狐「ゆ〜きやこんこん、あ〜られやこんこん」back

狐「ゆ〜きやこんこん、あ〜られやこんこん」


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9:
狐「……えーと、この続きなんだっけ」
犬「ワン!」
狐「わあっ!」
犬「いっしっしっし。野生なのにボンヤリしてるなよ?」
狐「――な、なぁんだ、犬さんか」
犬「なんだじゃねえよ。俺が狼なら食われてたとこだぞ」
狐「でも日本の狼は全滅したんでしょ?」
犬「絶滅なんだが……。まあ変わりないか」
30:
狐「また脱走してきたの?」
犬「そーよ。家犬だって一人でのびのびしたいもんだぜ」
狐「今は僕と一緒にいるけど、いいの?」
犬「あーあー気にすんな」
犬(ダチに会いに行くのも悪くないしな。ハズいから言わないけど)
31:
犬「そーだ。土産があるんだった」
狐「土産?」
犬「お前やせっぽっちだし、たまには面白いもの食わせてみたいなと思ってな」
犬「ほれ、氷砂糖」
33:
狐「? なあにこれ」
犬「あま?い人間のお菓子だ。ウチの主人は梅酒だか作るのに使ってるな」
狐「梅酒?」
犬「いいから袋裂くの手伝え。これが結構破りにくくてな」
狐「わかった」パクッ
犬「ひっぱれー」
34:
狐「いたたたた……」
犬「けらけら。木の幹に頭ぶつけてやんの」
狐「だって袋が『ばつーん』て弾けるとは思わなかったんだもん」
犬「だからって転がりすぎだ。ほれ、とっとと食っちまおうぜ」
狐「うん!」
狐「うわー、氷砂糖って綺麗だねー」
犬「そうか?」ガリガリ
狐「うん、形とか氷みたい」
犬「氷みたいな形の砂糖なんだから当然だろ。何時までも惚けるな。口開けろ」
狐「あーん?」
犬「ほい」ヒョイ
狐「んぐ。ん? なにこれあまーい!」
犬「だろ、そだろ」
35:
狐「凄いねぇ。犬さんはいつもこんな美味しいもの食べてるのかー」
犬「いや全然」
狐「えー、なんでー?」
犬「太るし虫歯になるとか言って食わせてもらえない」
狐「犬さんも大変だねぇ」
犬「まーな。でも飯は食わせてもらってるし、悪くない生活だぜ」
狐「そっかぁ。いいな?」
36:
犬「そういやお前、さっき人間のうた歌ってなかったか?」
狐「そうだよ。ゆーきやこんこん、あられやこんこん♪」
狐「こんこん……」
犬「その先は知らないってか」
狐「うん。というか何時聞いたことがあるかも覚えてない」
38:
狐「犬さんこの先知らない?」
犬「いんや。聞いたことある気がするけど覚えてない」
狐「そっかぁ。残念だなぁ。僕が人間だったら分かるのに」
犬「化けて行けばいいじゃんか。んで通りすがりの人に聞けばまるっと解決よ」
狐「犬さんってロマンチストだねぇ
犬「えっ?」
狐「お伽噺信じてるなんてかわいいんだね」
犬「」カプッ
狐「やめてっ! そこ咬まないでぇっ!」
39:
狐「くすんくすん」
犬「……なんだよ。そんなに強く咬んでないだろ」
狐「犬さんに僕の気持ちは分からないよっ!」
犬「大袈裟だなー。ちょっとふざけただけじゃねぇか」
狐「……好きな犬さんに咬まれるのはショックなんだよ」
犬「え゛っ?」
狐「…………友達に咬まれるのってイヤじゃない?」
犬「あーまーそーな。でもウチはふざけて咬んだりは遊びの範疇だったし」
狐「…そんなもんかなぁ」
犬「そんなもんだ」
40:
犬「お前そんなんで良く野生でいられるな」
狐「いつもごめんなさいって言いながら野うさぎさんや野ネズミさん食べてる」
犬「そうか」
狐「『これも自然の摂理じゃよ』って言れるととても切ないんだ」
犬「なんか…野生も大変なのな」
狐「うん。非情と哀しみの連鎖だよ」
犬「お前時々むつかしいこと言うんだよな」
41:
犬「話脱線してないか?」
狐「そうだね。ゆーきやこんこん♪だったね」
犬「人間に聞けばいいからだったか」
狐「犬さん聞いてきてくれない?」
犬「人間に俺の言葉が通じればの話だけどな」
狐「無理なの?」
犬「口腔の造りが違うから無理」
狐「犬と人用のほんやくきってあるって聞いたよ」
犬「お前くだらないことは知ってるのな」
狐「てへり」
犬「」ゴパァ
狐「ごめんなさいお願いだから咬まないで」
犬「イラッとしたからつい」
42:
犬「あれはウチは買ってない。俺も着けたくない」
狐「どうして?」
犬「誤訳されて互いの絆を綻ばせたくないから」
狐「なるほどねぇ。じゃあもう打つ手なしかぁ」
犬「……いや、まだある」
狐「ホント!? 聞かせて聞かせて!」
犬「お前がウチに遊びにくればいい」
45:
狐「えぇ!?」
犬「たーしかその歌は雪がこんこんと降ることと狐の鳴き声を掛けてた気がする」
犬「そこでお前が俺のご主人に姿を見せれば思わず歌い出すって寸法よ!」
狐「犬さんて意外と単純だねぇ」
犬「」
狐「ごめんなさい失言でした」
46:
狐「でも大丈夫かなぁ?」
犬「何がよ」
狐「僕、捕まったりしない? 食べられたりしない?」
犬「何を言うかと思えば」
狐「怖いんだよぅ……」
犬「……大丈夫だ。ご主人は動物好きの優しい人ばっかりだ」
犬「それにお前は俺の客狐だ。もし人間がお前に無礼を働いたら俺が怒る」
犬「危険が迫ったら身を持ってお前を守る。んで逃がしてやる」
犬「それでいいだろ?」
47:
狐「…うん、ありがとう。犬さんが一緒なら怖いものなんてないよね」
犬「ふふん。そーだろそーだろ」
狐「いつもありがとうねぇ」
犬「いっしっしっし。ではついて参れ!」
狐「はーい」
55:
娘「むー、あの子ったらまた脱走しちゃって」
娘「野良犬と思われたら保健所行きって分からないもんなねかな」
犬「ワン!」
娘「うきゃあ!」
犬「へっへっへ」
娘「もーどこ言ってたの! 心配したんだから――」
狐「」
娘「」
56:
誤字は気にしないでください……
娘「キツネ……?」
狐「」ピク
娘「ちょっとジョン。ひょっとしてこの子、あんたの友達?」
犬「わふ?」
娘「そーよね、きっとそーよね。こんにちは、キツネちゃん」
狐「キュゥ……」
娘「怖くないよー。わたしはジョンの飼い主なの」
娘「そーかそーか。ジョンが脱走するのはこの子と遊ぶ為だったんだね」
57:
狐「ジョン?」
犬「ほっとけ。この名前は飼い犬の宿命だ」
狐「う、うん……。ねぇ」
犬「なんだ?」
狐「この人間、僕のこと咬まない?」
犬「咬まない咬まない」
狐「でもなんか、しゃがんで僕の前に前足かざしてる」
犬「お前のこと触りたいんだよ」
狐「どうして?」
犬「お前と信頼関係結べるかの儀式」
狐「えぇ!?」
犬「いいから近づけ。なんかあったら助けるからよ」
狐「……ええい、ままよ!」
58:
狐「」ポフッ
娘「わ、わぁ」サワサワ
娘「柔らかくて、温かくて……」ナデナデ
狐「キューン」
娘「わー、なんかこう、感無量って感じ」サワサワナデナデ
狐「キュゥゥ」
娘「怖くないよ、ジョンの友達はわたしの友達だからね」スッ
娘「待ってて、今ご飯持ってきてあげるね」
59:
狐「あ、行っちゃった」
犬「餌を持ってきてんだとさ。すぐ来る」
狐「そう、言ってたね。そうだね」
犬「で、どだった?」
狐「?」
犬「俺のご主人その3」
狐「えとね、その……」
狐「上手く言えないけど…暖かかった」
犬「安心する暖かさだろ」
狐「うん、いいね」
犬「でもお前にはやらないぞ」
狐「ケチだなぁ」
犬「俺のご主人なんだからいーだろ。でも時々貸してやるよ」
狐「にへへ。ありがと」
61:
娘「ほーい、栄養満点のドライフードだよー」
犬「ワンワン!」
娘「ジョン、待て。ちゃんとお友達にも分けてあげるんだよ」ザラザラ
狐「キュウ」
娘「そうそう。きみも食べていいよ。お口に合うといいんだけどね」
犬「……」
娘「ジョン、食べてよし」
犬「わう!」ガツガツ
62:
犬「どした? 食べな」ガツガツ
狐「う、うん」パクパク
犬「どだ?」
狐「なんだろう、新食感?」
犬「俺はこれが普通なんだけどな」
狐「でも、悪くない!」ガツガツ
犬「あ、俺の分食い過ぎるな!」
狐「考えておくぅ!」ガツガツ
犬「にゃろう!」ガツガツ
64:
娘「にっへっへー。可愛いなぁ」
母「あら、帰ってたの?」
犬「」ピク ガツガツ
狐「」ピタ
娘「あ、お母さんお帰り。夕飯の買い物に行ってたの?」
母「そーよ。お父さんと水入らずの買い物デート」
娘「いい年して何言ってるんだか」
母「いいじゃない。仮面夫婦より百倍マシよ」
娘「それは言えてる」
母「それより、珍しいお客さんね」
娘「でしょ。ジョンのお友達らしくて」
65:
犬「げふっ」
狐「あ、全部食べられちゃった…」
犬「気にすんな。ご主人その2に気をとられたのが悪い」
狐「あの人がご主人その2?」
犬「そー。ここの群れのナンバー2。人間の群れのことは前に教えたよな?」
狐「うん。群れって言っても三、四頭くらいしかいないんだてよね」
犬「で、怒らせたら一番恐い人間でもある」
66:
母「今日もジョンは朝方からお出掛けしていたわねー」
娘「そうなの?」
母「日曜だからって午後まで寝ているからわからないのよー」
娘「うう、その通りです……」
母「映画が面白いからって夜更かしはダメよ」
娘「はい…」
母「もし期末テストの点数悪かったら、お小遣い減らしちゃいますからねー」
娘「はぃぃ……」
67:
狐「すごい。ご主人その3がどんどん萎縮していく」
犬「どうだ怖いだろう。この方は俺やご主人その3の命を握っているんだ」
狐「ご主人その2でここまでなら、その1はどれだけ怖いんだろう」
犬「まあ、その1はまた方向性が違うからな」
狐「そうなの?」
犬「まあ、追々話す」
69:
母「ところでジョン」
犬「?」
母「あなた、今朝出かけた時に何か加えていたわよねー」
犬「!?」ビク
母「勝手に土足で家に上がっちゃダメって躾たわよねー」
母「体に毒だから氷砂糖は食べちゃダメって教えたわよねー」
母「まるっと忘れられると私困るんだけどなー」
犬「」ガクガクブルブル
70:
母「その様子だとなんで私が怒っているのか解っているのよねー」チラッ
狐「」ビクッ
母「お友達に免じて許してあげるわ。オイタもほどほどにねー」
犬「」ガクガク
父「どうかしたのか母さん」
母「あらお父さん」
娘「ジョンがお友達を連れてきたんだよ」
父「ふむ」ジッ
狐「」ジッ
父「どうも父です。ジョンがいつもお世話になっています。ゆっくりしてって下さい」
父「では母さん、夕食を作ろうか」
母「はいお父さん」
娘「行っちゃった」
93:
犬「行ったか」スクッ
狐「恰好ついてないよ」
犬「うるさいぜ」
狐「でも犬さんがああなっちゃうのはよっく解ったよ」
犬「そーだろー?」
狐「僕もチラッと目があった時、呼吸出来なかったからね」
犬「だろー。あれがこの群れの一番恐い人間」
狐「でもその1はよくわからなかった」
犬「最初はそう思うだろーよ」
狐「本当は強かったりするの?」
犬「わからん。掴み所がないからな。少なくとも敵に回したくない」
狐「うーん?」
犬「その内解る。今はわからんでいい」
狐「人間て難しいね」
犬「まーな」
94:
娘「さて、キツネちゃんはもう少しここにいる?」
狐「?」
娘「あはは、人間の言葉は分からないか」
娘「それじゃあボールで遊ぼう! ちょっと待ってね」トテトテ
娘「これかボール。どう遊ぶかはジョンが手本を見せてくれるよ」
娘「よし、ジョン。とってこーい!」ポイッ
犬「わぅん!」ダダダッ
犬「ハッハッハッ」トテトテ
娘「おーよしよし。こんな感じだけど分かったかな?」
95:
犬「どーだ。理解できたか?」
狐「えぇと、主人は犬さんに狩りの訓練をしてるの?」
犬「おう、おーむねそうだ」
狐「人間がそこまで考えてるなんてビックリだよ」
犬「飼い犬の俺にも野生の勘を維持させてくれるありがたーい遊びなんだぜ」
犬「しかも終わった後はご褒美をくれる」
狐「ご褒美!?」
犬「そうだ。しかも真剣にやればやるほどそのグレードは上がっていく」
狐「わくわく、わくわく」
犬「楽しそーだろ」
狐「うん! とっても!」
96:
娘「じゃあいくよ。二人とも、とってこーい!」ポーイ
犬「わん!」ダッ
狐「けん!」ダッ
犬「わおっ」パクッ
犬「へっへっへ」フリフリ
狐「キュゥゥ……」トボトボ
娘「ボール遊びはジョンがやりなれてるから、最初は仕方ないかな?」
娘「でも次は捕れるかもしれないよ?」
狐「けん!」
娘「よーし、その意気だよ!」
娘「では第二球、とってこーい!」
97:
狐「むー、犬さんは強いなぁ」
犬「ふふーん。このままだとお前はご褒美もらえずじまいかもな」
狐「!? ずるい!」
犬「何をおっしゃる狐さんよ。所詮は弱肉強食。お前も野生の意地を見せてみろよ」
狐「むっか。ようし、僕だって本気をだしてやるからね!」
犬「望むところだ!」
狐「でぇぇぇい!」タタタタタッ!
犬「うおーーん!」ダダダダダ!
99:
娘「お次はゴロでいくよー」
娘「今度はフライ!」
娘「さらにバウンドいくよ!」
娘「おおっと壁当て!」
娘「木にもぶつかって二段反射!」
娘「すごいすごーい。二人ともすっごいよ!」
母「娘ー。ご飯よー」
娘「あ、はーい」
娘「それじゃ二人にご褒美だね」
娘「はい。犬用ビスケット!」
娘「わたし夕飯食べてくるね。それですぐにご飯持ってきてあげる」
娘「じゃー後でねー」
100:
犬「はーはー」モグモグ
狐「ふうふう」モグモグ
犬「楽しいだろ」
狐「うん。想像以上だよ」
犬「にっしっしー」
狐「それに……」
犬「それに?」
狐「ご主人、僕たちのこと『二人』だって」
犬「分け隔てないんだよ。俺達のこと愛情を持って扱ってくれているぜ」
狐「僕も?」
犬「あったぼうよ。『二人とも』って言ってたろーが」
狐「…にひひ。いい人間だね」
101:
父「」ガラッ キョロキョロ
犬「!」ピク
狐「!」ピクン
父「よし、二匹ともこっちに来なさい」
父「今日買ってきたステーキ用神戸牛肉。一枚1000円が割引で二枚で500円だった」
父「食べてよし」
103:
狐「お、美味しそう。じゅるっ」
犬「ご主人その1、一体どうしたんだ?」
狐「ね、ねえ犬さん。こ、これ食べていいの?」
犬「差し出してくれてるんだ。食べていいんだろう。ご主人の手を咬むなよ」
狐「うん。……はむっ」ズリズリモグ--
狐「! う、美味すぎるっ!」
狐「とってもジューシーで! 軟らかくて! 冬も越せるくらい脂がのってるぅ!」
犬「感動しすぎだぜ? でもこれは滅多に食べれんご馳走なのは確かだ」ハグハグ
狐「ふぉぉぉぉお!」ハグハグモグモグ!
104:
父「ジョンが度々遠出していることは知っていたよ」
父「いつも無事に帰ってくるから心配はしていなかったけどね」
父「でも君みたいな子と会っているとは思わなかった」
父「娘との触れ合いを見ていて、君は大層利発な子だと知ったよ」
父「解らないかもしれないが、多くの犬が味わえない経験をジョンはしている」
父「その肉はお近づきのしるしだ。これからもジョンをよろしく頼む」
父「さて晩酌でもしようかな。君達も飲むか?」
犬「わふ」
106:
狐「このご主人、凄いね」
犬「いや、俺もここまでとは知らなかった」
狐「もしかして僕達の会話も理解してるのかな?」
犬「このご主人だと否定出来ないぜ」
狐「そういやなんか、僕達と似た雰囲気の眼をしてるね」
犬「そうか?」
狐「多分ね」
犬「……まあいいさ。ご主人が何者だろうと、俺は晩酌に付き合うぜ」
狐「晩酌って前に教えてもらった、夜にお酒を飲むことだよね?」
犬「そうだ。試したいなら俺のを舐めろよ。まずはちょびっといけ」
狐「うん――うひっ!」
犬「どーだ?」
狐「し、刺激的な味だけど、ポカポカしてきたぁ」
犬「これが酒だ。寒い時に重宝するぞ。……ん?」
107:
父「おお、初雪。母さーん、娘ー。雪が降ってきたぞー」
娘「ええー! わ、本当だ。雪だよー!」
母「あらあら、天気予報は外れでしたね」
娘「でも雪が降ってくれると心が躍るよ! あ」
狐「?」
娘「にひひ。良いこと思いついた」
娘「ゆーきやこんこん、あられがこんこん!」
娘「降っても降ってもまだまだ止まぬ♪」
母「あら。ふふっ」
母「犬は喜び、庭駆けまわり」
母・娘「「ねーこはこたつで丸くなる!」」
犬「!」
狐「!」
108:
狐「やった! 本当にこんこん言ってる!」
犬「本題をすっかり忘れてたが、俺の説明に間違いはなかったな!」
狐「もう、犬さんは調子がいいんだから」
犬「気にしたら負けと人間は言うぜ。お前負けになっちまうぞ?」
狐「別にいいもーん。でも狐のことは直接言われてないや…」
犬「でも雪や霰の降る様とお前の鳴き声を掛けているのは洒落てるじゃねーか」
狐「そうかなぁ」
犬「雪や霰を、こんこんと狐が降らせてるかもしれんのだぜ?」
狐「それは、なかなかかっこいいかな?」
犬「ゴロゴロしてる猫よりよっぽど格好いいぜ」
狐「それは猫さん達に悪いよぅ。でも、ちょっと嬉しいな」
110:
父「娘も母さんも歌が上手いな」
娘「えへへ」
母「あらあら、お父さんたら」
父「だけど、正確には『こんこん』じゃなくて『こんこ』だよ」
娘「ええっ! そーなの!?」
父「『こんこ』とは『こうこ』、つまり来いと言う意味なんだ」
父「現代語訳すれば、『雪よもっと降れ』とうたってるのさ」
母「お父さん」
父「はい?」
母「私が小さい頃から『こんこん』って歌っているのは覚えてますよね」
母「小中高大現在と、ず?っと黙っていたんですか?」
父「いや、あははは。そんなつもりはないんだけどな」
111:
狐「……………………なぁんだ。そっかぁ」
犬「狐、すまん。俺が悪かった」
狐「別に、犬さんは悪くないよ」
犬(怒ってはないけど無茶苦茶しょげてるじゃんか。どうしよう)
父「でも『こんこん』も雪の降る様を綺麗に表現しているとも言われている」
父「それにキツネの『こんこん』という鳴き声と掛けるのも粋なものなんだよ」
狐「!」
犬「!」
父「表現と解釈は一つだけとは限らないのさ」ニッ
112:
父「ちなみに、娘と母さんが歌ったのは歌詞の二番目なんだ」
娘「そうなの!? 新事実のオンパレードだよ」
母「それは知らなかったわ」
父「一番はこういう歌なんだ」
父「雪やこんこ、霰やこんこ。降っては降ってはずんずん積る」
父「山も野原も綿帽子かぶり、枯木残らず花が咲く」
父「こんな感じかな」
父「あと、綿帽子の部分は雪をお嫁さんが結婚式に被るあの帽子に例えたものなんだ」
娘「お父さん博識?!」
母「お父さん」
父「はい」
母「私の花嫁衣装は、綺麗でしたか?」
父「もちろん。母さんの美しさも未だ色褪せてないよ」
母「まあっ」
娘(聞いてるこっちが赤くなるよ)
114:
狐「だいぶ降ってきたね」
犬「ああ、こりゃあ本格的に降るかもしれないな」
犬「帰るか?」
狐「うん」
犬「送るぜ」
狐「ううん、悪いよ」
犬「もしもがあったら俺が困る。送らせろい」
狐「…うん。お願い」スクッ
115:
娘「あ、もう帰るの?」
狐「こん」
犬「わう」
母「ジョンはお見送りに行きたいのね」
娘「今度は首輪付けてってね。野良犬に間違われてほしくないから」
父「ふむ。母さん、アレを持ってきてくれる?」
母「ひょっとしてアレですか?」
父「うん、そう」
母「はい。今取ってきますね」
娘「なんだろう。ジョン達は分かる?」
犬「わふう?」
116:
狐「これ、首輪?」
犬「これは先代の首輪だ」
狐「先代って、ジョンの?」
犬「ああ、そーだ。俺がこの群れに来る前、彼らを守っていた偉大なイヌだ」
狐「とっても大きいね」
犬「俺は会ったことはないが、かなりの巨体だったらしい」
狐「なんで僕に付けようとしてるんだろう」
犬「わからん。でも主人達はお前を無理矢理繋ぎ止めようとする人間じゃない」
狐「じゃあ、抵抗しないよ」
狐(この人達になら、繋がれてもいいと思うし)
117:
娘「はい、出来た」
母「ぶかぶかだから首輪は簡単に外れるわ。お家に帰ったら取っていいのよ」
父「つけている間は飼い狐と思われるかもしれない。少しは危険を防げるはずだ」
娘「銀は凄く強い犬だったんだ。銀の首輪はきっとキツネちゃんを守ってくれるよ」
狐「きゅぅぅ?」
娘「なんでって顔してるね」
母「自分の後輩のジョン。その素敵なお友達の為なら銀も分かってくれるはずだから」
父「人間の傲慢かもしれないが、今回はこうさせておくれ」
狐「……」タッ
犬「わん」タッ
娘「元気でねー! ジョンはしっかり送っていくんだよー!」
118:
犬「着いたぞ」
狐「着いたねぇ。今日はありがとう」
犬「気にすんな。俺とお前の仲だ」
狐「……」
犬「歌のことはすまなかったな」
狐「いいんだよぅ。今日は沢山素晴らしいことを学べたからね」
狐「ご主人その1の言ったことはとっても勉強になった」
犬「そうか。そういってもらえると助かる」
狐「人間もいい動物だって分かったし」
犬「狐」
狐「なんだい?」
犬「人間は信用するな」
121:
犬「人間はいい奴ばかりじゃない」
犬「お前を害獣として嫌う奴、単なる楽しみで殺そうとする奴もいる」
犬「人間は強大で、危険な動物なんだ」
犬「だから、だから――」
狐「ありがとうね」
犬「……」
狐「僕のこと心配してくれているんだよね」
犬「…まーな。お前は単純だから心配になったんだよ」
狐「にひひ。犬さんはいいイヌだね」
犬「うるせえやい」
狐「羨ましかったよ。あんなに愛情に溢れた群れにいられるんだからさ」
犬「…ん」
122:
狐「ねぇ、犬さん」
犬「なんだ?」
狐「僕、犬さんの子供を生みたい」
犬「何、突然言い出すんだ」
狐「知ってるんだ。あの人間の群れって、家族って言うんでしょ」
犬「まあ、そうとも言うな」
狐「僕は犬さんとその子供で暖かな家族を作りたいんだ」
狐「犬さんの家族みたいに、あったくて優しい家族をね」
狐「ダメかな?」
123:
犬「…………イヌはイヌ。キツネはキツネだ」
犬「人の真似をして人と隣り合わせに生きていても、獣が人になれる訳じゃない」
犬「俺達は、人間になれやしない」
狐「………………そっか」
犬「それに俺はイヌ。お前はキツネ。種族が違うんだから子が出来るか分からん」
狐「……そうかな」
犬「多分な」
125:
狐「ごめんね。僕って変だよね
犬「ああ。変だ」
狐「へへ……今日は色んなことがあったからおかしくなっちゃった
狐「ごめん。忘れ――」
犬「でもな」
狐「ん?」
犬「でもな、そういう目的があるのはいいことだと思うぜ」
犬「それに挑戦することはもっといい事だと思うんだぜ」
狐「それって…」
犬「お前の申し出、考えてはおくよ」
犬「じゃーな。次会う時はいつもみたいにぼんやりキツネでいろよ」タッ
126:
狐「犬さん。この首輪大切にしとおくよー!」
狐「だからまた、犬さんの家族のところに遊びに行かせてねー!」
狐「あと、さっきのこと考えておいてねー!」
狐「約束、だからね」
父「ん、帰ったのか」
娘「今日明日は冷えるから、家に入れてあげようよ」
母「いいわよ。でも身体を洗わせなきゃダメよ」
娘「風邪引かせないようにするね!」
犬「考えておくよ、キツネ」
終わり
129:
終わりました。もう脳ミソが悲鳴をあげています
最後ら辺から特にgdgdで申し訳ありませんでした
初SSでしたが、沢山のご支援や保守、感想は想像以上に心の糧になりました
書いていく内に家族のイメージが(既存のキャラに勝手に)固まっていったり
狐が雄か雌かが最後まで決まっていなかったり
色々タメになりました
人狼ネタや銀牙ネタを入れたのは悪のりです。すみません
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました
また何か書くときはよろしくお願いします
133:
俺はいいラストだと思うよ
とにかく乙
13

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