梓「唯先輩………」back

梓「唯先輩………」


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1:
梓「雪が降って来たなぁ……」
梓「今年は例年より早いんだなぁ……」
梓「唯先輩は……いつまで此処にいられるんだろう…?」
梓「私では……傍に居る事は出来ないのかなぁ……?」
梓「唯先輩……」
梓「はぁ?………」
3:
― 昨日…
『あずにゃん、あずにゃん、見て見てっ!!』
梓「…唯先輩はそう言って、沢山の花々を私に見せて来た」
梓「…とても色美しく、キラキラと華やかな沢山の花…」
梓「私には、それがどんな名前の花なのか分からないけれど…」
―『あずにゃん、これあずにゃんにあげるねっ!』
梓「唯先輩は、私にそれを渡してくれた……」
梓「とても、嬉しそうに………」
4:
梓「後で調べたら…ただの花屋さんでは手に入らない貴重な花だった……」
梓「花言葉は……かけがえのない絆人」
梓「唯先輩……」
梓「私に……それは当て嵌まるのでしょうか…?」
梓「私と唯先輩は……確かにお互いを信じ合っていますけど……」
梓「私は……特に、唯先輩の事を…」
梓「だけど、それは同じ部活動の仲間として…」
梓「同じ学校の仲間として…」
梓「………」
梓「絆、か………」
梓「そんな大層なもの、私には不釣り合いだと思いません……?」
5:
― 平沢家 ―
唯「ねぇねぇ、うぃ?」
憂「なあに?お姉ちゃん」
唯「あずにゃんって、何であんなに可愛いのかな??」
憂「ふふっ、お姉ちゃんったら、また梓ちゃんの話ばっかり」
唯「うぅ、だって?!!あずにゃんが可愛いすぎるんだもんっ!!」
憂「はいはい、お姉ちゃんの目には特にそう見えるんだよね??」
唯「あぅ…///そんなんじゃないもん…っ!!」
憂「あはは、お姉ちゃん顔真っ赤だよっ♪」
6:
憂「まあ、でも…梓ちゃんは本当に可愛いと思うよ」
唯「あの猫耳が似合いそうな感じが堪らないよねぇ…♪」
憂「またぁ…お姉ちゃんったら」
憂「………」
憂(本当に…梓ちゃんじゃなきゃ私は許せなかったんだから…)
憂(私の…最愛のお姉ちゃんを……誰かに譲るなんて……)
憂(……お姉ちゃん………)
ぎゅうぅ…
8:
唯「憂ぃ?どうしたの??…」
憂「うぅん、ただちょっと…悔しくて」
唯「憂……」
憂「梓ちゃんは良い子だもんね…」
憂「私にとっても、大切な大切な親友だもん……」
憂「反対なんて…できるわけ、ないよね……」
唯「憂……」
唯「私、憂の事も大切だよ?」
唯「憂と毎日一緒に生きていられて、私すっごく幸せだよ!」
憂「お姉ちゃん……」
憂「これからも……ぎゅってしてね?……」
11:
― 学校 ―
唯「あずにぁああんっ♪」
梓「わわっ、唯先輩?っ!///」
唯「スゥスゥ…はぁ?、今日もあずにゃんは可愛いくて良い匂い…」ギュウ♪
梓「……///先輩…っ!最近スキンシップが激しすぎますっ!!」
唯「えぇ??そんな事ないんじゃない??」
梓「ありますよっ!///…前は匂いなんて嗅いでこなかったのに…」
梓「それに……」
梓(唯先輩の方が、いい匂いしますって……///)
唯「あずにゃあああん♪あずにゃあああん♪」ぎゅうう?!!
13:
― 部室 ―
紬「唯ちゃん……」
唯「うん、わかってる…」
唯「私は、もう長くは此処に居られない……」
紬「………」
唯「でもっ……せめて、あの子にもう一度会うまでは……っ!」
紬「………唯ちゃん」
紬「期限はもう、迫っているわ……」
紬「それに、唯ちゃんの探し物なら…きっとすぐ傍に………」
紬「唯ちゃんが今、1番大切にしているものと共に…」
唯「ムギちゃん……」
15:
――ガチャッ!
律「おぃ?す!今日も練習がんばるぞー!」
澪「…すまない、少し遅れてしまったな」
唯「……ううん。待ってたよ、さあ早始めようっ♪」
紬「ふふ、そうね」
梓「…………」
梓(今の会話は、一体……)
16:
梓「私は特に耳がいい…」
梓「普通の人よりも、些細な会話を聞き取れてしまう…」
梓「今の会話は…」
梓「先輩が、何処かに行ってしまう……?」
ヒュゥゥゥ……
梓「………ヒッグ、グスッ…」
梓「…うぅ……うわわああ……」
梓「…唯先輩……」
梓「…どこかに、行っちゃうなんて、ヤダ……」
梓「いやだよおおおっ…………」
17:
ヒラヒラ…‥
梓「雪が…降って来たんだなぁ…」
梓「今年は…早いんだなぁ…」
梓「あの時も、雪が降っていたっけ…」
梓「懐かしいなぁ……」
梓「唯先輩は……覚えてないだろうなぁ……」
梓「絆、か………」
梓「唯先輩………」
18:
憂「あっ、雪だ……」
憂「今年は早いなぁ……」
憂「………」
憂「ねぇ…お姉ちゃんは、どうして私のお姉ちゃんになってくれたの?」
唯「ふえ?憂が『お姉ちゃんが欲しい?!!』って言ってなかったっけ?」
憂「お姉ちゃん……」
憂「お姉ちゃんは、優しいんだね……」
唯「もうっ、何言ってんのよ憂ぃ?!」
憂「えへへっ…」
憂「……お姉ちゃん」
憂(私は本当は、お姉ちゃんを手放したくないの…)
憂(何処かへ飛び立つ前に、翼を折ってしまいたい程に…)
19:
― 学校 ―
紬「あとの事は全部任せて…」
唯「うん……」
紬「唯ちゃん…これも決まり事なのよ」
唯「でもっ……!」
紬「探し物は……向こうから近付いて来てるわ」
唯「え?……」
紬「きっと向こうも…唯ちゃんの事が大好きなのね……」
唯「うぅ……うわあああん!!」
紬「よしよし…」ナデナデ
紬「早く、見付けてあげてね……?」
唯「うん………」
………
20:
バサッ…バサッ…
唯「此処にもいない…」
唯「何処にもいない…」
唯「ムギちゃんは、近くにいるって言ってた…」
唯「どうして見付からないんだろう…?」
唯「おかしいなぁ……」
唯「ムギちゃんが嘘付くわけないし……」
唯「あっ…あずにゃんだ!」
スルスル…しゅたっ!!
唯「やっほーい!あずにゃん♪」
梓「え?……唯先輩?…」
21:
梓「どうして此処に、唯先輩が……?」
唯「いや?、ちょっと通り掛かってさ?……」
唯「たまたまあずにゃん見付けちゃった♪」
梓「あはは…そうだったんですか」
梓「………」
梓「星が、綺麗ですね…」
唯「そうだね……」
梓「………」
梓「………唯先輩」
唯「なに?あずにゃん?」
梓「………いえ、何でもないです」
唯「………そっか」
唯「………」
唯「……あずにゃんってさ…」
22:
唯「まるで野良猫さんみたいだね…」
梓「………」
唯「こんな所にボーッと座っててさ…」
唯「風邪引いちゃうよ……?」
梓「いえ……私は大丈夫です……」
梓「私は……本当に……」
ぎゅうぅ…
梓「ひゃうっ……///」
唯「えへへ?、こうすればあったまるよ?…」
梓「唯先輩っ……///」
唯「あんまり独りぼっちになっちゃ駄目だよ…?」
梓「………唯先輩……」
23:
梓(唯先輩はあったかいなぁ……)
梓(唯先輩はいつも優しいなぁ……)
梓(唯先輩……)
唯「ねえ…?今度デートしよっか!」
梓「………え?」
唯「だ・か・らっ!デートだよデートっ!!」
梓「えっ?えっ?……唯先輩と私がっ…!?」
唯「もぅ?、そうだよぅ………私とじゃイヤ?…」
梓「いえっ!?嫌なんて事…何一つ無いです!むしろ喜んでっ…!!」
唯「ふふっ、やったぁ!!」
梓(唯先輩とデート……ほんとに?やったぁ!!……)ドキドキ
24:
憂「お姉ちゃん…近頃帰りが遅いなぁ…」
憂「きっとまた…探しに行ってるんだろうな…」
憂「お姉ちゃん……」
憂「私達にも、絆はあるって思っていいよね…?」
憂「私の事…置いていかないよね……?」
憂「私……もう独りぼっちじゃ……堪えられないよぅ……」ぽろぽろ
憂「お姉ちゃん…………」
25:
律「よーし、今日も練習再開するぞ?!」
梓「はいっ!」
澪「おっ、今日は梓がやけにやる気あるなー」
紬「あらあら、うふふっ♪」
唯「私もがんばるよーっ!!」
ジジャーン!!…
梓「みんないいかんじですね!」
澪「この分だと今度の発表会はいい出来になりそうだなっ!」
紬「ええ、…そうね……」
唯「うんっ…………」
26:
― 帰り道 ―
唯「あずにゃん……」
梓「唯先輩………」
唯「そろそろ…ペロペロさせてくれてもいいんじゃない?」
梓「良くないですよっ!!だんだんエスカレートして来てるじゃないですかっ!」
唯「えぇ??!だってぇ…あずにゃんが可愛いすぎるんだもんっ!!」
梓「だからって……っ!!」
梓(唯先輩にそんな事されたら……)
梓(私っ……///)
唯「……まぁペロペロは今度させてもらうとして…」
梓「…結局するんですかっ!?(…うわー、うわー///)」
唯「明日はデートだねっ、あずにゃん♪」
梓「そ、そうですね……///」
唯「ふふっ、楽しみだなぁ♪」
28:
シーン…‥シーン…‥
梓「唯先輩は優しいなぁ…」
梓「明日は唯先輩とデートかぁ…」
梓「夢が一つ叶っちゃったなぁ…」
梓「唯先輩………」
梓「どうして、私にそんなに優しくしてくれるんですか…?」
梓「私は……本当は……ただの猫なのに」
梓「唯先輩………」
梓「絆なら…憂のが適任でしょう…?」
31:
― デート当日 ―
梓「ひゃあっ///……な、なんで手を…つ、繋いでいるんですかぁ!?」
唯「だぁって?…デートだよ?手ぐらい繋ぐに決まってるじゃんっ♪」
梓「はは、恥ずかしいですよ…///」
唯「ん?、私達のラヴラヴっぷりを見せ付けてやろうよっ♪」
梓「うぅ……もぅ///」
唯「あっ、やっぱ止めた」パッ
梓「え?……ヤダ‥」
唯「やっぱり腕組みにしよう♪」
梓「ひゃああぅ!?唯先輩……!??」ドキッ
唯「???♪」
梓「…ぁぅぅ……///」ドキドキ
32:
― 服屋 ―
唯「あずにゃん、あずにゃん!これ着て?♪」
梓「ちょ、ちょっと!何ですかこの白黒フリフリな服はっ!?」
唯「メイド服だよ、あずにゃん♪」
唯「あずにゃん、あずにゃん!これも着て?♪」
梓「にぁああ!?何ですかこの白赤の着物みたいな服はっ!?」
唯「巫女服だよ、あずにゃん♪」
唯「あずにゃん、あずにゃん!これも着て?♪」
梓「ちょ、ちょっと待って下さい!これはバニーガールじゃないですかっ!?」
唯「うん、そうだよっ♪」
梓「着ませんよ、こんな服!っていうか何なんですかこの店はっ!?」
唯「ただの服屋さんだよ?」
梓「明らかに普通の服屋さんじゃないぃぃ!!?」
唯「着ないのなら着せてあげるっ♪」
梓「にぁああ!?やめてっ?脱がさないでっ!!唯先輩ぃ?!!?」
33:
………
梓「はぁはぁ……」
唯「はぁはぁ……」
梓「ふぅ……」
唯「うぅ……あずにゃんのいけず……」
梓「いやいや、ありえませよアレは……」
唯「……まぁ、いっか…」
梓「え……?」
唯「そろそろ本命のメインディッシュにいってみようか♪」
梓「え…?ええっ…??」
唯「じゃじゃーん!!ネコちゃんのコスプレ、フルセットぉー♪」
梓「………」
唯「この可愛い尻尾を付けてぇ♪首輪には、鈴も付けてね!あずにゃんっ♪」
梓「………」
唯「あずにゃん??」
34:
梓「にゃ………」
唯「にゃ…??」
梓「にゃあああああ!!!っ」
梓「唯先輩ばっかりズルいっ!!ズルいですよっ!!」
梓「唯先輩もコレ着て下さいッ!!」
唯「え…?何これ…白いドレス??」
梓「ウェディングドレスですっ!!」
唯「えーとっ……コレ着たら、あずにゃんも猫耳になってくれる…??」
梓「なりますっ!なりますともっ!!だから是非っ…!!」
唯「…うん、わかった♪じゃあ、ちょっと待っててね?」
梓「はいっ!!」
梓「………」
梓「………ふぅ」ドキドキ
35:
― 数分後 ―
唯「……っと。えへへ…」
唯「あずにゃーん、どう…かな?」
梓「……っ!!」ドキッ
梓「唯先輩………キレイっ……」
唯「えへへー……何だか花嫁さんになった気分…」
梓「……」ポーッ
唯「あずにゃんも可愛いよ?」
梓「……」
唯「……こっちおいで」
梓「………コク」‥‥
唯「えへへ?…っ♪」ぎゅ?っ!!
唯「あずにゃん可愛い…」
唯「私、ネコさんのお嫁さんになったみたい………」
………
36:
― お食事中 ―
唯「はい、あ?ん…♪」
梓「あ?ん…って!何やってるですか、先輩はっ!!」
唯「ん??……だってぇ…」
唯「あずにゃんが可愛いすぎるんだもんっ…♪」
梓「理由になってないですよそれっ?!」
唯「まあまあ…♪」
唯「ほら、ジュースでも飲もうっ♪」
梓「はいっ……ズズッ…ってぇぇえ!?なんで一緒にストロー差して飲んでるんですかっ!!」
唯「まあまあ…気にしない、気にしない♪」
梓「いや、気にしますよコレっ!!?」
37:
唯「ここに1本のポッキーがあります」
梓「パフェに付いてたあれですね…」
唯「あずにゃんっ♪」
梓「やりませんよっ!?」
唯「え??やろうよ、ポッキーゲームぅ…」
梓「こんな人前で…そんな事、できませんよっ!?」
唯「…………人前じゃなきゃいいの??」
梓「…………えっ?」
唯「だーっかーっらーっ!人前じゃなきゃいいの??」
梓「え、えぇぇぇっ!??」
唯「良いの?悪いの?どっち!?」
梓「え、えーとぉ!?…あのー……そのぉ…??…」
38:
唯「………」ジーッ
梓「あの……だからっ………!!」
唯「………」ジーッ
梓「えーとぉ……あの、ですね……!?」
唯「………」ジーッ
梓「そ、そのー……わ、悪くは……ないです、けど…///」
唯「………♪」ニコッ
唯「あずにゃん、このパフェ一緒に食べようっ♪」
梓「………はい///」
39:
― 映画館 ―
唯「………」
梓「…………(ラブストーリー、か…)」
――…………??
唯「………うぅ…」グスッ
梓「………唯先輩……」
――ぎゅっ…
唯「あずにゃん……?」
梓「手を…繋いでいましょう……?」
唯「うんっ………!」
………………
40:
………サラサラ…‥サラサラ…‥
唯「えへへー、あずにゃんっ♪」
梓「何ですか、もう…」
唯「ううーん、何でもなーい…♪」
梓「まったく……」
唯「あ、アイス売ってる!一緒に食べようっ!」
梓「いやさっきパフェ……あー、私はこっちの鯛焼きの方にします」
唯「ふふふっ……」
梓「もう…さっきからニヤニヤして……何ですか」
唯「なんでもなーい…♪」
唯「あ、ちょっと交換しようよ!」
梓「え…いや私は……」
唯「ほらっ、こっちのアイス食べていいからっ♪」
唯「……?♪」
梓(コレって………///)
42:
………サラサラ…‥サラサラ…‥
梓(………幸せだなぁ…)
梓(………唯先輩……)
唯「…………」
梓(本当に……何処かに行っちゃうんだろうか…)
梓(嫌だよ……せっかく私は……此処まで来たのに!…)
唯「…………」
梓(唯先輩………)
梓(私はっ…………)
唯「ねぇ、あずにゃん…?」
43:
唯「あのね………」
唯「私は…………」
唯「もう、此処には長くいられないの……」
――ヒュォォォ……
梓「………っ」
梓「ヤダ……イヤだっ……!」
梓「唯先輩……行っちゃやだーーっっ……!!」
唯「あずにゃん………」
梓「うわああああん……!っ」ぽろぽろ
44:
唯「…………」
唯「………ごめんね?」
梓「唯先輩ぃ………」
梓「私は………あの時の…猫なんですっ…!」
45:
―『わあ、可愛い猫さんだねっ!』
――にゃあ…
―『どうしたの?独りぼっち?』
――……
―『凍えているの…?』
――……
―――ぎゅうぅ…
―『もう、大丈夫だよ?』
―『暖めて、あげるから…』
――にゃあ……
梓「私は、あの時…唯先輩が抱きしめてくれた、猫なんです……っ」
46:
梓「寒い、冬の日だった…」
梓「雪が降り積もってて…私は凍えそうになってて…」
梓「真っ暗で…独りぼっちで……」
梓「……ここで、私はこのまま冷たくなってしまうんだと思いました…」
梓「唯先輩……」
梓「私は、あれからずっと…唯先輩を探していて…」
梓「もう一度、会いたくて…」
梓「ずっと……ッ!」
唯「あずにゃん……」
47:
唯「そっか…あの時の猫さん、あずにゃんだったんだ……」
唯「どおりで…探してても見付からなかったわけだ…」
梓「唯先輩…?」
唯「私も…探していたんだよっ?」
唯「ずっとずっと…あの時の猫さんが心配でっ…」
梓「唯先輩っ……!」ギュッ
唯「あずにゃんっ!……」ギュウッ
唯「もう……いいよね?」
梓「え?…………」
――チュッ…
梓「唯先輩………」
唯「あずにゃん………」
――チュッ……
49:
憂「………」
憂「私はもう、1番にはなれないのかなぁ…?」
憂「お姉ちゃん…」
憂「今頃、梓ちゃんと仲良くデートしてるんだろな…」
憂「お姉ちゃん……」
憂「うぅ………」
――ガチャッ!
唯「憂ぃ?、ただいまー!」
憂「お姉ちゃんっ!!」ガシッ
憂「お姉ちゃん……お姉ちゃん……っ!」ぎゅう?
憂「お姉ちゃん………っ」
唯「憂ぃ………?」
唯「…………」ナデナデ
唯「大丈夫だよ……私は憂の事も大事なんだから、ね……?」
52:
― 学校 ―
唯「ムギちゃん…」
紬「ふふっ、なあに?」
唯「私、あずにゃんの可愛さは異常だと思うの…」
紬「あらあら…♪」
唯「そして私はついにっ…!その秘密を解き明かしたのだよっ!!」
紬「まあ…凄いわ♪」
唯「あずにゃんは…なんとっ! 本当に猫さんだったのだーっ!!」
紬「ふふふっ、あらあらまあ♪」
唯「……ってもうーっ!!ムギちゃん、やっぱり最初から知ってたでしょー!?」
紬「ふふっ、ようやく気付いたのね?」
53:
唯「もうっ、知ってたんなら教えてくれても良かったじゃん!」
紬「唯ちゃん…これは二人の問題だもの」
紬「梓ちゃんが何も言わないのに、私が勝手に教えるわけにはいかないでしょう…?」
唯「ぶーっ、ぶーっ……」
紬「うふふっ…♪」
唯「………」
唯「………」
唯「………ねぇ」
紬「……ダメよ?」
唯「でもっ!! 私…このまま何も言えずにお別れするのが辛くて……」
紬「唯ちゃん……」
紬「これもルールなのよ……」
54:
…………
律「よーし、今日も練習すっかぁ!」
梓「発表会も間近に迫ってますしね!」
澪「今度のはいい出来になりそうだなっ!」
唯「私も頑張っちゃうよーっ!」
紬「うふふっ…♪」
ジジャーン!!…
澪「よし、バッチリだな……!」
律「おお、こりゃあ楽しみになって来たぞっ…!」
紬「そうねっ……」
唯「うんっ!………」
梓「はいっ………!」
55:
― 帰り道 ―
唯「あずにゃん……」
梓「唯先輩っ………」
――チュ…
唯「えへへっ……」
梓「………///」
梓「唯先輩………」
梓「どうして…行ってしまうんですか……?」
唯「…………」
唯「ごめんね、何も答えられないの……」
梓「唯先輩………」
梓(――こんなに、近くにいるのに………)
梓(――行かないでよ、唯先輩っ………)
56:
――ぎゅうぅ…
梓「唯先輩……」
唯「あずにゃん……」
……ペロッ!
梓「ひゃうっ!!?」
唯「あずにゃんの耳、可愛い…」
……ペロペロッ!
梓「ひゃあっ!? み、耳を舐めないで下さいっ!…///」
唯「あずにゃんっ……!」
……ペロペロペロッ!
57:
唯「首も…舐めさせてね?」
梓「ひゃうっ!? ゆ、唯先輩……それ以上やられたら、私…っ」
唯「あずにゃん……」
唯「あずにゃん可愛い………」
――ぎゅうぅ…
唯「あずにゃん……」
梓「…………」
唯「ごめんね……ごめんね……」ぽろぽろ
梓「……、唯先輩………」
…………
58:
シーン…‥シーン…‥
梓「唯先輩も、私の事を探していてくれた…」
梓「あの時の温もりを忘れずに、覚えていてくれた…」
梓「ずっと探していて、やっと会えて……」
梓「ようやく、想いを伝えられたのにッ……」
梓「どうしてっ……!」
梓「唯先輩……っ」ぽろぽろ
ブロロオォ……キキキーッ!!!
梓「えっ……?」
――ガシャンッ!……
59:
―『………ぃ』
―『………憂…』
―『………平沢 憂よ……』
―(なに……?)
―『全てに恵まれし子供よ…』
―『お前は、誰よりも優れ…何よりも強く…』
―『思うもの全てを為し、何よりも美しく……』
―(……違う。私は、何かがしたいわけではない……)
―(……何かがやりたいわけではないよ……)
―『平沢 憂………』
―『祝福を……才気溢れる子供に祝福を……』
―『望むものを与えよう…輝しき子供に、祝福をっ……』
―(だったらっ!私に――……)
60:
…………
憂「あの時以来か…」
憂「お姉ちゃん………」
憂「…………」
――RRRRR…
憂「はい、もしもし?」
憂「え…?梓ちゃんが…?」
…………
61:
―ヒュュォォォ……
紬「風が冷たいわね……」
唯「うん……」
紬「まるで肌に突き刺さるような寒さだわ……」
唯「…………」
唯「私は……いつ、帰って来れるんだろう……?」
――バタバタッ…
憂「お姉ちゃんっ!…」
唯「憂、どうしたの? そんなに慌てて…」
憂「梓ちゃんが………」
唯「えっ……?」
62:
憂「車に跳ねられて…」
憂「今、病院に運ばれたんだけど…なんだか様子がおかしいの!」
憂「薬が効かなくて…痛みも止まらないみたいで…」
憂「どうしたらいいのかわからず、お医者さんも頭を抱えているって……」
唯「………っ!」
バッ…!
紬「唯ちゃん、待って!」
唯「ムギちゃん、私…行かなくちゃっ!」
紬「唯ちゃん……」
唯「お願い、行かせてっ! ムギちゃん…!」
63:
紬「………」
紬「私は…いつでも唯ちゃんの味方よ…?」
紬「誰よりも…何よりも…神様よりも…… 唯ちゃんの事を大切にしているわ……」
紬「……いってらっしゃい………あとの事は任せてっ!!」
唯「……ムギちゃんっ……ありがとっ!……」
――バサッ……
紬「ふふっ…」
紬「仕方無いわねぇ…」
…………
65:
バサッ…バサッ…
唯「あずにゃんっ… あずにゃんっ…」
スルスル…しゅたっ!!
唯「…あずにゃんッ!!」
梓「………ぅぅ」
唯「………、あずにゃん……」
梓「……唯…先輩…?」
唯「……あずにゃんっ!!」
梓「唯先輩っ……私……」
唯「もう、大丈夫だから………!」ぽろぽろ
66:
――ぎゅうぅ……
唯「あずにゃん……」
梓「唯先輩………」
梓(あたたかい……)
梓(なんだろう……傷が癒えていくような……)
――ポワッ…
梓(痛みが消えていく……)
梓(唯先輩……)
67:
梓「……っ!?」
梓「唯先輩、羽がっ…!?」
唯「あっ……えへへー…」
梓「………」
梓「………」
梓「………、私――…」
梓「唯先輩が、何者なのか………わかった気がします……‥‥」
…………
68:
梓「――ええ、もう大丈夫です」
梓「――はい、ありがとうございました…」
バタンッ…
唯「どうだった?」
梓「お医者さん、ビックリしてました…」
唯「あははっ…♪」
梓「何より、私自身がビックリなんですけどね…」
梓「唯先輩………」
梓「先輩に、命を救われるのは、これで2度目ですね……」
唯「あずにゃん……」
梓「本当に、感謝しています……言葉では言い表せないぐらいに――」
69:
フラッ…
梓「……っと、」
唯「あずにゃん、まだ無理しちゃダメだよ?」
唯「しばらく…元の姿に戻っていた方がいいね……」
梓「え……?」
――ポワッ……
唯「今日一日だけは、その姿でいてね…?」
猫梓「にゃあ………」
70:
唯「ふふ、猫のあずにゃんも可愛い…」
梓猫「にゃあ……」
唯「おいで…!」
梓猫「にゃあっ…♪」
……♪
唯「るんるんっ♪…」
梓猫「にゃあっ……」
唯「猫さんとお散歩?♪ 猫さんとお散歩?♪」
梓猫「にゃあ………」
唯「あずにゃん、可愛い?っ♪」
唯「あっ、りっちゃんだ!」
唯「おーい、りっちゃーん!」
71:
律「よお、唯! …って何だその猫!?」
澪「唯!…って、肩に猫が乗っかってるし……」
唯「やっほーい!りっちゃん、澪ちゃんっ!」
唯「ふたりとも、どうしたのー?」
律「いや、なんか梓が事故ったみたいで…」
澪「それでお見舞いに行こうかと思ったんだが…」
唯「あずにゃんなら大丈夫だよ?っ!!」
梓猫「にゃあっ!」
律「…みたいだな。なんだかもう、病院にもいないみたいだし」
澪「まったく、人騒がせな…って本当になんだその猫っ!?」
梓猫「にゃあっ♪」
72:
律「唯にベッタリ懐いているぞ……」
澪「スゴイ……まるで唯に心を拠せているかのようだ…」
唯「えへへー…、この猫さんは私の大事な想い人なの!」
梓猫「にゃあっ!?…///」
律(えっ……猫が、照れている…??!)
澪(いや、猫が想い人って……)
唯「ふふふっ♪」
梓猫「にゃあっ♪…」
73:
……テクテクッ…
唯「ふふっ、あーずにゃんっ♪」
梓猫「にゃあっ……」
唯「二人とも、あずにゃんには気付かなかったね」
梓猫「にゃあにゃあっ…!」
唯「まあ猫さんだもんね、今は……」
梓猫「にゃあ………」
唯「…………」
唯「りっちゃんと澪ちゃんは仲が良いよねー…」
梓猫「にゃあ………」
唯「……あずにゃん、知ってる?」
梓「にゃ?……」
唯「あの二人、実は付き合っているんだよっ!」
梓「にゃ、にゃあぁっ!?……」
74:
唯「2人とも、子供の頃からの幼なじみでさー…」
唯「お互いに気持ちが通じ合ってるんだって」
唯「いいよねー、なんだかうらやましい…」
梓猫「にゃあ………」
唯「……でも、」
唯「私とあずにゃんの間にも負けないくらいの絆があるよねっ!」
梓猫「にゃあっ!……」
唯「あずにゃーんっ…♪」
梓猫「にゃあ、にゃあっ……!!」
75:
……テクテクッ…
唯「あっ、さわちゃんだ!」
さわ子「あら、唯ちゃん。こんばんわ!」
梓猫「にゃあっ!…」
さわ子「可愛い猫ちゃんね! 毛並みがとってもキレイ…!」
梓猫「にゃあ?…」
さわ子「……あんまり遅くならない内に帰るのよ?」
唯「は?いっ!……」
唯「…………」
トテトテッ………
76:
唯「さわちゃんも、昔はとっても美人さんだったみたいだね…」
梓猫「にゃあ……」
唯「いっぱいモテてたみたいだけど、結局今は独り身なんだって…」
梓猫「にゃあ?……」
唯「どこかで後悔とかしてるのかな……」
梓猫「にゃあ……」
唯「早く、良い人が見付かるといいね?…」
梓猫「にゃあっ!………」
78:
……テクテクッ…
唯「和ちゃん、やっほーい!」
和「唯っ!あんたこんな時間にまで……って、なにこの猫?」
梓猫「にゃあ!…」
和「わわっ、すごく懐いてるっ!…」
唯「ふふ、可愛いでしょ??」
梓猫「にゃあっ♪…」
和「はぁ?、まったくもぅ……。発表会が近いんでしょ? 早く家に帰りなさいっ!」
唯「ほいほ?いっ♪」
……トテトテッ…
79:
唯「和ちゃんは厳しいけれど、本当は私達の事ちゃんと心配してくれてるんだよ…?」
梓猫「にゃあ………」
唯「もうちょっと素直に、応援してくれてもいいのにな?」
梓猫「にゃあ?……」
唯「和ちゃんとも、結構長い付き合いだったなぁ…」
梓猫「にゃあ………」
唯「お別れするのは、辛いなぁ…」
梓猫「……。にゃあ?…」
……………
80:
― 桜の木 ―
唯「えいっ。」ドゴォッ!!
バサバサッ!…
ヒラヒラ…‥ヒラヒラ…‥
梓猫(……っ!!)
梓猫(すごい…桜の花々が一瞬で………)
梓猫(…って、こんな事したらかなりマズイんじゃ??!)
梓猫「にゃあっ!!……」
唯「いいんだよ‥」
唯「私はもう、あずにゃんを助けた時点でルールを破ってるからね……」
81:
梓猫「…………」
唯「そんな顔しないで?」
唯「大丈夫だよ…、私にはとっても力強い味方がいるんだからっ♪」
梓猫「にゃ、にゃあ…?」
唯「神様なんて怖くないよっ」
梓猫「にゃあ?…」
……………
82:
ヒラヒラ…‥ヒラヒラ…‥
唯「綺麗だね……」
梓猫「にゃあっ………」
ヒラヒラ…‥ヒラヒラ…‥
唯「このまま…時間が止まってしまえばいいのに……」
梓猫「にゃあ?………」
ヒラヒラ…‥ヒラヒラ…‥
唯「あずにゃん、ごめんね……」
唯「私はもうすぐ、行かなきゃ――………」
ヒラヒラ…… ヒラヒラ‥‥‥
83:
梓猫「にゃあ……っ、」
梓猫「にゃああ?!!………っ にゃあああ?っ………!!」
梓猫「にゃああ?………‥」
唯「あずにゃん………」
唯「……。あのね、あずにゃんに、お願いがあるの…」
梓猫「にゃぁ……?」
唯「憂の事、なんだけど…」
梓猫「にゃあ………」
唯「憂はきっと、独りでは耐えられないと思うの…」
唯「だからあずにゃんに、憂の事を支えててもらいたいの」
唯「私が帰るまでの間… 憂の事、見ててくれないかな?」
梓猫「………、、にゃあ?……」
84:
唯「あずにゃん……」ギュッ
梓猫「にゃあ?………」
唯「私はちゃんと帰ってくるから……」
梓猫「にゃあ……」
唯「………ねぇ、しっかり掴まっててね?」
梓猫「にゃ?……」
………っ
………バサッ..
梓猫「……っ!(翼がっ…!?)」
唯「行っくよ??……」
タンッ!…
バサッ……バサッ………
85:
…………??
梓猫(飛んでいる....)
梓猫(雲を… 突き抜けてゆくっ………!!)
――――………?ッ
唯「そぉ?れっ……!」
梓猫「………っ!!」
梓猫(これがっ……空の世界ッ………)
バサッ……バサッ……
86:
………
梓猫(青白く光る満月…)
梓猫(どこまでも透き通った彼方の空…)
梓猫(雲の海が泳いでいる…)
梓猫(静かで……ただ、風が強く鳴いている………)
バサッ……バサッ……
梓猫(星も、月も……)
梓猫(何も無いと……こんなにハッキリと輝いてるんだ…)
唯「…………」
唯「あずにゃん、私ね…」
唯「私は……半人前の天使なの…」
87:
梓猫「にゃあ?……」
唯「私は、一度帰らなくちゃいけないの……」
梓猫「………」
唯「ちゃんと、一人前になって帰ってくるから…」
梓猫「にゃあ………」
唯「しばらく、待っててね?……」
梓猫「にゃあ!………」
唯「ふふっ……」
唯「私、この世界に来れてよかった……」
唯「みんなに、出会えて……良かった!………」
……………
96:
憂「…………」
憂「お姉ちゃん………」
――ガチャッ..
唯「憂ぃ、ただいまー!」
梓猫「にゃあ!………」
憂「お姉ちゃん、おかえり?…って、どうしたの??その猫…」
憂「…………えっ?」
憂「…………」
憂「…………嘘っ…」
憂「………、梓ちゃん…なの?」
梓猫「にゃあ……っ!」
唯「……、憂には分かるんだね……」
97:
唯「憂は、本当に凄いなぁ……」
唯「なんでも出来て、とっても優秀で……」
唯「こんな事にも、気付くなんて………」
唯「私、憂にはいつもビックリだよ?……」
憂「……違う。そんなんじゃないよ!………」
憂「だって……梓ちゃんは!」
憂「私の、一番の親友だからっ!……」ぽろぽろ
唯「憂ぃ…」
唯「…………」
唯「私ね、もうすぐ行かなくちゃいけないの……」
98:
憂「………っ、ヤダ!」
憂「お姉ちゃん、行っちゃやだーっ!!」
唯「憂ぃ……」
唯「憂は、優秀だから…私が居なかったら、きっと…何でも出来るよ?…」
憂「…………っ」
憂「やめてよっ……!そんな言い方しないでよっ……!」
憂「私は、いつも言ってるでしょ…?」
憂「私は何もいらない…何も望まない…」
憂「ただ、お姉ちゃんが居てくれたらそれでいいって……!」
唯「憂ぃ………」
憂「初めて会った、あの時から――…!!」
99:
―『…以上が神様からの伝言です。』
―『あなたの望むものを叶えて差し上げろ、との事…。』
―『ねえ、何で君はそんなに恵まれるのに、泣いているの?』
―『そんなに才能に溢れているのに、どうしてそんなに悲しい顔をしているの…?』
――私は、何かがしたいわけじゃないよ……
―『…望むものを与えろ、との事。何か欲しいものはないの…?』
――だったら、天使さんが欲しいなっ!
―『ほえ……?』
――うんっ!!
―『――わ、私ぃ…?!』
100:
――ダメかなぁ…?
―『…む、無理だよぅ。』
――私はべつに何もいらないから、天使さんが欲しいな…。
―『で、でも私…この世界の事よく分からないし……』
――私が全部面倒見てあげるから!
――だから天使さん、私のお姉ちゃんになってください!!
―『う、う?ん……』
―『わ、わかったよぅ……』
101:
――天使さんっ、天使さんっ!!
――これ作ったの、食べてみてっ!
―『わぁ?、憂の作ってくれるご飯は美味しいなぁ?』
――天使さんっ、天使さんっ! コレ一緒に食べようっ!
―『わっ!何これ、冷たくて美味しい?!!』
――天使さんっ!天使さんっ!
――あのねっ、あのねっ!……
―『もぅ、憂ったら…』
―『私たち、姉妹になったんだから…これからはお姉ちゃんって呼んで…?』
――うんっ、お姉ちゃん…?
――お姉ちゃんっ……!お姉ちゃんっ……!
憂「お姉ちゃんっ…!」ぽろぽろ
102:
憂「お願い…………」
憂「何処にも行かないで………」
憂「お姉ちゃん……っ!!」ぽろぽろ
唯「……憂ぃ」
唯(こんなに何でも出来る子が…)
唯(こんなに才能に溢れた子が…)
唯(望んだものが…ただ、人の温もりだったなんて………)
唯「憂ぃ…っ!」ギュッ
唯「今日は一緒に眠ろう…?」
唯「朝まで……ぎゅってしてあげるからっ!」ぽろぽろ
梓猫「にゃあ……!」
唯「うん…、あずにゃんも一緒に、ね…?」
……
103:
………
唯「憂ぃ……」
唯「私、ちゃんと帰ってくるから…」
憂「お姉ちゃん……」
唯「あずにゃんと、一緒に待っててくれる…?」
憂「えっ………」
唯「一人じゃない………、二人で……帰りを待っててほしいの……」
憂「お姉ちゃん………」
唯「大丈夫、私は必ず帰って来るから――」
憂「うん………」
唯「帰って来たら、3人で暮らそうよ?…」
憂「うんっ………」
唯「約束、だからね?……」
………
142:
― 発表会 …
律「よ?し、行くぞ!みんなっ」
梓「はいっ……!」
澪「絶対に成功させようなっ…!」
紬「あれだけ練習したんだもの…ね、唯ちゃん?」
唯「うん、いっくよ?!!」
――タンッ♪
――♪♪―――♪♪♪
――♪♪♪…
143:
……沢山の事があった...
……色んな事を知った...
――♪♪♪――♪♪
……音が混じり合う...
……みんなの音が重なり合う...
……様々な想い出が溢れてくる...
――♪♪♪―――♪♪
……私、この世界に来れて良かったよ...
……みんなに出会えて良かったよ...
……けいおん部に入れて、良かったよ...
唯「みんな……ありがとう………っ!!」
144:
………
律「みんなお疲れーっ」
澪「大成功だったなっ!」
唯「………」
和「あんたたち凄いじゃない、観客も騒いでたわよ!」
憂「………」
紬「そろそろ、か………」
さわ子「いやー、私も聞いててなんだか感動しちゃって……ってあれ?どうしたの??」
梓「………」
唯「……、私……」
唯「そろそろ行かなくちゃいけないの…」
145:
律「行くってドコにだ…?」
澪「何か寄る処でもあるのか…?」
唯「ううん……」
唯「私は、帰らなくちゃいけないの……」
さわ子「どういう事…?」
憂「お姉ちゃん!!」ガバッ
憂「必ず、帰ってきて…」
梓「……先輩…」
梓「私…、ずっと待ってますから…」
梓「ずっと、ずっと…待ってますから……!」ぽろぽろ
唯「憂……、あずにゃん………」
唯「みんな、ありがとぅ………!」
146:
和「……ッ! 唯…あんた、翼がっ?!」
律「……えっ、どういう事?」
澪「……唯、本当に行ってしまうのか……?」
紬「唯ちゃん……私はここで待ってるわ」
紬「みんなと一緒に、此処で唯ちゃんの帰りを待ってるからっ…」
唯「うん……!」
唯「みんな…私、けいおん部に入れて良かったよ!」
唯「また、一緒に演奏しようねっ!」
唯「バイバイっ……!」
憂「………っ」
憂「お姉ちゃんーーっっ…………!!!」
147:
梓「…………先輩…」
律「……行ってしまった……」
澪「唯って、天使だったのか……?」
憂「………うぅ…グスッ」
梓「………、憂…」
梓「一緒に、唯先輩の帰りを待ってよう…?」
梓「先輩は……必ず帰って来るから……」
紬「………憂ちゃん…」
紬「一緒に、けいおん部に入らない?」
律「おぅ、唯の残していったギー太もあるぜっ!」
澪「………みんなで唯のために一曲、作ろうか」
憂「紬さん、律さん、澪さん……」
憂「……はいっ……」
148:
梓「唯先輩………」
梓「ありがとう………」
梓「私、待ってますからね…………?」
梓「ずっと、ずっと……………」
おしまいっ!
151:
保守すまんかった
あと前回の事は本当にごめんなさい
これからはちゃんと時間ある時にスレ立てるようにします
ありがとうです
149:

156:
絵本みたいでよかったよ
二回読み返した作品はひさしぶりだ

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