穂乃果「天使と悪魔と星空凛」 後編back

穂乃果「天使と悪魔と星空凛」 後編


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2:
花陽はすっかり元気になった。
だからこそ私は迷っている。
あのときの話をしてもいいものだろうか。
花陽がああなってしまった原因の出来事。
そこを解決しなければ、花陽は一生あの子に縛られて生きていくことになる。
かといって乱暴に話題に出して逆戻りしないとも言えない。
「ほら、迷える羊さんが迷ってるよ。導いてあげなよ」
「無論です。真姫、今は時期ではありません。ゆっくり焦らずです。そっとしてあげましょう。
いずれ腹を割って話せるときが来ます」
「ないない。引っ張るほど言いづらくなるよ。
むしろ今が絶好の機会だよ真姫ちゃん」
「いけません真姫。悪魔に惑わされないで」
「今回は比較的良心的な提案だと思うけどなあ。
明日に延ばして、明日生きている確証はないよ」
「くっ。痛いところをつきますね」
私の中で何かが決した。
54:
「花陽、あの日のことなんだけど」
「あの日って……」
「あの日よ。あの子が、その……亡くなった日」
「あれは……」
「無理に話さなくていいのよ」
「ううん。私も向き合わなきゃ」
「花陽……!」
ときに悪魔の選択が事態を好転させることもあるらしい。
「あれは一緒に釣りに行った日だったっけ。
私が釣り竿を海に落としちゃって……それで……うぅ……」
花陽の顔色がみるみる悪くなっていく。やはり時期尚早だった。
悪魔の提案は所詮悪魔の提案。
「も、もういいわ花陽」
「私があの子のためになろうと……釣りに誘ったばかりに……」
「魚が嫌いな子だったわね。
明るい髪色のショートヘアで、整った顔立ちにパッチリとした眼……。
ごめんなさい……思い出が溢れて来ちゃう」
「凛ちゃん……」
57:
「おはようございます。副会長」
「あ、おはよう。穂乃果ちゃん。調子はどう?」
「うん。なんだか軽くなった気がします」
「よくないものがついてたからね」
「よくないものって、海未ちゃんとことりちゃんですか」
「そうや。一方は大して害はないんやけど、もう一方がやばいやつだったから払っといたよ」
「なんか、ありがとうございます。でも副会長も見えるんですね」
「昔からね。おかげでそういうもんと人間との区別がつかんくなるときもあるくらい」
「うひゃー、凄まじい」
「そんなうちでも、死神はどうにもならん」
「そこまでわかるんですね」
「まあね。なんでもにゃーと鳴くとか」
「心当たりが?」
「うん。絵里ちも知ってると思う」
「どういうこと?」
「だってその死神はもと……」
58:
希さんが絵里会長のほうを見ながら口を開いたそのときだった。
「大変です穂乃果!」
「大変だよ穂乃果ちゃんっ!」
海未ちゃんとことりちゃんな再び私の元に怒鳴り込んで来た。
「懲りずにきたか! またうちが払って……」
「待ってください一大事です」
「どうしたの?」
「あの死神凛ちゃんは元人間!
花陽ちゃんと真姫ちゃんのお友達『星空凛』ちゃんだったの!」
な、なんだってー。
59:
「星空凛……!」
いち早く反応したのは絵里会長。さすが生徒会長。
そして次に副会長。
「そう。あの子は星空凛ちゃん。半年くらい前に亡くなったこの学校の生徒や」
わけがわからない。
「うそ、どういうこと?」
「事情はうちにもわからない。……そこの悪魔たちはどうしてそれを?」
「あっ、それはその……」
「追い出された私たちは真姫に取り付いたんです」
「何で言っちゃうの海未ちゃん」
「嘘はいけません」
「あとでお払いマックスや」
60:
「なんか、私の体から抜けてこっちのほうに飛んでった気がするのよ」
「頭大丈夫? 真姫ちゃん」
「それはどういう意味かしら。 花陽」
「いや、その、あ! 副会長だ」
「後で追及させてもらうから」
「ひい……」
「あら、真姫ちゃんに花陽ちゃん」
「あの、副会長。この辺になんか飛んできませんでした?」
「んー。知らんなあ」
「そうですか。……こんなとこで一人でなにしてるんですか」
「いや、特になんもしてないけど」
「ふうん。ううっ寒っ。じゃ私たちはこれで」
「はいよ。お大事に」
61:
いつの間にかときは流れていた。
順調に行けば私は明日死ぬ。
望むところではないけど……まだ諦めてないけど……。
私は一応保険をかけることにした。
もし私が死んだら、あの人に後をついでアイドルをやってもらおう。
コンコン、とドアをノックする。
……。返事はない。
もう一度、二度、三度やっても返事はない。
「失礼しまーす」
中は相変わらずアイドルグッズで溢れていた。
私が顔を出していた頃と変わっていない。
「にこちゃーん?」
どうやらパソコンでアイドルの動画を見るのに夢中なようだ。
私は椅子に座って待つことにした。
にこちゃんは動画を見終えると私の側面に腰掛ける。ここが彼女の定位置だ。
それからにこちゃんは雑誌を広げる。私には見向きもしない。無言。
「そりゃそうか……」
私は小声で呟いた。
62:
にこちゃんとは昔一悶着あって、私が部を飛び出した。
それ以来まともに口も聞いていない。
そんな私がのこのこやって来てもこんな態度なのは当然といえば当然だ。
以前として無視を続ける彼女に私はシビレを切らして語りかける。
「今更ごめんね……。でも大事な相談があるの」
返事はないが、私は続けることにした。
63:
「にこちゃんにもう一度、アイドルをやって欲しいの。
私と一緒じゃなくていいから。
お願いします。……。
私が悪かった。ごめんなさい」
にこちゃんはまるで何かに気がついたようにふと顔を上げたが、すぐ雑誌に目を下ろした。
「ごめんなさい。アイドルやめるなんて言って。
ごめんなさい。後になって一人で活動再開したりして。
ごめんなさい。私ダメダメだった。本当にごめんなさい」
頭を下げて、それから席を立つ。
そのとき引いた椅子が部室の棚に当たり、何かがヒラリと落ちてきた。
にこちゃんは私が拾うよりもはやくそれをてに取り、少し辺りを見渡す。
「穂乃果……?」
久しぶりにこちゃんは私の名前を呼んだ。
「なに、にこちゃん」
それから暫く沈黙ののち、何かを決意したような表情でにこちゃんは口を開く。
「まったく、しょうがないわねー……。
私だっていつまでもこんなんじゃダメダメよね。
うん、わかった。やってみる」
天使のような笑顔にありがとう。と一言添えて私はアイドル部を去った。
64:
結局、身代わりを見つけることができないまま、約束の日がやってきた。
65:
「ども。死神ですにゃ」
再び私の部屋に突如現れる自称死神、星空凛。
でも私だって黙って死なされるものか。
「嘘だね。あなたは死神なんかじゃない」
「ここに来てそれ? もう現実見ようよ穂乃果ちゃん」
「星空凛ちゃん。あなた小泉花陽ちゃんって知ってる?」
「……!」
死神は猫が紙風船をくらったような顔をした。
66:
「ああ、なるほど。その可能性は考えたよ。同じ学校だったしね」
「やっぱりそうなんだ」
「そうだよ。凛はその星空凛だよ。あの日海で溺れて死んだ星空凛だよ」
「あなた死神は生きてるって……」
「言ったよ。事実だよ。凛は人として死んで、死神として生きてる」
「説明してよ。凛ちゃん」
凛ちゃんはいつかのように座布団に腰を下ろすと、静かに顔を上げた。
「人はときどき、死神になる」
「死んだらってこと?」
「その限りじゃないよ。人が人じゃなくなったとき、人は死神になる。
それが凛にとってはたまたま死んだときだったってこと」
「むずかしいよ」
「条件は二つ」
右手の二本指を立てながら凛ちゃんは説明を続ける。
「一つは死神という概念を知っていること」
67:
およそ半年前。
凛はかよちんに誘われて海釣りに出かけた。
凛の魚嫌いを克服させようという粋な計らいだった。
そして凛は海に落ちたかよちんの釣竿を拾おうとして自身も転落。
そのまま溺死。死体はオート水葬させて発見されてない。
……ということになっている。
でも凛はこうして生きている。
どうしてか。それはさらに遡ることひと月前のこと。
凛は一人の死神に出会った。
68:
「ども。死神よ」
「死神ってあなたが?」
「そうよ。驚いた?」
「そりゃ……だって、どこかで」
「どうしてこの学校には生徒会長がいないと思う?」
「考えたこともなかった。そういえば副会長しか見たことないや」
「ふふ。まあそれはいいわ。あなたに死の宣告よ。一ヶ月後あなたの大切な人が死ぬことになっている」
「どうして!?」
「生きているものは死ぬのよ。
それを決めるのが私たち死神で、たまたまあなたのお友達の番が来ちゃったってだけ」
「どうしてそれを凛に言うの」
「あなたにチャンスをあげようと思って」
69:
「……というわけだよ。穂乃果ちゃん」
「じゃあまさかあなたは……」
「そうだよ。あのとき凛が飛び込んでなかったら、かよちんが死んでた」
「自分の命より、他人の命を選んだの……?」
「そのときはね。でもやっぱり苦しいんだ。どうしても考えちゃうんだよ。
『ああ、やっぱりやめておけばよかった』
ってね。そのとき凛は人じゃなくなってしまったんだ。
死にたくなくて、気がついたら死神になっていた」
70:
「じゃあすぐ花陽ちゃんや真姫ちゃんの元に行けば……」
「行ったよ。でも見えないんだ」
「見えない?」
「普通の人には見えないんだよ。凛たちは」
「でも私には……」
「そりゃ、ターゲットには見えるよ」
「凛ちゃんはターゲットじゃなかったのに」
「あれはたぶん、かよちんには見えなかったんだと思うり代わりに凛に見せたんだ」
「どうしてわざわざ」
「あの死神は知ってたんだ。凛がかよちんに代わって死ぬことを。
最初から、ターゲットは凛だったんだよ。
だから尚更かよちんを死なせるわけにはいかなかった」
「希さんは……」
「あの人は特別だよ。凛たちと一般人との区別もあやふやみたいだし」
72:
「これで全部だよ。じゃあ凛は帰るね」
「え、私を死なせないの?」
「なんだ、自分で気がついてないんだ」
「どういうこと?」
「もう凛には穂乃果ちゃんは死なせることはできない」
「だからどういう……」
「ごめんね。もう時間がないんだ。その答えは自分で見つけて」
「ちょっと置いてかないで! 私は死ななくていいの?」
「二つ目の条件。現世への未練、執着。
これと一つ目の条件が重なったとき、たまに人は死神になる。
凛はもう、二つ目の条件が満たされてないんだ」
「未練がなくなったってこと?」
「凛は、あのダメダメになっちゃったかよちんだけが心残りだった。置いて逝けなかった。
でもなぜかここ数日でかよちんは昔のかよちんに戻ってきた。
だから凛はもう帰るよ。
やっぱり、凛はダメダメ死神だった。
仕事一つもこなせないで、退社だよ」
73:
「あの世で待ってる」
死神……いや、星空凛はそう言い残して夜空の彼方へ消えていった。
はた迷惑な猫だったけど……私を死なせようとした猫だけど。
私は凛ちゃんの想いを花陽ちゃんに届けなければならない。
来るはずのなかった明日を使って、私は花陽ちゃんに伝えなくてはいけない。
凛ちゃんは花陽ちゃんを恨んでなんかいないんだって!
74:
死神と出会ってから八日目。
私は登校一番一年生の教室に駆け出した。
きっと花陽ちゃんも真姫ちゃんも喜ぶぞ!
二人はやっと過去から解放されるんだ。
「花陽ちゃん! 真姫ちゃん!」
75:
「でね、今朝ご飯が炊けてなかったの」
「ドジね。予約し忘れるなんて」
「だから今日はパンを食べてきたんだ」
「二人とも! おはよう!」
「パンがあってよかったじゃない」
「うん。危うく朝食抜きになるところだった。真姫ちゃんは今朝はなに食べたの?」
「今朝はエッグベネディクトと」
「うわーおしゃれ」
「まあね」
「私もパンだよ。お揃いだね花陽ちゃん」
「そうそう。だから今日はお昼は学食なんだ」
……おかしい。
二人が私を完全にシカトしている。
76:
「ねえ! 二人とも!」
返事はない。
「ねえ聞いて、凛ちゃんの話なの!」
見向きもしない。
「ねえってば!」
気にかけもしない。
「そんな……どうして……? どうして私……」
いつの間に死神になっちゃってたの……?
77:
条件1
死神という概念を知っていること。
78:
条件2
現世に大きな未練や執着を持っていること
79:
そして人が人でなくなったとき、人は死神になる。
81:
「二人には凛のことを知らせるべきではないでしょう。
友達が死神になっていたなんて、知ってどうなりますか」
「海未ちゃん……まだ私に」
「迷惑ですか。話し相手が欲しいのでは?」
「それは……海未ちゃんはわかるの? どうして私、死神に……」
「それはですね」
「穂乃果ちゃんっ、海未ちゃんから離れて!」
「ことりちゃん……?」
「邪魔しないで。悪魔ことり」
「穂乃果ちゃんはやく離れて」
「なにが起きてるの……いつから……」
「花陽の決意のときですよ」
「花陽ちゃんの決意?」
「屋上で、花陽が生きる決意をしたときです」
82:
あなたは死神を知っている。
そしてアイドルという未練を残し、他者の命を切れるほど生に執着していた。
穂乃果、あなたあのとき……残念に思ったでしょう?
自分の代わりに死んでくれるはずだった花陽が心変わりして……がっかりしたでしょう?
ダメですよ。人の命が助かったのに残念がるなんて、人じゃない。
あのとき既にあなたは人ではなくなってしまったんです。
花陽たちはあのとき、突然穂乃果が消えるようにいなくなったと感じたでしょうね。
死神になったら普通の人には見えないんですから。
83:
「そんな……私ずっと……」
「気がつかないのも無理はありません。副会長がいましたからね。
自分が見えない存在だなんて思いもしないでしょう」
「にこちゃん……」
「その通りです。仲直りできたつもりでしたか。
彼女には最初からあなたなんて見えていなかったんですよ」
「そっか……無視されてたんじゃなかったんだ」
「耳を傾けないで穂乃果ちゃん!」
「でも、天使に言われたらもうそうなんだなあって」
「ふふ。天使ですか」
「もうやめて海未ちゃん!」
「天使"役"をやっております。園田海未です」
「な、まさか……」
「私は天使ではありませんよ」
84:
「じゃあ私は今まで何の言うことを聞いていたの……?
うわああああああああああああ!」
「さあ死神穂乃果。猶予は終わりです。仕事に行きましょうか」
「死神……私が、人を死なせる? はは、あ、あ……」
「丁度いいです。最初のターゲットは彼女にしましょう。
生徒会副会長、東條希です。彼女はいろいろ面倒な存在なので」
「いや……だ……」
「いやでもやるんですよ。さあ一度本部に戻って仕事を受注しましょう」
「逃げて穂乃果ちゃんーっ!」
「なんですかことり! 悪魔のくせに!」
「悪魔でも……ピュアピュアだもん!」
85:
私は走った。
逃げるため? 違う。なにかおかしい。
この違和感は……そうだ。私は決着をつけるために生徒会室へ走った。
「はあ……はあ……」
「穂乃果!? どうしたの」
「絵里ちゃん……はあ」
「なに、穂乃果」
生徒会長……いや。
「死神絢瀬絵里」
「なんですって?」
「穂乃果ちゃん今なんて!?」
「希さん、あなた言ってましたよね。『そういうものと人間との区別がつかない』って」
「それは……でも絵里ちは」
「絵里さんは死神です。凛ちゃんを死なせた死神は絵里さんあなたですね」
86:
「え、絵里ち?」
「はあ。そもそもどうしてあなた生きているの?
凛……。仕事をサボったわね新人め」
「違うよ。凛ちゃんは退社した」
「なるほど。消え際にあなたに真実を託したのね」
「それも違う。あなたは……私が見えていた」
「それがなによ。死神である私にそんな態度でいいの? 無礼よ」
「私も死神だよ」
87:
「なんですって!?」
「私があなたを見ることができたのは……。
私がターゲットだったからじゃない。私も死神だったからだよ。
同じ理屈で、絵里会長が私を見ることができるのは、絵里会長が死神だからでしょ。
そして、凛ちゃんの名前を始めて聞いたときのあの反応。
自分が死なせたはずの人間が死神になっていると聞いて驚いた。そうでしょう?」
「ふふ。正解よ。全部その通り。参ったわ」
「そんな、絵里ち……うちは」
「茶番はお終いよ希」
「うぅ……」
「それだけが不可解なんです。どうしてあなたは希さんのところにいつまでも……。
もしかして」
「やめなさい。全部正解と言ったはずよ。これ以上はやめなさい」
88:
「穂乃果あ! 見つけましたよ」
「ぐっ、海未ちゃん」
「あれはあなたの天使……どういうこと?」
「海未ちゃんは私を死神しようとしてた天使じゃない何かだよ」
「へえ……海未!」
「あなたも私が見えていたんですか」
「ええ。私死神ですし。それもそれなりに上等なね。
あなたのやったことはルール違反よ。意図的に人を死神にするなんて」
「な……私はただ穂乃果を」
「言い訳無用」
よくわからないが、海未ちゃんは絵里会長には逆らえない立場らしい。
急に大人しくなった。
「まあなったものはどうしようもない。穂乃果、私ときなさい」
「え、海未ちゃんは……」
「希、よろしくね」
「……」
「希?」
「絵里ち、うちらってなんだったの?
答えてよ、私の唯一の友達」
「死神だって生きているのよ。寂しくもなるのよ。
さよなら。私の唯一の友達」
「そっか! よかったよかった。……。
覚悟はいい? 海未ちゃん」
「ひい!」
「お払いマックスやーっ!」
89:
「ども。死神だよ」
私は死神になった。
現世にたくさんの未練を残して。
私を死なせようとした死神の為に動いた不毛さ。
それすら叶わなかった不毛さ。
その死神を死なせた死神のもとで働く不毛さ。
夢も叶わぬまま。
かつての仲間と仲直りできないまま逝った不毛さ。
なにもかも、ああ、特に最後の一週間は不毛だった。
私はなにか成し得ただろうか?
果ては人道すらそれて人の命を摘み取る死神。
「はあ。死にたい」
90:
私の物語は、これで終わりだ。
91:
「花陽、すっかり元気になったわね。よかった」
「うん。真姫ちゃんのおかげだよ。
それに、きっと凛ちゃんがお空から見てるから。星空を見上げると、凛ちゃんが見ていてくれるから」
92:
「にこっちー。遊びにきたでー」
「あんた最近よく来るわね」
「生徒会室、1人になっちゃったから」
「は? もとからでしょ」
「そうだったんだよね」
「変な希」
「にこっちこそ、どうして急にアイドル再開する気になったの?」
「さあ。なんかわかんないけど、あいつが『私の分までよろしく』って言ったような気がするのよ」
「あいつって?」
「よくわかんない。あくまで、気がするってだけ」
「まあ、にこっちならすごいアイドルになるよ」
「当然でしょ。このニコニーエンジェルが世界を虜にする日は近いわ」
「にこっちの物語は、これから始まるんだね」
93:
穂乃果「天使と悪魔と星空凛」
終劇
94:
乙、なんか良かった
96:
乙こういうの好き
9

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