シエル「隊長……」【ゴッドイーター2】back

シエル「隊長……」【ゴッドイーター2】


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1:
シエルちゃんが少し強かになるお話
・GE2RB本編の後日談
・隊長(主人公)は男
 口調と性格は一応ボイス18(多分軍人キャラ、決め台詞はサプライズだぁ!)イメージで
22:
過去作
ギルバート「なぁ隊長……」【ゴッドイーター2】
アリサ「リーダー!リーダー!!」【ゴッドイーター2】
2:
―フェンリル極東支部アナグラ ラウンジ
(……"極致化計画"に端を発したラケル先生の陰謀は阻まれ、アラガミの脅威は依然として続くものの、終末捕喰の先を見出すことができた現在)
(そして、闘いの日々の合間に訪れた、束の間の休息……)
シエル「ふぅ……」
(私は、自分の心に表れた……いえ、既に自らの内にあったものの、任務にかまけてひた隠しにしてきた、ある感情に戸惑っていました)
シエル「……」
「お疲れのようだな、アランソン」
シエル「……隊長」ハッ
隊長「隣、いいか?」
シエル「は……はい!どうぞ!」
隊長「別に今に始まった事でもないし、そんなにかしこまらなくてもいいだろう」ハハッ
隊長「俺達の仲もそう短いものじゃない」
シエル「はい……でもやっぱり、ちょっと慣れなくて」
隊長「そうか……よくわからないものだな」
3:
(ブラッド隊長……私達ブラッドの指揮官であり、私の初めての友達になってくれた人)
(彼はこうして、暇を見つけては友人として私に会いに来てくれます)
隊長「――そして最後にヴィスコンティの聖域ジョークが炸裂し、事なきを得たわけだ」
シエル「ふふ……私は、ジーナさんと一緒に新しくエディットしたバレットの検証を――」
(まずは二人の近況を話し合って、その後は静かな時間を過ごす……)
(言葉はなくとも、彼の与えてくれる不思議な安心感が心地よくて……休息時の密かな楽しみになっています)
「先輩!」
(でも――)
4:
隊長「おう、フォーゲルヴァイデか」
シエル「……こんにちは」
(隊長は"喚起"の血の力を持つことから……もしくは、その力を発現するに至った生来の性格から)
(分け隔てなく人に接し、そのつながりを増やしてきました)
エリナ「先輩にシエルさんもお疲れ様です!ねぇ先輩、さっきの任務でね――」
(その影響により、極東支部の神機使い達は感応種への対抗策を手に入れ、ブラッドも結束を強める結果となり)
(……なったのですが、それと同時に、彼の持つつながり、特に異性とのものが増えていく度に)
シエル「……っ」ズキッ
(私は何か、言いようのない感覚を覚えるようになりました……)
5:
隊長「――ほう、ハンニバルを討伐できたのか」
エリナ「そう!火球を吐いた隙を狙って……あ、もちろん、コウタ隊長とタツミさんのサポートがあってこそだけどね」
隊長「しかも独力で突っ走らずにか……これは俺もうかうかしてられないな」
エリナ「でしょ?この調子でガンガンいっちゃうんだから!」
隊長「だが、調子に乗り過ぎないようにな。……よくやった、フォーゲルヴァイデ」
エリナ「……ありがと」///
(小さな水滴が胸を打ち、波紋がじわじわと痛みを広げていく……)
(最初の内は見逃せていたものが、視界に入れざるを得ないほど大きくなっていき……)
エリナ「……それでさ、認めてくれたついでに、そろそろ名前で呼んでくれてもいいんじゃない?先輩」
隊長「すまんな、そいつは癖というか気まぐれというか……簡単には変えられそうもない」
エリナ「えー、何よそれ……」
隊長「別に一度も呼んだことがないわけでもないし、然るべき時に使い分けはできるから問題ないだろう」
隊長「なぁアランソン……アランソン?」
エリナ「シエルさん……?」
(衝動を、抑えられなくなる)
6:
シエル「……」ギロッ
エリナ「うっ……」
隊長「……?」
エリナ「あ……あー!私、さっきの事で改めて二人にお礼言わなきゃ!それじゃまたね、先輩、シエルさん!」ダッ
隊長「あ、あぁ……?」
シエル「……」
シエル「では、私もそろそろ」ガタッ
隊長「……もういいのか?」
シエル「……えぇ」
ウイーン
隊長「……静かなのはさっきと変わらない、がなぁ」
7:
―アナグラ ロビー
エリナ「はぁ……」
エリナ「(怖かったぁ……凄く怒ってるとか、手を出してくるとかなら対抗だってできたかもしれないけど)」
エリナ「(……あんな、色々綯交ぜになった、悲しそうな顔で睨まれるとなぁ)」
エリナ「(……でも、私だって負けないからね)」
8:
―アナグラブラッド区画 シエルの部屋
シエル「……」
(……やってしまいました)
(ただ隊長がエリナさんと……仲間と会話しているだけなのに)
(何故痛みが広がるのでしょうか……何故、どうしようもなく自分を抑えられなくなるのでしょうか)
(……ブラッド入隊以降、隊長だけでなく、様々な人が友人や、仲間として私を受け入れてくれました)
(エリナさんだってその一人のはずなのに……)
(最初に出来た友達だからこそ大切にしたい、という思いももちろんありますが、ここまで彼に執着してしまうのは何故……)
(このまま一人で思考を巡らせても、同じ所を通り過ぎるばかり……)
(……相談をしてみるのも、いいかもしれませんね)
―――
――
9:
リヴィ「――それで」
ナナ「手の空いてる私達に頼みごと、ってこと?」
シエル「えぇ……それに、信頼できるあなた達ならこうした事も相談できるかと思って」
ナナ「へー……えへへ、嬉しいこと言ってくれるねぇ♪」
リヴィ「シエルの方から頼ってくるのも珍しいからな」フフッ
リヴィ「出来る限り、君の力になろう……さて、隊長の事だったな」
シエル「はい……」
ナナ「うーん……これは結局、シエルちゃん個人の問題になるから、そう深いことは言えないんだけど……」
ナナ「多分今のシエルちゃんは、隊長と友達でいることに満足できてないんじゃないかなー」
10:
シエル「満足できていない?……どういうことでしょうか」
リヴィ「落ち着け。満足していない、ということは……その、それ以上のか、関係を望んでいる、ということだ」ゴニョゴニョ
シエル「それ以上の関係……友達以上に、親密な……」
シエル「……!?」ボッ
シエル「そ、そのようなことは…っ」///
ナナ「ほら、シエルちゃんもリヴィちゃんも落ち着いてよー……」
ナナ「……シエルちゃん、別にそんなことないならないでいいんだけど、一度振り返ってみたら?」
シエル「……」
(……彼に近づきたいと思ったきっかけははっきりとしていませんが、明確に意識するようになったのは……)
(やはり神機兵の起動テストの時でしょうか)
(あの時、命令よりも大切な事を教えてもらって……それ以降、自分から隊長に接する機会も増えていきましたね)
(……)
(急に抱きついたり、付き合って欲しいと言ったり、挙句に、百年の仲を約束して……)
(舞い上がるあまり、とても恥ずかしいことをやってしまったのでは……)
11:
シエル「……」///
ナナ「やっぱり、脈アリみたいだねー」
リヴィ「まぁ、私から見ても、分かり切ったことだとは思っていたな……」
ナナ「入ったばっかのリヴィちゃんですらそう思うんだから、相当だよ」
リヴィ「……随分とこの手の話に慣れているようだが」
ナナ「おでんパンだけの女の子じゃありませんから!……ただの耳ドシマだけどねー」
ナナ「多分、カノンさんとかの方が詳しいんじゃないかな」
(――でも、そのようなことをしてしまったのは、友達であることの勝手がわからなかったからではなく)
(心の奥底で、彼とより深い関係であることを望んでいたのだと考えれば……)
(エリナさんのような、隊長と親しい女性に敵意を向けてしまっていたのも……)
12:
シエル「……ナナ」
ナナ「お帰り。どうだった?」
シエル「……今まで自分で気づかなかっただけで、元からそういう気持ちはあったのかもしれません」
シエル「時折襲い来る衝動も、嫉妬や羨望によるものだと考えれば辻褄は合います」
リヴィ「……いやに冷静だな」
シエル「こう客観的に見ないと、今にもどうにかなってしまいそうなので……」///
ナナ「そこまで分かってるならもう確実だね!そうと決まればー……」
シエル「……でも、いいんでしょうか」
リヴィ「?」
シエル「出会った頃から、皆さんに与えられてばかりで……今だって、彼の本意はどうにせよ懇意にしてもらって……」
シエル「そんな私が、これ以上求めてしまってもいいんでしょうか……」
ナナ「……」
リヴィ「……」
13:
ナナ「……なーんだ、そんなことかー」
リヴィ「身構えて損をしたな……」フッ
シエル「え……?あの、私は真剣に……」
リヴィ「いや、そういうことじゃなくてな……君は十分、隊長や私達の力になってるじゃないか」
ナナ「まずは"直覚"でしょ、書類作業でしょ、任務中の臨機おーへんな戦略の提案でしょ……」
ナナ「あと、メンバーのスケジュールチェック!アレ、凄く助かってるよー、特にロミオ先輩が!」
シエル「……」
リヴィ「それだけじゃない……誰かが傷ついた時には、自分を顧みず献身的に支えてくれる」
リヴィ「私も、"螺旋の樹"開闢作戦の時は随分と世話になったしな……」
ナナ「私がアナグラを飛び出しちゃった時も、シエルちゃんの言葉が胸に沁みたなー」
シエル「……二人とも、ありがとうございます」
14:
ナナ「いいよいいよー♪ほんとのこと言ってるだけだし」
ナナ「それに、やっぱり妹分はかわいいからねー」
シエル「妹……ですか?」
ナナ「だってほら、シエルちゃんってブラッドの中だと一番年下でしょ?」
ナナ「私はいっこ違いなだけなんだけど、末っ子みたいなかわいさというか」
リヴィ「妹か……よし二人とも、私の事は姉と呼んでくれても構わないぞ」
ナナ「はーい、リヴィお姉ちゃん♪」
リヴィ「……これはいいな」
シエル「ふふ……」
ナナ「……だから、応援してるよ、シエルちゃん」
ナナ「隊長の方だって、ああやって毎回シエルちゃんと会ってるんだから、絶対悪くは思ってないはずだよ!」
リヴィ「そうだな、鈍い兄にわからせてやってくれ」
ナナ「……リヴィちゃん、もしかして気に入っちゃった?」
リヴィ「……少し、な」
リヴィ「シエル……もし上手くいかない事があったら、また私達が君を支える番だ」
シエル「ナナ、リヴィさん……改めて、ありがとうございます」
15:
―極東 贖罪の街
ギル「――任務終了だ、お疲れさん」
隊長「次の任務もこれぐらい、スマートにいきたいものだな」
隊長「……」フゥ
ギル「……どうした、また何か抱えてんのか」
隊長「気取られるのも慣れたものだな……アランソンの事で少々、いや結構悩んでいる」
ギル「喧嘩でもしたか?」フッ
隊長「そうならまだ楽でいいんだが、どうも様子がおかしくてな……」
ギル「そうか……ま、女絡みの話じゃ、俺の方からはハルさんに釘を刺しとくぐらいしかできんが……」
ギル「伝えたいことは先に伝えておけよ……何かがあってからじゃ、遅い」
隊長「……マクレイン」
ギル「……そもそもの大事が起きないようにするのも手だけどな」フッ
ギル「俺の言いたいことは伝えた。頑張れよ」ポン
ギル「……こちら討伐班、今から帰投地点に合流する」ピピッ
隊長「……伝えたいこと、か」
16:
―アナグラ ラウンジ
(――昼下がりのラウンジ……ムツミさんがカルビの散歩に出て、いつもの賑わいもない、静かな時間)
(先日の出来事以降、ようやくこの時間帯に私と隊長の休憩時間が合うことになりましたが)
(……自分の気持ちがはっきりとわかってしまった以上、やはり気恥ずかしいものが……)
シエル「……」
隊長「……」
(それに、今日は隊長が先に席に着いていて)
(私もそれとなく隣に座りましたが、先日空気を悪くしてしまった手前、どう話を切り出したものか……)
シエル「……」オロオロ
隊長「……」
17:
隊長「……アランソン」
隊長「……いや、今日はそういう気分じゃないな」
シエル「……?」
隊長「シエル」
シエル「!?……は、はい」
隊長「俺は……お前とのこの時間が、好きだ」
シエル「……」
隊長「言葉は少ないが……お前の持つ柔らかな雰囲気が心地よくて、いつも癒されている」
隊長「今は少し、堅いみたいだが」ハハッ
シエル「……!」
(私と、同じ……)
隊長「……いきなりで驚いたと思うが、マクレインからアドバイスを受けてな」
隊長「とにかく、俺が思ってることを伝えてみたわけだ」
隊長「これでも心配はしている……ブラッド隊長ではなく、お前を大切に思う……一人の友人としてな」
シエル「……」
隊長「(流石にクサすぎたか……?)」オロオロ
18:
シエル「……ふふ」
シエル「私も人のことは言えませんが、君も相当ですね」ニコッ
隊長「」ドキッ
隊長「……ふぅ、何とか、笑ってはもらえたか」
シエル「……私はもう大丈夫です、隊長。自分の気持ちに整理はつけましたし……君の気持ちも聞けましたから」
(少なくとも、君は私を思ってくれている……)
(なら、君が振り向いてくれている間に、私の方から……少しづつでも、この想いを伝えましょう)
(……ですが、その前に)
隊長「そうか……よし、ならいつも通り……」
シエル「いえ、そういうわけにもいきません」
隊長「何?」
シエル「では、今日の所はこれで失礼します……次の機会を、楽しみにしていますね」ガタッ
隊長「お、おい……」
ウイーン
隊長「……癒しがぁ」
―――
――
19:
―アナグラ ロビー
シエル「エリナさん、お疲れ様です」
エリナ「あ……お疲れ様、です」
シエル「……先日は無礼を働いてしまい、申し訳ありませんでした」フカブカ
エリナ「い、いやそこまでしてもらわなくても!」
エリナ「……まぁ、空気読まずに押しかけてきた私も悪いですから」
シエル「ありがとうございます。それと……」
シエル「私、負けません」
エリナ「!……その顔なら、もう大丈夫そうですね」ニヤリ
シエル「えぇ、一歩リードです」フフッ
エリナ「いーや!まだスタート地点です!先輩は渡さないんだから!」
シエル「まだ誰のものでもありませんが、私も譲るつもりはありません……正々堂々、お願いします」
エリナ「当然!負けませんから!!」
リヴィ「……」
リヴィ「ひとまず解決、か……隊長のフォローにでも行ってやるか」
リヴィ「……姉として頼られるのも、たまには悪くない」フフッ
シユウ
2

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