にこ「魔法なんてなくたって」 Part3【完】back

にこ「魔法なんてなくたって」 Part3【完】


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「……で? 話って何よ。穂乃果のことかしら」
なんとなく、表情からそんな気がして、真姫に問いかける。
「そうよ、穂乃果のこと。
私、失恋しちゃったんだ……。
ねぇ、ニコちゃん。失恋ってこんなに心が痛むものなのね。
私、泣いても泣いても涙が止まらなくなって、それでもひっそりと終わるのなんて嫌だから、穂乃果に想いだけは伝えて、でもそんなの結果なんて火を見るよりも明らかで、だけど頑張って穂乃果の前では泣かないようにしたの。
……ごめん、言ってることが支離滅裂で、自分でも何を言ってるのかよくわかんないわ。でもね、でもね――」
真姫の辛そうな表情は、見ていられなかったわ。
「真姫、とりあえず深呼吸して、それからこのハンカチ貸してあげるから涙拭きなさい。まったく、世話の焼ける妹かっての」
何処までも素直じゃない私と、いつの間にか素直になっていた真姫。
二人はどことなく似ていて、それでもやっぱり正反対なのかしらね。
例えるなら、そうね。磁石が一番近いのかしら。
正反対の、でも性質が似た二人は、いつの間にか惹かれあっていて――いや、惹かれあってはいないのか。
真姫が好きなのはやっぱり穂乃果だし、私は……。
――私、「希」が好きなのよね?
126:
14:56:06.41 ID:gly5K0qd.ne
いや、想いが薄れたわけじゃあないんだけれど、どうも最近思考の隅っこには真姫が引っかかるようになっているのよ。
これって、やっぱりそうなのかなぁって考えてみるけれど、でもそんなはずはない。
二人の人を同時に好きになるなんて、なんだか不純じゃない! そんなのなしよ!
それに、にこはアイドル。スキャンダルは避けなきゃなのに、こんな――あれ、でも二人とも女の子だし、でも、あれ?
って、違う違う。別に私、真姫のことそんな目で見てるわけじゃないし!?
「――ちゃん? ニコちゃん? 話、聞いてた……?
もしかして、私の失恋話なんてどうでもいいっていうの……? これでもマッキーは乙女なんだから、硝子のハートの持ち主なのよ!?」
「……わ、悪かったわよ。ちょっとぼうっとしてて。
あー、涙は拭いた? じゃ、いっちょにこにー大先生の恋愛相談室でもはじめましょっか!
うーん、通称は、そうねぇ……」
脳裏には、やっぱり狸顔が浮かぶ。
だから、もちろんあの名前を使うしか選択肢はなかったのだ。
「『乙女式れんあい塾』、ね!
さぁ真姫、もちろん受講、するでしょ?」
真姫は、ちょっと目を見開いて、それからふわっと笑う。
やっぱり、最近コイツは素直になったみたいね。こんな表情ができるんだから、今の真姫はとっても魅力的よ。
……まぁ、私の方は素直じゃないから、そんなこと言ってやらないけどね。
127:
真姫が可笑しそうに喉を鳴らしながら、笑顔で言った。
「ふふっ、お断りします!」
「えぇっ……な、何で!?」
「そんなの――ううん、やっぱり教えてあげないっ!」
真姫は悪戯っぽく口角を上げ、あかんべーなんてしてくる。
そうか、この娘は実は小悪魔なんだ。ずるいことはしちゃダメってことを、いつか教えてあげなきゃ、ね。
そのいつかが来るのを、私は望んでいるのかしら。望んでいいのかしら。
――ねぇ、「希」、私、こっちの世界で生きていくべきなのかしら。
「ニコ」は、そっちの世界にいて生き辛くないかしら。やっぱり私、そっちに――
「ねぇ、ニコちゃん。私……私ね、ずるい女なの。
穂乃果だけじゃなくって、他にも好きな人がいる、って言ったらどうする?」
「んー、まぁいいんじゃないかしら?
アイドルたるものスキャンダルには気をつけなきゃだけど――
って、え? なななななんですって?」
「私、穂乃果とは別にもう一人好きな人がいるのよ」
129:
ま、まさかこんなところも似てるなんて。本当に私たち、磁石なんじゃないの?
な、なんて……は、はは。
まぁ、期待なんて――期待って何よ!?
まるで私が真姫のこと、好きみたいじゃ……そんな筈ないって言ってるでしょ!?
あー、もうっ!
私も十分、ずるいことしてるんじゃないの!
「へ、へぇ?っ! だ、誰のことかしら!」
恐る恐る、聞いてみたわ。
だってどうしても気になるんだもん。……他意はないわよ?
返事次第じゃぁ、私、気絶するかもしれないけど。
「そんなの、教えるわけないじゃない!」
気絶云々は杞憂だったようで、今度はウインク付きであかんべーをされる。
ちくしょう、可愛いじゃないか、この小悪魔め。
「おーい! にこっちーっ! まきちゃーん!
早くこっち来てみーっ! もうすぐ砂の名古屋城が完成するでーっ!」
「ってアンタらどんだけ器用なのよっ!?」
私と真姫は顔を見合わせて笑うと、希と絵里の元へと向かう。
正直、ちょっと助かったかもね。
131:
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海からの帰り道。電車に揺られて心地よくなったのか、真姫と絵里はうたた寝を始めた。
「何やにこっち、随分ご機嫌やんな?」
希がニヤニヤしながら話しかけてくる。
「なっ! べ、別に……にこは」
「真姫ちゃんの寝顔、可愛いもんなぁ。こっそり写真撮ってもええんよ?
ウチはばらしたりせぇへんし、なんならウチが撮ろか?」
すっかり見透かされていたようね。
そうよ、あんな話された後じゃ、意識するなって方が無理だもん。
いやまぁ、私の事じゃないかもしれないんだし、むしろその可能性の方が高いんだし、自意識過剰も甚だしいかもしれないけどさ。
……でも、気にしてしまうのはしょうがないじゃない。
132:
「……なーんで私が真姫の寝顔なんか盗撮しなきゃなんないのよ。
大体、私にはちゃんと好きな人だって」
「向こうの世界のウチ、やろ?」
「へっ!? な、な、何で知ってるのよ!
私、アンタには、アンタにだけはばれないようにして――」
「ふぅん? ま、でもウチにはバレバレやったけどなぁ。
これがいわゆる……スピリチュアル、やね?」
希はやっぱり、ひょうひょうと物事を見透かしているのだ。
コイツには一生敵わない、こっちの世界でも、向こうの世界でも。改めてそう思ったわ。
「もしかして、お得意の占いかしら。
アンタの占いは恐ろしいほどよく当たるんだもん……まったく、ずるいわね。
それで? この場合はハイパースピリチュアル占い師のぞみんに従って盗撮するのが吉なのかしら?」
悔しいので、少し煽り気味に返す。
やっぱり私はどこまでも素直じゃない。
133:
「――もしかして、にこっちってば自分の気持ちに気付いてないん?
たしかににこっちは向こうの世界のウチの、『希』のことが好きや。
それは、今でもきっとそうなん。
けどな、にこっち。それと同じくらい、いや、ひょっとしたらそれ以上に。
にこっちは、真姫ちゃんにどうしようもなく惹かれてるんよ」
「そんなのありえないわ! 私が好きなのは、『希』だけで――」
「……んぅ……にこ、ちゃ」
突然、真姫の声が隣から聞こえる。
心臓が止まった気がするわ。
「ひゃぁっ!? まままままままま真姫っ!?
いつの間に起きて……!?」
と思ったけれど、またすぐに可愛らしい寝息が聞こえてくる。
何ってタイミングでそんな寝言言ってくれちゃってんのよアンタはァ!
「あはは……真姫ちゃんもいいタイミングで寝言を言うなぁ。
けど、にこっち。今のリアクションではっきりしたんとと違う?
にこっちは、真姫ちゃんのこと――」
134:
……そうよ。もう分かりきってたことじゃない。それなのに、素直じゃない私はずっと否定してて。
思えば、最初に「希」の話をした時から、いつかこうなるんじゃないかって分かっていたのかもしれないわね。
だから、あんな話を――
「――分かったわよ、いい加減認めるわ。
私は、真姫のことが……」
そのとき、携帯電話が通知音を鳴らした。
案の定、それは「ニコ」からのダイレクトメッセージで、つまりは「希」からの連絡だろう。
「ちょとごめん」と希にことわると、私はすぐにメッセージを開封した。
「にこっちへ
ご無沙汰やね。あれからウチ、ずっと調べてたんだけど、帰る方法、見つかったかもしれない
このメッセージに気付いたら、すぐに折り返し連絡して!
それから、謝っておくわ。にこっち、ごめんね」
139:
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「の、希、これって……どういう意味だと思う?」
私はメッセージを受け取るや否や、希に見せる。
希は私の携帯を受け取ると、しばらくまじまじと画面を見つめていた。
そして、口を開く。
「にこっちは、もう悩まなくて済むってことやね。だって、帰る方法があるんやから!
……あ、でも……」
そう、そうなのよ。
こっちは折角真姫への想いに気付いたってのに、ちょっとタイミングが悪くない?
このまま、自覚しないまま元の世界に戻れたならどれほど楽だっただろうか。
「希」だけへの想いで満ちていた心に、少しシミができたくらいの気持ちで帰れたなら、どれだけ心が軽かっただろうか。
……まぁ、考えたって無駄ね。
帰る手段があるんだったら、「ニコ」も「にこ」も、元の世界へ帰るべきで、それが当たり前で。
こんなときに、わがままなんて言えやしないのよ。
「……勘違いよ、勘違い」
「にこっち、でも……」
「うっさいわね、全部勘違いよ!
私は真姫のこと、そういう目で見てないし、『希』のことだけを愛してるの。それで、いいでしょ?」
140:
つい語気が荒くなってしまうが、今の私には言葉遣いに気を遣う余裕なんてなかった。
だって、二度と会えないと思っていた「希」に会える。
元の世界のみんなに会える。
こんなの、願ってもみなかったことじゃない! なのに!
いや……悲しくなんて、ない。
寂しくなんて、ないわよ。
「……ごめん、希。電車酔いしちゃったみたい。
ちょっとクッションの代わりが欲しいから、その胸貸しなさい。少し濡れるかもしんないけど、文句言うのはナシだから」
「……うん、好きなだけ使い、うちでよかったら。
ゆっくり時間使って考えればええよ。こんなの、すぐに決められんもん」
希が、向かいの席から私の頭に手を伸ばす。普段なら避けていたと思う。
でも、今はただ。
――温もりが、欲しかったのだ。
ひとしきり泣いて、私は希への返事をしたためることにした。すぐに返事をして欲しいって言われてたのに、20分はたっぷり待たせちゃったかしら。
――でも、こればっかりは許して欲しいな。想いを天秤にかけるのなんて、私には無理だったから。
「希へ
あれからいっぱい調べてくれたのね、ありがとう。私も調べたんだけど、やっぱり見つからなかったので、助かるわ
あの、さ。ちょっとわがままを言いたいんだけど、いいかな
私ね、8月が終わるまで、こっちにいていいかしら
やらなきゃならない、大事なことがあるんだ」
141:
「にこっち、それでよかったん?
元の世界に帰るまでの時間は確かに伸びたけど、真姫ちゃんとの思い出が増えて帰り辛くなるだけだと思うよ。
――それでも、にこっちが選んだ道なら、ウチは応援する。だから、深くは聞かない。頑張れ、にこっち……!」
希が、右手を掲げる。
元いた世界で誰かにイタズラを仕掛けたとき、成功したらよくハイタッチをしたっけなぁ。
そんな話、目の前にいるやつには全くしたことなんてないけれど、やっぱり希は希なんだ。どの世界でも。
――ぱしんっ!
空気を押しつぶす感覚がして、希の掌と私の掌がぶつかり合う。
「……私、頑張るから、見てなさいよ、希」
それから、「ニコ」、アンタもね。
私は深く息を吸い込むと、希と顔を見合わせてまた笑った。
悔いの残らない夏休みにしなきゃ、「ニコ」に申し訳ないな、なんて思いながら。
146:
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8月最後の日。
私は、部室にみんなを呼んで、全てを話すことにした。
そうするのが当初の予定だったわけだし、何よりこのまま、さよならも言わずに去るのなんて、フェアじゃないし、卑怯だから。
「わざわざ集まってもらってごめんね?
……ちょっと大事な話があって」
「ニコちゃん? いつもとなんだか違うけど……髪型とか、喋り方とか。イメチェンってやつ?」
穂乃果はあれでよく人のことを見ているんだなぁ、と、少しずれたことを考えながら、それに返す。
「ん? あぁ……それもまとめて話すわ。いい? 今から話すことは、ちょっと突拍子もないことだと思う。私も最初は信じられなかったしね。
まあとにかく、全部本当のことだから、信じて欲しい。それから……みんななら大丈夫だと思うけど、『ニコ』と、ずっと仲良くしてやってね」
一呼吸おくと、私は今までみんなに黙っていたことを全部話した。
私が違う世界から来たこと、私が元いた世界にはこの世界の「ニコ」がいること、そして今日、元の世界に帰るつもりだということ。
最後のは、希にしか話してなかったから、真姫も絵里もずいぶん驚いてたなぁ。
それから……元の世界に帰る方法だけど、実は私もまだ知らないのよね。
今日の正午にはその方法を教える、って「希」は言っていたけれど。
なんだか、知りたいような、知りたくないような。……って、何を言ってるのかしらね。今更。
147:
「ねぇ、ニコちゃん。平行世界、って知ってる?」
真姫が私に質問する。
それに、私は。
「もちろん、知っているわ」
あのときみたいに変な意地を張らず、キャラなんて捨てて、そう答えた。
あぁ、少しは素直になれたかしらね。
ねぇ、カミサマ。私、素直になるわ。
元の世界に戻っても、この世界でのことを忘れたくない。辛くても、苦しくても、これはとっても大事な思い出なんだ。
私の、大事な宝物なんだ。
だから、お願いします。
奇跡だって魔法だって、なんでも信じてやるわ。
だからお願い。
携帯の通知音が鳴り響く。
待っていたけれど、来てほしくないような、そんなメッセージだ。
大きく深呼吸をして、私はそれを開いた。
「にこっちへ
今から、元の世界に帰る方法を書くね
ウチらの世界から持ち込んだ何かを大切な誰かに預けて、その人からそっちの世界の何かを受け取って!
そのあと、ただ願うんや。元の世界に帰りたい、って
そしたら、きっと帰れる。ウチにまかしとき!」
……なんだ、そんな簡単なことだったのか。そんなに簡単に、あっさり元の世界に帰れるのか。
拍子抜けして思わず笑い出す。
にこを散々悩ませたクセに、あっけないなぁ。
148:
「……真姫、これ、あげるわ。
その代わり、アンタも何か私にちょうだい。なんでもいいわ、それこそガムの包み紙でも」
私は自分の髪を結っていたリボンを外し、そのうちの一つを真姫に渡す。
どうしてそうしたのかは、話さなかった。
話したら、もっと辛くなる気がして。
――いいのよ、これで。今更一方的な想いを伝えたって、すぐにお別れなんだ。
……あの日、自分で言った言葉を思い出す。
『ほんっと、アンタって素直じゃないわよね。好きなら好きだと伝えなさいよ。いつ伝えられなくなるか、わからないんだから!』
自分が一番、素直じゃない。
だから、また伝えられなかったんだ。
「ニコちゃん、本当に何でもいいの?
そんなこと言われたら、私は意地悪だから本当に紙切れとか渡しちゃうわよ?」
「うん、本当に何でもいいわよ。もらうことに意味があるんだからさ。
だから、紙切れでもなんでも――」
その先は、言えなかった。
だって、唇を塞がれたんだもの。あの可愛らしい唇でね。
まったく、本当に意地悪ね、真姫は。
……ずるい奴。
最後に私の初めてを奪っていった相手をぼんやりと見ながら、私の意識は薄れていった。
――さよなら、真姫。さよなら、みんな。
153:
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目がさめると、部室にいた。
壁際にある大きな棚には、私が集めたアイドルグッズが所狭しと並ぶ。
――あぁ、帰ってきたんだ。そう思った。
「……っくしゅ!」
くしゃみをして、そういえばこっちの世界は今冬真っ只中だったなぁ、と思い出す。
ん? こっちの世界……帰ってきた……?
「……あっ、そっか。私……」
一気に記憶が流れ込んでくる。
私、違う世界に飛ばされて――。
154:
「もう、にこっちったら。こんなトコで寝てたら風邪引くよ?
……それとも、ひょっとしてウチに看病されたいん?」
懐かしい声がして、振り返る。
当然、目に飛び込んできたのはあのタヌキ顔だった。
思わず涙が溢れてきてしまい、希にギョッとした顔をされる。
「……希、ただいま」
「……にこっち、おかえり」
お互いに顔を見合わせて、揃いも揃って声を上げて泣いた。
それから、どちらともなく片手を上げ、掌と掌をあわせる。
――ぱしんっ!
心地よい感触。どちらの世界でも、やっぱり希は希なのだ。
155:
「……そうや、今の状況を整理したいんだけど、ここでクイズ!
今日は何月何日でしょうかっ!」
希は、泣き止んですぐだからか、ちょっと震えた声でおどける。
私は、じっくり考えた。
私があっちの世界にいたのが約7週間、もともとこっちの世界での最後の記憶は12月16日だから……。
「2月9日……向こうにいた日数的にそんなもんじゃない?」
「ところがどっこい!
なんと! 正解は12月17日なのです!」
「……………………はっ?」
そんなことって、あるの?
……じゃあ、こっちの世界では1日しか……?
「いやぁ、それがな、にこっち。
ウチにもわからないんだけど、確かにさっきまでは2月だったんよ。でもな、一瞬意識が飛んだと思ったら、ほら!
カレンダーが12月になってたん。携帯のだから信用はできると思うんだけど、どうやろ?」
タチの悪い冗談かと思って、私も携帯を取り出して確認する。
けれどやっぱり、カレンダーは12月17日になっていた。
……ってことは、向こうの世界でもそうなっているってことね。多分。
156:
――そうだ! 「ニコ」はどうなったの?
SNSをすぐに開き、ダイレクトメッセージの履歴を見る。
……やっぱり消えている。
私は記憶の中にあるIDを打ち込み、メッセージを打ち込む。
「ニコへ
元の世界に帰れた? 私は無事に帰れたわ
そっちの世界はどうなってる?」
送信ボタンを押すが、エラーメッセージが返ってくる。
何度試しても、エラーになってしまう。
ID、間違えたかしら……いえ、あんなにわかりやすいID、間違えるわけないわ。
じゃあ、どうして……?
「にこっち。もう、向こうの世界とは繋がってないんよ。奇跡か魔法でもない限り、もう連絡は取れないと思う。
……きっと向こうの世界では、今頃ニコとみんなが再会しとる頃や。それで、ええやろ?」
――そうだ、これでよかったんだ。全部。
「……そうね。これで全部元どおり、とまではいかなくても、半分くらいは元どおりだし。
あ、ところで、あの時、希はなんで私に謝ったの? それに、結局誰の仕業だったのかしら。こんなことどうやったら――」
「そのこと、なんやけど。
ごめん、にこっち。悪いんは全部ウチだったんや」
157:
「ええっ!? ど、どういうことっ!?」
「ウチがな、七夕の時にふざけて書いた短冊、覚えとる?」
……私は黙って首を横に振った。
体感としてはもう半年以上前なんだもん。覚えてないのも仕方ないわよ。
「短冊にはね、『にこっちが運命の人に出会えますように?』って書いてたんよ。
だから、にこっちの運命の人が、たまたまあっちにいたってことになるのかな……」
「……そっか。そうだったんだ。
だったら、希。謝らなくていいわよ。
運命の人になら、多分会えたから」
そのとき、カーディガンの右側のポケットが振動した。
……おかしいな、携帯なら左手に持っているんだけど。
ポケットを探ると、見覚えのある携帯が入っていた。これは――
急いでスリープモードを解除すると、そこにはダイレクトメッセージの通知ポップが表示されていた。
開封して、思わずくすりと笑う。
なんだ、アイツ、本当に素直になったじゃない。
――そこには、こう書かれていた。
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