八幡「37.5℃か…」back

八幡「37.5℃か…」


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1:
八幡「………」
八幡「休むか…あんま高くないけど」
小町「うんそれがいいよ。キャシャリンみたいな顔になってるし」
八幡「テスト近いけど、行って誰かに迷惑かけるとばつ悪いからな。戸塚とか」
小町「一人で病院行ける?」
八幡「大丈夫だって」
小町「お母さん達は出張だし、小町は今日から中学の勉強合宿があるから…」
小町「うーん…どうしよ…」
八幡「安心しろ」
八幡「へっちゃらさ」
小町(顔赤…)
小町「やっぱ今日のお兄ちゃん何かおかしいよ」
小町「小町合宿行くのやめようか?」
八幡「…いやそれは駄目だろ。今年受験だぞ」
小町「でも…」
八幡「心配すんなって。どうせ大したことじゃない」
2:
医者「風邪ですな」
八幡「ええ…」
医者「そこそこ重いですな」
八幡「はあ…」
医者「取り敢えずお薬出しときますね」
八幡「…はい」
3:
八幡「…はい。はい、そういうことなんで」
八幡「…ちょっとお休みします」
八幡「すいません」
八幡「…ふー」
八幡「…手洗いうがいしとくべきだった…」
八幡「取り敢えず薬飲んで…」
八幡「暖房付けて…」
八幡「着込んで…」
八幡「…えーと、なんだっけ」
八幡「そうそう、寝るんだった…」
4:
八幡「まだ10時か…」
八幡「………」
八幡「うー…寒っ…」
八幡「………」
八幡(節々痛え…)
八幡(なんで節々痛いんだよ…節々関係ないだろ)
八幡(つーか全身が痛え…)
八幡「………」
八幡「ごほっ…ごほっ…」
5:
八幡(………)
八幡(体が痛くて寝れたもんじゃねえな)
八幡(熱いのに震えが止まらん…)
八幡(もう夕方か…)
八幡(由比ヶ浜と雪ノ下、今頃何してんだろうな…)
八幡(というか今日は一色の仕事手伝うんだった…)
八幡(あとで謝っとかねえと…)
6:
八幡(そういえば今日何も喰ってねえな)
八幡(ポカリ飲んだくらいか…)
八幡(そろそろ薬飲まねえと…)
八幡「………」
八幡(え?つーかちょっと待て…)
八幡(小町のアレが2泊3日で…)
八幡(親父とお袋が帰って来るのが来週だから…)
八幡「え?」
八幡(……やっぱ連絡して帰って来てもらうか?)
八幡(いや待て小町に感染でもしたら洒落にならん)
八幡(この程度で両親に迷惑かけるのもな…)
八幡(………)
八幡(俺もしかして死ぬんじゃ…)
7:
八幡「………薬…薬飲まねえと…」
八幡「よっ…」
八幡「身体重っ」
八幡「…あ、やべ」クラ…
八幡「っと、とと…」
八幡「ふー…危ねえ危ねえ」
八幡「………」
八幡「死ぬ…」
八幡「俺は死ぬのか…」
八幡「俺はこのまま一人で死ぬのか…」
八幡「寂しい…」
八幡「小町ぃ…戸塚ぁ…」
ピンポーン
8:
八幡(呼び鈴…)
八幡(…出れる気がしねえ)
八幡(…いや)
八幡(もしかしたら戸塚が見舞いに来てくれたのかも知れない)
八幡「ふ…ぐ…」
八幡(戸塚…戸塚…)
八幡(あわよくば戸塚の手料理を…)
八幡(ってなに考えてんだ俺は…)
八幡「…誰だ」ガチャ
いろは「あ、どうも」
バタンッ
9:
「せんぱーい!開けて下さーい!」
八幡(あり得ねえ。何でよりによってこいつが…)
八幡(見舞い来るほど接点無いだろ…)
「せんぱーい!ねえ、せんぱーい!」
八幡(うるっせぇ…。何考えてんだこいつ…)
八幡(…ビビって閉めちゃったじゃねえか…)
八幡「クソッ…何の用だ?」
いろは(『くそ』って言いながら顔出して来た…)
いろは「いや、お見舞いに来たんですよ」
八幡「はあ…?」
いろは「ていうか生徒会室に居たら、平塚先生に届け物頼まれたんです。はい、プリント」
八幡「そ、そうか…」
10:
八幡「…悪かったな閉めて」
いろは「ほんとですよー!」
八幡「でもうつったらいけねえからそろそろ帰れ」
いろは「てゆーか、せんぱいが出たってことは今家に誰も居ないんですか?」
八幡「だからなんだよ。ほら、帰れ帰れ」
いろは「あ、ちょ…」
八幡「会長の他にも色々やることあんだろ。俺なんかに構ってないでだな…」
いろは「あ、だったらほら、果物持って来たんでこれだけでも…」
八幡「…………」
八幡「………う」
いろは「…え、せんぱい?」
いろは「え、ちょ、マジですか?え?え?」
11:
いろは「うんしょ…うんしょ…」
いろは「えっと、この部屋かな…」
八幡「………うぅ」
いろは「せんぱい、大丈夫ですか?」
八幡「死ぬ………」
いろは(ぐったりしてる…。ほんとに死にそう)
いろは(ていうか本当にせんぱい以外誰もいないし…)
八幡「…俺はもう死ぬ」
いろは「わ、私が来たからもう安心ですよー?」
八幡「…お前はさっさと帰れ」
いろは「悪態はつくんですね…」
八幡「いやマジで帰れ…うつるから…」
12:
いろは「取り敢えず熱計りますねー」
いろは「って41℃てマジですか死にますよせんぱい」
八幡「………」
八幡(…もう何も考えられん…)
いろは「えっと、こういうときって何すれば…」
八幡「薬…薬を…」
いろは「薬?この薬ですね先輩!?」
いろは「えーと…夕方の分がこれとこれと…」
いろは「あ、あと飲み物。ストローつけて…」
いろは「はい、せんぱい。あーんして下さい。あーん」
八幡「あー………ん」
いろは「!?」
八幡「…どうした?」
いろは「あ、いえ。そのままにしてて下さい」
いろは(…絶対嫌がると思ったのに)
13:
八幡「………んぐ」
いろは「はいじゃあ次これ飲んで下さい」
八幡「ズズ……ズ…」
いろは「苦しかったら言ってくださいね?」
八幡「いや…大丈夫だ…」
いろは「そ、そうですか…」
いろは「えと、次は…」
いろは「先輩他に苦しいところありますか?」
八幡「体が痛え…」
いろは「関節痛ですか?」
八幡「死ぬ…」
いろは「そ、そんなに…!?」
いろは「わ、分かりました!なんとかしてみます」
14:
いろは「患部をアイスを包んだタオルで…」
いろは「ど、どうですか?ちょっとは落ち着きました?」
八幡「……ああ、大分マシになった」
いろは「そうですか…。良かったー」
いろは「もうほんと焦りましたよー!せんぱいほんとに死にそうな顔するんですもん!」
いろは「私が来なかったら危ないところでしたね!感謝して下さいよせんぱい!」
いろは「そうですねえ…。このお礼は今度デートしてお昼奢ってくれたらチャラにしてあげます!」
八幡「………任せろ」
いろは(こ、こんなのせんぱいじゃない…)
15:
いろは(5時過ぎ…)チラッ
八幡「あー…寒っ…寒い…」
いろは「もしかしてせんぱい今日ずっと一人だったんですかー?」
八幡「…まあな」
いろは「もし良かったら、家族帰って来るまで一緒に居てあげましょうか?」
八幡「…いやいいよ。この家しばらく俺一人だから」
いろは「えっ?」
八幡(うぅ…頭痛ェ…)
16:
いろは「いや、ご飯とかどうするんですか?」
八幡「食欲ねえし…」
いろは「そういう問題じゃないですよ」
いろは「家族は?」
八幡「両親は出張…妹は合宿らしい…」
いろは「そんな日に風邪引くとかどんだけなんですかせんぱい」
八幡「"不運"と踊"っちまったんだよ…」
いろは「は?」
八幡「まあなんとかなるってことだよ…」
いろは「…息荒いですよ」
いろは(…このまま放っといたら先輩マジで死ぬんじゃ…)
17:
いろは「う〜ん…」
いろは「しょうがないですね。普段お世話になってる恩もありますから、今日は私が看病します」
八幡「いや…それは…」
八幡「ごほっ…ごほっ…」
八幡(やべえ喉まで痛くなって来た…)
いろは「このままだと余計悪化しますよ」
いろは「てか普通に心配なんで看病させて下さい」
八幡「お前…そんなキャラじゃ…」
いろは「取り敢えず夕食作りますね。台所借りていいですか?」
いろは「あ、飲み物ここに置いとくんで」
八幡「あ、おい…」
19:
八幡「………」
八幡(何をしてるんだ俺は…)
八幡(よりによって一色に世話になるなんて…)
八幡(だが拒めない…)
八幡(風邪を引くとどうも心が弱くなるな…)
八幡(正直ありがたい…)
八幡(今日の一色はまるで天使のようだ…)
八幡(戸塚には及ばないがな…)
20:
いろは「せんぱーい。おうどん出来ましたよー」
八幡「………食わなきゃ駄目か?」
いろは「えー、でも食べないと体力持ちませんよー?」
八幡「魔女宅で出てきたミルク粥が食いたい…」
いろは「いや北欧のミルク粥ってバター入ってるんで病人の胃にはヘビー過ぎますよ…」
八幡(マジかよおソノさん最低だな…)
八幡(仕方ない…せっかく作ってくれたんだし食うか)
21:
八幡「分かった。食うよ」
いろは「はい、じゃあ、あーん」
八幡「…いいよ。自分って食えるっての」
いろは「あ、そうですか…」シュン
八幡「……いただきます」
八幡「ハフッ…ハフッ…ん…」
八幡(少し味薄いな…。食いやすいようにしてくれたのか)
八幡(割と普通に食えるぞ…)
八幡「ズル…ズル…」
八幡「…美味い」
いろは「そんな大袈裟な。インスタントですよ」
八幡「…いや、マジで美味い」
いろは「そ、そうですか?それはどうも」
22:
八幡「………」
いろは(あれから4時間くらいぐっすり寝たけど…)
いろは(あんまり熱が下がらない…)
いろは「う〜ん…もういっそのこと救急車呼んだ方がいいですかね…」
八幡「…というかお前はそろそろ帰った方がいい。…タクシー呼んでやるから」
いろは「せんぱいちょっとは自分の心配しましょうよ。割とこじらせてますよこれ」
八幡「…俺なら平気だ」
いろは「もうちょっと平気そうな顔で言って下さい…」
八幡「…親御さんも心配してるだろ。…な?」
いろは「あ、そうだ」
いろは「せんぱい、今日泊ま」
八幡「…いやそれはマジで駄目だ」
23:
いろは「明日土曜だから大丈夫ですって!親には上手いこと誤魔化せますから!」
八幡「そういう問題じゃなくてだな…」
八幡(と言いつつ今のまま一人になるのは確かに不安だ…)
八幡(風邪は恐ろしい…。普段の俺ならこんな情けない考えは浮かばないはずなのに…)
いろは「ほら、せんぱいだって一人じゃ不安なんでしょ?」
八幡「…………」
いろは「ね?ね?」
八幡「…一晩だけだぞ」
いろは「はい、分かりました」
八幡「…悪いな」
いろは「いえいえ」
24:
八幡(もう11時かよ…)
八幡「一色。俺のことはいいから風呂でも入って来い…」
いろは「え?まさかせんぱい私がシャワー浴びてる音で変なことするつもりですか?」
八幡「…しねえよ」
八幡「…家のもんは自由にしていい。下着と寝巻きは小町のを使ってくれ」
いろは「あ、服まで借りるのは悪いですよ」
八幡「…だったら俺のジャージ使え。…殆ど使ってない奴が幾つかあるから」
いろは「せ、せんぱいのジャージですか」
八幡「…まあ嫌だよな。だったらやっぱ小町の」
いろは「あ、嫌じゃないですよ嫌じゃ」
八幡「そうか…」
いろは「じゃあ、お言葉に甘えて…」
25:
いろは「………」
いろは(せんぱいの家の脱衣所)ヌギヌギ
いろは(せんぱいが毎日使ってるお風呂場…)シャアアア
いろは(せんぱいの私物らしきバスタオル…)フキフキ
いろは(せんぱいのジャージ)ゴソゴソ
いろは(せんぱいのジャージ)
いろは(せんぱいのジャージ)
いろは「………」
いろは「すーっ…」
いろは「………うん」
いろは「すーっ…」
いろは「うん…うん…」
26:
いろは「せんぱーい…。まだ起きてますかー?」
八幡「……ん?…ああ」
いろは「あ、ごめんなさい」
八幡「…いや、いい」
八幡「…それよりお前なんか顔赤いぞ」
いろは「え?」
八幡「もしかしてうつったんじゃ…」
いろは「あ、ちょっとのぼせちゃって…」
八幡「…そうか?キツかったら言えよ」
いろは「は、はい…」
27:
いろは「じゃあ電気消しますけど、私はしばらく起きておきますから、何かあったら知らせて下さいね」
八幡「…おう」
いろは「声出せなかったら携帯で呼んで下さい」
八幡「…悪いな、ここまでして貰って」
いろは「いいんですよ。私も最近、ちょっとせんぱいに頼り過ぎてましたから」
いろは「ほら、フリーペーパーの時とか…」
八幡「気にすんな」
いろは「じゃあ、その、お休みなさい」
八幡「…おう」
28:
八幡(………)
八幡(結局何から何まで世話になってしまった…)
八幡(今度きちんと礼しないとな…)
八幡(ていうかあいつ割と女子力高かったんだな…)
八幡(俺なんかより全然気が遣えるじゃねえか…)
八幡(………)
八幡(………)
八幡(寝よう…)
29:
八幡「………ん」
八幡「…今何時だ」
八幡「深夜三時か…」
八幡「うわ、小町からのメール凄え…」
八幡「…まあいい。小便行くか」
八幡「お、歩ける…」
八幡「身体も割と軽い…」
八幡「解熱剤効くの遅えよ…」
30:
八幡「…あー…冬の深夜は冷えるな」
八幡「寝直すか…」
八幡「って…」
いろは「………すー…」
八幡(こいつリビングで寝てたのか…。遠慮し過ぎだろ)
八幡(一応毛布は被ってるみたいだが…)
八幡(…寝落ちしたのか…?…まあいい)
31:
八幡「よっと…」
いろは「………ん」
八幡(取り敢えず小町の部屋まで運んで…)
八幡(暖房付けて…)ピッ
八幡(暖かくして…)バサッ
八幡「よし」
八幡「………」
八幡「…ありがとな一色」
八幡「お前が来てくれて助かったよ」
いろは「………」
バタンッ…
いろは「………」
いろは「………」
いろは「〜〜〜〜〜〜〜ッ//////」バタバタバタ
32:
翌週月曜
結衣「あ、ヒッキー」
八幡「よう」
結衣「風邪はもういいの?ゆきのんかなり心配してたよ」
八幡「ああ。完治した。インフルだとやばかったがな」
結衣「よかったー…」
結衣「今日部活行くよね?」
八幡「ああ」
33:
放課後
結衣「やっはろー!」
八幡「おっす」
雪ノ下「あら…」
雪ノ下「案外早く治ったのね」
八幡「若いからな」
結衣「ゆきのん見舞い行くって張り切ってたんだよー!でもヒッキーがうつると逆に気にするだろうからってやめといたの」
雪ノ下「由比ヶ浜さん、それは…」
いろは「せんぱーい!」
35:
八幡「なんだお前騒がしいな。鎮まれ」
いろは「仕事手伝ってくれるって言ったじゃないですかー!」
八幡「まだ終わってなかったのかよあれ」
雪ノ下「貴方また引き受けたの…?」
八幡「いやまあ、どうしてもっつうから…」
雪ノ下「比企谷くん、ちょっと一色さんに甘過ぎないかしら」
八幡「そうか?」
結衣「そうだよ!最近のヒッキー甘いよ!」
結衣「馴れ合うだけが友達じゃないって、筋肉マンソルジャーも言ってたじゃん!」
八幡「うーん…」
いろは「せんぱーい!早く行きましょーよー」
八幡「つっても今日買い物頼まれてるからな…。特売」
36:
いろは「この前一生懸命看病してあげたじゃないですかー」ボソッ
八幡(それを言われると弱る…)
八幡「分かった、行くか。ちゃっちゃと終わらそう」
いろは「わーい!」
雪ノ下「ほどほどにね」
八幡「分かってる」
結衣「ヒッキーちゃんと帰って来てね…」
八幡「どこに行くんだよ俺は…」
37:
いろは「ふんふふーん♩」
八幡「やけに機嫌いいな」
いろは「そう見えますか?」
八幡「葉山と何かあったのか?」
いろは「せんぱいも割と鈍い方ですよね…」
いろは「ま、いいですけど」
八幡「………」
八幡「あー…そういやお前、今度の休日空いてるか?」
いろは「え?どうしたんですかいきなり?」
38:
いろは「あ、もしかしてデートにでも誘おうとしてるんですかごめんなさい気持ちは嬉しいですけどまだ早いっていうか」
八幡「いや、そうだよ」
いろは「え?」
八幡「デートだよ」
いろは「せんぱいまだ調子悪いんですか…?」
八幡「昼飯奢れって言ったろ」
いろは「あ、言いましたけど…」
八幡「嫌なのか?」
いろは「………」
いろは「いきます」
八幡「よし。なりたけに連れてってやろう」
いろは「またラーメンですか…」
八幡「油そばが良かったか?」
いろは「どう違うんですそれ…。いいですよ、せんぱいのおすすめで」
いろは(ていうかせんぱいとなら何処でもいいですよ)
八幡「なんて?」
いろは「なんでもありません」
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