吹寄「上条当麻……か」back

吹寄「上条当麻……か」


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1:
姫神「あなたは最近。上機嫌ね」
吹寄「そうかなのか? ……大覇星祭は散々だったからな。次は頑張りたいと思っているからな」
姫神「そうかしら。もっと別のことかも」
吹寄「別のこと? 他に何があるというのだ?」
姫神「好きな人とか。いるの?」
3:
吹寄「いるわけないだろう」
土御門「当たり前だにゃー。むしろ居てもらっちゃ困るぜよ」
青髪ピアス「いいんちょは唯一、カミやんに対する耐性を持っているんやからなー」
青髪ピアス「まさに最後の砦やでー。それが崩されたらボクぁ、ボクぁ……!」
吹寄「……それは私が恋愛をしては行けないみたいな言い方じゃないか?」
土御門「まあ、カミやん争奪戦は激しいぜよ。迂闊に手を出しても痛い目みるだけだにゃー」
4:
土御門「所でカミやん、吹寄のこと、どー思ってんのかにゃ?」
上条「どうって……単なるクラスメイトだろ? それ以上でもそれ以下でもねーよ」
土御門「そうだにゃー。ちなみに他のクラスの女子は?」
上条「同じだろ? 別に皆同じクラスメイトだろ」
土御門「そうかにゃー(……自覚無しぜよ。相当厄介ぜよな)」
6:
禁書「おかえり、とうま!」
上条「ただいま。すぐ飯作るから待ってろよ」
禁書「ご飯なんだよ!もう待ちきれないんだから!」
上条「はいはい(ったく、インデックスも少しは手伝えよ……)」
上条(こういう時に手伝ってくれる人がいればな……吹寄とか料理得意そうだけど)
上条(通販で色んな料理器具買ってそうだし……それに比べてうちの居候は)
禁書「ご飯が待ちどおしいんだよ! ね、スフィンクス!」
スフィンクス「にゃー」
8:
上条「はい、どうぞ。上条さん特製、麻婆豆腐(三人前)だ!」
禁書「うわぁ!美味しそう!いっただっきまーす!」
スフィンクス「にゃー!」
バクバクムシャムシャ。ごくん。
禁書「ご馳走様ー! 今日も美味しいご飯ありがとね!」
上条「はいはい。それじゃ、片付けるか」
禁書「片付けぐらいは手伝うよ!」
上条「おぉ、ありがとな」
11:
Prrrrrrrrrrrr Prrrrrrrrrr
上条「あ、電話だ。インデックスちょっと出てくれ」
禁書「はーい! もしもーし!」
吹寄『すいません、上条さんのお宅ですか?』
禁書「うん。そうなんだよ? あなたは誰?」
吹寄『上条さんのクラスメイトの吹寄と申します。えーっと、妹さん?』
禁書「違うんだよ。私はIndex-Librorum-Prohibitoru、魔法名は献身的な子羊は強者の知識を守る(dedicatus545) なんだよ」
吹寄『いんでっくす?魔法名?』
上条「インデックス、誰と話してるんだ?」
13:
禁書「あれ? あなた、わからないの?」
吹寄『は、はぁ……(何だこの子……話してもダメみたいだな)』
吹寄『すいません、上条当麻さんに変わってもらえますか?』
禁書「とうまね! わかった……とーま!電話!」
上条「電話? 誰からだ?」
禁書「えっとね、くらすめいとのふくよりせいりって人!」
上条「吹寄? わかった、すぐ行く」
15:
早く参考画像くらはい
19:
>>15
21:
上条「はい、もしもし。上条です」
吹寄『やっとか。全く。貴様は何をやっているのだ』
上条「悪い悪い。インデックスの奴が何か変な事言ってなかったか?」
吹寄『色々と。魔法名だの……あの子は何だ?』
上条「えーっと……妹!」
吹寄『先ほど本人が妹ではないと言っていたが。それに貴様にはインデックスという外国人の妹がいるのか』
上条「うっ……え、えっとですねー話すと長くなる訳で、聞きますかねー?」
吹寄『遠慮しておこう。明日の連絡網だ。委員長である私から回すようにいわれたのでな』
上条「あ、ああ」
23:
吹寄『―――……ということだ。くれぐれも準備をし忘れぬように』
上条「わかった、ありがとな。吹寄」
吹寄『あくまで委員長の仕事だ。礼を言われる筋合いは無い』
上条「そっか。それじゃあ、おやすみ」
吹寄『明日も遅刻をしないようにな。一緒に進級出来なくなるのは悲しいぞ』
上条「ああ。気をつけるよ」
吹寄『精々頑張る事だな。それでは』
ガチャ
27:
上条「それはさー、自分が注意しろって言われると、こういう事態が起きる不幸体質なのは知ってますよ」
上条「まあ、色々あったから何だか慣れちまってるけど、マズイよな……」
上条「久々に叫ぶかな……不幸だぁぁ!」
禁書「ど、どうしたの!? とうま!?」
上条「悪い。例によって目覚まし時計が壊れた。冷蔵庫にある物で朝飯と昼飯はどうにかしてくれ」
上条「どうやらこのままだと遅刻しちまいそうだ。行って来ます!」
禁書「いってらっしゃーい。……全く、とうまはだらしがないんだよ」
スフィンクス「にゃー」
33:
上条「―――ッだァァァ!!」
上条「どうだ、間にあっ――― デデーン
土御門「上条、アウトー」
小萌「はい、上条ちゃん遅刻ですねー。また寝坊ですかー?」
上条「違いますよ! 目覚まし時計が壊れて……!」
小萌「はいはい。次からは三つぐらい目覚ましを用意してくださいねー」
上条「不幸だ……」
37:
昼休み
土御門「あれ? カミやん、昼飯はどうしたにゃー?」
上条「……昼飯どころか朝飯すら食ってねーよ」
青髪ピアス「なら学食で何か買ってくればいいやん。たくさんあるでー」
上条「……財布を家に忘れた」
土御門「うわっ。ちなみに俺は弁当やらないぜい。舞夏の特製弁当ぜよ!」
青髪「すまんなーカミやん。わいも一人分しかないんやで」
上条「……不幸だ」
40:
上条「あー、インデックスさんは今頃、我が家の冷蔵庫を漁ってるんだろうなー」
上条「冷蔵庫の中、何が残ってたっけ……。アイツ、レンジ使えないからな……」
上条「あー、カップ麺とかがあるか。確か4つぐらい買い置きしてたよな。アイツなら全部食べそうだが」
吹寄「どうした? 上条当麻。貴様にしては珍しく元気がないな」
上条「あー、吹寄さんですか。飯食わなければこんな物ですよ」
吹寄「……なるほど。弁当を忘れたんだな。仕方ない、私が分けてあげよう」
41:
上条「え!? いいいんでせうか!?」
吹寄「ああ。少し多めに作ってしまってだな……貴様が食べたいというのなら」
上条「是非! 是非ともお願いします、吹寄センセー!」
吹寄「まあ。いいだろう。……そういえば昨日、私があれだけ注意したのに結局遅刻してきたな」
吹寄「罰ゲームを加えようか。……羞恥プレイ、というやつだな」
43:
上条「羞恥プレイ!? な、高校生なのに何という事を……!?」
吹寄「例えだ。さあ、昼飯を食べたければ目を閉じて口をあけろ」
上条「え、あ。はい。……あー」
吹寄「ほれ」 
上条「う、むぐむぐ……おぉ! 上手いぞ!」
吹寄「そうか。それはよかった。さあ、次も行くぞ」
上条「……って、これ俗に言う「あーん」じゃないか!?」
吹寄「そうだが? 何か問題でも?」
上条「問題って……!? こんな恥ずかしい事が出来ますか!?」
吹寄「そうか。私はこの方法以外で貴様に昼飯をあげる気は無いぞ」
上条「すいません。お願いします」
46:
上条「ご馳走様でした。本ッ当に助かりましたぁ!」
吹寄「それは何よりで。次からは忘れないようにしないさいよ」
上条「わかりました!」
吹寄「よろしい。それじゃ、午後の授業始まるから」
上条「ありがとーございましたー!」
48:
放課後
上条「あー、よかったァ……!」
土御門「死ねェェェェい! 恨みの土御門キィーック!」
どかっ
上条「ぐぼべっ!?」
青髪ピアス「カミやぁぁぁぁん! 身長180cm超ボディプレース!」
どすっ
上条「ぐはぁっ!?」
上条「お、お前ら何すんだよ!?」
土御門「何するんだよじゃないぜよ……ついにこのときが来ちまったか、みたいな感じぜよ」
49:
上条「この時って……!?(まさか、また魔術関連で……!)」
青ピ「ついにいいんちょ攻略か、カミやんは誰にも止められへんわ」
上条「い、委員長? 吹寄のことか? 攻略って、お前ら何言ってんだよ?」
土御門「……自覚無しぜよ。全く歩いた後にはフラグしか残らないって実はカミやん能力者じゃないかにゃー」
青ピ「あり得るでー。恋愛御手(フラグアッパー)レベル5やな」
上条「はァ? お前ら、何言ってんだよ。全く……」
53:
上条「全くアイツら何だってんだ……夕飯の買い物して帰るかな」
上条「えーっと、今日は何にしましょうかね?」
上条「お、タイムセールで半額か。あれ買ってけばいいかな」
から揚げ二人前パック半額!
上条「おし、最後の一個!」吹寄「よし、最後の一個!」
上条・吹寄「え?」
54:
上条「ふ、吹寄!?」
吹寄「か、上条当麻!?」
上条「弁当の礼もあるし、いいぜ。レディーファーストだ」
吹寄「しかし……貴様のところには居候がいるでしょ? その子のために……」
上条「あー、よく考えたらコレじゃ足りないわ。二人前でアイツが満足する訳なかった」
上条「これだからいつも家計がヤバイんだよなー。別の探すとしますか」
吹寄「そんなに大変なの?」
上条「ええ。それはもう。火の車とかいうレベルじゃなくて。極炎の超特急ですよ」
吹寄「使い方が違うと思うけど……それなら弁当ぐらいなら私が作ろうか?」
上条「い、いいんですか!?」
55:
吹寄「一人分だけ作るのって結構面倒なのよね。もう一人分ぐらい増えても問題ないわ」
上条「ああ、今私には吹寄さんが神様に見えますよ……!」
吹寄「そう? それはよかった。それじゃあ、楽しみにしててね」
上条「はい。ありがとうございます!」
92:
上条「っと、これでいいかな……」
上条「明日の昼飯は心配要らないし……さてとレジ行くか」
「1056円になりまーす」
上条「えーっと、財布は……アレ?」
上条(……財布忘れてたァァァァァァァァァァァ!)
上条「す、すいません。やっぱいいです……」
「え?」
上条「不幸だ……」
93:
上条「……インデックスに電話だ」
Prrrrrrrrrrrrrrrr Prrrrrrrrrr
禁書『はい、もしもーし! 私はインデックスっていうんだよ?』
上条「インデックスか……今スーパーにいるんだけどさ―――」
禁書『あ、とうま! ひどいんだよ! 電子レンジの使い方わからなかったんだよ!』
上条「あ、ああ。そうか。えっとだな……」
禁書『まいかが通り掛ってくれたからどうにかなったけど、あぶなかったんだからね!』
上条「それはよかったな。で、インデックスさん」
禁書『で、ね。さっき、こもえから電話がきて焼肉パーティーやるらしいから行って来るね!』
上条「ちょ、ま!? 俺のサイフは――― ブツッ
95:
上条「インデックス……仕方ない、いったん家まで戻るか」
吹寄「どうしたの? 上条当麻。こんな所で、この世の絶望でも見たかのようね」
上条「吹寄……。実は―――
吹寄「ふーん。つまり、家まで戻る必要があると。……んー、そうだ」
吹寄「貴様、私の家に来なさいよ。ちょうど用もあるし、夕飯をご馳走するわ」
上条「そっ、そんな! 明日の弁当作ってもらえるのに夕飯まで……いいですって!」
吹寄「さっきも言ったでしょ? 一人も二人も変わらないって。遠慮しないで」
99:
上条「お邪魔しまーす……」
吹寄「遠慮しないで。その辺に座ってて。すぐ作っちゃうから」
上条「あ、ああ(女子の部屋っつーのも新鮮だな……小奇麗だな)」
吹寄「あんまりジロジロと人の部屋を見ないで」
上条「ん? 何だ? 恥ずかしい物でも置いてあるのか?」
吹寄「そういう訳ではないけど……」
100:
上条「ん? パソコン部品? 何だ吹寄ってパソコン組み立てたりすんのか?」
吹寄「え!? えっと、それは……!」
上条「俺も詳しくはわかんないんだけどさ、ちょっと見せてくれよ」
吹寄「だ、ダメ! 絶対に開けちゃダメ!」
上条「あ、ああ。精密な物だもんな。変に弄ったらマズイか……」
吹寄「そ、そう! 精密な部品だからね!」
吹寄(言えない……健康飲料と間違えて媚薬注文しちゃったなんて……!)
102:
吹寄「出来上がりっ!」
上条「おお! 流石だぜ、吹寄!」
吹寄「……至らぬ所もあるけど、召し上がれ」
吹寄「人に食べさせるのは久しぶりだから、変かもしれないけど……」
上条「んな事ねーよ! いただきます!」
104:
上条「ご馳走様でしたー」
吹寄「お粗末様でした」
上条「いやー、美味かったぜ。吹寄はいいお嫁さんになれそうだな」
吹寄「そ、そう? ありがと」
上条「ああ。俺が保障するよ。さて、片付けないとな。何か手伝える事あるか?」
吹寄「えーっと、それじゃあゴミ捨てお願いできる?」
上条「おう。任しておけ! じゃ、行って来るぜ」
105:
バタン
吹寄「行ったわよ、ね……」
吹寄「えーっと、確かこの辺にしまっておいて……」
ガサゴソガサゴソ
吹寄「あった! 結局、一度だけ使って飽きちゃったけど、やっぱり自分で使う物じゃないわよね」
吹寄「上条当麻の家には無いらしいし、丁度いいか。……それでは、ゴホン」
107:
上条「ただいまー」
吹寄「お、おかえり!」
上条「ん? 何か隠したけど、何だそれ?」
吹寄「貴様にあげようと思ってね。目覚まし時計が壊れたんでしょ?」
上条「ああ。お陰で今日は遅刻しちまったよ。で、これを俺に?」
吹寄「うん。通販で買ったんだけど、私はもう一個あるし。第一、これ自分で使っても微妙なのよ」
上条「へー。そっか。本当にくれるのか?」
吹寄「どうぞ。その代わり、明日は遅刻しないようにね」
上条「ああ。ありがとな!」
109:
上条家
上条「ただいまー、ってインデックスはいないのか……ん、留守電か」
小萌『シスターちゃんはお腹いっぱいになって寝ちゃいました』
 『迎えに来てもらうのも悪いので今日は私の家に泊まらせることにします』
 『明日こそは遅刻しないように早く寝てくださいねー』
上条「インデックスがいないとなると……久しぶりのベットか!」
上条「いやー、最近寒くなってきたからなぁ。風呂場は流石にキツイんだよな」
上条「ありがたや。ありがたや。……っと、吹寄にもらった目覚ましセットして……」
上条「おやすみなさい、俺!」
111:
翌朝。午前6時半
『……さい、上条当麻。遅刻するわよ』
上条「ふえ? ……いんでっくすさん? いつお帰りに……?」
『さっさと起きないと遅刻するわよ』
上条「……なんだ、この声。どこかで聞き覚えが……」
『上条当麻。早く起きなさい。貴様は遅刻をしたいの?』
上条「……吹寄? 目覚まし時計から!?」
『おはよう。上条当麻。よく眠れた?』
『目が覚めたら、さっさと準備しなさいよ』
上条「は、はい! 吹寄センセー!」
112:
吹寄「おはよう。今日は遅刻しなかったみたいね」
上条「いやー、まさか目覚ましにあんな機能があるとは。あれは何ですか?」
吹寄「いくつかの単語を音声入力すると自動で意味のある文章に組み替えるシステムを搭載した目覚まし時計」
吹寄「最初、というか一度は自分で使ったんだけど、自分の声で起こされるのはどうも気分が良くなくて」
吹寄「"おはよう"とか"遅刻"とかの基本的な単語は入力済みだったから、貴様の名前を入力したぐらいなんだけどね」
吹寄「通販で購入した代物がこんな所で役に立つとは思わなかったわ……ちなみに文章のパターンは一万通りぐらいあるから」
上条「い、一万!? そんなに!?」
吹寄「中にはシークレットボイスとかあるかもね」
114:
吹寄「そして、ほら。今日の弁当」
上条「おお! 何から何まで……! ありがとうございます……!」
吹寄「うん、よろしい。それじゃ、私は委員長の仕事があるから」
上条「ああ、がんばれよ」
吹寄「貴様も授業中に居眠りしないようにね」
115:
昼休み
土御門「おー、カミやん今日は忘れなかったかにゃー」
青ピ「流石のカミやんの不幸体質にも限度があるってことやでー」
上条「ハッ! 俺がいつまでも不幸だと思うなよ!?」
土御門「それにしても、今日のカミやん弁当は良くできてるぜよ」
土御門「……!(これは、もしや!?)」
吹寄「何、土御門? 人の弁当を眺めて?」
118:
上条「ん? 人の弁当見て何やってんだ?」
土御門(弁当の中身が一緒……だと……?)
青ピ「どうしたんやー?」
土御門「実は……ボソボソ……」
青ピ「何……だと……?」
青ピ「か、カミやんといいんちょの弁当の中身が同じィ!?」
119:
ざわざわ……ざわざわ……
男子A「上条のヤロー……ついに吹寄にまで……!」
男子B「まさか最後の砦、絶対防御が……なんてことだ……!」
男子C「くそッ、カミジョー属性を止める手立ては無いのか……!」
土御門「いいんちょ、実際のところ、どうなんでしょうね?」
吹寄「何を言っているの? 私が上条当麻に弁当を作ってあげた。それだけじゃないの」
土御門「……カミやんと付き合っていたりは?」
吹寄「まさか。お弁当作ってあげるぐらいで恋人になってたら世の中カップルで溢れかえるじゃないの」
120:
土御門「で、カミやんの方はどうお考えで?」
上条「同じだっつーの。別に付き合ってる訳でも好きな訳でもねーよ」
上条「吹寄も言ってんだろ。ったく、お前らは騒ぎすぎなんだよ」
土御門「……!(両者ともに自覚無し……? これは……)」
青ピ「カミやんは大変やー」
121:
上条「あー、散々だ。二日連続でボコられるって、9月1日以来だっつーの」
上条「というか、負傷し慣れてる自分が怖い……」
上条「不幸だー!」
吹寄「全くよね。こっちは多大な迷惑こうむるし」
上条「吹寄! あー、なんかゴメン」
吹寄「貴様が謝る必要はないわよ。別に……本当、アイツらもガキよね」
吹寄「それじゃ、また明日。明日も期待してて良いわよ。じゃあね」
上条「は、はい!」
122:
上条「あー、インデックス連れて帰らなきゃだな……」
小萌宅
結標「シスター? 朝早く赤髪で背の高い神父みたいなのに連れてかれたけど」
結標「なんか任務だよ、とか言ってたわね。何? 誘拐?」
上条「い、いえ。ならいいんです……(ステイル、だよな?)」
124:
禁書『もしもし? とーま?』
上条「もしもし、じゃねーよ。お前今、何処にいるんだ?」
禁書『えーっとね、イギリスだよ!』
上条「い、イギリス!?」
禁書『なんか私の保存してる魔道書が必要っぽくて。アレ、とうまには連絡済みって……』
上条「な!? 連絡って何も聞いてないぞ!?」
ステイル『やあ、上条当麻。この子はこちらで暫く預かるよ。何、心配するな。君の傍にいるより数百倍安全だから』
ステイル『それじゃあな』
126:
上条「なっ!? お、オイ? ステイ――― ブツッ
上条「ったく……安全ならいいか。どうせ何かあったら呼び出されるんだろうな」
上条「……あの超音旅客機はゴメンだぜ」
上条「あー、インデックスもいねーし。今日もふかふかベットか!」
上条「さーて、さっさと家に帰ろうかね」
128:
翌朝
『早く起きなさい。遅刻しても知らないわよ!』
『もう何時だと思ってるの? 貴様は寝ないと死んじゃう病なの?』
『おはよう。さ、早く起きて。学校で待ってるわよ』
上条「んー……あー、あ゛ァ……」
『……早く起きないと、イタズラしちゃうよ?』
上条「頭痛いし、熱っぽい……久しぶりの二日連続ベットでの反動か?」
上条「あー、どうしよ。こんなにもインデックスが必要になったのは初めてかもしれない……」
129:
小萌『上条ちゃん、風邪ですか?』
上条「はい、すいません……ということで今日は……」
小萌『わかりましたー。じっくりしっかり休んでくださいねー』
上条「すいません……」
上条「さて、と……また寝るか」
133:
上条「……んにゃむ。あー、もう五時じゃねーか」
上条「さすがに腹減ったな。動かなくても減る物なんだよな」
上条「さて……ちっとダルイけど飯作るか……」
ピンポーン
上条「ん……? 土御門あたりか……はーい」
135:
吹寄「やあ。上条当麻。貴様が学校を休んだから私がわざわざプリントを届けに来たわよ」
上条「吹寄か、ありがとな」
吹寄「それと看病の道具を一通り持ってきたから、ちょっと上がらしてもらうわよ」
上条「い、いいって。吹寄にも移っちゃうから!」
吹寄「何? 貴様はわざわざ看病しに来てあげた女の子を追い返すの?」
上条「う……お、お願いします……」
136:
吹寄「よろしい。人の好意はありがたく受け取る物よ」
吹寄「さ、これ。冷えピタ。あと風邪薬ね。えっと、冷蔵庫見るわよ」
吹寄「んー。とりあえずポカリとかも買ってきたから水分補給もしときなさい」
吹寄「で、朝から何も食べてなさそうだけど。食欲とかはあるの?」
上条「は、はい!」
吹寄「よかった。まあ、食欲あればどうにかなるわよね。お粥でいい?」
上条「ああ……頼りになるな、吹寄」
吹寄「どういたしまして。さ、お粥できるまで寝てなさい」
138:
吹寄「あ、起きた? ちょうど出来上がったわよ。食べれる?」
上条「もちろん!」
吹寄「はい、どーぞ。ていうか一昨日もこんな感じよね……」
上条「本当に何から何まで。迷惑かけちゃって……あー、」
吹寄「ん? 何かしら?」
上条「いやぁ、吹寄の彼氏になった人はラッキーだよなーと思って」
吹寄「そう、ありがと。生憎、彼氏とかいないのよね」
上条「へー、もったいないよな。俺なら放っとかないぜ」
139:
吹寄「なら付き合ってみる?」
上条「いやいや、遠慮しとくよ。俺じゃあ吹寄に似合わないし」
吹寄「貴様の周りには魅力的な女性が沢山いるからねー」
上条「アイツらが魅力的なら吹寄も十分魅力的だぜ?」
吹寄「ありがと。さ、お粥がさめないうちに食べちゃいなさい」
上条「そうだな。いただきます」
吹寄「召し上がれ」
198:
上条「ご馳走様でした」
吹寄「お粗末様。それじゃ、私はもう帰るから」
上条「ありがとな、本当にありがとう」
吹寄「別にいいわよ。……あ、ちょっと目覚まし貸して」
上条「ん? ほらよ」
吹寄「ども。―――……  、っと」
上条「何て入れたんだ?」
吹寄「秘密。明日の朝はこれがなるから。楽しみにしててね」
上条「そうするか。じゃあな、吹寄。おやすみ」
吹寄「お休みなさい」
200:
Prrrrrrrrrr Prrrrrrrrr
姫神「もしもし。こんな時間に。何?」
吹寄『夜遅くゴメンね。ちょっと姫神に聞きたい事があって』
姫神「私に聞きたい事?」
吹寄『突然で悪いけど……上条当麻をどう思う?』
姫神「あなたからその質問が出るとは。意外。……彼は。いいと思う。誰にでも優しくて。私を助けてくれる」
吹寄『要するに好き、なのよね?』
姫神「多分。そうだと思う」
吹寄『告白したりはしないの?』
姫神「……わからない。正直言って。私も戸惑ってる」
吹寄『そう。変な事聞いてゴメンね。お休み』
姫神「おやすみ」
201:
吹寄「上条当麻……か」
吹寄「私はアイツが好きなのかな……どうなんだろ」
吹寄「仮に好きだとしても、上条当麻の周りには魅力的な人がいっぱいだからな……私になんて見向きもしないわよね」
吹寄「ええーい。迷ってても仕方ないか。テレビでも見よ」
『親しい友人に、家族に、恋人に。この時期ピッタリの贈り物を手作りで!』
『今なら送料無料! ご覧の電話番号にお電話ください!』
吹寄「これは……。……えーっと番号は……0120の……、
202:
翌朝
『風邪はちゃんと治った? 早く準備しないと遅れちゃうわよ』
上条「んー。っと。全回復ッ!」
上条「いやー。久しぶりの清清しさだな。こりゃ。あーなんかいい気分だ」
上条「今日はいい天気だなぁ……布団でも干して、さっさと出かけますか」
上条「インデックスは暫く帰ってこないし。楽でよかったぜ」
204:
上条「おはよう、吹寄」
吹寄「おはよう、上条当麻。風邪は治ったの?」
上条「お陰様でな。吹寄の作ってくれたお粥がよかったみたいだな」
吹寄「それは何よりで。テストも近いから、あんまり体調崩さないようにね」
上条「風邪なんてこれっきりにしたいよ。まあ、吹寄が来てくれるなら後一度ぐらいは……」
吹寄「貴様は何を言っているの? まあ貴様がどうしても、っていうんなら行ってあげてもいいけど」
上条「そうか。なら次もお願いするよ」
吹寄「頼まれてみようかな」
205:
ピンポーン
「お届け物でーす」
吹寄「ありがとうございまーす」
「またのご利用、お待ちしております!」
吹寄「よし、届いたか。……えっと、あった。あった。色は……ピンクとかは嫌よね」
吹寄「シンプルに……黒と灰色の縞模様でいいかしら。派手にしてもアレだし」
吹寄「それじゃ、やろっかな。えーっと、何これ、意外に難しいわね……」
208:
上条「おはよーっす」
吹寄「おはよ」
上条「最近寒くなってきたよなー。ん? 吹寄、何読んでんだ?」
吹寄「こ、これは……! えっと、その……」
上条「隠すような物かよ?」
吹寄「あれ、あの……漫画!」
上条「漫画? 吹寄もそういうの読むんだな」
吹寄「悪いかしら? 貴様の部屋も漫画だらけだったわよ?」
上条「そうじゃなくて。常盤台のエースさんもコンビニで漫画立ち読みしてるぐらいだからさ」
209:
禁書『今度はローマでお仕事なんだよ! 私ってば忙しいんだからね!』
上条「はいはい。頑張って来いよ」
神裂『わかっていると思いますが、彼女の護衛は私達にお任せください』
神裂『万に一つでもアナタの手が必要になる事態には発展させませんので、ご安心ください』
『ほら、五和、行け!』
五和『あ、あの……気をつけて下さいね』
上条「……? とにかくインデックスは暫く帰ってこないと」
210:
吹寄「……意外に難しいわね。ここがこーなって、あー、もう少し長いほうがいいかな」
吹寄「男子だもんね。短すぎてもダメっぽいし、もうちょっと頑張ってみようかな」
吹寄「えっと、最後にここをこーして、っと……完成!」
吹寄「ふぅ……渡したら喜んでくれる、よね」
吹寄「心配しても仕方ないかな。時間も時間だし。私が遅刻する訳にもいかないから、寝よ」
211:
吹寄「……喜んでくれる、かな。なんか不安になってきちゃった」
吹寄「悩んでても仕方ないわよね。行かなくちゃ」
吹寄「おはよ―――
土御門「あー、カミやん、そのマフラーよさそうぜよ。誰にもらったぜよ?」
上条「もらってません。マフラーなんて代物、簡単にもらえる訳ねーだろ。売り物だよ」
上条「いやー、昨日、偶然見つけてさ。安かったし柄も気に入ったから。黒と灰の縞模様、いいだろ?」
土御門「……べ、別にうらやましくなんてないぜよ。……舞夏に作ってもらうぜよ」
213:
吹寄「え……あ……(う、嘘……なんで……)」
上条「あ、吹寄。おはよう。……ん? どうしたんだ?」
吹寄「な、何でもない……!」
マフラーの入った紙袋を手にしたまま走り去る吹寄。
上条「行っちまった……。何だってんだ?」
土御門「……カミやん」
215:
上条「? 何だよ、土御門?」
ドガッと土御門の拳を受けて上条が大きく吹き飛ぶ。
上条「な……!? 何しやがるんだ!?」
土御門「それはこっちの台詞ぜよ。テメェはわかってねーのか?」
上条「わかってねーって……、何のことだよ……!?」」
土御門「吹寄が前から何の本を読んでたか知ってるか? そして、アイツが何を見て走り去ったか」
土御門「わかんねーなら、カミやんが理解できるまで俺が殴り続けてやるぜよ」
土御門「……わかるならさっさと追いかけろ、バカヤロー」
上条「なるほど、そういう事かよ……ああ、わかったよ。行ってくる!」
216:
上条「待てよ! 吹寄!」
吹寄「な、何よ? 私に用なんて、無いでしょ……」
上条「マフラー、俺のためにわざわざ編んでくれたのか?」
吹寄「そうだけど……貴様には必要ないじゃない」
上条「……なら、こういうのはどうだ?」
上条が首にかけていたマフラーをはずして吹寄の首にかける。
吹寄「なっ……!?」
上条「で、俺が吹寄の作ったのをつける。これじゃ……ダメか?」
吹寄「……いい。これでいいわよ。……うん」
上条「まさか選ぶ模様が一緒とは。これでお揃いだな」
吹寄「そ、そうね……貴様がそれでいいなら、私も……」
217:
土御門「はぁー。全く、俺もやっちまったぜよ」
土御門「全く。なれない事をすると疲れるぜよ。……って、お二人のご帰還にゃー」
上条「おー。こっちの方が温かいぜ。吹寄は何でも出来るんだな」
吹寄「どうも。……これも温かいわよ。(上条当麻の匂いがする……)」
上条「それはよかった。あとでさ、何処か行かないか? 今回のお詫びも含めて」
吹寄「遊園地。第六学区の遊園地に行きたい」
上条「遊園地ね。わかった。暇な日見つけて一緒に行くか」
吹寄「うん」
221:
上条「じゃあな、吹寄」
吹寄「うん。また明日、学校で。遊園地、楽しみにしてるわよ」
上条「あーい、この上条さんに任しとけ!」
吹寄「……、もう。本当に優しいんだから……」
吹寄「あんなに優しかったら……好きになっちゃうじゃないの」
吹寄「やっぱり私、上条当麻の事が……好き、なんだよね」
吹寄「あー! どうしよう! 明日からまともに顔見られないかも……」
223:
翌日
上条「よーっす。吹寄」
吹寄「お、おはようっ!」
上条「? どうした? 顔赤いぞ。熱でもあるんじゃねーの?」
吹寄「ひゃ、そ、そんな……(顔が近い! おでこくっつけて……!)」
上条「うーん、熱は無いみたいだけど……保健室行くか?」
吹寄「大丈夫! 大丈夫だから! う、うん……!」
上条「そうそう。遊園地行くのって次の土曜日でいいかな?」
吹寄「あ、ああ。き、貴様の予定がああえば私はいつでもいいわよ」
上条「そっか。それじゃ、楽しみにしてるからな」
228:
当日。午後九時。
上条「悪い、待ったか?」
吹寄「いや、私も今来たところ」
上条「そっか。それじゃあ行こうか」
吹寄「うん」
吹寄(はたから見ればデートしてるカップルに見えるのかな……)
吹寄(ちょっと恥ずかしいけど、悪くはないよね)
231:
>>228
学園都市の夜遊びは禁止!(終電時刻的な意味で)
×午後→○午前に修正よろしくおねがいします
233:
上条「到着! そういえば、ここには来たことあったんだよな」
吹寄「来た事があるの? 私は始めてだけど……」
上条「前に両親と。小学生の時だから覚えてないんだけどさ」
上条(部屋に両親とここに来てた写真があったから……全く覚えちゃいないんだけど)
吹寄「それじゃあ貴様に案内してもらおうかしら」
上条「うっ!? いやぁ、実は全然覚えてなくてですねー」
吹寄「そうなの? まあ小学生の時だしね。覚えて無くても仕方ないわよ。それじゃ、行きましょ」
234:
午後三時
上条「あー、疲れたァ!」
吹寄「もう疲れたの? 6時にパレードやるらしいから、それ見て帰ろっか」
上条「ああ、そうだな」
上条(こう見ると吹寄って可愛いよなぁ……付き合えたりは……無理か)
上条(もし吹寄が俺の事好きだとしたって、それは夏休み以前の上条当麻だろうし)
上条(偽者の上条当麻が以前の上条当麻に向けた気持ちにこたえることができねーからな)
235:
上条(……前の上条当麻ならどうするんだろうか)
吹寄「どうしたの? 考え込んで」
上条「いや、なんでもないよ。うん、なんでもない」
吹寄「そっか。……そろそろパレード始めるわよ」
上条「ああ、そうだな。行くか」
237:
吹寄「綺麗よね」
上条「大星覇祭は散々だったからなぁ……」
吹寄「私と貴様は二人揃って病院送りだったからね。ナイトパレードも見損ねたし」
上条「今日がその代わりだと思えばいいじゃないか」
吹寄「そうね。……そういえば貴様は変わったな」
上条「へ?」
吹寄「少なくとも夏休みが開けて、特に大星覇祭の時には一学期とは何か違ってたよ」
吹寄「……夏休みが開けた後の貴様は、中々だったよ。私達の為に色々と頑張って」
上条「そ、そうか……?(もしかして記憶喪失の事を!?)」
吹寄「貴様は時々、夏休み前の自分と今の自分を比べてるかのように動いているけど」
吹寄「私は今の貴様の方がいいと思うな」
239:
上条「……そ、そうか?」
上条「別にそんな事はねーんだけど……」
吹寄「少なくとも、貴様は誰かの為に動こう、って感じになってるわよ」
上条「そうかな、そう言ってくれると嬉しいよ」
吹寄「……人のために必死になるのはいいけど、ちゃんと自分の事も考えなさいよ」
吹寄「頼れる時には誰かを頼ってもいいから……何なら私でもいい」
上条「吹寄……」
280:
上条「……ありがとな。吹寄」
吹寄「貴様に礼を言われる筋合いは無いわよ」
上条「そっか?」
吹寄「当たり前じゃない。……ほら、パレード見逃しちゃうわよ」
上条「そうだな……相変わらず凄いというか、学園都市は全てにおいてレベルが違うぜ」
吹寄「……(パレードよりお前の方がキレイだよ、とか言ってくれたらなぁ)」
上条「パレードもキレイだけど、吹寄もキレイだぞ」
吹寄「なッ!? き、貴様は何を……!?」
上条「冗談だよ。顔、紅くなってるぜ?」
吹寄「……冗談か。嬉しかったのに」
上条「ん? 何か言ったか?」
吹寄「何でもないわよ!」
281:
吹寄(そんな事言うから……私は……!)
上条「あー、終わっちまったかァ……そろそろ帰るか」
吹寄「そうね……」
上条「送るよ。夜道は危ないからさ」
吹寄「お願いするわね」
323:
吹寄「それじゃ、明後日学校で」
上条「ああ。月曜日にな。じゃあな」
吹寄「じゃあね。今日は楽しかったわよ」
上条「俺もだ。おやすみ、吹寄」
325:
Prrrrrrrrrr Prrrrrrrrrr
吹寄「ん? 電話……上条当麻からかな?」
姫神『こんばんわ。残念ながら上条当麻ではない』
吹寄「私、何も言ってないわよね……?」
姫神『ええ。……本当に彼からだと思っていたの?』
吹寄「うっ……で、何か話でもあるの?」
姫神『あなたは。これから。どうするの?』
吹寄「どうするって……」
姫神『早くしないと。とられちゃう。彼は。そういう体質だから』
吹寄「そう、よね……」
姫神『明後日。告白しなさい。いい?』
吹寄「え!? ちょ、待っ―――ブツッ
328:
姫神「……これでいい。これがいい。これだからいい」
姫神「彼女はとっても強いから。私なんかよりも。数倍勇気があるから」
姫神「きっと上手くいく。彼女を泣かせたら。例え彼でも容赦はしない」
吹寄「切れちゃった……こっちの気もしらないで」
吹寄「でも、しちゃったほうがいいよね。ずっとこのままなら」
吹寄「明後日、か」
329:
月曜日
『おはよう、よく眠れたかしら?』
上条「んーっ! あー、おはよう!」
上条「と、遅刻しねーようにしなきゃだよなー。さ、行くか」
上条「今日もいい天気だなぁ……最近は平和で何よりだ」
330:
高校への通学路
上条「ん? アレは……」
上条が見つけたのは見覚えのある黒と灰の縞模様マフラー。
それは上条の首に巻かれた物とよく似ていて、上条は地面に落ちているマフラーに見覚えがあった。
上条「……? 吹寄にやったのと同じやつ、だよな?」
上条「っても、アレって安売りしてたし結構数があったからな」
上条「他に買った人もいるだろうし。第一、マフラー落として気づかないハズねーか」
332:
上条「おはよーって、吹寄はいないのか?」
土御門「あ、カミやん。そうぜよ。いっつも朝早くから来てるのに……おかしいぜよ」
青ピ「あれ? カミやんがいいんちょが来なくてご機嫌斜めかやー」
上条「ち、違ェよ! 吹寄にあげたマフラーによく似たのが通学路に落ちてたんだ」
土御門「へー。ちなみに場所は?」
上条「えーっと、第七学区のセブンスミストの近くか」
土御門(吹寄の家と学校の通学路。近くに確かスキルアウトのたまり場が……)
334:
Prrrrrr Prrrrrrrrrrrrr
上条「あ、電話だ……吹寄から?」
土御門「ラブコールだにゃー。全く、カミやんはうらやましい限りだにゃー」
上条「うるさい。黙ってろ……もしもし、吹寄どうしたんだ?」
?『こんにちはー。上条当麻クン』
上条「(男……?)誰だ……?」
?『忘れちまったか。前にテメェに邪魔されたおバカな不良さんですよぉ』
不良『……あー、わかってると思うが、テメェと仲良い女の子はココにいるから』
不良『ちっと上条クンさー。俺らン所来てくれない? そしたらこの子返してやるよ』
上条「て、テメェッ! 吹寄に何してやがる!?」
不良『まだ何もしてねぇよ。……"まだ"、な』
上条「……ッ! 待ってやがれ。今すぐ行ってやるよ」
不良『待ってるぜぇ。カカカ』
335:
上条「ふ、っざけん、なッ……!」
上条(クソ……! 全部俺のせいじゃねーか……!)
上条(自分を頼ってって吹寄は言ってくれた……なのに! このザマかよッ……!)
上条「……ちょっと用が出来た。小萌先生には何か言い訳しておいてくれ」
土御門「カミやん、何しに行く気ぜよ……?」
上条「無茶をしに」
土御門「アホかにゃー。相手が一人だと思ってんじゃねーぜよ。どーせ数人でフルボッコ大作戦ぜよ」
上条「……それでも! アイツは、吹寄は、俺を……!」
土御門「仕方ないぜよ。俺が着いて行ってやるぜよ。雑魚は俺が片すから、カミやんはボス猿一匹殴ってくるぜよ」
上条「土御門……!」
337:
青ピ「オイオイ。わいを忘れてもらっちゃぁ困るで」
青ピ「全く。クラスの女子が危険な目にあったんやで? カミやんばっかりずるい!」
青ピ「やのーて、学級委員として当然、助けにいくべきや!」
青ピ「数は一人でも多いほうがいいやろ? いくでー!」
土御門「目指すは吹寄の救出+親玉ぶん殴るぜよ!」
上条「……お前ら!」
341:
不良「来たか……って三人もかよ?」
不良「まあ、二人増えたぐらいじゃあカンケイねーけどなぁ!」
鉄パイプ、金属バット、ナイフ、バール、その他明らかに殺傷能力のある道具。
それらを本来の用途に使用する者はこの場にはいない。上条らを取り囲む不良総勢15名は武器としてそれらの道具を構える。
上条「じゅ、15人……!?」
土御門「あちゃー。予想より少しばっかり多かったぜよ」
青ピ「とにかくカミやんは吹寄ん所に行きやー。ここはワイらが食い止めるでー!」
土御門「デルタフォースの力、見せてやるぜよ!」
342:
上条当麻は知っていた。
土御門元春は強い。魔術や超能力を使わずとも彼の格闘の技は優れていた。
不良A「ぐぼっ!?」
不良B「がばぃぃいう……」
不良C「ぎつうぃう!」
土御門「甘くみんなぜよ。こちとら多角スパイですよ、このヤロー」
青ピ「身長180cm超ボディプレース!」
不良D「ぐぼはっ!?」
344:
不良「なっ……!?」
当初の予定ではノコノコと現れた上条当麻を自分を含めた16人かかりで袋叩き、のはずだった。
上条当麻が仲間を二人連れてきたのは予想外だったが、それでも三人。15人相手に勝てるはずは無いと思っていた。
けれども。その15人は気づけば倒れていた。上条当麻以外のたった二人の高校生に全滅させられて。
土御門「こんなもんぜよ。さーて、あとはカミやんの番だにゃー」
青ピ「全く。わいを甘く見てもらっちゃぁ困るでー」
不良「な、何だってんだ!?」
上条「おいおい、今更逃げるのかよ?」
不良「なっ……!」
346:
―――……そういえば貴様は変わったな
―――私は今の貴様の方がいいと思うな
―――頼れる時には誰かを頼ってもいいから……何なら私でもいい
不良「く、クソォ!」
後ずさりながら蹴り上げた空き缶は上条の真横を跳び壁に当たる。
牽制にすらならない一撃はむなしく消えた。上条の右拳が強く握られる。
上条「……いいぜ、テメェが今の俺から逃げられると思ってんなら、
  ―――その幻想をぶち殺す!」
上条の右拳が不良の左頬を直撃し、不良が大きく吹き飛んだ。
347:
上条「……っ」
吹寄「上条当麻……」
上条「吹寄……! 無事だったか!? ケガとかは……!?」
吹寄「ケガなら大丈夫。でも、ゴメン。マフラーなくしちゃった」
上条「バカかよ……マフラーなんかよりもお前の事の方が大事に決まってるだろ」
吹寄「そう……ありがとね」
上条「俺の方こそ。今回の件は俺のせいでもあるし……」
吹寄「自分を責めないで。貴様は悪くないよ。貴様は強いから。自分で思ってるよりもずっと、ずっと」
351:
姫神「おかえり。無事に帰ってきてくれて。よかった」
小萌「心配したのですよー。……先生は上条ちゃん達の遅刻を忘れちゃったのです」
小萌「だからキチンとノート写してもらって、授業を受けていた事にしてくださいねー」
上条「ありがとうございます。小萌先生」
小萌「何のことだかよくわからないのですよー。上条ちゃん達は学校に朝からいましたから」
青ピ「どや、小萌センセー? 強い男は好きやろ?」
小萌「暴力は好きではないのですー。でも、誰かを守るための強さはいいと思います。そういうのはカッコイーですよー」
土御門「……結局カミやんぜよ。全く。やれやれにゃー」
352:
数日後...
上条「本当にこれでいいのか? もっと別のがあるだろ」
吹寄「これでいいの! 同じやつでなくちゃ意味がないじゃない」
上条「そっか。またお揃いだな」
吹寄「ええ。……あ、この後、ちょっと話があるんだけど、いいかな?」
上条「いいぜ。それじゃ、さっさと買い物済ましちゃうか」
353:
上条「で、話って何だ?」
吹寄「そ、それは……えっと、その……」
上条「どうしたんだよ?」
吹寄「私は……!」
吹寄「上条当麻! わ、私は貴様の事が……好きなの!」
上条「へ?」
吹寄「だ・か・ら……! 私は貴様が好きだから、付き合ってください!」
354:
吹寄「な、何度も言わせないでよ……」
上条「俺も好きだ。吹寄。俺と付き合ってくれ」
吹寄「上条……」
吹寄「す、好きなら証拠を見せなさいよ! 言葉だけじゃ……ダメなんだから」
上条「ったく。わかったよ。……」
彼女の震える微かに震える唇に触れる。
吹寄「……ん。……。ありがと」
上条「ん。どういたしまして。これでいいのか?」
吹寄「……いいわよ。うん。これでいい」
361:
数日後
土御門「仲が良すぎてイラつくにゃー」
青ピ「カミやんには適わんでー」
小萌「あなた達も十分かっこよかったのですよー。今回はたまたま上条ちゃんが主役だっただけですー」
土御門「甘いなぁ、小萌せんせーは。カミやん以外に主役になれる奴なんて殆どいないぜよ」
青ピ「本当にうらやましい限りやでー」
363:
吹寄「ねえ」
上条「ん? 何だ、吹寄」
吹寄「それ。呼び方。付き合ってるんだから、もっと恋人らしく名前で呼んでよ」
吹寄「このままだと将来とか色々と、ね。もし結婚でもしたら私を何て呼ぶ気なの?」
上条「け、結婚? ちょっと話が飛躍しすぎちゃいませんかね?」
吹寄「例えばよ。わかったら、次から名前で呼んでね。……当麻」
上条「わかったよ。制理」
吹寄「それでよし」
364:
上条「それにしても、寒いな……」
吹寄「む。それならこういうのはどうかしら?」ギュッ
上条「な、何をしているのでしょうかね……制理さん?」
吹寄「見てわからないの? 寒いから抱きついてんのよ。くっついた方が暖かいでしょ?」
上条「そうだけど……その、胸とか。色々と」
吹寄「貴様になら問題ないわよ。それよりも、もっと直接触りたいとか?」
上条「ち、違ぇよ!」
365:
上条「そ、そういう事は早いんじゃねーのか?」
吹寄「あら、当麻は以外と純情なの?」
上条「かもな。制理はそういうの嫌いか?」
吹寄「まさか。そういうことには少しづつ二人で、ね?」
上条「そーだな……まあ、よろしくな、制理」
吹寄「これからもよろしくね。当麻」
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