八幡「あーしさんが泣いてるよ、どうしよう」back

八幡「あーしさんが泣いてるよ、どうしよう」


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1:
2月14日
八幡「今日は…バレンタインだよっと」
八幡(俺には関係のない日だと思ってたのに、貰ってしまった)
八幡「いや、うれしいけどね?なんかね」
コトン
八幡「ん?」
八幡「あの隅にいるのって……三浦…だよな」
八幡(泣いてるのか?)
2:
優美子「…!…!」ヒックヒック
八幡「…」
優美子「…?」クル
優美子「ヒキオ…?」
八幡「あ、邪魔したみたいだな、じゃ」
優美子「まちな」
八幡「なんだよ」
優美子「話きいてけ」
4:
八幡「なんとなくわかったから、もういい」
優美子「は?どういうこと?」
八幡「だってお前…葉山に振られたんじゃねぇの?」
優美子「まさか…見てた?」
八幡「いや、今日の日と普段泣かない三浦が泣いてることを客観的に判断すれば」
八幡「答えは一つだ」
優美子「別に格好よくないけどすごいね」
八幡「一言多いですよ」
5:
優美子「合ってる、隼人に振られた」
八幡「そっか」
優美子「チョコレートも受け取ってくれなかった」
八幡「あいつなりの優しさだろ、多分」
八幡(おそらく完全に断って、希望を持たすことをしなかったな)
八幡(それだけ、三浦のこと大切に思ってるってことだろうな)
優美子「捨ててくる」
6:
八幡「待ってくれ、捨てるならほしい」
優美子「は?」
八幡「ほしい」
優美子「は?」
八幡「だから…ほしい」
優美子「声小さくすんな。なんかきもい」
八幡「しくしく」
7:
優美子「こんなんほしいの?あんたいくらモテないからって…」
八幡「へいへいどうせモテませんよ」
優美子「まちな、その袋は?」
八幡「これか?由比ヶ浜にもらった」
優美子「そうじゃなくって…あんた結衣からもらってるじゃん」
八幡「なんでわかんの?」
優美子「一緒に買いに行ったし、それ結衣が買ったチョコだし」
8:
八幡「なんだよいいじゃねぇかよ」
優美子「何がモテないよ。馬鹿じゃん」
八幡「俺だって驚いてるんだよ」
優美子「確かに、結衣があんたみたいなのに渡すなんて…」
八幡「…」
優美子「しかも、他にもあるじゃん。あんたいくつ貰ってんの?」
八幡「いくつだっけな…」
10:
優美子「この小さいのは?」
八幡「一色」
優美子「へえ、これ高いやつだし」
八幡「そうなんか」
優美子「こっちは?ハート型?」
八幡「雪ノ下…」
優美子「うわ??またベタな形できたね…」
13:
優美子「ていうか、これ全部本命じゃないの?」
八幡「わからん、一色のこれは大きさ的に義理だと思うが」
優美子「いや、大きさというか…高級さも重要だし」
八幡「いや…本命だったらビックリしますよ!」
優美子「あーしもビックリするわ」
八幡「だろ?ありえねぇって」
優美子「ま、あーしのも入れて、合計4つってことで」
八幡「お、おう。ありがとう」
18:
………
八幡「気が紛れたか?」
優美子「少しね」
八幡「そりゃ良かったな」
優美子「ま、あんがと」
八幡「いや、いいけどな…」
優美子「何照れてんの?どんだけコミュ障なのよ」
八幡「…」
28:
八幡「しかし、三浦を葉山が振るとは」
優美子「なによ?意外っていいたいん?」
八幡「そうだな、付き合うと思ってたけど」
優美子「あーしは断られると思ってた。隼人、あーしを見てくれてはなかったと思うし」
八幡(ということはあいつが好きなのって…)
優美子「なに?なんか考えてる?」
29:
八幡(なんか一色に付き添った時と似てるな)
八幡(というか、一色は葉山に告白したのか?)
八幡「大したことじゃねぇよ」
優美子「今日とか明日とか…隼人に告白する人って多そう」
八幡「だろうな、葉山もわかってんじゃねぇの」
優美子「でも、全部断る気がすんだけど」
八幡「ま、間違いじゃないかもな。あいつは断りそうだ」
30:
優美子「ね、その相手ってさ…やっぱり…」
八幡「……」
一色「せんぱ??い!」
八幡「一色かよ…」
一色「なんですか?そんなに嫌そうな顔しないでくださいよ?」
八幡「だって、なんか面倒そうだから」
一色「なんでわかるんですか?気持ち悪いですよ?ストーカーですか?」
八幡「合ってるし、悪口だし、ストーカーはどっちかって言うとお前だよね」
一色「先輩、ひどい…!」
31:
優美子「へぇ、意外っていうか」
八幡「ん?なんだよ?」
優美子「普通に仲良い女子いるとか」
優美子「チョコもらったんマジだったんだ」
八幡「なんですか?俺が見栄で自分で買った寂しい奴だと思ったんですか」
一色「うわ??先輩、そんなことしてたんですか?引きます」
八幡「いや違うからね?というか、これ一色から貰ったやつだからね?」
一色「あ?確かにわたしがあげたチョコですね?」
優美子「そっか」
一色「遅れましたけど、三浦先輩、こんにちは」
優美子「こんにちは」
32:
八幡(案外礼儀正しい優美子さんでした)
八幡「それで、話ってなんだよ?面倒なことなんだろ…」
一色「面倒なことっていうか…わたし振られちゃいまして」
優美子「え…?」
一色「もちろん葉山先輩に」
八幡「やっぱ告白したのな」
一色「はい!もう2回目の玉砕ですよ?!…さすがにちょっと冷めちゃったかな」
八幡「ま、元気そうでなによりだ」
一色「まあ、覚悟してましたし…」
八幡「まあ、中には悲しみで、涙ちょちょびれる奴もいるだろ」
33:
一色「その言い方なんか古くないですか??」
八幡「どうだろうな」
優美子「……きも」
八幡「ほっといてくれます!?」
一色「あ、そうだ先輩!」
八幡「だからなんだよ…」
一色「一色ってひどくないですか?もう少し丹精込めて呼んでくださいよ?」
八幡「はい?」
36:
一色「だからいっそ、いろはとか名前で」
八幡「で、一色。用件はなんだ?」
一色「無視とかひどくないですか!?」
八幡「名前でなんて呼べるか…そんなことした日には俺は布団で悶え死ぬことになる」
優美子「どんだけコミュ障なん、ほんと」
一色「え??しょうがないですね…」
八幡「本当に用件って何?言わないと帰っちゃうよ?」
一色「えっと雪ノ下先輩が呼んでましたよ」
八幡「雪ノ下が?」
37:
一色「なんだか葉山先輩のことで、相談あるとかないとか?」
八幡「どっちなんだよそれ…」
優美子「ヒキオ」
八幡「ん??」
優美子「あーしも行く、いいでしょ?」
八幡「お、おう。いいけど」(こいつ葉山が好きな相手気づいてるな)
一色「じゃあ行きましょうか」
38:
奉仕部の部室
結衣「あ、ヒッキー来た!遅いよ!」
雪乃「来たわね比企谷くん…」
八幡「おう」
一色「こんにちは?!」
結衣「いろはちゃん、やっはろ?!」
優美子「あーしもいるけどね」
雪ノ下「めずらしいお客さんね」
優美子「どーも雪ノ下さん。お邪魔します」
八幡(なんか敵対心あるな…まあ、無理もないか?)
39:
雪ノ下「別に構わないわ」
優美子「……」
八幡(ちょっと怖いんですけど…)
八幡「なあ用件ってのは?」
雪ノ下「そうだったわね、実はこれを見てほしいのだけれど」
八幡「ん?」
優美子「それって…チョコ?」
雪ノ下「ええ、私が買ったものよ」
八幡「それがどうしたんだ?」
40:
雪ノ下「葉山くん用に買ったものだけど」
優美子「なっ!?」
結衣「え?!?ゆきのんが隼人くんに?」
一色「…!」
八幡「…で、それ渡すか迷ってんのか?」
雪ノ下「ええ、そういうことよ…」
八幡「渡す為に買ったんだろ?なら渡せよ…意味ないだろ」
優美子「…」
雪ノ下「いえ、渡すためというより…体裁目的といった方がいいかしら」
41:
結衣「ゆきのん、それって…」
八幡「つまり、形だけの物ってことか?」
雪ノ下「そうよ。私の本心はどうあれ、葉山くんとはこれからも家族間での付き合いはあるから」
八幡(葉山完全否定かこれは…)
結衣「じゃあ、さくっと渡しちゃおうよ!隼人くんもわかってくれるよ!」
一色「えっと…どうでしょうか…少し待ったほうが…」
優美子「待ちなよ…そんな気持ちで隼人にチョコなんか渡さないでほしいんだけど?」
雪ノ下「?どうしてかしら?義理チョコのようなものよ?あなたにとっても問題ないでしょう?」
42:
優美子「あるよ…!ていうか…もう、振られたし…!」
結衣「え?そうなんだ…」
優美子「さっきだけど」
雪ノ下「そう、それはその…ごめんなさい。あなたの気持を抉ってしまったみたいで」
八幡(抉るって…いつも俺にやってることじゃないですか?)
雪ノ下「なにかしら?」
八幡「なんでもないです」
優美子「それはいいの。でも、チョコは渡さないで…」
雪ノ下「どうして…?」
一色「あ…多分それは…」
43:
優美子「隼人が…雪ノ下さんを好きだから…!」
雪ノ下「……」
八幡(いいやがったか…)
一色「言っちゃった…」
結衣「優美子…」
雪ノ下「そういうこと…なの…」
優美子「きっと今日、隼人は何人も振ると思う…それは隼人にとっても辛いことだと思う…」
雪ノ下「…」
優美子「そこに…雪ノ下さんから、その気がないってことを知らせないでほしいんだ…」
44:
八幡「ま、葉山は雪ノ下が自分に振り向かないってのも知ってそうだけどな」
優美子「それでも…見送ってくんない?」
八幡「どうすんだ、雪ノ下?」
雪ノ下「そうね、三浦さんを傷つけてまで渡そうとは思わないわ」
優美子「そう…ありがと」
雪ノ下「じゃあこれはどうしようかしら…比企谷くん、貰ってくれないかしら?」
八幡「え?いや、俺は…」
優美子「ていうかヒキオ、雪ノ下さんからもらってるじゃん。ハート型のやつ」
八幡「おま…!」
結衣「え?」
一色「これだ??!」サッ
46:
八幡「げ…一色、返せっての!」
一色「ハート型とか…先輩、ニヤニヤしながら見てたんですか?気持ち悪すぎです?!」
八幡「いやいや、そんなことするか…」
結衣「え…それ、ゆきのんから?」
八幡「あ…」
雪ノ下「ええ、まあ…ぎ、義理だけれど」
優美子「いや、それは無理があるじゃんお」
結衣「ヒッキー!…他にもチョコもらってるとか…もうヒッキーじゃないよ!」
八幡「俺はいったいなんなんだよ…」
一色「先輩!合計3つもらってるとか!キモイです、先輩のくせに!」
優美子「まあ、あーしのもあるから4つだけどね」
47:
雪ノ下「!」
結衣「…!」
一色「…!」
優美子「あーしが捨ててくるって言ったら、ほしいってヒキオがね」
八幡「三浦さん…ほんともう、勘弁して…」
雪ノ下「比企谷くん、少しお話しましょうか」
結衣「あ?あ、ヒッキー、し?らないっと」
一色「先輩…いままでありがとうございました。先輩のことは忘れません」
八幡「え…?なに?…俺、死ぬの?」
優美子「ヒキオも大変だね…」
八幡「お前のせいじゃね?」
49:
次の日
八幡「……」スタスタ
八幡(昨日は雪ノ下らに詰問されまくった…もう嫌だ…しくしく)
八幡「やっぱ人生は苦いね、ほんと…ん?」
八幡(あれ、三浦と…葉山か)
優美子「隼人っ!…今日さカラオケ行かない?」
葉山「優美子…あ、そうだな…部活があるし」
優美子「いやいや待ってるしそんくらい!」
葉山「あ、あはははは…そうだな…じゃあ行こうか…」
優美子「姫菜たちも呼ぶっしょ?」
5

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