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【艦これ】提督「寒いなぁ......」


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寒い
超寒い
2月に入ってもまだ凍える
旧暦だと春じゃないのか
いやでも冬の方がマシじゃね?
冬の寒さは対策が多くある
こたつ、風呂、湯たんぽ、単純に厚着する
逆に夏はどうだ
暑いのはどうしようもない
皮までさすがに脱ぐことはできないし、団扇で煽っても熱風が来るのみだ
うん、冬って最高じゃん
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2: 以下、
………………
んなわけないよなぁ…...
寒いもんは寒い
うちの鎮守府は暖房器具なんてものは存在しないし
そもそも電気というものがかなり限られているから全く無駄遣いできない
ああ……早く春になってくれ
ついでに俺の将来も春になってくれ
頭まで春にしなくていいけど
3: 以下、
そんな風に鎮守府を意味もなくブラブラ
外から石焼き芋の販売車の音が聞こえてくる
石焼き芋?焼き芋?
何気なくポケットを漁ると手元には300円
ちなみに晩飯用だ
そして焼き芋の価格も300円
…………待て待て今使ったら確実に晩飯時に腹が減る
サイズはやや大きめといえど、大したものでもない焼き芋など食べて何になる
一時の誘惑に身を任せてはあとで後悔する
いやだがそうやって身を任せるのも人間としてアリなんじゃないのか
一回だけなら間違いかもしれない
ああ、戦争ってこう起きるのか……悲しいなぁ……
4: 以下、
加賀「提督?何をしているの?」
提督「んぁ?ああ、加賀か……」
加賀「こんなところで俯いて立ちっぱなしなんて、何かあったの?」
提督「いや、何でもない。芋から繋がる戦争の話について考察していただけだ」
加賀「はぁ……」
提督「それで、お前こそ何やってんだ」
加賀「私は食堂に行く途中です」
提督「奇遇だな、俺もだ」
加賀「なら一緒に行きましょう」
提督「いいぞ……はぁ……」
加賀「何?溜息ついて……私じゃ不満かしら」
提督「いや、そうじゃなくてだな」
加賀「……まぁいいです」
遠ざかっていく焼き芋のアナウンス
やっぱり買っとけばよかったと思い、思わずため息が出る
が、それでは晩飯が……
結局同じこと考えてんなこれ
まぁ食堂行くか
まるで良妻のように3歩後ろに控える加賀と歩き出した
5: 以下、
食堂到着
だが、なんか人多くね?
いつも繁盛してるが、今日はより一層だ
提督「今日は別に特別なことはなかった筈だが……」
加賀「さぁ……?」
提督「しかしあったかいなここ。何故だ?」
加賀「……もしかしてあれが原因では?」
加賀が指を指した方を見ると、そこには一人の少女がいた
提督「あれは......天津風か?」
加賀「ええ、寝ているようだけど」
近づいてみると、彼女の身体からは暖かい熱が放たれていることがはっきりとわかる
提督「おおう、あったけぇ」
加賀「そういえばあの子はかなり体温が高かったわね」
提督「それで擬似暖房器具になってるのか……でも普段はこんなになってないぞ」
加賀「私もだけど、普段は抑えているの。発熱にも体力を使うので」
提督「今明かされる衝撃の真実」
加賀「まぁ、寝ているときは体温が低くなるはずなのだけれど」
提督「マジで?それも知らなかった」
6: 以下、
天津風「……んぅ……?」
目の前で話していたせいか天津風が起きた
寝ぼけ眼で可愛い
天津風「ふわぁ……あれ?私なんで食堂に……」
提督「おはよう」
天津風「あなた……?おはよう……」
加賀「今は夕方なのでこんばんわです」
提督「社交辞令ってやつだよ。気持ちがあればいい」
天津風「うーん……私、お昼ごろに島風と遊んで、疲れたから自室で寝てたはずなのにどうしてここにいるのかしら……?」
島風「私が運んできたんだよ!」
提督「島風……ホいつの間に!?」
加賀「艦娘でありながら地上で驚くほどの力……私でなければ見逃していました」
提督「お前は何を言ってるんだ」
加賀「あなたに言われたくありません」
7: 以下、
天津風「そんなことより、私を運んだってどういうこと?」
島風「天津風ちゃんがすっごくあったかいから、みんなにも分けてあげようかなって!」
加賀「なるほど、駆逐艦の身ではまだ排熱機構を上手く制御できなかったのね」
提督「それで熱が漏れ出したと」
加賀「恐らくは。まさかこんなにいい感じの温度になるとは知りませんでしたが」
島風「これで皆であったまれるね!」
提督「島風……エエ子や……」
加賀「ええ、感心しますね。我々の鎮守府は暖房器具がないため尚更です」
天津風「私モノ扱いなの!?」
提督「しかし本当に暖かいな。ちょっと触ってみてもいいか?」
天津風「えっ……?まぁ、いいけど……」
提督「では失礼して」
天津風の頬を撫でる
常に携帯していたいほどの適切な温度だ
気持ちいい
やわらかいカイロだこれ
天津風「んんっ……ちょっと、手付きがいやらしいわ……」
島風「あっ!天津風ちゃん赤くなってるー!可愛いー!」
加賀「先ほどより室温が上がりましたね。興奮すると体温が上がるのでしょうか」
8: 以下、
提督「ふむ……なら抱きしめてみよう」
天津風「ちょ、ちょっとぉ……むぐぅ……」
緩めに抱きしめる
湯たんぽみたいだ
ついでにいい匂いもする
女の子はこの匂いをどうやって出してるんだ
俺は加齢臭しか出ないぞ
島風「お"ぅ!?もっと暖かくなった!」
加賀「気分が高揚しているようね。羨ましいわ」
天津風「????ッ!!」
じたばたしているが抵抗はあまりない
焦っているのだろうか
というか頭の煙突から煙が凄い
島風「あれは恥ずかしいから離してほしいけど、離れたくないときの表情だ!」
加賀「あなた詳しいのね」
島風「だって友達だもん!」
なるほど、だがずっとやってると低温火傷になりそうだからいったん離す
9: 以下、
天津風「……ぶはぁ!はぁ……はぁ……」
島風「わぁ、顔がリンゴみたいに……」
加賀「凄いわね」
天津風「あ、あなたねぇ……!」
提督「まぁまぁそう怒るな。おかげでこの部屋が凄く暖かくなった」
加賀「いつの間にか皆ここに来ていますね」
島風「天津風ちゃんすっごーい!」
提督「俺も気分がよくなったぞ。こんなかわいい子を抱きしめるなんてそうあることじゃない」
天津風「ふぇっ?あ、ありがとう……」
提督(チョロい)
加賀(チョロい......ですが羨ましいです)
島風(私も抱きしめて欲しいなぁ)
10: 以下、
…………ん?携帯が鳴ってる
誰だこんな時間に
提督「はいもしもし、こちら○○鎮守府の提督であります」
おっちゃん「あー提督君かい?」
提督「んん?ああ、ラーメン屋のおっちゃんか。どったの?」
おっちゃん「実はうちの暖房器具が壊れちまってなぁ……そちらに整備員とかいないもんかと思ってな。普通に頼むと高いし」
提督「はぁ……そりゃまた。分かった、すぐ行くわ」
おっちゃん「おうよろしく頼むぞ。こんな客が一番入る時間に困ったもんだ」
提督「じゃあの」
加賀「どうしました?」
提督「いや、行きつけのラーメン屋があるんだけどな、そこの暖房器具が故障したとかで」
加賀「ああ、それで明石さんあたりを連れて向かうと」
提督「そういうこと」
11: 以下、
島風「ラーメン!?私も食べたーい!」
加賀「いいですね、乗りました」
提督「なら一緒に行くか。天津風はどうだ?」
天津風「みんなが行くなら私も行くわ」
提督「よし、では出発」
……待てよ?
天津風……暖房器具……
ふむ、いけるな
天津風「な、何よ、じろじろ見て」
提督「別に何でもないぞ」
そうと決まれば早準備だ
12: 以下、
おっちゃん「へいお待ちィ!」
客「いやぁいいもんですなぁ!」
提督「そうですねぇ、飯もうまいし、何より……」
天津風「…………ねぇ、なんで私が接客してるのよ」
提督「こんなかわいい子が接客してくれるんですもんね」
天津風「かわっ……もう!」
提督(チョロいな)
加賀(チョロいですね)
島風(チョロ過ぎるよ天津風ちゃん)
おっちゃん「天津風ちゃん、次頼むよ!」
天津風「はいはい分かりました!」
加賀「しかし考えましたね提督」
島風「暖房器具が治るまでの間、天津風ちゃんのあったかさを利用するなんてね!」
提督「おまけに容姿も完璧だからな、客引きにももってこいだ」
加賀「バイト代もたくさん出してもらえますし、修理費もいただけます。まさに一石二鳥」
島風「ご飯もタダにしてくれたね!」
提督「ああ、ちょうど金に困っていたから凄いありがたい」
加賀「こんなに食べれるのは久々です」
13: 以下、
提督「そういえば、加賀も同じことできるんだろう?お前もやってみないか?」
加賀「お断りします。私が奉仕するのは赤城さんと提督だけです」
提督「嬉しいこと言ってくれるじゃないか」
島風「うーん!美味しいしあったかいし最高だね!」
天津風の方を見ると、飲み会の途中であろう人たちから菓子やら飴やらいろいろ貰っていた
天津風は困惑しながらもアルコールでテンションライジングなオッサンたちから物を受け取っている
ふとレジの方に耳を傾けると、
「あの子、あんなに若いのに大変だねぇ……これ、ちょっと大目に出すからあの子に何か与えてあげて」
と老夫婦が店員に諭吉を渡している
ちなみに、天津風が艦娘であるという事実は隠してある
世間からすると兵器が近くにいるなんて不気味で仕方ないのだとか
逆に言えば艦娘もその事実さえなければただの容姿通りのかわいい女の子だ
ふむ、しかしすっかりアイドルと化してるな
作戦通り作戦通りっと
ラーメンを啜りながらほくそ笑むのだった
14: 以下、
結局、暖房器具が直っても天津風は暫くの間バイトとして呼び出された
たまに熱がうまく出ないときでも、
「頑張ってくれ天津風。後で一杯ご褒美あげるから」
と言いながら抱きしめると、
「??????っ!!分かったわよ!!」
とすぐにまた熱くなってくれた
まぁバイト中着の割烹着がものすごく似合ってたから、眼福目的でもあったのだがね
おっちゃん曰く、天津風がいたときは普段の3、4倍の収入が得られたらしい
そんなこんなで大量の給金が手に入った
これでわが鎮守府にも暖房器具とまともな電気量が手に入る
と思っていたのもつかの間
天津風本人から暖房器具の購入を断られた
流石に稼いだ本人に止められては強く言えない
そして何故買うのを断ったかというと……
15: 以下、
天津風「あなた、どう?あったかい?」
提督「ああ、ちょうどいいよ」
天津風「そう、よかったわ」
このように自分自身が湯たんぽと化したからだ
執務中、就寝時などにすり寄ってきては暖を提供してくれる
曰く、暖房器具を買ったら自分の折角の出番がなくなってしまうのだとか
別にそんなことをするつもりなんかないんだがなぁ
なお、加賀も天津風と同じことができると俺がバラしたため他の艦に知れ渡り、時折駆逐艦などに埋もれている
加賀は、
「責任を取って」
と言って天津風と同じことを要求してくるようになった
要は最近加賀と天津風がローテーションで他の艦と俺の暖房器具になっているということだ
ただ加賀は天津風と違って発育が良過ぎるからいろいろ危ないのが問題だ
16: 以下、
天津風「あなた、手が止まってるわよ」
提督「あー、悪いな」
天津風「あなたの暖は私が取ってるから、安心して仕事をして頂戴ね」
はっきり言って、天津風は俺の太ももに座っている形なため非常に作業しにくい
ついでにやっぱり煙突の煙も凄い
器用にハートマークなんかだしおって、愛い奴め
だがまぁ……
天津風「ちょっと、ここ間違えてるわよ」
提督「ん、了解」
天津風「しっかりしなさいね」ギュウー
こういう冬なら、悪くないな
17: 以下、
加賀「天津風に便乗したら上手くいきました。やりました」
明石「あれ?私の華麗な暖房器具修理シーンは?」
島風「刹那で忘れちゃった!」
終わり
暖めるには人肌が一番とはよく言ったもんですな
天津風や加賀の太股に挟まれて果てたい
では御拝読ありがとうございました
24: 以下、

素晴らしかった
27: 以下、

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