朝倉「禁則事項なの」part2back

朝倉「禁則事項なの」part2


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7:
………
…………
………
?翌日?
古泉 「……という事が昨日ありまして」
森 「この馬鹿!そういう得体のしれない物を発見したら、先ず報告が
 先でしょう?」
古泉 「……すみません。このような事になるとは」
森 「…まぁ良いでしょう。既に起こってしまった事は仕方ありません」
古泉 「はい」
新川 「しかし困りましたね。もし、呪いが本当だとするとどういった対処を…」
98:
森 「そうね。悔しいけれど、現状、この手の問題は私達に解決は無理。本当ならば
 手を借りたくないけれど、情報統合思念体の彼女にでも力を借りなければ
 無理かしらね」
古泉 「そうですね。しかし……」
森 「彼女は今、力が使えない…使わないんでしたっけ?まぁ、どちらにせよ、長門さん
 には頼めないわね」
新川 「では、朝比奈みくるに未来の情報を教えて頂くというのは?彼女達未来人ならば
 一週間後の呪いが本物かどうか直に分かる筈です」
古泉 「……新川さん」
森 「彼女に聞いたって無駄よ。そんなのどうせ”禁則事項です”で分からないわ」
99:
古泉 「!!!」
森 「どうしたの、古泉」
古泉 「あの……長門さんでは無いのですが、もう一人統合思念体の人物に心当たりが」
新川 「朝倉…涼子ですか?しかし彼女は既に消されてしまったと報告が」
古泉 「いえ、朝倉さんではなく、喜緑さんです。彼女ならこのビデオの解析が…」
森 「…………駄目よ」
古泉 「森さん?」
100:
新川 「ふむ。駄目だと言うからには、理由があるんですね」
森 「ええ、その通り。ねぇ古泉、あなた今週の涼宮ハルヒの観察記録、目を
 通してるわよね?」
古泉 「それは勿論」
森 「それにあなたはSOS団の活動時には、機関の誰よりも彼女の近くに居る」
古泉 「はい」
森 「だったら、ここ最近彼女がこんなホラーを代表するような作品に興味を示す
 きっかけが無かったのも承知の筈」
新川 「それは…」
森 「そう。私が思ってるのはね古泉。これは私達が”神”だとしている涼宮ハルヒ
 が今回の発端じゃないって事よ。普段ならこんなトンでも現象は彼女と疑って
 かかるけど、今回は違う。彼女じゃないわ」
102:
古泉 「だとしたら」
森 「だとしたら、考えられる候補は二つ。一つは只の悪戯。もう一つは敵対勢力
 による攻撃」
森 「敵対勢力も色々あるけど、今の現状、大雑把に言えば自称神候補に仕える超能力者達。
 未来人。宇宙人の三つ。で、もしこれらの内の勢力が攻撃してきたのだとしたら、
 最も危険なのが宇宙人の勢力」
森 「理由は分かるわよね?」
古泉 「同じ超能力者や未来人が動こうとしたら、必ず現場に痕跡、又は”痕跡を消した”
 という痕跡が残るけれど……情報を操作されたとしたら、機関では対処しきれない」
森 「正解」
103:
古泉 「でも統合思念体ならこんな回りくどいやり方なんてせずに」
森 「向こうにも事情があったのかもしれないし、それは私にも解らない。ただ、あなたの
 御友達の長門さんなら、私も百歩譲ってこのビデオに関して相談するのも許可するわ」
森 「けど、彼女以外の統合思念体にアプローチするのは認められないわ」
新川 「ふむ。このビデオを送って来た敵かもしれないという可能性がある以上、こちらが既に
 その罠に掛かったという事実を教えてしまうのは危険だと」
森 「ええ」
新川 「しかし、それではこちらも身動きが取れないのでは?」
古泉 「……」
森 「そうね。だから……」
105:
森 「だから、これからあなたが死ぬであろう時間まで、機関は涼宮ハルヒの監視よりも
 敵対勢力に探りを全力で入れます」
古泉 「なっ?」
森 「その代わり、あなたには涼宮ハルヒの監視と閉鎖空間を絶対に発生させないように
 努めて貰います。良い?間違っても機嫌を取り損ねて閉鎖空間を発生させるなんて
 へましちゃ駄目よ。死にたいのなら話は別だけどね」
新川 「そうですね。それしかありませんか」
古泉 「……解りました」
森 「そして、それまでに解明できなければ私がダビングしたビデオを見ます」
古泉 「えっ!?」
新川 「それは…」
108:
………………
…………
……
それからというもの、僕は必死に涼宮さんの機嫌を取り続けたんだっけ。
間違っても閉鎖空間が発生しないように。
そういえば、新川さんから後で聞いた話だけど、森さんはあの後直に僕が
一応ダビングして持っていったテープを見たと、言っていた。
何故かと尋ねたら、
「『本当に呪いのビデオテープかどうかの確認。もしそうだとしたら、
テープ自身にヒントが隠されていないか調べる必要があるわ。あの子は
見落とすかもしれないけど、私なら見つけられるかもしれない』
との事です」
そして新川さんは、僕でも見抜ける位の造られた笑顔で
「彼女は、優しい人ですから」
と、短く後に続けたんだった。
110:
僕の考えが甘かったというか、頭が回っていなかったというか、事態は想像していた
以上に深刻な物だった。
僕はもっと時間を引き延ばしてからでも。そう、僕の死が宣告された時間の少し前に
ビデオを見た方が良いと思った。何故直にビデオを見る必要があるんだ?と、新川さん
に話を聞いた当時、そんな気持ちで一杯だった。
しかし、それも当然、僕の事を思っての行動。
よく漫画なんかで時限爆弾が登場するけれど、あの時限爆弾についているタイマーなんて
これみよがしの存在であって、実際問題、タイマー通りに爆破する必要なんてない。
最も人が殺せるその瞬間を見計らって起動させてこその兵器だ。
……だとしたら、僕が見たビデオだって、丁度一週間後に死ぬ物でもないかもしれない。
まぁ、だったら死の解除自体ついていなさそうだが、それでも森さんは、僕の生存率を
少しでも上げる為に、テープを見てくれていた。……僕の為に。
116:
そして、もう一つ。新川さんが教えてくれた通り、森さんはテープからヒントを
得ようと考えたのだ。
一週間後の目前まで、在るかもしれないヒントを無視するよりも、多少のリスク
を背負ってでも前に進むしかない。情報の鮮度は、その情報が真実だとするならば、
新しければ新しい程良い。
行き遅れた情報には尾ひれがついている可能性が高いし、何よりも価値がない。
今直にビデオから敵に関する情報が得られれば、策を講じられる。しかし、時間を
かければ掛けるほど、敵もそれに気付き、対策を練る可能性が高まって行く。
そこまで聞いて、漸く僕は、如何に自分の行動が軽率だったか思い知った。
117:
と、ここまで頭の中で思想を巡らした所で、身体が不意に立ちあがった。
!?
突然の事に驚いていると、自分の口から
「どちらかのグループが恐らく短期決戦へと勝負を持ちこむ事になるでしょう」
という台詞が出て来て、今の自分の置かれている状態を思い出す。
そうだった。今、僕は佐々木さんと話をしていたんだ。
「……そう」
「まぁしかし心配しないでください。最後に勝つのは我々ですから。彼も間もなく
帰ってきますよ」
どうやら殺人鬼の戯言が完了したらしい。彼女を見送る為なのか、立ち上がったようだ。
118:
結局、彼女は殺さないらしい。ベルトに挟んであるナイフを取り出す気配も無い。
そんな、彼女を殺さない事に、常識では考えられないような狂った思考なのに、
少し安堵する。
良かった。
例え、彼女が機関の敵だとしても、もうこれ以上彼の友人を殺さなくて済むのなら。
「本当にもう大丈夫ですか?なんなら家まで送っていきますが」
殺人鬼は微笑む。
「いえ、もう大丈夫です。あなたの話を聞いて安心しました」
「そうですか。それは何よりです」
多分、微笑んでいる。
「本当にどうも有難う。今日、会う事が出来て良かった」
「いえいえ、お気になさらず」
微笑んでいると、思いたい。
119:
「じゃあ、さよなら」
「ええ、さようなら。彼が返ってくる日が決まったら、また連絡します」
嘘を吐くなよ、殺人鬼。彼は死んでる。もう居ない。
「うん。宜しく」
だから、そんな笑顔を僕に向けないでくれ。止めてくれ。
彼は居ないんだ。君の目の前に居る殺人鬼が、この僕が、殺してしまったのだから。
けれど、そんな願い虚しく彼女は笑顔のまま、意気揚々と歩きだす。……もう夜も遅い。
恐らく家路に足を向けているのだろう。
僕は、殺人鬼は、その場に立ち尽くしたまま、そんな彼女を眼で追いかける。
殺人鬼の戯言が余程嬉しかったのか、彼女は半分スキップのような形で歩いていた。
僕は、心の底に何かもやもやしたような言い知れない気持ちを携えて、彼女の後姿を見送った。
134:
………………
…………
……
佐々木さんと別れてから、殺人鬼はその足をひらりと別の方向に向けた。
……僕の家とは違う方向だ。
どうやら、まだ身体の主導権を返してくれる気はないみたい。
やり残したことでもある……もしくは、今までのは只の前座のようなもの
で、これからがメイン行事なのかもしれないが。
テクテクと。テクテクテクと。軽い足取りで。
疲弊しきっているであろう重い身体を、さも「まだまだ元気さ」と、僕に
見せつける様に。
殺人鬼は歩く。
135:
そして、しばらく歩いた処で、もう一つ、自分が奏でている足音とは別の
足音が聞こえてきた。
カツカツと。カツカツカツと。小気味良い一定のリズムで。
やがて僕の足音とそれは重なり、殺人鬼が音の方に顔を上げる。
視線の先には、蒼い、長いロングヘアー。
かつて、その手で彼を殺そうとした、そして僕がこの手で殺した、情報統合思念体
によって作られた存在。
対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース……朝倉涼子の姿
がそこには在った。
145:
「朝倉さん」
そう声を掛けようと思ったが、身体の主導権はやはり殺人鬼が持っていて、
僕には声を発する事も出来ない。
しかし、眼球は拘束が解かれたのか動くようになっていた。
眼を動かして、彼女を見る。
……死体のように蒼い肌が見える。いや、死体のようにでは無く、真実、死体
故に、肌が蒼いのだ。
当然だ。彼女は死んでいる。死んでいる、筈。僕が殺したのだから。
しかし、だとしたら何故、彼女は動いているんだ?
147:
………………
…………
……
……今回の事件の発端。それは僕の不注意から招いた一本のビデオテープを
見た事から始まった。
僕が見たテープは、『リング』と呼ばれる作品に非常に酷似した内容で、見た
者は一週間後に死ぬというもの。
そして、機関が総勢でテープに関する情報を探そうとしたが、期限内にそれが
見つかる兆しはなかった。
更なる捜査を展開するため、新川さんが森さんの見たテープをダビングし、
期限を更に一週間延ばす事に。
そして、さらに数日が過ぎ、僕が死ぬであろう日を過ぎても、僕は生存しており、
少なくとも、『ビデオをダビングして第三者に見せる』という呪いの解除方法は
正しいと証明された。
150:
ここまでは普通だ。けれど、それから更に数日後、僕は身体に違和感を覚えた。
上手く身体が動かせない。時間が経つに従って、身体は動かせなくなって行き、
最終的に、僕の意志とは関係なく動き始めたのだ。
そう、丁度あの日も、僕の意志とは関係なく身体は勝手に動いて、彼と一緒に
帰宅したんだった。
今でもよく覚えている。その日まで僕はずっと涼宮さんの御機嫌を取っていた
のに、その日、SOS団の活動に僕と彼が参加しなかった所為で、彼女は特大の
閉鎖空間を発生させたのだから。
閉鎖空間での闘いが完了した後、森さんにこっ酷く叱られたっけ。
「何考えてるの、あんたは!?」って。でも、それも叱られて当然だったけど。
151:
その翌日、彼からテープの話を聞かされた時は、本当に驚いた。まさか彼が見る
とは思ってもいなかった。しかも、また僕の部屋のデッキにそのテープはあった
らしい。
おかしかった。オカシカッタ。可笑しかった。
テープは機関に、森さんに預けた筈なのに、何故また僕の部屋に存在しているのか、
訳が分からない。
直に機関に”彼”がテープを見てしまったと連絡を入れたが、既に機関の内部は
滅茶苦茶で、僕が引き金を引いてしまったであろう度重なる閉鎖空間の発生で、
最早テープに関する捜査は打ち切られる事となった。
そして、森さんから「あなたと彼で、事件を解決しなさい」と、命じられたんだ。
152:
時々動きが止まる身体、勝手に動き出す身体。そんな不自由で危険極まりない僕
と、今一現状が把握しきれていない彼が、助けてくれない宇宙人、役に立たない
未来人、そして最も厄介な神様を尻目に、捜査を開始する事となった。
正直、このメンツでどう捜査を開始したらいいのか迷った。
けれど、それでも幸先は良かった。いや、悪かったと表現した方が人としては良い
のかもしれないが、まぁこの際関係無い。
幸先は良かった。
何故なら、犯人の目星がついたからだ。
153:
犯人を特定するのに一役買ってくれたのは、彼の妹。何でも録画したDVDを
見ようとしたら、例の『リング』を見てしまったのだそうだ。
そして、その後DVDは何者かに持ち去られており、行方が分からないまま。
ダビングしたディスクを回収する時間帯には、彼の家には、常に最低限、
誰かが居て、誰にも見つからずに回収するのは通常では無理。いや、未来人
だって、超能力者だって何の痕跡も残さずにそこまでは出来ない。
森さんが初めに危惧したとおり、宇宙人の勢力が最も黒幕に近いと思われた。
157:
………………
…………
……
ちらりと横目で朝倉涼子を窺う。彼女は相も変わらず押し黙ったまま、
僕の歩調に合わせてカツカツと着いてきている。
「…………」
僕は再び彼女に声を掛けようとするが、やはり殺人鬼に行動を止められる。
今日の殺人鬼はえらく気合が入っている。
今までなら、もう少し位、ほんの身じろぎ程度なら反抗出来たのに、今日は
自分の意志で歩みを遅らせようとする事も不可能だ。
多分、急ぎの用事なんだな、と僕は勝手に推測する。
158:
しばらく歩いた所で、殺人鬼と死体は見慣れた住宅街の一角に入る。
……ここは。あぁ、成程。
この光景を目の前にして、漸く殺人鬼の目的地に気が付く。”彼”の家に
用があるのか。
このような既に事件が終わった所で、終わりきった処で、何をする気なのか
分からないが、僕の身体の全ての主導権を奪ってまで、僕に殺されて死体で
ある存在の朝倉涼子を出歩かせてまで、ここに来たんだ。
きっと大事な用があるんだろう。
殺人鬼と死体は仲良く門の前で足を止める。
160:
……………………
………………
…………
……
直に彼の家に忍び込むものとばかり思っていたが、殺人鬼と死体は何かを
待つように、家のすぐ傍でじっとしている。
朝倉涼子は正門の前の電信柱の影、殺人鬼は庭の植え込みの影からひっそり
と。まるで泥棒みたいに。
ふむ。僕は今日は誰も殺さないものだと思っていたが、もしかしたら殺人鬼は
これから、ここで誰かを襲うつもりかもしれない。
結局、人を殺すのか。憂鬱だ。それにしても、今回は朝倉涼子まで連れて来る
とは、かなりのやり手の可能性がある、な。
そんな幾分ずれた思考の元、小一時間ほど待っていると、僕が侵入してきたルート
から人陰が近づいてきた。
……標的はこいつか。
162:
だが、僕の予想は全くといって良いくらい、外れた。
庭先からやって来たのは、先程、殺人鬼と別れた佐々木さん。
僕は面喰いつつも、やはり身体の主導権が殺人鬼に握られているため
表情には出さず、ひっそりと一部始終を見届ける。
佐々木さんは用意してきているガムテープを窓に何重にも重ねて貼り、
なるべく音が出ないように窓ガラスを割る。
   ゴリゴリゴリ
   ガリガリガリ
最初の方こそ慎重に、だが途中から居直ったのか、それとも覚悟を決めたのか
   ガツガツガツ
   と力を込める。
163:
   ゴツゴツゴツ
   ゴツゴツゴツ
佐々木さんが窓ガラスと格闘し始め、およそ二分少々で、
   ゴツゴツゴツ
と、規則正しい音を数回繰り返した後、ジャリンという鈍い音と共にガラス
が割れる。中々の手際。流石自称とはいえ、神候補といっただけの事はある。
佐々木さんはそのまま、手首を入れ、窓の鍵を開ける。
カチリと、窓のロックが外れると、躊躇なく彼女は彼の家に侵入する。
そして一目散にリビングから、通路へ。恐らく彼の部屋を目指しているに違いない。
170:
そう彼女の犯行の一部始終を見届けると、身体が勝手に動き出す。
彼女が切り開いてくれたルートで僕も家の中に入るのか。
正門前から朝倉涼子と、そして何時の間に合流したのか、朝比奈みくるが僕の方へ
駆け寄る。
死んだ筈の人間。消えた筈の人間。そして、人間の振りをしているモノ。
騒ぎの現況である当事者である側から見たら、何とも滑稽に映るが、こんな連中に
殺された人たちには、さぞ不気味に見えた事だろう。
実際、正常に、呼吸して、食べて、考えて、生命活動を全うしている人達からすれば、
殺人鬼で無い方の僕にした処で、既に狂っている領域だとカテゴライズしても、何ら
不思議じゃないんだ。
少し寂しいけれど。少し悲しいけれど。少し悔しいけれど。
僕も、もう……立派な化け物だ。
172:
そして、僕たち三人は、仲良く彼の部屋を目指す。先程入って行った佐々木さん
と同じく、脇目も振らずに。彼の部屋だけを目指す。
真っ暗な部屋で、一か所だけ明りが点滅している部屋に辿り着く。
成程。懐中電灯も持参してきていたのか。流石は佐々木さん。
僕たち三人は、ひっそりと、また中の様子をドアの死角であろう場所から窺う。
彼女は、彼の部屋に入って、おびただしい程の血痕を見つけた処だった。
彼女が何を考えているのかは知りようがないが、酷く冷めた、涼しげな表情で血痕を
見ている。だが特に何も感想を持たなかったのか、そのまま視線を彼の机に向ける。
無駄だ。証拠となりそうな物はすべて殺人鬼が隠滅した。見つかる筈ない。
でも、それでも懸命に彼女は探している。まるで忘れ物がここにあるかのように。
173:
数分間、僕たち三人は相変わらず探し物を続ける彼女を眺めていただけだったが、
意外にも早く彼女の行動に変化が現れた。
小さな箱を大事そうに抱えて喜んでいる。……あれは、ルービックキューブ?
彼女はすぐさま、何やら呟きながら、キューブを回転させていく。
一体あれが何だっていうんだ?
しかし僕のそんな考えを余所に、彼女は正確に、規則正しくキューブを回転させ、
見る見るうちに色を揃えていく。
数分もしないうちに、全ての面の色が揃い、ビックリ箱のように展開された。
中には小さく折りたたまれた紙らしきものが入っている。
174:
そして彼女はその紙を拾い上げて食い入るように見ている。いや、読んでいるのか。
一分も経たずに、彼女は真剣に紙との睨めっこを止めた。少し憔悴して
いるようにも映る。
だが、佐々木さんが漸く顔を上げたそのタイミングで、朝比奈みくるは
待ってましたと言わんばかりに笑顔で言い放った。
 「成程ー。そんな所に隠してたんですか。見つからない筈です」
僕も勢いよくドアを開け、佐々木さんに向かって微笑む。きっと朝倉涼子も
微笑んでいるのだろう。
176:
やばいなこれ、初見の人でも分かる様に書こうとしたのに、全くもって意味不明だ
「…………」
突然の訪問に佐々木さんは口をパクパク動かすだけで、言葉が出せていない。
そんな佐々木さんを見て、朝比奈みくるは
「大丈夫です。心配いりません。ただ、私の話を聞いてくれるだけで良いんです」
と、いつもの調子で、続けた。
「うー。そうですね。何から、説明しましょうか。……あ!そうだ。今回の事件
が何故起こったかについてからご説明しますね」
それから暫く、朝比奈みくるによる今回の事件の概要が語られる。
177:
掻い摘んで述べるとこうだ。
宇宙人達はかねてより、自分たち以外の涼宮ハルヒを監視する者達を疎ましく
思っていた。当然だ。折角監視対象が何かアクションを起こそうとしている
というのに、宇宙人達意外の勢力は、それを鎮静化させようとばかりする。
これでは、観察する意味がない。
一方、未来人のグループは自分たちの未来に近づけさせる為、どうしても強大な
力を持つ涼宮ハルヒを始末したかった。
そこで、この二つのグループはお互いに牽制し合っても意味がない、ここは一つ
協力しないか?という事になったらしい。
宇宙人と未来人が選択した、互いにとって最も都合の良いシチュエーション。
 『涼宮ハルヒをこの世界から隔離し、別の世界に連れていく』
こうすれば、宇宙人は、他のどの勢力にも邪魔されずに涼宮ハルヒの監視を行え、
未来人は自分達の未来を手に入れられる。
178:
……しかし、この計画には邪魔な組織が一つあった。そう、超能力者(僕達)だ。
機関という超能力者のグループは涼宮ハルヒを神扱いしており、別世界に隔離する
など、以ての他となるのは容易に想像ができる。
ここで、超能力者達を一掃するために作られたのが、僕や彼が見てしまったビデオ
テープだ。あのビデオは、やはり『リング』の山村貞子の呪いをモチーフに作られた
もので、山村貞子の怨念が宿っているとの事。
ちなみに、山村貞子は元々、超能力者という設定で作られた存在だったので、
同じく異なる能力とはいえ超能力を有する機関の面々には、効果絶大で、機関
の超能力者達は、たちまち山村貞子の支配下になった。
最後に、超能力者達を壊滅させたら、宇宙人達の情報操作によって、山村貞子
という存在も消滅させれば事件は一件落着。
……つまり、今回の事件は、蓋を開けてみれば宇宙人と未来人が手を組み、超能力者
を一掃し、涼宮ハルヒを別世界に隔離するという事件だったらしい。
180:
一通り説明し終わり、最後に朝比奈みくるは
「それで佐々木さんにお願いがあるんですけど、いいですか?」
と付け加える。
佐々木さんはというと、観念したのか、悟ってしまったのか、コクンと、
ただ静かに頷くだけだった。
「そんな顔しなくても大丈夫ですよ。難しい事じゃないんです。それにちゃんと
手伝ってくれたお礼も用意してますから」
「お礼?」
「はい。未来の技術で、キョン君を生き返らせてあげます」
そんな、とんでもない事を朝比奈みくるはあっさりと言った。
181:
……………………
………………
…………
……
帰宅路。僕達が彼の家を出た時には既に、夜が明け掛かっており、
今はもう、完璧に朝日が拝める位置まで太陽が昇っていた。
僕の身体はというと、相変わらず殺人鬼、いやあの話を聞いた以上、
最早山村貞子と呼ぶべきかもしれないが……まぁとにかく、主導権
は返してもらえていない。
僕の傍らには、蒼い顔をした、蒼いロングヘアーの死体と、狂った
未来から来た、狂った少女が、いる。
  テクテクと。カツカツと。コツコツと。
特に足音を揃える必要も無いのに仲良く、一緒に道を歩いている。
185:
傍から見たら美少女二人に連れそられている僕は幸せ者に映るのかも
しれないが、僕はあまり良い気分じゃない。
何故なら死体と狂った女がくっ付いているだけなのだから。
まぁ、朝比奈みくるの説明が本当ならば、これで事件も終焉に向かう筈
だから、少しは喜んでも良いかもとは思うけれど。
何故なら涼宮ハルヒは既に統合思念体によって隔離された世界にいざな
われているのだから。
  ――――― ズキン ―――――
   ???????
   あれ?何だ、どうした?
  ――――― ズキン ―――――
 まただ。頭の奥でズキンと痛みが走る。どうしたってんだ。
186:
  ――――― ズキン ズキン ―――――
   おい。何だ、この痛みは?
  ――――― ズキンズキンズキン ―――――
   ????????????
 ――――― ズキンズキンズキンズキンズキン ―――――
   くそっ、何だよ、これは?
  そう口に出そうとしても身体の主導権は貞子なもの。
  僕はただ、前を向いて歩く事以外の行動は出来ない。
187:
貞子貞子貞子貞子。
  そんな感じに痛みに耐えながら僕は貞子に訴える。
  自分の意志で動く眼球だけをギョロギョロとさせて。
   瞬間、朝倉涼子の姿を見て、ハッとした。
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
   決して声にはならない声で、僕は叫んだ。
189:
おかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしい
おかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしい
おかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしい
オカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイ
オカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイ
オカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイ
オカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイ
可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい
可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい
可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい
可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい
可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい
    ヲかシ過ぎル
 そうだそうだそうだ。間違えてる。何がって?朝比奈みくるの説明だ。
だってそうだろ?今回の事件の黒幕が情報統合思念体と未来人なら、何故朝倉涼子が死んで
いるんだ?何故僕に殺されなくちゃいけなかったんだ?
190:
ちょっと待て。ちょっと待ってくれ。
先ず初めに僕がビデオテープを見た。そして機関の森さん、新川さんが見ている。
そして僕の身体の主導権は殺人鬼に奪われたんだ。
ここまでは朝比奈みくるの説明でも通る。
次に彼、彼の家族がビデオを見た。
これも佐々木さんを”彼”という餌で釣る為の犠牲だったと考えたら、大筋からは
ずれていない。
それから、それから先は?何があった?僕はどうしたんだった?
頭が上手く働かない。落ち着け。落ち着け。落ち着け!
良く思い出せ。僕は何故彼女を殺した?
191:
長門さんに連絡を入れたら、朝倉涼子が何故か派遣されてきて。
確か理由は……長門さんの代わりに今回の事件の手伝いをするとか何とか。
ああっあああああ。違う。そんなのは後でどうとでも説明が付く。
重要なのはその後。
問題は何故彼女を殺すに至ったかという………………あああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああ!?
  分からない。想い出せない。
何かそこら辺で大きな音がした所為か?記憶にノイズが掛かってる。
 音。大きな音。ノイズ。……違う、声だ。悲鳴が聞こえてきたんだ。
  …………そうだ!思い出した。悲鳴だ!!!
あの時、彼と僕と朝倉涼子の三人が顔合わせをして、今回の事件
に対する考えを僕が喋っていた最中に、コンピュータ研の部長の
悲鳴が聞こえてきたんだった!!!
198:
……うん、確か、コンピュータ研の部長氏が、部室棟で悲鳴を上げている
のを聞きつけた僕たちは、ビデオやDVD、もしくはそれに準ずるリングの
媒体品がないかを探した。
けれど、その時には特に目新しいものは無く、そのまま部室を後に。
その後、警察に潜り込んでいる機関の関係者の方に、部長氏が最後に見たと
されるページや、ログが残されているのを知ったんだ。
そして僕は朝倉涼子に、ログデータは警察庁のデータベースに保管されて
あるから、ファイアーウォールを破って解析を頼んだ。
……でも。
……でも朝倉涼子に解析を頼んだその日に、僕は彼女を殺した?
   ???????
長門さんの代わりに統合思念体から派遣されてきた存在である彼女が、僕の身体
を操っている山村貞子と『仲間』で在る筈の彼女が、何故、僕に、殺人鬼に、
山村貞子に殺されている?
200:
何処かヲカシイ。
狂っているとまでは、言わないけれど、何と表現すれば適切なのか不明だが、
ずれている。
そう、何かズレテル、ヅレテル。
上手く論点をはぐらかされたというか、敢えて答えていないような、そんな感覚。
綺麗に歯車が噛み合っていない、そんな感覚。
重大なモノを見落としている気がする。
こう、もっと単純な。もっとすぐに気が付きそうな事を。何でそんなもの見落とし
ているんだという、本当に根本的な問題。
答えは既に発言してしまった気がするのに……。分からない。
202:
と、不意に身体が宙に浮く感覚に襲われる。
あぁ、殺人鬼に身体を任せて、思考していたらいつの間にか僕の住んでいる
アパートまで到着していたのか。
ぎりぎり動かせる眼球で左右を見やる。……二人ともちゃんと着いてきている。
エレベーターの中にまで乗り合わせたという事は、恐らく僕の部屋まで入って
来る気なのか。
『涼宮ハルヒ隔離計画』の祝賀会でも開いて、僕を解放してくれるのならば、
願ったり叶ったりだが、どうなる事やら。
ゴウンゴウンと、普段あまり意識しないエレベーターの音が、今日はやけに
はっきりと聞こえた。
204:
………………
…………
……
吐き気のする様な腐臭の漂うエレベーターを出て、僕は自分の部屋に入る。
けれど、部屋に入って驚いた。
そこには、夥しい数の死体があった。
……中には、僕が殺した。……中には、良く見知った顔の、死体が。
森さん。新川さん。田丸兄弟。……機関の皆。
彼のクラスメートの国木田君。コンピュータ研の部長氏。
彼の妹、両親。
自称神候補である佐々木さんについて回る、未来人、宇宙人、超能力者。
彼、長門さん。
そして、一通り死体を見まわした所で、糸がプツンと切れたかのように
崩れ落ちる朝比奈みくると朝倉涼子。
……なんだ。朝比奈みくるも、死体だったのか。喋っていたから気が付かなかった。
成程、これで涼宮ハルヒ以外のSOS団メンバーも揃った訳だ。
206:
死体が死体に積み重なって、全員の顔をきちんと確認は出来ていないけれど、
多分、今言った……今考えた人達であっている筈だ。
そんな感傷とも何とも言えない気持ちのまま、僕もその場に倒れこんでしまう。
僕の身体は、朝倉涼子の前に倒れこみ、顔と顔を見つめあわせる様な格好となった。
おいおい、まさか僕まで死体だって訳じゃないだろうな。
目の前で濁った瞳で見つめる彼女に、心の中で質問を投げかける。
……当然、彼女は答えてはくれないが。
208:
結局、今回の事件は何だったのだろう?
宇宙人と未来人による『涼宮ハルヒ隔離計画』?黒幕がこんなにバタバタ死んで
いっているのに、そんなのが果たして真実と、導き出された答えだと自信を持って
言えるのか?
……僕には無理だな。筋が通っている所もあるが、可笑しな点も多い。
テストで解答したら、60点が関の山ってとこ。
それで充分だと言う人も居るかもしれないが、僕はまだ納得できない。
何処かに完璧な解答は用意されていないのか。
あなたは、どう思う?朝倉さん。
僕は、また沈黙を守りぬく彼女に質問を投げかける。
210:
返ってこない返事に満足して、僕はマジマジと朝倉さんの顔を見る。
進化の可能性、その目で見れませんでしたねと心の中で嘯きながら。
    ん?
  あれ?今、僕は何を思った?何を考えた?
  …………あぁ、成程、そういう事か。
そういう考え方も、良いものだ。解答用紙にこういう解答を書けば
もっと良い点数が貰えるかも。
 独り、自分の導いた解答でちっぽけな自己満足感を満たす。
211:
何も宇宙人と未来人による『涼宮ハルヒ隔離計画』の全てを否定
しなくとも、使えそうな部分だけ使って、後はそれを補えば良い。
宇宙人と未来人による『涼宮ハルヒ隔離計画』。これがあったと
認めよう。先ずは在ったと認めよう。
そして、『呪いのテープ』、これもその計画に従って造られたと考える。
問題はその後。
このテープは超能力者殲滅の為に宇宙人によって改良された僕達の
知っているモノと少し違うテープになっている。
……だとしたら。
……だとしたら、宇宙人も予想だにしない”進化”をこいつ自身が
勝手にしたとするならば。
212:
『涼宮ハルヒ隔離計画』の後に、”進化”した自分が処分されないように
反旗を翻したのだとしたら?
  どうですか、朝倉さん?この解答?
  僕は得意になった気分で彼女を見る。
   彼女は何も答えない。
 けれど、もし彼女が僕の解答に答えてくれるのなら
  「ごめんね古泉君。禁則事項なの」
と言う気がする。彼女ならきっとこう言うだろう。何故かは分からないけど
   そんな気がして、ならない。
213:
    朝倉「禁則事項なの」
     完
216:
もう一つのエンディングが気になるな
253:
折角なので別エンディングも載せとく
………………
…………
……
吐き気のする様な腐臭の漂うエレベーターを出て、僕は自分の部屋に入る。
けれど、部屋に入って驚いた。
そこには、夥しい数の死体があった。
……中には、僕が殺した。……中には、良く見知った顔の、死体が。
森さん。新川さん。田丸兄弟。……機関の皆。
彼のクラスメートの国木田君。コンピュータ研の部長氏。
彼の妹、両親。
自称神候補である佐々木さんについて回る、未来人、宇宙人、超能力者。
彼、長門さん。
そして、一通り死体を見まわした所で、糸がプツンと切れたかのように
崩れ落ちる朝比奈みくると朝倉涼子。
……なんだ。朝比奈みくるも、死体だったのか。喋っていたから気が付かなかった。
成程、これで涼宮ハルヒ以外のSOS団メンバーも揃った訳だ。
254:
死体が死体に積み重なって、全員の顔をきちんと確認は出来ていないけれど、
多分、今言った……今考えた人達であっている筈だ。
そんな感傷とも何とも言えない気持ちのまま、僕もその場に倒れこんでしまう。
僕の身体は、朝倉涼子の前に倒れこみ、顔と顔を見つめあわせる様な格好となった。
おいおい、まさか僕まで死体だって訳じゃないだろうな。
目の前で濁った瞳で見つめる彼女に、心の中で質問を投げかける。
……当然、彼女は答えてはくれないが。
255:
僕と彼女はしばらく見つめ合う。
死体で満たされたこの部屋で。腐臭が漂うこの部屋で。
ただ見つめあった。
………………
…………
……
そうしている間に、どの位の時間が経ったのだろう?
気が付けば、意識はまどろんで、今にも眠ってしまいそうだ。
……もう、良いか。もう、楽になろう。
多分、ここで眼を閉じると、恐らく二度と目を開ける事は無い
と分かっている。そんな気がする。
でも、それも、それでも良いかなとは思う。
僕は、殺人鬼は、山村貞子は、人を殺し過ぎた。
僕だけ生き延びようなんて、虫の好過ぎる話だ。
だったら、ここで、この死体達に埋もれて死んで行くのも悪くない。
殺人鬼、山村貞子も、僕と一緒にあの世に連れていくのも、悪くない。
256:
そう決心して、意識を閉じようとしたのだが、背中に、ピシリと痛みが走る。
おいおい、ここまで来て僕の決心を鈍らせるなよ。それとも、まだ僕に何か
仕事でも用意してあるのかよ。
僕の思考を読み取ったのか、もう一度、大きくピシリと背中が痛む。
―――――そして、
    ズルリ
と、ナニかが、背中から、僕の中から出ていく。
    ??????
   何だ?僕の身体からナニが出てる?
257:
しかし、身動きの取れない身体では、どうにも確認する事が出来ない。
僕はただただじっと、眼の前の朝倉涼子を見るだけ。
  ヌルリ。ズニュリ。ズリュリ。ズルリ。
   ブリュブリュブリュブリュ
   ジュルジュルジュルジュル
  膨らんだ風船がしぼんでいくように感じた。
 やがて、皮だけになった僕を見降ろすかのように、影が出来る。
  あぁ、そうか。そうだった。そうだったな。
お前は、超能力者殲滅の為に宇宙人によって改良された、僕達の知っている”モノ”
と少し違う存在だった。
だったら、だったら。だとしたら。『涼宮ハルヒ隔離計画』の後に、”進化”した
自分が処分されないように反旗を翻したと言う事か。
258:
 もう山村貞子と呼ぶのも些か違うであろう”モノ”に僕は問う。
  お前はこれから、何をするんだろう?何処へ行くんだろう?
    「…………」
    影は返事をしない。
  ……まぁ良いさ。何処へなりとも行ってくれ。
  最早僕にはお前を止めれないし、何も出来ない。
  身体も動かなければ、身体があるのかすら分からない。
   そして、僕は今度こそ意識を落とす。
   声にならない声で精一杯の皮肉を込めて。
   ハッピーバースデイ、殺人鬼。
   影が笑ったような、そんな気がした。
     了
260:
待ってましたwww
262:
いや面白かったよ1乙
また禁則事項シリーズ期待してる
26

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