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モバP「ウサミン星人のそつぎょうしき」


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1:
・関係あるSS
モバP「少女は星を望む」
2:
安部菜々『……あの、Pさん。その……驚かないで、聞いてほしいんです』
菜々『ナナは……アイドルを引退しようって、思うんです』
3:
パラッ
P「やっぱり、どこも取り上げてるよな」
パラッパラッ
P「菜々……」
ガチャッ
千川ちひろ「お疲れ様です、プロデューサーさん」
P「……ああ、お疲れ様です、ちひろさん」
ちひろ「それで……どうですか?」
P「まだ全然です。俺自身、どうしていいのかさっぱりで」ハァ
ちひろ「ですよね……私もまだ、驚いてますから」
4:
ちひろ「でも、どうしてアイドルを引退するなんて決めたんでしょう」
ちひろ「……何か、あったんでしょうか」
P「……まだ、分かりません」
P「でも、仕事で追い詰められていたとか、大きな失敗したとか」
P「思い詰めていた様には見えなかったんです」
ちひろ「そうですか……」
5:
――――――――――――――――――――
P『引退って……冗談だよ、な?』
P『どうしたんだ、何かあったのか?』
菜々『……続けられなくなったから、ですかね』
P『続けられなく、なった……?』
菜々『その、地元に帰らなきゃいけなくって』
P『地元?』
菜々『はい……』
菜々『……ナナは、ウサミン星に帰らなきゃいけなくなったんです』
P『ウサミン星に……帰る……?』
P『……ウサミン星って千葉じゃなかったのか!?』
菜々『ち、千葉じゃないですよ!!?』
6:
菜々『えー……コホン』
菜々『……本当は、もっとアイドルを続けていたかったんですけどね』
P『それって、どういうことなんだ』
菜々『帰ってこいって、言われたから』
菜々『……ごめんなさい、ナナにはどうしようもないんです』
P『菜々……』
菜々『せめて、最後にライブができたらなって』
菜々『……ごめん、なさい……こんな、わがままばかりで、ちゃんと言えなくて』
P『そうか』
P『……分かった。菜々が本気なら、俺も菜々のために出来ることをする』
P『ただ、今じゃなくていいから……どうしてなのか、辞めるまでにちゃんと教えてくれ』
菜々『……はい。ありがとうございます、Pさん』
7:
――――――――――――――――――――
P「……」
池袋晶葉「おい、P。聞いてるのか」
P「ん、晶葉か」
P「えっと……すまん、何の話だ」
晶葉「ウサミンの話だが……やけに上の空だな?」
P「突然、引退するって言われたからな……俺もまだ、整理しきれていないんだ」
晶葉「……そうか」
P「晶葉から見て、菜々は何か変じゃなかったか?」
晶葉「全くだ。普段通りだったと思う」
晶葉「……いや、気になった点があったな」
P「本当か!?」
8:
晶葉「ああ、大したことじゃないんだが……前まで貸してくれなかったものを、急に貸してくれたんだ」
P「それって、何なんだ?」
晶葉「口止めされているんだが……ウサミンが、宝物だって言っていたよ」
P「菜々の、宝物……」
P「……そうか」
晶葉「それで……ウサミン、本気なんだな?」
P「ああ。もう引き返せないしな」
晶葉「……彼女のアイドルとしての姿勢は、憧れだったんだ」
晶葉「あんな風になりたい、と思ったものさ」
P「……寂しくなるな」
晶葉「……そうだな」
晶葉「せめて、何かロボでも作ってあげたいものだよ」
P「そうしてあげてくれ。きっと菜々も喜ぶと思う」
晶葉「ああ。Pも手伝って……いや、君は仕事に専念してくれ」
P「?」
晶葉「少しでもウサミンに付いていてあげてほしいんだ」
晶葉「ウサミンは結構、繊細だからな」
P「……ありがとな、晶葉」
9:
――――――――――――――――――――
「1、2、3、4!」パンッパンッ
菜々「っ!」タンッ スタッ
「安部! ステップ遅れてるぞ!」
菜々「はいっ!」バッ
「振りが遅い! もう休憩するか!?」
菜々「……だ、大丈夫ですっ!」ゼェゼェ
P(……それから、菜々はレッスンに仕事に、休む間もなく活動を続けた)
P(体力持つのは一時間、なんて言っていたはずなのに)
P(一度、本当に危ないと思って止めた事があったけれど……)
菜々『だ、大丈夫ですよ、Pさん……! ウサミン星人は、ナナは……こんなことではへこたれませんから!』
P(なんて、押し切られてしまった)
10:
P「……大まかにはこんな感じだが、何かあるか?」
菜々「……」ボーッ……
P「菜々?」
菜々「わっ、な、ななな何でしょうかっ!?」ガバッ
P「いや、聞きたいのはこっちだが……聞いてたよな?」
菜々「は、はい! それで、えっと……あれ、何の話でしたっけ……」
P「……最後のライブだ。ひと通り説明はしたから、何かあるか聞きたかったんだが」
菜々「あー、そうでしたね……」アハハ
P「しっかりしろよ? ライブで倒れないか心配だぞ」ハハッ
菜々「……大丈夫です、Pさん」
菜々「ナナは、最後の最後まで……アイドルでいたいですから」
P「……そうだな」
11:
P「……よし、菜々。いい時間だしどっか食べに行くか」
菜々「えっ、いいんですか?」
P「ああ。たまにはいいだろ」
P「どこでもいいぞ。もしお酒が飲みたいなら……」ニヤッ
菜々「な、ナナはまだ永遠の17歳ですからねっ!?」ブンブン
P「分かってるって」
菜々「そ、そうですよね……!」ホッ
菜々「……でも、嬉しいですけど、折角ですから」
P「?」
菜々「事務所の皆さんも一緒だったらなーって……ダメですか?」
P「お、おう……菜々がいいなら、それでいいけど」
菜々「ありがとうございます、Pさんっ!」
P「……ああ。それじゃ、今いるみんなに声かけて来るよ」
12:
……バタンッ
菜々「……ごめんなさい、Pさん」
菜々「ナナに、勇気がなくて……」
13:
――――――――――――――――――――
菜々「……これで最後だと思うと、や、やっぱり緊張しますね!」ガタガタ
P「菜々、手が震えてるぞ」
P「何ならこれが最後じゃなくてもいいんだけどな」
菜々「あ……」
菜々「あ、あはは、それもそうですよねっ」
菜々「……でも、ナナは決めましたから」
P「そう言うと思ったよ……ごめんな、笑えない冗談だった」
菜々「いえ……ナナも、悪いんですから」
「開演五分前です! 準備お願いします!」
菜々「はーいっ!」
菜々「……それじゃ、行ってきます。Pさん」スッ
P「ああ。楽しんでこい、菜々」スッ
コツンッ
14:
『その時空から、不思議な光が降りてきたのです……!』
「あれは、誰だ、誰なんだーっ?」
『それは……ナナでーすっ♪』
P(……結局、理由は聞けなかった)
P(突然の事だったから、準備に追われていた事のもある)
P(でも……チャンスはあったのに、どうしても上手く切り出せなかった)
P(舞台の上の菜々は、楽しそうだった)
P(来てくれた皆を楽しませようと、一生懸命で)
P(晶葉が憧れていたのも……俺が、少しだけ、きっと少しだけ、惚れていたのも……頷けるくらい)
P(菜々は最後まで、アイドルだった)
15:
菜々「えへへ……やっぱりライブって、アイドルって楽しいですねっ!」
菜々「……こんなに楽しい時間が、もっと、ずっと続けばいいのにって思います」
菜々「でも、ナナはもう、決めちゃいましたから……この楽しいステージも、アイドルも、今日で卒業です」
『菜々ちゃーんっ! やめないでーっ!!』
『菜々さーんっ!! まだ大丈夫だぞーっ!!』
菜々「……っ」
菜々「みなさん……ありがとうございますっ!」
菜々「もう少しで、ライブも終わって……皆さんとお別れになっちゃいますけど」
菜々「ナナは、ウサミン星は……永久に不滅ですからねっ!!」
菜々「それじゃあ、最後の曲、行きますよっ!」
P(もしかしたら、客席からも見えていたかもしれない)
P(あの時、菜々はきっと――)
16:
――――――――――――――――――――
P「……お疲れ様、菜々」
菜々「はい……Pさんも、お疲れ様でした」
P「最後、よく我慢したな」
菜々「なっ、何のことですか?」
P「……何でもないよ」
P「いいステージだったな」
菜々「そうですね……今までで一番、楽しかったです」
P「もう、大丈夫か?」
菜々「……はい」
P「そっか」
17:
P「……明日、事務所のみんなが予定を合わせてくれたから」
P「悔いの残らないようにな」
菜々「そう、ですね……」
菜々「……あの、Pさん」
P「どうした?」
菜々「ナナは、Pさんに感謝しているんです」
菜々「Pさんが、ナナにアイドルという夢をくれたから」
菜々「……この星の中で、ナナを見つけ出してくれたから」
P「……大げさだな」
菜々「いえ、本当のことですから……」
18:
菜々「……あはは、やっぱりナナにはこんな話、似合いませんよねっ!」
菜々「帰りましょうか、Pさん……もう、遅いですし」
P「菜々……」
P「なあ、菜々。この後大丈夫か」
菜々「……っ」
P「このまま帰らなくても、誰も何も言わないさ」
P「……明日、ちゃんと菜々が出てくれれば」
P「菜々がアイドル辞めるまでに、理由を教えてくれるって言ったろ」
菜々「……はい」
P「アイドルは、今日限りだもんな」
菜々「!」
P「……嫌なら、もう聞かないことにするよ」
菜々「……いえ」
菜々「ナナも、ちゃんとお話します」
19:
――――
ブロロロ……
P「……なあ、菜々」
菜々「何ですか?」
P「アイドル、楽しかったか?」
菜々「……はい。とても」
P「そうか」
P「……トップには届かなかったけど、結構有名になって」
P「仕事したりライブしたり、楽しかったよ」
菜々「……ナナもです」
菜々「Pさんやみんなと一緒にいられて、ずっと、楽しくて」
菜々「……なんだか、名残惜しいですね」
P「そうだな」
菜々「でも、もう決めたことですから」
20:
P「……たまには事務所に顔出してくれると、皆喜ぶよ」
菜々「……」
P「っと、着いたぞ」
菜々「は、はいっ!」
バタンッ
菜々「わぁっ……」
P「事務所に星の好きな子が多いからな。俺も調べてたんだ」
菜々「……綺麗ですね」
P「だろ。晴れて良かったよ」
21:
P「――ウサミン星は、ここから見えるのか?」
菜々「どうかな……見えるかもしれませんね」
P「ああして光ってる星は、ほとんど恒星だけどな」
菜々「……もしかしたら、見えるかもしれませんよ?」
P「そりゃ凄いな」
菜々「誰かが見つけてくれるのを、待っていますからね」
菜々「宇宙にはたくさん星があって……地球みたいに、人がいる星はそんなに珍しくはないんです」
P「そうなのか」
菜々「ずっとずっと、遠くにありますから」
菜々「今の技術では……まだまだ、届きませんけどね」
P「月に行くだけで精一杯なのに、他の星なんてもっと遠いもんな……」
菜々「ええ」
22:
P「……なあ、菜々。どうしてアイドルを辞めることにしたんだ」
P「地元に帰らなきゃいけないって、地元ってどこなんだ」
菜々「……星に、帰らなきゃいけなくなったからです」
菜々「地球での任務を終えて、ナナはウサミン星に帰るんですよ」
P「……!」
P「……やっぱり、ウサミン星は実在するのか」
菜々「はい。ずっと遠く、何億光年も先の宇宙に……ウサミン星はあるんです」
菜々「ナナの作った設定だと、思ってました?」
P「……まあ、な」
菜々「ナナも……こっちに来てからは、地球があんまりにも楽しくて、忘れちゃいそうでしたから」
菜々「だから、ナナがナナであるために……ウサミン星からやってきたアイドルだって言ったんです」
P「そうか」
菜々「……Pさんは、信じてくれますか?」
P「いや……もう、何にも驚かないよ」
菜々「……ありがとうございます、Pさん」
P「長い付き合いだからな。嘘かどうかくらい分かるさ」
23:
菜々「……だから、もうすぐナナは帰るんです」
菜々「帰って、地球は良い星だって、報告するんです……」
菜々「地球を侵略したりとか、映画みたいなことにはなりませんよ」
P「そうか。それは良かった」
菜々「でも……もう、こっちには来れないかもしれません」
P「……」
菜々「他の星の調査に行けるのは、一度だけ」
菜々「きっと、次に来るのは……ナナじゃない、別のウサミン星人です」
P「……菜々とは、もうお別れなのか」
菜々「……」
菜々「もしも奇跡が起こって……いつか、ナナが地球にまた来れたら」
菜々「Pさんは……あの時みたいに、ナナを見つけ出してくれますか?」
P「……当たり前だ、菜々」
菜々「あはは、ですよね……ありがとうございます」
24:
菜々「……またいつか、帰ってきます」
菜々「Pさんに、みんなに……会いたいですから」
菜々「それじゃあ、そろそろ戻りましょ……」
P「……菜々っ!」
菜々「!」
ギュッ
P「……ちゃんと、また帰って来るんだよな」
菜々「……きっと、です」
P「必ずじゃ、駄目か……?」
菜々「!」
P「いつか、帰って来るよな……?」
菜々「……はい」グスッ
菜々「いつか、必ず……帰って、来ますから……!」ギュッ
25:
――――
P(……次の日。菜々のお別れパーティーは、事務所総出の大規模なものになった)
P「すっかりちひろさん達に任せきりにしてたけど……すごいな」
晶葉「私も驚きだが……それだけ、ウサミンが皆にとって大きな存在だったんだろうな」
P「確かにな」
晶葉「……それで、ウサミンとはちゃんと、話せたのか?」
P「ああ。もう大丈夫だ」
晶葉「それは良かった」
P「そういえば、プレゼントは出来たのか?」
晶葉「……うむ。最新式のウサちゃんロボだ」
晶葉「山でも海でも……それこそ宇宙でだって動いてくれる最高のウサちゃんロボだ!」
P「!」
晶葉「まあ、宇宙での動作性は理論上だし、流石に宇宙に持ち出されることはないだろうけどな」ハハッ
P「そ、そうだな……」
26:
晶葉「それじゃあ、ウサミンに渡してくるよ」
晶葉「……ちゃんと、ウサミン星まで持ち帰ってくれるといいな」
P「?」
晶葉「いや、なんでもない。行ってくる」
P「ああ、行ってらっしゃい」
P「……」
P「本当に、ウサミン星に帰ってしまうのか……」
27:
P「菜々、大丈夫か」
菜々「はぁい、ナナは大丈夫ですよぉ……♪」ヒクッ
P(主役がこの有り様のため、パーティーはお開きとなった)
P(みんな、永遠の17歳じゃなくなったからって、遠慮がなさ過ぎだ)
P「家まで送って行くからな」
菜々「えへへぇ……ありがとうございますぅ……」
P「吐くなよ」
菜々「大丈夫ですからぁ……」ポワー
P「……不安だ」
28:
菜々「ねぇ、Pさぁん……!」
P「どうした?」
菜々「Pさんはぁ、もっとナナと一緒にいたいですか……?」ヒクッ
P「そうだな。明日からさようなら、ってのは信じられん」
菜々「ナナも信じられませんからねぇー……」
P「帰らなきゃいいんじゃないのか」
菜々「……へっ?」
P「ずっと、地球にいればいいじゃないか」
菜々「プロデューサー、さん……」
P「それじゃ、駄目なのか」
菜々「約束、ですから……」
菜々「ナナはウサミン星の、みんなの期待を受けて……地球にやってきたんです」
菜々「やっぱり、ナナは、帰らなきゃ……」グスッ
P「そう、か。そうだよな」
29:
P「……ほら。着いたよ」
菜々「はい……ありがとう、ございます」
P「ああ、待て。忘れ物だ」
菜々「……!」
菜々「晶葉ちゃんの、ウサちゃんロボ……」
P「晶葉、ウサミン星まで持ち帰って欲しいって言ってたぞ」
菜々「そうですね……ウサミン星と、地球の」
菜々「ナナと晶葉ちゃんとの、友好の証ですから……」
P「……それじゃあ、おやすみ」
菜々「はい。おやすみなさい、Pさん」
P「……いつでも、帰ってきていいんだからな」
菜々「……はい」
31:
菜々「それじゃあ、Pさん。また……いつか」
菜々「……お元気で」
32:
――――――――――――――――――――
P「さて、こんなものか……」カタカタ
P「……コーヒーでも飲むか」
ガラッ
P「あれ、こんなお茶あったか……?」
P「……そういえば、菜々が買ってきたんだっけ」
P「たまにはお茶にするか」
P「……なんか、違うな」ズズズッ
P「やっぱり、菜々がいないと……」
P「って、そんなこと言ってても仕方ないか」
P「もう3日も経つのにな」
33:
ガチャッ
ちひろ「お疲れ様です、プロデューサーさん」
P「お疲れ様です」
ちひろ「あら、珍しいですね。お茶ですか」
P「ええ。菜々が買ってきたお茶があったので」
ちひろ「……菜々、さん?」
P「前に買ってきてくれたんですよ。安かったからって……」
ちひろ「えっと、プロデューサーさん……」
P「はい?」
ちひろ「その、菜々……さんって、どなたですか?」
P「えっ――」
34:
P「やだなぁ、ちひろさん。何言ってるんですか」
P「菜々は菜々ですよ、安部菜々。何日か前に卒業ライブもしてたじゃないですか」
ちひろ「あ、あれ……そう、でしたっけ……?」パラパラ
ちひろ「その……そう、ですよね。菜々さん、ですよね……?」
P「……どうしたんですか、ちひろさん」
ちひろ「……」
ちひろ「悪い冗談じゃないですよね、プロデューサーさん?」
P「さっきからどうしたんですか、ちひろさん」
P「ほら、卒業ライブの写真だって、ちひろさん撮ってたじゃないですか……」
P「……ありましたよ、ほら!」
ちひろ「……プロデューサーさん、ごめんなさい」
ちひろ「プロデューサーさんの言う、この菜々さんという人に……私は心当りがないんです」
36:
P「……ちひろ、さん?」
P「はは、何言ってるんですか。エイプリルフールはまだですよ」
P「菜々は確かにこの事務所でアイドルやってたんですよ」
P「ほら、写真だってある、ライブの書類だって、CDも……」
ちひろ「プロデューサーさん」
ちひろ「……私は、プロデューサーさんとは長い付き合いですから」
ちひろ「プロデューサーさんが嘘を付いていないことも、分かります」
ちひろ「でも……菜々さん、という方が、私には分からないんです」
P「ちひろさん……!?」
P「そんな、まさか……」
P「嘘ですよね、たった二三日で忘れるはずが、ないですよね……」
38:
P「……どういうことだ」
P「菜々が忘れられたなんて、そんなはずが……」
P「誰か、誰か菜々を覚えている人はいないのか……!」
P(……俺は事務所にいたアイドル皆に、片っ端から聞いていった)
P(しかし……)
「ごめん、心当たりがないかな……」
「えっと……新しいアイドルの方ですか?」
「その、菜々ちゃん、ってアイドルなの? 見たことないなぁ」
P「……どうして」
P「どうして、みんな菜々を忘れてしまっているんだ……!」
39:
P「駄目だ……誰もみんな、菜々のことを覚えていない……」
バタンッ
晶葉「おい、Pはいるか!」
P「……晶葉?」
晶葉「戻ってたのか……探したよ、P」ゼェゼェ
P「どうしたんだ、そんなに急いで……」
晶葉「君に、話がある」
晶葉「……ウサミンの事について、だ」
P「!」
40:
――――
晶葉「おかしいと気付いたのは今朝だ」
晶葉「ふと私がウサミンの話題を出したんだが、皆が口を揃えてウサミンを知らないと言ったんだ」
P「……俺もだ」
P「ちひろさんが菜々のことをすっかり忘れていた」
P「おかしいと思って、事務所にいたアイドル達みんなに聞いて回ったんだが」
P「菜々の事を覚えている子は…誰も、いなかったんだ」
晶葉「そうか……」
晶葉「……こんな短時間に、皆がウサミンの事を突然忘れるはずがない」
晶葉「皆を疑いたくはないが……何か、あるのかもしれない」
P「っ!」
晶葉「とにかく、原因を探そう。今はそれしかない」
P「……菜々に、直接聞いてみるか」
P「晶葉、今すぐ支度してくれ!」
晶葉「分かった!」
41:
ブロロロロ……
P「……そういえば、晶葉」
晶葉「どうした?」
P「菜々が本当に、ウサミン星って星から来た宇宙人だ、って言ったら」
P「晶葉は信じるか?」
晶葉「……君は前にも、そう聞いたことがあったな」
晶葉「ウサミンがウサミン星人だと言うんだから、信じるしかないさ」
P「そうか」
晶葉「現代の科学では、まだ宇宙人を信じられるレベルの発見は出来ていないが」
晶葉「宇宙人がいないことも、文明のある星が他に存在しないことも、証明できてはいない」
晶葉「……それに、ウサミンは嘘を付かないからな」
P「ああ」
晶葉「……少なくとも、私達を騙したり悲しませるような嘘は」
P「……そうだな」
42:
――――
P「……着いた」
晶葉「ああ」
P「この階の……っ!」
晶葉「どうした?」
P「張り紙が……空家って、どういうことだ」
晶葉「そんな、もう引っ越したのか!?」
P「まさか……何日か前に来たけど、そんな様子じゃ……!」
ガチャッ
ガンッ!
P「鍵が……」
晶葉「どういうことだ、これは……!」
43:
晶葉「P、電話は!?」
P「そうか!」ピッ
prrrr prrrr……
『お掛けになった電話番号は、現在使われて……』
P「……遅かったか」ピッ
晶葉「ウサミン……」
P「……帰ろうか、晶葉」
P「これ以上は、いても仕方ない」
晶葉「そう、だな……」
44:
P「……」
晶葉「なあ、P」
晶葉「君は何か、知っているのか?」
晶葉「ウサミンは……どうして、消えてしまったんだ」
P「……」
晶葉「P、答えてくれ」
晶葉「何が起こっているんだ」
P「……俺にも、分からない」
P「ただ、俺は」
P「菜々との思い出を、菜々のことを」
P「このまま、忘れたくない……」
晶葉「……私もだよ」
晶葉「どうしてなんだ、ウサミン……」
45:
――――
P(次の日から、俺も晶葉も少しずつ菜々の事を忘れていることに気付いた)
P(事務所に残っていたデータを見ては、思い出そうとしたけれど)
P(次第に、写真を見ても誰だか分からなくなってきていた……)
ちひろ「それで、どうだったんですか?」
P「何がですか?」
ちひろ「ほら、菜々さん……でしたっけ。何か分かったことはありましたか?」
P「……いえ」
ちひろ「そうですか……」
P「もしかしたら、菜々は本当はいなかったんじゃないか、って」
P「自分の記憶に、自信を持てないんです……」
ちひろ「プロデューサーさん……」
46:
P「確かに俺がプロデュースしていたアイドルなのに……」
P「顔も、声も、段々思い出せなくなっている……」
P「……いつか、菜々の事を全部忘れてしまうんだろうか」
prrrr prrrr……
P「……晶葉?」ピッ
P「もしもし」
晶葉『P、今大丈夫か』
P「大丈夫だけど、どうした?」
晶葉『……君に見てもらいたいものがあるんだ』
P「見てもらいたいもの?」
晶葉『ああ。何故かは分からないが、それを見た時にとても大事なもののように思えたんだ』
晶葉『これは、Pにも伝えなきゃいけないって……そんな気がしたんだ』
P「……分かった」
47:
P「……ちひろさん。ちょっと出掛けます」
ちひろ「どちらに?」
P「晶葉の所に」
ちひろ「……大事なこと、ですか?」
P「ええ、おそらく」
ちひろ「……そうですか。分かりました」
ちひろ「ほら、お仕事代わってあげますから早く行ってきてください」
P「……ありがとうございます」
ちひろ「いいんです。プロデューサーさん、久しぶりに真剣な顔してますから」
ちひろ「とても大事なことなんだって、分かりますよ?」
P「ちひろさん……借りは、返しますから」
ちひろ「ほら、晶葉ちゃん待ってますよ?」
P「……はい」
48:
――――
晶葉「……すまないな、仕事中だったのに」
P「いや、大丈夫だ……それで、大事なものって」
晶葉「これだ」
P「!」
晶葉「君は、知っているかい」
P「金色の、レコード……」
晶葉「本来なら、ここにあるなんてあり得ない話なんだがな」
晶葉「どういう訳か、部屋から出てきたんだ」
P「それって、まさか」
晶葉「……なあ、P。教えてくれ。これはどうして私の部屋にあるんだ」
晶葉「どうして、このレコードを見ていると……懐かしいような気持ちになるんだ」
P「……」
49:
『Pさんと会えたから、ナナはアイドルに変身できたんですよ!』
P「……」
『みんなを幸せにできるように……これからも、お仕事頑張っちゃいますね!』
P「菜々……」
『宇宙は広いから……独りじゃ寂しいですよね、Pさん』
『Pさんは、ナナの本当の姿を知っても……好きで、いてくれますか?』
P「……っ!」
晶葉「おい、P!?」
晶葉「何か分かったのか!?」
P「……このレコードは、きっと」
ピコーン
P「……ん?」
晶葉「この音は……?」
50:
ピコーン
P「そのパソコンからじゃないか?」
晶葉「ああ、でもどうして……」
晶葉「……っ!」
P「晶葉?」
晶葉「P、車を出してくれ!」
P「どうしたんだ、いきなり」
晶葉「……ウサミンのことを忘れる前に、私が細工しておいたらしい」
晶葉「ウサちゃんロボが今どこにいるか、場所を出している」
晶葉「だが……今私の手元にいないウサちゃんロボは、あの一匹だけだ」
P「!」
晶葉「どうして私達は、忘れてしまっていたんだろうな」
晶葉「……P、行くぞ! ウサミンの所へ!」
P「……ああ!」
51:
――――
ブロロロロ……
晶葉「……このレコードは、ウサミンから借りたんだった」
晶葉「それも、忘れているとはな」
P「……そうだな」
晶葉「やはり、ウサミンはウサミン星という星から来た、宇宙人なのか?」
晶葉「いきなり皆の記憶が消えるなんて、まるでファンタジーだ」
P「でも、菜々がやったとしたなら……きっと意図があるはずだ」
晶葉「そう信じたいな」
晶葉「……P、そこを左折してくれ」
P「分かった」
52:
晶葉「……着いたな」
P「ここは……」
晶葉「ほう、随分と星が綺麗じゃないか」
P「ああ。初めて来た時に、俺もそう思ったよ」
P「……前に、菜々とここに来たことがあってな」
P「菜々に聞いたんだ。どうしてアイドルを辞めるのか」
P「そしたら、ウサミン星に帰るから、って言われてさ」
晶葉「……そうか」
晶葉「やはり、星に帰るんだな」
P「やっぱり、ウサミン星は実在するんだな」
晶葉「疑っていたのか?」
P「まさか」
53:
P「……ん?」
晶葉「どうした?」
P「あれ、何だ……? ほら、あそこに」
晶葉「……線路じゃないか?」
P「空に架かってるな」
晶葉「確かにそうだな……」
P「まるで銀河鉄道だ」
晶葉「……電車で向かえば一時間、だったな」
P「確かに」
P「……行くか、晶葉?」
晶葉「もちろんだ」
54:
菜々「……」
菜々「これでお別れ、ですね」
菜々「……それじゃあ、さようなら」
P「……菜々っ!」
菜々「!」
菜々「……あれ、おかしいな……Pさんの声が」
菜々「ナナも歳ですかねー……って、ナナは永遠の17歳ですからね!?」ビシッ
P「……菜々?」
菜々「……へっ?」
菜々「あ、あれっ……Pさん?」
55:
P「……本当に、菜々なんだな!?」ガシッ
菜々「嘘、Pさん……どうして……」
晶葉「……やあ、ウサミン」
晶葉「ウサちゃんロボに、ちょっと細工させてもらったんだ」
菜々「晶葉ちゃん……」
晶葉「……疑うような真似をして、悪かったよ」
菜々「いえ、いいんです。何も言わずに帰ろうとした、ナナも悪いですから」
P「……なあ、菜々。どうして誰にも言わずに、帰ろうとしたんだ」
菜々「Pさん……」
菜々「……みんながナナの事を忘れちゃったら」
菜々「ナナも、みんなとお別れできるかなって。そう思ったんです」
P「菜々……」
P「……できるわけ、ないだろ」
P「忘れられるわけが、ないだろうが!!」
菜々「っ!」
56:
P「……菜々をスカウトしてから、最後のライブまで」
P「ずっと、一緒にやってきたんだ」
P「失敗だって何回もしてきたし、その度二人で、みんなで乗り越えていっただろ」
P「……忘れられるわけが、ないだろう」
菜々「Pさん……」
P「俺は菜々の事を忘れない」
P「いつか必ず、菜々が帰ってくるって俺は信じているから……!」
菜々「……っ」グスッ
晶葉「……あー、いいか、二人とも」コホン
P「!」
菜々「あ、晶葉ちゃん?!」
晶葉「……二人でいい雰囲気になるのはいいんだがな」
晶葉「ウサミン、忘れ物だ」
菜々「忘れ物……?」
57:
晶葉「ほら」
菜々「あっ……ナナの、宝物……!」
晶葉「……私には手に余るものだからな。ウサミンに返すよ」
菜々「そう、ですね……」
晶葉「……私も、ウサミンとまた会える日を楽しみにしているからな」
菜々「ありがとう、晶葉ちゃん……」
晶葉「何なら、ロケットでも作って会いに行こうじゃないか」
菜々「……ふふ、晶葉ちゃんらしいですね」
晶葉「最も、君が電車で来てくれた方が早いと思うがな」ハハハ
菜々「そうかもしれません」クスッ
58:
菜々「……もうそろそろ、行かないと」
P「本当に、ウサミン星に帰るのか」
菜々「はい。地球の事を、ちゃんと伝えなきゃいけませんから」
P「……いつか、帰ってこれるのか」
菜々「……分かりません」
菜々「本来なら、ナナは地球上のみんなの記憶から消えていなきゃいけないんです」
菜々「地球はまだ、他の星との正式な関わりがありませんから……」
晶葉「私達の記憶は、消さなくていいのか?」
菜々「……一度は、消しましたからね」
菜々「それに、Pさんと晶葉ちゃんなら、悪いようにはしないと信じてます」
P「……ああ」
晶葉「ウサミンは、私の友人だからな」
菜々「……ありがとう、ございます」
59:
菜々「それじゃあ……Pさん。晶葉ちゃん」
菜々「また、いつか」
P「……行っちゃったな」
晶葉「ああ。本当に、電車で向かえば一時間だったんだな」
P「……」
晶葉「P? どうした?」
P「……帰ろうか、晶葉」
晶葉「そうだな」
60:
晶葉「なあ、P」
P「なんだ?」
晶葉「……また、会えるかな」
P「……」
P「ああ。いつかまた、会えるさ」
61:
――――――――――――――――――――
晶葉「……やはり、ライブはいつまで経っても慣れないな」
P「緊張してるのか」
晶葉「少し、な。君はいつも通りそうだな」
P「晶葉を信じているからさ」
晶葉「そうか? そうか……ありがとう。なら、大丈夫だな」
「開演五分前です! 準備お願いします!」
晶葉「ん、もうそんな時間か。それじゃあ行ってくる」スッ
P「ああ。楽しんでこい、晶葉」スッ
コツンッ
晶葉「アー、アー……聞こえるか諸君!」
晶葉「今日は私のライブに来てくれてありがとう!」
晶葉「今日は大いに楽しんでいってくれっ!」
62:
P(あれから、何年も経ったけれど)
P(俺は変わらずプロデューサーをしているし、晶葉もアイドルを続けている)
P(まだトップアイドルには程遠いけれど、晶葉は十分に名の知れたアイドルになった)
晶葉「……みんな、聞いてくれ! 私からの重大発表だ!」
P(……どうしたんだ、晶葉?)
晶葉「突然だが……私は、今年限りでアイドルを引退する!」
P「!」
『えぇーっ!?』
『晶葉ちゃん、辞めないでーっ!!』
晶葉「ふふ……ありがとう、みんな」
晶葉「……だが、もう決めてしまったことだからな」
晶葉「せめて悔いの残らないように、お互いにもっと、楽しもうじゃないか!!」
P「……やりやがったな、晶葉」クスッ
63:
――――
晶葉「……お疲れ、P」
P「ああ、お疲れさん」
晶葉「その、すまなかったな」
P「やるなら前もって言ってくれ……ほら、汗拭いとけ」
晶葉「……ありがとう」
P「明日から忙しくなるぞ」
晶葉「そうだな……明日からもよろしく頼む」
P「……それで、どうするんだ?」
晶葉「アイドルを辞めて、か?」
晶葉「……勉強したい事が見つかったからな。進学するつもりだ」
P「そうか」
晶葉「……すまない」
P「いいんだ、気にするな。目標が出来たんだ、良いことじゃないか」
64:
P「それで、何を勉強するんだ?」
P「やっぱりロボか?」
晶葉「いや、ロボはもう十分だ。学べるだけ学んだからな」
P「……流石だな」
晶葉「まあ、天才だからな。それでだ」
晶葉「何年も前から、興味を持っていたんだが……」
晶葉「宇宙について勉強しようと思ってな」
P「!」
晶葉「……君は、どう思う?」
P「いいと思うよ。晶葉が本当にやりたいと思ったんなら、俺は応援するだけさ」
晶葉「……ありがとう、P」
65:
晶葉「……ウサミンは、私達の事を覚えてくれているかな」
P「……あの菜々が、忘れてると思うか?」
晶葉「いいや、全く想像出来ないな」
P「きっとそうだと思うぞ」
晶葉「……なあ、P」
晶葉「いつか私達から会いに行って、驚かせてあげような」
P「ああ」
晶葉「私より、君のほうがウサミンに会いたそうだしな。楽しみにしていたまえ」ハハッ
P「……うるさい。帰るぞ」
P「……待ってろよ、菜々」
P「いつか必ず、会いに行くからな」
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