ていとくがこわれるはなしback

ていとくがこわれるはなし


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1:
艦娘の名前を一隻、お願いします。
>>3
3:
皐月
4:
季節は春を過ぎ、穏やかな陽気から刺すような日差しへと移ろうまでの間。
どんよりとした空模様が続く暦は梅雨と呼ばれる。
ボクの名前を関する五月の頃は、ちょうどその季節のバイパスとなっている。
それにしてもおかしな話だと思う。
「五月晴れ」というほどの気候の良さを表すときもあれば
繰り返し降る雨という意味で「五月雨」と差されるときもある。
そんな風に呼ばれ方の多様性を感じることに、心象の片隅で親近感を覚えた。
空の色と名前の意味。
コロコロと変わるのは、ボクの気分とよく似ているのだ。
5:
例えば、晴れの日。
頭を優しく撫でてくれる司令官の手。
くすぐったいと伝えると、いたずらっ子のようなニヤリ顔で更に髪をくしゃくしゃにしてくる。
そして一言ボクに告げる。
「えらいぞ、皐月」
その一言が聞こると、耳まで赤くなるような感覚を抱くんだ。
嬉しさ以上の気恥ずかしさでまともに顔を見ることができず、つい下を俯いてしまう。
そして幾分か落ち着いたのちに、改めて顔を覗き込む。
どうしてボクが顔を下に向けているのか分からない、そんなことを考えているであろう顔がそこにはあるんだ。
疑問符が浮かんでいるのが一目で分かるその顔を見てつい笑ってしまう。
そうすると、司令官はさらに困ったような顔をしながらもまた頭を撫でてくる。
司令官と一緒に過ごせるこの瞬間は。
胸の色合いが空色の青になるような、ボクにとっての生きる糧。
6:
例えば、雨の日。
窓ガラスをノックする雨音に紛れて聞こえてくる、提督室からの声。
つい扉の前で立ち止まってしまい、部屋に入ろうとする足に楔がかかる。
ドアノブの奥から聞こえてくるのは賑やかな談笑。
その会話に混ざり、とある戦艦から司令官宛に熱烈にアピールが聞こえるんだ。
己が不器用だと自覚しているがゆえに、
率直に自分の気持ちを伝えることが出来るという事の素晴らしさをボクは知っている。
だからこそ、それを目の当たりにしたくなくて。
こうしてボクは部屋の前で立ちすくむマネキンへと成っていた。
この気持ちは、焦燥感。
大好きな人を誰かに奪われるのかも知れないという、大きな焦りと小さな恐怖。
カンバスに暗い色の絵の具を一滴だけ落としてしまったときの気持ち悪さによく似た、幼いボクによく似合う粗忽な気持ち。
強い雨が降る日に見える、ねずみ色の空模様。
8:
司令官、ボクはね。
五月晴に心を躍らせる日もある。
五月雨に打たれる日だってある。
それは全部、貴方の所為だ。
それも全部、貴方のお陰だ。
恋にしては大人びていて、愛と呼ぶには幼すぎる。
このどうしようもない気持ちをずっと抱えて。
ボクはいつまで戦えばいいんだろうか。
天気のように移ろい易いこの気持ち。行き着く先は晴れに傾くのか、雨に濡れそぼるのか。
答えが出るその日まで、貴方の傍で笑っていてもいいかな。
9:
艦娘の名前を一隻、お願いします。
>>11
11:
叢雲
13:
最初に五隻を選びなさい、って着任の頃に大本営から言われたのを覚えてる?
なんだかそれも懐かしいわね。
あんた、右も左も分からないような顔してオロオロしていたのは今でも覚えてるわ。
私の他にも吹雪や漣、電、五月雨って居たわねぇ……。
いやホント、今となってはすっごく昔に思えて仕方ないわね。
ね、物事には時効ってものがあるでしょ?
もう今更ってのもあるし、一つだけ昔のこと教えてあげるわ。
さっき話した「最初に五隻を選べ」っていう選択があったじゃない。
その時に、私を含めた五人がどう思ってたのか知りたくない?
ふふっ……あんた本当に嘘つけないわね。顔に書いてあるわよ、すっごく気になるって。
あの頃に私たち五人が思っていたのは、たった一つだけよ。
「どうか私だけは選ばれませんように」ってね。
14:
本当を言うとね、あの中で新米提督に選ばれるのは遠まわしの死刑宣告だったの。
机上で鎮守府の運営方法だけは知っていても、いざそこに着任するのは戦場を知らない雛鳥よ。
その人にとっては適所だと思って進軍した結果の轟沈なんて、それこそ当時はザラだったもの。
鎮守府近海で試験運用がてらに沈んでいる艦娘の数って知ってる?
……いいえ、ごめんなさい。これはアンタには関係ない話だったわ、忘れて。
その五隻から選ばれなかった他の艦娘は、そのまま艤装を外して海軍から抜ける予定になっているの。
もちろん艦娘としての記憶を綺麗さっぱり忘れて、手厚い給付金をもらって父母の元へ帰れるらしいわ。
まぁ……話ではそうなっているけれど、その辺りは曖昧なの。
だってそうでしょ? 記憶を無くしているから、向こうはこっちを忘れている。手紙なんて届く筈ない。
それとも軍事機密を遵守するために鬼籍に入れて故郷に戻してるかも知れないし、まぁその辺は知らないわ。
あんたが元帥にでも成ってから調べてみれば分かるんじゃない?
話がずれちゃったわね。 それで実際に選ばれた私は、一日だけ日を空けてアンタの居る鎮守府に配属されたわ。
あの日の夜ほどアンタを憎んだことは無かった。
もし選ばれずにいたらお母さんに会えたんじゃないかって。
辛かったことを全部なくして、新しい人生を始めることが出来たんじゃないかって。
アンタの元に来る前の日の晩。
たぶん私、今まで生きてきた中でも一番泣いたんじゃないかしら。
15:
腫れぼったい目蓋と目の下のクマを隠そうともせずに着任したのも、セピア色くらいには記憶から薄れているかもね。
でもあの時はそれ以上に、あんたが出迎えてくれたときの言葉が印象強すぎるわ。
「貴方と共に生きて、貴方と共に沈みます」
その言葉を聞いて、心のモヤが吹っ飛んだの。
あんたを少しでも憎んでいた自分が馬鹿みたいで、前日に大泣きするくらいの暗い気持ちはもう無かったわ。
私は答えたわ。
「あんたが司令官ね。ま、せいぜい頑張りなさい!」
今となっては頭抱えそうになるわね……。あんなの強がるついでの台詞よ。
まぁ、でもあんたを見た瞬間に直感したわ。
私は素晴らしい人の下で戦うことが出来るんだって。
この人になら私の最期を見せてあげてもいいな、って。
え? なによ、今日は素直で調子が狂うって。
あんた相変わらず失礼ね、付き合い長いからってどういう了見なのよ。
たまにはいいじゃない。 本当の気持ちくらい伝えたって。
アンタがあんなに真っ赤な顔をしながら、私の薬指を縛るのが悪いのよ。
16:
艦娘の名前を一隻、お願いします。
>>18
18:
大和
22:
貴方が心を引っ掻いて。
そこから緩く血が溢れ。
膿んでしまって熱病孕み。
うなされるように恋をする。
23:
梅雨の季節が近づくと、貴方の事を一つ思い出します。
冷たい雨と潮騒が心をざわつかせるこの季節。
頑強さを一つの売りにしている大和が、夜戦にて初めて大破したのはこの頃だったでしょうか。
私たち艦娘は痛覚に関して非常に鈍く設計されているので、痛みは特に感じませんでした。
ただ、目蓋に焼きついたのは眉間を八の字にする貴方のお顔。
あのとき、初めて提督の狼狽する表情を見ました。
どうして痛そうな顔をするのか分かりませんでした。
戦っているのは私たちで、貴方は駒のように艦娘を使役すれば良いだけなのに。
どうして泣きそうな顔をしているのでしょう。
そんな疑問が胸にじんわり広がったとき、大和は提督から目が離せなくなりました。
24:
七夕の季節が近づくと、貴方の事を一つ思い出します。
夜風の涼やかさが星空すらも瞬かせるこの季節。
提督は鎮守府のみんなを呼んで短冊を飾り付けましたね。
駆逐艦の子たちは珍しさにはしゃいで回り、それを年長組の艦娘がたしなめる風景。
記憶の海から“家族”という単語が浮かび上がり、目頭が少し熱くなりました。
大きくも力強い、沢山の願いをこめられた笹は鎮守府の玄関に飾られましたね。
あの時の大和は何を願ったのかは曖昧ですが、提督が書いた短冊の願い事ははっきりと覚えています。
「笑顔でありますように」
誰が、と書いていないのが実に提督らしくて思わず笑ってしまったのは申し訳ありません。
でも、優しい貴方の事でしょう。
それはきっと、色々な人が笑顔であるように願っていたのだと。
提督。
貴方の願いの中に、もしも大和も含まれていたのなれば。
私はきっと幸せ者なのでしょう。
27:
季節が一つ巡るたびに、貴方の事を刻みます。
季節が一つ去るたびに、大和は心を拗らせます。
提督。提督。ああ、提督。
もしも私が艦娘でも、好きと言ってくれますか。
本音が喉までせり上がり、ようやく心に押し留めます。
いつか大和の血肉になって、どうにか体に溶け込むでしょうか。
29:
艦娘の名前を一隻、お願いします。
>>32
32:
秋月
41:
雲間に舞う敵機を一つ海に落とすたびに安堵が生まれる。
爆撃を防ぐという事は、イコール生存率の上昇に直結するから。
空母や戦艦ほどの火力を持たない私の存在意義。
防空駆逐艦として生まれたこの秋月は、皆さんを守るために砲台を空へ向けて轟音を鳴らします。
願わくば、貴方の心の空に飛ぶ大きな憂鬱を撃ち落としたい。
この気持ちが砲撃に紛れて司令に届きませんように。
言葉にせずともどうか貴方に届きますように。
仲間を思う私の心に、誰にも見せない恋慕を少しだけ混ぜて。
秋月は今日も貴方の指揮する艦隊の空を守るのです。
42:
艦娘の名前を一隻、お願いします。
>>45
45:
高雄
48:
提督と初めてお会いしたのは、冬の寒い日の事でしたね。
木枯らしが隙間風になって体を強張らせていました。
仏頂面の提督はさらに眉間に皺を寄せて、駆逐艦の子たちから怖がられていたのも懐かしい話です。
あら、お気づきになっていなかったのですか?
ふふ、お気になさらずとも大丈夫ですよ。 貴方が素敵な提督だというのは、皆もう知っているのですから。
でもその様子だと気付いていない所も多々ありそうですね。
この鎮守府に提督に好意を持っている艦娘が沢山いるという事を。
私ですか? さて、それはどうなのでしょうね。
提督の目に高雄はどう映っているのか。
非常に気になるところではあるのですが、そこは私の中に沈めておくことにします。
49:
いくら朴念仁の提督でも、流石に気付いているでしょう。
高雄は貴方の事を憎からず思っております。
それでは何故にこのような話を表立って告げるのか。
本来なら乙女心を理解してほしいところではありますが、それを待っていると提督は誰かに取られそうでたまらないんです。
英国帰りの素敵な戦艦を始めとして、はて一体どれほどの子が貴方の心を目掛けて愛の矢を放っているのか。
もしその矢が視覚化されていれば、きっと提督は歩く矢藁になっているのでは。
冗談が上手い? 
あらあら、提督も冗談がお上手ですよ。
まぁ貴方がそのようなお方だからこそ、愛の矢は射るのではなく刺さないといけないのが分かったのです。
提督、お慕い申し上げます。
高雄は貴方が思う以上に、貴方の隣にいたいと思っております。
52:
返事はすぐに、と急かすつもりは毛頭ありません。
ただ提督が他の艦娘の子と話す際、少しだけでも高雄の事が頭を霞めてくれたのなら。
胸が弾むような喜びを覚えてしまいます。
なので提督、これは私が一方的に伝えただけの、いわゆるエゴというものです。
だから貴方のエゴで、いつか私に答えをくださいね。
では提督、本日の業務もお疲れ様でした。
最後に何か聞いておきたいことなどありますか?
え? いつ自分に惚れたのか、ですか?
大変失礼を申し上げるようで恐縮ではありますが。
馬鹿め、と言って差し上げますわ。
私と出会ったときの言葉を思い出してみてください。
「こんにちは。高雄です。貴方のような素敵な提督で良かったわ」
そんなの、お会いしたときから見初めていたに決まっているじゃないですか。
53:
艦娘の名前を一隻、お願いします。
>>56
56:
大潮
61:
元気な君が素敵だね。
司令官に言われたその日から、大潮は快活を基盤として生きようと決めたんです。
駆逐艦としての大潮ではなく、私個人として初めてみてくれたような気がして。
小さな体に似つかわしくないほど心の熱量が昂ぶるのを覚えました。
ただ、血の代わりに大潮のに流れる燃料が少し軋んで言うのです。
お前は艦娘だ、と。
心のどこかが言うんです。
叶わぬものは諦めろ、と。
62:
そんな風に日々を過ごしている、と司令官に本日相談をしました。
司令官は少し困った顔をしながらも優しく大潮の頭を撫でてくるのです。
君が元気に毎日を過ごしていればきっと大丈夫。いつか時間が解決する、と。
そんな言葉が、私の頭の上で穏やかな声と共に聞こえてきました。
貴方が言うのであればそうなのでしょう。
艦娘が人としての思いを持ちそうになったのがそもそもの間違い。
だから大潮は、元気で賑やかに日々を過ごす事を決めたのです。
覚えたばかりの感情がカタカタと胸の奥で震えるのを、ぐっと抑えながら。
司令官の下で戦えるのは兵器としては至上の誉れ。
そう言い聞かせながら、大潮は今日も元気に出撃するのです。
目蓋の奥から一滴の海を生みながら。
63:
 
艦娘の名前を一隻、お願いします。
> 19時に一番近い艦娘
68:
春雨
69:
あきつ丸
70:
飛龍
71:
香取
72:
龍田さん
73:
本日の業務が一段落する頃、時刻を見るとすでに夜半の頃合になっていました。
資料の隙間から、くぁぁっ、と欠伸が聞こえてきます。
そちらに目を向けると、堅そうな椅子にもたれて背伸びをしている司令官の姿がありました。
お疲れ様ですと声をかけた後に淹れたてのお茶を差し出すと、司令官はかたじけないと告げてずずっと音を立てて番茶を啜ります。
業務が終わってから番茶を飲む司令官を見るのは、一日で眉間の皺がとれる数少ない瞬間なので貴重ですね。
眉間の皺がよるのは、偏に艦娘の命を一身に背負う重圧からくるもの。それは相当なものでしょう。
春雨には計り知れない重さで、肩代わりできないのが心苦しくもあります。
だからこそ、少しでもあの方の心が軽くなるように。
春雨は美味しいものと共に日々の美しさをこっそり差し出すのです。
「司令官。お茶請けに羊羹をどうぞ。 ほら、今日はお星様が沢山でていて綺麗ですよ」
74:
窓際に司令官を案内すると、ゆっくり椅子から立ち上がって春雨の隣に来てくれます。
頼もしさを否応がなしに覚えそうな程の、とても大きくてたくましい体。傍にいると目線が泳いでしまいそうになるのは困りものです。
綺麗だな、と深く落ち着いた声が耳に反響しました。
ふと顔を見上げると、司令官は窓の外を見上げて満天の星空に目を向けています。
それに釣られるように春雨も静かに瞬く星々を眺めました。
こんなにも星が美しいと思えるのは、心に余裕があるからなのでしょうか。
それとも貴方がお傍に居てくださるからなのでしょうか。
75:
今宵は新月。空に浮かぶ銀色の輝きは円を描かず点としてまばらに散っています。
「月が綺麗ですね」とは、はて何の暗喩だったか。
ただ今日の夜はその月が浮かんでおらず、かの文豪の言葉を借りることも出来ません。
ただ、星の一節を七夕として結びつければ、「I miss you」と言えるのでしょうか。
貴方と出会えてよかった。
恥ずかしくて言えない気持ちを織り交ぜて、春雨は司令官に一生懸命伝えるのです。
「しっ、司令官。 ほ、……星が、きれい、ですね……」
ああ、言えた。
会いたかった、と。 貴方に会えて嬉しいと。
恥ずかしすぎて隣は見れません。何を言っているんだろう、という表情を司令官は多分している。
当たり前の言葉で赤面する私の心象。今は伝わらなくてもでも良いんです。
そうだな、という返しの言葉が聞こえるだけで嬉しいのです。
真意が伝わるその日まで、こうして貴方の傍で言い続けさせてください。
ただ、一つだけの予想外。
「私も嬉しいよ、春雨」
隣にいる愛しい人からそんな答えが聞こえてきたのは、どういう事なのでしょうか。
76:
艦娘の名前を一隻、お願いします。
>>80
80:
朝潮
84:
長い前髪で左目のアイパッチを隠し、いつも憮然とした表情で指揮を取る。
敵艦隊には一切の容赦ない、殲滅を指針とした作戦形状を常に展開する。
艦娘が傷ついても表情を崩すことなく、粛々と次の戦場へ手駒を送るようなその姿。
誰かが言う。 あの提督は血の変わりに油でも流れているんだろう、と。
それが私の所属する鎮守府の司令官の、周りからの評価。
それを聞く度にこう思う。 
人の言葉など当てにはならない、と。
85:
ある日の戦闘時、私は不覚にも相手戦艦の砲撃を受けて大破してしまった際の事。
艤装も服もボロボロで見苦しい私が帰港すると司令官が湾口で待っていた。
腰をへたらせて、ぼろぼろと大粒の涙を零しながら。
「朝潮ちゃん、大丈夫!? 早く、は、早く誰か、誰かタンカを!」
「あ、いえ、司令官。入渠すれば直ぐに治ります。艦娘のような化物への心配はご無用です」
そう伝えると、司令官から零れる涙の量が増えた。
しゃくりをあげながら必死で彼女は言葉を紡ぐ。
パズルのピースのように少しずつ出来上がる、あの方の本音。
「悲しいこと言わないで、戦友」
今まで兵器として生きてきて、人非人の扱いしか知らなかったのに。
そんな事を言われてしまったら、たまらないじゃないですか。
86:
「朝潮ちゃん、午後からの準備は出来てる?」
「はい。いつでも出撃可能です」
脇を固めて海軍式の敬礼を提督へ向けると、にこりと笑って敬礼を返してくれた。
その凛々しくも可愛らしいその振る舞いに思わず頬を染めてしまう。
この鎮守府の皆は知っている。
司令官の憮然とした態度は、男社会で生きるために必死に身に付けた処世術と。
第一艦隊に属した者は知っている。
司令官は戦いが終わるたびに一喜一憂する、性根の優しい素敵な女性なのだと。
秘書官の経験者は知っている。
彼女がよく執務中に眠り、その度に悪夢に苛まれている事を。
私だけが知っている。
あの方の左目の奥に眠る、仄暗い感情の正体を。
司令官はとある目的の為に偉く成りたいのだと言います。
私はそれを手伝いたい。心の底からそう思っています。
司令官が待てと言うなら、この朝潮、ここでいつまででも待つ覚悟です。
貴方が望むなら、犬にだってなりましょう。
敵の喉笛を食いちぎるような番犬に。
大好きな貴方のお傍に居れるのなれば。 私はそれこそが幸せなのです。
87:
艦娘の名前を一隻、お願いします。
>>95  ※少し遠めで失礼を。時間をおいて再開します。
95:
雲龍
100:
艦娘として生を受けて、人の姿として二度目の世界を謳歌できるようになったばかりの頃。
姿見に映る自分を見て、これが“雲龍”の私なのかと改めて確認をしてみる。
パウダースノーのような色合いをした髪に軽く触れると、なるほど思った以上に柔らかい髪質だ。
そのまま頬を撫でるように手を動かし、首筋へと持ってくる。
ドクン、ドクンと。 まるで人間のような温かみを持って、両手の人差し指と中指から鼓動を感じた。
空母として海を駆けていたときの自分ではない。
今の私はれっきとした、艦娘としての戦うヒトガタなのだ。
妙な感慨に耽っていると、胃の辺りがくぅ、と鳴って空腹を知らせてきた。
もう一度だけ頭の天辺からつま先まで自分の体に視線を向けて、そういえば、とふと思う。
私の美味しい部分はどこなのだろう、と。
101:
どこかの文献で読んだことがある。
人間は手の平側の親指から手首にかける筋の部分が、一番良い味がでるのだと。
そんなことを想起し、自分の右手を見つめてみる。
手を握り、そして手を開く。なんとも不思議な感覚だ。 
無機質な体で海へと赴いていたあの頃では成し得ない動き。
目の前の鏡に映るのは、艦娘としての自分。
目蓋の裏に映えるのは、僚艦としての自分。
今の私はどちらなのだろうか。
102:
もう一度だけ手の平を見つめ、おもむろに親指側の膨らみである拇指球を口元に運ぶ。
下あごに少しだけ力を入れて、前歯と犬歯を食い込ませた。
ゴリッとした感触が口の中に広がり、そして噛み痕からうっすらと赤い血が滲んできた。
なるほど、これは痛い。
噛み切ることは出来なかったから、患部が人の部位で美味しい部分かどうかは結局分からなかった。
右手を上げると、白い肌に色をつけるような鮮やかな紅が手首元から肘にかけて一本のラインを引く。
垂れる血を軽く舐めると、なんとも不思議な匂いがした。
それは嗅ぎ慣れた鉄サビと潮の香り。私に流れている生の証拠。
甘くて苦い味が舌を刺激する。
今から提督にキスをすれば、それは私を食べているのと同意なのだろうか。
またしても一つの疑問が湧いてくる。
103:
口づけをせがむと狼狽する姿が目に浮かぶようで、ほんのり口元が緩んでしまう。
あの方は喜んでくれるかしら。この気持ちはなんなのだろう。
きっと何事も試してみなければ分からない。
ハンカチを手に添えて、未だに溢れる血をルージュの代わりに唇へ塗ってみた。
何故だか頬まで赤くなり、色合いの悪い顔にすこしだけ艶が伸びる。
あとはどうやって口付けを交わすか。そのタイミングを考えましょう。
ただ、一つだけ気にかかる。
私が美味しいのだといいけれど。
104:
艦娘の名前を一隻、お願いします。
>>110 までのレスの間で、書き込み時の00:00:00.“00”コンマが99に一番近い方を起用
 
105:
最上さん
106:
天龍
107:
大井
108:
ぶっきー
109:
龍田
110:
酒匂
112:
提督、いいですか? 
この際ですから改めてあなたに伝えておきますね。
私が北上さんを愛して止まないのは当然なの。
この世の美を集めて練って三日寝かせて創造されたのが北上さんよ。
見た目良し、中身良し、性能良しの三拍子が揃った艦娘と言えば?
何をボーっとしているの。 提督が答えるのよ?
そう、北上さ……私じゃないわよ!
113:
はぁ、話が危うく反れるところだったわ。
そう、北上さんの麗しさは天下一品という件ね。
それに引き換え貴方ときたら、全く、本当に……。
潜水艦相手に単縦陣の陣形展開とか作戦の悪さもあるし、
魚雷に見せかけて私の足を触るセクハラするし、
色んな艦娘に好意を持たれていることに鼻の下を伸ばすようなだらしなさもあるし。
何より不思議で不愉快なのは、私の愛する北上さんにまで異性として好かれている所ね。
もう本当、魚雷20発じゃすまないくらい本当は撃ってあげたいところよ……。
114:
まぁでも、提督が色んな艦娘に好かれるのは分かります。
なんだかんだで優しいし、締めるところを間違えない凛々しさはあるし、
それにやっぱり……うん、優しいのよね。
だからこそ気になるのよ。
本当に私でいいの?
北上さんじゃなくても、いいの?
……馬鹿ですね。 北上の次に愛してくれ、だなんて。
私が北上さんを愛しているのは変わらないって確かに言いました。
でも、貴方が二番だと伝えたわけじゃないんですよ。
ねぇ、提督。
私の一番をあげるから、提督の一番をよかったらくれないかしら?
貴方が好きなのよ、癪だけど。
115:
身奇麗にするため小休止。
作業用BGMより一曲抜粋 
116:
最後に艦娘の名前を一隻、お願いします。
>>120
120:
香取
123:
心臓の鼓動が弱まるのを感じます。
どうやら私に残されている時間は思っていた以上に少ないようです。
元々が練習巡洋艦ということもあり、あまり戦闘には向かないとの自覚はあったのですが…。
艦娘としての恥になるのでしょうか、陸のベッドで死ぬというのは。
先日、診断を受けました。
余命は幾ばくも無い、と。
死因は心不全になるだろう、と。
病名は“求心病”。
とある艦娘だけが患うことになる、現状では不治の病気。
求心病による心停止。 こころもとめるやまい。
124:
こんな事を当の本人に告げることほど恥ずかしいことはありません。
何故ならこの病気の根源は、恋心にあるのですから。
片思いをこじらせて死に至る。そう捉えれば、奥ゆかしい大和撫子のように思えませんか?
あら、今のは冗談のつもりなのですが。……笑えませんでしたか。
不完全な同調のもとで人体に艦の魂を宿した者が、心のバグで内と外がせめぎ合う事になる。
そのバグの要因が恋だというのが医者の見解だそうです。
そしてその想いが叶っても、儚く散っても、もう艦娘としての修復は不可能。
でも、どうしようもない恋煩い。本当に恋は辛いものですね。
申し訳ありません。ご迷惑をおかけして。
ああ、泣かないで提督。
こんなときに不謹慎だと分かっているのだけれど、どうしても喜んでしまいそうになるのです。
貴方が私のために流してくれる涙は、どうしても尊く思えてしまうのです。
125:
貴方を残して先に向かうのが、少しだけ心苦しいですが。
香取は少し遠い海に行きましょう。
心を求めて止まない愚か者は、恋に生きて死にましょう。
まるで乙女のようです。
夢の中にいるようです。
戦いでは沈めませんでしたが、眠りの淵にて深く沈むことになるでしょう。
私が想いの果てに息を止めるそのとき。
悲しみという錨となって貴方の心に留まりたいと想う。
そんな小さな恋慕(ゆがみ)をどうか許してください。
最後に一つ。
あとからゆっくりきてくださいね。
いとしいひと。
12

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