結衣「一日一万回、感謝のやっはろー!」八幡「短編集?」back

結衣「一日一万回、感謝のやっはろー!」八幡「短編集?」


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1:
俺ガイルのSSです。
下記作品の設定を受け継いでいますが、本編との繋がりは一切ないという扱いです。
一作目:結衣「一日一万回、感謝のやっはろー!」八幡「は?」
二作目:結衣「一日一万回、感謝のやっはろー!」雪乃「勘弁してくれないかしら」
4:
?「ソードマスターユイ」 最終話 希望を胸に
すべてを終わらせる時……!
結衣「くらえとべっち! 新必殺、矢ッ覇露ー斬!!」
戸部「っべー、俺は実は一回刺されただけで死ぬんだよなー!」
ザン!
戸部「グアアアアア!」
戸部「こ、このザ・フジミと呼ばれる四天王の戸部翔が……こんな小娘に……」
┣¨┣¨┣¨┣¨ド!
戸部「べ、っべーわああああ!!」
5:
大和「戸部がやられたようだな……」
大岡「フフフ、奴は四天王の中でも最弱……」
材木座「小娘ごときに負けるとはモブ男集団の面汚しよ……」
結衣「やっはろ──!!」ドシャアアア
三人「グアアアアアアアアア!!」
八幡「やった、ついに四天王を倒したぞ! 葉山が留学していなくなってて助かった!」
雪乃「平塚先生との留学の話はやはりフラグだったのね……」
結衣「これで魔王ハルノのいる魔翌龍城の扉が開かれるね!!」
6:
陽乃「よく来たね、ソードマスターユイ……待ってたよ……」
結衣「!!」
結衣(こ、ここが魔翌龍城だったなんて……!)
結衣(感じる……はるのんの魔翌力を……)
陽乃「ガハマちゃん……戦う前に言っておくことがあるわ」
陽乃「あなたは私を倒すのに「本物と呼べる何か」が必要だと思ってるらしいけど……」
陽乃「別になくても倒せる」
結衣「な、何ですって!?」
7:
陽乃「そしてガハマちゃんのお友達の金髪の子と眼鏡の子は痩せてきたから最寄りの町へ解放しておいたよん」
陽乃「あとは私を倒すだけだね、ふっふっふ……」
雪乃「ふ、上等よ姉さん。私も一つ言っておくことがあるわ」
雪乃「比企谷くんに何か助けてもらいたいことがあったような気がしたけど、別にそんなことはなかったわ!」
八幡「俺も本物と呼べる何かを探してたけど、必要ないなら別にいいぜ!」
陽乃「あらそう」
結衣「行くよ、やっはろ──!!」
陽乃「さあ来て、ガハマちゃん!」
感謝のやっはろーが世界を救うと信じて……!
ご愛読ありがとうございました!
9:
?「サッカー」
結衣「ゆきのーん、ヒッキー、サッカーやろう!」
八幡「さて、俺はお腹が痛くなる予定があるんで先に帰るぞ」ガタッ
雪乃「奇遇ね比企谷くん、実は私も同じなの」ガタッ
結衣「よし、じゃあ行こう!!」ガシッ
八幡「おい由比ヶ浜。掴むならせめて首じゃなくて腕にして待って息が息が」ギブギブ
雪乃「比企谷く──ん!!」
10:
試合開始──
結衣「やっはろードリブル!!」ドドドドドドドド
戸部「ぐああああああああああああああああああ!!!」ピューン
大和「戸部ェ────!!!」
大岡「戸部……いい奴だったのに……」
葉山「マズイ、このままでは結衣にゴールを決められてしまう!」
八幡「他に気にすることがあるだろうが!!」
11:
結衣「やっはろーシュート!!」ゴォォォオオオ!!
八幡「ぎゃああああああああああああああああああ!!!」ピューン
雪乃「比企谷く──ん!!」
戸塚「はちま──ん!!」
結衣「止められちゃった……でもボールが跳ね返ってきたよ!」
葉山「さぁ来い結衣! サッカー部部長の誇りを賭けて、全力で止めてやる!!」
結衣「うん、行くよ隼人くん……矢ッ覇露ー衆ー斗!!!」ゴォォォオオオ!!
12:
葉山「うおおおおおおおおおおお!!」ゴゴゴゴゴゴゴ
大和「止めた!?」
大岡「いや、押されてる!」
三浦「頑張って隼人!!」
葉山「それでも、守りたいゴールがあるんだああああああああ!!!」
ゴウ!!!
海老名「と、止めた!!?」
結衣「まさか、そんな……!!」
13:
大和「さすが隼人くん!!」
大岡「俺は出来るって信じてたぜ!!」
三浦「隼人──!!」ダキッ
葉山「優美子……ああ、俺はやったよ……!!」ダキッ
八幡「畜生……こんな青春ラブコメ……まちがっている……がくっ」
雪乃「比企谷くん、息をしてええええええええ!!」
※八幡と戸部はこの後滅茶苦茶止血のツボを押された。
15:
?「野球」
結衣「ゆきのーん、ヒッキー、野球やろう!」
八幡「……」ガタッ
雪乃「ちょっとあなた、私を置いて逃げるつもり?」グスッ
八幡「悪かったよ」ナデナデ
結衣「隼人くんたちもやるってー! 早くグラウンド行こうよー!」
八幡「葉山もいるなら……なんとかなる、か?」
雪乃「うう……怖いよぅ……」ギュッ
八幡「……いざという時は俺がなんとかしてやるから。行くぞ」グイッ
雪乃「うん……」ギューッ
16:
グラウンド
葉山「やぁ……ヒキタニくん、顔色悪そうだね」
八幡「普通の反応だと思うんだが……」
戸部「っべーわ、結衣と野球とかマジアガるわー(震え声)」
大和「それな(震え声)」
大岡「ほんとそれ(震え声)」
17:
戸塚「あっ、八幡も来たんだ!」
材木座「ほふん……我帰っていいか?」
川崎「なんであたしまで……」
平塚「……何故私が呼ばれたんだ?」
三浦「結衣ー、全力で来なよー」
海老名「ま、まぁまぁ、みんなで楽しめるようにしようよ……」
めぐり「あはは、なんだか楽しそうだね!」
いろは「せんぱーい、頑張ってくださーい」
八幡「おいそこの二人、まだ本編のSSで出てねぇだろ」
18:
結衣「さぁ、あたしの順番だね!」←バッター
戸部「ひ、ひぃぃ!!」←キャッチャー
葉山「負けないよ、結衣」←ピッチャー
八幡「おーい、守備は全員退避しとけー。後は葉山に任せよう」
全員『応!!』
19:
葉山「はっ!」ヒュッ
結衣「やっはろ──!!」ブオン!! カキーン!!
戸部「ぎゃあああああああああああああ!!!」ピューン
八幡「戸部ぇぇぇええええええ!!!」
葉山「参ったな、場外ホームランか……やるね、結衣」
八幡「場外に行ったのはボールだけじゃなくて戸部もだけどな!!」
雪乃「バットを振った風だけで人間ってあそこまで飛べるのね……」
八幡「戸部だけに飛べるってか」
皆『HAHAHA!!!』
21:
結衣「じゃあ、投げるよー」←ピッチャー
八幡「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ待ってマジで死ぬ」←キャッチャー
平塚「逃げるな比企谷……死にそうなのは私もなんだ」←バッター
雪乃「比企谷くん……あなたといれた時間は短かったけど、決して忘れないわ」
川崎「あんたの最期の瞬間、見届けるよ」
戸塚「は、八幡! 頑張ってー!」
めぐり「あ、あはは……頑張ってね?」
いろは「せんぱーい、ファイトですー!」
八幡「ちくしょうベンチにいる奴らは余裕だな!」
23:
三浦「結衣ー、全力で投げなよー」
結衣「うん、分かった!」
八幡「分かるな!!」
結衣「じゃあ、いっくよー」ゴウッ!!!
平塚「ひぃっ!!」
八幡「ぎゃあああああああああああああああ!!!」ドシャーン
葉山「ストライッ!! キャッチャー、交代をお願いします」
三浦「そこの、あんた行きな」
材木座「なんで我!?」
24:
雪乃「比企谷く──ん! しっかりしてぇぇぇえええ!!」ビエーン
川崎「ちょっとあんた、返事しな!!」
いろは「先輩!! せんぱーい!!」
結衣「やっはろ──!!」ゴゥ!!
材木座「ぎゃあああああああああああ!!」ピューン
葉山「ストライッ!! キャッチャー、交代をお願いします」
三浦「大岡、次あんた行きな」
大岡「えええ!?」
大和「頑張れ」ポン
平塚「ひ、ひいい……も、もうやだ……」プルプル
結衣「よーし、じゃあ行くよー!」
※次の大和まで飛ばされた辺りで中止になりました。
25:
?「生徒会のお手伝い」
いろは「せんぱーいっ! やばいですやばいです本当にやばいんですーっ!」
八幡「だからお前まだ本編出てきてねぇだろうが」
結衣「あっ、いろはちゃん! やっはろー!」ゴゴゴゴゴゴゴ
いろは「きゃあっ、地震! 怖いですー先輩!」ダキッ
八幡「あっおい、離れろ一色」
雪乃「っ!!」
雪乃「きゃー比企谷くん、私も怖いわー」ダキッ
八幡「おい、お前もかよ!」
いろは「……なんだこのババァ」ボソッ
雪乃「……すぞ」ギロッ
いろは「……あ?」ギロッ
八幡「!?」ブルッ
八幡(な、なんか分からんが両腕にくっ付いてる二人から怖いオーラが)
26:
結衣「で、どうしたのいろはちゃん」
いろは「実はですねー、最近の夜、この学校に変なのが出てくるって噂が出てましてねー」
八幡「変なの?」
いろは「詳しいことは分からないんですけど、遅くまで残ってる部活の人たちから目撃情報が相次いでいまして」
いろは「だから、それの調査をお願いしたいなーって」
八幡「なんでそれを俺たちにお願いするんだ……。葉山に頼めばいいじゃねぇか」
いろは「いやーその……結構ガチっぽいんで、葉山先輩に頼むのは気が引けるって言うか。その点ここなら安心かなって」チラッ
結衣「?」
八幡「ああ、なるほど……分かった」
いろは「じゃあ、今夜から早お願いしますね!」
27:
夜 学校
いろは「きゃー、雰囲気ありますねー」ギュッ
雪乃「馬鹿馬鹿しい、お化けなんているわけないじゃない」ギュッ
八幡「やめろお前ら腕にしがみつくな。ていうか、廊下の電気くらいつけてもいいだろ」
いろは「えー、だって電気点けたら合法的にくっ付けな……夜に電気点けると苦情が来るらしいのでー」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
いろは「ひぃっ!」ビクッ
雪乃「な、何か出たわ!」ビクッ
28:
八幡「や、あれもしかしていつも由比ヶ浜が異次元から呼び出してる何かじゃ……」
八幡(なるほど……由比ヶ浜がいつの間にか召喚してた何かが夜の学校を彷徨っていたというわけか)
八幡(一体、どんな怪物なんだ……!?)
ムキ幡「ん、誰だ?」ムキッ
八幡「俺だ────っ!!?」
結衣「あっ、ムッキー!!」
八幡「ムッキー!!?」
雪乃「あ……あなたに、どこか似てるわね……」
いろは「うわ……筋肉モリモリマッチョな先輩みたい……」
29:
結衣「あ、紹介するよ。こちら別の世界から来たムキヶ谷ムキ幡」
八幡「ムキヶ谷ムキ幡!?」
ムキ幡「ども。お前は、こちらの世界の俺か?」ムキッ
八幡「た、多分……? こちらの世界とか別の世界とか言われても分からねぇけど……」
ムキ幡「しかしあれだな……こちらの世界の俺も、雪ノムキも、ムキ色も随分と細いんだな」マッチョ!!
いろは「あ、あはは……ムキ色って、まさか別世界のわたしじゃないですよね……」
雪乃「雪ノムキって語呂悪いわね……せめてそこはムキノ下じゃないのかしら」(編注:別SSに配慮した結果です)
30:
結衣「それよりムッキー、いつの間にこっちの世界に来てたの? みんなの噂になっちゃってたよ!」
ムキ幡「マジかよ、俺のステルスヒッキーなら平気だと思っていたが……」ハァッ!!
八幡「ははは……お前そのガタイで存在感消せるつもりだったのかよ……」
結衣「とりあえず元の世界への扉開けてあげるから、もういきなり来ないでよね!」ヴォン!!
いろは「わわっ、なんですかあれ!」
ムキ幡「ああ、すまん。雪ノムキにぶっ飛ばされてこっちの世界に飛ばされたんだが、俺は異世界への扉が開けなくてな。それでこちらの世界の由比ヶ浜を捜してたんだ」ソイヤ!!
雪乃「あちらの私は何をしているのかしら……」
ムキ幡「じゃあな、ムキヶ浜」ゴゴゴゴゴゴ
結衣「あっちのあたしによろしくねー!」ゴゴゴゴゴゴ
八幡「……つまり最近の騒動は、こっちの世界に飛ばされた俺が由比ヶ浜を捜して夜の学校をうろついていたのを、見つかっていたってことか?」
結衣「多分そうだねー」
八幡(とりあえず、今回の騒動はこれで解決したわけだが)
八幡(まさかまたあいつと再会する日がまたやってくるとは、この時の俺には予想も出来なかった)
31:
?「ボウリング」
結衣「ゆきのーん、ヒッキー、ボウリングやろう!」
雪乃「……あなた、意識を強く持って」ユサユサ
八幡「はっ、なんかあまりにヤバそうな単語が聞こえたから意識が飛んでた!」
八幡「で、由比ヶ浜。なんか言ったか?」
結衣「もう! だからボウリング行こうって言ってるの!」
八幡「気のせいじゃねぇのかよぉぉぉおおお!!!」ガンガン!!
雪乃「落ち着いてあなた、机に向かってヘドパンしても現実は変わらないのよ……」
結衣「隼人くんたちも来るって! ほら早く行こ!」
八幡「葉山がいてもボウリングじゃどうしようもねぇだろ……」ダラダラ
雪乃「あなた、とりあえず額から流してる血を拭きましょう」フキフキ
32:
ボウリング場
結衣「やっはろー!」ゴゥ!!
葉山「やぁ、結衣。ヒキタニくんと雪ノ下さんも来たんだね」パシパシパシッ
雪乃「こんにちは」
八幡「おう」
八幡(あいつ、今放たれた複数のソニックブームを他の客に当てないように全て受け止めていた……また腕を上げたな……)
33:
三浦「おっ、結衣ー」
海老名「あ、あはは、ユイ……はろはろ?……」
結衣「優美子! 姫菜! やっはろー!」ゴゥ!!
葉山「……」ヒュッ
八幡「!?」
八幡(今一瞬葉山の姿がブレたように見えたが……まさか高移動して三浦たちに向かったあれを受け止めたのか!?)
葉山(これくらい出来なきゃ、周りのみんなを守れないさ)
八幡(こいつ直接脳内に……!?)
海老名(隼人くんとヒキタニくんが見つめあってる!? これはキマシタワー!!)ブハッ
三浦「あっ、姫菜。擬態しろし」
34:
パコーン ストライクー!!
戸部「すげーさすが隼人くんだわー!」
葉山「ははは、まぁたまたま上手く行っただけさ」
八幡(嘘こけ、ボールを投げる瞬間にさりげなく『気』を込めていたのを俺は見逃さなかったぞ)
結衣「よーし、次はあたしだねー!」ゴゴゴゴゴゴゴ
八幡(さて、ここからが本番だ)チラッ
葉山(何があっても、このボウリング場を壊したり他の人に危害を与えるわけにはいかない)コクッ
海老名「ブハッ!」
35:
八幡「おい、由比ヶ浜。分かってるな? ボウリングってのはボールを転がすんだぞ? 上から投げちゃダメだぞ?」
結衣「そ、それくらい分かってるし!」
葉山「結衣。力は込め過ぎないで。地面に穴を空けるのも無しだし、もちろんピンを壊してもダメだ」
結衣「は、隼人くんまで……それくらい大丈夫だって!」
八幡(大丈夫じゃねぇから言ってんだよ……)
雪乃「へ、平気かしら……」
八幡「分からん。だが安心しろ、何があってもお前くらいは守ってやるから」
雪乃「あ、あなた……」キュン
葉山(比企谷……きっと、君なら雪乃ちゃんを──)
36:
結衣「じゃあ、いっくよー!!」ゴォォォオオオオ!!
八幡「やっぱダメかー!!」
パタタタッ
結衣「──あれっ?」
八幡「由比ヶ浜から放たれた風圧で……」
雪乃「ボールを投げる前にピンが全部倒れた……!?」
テッテテー ストライーク
葉山「……はっ。ゆ、結衣! すごいな、ストライクじゃないか!」
結衣「えっ、あたしまだボール投げてな──」
八幡「よしっ、次は俺の番だな。由比ヶ浜は終わったろ、下がれ」
結衣「えっちょっ、あたしまだ投げてないよー!」
優美子「結衣やるじゃん」
海老名(今のをやるじゃんって流す優美子もすごいよね……)
八幡(この後、由比ヶ浜は一度もボールを投げずにパーフェクトを叩き出す伝説を作り上げることになるのだが──)
八幡(俺と葉山は何の被害も出さずに一日を終えたことを、ただ喜ぶのであった)
38:
?「プール」
結衣「ゆきのーん、ヒッキー、いろはちゃーん、プール行こう!」
いろは「はぁ、プールですかー?」
八幡「お前いつの間にいたの?」
八幡(しかしプールか……)
八幡(さすがに不特定多数が密集するところで、由比ヶ浜から全ての人を守れる自身はない)
八幡(なんとかして回避できないだろうか)
八幡「別にプールなんていつでも行けるだろ、今度な今度」
八幡(秘技・また今度戦法! 今度今度と引き伸ばしているうちにうやむやにする!)
39:
雪乃「……比企谷くんと……プール……」ボソボソ
いろは「……先輩と……悪くないですね」ボソボソ
八幡「ん、どうした」
雪乃「ねぇ、あなた。行ってもいいんじゃないかしら?」
八幡「え!?」
いろは「そうですよー先輩、行きましょうよプール」
八幡「な!?」
八幡(お前らも反対すると思ってたのに!)
40:
結衣「ゆきのんといろはちゃんもこう言ってるしさ、行こうよヒッキー!」
八幡「や、その、混んでるかもしれないだろ」
結衣「あ、隼人くんが貸切の屋外プールを用意してくれるんだってー!」
八幡「マジかよすげぇな葉山」
八幡(俺たち以外に一般人がいなくて、かつ葉山がいれば……なんとか過ごせるか?)
八幡「分かったよ……行けばいいんだろ行けば」
結衣「本当!? やったー! じゃあ隼人くんに連絡してくるねー!」
いろは「……ところでいつから先輩をあなたとか呼ぶようになったんですか」ボソボソ
雪乃「……別に、普通のことじゃないかしら?」ボソボソ
いろは「……正妻面出来るのも今のうちだぞオイ」ギロッ
雪乃「……いいわ、かかってきなさい」フンッ
八幡「!?」ゾクッ
八幡(な、なんだか分からんが、急に寒気が)
41:
貸切プール
葉山「やぁ、ヒキタニくん」
八幡「おう……よくこんなプール用意出来たな」
葉山「もちろん俺のものじゃないさ……結衣のことを伝えたら、政府の上の方が動いてくれたんだ」
八幡(おいおいマジかよ、今度からもうちょっと上の方を頼ろう)
葉山「まぁ、今日はよろしく」
八幡「ああ」
海老名「ぶ腐ッ!」ブシャー
三浦「だー、また始まった。海老名。ほらチーンしなチーン」
42:
戸部「いやー貸切プールとか隼人くんマジパないわー」
大和「それな」
大岡「ほんとそれ」
八幡(面子はいつもの葉山グループに俺、雪ノ下、一色、そして由比ヶ浜……)
戸塚「あっ、八幡!」
八幡「ととと、戸塚ぁ!」
八幡(まさか戸塚まで来てるなんて! 来て良かったぁ!)
43:
雪乃「あ、あなた……その、私の水着は……」
いろは「せんぱーいっ、わたしの水着見てくださいよーっ!!」
戸塚「由比ヶ浜さんが、ぼくにも声を掛けてくれたんだ。でも、ぼくも来て良かったのかな?」
八幡「良いに決まってるだろ!」
八幡(グッジョブ由比ヶ浜ァ!)
雪乃「あ、あなた……」
いろは「ちょっと、せんぱーい!」
八幡「それよりその……それ、いいな」
戸塚「ただのパーカーだよ。ぼく、肌弱いから。でも千葉村だと八幡とは川で遊べなかったし、やっと遊べるね!」
八幡「ああ!」
雪乃「あ……あの……」
いろは「……なるほど、戸塚先輩も敵ってわけですか……」ギリッ
戸塚「!?」ゾクッ
44:
八幡「さて、と……」
八幡(今日を無事死人無しでやり過ごすにはどう動くのが最善だろうな……)
結衣「見てみてー、プールの中にうずしおが出来たよー!!」グルグル ゴゴゴゴゴゴ
優美子「きゃー! これ楽しいね隼人!」
葉山「あ、ああ……」チラッ
戸部「ちょま、勢い強過ぎじゃねこれ? 溺れゴボゴボゴボ……」
大和「うずしおの中に戸部が巻き込まれた──!!?」
大岡「ちょまっ、これ俺たちもやばゴボゴボゴボ……」
八幡「……」
八幡(中に入ってなくて良かった)
45:
雪乃「ね、ねぇ、あなた……良かったら、あっちの流れるプールに行かない?」
いろは「せんぱーいっ、あっちの流れるプールに行きませんかー?」
雪乃「は?」ギロッ
いろは「あ?」ギロッ
戸塚「八幡! 流れるプールの方にも行こうよ!」
八幡「お、おう戸塚! 今行く!」
二人「「あ──!!」」
八幡(ま、戸部たちは葉山がなんとかしてくれるだろう)
46:
流れるプール
戸塚「あはは、はちまーん!」キラキラ
八幡「戸塚ぁー、待てぇー」キラキラ
八幡(ああ、楽しい。これが青春ってやつか。やるじゃんラブコメの神様)
雪乃「あ、待って、あなた」チャプチャプ
いろは「い、意外と動くの早いですね先輩方……」チャプチャプ
47:
結衣「やっはろー! 流れるプールにもどーん!」バシャーン
八幡「えっ……!?」
結衣「よし、この流れを逆に動かしてみよ!」
結衣「やっはろ──!!」ゴウッ!!!
八幡「うおあっ!!?」
八幡(いきなり流れが逆になった上に、えらく急になったぞ!!?)
八幡(うおっ、流される!!)
48:
雪乃「きゃっ、あ、あなた!」ギュッ
いろは「ちょ、勢い強過ぎじゃないですか! 助けてください先輩!」ギュッ
八幡「ちょ、お前ら両腕を掴むな!」
八幡(待て、こんな急流で両腕が使えなくなったら、あっ、口の中に水が)
八幡(がっ……ごぼごぼごぼ……)
雪乃「あ、あなた!?」
いろは「せ、先輩!?」
葉山「待ってろ、今助けに行く!」バシャーン
49:
葉山「よしっ、なんとかプールからは比企谷を引き上げることが出来た」
葉山「だが……息をしていない……」
雪乃「ご、ごめんなさい……私のせいで……」グスッ
いろは「すみばぜん先輩ー! 返事をしてくださいー!」ビエーン
葉山「心臓マッサージと……あと、人口呼吸だな」
雪乃「!!」ガタッ
いろは「!!」ガタッ
海老名「隼人くんが!?」ブハッ ドクドクドク
三浦「ちょっ、こっちもヤバいんだけど!! 姫菜!!」
50:
雪乃「ここは私がやるわ……仕方がないわ、奉仕部の部長ですもの」
いろは「いえ、ここはわたしが引き受けましょう。わたしの責任ですし、責任は取らないとですよね」
雪乃「おいこらアマちょっと調子こいてんじゃねぇぞ」ゴゴゴゴゴゴ
いろは「なんですかババァはさっさと隠居したらどうですか」ゴゴゴゴゴゴ
結衣「あっ、ヒッキーちょっと待っててねー」
二人「「えっ」」
結衣「息を吹き返すツボッ!!」ヅボッ
八幡「うごがっ!!?」ビクンビクン
二人「「あ──っ!!」」
51:
葉山「良かった、比企谷。息を吹き返したようだ」
八幡「え、いや、何があったの……身体中痛くて動かないんだけど……」
戸塚「八幡! 大丈夫?」
八幡「お、おう、戸塚……俺は平気だぞ」
海老名「隼人くんが……ヒキタニくんに……えへへ……」ドクドクドク
三浦「ちょっ、結衣ーっ、次はこっちもお願いー!」
結衣「待っててー、今行くからー!」ドドドドドド
いろは「……ふん、次こそはわたしが勝ちますからね」
雪乃「……へぇ、いい度胸してるじゃない。返り討ちにしてあげるわ」
戸塚「本当に大丈夫? 心配したんだよ?」
八幡「ああ、戸塚さえ平気なら俺は平気だ……」
戸塚「もうっ、八幡ったら」
二人「「…………」」
二人((まずはあっちから消す必要が……))
戸塚「!?」ゾクッ
52:
?「麻雀」
結衣「ゆきのーん、ヒッキー、麻雀やろう!」
八幡「よしっ、今日はどうやって逃げようか……麻雀?」
結衣「うんっ、麻雀! 最近ルール覚えたんだー!」
八幡(こいつ麻雀が出来そうな頭に見えないんだが……)
結衣「……なんか、失礼なこと考えてない?」
八幡(だが、麻雀だったら人的被害は出ないだろう……ここは乗っておくべきか)
八幡「俺は平気だ、雪ノ下は?」
雪乃「嗜み程度だけれど、麻雀は出来るわ」
結衣「あっ、でもあと面子が一人足りないねー。葉山くん達は部活があるっていうしー」
八幡「……一人、心当たりがある」
二人「「え?」」
53:
川崎「……状況は分かったけど、そこでなんであたしが呼ばれたわけ?」
八幡「頼む、お前しかいないんだ」
八幡(麻雀が出来そうで、かつ由比ヶ浜の感謝のやっはろー特訓を耐えた過去があるから比較的由比ヶ浜耐性があるのが)
川崎「あ、あたししか!? わ、分かったよ……やればいいんでしょ……」
八幡「助かる。ていうか麻雀打てるよな?」
川崎「え、ああ、まぁ一応」
八幡「なら良かった」
八幡(しかし、結局一日で帰ってきたとはいえ、由比ヶ浜の感謝のやっはろー特訓を受けた割に、川崎の見た目に変わりはないんだよな)
八幡(ソニックブームくらいなら受け止められるようになってたけど)
結衣「自動卓借りてきたよー」
雪乃「じゃ、場所決めをして始めましょうか」
八幡「ルールは25000点持ちのアリアリ赤四枚半荘戦だ、行くぞ!!」
54:
東:八幡(起家) 南:雪乃 西:川崎 北:結衣
表記
索子(ソウズ):1?9、萬子(マンズ):一?九、筒子(ピンズ):???
ドラ表示牌:?
東一局 親:八幡
八幡 六順目
????????中中中北北 ツモ:?
八幡(よし、これなら待ちが良くなる!)
八幡(?を切れば??北待ちの三面張か。リーチかければ何をツモってもリーヅモ中混一三暗刻で親倍。ロンでも?なら三暗刻がついて親っ跳ねで、?と北だとリーチ混一中で親満……!!)
八幡(だが、どれにしたっていきなりそれだけ和了れれば十分……しかも?は俺からだと四枚見えているから?は壁の向こう側!!)
八幡「リーチ!!」っ?
八幡(もらった!!)
結衣「──それ、ロンだよ」
八幡「なにっ!?」
パララッ
234999九九九????
結衣「三色同刻三暗刻、8000!!」
八幡「ぐあああああああっ!!」バリバリバリ!!!
55:
雪乃「あなた!」
川崎「あんた!」
雪乃「……え?」チラッ
川崎「……ん?」チラッ
八幡「が……ダマの単騎待ちだと……」
八幡「て、ていうか、振り込んだ瞬間に電撃浴びせられたんだけど、今の何? 闇のデュエルだっけこれ?」-8000
結衣「点数を失った人は電撃を受けるのって普通じゃないの?」+8000
八幡(くそ……麻雀だったら平和に遊べると思ったら大間違いだった! まさかリアルの闇のデュエル)
八幡(もしもトビになるようなことがあったら、どんな電撃を食らうか予想も出来ん……!!)
56:
東二局 親:雪乃
ドラ表示牌:5
雪乃「……」っ1
結衣「ロン!」
パララッ
23???一二三七八九南南
結衣「平和三色チャンタ、8000!!」+8000
雪乃「きゃああああああっ!!」バリバリバリ!!! -8000
八幡「雪ノ下!!」
川崎「満貫を二回連続で……!!」
八幡(由比ヶ浜……まさかこいつ……)
57:
東三局 親:川崎
ドラ表示牌:六
川崎「通らばリーチ」っ?
結衣「ロンッ!!」
川崎「えっ!?」
パララッ
赤五六七八八234?????
結衣「タンピンドラドラ、8000!!」
川崎「うっ!!」バリバリバリ!!!
八幡「川崎っ!」
川崎「へ、平気……だけど……」-8000
結衣「ふふーん、次は親だー!」+8000
川崎「由比ヶ浜の持ち点は49000であたしらは17000……ちょっと、厳しいかもね」
八幡(間違いない……由比ヶ浜)
八幡(あいつ、あの馬鹿力は物理面だけじゃなくて、豪運的なところにも活かされてやがる!!)
58:
東四局 親:由比ヶ浜
ドラ表示牌:7
結衣「えいっ」チャッ パシッ
八幡(この点差は大きいが、諦めるほどじゃない)チャッ パシッ
雪乃(とりあえず、なんとしてでもこの親を流さないと)チャッ パシッ
川崎(誰か、これで鳴けるか?)っ白
八幡「ポン!」パシッ
雪乃「チー」パシッ
八幡「ポン!」パシッ
八幡(よし、白のみだが張った! あとは誰か差し込んでくれ……!!)
雪乃(これでどうかしら……)っ?
八幡(違う……)フルフル
川崎(これは……)っ六
八幡(それでもない……)フルフル
59:
結衣「──色々やってるみたいだけど、無駄だよ」
三人「「「!?」」」
結衣「86(やっはろー)待ち──」
パララッ
8866東東東南南南西西西 ツモ:8
結衣「──ツモり四暗刻!!!」+48000
八幡「ぐああああああああああああっ!!!」バリバリドッシャーン!!! -16000
雪乃「きゃあああああああああああっ!!!」バリバリドッシャーン!!! -16000
川崎「きゃあああああああああああっ!!!」バリバリドッシャーン!!! -16000
八幡「ぐっ……があっ……役満だと……!?」
雪乃「ううっ……点数が……」
結衣:97000 八幡:1000 雪乃:1000 川崎:1000
川崎「あとリーチ一回分……!!」
60:
結衣「ふふふ……あと一回ツモって、みんなまとめてトビだね……一本場!!」
八幡「くそっ……ここまでなのか……!!」
雪乃「いえ、諦めたら終わりよ、あなた」
八幡「……雪ノ下」
川崎「こんなところで諦めるなんて、あんたらしくないんじゃない?」
八幡「……川崎」
八幡「そうだったな……最後の最後までみっともなく悪あがきする……それが、俺だ」
結衣「でも、ヒッキーたちの点棒は残り1000点ずつ……あたしは97000点、この差を埋めるつもりなの?」
八幡「やれるさ……俺たち三人の力を合わせれば!」
雪乃「ええ、行きましょうあなた。私たちの力を合わせて」
川崎「あんたとなら、ここからでも勝てる気がする!」
八幡「ウオオオ、行くぞオオオオ!」
結衣「さあ来て、ヒッキー!!」
八幡たちは、残り1000点から逆転できるのか!!?
八幡の本物の想いが打倒に繋がると信じて……!
ご愛読ありがとうございました!!
64:
?「お小遣い稼ぎ」
結衣「ゆきのーん、ヒッキー、助けてー!」ゴウッ!!
八幡「……雪ノ下なら今日は用事だとかで休みだぞ」パシッ
結衣「じゃあヒッキー助けて!!」
八幡「何をだよ、何を……」
結衣「あのね、さっき学校の備品を壊しちゃったんだけど……」
八幡(ああ、さっき悲鳴が上がってたのはこいつのせいか。予想はしてたけど)
結衣「それでね、平塚先生にそろそろお金が足りないって怒られちゃって……」
八幡(上の方から奉仕部に支給されてる額って結構な金額だったはずだが、こいつ一体どれだけ壊したんだ)
65:
結衣「それでね、さすがに自分でお金返さないといけないって思ったんだけど……その、全然足りなくて」
八幡「だろうなぁ……」
結衣「で、ヒッキー! なんとかしてお金をすぐにたくさん稼げる方法知らない?」
八幡「頭の悪そうな発言だな……」
八幡(こいつの場合、銀行強盗でもした方が早いような気がするが)
平塚「……一つ、心当たりがないわけでもない」
八幡「平塚先生!? いつの間に!!」
結衣「な、なんですかそれは……教えてください!!」
平塚「そりゃ、お前みたいな奴にまさにうってつけな方法だよ……」
結衣「そ、その方法って……!?」
平塚「その体を使うんだよ」
結衣「へ?」
八幡「は?」
67:
裏賭け格闘場
実況『おうお前ら盛り上がってるかー!?』
客「「「Yeahhhhhhhhhhhh!!!!」」」
八幡「……」
実況『今日はとんだニューフェイスが登場してきたぜ、なんと女だぁぁぁあああ!!』
客「「「Yeahhhhhhhhhhhh!!!!」」」
八幡「……」
実況『紹介しよう、なんと現役女子高生!! リングネーム「やっはろー」だぁ!!』
結衣「やっはろー!!」
客「「「Yaaaahalloooooo!!!!」」」
八幡「……」
68:
八幡(平塚先生が提案した方法。それは)
八幡(賭け格闘で、荒稼ぎしろという教師にあるまじき提案であった)
八幡(……いやね、女子高生に体を使えって言われるとね? ほら)
八幡(いや、あんな筋肉マッチョな由比ヶ浜にそっち的な意味の需要があるのか知らんけど)
八幡(で、俺は付き添いな訳だ)
八幡(平塚先生から賭け金に使う用として、部費を少し貰ってはいる)
八幡(とはいえ、決して多い額ではない。もし由比ヶ浜に賭けて、由比ヶ浜が数回負ければ即座に消える額である)
八幡(……もっとも、負けるとは思っていないのだが)
69:
実況『そんなニューフェイスやっはろーの対戦相手は、なんとあの超ベテラン!!』
実況『この格闘場で何年も最前線で戦い続けている「タイガー」だぁぁぁあああ!!』
タイガー「WRYYYYYYYYYYYYY!!!!」
客「「「Tigerrrrrrrrrrrrrrr!!!!」」」
八幡「なんだありゃ……超強そうだ……!!」
男1「おうあんちゃん、まさかタイガーをしらねぇのか」
男2「タイガーといやぁここではそれなりに有名よ、新人の初対戦としては荷が重いだろうな」
八幡「なっ……!!」
八幡(どうする由比ヶ浜……あんなのが出てくるとは予想してなかった。軍資金は少ない。これは賭ける金額を抑えた方がいいような)
70:
結衣「……ヒッキー、あたしにオールベットして」
八幡「オール……正気か!?」
結衣「大丈夫……あたしを信じて」
八幡「……しゃーねぇな、信じるよ」
八幡(ま、こいつも相当な化け物だ)
八幡(ここでどこまで通じるかは分からないが……信じよう。今まで三途の川を何回も渡ってきた俺がソースだ)
八幡(で、部費を全額由比ヶ浜の勝ちに賭けてきたわけだが)
71:
結衣「うーん、みんなあっちの勝ちに賭けてるね」
八幡「そりゃ、ベテランと女子高生じゃなぁ……」
八幡(由比ヶ浜のオッズは相当低かった……こいつ見た目相当ゴツいと思うんだけど、ベテランの方が信用できるということだろうか)
八幡(だが、逆に言えばこれに勝てれば相当な額が稼げる。チャンスというわけだ)
八幡「由比ヶ浜」
結衣「ん、何?」
八幡「勝てよ」
結衣「当たり前じゃん」
72:
実況『さぁ、タイガーのオッズは当然高いぃぃぃ!! ニューフェイスやっはろーはこの予想を覆せるかぁ!?』
タイガー「ほう、女子高生とは思えん体付きだが……相手が悪かったな」
結衣「やらなきゃ……わかんないよ!」ゴゥ!!
タイガー「ほう、いい覇気だ。新人にしてはやる……よい、俺も全力で当たろう!」ゴゥ!!
客「「「ターイーガッ!! ターイーガッ!!」」」
八幡「由比ヶ浜……」
実況『さぁ血を流せぇてめぇらぁ! 始まりのコングを鳴らせ!!』
カーン!!
実況『試合「矢ッ覇露──!!!」バキッドゴッドガッ「ぐあああああっ!!」開……し?』
カンカンカーン!!
実況『し、試合……終了……?』
73:
ざわ…… ざわ……
客「……?」
客「今、何があった?」
客「わからねぇが、タイガーが倒れてるぞ……」
八幡「……」
八幡(お前ら、今のが見えなかったのか?)
八幡(鐘が鳴ると同時に前に踏み出して、相手の顔面とみぞおちと腹の三箇所に全力で拳ぶち込んでただろ)
実況『や、やっはろーの勝ちだぁぁぁあああ!!』
結衣「やっはろー!!」
ざわ…… ざわ……
八幡(ま、相手が悪かったな。ご愁傷様だな、タイガーとやら)
74:
結衣「ヒッキー! 勝ったよー!」
八幡「おう、お疲れ。平気だったか?」
結衣「うん! 最初足払いしようとしたんだけど、それバレてたっぽいからすぐに顔面に変えたの!」
八幡「あっ……そう」
八幡(そこまでは見えてなかったわ)
八幡「とりあえず、もう現時点で相当稼げたんだけど」
客「「「おら出てこいや、やっはろー!!」」」
八幡「素直に帰らせては、くれないか……」
結衣「いいよ、ヒッキー。もうちょっとお小遣い稼いでから帰ろ?」
結衣「そしたらさ、みんなでどっかぱっーと食べに行こうよ!」
八幡「……はっ、そりゃいい」
75:
結衣「やっはろー!! まだまだ戦うよー!!」
客「「「Yaaaahalloooooo!!!!」」」
八幡「ま、頑張れよ」
八幡(で、次の賭け配当も出たわけだが)
八幡(由比ヶ浜のオッズまだ低いな……まぁさっきのあれ見えてた奴が少ないんだろう)
八幡(多分、まぐれ勝ちとか思われてるんだな)
結衣「ヒッキー!」
八幡「分かってる。オールベットだ」
八幡(さっきより軍資金が増えてる分、これ勝ったら本当にヤバイ金額になるんだが……)
76:
実況『さぁ、試合開始ィー!!』
カーン
結衣「矢ッ覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇露──!!!」ドガガガガガガガガガ
相手「ごぼぐぶがばげばぐわああああああああああ!!!」
実況『しょ、……勝者、やっはろー……でいいんだよね?』
結衣「やっはろ──!!」
八幡(……ま、心配はいらねぇか)
八幡(そしてその後も──)
結衣「やっは!!」
相手「ぐぼあっ!!」
結衣「やっはろっ!!」
相手「がばばっ!!」
結衣「やっはろー!!」
相手「あべしっ!!」
八幡(──由比ヶ浜は、連戦連勝を続けていった)
77:
実況『ニューフェイスながら怒涛の十連勝! お前本当に何者なんだやっはろー!!』
結衣「やっはろ──!!」
客「「「Yaaaaaahalloooooooooo!!!!」」」
実況『そしてそのやっはろーの勢いを止めるべく、やってきたのはなんとー!?』
赤「くくく、あの身の程知らずを狩ってやろう」
青「この裏格闘場では調子に乗った者から死んでいく……」
緑「我ら五色戦隊が痛い目に合わせてやろう」
黄「ひゃっはー!」
黒「はっはっは、早く相手をくれぇ!!」
実況『なんと五人組「五色戦隊」が乱入だ──っ!!?』
八幡「なっ、五人だと! 卑怯じゃねぇのか!!」
78:
男1「おうあんちゃん、この裏格闘場じゃルールなんてあってないもんさ」
男2「多人数に武器の使用、なんでもござれってな!」
八幡「くっ、でも由比ヶ浜なら」
男1「ところがあんちゃん、あいつらは一人一人がそもそもかなりつええぞ」
男2「あのやっはろーも相当やべぇけど、1対5じゃあきついだろうなぁ!」
八幡「……!!」
カーン
実況『試合開始ィー!!』
結衣「矢ッ覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇露──ッ!!!」ドガガガガガガガガガ
五色『破ァ!!』バキィ!!
八幡「なにっ、無敵の矢ッ覇露ーが破られただと!!」
79:
赤「なるほど、1対1なら厳しいだろうが、5人なら勝てないこともないかもな」
結衣「うう……なら、あたしだって仲間呼んじゃうんだから!!」
赤「は?」
結衣「開けーっ!!」ゴゴゴゴゴゴゴ
八幡「なっ、異次元への扉を開いただと!!」
実況『な、なんだァ──!? 次元が割れたぞ──!?』
赤「な、何をするつもりだ!」
結衣「あたしの友達を呼んだだけだよ──異世界からね」
タッ タッ タッ
八幡「……まさか、あいつらは!!?」
80:
ムキ幡「ムキヶ浜、お前から呼ぶのは珍しいな」ドン!!
結衣「ムッキー!!」
八幡「また俺かよ!!!」
雪ムキ「ムキヶ浜さん、一体何の用かしら?」ドン!!
結衣「ゆきのん!!」
八幡「そこはムキのんって呼んでやれよ!!!」(編注:別SSに配慮した結果です)
むきは「こんにちはーっ、ムキ先輩! ところであそこにいるカラフルで弱そうなのはなんですかー?」ドン!!
結衣「むきはちゃん!!」
八幡「うっわぁ、戸塚の次に一色のムキムキ姿は見たくなかった……」
戸ムキ「やっはろー、ムキヶ浜さん!」ドン!!
結衣「むきちゃん!!」
八幡「って戸塚いんのかよぉぉぉおおお!!!!!」
81:
実況『な、なんとぉ! よく分からないがまた乱入者だーっ!!』
ムキ幡「なるほど、あいつらを倒すのを手伝って欲しい……と」ムキッ
雪ムキ「お安い御用ね。私たちを敵に回した愚かさを徹底的に教えてあげましょう」ムキッ
むきは「っていうかー、これわたし動く必要なくないですかー? あれめっちゃ弱そうですし」ムキッ
戸ムキ「ぼくに出来ることなら、手伝うよ!」ムキッ
結衣「うん、ありがとう!!」
八幡「戸塚ぁ! 戸塚ぁぁぁあああ!!!」
赤「関係ねぇ、どうせ俺たち五人組には勝てやしねぇ!! たたんじまえ!!」
四色「「「「おおう!!」」」」
82:
ムキ幡「俺は悪くない筋肉が悪い!!」バキッ
青「ぐああああああっ!!」
雪ムキ「筋肉から目を背けないで」ドガッ
緑「ぐおおおおおおおおっ!!」
むきは「死ねぇ!」ガスッ
黄「ぎゃああああああああ!!」
戸ムキ「よかったらぼくと……やらない?」グシャッ
黒「あがががががががががっ!!」
結衣「矢ッッッ覇露────!!!!」ゴォォォオオオオ!!!
赤「馬鹿なああああああああああ!!!」
実況『しょ、勝者……やっはろーチーム!!』
客「「「Yaaaaaahalloooooooooo!!!!」」」
客「「「Yaaaaaahalloooooooooo!!!!」」」
客「「「Yaaaaaahalloooooooooo!!!!」」」
83:
結衣「ありがとうみんな! 助かったよ!」
ムキ幡「気にすんな、この前俺も助けられたしな」マッチョ!!
雪ムキ「今度は、ムキヶ浜さんもこちらの世界に遊びにくるといいわ」マッチョ!!
むきは「結衣先輩も喜ぶと思いますしねー」マッチョ!!
戸ムキ「こっちのぼくにも会ってみたいけど、もうあんまりこっちの世界にいられないんだ」マッチョ!!
ムキ幡「ということで、早いけど俺たちはここで帰るわ」ハァッ!!
雪ムキ「はぁ! 元の世界への扉を開いたわよ。また会いましょう、ムキヶ浜さん」ゴゴゴゴゴゴゴ
結衣「うん! みんなまた会おうねー!」ブンブン
八幡「戸塚ぁ……あれっ、試合終わってる……?」
84:
翌日
平塚「これだけあれば確かに修繕費としては余裕で足りるが、かなり余るな……どれだけ稼いできたんだ……」
八幡「まぁ、そんだけです……」
八幡(昨日の裏格闘場で稼いだ額は相当なものだった)
八幡(や、その……一介の高校生には荷が重いレベルの)
結衣「じゃあ、先生! 余ったお金でどこか食べにいくのって平気ですか!?」
平塚「あ、ああ……これだけあるなら、少しくらいは許されるだろうが……」
結衣「じゃあヒッキー、みんな誘ってどこか食べに行こうよ!」
八幡「お、おう」
八幡(本当に、昨日暴れまくったバーサーカーと同じ人間なのかね)
結衣「じゃあまずはゆきのんを誘いにいこーっと! ほらいくよ、ヒッキー!」
八幡「はいはい」
八幡(ま、楽しそうだからいいとしますか……)
85:
?「家出」
雪乃「あなた……」
八幡「雪ノ下、どうした!? すげぇやつれてるぞ……」
雪乃「私は、もう家の境遇に耐えられない……」グスッ
八幡「雪ノ下……」ナデナデ
雪乃「先日、とうとう私の家に姉さんが住むことに決まったわ」
八幡「なんだと……でも、お前と雪ノ下さんが一緒に住むって……」
雪乃「ええ、正直に言ってやっていける気はしないわ。そこであなたにお願いしたいのだけれど……」
八幡「なんだ?」
雪乃「その……しばらくの間、あなたの家に住まわせてくれないかしら?」
八幡「はい?」
86:
小町「じゃ、しばらくの間よろしくお願いしますね、雪乃さん!」
雪乃「ええ。お世話になるわ、小町さん」
八幡「えっ、なに普通に受け入れてんの小町」
小町「だってぇ?お兄ちゃんが女の人を連れ込むなんてレアイベント見逃すわけにはいかないし?」
小町「しかも泊り込みだなんて!」
八幡「や、もうちょっと何か……」
小町「雪乃さんはお義姉ちゃん候補としてトップの位置にいるから、一回一緒に暮らしてみてどんな感じなのか知りたかったし」
小町「それにお母さんもお父さんもしばらく出張だよ?」
八幡「ちくしょう、ほんとに便利な設定だな両親出張! その言い訳いくつのラノベとSSで使われてきたと思ってんだ!!」
87:
雪乃「ふふっ、おかしなことをいうのね、あなた。ところで夕飯出来たわよ」
小町「あ、あなた……? 今すっごい自然に呼んでたけど、本当にどこまで行ったのお兄ちゃん……」
八幡「付き合ってすらいねぇ」
小町「うっそだぁ、恥ずかしがらないんで良いんだよ? あんな雪乃さんの姿見てて本当に付き合ってないだなんて……」
八幡「……」
小町「……えっ、マジで?」
雪乃「どうしたのかしら、もう食器の準備まで揃ったわよ」
小町「あっはいはーい、今行きまーす」
88:
小町「うっわめっちゃおいしい……」
八幡「いや、本当にうめぇわ……しばらく雪ノ下が作った飯が食えるとか、これは役得かもしれん」
雪乃「ふふっ、嬉しいことを言ってくれるのね、あなた」
雪乃「本当に嬉しいことを……えへへ」ニヤニヤ
小町(きゃーっ、雪乃さんの顔すっごいニヤけてる! そしてすっごい可愛い……!)
小町「料理も出来る、洗濯も出来る、掃除も出来る……」
小町「ちょっとお兄ちゃん、本当に雪乃さんにお嫁さんに来てもらいなよ」
雪乃「お、おおおおお嫁さん!?」プシュー
八幡「……おい小町、雪ノ下の前であんまり刺激の強い言葉使うな」
小町「えっ、お嫁さんでアウトなの……どんだけ純情なのこの人……」
雪乃「お嫁さん……うふ、うふふふふふ……」
小町「!」ゾクッ
小町(な、なんか今一瞬寒気が)
89:
雪乃「そこは、さっきのそれを代入して……」
小町「は、はい!」
八幡「……」ボケーッ
八幡(受験が差し迫った小町に対して、雪ノ下が勉強を教えてやっているようだ)
八幡(雪ノ下の教え方は決して上手くはないが、それでもなんとか小町に合わせようと頑張っている)
八幡(しかし、雪ノ下と小町って歳離れてるけど仲良いよな)
八幡(まるで姉妹みた──)
八幡(──雪ノ下と小町が姉妹って、それは)ブンブン
小町「?」
雪乃「どうかしたのかしら、あなた」
八幡「い、いや別に」
八幡(ところで……)
八幡(雪ノ下の本当の姉妹……陽乃さんは、今どうしているのだろうか)
90:
陽乃「そう、雪乃ちゃんは比企谷くんの家に……」
陽乃「うん……うん、分かった。そのまま監視を続けて」ピッ
陽乃「雪乃ちゃん、比企谷くんのとこにいるんだってさ」
葉山「……やっぱりか」
陽乃「やっぱりなんて可笑しいこと言うね、隼人は」
陽乃「さっき雪乃ちゃんの行く先の心当たりを聞いたら知らないなんて言ってたのにねー」
91:
葉山「……雪乃ちゃんは、今とても幸せそうなんだ」
葉山「比企谷にだったら頼めるって、俺は思っている……」
葉山「どうか、このまま邪魔しないであげられないか?」
陽乃「ふーん、隼人は随分と比企谷くんのことを買ってるんだね」
陽乃「……でも駄目。問題は比企谷くんが頼りになるかどうかじゃないの」
陽乃「このままじゃ雪乃ちゃんは比企谷くんに依存したままになっちゃう。昔のわたし相手みたいに……」
92:
葉山「……陽乃さん、もう雪乃ちゃんだって一人でやっていけるさ」
葉山「だから、陽乃さんもいつまでもそんな敵役を続けなくても──」
陽乃「いーや、全然駄目。雪乃ちゃんは結局何も変わっちゃいない」
陽乃「結局、他人に任せてばっかり……だから、わたしは……」
葉山「……陽乃さん」
陽乃「……明日、放課後に雪乃ちゃんを取り戻しに行くよ。隼人も参加してね」
葉山「ははっ……俺も、何度雪乃ちゃんに嫌われればいいんだ……」
陽乃「損な役割だねー、隼人は」
葉山「……お互い様、だと思うけどな」
93:
翌日 朝
──きて……起きて……起きて、あなた……。
八幡「んあ……?」
雪乃「あら、ようやく起きたわね」
八幡「んん……」
八幡(…………)
八幡「!?」バッ
雪乃「おはよう、あなた」ニコッ
八幡(なななな、なんで俺の部屋に雪ノ下が!?)
94:
八幡(えーと昨日は何があったんだっけ……)
八幡(あっそうだ、雪ノ下の家に陽乃さんが来たから、俺の家に泊まりに来たんだっけ)
雪乃「……どうしたの、あなた?」
八幡「あ、いや、おはよう雪ノ下」
雪乃「はい、おはよう」ニコッ
八幡「っ…………」
95:
リビング
小町「今日の朝ごはんも雪乃さんが作ってくれたんだよー」
八幡「うめぇ、うめぇよ雪ノ下……」
雪乃「ふふっ、そう言ってくれると嬉しいわ」
雪乃「あなたと小町さんの分の今日の弁当も作ってきたから、その、あなた、出来れば……その……お昼、一緒に……」ゴニョゴニョ
小町「……ほら、お兄ちゃん」ツンツン
八幡「ん……」
96:
八幡「ああ、あれだ雪ノ下。お前の作ってくれた弁当を外で広げて食うってのもあれだし」
八幡「かと言って、自分の教室でお前の作ってくれた弁当をぼっちで食う勇気もない」
八幡「だから奉仕部の部室を使わせてもらえると助かるんだが……いいか?」
雪乃「えっ……も、もちろん構わないわ」
小町「良かったですねー雪乃さん! 小町も雪乃さんが作ってくれたお弁当楽しみだなー! ねぇ、お兄ちゃん?」
八幡「ん……ああ、まぁな……」
雪乃「ふふっ……ふふふっ……」ニヤニヤ
小町(うっわーわっかりやすいわーあれ。でもすごいかわいいんだよなー)
97:
昼休み 部室
八幡「ういーす」
雪乃「あら、意外と早く来たのね」
八幡「まぁ、確かに早く来たつもりなんだが、その俺より先に着いていることにびっくりだ」
雪乃「まぁ、その、た……、楽しみ、だったのよ……」
八幡「……げふんげふん」
八幡「とりあえず弁当広げようぜ……」
雪乃「ええ」
98:
八幡「ってうおっ! すげぇ!」
雪乃「どうしたのかしら?」
八幡「いや、思った以上に弁当気合い入っててびっくりしただけだ……」
雪乃「そうかしら……でも、褒められて悪い気はしないわね」
雪乃「……」グッ
八幡(……机の下で小さくガッツポーズをするのが見えた気がした)
八幡「まぁ、とりあえず食うか。いただきます」
雪乃「いただきます」
99:
八幡「……」モグモグ
八幡「うめぇ……」
八幡「これしか言ってないような気がするけど、マジでうめぇ……」
雪乃「ありがとう、あなた」
雪乃「……えっと」
雪乃「あ、あーん……」
八幡「え!?」
八幡「あ、いや、その……」
100:
雪乃「……」プルプル
八幡「……あ、あーん」パクッ
八幡「……おいしい」
雪乃「そう、良かったわ」ニコッ
八幡「ぐっ……」
雪乃「なにか?」
八幡「や、なんでもねーよ……しかしあれだな、こんな飯を毎日食える奴は幸せだろうな」
雪乃「……えっ、それって……」
八幡「……」モグモグ
雪乃「……もう」プイッ
101:
放課後
八幡「奉仕部の終了時刻までいると、学校に雪ノ下さんとかが来る可能性があるからな……」
八幡「今日は平塚先生の許可を貰って、奉仕部は休みにさせてもらった」
雪乃「あ、ありがとう……」
八幡「由比ヶ浜が心配だったけど、まぁ三浦たちと遊びに行くって言ってたし、なんとかなるだろ」
雪乃「あ、じゃあ……あなた、帰りにスーパーに寄っていってもいいかしら。食材とかを買いに……」
八幡「ああ、分かった」
102:

八幡「じゃあ、とりあえず自転車を取りに……」
雪乃「私も行くわ……待って、あの車は……!!」
陽乃「ひゃっはろー、雪乃ちゃん、比企谷くん」
雪乃「姉さん……!!」
八幡「ホームルームも終わったばっかだっていうのに、この時間からもう張ってたのか……」
八幡(本当にこの人、かなりの暇人なんじゃないの?)
103:
陽乃「悪いねー比企谷くん。雪乃ちゃんとのお泊りデートはもうお終いだよ」
八幡「……バレてたんですか」
雪乃「姉さん、今すぐ帰って」
陽乃「それは出来ない相談かなー、一日お泊りを許してあげただけでもお姉ちゃんに感謝なさい」
陽乃「雪乃ちゃん。わたしと一緒に住むこと、それが今の暮らしを続ける最低条件だってお母さん言ってたじゃない」
陽乃「これ以上のワガママは、見逃せないかな」
雪乃「……」
104:
八幡「……雪ノ下さん、どうかここで引いてやってくれませんか」
雪乃「あ、あなた……」
陽乃「駄目に決まってるでしょー……。全く、やっぱりこうなっちゃったか……」
八幡「……?」
陽乃「結局、雪乃ちゃんはまだ他人に依存したまんまなんだね」
雪乃「!!」ビクッ
陽乃「あなたなんて呼んじゃって、あーおかしい」
陽乃「……新婚ごっこはここまでよ。早く帰りなさい」
雪乃「うっ……」
105:
八幡「雪ノ下……」
雪乃「……よ」
陽乃「え、何? 聞こえなかったから、もう一度はっきり言ってく──」
雪乃「いやよ!! 絶対に戻らないわ!!」
八幡「!?」
陽乃「!!」
106:
雪乃「お母さんも、姉さんも……自分の描いた理想像ばかり押し付けて……」
雪乃「誰も……私を、私自身を、見てはくれなかった……」
雪乃「でも、彼は違う……」
雪乃「彼だけは、私を見つけてくれたわ」
雪乃「……離れたくない……比企谷くんから……」
雪乃「もう、私からこれ以上何も奪わないで……!!」
八幡「雪ノ下……」
陽乃「……っ」
107:
陽乃「ほんっと、子どもみたい……」
陽乃「……言って分からないなら、仕方がないなー」
陽乃「みんなー、お願い」
黒服達「「「ざわ…… ざわ……」」」
雪乃「!!」
八幡「実力行使ってわけか……」
陽乃「元々こうするつもりだったし……悪く思わないでよねー」
108:
八幡「くっ……だが、今の俺なら何人かくらい倒すことが……」
葉山「おっと比企谷、無駄な抵抗はやめた方がいい」
八幡「は、葉山……!?」
雪乃「葉山くん……」
葉山「……悪いけど、今回の俺は陽乃さん側だ」
葉山「出来ることなら君たちを傷つけたくはない。雪ノ下さん、大人しく来てもらえないだろうか」
雪乃「……お断りするわ」
葉山「そうか……残念だ……」
109:
陽乃「隼人。万が一にでも手こずりそうなら、本気出していいからね」
葉山「そのつもりさ。自分が色々と教えたとはいえ、比企谷相手は少し手間がかかりそうなんでね」
八幡「くっ……」
八幡(ただでさえ全員倒せるとは思えない黒服たちに加えて、あの葉山が……)
八幡(さすがに、この状況をなんとかすることは……)
──────!!
八幡「ん?」
陽乃「……雄叫び?」
110:
ろ────!!
黒服A「な、なんだなんだ」
黒服B「どこから聞こえてくるんだ!?」
はろ────!!
葉山「この声は……!!」
雪乃「まさか──」
や──────っ、
111:
結衣「はろ────っ!!!!」ズシャアァッ!!!!
黒服達「「「ぐあああああああああああああっ!!!!」」」ピューン
葉山「なっ!」
八幡「由比ヶ浜がいきなり空から落ちてきたと思いきや黒服達をまとめてなぎ倒した!?」
雪乃「ゆ、由比ヶ浜さん! どうしてここに!?」
結衣「え、来るでしょ? だって──」
結衣「──友達が、困ってるんだもん」ニコッ
112:
雪乃「……私、結構あなたに対して失礼なことばかりしてきたと思うのだけれど」
雪乃「どうして、それでも友達だなんて思ってくれるのかしら……」
結衣「え? や、別に失礼だなんて思ったことないけどなー、たはは」
結衣「……だって友達じゃん。たまには失礼なことだって言うこと、あるでしょ」
雪乃「……都合が良くて申し訳ないのだけれど、今初めてあなたを友達だと思っても良いかも知れないって思ったわ」
結衣「えっ、思われてなかったの!?」
雪乃「冗談よ……嫌々だったら、ずっと奉仕部に一緒にいないわ」
結衣「ゆ、ゆきのん……!!」
113:
陽乃「ちっ、とんだ邪魔が入ったわねー。今日はもういないって聞いてたんだけど……隼人、ガハマちゃんの相手をしてあげてー」
葉山「やれやれ、とうとう結衣と真正面から戦う羽目になるとはな……」
結衣「隼人くん、悪いけど今日のあたしは手加減できないよ!」
葉山「おいおいいつものあれは手加減してくれていたのか、冗談だろ」
葉山「でも、本気でも構わないよ。もちろんこっちも本気だけどね」
結衣「そう、隼人くんがそう言うんなら……」
結衣「やっ「やっ「やっ「やっ「やっ「やっ「やっ「やっ「やっ「やっはろー!!!」」」」」」」」」」ゴゥ!!!!
葉山「!!!」
114:
ドガーン
八幡「お、おい由比ヶ浜! やり過ぎだろ!」
葉山「……ほんと、結衣はすごいな。この状態になっていなかったら死んでいたかもしれない」ゴゥ!!
八幡「なっ、なんだありゃ……」
雪乃「葉山くんの髪が金髪になって、逆立っている……!?」
結衣「や、髪は前から金髪だったような気がするけどね」
葉山「これを知らないのも無理はない……これは千葉県のHさんにしかなれない、伝説のスーパーチーバ人さ」
八幡「す、スーパーチーバ人だと!?」
陽乃「比企谷くんならふなっしー知ってるでしょ?」
陽乃「ふなっしーが普通なら出来ないようなこともこなせるのは、ふなっしーもスーパーチーバ人だからなんだよ」
八幡「な、なんだってー!?」
雪乃「確かに、ふなっしーも千葉県のHさん……!!」
115:
葉山「この状態でならば、結衣とも互角に戦うことが出来る」
結衣「そっか、じゃああたしももっと本気出さないとね!」ゴゥ!!
葉山「ああ、かかってこい結衣!」ゴゥ!!
陽乃「じゃ、隼人がガハマちゃんを抑えている間に、わたしは雪乃ちゃんを貰っちゃおうかなー」
八幡「くっ」バッ
雪乃「ひ、比企谷くん!」
陽乃「へぇ、女の子の前に立って庇うなんてかっこいー!」
陽乃「でも悪いことは言わないからやめた方がいいよ……わたしも、その伝説のスーパーチーバ人になれるんだからね!」ゴゥ!!
八幡「なっ……!?」
八幡(確かに、陽乃さんも千葉県のHさんだ……!!)
116:
陽乃「この状態なら、あのガハマちゃんとも互角に戦える戦闘力を持つことが出来る……」
陽乃「ま、この場合、生身でもスーパーチーバ人とやりあえるガハマちゃんを褒めるべきなんだろうけどね」
陽乃「とりあえず比企谷くんじゃ、わたしには何をやっても勝てないから。大人しく退いてくれない?」
雪乃「……比企谷くん、もういいわ」
八幡「なっ、雪ノ下!?」
雪乃「元々、あなたは私のワガママに付き合わせられていただけ……」
雪乃「これ以上付き合う義理なんて、あなたにはないはずよ」
陽乃「観念してくれたのならいいや、ほら雪乃ちゃん。早く帰るよ」
雪乃「でも、ありがとう比企谷くん」
雪乃「私を、助けてくれて……」
八幡「……!!」
117:
陽乃「別れの挨拶は済んだ? じゃ、比企谷くんばいばーい」
八幡「……待てよ」ギュッ
雪乃「……えっ?」
八幡「お前はそれでいいのかよ……いや、愚問だったなそれは……」
八幡「俺が……俺が嫌だ!」
雪乃「ひ、比企谷くん!!」
陽乃「へぇ、邪魔するつもり? でも比企谷くんじゃわたしには勝てないと思うなー」ゴゥ!!
八幡「……だったら、俺もその域に達するまでです」ゴゥ!!
雪乃「!?」
陽乃「嘘……それはスーパーチーバ人!?」
雪乃「確かに、比企谷くんも千葉県のHさん……!!」
陽乃「……千葉県のHさんだからってほいほいなれるようなもんじゃないんだけどなー」
陽乃「本当に強い純粋な想いがなければ……」
118:
陽乃「まぁ、いいよ。相手になってあげる」ザッ
八幡「行きますよ、陽乃さん!!」ガッ
ガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!
陽乃「雪乃ちゃんは、誰かに依存しない、一人でも立っていける人間にならなきゃならないの」
陽乃「だから邪魔しないでくれるかな、比企谷くん!!」
八幡「それが、雪ノ下の嫌う理想像の押し付けじゃないんですか」
ガキン!!
陽乃「……比企谷くんは、今の雪乃ちゃんを見てて何か思わないの?」
陽乃「あんな隅でガタガタ震えて泣いてるだけで、都合のいいときだけ人に頼るような雪乃ちゃんでいいって思うの!?」
八幡「思いませんよ!!」
陽乃「!?」
雪乃「!?」
119:
ガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!
八幡「確かに雪ノ下は子どものように甘えん坊です」
八幡「由比ヶ浜のことが絡むと、すぐ泣くし、すぐ俺に頼る」
八幡「客観的に見て、雪ノ下は子どもだし、俺は依存されていると言える状況でしょうね」
雪乃「あ、あの、比企谷くん……!?」
陽乃「そこまで分かってて、なんでまだ邪魔するかな?」
八幡「……だからと言って!」ブン!!
ガキン!!
陽乃「!?」
八幡「望まないぼっちを、強要されていいはずがない……!!」
120:
陽乃「……雪乃ちゃんは一人の方が良いよ」
陽乃「誰かと一緒になると、すぐにそこにべったり……」
陽乃「わたしの時も、隼人の時もそうだったんだから……」
八幡「そりゃ、あなたと葉山が間違っていただけだ」
陽乃「!?」
八幡「葉山も言っていた……あなたの、その好きなものを構いすぎて殺す性格が──」
八幡「──雪ノ下のあの性格に繋がっているはずなんだ」
陽乃「っ!! だったら、誰だったら、あの子と一緒にいられるというの?」
八幡「俺がいる!!」
雪乃「……!!」
121:
八幡「……もう雪ノ下さんも、あえて悪役を振舞うのはやめたらどうですか」
八幡「そうでもいないとまた構ってしまいそうだと思ったんでしょうけど……妹共々、本当に不器用なんですから」
陽乃「そう……わたしのやり方は、間違ってたの……」
雪乃「姉さん……」
陽乃「……比企谷くん、君になら頼めるのかな」
陽乃「雪乃ちゃんのことを……」
八幡「任せてください、雪ノ下さん」
雪乃「え……それってどういう……」
八幡「そうだな、まずは本人に言わなきゃ始まらないよな……」
八幡「雪ノ下、俺はお前のことが好きだ……俺と一緒にいてくれ」
雪乃「あっ……よ、喜んで……」
八幡「雪ノ下っ……!!」
雪乃「比企谷くんっ……!!」
122:
結衣「矢ッ覇露──!!」
ドガーン!!
結衣「はぁ、はぁ……なんとか倒せた……」
葉山「ぐはっ……雪乃ちゃんは、幸せになれるんだろうか」
葉山「今はまだ分からない……けれど」
葉山「比企谷……俺も、お前になら頼めるって……思う……よ……」ガクッ
結衣「そっか、ヒッキーはゆきのんと一緒になれたんだね」
結衣「良かったねぇ、ゆきのん。ヒッキーのこと、大好きだったもんね」
結衣「よしっ、あたしも頑張ろう!! 次は一日十万回のやっはろーだ!!」
123:

陽乃「ごめんねぇ、雪乃ちゃん……こんな不器用な接し方しかできなくて……」
雪乃「いいのよ、もう……私のことを思ってやってくれたことなのだと、知ることが出来たのだから」
八幡(色々あって、ようやく雪ノ下──雪乃は、陽乃さんと仲直りをすることが出来たようだ)
八幡(長年の空欄を埋めるのは今すぐにとはいかないだろうが……)
八幡(そう遠くない未来、本当に仲の良かった頃の姉妹に戻れるんじゃないかって思う)
陽乃「じゃあ比企谷くん、雪乃ちゃんをお願いね」
陽乃「お母さんのことは、また今度お話しするから」
124:
八幡「あ、はい……俺も出来る限り頑張るつもりなんで」
陽乃「もう、また雪乃ちゃんをただの甘えん坊のままにしてたら怒っちゃうんだからね!」
陽乃「あ、それと……もしも雪乃ちゃんに飽きたら、わたしのところにもおいでね」
八幡「っ!?」
雪乃「ちょっ、姉さん!!」
陽乃「じゃ、わたしはこの辺で退散するね! ばいばーい!」
雪乃「もう、姉さんったら」
八幡「はは……根本的なところは何も変わっちゃいねぇ……」
125:
八幡「さて、俺たちも帰るぞ」
雪乃「えっ……」
八幡「ん、今日もウチ来るんじゃなかったのか?」
雪乃「……!! え、ええ、もちろん行くわ」
雪乃「……その、出来れば、その」
八幡「ほら、手出せ」ギュッ
雪乃「あ、ありがとう……」ギュッ
八幡「お前も素直に礼を言えるようになってきたな……」
雪乃「友達が教えてくれたのよ……感謝は伝えられる時に伝えろって」
八幡「ああ、そうかい。そいつぁさぞかしいい友達なんでしょうねぇ」
雪乃「ええ、ちょっと……いえ、とても吹っ飛んでいるけど……いい友達だと思うわ」
八幡「……そっか」
雪乃「ところで、夕飯は何が食べたいか教えてくれると助かるのだけれど」
八幡「そうだな、俺は──」
126:
──少し経って。
奉仕部。
結衣「やっはろー!!」ゴゥ!!
八幡「よう、由比ヶ浜」パシッ
雪乃「こんにちは、結衣さん」パシッ
八幡(雪乃もソニックブーム流すのに慣れてきたな……肝心のそれを出す側は、抑える方法に慣れてくれないんだが)
雪乃「今、紅茶を淹れるわね」
結衣「うん! あっ聞いてよゆきのーん! 今日はねー」
八幡「……今日も平和だ」
127:
いろは「あっ、せんぱーい!!」ダキッ
八幡「うおっ、一色なんだやめろっ!」
雪乃「……八幡くん?」
八幡「い、いや、雪乃! 誤解だ!!」
いろは「むぅ……雪ノ下先輩! 言っときますけど、まだわたし、先輩のことを諦めてませんからね!!」
八幡「ちゃんと真正面から振ったはずなんだけどなぁ……」
雪乃「いいわ、私の八幡くんを振り向かせられる自信があるというのならお好きにどうぞ」
いろは「うーっ! その正妻みたいな余裕ムカつきますねー!!」
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