのかもって。
 そんなことを考えてしまうのは、ことりがえっちだから?
124:
女の子に欲情しちゃう変態だから?
 絵里ちゃんのことは大好きだけれど、女の子同士ってことを考えてしまったら……本能というか……トラウマっていうか……そういうよくわからないものが……ことりを動かしたんだって。
 もう、絵里ちゃんに嫌われてしまった。取り返しのつかないことを、してしまった。
 憂鬱な気分のまま、ローファーを履いて行ってきますと一言。
ガチャ
穂乃果「おはよう!」
海未「おはようございます」
ことり「え……なんで二人が?」
126:
予期しているわけがない。だって、ことりの家は穂乃果ちゃん達とは駅をはさんで反対側だから登校のついでに来るなんて出来ないはず。
海未「……ちょっと、お話しませんか?」
ことり「……」
 肩をすくめるようにして言う海未ちゃんを見て……二人を避けていたのを後悔した。この二人も絵里ちゃんみたいに傷つけてしまったのかもしれないんだもんね。
 二人にはさまれて、いつもの通りを歩き出す。
穂乃果「ことりちゃんの家来るの久しぶりー」
ことり「そういえば最近来てないもんね」
ことり「……」
穂乃果「……」
海未「ことり……」
ことり「なあに?」
 海未ちゃんの足が止まる。
127:
海未「あんなところを見せてしまって、ごめんなさい」
ことり「……」
穂乃果「穂乃果も……ごめんね?」
海未「私と穂乃果は、その……恋人なんです」
ことり「……そうだよね」
海未「隠していて、ごめんなさい」
ことり「ううん、いいよ。もしことりが同じ立場でも、隠すと思うから……」
穂乃果「ことりちゃん、本当にごめんね……?」
穂乃果「……気持ち、悪かったよね?」
海未「……」
ことり「……」
穂乃果「っ……」
ことり「ふたりにいくつか聞いてもいい?」
128:
海未「はい」
ことり「……女の子同士で恋愛するのって、どんな気分?」
穂乃果「えっと……」
穂乃果「普通のカップルよりは、辛いこともあるよ、確かに」
穂乃果「先のことが怖くて、泣いちゃうことだってあるよ?」
穂乃果「でも穂乃果は――幸せだよ?」
ことり「っ……」
海未「私も同じです。世間の風当たりも強いですし、人前では言うことは出来ません。でも、穂乃果と一緒なら辛いことも……きっと乗り越えられるって思っていますから」
ことり「……おかしいよ」
海未「おかしいかもしれませんね。でも、穂乃果を好きになって後悔したことなんて、ないんです」
海未「それによくわからない男の人に穂乃果を渡したくありません、そんな人より、私の方が――穂乃果を幸せにしてあげられます」
穂乃果「……///」
ことり「……」
129:
迷いなく答えるふたりに、もう気持ち悪いだなんて、微塵も思えなかった。自分の信じたい道を貫いて、お互いで支え合って、そんな二人を羨ましい、だなんて。
 
 ことりにも勇気があれば、女の子同士っていうタブーを恐れないで、自分のことを信じて貫ける強さが、あれば……。絵里ちゃんを突き飛ばすことなんてなかったのかな。
 二人は強かったから、結ばれてる。どっちかが一歩を踏み出したから。
ことり「ごめんね、気持ち悪いなんて思っちゃって……」
海未「いえ」
ことり「すごいよ、二人とも」
海未「え?」
ことり「二人が、羨ましいや……」
ことり「――ことりはふたりのこと、応援してるから!」
130:
穂乃果「ことりちゃん……ありがとう」
海未「ありがとうございます」
ことり「ううん」
海未「それで、ことり」
ことり「?」
海未「羨ましい、とは?」
ことり「え!?」
海未「どういうことでしょうか……」
穂乃果「穂乃果も聞いたよ! もしかして好きな人がいるとか!?」
ことり「え、え!?」
131:
◇――――◇
 結局穂乃果ちゃんの大胆な攻撃と、海未ちゃんの的確な攻撃にことりの嘘はすぐに見抜かれてしまって遅刻ギリギリまで絵里ちゃんのことを聞かれてしまっていた。
 聞くところによると、土日の練習はことりだけじゃなくて絵里ちゃんも休んでたんだって。絶対ことりのせい、謝らなきゃ……。
穂乃果「おい、おーい」ツンツン
ことり「もお、なに!?」
穂乃果「絵里ちゃんに告白しよーよー」
ことり「だ、だから……//」
海未「まずは謝るところからですね」
ことり「うん……」
穂乃果「ことりちゃんも女の子のこと好きだったなんて、えへへ」
ことり「むぅ……//」
 絵里ちゃんのことを穂乃果ちゃん達に骨抜きにされた後は、そんなの両想いなんだから早く謝って告白しよーよコールが続いていた。
132:
待ってよ、ことりにそんな勇気……。
海未「ことりなら出来ますよ、ダメだったら私たちがいくらでも慰めてあげます」
穂乃果「ことりちゃんは可愛いんだから、勇気持って!」
 そういえば最近自分の容姿のことでネガティブになることも減った気がする。絵里ちゃんが原宿に連れて行ってくれた日からなのかな? 
 絵里ちゃんも執拗に自信を持てって言ってくれてたよね。なら、ことりが自分に自信を持って、勇気を出して告白したら……喜んでくれるかな?
ことり「二人がそこまで進んでるなんて、思わなかったなぁ」
穂乃果「ぅ」
ことり「二人ともえっちなんだねっ!」
海未「そ、そんなにニコニコして言うことじゃ……///」
 精一杯の仕返しでした。
133:
◇――――◇
ことり「……希ちゃん」
希「もちろんいいよ」
希「ウチはふたりのこと、ずっと応援してたんやから」
希「……えりちなことりちゃんにフラれたってことで昨日家に来てずっと泣いてたんよ」
ことり「……え」
ことり「フられた……?」
ことり(絵里ちゃんは、ことりに告白しようとしてた……? そんな、まさか……)
希「ことりちゃんにどんな顔していいかわからない、嫌なこと無理やりしちゃったって」
ことり(そんな、こと……)
ことり「っ……」
希「だから、友達としてえりちのこと……よろしくお願いします」
ことり「うん……頑張る」
希「練習前の屋上でいい?」
ことり「うん」
希「そう言っておくね」
134:
◇――――◇
 ここまで来るのになんだかすごく時間がかかったような気がする。階段の一段一段がとても大きく感じて、絶対いつもの何倍も疲れちゃってる。それは、やっぱり緊張しているからかな?
 この扉を開ければきっとあの人がいる、初めての恋を教えてくれた人。可愛くて綺麗でかっこよくて……。
 心の準備は大丈夫? ちゃんと話せる? ちゃんと謝れる? ちゃんと――告白できる?
 うん、大丈夫。
ガチャ
ことり「……絵里ちゃん」
 扉を開けたすぐ左側柵にもたれかかるようにして、その人は立っていた。希ちゃんが言っていたように、泣き腫らした目がとても目立っている。
ことり「ごめんね、呼び出しちゃって」
絵里「ううん大丈夫よ」
135:
絵里「……今日は、どうして?」
ことり「謝りたくて」
ことり「金曜日は、ごめんなさい!!」
ことり「制服も泥だらけになっちゃっただろうし、絵里ちゃんに本当に悪いことしたって……ごめんね?」
絵里「いいのよ。悪いのは私だから……」
絵里「こちらこそ、ごめんなさい。急に抱きついて気持ち悪かったわよね……」
絵里「話は終わり?」
ことり「え、いや……」
絵里「もうしないから――本当にごめん」
 絵里ちゃんはことりの横を早足で通りすぎていく、一回もことりの顔を見てくれることなく。
136:
ここでこのまま見送ったら、前と同じだよ? 何事にも勇気がない、南ことりのままだよ?
ことり「――待ってよ!」ガシッ
絵里「え」
 絵里ちゃんの腕を強く掴んで、ぐっと引き寄せて、そして……。
ギュッ
 絵里ちゃんがしてくれたみたいに、強く、強く抱きしめる。
 勇気が出るきっかけを作ってくれたあなたに、見せたいの。ことりはこんなことも出来るんだって、あなたのためなら恥ずかしさとか女の子同士のタブーとかそういうのも全部、踏み越えていけるんだって。
絵里「ことり……?」
ことり「――好きなの! ことりは絵里ちゃんのこと、大好きなの!」
絵里「え」
絵里「どういう、こと?」
137:
ことり「絵里ちゃんはいつも優しくて、ことりのことを考えてくれてて、甘えさせてくれて、一緒に遊んだり、お泊りしたり服の着せあいっこしてるうちに、気がついたら好きになってた」
ことり「本当はね絵里ちゃんに抱きしめられて、すっごく嬉しかったんだ」
ことり「でも……好きだったはずなのに、女の子同士っていうおかしいことに踏み込むのが、怖くて……」
ことり「今なら怖くないの、絵里ちゃんと一緒ならそんなことどうでもいいって思えるの。これも全部絵里ちゃんがきっかけを作ってくれたからだよ?」
絵里「……」
ことり「だから……」
 絵里ちゃんを離して、目を見る。
ことり「――ことりと付き合って下さい」
絵里「……」
138:
ほら伝えられたよ。絵里ちゃん、ことり、こんなに強くなったよ?
 あとは絵里ちゃんのお返事を、待つだけだね。喉はからから、心臓もばくばく。冷や汗だって出てくる。
 絵里ちゃんの答えを待っていると……。
絵里「ううぅぅ……」ギュゥウ
ことり「え、え?」
 涙を流しはじめた絵里ちゃんに抱きつかれてしまいました。ど、どういうこと!?
絵里「えっぐ……ずっと、私、ことりのこと……好きで……ううう」
絵里「この前こぐはぐ……しようとして、突き飛ば、されてぇ……ぅぅあああ……」
 今……ことりのこと、好きって言った……? 今までにないくらい号泣する絵里ちゃんの言葉はよく聞き取れない。
139:
ことり「……ことりのこと、好きって言った?」
 言葉を発せないくらい取り乱しちゃってる絵里ちゃんは、ことりの問いかけに、肩口で強く何度も頷いた。
ことり「……ことりと付き合って、くれる?」
 ――一際強くなった嗚咽のなかに、はっきりと、うんって聞こえた。
ことり「そっか……じゃあことり達、恋人だね」ナデナデ
ことり「初めての恋人が絵里ちゃんで、嬉しい」ギュッ
 あらら、絵里ちゃん泣き止む気配ないよ。たくさん不安にさせちゃった証拠だね……ことりもこうやってたくさん甘えて来たんだから今日は甘えさせてあげちゃおう。
 それが恩返しになればいいな。
 まあ……また明日からはことりが甘えちゃうんだけどね?
 ふたりしてボロボロになりながら、私たちは無事新しい関係を築くことが出来ました。
140:
◇――――◇
ことり「えっとぉ……」
ことり「ここをサイドは内巻きと外巻きをランダムにして……」
ことり「あーん……後ろもやらないとー」
 ストレートにする以外普段はあんまり使わないストレートアイロンと格闘中です。今回はついに初めてのデート、自分をよく見せるための努力を最大限にしていくの!
 サイドの内巻き外巻きのランダムミックスが終わって、後は肝心の後ろ。難しいんだよね……でも鏡をいくつか使いながらこれも終了!
 時間は……や、やばい!!
 えーっと、カールアイロンどこー!?
ことり「あぅ、カールアイロンどこぉ!?」
141:
ことり「あ、あった……」
 胸元に落ちてくる髪の毛をくるくるって巻いていく、こっちはあんまり複雑な操作はいらないから時間はかからない。ちょっと感覚掴むのに時間はかかったけれどね?
 そしてゆるーいワックスをにぎるようにしてつけて……。
 スプレーは……あれ、このスプレーじゃないっ! これはアップスタイル用だし……これこれ。
 スプレーもすぅーっと吹きかけて、完了です。
 鏡を見てくるり、うん、大丈夫。秋らしいふわふわした内外ミックススタイル。
ことり「時間は……うわ、ギリギリだよぉ!!」
 急いで荷物を確認、靴も履いて……。
ことり「行ってきまーす!」
 外に出ると、うん、快晴! 風も吹いてないから髪型がくずれることもないよね。メイクに髪型に、二時間はかかっちゃったけど……これも全部絵里ちゃんに可愛く見られたいもん!
 今日はどこへ行こうかな……絵里ちゃんとならどこでもいいかな。
142:
◇――――◇
ことり「――そこのお嬢さん」
絵里「え?」
絵里「あ、ことり!」
ことり「せーふ!?」
絵里「あうと、よ?」
ことり「ええ!?」
絵里「四分遅刻よ」
ことり「そんなぁ……」
絵里「うふふ、冗談よ」
絵里「……」ジロジロ
ことり「変、かな?」
絵里「いや、いつもと雰囲気違って……いや本質は同じだけど」
絵里(髪の毛もいつもよりふわふわしてるし、服装もふわふわ系だし……すっごい可愛い……)
143:
絵里「可愛いわ、本当に」
ことり「ほ、ほんと……?」
ことり「嬉しいっ」
絵里「今日はどうしましょうか」
ことり「うん、えっとね……」
 絵里ちゃんの瞳の色と同じ、アクアブルーの、秋の空の向こうに、あなたはもういない。変わりに……こんなに近くで笑ってくれている。
 プランタンは純情宣言! をしたはずなんだけど……穂乃果ちゃんは絶対純情じゃないような……なんて。あと、ことりもまだ時々絵里ちゃんでえっちなこと、考えちゃったりもするから……純情ではないのかなあ?
 そもそも純情ってなんだろうね?
144:
えっちなことを考えていなければ純情? ことりは、好きな人がいてその人のことを想うと顔が熱くなっちゃうって感じが純情だと思うんです。そりゃあ時々えっちな気分にはなるけれど、ことりはまだ純情の範囲内だよね?
 どんどん深まる秋。秋っていえば落ちる葉っぱなんかにセンチメンタルな気分になっちゃうよね……。でも今のことりはそんな秋色冬色の日々とは程遠いんじゃないかなあって思うの。
 
 今は秋だけど、ことりの場合は春色デイズ! はは……なんちゃって。
 でも、まさに春色。突然やってきた春色の日々に、ちょっとだけ困惑しながらことりは必死でがんばってます。
 それにしても……うーん、ことりは行きたいところはないんだよね……でもでも、そういうのが一番困るっていうし……。あ、そうだとりあえず絵里ちゃんの意見も聞いておこう。ことりが選ぶとまた絵里ちゃんファッションショーになっちゃうかもしれないしっ。
 今度穂乃果ちゃん達とダブルデートだっ! ていう企画もあったりして。まだまだ絵里ちゃんと一緒にやりたいことがたーくさん。
 ね、絵里ちゃん。今日はどこへ行こっか?
おわり。
145:

素晴らしい
146:

14

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