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【モバマス】奏「事務所に行ったら周子がサイン書いてた」


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1:
奏「事務所に行ったら周子がサイン書いてた」
周子&奏の会話劇
大筋は決めてあるけど書き溜めはないので亀進行
多分短い
疑問点とかあれば自由に書いてください
2:
奏:今日は午後から打ち合わせなんだけど……お母さんに送ってもらったら随分早く着いちゃった…
 まぁ、事務所なんだし、誰かしらはいるよね
奏「おはようございます」ガチャ
奏(静かね…まさか、誰もいない…?)
周子「おはよーん」
奏「!」
周子が居た
3:
奏「こんな早くに周子がいるなんて…もしかして泊まってたの?」
周子「失礼だなーシューコちゃんは起きられますー!自称低血圧な奏ちゃんと違ってー」
奏「じ、自称じゃないわよ」
周子の向かいのソファに荷物を置き、座る。机の上にはCDとポスターが積まれていた。
そして数本の油性ペン。
奏「これ、サイン書いてたの?」
4:
周子「そうそう、サイン。いやーなんかPさんが、朝早く来て書けってさ」
周子「『お前のことだから、宿題にしてもやってこないだろうから、
 
 事務所で今日中にやれ!やってくれ頼む』ってPさんが」
奏「それは、大変だね……」
周子もだけど、Pさんも……
奏「でもこれ、100枚以上、合わせると200以上書かなきゃいけないんじゃない?」
周子「いやーんもっとあるよー。いたいけなシューコちゃんに酷いことさすよねー。Pさん」
この新譜のCDと、CDの宣伝ポスターは周子のシンデレラガール記念のものだ。
選挙の結果発表後、取材やら撮影やらで忙しそうにしていたが、今度はこういう事務的な仕事まであるとは。
5:
奏「じゃあ、私、邪魔したら悪いからあっちで…」
周子「いいよ居なよ、あたし喋りながら作業したいダブルタスク系ガール?だし」
奏「なによそれ」
ともあれ、許可が出てしまったので、向かいのソファに居座って手元を見つめる。
周子は「やんなっちゃうよー」と言いながらも、さらさらとペンを動かしていた。
そこで、あら?と思う。
6:
サインは「しおみしゅうこ」と平仮名で、特に工夫もなく、いつもの字体で書かれていた。
奏「周子、サインあったのに使わないの?」
確か、凝ったサインがあったはず。漢字で、古字のような…
周子「いやー、あれ 面倒くさいんだよねー」ヘヘ
そ、それでいいのかしら……
周子「元々ね?サインが面倒くさいから、ハンコで作ったんだけどさー」
周子「こういうツルツルした紙とかCDのジャケとかには押せないよね?」
周子「あとなんか押すのにも力要るし」
本末転倒すぎる……!
7:
でも、それはそれで周子らしい気もする……
奏「でも、普通に書くのも味気ないんじゃない?」
朝早くからせっせと頑張っている周子を責める気は誓って無いけれど、つい聞いてしまった。
周子「うーん、そうだなー」
周子は特に気にした風もなく、しばし手を止めて考え出した。
あら……やっぱり作業を止めちゃったかしら……
周子「…」
周子がペンを取り、ポスターに走らせ始めた。
奏「そうそう、いいわ、なかなかサインらし……何で私のサイン書いてるの」
ばっちりとシンデレラガール姿で映っている周子の上に
「はやみかなで」と書いてある奇妙なポスターができた。
8:
周子「結構うまくない?」
ややドヤ顔をしている。
奏「まぁ、うん、そうだね」
悔しいことに本当に上手い。パッと見で書ける類のサインではないつもりだったけれど…
周子、やるわね
周子「なんかプレミア付きそうだよねー」
奏「そ…そうかしら」
奇妙すぎて、周子が書いたって信じてもらえない気がする。
9:
周子「でも、やっぱ漢字がいいんかなー」
周子は今度はCDを手に取る。
奏「うーん、周子の元のサインは漢字だったから、その方がいいかもしれないわね」
周子「ほうほう」
キュッキュッっと、今度はやや楷書調でサインを書き始めた。
奏「だから何で私の名前を書いてるのよ」
周子の記念すべきデビューシングルに、何故か「水奏」。奇妙だ。
しかも割と丁寧な字で書かれているせいで、まるで持ち物に書く名前のような可笑しさが漂う。シュール。
10:
周子「あっ、シールある。はい」ペタッ
奏「ちょっ…それあなたの実家の包装用のシールじゃない」
何度か見たわよそれ
CDの左上に「和菓子屋塩見」その下に「水奏」そして中央にポーズを決めた周子のCDシングルができた。
周子「イケてる」
そこまで確信するのは危険だと思うわ。
11:
奏「コレどうするのよ」
まさかそのまま提出するわけにもいかないだろう。
このCDとポスターの1セットは異様に浮いている。それはそうか。
周子「ええー、じゃあ東京都の水奏ちゃん(16)にプレゼント―」
奏「あ、ありがと…」
とっさに受け取ってしまった。このCDたちは今みたいにイベントでファンに渡すのかしら。
奏「というか、私もう17歳なんだけど」
周子「えっ!じゃあ あたしはもう19歳!?」
奏「あなたは18歳よ」
周子「そっかーそっかーよかったーん」
12:
なんというか、なんというか…言っていいのかしら、これ……
奏「ねぇ周子、最近フレちゃんとの仕事増えすぎて、色々移ってない?」
周子「えーと、どこが?」
奏「そうねぇ、話し方?あと…は、発想……?」
周子「シューコちゃんって割ともとから柔軟な発想できる方よ?」
奏「う、うーん?そんな気もしてきた、かも、しれないわね?」
今の一連のあれが柔軟と言われても…
周子「いやあ今日は寝てないからちょっと頭のネジ緩んでるのかもねーw」ハハ
奏「え」
13:
周子「あっ」
奏「ちょっと待ちなさい、周子、さっき『あたしは起きれます?』みたいなこと言ってたじゃない」
周子「ごめんなさいお母さん」
奏「誰がお母さんよ」
奏「またゲームでもしてたの?」
14:
周子「いやそんなことないって、仕事の準備?とかしてたよ」
奏「どこで」
周子「えっ……っとフランスの、別荘……?」
奏「正直にフレちゃんの家って言いなさいよ」
周子「アッハイ」
奏「何してたの?」
周子「うー……ん、フレちゃん家の香水混ぜてフランスの香り作ってた」
奏「志希も居たのね」
周子「アッハイ居ました」
15:
奏「で?フランスの香り出来たの?」
周子「できた」
出来たんだ……
奏「じゃあ周子は昨日私と遊んだあとにフレちゃんと志希と楽しく香水遊びしてたの」
やや責めるような口調になってしまった。
周子「いやゲームとかもしたよ」
奏「ゲームしてるんじゃない」
周子「してた」アッ
16:
奏「ふぅん、さっき言ってた『ダブルタスク系ガール』ってそういうこと」
奏「私と?フレちゃんと志希?あらやだトリプルタスクじゃない」
周子「ち、違うって?!」
あら、ちょっとイジめ過ぎちゃったかしら。
周子が言葉の調子に任せてバッと立ち上がり、私の隣に腰かけた。
周子「だってフレちゃんがフランスのケーキあるって言うんだよ…すごいじゃん…食べたいじゃん…」
周子は私の体側に抱き付くと、ぐりぐりと頭をドリルしてきた。
17:
ふわりと香ってきたこれが、『フランスの香り』というやつなのだろうか。
私にやきもちを焼かせるこれが。ふぅん……
周子の頭を撫でた。この子に狐耳が生えていたらきっとこの辺、と考えながら撫でた。
許されたと思って緊張を解いた周子が、体の力を抜いてもたれかかってきた。
奏(このまま、寝かせちゃうんだから)
自由奔放な周子を縛ってしまうなんて私にはできない。だったら、この朝の時間を貰ってしまおう。
徹夜した周子が寝息を立て始めるまで、時間はかからなかった。
18:

奏「周子―」トントン
周子「んー…ふわぁ…」
周子はしばらく目を閉じていたが、何度か呼びかけると体を起こした。そして、事務所のドアが開く。
P「奏、おまたせ。周子ー、サインどうだー?」
周子「P、Pさんっ!?ウソッ、今何時!?」
奏「12・時・30・分・♡」
私の打ち合わせ時間。だからPさんが来たのだ。
P「朝早くからありがとう周子……って!サイン全然できてないじゃないか!?」
周子「あっ、それは、奏が……!」
奏「何言ってるの周子、私は打ち合わせの時間に合わせて、ついさっき来たんじゃない」フフン
周子「っ??!」
P「周子!今日中に終わらなければさらに追加するからな!」
周子「そ、そんな?!!」
1

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