魔王「はぁー、もうやだなーこの仕事……」back

魔王「はぁー、もうやだなーこの仕事……」


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1:
魔王「んー……」
部下「魔王さま、ご報告です」
魔王「おお、なんか進展あったっ?」
部下「はい、勇者一行がアキバの森を出ました」
魔王「……」
部下「魔王さま? どうされたのですか、御顔色が優れませんよ?」
魔王「アキバの森ってさ……確か勇者の町から二番目のとこだよね」
部下「あ、はい。その通りです」
魔王「はあーーっ」
部下「溜め息などつかれてどうしたのですか」
魔王「だってさ、勇者たちがここまで来るのにかなり時間かかるじゃん」
部下「はい、最低でも三年ほどは」
3:
魔王「待てねえーっ! 僕ぜったい待てないよ、それ」
部下「しかしそう言われましても。勇者がいるからこその魔王ですし」
部下「お暇でおありでしたら、近くの町でも襲ってみたら如何ですか」
魔王「弱い者虐めは嫌い……」
部下「はぁ」
魔王「戦力差がありすぎなんだよ、あれ。こないだ魔光線出したら跡形もなかったよ……」
部下「では力を抑えればよいのです」
魔王「それもダメなんだよなあ。一人ずつ殺すのってさ、心痛むじゃん?」
部下「……」
魔王「目の前の子供とかさ、ああいうの殺すのちょっとね、見るに耐えないってか」
部下「しかし」
魔王「君の言いたいことは分かるよ。魔王なんだからそれぐらい非道でいろってことでしょ?」
5:
部下「はいその通りです。魔王たるもの人間から恐怖される存在でないと」
魔王「恐怖ね……なんかそれも曖昧だよなあー」
部下「魔王さま」
魔王「勇者が来ればいいんだよ。さっさとここにね」
魔王「でもさ、ここ百年を思い出してみてよ。ここに辿り着いた勇者ってさ……」
部下「ほとんどいらっしゃらなかったですね」
魔王「そうなんだよ……。残念なことに大半がここにすら辿り着けないんだよ」
部下「ですが、三組ほどは何とか」
魔王「この城の最上階に着いた時にはHP27って何だよ」
部下「はい」
魔王「低いよ、低過ぎるよ! 回復アイテム持とうよ!」
部下「恐らくですが……」
6:
部下「実力を或る程度お持ちの方は、自尊心が強すぎるのではないでしょうか」
魔王「もうそれは本末転倒だよね」
部下「はい、勇者の目的は魔王を倒すことですから」
魔王「卑怯な手を使いたくないって気持ちも分かるけどさ……」
魔王「パンチ一発で戦闘不能とか……もうね、あれだよ」
部下「やりがいがない?」
魔王「うん、もう俺いなくていいじゃん」
部下「……魔王さま、それは」
魔王「はぁー、もうやだなーこの仕事……」
部下「そういわず」
魔王「飽きるってかね、そもそも退屈なんだ」
部下「……」
魔王「よし」
7:
部下「どうされましたか?」
魔王「いい、僕はもう決めたよ」
魔王「悪魔のユキちゃん呼んできて、お願い」
部下「ユキ様ですか。しかし彼女は今魔界を治めていらっしゃいますよ」
魔王「でもね、もう僕は決めたんだ」
部下「魔王さまがユキ様に魔界を託して、まだ数年足らず」
部下「今が一番忙しい時期だと思われますが、それでもお呼びしますか」
魔王「うん、彼女には悪いけど、なりふり構ってられない」
部下「分かりました」
……………。
……………。
10:
悪魔「うわあー魔王さま、ひさしぶりー」
魔王「ホント久しぶりだね、ユキちゃん」
部下「こほん」
魔王「あっ、ええと忙しいとこホントごめんね、僕の勝手ですまないよ」
悪魔「もー魔王さま、謝らないで下さいよー」
悪魔「ユキは魔王さまがお呼びならいつでもすぐに駆けつけますから、ね?」
魔王「はは、ユキちゃんは可愛いね」
悪魔「もうっ、すぐそうやっておだてるんだからっ!」
部下「それで忙しいユキ様をお呼びしたご理由はお話にならないのですか」
魔王「あーそうだったね」
11:
魔王「そろそろ本題に入らないと。ねー、ユキちゃん」
悪魔「はい、何ですか魔王さまっ」
魔王「僕の代わりに……」
魔王「──『魔王』にならないか?」
部下「なっ──」
悪魔「えええええ!? でもそれって……」
13:
部下「なりません魔王さま。幾ら退屈だからといってユキ様に押し付けては」
魔王「えーダメかな……?」
部下「そんなねだるような目をしてもダメです」
魔王「……」
部下「ダメです」
魔王「ちっ……カレハには全然聞かないや」
悪魔「でも、魔王さまっ」
魔王「なんだい? 僕が望むような返事だと嬉しいな」
悪魔「はは、いや私はいいんですけど……」
魔王「ん?」
悪魔「順当にいけば……次の魔王はカレハさんじゃないんですか?」
部下「え、私ですか」
15:
悪魔「だって、今までずっと魔王さんに仕えていたんですよ」
悪魔「実力だって、他の魔族を寄せつけないほどあるじゃないですか」
部下「それは贔屓目すぎます」
悪魔「しかも私だって勝てそうもないですし……」
魔王「でもね、カレハはだめだよ」
悪魔「え? 何でですか?」
魔王「カレハは一生僕の側にいてくれないと。これは確定事項だよ」
部下「……」
部下「……魔王さま」
悪魔「あー……もう、熱々だなあー、ふふ」
魔王「えっ、冬だよ今。かなり寒いと思うけど……」
部下「魔王さまは少し黙ってて下さい」
魔王「うーん、なんか理不尽だなあ」
悪魔「……」
16:
悪魔「よしっ!」
悪魔「そんな魔王さまに吉報をお届けだよー」
魔王「えっ?」
悪魔「悪魔序列第二位のユキ、お申し出をお受け致します」
部下「あー……」
魔王「え、嘘……じゃないよね……?」
悪魔「私は魔王さまに嘘なんかつかないよー」
悪魔「魔界とこっち、両方とも何とか頑張る」
部下「しかしユキ様、それではあなたの体が持ちません」
悪魔「そうかなー、こっちの仕事はほとんどないに等しいような……」
魔王「そ、そうだよっ! ここ二十年なんてずーっとぼーっとしてるだけだったからさ!」
悪魔「うっ、それはそれで嫌だね……」
部下「私はまだ納得できません」
18:
魔王「な、なんでだよ! 今回はご好意に甘えさせてもらおうよっ!」
魔王「今回のチャンス逃したら! あと数百年もこれを続けないといけないと思うと……」
魔王「──僕は退屈で死んでしまうっ!!」
悪魔「必死だね……」
部下「必死ですね」
魔王「頼むよ、カレハ……。もう僕は限界なんだ……」
部下「……」
部下「まあー……仕方ないですね」
悪魔「それじゃー!」
魔王「やったああああああああ!! ついにこの糞ったれの職ともお別れだぜベイビー!!」
魔王「俺のケツにキスしなゴラアアア!! うっひょーーーーーーーいっ」
部下「キャラ崩壊を起すほど嫌だったんですね」
悪魔「嫌だったんだろうね……」
……………。
……………。
20:
魔王「勢い余って城を出て来てしまったわけだけど」
魔王「結局何やろうか決めてなかった……」
部下「魔王さまはいつも肝心なとこが抜けてますよね」
魔王「うぅ……反論できない……」
魔王「あっそれと、もう僕魔王じゃないよ」
部下「私の中では魔王さまは常に魔王さまです」
部下「どんなに不細工になってしまわれようと、下衆の如き体臭を発せようとも」
部下「いつまでも私の魔王さまです」
魔王「……なんか喩えがひどいね、喩えが。とりあえず、ありがとう……」
21:
部下「もったいなきお言葉」
魔王「ふむ……部下との深い絆を確かめたところで──」
部下「とりあえず、人がいるところまで歩いて行きましょうか」
魔王「おお、い、今僕もまさにそれを考えてたよ!」
部下「はい、では早向かいましょう」
魔王「ふはっ、なんかピクニックみたいだね。久しぶりに盛り上がって来たああ!」
……………。
……………。
26:
魔王「……ねぇ」
部下「はい」
魔王「あれってさ……」
部下「人ですね」
魔王「でも……死んでない?」
部下「いやよく見ると……あれは生きたご老体です」
魔王「ご遺体?」
部下「歳をかなりお取りになった人間です」
魔王「ああ、ジジイね」
部下「……はい、まーそうともいいます」
27:
魔王「おいジジイ」
部下「ま、魔王さま。そんな乱暴に扱っては……」
老人「……うぅ……」
魔王「ジジイ起きろー」
ビシビシ。
老人「うぅ……痛い……痛い……」
部下「ちょっ、ちょっと魔王さま、あまりにもひどいと思います」
魔王「えーだって時には鬼畜になったほうがいいって」
部下「もう魔王の職は捨てたのですから、こういう時ぐらい融通を」
魔王「仕方ない」
老人「な、なんなんじゃお主らは……?」
魔王「あっジジイ起きた」
老人「くぅ……老人を労ることも出来んのか! この最近の若者がっ!」
魔王「……」
28:
魔王(ねぇカレハ)
部下(はい魔王さま、急にテレパシーを使ってどうしたのですか)
魔王(あのジジイ、僕たちのこと最近の若者だってよ)
部下(はあ、それが何か)
魔王(何かって、僕たちはもう既に何千年も生きてるんだよ!)
魔王(あのジジイがバブバブ言ってた時だって……)
部下(六、七十年前ぐらいですから、魔王さまがジオラマ製作に嵌ってた時ですね)
魔王(よ、余計なこと覚えてるねキミ……)
部下(はっ、お褒めの言葉ありがとうございます)
魔王(別に褒めてないよ……)
老人「おいこらっ! 儂の話を聞かんかっ!」
29:
魔王(あーもう人が会話してるときにーっ)
部下(とりあえず、口で喋りましょう)
魔王「了解」
老人「うおっ……なんじゃ、何がぁ了解なんじゃ?」
魔王「あーもううっせえジジイだな、死なないかな」
部下「魔王さま、既にテレパシーは終わってます」
魔王「うわ、間違えた」
老人「くぅっーーなんじゃこのあほんだらがあーーっ!!」
魔王「うおぉ、ジジイきれんな落ち着いて」
31:
老人「なんちゅー礼儀をしらんやつらだ」
部下「いや、本当に申し訳ありません」
老人「……ほう、そっちは中々出来るじゃないか」
魔王「おいジジイ、変な目で僕のカレンを見るなよ」
魔王「少しでも色情を感じたら、文字通り『この世から消してやる』」
老人「……こっちはまったくもってダメじゃな」
……………。
……………。
32:
老人「なんちゅー礼儀をしらんやつらだ」
部下「いや、本当に申し訳ありません」
老人「……ほう、そっちは中々出来るじゃないか」
魔王「おいジジイ、変な目で僕のカレンを見るなよ」
魔王「少しでも色情を感じたら、文字通り『この世から消してやる』」
老人「……こっちはまったくもってダメじゃな」
……………。
……………。
36:
部下「それで、お孫さんが家出を」
老人「そうなんじゃ、昨日の夜から探しとったんじゃが」
老人「どうもこの歳じゃうまい具合に体を動かせんでのう……」
魔王「それで力尽きて、道端で倒れてたわけか」
老人「ふむ……なんとも恥ずかしい限りじゃ……」
魔王「お孫さん、今頃どうしてるかね」
老人「……」
魔王「一人で飛び出したんだもんね、今時家出って流行らないけどさ」
老人「あの子は……両親がいないからのぉ」
老人「いつも一人で寂しい思いをしとったんじゃろ……」
老人「儂はわかっていながらも……なーんの助けにもなれんかったぁ……」
魔王「……ジジイ」
37:
老人「そんなジジイに愛想つかして行っちまったのかもしれんなぁ……」
老人「ふぉふぉっ……自分が惨めよのぉ……」
魔王「……」
部下「魔王さま……?」
魔王「……」
部下「……」
魔王(……カレハ)
部下(はい、おっしゃりたいことは分かります)
魔王(……僕は──)
部下(もう、魔王ではありません)
魔王(ん、その言葉が聞きたかった)
38:
老人「なんじゃ、二人とも急に黙りこくって……」
魔王「ふははははっ!」
老人「と思ったら、今度は声高に笑いよったわ……。心臓に悪いのぉ……」
部下「本当にご苦労をおかけします……」
老人「おうおう、そんなことで頭を下げなさんな」
魔王「ふははは聞いて驚け、クソジジイッ!」
老人「……」
部下「悪気はないので……」
老人「ふぉふぉっ……もうこやつの無礼さには馴れたわ」
39:
老人「で、お主は何をもって儂を驚かせるというんじゃ?」
魔王「よくぞ、聞いてくれたよ」
魔王「いいか……」
魔王「──僕があんたの孫を探してきてやるっ!」
……………。
……………。
56:
魔王「……」
部下「さて魔王さま、如何致しましょうか」
魔王「うぅー、いやーそのぉー……」
部下「まさか、何の計画もないのにあれだけ豪語なされたわけではありませんよね?」
魔王「……」
部下「『僕があんたの孫を探してきてやるっ!』」
魔王「ま、真似するのやめてよっ」
部下「はぁ、しかしお爺さまを安心させてしまいましたよ」
部下「今から『やっぱ嘘でしたー』なんて言えるはずもないですし……」
魔王「……うぅ」
魔王「か、カレハ、頼むよっ!」
部下「……」
57:
魔王「お、お願いっ! 今回だけだからさ……あの助言を、ねっ?」
部下「しかし、魔王さまは『僕が探してきてやる』とおっしゃいました」
魔王「僕たちでっ! じ、ジジイの孫を探そうっ?」
部下「……」
部下「……はぁ分かりました」
魔王「じゃ、じゃあっ!」
部下「そーですね、ではまず……」
魔王「うん、この辺から探す? 僕探しもの見つけるの得意だよっ!」
部下「いえ、闇雲に探したところで成果は見込めません」
部下「大きな街で聞き込み調査を行いましょう」
……………。
59:
魔王「うわぁー結構、人がいるね」
部下「かつてはこの街、国の中心部の近くでしたからね」
魔王「え、じゃあ昔この辺に国王が住んでたってわけ?」
部下「人間からすれば、かなり前のことです。今からそう、数百年ぐらい前ですね」
魔王「じゃー僕があそこにお城を立てたぐらいかな……」
部下「時期的には被ります」
魔王「ふーん……何だか悪いことしたなあ」
部下「……」
魔王「あっ……あの辺がいいんじゃない?」
60:
部下「ん? あれは……居酒屋でしょうか?」
魔王「いざかや?」
部下「はい、人間たちがアルコールもとい酒を摂取するための娯楽店です」
魔王「お酒かぁー人間あれ大好きだよね」
部下「成人男性になるとその傾向は大いにみられます」
魔王「飲んだところで自分の脆い体を壊すだけなのに、人間はホント馬鹿だなあー」
部下「節度も守れば、お酒もよいものとなるでしょう」
魔王「守れればね」
部下「はい……では、あそこで聞き込みを行いましょうか」
魔王「うん、そうしよっ」
……………。
65:
カラン。
魔王「うっ、くっさ……」
部下「魔王さまお口に出ております。失礼ですよ」
魔王「なんて匂いだ……ここで息吸うだけで酔っちゃいそうだよ……」
部下「魔王さまは完全に下戸ですもんね」
魔王「う、うるさいよっ! 僕だって訓練をつめば大丈夫なはずさっ!」
部下「あっ、あのカウンターの席に座りましょう」
魔王「うぅ無視か……最近カレハが冷たい……」
部下「いいからさっさと座りましょう」
部下「ドアの前で突っ立ているせいで、周りから注目を集めていますよ」
客達「………」
魔王「………み、みんな目怖いよ……」
66:
マスター「へい、そこのお二人さん」
魔王「え、ぼくたち?」
マスター「いいからほら、こっち座りなっ」
パンパン。
部下「魔王さま」
魔王「はいはい、カウンターの席に座ればいいんでしょ」
マスター「うしっ二人とも座ったな……と」
マスター「あれ……? 二人とも見かけない顔だね」
魔王「当然だ。初対面なのに馴れ馴れし……」
部下「──この街に訪れたのは初めてなんです」
魔王(カレハっ! 僕の発言に被ってるよっ!)
部下(ここは私にお任せ下さい。いらぬ敵はお作りならないほうが良いです)
67:
魔王(なんで僕が喋ると敵になるんだよぉ……)
部下(あと数百年経てばきっとお分かりに)
魔王(遠いよっ!)
魔王(でも、黙ってたら逆に怒られないかな……)
部下(でしたら、会話を振られたときは適当に同意の返事をして下さい)
魔王(……先行き不安だけど、フォロー頼んだよ)
部下(はい分かりました)
マスター「おいどうした、二人とも静かになっちまって」
部下「すみません、注文を何にしようか迷っておりました」
マスター「はは、それなら俺に任せてくれ」
部下「お願いできますか」
68:
マスター「おう、んー……綺麗なお嬢さんのほうはキツいのいけそうだな」
マスター「こっちのお前さんは……」
部下「あの」
マスター「ん、どうした? 強いのは無理か?」
部下「いえ私はいいのですが……連れはてんでダメでして」
マスター「……なんだあー? こいつ下戸か?」
部下「はい」
マスター「ちっ……男のくせにだらしねーなーお前」
魔王「おっしゃる通り」
マスター「なんだよ……素直に認めてらぁー……」
部下「純粋だけが取り柄でして」
69:
マスター「ふんっ、そうは言ってもなあー」
マスター「こういうやつは今でもママンのおっぱいが恋しいんだよ」
魔王「その通りだ」
マスター「うはっ! 今時マザコンか」
部下「甘やかされて育てられたもので……」
マスター「くぅー情けない話だねぇっ! 竿がねぇ男か、お前さんはっ!」
魔王「まさしくその通りだっ!」
マスター「……」
部下「あっ、ええと、連れはあっちのほうに毛がありまして」
マスター「あぁ……そういうことか、なんか悪いことしたなぁ……」
70:
魔王(ねぇ、カレハ)
部下(はい何でしょう魔王さま)
魔王(とりあえず同意しといたけど……竿って何?)
部下(……)
部下(竿がない……つまり、芯が通ってないということだと思います)
魔王(ふーん……よく分からないなぁ)
部下(……)
71:
マスター「ま、まあ話を変えようやっ」
マスター「それでお二人さんは何でこの街にやってきたんだい?」
部下「実は……」
部下「私たちは、あるご老人のお孫さんの行方を探しにやってきたのです」
マスター「……」
部下「どうかされましたか?」
マスター「あ、ああ……いや、最近この街でも似たようなことがあってな……」
部下「はぁ、それはどんなことでしょうか」
マスター「よそ者に教えると後で俺がとばっちりうけるからよぉ……」
マスター「……一度しか言わねえぞ」
部下「はい」
72:
マスター「実は……つい先日、うちの街でも一人女の子がいなくなったんよ……」
部下「……」
マスター「噂によるとな……近くの村じゃすでに頻繁に起こってるんだって」
部下「……児童誘拐」
マスター「おう……だからな、最近は俺達も戦々恐々ってわけさ……」
部下「……」
部下(魔王さま)
魔王(んー……なんか進展あったー?)
部下(どうやらお爺さまのお孫さん、誘拐されたみたいです)
魔王(へっ? 誘拐?)
部下(はい、この街でも少女が一人いなくなったそうです)
魔王(……)
73:
部下(近辺の村でも起こっているようなので、信憑性は高いと思われます)
魔王(……そうか、悪い方向に進展してしまったね)
部下(そうですね……お孫さん、ご無事だと良いのですが)
魔王(……今はただ、祈るしかないね……)
部下「マスター」
マスター「ん……なんか、参考になったか」
部下「はい、貴重な情報ありがとうございます」
部下「では私たちはこれで」
マスター「おう、見つかるといいな、そのお子さん」
部下「……そうですね」
カラン。
男たち「…………」
……………。
……………。
74:
……………。
………。
こうして、魔王と部下は何とかジジイの孫を見つけることが出来ました。
いや、めでたしめでたし。
俺達の戦いはまだまだ続くぜっ! イヤッフーっ!
END
75:
投げるなw
81:
トコトコトコ。
魔王「しかしなあ……」
部下「どうしましたか」
魔王「こうなっちゃうと僕たちの出番はないんじゃないかな」
トコトコトコ。
部下「確かに手助けって感じではなくなりましたね」
魔王「誘拐って凶悪犯罪でしょ……? さてどうしたものか……」
魔王「でもなー……ジジイ悲しむと思うよなあ」
部下「とりあえず──」
魔王「ん?」
82:
トコトコトコ。
部下(さきほどから付けてきている輩を何とかしましょう)
魔王(えー……あれやっぱ僕たちが目当てなの?)
部下(恐らく)
魔王(はぁ……面倒だなあ)
トコトコ……ト……コ……。
男たち「?」
男A「お、おいっ!」
男B「ん、どうした?」
男C「あの二人が…………消えた」
男B「ヘ?」
84:
男B「ヘ?」
男A「そ、そうなんだよっ! 目の前からぱっと……」
魔王「──ねぇ、君たち僕らになんのよう?」
男たち「うわああああああああっ!!」
魔王「あーもう、うるさいなあ……いっそ殺そうかな」
部下「その場のノリだけでお決めにならないでださい」
魔王「はは、冗談だよじょ、う、だ、ん」
部下「……」
男A「な、なんだお前らっ! どうやって俺たちの背後に回った!」
男C「そうだそうだっ! きっちり見張ってたんだぞっ!」
魔王「簡単だよ簡単。テレポートだよ」
男B「てれぼーと?」
85:
男A「そんなこと言って俺たちを馬鹿にしてんのかっ!」
男C「だから中央の奴らは嫌いなんだ……人を遙か下にみやがって……」
魔王「中央?」
部下(魔王さま)
部下(彼らはどうやら、私たちを国から派遣された者と誤解しているようです)
魔王(あーだから中央ってことね。でもね、何でだろ?)
部下(それはまだ判断しかねます)
魔王(んーじゃあ、様子を見ようか)
部下(はい)
87:
男A「おい、黙ってないで何とか言ったらどうなんだっ!」
魔王「いかにもっ! 我々は国王から直々に派遣された者であるっ!」
男たち「なっ……!!」
男B「くっ、やはりそうかっ!」
男C「居酒屋での話を耳にしてまさかとは思ったが! くそっ!」
部下「どうして私たちを追いかけたりするのです」
魔王「そうだ、理由を言え」
男A「へっ! そんなの決まってるじゃねえかっ!」
男A「最近の物騒な事件を調査しにきたんだろっ?」
部下「……」
部下「その通りです」
88:
男B「じゃあ、お前さんらをこれ以上この街に留めておく訳にはいかねぇ」
男C「お二人には悪いが、ここで潰させてもうよ」
部下(魔王さま)
魔王(うん、分かってる)
部下「お待ちなさい。なぜ、調査を拒むのです」
部下「まさか、貴方たちが誘拐の犯人」
魔王「……」
男A「はっ? ……犯人?」
男B「ちげぇよっ! なわけねぇだろっ!」
男C「自分とこの街の娘を誘拐するメリットなんてないっ!」
魔王「じゃあ、一体なんなんだ?」
魔王「返答によっては、こっちも対応を変えるぞ」
男A「……くっ、なんて威圧感だ」
89:
男B「お、お前さんらは最近の事件を調査しにきたんだろ……?」
部下「そうです」
男B「それでまた俺たちに難癖つけて……重税をかけるつもりだろうっ!?」
男C「ただでさえ……こんな不況なのに、もうこれ以上の圧政はこりごりだっ!!」
魔王「……」
部下「……そういうことですか」
魔王「へっ? 僕分かんないだけど……」
部下「ええとですね、簡単に説明すると……」
男A「今だっ! かかれっ!」
男たち「おらああーーっ!!」
91:
魔王「《吹っ飛べ》」
バカンっ!
男たち「ふごぉっ!」
部下「……」
魔王「それで?」
部下「……いえ、既に問題は解決されました」
魔王「ふーん、ならいいけど」
部下「……あの人たち、死んでないといいです」
魔王「まー加減したからきっと大丈夫だよ」
?「……あの」
部下「……え?」
92:
婦人「……誘拐事件の調査の方ですか?」
部下(どうします?)
魔王(うん、手っ取り早いしこのまま装おう)
部下(分かりました)
婦人「?」
部下「はい、おっしゃる通りです」
婦人「あっほんとですかっ!! あー……良かったぁーっ」
部下「はぁ、それであなた様は一体どのようなご用件でしょうか?」
婦人「し、失礼しましたっ。わ、私……」
婦人「──この街でさらわれた娘の……母親です」
……………。
……………。
96:
婦人「確かあの日、娘のアキは──」
婦人「いつものように近所のユリカちゃんと遊びに出かけていました」
婦人「『夕方には戻るよ』」
婦人「そう言った出て行った私の娘は、日が暮れても一向に帰ってはきませんでした」
婦人「はじめは、時にそういうこともあるのだ、と安心していた私でしたが」
婦人「夕飯を用意し、食卓に並び終えても、今だ帰ってくる気配すらなく……」
婦人「私もそろそろおかしいのだと気付き始めました……」
婦人「主人とともにユリカちゃんの家へ向かい」
婦人「彼女の両親から彼女自身もまだ帰ってきてないことを告げられます」
婦人「誰もが……」
婦人「最悪の事態を考え始めたとき……」
97:
婦人「遠くから、駆けるような足音が聞こえてきました」
婦人「まさか……私の中で一つの期待が沸き起こったのもつかの間……」
婦人「目を真っ赤に腫らし、泣きじゃくるユリカちゃんがそこにいました……」
婦人「私の……愛娘は……アキは……」
婦人「──いませんでした」
婦人「帰って来たのはユリカちゃん一人」
婦人「……」
婦人「それが……私が知る限りの事の詳細です……」
……………。
……………。
98:
部下「何とか、ユリカちゃんにお会い出来ないでしょうか」
ユリカ父「だめだだめだ!」
ユリカ母「まだあの娘は心に傷を負ってるんです……」
部下「……」
ユリカ父「一言も口を聞くこともできん」
ユリカ父「食事もろくに喉を通らんし……このままだと衰弱してしまう」
部下「ですが……」
ユリカ母「アキちゃんの件は私もお気の毒だと思います……」
ユリカ母「娘が今、あんな状態じゃなければ本当に協力してあげたい……」
ユリカ母「でも……」
99:
ユリカ母「このままだとうちの娘は、完全に壊れてしまいそうなんです……」
魔王「壊れる?」
ユリカ父「言葉も喋れん、食事も取れん、睡眠も取れん……」
ユリカ父「これが正常の人間だと言えるかね?」
魔王「……」
ユリカ父「分かってくれたなら、そろそろ勘弁してくれ……」
ユリカ母「どうかお願いします……娘のために……」
……………。
100:
魔王「……」
部下「……」
魔王「埒があかないね」
部下「そうですね……あれは──」
魔王「彼らもまた娘のことで頭がいっぱいなんだろう」
部下「しかし……」
魔王「一刻の猶予もない」
部下「私たちが調査に乗り出していることは、既に街中に広がっているはずです」
部下「それを聞いた犯人たちは……恐らく」
魔王「早めに片を付けるだろうね」
魔王「あー……失敗しちゃったかなあ……」
部下「……」
101:
魔王「何とか彼女から事件の様子を聞けたらなあ……」
部下「……」
魔王「無理矢理聞き出す……ってのはダメか……」
魔王「乗り込んでも彼女が喋れなかったら意味ないよね……」
部下「……魔王さま」
魔王「ん? なんかいい方法思いついた?」
部下「……一つ」
部下「私に思うところがあります」
魔王「……何?」
部下「──夢魔」
魔王「……」
102:
魔王「……うぇー……それやだよぉ……」
部下「しかし解決するには彼女の手をかりませんと」
魔王「やだやだやだやだああああーっ!」
部下「……」
魔王「ぜったいやだよ」
部下「……」
魔王「うぅ……ダメだって……」
部下「……」
魔王「ぼ、ぼくは魔王なんだぞっ! そんな目をしてもダメだよっ」
部下「……」
魔王「……」
部下「……魔王さま」
魔王「くすん……分かったよ……」
……………。
105:
?「あら魔王、お久しぶり♪」
魔王「……」
夢魔「ふふ、何よこの子ったら……恥ずかしがっちゃって」
夢魔「そんなに私のおっぱいが恋しかったの?」
夢魔「しょうがないわねー……」
夢魔「ほらっ、はみはみしてあげるから機嫌直してっ」
むにゅ。
魔王「──ね、姉さんっ!」
夢魔「ふふ、やっぱり返事してくれた♪」
魔王「や、止めてくれっ! それ、それだめっ!」
夢魔「そういう割には……ほら」
魔王「うぅ……これは生理現象だってっ!」
106:
部下「はぁー……」
部下「メサさん……そのへんで……」
夢魔「あーら、カレハさん。お久しぶり」
部下「はぁ」
夢魔「あまりにも影が薄くて気が付かなかったわ」
部下「……」
魔王「や、やめなって姉さんっ! カレハもマジに取らないでよっ!」
部下「別に私は大丈夫ですが……」
夢魔「『が』なによ」
部下「メサさんはまだ言い足りないんじゃないでしょうか」
魔王「そ、そんなことないよねっ姉さん?」
夢魔「……」
夢魔「ふん、別にもう良いわよ」
夢魔「いまさらあんたにどうこういうつもりはないわ」
部下「……」
107:
夢魔「──で、私を呼び出した理由」
魔王「あ、うん」
夢魔「愛しの姉に久しぶりに会いたくなった……てわけじゃないみたいね」
魔王「ごめんね、姉さん」
夢魔「いいわよ、魔王は気にしないの」
部下「すみません」
夢魔「……」
魔王「あっ、それでね! 実は──」
……………。
111:
夢魔「とりゃっ」
エリカ「うわわわわわわ」
夢魔「ふむふむ、赤い一つ目の大きい獣に襲われた、と」
エリカ「わわわあわっわあふぁ」
夢魔「一目散に逃げてる途中に、さらわれた子と離ればなれになったのね」
夢魔「うし、サンキュ」
夢魔「悪夢を軽くしといてあげる」
エリカ「……すぅ……」
112:
魔王「ということで森だ」
ケンタウロス長老「ははー魔王さま」
魔王「この馬鹿もん、女の子を怖がらせたそうじゃないかっ!」
ケンタウロス長老「す、すみません、ほらお前も謝れ」
ケンタウロス若者「わ、悪気は無かったんですぅ」
ケンタウロス長老「そういえば森の奥でなにか人間がやってましたよ」
魔王「本当か、では行くぞカレハ」
部下「はい」
113:
魔王「この井戸だな」
部下「あっ、ここに隠し扉が」
魔王「ん……めんどくさい、《吹っ飛べ》」
バコーン
部下「あたり一面が吹っ飛んでしまいました……」
魔王「おっ、階段だ」
部下「おりましょう」
114:
魔王「ここはどこなんだろうな」
部下「恐らく王都が近くにあったとき、地下に通路を作ったんでしょう」
魔王「避難のためか」
部下「はい、権力者も多く住んでいたはずですし」
──誰かぁー
魔王「おうっ声が聞こえるぞ」
部下「はい、ここは監獄にもなっていたようですね……」
魔王「なんてひどいことだ、ユキを呼べ」
悪魔「分かりました、ここにいるみんなを助ければいいのですね」
魔王「よろしく頼んだぞ」
115:
部下「こちら側に階段があります」
魔王「よし登ろう」
ガチャ。
部下「こ、ここは──」
魔王「はじめにきた居酒屋だな」
マスター「く、貴様ら……」
魔王「どんな理由があろうと、許せん、くわっ!」
マスター「うわっやられた」
部下「恐らく街の財政難を児童売買で補っていたのでしょう」
魔王「国の圧政か……近い未来になんとかしないとな」
部下「アキさんは子供たちを運んでいる場面を目撃して捕まったと思われます」
魔王「ふむ、これにて一件落着っ!」
118:
ジジイ「ありがとやー」
魔王「ははっ、気にするでない」
そして、魔王たちは王都へ旅だったのだった。
?「な、なんてお方だっ! あの方こそ──」
──事の一部始終を隠れて見守っていた
  一人の剣士がいたことには気付かずに……
彼らの旅はまだまだ続く。 イヤッフーっ!
-了-
119:
ダイジェストとかクソワロタwww
とりあえず乙
12

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