「深夜にこにー」 Part2back

「深夜にこにー」 Part2


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3:
1日が終わって、みんながおうちへと急ぐ頃、にこの1日は始まるの。
メニューはこれだけ。
・にこにー定食 252円
・にっこにっこにー(ビール) 600円
・にっこにー(お酒)  500円
・ラブにこ☆(焼酎)  450円
☆にこにーは一人3回までニコ♪
あとは勝手に注文してくれれば、できるものなら作ってあげるってのがにこの営業方針なの。
営業時間は夕方5時から夜10時頃まで。みんな「深夜にこにー」なんて言ってるわね。
深夜じゃないじゃないかって?夜更かししてたらお肌が荒れちゃうじゃない!
だ・か・ら・アイドルにとっては十分深夜なの。それにお客さんだって結構来るのよ?
44:
第2夜 「焼肉定食」
45:
「こんばんは?、今、ええ?」
にこ「こんばんは、希。もう上がり?」
『音の木坂のスピリチュアル・マザー』って言ったらちょっとした有名人でね、最近じゃテレビにも出ているわ。
希「ううん。お客さんが一段落したから一休みや。いつもの頼むわ。」
にこ「はーい。ちょっと待っててニコ☆」
いつもの、っていうのは焼肉定食のことね。
醤油ベースのタレにい?っぱい摩り下ろしたりんごを入れた、特製にこにーソースが決め手なの。
これを熱々のフライパンにごま油をひいて焼き付けるニコ♪
ジュワ?っとごま油のいい香りがにこの小さなお店に漂ってくる。
これにキャベツの千切りとトマトを添えて、にこにー特製の豚汁にライスをつけて完成!
キャベツには和風ドレッシングとマヨネーズを半々でかけるニコ♪
47:
希「あんがとな?。いただきます。」
端っこの少し焦げたお肉をホカホカのご飯に乗っけて一口。
希「うん、今日もおいしい。さすがにこっちやんな。」
それから豚汁を一口。味を確かめてから七味を振ってもう一啜り。
キャベツをわしっとつかんで口に押し込む。少し味が濃いぐらいでもちょうどいいわね。
お新香で口直ししたらまた香ばしく焼けた肉を一切れ。
希は本当に美味しそうに食べる。
にこ「…相変わらずいい食べっぷりねえ。よくこの時間にそんなもの食べられるわ。」
希「ええやん。座ってるだけやけどな、これはこれで結構辛い仕事やねんで?」
希「せやからしっかりパワーつけんとな。この後も予約た?くさん入ってるんやから♪」
にこ「そうだと思ってにんにくは抜いてあるわよ。…ま、太らない程度にしなさいよね?」
希「ありがとな。…にこっちはもうちょっと食べたほうがええんちゃう?」
にこ「うっさいわね!」
48:
――ふと、表の路地を誰かが歩く音がする。
にこ「希。」
希「うん。」
そういうと希は素早く紫色のフードをかぶる。
商売柄、イメージダウンを避けるためらしいわ。
確かに、神秘的な占い師が大口開けて焼き肉頬張ってたんじゃサマにならないものね。
「――う?っ…寒いわね…ロシア並だわ…」
にこ「いらっしゃい。随分ご無沙汰だったじゃないの。絵里。」
入ってきたのはこの近くでバレエ教室を開いてる絵里だったわ。
絵里「ちょっと、ここんとこコンクールで遠征してたりしてね…ウオッカちょうだい?」
にこ「…わざと言ってんの?」
49:
絵里「ごめんごめん。ビールでいいわよ。はい、にっこにっこにー♪」
にこ「…アンタ、酔ってんの?…ったく…」
プシュ、という小気味良い音をさせて褐色の瓶の栓を抜く。
にこ「はいどうぞ。」 トットット
絵里「スパシーバ、にこ。」
一杯目は注いであげるの。宇宙ナンバーワンアイドルにお酌してもらえるなんて素晴らしすぎるサービスだと思わない?
絵里「…はあ…」
またため息ついてる。…ってことは色々うまくいってないってことね。
ま、にこも無理には聞かないけど。そんなに弱い子じゃないし。
絵里「…ん?」
希「…」
絵里「…ひょっとして、スピリチュアル・マザー?」
50:
希「…っ」ビクッ
絵里「やっぱり!テレビで見たことあるのよ!」
希「あ、ああ…どうも。ありがとうございます。」
絵里「…?焼き肉?おいしそうね!にこ!私にも焼き肉ちょうだい!ご飯はいらないわよ!」
にこ「…はいはい。」
あーあ、つかまっちゃった。
普段はクールな子なのに…お酒が入ってるとダメなのよねえ…
51:
絵里「――それでね?みんなどんどんやめてっちゃってね?」
希「あ、あはは…大変ですね…」
絵里「もぉ?、どうすればいいのよ!エリチカ一生懸命教えてるのに!」
希「…変わってへんなあ。」ボソ
絵里「え?」
希「ううん、なんでもないですよ。…それより、教室の玄関に大きなぬいぐるみが飾ってあるでしょう?」
絵里「え?ああ、ああ!確かにあるわ!」
希「そのぬいぐるみが運気の流れを妨げていますね。寝室に移すことをおすすめしますよ。」
絵里「…すごい。…すごい!すごいわ!そんなことまでわかっちゃうのね!」
希「…それから。教室の生徒さん達はプロになろうと考えてるわけではないのですから、もう少し優しく…」
絵里「…ふんふん。」
にこ「…」
52:
それからしばらくして。
ガラッ
絵里「にこ!スピリチュアルマザーいる?」
にこ「ああ、うん…」
カウンターの隅を目で見やる。
絵里「ハラショー!あなたの言うとおりにしたら教室の生徒がすっごく増えたのよ!」
希「あ、ああ…よかった、ですね…」
絵里「お礼に今日はごちそうさせて!にこ!焼き肉定食!ビールもね!」
にこ「…はいはい。」
ま、案の定その後二人は意気投合。
絵里はちょくちょくうちの店に来て希のアドバイスを聞くようになったわ。
53:
絵里「…それじゃ、かんぱーい☆」
希「乾杯!」
最近、絵里のバレエ教室は絶好調。おまけに絵里自身も調子いいみたいね。
絵里「…と、いうわけでぇ?…エリチカからみんなに重大発表がありまーす!」
またこの子は…いい感じに酔っ払ってるわね。
絵里「実はぁ?…ジャァ?ン!ロシアのバレエ学校に招待されちゃいましたぁ?!」
そういってなんだかよくわからない字で書かれた手紙を懐から取り出したわ。
ま、要約すると最近の絵里の活躍が認められて本場から声がかかった、ってことみたいね。
教室は続けるけど拠点はロシアに移すみたい。
54:
絵里「…どう思う?私にとってもすごくいい話なんだけど。」
希「え?」
絵里「あなたに聞いてるのよ?ね、ね、どうすればいいと思う?」
希「え…え…」
絵里「ねえ、お願い!どう?」
希「…」
絵里「?」
希「…やっぱり、一緒に来てくれとは言ってくれないんやね。」
ゆっくりと紫のフードをとる希。
…絵里の顔色がみるみる変わっていったわ。
絵里「…希…」
55:
希「…ごめんな。うちにもわからへんよ。どうするのがええか、なんて。」
絵里「え、嘘…なんで…?」
希「なんて、うちも言えた義理やないけどな。」
そう言って希はお財布から一枚のチケットを出したわ。
端がボロボロに擦り切れた航空券…行き先は…モスクワ。
希「…あの時…やっぱ追いかけられへんかったんよ。ごめんな。エリチ。」
絵里「…あ…」
希「ホンマは行かないで、って言いたいけど…そうもいかへんよね。」
絵里「…え…え…」
ガラッ
――迷子になった子どもみたいな顔して、絵里は出て行ったわ。
56:
にこ「…」
希「…」
にこ「どうすんの?…とりあえず…焼き肉でも食べる?」
希「…ううん。やめとく。…おうどんさん。くれる?」
にこ「…そ。」
57:
それからね、スピリチュアル・マザーもテレビに出なくなって…焼肉定食も出なくなったわ。
絵里「…昔ね。一緒に暮らしてたの。」
久しぶりに顔を見せたと思ったら、相当やつれていた絵里が聞いてもいない昔語りを始めたの。
絵里「楽しかったわ…先のことなんてわからなくても、占いなんてなくても…明日にはわけもない希望があった。」
絵里「いつからかしらね…臆病になって…怖くなって…」
絵里「一緒に来て欲しかった…ただそれだけ…そしたら…きっと…」
にこ「…」
何もかける言葉が見つからないまま、にこはフライパンを磨いていたの。
絵里「…う…うぅ…」
にこ「…」
絵里「…うう…」
にこ「…・絵里?」
絵里「…おな、かいたい…」
58:
――言っとくけど、にこの出した焼き肉が生焼けだったわけじゃないわよ。
あの子、ろくに食べてなかったみたい。
そんなところに焼き肉なんて食べたら、そりゃ、ねえ…
59:
希「――はい、エリチ。ちゃんとふーふーせなあかんよ?」
絵里「もう…わかってるわよ。」
希「だ?め。エリチはうちがいないとすぐに無理するんやから、な?」
絵里「もう、希ったら…」
キャッキャッ
――ま、結局納まるところに納まるわけよね。
希「にこっち?♪うちには焼き肉定食な??」
絵里「希!私も食べたい!」
希「エリチはまだおうどんさんな?」
にこ「はあ…」
第2夜 終わり
60:
乙!
第3夜も楽しみにしてるよ
6

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