花陽「優しい嘘」back

花陽「優しい嘘」


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今日は4月1日。
私と凛ちゃんは、今日から音ノ木坂学院の1年生!
――のはず、なんですけど。
学校の入学式は4月6日なので、まだオトノキ生だっていう実感がありません。
だから、凛ちゃんと二人、こうやって。
タグを取ったばかりの青いリボンと、シワのないブラウス。
まだパリパリのプリーツスカートと、新品の匂いのするブレザー。
お気に入りの眼鏡をかければ――
じゃん♪
どこをどう見ても、立派な音ノ木坂学院の生徒ですっ!
昨日届いた音ノ木坂の制服を、どうしても着たくって。
凛ちゃんを私の部屋にお招きしてのプチファッションショー、です!
4:
凛「わ?!かよちん、すっごいかわいいにゃ?!」
花陽「えへへ、そうかな?」
花陽「でもほら!凛ちゃんも、とっても似合ってるよ♪」
凛「照れるにゃー///」
花陽「うん、やっぱり凛ちゃんはスカートとか似合うよ」
凛「えー?凛より、かよちんのほうが似合ってるよー」
花陽「そうかなぁ?」
凛「そうだよそうだよ!」
凛「あ、高校生になったんだし、ついでに眼鏡も外しちゃえばいいんじゃない?」
花陽「――えっ?」
凛「凛は、眼鏡がないかよちんも好きだよ!」
花陽「だ、ダメだよぉ。きっと私には似合わないよ」
6:
凛「そんなことないってばー」
凛「かよちん、もともと可愛いんだから、眼鏡でその可愛さを隠しちゃダメ!」
凛「眼鏡外したら、きっともっと自信も付くよ!」
なんて、凛ちゃんにまくし立てられて――
なんにも言えなくなっちゃった。
そうかな、とも。
そんなことない、とも。
モジモジと視線を動かすと、ふと自分の姿が目に入りました。
鏡に映る私と、鏡の隣にいる凛ちゃん。
見比べても、やっぱり凛ちゃんのほうが似合ってると思うのに――
そんなことを思いながら鏡を見ていると、カレンダーが見えました。
8:
凛ちゃんとの約束事がある日は、全部赤いマルをつけています。
今月は今日と、4月6日の入学式。
今のところはこれしかマルがついてないの。
4月6日は、凛ちゃんと一緒に初登校しようね!って、約束している日です。
それ以外に赤いマルがついている日。
つまりそれは、4月1日、今日でした。
たった今まで忘れてたんだけど、そういえば今日はエイプリルフール。
嘘を吐いても許される日、だよね?
凛ちゃんはきっと、少しでも私が自分に自信を持てるように、って――
そういう嘘を吐いてるんだよね?
花陽「ねぇ、凛ちゃん?」
凛「にゃ?」
花陽「それ、嘘なんでしょ?」
凛「――どうして、そんな風に思うの?」
9:
花陽「だって今日は、エイプリルフールでしょ?」
花陽「だからきっと凛ちゃんは、優しい嘘で私を励ましてくれてるんだよね?」
凛「違うよ……」
花陽「そうじゃなきゃ、凛ちゃんが私のこと、可愛いだなんて――」
凛「違うよっ!」
ビクッ!
初めて聞いた、凛ちゃんの怒った声。
涙を溜めた目を吊り上げて、私を睨んでる――
凛「凛はっ!凛は思ったことを言っただけだよ!」
凛「嘘なんかじゃないもん!」
凛「かよちんはこんなに可愛いのに、どうして自分の可愛さに気がつかないの!?」
花陽「だ、だってそれは、全部、凛ちゃんの嘘――」
11:
凛「かよちんのバカ!」
花陽「――凛、ちゃ」
顔を真っ赤にして、大粒の涙をポロポロとこぼしながら。
凛「かよちんなんか――だーいっきらいっ!」
そう叫んで、制服のままで部屋を出て行きました。
凛「おじゃましましたっ!」
バタン。
ああ――。
どうしよう。
私、凛ちゃんに、大好きな親友に……嫌われちゃった。
12:
凛ちゃん……
なんて言って謝れば、許してくれるんだろう。
それとも、大好きな親友を「嘘つき」呼ばわりした私のことなんて、ずっと許してくれないのかな。
どうしよう。
――はぁ。
部屋の隅っこのほうで小さくなってると、メールが一通届きました。
もぞもぞと、イモムシとかナメクジとかと同じくらいのスピードで携帯まで這っていくと――
メールの送り主は。
花陽「――凛、ちゃん?」
絶交だよ、とか書いてあるのかな――?
なんてネガティブになりながら、恐る恐るメールを開きます。
13:
凛『時計台のある公園で待ってないからね』
普段は絵文字とか顔文字とかで賑やかな凛ちゃんからのメールだけど。
小さな携帯の小さな液晶に表示された、質素な2行の文章には、凛ちゃんが怒っているのが手に取るように分かりました。
これは……。
えっと、どう解釈したらいいのかな、って考えていると、また凛ちゃんからメールが来ました。
凛『絶対にお昼までに来ないでね』
そっか、今日はエイプリルフールだからって、逆のことを書いてるんだね。
お昼って、12時でいいのかな?
時間を確認すると、なんと11時43分。
あと15分しかないの!?
あ、凛ちゃんのお洋服とかどうしよう!
そういえば、私もまだ制服のままだった!
でも。
もし間に合わなかったら、本当に仲直りできないような――
そんな予感がして。
14:
とりあえず、これから行くよって意味をこめて、凛ちゃんにメールを返信します。
もちろん、逆のことを書いて。
花陽『わかりません。12時に間に合わないように行きません』
送信、っと。
ボタンを押してからふと思ったけど。
間に合わないように行かない、って、間に合うように行く、ってことかも?
あれ?それでいいのかな?あれ??あれ???
うぅ……頭がこんがらがっちゃった。
と、とにかく!
今は急いで、凛ちゃんの待ってる公園に行かなきゃっ!
15:
はぁ、はぁ……
公園に着いたけど、時間は間に合った?
凛ちゃん、どこにいるの――?
嘘つきって言ってごめんなさいって、謝りたい。
公園の中をざっと見渡すと……いた。
ベンチに座って、携帯を片手に首をひねっていました。
もしかして、私がさっき送ったメールで混乱させてる……の?
ごめんって言うときは、それも一緒に謝らなきゃね――
花陽「凛ちゃん!!!」
凛「……かよちん」
花陽「あの、凛ちゃん、」
ごめんなさいっ!と続ける前に。
凛「すとっぷ!」
言葉が遮られてしまいました。
16:
凛「凛知ってるよ」
凛「エイプリルフールって、午前だけ嘘を吐くことが許されてるんだって」
凛「だから――」
チラリと、私の後ろにある時計を見ます。
キーン、コーン、カーン、コーン……
正午を告げるチャイムが、公園中に響きました。
凛「ね?これで嘘はもう吐けないよ?」
にっこりと、いつもの笑顔でピースサインを作ってくれました。
花陽「……うんっ!」
18:
花陽「あの、ごめんね、凛ちゃん……」
凛「どうしてかよちんが謝るの?」
凛「勝手に怒って出て行ったのは、凛なんだよ?」
花陽「凛ちゃんのこと、嘘つき呼ばわりしちゃったから」
花陽「それで凛ちゃんは怒っちゃったんだよね」
花陽「だから、ごめんなさい」
凛「ううん、凛のほうこそ、ごめんなさい」
花陽「な、なんで凛ちゃんが謝るの!?」
凛「だって凛、かよちんに酷いこと言ったんだよ?」
凛「バカ、って」
凛「――だいっきらい、って」
凛「だから、ごめんなさい」
19:
花陽「それはちがうよ!」
花陽「私が嘘つきだなんて言わなければ、凛ちゃんは怒らなかったもん!」
凛「それでも、凛は怒っちゃったんだよ!?」
凛「かよちんに酷いこと言ったのは、変わらないんだよ!?」
凛「だから、凛がごめんなさいするの!」
花陽「怒る原因を作ったのは私だから、私がごめんなさいって言わなきゃダメだよ!」
凛「怒ったほうが悪いに決まってるもん!」
花陽「そんなことないよっ!」
凛「そんなことあるのっ!」
20:
なんだかこのままだと、お互いがごめんなさいし続けそうな気がして……
だから、凛ちゃんに提案してみる。
花陽「ねぇ、凛ちゃん?」
凛「ん?」
花陽「一つ提案なんだけどね」
凛ちゃんから教えてもらったこと。
『エイプリルフールって、午前だけ嘘を吐くことが許されてるんだって』
これを逆に捉えれば。
花陽「さっき、私と凛ちゃんが言ったことは、全部嘘にしちゃわない?」
凛ちゃんの大きな目が、更に大きく見開かれて。
すぐにハの字になっちゃった。
凛「……うん?今日のかよちん、なんか難しいことばっかり言ってるよ??」
花陽「えぇ?そうかなぁ……」
21:
花陽「私が凛ちゃんに言った、『嘘つき』っていうのは、嘘だったの」
花陽「凛ちゃんが私に言った、『大嫌い』っていうのも、嘘だったの」
花陽「そうすれば、ほら!」
ぎゅっ、と。
凛ちゃんの手を取り、思いっきり握り締めるの。
花陽「――ね?いつも通り、だよね?」
凛「かよちん……」
私にしては、なかなかいい案だと思ったけど。
――あれ?あんまり、反応が薄い???
と思った直後のこと。
ぎゅーっ!って、凛ちゃんに抱きしめられちゃった。
22:
凛「……いつも通りとは、少しだけ違うよ」
花陽「え?そう、かな?」
凛「えへへ、だって!」
凛「だって凛は、前よりもーっと!」
ぎゅーっと、力強く抱きしめられます。
そ、そろそろ苦しいよぉ……
凛「優しいかよちんのことが、だーいすきになっちゃったもん!」
23:
―――
真姫「ふぅん。一年前に、そんなことあったんだ」
真姫「あなたたちらしいっていうか、なんていうか」
花陽「それでね?この後、また花陽の家に行って、二人でごめんなさいして、仲直りしたんだよ」
凛「ねーっ!」
凛「で、それから、制服のままでお出かけしたんだよねー?」
真姫「だからなのね……」
はぁ。って、ため息を吐くがわかっちゃいました。
真姫「春休みだっていうのに制服で遊ぼうなんて、変だと思ったのよ」
真姫「……エイプリルフールの嘘だったら、絶交してたわよ?」
凛「あー、そういう嘘も面白かったかもしれないにゃー」
真姫「りーんー!?」
花陽「でもね?今日制服着るのには、ちゃんと意味があるんだよ?」
真姫「……そうなの?」
25:
凛「そうだよ!だって今日から凛たち、2年生なんだよ!」
真姫「そんなにこの赤いリボンが珍しいかしら?今まで散々見てたじゃない」
花陽「うん、穂乃果ちゃんたちの赤いリボンを見てたけど」
花陽「私たちが赤いリボンを付けるのは、今日が最初なんだよ?」
凛「ねぇねぇ真姫ちゃん!どうかな?凛に赤いリボン、似合う?」
真姫「ええ、似合うわよ。……なんか少し、違和感あるけどね」
花陽「今までずっと青いリボンだったからじゃないかな?」
凛「でも真姫ちゃん、赤いリボン似合うにゃー!」
真姫「そ、そう?ま、トーゼンよね?」
真姫「……意外だった、って言ったら失礼だけど、花陽も似合ってるわね。赤いリボン」
花陽「えへ、そうかな?ありがと、真姫ちゃん♪」
凛「そうだ、プリクラ撮ろうよプリクラ!2年生記念にゃー!」
26:
真姫「ちょっと、押さないでよぉ!」
花陽「わわっ、引っ張らないでぇ!」
凛「れっつごーにゃー!」
3人で秋葉原の街を歩いていると。
ふと視界に入る、音ノ木坂の制服を着た女の子二人。
まだパリパリのプリーツスカートと、新品の匂いのするブレザー。
シワのないブラウスと、白に映える青いリボン。
あぁ。彼女たちが、新しい音ノ木坂の新入生なんだね。
ちょうど一年前の私と凛ちゃんを見ているようで……
これから楽しいこと、いっぱいあるよ!がんばってね!
そんな風に、心の中で応援しちゃいました。
花陽「優しい嘘」 おわり
27:

ほっこりした
31:
よかった乙です
32:

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