垣根帝督「御坂美琴っていったか……覚えといてやる……!!!」back

垣根帝督「御坂美琴っていったか……覚えといてやる……!!!」


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1:
ある日
学園都市郊外
美琴「はあ…暇だわ…今日は」
美琴「黒子と初春さんはジャッジメントの仕事、佐天さんは補習…
仕方ないから、コンビニで立ち読みでも…って思ったら、読んでる
雑誌は先週が合併号だったし…ほんと、ついてないわね…」
美琴「…やることないし、もう寮に帰ろうかな……いた!」ドンッ!
(前から走ってきたガラの悪い男と肩がぶつかる美琴)
ガラの悪い男「き、気をつけろ、クソガキ!!」
美琴「な、なんですって!!アンタのほうから私にぶつかってきた
んじゃない!そっちが気をつけなさいよ!
…って、もう行っちゃったわ……なんなのよ、アイツ…あんなに急
いで…誰かに追われてるみたいに…あれ?」
2:
美琴「……なんか地面に落ちてるわ……これはなにかしら……コイン??」
美琴「もしかして、さっきの奴がぶつかったときに落としたものかしら……
けどどうしよう、返そうにも、もう走ってどっかいっちゃったし…」
美琴「まあ、いっか。落し物といったらジャッジメントよね。後で、黒子に
渡せばいいか」
……………
9:
その夜
学園都市 人気のない路地裏
ガラの悪い男「…ぐああっ!!」バキィ!!
垣根「…やれやれ、ずいぶんと手間をかけさせてくれたな、探したぜ?…全く、
単なる『スクール』の下部組織の一人にすぎないと思っていたら…完全に油断
したよ、
まさかテメエが『アイテム』のスパイだったとはな…」
ガラの悪い男「はあ…はあ…勘弁してくれ…お、俺は雇われただけなんだ!
む、麦野って女に…!!せ、正式な『アイテム』の一員でも何でもねえ!!
だ、だから、い、命だけは…!!がはあっ!!」バキィ!!
垣根「減らず口はいいんだよ…命がおしけりゃとっとと出せよ、『アイテム』の連中に
渡すはずだった、俺達『スクール』のデータをよぉ」
16:
ガラの悪い男「あ、ああ!!分かった、すぐに…!!……ん!?あ、あれ!?
どこだ!?ない!!ないぞ!?」
垣根「オイオイ…なんの芝居だそりゃあ…よっぽど、愉快な死体になりてえみ
てえだな?おい?」
ガラの悪い男「ま、ま、待ってくれ!!あ、アンタを目の前にして嘘を言うつ
もりはねえ!!
た、確かにこのポケットの中に入れていたはずなのに…!!ま、まさか、落とした
のか!?逃げていた間に……がはあっ!!」バキイ!!
垣根「とんだ屑野郎だな、テメエは…。テメエみたいなカスを雇った『アイテム』
に同情するぜ、全く…。おい、どうしてくれんだ?ああ?
もし、あんなデータがアンチスキルやジャッジメントにでも渡りでもしたら、
テメエを何回殺してもつりあわねーぞ?おい…?」
19:
ガラの悪い男「ひ、ひいいいい!!ま、待ってくれ!ア、アンタたちから盗った
データは、小型の記憶チップの中にコピーしてある…
だ、だが、何も知らない奴が見ても分からねえように、偽装してあるんだ!!
…そう、見た目はただのゲームセンターとかのコインにしか見えないようにし
てあるから…」
垣根「…用は、人目に触れても簡単にデータを見られる心配はねえ、ってことか」
ガラの悪い男「あ、ああ…そ、それに、コインの内部には記憶チップのほかに
発信機も内蔵してある…奪取されたり、紛失したときのために……ほ、ほら、
こ、このレーダーを使えば、こ、コインの位置が分かるはずだ…!」
垣根「へえ、お前、大事なデータを落っとこすようなマヌケな割に、データ自
体にはずいぶんと慎重な細工をほどこしてるじゃねえか。
…最も、こっちはそのおかげで助かりそうだが」
21:
ガラの悪い男「…ぜ、全部、麦野とかいう女に指示されてやったことだ…
さ、さあ、もういいだろう!さっさと俺を解放してくれ!!」
垣根「ああ、そうだったな」カチリ
ガラの悪い男「な、なにを…!!や、やめ…!!!」
ダーーーン! ダーーーン!(銃声)
…………
25:
ドレスの女「あら、殺しちゃったの?意外ね、あなた、普段ならそんな三下見
逃すのに」
垣根「なんだ、来てやがったのか……ああ、コイツにはかなりムカついていた
からな。初めから見逃すつもりはなかったよ。余計な仕事を増やしやがって…!!
……もし、あのデータが『アイテム』に渡っていたら、かなりめんど
くさいことにもなってたぜ、絶対」
ドレスの女「まあ、いいわ。……それで?これからどうするの?」
垣根「まあ、後はコイツが落としたっていうコインを回収して問題は解決だ。
コインには発信機がついているようだし、回収は下部組織の連中にやらせるさ。
何も問題はない、もう俺達がやることは何もねえよ」
…………
28:
次の日
学園都市郊外 放課後
美琴「…ねえ、黒子。今日、セブンスミストに買い物に行かない??」
黒子「まあ!まさか、お姉さまの方から、買い物をお誘いして
いただけるなんて!……黒子は感激ですわ!!!」
美琴「あーもー、いちいちそのくらいのことでうっとしいわね、アンタは!
で、どうなの、行くの行かないの!?」
黒子「…いえ、お姉さま…せっかくのお誘いで申し訳なんですけど…これから
ジャッジメントのお仕事がございますので…」
美琴「え?何よ、アンタ。今日もジャッジメントの仕事があるの!?」
黒子「ええ、今日は非番の予定だったのですが…実は、さっき、固法先輩から
連絡があって、それによると、この近辺で殺人事件があったようですの」
美琴「さ、殺人事件!??」
32:
黒子「…固法先輩曰く、今日の朝、人気のない路地裏で、頭に銃弾を打ち込ま
れた男の死体が発見されたそうですわ。今日はその殺人事件について、アンチ
スキルと合同で緊急会議があるんですの」
美琴「さ、殺人事件だなんて…しかもこの界隈で……」
黒子「ええ…ですから、お姉さまも一人でこの辺をぶらぶらなんてせずに、
早く寮へ帰宅してくださいな。まだ、この近くに殺人犯がうろついているかも
しれませんし」
美琴「そ、そっか?殺人犯ね??、ね、ねえ黒子もし良かったら、私も捜査に…」
黒子「結構ですの!!…いいですこと、お姉さま。これはアンチスキルとジャ
ッジメントのお仕事ですわ!!いつも、いっておりますけど、お姉さまは一般
人!!ですから…」
美琴「あーはいはい、分かったわよ、ちょっと言ってみただけよ。なによ、こ
とあるごとにジャッジメント、ジャッジメントって…
…って、ああ、そうだわ黒子、ジャッジメントで思い出したけど、私昨日、
落し物を拾ったのよ、ほら、これ…」
黒子「な、なんですの、これ…コイン??」
37:
美琴「ええ、昨日、郊外を歩いてたら、ガラの悪い男とぶつかってさぁ、そい
つが気づかずに落としていったモノなのよね。なんだと思う、これ?」
黒子「なんだと思うといわれましても…通貨ではないようですし……黒子には
単なるゲームセンターか何かのコインにしか見えないですの。
…お姉さま、こんなモノ別に、落し物として届けなくても、テキトーにお姉さ
まがもらってしまってもよろしいのではないですか…?」
美琴「な!なに言ってんのよアンタは!!どんなモノでも落し物は落し物でしょ!?
ちゃんとジャッジメントの仕事しなさいよ、アンタは!!!」
黒子「わ、分かりましたわ…もう、お姉さまは変な所で真面目なんですから…」
黒服の男「失礼、お嬢さん」
美琴・黒子「?」
40:
黒子「何者なんですの、あなた。それに、私達に一体なんのようですの?」
黒服の男「単刀直入にいうと、お嬢さんがもっているそのコイン……実は私のな
んだ、返してもらえるかな?」
黒子「はあ?コインって……こ、このコインのことを言ってるんですの?この
なんの変哲もないコインが!?」
黒服の男「ああ、私の大事な宝物なんだ、返してくれ」
美琴「…ちょっと待ちなさいよ。私、このコインを落とした奴を見てるんだけど、
アンタじゃなかったわよ?…一体どういうことか説明してもらえないかしら」
黒服の男「……私は、その君が見たその男の仲間なんだ。彼がそのコインを落
とした、っていうから、一緒に探していたんだよ」
42:
美琴「へーー。それで、なんでアンタの大事な宝物を、アンタじゃなくて、
その仲間が持っていたのかしら?それに、アンタとあの男が仲間っていう証拠
もないしねぇ。
……そんなわけわかんない奴においそれと渡せると思ってんの!?」
黒子「……確かに、このチンケなコインにどんな価値があるのかは、ワタクシ
にはわかりませんけど…あなたのような得体の知れない男に、人の落し物
をあずけるわけにはいきませんわね」
美琴「(なによ、アンタ。さっきコインなんてもらっちゃえばいいとかいっ
てた奴のセリフには思えないわね)」
黒子「(気がかわりましたわ……お姉さま、この男、なにやらあやしいですの…!!)」
黒服の男「あーーもう、めんどくせえな。……仕方ねえ……おい!!」
ぞろぞろ……
(背後の物陰から、さらに数人の黒服の男達が出現する)
黒服の男達「…………」
43:
黒子「な、なんなんですの、こいつ等…!?」
美琴「黒子、どうやら、アンタの勘、あたったみたいね。確実に怪しいわよ、
コイツら!!」
黒服の男「おいお前等、やっちまえ。そんで、とっととコインを回収しろ」
美琴「はん!やれるもんならやってみなさいよ!!」パリッ…パリッ!!
48:
それから、数時間後……
暗部『スクール』のアジト
ドレスの女「……下部組織から連絡があったわ。コインは常盤台中学の女の子が
持ってたそうよ」
垣根「はあ?なんだそりゃ。なんだって、そんなことになってんだ?」
ドレスの女「さあ?けど大方、道端に落ちていたのを偶然拾っただけなんでしょ」
垣根「はー。まあ、どーでもいーや。で?下部組織の連中は、その女からちゃんと
コインを回収したんだろうな?」
ドレスの女「いいえ?」
垣根「ああ?なんだって?」
54:
ドレスの女「……回収は失敗した、って言ってるのよ。
……まあ、ここからの報告がおもしろいんだけど、偵察組の話によると、コイ
ン回収組の連中がその常盤台の女の子からコインを回収しようとしたところ…
…あっさり倒されちゃったらしいわよ?…その女の子に」
垣根「はあ?……おいおい、そりゃどういうことだ?いくら下部組織の連中と
はいえ、学園都市の裏社会で生きてる連中だぞ?数人でかかれば、そこいらの
能力者なんて問題ないくらいの実力はあるはずなんだがな」
ドレスの女「ふふふ……だから、おもしろいっていったじゃない。それで、
ここからがもっとおもしろいんだけど……
不審に思った偵察組の連中が、その女の子のことを調べてみたら、それが案の
定、そこいらの能力者じゃなかったみたいなのよ……
……あの常盤台中学のエース、御坂美琴だったんですって、その女の子」
56:
垣根「御坂って…?…まさか……あの『超電磁砲』か!?」
ドレスの女「そう、『超電磁砲』の異名をもつ学園都市第3位の超能力者。
……まさか、コインを拾ったのがそんな大物だなんて……こんな偶然ってある?」
垣根「はん!笑えねえな全然。んで?今コインはどうなったんだ?まだ、
その『超電磁砲』が所有してんのか」
ドレスの女「いえ、コインは今、『超電磁砲』と一緒にいたジャッジメントの
女に渡ったそうよ。
『超電磁砲』からコインを回収するよりは、難易度は低いかもしれないわね。けど……」
60:
垣根「ああ…コインを持ってたら、いきなり不審な男共に襲われたんだからな。
もう、感づいているかもしれねえ…
それが、それが単なるコインじゃないってことにな。こりゃ、回収を急がねえ
とまずいことになるかもな…」
ドレスの女「めんどくさがって下部組織の連中に回収を頼んだのがアダになっ
たわね。それで、どうするの?まだ、コイン回収を下部組織にまかせる?」
垣根「仕方ねえな……あんまり、こんなつまんねえことで動きたくねえんだが……
俺が直接行くしかねえか」
…………
76:
風紀委員活動第一七七支部
初春「…どうやら、このコインの中には記憶チップが内蔵されているみたいですね」
黒子「記憶チップ?」
初春「ええ。多分、何か重要なデータが入っている記憶チップが人目に触れて
も大丈夫なように、誰かがわざわざ偽装したんじゃないですか?……ほら、こ
れ、一見するとただのコインに見えますもんね」
黒子「それで、このコインの中のデータを解析することはできますの、初春?」
初春「…はい、今からやってみます」カタカタカタ……
黒子「すまないですわね、ただでさえ、例の殺人事件の会議の後で疲れている
というのに、こんなことやらせてしまって」
初春「いえ、このコインの件も気になりますから…」
83:
初春「…ところで、白井さん。今日は御坂さんと一緒じゃないんですか?」
黒子「お姉さまには無理を言って、先に帰ってもらいましたの……初春。
なにやら、ワタクシ嫌な予感がいたしますの」
初春「嫌な予感…??」
黒子「ええ……この近辺で起きた殺人事件といい、今日襲ってきた連中……そ
して、そのコイン……なにやら、ワタクシ達下っ端のジャッジメントが、知る
ことさえ許されないような……大きな犯罪組織の匂いがしてなりませんの……
…そんなモノにお姉さまを巻き込みたくないんですわ」
初春「し、白井さん…わ、私達が知ることさえ許されないなんて……考えすぎ
なんじゃ…
そ、それに、今回の殺人事件の話と関係してるなんて、深読みしすぎですよ!!」
黒子「え、ええ……確かに……初春の言うとおり、考えすぎかもしれませんわね…」
88:
黒子「(そういえば…お姉さまは、このコインを『ガラの悪い男が落としたのを
拾った』と言っていましたわ……つまり、お姉さまがコインを拾ったのは単なる偶然…)
それなのに、今日、襲ってきた連中……なんで、お姉さまがこのコインをもっ
ているのが分かったんですの…?
まさか…!?)」
初春「し、白井さん!!一部ですけど、コインの中のデータが解析できました!
け、けど見てください、これは、一体なんのこと…??」
黒子「学園都市……暗部……?『スクール』……???な、なんなんですの
これは??一体……!!?」
初春「が、学園都市に暗部組織…?そんなものが本当に実在するんですか、
白井さん!?」
黒子「そ、そんなの、ワタクシにだってわかりませんわ!!初春、コイン内の
データをすべて、解析してくださいまし!!解析がすべて終わったら、ただち
にアンチスキルに連絡を……!!」
バキィィ!!!!(ドアが蹴破られる音)
垣根「邪魔するぜぇ?」
黒子・初春「!!!」
98:
垣根「えーーと、『超電磁砲』は……ああ、一緒じゃあないのか、まあ、その
方が骨が折れなくて好都合だがな。
それにしても……なんだよ、もう気づいちまったのか?コインの正体に。
なかなか優秀なんだな、ジャッジメントってのも。…単なるガキの集まり
かと思ってたぜ」
初春「な、誰ですか、あなたは!!ジャッジメントの支部に勝手に進入してく
るなんて…」
垣根「ああ、ドアをぶっ壊したのと、勝手に進入したことについては謝るよ。
……けど、本当に悪いのはそっちだぜ?人のモノを盗ったあげく、ご丁寧にそ
の中身の解析まではじめちゃってるとは……全く、めんどくせえ仕事を増やし
てくれるじゃねーか」
黒子「……そういうことですの…あなたがこの『コイン』の本当の持ち主とい
うわけですのね?
(……ことごとくコインの場所が把握されている、ってことは、やはり、中に
発信機が内蔵されていましたのね…!!)」
102:
垣根「そう、物分りがいいな。分かったら、とっとと返してくれねえか、そのコイン。
まだ、解析も始めたばっかりみてえだし、今なら、コインさえこちらに渡せば、
見逃してやってもいい」
黒子「…おあいにく様、あなたのような犯罪者の言うことをおいそれと聞くわけ
にはいきませんわね?暗部組織『スクール』のメンバー、さん?」
垣根「はん!もう、コインからその程度の情報は得てたのか?けど、残念だっ
たな、組織の名前を知ったくらいじゃどーにもなんねーよ、
まして、テメエのような何も知らないクソガキにはな!」
黒子「あら、それでしたら、残りの情報はあなたを捕らえてから、みっちり聞
くことにいたしますわ。
……あなた自身の口から吐いてもらいますわよ、その『スクール』という組織
の全貌を…!!」
110:
初春「し、白井さん…!!」
黒子「初春!あなたは下がっておいてくださいな!!!そして、そのままコイ
ンの解析を続けるんですの!!」
初春「そ、そんな…!!白井さん!!白井さんが戦っている最中にそんなこと
できるわけ……!!」
黒子「いいですこと、初春!?あなたが今すべきことは、一刻も早くコインを解
析してアンチスキルに連絡することですわ!!この男はワタクシにまかせて、
早く!!」
初春「は、はい…!!!」
垣根「はは、おまえ、なかなかムカつく野郎だなぁ。そんで身の程知らずだ…
もうちょっと、『コイン』の解析が進んでいれば、せめて、俺が何者か、まで
情報が得られていれば良かったのにな!!」
……………
116:
その夜…
常盤台中学 寮内にて
美琴「……黒子、遅いわね。とっくに寮の門限も過ぎているのに…」
美琴「例の殺人事件の件で、会議が長引いているのかしら……」
ぷるるるるる……(電話の鳴る音)
美琴「電話…?初春さんから??………もしもし」
初春「み、御坂さん!!し、白井さんが…!!白井さんがあぁ…!!!!」
美琴「う、初春さん!?ど、どうしたの、落ち着いて!?黒子が、黒子がどう
したっていうの!??」
125:
学園都市 病院
黒子「………」
(怪我をした状態で、病室のベットで眠っている黒子)
先生「……とりあえず、命には別状ないみたいだけど…とりあえずはしばらく安静に
していたほうが良さそうだね…」
美琴「そ、そうですか……」
美琴「(……どうして……どうして……こんなことに……!!!)」
131:
病院の廊下
初春「ヒック、ヒック…ぐす…し、白井さん…」
美琴「う、初春さん、落ち着いて!!もっと詳しく事情を説明して!一体誰が
黒子をこんな目に…!?」
初春「…ぐす、ぐす…わ、私、白井さんがあの男の、し、白い翼に一方的にや
られるのを…た、ただ…ぐす、ぐす…見ていることしかできなくて……そ、その
上、こ、コインも奪われてしまって……な、何もできなかった…!!」
美琴「そ、それで、その男は……!!その男はどこに行ったの!?」
初春「そ、そんなの…!わ、分かるわけないじゃないですか!!コインを奪っ
たら…さわぎを聞きつけたアンチスキルが来るよりずっと早く、逃げてしまっ
たんですから!!…ぐす、ぐす…」
135:
美琴「落ち着いて、初春さん!!!!だ、だったら、解析したコインの情報で
なにか覚えていることはない!?なんでもいいわ!!とにかく、その『スクール』
ってやつらの情報について!!」
初春「…………ぐす…ぐす……そ、そういえば………解析中の情報の中に、何
かの場所を示しているモノがあったような…」
美琴「そ、それよ!!その場所が、奴等のアジトの位置を示しているのかもし
れないわ!!初春さん、その場所、思い出せる!?」
初春「……え、ええ…な、なんとか……け、けど、御坂さん!駄目ですよ、単身
で乗り込むつもりですか!?ここは、アンチスキルやジャッジメントに任せないと…!!」
美琴「……場所を教えて」
初春「み、御坂さん!!!」
美琴「……悪いけど、初春さん……そんなの待ってられないわ…。黒子があん
な目にあって…!
わたし今、久しぶりに腸が煮えくり返っているんだから…!!!!」
美琴「はやく、そのコインが示していた場所を教えて!!初春さん!!!」
初春「……御坂さん……!!」
…………
146:
暗部組織『スクール』のアジト
垣根「コインも無事回収したし……やれやれ…ようやく、一見落着か」
ドレスの女「それにしても、ジャッジメントの支部に単身で乗り込むなんて、
思い切ったマネしたわね。いいの?ニュースでも流れてるわよ」
垣根「ああ?…まあ、しょうがねえじゃねえか、取り返すにはあれしか方法が
なかったしな…確かに、少しやりすぎたかもしれねえけど」
ドレスの女「…それに、裏切った下部組織の男の死体も、回収しなかったせい
で、ニュースにとりあげられてるけど…いいのかしら?」
垣根「ああ、あっちはわざとだ。スパイを送り込むとかふざけたマネしやがっ
た『アイテム』への警告のつもりで、敢えて隠蔽しなかったんだよ」
ドレスの女「あら、けどまずいんじゃないかしら?少なくとも、今回の一件で、
学園都市に潜む闇の部分に気がついた人間は、少なからずいると思うけど?」
垣根「はん!分かってねえな。気がついた、っていっても所詮、片鱗に触れた
だけだなんだよ、そんな連中は。
……俺達が住む世界はもっともっと深い闇の中なんだ。到達できるわけはねえ
よ、俺達がいる、この深さまではな」
153:
ドレスの女「……あれ、そういえば、コインを回収するときに、『超電磁砲』
とはやりあわなかったの?」
垣根「ああ、ジャッジメントの支部には、高位の能力者は瞬間移動の女しかい
なかったな、大したことなかったけど」
ドレスの女「あら、つまんない。学園都市第2位と第3位。どっちが強いか楽し
みだったのに」
垣根「数字の上で並んでるだけだ。『超電磁砲』とは面識はないが、アイツの
能力じゃ俺の能力は攻略できねーよ。俺の『未元物質』はな。絶対的な差があ
るんだ、2と3の間には…」
ドカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!
ドレスの女「な、なんの音!!」
垣根「(まさか…!!)」
164:
ドレスの女「し、下の階からだわ!!誰かあがってくるわよ!!!……あ、
あの女は!!」
垣根「おいおい……マジかよ…!!噂をすれば、なんとやら、だな」
美琴「…初春さんが言っていた情報…どうやらビンゴだったみたいね……それで?
私の後輩をあんな目にあわせた糞ヤロウは、そこのアンタでいいのかしら?」
ドレスの女「『超電磁砲』…どうしてここが…!!」
167:
垣根「…はじめまして、だな『超電磁砲』。けど、突然なんの用だ?……ちな
みに下の階には結構な数の黒服の男達がいたはずなんだが」
美琴「……ああ、私がさっくりやっといたわ。大したことないのね、『スクール』
の一員ってのは」
ドレスの女「(あ、あれだけいた下部組織の連中を一人で倒したっていうの……!!?
そ、それもこの一瞬で……!!!)」
垣根「ははあ、やっぱり有名人はやる事が違うなぁ、『常盤台中学のエース様』
はよ。大したムカつきっぷりだぜ」
美琴「あら、ムカついてんのは私も一緒なんだけど?アンタ、誰の後輩に手ぇ
だしたのか、よく分かってないみたいね…!!」パリッ…パリッ…
175:
ドレスの女「…あらあら…ずいぶん、怒ってるみたいだけど……どうするの?」
垣根「お前は奥の部屋から、このアジトにあるデータを持って、他のアジトに
避難しておけ。……俺は、この世間知らずのお嬢様を始末してから行くわ」
ドレスの女「そう……二人の戦いが見れなくて残念……けど、ここにいても、
足手まといになるみたいだし、お言葉に甘えて、お先に逃げるとするわ」
美琴「私がぶっつぶしたいのは、アンタ一人なんだけど…別に2人がかりでも
良かったのよ?」
垣根「はん!身の程知らずのクソガキが。……まあ、もう無駄だと思うけど、
一応、最期に忠告しといてやる…『超電磁砲』、これ以上、俺に近づくな」
美琴「なに言ってんのよ!!今更、怖気づいたってわけ!??」
182:
垣根「違う…そうじゃねえ……言っただろ、これは、ただの忠告だ。…まあ、
正確には『俺達の世界』にこれ以上近づくなってとこか?」
美琴「なんですって…!?」
垣根「住む世界が違う、って言ってんだ、俺達とお前ではな。俺もさっきのド
レス姿の女も、お前がぶったおしてくれた下の階の連中も…
…お前が普段、得意げにぶったおしてるスキルアウトだとか、そこいらのゴロ
ツキ共とはわけが違うっていってんだ」
垣根「お前はなんにも分かってねえ…学園都市に潜む闇の世界のことをな……
…これ以上、単なる一般人であるお前が、この闇に触れないように、俺は
忠告してやってんだ、やさしいだろ、俺は?」
美琴「……ああ、そんな話どうでもいいわ、黙りなさいよ」
垣根「それと、あのジャッジメントの女をつぶしたことを怒っているんなら、
謝ってやってもいいぜ?
……けど、別に死んじゃいなかっただろ?さっきもいったが、俺は優しいからな、
もっと軽症で済まそうと思ったんだが、あの女が結構、頑張りやがってさ、
仕方なかったん…」
美琴「黙れ、つってんでしょうがああああ!!!!!!!!!!!!!!」
バリバリバリバリィ!!
187:
美琴「アンタたちが何者だとか!!!『スクール』がどうとか!!私には、
関係ないのよ!!!私はただ!!黒子を傷つけたアンタをぶっつぶさないと!
!気がすまないってだけなんだからねぇぇーーーー!!!!」
バリバリバリバリバリィィ!!
垣根「やれやれ、結局こうなるのか。まあ、元はといえば、偶然とはいえ
『コイン』を拾ったテメエが悪いんだ。
仕方ねえ、ここで死んでしまえ、『超電磁砲』」
(垣根帝督の背中から、白色の6枚の翼が広がる)
190:
美琴「!!!」
美琴「(な、なに…あの翼みたいなの……そうか、あれが、初春さんの言って
いたアイツの能力……!!)」
垣根「……どうした、こないのか?さっきまでの威勢はどうしたんだよ、お嬢様?」
美琴「コイツ……!!言われなくても、やってやるわよぉーーーー!!!!!!」
バリバリバリバリィィィ!!!!
(垣根帝督に電撃を浴びせる美琴)
垣根「ああ、やっぱすげーな。これほどの電撃を扱える能力者ははじめてみる
わ……だが」
(電撃を翼でガードする垣根) 
バリバリバリバリィィィィ!!!!!!!
垣根「俺には通用しねえ」
美琴「な…!!」
196:
美琴「(……む、無傷!?わ、私の全力の電撃を、あの翼だけで防いだ、っての?)」
垣根「ああ、なんだお前、その表情は?まさか、この程度のことで驚いちゃっ
てんのか?
……しょうがねえな……それじゃあ、今度はこっちから行くぜ?」
ゴオオオオオオ!!!!
(6枚の白い翼が、刃物のように美琴におそいかかる!)
美琴「くっ!!」
垣根「おお、結構、器用に避けるじゃねえか!!けど、もっとすばやく避けねえと
当たっちまうぞ?そらそらあ!!」
ゴオオオ!!!!
美琴「くそぉ!!(な、なんなの、あの白い翼は!?こ、こんな能力今まで見た
ことも聞いたこともないわ!!!)」
200:
……………
美琴「はあ、はあ…」
垣根「情けねえな、『超電磁砲』。さっきから防戦一方じゃねえか。まあ、
仕方ねえか。頼みの綱の電撃も、俺の『未元物質』で簡単に防げてしまうんだからな」
美琴「はあ、はあ…(く、くそ、コイツ…!!けど、今は一時的に攻撃がやんで
いる…!!今がチャンスだわ…!!)」
垣根「もう、奥の手とかねえのか?……ないんなら、俺も暇じゃねえんだ。
さっくり殺しちまうけど、いいか?…
……ん?なんだ、そりゃ?……コイン??」
美琴「はあ、はあ、望みどおりみせてやるわよ……私の奥の手を…!!!」
垣根「ああ、そうか、それが有名な『超電磁砲』ってやつか。いいぜ?撃って
みろよ、
……俺の『未元物質』とお前の『超電磁砲』…
…どっちが強いか、ここで白黒はっきりしとこうぜ、おい?」
美琴「!!……こ、この!!!なめてんじゃないわよぉぉ!!!!
くらえええーーーーーーーー!!!!!!!!」
ドゴオオオオオーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!
(垣根に向かって超電磁砲を発射する美琴)
211:
パキーーン!!
(超電磁砲を翼で弾き飛ばす垣根)
美琴「…………な…」
垣根「まあ、そういうことだ……すまねーな、『超電磁砲』」
美琴「……超電磁砲でさえ……キズ一つつけられないなんて……」
垣根「残念だったな。……確かに、本来なら今のお前の攻撃は、俺の体に大きな穴を
あけててもおかしくなかったんだがな。
あいにく、俺の『未元物質』には常識は通用しねえ」
美琴「なん…ですって……?」
垣根「まあ、細かいことを言ってもテメエには理解できねえだろうが……用は
テメエが何億Vもの電撃を操れようが、それは所詮、この世の常識の範囲でしか
ねえんだ。
…そんなんじゃ俺の能力にはおよばねえ、到底な」
212:
美琴「く……(そうか……!!)」
垣根「さーーて、おしゃべりはここまでだ。もう切り札も出し終わったみたい
だから、もういいよなあ?…さっさと死んでしまえ、『超電磁砲』」
ゴオオオ!!
(再び、6枚の翼が美琴に襲い掛かる)
美琴「くそ……!!!(…こいつの能力の正体はわからないけど……ひとつだ
け、はっきりしたわ……こいつの能力には…)」
美琴「(私の能力は通用しない!!)」
216:
ザクッ!!!
美琴「…………!!!!!!」
(白い翼の先端が、美琴のわき腹に深々とささる)
美琴「……が……は……」
どさっ(倒れこむ美琴)
垣根「やれやれ…やっとくたばったか……思ったより時間がかかっちまったな」
(6枚の翼を解除する垣根)
美琴「…………」
224:
垣根「まったく、手間かけさせやがって……ん?」
ぷるるるる……(電話の鳴る音)
垣根「もしもし…なんだお前か、どうやら、問題なく他のアジトに避難できた
みたいだな」
ドレスの女「そっちこそ、電話に出た、ってことはどうやら終わったみたいね」
垣根「ああ、たいしたことはなかったよ、『超電磁砲』も。…で?なんの用だ?」
ドレスの女「あなた、早くそこを離れないとまずいわよ。それを伝えようと思って」
垣根「ああ?どういうことだ?」
ドレスの女「アンチスキルが騒ぎを聞きつけてそこのアジトに向かってるみた
い、早く離れないと包囲されるわよ」
垣根「ああなんだ、そういうことか、分かった、すぐに退散するわ。それじゃあな」ピッ
垣根「……あーあ、ここまで騒ぎになったら、もうこのアジトは二度と使えねーな。
『超電磁砲』のせいで…今日はとんだ厄日だぜ」
227:
垣根「さてと、それじゃあとっとと退散しますか…ん?」
美琴「…………」
(ふと、倒れている美琴に目をやる垣根)
垣根「ははあ、このままほっといても出血多量で死ぬだろうが……まあ、学園都
市第3位の『超電磁砲』様の顔を立てる意味でも、直接この俺がとどめを差して
やるのが、せめてもの情けってとこか…
……感謝しろよ、『超電磁砲』?この、学園都市第2位、垣根帝督になぁ…!!!」
(倒れている美琴に近づく垣根)
垣根「じゃあな、『超電磁砲』…!!!!」
235:
ガシイ!!!!
垣根「な、なに!??」
(倒れたまま、垣根の足にしがみつく美琴)
美琴「…はあ、はあ…こ、この時を待っていたわ…!!アンタが『能力を解除した状態で』
私に近づくのをね…!!」
垣根「な…!!(こ、こいつまだ意識があったのか!!!!)」
美琴「そう、アンタが学園都市第2位なのね……まいったわ……わ、私の能力を
完全に防いだ人間は……アンタで3人目よ…!!」
垣根「こいつ……!!」
241:
美琴「た、確かに、私の能力はアンタの能力の足元にもおよばないわ……
それは認める…
け、けど……!!油断して自分の能力を完全に解除している今のアンタなら!!
私の電撃も通用するはず!!!」
垣根「な…!!ふ、ふざけんなぁ!!!クソガキがぁぁぁ!!!!!!
くたばれ『未元物…』」
美琴「遅い!!!!!!!!!!」
バリバリバリバリバリィィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!!
垣根「グアアアアアアアアアアアアああーーーーーー!!!!!」
251:
垣根「グアアアアーーー!!!ぐ、こ、このクソガキがああああ!!!!!!!
俺から離れやがれええええーーーー!!!!!!!!!!!!!!!」
バキイ!!!!!!!
(足にしがみつく美琴を蹴り飛ばす垣根)
美琴「がはあ!!!!」
垣根「はあ、はあ…!!」
美琴「…………」
垣根「はあ……はあ……な、なんてやつだ…あ、あの状況下で、反撃する機を
うかがってやがった、だと…??まさか、こんなクソガキが、捨て身の攻撃を
してくるなんてな…!」
258:
垣根「(まさか、こいつ、わざと俺の攻撃をくらったのか…!?わざとわき腹を
貫かれて、俺が能力を解除するくらい、油断させるために…わざと…!!)」
垣根「(だとしたら、『超電磁砲』………想像以上に戦いなれてやがる!!!
俺に能力を完全に攻略されて、ただ絶望にうちしがれるだけのガキかと思って
たが……!!能力同士の戦いじゃ、俺に勝てないと割り切った上で俺を倒しに
かかりやがった!!
……その辺のゴロツキして相手にしたこともないお嬢様どと思っていたが…!
過去に俺以外にも、自分と同等以上の相手と戦った経験があったってことか…!!)」
垣根「く…!!キズを負っていて、フルパワーじゃなかったのが不幸中の幸いだったか…
…でなければ、やられていた…!!
はあ、はあ…く、くそ……『超電磁砲』……甘く見ていたよ、完全に…!!!」
美琴「…………」
261:
垣根「まずいな……もうすぐアンチスキルがここに来る…!!早く、ここを離
れねえと…!!)」
美琴「ま……ち……な……さい……」
垣根「……!!」
垣根「はあ、はあ…て、てめえ……ま、まだ、意識がありやがったのか……!!」
262:
美琴「あ……んた……を……このまま……に……がす…わけ…には…」
垣根「こ、コイツ…!!!!」
美琴「く、……黒子の…か……た…き…を…」
垣根「(このクソガキが……!!!!)」
垣根「はあ、はあ……全く……大したやつだなテメエも…!!!俺をここまで
追い詰めたのは、い、今のところ、お前がはじめてだ、『超電磁砲』……!!
いや、御坂美琴っていったか……覚えといてやる……!!!
……ホント、大したムカつきっぷりだよ!……いずれ、てめえは必ず、俺がぶ
っ殺す!!!それまで…せいぜい、甘ったるい学生生活を楽しむこったな!!!!」
……………
267:
………………
さかさん…御坂さん……
初春「御坂さん!!!!」
美琴「う、ううん……って、う、初春さん…?」
初春「御坂さん!気がついたんですね!!!良かった、もうずっと意識がないままだったから…
…本当に良かったです…!!」
美琴「う、初春さん…わ、私……どうして…それに…こ、ここは?」
初春「ここは病院ですよ、御坂さん!…アンチスキルの方が、敵のアジトに倒
れていた御坂さんを見つけてここまで運んでくれたんです!
…それから御坂さんは5日、意識を取り戻さないままだったんですよ!!」
美琴「い、五日も……あれから、五日も立つの…?そ、そうか…私あの時、あ
の垣根とかいう男にやられて…」
268:
美琴「…黒子は……?」
初春「白井さんは大丈夫です。…今は眠っていると思いますけど……一昨日、
意識を取り戻しましたんですよ…
…それより、白井さんより御坂さんの怪我のほうが…」
ガラァ!!(ドアの開く音)
黒子「お、お姉さまあああ!!!意識を取り戻したんですのね!!!」
美琴「く、黒子…?」
初春「し、白井さん!!だ、駄目ですよ!!病室からでちゃ!!まだ安静してないと…!!」
黒子「お姉さま…ぐす…ぐす…た、単身で敵のアジトに乗り込むなんて…
…な、なんて無茶を…!!そんなキズだらけになって……黒子は……黒子は…
とっても心配したんですのよ…!!」
美琴「なに言ってんの…アンタの方こそキズだらけじゃない…」
272:
黒子「お姉さま……!!本当に申し訳ないですわ…!!こんな事件にお姉さま
を巻き込んでしまって……!!本当にごめんなさいですの……!!」
美琴「違うわ黒子、アジトに乗り込んだのは、私が勝手にやったことなんだか
ら、アンタのせいなんかじゃないわ…」
美琴「それに……あやまらなきゃいけないのは私の方よ、ごめんね…黒子……か、仇を
…とってあげられなかった……私、負けちゃったみたい…」
黒子「か、仇だなんて……お姉さま……!!く、黒子は…!!黒子は、お姉さ
まさえご無事であれば……!!う、うう……」
美琴「……黒子」
276:
………
美琴「(あの時…私の決死の攻撃でも、アイツを倒すことはできなかった……
アイツ、私を殺して逃げることくらいの力はまだあったはずなのに…)」
美琴「(もしかして、見逃してくれたっての……?)」
………
278:
それから数週間後…
美琴が入院している病室
初春「…垣根帝督?」
美琴「ええ……実は、アイツと戦った最後のほうはあんまり覚えてないけど…
確かにそう名乗ったわ、学園都市第2位だって……その名前を手がかりに『スクール』
とかいう組織のこと、何か分からないかしら…?」
初春「確かに、その垣根という男については、素性を調べる必要があるみたいですね。
……けど…」
美琴「……けど?」
黒子「お姉さまには申し訳ないですけど…おそらく、その程度の情報では何も
分からないと思いますわ……」
279:
初春「……わたしが、もっとコインのデータを解析できていれば何かつかめた
かもしれませんが……結局分かったことといえば、『スクール』という名前と
、御坂さんがつぶしたアジトの場所くらいですから…」
黒子「そのアジトにも、手がかりとなるような資料は得られなかったみたいですし……
お姉さまが倒した下っ端の連中の取調べも、あんまり進んでないみたいですの。
……おそらく、重要なことは、何も知らないのかもしれないですわね」
初春「殺人事件の死体の身元もまだ良く分かってませんし……あの『スクール』
という組織と関係があるのかについては、推測の域をでませんしね」
美琴「そっか……それじゃあ、完全に八方手詰まりってわけね……」
初春「それに…アンチスキルも、心なしか、今回の事件の捜査にあまり積極的
でないような気がするんです……メディアの報道もあまりありませんし……」
美琴「え?それってどういうこと?」
黒子「つまり、今回の事件について、あまり首をつっこむな、というどこかし
らの圧力がかかっているのかもしれない、ということですわ」
美琴「あ、圧力……って?一体どこの誰が、そんなことを…??」
282:
黒子「さあ、そこまではわかりませんわ。けど、今回の事件で黒子は感じましたの。
……この学園都市に潜む『闇』の世界の存在を…
…なんといいますか……ワタクシたち表の世界で生きる人間が、むやみに首を
突っ込むのも許されないような…そんな闇の世界があるような…
…そんな気がいたしましたの」
初春「白井さん……」
美琴「(そういえば、アイツもそんなことを……住む世界が違う、とかなんとか
言ってたような……)」
美琴「学園都市の……闇……か」
284:
初春「……けどまあ、良かったです!!白井さんも御坂さんも大事にはいたら
なくて」
美琴「そうね。私もあと1週間くらいで退院できるみたいだし……ところで、黒子」
黒子「え?なんですの、お姉さま?」
美琴「アンタも一応、私ほどじゃないにしても、まだ入院患者なんだから……
さすがに私の病室にたむろしてるのはまずいんじゃないの!?さっさと、
自分の病室に帰りなさいよ!!」
黒子「嫌ですわお姉さま……黒子はもう身も心も万全ですのよ?…
…あ!そうですわ、お姉さま、ワタクシお姉さまのために果物をお
持ちいたしましたの!!黒子がお姉さまのためになにか剥いてさしあげますわ!」
美琴「いや…だから、病室に帰りなさいって……それに、さっき昼ごはん食べた
ばっかりなんだからいらないし…」
初春「(白井さん…その果物、前に私が白井さんのお見舞いにあげたものなのに…)」
黒子「……さ、お姉さま、りんごを剥きましたわ!さあさあ、
お召しになってくださいまし!黒子があーーんしてあげますわ、あーーん!!!」
美琴「だから、いらないって……!」
285:
ガラッ!!(病室のドアが開く音)
上条「おっす、ビリビリ!!元気にしてたか!!!」
美琴「!!!!!!!なッッ!!!!!あ、あああアンタ一体なんで…!!」
上条「いや…最近お前が、入院したって話を聞いて、心配してお見舞いにきた
んだよ、
…けど、なんか、結構元気そうで安心したぜ!」
美琴「ししし心配したって……/////わ、私のことを……!??」
上条「ああ。…あ、あと、それと、お見舞いの品も持ってきたぞ、ほら、果物の
詰め合わせ!!ほら、入院患者に果物って定番だろ?なあ??」
美琴「う、うん……///////ありが…」
黒子「きええええええーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!」
289:
初春「し、白井さん……!!???ど、どうしたんですか、そんな大声だして!?
やめてください!!キズが開きますよ!??」
黒子「はあ、はあ…く、く、果物ならあ!!!果物ならもう、間に合ってますのぉぉぉ!!!!!
か、上条さんは、とっととその果物をもって帰って、飼い猫にでもやればいいんですの!!!」
上条「おいおい……白井…そんな言い方はねーじゃねえか。せっかくもってき
たんだから、もらってくれよ…
…そうだ御坂、なにか剥いてあげようか、なにがいい?りんごなんか……」
美琴「え…あ……うん……/////あ、あ、アンタが剥いてくれるのよね…?
だったら」
黒子「お姉さまァァアア亜くぁあああああーーーーーー!!!!!黒子のお!!
黒子の剥いたりんごはあああ!!!!『あーーーーん』はあ!!『あーーーーん』
はどうなるんですのおお!!!!!!」
初春「し、白井さん!!だ、だから、これ以上大声あげるとまたキズ口が……!!」
294:
上条「おいおい、白井。さっきから、なに大声あげてんだよ……そうだ、お見
舞いの品なら、お前にも果物をもってきたから………って、ひいい!!!」
黒子「どりゃあああーーーーー!!!!消えろ、この類人猿がああああーーーーーー!!!!!」
(上条にドロップキックをかます黒子)
美琴「く、黒子!?」
初春「し、白井さん!!これ以上は……!!!」
ボキボキボキボキィィィ!!!!!
美琴・初春「…………え?」
上条「……?」
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